説明

1−(アミノ)インダン並びに(1,2−ジヒドロ−3−アミノ)−ベンゾフラン、ベンゾチオフェン及びインドール

本発明は式(I):
【化31】


の化合物と医薬的に許容可能なその塩及び水和物に関する。前記化合物は骨髄、臓器及び組織移植拒絶反応等の自己免疫疾患及び障害の治療に有用である。医薬組成物と使用方法も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はS1P/Edg1受容体アゴニストであり、従って白血球トラフィッキングの調節、リンパ球の二次リンパ組織移行、及び有効な免疫応答に必要な細胞間相互作用への介入により免疫抑制作用をもつ化合物に関する。本発明は前記化合物を含有する医薬組成物と治療又は予防方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
免疫抑制剤は全身性紅斑性狼瘡、慢性リウマチ様関節炎、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症や、他の疾患としてクローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、ウェグナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス病及び喘息等の多様な自己免疫性疾患及び慢性炎症性疾患で有用であることが示されている。免疫抑制剤は癌、リンパ腫及び白血病の治療用化学療法レジメンの一部としても有用であることが分かっている。
【0003】
これらの疾患の各々の根本的病因は全く異なると思われるが、種々の自己抗体及び/又は自己反応性リンパ球の出現が共通している。このような自己反応性の一因は正常免疫系の機能を司る恒常性制御機構の低下であると思われる。同様に、骨髄又は臓器移植後にも宿主リンパ球は外来組織抗原を認識し、抗体、サイトカイン及び細胞毒性リンパ球等の細胞性及び体液性両者の反応を開始し、拒絶反応を生じる。
【0004】
自己免疫又は拒絶プロセスの結末の1つは炎症細胞とそれによって放出されるメディエーターにより起因する組織破壊である。NSAID等の抗炎症剤は主にこれらのメディエーターの作用又は分泌を阻止することにより作用するが、疾患の免疫基盤を変化させるには全く無効である。他方、シクロホスファミド等の細胞毒性物質は正常反応と自己免疫反応の両者を阻止するような非特異的方法で作用する。実際に、このような非特異的免疫抑制剤を投与した患者が感染死する確率は自己免疫疾患で死亡する確率と同程度である。
【0005】
シクロスポリンAは移植臓器の拒絶反応を防止するために使用されている薬剤である。FK−506も移植臓器拒絶反応の防止、特に肝移植に認可されている薬剤である。シクロスポリンAとFK−506は生体免疫系がその莫大な天然保護物質を動員して移植臓器の外来蛋白質を拒絶しないようにすることにより作用する。シクロスポリンAは重症乾癬の治療に認可されており、ヨーロッパ監督官庁からアトピー性皮膚炎の治療に認可されている。
【0006】
シクロスポリンAとFK−506は移植拒絶反応の遅延又は抑制に有効であるが、尿毒性、神経毒性、及び胃腸の不快感等の重度副作用を起こすことが知られている。従って、これらの副作用のない免疫抑制剤はまだ開発されておらず、そのような免疫抑制剤が非常に望ましい。
【0007】
免疫抑制化合物FTY720は現在臨床試験中のリンパ球移行剤である。FTY720は哺乳動物で代謝され、スフィンゴシン1−リン酸受容体の強力なアゴニストである化合物となる。スフィンゴシン1−リン酸受容体は白血病トラフィッキングを調節し、リンパ節とパイエル板へのリンパ球(T細胞及びB細胞)の移行を誘導し、脾臓構造を撹乱することにより、T細胞依存性及び非依存性抗体応答を妨害する。このような免疫抑制は臓器移植後の拒絶反応の防止と自己免疫疾患の治療に望ましい。
【0008】
スフィンゴシン1−リン酸は造血細胞により分泌され、保存され、活性化血小板から放出される生体活性スフィンゴ脂質代謝産物である。Yatomi,Y.,T.Ohmori,G.Rile,F.Kazama,H.Okamoto,T.Sano,K.Satoh,S.Kume,G.Tigyi,Y.Igarashi,and Y.Ozaki.2000.Blood.96:3431−8。この物質はG蛋白質結合受容体ファミリーにアゴニストとして作用し、細胞増殖、分化、生存、及び運動を調節する。Fukushima,N.,I.Ishii,J.J.A.Contos,J.A.Weiner,and J.Chun.2001.Lysophospholipid receptors.Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.41:507−34;Hla,T.,M.−J.Lee,N.Ancellin,J.H.Paik,and M.J.Kluk.2001.Lysophospholipids−Receptor revelations.Science.294:1875−1878;Spiegel,S.,and S.Milstien.2000.Functions of a new family of sphingosine 1−phosphate receptors.Biochim.Biophys.Acta.1484:107−16;Pyne,S.,and N.Pyne.2000.Sphingosine 1−phosphate signalling via the endothelial differentiation gene family of G−protein coupled receptors.Pharm.& Therapeutics.88:115−131。広範な細胞及び組織分布をもち、ヒトと齧歯類で良好に保存された5種のスフィンゴシン1−リン酸受容体(S1P,S1P,S1P,S1P,及びS1P,別称内皮細胞分化遺伝子Edg1,Edg5,Edg3,Edg6,Edg8)が同定されている(表参照)。S1P受容体と結合すると、Gq、Gi/o、G12、G13、及びRho依存性経路を介してシグナル伝達が誘発される。リガンドに誘導されたS1PとS1Pの活性化はRac−及びRho−を介して血管新生、走化性、及び接着結合会合を促進することが知られており(Lee,M.−J.,S.Thangada,K.P.Claffey,N.Ancellin,C.H.Liu,M.Kluk,M.Volpi,R.I.Sha’afi,and T.Hla.1999.Cell.99:301−12参照)、S1Pのアゴニストは神経突起退縮を促進し(Van Brocklyn,J.R.,Z.Tu,L.C.Edsall,R.R.Schmidt,and S.Spiegel.1999.J.Biol.Chem.274:4626−4632参照)、Rac活性化を阻止することにより走化性を阻害することが知られている(Okamoto,H.,N.Takuwa,T.Yokomizo,N.Sugimoto,S.Sakurada,H.Shigematsu,and Y.Takuwa.2000.Mol.Cell.Biol.20:9247−9261参照)。S1Pは造血細胞及び組織に局在しており(Graeler,M.H.,G.Bernhardt,and M.Lipp.1999.Curr.Top.Microbiol.Immunol.246:131−6参照)、S1Pは主に神経受容体であり、リンパ組織でも多少発現される(Im,D.S.,C.E.Heise,N.Ancellin,B.F.O’Dowd,G.J.Shei,R.P.Heavens,M.R.Rigby,T.Hla,S.Mandala,G.McAllister,S.R.George,and K.R.Lynch.2000.J.Biol.Chem.275:14281−6参照)。
【0009】
スフィンゴシン1−リン酸を動物に投与すると、二次リンパ器官への末梢血リンパ球の全身移行を誘導するので、治療上有用な免疫抑制が得られる(Mandala,S.,R.Hajdu,J.Bergstrom,E.Quackenbush,J.Xie,J.Milligan,R.Thornton,G.−J.Shei,D.Card,C.Keohane,M.Rosenbach,J.Hale,C.L.Lynch,K.Rupprecht,W.Parsons,H.Rosen.2002.Science.296:346−349参照)。しかし、スフィンゴシン1−リン酸は心臓血管及び気管支収縮作用もあるので、治療剤としての用途が限られている。スフィンゴシン1−リン酸の静脈内投与はラットで心拍数、心室収縮及び血圧を低下させる(Sugiyama,A.,N.N.Aye,Y.Yatomi,Y.Ozaki,and K.Hashimoto.2000.Jpn.J.Pharmacol.82:338−342参照)。ヒト気道平滑筋細胞において、スフィンゴシン1−リン酸は収縮、細胞増殖及びサイトカイン産生を調節し、喘息で気管支収縮、気道炎症及びリモデリングを促進する(Ammit,A.J.,A.T.Hastie,L.C.Edsall,R.K.Hoffman,Y.Amrani,V.P.Krymskaya,S.A.Kane,S.P.Peters,R.B.Penn,S.Spiegel,R.A.Panettieri.Jr.2001,FASEB J.15:1212−1214参照)。スフィンゴシン1−リン酸の望ましくない作用は全S1P受容体に非選択的で強力なアゴニスト活性に関係がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はS1P/Edg3受容体に比較して選択性をもつS1P/Edg1受容体のアゴニストである化合物に関する。S1P/Edg1受容体選択的アゴニストは現行治療にまさる利点があり、リンパ球移行剤の治療枠を広げ、より高用量で良好な寛容性が得られるため、単独療法としての効力が改善される。
【0011】
免疫抑制剤は主に骨髄、臓器及び移植拒絶反応の治療に使用されるが、このような化合物は関節炎、特にリウマチ様関節炎、インスリン依存性及び非インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、紅斑性狼瘡等の治療にも使用される。 従って、本発明は従来の化合物よりも安全で有効な免疫抑制化合物を提供することを主目的とする。以上の目的及び他の目的は本明細書の記載から当業者に自明である。
【0012】
【表1】

【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は式I:
【0014】
【化14】

の化合物とその医薬的に許容可能な塩及び水和物に関する。前記化合物は骨髄、臓器及び組織移植拒絶反応等の自己免疫疾患及び障害の治療に有用である。医薬組成物と使用方法も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は式I:
【0016】
【化15】

{式中、
mは0又は1であり;
pは1、2又は3であり;
Gは−C(R−、−O−、−S(O)−(式中、kは0、1又は2である)、及び−N(R)−から構成される群から選択され;
Aは−COH、−PO、−POH、−SOH、−PO(C1−3アルキル)OH及び1H−テトラゾール−5−イルから構成される群から選択され;
各Rは水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−5アルコキシから構成される群から独立して選択され、各C1−6アルキル及びC1−5アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから構成される群から独立して選択される置換基で置換されており;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−5アルコキシから構成される群から選択され、前記C1−6アルキル及びC1−5アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから構成される群から独立して選択される置換基で置換されており;
は水素及びC1−4アルキルから構成される群から選択され、前記C1−4アルキルは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されているか;
又はRとRは一緒になって下記4、5又は6員単環:
【0017】
【化16】

を形成してもよく;
各Rは水素及びC1−4アルキルから構成される群から独立して選択され、前記C1−4アルキルは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロで置換されており;
各Rはハロ、C1−4アルキル及びC1−3アルコキシから構成される群から独立して選択され、前記C1−4アルキル及びC1−3アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロで置換されており;
Zは、
(1)C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル又は−CHOH−C1−6アルキル[前記C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル及び−CHOH−C1−6アルキルは場合によりフェニル及びC3−6シクロアルキルで置換されている]、及び
(2)各々場合により
(a)ハロ、
(b)場合によりハロ及びC1−4アルキル(前記C1−4アルキルは場合により1〜3個のハロ基で置換されている)から構成される群から独立して選択される1〜5個の基で置換されたフェニル、及び
(c)C1−4アルキル又はC1−4アルコキシ(前記C1−4アルキル及びC1−4アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されている)
から構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル又はHETから構成される群から選択されるか、
又はZは存在せず;
Zが存在しない場合には、Xはフェニル、C5−16アルキル、C5−16アルケニル、C5−16アルキニル、−CHOH−C4−15アルキル、−CHOH−C4−15アルケニル、−CHOH−C4−15アルキニル、C4−15アルコキシ、−O−C4−15アルケニル、−O−C4−15アルキニル、C4−15アルキルチオ、−S−C4−15アルケニル、−S−C4−15アルキニル、−CH−C3−14アルコキシ、−CH−O−C3−14アルケニル、−CH−O−C3−14アルキニル、−(C=O)−C4−15アルキル、−(C=O)−C4−15アルケニル、−(C=O)−C4−15アルキニル、−(C=O)−O−C3−14アルキル、−(C=O)−O−C3−14アルケニル、−(C=O)−O−C3−14アルキニル、−(C=O)−N(R)(R)−C3−14アルキル、−(C=O)−N(R)(R)−C3−14アルケニル、−(C=O)−N(R)(R)−C3−14アルキニル、−N(R)(R)−(C=O)−C3−14アルキル、−N(R)(R)−(C=O)−C3−14アルケニル及び−N(R)(R)−(C=O)−C3−14アルキニルから構成される群から選択され、
Zが場合により上記のように置換されたフェニル又はHETである場合には、Xは−C1−6アルキル−、−O−C1−5アルキル−、−(C=O)−C1−5アルキル−、−(C=O)−O−C1−4アルキル−、−(C=O)−N(R)(R)−C1−4アルキル−、
【0018】
【化17】

フェニル及びHETから構成される群から選択され、前記フェニル及びHETは各々場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されており、Xが−C1−6アルキル−、−O−C1−5アルキル−、−(C=O)−C1−5アルキル−、−(C=O)−O−C1−4アルキル−、−(C=O)−N(R)(R)−C1−4アルキル−、又は
【0019】
【化18】

