説明

2’−フルオロ−6’−メチレン炭素環ヌクレオシド類、及びウイルス感染の治療法

本発明は、2’−フルオロ−6’−メチレン炭素環ヌクレオシド類、及びこれらのヌクレオシド類を含有する医薬組成物に関する。さらに、多くのウイルス感染並びにその二次疾患の病態及び病状の治療又は予防におけるそれらの使用に関する。前記のウイルス感染並びにその二次疾患の病態及び病状としては、特にB型肝炎ウイルス(HBV)及びその二次疾患の病態及び病状(肝硬変及び肝臓癌)、C型肝炎ウイルス(HCV)、単純ヘルペスウイルス1型及び2型(HSV−l及びHSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)並びにこれらを原因とする二次癌(リンパ腫及び鼻咽頭癌)などであり、これらのウイルスの薬剤耐性変異型(特にラミブジン耐性及び/又はアデホビル耐性)及びその他の変異型を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2’−フルオロ−6’−メチレン炭素環ヌクレオシド類、及びこれらのヌクレオシド類を含有する医薬組成物に関する。さらに、多くのウイルス感染並びにその二次疾患の病態及び病状の治療又は予防におけるそれらの使用に関する。前記のウイルス感染並びにその二次疾患の症状及び病態としては、B型肝炎ウイルス(HBV)及びその二次疾患の症状及び病態(肝硬変及び肝臓癌)などであり、例えば肝臓癌、C型肝炎ウイルス(HCV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−l)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、これらのウイルスの薬剤耐性変異型(特にラミブジン耐性、アデホビル耐性、及びラミブジン−アデホビル耐性)、並びにそれ以外の変異型が挙げられる。
【0002】
<優先権及び米国政府の権利の主張>
本出願は、2009年11月16日出願の米国仮特許出願第61/281342号の発明の名称「2’−フルオロ−6’−メチレン炭素環ヌクレオシド類、及びウイルス感染の治療法(2'-Fluoro-6'-MethyIene Carbocyclic Nucleosides and Methods of Treating Viral Infections)」の優先権の利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
本特許出願をもたらした研究は、米国立アレルギー研究所のパブリックヘルスリサーチ助成金AI25899号による援助資金を受けた。よって、米国政府は、本発明に関して一定の権利を保有する。
【背景技術】
【0004】
B型肝炎ウイルス(HBV)による感染症は、世界の主要な健康問題の一つである(非特許文献1)。HBV初感染は、ほとんどの成人においては消退するが、3%〜5%の患者は自然治癒せずに慢性感染に至る。この割合は、HBVに感染した幼児ではさらに大きくなる(非特許文献2)。慢性B型肝炎(CHB)の推定保菌者数は、全世界で約3億5千万人から4億人であって、肝硬変、肝不全、及び原発性肝細胞癌が原因の死者数は、毎年100万人以上である(非特許文献2)。
【0005】
HBV感染の治療のために入手可能な従来の薬剤は、主に2つのカテゴリーに分類できる。すなわち免疫調節剤と、ヌクレオシド類似体及びヌクレオチド類似体である。代表的な免疫調節剤であるINFαの有効性は、多くの研究によって確立されているが、INFαの臨床適用には、全奏効率の低さ、副作用、高コストという欠点が存在する(非特許文献3、4)。その一方で、ヌクレオシド類似体及びヌクレオチド類似体は、抗HBV治療で優位に立ち続けている。ラミブジン(エピビルHBV(登録商標)、グラクソスミスクライン社)、アデホビルジピボキシル(ヘプセラ(登録商標)、ギリアド社)、エンテカビル(バラクルード(登録商標)、ブリストルマイヤーズスクイブ社)、テルビブジン(タイゼカ(登録商標)、アイデニクス社/ノバルティス社)、クレブジン(レボビル(韓国登録商標)、米国内臨床第III相、富光社/ファーマセット社)、ごく最近ではテノホビル(ビリアード(登録商標)/ギリアド社)など、少なくとも6つのヌクレオシド及びヌクレオチドが臨床適用されている(図1)。これらの薬剤は、HBV−DNAの複製を最低レベルまで著しく抑制するので、好ましい臨床成果が得られ、進行した肝臓続発症が予防される。確かに、これらの経口ヌクレオシド類及び経口ヌクレオチド類の導入は、抗HBV治療の飛躍的進歩である。報告によると、ヌクレオシド系抗HBV薬が広く適用されるようになって以来、米国内の肝移植希望登録患者数は30%減少している(非特許文献5)。
【0006】
従来のヌクレオシド類及びヌクレオチド類による治療が、HBVの共有結合閉環状DNA(cccDNA)に対して直接効果を及ぼすという確かな証拠はない。HBVの共有結合閉環状DNA(cccDNA)は半減期が長いため、治療終了まで転写鋳型として働き続け(非特許文献6)、ウイルスDNAのリバウンドを起こす考えられる。従って、治療中止後のウイルス再発を予防するために、長期的で有効性が高い抗ウイルス治療が必要であると考えられる(非特許文献7)。不幸にも、ヌクレオシド類及びヌクレオチド類による長期的治療には、有効性を著しく損なう薬剤耐性変異体の発生が常に付随する。HBVポリメラーゼの性質と高複製速度とが相まって、ある種の抗ウイルス剤存在下で、生存優位性を有するHBV変異体の出現をもたらす(非特許文献8)。最初に承認された抗HBVヌクレオシドである現在のラミブジンの使用は、高頻度のラミブジン耐性(最も一般的にはrtL180M±rtM204V/I)によって制限されている。インビトロでの研究
は、rtL180M変異とrtM204V/I変異との二重変異は、ポリメラーゼの機能をほとんど損なうことなく、ラミブジンに対して1000倍以上減少されたウイルスの感受性をもたらすことを示す(非特許文献9、10)。実際の臨床では、ラミブジンに対する耐性率は、1年間治療後に約20%であり、5年間治療後に約70%である(非特許文献11〜14)。rtM204Iによって示されるYMDDモチーフ内のラミブジンのメジャー変異は、別種のL−ヌクレオシドであるテルビブジンに交差耐性を示す。テルビブジンは、ラミブジンに比べて1年間治療後の耐性率が低いものの(HBeAg陽性患者の約5%)、2年間治療後には22%にまで急増する(非特許文献15)。これらのデータは、より長期のテルビブジン治療において、薬剤耐性が高率である可能性を示し得る。アデホビルは、非環式ホスホネートに属する。このヌクレオシドは、異なる複数の非環状糖部分を有し、L−ヌクレオシド類との交差耐性を示さない。しかし、181番コドン(rtA181T)及び236番コドン(rtN236T)に、2つの主要なアデホビル耐性を生ずる変異が存在し、これらは半有効濃度を2倍から9倍増加させる(非特許文献16〜18)。この増加倍率はあまり大きくないが、報告は、アデホビル治療不応が、変異を発生した3患者と関連していることを示した(非特許文献19、20)。アデホビル治療による耐性発現率も著しく高く、2年後に約3%、5年後に29%である(非特許文献21)。別の有効な抗HBVヌクレオシドであるエンテカビルは、耐性に対する遺伝子の障壁(genetic barrier)が高い。しかし、患者が予めラミブジン耐性変異を持つ場合、エンテカビル耐性の発現率は、1年後の1%から5年後の51%まで上昇する(非特許文献22、23)。したがって、エンテカビルは、YMDD変異を持つ患者の単剤治療には推奨されない。現在のところ、臨床においてテノホビル又はクレブジンを用いた継続的治療後に耐性が検出されたという確かな証拠はないが、長期治療後の結果は明らかになっていない。
【0007】
抗ウイルス剤耐性の発現は、通常は臨床成績不良につながる(非特許文献8)。例えば、ラミブジン治療の効果は、薬剤耐性の発現によって否定された(非特許文献24)。薬剤耐性が発現した患者では、薬剤耐性の兆候を示さない患者と比べて組織所見の改善を示しにくく(44%対77%)、肝臓の悪化を示しがちであった(15%対5%)(非特許文献24)。特に、肝炎再燃及び肝臓変性が、抗ウイルス剤耐性の発現後の患者において報告されている(非特許文献25)。したがって、抗ウイルス剤耐性を慎重に管理することは、抗HBV治療において最も重要である。1つのヌクレオシドによる初期治療で最適な効果が得られない患者に対しては、追加治療(他のヌクレオシド類又はインターフェロンとの併用療法)と、別のヌクレオシドによる単独療法への切り替えとが、2つの主要なオプションである。耐性を管理するのに最適な方法がどれかは不明であるが、遺伝子の障壁が高く、耐性プロファイルが初期治療薬と異なる追加又は代替治療薬を用いることが重要である。現在の抗HBVのレパートリーは限られている。そのため、野生型(WT)のみならず、既存の薬剤耐性HBV変異体に対しても有効な、新規ヌクレオシド類似体を開発することが重要である。本発明者の創薬プログラムの過程では、フッ素原子を糖部分に導入することによって、興味深い生物学的性質を備えた多数の新規ヌクレオシドが生み出された(非特許文献26〜35)。したがって、6’−環外アルケン(6’−メチレン)を持つ炭素環ヌクレオシド上におけるフッ素原子の置換を調査することは、大変興味深いことである。本明細書では、野生型のHBVに加え、ラミブジン及びアデホビル耐性変異体に対しても有効である、興味深いフッ化炭素環ヌクレオシド類の発明を報告する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Mast, E. E.; Alter, M. J.; Margolis, H. S. Strategies to prevent and control hepatitis B and C virus infections: a global perspective. Vaccine 1999年、第17巻、1730-3頁
【非特許文献2】Lee, W. M. Hepatitis B virus infection. N Engl J Med 1997年, 第337巻, 1733-45頁
【非特許文献3】Perrillo, R. P.; Schiff, E. R.; Davis, G. L.; Bodenheimer, H. C., Jr.; Lindsay, K.; Payne, J.; Dienstag, J. L.; O'Brien, C.; Tamburro, C.; Jacobson, I. M.: et al. A randomized, controlled trial of interferon alfa-2b alone and after prednisone withdrawal for the treatment of chronic hepatitis B. The Hepatitis Interventional Therapy Group. N Engl J Med 1990年, 第323巻, 295-301頁
【非特許文献4】Wong, D. K.; Cheung, A. M.; O'Rourke, K.; Naylor, C. D.; Detsky, A. S.; Heathcote, J. Effect of alpha-interferon treatment in patients with hepatitis B e antigen-positive chronic hepatitis B. A meta-analysis. Ann Intern Med 1993年, 第119巻, 312-23頁
【非特許文献5】Kim, W. R.: Benson, J. T.; Hindman, A.; Brosgart, C.; Fortner-Burton, C. Decline in the need for liver transplantation for end stage liver disease secondary to hepatitis B in the US. Hepatology 2007年, 第46巻(臨時増刊第1号), 238A頁
【非特許文献6】Tuttleman, J. S.; Pourcel. C.; Summers, J. Formation of the pool of covalently closed circular viral DNA in hepadnavirus-infected cells. Cell 1986年, 第47巻, 451-60頁
【非特許文献7】Zoulim. F. Mechanism of viral persistence and resistance to nucleoside and nucleotide analogs in chronic hepatitis B virus infection. Antiviral Res 2004年, 第64巻, 1-15頁
【非特許文献8】Ghany, M. G.; Doo, E. C. Antiviral resistance and hepatitis B therapy. Hepatology 2009年, 第49巻, S174-84頁
【非特許文献9】Ono, S. K.; Kato, N.; Shiratori, Y.; Kato, J.; Goto, T.; Schinazi, R. F.; Carrilho, F. J.; Omata, M. The polymerase L528M mutation cooperates with nucleotide binding-site mutations, increasing hepatitis B virus replication and drug resistance. J Clin Invest 2001年, 第107巻, 449-55頁
【非特許文献10】Allen, M. L; Deslauriers, M.; Andrews, C. W.; Tipples, G. A.; Walters, K. A.; Tyrrell, D. L.; Brown, N.; Condreay, L. D. Identification and characterization of mutations in hepatitis B virus resistant to lamivudine. Lamivudine Clinical Investigation Group. Hepatology 1998年, 第27巻, 1670-7頁
【非特許文献11】Dienstag, J. L.; Schiff, E. R.; Wright, T. L.; Perrillo, R. P.; Hann, H. W.; Goodman, Z.; Crowther, L.; Condreay, L. D.; Woessner. M.; Rubin, M.; Brown, N. A. Lamivudine as initial treatment for chronic hepatitis B in the United States. N Engl J Med 1999年, 第341巻, 1256-63頁
【非特許文献12】Lai, C. L.; Chien, R. N.; Leung, N. W.; Chang, T. T.; Guan, R.; Tai, D. I.; Ng, K. Y.; Wu, P. C.; Dent, J. C.; Barber, J.; Stephenson, S. L.; Gray, D. F. A one-year trial of lamivudine for chronic hepatitis B. Asia Hepatitis Lamivudine Study Group. N Engl J Med 1998年, 第339巻, 61-8頁
【非特許文献13】Marcellin, P.; Lau, G. K.; Bonino, F.; Farci, P.: Hadziyannis, S.; Jin, R.; Lu, Z. M.; Piratvisuth, T.; Germanidis, G.; Yurdaydin, C.; Diago, M.; Gurel, S.; Lai, M. Y.; Button, P.; Pluck, ヘ. Peginterferon alfa-2a alone, lamivudine alone, and the two in combination in patients with HBeAg-negative chronic hepatitis B. N Engl J Med 2004年, 第351巻, 1206-17頁
【非特許文献14】Yuen, M. F.; Seto, W. K.; Chow, D. H.; Tsui, K.; Wong, D. K.; Ngai, V. W.; Wong, B. C.; Fung, J.; Yuen, J. C.; Lai, C. L. Long-term lamivudine therapy reduces the risk of long-term complications of chronic hepatitis B infection even in patients without advanced disease. Antivir Ther 2007年, 第12巻, 1295-303頁
【非特許文献15】Lai, C. L.; Gane, E.: Liaw, Y. F.; Hsu, C. W.; Thongsawat, S.; Wang, Y.; Chen, Y.; Heathcote, E. J.; Rasenack, J.; Bzowej, N.; Naoumov, N. V.; Di Bisceglie, A. M.; Zeuzem, S.; Moon, Y. M.; Goodman, Z.; Chao, G.; Constance, B. F.; Brown, N. A. Telbivudine versus lamivudine in patients with chronic hepatitis B. N Engl J Med 2007年, 第357巻. 2576-88頁
【非特許文献16】Angus, P.; Vaughan, R.; Xiong, S.: Yang, H.; Delaney, W.; Gibbs, C.; Brosgart, C.; Colledge, D.; Edwards, R.; Ayres, A.; Bartholomeusz, A.; Locarnini, S. Resistance to adefovir dipivoxil therapy associated with the selection of a novel mutation in the HBV polymerase. Gastroenterology 2003年, 第125巻, 292-7頁
【非特許文献17】Qi, X.; Xiong, S.: Yang, H.; Miller, M.; Delaney, W. E. t. In vitro susceptibility of adefovir-associated hepatitis B virus polymerase mutations to other antiviral agents. Antivir Ther 2007年, 第12巻, 355-62頁
【非特許文献18】Villeneuve, J. P.: Durantel, D.; Durantel, S.; Westland, C.; Xiong, S.; Brosgart, C. L.; Gibbs. C. S.; Parvaz, P.; Werle, B.; Trepo, C.; Zoulim, F. Selection of a hepatitis B virus strain resistant to adefovir in a liver transplantation patient. J Hepatol 2003年, 第39巻, 1085-9頁
【非特許文献19】Curtis, M.; Zhu, Y.; Borroto-Esoda, K. Hepatitis B virus containing the 1233V mutation in the polymerase reverse-transcriptase domain remains sensitive to inhibition by adefovir. J Infect Dis 2007年, 第196巻, 1483-6頁
【非特許文献20】Schildgen, O.; Sirma, H.; Funk, A.; Olotu, C.; Wend, U. C.; Hartmann, H.; Helm, M.; Rockstroh, J. K.; Willems, W. R.; Will, H.; Gerlich, W. H. Variant of hepatitis B virus with primary resistance to adefovir. N Engl J Med 2006年, 第354巻, 1807-12頁
【非特許文献21】Hadziyannis, S. J.; Tassopoulos, N. C.; Heathcote, E. J.; Chang, T. T.; Kitis, G.; Rizzetto, M.; Marcellin, P.; Lim, S. G.; Goodman, Z.: Ma, J.; Brosgart, C. L.; Borroto-Esoda, K.; Arterburn. S.; Chuck, S. L. Long-term therapy with adefovir dipivoxil for HBeAg-negative chronic hepatitis B for up to 5 years. Gastroenterology 2006年, 第131巻, 1743-51頁
【非特許文献22】Sherman, M.; Yurdaydin, C.; Sollano, J.; Silva, M.; Liaw, Y. F.; Cianciara, J.; Boron-Kaczmarska, A.; Martin, P.; Goodman, Z.; Colonno, R.; Cross, A.; Denisky, G.; Kreter, B.; Hindes, R. Entecavir for treatment of lamivudine-refractory, HBeAg-positive chronic hepatitis B. Gastroenterology 2006年, 第130巻, 2039-49頁
【非特許文献23】Tenny, D. J.; Pokornowski. K. A.; Rose, B. E.; al., e. Entecavir at five years shows long-term maintenance of high genetic barrier to hepatitis B virus resistance. Heptol Int 2008年, 第2巻, 302-303頁
【非特許文献24】Dienstag, J. L.; Goldin, R. D.; Heathcote, E. J.; Hann, H. W.; Woessner, M.; Stephenson, S. L.; Gardner, S.; Gray, D. F.; Schiff, E. R. Histological outcome during long-term lamivudine therapy. Gastroenterology 2003年, 第124巻, 105-17頁
【非特許文献25】Lok, A. S.; Lai, C. L.; Leung, N.; Yao, G. B.; Cui, Z. Y.; Schiff, E. R.; Dienstag, J. L.: Heathcote. E. J.; Little, N. R.; Griffiths, D. A.; Gardner, S. D.; Castiglia, M. Long-term safety of lamivudine treatment in patients with chronic hepatitis B. Gastroenterology 2003年, 第125巻, 1714-22頁
【非特許文献26】Choi, Y.; Lee, K.; Hong, J. H.; Schinazi, R. F.: Chu, C. K. Synthesis and anti-HIV activity of L-2'-fluoro-2',3'-unsaturated purine nucleosides. Tetrahedron Lett 1998年, 第39巻, 4437-4440頁
【非特許文献27】Chong, Y.; Choo, H.; Choi, Y.; Mathew, J.; Schinazi, R. F.; Chu, C. K. Stereoselective synthesis and antiviral activity of D-2',3'-didehydro-2',3'-dideoxy-2'-fiuoro-4'-thionucleosides. J Med Chem 2002年, 第45巻, 4888-98頁
【非特許文献28】Chong. Y.; Gumina, G.; Mathew, J. S.; Schinazi, R. F.; Chu, C. K. l-2',3'-Didehydro-2',3'-dideoxy-3'-fluoronucleosides: synthesis, anti-HIV activity, chemical and enzymatic stability, and mechanism of resistance. J Med Chem 2003年, 第46巻, 3245-56頁
【非特許文献29】Choo, FL; Chong, Y.; Choi. Y.; Mathew, J.; Schinazi, R. F.; Chu, C. K. Synthesis, anti-HIV activity, and molecular mechanism of drug resistance of L-2',3 '-didehydro-2',3'-dideoxy-2*-fluoro-4'-thionucleosides. J Med Chem 2003年, 第46巻, 389-98頁
【非特許文献30】Chu, C. K.; Ma, T.; Shanmuganathan, K.; Wang, C.; Xiang, Y.; Pai, S. B.; Yao, G. Q.; Sommadossi, J. P.; Cheng, Y. C. Use of 2'-fluoro-5-methyl-beta-L-arabinofuranosyluracil as a novel antiviral agent for hepatitis B virus and Epstein-Barr virus. Antimicrob Agents Chemother 1995年, 第39巻, 979-81頁
【非特許文献31】Lee, K.; Choi, Y.; Gullen, E.; Schlueter-Wirtz, S.; Schinazi, R. F.; Cheng, Y. C.; Chu, C. K. Synthesis and anti-HIV and anti-HBV activities of 2'-fluoro-2',3'-unsaturated L-nucleosides. J Med Chem 1999年, 第42巻, 1320-8頁
【非特許文献32】Lee, K.; Choi, Y.; Gumina, G.; Zhou, W.; Schinazi, R. F.; Chu, C. K. Structure-activity relationships of 2'-fluoro-2',3'-unsaturated D-nucleosides as anti-HIV-1 agents. J Med Chem 2002年, 第45巻, 1313-20頁
【非特許文献33】Wang, J.; Jin, Y.; Rapp, K. L.; Bennett, M.; Schinazi, R. F.; Chu, C. K. Synthesis, antiviral activity, and mechanism of drug resistance of D- and L-2',3'-didehydro-2',3'-dideoxy-2'-fluorocarbocyclic nucleosides. J Med Chem 2005年, 第48巻, 3736-48頁
【非特許文献34】Wang, J.; Jin, Y.; Rapp, K. L.; Schinazi, R. F.; Chu, C. K. D- and L-2',3'-didehydro-2',3'-dideoxy-3'-fluoro-carbocyclic nucleosides: synthesis, anti-HIV activity and mechanism of resistance. J Med Chem 2007年, 第50巻. 1828-39頁
【非特許文献35】Zhou. W.; Gumina, G.; Chong. Y.; Wang, J.: Schinazi. R. F.; Chu. C. K. Synthesis, structure-activity relationships, and drug resistance of beta-d-3'-fiuoro-2',3'-unsaturated nucleosides as anti-HIV Agents. J Med Chem 2004年, 第47巻, 3399-408頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−l)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、及びエプスタイン・バーウイルス(EBV)を治療するための抗ウイルス剤の探索は、現在も進行中のプロセスである。本発明は、それらのウイルス性疾患状態を標的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、次の構造の炭素環ヌクレオシド化合物、又はその薬理学的に許容される塩、エナンチオマー、水和物、若しくは溶媒和物に関する。
【0011】
【化1】

