説明

2−ヒドロキシテトラヒドロフランの新規誘導体及びそれらの医薬品としての使用

本発明は一般式(I)


〔式中、Aは次式


(式中、R1、R、R4、R5及びR6は(特に)それぞれH、ハロゲン原子、OH、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、R3はH、アルキル基又は−COR10基を表わし、R10はH、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、そしてWは結合手、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−O−、−S−又は−NR11−基を表わし、R11はH又はアルキル基を表わす)の基を表わし;
Xは−CO−、−Y−CO−、−O−Y−CO−又は−NR12−Y−CO−基を表わし、Yはアルキレン基又はハロアルキレン基を表わし、R12はH、アルキル基又は−COR13基を表わし、R13はH、アルキル基、ハロアルキル基又はアルコキシ基を表わし;
AAはそれが存在するそれぞれの場合について天然アミノ酸又は非天然アミノ酸を表わし;
nは2又は3を表わし;そして最後に
RはH、アルキル基又は−CO−R19の基を表わし、R19はアルキル基を表わす〕に相当する2−ヒドロキシテトラヒドロフランの誘導体に関する。
これらの化合物はカルパイン阻害活性及び/又は反応性酸素種捕捉活性をもちそして該化合物は炎症性及び免疫性疾患、心臓血管性及び脳血管性疾患、中枢神経系又は末梢神経系疾患、骨粗しょう症、筋ジストロフィー、増殖性疾患、白内障、器官の移植に付随する拒絶反応及び自己免疫性及びウイルス性疾患の処置に使用される医薬の製造のために使用し得るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカルパイン阻害活性及び/又は反応性酸素種(reactive oxygen species)(ROS)を捕捉する活性をもつ2−ヒドロキシテトラヒドロフランの新規誘導体に関する。本発明はまたそれらの製造法、それらを含有する医薬製剤及びそれらの治療用の目的での使用、特にカルパイン阻害剤及び反応性酸素種捕捉剤としての選択的又は非選択的様式による使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
カルパイン類及びROSの生理病理学における潜在的役割を考慮すれば、本発明に従う新規誘導体はこれらの酵素及び/又はこれらのラジカル種が関与する病理学的処置において有利な又は好都合な効果をもたらし得る。特につぎの疾患が挙げられる。
【0003】
―炎症性及び免疫性疾患、たとえばリウマチ様関節炎、すい臓炎、多発性硬化症、胃腸系統の炎症(潰瘍性又は非潰瘍性大腸炎、クローン病);
―たとえば動脈性高血圧症、敗血症性ショック、虚血性又は出血性起源の心臓梗塞又は脳梗塞、虚血症並びに血小板凝集に関連する疾患を包含する心臓血管性及び脳血管性疾患;
―たとえば神経変性疾患のような中枢神経系又は末梢神経系疾患、特に脳又は脊髄の損傷、くも膜下出血、てんかん、老化、アルツハイマー型疾患を包含する老人性痴呆症、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、末梢神経障害;
―難聴;
―骨粗しょう症;
―筋ジストロフィー;
―たとえばアテローム性動脈硬化症又は大動脈狭窄の再発のような増殖性疾患;
―白内障;
―器官の移植;
―自己免疫性及びウイルス性疾患、たとえば狼瘡、エイズ(AIDS)、寄生虫及びウイルス感染、糖尿病及びその合併症、多発性硬化症;
―癌;
―ROSの過剰産生及び/又はカルパインの活性化を特徴とするすべての病理学的疾患。
【0004】
これらの病理学的疾患のすべてにおいて、ROSの関与を例証する実験的証拠(Free Radic. Biol. Med.(1996) 20, 675-705; Antioxid. Health. Dis.(1997) 4 (Handbook of Synthetic Antioxidants)、 1-52) 及びカルパインの関与を例証する実験的証拠(Trends Pharmacol. Sci.(1994) 15, 412419; Drug News Perspect (1999) 12, 73-82)が存在する。一例として、脳梗塞に伴なう脳の損傷又は実験的な頭蓋損傷に伴なう脳の損傷は抗酸化剤によって低減され(Acta.Physiol. Scand.(1994) 152, 349-350; J. Cereb. Blood Flow Metabol. (1995) 15, 948-952; J. Pharmacol. Exp. Ther. (1997) 2, 895-904)、また同じくカルパイン阻害剤によって低減される(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1996) 93, 3428-33; Stroke, (1998) 29, 152-158; Stroke (1994) 25, 2265-2270)。
【0005】
本発明者は、既に国際特許出願PCT WO 01/32654号明細書において、カルパイン阻害活性及び反応性型酸素捕捉活性を同時に有する複素環式化合物について記載した。
【0006】
前記特許出願明細書に記載した複素環式化合物は一般式(A1)

[式中、R1は水素原子、−OR3、−SR3、オキソ又は環式アセタール基を表わし、R3は水素原子、アルキル基、アリールアルキル基、ヘテロシクロアルキルカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基又はアラルキルカルボニル基を表わし、但し前記アルキル、アリール又はヘテロシクロアルキル基は随意にアルキル、OH、アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン又は−NR4R5から選んだ1個又はそれ以上の同一又は異なる置換基によって置換されていてもよく、R4及びR5はそれぞれ水素原子又はアルキル基を表わすか、あるいはR4及びR5は一緒にそれらが結合されている窒素原子とともに随意に置換された複素環基を形成するものとし;
R2は水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わし、但し該アリール基は−OR6, −NR7R8、ハロゲン、シアノ、ニトロ又はアルキル基から選んだ1個又はそれ以上の同一又は異なる置換基によって置換されていてもよく、R6、R7及びR8はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基又はアラルキルカルボニル基を表わし;
Aは特に随意に置換されたフェノチアジニル基を表わし;
Xは−(CH2)n−、−(CH2)n−CO−、−N(R45)−CO−(CH2)n−CO−、−N(R45)−CO−D−CO−、−CO−N(R45)−D−CO−、−CO−D−CO−、−CH=CH−(CH2)n−CO−、−N(R45)−(CH2)n−CO−、−N(R45)−CO−C(R46R47)−CO−、
−O−(CH2)n−CO−、−N(R45)−CO−NH−C(R46R47)−CO−、−CO−N(R45)−C(R46R47)−CO−、−S−(CH2)n−CO−又は−Z−CO−を表わし、Dは随意に置換されたフェニレン基を表わし、Zは複素環式基を表わし、R45は水素原子又はアルキル基を表わし、R46 及びR47はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わすが、但し該アルキル基及びアリール基は随意に置換されていてもよいものとし、R48及びR49はそれぞれ水素原子、アルキル基又は−COR50基を表わすか、又はR48及びR49はそれらが結合している窒素原子とともに随意に置換された複素環式基を形成し、R50は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又は−NR51R52基を表わし、R51及びR52はそれぞれ水素原子又はアルキル基を表わすか、又はR51及びR52はそれらが結合している窒素原子とともに随意に置換された複素環式基を形成し、nは0ないし6の整数であり;
Yは−(CH2)p−、−C(R53R54)−(CH2)p−、−C(R53R54)−CO−を表わし、R53 及びR54はそれぞれ水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表わすが、但し該アラルキル基のアリール基は随意にOH、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルコキシ及び−NR55R56基から選んだ1個又はそれ以上の同一の又は異なる置換基で置換されていてもよいものとし、R55及びR56はそれぞれ水素原子、アルキル基又は−COR57基を表わすか、又はR55及びR56はそれらが結合している窒素原子とともに随意に置換された複素環式基を形成し、R57は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又は−NR58R59基を表わし、R58及びR59はそれぞれ水素原子又はアルキル基を表わすか、又はR58及びR59はそれらが結合している窒素原子とともに随意に置換された複素環式基を形成し、pは0ないし6の整数であり;