である場合には、Z基の結合点はアルキル上にあり、
Zが場合により上記のように置換されたC1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル又は−CHOH−C1−6アルキルである場合には、Xはフェニルであり、前記フェニルは場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されており;
及びRは水素、C1−9アルキル及び−(CH−フェニル(式中、pは1〜5であり、フェニルは場合により各々場合により1〜3個のハロ基で置換されたC1−3アルキル及びC1−3アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)から構成される群から独立して選択され;
HET及びHETはベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニルから構成される群から各々独立して選択される}により表される化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩もしくは水和物に関する。
【0020】
本発明の別の態様はpが1である式Iの化合物に関する。
【0021】
本発明の別の態様は、
Zが各々場合により
(a)ハロ、
(b)場合によりハロ及びC1−4アルキル(前記C1−4アルキルは場合により1〜3個のハロ基で置換されている)から構成される群から独立して選択される1〜5個の基で置換されたフェニル、及び
(c)C1−4アルキル又はC1−4アルコキシ(前記C1−4アルキル及びC1−4アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されている)
から構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル又はHETであるか、
又はZは存在せず;
Zが存在しない場合には、XはC7−12アルキル、C7−12アルケニル、C7−12アルキニル、C6−11アルコキシ、−O−C6−11アルケニル、−O−C6−11アルキニル、−(C=O)−C6−11アルキル、−(C=O)−C6−11アルケニル、−(C=O)−C6−11アルキニル、−(C=O)−O−C5−10アルキル、−(C=O)−O−C5−19アルケニル、及び−(C=O)−O−C5−10アルキニルから構成される群から選択され;
Zが場合により上記のように置換されたフェニル又はHETである場合には、Xは−C1−5アルキル−、−C1−4アルコキシ−、−(C=O)−C1−4アルキル−、−(C=O)−O−C1−3アルキル−、フェニル及びHETから構成される群から選択され、Xが−C1−4アルコキシ−、−(C=O)−C1−5アルキル−、又は−(C=O)−O−C1−4アルキル−である場合には、Z基の結合点はアルキル上にある式Iの化合物に関する。
【0022】
本発明の別の態様はHET及びHET
【0023】
【化19】

(式中、Rは水素、ヒドロキシ及びハロから選択される)から構成される群から独立して選択される式Iの化合物に関する。
【0024】
本発明の別の態様はmが0である式Iの化合物に関する。
【0025】
本発明の別の態様はmが1である式Iの化合物に関する。
【0026】
本発明の別の態様はがC7−12アルキル、C7−12アルケニル、C7−12アルキニル、C6−11アルコキシ、−O−C6−11アルケニル、−O−C6−11アルキニル、−(C=O)−C6−11アルキル、−(C=O)−C6−11アルケニル、−(C=O)−C6−11アルキニル、−(C=O)−O−C5−10アルキル、−(C=O)−O−C5−19アルケニル、及び−(C=O)−O−C5−10アルキニルから構成される群から選択され、Zが存在しない式Iの化合物に関する。
【0027】
本発明の別の態様はXがメトキシであり、Zがフェニル及びC1−4アルキルで置換されたHETであり、前記C1−4アルキルが場合により1〜3個のハロ基で置換されており、前記フェニルが場合によりハロ及び場合により1〜3個のハロ基で置換されたC1−4アルキルから構成される群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている式Iの化合物に関する。この態様にはZが
【0028】
【化20】

から構成される群から選択され、
Zがフェニル及びC1−4アルキルで置換されており、前記C1−4アルキルが場合により1〜3個のハロ基で置換されており、前記フェニルが場合によりハロ及び場合により1〜3個のハロ基で置換されたC1−4アルキルから構成される群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている式Iの化合物が含まれる。
【0029】
本発明の別の態様はXが場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたHETであり、
Zが各々場合により
(a)ハロ、
(b)場合によりハロ及びC1−4アルキル(前記C1−4アルキルは場合により1〜3個のハロ基で置換されている)から構成される群から独立して選択される1〜5個の基で置換されたフェニル、及び
(c)C1−4アルキル又はC1−4アルコキシ(前記C1−4アルキル及びC1−4アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されている)
から構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル又はHETである式Iの化合物に関する。
【0030】
本発明のこの態様には、Xが1,2,4−オキサジアゾールである式Iの化合物が含まれる。本発明のこの態様には、Xが1,2,4−オキサジアゾールであり、Zが場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルである式Iの化合物も含まれる。
【0031】
本発明の別の態様は、
ZがC1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル又は−CHOH−C1−6アルキルであり、前記C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル及び−CHOH−C1−6アルキルが場合によりフェニル及びC3−6シクロアルキルで置換されており、
Xがフェニルであり、前記フェニルが場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている式Iの化合物に関する。
【0032】
本発明の別の態様はGが−CH−である式Iの化合物に関する。本発明のこの態様には、m=0であり、Aが−COHである式Iの化合物が含まれる。
【0033】
本発明の別の態様はRとRが結合して環を形成しない式Iの化合物に関する。
【0034】
本発明の別の態様はRとRが結合して下記4員単環:
【0035】
【化21】

を形成する式Iの化合物に関する。
【0036】
本発明の別の態様はRとRが結合して下記5員単環:
【0037】
【化22】

を形成する式Iの化合物に関する。
【0038】
本発明の別の態様はRとRが結合して下記6員単環:
【0039】
【化23】

を形成する式Iの化合物に関する。
【0040】
本発明の別の態様は式II:
【0041】
【化24】

(式中、nは0又は1であり、他の全変数は上記に定義した通りである)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩もしくは水和物に関する。
【0042】
本発明の別の態様はnが0であり、−X−Zが下記の群
【0043】
【化25】

から選択される式IIの化合物に関する。
【0044】
本発明の別の態様は式III:
【0045】
【化26】

(式中、nは0又は1であり、Yは水素又は結合であり、R10はC1−4アルキルであり、各Rは独立してハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシであり、他の全変数は上記に定義した通りである)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩もしくは水和物に関する。
【0046】
本発明の別の態様は
(1)(RS)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸又はその医薬的に許容可能な塩、
(2)(R)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸又はその医薬的に許容可能な塩、及び
(3)(S)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸又はその医薬的に許容可能な塩から選択される式IIIの化合物に関する。
【0047】
本発明は治療を必要とする哺乳動物患者における免疫調節異常の治療方法として、前記免疫調節異常を治療するために有効な量の式Iの化合物を前記患者に投与することを含む方法にも関する。
【0048】
この態様には、免疫調節異常が全身性紅斑性狼瘡、慢性リウマチ様関節炎、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、ウェグナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス病及び喘息から構成される群から選択される自己免疫性又は慢性炎症性疾患である上記方法が含まれる。
【0049】
この態様には、免疫調節異常が骨髄もしくは臓器移植拒絶反応又は移植片対宿主疾患である上記方法も含まれる。
【0050】
この態様には、免疫調節異常が臓器又は組織移植、移植により誘発される移植片対宿主疾患、自己免疫性疾患としてリウマチ様関節炎、全身性紅斑性狼瘡、橋本病、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、リウマチ熱や感染後糸球体腎炎等の感染後自己免疫疾患、炎症性及び過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、紅斑性狼瘡、座瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼類天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス病、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性又は難治喘息、遅発型喘息及び気道過剰反応、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患及び血栓症に起因する血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸傷害、腹腔疾患、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、偏頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエル病、多発性神経炎、単発性神経炎、神経炎根症、甲状腺機能亢進症、バセドー病、赤血球癆、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、顆粒球減少症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、骨粗鬆症、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光線アレルギー過敏症、皮膚T細胞性リンパ腫、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎、心筋症、強皮症、ウェグナー肉芽腫症、ショーグレン症候群、脂肪過多症、好酸球性筋膜炎、歯肉、歯周組織、歯槽骨、歯のセメント質の傷害、糸球体腎炎、脱毛を防止又は発毛を育成及び/又は発毛及び毛髪成長を促進することにより男性型脱毛症又は老年性脱毛症、筋ジストロフィー、膿皮症及びセザリー症候群、アジソン病、予防接種・移植又は虚血性疾患後に生じる臓器の虚血−再潅流傷害、内毒素性ショック、偽膜性大腸炎、薬物又は放射線に起因する大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺−酸素又は薬物に起因する中毒症、肺癌、肺気腫、白内障、鉄沈着症、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症、硝子体瘢痕、角膜アルカリ外傷、多形紅斑性皮膚症、線状IgA水疱性皮膚症及びセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周病、敗血症、膵炎、環境汚染・加齢・発癌・癌転移及び高山病に起因する疾患、ヒスタミン又はロイコトリエン−C放出に起因する疾患、ベーチェット病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、部分肝切除、急性肝壊死、毒素・ウイルス性肝炎・ショック又は無酸素症に起因する壊死、B型ウイルス肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変、肝不全、劇症肝不全、遅発性肝不全、「慢性型急性増悪(acute−on−chronic)」肝不全、化学療法効果の増加、サイトメガロウイルス感染、HCMV感染、AIDS、癌、老人性痴呆症、外傷、及び慢性細菌感染から構成される群から選択される上記方法も含まれる。
【0051】
この態様には、免疫調節異常が多発性硬化症である上記方法も含まれる。
【0052】
この態様には、免疫調節異常がリウマチ様関節炎である上記方法も含まれる。
【0053】
この態様には、免疫調節異常が全身性紅斑性狼瘡である上記方法も含まれる。
【0054】
この態様には、免疫調節異常が乾癬である上記方法も含まれる。
【0055】
この態様には、免疫調節異常が移植臓器又は組織の拒絶反応である上記方法も含まれる。
【0056】
この態様には、免疫調節異常が炎症性腸疾患である上記方法も含まれる。
【0057】
この態様には、免疫調節異常が急性及び慢性リンパ性白血病及びリンパ腫等のリンパ系由来悪性腫瘍である上記方法も含まれる。
【0058】
この態様には、免疫調節異常がインスリン依存性及び非インスリン依存性糖尿病である上記方法も含まれる。
【0059】
本発明は免疫抑制を必要とする哺乳動物患者における免疫系の抑制方法として、免疫抑制に有効な量の式Iの化合物を前記患者に投与することを含む方法にも関する。
【0060】
本発明は医薬的に式Iの化合物と許容可能なキャリヤーから構成される医薬組成物にも関する。
【0061】
本発明は治療を必要とする哺乳動物患者における呼吸器疾患又は障害の治療方法として、前記呼吸器疾患又は障害を治療するために有効な量の式Iの化合物を前記患者に投与する方法にも関する。この態様には、呼吸器疾患又は障害が喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、乳児呼吸窮迫症候群、咳、好酸球性肉芽腫、呼吸器合胞体ウイルス性細気管支炎、気管支炎拡張症、特発性肺線維症、急性肺傷害及び器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎から構成される群から選択される上記方法が含まれる。
【0062】
この態様には、患者が呼吸器疾患又は障害を併発している上記方法も含まれる。
【0063】
この態様には、患者が心臓血管疾患又は障害を併発している上記方法も含まれる。本発明の例証は下記化合物である。
【0064】
【表2】