【0012】
ここで、Bは、次のいずれかである。
【0013】
【化2】

【0014】
ここで、Rは、H、F、Cl、Br、I、C1−C4アルキル(好ましくはCH3)、−C≡N、−C≡C−Ra
【0015】
【化3】

である。
【0016】
Xは、H、C1−C4アルキル(好ましくはCH3)、F、Cl、Br、又はIである。
aは、H又はC1−C4アルキル基である。
1及びRlaは、それぞれ独立に、H、アシル基、C1−C20アルキル基、C1−C20エーテル基、アミノ酸残基(D若しくはL)、リン酸基、二リン酸基、三リン酸基、ホスホジエステル基、又はホスホルアミダート基である。または、R1及びRlaは一緒になって、それらを結合する酸素と共に炭酸ジエステル基、ホスホジエステル基、又はホスホルアミダート基を形成する。
2は、H、アシル基、C1−C20アルキル基、C1−C20エーテル基、又はアミノ酸残基(D若しくはL)である。
【0017】
laは、好ましくはHである。好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立に、H又はC2−C20アシル基であり、より好ましくは両方がHである。一部の態様では、R1はホスホルアミダート基である。
【0018】
Bは、好ましくは次のものである。
【0019】
【化4】

【0020】
別の好ましい態様では、本発明の化合物は次の化学構造を持つ。
【0021】
【化5】

【0022】
ここで、Bは上述の通りであり、好ましくは次のものである。
【0023】
【化6】

【0024】
1、Rla、及びR2は、上述の通りである。2’位のフルオロ基(本発明の化合物では、α配置又はβ配置をとり得る)は、式中に示すようなβ(上向き)配置をとることが好ましいことに注意されたい。本発明の好ましい化合物はプロドラッグ形態であり、その場合のRlaは、本明細書において他に記載されたようにホスホルアミダート基であり、好ましくは、ホスホルアミダート基は、本明細書において他に記載されたようにアミノ酸由来である。
【0025】
さらに本発明は、薬理学的に許容される担体、添加剤又は賦形剤を任意で組み合わせた、有効量の上記化合物を含む医薬組成物に関する。医薬組成物の別の実施形態は、抗ウイルス剤と組み合わせた、有効量の本明細書において他に記載された炭素環ヌクレオシド化合物を含む。好ましい抗ウイルス剤は、例えば、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ビダリビン、リバビリン、帯状疱疹免疫グロブリン(ZIG)、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル、テルビブジン、クレブジン、テノホビル、及びそれらの混合物などである。
【0026】
さらに治療方法も、本発明の実施形態をなす。この態様は、型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−l)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、又はエプスタイン・バーウイルス(EBV)によってもたらされるウイルス感染を治療する方法又はウイルス感染確率を低下させる方法であり、治療の必要がある患者又は感染のおそれがある患者に、有効量の別に上記で記載した化合物を投与することを含む。
【0027】
好ましい方法では、本発明は、薬剤耐性(多剤耐性も含む)のHBV感染を含む、HBV感染の治療法に関する。薬剤耐性は、これまでに使用されている抗HBV薬のうち一つ又は複数に対する耐性であって、特にアデホビル耐性及び/又はラミブジン耐性を含む。
【0028】
追加的な抗ウイルス剤と組み合わせて本発明の化合物を使用する併用療法は、本発明の更なる態様である。好ましい抗ウイルス剤は、例えばアシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ビダリビン、リバビリン、帯状疱疹免疫グロブリン(ZIG)、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル、テルビブジン、クレブジン、テノホビル、及びそれらの混合物であり、本明細書に別に記載する他の薬剤も含む。薬剤耐性ウイルス感染(特にHBV及び/又はHCVを含む)を含むウイルス感染による線維症、肝硬変、又は肝臓癌を治療する方法、又はそれらの発症確率を低減する方法も、本発明の更なる態様である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】いくつかの従来の抗HBVヌクレオシド類及び抗HBVヌクレオチド類を示す構造式である。
【図2】(a)は、2’−エンド−南側配座をとったモデル化されたヌクレオシド16の低エネルギー配座異性体である(青色で示された)。この配座異性体は、最安定配座ではないが、それらの間でのエネルギー障壁は0.5kJ/molと低い。(b)配座異性体である2つの分子の間での類似性を示す構造16及び15の重ね合わせである。(c)同様に好ましくは2’−エンド−南側配座である、フッ化炭素環ヌクレオシド15(C:灰色、N:青、O:赤、F:緑、H:白)である。
【図3】糖シントン中間体10に至る一連の合成ステップを提供する合成スキーム1である。次の試薬及び条件を用いた。(a)参考文献33、34、40。(b)i)LDA、エシェンモーザー塩、THF、−78℃、ii)MeI、室温、iii)飽和NaHCO3溶液、室温。(c)NaBH4/CeCl3・7H2O、THF、−78℃。(d)NaH、BnBr、TBAI、THF、室温。(e)3規定HCl、MeOH、90℃。(f)TIPDSCl、Py、−30℃から室温。(g)DAST,CH2Cl2、室温。(h)i)Tf2O、Py、−30℃から室温、ii)CeOAc、18−クラウン−6、ベンゼン、50℃;iii)NaOMe、MeOH、室温。(i)i)TBAF/HOAc、THF、室温、ii)BZCl、Py、室温。(j)BCl3、CH2Cl2、−78℃。
【図4】ヌクレオシド化合物15に至る一連の合成ステップを提供する合成スキーム2である。次の試薬及び条件を用いた。(a)DIAD、Ph3P、6−クロロプリン、THF、室温。(b)NH3、MeOH、100℃、又はNaN3、DMF、H2O。(c)i)OsO4/NMO、アセトン/H2O、室温、ii)NaN3、DMF、140℃、iii)H2/Pd/C、EtOH、室温。(d)i)1−ブロモカルボニル−1−メチルエチルアセテート、アセトニトリル、−30℃から室温。ii)Zn/HOAc、DMF、室温。(e)DIBAL−H、CH2Cl2、−78℃。
【図5】化合物18に至る一連の合成ステップを提供する代替合成スキーム2である。化合物18は、実施例の項に記載されるように、野生型HBV及び変異型HBVに対する試験で使用された。次の試薬及び条件を用いた。(a)Jinら、The Journal of Organic Chemistry、2003年、第68巻、9012-9018頁を参照。(b)i)LDA、エシェンモーザー塩、THF、−78℃、ii)MeI、室温、iii)飽和NaHCO3溶液、室温。(c)NaBH4/CeCl3・7H2O、MeOH、−78℃。(d)NaH、BnBr、DMF、0℃。(e)TFA/H2O(2:1)、50℃。(f)TIDPSCl2/イミダゾール、DMF、0℃。(g)DAST、CH2C12、室温。(h)TBAF/AcOH、THF、室温。(i)BzCl、ピリジン、室温。(j)BC13、CH2C12、−78℃。
【図6】本明細書で別に開示する化学スキームの概略図である。本合成法は、D−リボースから出発して、本発明の化合物を合成する方法を提供する。
【図7】細胞内HBV−DNA複製試験での、ラミブジン薬剤耐性変異体及びアデホビル薬剤耐性変異体に対する、化合物18のインビトロでの抗HBV活性を示す。表1の説明文は、次の通りである。artLM/rtMVは、rt180M/rtM204V二重変異体である。bHBV−DNAの50%阻害に必要な有効濃度。c感染性ウイルス力価を90%減少させるのに必要な濃度。d記号「>」は、試験された最高濃度でも50%阻害に至らなかったことを示す。e3日後に無処理対照細胞の50%まで、MTT試験で測定した細胞生存率を減少させるのに必要な薬剤濃度。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次の定義が、本発明を説明するために使用される。本明細書で特に定義をしない場合には、その用語の意味は、その用語の使用の状況に合わせて、当業者がその用語に適用するものである。
【0031】
本明細書において、用語「化合物」とは、特に断りのない限り、本明細書に開示される任意の具体的な化合物を指し、通常はβ−Dヌクレオシド類似体を指すが、状況に合わせて、それらの互変異性体、位置異性体、幾何異性体、アノマー、当てはまる場合には鏡像異性体(エナンチオマー)、並びにそれらの薬理学的に許容される塩、溶媒和物、及び/又は多形体を含む。本明細書中での使用において、用語「化合物」は、通常は単一の化合物を指すが、その他の化合物、例えば、開示される化合物の立体異性体、位置異性体及び/又は鏡像異性体(ラセミ混合物を含む)並びに特定の鏡像異性体又は鏡像異性的に濃縮された混合物を含む場合もある。化合物に対して炭素数の範囲が与えられる場合には、この範囲は、あらゆる炭素のそれぞれが範囲の一部と考えられることを示す。例えば、C1−C20基は、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子など、20までの炭素原子を備えた基を表す。
【0032】
用語「患者」又は「対象」は、本発明の組成物による予防的処置を含む治療が提供される動物、好ましくはヒトを表すために本明細書を通じて用いられる。ヒトの患者といった特定の動物に特有の感染、状態又は病状の治療については、この用語「患者」は、その特定の動物を指す。特に断りのない限り、通常は本発明では、用語「患者」はヒトの患者を指す。本発明では、ヒトに加え、家畜(例えば、馬、牛、犬、及び猫など)を一般的な治療対象としてもよい。
【0033】
用語「B型肝炎ウイルス」又は「HBV」は、ヒトを含むヒト上科の肝臓に感染して肝炎と呼ばれる炎症ををもたらすウイルスを表すために使用される。元々は「血清肝炎」として知られたこの疾病は、これまでにアジア及びアフリカの地域で流行を引き起こしており、中国においては風土病である。全世界人口の約1/3の20億人以上がB型肝炎ウイルスに感染したことがある。これは、3億5千万人のウイルスの慢性感染者を含む。B型肝炎ウイルスの伝播は、感染血液又は血液を含む感染体液に対する暴露により生じる。急性疾患は、肝臓炎、嘔吐、及び黄疸を引き起こし、まれに死に至る。慢性B型肝炎は、現在の化学療法への反応が極めて不良な致死的疾患である、肝硬変及び肝臓癌を最終的に引き起こし得る。
【0034】
B型肝炎ウイルスは、ヘパドナウイルス(ヘパトトロピック(肝向性、hepatotrophic)に由来するヘパと、DNAウイルスであることによるドナ(dna))であり、それは部分的に二本鎖のDNAからなる環状ゲノムを有する。B型肝炎ウイルスは、逆転写によりRNAの中間形態を経て複製し、この点でレトロウイルスに類似している。複製は肝臓内で起こるが、その後ウイルスは血液に蔓延し、血液において感染者に血液にウイルス特異的タンパク質類及びそれらに対する抗体が見られる。これらのタンパク質及び抗体についての血液検査は、感染を診断するために利用されている。
【0035】
B型肝炎ウイルスへの感染により、肝硬変及び肝臓癌を発症し得る。B型肝炎ウイルスは、肝細胞として知られる肝臓の細胞内で複製することで主に肝機能を妨げる。その主要な伝播方法は、特定の地域における慢性HBV感染の有病率を反映する。米国本土及び西欧などの低流行地域では、慢性感染率が人口の2%未満であり、他の要因も重要であり得るが、注射薬物の乱用及び無防備な性交が主要な伝播方法である。東欧、ロシア、及び日本を含む中流行地域では、慢性感染率が人口の2%から7%であり、この疾病は主に小児に蔓延している。中国及び東南アジアなどの高流行地域では、出産時の伝播が最も一般的であるが、アフリカなどのその他の地域では、小児期の伝播が大きな要因である。ある地域では、慢性HBV感染の有病率は8%以上になることがある。
【0036】
B型肝炎ウイルスの伝播は、感染血液に対する暴露又は血液を含む感染体液に対する暴露によって生じる。伝播の考えられる形態は、無防備な性的接触、輸血、汚染した注射針及び注射器の再使用、並びに出産時における母から子への垂直感染などであるが、これらに限定されない。
【0037】
HBV感染の治療及び/又は防止において有用であることが示されており、かつHBV感染の治療のための本発明の2’−フルオロヌクレオシド化合物と併用できる化合物は、ヘプセラ(アデホビルジピボキシル)、ラミブジン、エンテカビル、テルビブジン、テノホビル、エムトリシタビン、クレブジン、バルトリシタビン、アムドキソビル、プラデホビル、ラシビル、BAM205、ニタゾキサニド、UT231−B、Bay41−4109、EHT899、ザダキシン(チモシンα1)、及びそれらの混合物である。HBVの「薬剤耐性」又は「薬剤耐性変異体」の用語は、上記の抗HBV薬の1つ以上(多剤耐性も含む)に対して耐性の全てのHBV株を含む。これらの株の例としては、特にHBV株のrtM204V、rtM204I、rtL180M、rtLM/rtMV(rtLl80M/rtM204V二重変異体)、及びrtN236Tである。本発明の化合物は、多剤耐性株を含む、あらゆるタイプの薬剤耐性HBV株に対して有効である。
【0038】
用語「C型肝炎ウイルス」又は「HCV」は、肝臓の感染症であるC型肝炎感染症を引き起こすウイルスを表す。この感染症は、無症状であることが多いが、ひとたび発症すると、慢性感染症は肝臓の瘢痕(線維症)、そして一般的に数年後に現われる進行した瘢痕(肝硬変)に進む。時として、肝硬変患者は、更に肝不全や、肝臓癌などの他の肝硬変併発症になる。
【0039】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、血液同士の接触により広まる。ほとんどの人は、初期感染後では症状があったとしてもわずかであるが、ウイルス自体は感染者の約85%で肝臓に留まっている。肝硬変又は肝臓癌を発症した感染者では肝移植が必要になる場合があるが、一般にウイルスは移植後に再発する。
【0040】
試算によれば、全世界で2億7千万人から3億人がC型肝炎ウイルスに感染しているとされる。C型肝炎は厳密なヒト疾病であり、チンパンジーでの実験は可能であるが、動物から又は動物へ移ることはない。急性C型肝炎は、HCVに感染後の初めの6ヶ月間を指す。感染者の60%から70%は、この急性期に症状を示さない。少数の患者では急性期症状が見られるものの、それらの症状は通常は軽症で非特異的であり、C型肝炎の特異的診断につながることは稀である。急性C型肝炎感染症の症状は、食欲不振、疲労、腹痛、黄疸、掻痒、及びインフルエンザ様症状などである。C型肝炎ウイルスは、通常は感染後1週間から3週間以内にPCRにより血中で検出可能であり、通常はC型肝炎ウイルスに対する抗体が、3週間から15週間以内に検出される。自発的なウイルス除去率には大きなばらつきがあり、肝臓酵素(アラニントランスアミナーゼ(ALT)及びアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST))並びに血漿のHCV−RNAの除去での正常化によって示されるように、HCV感染者の10%から60%が、急性期に身体からウイルスを除去する(これは自発的なウイルス除去として知られる。)。しかし、持続感染が一般的であり、大多数の患者は慢性C型肝炎を発現する(すなわち、感染が6ヶ月以上続く)。従来の診療では、急性感染に対しては治療を行わずに患者が自発的に除去するかどうかを見た。最近の研究によれば、慢性感染に必要とされる治療時間の半分で、遺伝子型1型感染の急性期に行う治療の成功率は90%より高いことを示している。
【0041】
慢性C型肝炎は、6か月以上持続するC型肝炎ウイルスへの感染として定義される。臨床的には無症候性である(症状を示さない)ことが多く、偶然に発見されることがほとんどである。慢性C型肝炎の自然経過には、人によってかなり異なる。ほぼ全てのHCV感染者に肝生検で炎症の兆候が見られるが、肝臓の瘢痕(線維症)の進行速度は、個人間で大きなばらつきを示す。このウイルスに対する試験が利用可能になってまだ間もないため、経時的リスクの正確な評価は確立が困難である。最近のデータは、未治療患者のおよそ3分の1が20年未満で肝硬変に進行し、別の3分の1が30年以内に肝硬変に進行することを示す。残りの患者は非常に遅く進行するようであり、生涯肝硬変を発症することがないと考えられる。一方、NIHのコンセンサスガイドラインは、20年以上の期間が経って肝硬変に進行するリスクは、3%から20%であると記載する。
【0042】
年齢(加齢はより進行を速める)、性別(男性は女性よりも疾患進行が速い)、飲酒量(疾患進行を速める)、HIV重感染(疾患進行を著しく速める)、及び脂肪肝(肝細胞中に脂肪が存在すると疾患進行が速まる)などの複数の因子が、HCV疾患の進行速度に影響することが報告されている。
【0043】
肝疾患を明確に示す症状は、肝臓の相当な瘢痕化が起こるまで一般的には見られない。しかし、C型肝炎は全身性疾患であり、患者は、進行した肝疾患を発症する前に、無症状からより症候性の疾病に及ぶ広範囲の臨床症状を経験し得る。慢性C型肝炎に伴う一般的な徴候及び症状は、疲労、インフルエンザ様症状、関節痛、掻痒、睡眠障害、食欲の変化、悪心、及びうつ病などである。
【0044】
ひとたび慢性C型肝炎が肝硬変へ進行すると、通常は肝機能低下又は門脈圧亢進症として知られる肝循環系の血圧上昇のいずれかによって引き起こされる徴候及び症状が発現し得る。起こり得る肝硬変の徴候及び症状は、腹水(腹部内での体液蓄積)、紫斑及び出血傾向、静脈瘤(特に胃及び食道内での拡張静脈)、黄疸、及び肝性脳症として知られる認知障害症候群などである。肝性脳症は、通常は健康な肝臓によって除去されるアンモニア及びその他の物質の蓄積を原因とする。
【0045】