Hetは複素環式基を表わす]
に相当する化合物ならびに一般式(A1)の化合物の無機酸及び有機酸との及び無機塩基及び有機塩基との付加塩を包含するが、但し式(A1)においてHetがテトラヒドロフラン又はテトラヒドロピランを表わす場合であって、さらに基R1が基OR3であり、そのR3が水素原子、アルキル基、アリールアルキル基、ヘテロシクロアルキル基が炭素原子によって分岐されているヘテロシクロアルキルカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基又はアラルキルカルボニル基であり、R2が水素原子でありそしてYが−(CH2)p−基(但しp=0である)であって、しかもXが−CO−N(R45)−C(R46R47)−CO−(但しR45=R46=Hである)を表わさない場合の式(A1)の化合物を除外するものとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今般,本発明者は,驚くべきことに,後述する一般式(I)の化合物はカルパイン阻害活性及び反応性酸素種捕捉活性を同時に保有し、しかも細胞浸透性(cell
penetration)について改善された性能を有するものであることを認めた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の一要旨は、一般式(I)

〔式中、Aは次式

(式中、R1、R、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基又は−NR7R8基を表わし、R7及びR8はそれぞれ水素原子、アルキル基又は−COR9基を表わし、R9は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、R3は水素原子、アルキル基又は−COR10基を表わし、R10は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、Wは結合手又は−CH2−CH2−、−CH=CH−、−O−、−S−又は−NR11−基を表わし、R11は水素原子又はアルキル基を表わす)の基を表わし;
Xは−CO−、−Y−CO−、−O−Y−CO−又は−NR12−Y−CO−基を表わし、Yはアルキレン基又はハロアルキレン基を表わし、R12は水素原子、アルキル基又は−COR13基を表わし、R13は水素原子、アルキル基、ハロアルキル基又はアルコキシ基を表わし;
AAはそれが存在するそれぞれの場合について天然アミノ酸、反応性化学官能基(カルボン酸、アミン、アルコール又はチオール基のような)をもつ側鎖がアルキル又はアラルキルエステルの形態(酸官能基について)で、アルキル又はアラルキルカルバメート又はアルキル又はアラルキルカルボキシアミドの形態(アミン官能基について)で、アルキル又はアラルキルエーテル又はアルキル又はアラルキルチオエーテルの形態又はアルキル又はアラルキルエステルの形態(アルコール及びチオール官能基について)で保護されている天然アミノ酸又は最後に一般式−NR14 −(CH2)p−CR15CR16−CO−のアミノ酸を表わし、pは0又は1を表わし、R14は水素原子又はアルキル基を表わし、R15は水素原子又はアルキル基を表わしそしてR16は水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、フェニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基又はアルケニル基を表わすか、又はR15及びR16はそれらが結合している炭素原子とともに3ないし7個の炭素原子(好ましくは3ないし6個の炭素原子)をもつ飽和炭素環を形成し、−(AA)−基はまた一般式−NR17−(CH2)3−CH(R18)−CO−のカルバペプチドを表わすこともでき、R17は水素原子又はアルキル基を表わしそしてR18は水素原子又はアルキル基を表わし;
nは2又は3を表わし;そして最後に
Rは水素原子又はアルキル基又は−CO−R19基を表わし、R19はアルキル基を表わす〕の化合物又は該化合物の塩にある。
【0009】
別途指定しない限り、アルキル又はアルキレン基は1−12個、好ましくは1−6個、の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルキレン基を意味する。ハロアルキル又はハロアルキレン基はアルキル又はアルキレン基の水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子によって置換されたアルキル又はアルキレン基を意味する。別途指定しない限り,アルケニル基は2−12個、好ましくは2−6個、の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル基を意味する。別途指定しない限り,シクロアルキル基は3−7個の炭素原子を含むシクロアルキル基を意味する。別途指定しない限り、アルコキシ基はその炭素鎖が直鎖又は分岐鎖でありかつ1−6個の炭素原子を含むアルコキシ基を意味する。別途指定しない限り、アリール基は炭素環アリール基を意味する。炭素環アリール基は1−3個の縮合環を含んでなる炭素環アリール基を意味する。最後に、ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素、及びヨウ素原子から選んだ原子を意味する。
【0010】
アラルキル及びシクロアルキルアルキル基はそれぞれ該基を構成するアルキル、アリール及びシクロアルキル基が前記定義した意味をもつアラルキル及びシクロアルキルアルキル基を意味する。
【0011】
天然アミノ酸はバリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、アスパラギン(Asn)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、リシン(Lys)、アルギニン(Arg)、アスパルチン酸(Asp)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、システイン(Cys)又はプロリン(Pro)を意味する。
【0012】
1−6個の炭素原子をもつ直鎖又は分岐鎖アルキル基は特にメチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、ヘキシル及びイソヘキシル基を意味する。3−7個の炭素原子を含むシクロアルキル基は特にシクロヘキシル基を意味する。炭素環アリール基は特にフェニル、ナフチル及びフェナントリル基、好ましくはフェニル及びナフチル基,より好ましくはフェニル基を意味する。ハロアルキル基は特に−CF3基を意味する。最後に、ハロアルキレン基は特に−CF2−基を意味する。
【0013】
天然アミノ酸の側鎖によって保持される保護された官能基の例は特につぎの基を包含する。
【0014】
― メチル、エチル、tert−ブチル又はベンジルエステルの形の保護された酸官能基;
― tert−ブチル又はベンジルカルバメート、アセタミドの形の保護されたアミン官能基;
― tert−ブチル、ベンジルエーテル又はピランの形又はさらにアセチル基の形の保護されたアルコール官能基;及び
― メチルチオエーテルの形又はメチルチオエステルの形の保護されたチオール官能基。
【0015】
好ましくは、本発明の化合物はつぎの特性値の少なくとも一つをもつようなものである。
【0016】
― R1、R、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基、アルコキシ基又は−NR7R8基を表わす;
― R3は水素原子、メチル基又は−COR9基を表わし、R9はメチル基又はtert−ブトキシ基を表わす;
― Wは結合手又は−CH2−CH2−、−CH=CH−、−O−又は−S−基を表わす;
― Xは−CO−、−Y−CO−又は−O−Y−CO−を表わす;
― −(AA)n−はそれぞれ天然アミノ酸、3−メチルバリン、ノルバリン、フェニルグリシン、ビニルグリシン及び2−アミノ酪酸からなる群から選んだアミノ酸を含む;
― nは2を表わす;
― Rは水素原子又はメチル基を表わす。
【0017】
より好ましくは、本発明の化合物はつぎの特性値の少なくとも一つをもつようなものである。
【0018】
― R1、R、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子又はアルキル基又はアルコキシ基を表わす(さらにより好ましくは、R1、R、R4、R5及びR6はすべて水素原子である);
― R3は水素原子又はメチル基を表わす(さらにより好ましくは、R3は水素原子
である);
― Wは−S−基を表わす;
― Xは−Y−CO−又は−O−Y−CO−を表わす;
― −(AA)n−は−(AA)−(AA)−基を表わし、但しAAはLeuを、AAは天然アミノ酸、3−メチルバリン、ノルバリン、フェニルグリシン、ビニルグリシン及び2−アミノ酪酸からなる群から選んだアミノ酸を表わし(さらにより好ましくは−(AA)−(AA)−基(但しAAはLeuを、AAはLeu、Lys、Val、3−メチルバリン、ノルバリン、フェニルグリシン、ビニルグリシン及び2−アミノ酪酸からなる群から選んだアミノ酸を表わす)を表わす;