【0065】
特に指定しない限り、本発明は以下の定義を使用して記載する。
【0066】
本明細書中の式に窒素原子が存在する場合には、当然のことながら窒素原子の原子価を満足するために十分な水素原子又は置換基が存在する。
【0067】
「ハロゲン」又は「ハロ」なる用語はF、Cl、Br、及びIを含む。
【0068】
「アルキル」なる用語は指定炭素原子数の直鎖又は分枝鎖構造とその組み合わせを意味する。従って、例えばC1−6アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、s−ブチル、t−ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,1−ジメチルエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0069】
「アルコキシ」なる用語は指定炭素原子数の直鎖、分枝鎖又は環状構造のアルコキシ基を意味する。C1−6アルコキシとしては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
【0070】
「アルキルチオ」なる用語は直鎖、分枝鎖又は環状構造の指定炭素原子数のアルキルチオ基を意味する。C1−6アルキルチオとしては、例えばメチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ等が挙げられる。
【0071】
「アルケニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合をもち、水素が付加的な炭素−炭素二重結合で置換されていてもよい指定炭素原子数の直鎖又は分枝鎖構造とその組み合わせを意味する。C2−6アルケニルとしては、例えば、エテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニル等が挙げられる。
【0072】
「アルキニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素三重結合をもつ指定炭素原子数の直鎖又は分枝鎖構造とその組み合わせを意味する。C3−6アルキニルとしては、例えば、プロピニル、1−メチルエチニル、ブチニル等が挙げられる。
【0073】
「シクロアルキル」なる用語は場合により直鎖又は分枝鎖構造と組み合わされた指定炭素原子数の単環、二環又は三環構造を意味する。シクロアルキル基の例としてはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシル等が挙げられる。
【0074】
「アリール」なる用語は単環又は二環芳香族環系として定義され、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0075】
「アラルキル」なる用語はアルキルハロゲン原子の1個を上記に定義したアリール基で置換した炭素原子数1〜6の上記に定義したアルキル基(例えばベンジル等)を意味する。
【0076】
「アリールオキシ」なる用語は酸素原子を介して分子と結合した上記に定義したアリール基(アリール−O)を意味し、例えば、フェノキシ、ナフトキシ等が挙げられる。
【0077】
「アラルコキシ」なる用語は酸素原子を介して分子と結合した上記に定義したアラルキル基(アラルキル−O)を意味し、例えば、ベンジルオキシ等が挙げられる。
【0078】
「アリールチオ」なる用語は硫黄原子を介して分子と結合した上記に定義したアリール基(アリール−S)を意味し、例えば、チオフェニルオキシ、チオナフトキシ等が挙げられる。
【0079】
「アロイル」なる用語はカルボニル基を介して分子と結合した上記に定義したアリール基(アリール−C(O)−)を意味し、例えば、ベンゾイル、ナフトイル等が挙げられる。
【0080】
「アロイルオキシ」なる用語は酸素原子を介して分子と結合した上記に定義したアロイル基(アロイル−O)を意味し、例えば、ベンゾイルオキシ又はベンゾキシ、ナフトイル等が挙げられる。
【0081】
「治療」なる用語は疾患又は障害の徴候及び症状から患者を回復させるために患者を治療することだけでなく、疾患又は障害の発生又は進行を予防するために無症候患者を予防処置することも意味する。「治療に有効な量」とは研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められる組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する薬剤の量を意味する。この用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められる組織、系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的イベントの発生の危険を防止又は低減する薬剤の量も意味する。
【0082】
本明細書に記載する本発明は医薬的に許容可能な塩及び水和物を含む。医薬的に許容可能な塩は金属(無機)塩と有機塩の両者を含み、そのリストはRemington’s Pharmaceutical Sciences,17th Edition,pg.1418(1985)に記載されている。物理的及び化学的安定性、流動性、含水度並びに溶解度に基づいて適切な塩形態を選択することは当業者に周知である。当業者の自明の通り、医薬的に許容可能な塩としては限定されないが、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩及び硝酸塩等の無機酸塩又はリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、琥珀酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩ないしパモ酸塩、サリチル酸塩及びステアリン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。同様に、医薬的に許容可能なカチオンとしては限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウム(特に第二級アミンとのアンモニウム塩)が挙げられる。上記理由で好ましい本発明の塩としてはカリウム、ナトリウム、カルシウム及びアンモニウム塩が挙げられる。式Iの化合物の結晶形、水和物及び溶媒和物も本発明の範囲に含まれる。
【0083】
本明細書の目的では、「医薬的に許容可能な水和物」とは水和形を形成するために1個以上の水分子で結晶化した本発明の化合物を意味する。
【0084】
本発明は1種以上の立体異性体形態、実質的に純粋な形態又は立体異性体の混合物の形態の式Iの化合物を含む。このような全異性体が本発明に含まれる。
【0085】
そのS1P/Edg1アゴニスト活性により、本発明の化合物は自己免疫性又は慢性炎症性疾患の治療又は予防に有用な免疫調節剤である。本発明の化合物は骨髄、臓器又は移植拒絶反応のように免疫抑制が正常な場合と、全身性紅斑性狼瘡、慢性リウマチ様関節炎、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、ウェグナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス病及び喘息等の自己免疫性及び慢性炎症性疾患で免疫系を抑制するために有用である。
【0086】
特に、本発明の化合物は臓器又は組織移植、移植により誘発される移植片対宿主疾患、リウマチ様関節炎、自己免疫性疾患として全身性紅斑性狼瘡、橋本病、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、リウマチ熱や感染後糸球体腎炎等の感染後自己免疫疾患、炎症性及び過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、紅斑性狼瘡、座瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に関連するブドウ膜症、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼類天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス病、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性又は難治喘息、遅発型喘息及び気道過剰反応、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患及び血栓症に起因する血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸傷害、腹腔疾患、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、偏頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエル病、多発性神経炎、単発性神経炎、神経炎根症、甲状腺機能亢進症、バセドー病、赤血球癆、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、顆粒球減少症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、骨粗鬆症、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光線アレルギー過敏症、皮膚T細胞性リンパ腫、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎、心筋症、強皮症、ウェグナー肉芽腫症、ショーグレン症候群、脂肪過多症、好酸球性筋膜炎、歯肉、歯周組織、歯槽骨、歯のセメント質の傷害、糸球体腎炎、脱毛を防止又は発毛を育成及び/又は発毛及び毛髪成長を促進することにより男性型脱毛症又は老年性脱毛症、筋ジストロフィー、膿皮症及びセザリー症候群、アジソン病、予防接種・移植又は虚血性疾患後に生じる臓器の虚血−再潅流傷害、内毒素性ショック、偽膜性大腸炎、薬物又は放射線に起因する大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺−酸素又は薬物に起因する中毒症、肺癌、肺気腫、白内障、鉄沈着症、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症、硝子体瘢痕、角膜アルカリ外傷、多形紅斑性皮膚症、線状IgA水疱性皮膚症及びセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周病、敗血症、膵炎、環境汚染・加齢・発癌・癌転移及び高山病に起因する疾患、ヒスタミン又はロイコトリエン−C放出に起因する疾患、ベーチェット病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、部分肝切除、急性肝壊死、毒素・ウイルス性肝炎・ショック又は無酸素症に起因する壊死、B型ウイルス肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変、肝不全、劇症肝不全、遅発性肝不全、「慢性型急性増悪(acute−on−chronic)」肝不全、化学療法効果の増加、サイトメガロウイルス感染、HCMV感染、AIDS、癌、老人性痴呆症、外傷、及び慢性細菌感染から構成される群から選択される疾患又は障害を治療又は予防するために有用である。
【0087】
本発明の化合物はアルツハイマー病を治療又は予防するためにも有用である。
【0088】
予防又は治療を必要とする哺乳動物患者における臓器又は組織の移植抵抗性又は移植拒絶反応の予防又は治療方法として、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法も本発明に含まれる。
【0089】
更に別の態様は免疫抑制を必要とする哺乳動物患者における免疫系の抑制方法として、免疫抑制量の式Iの化合物を前記患者に投与することを含む方法である。
【0090】
特に、本明細書に記載する方法は骨髄又は臓器移植拒絶反応の治療又は予防方法として、治療又は予防を必要とする哺乳動物患者に骨髄又は臓器移植拒絶反応を治療又は予防するために有効な量の式Iの化合物又は医薬的に許容可能なその塩もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0091】
本発明の化合物は喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、乳児呼吸窮迫症候群、咳、好酸球性肉芽腫、呼吸器合胞体ウイルス性細気管支炎、気管支炎拡張症、特発性肺線維症、急性肺傷害及び器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎等の呼吸器疾患又は障害の治療にも有用である。
【0092】
更に、本発明の化合物はS1P/Edg3受容体に比較して選択性をもつS1P/Edg1受容体の選択的アゴニストである。Edg1選択的アゴニストは現行治療にまさる利点があり、リンパ球移行剤の治療枠を広げ、より高用量で良好な寛容性が得られるため、単独療法としての効力が改善される。
【0093】
本発明は医薬的に許容可能なキャリヤーと式Iの化合物又は医薬的に許容可能なその塩もしくは水和物を含有する医薬製剤にも関する。好ましい医薬製剤の1例は第2の免疫抑制剤も含有する製剤である。このような第2の免疫抑制剤の例としては限定されないが、アザチオプリン、ブレキナーナトリウム、デオキシスパーガリン、ミゾリビン、ミコフェノール酸モルホリノエステル、シクロスポリン.FK−506、ラパマイシン、FTY720及びISAtx247(Isotechnika)が挙げられる。式Iの化合物を上記の1種以上等の第2の免疫抑制剤と併用投与する方法も本発明に含まれる。
【0094】
その塩と水和物を含めた本発明の化合物は骨髄移植、外来臓器移植拒絶反応及び/又は関連障害、疾患及び疾病の予防を含めた自己免疫疾患の治療に有用である。
【0095】
本発明の化合物は活性成分化合物を温血動物の体内の作用部位と接触させる任意手段により投与することができる。例えば、経口、局所(経皮、眼内、口腔、鼻腔内、吸入、膣内、直腸、槽内等)及び非経口投与することができる。本明細書で使用する「非経口」なる用語は皮下、静脈内、筋肉内、関節内注射又は輸液、胸骨内及び腹腔内等の投与方式を意味する。
【0096】
化合物は医薬と共に使用するのに利用可能な任意慣用手段により個々の治療剤として又は併用治療剤として投与することができる。化合物は単独で投与してもよいが、一般には選択した投与経路と標準医薬プラクティスに基づいて選択された医薬キャリヤーと共に投与する。
【0097】
投与用量はレシピエントの年齢、健康状態及び体重、疾患の程度、同時投与する場合にはその種類、投与頻度並びに所望される効果の種類によって異なる。一般に、活性成分化合物の1日用量は約0.1〜2000mg/日である。通常は、1〜100mg/日を1回又は2回以上に分けて投与すると所望結果を得るために有効である。これらの用量は自己免疫疾患の治療、外来臓器移植片拒絶反応及び/又は関連障害、疾患及び疾病の予防に有効な量である。
【0098】
活性成分はカプセル、錠剤、トローチ、ドラジェ、顆粒剤及び散剤等の固体剤形、又はエリキシル剤、シロップ、エマルション、分散液及び懸濁液等の液体剤形で経口投与することができる。活性成分は分散液、懸濁液又は溶液等の滅菌液体剤形で非経口投与することもできる。活性成分を投与するために使用可能な他の剤形としては局所投与用として軟膏、クリーム、滴剤、経皮パッチもしくは散剤、眼内投与用として眼科用溶液もしくは懸濁液(即ち点眼液)、吸入もしくは鼻腔内投与用としてエアゾールスプレーもしくは粉末組成物、又は直腸もしくは膣投与用としてクリーム、軟膏、スプレーもしくは座剤か挙げられる。
【0099】
ゼラチンカプセルは活性成分と粉末キャリヤー(例えばラクトース、澱粉、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等)を含む。同様の希釈剤を使用して圧縮錠を製造することができる。錠剤とカプセルの両者は数時間にわたって医薬を連続放出するように持続放出製剤として製造することができる。圧縮錠は不快な味を隠し、錠剤を環境から保護するために糖衣又はフィルムコーティングしてもよいし、胃腸管で選択的に崩壊するように腸溶コーティングしてもよい。
【0100】
経口投与用液体剤形には患者が受け入れ易いように着色剤とフレーバーを添加することができる。
【0101】
一般に、水、適当な油類、食塩水、水性デキストロース(グルコース)、及び関連糖溶液及びグリコール(例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコール)が非経口溶液に適したキャリヤーである。非経口投与用溶液は活性成分の水溶性塩と、適当な安定剤と、必要に応じて緩衝物質を含有することが好ましい。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸等の酸化防止剤の単独使用又は併用も適切な安定剤である。クエン酸とその塩及びナトリウムEDTAも使用される。更に、非経口溶液は塩化ベンズアルコニウム、メチル又はプロピルパラベン、及びクロロブタノール等の防腐剤を添加することができる。
【0102】
適切な医薬キャリヤーは本分野の標準参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolに記載されている。
【0103】
吸入投与では、本発明の化合物を加圧パック又はネブライザーからエアゾールスプレー形態で送達すると簡便である。製剤化可能な散剤として化合物を送達してもよいし、通気粉末吸入装置を使用して粉末組成物を吸入してもよい。吸入に好ましい送達システムは定量吸入(MDI)エアゾールであり、弗化水素や炭化水素等の適当な噴射剤中の式Iの化合物の懸濁液又は溶液として製剤化することができる。
【0104】
眼内投与では、眼の角膜及び内部領域に化合物を浸透させるために十分な時間にわたって化合物を眼球表面と接触維持するように、適当な眼科用ビークル中の式Iの化合物の適当な重量百分率溶液又は懸濁液で眼科用製剤を製剤化する。
【0105】
本発明の化合物の投与に有用な医薬剤形の例を以下に挙げる。
【0106】
カプセル
標準2ピースハードゼラチンカプセルに各々粉末活性成分100mg、ラクトース150mg、セルロース50mg、及びステアリン酸マグネシウム6mgを充填することにより多数の単位カプセルを製造する。
【0107】
ソフトゼラチンカプセル
大豆油、綿実油又はオリーブ油等の消化性油中の活性成分の混合物を製造し、容積型ポンプによりゼラチンに注入し、活性成分100mgを含有するソフトゼラチンカプセルを形成する。カプセルを洗浄し、乾燥する。
【0108】
錠剤
1錠当たり活性成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶質セルロース275mg、澱粉11mg及びラクトース98.8mgとなるように慣用方法により多数の錠剤を製造する。口当たりをよくするため又は吸収を遅らせるように適当なコーティングを付けてもよい。
【0109】
注射剤
活性成分1.5重量%をプロピレングリコール10容量%中で撹拌することにより注射投与に適した非経口組成物を製造する。溶液を注射用水で希釈し、滅菌する。
【0110】
懸濁液
5ml当たり微粉状活性成分100mg、ナトリウムカルボキシメチルセルロース100mg、安息香酸ナトリウム5mg、ソルビトール溶液(U.S.P.)1.0g、及びバニリン0.025mlを含有するように経口投与用水性懸濁液を製造する。
【0111】
本発明の化合物を段階的又は別の治療剤と併用投与する場合には、一般に同一剤形を使用することができる。薬剤を物理的に併用投与する場合には、併用する薬剤の相溶性に応じて剤形と投与経路を選択すべきである。従って、併用投与なる用語は2種の薬剤を同時又は順次又は2種の活性成分の固定用量併用剤として投与する場合を含む。
【0112】
合成方法
本発明で化合物Iを製造するために使用することができる2種類の一般方法をスキーム1に示す。相溶性溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトニトリル、塩化メチレン)中で適当な還元剤(例えばシアノホウ水素化ナトリウム、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム、ホウ水素化ナトリウム)の存在下にIIをケトンIIIと反応させると、構造Iの化合物が得られる。あるいは、室温以上にて相溶性溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトニトリル)中で適当な塩基例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下に中間体IIをハロゲン化物又はスルホン酸エステルIVと反応させ、構造Iの化合物を得ることもできる。構造式II中のAがIへの変換を妨げる場合には、Aを遮蔽し、III又はIVとのカップリング後にAを遊離させる適当な保護基(Greene & Wuts,eds.,”Protecting Groups in Organic Synthesis”,John Wiley & Sons,Inc.)を利用することができる。Iの個々の立体異性体は当業者に公知の方法により得ることができ、(限定されないが)立体特異的合成、Iの塩又は純エナンチオマー酸もしくは塩基によるその合成で使用される中間体の任意のものの分解、I又は純エナンチオマー固定相を使用するHPLCによるその合成で使用される中間体の任意のものの分解が挙げられる。
【0113】
【化27】