C型肝炎に感染した肝臓は、肝臓検査において、ALT及びASTの変わりやすい上昇を示す。それらは、周期的に正常な結果を示すかもしれない。通常はプロトロンビン及びアルブミンの検査結果は正常であるが、ひとたび肝硬変が発症すると異常になり得る。肝臓検査での上昇レベルは、生検での肝損傷の量とあまり相関を示さない。ウイルス遺伝子型及びウイルス量もまた、肝損傷の量と相関しない。肝生検は、瘢痕化及び炎症の量を測定する最善の検査法である。超音波スキャン又はCTスキャンなどのX線検査は、損傷がかなり進行するまでは、常に肝損傷を示すわけではない。しかし、それぞれ肝線維症及び壊死性炎症を評価する「フィブロテスト(FibroTest)」及び「アクチテスト(ActiTest)」を利用する非侵襲的検査法(血液サンプル)が登場している。これらの検査法は、欧州では法的に有効とされて推奨されている(米国内ではFDA手続きが開始している)。
【0046】
慢性C型肝炎は、他の肝炎よりも、晩発性皮膚ポルフィリン症、クリオグロブリン血症(小血管性血管炎の一つの形態)、及び糸球体腎炎(腎臓炎)、特に膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)などのHCV感染に関係した肝外症状を伴う傾向がある。C型肝炎は、まれに乾燥症候群(自己免疫疾患)、血小板減少症、扁平苔癬、糖尿病、及びB細胞リンパ増殖性疾患を伴うこともある。
【0047】
HCV感染の治療及び/又は防止において有用であることが示されており、かつHCV感染の治療のために本発明の2’−フルオロヌクレオシド化合物と併用され得る化合物は、例えばNM283、VX−950(テラプレビル)、SCH50304、TMC435、VX−500、BX−813、SCH503034、R1626、ITMN−191(R7227)、R7128、PF−868554、TT033、CGH−759、GI5005、MK−7009、SIRNA−034、MK−0608、A−837093、GS9190、ACH−1095、GSK625433、TG4040(MVA−HCV)、A−831、F351、NS5A、NS4B、ANA598、A−689、GNI−104、IDX102、ADX184、GL59728、GL60667、PSI−7851、TLR9アゴニスト、PHX1766、SP−30、及びそれらの混合物、並びに本明細書に記載の他の抗ウイルス化合物である。
【0048】
用語「単純ヘルペスウイルス」、「単純ヘルペスウイルス1型」(HSV−1)、及び「単純ヘルペスウイルス2型」(HSV−2)は、ヘルペスウイルスファミリーであるヘルペスウイルス科の2つのウイルス種であって、ヒトでの感染をもたらす。他のヘルペスウイルス科と同様、単純ヘルペスウイルスは一生を通じての感染をもたらし得る。それらは、ヒトヘルペスウイルス1型及び2型(HHV−1及びHHV−2)とも呼ばれ、神経親和性で神経浸潤性のウイルスである。それらは、ヒト神経系に入って潜伏し、それが人体内でそれらの永続性の原因となる。これら2つのHSV株はそれぞれ、通常は他方の株と関係する地域で見られ得るが、HSV−1は一般的に、単純疱疹又は熱性疱疹として知られるような顔面のヘルペスの出現を伴い、一方でHSV−2は、陰部ヘルペスを伴うことが多い。
【0049】
単純ヘルペスウイルス感染、皮膚又は口、唇若しくは生殖器の粘膜における水疱で特徴付けられる。病斑は治癒して、ヘルペス性疾患の特徴を示す瘡蓋となる。しかし、感染は持続して症状が周期的に再発し、元の感染部位の近傍に潰瘍が発生し得る。初感染又は一次感染したHSVは、その部位の神経細胞体に潜伏するようになる。感染者の一部は、ウイルスの再活性化による散発的な期間を経験した後に、神経軸索を経由してウイルスが皮膚へと移動し、そこでウイルスの複製及び排出が起こる。ヘルペスが伝染性となるのは、保菌者がウイルスを生産して排出する場合である。これは、特に発生の間であろうが、他の時にも起こり得る。今のところ治療法はないが、ウイルス排出の可能性を下げる治療は存在する。
【0050】
用語「サイトメガロウイルス」、「CMV」、「ヒトサイトメガロウイルス」、及び「HCMV」は、ヘルペスウイルス群のヘルペスウイルス属を表すのに使用される。ヒトでは、一般的にHCMV又はヒトヘルペスウイルス5型(HHV−5)としても知られる。CMVは、ロゼオロウイルスも含むヘルペスウイルス科のベータヘルペスウイルス亜科に属する。その他のヘルペスウイルスは、アルファヘルペスウイルス亜科(HSV1、HSV2、及び水痘帯状疱疹ウイルスを含む)又はガンマヘルペスウイルス亜科(エプスタイン・バーウイルスを含む)に分類される(参考文献1)。全てのヘルペスウイルスは、体内に長期間潜伏する特徴的な能力を共有する。
【0051】
HCMV感染は、全身で見付けられ得るが、それは唾液腺に関係することが多い。HCMV感染は、免疫不全の患者にとっては生命に関わることもある(例えばHIV感染患者、臓器移植レシピエント、又は新生児)(参考文献1)。他のCMVウイルスが複数の哺乳動物種に存在しているが、動物から単離されたウイルス種は、HCMVとは異なるゲノム構造を持ち、ヒト疾患を引き起こすことは報告されていない。
【0052】
HCMVは、あらゆる地理的位置及び社会経済的集団に見られ、一般集団の多くにおける抗体の存在によって示されるように、米国内では成人の50%から80%(世界的には40%)で感染している。血清有病率は年齢依存的であって、6歳以上の人の58.9%がCMVに感染しており、80歳以上の人の90.8%がHCMV陽性である。HCMVは、発育中の胎児へ最もよく伝播されるウイルスでもある。HCMV感染は、発展途上国及び社会経済的地位の低い地域でより蔓延しており、先進国における出生異常の最も重大なウイルスの原因を示す。
【0053】
出生後にHCMVに感染したほとんどの健常者では、症状が現れない。一部の感染者は、長期の発熱を伴う感染性の単核細胞症/腺熱様症候群、及び軽症肝炎を発症する。咽頭痛が一般的である。感染後、ウイルスは一生、体内に潜伏する。薬剤、感染、又は老齢のいずれかにより免疫が抑制されなければ、明らかな疾患はめったに起こらない。無症候性であることが多いHCMVの初期感染に続いて、長期の不顕性感染が起こり、その間は明らかな健康障害又は臨床疾患を起こさずにウイルスは細胞内に存在する。
【0054】
感染性CMVは、感染者の体液中に排出されることで、尿、唾液、血液、涙、精液、及び母乳で検出され得る。このウイルス排出が断続的に生じて、徴候又は症状が検出できないことがある。
【0055】
用語「水痘帯状疱疹ウイルス」又は「VZV」は、ヒト(及び他の脊椎動物)に感染することが知られている8つのヘルペスウイルスの一つを表すのに使用される。VZVは一般的に、小児における水疱瘡、並びに成人における帯状疱疹神経痛及び帯状疱疹後神経痛の両方を引き起こす。水痘帯状疱疹ウイルスは、水痘ウイルス(chickenpox virus)、水疱ウイルス(varicella virus)、帯状疱疹ウイルス、及びヒトヘルペスウイルス3型(HHV−3)などの多数の別名で知られる。VZVの初感染は、水痘(chickenpox、varicella)をもたらし、それは稀に脳炎又は肺炎などの合併症をもたらす。水疱の臨床症状が消散した後であっても、VZVは、三叉神経節及び後根神経節において、感染者の神経系に潜伏し続ける(ウイルス潜伏)。約10%から20%の症例では、VZVはその後生きている間に再活性化し、帯状疱疹(herpes zoster又はshingles)として知られる疾病を引き起こす。帯状疱疹の重度の合併症としては、帯状疱疹後神経痛、多発性帯状疱疹、脊髄炎、眼部帯状疱疹、又は無疱疹性帯状疱疹などである。
【0056】
VZVは単純ヘルペスウイルス(HSV)と近縁関係にあり、多くのゲノム相同性を共に有する。VZVの既知のエンベロープ糖タンパク質の多くは、HSVでのものと対応する。VZVはHSVとは違って、HSV(単純ヘルペスウイルス)の潜伏化をもたらすのに重要な役割を果たすLAT(潜伏関連転写物)を生産しない。そのウイルスは、消毒剤、特に次亜塩素酸ナトリウムに対して非常に弱い。人体内において、本発明の化合物と一緒に、アシクロビル、帯状疱疹免疫グロブリン(ZIG)、及びビダラビンなどの多数の薬品及び治療薬で治療することができる。
【0057】
用語「エプスタイン・バーウイルス」又は「EBV」は、ヒトヘルペスウイルス4型(HHV−4)とも呼ばれるが、ヘルペスウイルス科のウイルスであって、ヒトにおいて最もありふれたウイルスの一つである。ほとんどの人がEBVに感染し、多くの場合で無症候性であり、しかし感染は、一般的に伝染性単核症(腺熱の別名でも知られる)を引き起こす。エプスタイン・バーウイルスは世界的に存在する。ほとんどの人が一生のどこかでEBVに感染し、したがって適応免疫を獲得し、EBV抗体により再感染による疾病の再発を防止する。米国では、35歳から40歳の成人のうち95%もが感染している。小児は、母性抗体による防御(出生時に存在する)が消失するとすぐに、EBVの影響を受け易くなる。EBV感染が思春期又は青年期に起こった場合、それは35%から69%の確率で伝染性単核症を引き起こす。
【0058】
用語「新生物」又は「癌」は、癌性又は悪性新生物、すなわち細胞増殖によって成長し、多くの場合で正常組織よりも増殖速度が速く、新生物を引き起こした刺激が停止した後も成長し続ける異常組織の形成及び増殖をもたらす病的過程を指すために本明細書において使用される。悪性新生物は、構造的構成及び正常組織との機能調整の部分的又は完全な欠如を示し、多くは周辺組織を冒し、複数の部位に転移し、除去を試みた後にも再発して適切に治療しない限りは患者の死をもたらす可能性が高い。本明細書において新生物の語は、全ての癌性の病態をを表すために使用され、悪性の血行性腫瘍、腹水腫瘍、及び固形腫瘍に関連した病的過程を含むか、又は完全に包含する。代表的な癌は、例えば、特に胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、子宮頸部癌、子宮体部癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、膀胱癌、腎癌、脳/CNS癌、頭頚部癌、咽頭癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、メラノーマ、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、肺小細胞癌、絨毛癌、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経芽腫、有毛細胞白血病、口腔癌/咽頭癌、鼻咽頭癌、食道癌、喉頭癌、腎臓癌、及びリンパ腫であり、本発明の化合物のうち1つ以上を用いて治療を行うことができる。本発明の特定の態様では、腫瘍又は癌の語は、肝細胞癌、リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、及び上咽頭癌を指し、それらはB型肝炎ウイルス(HBV)感染、C型肝炎ウイルス(HCV)感染、及び/又はエプスタイン・バーウイルス(EBV)感染に続発することが多い癌である。
【0059】
用語「腫瘍」は、悪性若しくは良性の腫瘍又は腫大物を表わすために使用される。
【0060】
用語「抗癌化合物」又は「抗癌剤」は、癌治療に用いられ得るいずれかの化合物を表わすために使用される。ウイルス感染の存在下で生ずる又はウイルス感染に続発する癌を治療するために、本発明で使用する抗癌化合物は、1つ以上の本発明の化合物と同時投与される。本発明の化合物と同時投与するために本発明で使用される抗癌化合物の例としては、多数の化合物が挙げられるが、これらは代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI及びII阻害剤、アルキル化剤、並びに微小管阻害剤(例えばタキソール)として広く特徴付けられる。本発明で使用する抗癌化合物は、例えば特に、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生菌、ベキサロテンカプセル剤、ベキサロテンゲル剤、ブレオマイシン、静注用ブスルファン、経口ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、ポリフェプロザン20カルムスチンインプラント、セレコキシブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、シタラビンリポソーム、ダカルバジン、ダクチノマイシン、アクチノマイシンD、ダルベポエチンα、ダウノルビシンリポソーム、ダウノルビシン、ダウノマイシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム、プロピオン酸ドロモスタノロン、エリオットB溶液、エピルビシン、エポエチンα エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド(VP−16)、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン(経動脈)、フルダラビン、フルオロウラシル(5−FU)、フルベストラント、ゲムツズマブオゾガマイシン、酢酸ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、酢酸メゲストロール、メルファラン(L−PAM)、メルカプトプリン(6−MP)、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、ミトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、ノフェツモマブ、LOddC、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ミトラマイシン、ポルフィマーナトリウム、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルブビジン(LDT)、タルク、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド(VM−26)、テストラクトン、チオグアニン(6−TG)、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン(ATRA)、ウラシルマスタード、バルルビシン、バルトルシタビン(モノバル−LdC)、ビンブラスチン、ビノレルビン、ゾレドロネート、及びそれらの混合物などである。
【0061】
用語「薬理学的に許容される塩」は、適用可能な場合には、化合物の溶解及び生物学的利用能を促進するために、患者消化管の胃液中における化合物の可溶性を増大させる本明細書に記載の化合物の1つ以上の塩形態を表わすのに本明細書を通して使用される。「薬理学的に許容される塩」は、適用可能な場合には、薬理学的に許容される無機又は有機の塩基及び酸の塩を含む。好適な塩は、薬理学分野で公知の種々の酸の中でも特に、カリウム及びナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、マグネシウム及びアンモニウム塩によるものなどである。ナトリウム塩及びカリウム塩は、本発明のリン酸塩の中和塩として特に好ましい。
【0062】
用語「薬理学的に許容される誘導体」は、患者への投与時に、直接的若しくは間接的に本発明の化合物又は本発明の化合物の活性代謝物を生ずる、薬理学的に許容されるいずれかのプロドラッグ形態(例えばエステル、エーテル、アミド、又はその他のプロドラッグ基)を表わすために本明細書を通して使用される。
【0063】
用語「アルキル」は、その状況に合わせて、C1−C20、好ましくはC1−C10の直鎖、分岐鎖、又は環状の完全飽和炭化水素ラジカルを意味し、それらは任意で置換されてもよい。炭素範囲が提供される場合には、その範囲は、あらゆる炭素がその範囲の一部と見なされることを意味する。例えば、C1−C20基は、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子などを備えた基を表す。用語「エーテル」は、任意で置換されたC1−C20エーテル基を意味し、1つの酸素と1つのアルキル基とから形成され、あるいは、アルキル鎖中又はアルキレン鎖中に少なくとも1つの酸素を含んでもよい。
【0064】
用語「芳香族」又は「アリール」は、その状況に合わせて、単環(例えばフェニル)又は縮合多環(例えばナフチル、アントラセン、フェナントレン)を有する置換された若しくは非置換の1価の炭素環芳香族ラジカルを意味する。他の例は、1つ以上の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を環内に有する任意で置換されたヘテロ環式芳香族基(「ヘテロ芳香族」若しくは「ヘテロアリール」)であり、好ましくは、特にイミダゾール、フリル、ピロール、フラニル、チエン、チアゾール、ピリジン、ピラジン、トリアゾール、オキサゾールなどの5又は6員環ヘテロアリール基を含むが、特にインドール基などの縮合環式ヘテロアリール基も含むことができる。本発明の化合物での好ましいアリール基は、フェニル基又は置換フェニル基である。
【0065】
用語「ヘテロ環」は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子などの炭素原子以外の少なくとも1つの原子を含む任意で置換された環状部分を意味し、それは飽和環及び/又は不飽和環であってよい。
【0066】
用語「非置換」は、水素原子のみで置換されたことを意味する。用語「置換」は、定義された化合物の化学的な状況において、ヒドロカルビル(これ自体が置換されてもよく、好ましくは、任意で特にアルキル基又はフルオロ基で置換され得る。)、好ましくはCF3などのアルキル(通常は、長さが約3炭素単位以下のもの)、任意で置換されたアリール、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、チオール、ヒドロキシル、カルボキシル、C1−C3アルコキシ、アルコキシカルボニル、CN、ニトロ、又は任意で置換されたアミン(例えばアルキレンアミン、C1−C3モノアル若しくはジアルキルアミン)から選択された置換基を意味する(各置換基自体も置換され得る)。任意で置換される部分は、3つ以上の置換基で置換されてもよいが、好ましくは置換基は3つ以下であって、1つ又は2つであることが好ましい。
【0067】
用語「アシル」は、ヌクレオシド類似体の5’位若しくは3’位(すなわち炭素環部分における遊離ヒドロキシル基の位置)における基、又はC1−C20直鎖、分岐若しくは環状アルキル鎖を含有するヌクレオシド塩基の環外アミン上にある基を表わすために、本明細書を通して使用される。アシル基とヒドロキシル基との組み合わせはエステルをもたらし、アシル基と環外アミン基との組み合わせはアミドをもたらし、これらは投与後に開裂して、本発明の遊離ヌクレオシドの形態を生じる。本発明のアシル基は次の構造式で示される。
【0068】
【化7】