― Rは水素原子を表わす。
【0019】
特に、本発明はつぎの化合物から選んだ一般式(I)の化合物および該化合物のいずれかの塩に関する。
【0020】
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N6−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 1−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−プロリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)グリシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N6−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 1−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−プロリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−(アセチルオキシ)−テトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― O−(tert−ブチル)−N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−セリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−アラニル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― O−(tert−ブチル)−N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−セリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−アラニル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド;
― N−[3−(10H−フェノチアジン−2−イル)プロパノイル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[3−(10H−フェノチアジン−2−イル)プロパノイル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−β−アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−D−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 3−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブタノイル)−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ノルバリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−セリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−トレオニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}−2−フェニルエタノイル)−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブト−3−エノイル)−L−ロイシンアミド;
― 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−バリンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−フェニルアラニンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N2−イソブチル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−グリシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ロイシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−アラニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−
N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−β−アラニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−D−バリル−
N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 3−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブタノイル)−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ノルバリル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−セリル−
N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−トレオニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}−2−フェニルエタノイル)−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブト−3−エノイル)−L−ロイシンアミド;
― 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−アラニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−バリンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−3−シクロヘキシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−フェニルアラニンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−イソブチルグリシンアミド;
― N−[2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロパノイル]グリシル−N−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロパノイル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イルカルボニル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イルカルボニル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(5−アセチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イル)カルボニル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−アラニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド。
【0021】
さらに本発明の別の要旨は、医薬品としての、前記定義した一般式(I)の化合物及び該化合物の薬学的に許容し得る塩にある。
【0022】
用語、薬学的に許容し得る塩は特に塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、燐酸、ジ燐酸及び硝酸のような無機酸の付加塩又は酢酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、パモエート(パルミチン酸 pamoate)及びステアリン酸のような有機酸の付加塩を意味する。さらに、本発明の範囲内には、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのような塩基から形成される塩も、それらが使用可能な場合、包含される。薬学的に許容し得る塩のその他の例については、"Salt selection for basic drugs", Int. J. Pharm.(1986), 33, 201-217を参照し得る。
【0023】
さらに本発明は、活性成分として、前記定義した一般式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容し得る塩を少なくとも一種の薬学的に許容し得る賦形剤とともに含有してなる医薬組成物に関する。