中間体IIは市販品(例えばR=Hであり、RとRが結合してアゼチジン環を形成し、m=0、A=カルボン酸であるアゼチジン−3−カルボン酸)でもよいし、公開方法に従って製造することもできる(例えばピロリジン−3−(R)−カルボン酸とピロリジン−3−(S)−カルボン酸の代表的合成はGmeiner,O.らによりSynthesis,1998,1491に記載されており、5−(3−アミノプロピル)−1H−テトラゾールの代表的合成はRival,Y.らによりSynthetic Communications,2000,1587に記載されている)。上記スキーム1で中間体IIとして使用することができる化合物を製造するために使用可能な数種の方法をスキーム2に示す。R=Hであり、RとRが結合してピロリジン環を形成し、m=0、A=5−テトラゾリルである場合には、適当な溶媒(例えば塩化メチレン、アセトニトリル)中で触媒量の酸(例えばトリフルオロ酢酸、リン酸)の存在下にアクリロニトリル(IV)をN−メトキシメチル−N−トリシリルメチルベンジルアミンと反応させると、構造式Vの化合物が得られる。VのN−ベンジル基をカルバミン酸ベンジルに変換した後にテトラゾール形成(例えば高温にて塩化アンモニウム、ナトリウムアジド、DMF;トリメチル錫アジド、トルエン、還流)し、次いで触媒水素化すると、VIが得られる。R=Hであり、RとRが結合してアゼチジン環を形成し、m=0、A=5−テトラゾリルである場合には、適当な溶媒(例えばジオキサン、塩化メチレン)中で塩基(例えば水酸化ナトリウム水溶液、トリエチルアミン)の存在下にアゼチジン−3−カルボン酸(VII)をクロロギ酸ベンジルと反応させ、当業者に公知の方法(Larock,”Comprehensive Organic Transformations,A Guide to Functional Group Preparations”,VCH Publishers,Inc.参照)を使用してカルボン酸をニトリルに変換すると、構造式VIIIの化合物が得られる。ニトリルをテトラゾールに変換(例えばトリメチルシリルアジド、ジブチル錫オキサイド、トルエン、還流)した後に触媒水素化すると、IXが得られる。
【0114】
【化28】

【0115】
上記スキーム1で中間体IIIとして使用することができる化合物を製造するために使用可能な数種の方法をスキーム3に示す。R=H、R=アルキル又はハロ、D=−CH−、Y=−O−及びp=1である場合には、高温にて適当な溶媒(例えば塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン)中で適当なルイス酸(例えば三塩化アルミニウム、三弗化ホウ素)の存在下に適当に置換されたアニソール(X)を塩化3−クロロプロピオニルと反応させた後に高温にてプロトン酸(例えば硫酸)で処理すると、構造式XIの化合物が得られる。適当な溶媒(例えば塩化メチレン、アセトニトリル)中で適当なルイス酸(例えば三塩化アルミニウム、三臭化ホウ素、ヨウ化トリメチルシリル)を使用してメチルエーテルを分解すると、XIIが得られる。Z=アルキル又は置換アルキルである場合には、室温以上にて相溶性溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトニトリル)中で適当な塩基(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下にXIIIをアルキルハロゲン化物又はスルホン酸エステルと反応させると、構造式XIVの化合物が得られる。あるいは、適当な溶媒(THF、トルエン、塩化メチレン)中でXIIIをアルコール又は置換アルコール、アゾジカルボン酸ジアルキル(例えばアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル)及びトリフェニルホスフィンと反応させると、XIVが得られる。Yが1,2,4−オキサジアゾリルである場合には、適当な溶媒(例えばメタノール、エタノール)中でXV(Reich,S.ら,Journal of Medicinal Chemisty,2000,1670)を対応するアルコール(例えばホウ水素化ナトリウム)に還元した後に、室温以上にて適当な溶媒(例えばメタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド)中で中和塩基(例えばトリエチルアミン、重炭酸ナトリウム)の存在下にヒドロキシルアミンHClと反応させると、N−ヒドロキシアミジンXVIIが得られる。N−ヒドロキシアミジンXVIIを適当な溶媒(キシレン、トルエン)中でアミン塩基(ピリジン、DBU、トリエチルアミン)の存在下に加熱しながら酸塩化物で処理すると、中間体XVIIIが得られる。あるいは、XVIIを適当な溶媒(キシレン、トルエン、DMF、1,2−ジクロロエタン)中でカルボン酸、カルボジイミド(例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールで処理すると、XVIIIが得られる。いずれの方法で製造した場合にも、穏和な酸化(ジクロロメタン中−78℃にて塩化オキサリルとDMSOで処理した後にトリアルキルアミン塩基で処理し、加温する(Swern酸化)か又はジクロロメタン中にてデス・マーチンペルヨージナンで処理する)によりXVIIIのヒドロキシ基をケトンXIXに変換することができる。
【0116】
【化29】

【0117】
上記スキーム1で中間体IIIとして使用することができる化合物を製造するために使用可能な他の数種の方法をスキーム4に示す。Z=置換フェニルであり、Yが単結合である場合には、室温以上にて適当な溶媒(例えば1,4−ジオキサン、THF)中でパラジウム触媒(例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、2−ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル及び酢酸パラジウム)と適当な塩基(例えば炭酸カリウム、弗化カリウム)の存在下にXXを置換フェニルボロン酸(XXI)と反応させると、XXIIが得られる。Qが4−ベンジルオキシである場合には、ベンジル基を除去する(Pd/C,H,メタノール)と、中間体XXIIIが得られ、中間体XIIIからXIVへの変換について記載した手順を使用して中間体XXIVに変換することができる。
【0118】
【化30】