【0069】
ここで、R4はC1−C20直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又はアルコキシアルキル(遊離ヒドロキシル基若しくはC1−C10アルキル基で終わり、分子量が約50から約40,000若しく約200から約5,000の範囲であるエチレンオキシド鎖を含む)であり、特にフェノキシメチル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば[(イソプロポキシカルボニル)オキシ]−メトキシ)、アリールオキシアルキルであり、これらは上述のようにそれぞれ任意で置換されてもよい。好ましいアシル基は、R4がC1−C12アルキル基である。本発明のアシル基はまた、例えば多くのものの中でも特に、安息香酸及び関連する酸、3−クロロ安息香酸、コハク酸、カプリン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から得られるアシル基を含み、メシラート基などのスルホン基のような関連基が含まれてもよい。本明細書で別に記載されるように、状況に合わせて、すべての基は適切に置換されてもよい。当業者は、本発明による目標の医薬化合物を合成するために又はヌクレオシドのプロドラッグとして、本発明において有用なアシル基を分かるであろう。
【0070】
用語「アミノ酸」又は「アミノ酸残基」は、状況に合わせて、アミノ酸のカルボン酸部分によって、シトシン塩基の4’環外アミンの位置又は糖シントンの5’−OH若しくは3’−OHの位置(R2、R1、あるいはRla)でヌクレオシド類似体に共有結合したD−アミノ酸のラジカル若しくはL−アミノ酸のラジカルを意味し、これによりそれぞれ、ヌクレオシドをアミノ酸と連結するアミド基又はエステル基を形成する。また、本明細書で別に記載するように、本発明のヌクレオシド化合物中にホスホルアミダート基をもたらすために、アミノ酸を用いることができる。代表的なアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の両方を含み、好ましくは、例えば特に、アラニン、β−アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシンなどである。
【0071】
用語「リン酸エステル」又は「ホスホジエステル」(この用語は、状況において、ホスホトリエステル基及びホスホルアミダート基を含む。)は、リン酸基が負に帯電し、若しくは中性を与えられる、すなわち中性電荷を有するように、モノエステル化又はジエステル化された(又はホスホルアミダートの場合に、アミド化及び任意でエステル化された)、炭素環糖シントンの5’位にある一リン酸基を表わすために、本明細書を通して使用される。本発明で用いられるリン酸エステル、ホスホジエステル、及び/又はホスホルアミダート基は、次の構造式を有するものを含む。
【0072】
【化8】

【0073】
ここで、R5及びR6は、特に、それぞれ独立にH、C1−C20直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、アルコキシアルキル基、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば[(イソプロポキシカルボニル)オキシ]−メトキシ)などの任意で置換されたアリール及びアルコキシから選択される。これらの基は、少なくとも1つのR5がHでない場合に任意で置換されてよく(例えば、フェニル基又は他の化学基が、本明細書に別に記載のように任意で置換されてよく、あるいは、好ましくは1つから3つのC1−C6アルキル基、ハロゲン(好ましくはF、Cl若しくはBr)、ニトロ、シアノ、又はC2−C6カルボキシエステル基で置換されてよい)。または、2つのR5基は一緒になって、ヘテロ5員環基又はへテロ6員環基を形成する。
【0074】
B’は、次の化学基
【0075】
【化9】

又はアミノ酸(天然アミノ酸又は非天然アミノ酸であって、例えば特に、アラニン、β−アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシンなど)から得られた基であって、好ましくは次の構造式の基を提供する。
【0076】
【化10】

【0077】
ここで、iは、0、1、2、又は3(好ましくは0)である。
7は、特に、C1−C20直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、C1−C20直鎖、分岐若しくは環状アシル基、アルコキシアルキル基、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキル基、任意で置換されたアリール基(上述のような)及びアルコキシであって、これらはそれぞれ任意で置換されてもよい。
8は、アミノ酸側鎖であり、好ましくは、アラニン、β−アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシンから選択されるアミノ酸の側鎖である(好ましくは、R8は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、又はスレオニンから得られる)。
R”は、C1−C20直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、フェニル基、又はヘテロアリール基であって、それぞれ任意で置換されてもよい。
【0078】
本発明のプロドラッグ形態に使用される好ましい一リン酸エステルは、R5がC1−C20直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、より好ましくはC1−C3アルキル基であり、これらのすべての基は、任意で置換されてもよい。
【0079】
用語「有効量」は、阻害、予防及び/又は治療であり得る投与又は使用の状況の中で、有効な本発明の化合物の量又は濃度を意味する。状況に合わせて、本発明で用いられるすべての活性化合物は、有効量で使用される。本発明の化合物は、使用されるその化合物のそれぞれを有効量含有する、化合物の組み合わせにも関する。その組み合わせの効果は、相加的であっても相乗的であってもよく、その化合物の組み合わせの全体的な効果は、患者体内のウイルス感染の増大を阻害し、その確率を低下し、又はそれを治療するものである。
【0080】
本発明の文脈において使用される用語「D型」は、非天然ヌクレオシド類又は「L」型と対照的な、天然の糖部分が持つ構造に類似する本発明のヌクレオシド化合物の構造を指すために使用される。用語「β」又は「βアノマー」は、ヌクレオシド塩基が化合物の炭素環部分の平面上側に構成(配置)された本発明のヌクレオシド類似体を表すために使用される。
【0081】
用語「鏡像異性的に濃縮」は、少なくとも約95%以上、好ましくは少なくとも約96%以上、より好ましくは少なくとも約97%以上、さらにより好ましくは少なくとも約98%以上、そしてさらにより好ましくは少なくとも約100%以上の1種類のエナンチオマーを含むヌクレオシドを表わすために本明細書を通して使用される。本発明の炭素環ヌクレオシド化合物は、通常はβ−D−ヌクレオシド化合物である。本発明の化合物が本明細書で言及される場合、特に断らない限りは、それはD−ヌクレオシド構造であって鏡像異性的に濃縮されたもの(好ましくはD−ヌクレオシドが約100%)とみなされる。
【0082】
用語「同時投与する」及び「同時投与」は、本発明の少なくとも1つのヌクレオシド化合物を、有効量と考えられる量又は濃度である少なくとも1つの他の薬剤、好ましくは本明細書に具体的に開示される他のヌクレオシドの抗ウイルス剤などの少なくとも1つの追加の抗ウイルス剤と組み合わせて、同時又はおおよそ同時に投与することを表わすために同義的に使用される。「同時投与」される薬剤は同時に投与されることが好ましいが、薬剤は、両方(又はさらに多数)の薬剤の有効濃度が少なくとも短時間、同時に患者に現れるような時間で投与されてもよい。あるいは、本発明の特定の態様では、同時投与された薬剤が、ウイルスを阻害及び前述の感染を治療する最終的な結果を伴って、患者において異なる時間に阻害効果を発現するようにすることが可能である。当然に、1つ以上のウイルス若しくは他の感染、又は他の症状が存在する場合には、本発明の化合物は、他の感染又は症状を治療する薬剤と組み合わされてもよい。特定の好ましい組成物及び方法では、本発明の炭素環ヌクレオシド化合物は、少なくとも1つの追加的な抗ウイルス剤と同時形成及び/又は同時投与される。好ましくは、抗ウイルス剤は、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ビダリビン、リバビリン、帯状疱疹免疫グロブリン(ZIG)、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル、テルビブジン、クレブジン、テノホビル、又はそれらの混合物である。HBV感染の場合、本発明の2’−フルオロ炭素環ヌクレオシド化合物は、好ましくは他の抗HBV薬と同時投与されてもよく、例えばヘプセラ(アデホビルジピボキシル)、ラミブジン、エンテカビル、テルビブジン、テノホビル、エムトリシタビン、クレブジン、バルトリシタビン、アムドキソビル、プラデホビル、ラシビル、BAM205、ニタゾキサニド、UT231−B、Bay41−4109、EHT899、ザダキシン(チモシンα1)、及びそれらの混合物と同時投与されてもよい。HCV感染の場合、本発明の2’−フルオロ炭素環ヌクレオシド化合物は、好ましくは他の抗HCV薬と同時投与されてもよく、例えば、NM283、VX−950(テラプレビル)、SCH50304、TMC435、VX−500、BX−813、SCH503034、R1626、ITMN−191(R7227)、R7128、PF−868554、TT033、CGH−759、GI5005、MK−7009、SIRNA−034、MK−0608、A−837093、GS9190、ACH−1095、GSK625433、TG4040(MVA−HCV)、A−831、F351、NS5A、NS4B、ANA598、A−689、GNI−104、IDX102、ADX184、GL59728、GL60667、PSI−7851、TLR9アゴニスト、PHX1766、SP−30、及びそれらの混合物と同時投与されてもよい。
【0083】
また別の実施形態、特にHBV治療、HCV治療、又はエプスタイン・バーウイルス治療の場合では、本発明の化合物は抗癌剤と同時投与されてもよい。
【0084】
用語「独立に」は、独立に適用される可変項が、適用ごとに独立して変化することを示すために本明細書において使用される。
【0085】
本発明は、次の構造式の炭素環ヌクレオシド化合物、又はその薬理学的に許容される塩、エナンチオマー、水和物若しくは溶媒和物に関する。
【0086】
【化11】

【0087】
ここで、Bは、次のいずれかである。
【0088】
【化12】

【0089】
ここで、Rは、H、F、Cl、Br、I、C1−C4アルキル(好ましくはCH3)、−C≡N、−C≡C−Ra
【0090】
【化13】

である。
【0091】
Xは、H、C1−C4アルキル(好ましくはCH3)、F、Cl、Br、又はIである。
aは、H又はC1−C4アルキル基である。
1及びRlaは、独立にH、アシル基、C1−C20アルキル基、C1−C20エーテル基、アミノ酸残基(D若しくはL)、リン酸基、二リン酸基、三リン酸基、ホスホジエステル基、又はホスホルアミダート基である。あるいは、R1及びRlaは一緒になって、それらが結合した酸素と共に、炭酸ジエステル基、ホスホジエステル基、又はホスホルアミダート基を形成する。
2は、H、アシル基、C1−C20アルキル基、C1−C20エーテル基、又はアミノ酸残基(D若しくはL)である。
【0092】
好ましくは、RlaはHである。また好ましくは、R1及びR2は、共にH又はC2−C20アシル基であり、より好ましくはHである。
【0093】
Bは、好ましくは次のものである。
【0094】
【化14】