【0024】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は固形物の形、たとえば粉末、顆粒、錠剤、ゼラチン、カプセル、リポソーム、座剤又はパッチ薬、であり得る。適切な固体支持体は、たとえば燐酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、デキストリン、澱粉、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウム カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びワックスであり得る。
【0025】
本発明の化合物を含有する医薬組成物はまた液体の形、たとえば溶液、乳剤、懸濁液又はシロップ剤であり得る。適切な液体支持体は、たとえば水、グリセリン又はグリコール類のような有機溶剤ならびにそれらと水の種々の割合での混合物であり得る。
【0026】
さらに本発明は前記定義した一般式(I)の化合物の又は該化合物の薬学的に許容し得る塩の医薬品の製造における使用に関する。かかる医薬品はROSの過剰産生及び/又はカルパインの活性化に病理学的に起因するすべての疾病の処置、特に炎症性及び免疫性疾患、心臓血管性及び脳血管性疾患、中枢神経系又は末梢神経系疾患、骨粗しょう症、筋ジストロフィー、増殖性疾患、白内障、器官の移植に付随する拒絶反応及び自己免疫性及びウイルス性疾患からなる群から選んだ疾患の処置、に使用されるべき医薬品である。
【0027】
本発明に従う医薬組成物の投与は局所投与、経口投与、非経口投与、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、等によって行い得る。
【0028】
前述した疾患の処置のために提供されるべき本発明に従う生成物の用量は投与方法、処置を受けるべき対象者の年齢及び体重並びに該対象者の状態に応じて変動するが、最終的には処置を行う医者又は獣医によって決定される。該医者又は獣医によって決定されるかかる投与量を本明細書においては"治療有効量"と称する。
【0029】
指標として、本発明に従う医薬について予測される投与量は使用される活性成分の型に応じて0.1mgないし10gの範囲である。
【0030】
本発明に従えば、一般式(I)の化合物は以下に述べる方法によって製造し得る。
【0031】
一般式(I)の化合物の製造
本発明に従う一般式(I)の化合物は下記の図式図1に示される合成経路に従って製造し得る(本明細書の以下の記載においては、Rがアルキル基Alkを表わす場合の一般式(I)の化合物を一般式(I)1の化合物と呼び;Rが水素原子を表わす場合の一般式(I)の化合物を一般式(I)2の化合物と呼び;そしてRが−COR19を表わす場合の一般式(I)の化合物を一般式(I)3の化合物と呼ぶ)。
【0032】

一般式(I)1及び(I)2の化合物(式中、A、X、AA、n及びRは前記定義したとおりである)は、図式図1に従って製造される。すなわち、まず一般式(II)の酸と一般式(III)のアミンとを、ペプチド合成の標準的条件下(M.Bodanszky & A.Bodanszky著、The Practice of Peptide Synthesis,145(Springer-Verlag, 1984))で、THF、ジクロルメタン又はDMF中で、カップリング剤、たとえばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1'−カルボニルジイミダゾール (CDI)(J.Med.Chem.(1992),35(23),4464-4472)又は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC又はWSCI)(John Jones著、The Chemical Synthesis of Peptides,54(ClarendonPress, Oxford, 1991))の存在下 及びたとえばトリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下に、縮合させることによって一般式(I)1の化合物を生成させる。一般式(I)1の化合物のヘミアセタール官能基は、次いでたとえばHCl又はHBrのような鉱酸の約2Nの水溶液を使用しかつ共存溶剤としてアセトンを使用して脱保護することができる。かくして、一般式(I)2のラクトール誘導体は、適切には、N,N−ジメチル−4−ピリジンアミンのようなアシル化剤の存在下に、特に酸無水物(R19CO)2O(たとえば無水酢酸)を使用してアシル化することによって一般式(I)3の化合物に導き得る。
【0033】
一般式(II)の中間体の製造
一般式(II)の商業的に製造されていないカルボン酸(式中、A, W, X, Y, R1, R2, R3, R4, R5及びR6は前記定義したとおりである)は以下に詳述する種々の合成経路に従って入手可能である。
【0034】
X=−O−Y−CO−である場合
この場合、下記の図式図2に示されるような合成経路を使用し得る。
【0035】

この合成経路に従えば、一般式(II)の酸(式中、Xは−O−Y−CO−を表わす)は、図式図2に示すとおり、一般式(II.1)、たとえばヒドロキシフェノチアジン類(J.Med.Chem.(1992), 35(4), 716-24)又はヒドロキシカルバゾール類(J.Chem.Soc.(1955), 3475-3477;J.Med.Chem.(1964), 7, 158-161)から製造し得る。一般式(II.2)の商業的に入手し得るハロゲノエステルとの縮合はたとえばK2CO3又はCs2CO3のような塩基の存在下で、たとえばTHF又はDMFのような極性溶剤中で、少なくとも5時間加熱することによって行われる。中間体として得られる一般式(II.3)のエステルは、次いで脱保護されて(tert−ブチルエステルの場合には酸媒質中で又はメチル/エチルエステルについては鹸化によって)一般式(II)(式中、Xは−O−Y−CO−を表わす)の酸に導き得る。
【0036】
X=−CO−である場合
この場合、下記の図式図3又は4に示される経路のような合成経路を、それが適切であれば、使用し得る。
【0037】
i) Xは−CO−を表わしそしてWは−S−、−O−又は結合手を表わす:
Xが−CO−を表わしそしてWが−S−、−O−又は結合手を表わす場合、すなわち図式図3の場合、一般式(II)のフェノチアジン又はカルバゾールの酸誘導体は、一般式(II.4)の2−アセチルフェノチアジン類(たとえばPharmazie (1984),39(1),22-3;Bull.Soc.Chim.(1968),(7),2832-42; Pharmazie(1996),21(11), 645-9)又は2−アセチルカルバゾール類(たとえばHeterocycles (1994), 39(2), 833-45;J.IndianChem.Soc.(1985),62(7),534-6;J.Chem.Soc.Chem.Comm.
(1985), (2),86-7)から得ることができる。すなわち、それらを塩化アセチルを使用し、トルエン中で還流まで加熱することによってN−アセチル化して中間体(II.5)に導く(J.Med.Chem. (1998), 41(2),148-156)。かく得られる中間体(II.5)をヨウ素及びピリジンの混合物によって(J. Amer .Chem. Soc. (1944), 66, 894- 895)、次いで炭酸ナトリウム水溶液によって100℃で順次処理することによって一般式(II)のカルボン酸を取得する。
【0038】

ii) Xは−CO−を表わしそしてWは−CH2−CH2−又は−CH=CH−を表わす:

Xが−CO−を表わしそしてWが−CH2−CH2−又は−CH=CH−を表わす場合、すなわち図式図4の場合、一般式(II)Ac又は(II)の酸は一般式(II.6)のジアセチル化誘導体(たとえばJ.Chem.Soc.(1973),859-863)から製造し得る。前記フェノチアジンの場合(図式図3)におけると同様に、アセチル基の酸化はヨウ素及びピリジンを使用して行い、次いで炭酸ナトリウム中で加温状態で加水分解することによって取得し得る。かく得られる一般式(II)Acの化合物(R3がアセチル基を表わす場合の一般式(II)の化合物である)は随意に炭酸カリウム水溶液の存在かつ還流条件下で、適当な時間、好ましくは15−36時間、追加の処理を行うことによって一般式(II)のカルボン酸に導き得る。
【0039】
X=−Y−CO−である場合
X=−Y−CO−の場合については、下記の図式図5に示される二つの合成経路を原料試薬の入手容易性に応じて選定することによって、一般式(II)のカルボン酸に導き得る。
【0040】

前述した一般式(II.4)の2−アセチルフェノチアジン類(W=−S−)又は2−アセチルカルバゾール類(Wは結合手を表わす)の場合には、一般式(II)のカルボン酸への転化はウイルゲロット−キンドラー(Willgerodt-Kindler)型ホモログ化反応(Synthesis (1975),358-375)によって行われる(図式図5の左側部分)。一般式(II.4)の中間体を硫黄及びモルホリンの存在下に加熱すると一般式(II.7)のチオカルボキシアミドが形成され(ドイツ国特許出願DE2702714号及びDE1910291号明細書)、それは加水分解によって一般式(II)のカルボン酸に転化される。