【0119】
本発明の化合物の製造方法を下記実施例に更に例証する。代替経路も当業者に自明である。
【0120】
概説
溶液の濃縮は減圧下にロータリーエバポレーターで実施した。シリカゲル(230〜400メッシュ)で慣用フラッシュクロマトグラフィーを実施した。指定サイズのプレパックカートリッジにシリカゲル(32〜63mM,60Å細孔径)を充填し、Biotage Flash Chromatography装置(Dyax Corp.)を使用してもフラッシュクロマトグラフィーを実施した。特に指定しない限り、NMRスペクトルはCDCl溶液中で測定した。カップリング定数(J)はヘルツ(Hz)で表す。略語はジエチルエーテル(エーテル)、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、飽和水溶液(飽和)、室温(rt)、時間(h)、分(min)である。
【0121】
HPLC法
HPLC A:YMC ODS A,5μ,4.6x50mmカラム,10:90→95:5v/vCHCN:HO+0.05%TFA勾配4.5分間の後、95:5v/vCHCN:HO+0.05%TFAに1.5分間維持;2.5mL/min,254nm。
【0122】
HPLC B:YMC−Pack ProC18,5μ,20mmx150mmカラム,10:90→80:20v/vCHCN:HO+0.1%TFA勾配23分間の後、100:0v/vCHCN:HO+0.1%TFAに7分間維持;20mL/min,254nm。
【0123】
インダノン中間体の製造
【0124】
インダノン1
5−オクチルオキシ−1−インダノン
5−ヒドロキシ−1−インダノン(1.00g,6.74mmol)、1−ヨードオクタン(1.34mL,7.42mmol)及び炭酸カリウム(1.40g,10.12mmol)の溶液を80℃のアセトニトリル中で一緒に撹拌した。3時間後に反応混合物を冷却し、シリカゲルに加え、15%酢酸エチル/ヘキサンで溶出させると、白色固体1.14gが得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.67(d,J=9.2Hz,1 H),6.88−6.90(m,2H),4.03(t,J=6.55Hz,2H),3.08(t,J=5.9Hz,2H),2.67(t,J=6.0Hz,2H),1.80(m,2H),1.42−1.50(m,2H),1.24−1.38(m,8H),0.89(t,J=7.0Hz,3H);ESI−MS 261.1(M+H)。
【0125】
インダノン2
5−((4−フェニル−5−トリフルオロメチル−2−チエニル)メトキシ)−1−インダノン
ステップA:(E/Z)−2−フェニル−3−クロロ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブタナール
オキシ塩化リン(7.5mL,80mmol)を0℃のDMF15mLに加えた。得られた混合物を室温まで加温し、1時間撹拌した。1,1,1−トリフルオロメチル−3−フェニル−2−プロパン5.0g(26.6mmol)のDMF(1mL)溶液を加え、得られた混合物を70℃で20時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、氷150gに注ぎ、周囲温度で1時間撹拌した。混合物をクエンチし、エーテル200mLで抽出した。抽出層を水200mLで洗浄し、乾燥し、濃縮した。ヘキサン(4L)を溶離液としてBiotage 40Mカートリッジでクロマトグラフィー精製すると、標記化合物5.1g(82%)が得られた。
【0126】
ステップB:(4−フェニル−5−トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボン酸エチル
初期温度を25℃に維持しながら水素化ナトリウム600mg(25mmol)のTHF(45mL)懸濁液にメルカプト酢酸エチル(2.75mL,25.0mmol)を加えた。(E/Z)−2−フェニル−3−クロロ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブタナール(ステップAから)5.10g(21.7mmol)の溶液を加え、得られた混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物に飽和NHCl50mLを加えてクエンチし、得られた混合物をエーテル250mLと水100mLに分配した。有機層を分離し、乾燥し、濃縮した。ヘキサン(1L)、次いで4:1v/vヘキサン/CHCl(1L)を溶離液としてBiotage 40Mカートリッジでクロマトグラフィー精製すると、標記化合物5.10g(78%)が得られた:H NMR(400MHz)δ1.40(t,J=7.2,3H),4.39(q,J=7.2,2H),7.42(app s,5H),7.74(q,J=1.6,1H)。
【0127】
ステップC:(4−フェニル−5−トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボン酸
4−フェニル−5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−カルボン酸エチル(ステップBから)5.10g(17.0mmol)のエタノール(20mL)溶液を5.0N NaOH10mLで処理し、室温で30分間撹拌した。エタノールを減圧除去した。残留水性混合物を1N HClでpH2まで酸性化した後、1:1v/v酢酸エチル/エーテル300mLで抽出した。抽出層を分離し、乾燥し、濃縮した。20:1v/vヘキサン/エーテル200mLから再結晶すると、標記化合物4.30g(93%)が得られた:H NMR(500MHz)δ7.43(app s,5H),7.84(app s,1H);13C NMR(CDCl,125MHz)δ121.7(q,J=269),128.5,128.6,128.8,132.5(q,J=36),133.3,133.8,137.5,144.8,167.0。
【0128】
ステップD:2−ヒドロキシメチル−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−チオフェン
4−フェニル−5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−カルボン酸(ステップCから)2.10g(7.7mmol)のTHF(20mL)溶液をTHF中2.0Mボランジメチルスルフィド錯体5.0mLで処理した。得られた溶液を3時間加熱還流し、室温まで冷却し、MeOH10mLを加えてクエンチし、濃縮した。9:1v/vヘキサン/酢酸エチルを溶離液としてBiotage 40Mカートリッジでクロマトグラフィー精製すると、標記化合物1.95g(98%)が得られた:H NMR(500MHz)δ2.05(app s,1H),4.87(s,2H),6.99(s,1H),7.41(app s,5H)。
【0129】
ステップE:5−((4−フェニル−5−トリフルオロメチル−2−チエニル)メトキシ)−1−インダノン
2−ヒドロキシメチル−4−フェニル−5−トリフルオロメチルチオフェン(ステップDから)0.25g(0.97mmol)、5−ヒドロキシ−1−インダノン0.17g(1.16mmol)及びトリフェニルホスフィン0.31g(0.16mmol)の0℃THF(2.5mL)溶液をアゾジカルボン酸ジエチル0.18mL(0.16mmol)で処理した。得られた混合物を室温まで加温し、2時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルにロードし、33%酢酸エチル/ヘキサンで溶出すると標記化合物0.35g(0.90mmol,78%)が白色固体として得られた:H NMR(500MHz)δ7.76(d,J=8.3Hz,1H),7.42−7.47(m,5H),7.14(s,1H),7.01−7.03(m,2H),5.34(s,2H),3.15(t,J=5.9Hz,2H),2.72(t,J=6.0Hz,2H);ESI−MS 388.9(M+H)。
【0130】
インダノン3
5−[(4−フェニル−5−トリフルオロメチル−2−チエニル)メトキシ]−6−メチル−1−インダノン
ステップA:5−ヒドロキシ−6−メチル−1−インダノン
塩化アルミニウム(3.0g,22.2mmol)とo−クレゾール(2.0g,18.5mmol)の塩化メチレン(10mL)懸濁液に撹拌下に塩化4−クロロブロピオニル(2.0mL,20.4mmol)を加えた。室温で一晩撹拌後にメタノールを加えた後に2N塩酸を加えて反応混合物をクエンチした。生成物を塩化メチレン(3x30mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮すると、無色油状物が得られた。この油状物を濃硫酸(10mL)で90℃にて1時間処理し、水(50mL)で希釈し、生成物を塩化メチレン(3x30mL)で抽出した。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。33%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物0.47gが得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.56(s,1H),6.81(s,1H),5.36(s,1H,OH),3.04(t,J=5.9Hz,2H),2.65(t,J=5.8Hz,2H),2.28(s,3H)。
【0131】
ステップB:5−[(4−フェニル−5−トリフルオロメチル−2−チエニル)メトキシ]−6−メチル−1−インダノン
5−ヒドロキシ−1−インダノンを5−ヒドロキシ−6−メチル−1−インダノン(ステップBから)に変えた以外はインダノン3,ステップEに記載した手順と同様の手順を使用して標記化合物を製造した:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.58(s,1H),7.40−7.45(m,5H),7.10(s,1H),6.92(s,1H),3.09(t,J=5.8Hz,2H),2.68(t,J=5.8Hz,2H),2.30(s,3H)。
【0132】
インダノン4
3−(1−オキソ−5−インダニル)−5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール
ステップA:5−シアノ−1−ヒドロキシインダン
5−シアノ−1−インダノン(3.40g,21.63mmol,Reich,S.H.ら,J.Med.Chem.,2000,43,1670−1683に従って製造)のメタノール(50mL)溶液をホウ水素化ナトリウム(0.25g,6.48mmol)で処理した。3時間撹拌後に反応混合物を塩化メチレン(50mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。水層を更に塩化メチレン(2x50mL)で抽出した。抽出層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。40%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物2.45g(15.40mmol,71%)が白色固体として得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.48−7.54(m,3H),5.25−5.29(m,1H),3.03−3.10(m,2H),2.81−2.89(m,2H),2.52−2.59(m,2H),1.94−2.01(m,2H);13C NMR(CDCl,125MHz)δ150.1,144.2,130.9,128.6,125.0,119.1,111.8,75.9,35.8,29.5。
【0133】
ステップB:N−ヒドロキシ(1−ヒドロキシ−5−インダニル)アミジン
5−シアノ−1−ヒドロキシインダン(2.45g,15.44mmol,ステップAから)、塩酸ヒドロキシルアミン(1.60g,23.17mmol)及び重炭酸ナトリウム(6.5g,77.04mmol)のメタノール(40mL)溶液を60℃まで加熱し、一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、濃縮すると、白色フォームが得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.54−7.62(m,3H),5.25(t,J=6.8Hz,1H),3.06−3.14(m,2H),2.86−2.94(m,2H),2.48−2.58(m,2H),1.94−2.02(m,2H)。
【0134】
ステップC:3−(1−オキソ−5−インダニル)−5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール
4−(2−メチルプロピル)安息香酸(2.74g,15.44mmol)、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(2.95g,15.44mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(2.08g,15.44mmol)のDMF(50mL)溶液を室温で30分間撹拌した。N−ヒドロキシ(1−ヒドロキシ−5−インタニル)アミジン(ステップBから)を加え、反応混合物をまず室温で1時間撹拌した後、80℃まで18時間加熱した。反応混合物を冷却し、水(100mL)で希釈し、生成物を塩化メチレン(2x100mL)で抽出した。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮すると、油状物が得られた。この油状物を塩化メチレン(30mL)に溶かし、デス・マーチンペルヨージナン(5g)を加えた。1時間撹拌後、2N NaOH(100mL)を反応混合物に加え、生成物を塩化メチレン(3x100mL)で抽出した。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。15%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物1.6g(4.48mmol)が黄色固体として得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ8.31(s,1H),8.20(d,J=8.0Hz,1H),8.13(d,J=8.2Hz,2H),7.88(d,J=8.0Hz,1H),7.34(d,J=8.3Hz,2H),3.25(t,J=6.0Hz,2H),2.77(t,J=6.0Hz,2H),2.58(d,J=7.1Hz,2H),1.90−1.98(m,1H),0.94(d,J=6.6Hz,6H);ESI−MS 333.1(M+H)。
【0135】
インダノン5
3−(1−オキソ−5−インダニル)−5−(4−シクロヘキシルフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール
ステップCの4−イソブチル安息香酸を4−シクロヘキシル安息香酸に変えた以外はインダノン4と同様の手順を使用して標記化合物を製造した:H NMR(500MHz,CDCl):δ8.31(s,1H),8.20(d,J=8.0Hz,1H),8.14(d,J=8.3Hz,2H),7.89(d,J=8.0Hz,1H),7.41(d,J=8.5Hz,2H),3.25(t,J=6.0Hz,2H),2.78(t,J=6.0Hz,2H),2.54−2.64(m,1H),1.22−1.98(m,10H);ESI−MS 359.1(M+H)。
【0136】
インダノン6
3−(1−オキソ−5−インダニル)−5−(4−フェニル−5−トリフルオロメチル−2−チエニル)−1,2,4−オキサジアゾール
ステップCの4−イソブチル安息香酸を4−フェニル−5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−カルボン酸(インダノン2,ステップCから)に変えた以外はインダノン4と同様の手順を使用して標記化合物を製造した:H NMR(500MHz,CDCl):δ8.30(s,1H),8.18(d,J=8.0Hz,1H),7.93(d,J=1.2Hz,1H),7.90(d,J=8.0Hz,1H),7.44−7.50(m,5H),3.29(t,J=6.0Hz,2H),2.82(t,J=6.0Hz,2H)。
【0137】
インダノン7
5−(4−(シクロヘキシルメトキシ)フェニル)−6−メチル−1−インダノン
ステップA:5−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−6−メチル−1−インダノン
5−ヒドロキシ−6−メチル−1−インダノン(1.69g,10.43mmol,インダノン3,ステップAから)と2,6−ルチジン(1.80mL,11.47mmol)の0℃塩化メチレン溶液に無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.90mL,11.47mmol)を加えた。30分後に反応混合物を2N塩酸(50mL)でクエンチし、生成物を塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。15%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、黄色固体(0.25g)が得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.70(s,1H),7.39(s,1H),3.16(t,J=6.0Hz,2H),2.74(t,J=6.0Hz,2H),2.42(s,3H);ESI−MS 295.0(M+H)。
【0138】
ステップB:5−(4−ベンジルオキシフェニル)−6−メチル−1−インダノン
5−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−6−メチル−1−インダノン(0.15g,0.51mmol,ステップAから)、4−ベンジルオキシフェニルボロン酸(0.17g,0.77mmol)、酢酸パラジウム(5.7mg,0.025mmol)、トリシクロシクロヘキシルホスフィン(8.6mg,0.030mmol)及び弗化カリウム(0.098g,1.68mmol)のテトラヒドロフラン(2.5mL)溶液を室温で撹拌した。5分後に反応混合物をシリカゲルにロードし、生成物を25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出すると黄色固体(0.20g)が得られた:ESI−MS 329.1(M+H)。
【0139】
ステップC:5−(4−(シクロヘキシルメトキシ)フェニル)−6−メチル−1−インダノン
1:1メタノール/酢酸エチル溶液(10mL)中の5−(4−ベンジルオキシフェニル)−6−メチル−1−インダノン(0.20g,ステップBから)と炭素担持パラジウム(0.10g,10%)の溶液を1気圧H下に室温で撹拌した。1時間後に反応混合物を濾過し、濃縮すると、黄色固体(0.094g)が得られた。この固体とブロモメチルシクロヘキサン(0.067g,0.78mmol)と炭酸カリウム(0.17g,1.18mmol)の溶液を50℃のアセトニトリル(5mL)中で撹拌した。24時間後に反応混合物を冷却し、シリカゲルにロードし、生成物を25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出すると、白色固体(0.035g)が得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.65(s,1H),7.31(s,1H),7.25(d,J=8.7Hz,2H),6.96(d,J=8.7Hz,2H),3.80(d,J=6.2Hz,2H),3.12(t,J=5.8Hz,2H),2.71(t,J=6.0Hz,2H),2.30(s,3H),1.68−1.92(m,6H),1.18−1.38(m,3H),1.04−1.13(m,2H);ESI−MS 335.5(M+H)。
【0140】
インダノン8
5−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−インダノン
4−ベンジルオキシフェニルボロン酸(0.15g,0.66mmol)、5−ブロモ−1−インダノン(0.10g,0.44mmol)、酢酸パラジウム(2.0mg,0.009mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(7.0mg,0.018mmol)及び弗化カリウム(0.077g,1.32mmol)のジオキサン(2.5mL)溶液を75℃で3時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過した。25%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると、所望生成物0.05gが得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.85(d,J=8.0Hz,1H),7.68(s,1H),7.62(t,3H),7.51(d,J=7.3Hz,2H),7.46(t,J=7.5Hz,2H),7.38−7.42(m,1H),7.13(d,J=8.7Hz,2H),5.18(s,2H),3.23(t,J=5.8Hz,2H),2.78(t,J=6.0Hz,2H)。
【0141】
インダノン9
5−(4−(シクロヘキシルメトキシ)フェニル)−1−インダノン
ステップA:5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−インダノン
インダノン8(0.13g,0.41mmol)をTHF(4mL)に溶かし、10%Pd/C(0.05g)を加えた。反応混合物を1気圧H下に16時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、15%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると、所望生成物52mgが得られた:H NMR(500MHz,CDCl):δ7.84(d,J=7.8Hz,1H),7.66(s,1H),7.55−7.62(m,3H),6.98(d,J−8.3Hz,2H),6.75(s,2H),3.22(s,2H),2.78(s,2H)。
【0142】
ステップB:5−(4−(シクロヘキシルメトキシ)フェニル)−1−インダノン
5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−インダノン(0.52g,0.23mmol,ステップAから)、ブロモメチルシクロヘキサン(0.53g,0.30mmol)及び炭酸カリウム(0.58g,0.42mmol)のアセトニトリル(2.5mL)溶液を80℃で16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水洗した。10%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、生成物0.29gが得られた。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.83(d,J=7.8Hz,1H),7.67(s,1H),7.60(d,J=8.3Hz,3H),7.03(d,J=8.2Hz,2H),3.85(s,2H),3.21(s,2H),2.78(s,2H),2.08(s,1H),1.90−1.98(m,2H),1.80−1.86(m,2H),1.20−1.42(m,4H),1.07−1.18(m,2H)。
【0143】
実施例の製造
【0144】
(実施例1)
(+/−)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸,トリフルオロ酢酸塩
インダノン4(0.050g,0.151mmol)、アゼチジン−3−カルボン酸(0.023g,0.226mmol)及びシアノホウ水素化ナトリウム(9.3mg,0.151mmol)の懸濁液を60℃のメタノール(1mL)中で加熱した。4時間後に溶液を冷却した。順相HPLC精製(HPLC B)により標記化合物(0.53g)を得た:H NMR(500MHz,CDOD)δ8.19(s,1H),8.13−8.15(m,3H),7.74(d,J=7.8Hz,1H),7.44(d,J=8.0Hz,2H),5.06(dd,J=2.5,7.8Hz,1H),4.52−4.60(m,2H),4.41−4.48(m,2H),3.71(m,1H),3.27(dt,J=8.15,16.7Hz,1H),3.13(ddd,J=3.7,9.2,16.7Hz,1H),2.56−2.66(m,3H),2.22−2.30(m,1H),1.92−2.00(m,1H),0.96(d,J=6.6Hz,6H);ESI−MS 418.1(M+H)。
【0145】
(実施例3−5)
以下の実施例はインダノン4を適当なインダノンに変えた以外は実施例1に記載した手順と同様の手順を使用して製造した。
【0146】
【表3】


【0147】
(実施例6−10)
以下の実施例はインダノン4をインダノン2に変え、アゼチジンカルボン酸を適当なアミノ酸に変えた以外は実施例1に記載した手順と同様の手順を使用して製造した。
【0148】
【表4】