【0095】
別の好ましい態様では、本発明の化合物は、次の化学構造式で示される。
【0096】
【化15】

【0097】
ここで、Bは上述の通りであり、好ましくは次のものである。
【0098】
【化16】

【0099】
1、R1a、及びR2は、別に上述した通りである。
【0100】
本発明は、任意で薬理学的に許容される担体、添加剤又は賦形剤と組み合わせた、有効量の上記化合物を含む医薬組成物にも関する。別の実施形態では、医薬組成物は、添加剤、担体又は賦形剤と組み合わせて、本明細書において別に記載されたような1つ以上の追加の抗ウイルス剤を含んでもよい。
【0101】
治療方法は、本発明の更なる実施形態を示す。この態様は、ウイルス感染又はその二次的な病態若しくは病状、特にHBV、HCV、HSV−1、HSV−2、CMV(HCMVを含む)、VZV、又はEBV感染によるウイルス感染を、その治療を必要とするか、その感染又は二次的な病態若しくは病状の危険がある患者において治療し又はそのおそれを低下させる方法であり、上記の有効量の化合物を投与することを含む。別の実施形態は、本発明の化合物を、追加の抗ウイルス剤と組み合わせて患者に同時投与することによる。
【0102】
本発明のヌクレオシド化合物を基にする医薬組成物は、治療患を必要とする患者におけるウイルス感染、特にHBV、HCV、HSV−1、HSV−2、CMV(HMCV)、VZV、若しくはEBV感染を治療し又はそのおそれを低下させるために、任意で薬理学的に許容される添加剤、担体、又は賦形剤と組み合わせて、有効量の1つ以上の上記化合物を含む。当業者は、治療される感染又は症状、その重症度、用いられる治療レジメン、使用される薬剤の薬物動態、及び治療される患者又は対象(動物又はヒト)に伴って、治療有効量が変化することを分かるであろう。
【0103】
本発明の薬理学的態様では、本発明の化合物は、好ましくは薬理学的に許容される担体との混合製剤として処方される。通常は、その医薬組成物を経口投与可能な形態で投与することが好ましいが、特定の処方が、非経口、静脈内、筋肉内、経皮、頬側、皮下、座薬又は他の経路で投与され得る。静脈内投与製剤及び筋肉内投与製剤は、好ましくは滅菌食塩水で投与される。場合によっては経皮投与が好ましい。当然ながら当業者は、本発明の組成物を不安定にすること及びそ治療活性を損なうことなしに、特定の投与経路用に種々の製剤を提供するために、本明細書の教示に従って製剤に変更を加え得る。特に、例えば、水中又は他の媒体中により可溶にする本発明の化合物の変更は、十分に当業者の能力の範囲内である軽微な変更(塩の製剤、エステル化など)によって達成できる。患者での最大の有益な効果に対して本発明の化合物の薬物動態を操作するために、特定の化合物の投与経路又は投与レジメンを変更することもまた、十分に日常的な仕事を行う人の能力の範囲内である。
【0104】
特定の薬剤の剤形では、特に本発明の化合物のアシル化(アセチル化など)誘導体及びエーテル(アルキル及び関連の)誘導体、リン酸エステル並びに種々の塩形態などの、本発明の化合物のプロドラッグ形態が好ましい。当業者は、宿主生物又は患者の標的部位への活性化合物の送達を促進するために、どのように本発明の化合物を容易にプロドラッグ形態に変更するかを分かるであろう。日常的な仕事を行う人もまた、適用できる場合には、化合物の意図された効果を最大化するために、宿主生物又は患者の標的部位に本発明の化合物を送達する際に、プロドラッグ形態の有益な薬物動態パラメータを利用するであろう。
【0105】
本発明の活性製剤が含有する化合物の量は、感染又は症状、特に本明細書に別に記載のウイルス感染を治療するための有効量である。概して、薬剤の剤形に含まれる本発明の化合物の治療有効量は、使用される化合物、治療される症状又は感染、及び投与経路に依存して、通常は一日当たり、患者の体重で、約0.05mg/kgから約100mg/kg又はそれ以上の範囲であり、より好ましくは、約1mg/kg弱程度から約25mg/kg又はそれよりかなり多い範囲である。本発明の活性ヌクレオシド化合物は、患者で薬剤が示す薬物動態に依存して、好ましくは約0.5mg/kgから約25mg/kgの範囲の量で投与される。この投与範囲は、通常は、患者における血液での約0.05μg/ccから約100μg/ccの範囲であり得る活性化合物の有効な血中濃度レベルをもたらす。本発明の目的のための、本発明の組成物の予防での有効量(すなわち、ウイルス感染する危険性がある患者のウイルス感染のおそれを低下させる効果がある量)は、治療有効量についての上記と同じ濃度範囲内であり、通常は治療有効量と同じである。
【0106】
活性化合物の投与は、継続投与(点滴)から一日当たり数回の経口投与(例えばQ.I.D.)又は経皮投与までわたり、特に経口、局所、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(浸透促進剤を含有してもよい)、頬側又は座薬投与などがあり得る。腸溶性の経口錠剤もまた、経口投与による本発明の化合物の生物学的利用能を増強するために使用できる。最も効果的な投与形態は、選択された特定の薬剤の生物学的利用能/薬物動態及び患者の疾患の重篤度に依存する。経口投薬形態は、投与が容易で有益な患者コンプライアンスが見込まれるので、特に好ましい。
【0107】
本発明の医薬組成物を調製するために、治療有効量の少なくとも1つの本発明の化合物が、好ましくは用量を作り出すために、従来の医薬配合技術に従って薬理学的に許容される担体とよく混ぜられる。担体は、投与、例えば経口又は非経口などのために望ましい製剤形態に依存して、多種多様な形態を取り得る。経口投与形態の医薬組成物を調製する際には、通常の製剤用媒質のいずれかを使用してもよい。そのため、懸濁剤、エリキシル剤及び溶液などの液体経口剤には、水、グリコール、オイル、アルコール、調味料、保存剤、及び着色料などの適当な担体及び添加剤が使用できる。粉薬、錠剤、カプセル剤などの固形経口剤及び座薬などの固形製剤には、澱粉、糖担体(グルコース、マンニトール、ラクトース及び関連する担体など)、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、製剤結合剤及び崩壊剤などの適当な担体及び添加剤が使用できる。必要に応じて、錠剤又はカプセル剤は、標準的な製剤方法を用いることによって、腸溶コーティングされても、徐放性であってもよい。これらの投薬形態の使用は、患者における化合物の生物学的利用を著しく増強し得る。
【0108】
非経口製剤については、担体は通常、滅菌水又は塩化ナトリウム水溶液を含むが、分散剤などの他の成分が含まれてもよい。当然ながら、滅菌水を使用し滅菌が維持される場合は、組成物及び担体も滅菌されなくてはならない。注射用懸濁液を調製することもでき、その場合には適当な液体担体、懸濁化剤などが使用されてもよい。
【0109】
薬理学的に許容される担体を製造するために、従来の方法でリポソーム懸濁液(ウイルス抗原を標的とするリポソーム)を調製してもよい。これは、本発明のヌクレオシド化合物の遊離ヌクレオシド、アシル/アルキルヌクレオシド、又はリン酸エステルのプロドラッグ形態の送達に適当であり得る。
【0110】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明の化合物及び組成物が、本明細書に別に開示されるウイルス感染症(HBV、HCV、HSV−1、HSV−2、CMV、VZV、及び/又はEBV)の治療、予防、又は発症遅延のために使用される。好ましくは、これらの感染、又はこれらのウイルス感染に続発する病態及び/若しくは病状(特に、HBV感染及び/又はHCV感染に続発する肝硬変、肝線維症、及び/又は肝臓癌)を治療、予防、又は発症遅延するために、本発明の組成物が、少なくとも一日に1回、好ましくは一日に4回まで、約250マイクログラムから約500mg又はそれ以上の範囲の量で、経口投与形態で投与される。本発明の化合物は、好ましくは経口投与されるが、非経口、局所又は座薬形態で投与されてもよい。
【0111】
本発明の化合物を、ウイルス感染、特にHBV、HCV、HSV−1、HSV−2、CMV、VZV及び/又はEBV感染などのウイルス感染を治療するために使用されるもう1つの化合物と同時投与する場合、投与される本発明の炭素環ヌクレオシド化合物の量は、同時投与される別の薬剤、阻害される各ウイルス感染に対するその効能、治療される症状又は感染、及び投与経路に依存して、患者の体重で、約1mg/kgから約500mg/kg又はそれよりかなり多い範囲である。同時投与の場合には、他の抗ウイルス剤は、好ましくは約100μg/kg(マイクログラム/キログラム)から約500mg/kgの範囲の量で投与され得る。特定の好ましい実施形態では、これらの化合物は、通常は患者におけるこれら2種類の薬剤の薬理動態に依存して、好ましくは約1mg/kgから約50mg/kg又はそれ以上(通常は約100mg/kg以下)の範囲の量で投与され得る。これらの用量範囲は、通常、患者における活性化合物の有効な血中濃度レベルをもたらす。本発明の化合物と同時投与され得る代表的な抗ウイルス剤は、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ビダリビン、リバビリン、帯状疱疹免疫グロブリン(ZIG)、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル、テルビブジン、クレブジン、テノホビル、及びそれらの混合物などである。HBV感染を治療する場合、本発明の2’−フルオロ炭素環ヌクレオシド化合物と併用するのに好ましい化合物は、例えばヘプセラ(アデホビルジピボキシル)、ラミブジン、エンテカビル、テルビブジン、テノホビル、エムトリシタビン、クレブジン、バルトリシタビン、アムドキソビル、プラデホビル、ラシビル、BAM205、ニタゾキサニド、UT231−B、Bay41−4109、EHT899、ザダキシン(チモシンα1)、及びそれらの混合物などである。HCV感染の場合、本発明の2’−フルオロ炭素環ヌクレオシド化合物は、好ましくは他の抗HCV薬、例えばNM283、VX−950(テラプレビル)、SCH50304、TMC435、VX−500、BX−813、SCH503034、R1626、ITMN−191(R7227)、R7128、PF−868554、TT033、CGH−759、GI5005、MK−7009、SIRNA−034、MK−0608、A−837093、GS9190、ACH−1095、GSK625433、TG4040(MVA−HCV)、A−831、F351、NS5A、NS4B、ANA598、A−689、GNI−104、IDX102、ADX184、GL59728、GL60667、PSI−7851、TLR9アゴニスト、PHX1766、SP−30、及びそれらの混合物と同時投与されてもよい。
【0112】
本発明の化合物は、ウイルス感染を予防し若しくはその可能性を低減し、ウイルス感染に伴う臨床症状の発生を予防し若しくはその可能性を低減し、又は他人へウイルス感染が広がることを予防し若しくはその可能性を低減するために、予防的に有益に使用することができる。よって、本発明は、HBV、HCV、HSV−l、HSV−2、CMV、VZV、及び/又はEBV感染の予防的治療の方法も包含する。本発明のこの態様では、本発明の組成物は、ウイルス感染、ウイルスに関連した病態若しくは病状(例えば肝硬変、肝線維症、及び/又は肝臓癌)、又は他人へのウイルス感染の広がりの予防、可能性の低減、及び/又は発症遅延のために使用され得る。この予防的方法は、そのような処置を必要とする患者、HBV、HCV、HSV−l、HSV−2、CMV、VZV、及び/若しくはEBV感染(ウイルスに関連した病態若しくは病状も含む)の危険にある患者、又はウイルス感染が他人に伝播することを予防若しくはその可能性を低減することを望む感染患者に、本発明の化合物の所定量を単独で又はウイルス感染を緩和、予防、又は発症遅延するためのもう1つの抗ウイルス剤と組み合わせて投与することを含む。本発明の予防的治療では、用いる抗ウイルス化合物の毒性が低いことが好ましく、好ましくは患者に無毒である。本発明のこの態様では、使用される化合物がウイルスに対して可能な限り最大の効果を示し、かつ患者に対して可能な限り最小の毒性を示すことが特に好ましい。本発明の化合物をウイルス感染の予防的治療に用いる場合には、これらの化合物は、予防薬としてウイルス感染の蔓延を予防し、又は患者がかかっているウイルス感染が臨床症状を現す発症を遅延し若しくは可能性を低減するために、治療的処置と同じ用量範囲で(すなわち、約250マイクログラムから約500mg又はそれ以上、経口投薬形態に関して一日1回から4回投与)投与されてもよい。
【0113】
さらに、本発明の各化合物は、単独で投与されても、本発明の他の化合物を含む他の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。本発明のいくつかの化合物は、他の化合物の代謝、異化、又は不活性化を低下することによって、本発明のいくつかの薬剤の生物活性を増強する効果があり得る。よって、この効果を意図して同時投与される。
【0114】
<化学合成>
概して、本発明の組成物は、D−リボースから出発し、添付の図3、4、及び5に示されるスキームI、II、及び代替スキームIIに従って容易に合成される。このスキームでは、先ず一連の化学反応ステップによって、D−リボースを図3のスキーム1に記載された保護された5員炭素環(化合物10)に変換する。スキームIに従って、化合物10は次に、ヌクレオシド塩基(図中では6−クロロアデニン)を縮合して化合物11を作り、それが続いて図示のようにアミン基へ変換されて化合物15を作ることによって、本発明の化合物(化合物15)に変換される。代替スキームII(図5)では、化合物15(そのスキームでは化合物18と表示される)が、図5の代替スキームII(図5)に概略が示された代替的な方法を用いて化合物10から合成される。本発明の各化合物は、図3、4、5に示された通常の化学反応スキームに従った類推によって作り出すことも可能である。
【0115】
上述のように調製したそれぞれの炭素環ヌクレオシド化合物は、種々の基を炭素環部分の2’、3’、及び/又は5’位のヒドロキシル基に導入するか、あるいはシトシン塩基の4’位で環外アミンに導入する標準的な合成化学反応を用いて、容易に本発明のプロドラッグ形態又は代替の形態(例えば、本明細書に別に記載されたのアシル化誘導体、リン酸エステル誘導体、又はホスホジエステル誘導体など)に変換されることができる。アシル化は、公知の合成法(酸無水物、酸ハロゲン化物など)によって行われ、リン酸化は、、当分野で公知の標準的な化学的手法を用いて行うことができる。
当業者は、本明細書に示された具体的な化学反応ステップを用いることにより、又は類推の方法により、文献における化学反応ステップ又はその類推によって、本発明の化合物を容易に合成することができるであろう。
【0116】
炭素環ヌクレオシドの合成においては、所望の炭素環式化合物を好収率かつ好割合で構築することが困難であることが多い。6’−環外アルケンを持つ炭素環コアの合成を目的とした報告は、ブリストル・マイヤーズスクイブ社のエンテカビル合成プロトコル、又はラジカル環化反応によるものなど、わずかしか存在していない(参考文献36−39)。しかし、これらの手法は、炭素環の2’位を修飾するのにはあまり適していない。最近、重要な中間体1の効率的かつ実用的な合成法が、本発明者のグループによって完成された(参考文献33、34、40)。したがって、2’−F−6’−メチレン炭素環ヌクレオシドを作るために、別の経路(スキーム1及び2)が開発された。
【0117】
さらに具体的には、シクロペンタノン1が公知の方法によって作られた(参考文献33、34、40)。化合物1のエノラートとエシェンモーザー塩との反応によって、N,N−ジメチルアミノメチル基がケトンのα位に生じた。ホフマン脱離後、6’−メチレンがかなりの収率で生じた。α面に立体障害があるため、α,β−不飽和ケトン2を典型的なルーシェ還元条件で還元すると、専らα−ヒドロキシル化合物3が得られた。アリル型アルコールをベンジル基で保護することで、シクロペンタン1からの収率43%で、スムーズに化合物4が得られた。酸性条件下でアセトニド基とtert−ブチル基とを同時脱保護すると、トリオール5が得られた(収率85%)。トリオール5をピリジン溶液中のジクロロテトライソプロピルジシロキサン(TIPDSCI)で処理し、3’及び5’位が保護された化合物6が高収率で得られた。化合物6での遊離2’−α−OHは、フッ化反応可能である。さらに、化合物6にトリフラート化、SN2置換及び脱アセチル化を含む3ステッププロトコールを施すと、2’−α−F異性体の生成に使用可能である2’−β−OH化合物7が得られた(収率81%)。化合物6と三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)との反応により、主要産物として2’−β−F化合物7が得られた。しかし、シリル基存在下においてバーチ還元条件又はルイス酸条件で続けて行った脱ベンジル法は、成功しなかった。そこで、標準的な方法を用いて前記のシリル基をベンゾイル基で置換し、化合物10を得た。次に、化合物10を三塩化ほう素(BCl3)によって−78℃で処理し、ようやく中間体11(収率89%)を作り出すことに成功した(スキーム1)。
【0118】
化合物12の構成は、標準的な光延条件により(参考文献33、34)、化合物11を6−クロロプリンで処理することにより達成された(トリフェニルホスフィン及びジイソプロピルアゾジカルボキシレートの存在下、THF中、0℃から室温、1時間)。アンモニア飽和メタノールによって、塩素原子を直接アミノ化してアミノ基にし、同時にベンゾイル基を加水分解しようとしたが、残念ながら成功しなかった。このような条件ではHF1分子が脱離することが、1H−NMR及び19F−NMRで確認された。興味深いことに、シュタウディンガー反応のような非常に穏やかな条件であっても、変換は成功しなかった。恐らく6’−メチレン基が1’−プロトンを活性化してトランス位脱離反応を引き起こし、安定なジエンが形成されたと推測された。6’−メチレン基の影響を回避するためには、一時的な保護が好ましい。環外アルケンのジヒドロキシル化を四酸化オスミウム/NMOを用いて行い、化合物12のジアステレオマー混合体を得た。化合物12からアデニン誘導体13への変換は、アジ化ナトリウムとの反応後にH2還元することで予想通りスムーズに進行した(収率62%)。ジオールからオレフィンを再生するために、複数の条件を検討した。1,3−ジオキソラン−2−チオンを1,3−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジアザホスホリジンで脱硫するコーリーのオレフィン合成法は、条件が穏やかでかつ効果的であるため、よく知られている(参考文献41)。しかし、本発明者がこの条件を化合物13に適用した場合には、複雑な反応混合物のみが生じた。2−メトキシ−1,3−ジオキソラン誘導体を無水酢酸中で加熱する別の一般的な方法もまた、本実験では失敗に終わった(参考文献42)。これは、反応温度が高温であるためかもしれない。最後に、本発明者は、2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジヒドロヌクレオシド類又は2’,3’−ジデオキシヌクレオシド類の合成に広く使用されている還元脱離プロトコールをが採用した(参考文献43−45)。ジオール13を1−ブロモカルボニル−1−メチルエチルアセテートと−30℃から室温で反応させ、続いてDMF中の活性亜鉛金属と反応させた(触媒量のHOAc存在下、室温、8時間)。6’−メチレン基を持つ所望のヌクレオシド14が、2ステップで得られた(収率68%)。本発明者のこれまでの経験に基づいて、6’−メチレン基と2’−Fとが同時に分子状に存在しているので、塩基性条件は化合物14のベンゾイル保護基を除去するのに適さないと考えられた。そのため、還元開裂法を用いた。化合物14を、CH2Cl2中の水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)によって−78℃で30分間処理した後、最終的に目標化合物であるアデノシン類似体15が収率76%で得られた(スキーム2)。新規に合成したヌクレオシド類の構造帰属は、NMR、元素分析、高分解能質量分析、及び紫外分光により行われた。
【0119】
別の方法によっても、化合物15を合成することができ(図5の代替スキームIIでは化合物18として示される)、代替化学合成(図5)で示された合成ステップが使用された。複数の方法を用いて化合物18(図4の化合物15に同じ)を合成した。標準的な光延条件下で化合物10を6−クロロプリンと縮合し、化合物11を得た(収率76%)。しかし、アンモニア飽和メタノールで化合物11をアミノ化して対応するアデニン誘導体13を得ようとしたところ、成功しなかった。単離されたのは副産物12のみであり、これはおそらく塩基性条件下でHFが失われたことにより形成された。脱離反応産物12の安定性である共役ジエンが、副反応を促進する推進力であることが推測された。そのため、環外二重結合を一時的に保護する必要があった。そこで、化合物11を四酸化オスミウム/NMOで処理することで、化合物14を得た(収率41%)。これをNaN3で処理し、次にH2還元してアデニン誘導体15aを得た(収率62%)。化合物15aを1−ブロモカルボニル−1−メチルエチルアセテートで還元脱離し、続いて触媒量のAcOH存在下での活性亜鉛によって、所望のヌクレオシド13が得られた(収率68%)。
【0120】
経路1は多段階合成であって化合物13の収率も低いため、最近になって本発明者は合成法を経路2に改良した。N−Boc保護したアデニン16を文献(参考文献15)で公表されたプロトコールに従って合成し、化合物10と縮合して化合物17を得た(収率76%)。Boc基の脱保護をTFAによって行い、化合物13を得た(収率82%)。最後に化合物13をDIBAL−Hで処理して、目標化合物18(化合物15)を得た(収率76%)。化合物15/18の分析データは、下記の実施例に記載する。
【0121】
ここに示されるのは、遊離ヌクレオシド(上述の化合物15/18)をホスホルアミダートプロドラッグである2’−デオキシ−2’−フルオロ−3’−ヒドロキシ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−メチレン−炭素環アデノシン(2’−FMCA)一リン酸プロドラッグに変換するための例示の合成法である。試薬及び条件は次の通りである。ステップ(a)(Et)3N、−78℃、CH2Cl2。ステップ(b)化合物18、NMI(N−メチルイミダゾール)、THF、室温。
【0122】
【化17】