【0041】
別法として(図式図5の右側部分)、Wが−S−又は結合手を表わしかつmが1より大きい整数である場合、又はWが−CH2−CH2−又は−CH=CH−を表わしかつmが1より大きいか又は1に等しい整数である場合、一般式(II)のカルボン酸の合成はCS2中で一般式(II.8)の中間体の芳香族環をフリーデル−クラフツ反応条件に従って塩化アルカノイルによってアシル化する工程から出発する(J.Amer.Chem.Soc.(1946),68,2673-78; J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1973), 859-861)。一般式(II.9)のアシル化中間体は、次いでウイルゲロット−キンドラー反応によって一般式(II.10)のチオカルボキシアミド誘導体に転化され、そして最後に前述した化学反応工程に従って一般式(II)のカルボン酸に転化される。
【0042】
一般式(III)の中間体の製造
一般式(III)のアミノ−ラクトール誘導体(式中、AA、R及びnは前記定義したとおりである)は下記の図式図6に示した製造経路を使用して製造し得る。この方法は一般式(III)(n=2)(以下、一般式(III)2の化合物という)及び一般式(III)(n=3)(以下、一般式(III)3の化合物という)の製造を可能にする。
【0043】

一般式(III.2)のアミノ−ブチロラクトン誘導体は一般式(III.1)の保護アミノ酸(式中、AA1は一般式(I)でさきに定義したとおりのアミノ酸基AAでありそしてGpはたとえばベンジル又はtert-ブチルカルバメート基のような保護基である)と(S)−α−アミノブチロラクトンとをペプチド合成の標準的条件下に縮合させることによって得られる、すなわち一般式(III.2)のカルボキシアミド中間体が製造される。このラクトンは次いでたとえばジイソブチルアルミニウム水素化物(DIBAL)のような還元剤を用いて、たとえばTHF又はCH2Cl2のような不活性溶剤中で、好ましくは−50℃以下、たとえば約−78℃の温度で還元される。一般式(III.3)のラクトール誘導体のヘミアセタール官能基は次いでアルコール系媒質、たとえばメタノール中で、たとえばトリフルオル酢酸のような強酸を用いて脱保護することによって一般式(III.4)のアセタールに転化される。一般式(III.4)のアミノ−アセタール誘導体のアミン官能基は次いで文献(T.W.Greene及びP.G.M.Wuts著、Protective Groups in Organic Synthesis, 第2版(Wiley- Interscience, 1991))に記載の方法に従って脱保護される。一般式(III.5)の中間体は次いで前述したごとき一段階又は二段階連続のペプチド鎖の延長−脱保護サイクル処理に供することによってそれぞれ一般式(III)2 及び(III)3のジペプチド(n=2)又はトリペプチド(n=3)誘導体に導かれる。
【0044】
(AA2−AA1)基又は(AA3−AA2)基の代わりに一般式−NR17−(CH2)3−CH(R18)−CO−のカルバペプチド基を有する特定の場合における一般式(III)2及び(III)3の誘導体は下記の図式図7に示される、前記した場合と同様なペプチド合成の方式に従って、得ることができる(図式図7には、基(AA2−AA1)をカルバペプチド基に置き換えた場合のみを示す;基(AA3−AA2)をカルバペプチド基
に置き換えた場合についても同様の製造方法を使用し得る)。
【0045】

一般式(III.6)のカルバペプチドはそれら自体文献記載の方法から導かれ得る(たとえば、Int.J.Peptide Protein Res.(1992),39,273-277)。
【0046】
特に示さない限り、本明細書において使用するすべての技術的及び科学的用語は本発明が属する分野における当業者が通常理解している意味と同じ意味を有するものである。同様に、本明細書に記載したすべての刊行物、特許出願明細書、すべての特許明細書及びすべてのその他の参照物件をここに参考資料として組み入れる。
【0047】
上記した方法及び手順を例証するために、以下に実施例を挙げるが、これらは何ら本発明の範囲を限定するものではない。
【0048】
実施例
実施例1: N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
1.1) N2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N1−[(3S)−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
Cbz−L−ロイシン3.51g(13.25ミリモル)、(S)−2−アミノ−4−ブチロラクトン臭化水素酸塩2.41g(1当量)、HOBT1.97g(1.1当量)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)5.59g(2.2当量)を無水DMF60mlに溶解し、次いでN,N−ジイソプロピルエチルアミン7.64ml(3.3当量)を添加する。この反応混合物を20℃で15時間攪拌した後、酢酸エチル/水の1/1混合物200ml中に注入する。攪拌しかつ傾斜処理した後、有機溶液をNaHCO3の飽和溶液100ml、水50ml、クエン酸の1M溶液100mlで順次洗浄し、最後に塩水溶液100mlで洗浄する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして真空下で濃縮乾固する。得られた油状物をイソペンタンを使用して洗浄し、次いでジクロルメタン/イソペンタン混合物から結晶化する。白色固体が68%の収率で得られる。融点:130-131℃。
【0049】
1.2) N2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
アルゴン雰囲気下で、無水ジクロルメタン60mlを含有する三つ首フラスコ中に中間体1.1の1.24g(3.56ミリモル)を溶解する。この混合物を−60℃まで冷却した後、ジクロルメタン中のDIBALの1M溶液10.7ml(3当量)を滴下する。この添加の終了時に冷却浴を取り外しそして攪拌をさらに15分間維持する。次いで、反応媒質を20%ロシェル塩溶液100ml中に注意深く注入する。2時間激しく攪拌した後、ジクロルメタン100mlを添加しそして混合物を分液ロートに注入する。有機相を回収しそして水50ml及び塩水50mlで洗浄する。硫酸ナトリウム上で乾燥しそしてろ過した後、有機溶液を真空下で濃縮乾固する。蒸発残渣をシリカカラム上で精製(溶離剤:酢酸エチル/ヘプタン、1/1ないし8/2の割合)する。白色固体が72%の収率で得られる。融点:48-49℃。
【0050】
1.3) N2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
メタノール50ml中の中間体1.2の0.82g(2.34ミリモル)の溶液に、過剰量のトリフルオル酢酸(5ml)を20℃で滴下する。攪拌を20℃で15時間維持する。次いで、反応混合物を真空下で部分的に濃縮しそしてジクロルメタン50ml中に採取する。有機溶液をNaHCO3の飽和溶液50ml、水50ml及び塩水50mlで順次洗浄する。硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして真空下で濃縮した後、蒸発残渣をシリカカラム上で精製(溶離剤:酢酸エチル/ヘプタン、1/1ないし7/3の割合)する。白色固体が80%の収率で得られる。融点:112-113℃。
【0051】
1.4) N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
中間体1.3の2g(5.5ミリモル)及び10%Pd/Cの600mgをメタノール60ml
を含有するステンレス鋼製の反応器に導入する。この混合物を2気圧の水素圧下で1時間攪拌する。触媒をろ過した後、メタノールを真空下で蒸発させる。得られた油状残渣(1.20g;94%)をそのまま次の工程に使用する。
【0052】
1.5) N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ここで使用した実験用プロトコルは中間体1.1の合成について述べたものと同一であり、但し(S)−2−アミノ−4−ブチロラクトン臭化水素酸塩に代えて中間体1.4を使用する。反応生成物をシリカカラム上で精製(溶離剤:酢酸エチル/ヘプタン、7/3の割合)する。白色固体1.04gを69%の収率で得る。融点:76-77℃。
【0053】
1.6) L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ここで使用した実験用プロトコルは中間体1.4の合成について述べたものと同一であり、但し中間体1.3に代えて中間体1.5を使用する。反応生成物は追加の精製処理をせずに使用する。無色の泡状体0.74gを96%の収率で得る。
【0054】