【0149】
(実施例11−13)
以下の実施例はインダノン4を適当なインダノンに変えた以外は実施例1に記載した手順と同様の手順を使用して製造した。
【0150】
【表5】


【0151】
(実施例14−16)
以下の実施例はインダノン4を適当なインダノンに変え、アゼチジン−3−カルボン酸を適当なアミンに変えた以外は実施例1に記載した手順と同様の手順を使用して製造した。
【0152】
【表6】


【0153】
(実施例17)
(R又はS)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸,トリフルオロ酢酸塩
ステップA:(±)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル
インダノン4(1.00g,3.01mmol)、アゼチジン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(0.50g,3.31mmol)及びシアノホウ水素化ナトリウム(0.093g,1.50mmol)の懸濁液を60℃のメタノール(1mL)中で加熱した。18時間後に反応混合物を冷却し、得られた固体を濾取すると、生成物0.51gが白色固体として得られた。有機層を合わせて濃縮し、60%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると更に生成物0.6gが油状物として得られた:H NMR(500MHz,CDOD)δ8.11(d,J=8.3Hz,2H),8.4(s,1H),7.99(d,J=7.9Hz,1H),7.39(d,J=8.0Hz,1H),7.32(d,J=8.3Hz,2H),3.95(dd,J=3.7,6.9Hz,1H),3.72(s,3H),3.64(t,J=7.5Hz,1H),3.59(t,J=7.4Hz,1H),3.53(t,J=7.3Hz,1H),3.43(t,J=7.4Hz,1H),3.35(quint,J=7.8Hz,1H),3.12(dt,J=7.9,16.0Hz,1H),2.89(ddd,J=4.6,8.7,16.0,1H),2.57(d,J=7.4Hz,2H),2.12−2.20(m,1H),1.94−2.02(m,1H),1.93(m,1H),0.93(d,J=6.6Hz,6H);ESI−MS 432.2(M+H)。
【0154】
分取HPLC(Chiralcel OD 2x25cmカラム,98:2v/v n−ヘプタン/2−プロパノール,8mL/min,λ=254nm)を使用してエナンチオマーを分離した。エナンチオマー1,t=19.2分。エナンチオマー2,t=21.6分。
【0155】
ステップB:(R又はS)−1−{5−[5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}アゼチジン−3−カルボン酸TFA塩
1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル,エナンチオマー1(ステップAから,0.10g,0.23mmol)と水酸化ナトリウム(1N水溶液,0.6mL)をメタノール(1mL)中で60℃に加熱した。2時間後に反応混合物を冷却し、トリフルオロ酢酸で酸性化した。HPLC精製(HPLC B)により標記化合物が白色固体として得られた:H NMR(500MHz,CDOD)δ8.19(s,1H),8.13−8.15(m,3H),7.74(d,J=7.8Hz,1H),7.44(d,J=8.0Hz,2H),5.06(dd,J=2.5,7.8Hz,1H),4.52−4.60(m,2H),4.41−4.48(m,2H),3.71(m,1H),3.27(dt,J=8.15,16.7Hz,1H),3.13(ddd,J=3.7,9.2,16.7Hz,1H),2.56−2.66(m,3H),2.22−2.30(m,1H),1.92−2.0(m,1H),0.96(d,J=6.6Hz,6H);ESI−MS 418.1(M+H)。
【0156】
(実施例18)
(S又はR)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸,トリフルオロ酢酸塩
標記化合物は実施例17,ステップBに記載した手順と同様の手順を使用して1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル,エナンチオマー2(実施例17,ステップA)から製造した:H NMR(500MHz,CDOD)δ8.19(s,1H),8.13−8.15(m,3H),7.74(d,J=7.8Hz,1H),7.44(d,J=8.0Hz2H),5.06(dd,J=2.5,7.8Hz,1H),4.52−4.60(m,2H),4.41−4.48(m,2H),3.71(m,1H),3.27(dt,J=8.15,16.7Hz,1H),3.13(ddd,J=3.7,9.2,16.7Hz,1H),2.56−2.66(m,3H),2.22−2.30(m,1H),1.92−2.00(m,1H),0.96(d,J=6.6Hz,6H);ESI−MS 418.1(M+H)。
【0157】
(実施例19)
(R又はS)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸
(±)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル,エナンチオマー1(実施例17,ステップAから)4.5gのMeOH(25mL)溶液を5.0N NaOH3.0mLで処理し、得られた混合物を3時間加熱還流した。混合物を冷却し、4:1v/vCHCl/MeOHで希釈し、濃HClで中和した。固形分を濾過し、濾液を濃縮した。17:3v/vCHCl/MeOH+1%NHOH4Lと次に3:1v/vCHCl/MeOH+1%NHOH4Lを使用してBiotage 75Sカートリッジでクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物2.60gが得られた:H NMR(500MHz,DMSO)δ8.08(d,J=8.0Hz,2H),7.93(s,1H),7.88(d,J=7.5Hz,1H),7.47(d,J=7.5Hz,1H),7.44(d,J=8.0Hz,2H),3.85−3.88(m,1H),3.50(app t,J=7.5H,1H),3.39(app d,J=7.5Hz,2H),3.26(app t,J=7.5Hz,1H),3.13−3.18(m,1H),2.97−3.30(m,1H),2.81−2.87(m,1H),2.57(app d,J=7.5Hz,2H),2.49(t,J=1.5Hz,1H),2.03−2.11(m,1H),1.83−1.89(m,1H),0.88(d,J=6.5Hz,6H);ESI−MS 418.1(M+H)。
【0158】
生物活性
本発明の化合物のS1P/Edg1、S1P/Edg3、S1P/Edg5、S1P/Edg6又はS1P/Edg8活性は以下のアッセイを使用して評価することができる。
【0159】
Edg/S1P受容体とのリガンド結合アッセイ
50mM KHPO、1mMメルカプトエタノール、1mM NaVO、25mM KF、2mMセミカルバジド、1mM NaEDTA、5mM MgCl、50mMスフィンゴシン、0.1%TritonX−114、及び1mCiγ33P−ATP(NEN;比活性3000Ci/mmol)を含有する反応混合物中でスフィンゴシンキナーゼ活性をもつ粗酵母抽出物を使用してγ33P−ATPとスフィンゴシンから33P−スフィンゴシン1−リン酸を酵素合成した。反応生成物をブタノールで抽出し、33P−スフィンゴシン1−リン酸をHPLCにより精製した。
【0160】
酵素無添加解離溶液(Specialty Media,Lavallette,NJ)を使用してEDG/S1P受容体を発現する細胞を回収した。細胞を冷PBSで1回洗浄し、50mM HEPES−Na,pH7.5,5mM MgCl,1mM CaCl,及び0.5%脂肪酸無添加BSAから構成される結合アッセイ緩衝液に懸濁した。33P−スフィンゴシン1−リン酸を結合アッセイ緩衝液中0.1nMスフィンゴシン1−リン酸の存在下に音波処理し、リガンド混合物100μlを96ウェルマイクロタイタープレートの細胞100μl(1x10個/ml)に加えた。60分間室温で静かに混合しながら結合を行った。次にPackard Filtermate Universal Harvesterを使用して細胞をGF/Bフィルタープレートに回収した。フィルタープレートを30分間乾燥後、40μlのMicroscint 20を各ウェルに加え、Wallac Microbeta Scintillation Counterで結合を測定した。0.5μM冷スフィンゴシン1−リン酸の存在下に残存する放射能の量を非特異的結合とした。
【0161】
別法として、Edg/S1P受容体を発現する細胞から調製した膜でリガンド結合アッセイを実施した。酵素無添加解離溶液で細胞を回収し、冷PBSで1回洗浄した。Kinematicaポリトロン(設定5,10秒間)を使用して氷冷20mM HEPES pH7.4,10mM EDTA中で均質化することにより細胞を破壊した。ホモジネートを48,000xgで15分間4℃にて遠心し、ペレットを20mM HEPES pH7.4,0.1mM EDTAに懸濁した。2回目の遠心後、最終ペレットを20mM HEPES pH7.4,100mM NaCl,10mM MgClに懸濁した。膜蛋白質0.5〜2μgを使用して上記のようにリガンド結合アッセイを実施した。
【0162】
33P−スフィンゴシン1−リン酸結合アッセイでEdg/S1P受容体のアゴニストとアンタゴニストを識別することができる。33P−スフィンゴシン1−リン酸と結合アッセイ用緩衝液を含有するプローブとDMSO、メタノール、又は他の溶媒で希釈した化合物をマイクロタイタープレートで混合した。Edg/S1P受容体を発現する細胞から調製した膜を加え、上述のように33P−スフィンゴシン1−リン酸との結合を実施した。各種濃度の化合物の存在下の結合量の測定とMRLCalc(Merck Research Laboratories)又はPRISM(GraphPad Software)等の非線形回帰ソフトウェアによるデータ分析を使用して受容体に対する化合物の親和性を測定した。各受容体(S1P/Edg1、S1P/Edg3、S1P/Edg5、S1P/Edg6、S1P/Edg8)をトランスフェクトした細胞から調製した膜を使用して化合物の存在下に33P−スフィンゴシン1−リン酸結合レベルを測定することによりEdg/S1P受容体に対する化合物の選択性を測定した。
【0163】
35S−GTPγS結合アッセイ
S1P/Edg受容体とG蛋白質の機能的カップリングを35S−GTPγS結合アッセイで測定した。96ウェルマイクロタイタープレートにて20mM HEPES pH7.4、100mM NaCl、10mM MgCl、5μM GDP、0.1%脂肪酸無添加BSA(Sigma,catalog A8806)、各種濃度のスフィンゴシン1−リン酸及び125μM 35S−GTPγS(NEN;比活性1250Ci/mmol)を含有する200μl容量中でEdg/S1P受容体とのリガンド結合アッセイに記載したように調製した膜(膜蛋白質1〜10μg)をインキュベートした。1時間室温で静かに混合しながら結合を行い、Packard Filtermate Universal Harvesterを使用して膜をGF/Bフィルタープレートに回収することにより終了した。フィルタープレートを30分間乾燥後、40μlのMicroscint 20を各ウェルに加え、Wallac Microbeta Scintillation Counterで結合を測定した。
【0164】
35S−GTPγS結合アッセイでEdg/S1P受容体のアゴニストとアンタゴニストを識別することができる。DMSO、メタノール、又は他の溶媒で希釈した化合物を最終アッセイ濃度0.01nM〜10μMとなるようにマイクロタイタープレートに加えた。Edg/S1P受容体を発現する細胞から調製した膜を加え、上述のように35S−GTPγSとの結合を実施した。天然リガンド又は他の公知アゴニストの不在下でアッセイした場合に内因性レベルを越えて35S−GTPγS結合を刺激する化合物をアゴニストとみなし、内因性レベルの35S−GTPγS結合を阻害する化合物を逆アゴニストとみなした。化合物が35S−GTPγSレベルを低下させた場合には、35S−GTPγS結合アッセイで最大レベル以下の天然リガンド又は公知S1P/Edg受容体アゴニストの存在下にアンタゴニストが検出された。各種濃度の化合物の存在下の結合量の測定を使用してS1P/Edg受容体のアゴニスト、逆アゴニスト、又はアンタゴニストとしての化合物の力価を測定した。アゴニストを評価するために、化合物の存在下の結合をリガンドの不在下の結合で割って100を掛けた値として基線を上回る刺激百分率を計算した。非線形回帰曲線フィッティングプログラムMRLCalc(Merck Research Laboratories)を使用して用量応答曲線をプロットし、それ自体の最大刺激の50%を与えるために必要なアゴニストの濃度としてEC50を決定した。各受容体をトランスフェクトした細胞から調製した膜を使用して化合物の存在下に35S−GTPγS結合レベルを測定することによりEdg/S1P受容体に対する化合物の選択性を測定した。
【0165】
細胞内カルシウムフラックスアッセイ
FLIPR(Fluorescence Imaging Plate Reader,Molecular Devices)を使用してS1P/Edg受容体とG蛋白質の機能的カップリングに関連する細胞内カルシウム動員を測定した。S1P/Edg受容体を発現する細胞を回収し、アッセイ緩衝液(Hanks Buffered Saline Solution(BRL)に20mM HEPES,0.1%BSA及び710μg/mlプロベニシド(Sigma)を添加)で1回洗浄した。500nMカルシウム感受性色素Fluo−4(Molecular Probes)を添加した同一緩衝液で37℃及び5%CO下に細胞を1時間標識した。細胞を緩衝液で2回洗浄した後に、1.5x10個/ウェル(90μl)を96ウェルポリリジンコート黒色マイクロタイタープレートにプレーティングした。最終試験濃度の2倍の濃度となるようにスフィンゴシン1−リン酸又は他のアゴニストをアッセイ緩衝液200μlで希釈することにより96ウェルリガンドプレートを調製した。リガンドプレートと細胞プレートを分析のためにFLIPR機器にロードした。プレートを37℃まで平衡化した。等容量のリガンドを細胞プレートに添加することによりアッセイを開始し、カルシウムフラックスを3分間隔で記録した。細胞応答を面積(合計)又は最大ピーク高(最大値)として定量した。化合物を適当な溶媒で希釈してFluo−4標識細胞に添加することにより天然リガンドの不在下でアゴニストを評価した。Fluo−4標識細胞を各種濃度の化合物で15分間前処理した後に天然リガンド又は他のS1P/Edg受容体アゴニストの添加によりカルシウムフラックスを開始することによりアンタゴニストを評価した。
【0166】
S1P/Edg受容体を発現する細胞の調製
各種方法の任意のものを使用してS1P/Edg1、S1P/Edg3、S1P/Edg5、S1P/Edg6又はS1P/Edg8をクローニングすることができる。これらの方法としては限定されないが、以下の方法が挙げられる。(1)RACE PCRクローニング法(Frohmanら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8998−9002)。5’及び/又は3’RACEを実施して全長DNA配列を作製することができる;(2)適当な発現ベクターシステムでS1P/Edgを含むcDNAライブラリーの構築後にEdg/S1P cDNAの直接機能的発現;(3)バクテリオファージ又はプラスミドシャトルベクターで構築したS1P/Edgを含むcDNAライブラリーをS1P/Edg蛋白質のアミノ酸配列から設計した標識縮重オリゴヌクレオチドプローブでスクリーニング;(4)バクテリオファージ又はプラスミドシャトルベクターで構築したS1P/Edgを含むcDNAライブラリーをS1P/Edg蛋白質をコードする部分cDNA蛋白質でスクリーニング。この部分cDNAはS1P/Edg蛋白質に関連する他の蛋白質について分かっているアミノ酸配列から縮重オリゴヌクレオチドプライマーを設計することによりS1P/Edg DNAフラグメントの特異的PCR増幅により得られる;(5)バクテリオファージ又はプラスミドシャトルベクターで構築したS1P/Edgを含むcDNAライブラリーを、哺乳動物S1P/Edg蛋白質と相同性をもつ部分cDNA又はオリゴヌクレオチドでスクリーニング。このストラテジーではS1P/Edg cDNAのPCR増幅に遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用してもよい;あるいは(6)S1P/Edgヌクレオチド配列を鋳型として5’及び3’遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを設計し、公知RACE法により全長cDNAを作製できるようにするか、又はS1P/Edgをコードするヌクレオチド配列の全長形を単離するためにコーディング領域の一部を作製及び単離して多種のcDNA及び/又はゲノムライブラリーのうちの1個をスクリーニングするためのプローブとして使用するようにこれらの公知同一RACE法によりコーディング領域の一部を作製できるようにする。