【0123】
<HBV−WT株及びHBV変異株に対する抗ウイルス活性>
ラミブジンは、最も早くに認可された抗HBVヌクレオシドであって、HBV治療分野の飛躍的進歩につながった。ラミブジンでの患者の治療は、プラセボ群に比べて、血清中のHBV−DNAレベルの著しい低下、血清学的変更、及び組織学的改善に関連することが多い(参考文献11、46)。しかし、ラミブジン耐性変異の頻度は比較的高く(5年間治療後に70%)、それはラミブジンの臨床効果を限定する(参考文献11−14)。主要な変異はrtM204V/Iであって、その他の変異は、rtV173L、rtL180M、及びrtL80Iなどである(参考文献9、10)。構造的な観点からは、rtM204V/Iは、Val/Ile204の側鎖とラミブジンのL−糖環との間の立体障害により耐性を誘発する(参考文献47、48)。同じL型であることを考慮すると、テルビブジンが、ラミブジンの耐性との交差耐性を示すことは必然である(rtM204Iなど)(参考文献15)。別の臨床的に重要なHBV変異はrtN236Tであり、それはアデホビル治療に関連し、5年間の治療後には29%の比率で見られる(参考文献16−18)。分子モデリングによる解析は、236番コドンでのAspからThrへの変異は、アデホビル二リン酸のγ−リン酸基と元のAsp236との間での水素結合が失われることをもたらし、それが結合親和性を低下させ、それによりrtN236T変異体に対するアデホビルの抗ウイルス活性が弱まることを示す(参考文献49、50)。
【0124】
抗HBV治療の臨床適用におけるラミブジン耐性変異及びアデホビル耐性変異の重要性に鑑みて、合成したヌクレオシド15が、HBV−WT、ラミブジン耐性変異体、及びアデホビル耐性変異体に対して試験された。スクリーニングデータを表1にまとめる。ヌクレオシド15は、HBV−WTに対して強力な抗ウイルス活性を示し、50%有効濃度(EC50)が1.5μM、90%有効濃度(EC90)が4.5μΜであった。興味深いことに、ヌクレオシド15は、rtM204V/I±rtL180Mを含むラミブジン耐性変異体に対しても有効である。増加倍率はおよそ1.0倍から1.2倍であって、これはアデホビルに匹敵する。さらに、化合物15は、アデホビル変異体(rtN236T)に対しても全く活性を低下しなかった(EC90値で4.6μΜ)。
【0125】
化合物15(図5の化合物18と同一。化合物15/18ともいう。)の構造は、2’位に追加のβ−フッ素原子が存在することを除き、承認された抗HBVヌクレオシドであるエンテカビルに類似する。本発明者の分子モデリングから示されるように(下記参照)、2つのヌクレオシドの低エネルギー配座異性体の立体配座もまた、類似する。しかし、エンテカビルの活性は8倍低下するが(参考文献50)、フッ化ヌクレオシド15は、すべての試験されたラミブジン耐性変異体について交差耐性を示さない。詳細なメカニズムはまだ不明だが、2’−フッ素置換が非常に重要だと考えられる。
【0126】
合成したヌクレオシド15/18が、その抗ウイルス活性について、インビトロで野生型HBV及び薬剤耐性変異体に対して評価された。結果を下記の表1にまとめる。化合物15/18はアデニン類似体の誘導体であるので、炭素環部分はエンテカビルに似ているが、発明者は、抗ウイルス活性をグアニン類似体であるエンテカビルではなくアデホビルと比較した。抗HBV評価によると、化合物15/18は、野生型HBVに対して顕著な抗HBV活性を示し、EC50値で1.5μΜであった。抗ウイルス効果は、ラミブジンの1/7であるが、アデホビルと同様であった。野生型HBV−DNAを90%阻害するのに必要な化合物濃度(EC90)は4.5μΜであり、アデホビル(7.1μΜ)の1.5倍以上の効果である。
【0127】
化合物15/18はまた、HBVのラミブジン関連変異体及びアデホビル関連変異体の両方に対しても優れた活性を示した。化合物15/18は、アデホビル変異体rtN236Tに対し、EC50値(1.7μΜ)は4.5倍増強されており、EC90値(4.6μΜ)は7.8倍以上良好であることが分かった。rtM204V及びrtM204Iについては、化合物18のEC50値は、それぞれ1.8μΜ及び1.0μΜであった。rtM204V変異体については、アデホビル及び化合物15/18の効果は同様であるが、しかしrtM204Iについては、EC50値及びEC90値において、化合物15/18がアデホビルよりも効果があった。rtL180M変異体については、化合物15/18の抗ウイルス活性は、EC50値においてラミブジンと同様であった(2.1対1.5)が、EC90値(5.1対22.0)において、化合物15/18は4.3倍の抗ウイルス活性を示した。その変異体に対して、化合物15/18は、EC50値及びEC90値の両方において、アデホビルよりも効果があった。
【0128】
化合物15/18は、rtL180M/rtM204V二重変異体に対しても試験され、EC50値は2.2μΜであってアデホビルと同等であったが、EC90値(5.5μΜ)は、アデホビル(8.5μΜ)よりも効果があることを示した。
【0129】
<分子モデリング>
ヌクレオシド15/18の化学構造はエンテカビルに類似する一方で耐性プロファイルは異なる事実に鑑みて、本発明者は分子モデリングによる解析を行い、可能なメカニズムの解明を試みた。本発明者が行った配位探索では、エンテカビルがそのアデニン類似体16についてモデル化され、やはりアデニン誘導体である合成されたヌクレオシド15と比較された。モンテカルロ法による配座探索は、実際の生物学的環境を模倣するために、GB/SA連続体水モデルの存在下でMMFFを用いて実施された。詳細な擬似回転パラメータの計算は、PROSITを用いて行った(参考文献51)。
【0130】
計算によれば、化合物15は、南側の2’−エンド糖の立体配座をとり、アンチ(anti)塩基配置を備える(図2の構造15)。モデル化された化合物16でも、南側の2’−エンド糖の立体配座が好ましいが、最小エネルギーの配座異性体ではシン(sin)塩基配置であり(図2に構造は示されない)、0.5kJ/molの低いエネルギーコストでそれは容易にアンチ配置(図2の構造16)に変換される。立体配座パラメータ値の詳細なリストを表2に示す。糖の立体配座の解析は、化合物16の南側配座の2’−エンド配座異性体と北側配座の3’−エンド配座異性体との間のエネルギー差は4.8kJ/molであり、一方でヌクレオシド15における同エネルギー差はわずか4.0kJ/molであり、これは部分的に2’−F置換の効果によると考えられることを明らかにした。したがって、南側配座と北側配座との間のエネルギー障壁が低いため、2つの立体配座間の相互変換は、化合物16よりもフッ化ヌクレオシド15で容易である(表2)。立体配座がある程度可撓性であるため、化合物15がポリメラーゼ活性部位内でその位置を微調整でき、変異が生じても化合物15の強固な結合は維持される。化合物15の活性がラミブジン耐性変異体及びアデホビル耐性変異体に対しても保持されることは、これによって説明できる。実際に、フッ素置換の影響は、同じく2’−Fヌクレオシドであるクレブジンにおいても観察されている(参考文献52)。
【0131】
以下の実施例において、純粋な実例として本発明を説明する。これらの実施例は何も限定するものではなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく細部の変更がなされ得ることは、当業者に理解されよう。
【実施例】
【0132】
<実験方法(化学合成)>
全般的な方法
融点の測定はメルテンプII装置で実施し、補正は行わなかった。核磁気共鳴スペクトルの記録には、バリアンマーキュリー400スペクトロメータ(400MHz/1H−NMR、100MHz/13C−NMR)又はバリアン・イノーバ500(Varian Inova 500)スペクトロメータ(500MHz/1H−NMR、125MHz/13C−NMR)を使用した(テトラメチルシランを内部標準に用いた)。化学シフト(□)はs(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、又はbs(ブロードな一重線)として示す。UVスペクトルは、ベックマン社製DU−650スペクトロメータで記録された。旋光度は、ジャスコ(Jasco)社製DIP−370デジタル旋光計で測定された。高分解能マススペクトルは、マイクロマス社製オートスペック(Autospec)高分解能質量分析計で記録された。TLCは、アナルテク社(Analtech Co.)から購入したユニプレート(Uniplates)(シリカゲル)で実施された。カラムクロマトグラフィーは、フラッシュクロマトグラフィー用のシリカゲル−60(220−440メッシュ)又はバキュームフラッシュカラムクロマトグラフィー用のシリカゲルG(TLC等級、>440メッシュ)のいずれかを用いて実施された。元素分析は、アトランティックマイクロラボ社(Atlantic Microlab Inc.)(ジョージア州ノークロス)によって実施された。
【0133】
(−)−(3aR,4S,6R,6aR)−4−(ベンジルオキシ)−6−(tert−ブトキシメチル)−2,2−ジメチル−5−メチレンテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール(4)
化合物1(8.4g、34.6mmol)(参考文献33、34、40)を混合したTHF溶液に対して、リチウムジイソプロピルアミン(2.0M溶液、19.1mL、38.1mmol)を−78℃でゆっくりと添加した。同温度で3時間撹拌した後、エシェンモーザー塩(25.9g、138.4mmol)を一度に添加した。この混合物を同温度でさらに3時間撹拌してから、室温で一晩撹拌した。次にヨードメタン(108.8mL、1.73mol)を添加して室温で4時間撹拌した後、10%NaHCO3水溶液(100mL)でクエンチした。この混合物を1時間撹拌した後、ジエチルエーテル(2×400mL)で抽出した。エーテル抽出物をまとめて、10%NaHCO3水溶液で洗浄し、次にブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過して真空で濃縮した。残渣をバキュームシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:30から1:10)で精製し、オイル(4.6g)を得た。これをMeOHに溶解し、CeCl3・7H2O(7.5g、19.6mmol)によって10分間室温で処理した。冷却して−78℃にした後、NaBH4(0.75g、20.0mmol)をゆっくりと添加した。この反応物を同温度で20分間維持し、HOAcでクエンチした。溶媒を真空で除去し、残渣をEtOAcに溶解し、H2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧除去し、残渣をバキュームシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:30から1:10)で精製し、白色固体(4.0g)を得て、それを次のステップにそのまま用いた。最後のステップで得られた白色固体(8.0g、31.2mmol)をTHFに溶解し、NaH(60%、1.62g、40.5mmol)によって15分間室温で処理した。続いて臭化ベンジル(4.81mL、40.5mmol)及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)を添加し、この混合物を撹拌した(3.5時間、40℃)。氷水でクエンチした後、混合物をEt2O中に移し、H2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧除去し、残渣をバキュームシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:30から1:20)で精製し、所望の化合物4(9.7g、化合物1に対する収率43%)を得た。[α]24D−121.09ー(c0.83,CHCl3);1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.43−7.26(m,5H)、5.28(d,J=1.0Hz,1H)、5.07(t,J=1.0Hz,1H)、4.83(d,J=12.0Hz,1H)、4.68(d,J=13.0Hz,1H)、4.56(t,J=5.5Hz,1H)、4.44(t,J=1.0Hz,1H)、4.32−4.30(m,1H)、3.42(dd,J=4.0及び8.5Hz,1H)、3.21(dd,J=5.0及び8.5Hz,1H)、2.59−2.57(m,1H)、1.46(s,3H)、1.34(s,3H)、1.02(s,9H);13C−NMR(125MHz,CDCl3)δ150.6、138.6、128.3、127.8、127.6、110.8、108.9、81.3、79.7、78.5、72.6、71.8、64.5、49.9、27.3、26.9、25.3;HR−MS理論値((C21304+H)+)347.2222、実測値347.2225。
【0134】
(−)−(lS,2S,3S,5R)−3−(ベンジルオキシ)−5−(ヒドロキシメチル)−4−メチレンシクロペンタン−l,2−ジオール(5)
化合物4(450mg、1.3mmol)をMeOHに溶解し、3NのHClで処理した(還流温度、3.5時間)。固体NaHCO3で中和した後に溶媒を除去し、残渣をバキュームシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH2Cl2=1:30から1:10)で精製して、トリオール5(280mg、85%)が白色固体として得られた。融点122−124℃;[α]24D−123.05ー(c0.37,MeOH);1H−NMR(500 MHz,CD3OD)δ7.46−7.30(m,5H)、5.34(dd,J=1.0及び3.0Hz,1H)、5.21(s,1H)、4.77(d,J=12.0Hz,1H)、4.62(d,J=12.5Hz,1H)、4.17−4.14(m,2H)、3.95−3.93(m,1H)、3.82−3.73(m,2H)、2.69−2.66(m,1H);13C−NMR(125MHz,CD3OD)δ148.9、138.3、128.0、127.6、127.3、109.1、80.8、71.7、71.0、70.8、61.8、49.6;HR−MS理論値((C14184+H)+)251.1283、実測値251.1281。
【0135】
(−)−(6aR,8S,9R,9aR)−8−(ベンジルオキシ)−2,2,4,4−テトライソプロピル−7−メチレンペルヒドロシクロペンタ[f][l,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−9−オール(6)
1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(5.5mL、16.8mmol)を、トリオール5(4.0g、16.0mmol)を含む無水ピリジン溶液に対して−30℃で滴下した。その反応混合物を室温まで徐々に温め、同温度に2時間維持した。ピリジンを真空で除去した後に残渣をEtOAcに溶解し、H2O及びブラインで洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して真空で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:30から1:5)で精製し、アルコール6(6.5g、82%)をシロップとして得た。[α]24D−105.94ー(c0.58,CHCl3);1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.41−7.26(m,5H)、5.36(t,J=2.5Hz,1H)、5.11(t,J=2.5Hz,1H)、4.77(d,J=12.0Hz,1H)、4.62(d,J=12.5Hz,1H)、4.18−4.14(m,2H)、4.05(dd,J=4.5及び12.0Hz,1H)、3.78(dd,J=8.0及び12.0Hz,1H)、2.90−2.88(m,1H)、1.08−0.97(m,27H);13C−NMR(125MHz,CDCl3)δ147.3、138.1、128.4、127.6、127.5、111.1、80.2、74.2、71.2、71.1、64.9、50.1、17.6、17.5、17.4、17.3、17.2、17.1、17.0。元素分析理論値(C26445Si2):C,63.37:H,9.00。実測値:C,63.64;H,9.05。
【0136】
(−)−(6aR,8S,9R,9aR)−8−(ベンジルオキシ)−2,2,4,4−テトライソプロピル−7−メチレンペルヒドロシクロペンタ[f][l,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−9−オール(7)
化合物6(2.1g、4.3mmol)と無水ピリジン(1.05mL、12.6mmol)とを含む無水CH2Cl2(20mL)溶液を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.94mL、5.6mmol)で処理した(−78℃)。その反応混合物を室温まで徐々に温め、同温度に20分間維持した。溶媒を真空で除去した後に残渣をEtOAcに溶解し、H2O及びブラインで洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して真空で濃縮した。残渣を無水ベンゼン(40mL)に溶解し、18−クラウン−6(2.25g、8.6mmol)と酢酸セシウム(2.47g、12.6mmol)とを添加した。この懸濁液を50℃で30分間加熱した後、室温まで冷却した。溶媒除去後、残渣をMeOHに溶解し、ナトリウムメトキシドで3時間処理した(室温)。真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:10から1:3)で精製して、化合物7(1.7g、6に対する収率81%)を得た。[α]24D−76.47ー(c0.82,CHCl3);1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.41−7.26(m,5H)、5.34(t,J=2.5Hz,lH)、5.16(t,J=2.0Hz,1H)、4.80(q,J=12.0Hz,2H)、4.12−3.89(m,5H)、2.60(m,1H)、1.09−0.94(m,27H);13C−NMR(125MHz,CDCl3)δ144.4、138.6、128.5、127.7、127.6、111.5、82.4、82.3、77.3、77.0、76.8、76.2、71.8、62.7、49.4、17.6、17.5、17.4、17.3、17.2、17.1、17.0、13.6、13.4、12.8、12.6。HR−MS理論値((C26445Si2+H)+)493.2806、実測値493.2736。
【0137】