1.7) N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ここで使用した実験用プロトコルは中間体1.1の合成について述べたものと同一であり、但し(S)−2−アミノ−4−ブチロラクトン臭化水素酸塩に代えて中間体1.6を使用する。反応生成物を酢酸エチル/イソペンタン混合物から結晶化する。白色固体0.96gを77%の収率で得る。融点:210-212℃。
【0055】
1.8) L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ここで使用した実験用プロトコルは中間体1.4の合成について述べたものと同一であり、但し中間体1.3に代えて中間体1.7を使用する。白色固体0.74gを定量的収率で得る。融点:187-188℃。
【0056】
1.9) 1−(10−アセチル−10H−フェノチアジン−2−イル)エタノン:
2−アセチルフェノチアジン30g(0.118モル)及び塩化アセチル9.28g(1当量)
をトルエン150mlを含有する500mlのフラスコに導入する。反応混合物を還流下に45分間加熱した後、塩化アセチルの別量4.6g(0.5当量)を導入する。その後さらに2時間、攪拌を加熱還流下に維持する。次いで、反応媒質を約200gの氷の上に注ぐ。攪拌後、有機相を傾斜分離しそして水100ml及び塩水100mlで順次洗浄する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして回転蒸発器を使用して濃縮乾固する。黄色固体(33g; 100%)が得られる。これを追加の精製処理なしで、次の工程に使用する。
【0057】
1.10) 10H−フェノチアジン−2−カルボン酸:
中間体1.9の24g(0.084モル)をピリジン55mlに溶解する。ヨウ素20.32g(1当量)を添加した後、反応混合物を100℃で15分間加熱する。次いで、さらに20℃で20時間攪拌を維持した後、回転蒸発器を用いて濃縮乾固する。かく得られる蒸発残渣に水100mlを添加し、次いでペレット状のNaOH15g(4.46当量)を添加する。この混合物を次いで100℃に1時間加熱する。氷浴を用いて冷却した後、この反応混合物を酢酸エチル100mlで洗浄する。次いでこの水性溶液をHClの12N水溶液50mlを使用して酸性化すると多量の沈殿物が生ずる。この沈殿物をブフナーロートを通じてろ過しエタノールを用いて洗浄しそして真空下、75℃で乾燥する。
【0058】
所望の生成物の追加の部分は酸性ろ液から回収される。この回収部分は酢酸エチル100mlを用いて2回抽出される。次いで、有機相を水50mlで、續いて塩水50mlで、洗浄する。硫酸ナトリウム上で乾燥した後、この有機溶液を真空下で濃縮乾固する。黄色固体として収集された生成物の合計量は16.8gで、収率は82%である。融点:>235℃。
【0059】
1.11) N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
このペプチド縮合の実験用プロトコルは中間体1.1の合成について述べたものと同一であるが、但しここでは10H−フェノチアジン−2−カルボン酸(中間体1.10)及びL−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド(中間体1.8)を使用する。反応生成物をシリカ上でクロマトグラフィーによって(溶離剤:酢酸エチル/ヘプタン;7/3ないし1/1の割合)精製する。黄色固体228mgが得られ、収率は21%である。融点:164-165℃。
【0060】
実施例2: N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
実施例1の化合物228mg(0.33ミリモル)をアセトン12mlを含有するフラスコ中に溶解する。次いで、HClの2N水溶液2mlを20℃で滴下する。攪拌を6時間30分維持する。次いで、この反応媒質を濃縮乾固しそして蒸発残渣をシリカカラム上でのクロマトグラフィーによって(溶離剤:酢酸エチル/ヘプタン;
9/1の割合)精製する。黄色固体49mgを収率22%で得る。融点:174-176℃。
【0061】
実施例3ないし6の化合物は、実施例1の化合物について述べたと同じ合成手順に従って、但しそれぞれ中間体1.4、1.6及び1.10及びそれぞれ適切な商業的に入手し得る保護アミノ酸から出発して、製造した。
【0062】
実施例3: N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
黄色固体。
【0063】
実施例4: N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
黄色固体。融点:180-180.5℃。
【0064】
実施例5: N6−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
黄色固体。融点:102-103℃。
【0065】
実施例6: 1−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−プロリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
黄色固体。融点:243-243.5℃。
【0066】
実施例7、8、9及び10の化合物は実施例2の化合物について述べた実験用プロトコルに従って、但しそれぞれ実施例3、4、5及び6の化合物から出発して製造した。
【0067】
実施例7: N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)グリシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
黄色固体。融点:126-126.5℃。
【0068】
実施例8: N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
黄−緑色固体。融点:144-144.5℃。
【0069】
実施例9: N6−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
黄色固体。融点:109-109.5℃。
【0070】
実施例10: 1−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−プロリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
淡黄色固体。融点:144.5-145℃。
【0071】
実施例11: N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−(アセチルオキシ)−テトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
無水酢酸0.62ml(10当量)及び4−ジメチルアミノピリジン40mg(0.5当量)をジクロルメタン6ml中の実施例8の化合物366mg(0.66ミリモル)の溶液に添加する。この混合物を20℃で4時間攪拌する。次いで、この溶液をジクロルメタン20ml及びNaHCO3の飽和溶液20mlで希釈する。攪拌及び傾斜処理した後、有機相を塩水20mlで洗浄する。次いで、この有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして真空下で濃縮乾固する。蒸発残渣をシリカカラム上で精製(溶離剤:ヘプタン/AcOEt:4/6ないし0/1)する。純粋な留分を捕集しそして真空下で濃縮する。生成物をジクロルメタン/イソペンタン混合物から結晶化する。得られた結晶をろ過し、イソペンタンで洗浄しそして乾燥する。淡黄色固体180mgを収率56%で得る。融点:121-122℃。
【0072】
実施例12: N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド トリフルオル酢酸塩:
実施例9の化合物0.5g(0.7ミリモル)を酢酸5mlに溶解する。氷浴を用いて冷却した後、33%HBr水溶液5mlを滴下する。20℃で4時間攪拌した後、反応混合物を濃縮乾固しそして蒸発残渣をC18カラム、5μmを用いる分取HPLC(溶離剤:THF/H2O/TFA:40/60/0.02)によって精製する。凍結乾燥した後、ベージュ色の固体100mgを収率21%で得る。
【0073】
実施例13: N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
13.1) 2−(2−モルホリン−4−イル−2−チオキソエチル)−10H−フェノチアジン:
この中間体の製造のための実験用プロトコルはドイツ国特許出願DE2702714号明細書に記載された合成法によって示唆されたものである。2−アセチルフェノチアジン24.13g(0.1モル)、硫黄5.13g(1.6当量)及びモルホリン39ml(4.5当量)を、温度計、冷却器及び2N炭酸ナトリウムのトラップ及び過マンガン酸カリウムの濃溶液のトラップに順次浸漬されているガス排出口を具備する三つ首フラスコに導入する。反応混合物を還流下(内部温度=119℃)に15時間加熱する。冷却後、この褐色溶液を攪拌下に無水エタノール300ml中に注入する。この混合物を4℃で1時間保持して結晶化を生起させ、次いで−18℃で一晩放置する。次いで、得られた固体をろ過しそして冷エタノール及びヘプタンを用いてリンス処理する。乾燥後、橙色固体27gを収率79%で得る。