【0167】
当業者に自明の通り、他の型のライブラリーや、他の細胞型又は種型から構築したライブラリーもS1P/EdgをコードするDNA又はS1P/Edgホモログを単離するのに有用である。他の型のライブラリーとしては限定されないが、他の細胞に由来するcDNAライブラリーが挙げられる。
【0168】
当業者に自明の通り、適切なcDNAライブラリーはS1P/Edg活性をもつ細胞又は細胞株から構築することができる。S1P/EdgをコードするcDNAを単離するためにcDNAライブラリーを構築するのに使用する細胞又は細胞株の選択はまずこのような目的に利用可能な任意公知アッセイを使用して細胞関連S1P/Edg活性を測定することにより実施できる。
【0169】
cDNAライブラリーの構築は当業者に周知の標準技術により実施することができる。周知cDNAライブラリー構築技術は例えばSambrookら,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New Yorkに記載されている。相補的DNAライブラリーは多数の商業ソースからも入手でき、限定されないが、Clontech Laboratories,Inc.やStratageneが挙げられる。
【0170】
S1P/Edg様蛋白質をコードするDNAを含む発現ベクターを使用して組換え宿主細胞でS1P/Edgを発現させることができる。このような組換え宿主細胞はS1P/Edg又は生物学的等価形態を生産するのに適した条件下で培養することができる。発現ベクターとしては限定されないが、クローニングベクター、改変クローニングベクター、特殊設計プラスミド又はウイルスが挙げられる。組換えS1P/Edg発現には市販哺乳動物発現ベクターが適している。
【0171】
組換え宿主細胞は原核細胞でも真核細胞でもよく、限定されないが、大腸菌等の細菌類、酵母等の真菌細胞、哺乳動物細胞(限定されないが、ウシ、ブタ、サル及び齧歯類由来細胞株)、及び昆虫細胞(限定されないが、ショウジョウバエ及びカイコ由来細胞株)が挙げられる。
【0172】
各種S1P/Edg受容体のヌクレオチド配列は当業者に公知である。例えば、以下の文献を参照されたい。
【0173】
S1P/Edg1ヒト
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むHla,T.and T.Maciag 1990 An abundant transcript induced in differentiating human endothelial cells encodes a polypeptide with structural similarities to G−protein coupled receptors.J.Biol Chem.265:9308−9313。
【0174】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込WO91/15583(公開日1991年10月17日)。
【0175】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO99/46277(公開日1999年9月16日)。
【0176】
S1P/Edg1マウス
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO0059529(公開日2000年10月12日)。
【0177】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第6,323,333号(発行日2001年11月27日)。
【0178】
S1P/Edg1ラット
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むLado,D.C.,C.S.Browe,A.A.Gaskin,J.M.Borden,and A.J.MacLennan.1994 Cloning of the rat edg−1 immediate−early gene:expression pattern suggests diverse functions.Gene 149:331−336。
【0179】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第5,585,476号(発行日1996年12月17日)。
【0180】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第5856,443号(発行日1999年1月5日)。
【0181】
S1P/Edg3ヒト
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むAn,S.,T.Bleu,W.Huang,O.G.Hallmark,S.R.Coughlin,E.J.Goetzl 1997 Identification of cDNAs encoding two G protein−coupled receptors for lysosphingolipids FEBS Lett.417:279−282。
【0182】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO99/60019(公開日1999年11月25日)。
【0183】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第6,130,067号(発行日2000年10月10日)。
【0184】
S1P/Edg3マウス
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO01/11022(公開日2001年2月15日)。
【0185】
S1P/Edg3ラット
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO01/27137(公開日2001年4月19日)。
【0186】
S1P/Edg5ヒト
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むAn,S.,Y.Zheng,T.Bleu 2000 Sphingosine 1−Phosphate−induced cell proliferation,survival,and related signaling events mediated by G Protein−coupled receptors Edg3 and Edg5.J.Biol.Chem 275:288−296。
【0187】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO99/35259(公開日1999年7月15日)。
【0188】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO99/54351(公開日1999年10月28日)。
【0189】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO00/56135(公開日2000年9月28日)。
【0190】
S1P/Edg5マウス
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO00/60056(公開日2000年10月12日)。
【0191】
S1P/Edg5ラット
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むOkazaki,H.,N.Ishizaka,T.Sakurai,K.Kurokawa,K.Goto,M.Kumada,Y.Takuwa 1993 Molecular cloning of a novel putative G protein−coupled receptor expressed in the cardiovascular system.Biochem.Biophys.Res.Comm.190:1104−1109。
【0192】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むMacLennan,A.J.,C.S.Browe,A.A.Gaskin,D.C.Lado,G.Shaw 1994 Cloning and characterization of a putative G−protein coupled receptor potentially involved in development.Mol.Cell.Neurosci.5:201−209。
【0193】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第5,585,476号(発行日1996年12月17日)。
【0194】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第5856,443号(発行日1999年1月5日)。
【0195】
S1P/Edg6ヒト
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むGraler,M.H.,G.Bernhardt,M.Lipp 1998 EDG6,a novel G−protein−coupled receptor related to receptors for bioactive lysophospholipids,is specifically expressed in lymphoid tissue.Genomics 53:164−169。
【0196】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO98/48016(公開日1998年10月29日)。
【0197】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第5,912,144号(発行日1999年6月15日)。
【0198】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO98/50549(公開日1998年11月12日)。
【0199】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第6,060,272号(発行日2000年5月9日)。
【0200】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO99/35106(公開日1999年7月15日)。
【0201】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO00/15784(公開日2000年3月23日)。
【0202】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO00/14233(公開日2000年3月16日)。
【0203】
S1P/Edg6マウス
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO00/15784(公開日2000年3月23日)。
【0204】
S1P/Edg8ヒト
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むIm,D.−S.,J.Clemens,T.L.Macdonald,K.R.Lynch 2001 Characterization of the human and mouse sphingosine 1−phosphate receptor,S1P(Edg−8):Structure−Activity relationship of sphingosine 1−phosphate receptors.Biochemistry 40:14053−14060。
【0205】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO00/11166(公開日2000年3月2日)。
【0206】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO00/31258(公開日2000年6月2日)。
【0207】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO01/04139(公開日2001年1月18日)。
【0208】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むEP 1 090 925(公開日2001年4月11日)。
【0209】
S1P/Edg8ラット
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むIm,D.−S.,C.E.Heise,N.Ancellin,B.F.O’Dowd,G.−J.Shei,R.P.Heavens,M.R.Rigby,T.Hla,S.Mandala,G.McAllister,S.R.George,K.R.Lynch 2000 Characterization of a novel sphingosine 1−phosphate receptor,Edg−8.J.Biol.Chem.275:14281−14286。
【0210】
参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むWO01/05829(公開日2001年1月25日)。
【0211】
心臓血管効果の測定
本発明の化合物が心臓血管パラメーターに及ぼす効果は以下の方法により評価することができる。
【0212】
成体雄ラット(体重約350g)に夫々動脈圧と静脈内化合物投与量を測定するために大腿動脈及び静脈カテーテルを装着した。動物をネンブタール(55mg/kg,ip)で麻酔した。Gould Po−Ne−Mahデータ獲得システムで血圧と心拍数を記録した。心拍数は動脈波から求めた。順化期間後に基線値を読み取り(約20分間)、データを平均化した。化合物を静脈内投与し(約5秒間ボーラス注射又は15分間輸液)、化合物投与後60分間1分おきにデータを記録した。心拍数又は平均動脈圧のピーク変化としてデータを計算するか、あるいは時間に対する心拍数又は動脈圧の変化の曲線の下の面積として計算した。平均±SEMとしてデータを表した。対応のあるスチューデントの片側検定を使用して基線値との統計的比較を行い、p<0.05を有意とみなした。
【0213】
ラット心臓血管系に及ぼすS1P効果は参考資料としてその開示内容全体を本明細書に組込むSugiyama,A.,N.N.Aye,Y.Yatomi,Y.Ozaki,K.Hashimoto 2000 Effects of Sphingosine 1−Phosphate,a naturally occurring biologically active lysophospholipid,on the rat cardiovascular system.Jpn.J.Pharmacol.82:338−342に記載されている。
【0214】
マウス急性毒性の測定
非毒性ビークルに溶かした試験化合物0.1mlをマウス1匹に静脈内(尾静脈)投与し、毒性徴候を観察した。重度徴候としては死亡、発作、麻痺又は意識不明が挙げられる。軽度徴候も観察し、その徴候としては運動失調、呼吸困難、ラフリング又は正常に比較して活性低下が挙げられる。徴候が認められたら、投与溶液を同一ビークルで希釈した。希釈用量を同様に第2のマウスに投与し、同様に徴候を観察した。徴候を生じない用量に達するまでこのプロセスを繰返した。これを推定無効果レベルとみなした。別のマウスにこのレベルを投与し、徴候が生じないことを確認した。
【0215】
リンパ球減少試験
マウス急性毒性の測定に記載したように化合物を投与し、投与から3時間後にマウスのリンパ球減少を以下のように試験した。COによりマウスの意識を失わせた後に開胸し、直接心臓穿刺により血液0.5mlを採血し、血液をすぐにEDTAで安定化し、マウス百分率測定を実施するように校正した臨床血液自動分析装置(H2000,CARESIDE,Culver City CA)を使用して血液分析を行った。マウス3匹とビークル投与マウス3匹の血液パラメーターの比較により、試験処置によるリンパ球減少を調べた。この評価に使用した用量は上記希釈法の変形を使用して寛容性により決定した。この目的では、無効果が望ましく、軽度効果は許容可能であり、重度毒性用量は軽度効果しか生じないレベルまで順次希釈した。
【0216】
実施例のIn Vitro活性
本明細書に開示する実施例は上記アッセイで測定した場合にS1PR/Edg3受容体よりもS1P/Edg1受容体の強力で選択的なアゴニストであることがその活性から立証されたように、免疫調節剤として有用である。特に、本明細書に開示する実施例は上記35S−GTPγS結合アッセイで評価した場合にS1P/Edg1受容体のEC50とS1P/Edg3受容体のEC50の比から測定したS1P/Edg1受容体に対する選択性がS1P/Edg3受容体の100倍を上回り、上記35S−GTPγS結合アッセイで評価した場合にS1P/Edg1受容体との結合のEC50が50nM未満である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