(−)−(6aR,8S,9R,9aR)−8−(ベンジルオキシ)−9−フルオロ−2,2,4,4−テトライソプロピル−7−メチレンヘキサヒドロシクロペンタ[f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン(8)
アルコール6(6.5g、13.2mmol)を含む無水CH2Cl2溶液に対して、三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄(DAST、1.84mL、13.9mmol)を室温でゆっくり添加した。この反応混合物を氷冷したH2Oで20分後にクエンチした。有機層を回収し、水層はジクロロメタンで抽出した。有機層をまとめて、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して真空で濃縮した。粗製残渣を直ちに次の脱保護反応ステップに用いた。化合物8の分析サンプルは、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:100から1:20)を用いた精製によって得られた。[α]24D−104.08ー(c0.51、CHCl3);1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.39−7.26(m,5H)、5.36(t,J=2.5Hz,1H)、5.20(dd,J=2.5及び5.0Hz,1H)、4.92(ddd,J=6.0、7.5、及び55.0Hz,1H)、4.78(d,J=11.5Hz,1H)、4.65(d,J=11.5Hz,1H)、4.31−4.26(m,1H)、4.23−4.16(m,1H)、4.01−3.92(m,1H)、1.08−0.94(m,27H);l3C−NMR(100MHz,CDCl3)δ142.6(d,J=9.2Hz)、137.9、128.4、127.8、127.7、112.7、103.4(d,J=189.0Hz)、80.4(d,J=21.3Hz)、73.8(d,J=19.8Hz)、71.3、61.6、48.8(d,J=5.3Hz)、17.5、17.4、17.1、17.0、16.9、16.8、13.4、13.3、12.7、12.5。HR−MS理論値((C2643FO4Si2+H)+)495.2762、実測値495.2769。
【0138】
(−)−[(lR,2Ri3R,4R)−2−(ベンゾイルオキシ)−4−(ベンジルオキシ)−3−フルオロ−5−メチレンシクロペンチル]メチルベンゾエート(9)
粗製フッ化化合物8(最後のステップからそのまま)をTHFに溶解した。酢酸(3.2mL、53.0mmol)で処理し、次にテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)(40mL、40.0mmol)で処理した(室温、1時間)。溶媒を真空で除去した後、残渣をイソプロピルアルコール/クロロホルム(4:1)共溶媒に溶解し、H2Oで洗浄した。有機層を回収して硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して真空で乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:4から1:1)で精製し、ジオールを得た。ジオール(1.0g、4.0mmol)を無水ピリジンに溶解し、塩化ベンゾイル(1.88mL、16.0mmol)によって室温で処理した。4時間後にピリジンを真空で除去し、残渣をEtOAcに溶解した。この溶液をH2O及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過し、真空で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:20から1:3)で精製して化合物9を得た(1.8g、61%)。[α]24D−52.71°(c0.55,CHCl3);1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ8.03−7.26(m,15H)、5.68−5.61(m,1H)、5.49(t,J=2.5Hz,1H)、5.34(dd,J=2.5及び4.5Hz,1H),5.20(td,J=6.0及び53.0Hz,1H)、4.82(d,J=11.5Hz,1H)、4.73(d,J=11.5Hz,1H)、4.62(dd,J=5.0及び10.5Hz,1H)、4.55−4.50(m,2H)、3.24−3.23(m,1H);13C−NMR(125MHz,CDCl3)δ166.3、165.7、142.8(d,J=7.6Hz)、137.5、133.4、133.0、129.8、129.6、129.5、129.3、128.5、128.4、128.3、128.0、127.9、114.3、99.9(d,J=189.9Hz)、81.2(d,J=22.0Hz)、76.2(d,J=23.8Hz)、71.7,64.9、45.0(d,J=4.5Hz)。HR−MS理論値((C2825FO5+H)+)461.1764、実測値461.1756。
【0139】
(−)−[(lR,2R,3R,4R)−2−(ベンゾイルオキシ)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−メチレンシクロペンチル]メチルベンゾエート(10)
化合物9(1.4g、3.0mmol)を含む無水CH2Cl2溶液を、三塩化ほう素(1MのCH2Cl2溶液9.1mL、9.1mmol)によって−78℃で処理した。同温度で30分間撹拌した後、追加の三塩化ほう素(1MのCH2Cl2溶液6.1mL、6.1mmol)を添加した。15分後にMeOHで反応をクエンチし(−78℃)、真空で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:10から1:3)で精製して、化合物10(1.0g、89%)をシロップとして得た。[α]26D−53.55°(c0.25,CHCl3);1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ8.03−7.32(m,10H)、5.66(td,J=6.8及び16.4Hz,1H)、5.49(t,J=2.0Hz,1H)、5.32(dd,J=2.0及び4.4Hz,1H)、4.96(td,J=6.8及び54.4Hz,1H)、4.80(m,1H)、4.64−4.52(m,2H)、3.21(m,1H)、2.66(d,J=7.0Hz(D2O交換性),1H);13C−NMR(125MHz,CDCl3)δ166.3、165.8、144.4(d,J=8.4Hz)、133.4、133.1、129.8、129.6、129.2、128.4、128.3、113.1、99.9(d,J=191.3Hz)、75.3、75.2、75.1、75.0、65.4、44.8(d,J=3.8Hz)。元素分析理論値(C2119FO5):C,68.10;H,5.17。実測値:C,67.78;H,5.27。
【0140】
[(lR,3R,4R,5R)−5−(ベンゾイルオキシ)−3−(6−クロロ−9H−9−プリニル)−4−フルオロ−2−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)シクロペンチル]メチルベンゾエート(12)
化合物10(1.07g、2.89mmol)の溶液に対して、トリフェニルホスフィン(TPP、1.13g、4.33mmol)と6−クロロプリン(0.67g、4.33mmol)とを含む無水THF(20mL)/ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、0.89mL、4.33mmol)を0℃で5分間添加した。反応液を室温まで温め、1時間置いた。MeOH(lmL)を添加して反応をクエンチし、真空で蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:4から1:2)で精製して、カップリングヌクレオシド11の混合物を得た(混入物として少量のDIAD化学種を含む)。粗製化合物11(660mg)をアセトン/H2O(15mL/2.5mL)に溶解し、四酸化オスミウム(5%H2O溶液、1.3mL)/NMO(480mg)で24時間処理した。この反応混合物を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。有機溶液を真空で除去し、水層をイソプロピルアルコール/クロロホルム(4:1)共溶媒で抽出した。有機層を回収してNa2SO4で乾燥し、ろ過した。ろ液を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH2Cl2=1:60から1:40)で精製して、化合物12のジアステレオマー混合物を得た(640mg、10に対する収率41%)。主要な異性体:1H−NMR(500MHz、CD3OD)δ8.80(d,J=5.0Hz,1H)、8.78(s,1H)、7.95−7.11(m,10H)、6.10(ddd,J=3.0、12.5及び17.5Hz,1H)、5.80(dd,J=10.0及び35.0Hz,1H)、5.38(ddd,J=3.0,10.5及び67.5Hz,1H)、4.80(m,2H)、3.73(d,J=14.5Hz,1H)、3.40(d,J=14.5Hz,1H)、3.00(m,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ166.4、165.6、153.1、151.8、151.7、149.9、148.2、148.1、129.4、129.1、128.2、127.9、93.1(d,J=193.1Hz)、80.8、79.3(d,J=26.2Hz)、62.8、61.9(d,J=5.0Hz)、60.2(d,J=13.4Hz)、48.6(d,J=5.6Hz)。HR−MS理論値((C2622ClFN46+H)+)541.1290、実測値541.1290。
【0141】
[(lR,3R,4R,5R)−3−(6−アミノ−9H−9−プリニル)−5−(ベンゾイルオキシ)−4−フルオロ−2−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)シクロペンチル]メチルベンゾエート(13)
ヌクレオシド12(620mg、1.15mmol)を含有する無水DMFを、アジ化ナトリウム(750mg、11.5mmol)で処理した(70℃から80℃、1.5時間)。揮発性分を真空で除去し、残渣をイソプロピルアルコール/クロロホルム(4:1)共溶媒に溶解した。H2Oで洗浄してNa2SO4で乾燥し、エバポレーションによって乾燥状態にした。生じた粗製アジ化化合物をEtOHに溶解し、Pd/C(200mg)で処理した(H2雰囲気下、40℃、3時間)。固体を除去した後にろ液を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH2Cl2=1:40から1:20)で精製した。所望のアデノシン類似体13(370mg、62%)が、ジアステレオマー混合物として得られた。主要な異性体:UV(MeOH)λmax259.0nm;1H−NMR(500MHz,CD3OD)δ8.43(d,J=4.0Hz,1H)、8.29(s,1H),7.99−7.16(m,10H),6.11(ddd,J=2.5、9.5及び14.5Hz,1H)、5.59(dd,J=8.0及び29.0Hz,1H)、5.35(ddd,J=2.5、8.5、及び43.5Hz,1H)、4.89(m,2H)、3.72(d,J=11.0Hz,1H)、3.50(d,J=11.0Hz,1H)、3.00(m,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ166.4、165.6、156.0、152.4、150.5、142.8、142.7、133.1、132.7、129.4、129.1、128.2、127.8、117.7、93.3(d,J=193.1Hz)、80.8、79.4(d,J=26.2Hz)、63.0、61.9(d,J=17.6Hz)、60.3、48.9(d,J=5.2Hz)。HR−MS理論値((C2625FN56+H)+)522.1789、実測値522.1774。
【0142】
(+)−[(lR,3R,4R,5R)−3−(6−アミノ−9H−9−プリニル)−5−(ベンゾイルオキシ)−4−フルオロ−2−メチレンシクロペンチル]メチルベンゾエート(14)
化合物13(260mg、0.50mmol)を含水アセトニトリル(9μlΗ2Oを10mL無水アセトニトリルに添加したもの)に溶解し、冷却して−30℃にした。過剰量の1−ブロモカルボニル−メチルエチルアセテート(0.54mL、3.68mmol)をその混合物に対して滴下し、室温まで温めた。室温で1時間撹拌した後に、この反応混合物を再び冷却して−30℃にし、1−ブロモカルボニル−メチルエチルアセテート(0.2mL、1.47mmol)をもう一度添加した。砕氷を加えて反応をクエンチし、飽和NaHCO3溶液(20mL)で中和して、EtOAc(100mL×2)で抽出した。有機層をまとめてからブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。これをろ過し、ろ液を真空で濃縮した。残渣を無水DMFに溶解し、活性亜鉛(約2.0g)とHOAc(0.2mL)とで処理し、室温で8時間撹拌した。揮発成分を真空で除去し、残渣をイソプロピルアルコール/クロロホルム(4:1)共溶媒に溶解し、飽和NaHCO3(15mL)溶液、H2O、及びブラインで洗浄した。有機層を回収してNa2SO4で乾燥し、ろ過した。ろ液を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOA:ヘキサン=2:1から4:1)で精製した。環外アルケンヌクレオシド14(165.0mg、68%)が白色固体として得られた。融点:195−198℃(dec.)[α]25D+77.66ー(c0.27,CHCl3);UV(MeOH)λmax231.0、259.0nm;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ8.40(s,1H)、8.12−8.06(m,2H)、7.94(d,J=3.6Hz,1H)、7.65−7.44(m,3H)、6.0(dd,J=2.4及び33.2Hz,1H)、5.86(br,2H(D2O交換性))、5.75(d,(d,J=14.8Hz,1H)、5.50(s,1H)、5.21(dd,J=4.0及び50.8Hz,1H)、4.98(d,J=1.2Hz,1H)、4.82−4.64(m,1H)、4.66−4.61(m,1H)、3.42(m,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ166.4,165.0,155.5,153.2,150.5,144.4,140.9,140.8,133.8,133.3,130.0,129.7,129.6,128.7,128.6,128.5,118.8,113.2,93.6(d,J=184.4Hz),75.8(d,J=29.0Hz)、64.4(d,J=3.1Hz),58.3(d,J=17.5Hz)、46.5。HR−MS理論値((C2622FN54+H)+)488.1734、実測値488.1731。
【0143】
(+)−(lR,2R,3R,5R)−3−(6−アミノ−9H−9−プリニル)−2−フルオロ−5−(ヒドロキシメチル)−4−メチレンシクロペンタン−1−オール(15)
ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H、1.6mL、1.0M(トルエン溶液))を、化合物14(160.0mg、0.33mmol)の無水CH2Cl2溶液に対して−78℃でゆっくりと添加した。同温度で30分後、その反応物をイソプロピルアルコール/クロロホルム(4:1)共溶剤30mLで希釈し、飽和酒石酸カリウムナトリウム溶液10mLを添加した。その混合物を室温で2時間撹拌し、有機層を回収した。水層をイソプロピルアルコール/クロロホルム(4:1)共溶剤(3×10mL)で抽出し、有機層を一つにまとめてNa2SO4で乾燥し、ろ過した。ろ液を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH2Cl2=1:20から1:10)で精製した。アデノシン類似体15(70.0mg、76%)が白色固体として得られた。融点:215−218℃(dec.)[α]25D+151.80ー(c0.23,CHCl3)UV(H2O)λmax259.0nm(ε13998,pH2)、260.0nm(ε15590,pH7)、260.0nm(ε15579,pH11);1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ8.22(s,1H),8.06(d,J=2.4Hz,1H)、5.86(dd,J=2.4及び25.6Hz,1H)、5.42(t,J=2.4Hz,1H)、4.93(td,J=3.2及び52.4Hz,1H)、4.92(s,1H(H2Oピーク中に一部埋没))、4.40(td,J=3.2及び10.8Hz,1H)、3.88−3.76(m,2H)、2.78(m,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl3) δ156.0、152.5、149.9、146.1(d,J=1.0Hz)、141.1(d,J=5.2Hz)、117.9、111.8、95.9(d,J=186.0Hz)、72.9(d,J=22.9Hz)、61.8(d,J=3.4Hz)、57.6(d,J=17.2Hz)、51.1。元素分析理論値(C1214FN52):C,51.61;H,5.05;N,25.08。実測値:C,51.74;H,5.09;N,24.92。
【0144】
化合物18(図5)
化合物18(スキーム2の化合物15に同じ。ただし、図5に示された代替経路により合成)は、添付の図5に示す方法のうち1つ以上に従って合成された。化合物18の主な分析データは、上述の化合物15のデータと一致した。
【0145】
<抗ウイルス試験>
薬剤感受性試験を、上記の通り行った。また、PBM、CEM及びVero細胞における細胞毒性試験を、上記の通り行った。2種類の化合物を試験に使用した。1つ目は、分子の糖部分のR1及びRlaにヒドロキシル基を含むアデニンヌクレオシド類似体である(化合物15/18)。2つ目は、化合物15/18に基づくプロドラッグ・ヌクレオシドであって、糖部分のR1がホスホルアミダート基(RlaはH)、R6がフェニル基、B’がアラニン由来のアミノ酸基、R8がメチルであり、R”はメチル基であってメチルエステルを形成する。これらの化合物は、ブレント・コルバ(Brent Korba)博士の研究室で、標準的なHBV試験で試験された。得られた結果は以下の通りである。注目すべきことに、本発明の試験化合物の有効性は、本試験では3TCの1000倍以上であった。プロドラッグ化合物(2つ目の試験化合物であって、R1がホスホルアミダート基、R6がフェニル基、B’はアラニン由来でメチルエステルを含み、R8がメチル、R”がメチルである)は、R1及びRlaが共にHである化合物の10倍以上有効であった。
【0146】
HBV試験結果
【表1】