【0074】
13.2) 10H−フェノチアジン−2−イル酢酸
中間体13.1の31.23g(91.2ミリモル)、85%炭酸カリウム36g(6当量)及び無水エタノール350mlを前記した装備と同じ装備をもつ三つ首フラスコに導入する。この反応混合物を還流下に15時間加熱する。冷却後、この混合物を真空下でその容量の半量まで濃縮し、次いで水650ml中に注入する。攪拌下に濃硫酸をpH1まで添加し、次いで混合物を80℃まで昇温させる。2時間加熱した後、混合物を冷却し、沈殿物をろ過しそして水40mlで4回リンス処理する。かく得られる固体をアセトンに溶解しそしてろ過して不溶性固体を除去する。次いで、ろ液を真空下で濃縮乾固して淡黄色粉末(15.67g)を67%の収率で得る。融点:201.5-202℃。
【0075】
13.3) N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
使用した実験用プロトコルは実施例1の工程1.11について述べたものと同一であり、但しここでは中間体1.6及び13.2から出発した。
【0076】
ベージュ色固体。融点:216-216.5℃。
【0077】
実施例14: O−(tert−ブチル)−N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−セリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
14.1) O−(tert−ブチル)−L−セリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
この中間体は中間体1.5及び1.6の合成について述べた実験用プロトコルに従って2段階で、但し中間体1.4及び商業的に入手し得るCbz−L−セリン(tBu)から出発して製造した。無色油状物が得られる。
【0078】
14.2) O−(tert−ブチル)−N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−セリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
使用した実験用プロトコルは実施例1の工程1.11について述べたものと同一であり、但し中間体14.1及び13.2から出発する。
【0079】
白色固体。融点:179-180℃。
【0080】
実施例15: N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−アラニル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド:
15.1) 3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド:
この中間体は実施例1の工程1.1及び1.4について述べた実験用プロトコルに従って、4段階で、但し(S)−2−アミノ−4−ブチロラクトンの臭化水素酸塩及び商業的に入手し得るCbz−3−シクロヘキシル−L−アラニンから出発して製造した。無色油状物を得る。
【0081】
15.2) L−アラニル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド:
この中間体は中間体1.5及び1.6の合成について述べた実験用プロトコルに従って、2 段階で、但し中間体15.1及びCbz−L−アラニンから出発して製造した。
【0082】
15.3) N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−アラニル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド:
使用した実験用プロトコルは実施例1の工程1.11について述べたものと同一であり、但し中間体15.2及び13.2から出発する。ベージュ色固体を得る。融点:225-226℃。
【0083】
実施例16、17及び18の化合物は実施例2の化合物について述べた実験用プロトコルに従って、但しそれぞれ実施例13、14及び15の化合物から出発して製造した。
【0084】
実施例16: N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。融点:168-168.5℃。
【0085】
実施例17: O−(tert−ブチル)−N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−セリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
薄いベージュ色の固体。融点:135-136℃。
【0086】
実施例18: N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−アラニル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド:
白色固体。融点:215-217℃。
【0087】
実施例19: N−[3−(10H−フェノチアジン−2−イル)プロパノイル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
19.1) 10−アセチル−10H−フェノチアジン:
トルエン200mlを含む500mlのフラスコに、フェノチアジン20g(0.1モル)を、次いで塩化アセチル14.3ml(2当量)を、添加する。この不均一系反応混合物を50℃で1時間攪拌する。濃縮乾固した後、沈殿物を最小量のイソペンタン中に採取しそしてろ過する。乾燥後、ベージュ色固体24gを定量的収率で得る。融点:210-211℃。
【0088】
19.2) 1−(10−アセチル−10H−フェノチアジン−2イル)プロパン−1−オン:
機械的攪拌機、アルゴン供給手段、冷却器及び添加フラスコを具備する多首フラスコ中に、最初にCS2150mlを、次いで中間体 19.1の24gを導入する。得られる懸濁物を激しく攪拌しつつ、塩化プロピオニル10.4ml(1.2当量)を滴下し、次いでAlCl3の50g(4当量)を固形物添加用ロートを用いて一度に添加する。このロートを直ちに別の50ml量のCS2でリンスする。この混合物を激しく攪拌しながら55℃に2時間加熱する。次いで、この混合物を氷浴を用いて冷却しそしてCS2をカニューレ(套管)を用いて除去する。反応混合物の加水分解は氷の小片を徐々に添加することによって開始しそしてこの加水分解は反応の強さが弱まった時点で冷水を使用して完了させる。この混合物を最後に酢酸エチル300mlを用いて希釈しそして分液ロートに移す。有機溶液を傾斜処理し、水100ml及び塩水100mlで2回洗浄する。硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして真空下で濃縮乾固した後、得られた残渣をイソペンタン中で粉砕(triturate)する。次いで、この固体をろ過しそして最小量のイソペンタンでリンスする。白色固体13.2gを収率45%で得る。融点:146.5-147℃。
【0089】
19.3) 3−(10H−フェノチアジン−2イル)プロピオン酸:
使用した実験用プロトコルは中間体13.1及び13.2の合成について述べたものと同一でありそして中間体19.2 の6gから褐色固体.2gを33%の合計収率(2工程)で取得する。この化合物(80%純度)を次工程にそのまま使用する。
【0090】
19.4) N−[3−(10H−フェノチアジン−2−イル)プロパノイル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
本例の化合物は中間体1.6及び19.3から出発し、実施例1の工程1.11について述べた合成手順と同じ手順に従って製造した。
【0091】
黄色固体。融点:215-216℃。
【0092】
実施例20: N−[3−(10H−フェノチアジン−2−イル)プロパノイル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
使用した実験用プロトコルは実施例2の化合物について述べたものと同一であり、但し本例の場合は実施例19の化合物を出発物質として使用する。
【0093】
薄ベージュ色の固体。融点:212-213℃。
【0094】
実施例21: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
21.1) 10H−フェノチアジン−2−オール:
2−メトキシフェノチアジン25g(109ミリモル)及び塩化ピリジニウム60g(4.8当量)の混合物を170℃で15時間加熱する。約80℃の温度まで冷却した後、得られる褐色溶液を酢酸エチル200mlで希釈する。攪拌を30分間維持した後、反応混合物を水200mlに注入する。攪拌及び傾斜処理した後、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥しそして真空下で濃縮乾固する。得られる帯緑色の固体を沸騰トルエン700mlから再結晶化する。不溶性固体をろ過により除去し、ろ液を一晩放置すると自然に結晶化する。結晶をろ過によって集めそしてイソペンタンを使用してリンスする。乾燥後、灰色固体12.43gを収率53%で得る。融点:207-208℃。