{式中、
mは0又は1であり;
pは1、2又は3であり;
Gは−C(R−、−O−、−S(O)−(式中、kは0、1又は2である)、及び−N(R)−から構成される群から選択され;
Aは−COH、−PO、−POH、−SOH、−PO(C1−3アルキル)OH及び1H−テトラゾール−5−イルから構成される群から選択され;
各Rは水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−5アルコキシから構成される群から独立して選択され、各C1−6アルキル及びC1−5アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されており;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−5アルコキシから構成される群から選択され、前記C1−6アルキル及びC1−5アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されており;
は水素及びC1−4アルキルから構成される群から選択され、前記C1−4アルキルは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから構成される群から独立して選択される置換基で置換されているか;
又はRとRは一緒になって下記4、5又は6員単環:
【化2】

を形成してもよく;
各Rは水素及びC1−4アルキルから構成される群から独立して選択され、前記C1−4アルキルは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロで置換されており;
各Rはハロ、C1−4アルキル及びC1−3アルコキシから構成される群から独立して選択され、前記C1−4アルキル及びC1−3アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロで置換されており;
Zは、
(3)C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル又は−CHOH−C1−6アルキル[前記C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル及び−CHOH−C1−6アルキルは場合によりフェニル及びC3−6シクロアルキルで置換されている]、及び
(4)各々場合により
(a)ハロ、
(b)場合によりハロ及びC1−4アルキル(前記C1−4アルキルは場合により1〜3個のハロ基で置換されている)から構成される群から独立して選択される1〜5個の基で置換されたフェニル、及び
(c)C1−4アルキル又はC1−4アルコキシ(前記C1−4アルキル及びC1−4アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されている)
から構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル又はHETから構成される群から選択されるか、
又はZは存在せず;
Zが存在しない場合には、Xはフェニル、C5−16アルキル、C5−16アルケニル、C5−16アルキニル、−CHOH−C4−15アルキル、−CHOH−C4−15アルケニル、−CHOH−C4−15アルキニル、C4−15アルコキシ、−O−C4−15アルケニル、−O−C4−15アルキニル、C4−15アルキルチオ、−S−C4−15アルケニル、−S−C4−15アルキニル、−CH−C3−14アルコキシ、−CH−O−C3−14アルケニル、−CH−O−C3−14アルキニル、−(C=O)−C4−15アルキル、−(C=O)−C4−15アルケニル、−(C=O)−C4−15アルキニル、−(C=O)−O−C3−14アルキル、−(C=O)−O−C3−14アルケニル、−(C=O)−O−C3−14アルキニル、−(C=O)−N(R)(R)−C3−14アルキル、−(C=O)−N(R)(R)−C3−14アルケニル、−(C=O)−N(R)(R)−C3−14アルキニル、−N(R)(R)−(C=O)−C3−14アルキル、−N(R)(R)−(C=O)−C3−14アルケニル及び−N(R)(R)−(C=O)−C3−14アルキニルから構成される群から選択され、
Zが場合により上記のように置換されたフェニル又はHETである場合には、Xは−C1−6アルキル−、−O−C1−5アルキル−、−(C=O)−C1−5アルキル−、−(C=O)−O−C1−4アルキル−、−(C=O)−N(R)(R)−C1−4アルキル−、
【化3】

フェニル及びHETから構成される群から選択され、前記フェニル及びHETは各々場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されており、Xが−C1−6アルキル−、−O−C1−5アルキル−、−(C=O)−C1−5アルキル−、−(C=O)−O−C1−4アルキル−、−(C=O)−N(R)(R)−C1−4アルキル−、又は
【化4】

である場合には、Z基の結合点はアルキル上にあり、
Zが場合により上記のように置換されたC1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル又は−CHOH−C1−6アルキルである場合には、Xはフェニルであり、前記フェニルは場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されており;
及びRは水素、C1−9アルキル及び−(CH−フェニル(式中、pは1〜5であり、フェニルは場合により各々場合により1〜3個のハロ基で置換されたC1−3アルキル及びC1−3アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)から構成される群から独立して選択され;
HET及びHETはベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニルから構成される群から各々独立して選択される}により表される化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩もしくは水和物。
【請求項2】
pが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Zが各々場合により
(a)ハロ、
(b)場合によりハロ及びC1−4アルキル(前記C1−4アルキルは場合により1〜3個のハロ基で置換されている)から構成される群から独立して選択される1〜5個の基で置換されたフェニル、及び
(c)C1−4アルキル又はC1−4アルコキシ(前記C1−4アルキル及びC1−4アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されている)
から構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル又はHETであるか、
又はZは存在せず;
Zが存在しない場合には、XはC7−12アルキル、C7−12アルケニル、C7−12アルキニル、C6−11アルコキシ、−O−C6−11アルケニル、−O−C6−11アルキニル、−(C=O)−C6−11アルキル、−(C=O)−C6−11アルケニル、−(C=O)−C6−11アルキニル、−(C=O)−O−C5−10アルキル、−(C=O)−O−C5−19アルケニル、及び−(C=O)−O−C5−10アルキニルから構成される群から選択され;
Zが場合により上記のように置換されたフェニル又はHETである場合には、Xは−C1−5アルキル−、−C1−4アルコキシ−、−(C=O)−C1−4アルキル−、−(C=O)−O−C1−3アルキル−、フェニル及びHETから構成される群から選択され、Xが−C1−4アルコキシ−、−(C=O)−C1−5アルキル−、又は−(C=O)−O−C1−4アルキル−である場合には、Z基の結合点はアルキル上にある請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
HET及びHET
【化5】

(式中、Rは水素、ヒドロキシ及びハロから選択される)から構成される群から独立して選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
mが0である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
mが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
XがC7−12アルキル、C7−12アルケニル、C7−12アルキニル、C6−11アルコキシ、−O−C6−11アルケニル、−O−C6−11アルキニル、−(C=O)−C6−11アルキル、−(C=O)−C6−11アルケニル、−(C=O)−C6−11アルキニル、−(C=O)−O−C5−10アルキル、−(C=O)−O−C5−19アルケニル、及び−(C=O)−O−C5−10アルキニルから構成される群から選択され、Zが存在しない請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Xがメトキシであり、Zがフェニル及びC1−4アルキルで置換されたHETであり、前記C1−4アルキルが場合により1〜3個のハロ基で置換されており、前記フェニルが場合によりハロ及び場合により1〜3個のハロ基で置換されたC1−4アルキルから構成される群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Zが
【化6】

から構成される群から選択され、
Zがフェニル及びC1−4アルキルで置換されており、前記C1−4アルキルが場合により1〜3個のハロ基で置換されており、前記フェニルが場合によりハロ及び場合により1〜3個のハロ基で置換されたC1−4アルキルから構成される群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
Xが場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたHETであり、
Zが各々場合により
(a)ハロ、
(b)場合によりハロ及びC1−4アルキル(前記C1−4アルキルは場合により1〜3個のハロ基で置換されている)から構成される群から独立して選択される1〜5個の基で置換されたフェニル、及び
(c)C1−4アルキル又はC1−4アルコキシ(前記C1−4アルキル及びC1−4アルコキシは場合により1から最大数までの置換可能な位置をハロ及びヒドロキシから独立して選択される置換基で置換されている)
から構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル又はHETである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Xが1,2,4−オキサジアゾールである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Zが場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルである請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
ZがC1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル又は−CHOH−C1−6アルキルであり、前記C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、−(C=O)−C1−6アルキル及び−CHOH−C1−6アルキルは場合によりフェニル及びC3−6シクロアルキルで置換されており、
Xがフェニルであり、前記フェニルは場合によりハロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Gが−CH−である請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
m=0であり、Aが−COHである請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
とRが結合して環を形成しない請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
とRが結合して下記4員単環:
【化7】

を形成する請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
とRが結合して下記5員単環:
【化8】

を形成する請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
とRが結合して下記6員単環:
【化9】

を形成する請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
式II:
【化10】

(式中、nは0又は1である)の請求項1に記載の化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩もしくは水和物。
【請求項21】
nが0であり、−X−Zが下記の群
【化11】

から選択される請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
式III:
【化12】

(式中、nは0又は1であり、Yは水素又は結合であり、R10はC1−4アルキルであり、各Rは独立してハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシである)の請求項20に記載の化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩もしくは水和物。
【請求項23】
nが0であり、各Rが水素であり、RとRがいずれも存在しない請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
下表:
【化13】






から選択される化合物又はそれらの医薬的に許容可能な塩。
【請求項25】
(1)(RS)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸又はその医薬的に許容可能な塩、
(2)(R)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸又はその医薬的に許容可能な塩、及び
(3)(S)−1−(5−(5−(4−(2−メチルプロピル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アゼチジン−3−カルボン酸又はその医薬的に許容可能な塩から選択される化合物。
【請求項26】
治療を必要とする哺乳動物患者における免疫調節異常の治療方法であって、前記免疫調節異常を治療するために有効な量の請求項1に記載の化合物を前記患者に投与することを含む前記方法。
【請求項27】
免疫調節異常が全身性紅斑性狼瘡、慢性リウマチ様関節炎、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、ウェグナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス病及び喘息から構成される群から選択される自己免疫性又は慢性炎症性疾患である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
免疫調節異常が骨髄もしくは臓器移植拒絶反応又は移植片対宿主疾患である請求項26に記載の方法。
【請求項29】
免疫調節異常が臓器又は組織移植、移植により誘発される移植片対宿主疾患、自己免疫性疾患としてリウマチ様関節炎、全身性紅斑性狼瘡、橋本病、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、リウマチ熱及び感染後糸球体腎炎等の感染後自己免疫疾患、炎症性及び過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、紅斑性狼瘡、座瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼類天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス病、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性又は難治喘息、遅発型喘息及び気道過剰反応、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患及び血栓症に起因する血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸傷害、腹腔疾患、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、偏頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエル病、多発性神経炎、単発性神経炎、神経炎根症、甲状腺機能亢進症、バセドー病、赤血球癆、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、顆粒球減少症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、骨粗鬆症、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光線アレルギー過敏症、皮膚T細胞性リンパ腫、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎、心筋症、強皮症、ウェグナー肉芽腫症、ショーグレン症候群、脂肪過多症、好酸球性筋膜炎、歯肉、歯周組織、歯槽骨、歯のセメント質の傷害、糸球体腎炎、脱毛を防止又は発毛を育成及び/又は発毛及び毛髪成長を促進することにより男性型脱毛症又は老年性脱毛症、筋ジストロフィー、膿皮症及びセザリー症候群、アジソン病、予防接種・移植又は虚血性疾患後に生じる臓器の虚血−再潅流傷害、内毒素性ショック、偽膜性大腸炎、薬物又は放射線に起因する大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺−酸素又は薬物に起因する中毒症、肺癌、肺気腫、白内障、鉄沈着症、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症、硝子体瘢痕、角膜アルカリ外傷、多形紅斑性皮膚症、線状IgA水疱性皮膚症及びセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周病、敗血症、膵炎、環境汚染・加齢・発癌・癌転移及び高山病に起因する疾患、ヒスタミン又はロイコトリエン−C放出に起因する疾患、ベーチェット病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、部分肝切除、急性肝壊死、毒素・ウイルス性肝炎・ショック又は無酸素症に起因する壊死、B型ウイルス肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変、肝不全、劇症肝不全、遅発性肝不全、「慢性型急性増悪(acute−on−chronic)」肝不全、化学療法効果の増加、サイトメガロウイルス感染、HCMV感染、AIDS、癌、老人性痴呆症、外傷、及び慢性細菌感染から構成される群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項30】
免疫調節異常が多発性硬化症である請求項26に記載の方法。
【請求項31】
免疫調節異常がリウマチ様関節炎である請求項26に記載の方法。
【請求項32】
免疫調節異常が全身性紅斑性狼瘡である請求項26に記載の方法。
【請求項33】
免疫調節異常が乾癬である請求項26に記載の方法。
【請求項34】
免疫調節異常が移植臓器又は組織の拒絶反応である請求項26に記載の方法。
【請求項35】
免疫調節異常が炎症性腸疾患である請求項26に記載の方法。
【請求項36】
免疫調節異常がリンパ系由来悪性腫瘍である請求項26に記載の方法。
【請求項37】
免疫調節異常が急性及び慢性リンパ性白血病及びリンパ腫である請求項26に記載の方法。
【請求項38】
免疫調節異常がインスリン依存性及び非インスリン依存性糖尿病である請求項26に記載の方法。
【請求項39】
免疫抑制を必要とする哺乳動物患者における免疫系の抑制方法であって、免疫抑制に有効な量の請求項1に記載の化合物を前記患者に投与することを含む前記方法。
【請求項40】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーから構成される医薬組成物。
【請求項41】
治療を必要とする哺乳動物患者における呼吸器疾患又は障害の治療方法であって、前記呼吸器疾患又は障害を治療するために有効な量の請求項1に記載の化合物を前記患者に投与することを含む前記方法。
【請求項42】
呼吸器疾患又は障害が喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、乳児呼吸窮迫症候群、咳、好酸球性肉芽腫、呼吸器合胞体ウイルス性細気管支炎、気管支炎拡張症、特発性肺線維症、急性肺傷害及び器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎から構成される群から選択される請求項41に記載の方法。

【公表番号】特表2006−511579(P2006−511579A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563642(P2004−563642)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/040129
【国際公開番号】WO2004/058149
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】