【0147】
上述したように、化合物15/18の試験を、野生型HBV及び薬剤耐性型HBVに対しても行った。試験内容は上記の通りであり、試験結果を表1(本明細書の添付の図7)に示す。
【0148】
<分子モデリング解析>
配座探索:化合物15/18及びエンテカビル類似体16の初期配座が、「マクロモデル(MACROMODEL)(登録商標)」バージョン8.5(シュレーディンガー社)の作成モジュールによって構成された。モンテカルロ法による配座探索は、マクロモデル(登録商標)において、MMFF力場を用い、GB/SA水モデルの存在下で、5000ステップで実施された。
擬似回転解析:オンライン擬似回転解析ツール「PROSIT」(http://cactus.nci.nih.gov/prosit/)を使用して、全ての擬似回転パラメータを計算した(参考文献51)。
【0149】
<参考文献>
参考文献1:Mast, E. E.; Alter, M. J.; Margolis, H. S. Strategies to prevent and control hepatitis B and C virus infections: a global perspective. Vaccine 1999年、第17巻、1730-3頁
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造のヌクレオシド化合物、又はその薬理学的に許容される塩、エナンチオマー、水和物若しくは溶媒和物であって、
【化1】

ここで、Bが次のいずれかであり、
【化2】

Rが、H、F、Cl、Br、I、C1−C4アルキル(好ましくはCH3)、−C≡N、−C≡C−Ra
【化3】

であり、
Xが、H、C1−C4アルキル(好ましくはCH3)、F、Cl、Br又はIであり、
aが、H又は−C1−C4アルキル基であり、
1及びR1aが、それぞれ独立にH、アシル基、C1−C20アルキル基、C1−C20エーテル基、アミノ酸残基(D又はL)、リン酸基、二リン酸基、三リン酸基、ホスホジエステル基若しくはホスホルアミダート基であり、又はR1及びRlaが一緒になって、それらが結合した酸素原子を用いて炭酸ジエステル基若しくはホスホジエステル基を形成し、
2が、H、アシル基、C1−C20アルキル基、C1−C20エーテル基、又はアミノ酸残基(D又はL)である
ヌクレオシド化合物、又はその薬理学的に許容される塩、エナンチオマー、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項2】
1aがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1及びR2が、それぞれ独立にH又はC2−C20アシル基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
1、R1a及びR2が、それぞれHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Bが次のものである、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【化4】

【請求項6】
次の化学構造で表される、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【化5】

【請求項7】
Bが次のものである、請求項6に記載の化合物。
【化6】

【請求項8】
1、R1a及びR2が、それぞれ独立にH又はC2−C20アシル基である、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項9】
RがH又はFである、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
1aがHであり、R1及びR2が、それぞれ独立にH又はC2−C20アシル基である、請求項1、5、6又は7に記載の化合物。
【請求項11】
1が、アシル基、リン酸基、ホスホジエステル基、又はホスホルアミダート基である、請求項1から3又は5から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
1が、結合したヌクレオシドと一緒になって次の構造の基を形成し、
【化7】

ここで、R5及びR6は、それぞれ独立にH、C1−C20直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニルオキシ基から選択され、前記の基はそれぞれ、少なくとも1つのR5がHでない場合には任意で置換でき、あるいは2つのR5基が一緒になってヘテロ5員環基又はへテロ6員環基を形成し、
B’は、次の構造の基であり、
【化8】

【化9】

ここで、iが、0、1、2、又は3であり、
7が、C1−C20の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アシル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基又はアリール基であり、それぞれの基は任意で置換でき、
8がアミノ酸側鎖であり、
各R”が、独立にC1−C20直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、フェニル基又はヘテロアリール基であり、それぞれの基は任意で置換できる、
請求項1から3又は5から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
1及びR1aが、これらが結合したヌクレオシドと一緒になって次の構造の基を形成し、
【化10】

ここで、R6が、H、C1−C20の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アリール基、又はアルコキシ基である、
請求項1から3又は5から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
1が、結合したヌクレオシドと一緒になって次の構造の基を形成し、
【化11】

ここで、R6が、C1−C20アルキル基又は任意で置換されたフェニル基であり、
B’が、次の構造の基であり、
【化12】

8が、C1−C3直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
R’が、C1−C20直鎖、環状若しくは分岐鎖アルキル基、又は任意で置換されたフェニル基である、
請求項1から3又は5から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
Bが次のものであり、
【化13】

2及びRlaが、それぞれ独立にH又はC2−C20アシル基であり、
1及びR1が、結合したヌクレオシドと一緒になって次の構造の基を形成し、
【化14】

6が、任意で置換されたフェニル基であり、
B’が、次の構造の基であり、
【化15】

8がメチルであり、
R”が、C1−C3直鎖又は分岐鎖アルキル基である、
請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
有効量の請求項1から15のいずれかに記載の化合物を含み、任意で薬理学的に許容される担体、添加剤又は賦形剤と組み合わされる、医薬組成物。
【請求項17】
有効量の追加の抗ウイルス剤を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記追加の抗ウイルス剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ビダリビン、リバビリン、帯状疱疹免疫グロブリン(ZIG)、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル、テルビブジン、クレブジン、テノホビル、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記追加の的な抗ウイルス剤が、ヘプセラ(アデホビルジピボキシル)、ラミブジン、エンテカビル、テルビブジン、テノホビル、エムトリシタビン、クレブジン、バルトリシタビン、アムドキソビル、プラデホビル、ラシビル、BAM205、ニタゾキサニド、UT231−B、Bay41−4109、EHT899、ザダキシン(チモシンα1)、NM283、VX−950(テラプレビル)、SCH50304、TMC435、VX−500、BX−813、SCH503034、R1626、ITMN−191(R7227)、R7128、PF−868554、TT033、CGH−759、GI5005、MK−7009、SIRNA−034、MK−0608、A−837093、GS9190、ACH−1095、GSK625433、TG4040(MVA−HCV)、A−831、F351、NS5A、NS4B、ANA598、A−689、GNI−104、IDX102、ADX184、GL59728、GL60667、PSI−7851、TLR9アゴニスト、PHX1766、SP−30、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記追加の抗ウイルス剤が、ヘプセラ(アデホビルジピボキシル)、ラミブジン、エンテカビル、テルビブジン、テノホビル、エムトリシタビン、クレブジン、バルトリシタビン、アムドキソビル、プラデホビル、ラシビル、BAM205、ニタゾキサニド、UT231−B、Bay41−4109、EHT899、ザダキシン(チモシンα1)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記追加の抗ウイルス剤が、NM283、VX−950(テラプレビル)、SCH50304、TMC435、VX−500、BX−813、SCH503034、R1626、ITMN−191(R7227)、R7128、PF−868554、TT033、CGH−759、GI5005、MK−7009、SIRNA−034、MK−0608、A−837093、GS9190、ACH−1095、GSK625433、TG4040(MVA−HCV)、A−831、F351、NS5A、NS4B、ANA598、A−689、GNI−104、1DX102、ADX184、GL59728、GL60667、PSI−7851、TLR9アゴニスト、PHX1766、SP−30、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項22】
さらに少なくとも1つの抗癌剤を組み合わせた、請求項17から21のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記抗癌剤が、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記抗癌剤が、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI若しくはII阻害剤、アルキル化剤、又は微小管阻害剤である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記抗癌剤が、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生菌、ベキサロテンカプセル剤、ベキサロテンゲル剤、ブレオマイシン、静注用ブスルファン、経口ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、ポリフェプロザン20カルムスチンインプラント、セレコキシブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、シタラビンリポソーム、ダカルバジン、ダクチノマイシン、アクチノマイシンD、ダルベポエチンα、ダウノルビシンリポソーム、ダウノルビシン、ダウノマイシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム、プロピオン酸ドロモスタノロン、エリオットB溶液、エピルビシン、エポエチンα エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド(VP−16)、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン(経動脈)、フルダラビン、フルオロウラシル(5−FU)、フルベストラント、ゲムツズマブオゾガマイシン、酢酸ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、酢酸メゲストロール、メルファラン(L−PAM)、メルカプトプリン(6−MP)、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、ミトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、ノフェツモマブ、LOddC、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ミトラマイシン、ポルフィマーナトリウム、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルブビジン(LDT)、タルク、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド(VM−26)、テストラクトン、チオグアニン(6−TG)、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン(ATRA)、ウラシルマスタード、バルルビシン、バルトルシタビン(モノバル−LdC)、ビンブラスチン、ビノレルビン、ゾレドロネート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項16から25のいずれかに記載の医薬組成物と、必要とする患者に前記医薬組成物を投与するための取扱説明書とを含む、キット。
【請求項27】
治療を必要とする患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−l)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)からなる群から選択されたウイルスを原因とするウイルス感染を治療する方法であって、前記方法が、有効量の請求項1から13のいずれかに記載の化合物又は請求項15に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項28】
前記ウイルス感染の原因がHBV又はHCVである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルス感染の原因がHBVである、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記HBVが薬剤耐性HBV株である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記HBV株が、ラミブジン耐性及び/又はアデホビル耐性である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記HBV株が、rtM204V、rtΜ204Ι、rtL180M、rtLM/rtMV又はrtN236Tである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記ウイルス感染の原因がHCVである、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項34】
前記ウイルス感染の原因が、単純ヘルペスウイルス1型又は2型である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記ウイルス感染の原因が、サイトメガロウイルス(CMV)である、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記ウイルス感染の原因が、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)である、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記ウイルス感染の原因が、エプスタイン・バーウイルス(EBV)である、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
治療を必要とする患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)を原因とするウイルス感染を治療する方法であって、前記方法が、有効量の請求項14から18のいずれかに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項39】
前記HBVが薬剤耐性HBV株である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記薬剤耐性HBV株が、rtM204V、rtM204I、rtL180M、rtLM/rtMV又はrtN236Tである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記HBVが、ラミブジン耐性及び/又はアデホビル耐性である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
治療を必要とする患者におけるC型肝炎ウイルス(HCV)を原因とするウイルス感染を治療する方法であって、前記方法が、有効量の請求項14から17又は19のいずれかに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項43】
ウイルス感染の危険性がある患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−l)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)からなる群から選択されたウイルスを原因とするウイルス感染の可能性を低減する方法であって、前記方法が、有効量の請求項1から13のいずれかに記載の化合物又は請求項15に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項44】
前記ウイルス感染の原因がHBV又はHCVである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ウイルス感染の原因がHBVである、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記HBVが薬剤耐性HBV株である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記HBV株が、ラミブジン耐性及び/又はアデホビル耐性である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記薬剤耐性HBV株が、rtM204V、HM204I、rtL180M、rtLM/rtMV又はrtN236Tである、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記ウイルス感染の原因がHCVである、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項50】
前記ウイルス感染の原因が、単純ヘルペスウイルス1型又は2型である、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記ウイルス感染の原因が、サイトメガロウイルス(CMV)である、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記ウイルス感染の原因が、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)である、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記ウイルス感染の原因が、エプスタイン・バーウイルス(EBV)である、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
B型肝炎ウイルス(HBV)感染の危険性がある患者における前記感染の可能性を低減する方法であって、前記方法が、有効量の請求項16から20のいずれかに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項55】
治療を必要とする患者におけるC型肝炎ウイルス(HCV)を原因とするウイルス感染の可能性を低減する方法であって、前記方法が、有効量の請求項17から19又は21のいずれかに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項56】
必要とする患者におけるHBV感染に続発する肝線維症、肝硬変又は癌を治療する方法であって、前記方法が、有効量の請求項17から25のいずれかに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項57】
前記HBVが薬剤耐性HBV株である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記HBV株が、ラミブジン耐性及び/又はアデホビル耐性である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記薬剤耐性HBV株が、rtM204V、rtM204I、rtL180M、rtLM/rtMV又はrtN236Tである、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
必要とする患者においてHCV感染に続発する肝線維症、肝硬変又は癌を治療する方法であって、前記方法が、有効量の請求項17から25のいずれかに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項61】
必要とする患者においてEVB感染に続発する癌を治療する方法であって、前記方法が、有効量の請求項16、17、22、24又は25のいずれかに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項62】
癌がHBV感染又はHCV感染に続発し、前記化合物が抗癌剤と同時投与される、請求項56から60のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記癌が肝細胞癌である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記抗癌剤が、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、及びオキサリプラチンからなる群から選択される、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
前記癌が、リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫又は上咽頭癌である、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
患者におけるHBV感染又はHCV感染が、患者において前記感染に続発する肝線維症、肝硬変、又は肝臓癌に悪化する可能性を低減する方法であって、前記方法が、有効量の請求項17から21のいずれかに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項67】
前記医薬組成物が、少なくとも1つの抗癌剤と同時投与される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記HBVが薬剤耐性HBV株である、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
前記HBV株が、ラミブジン耐性及び/又はアデホビル耐性である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記薬剤耐性HBV株が、rtM204V、rtM204I、rtL180M、rtLM/rtMV又はrtN236Tである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記患者がヒトである、請求項27から70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−l)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、及びエプスタイン・バーウイルス(EBV)の一つ以上を原因とするウイルス感染の治療のための薬剤の製造における、請求項1から15のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項73】
ウイルス感染の危険性がある患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−l)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、及びエプスタイン・バーウイルス(EBV)の一つ以上を原因とするウイルス感染の可能性を低減するための薬剤の製造における請求項1から15のいずれかに記載の化合物の使用であって、有効量の請求項1から13のいずれかに記載の化合物又は請求項15に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、使用。
【請求項74】
HBV感染に続発する肝線維症、肝硬変又は癌を治療する薬剤の製造における、請求項17から25のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項75】
前記感染HBVが薬剤耐性HBV株である、請求項72又は73に記載の使用。
【請求項76】
前記HBV株が、ラミブジン耐性及び/又はアデホビル耐性である、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
前記HBV株が、rtM204V、rtM204I、rtL180M、rtLM/rtMV又はrtN236Tである、請求項75に記載の使用。
【請求項78】
HCV感染に続発する肝線維症、肝硬変又は癌を治療する薬剤の製造における、請求項17から25のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項79】
EBV感染に続発する肝線維症、肝硬変又は癌を治療する薬剤の製造における、請求項16、17、22、24又は25のいずれかに記載の医薬組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−510904(P2013−510904A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539968(P2012−539968)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/056808
【国際公開番号】WO2011/060408
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512128519)ユニバーシティ オブ ジョージア リサーチ ファウンデーション, インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】