【0095】
21.2) tert−ブチル−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセテート:
100ml容量のフラスコ中で、中間体21.1の1g(4.6ミリモル)及びtert−ブチルブロモアセテート1.40ml(2当量)をTHF25ml中に溶解する。この溶液にK2CO3の1.93g(3当量)を添加しそして反応混合物を還流下に15時間加熱する。冷却後、水50ml及びジクロルメタン50mlを添加する。有機相を傾斜処理し、水50ml及び塩水50mlで洗浄する。硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして真空下で濃縮した後、得られる残渣をシリカカラム上で、酢酸エチル/ヘプタン(2/8)を溶離剤として精製する。クリーム色固体940mgを収率70%で得る。
【0096】
21.3) (10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)酢酸:
中間体21.2の935mg(2.8ミリモル)をジクロルメタン9mlに溶解する。この混合物を0℃に冷却した後、トリフルオル酢酸2.19ml(10当量)を滴下する。添加終了時に温度を20℃に戻しそして攪拌を3時間維持する。次いで、この反応混合物を真空下に濃縮乾固しそして残渣を酢酸エチル50mlで再希釈する。この有機溶液を水25mlで、次いで塩水25mlでそれぞれ2回洗浄する。硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして回転蒸発器を用いて濃縮した後、ピンク色固体540mgを収率69%で得る。融点:180-181℃。
【0097】
21.4) N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
本例の化合物は、実施例1の工程1.11について述べたと同一の合成手順に従って、但し中間体1.6及び21.3から出発して製造した。
【0098】
ベージュ色固体。融点:211.5-212℃。
【0099】
実施例22ないし35の化合物は実施例1の化合物について述べたと同一の合成手順に従って、但し中間体1.4、21.3及び適切な商業的に入手し得る保護アミノ酸から出発して製造した。
【0100】
実施例22: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。融点:181-182℃。
【0101】
実施例23: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
白色固体。融点:195-196℃。
【0102】
実施例24: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
白色固体。融点:240-241℃。
【0103】
実施例25: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−β−アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
褐色固体。融点:155-157℃。
【0104】
実施例26: N−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
淡桃色固体。融点:92-95℃。
【0105】
実施例27: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−D−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
薄ベージュ色固体。融点:204-206℃。
【0106】
実施例28: 3−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。融点:152-153℃。
【0107】
実施例29: N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブタノイル)−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。融点:164-165℃。
【0108】
実施例30: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ノルバリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。融点:225-226℃。
【0109】
実施例31: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−セリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
灰色固体。
【0110】
実施例32: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−トレオニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
淡黄色固体。融点:92-93℃。
【0111】
実施例33: N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}−2−フェニルエタノイル)−L−ロイシンアミド:
淡黄色固体。融点:215-217℃。
【0112】
実施例34: N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブト−3−エノイル)−L−ロイシンアミド:
淡桃色固体。
【0113】
実施例35: 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
淡桃色固体。融点:119-120℃。
【0114】
実施例36: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−バリンアミド:
36.1) N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−バリンアミド:
この中間体は実施例1の工程1.1ないし1.4について述べた実験用プロトコルに従って4工程で、但し(S)−2−アミノ−4−ブチロラクトン臭化水素酸塩及びCbz−L−バリンを使用して製造した。無色油状物を得る。
【0115】
36.2) N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−バリンアミド:
この化合物は実施例1の工程1.5、1.6及び1.11について述べた実験用プロトコルに従って3工程で、但しCbz−グリシン及び中間体36.1及び21.3を使用して製造した。ベージュ色の固体が得られる。
【0116】
実施例37: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド:
使用した合成手順は実施例36の工程36.2について述べたものと同一であり、但しCbz−グリシン及び中間体15.1及び21.3を使用する。淡桃色固体が得られる。融点:179-180℃。
【0117】
実施例38: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−フェニルアラニンアミド:
38.1) N−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−フェニルアラニンアミド:
この中間体は実施例1の工程1.1ないし1.4について述べた実験用プロトコルに従って4工程で、但し(S)−2−アミノ−4−ブチロラクトン臭化水素酸塩及びCbz−L−フェニルアラニンを使用して製造した。黄色油状物が得られる。
【0118】
38.2) N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−フェニルアラニンアミド:
使用した合成手順は実施例36の工程36.2について述べたものと同一であり、但しCbz−グリシン及び中間体38.1及び21.3を使用する。ベージュ色固体が得られる。 融点:203-204℃。
実施例39: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N2−イソブチル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]グリシンアミド:
39.1) N2−イソブチル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]グリシンアミド:
この中間体は実施例1の工程1.1ないし1.4について述べた実験用プロトコルに従って4工程で、但し(S)−2−アミノ−4−ブチロラクトン臭化水素酸塩及びBoc−N−イソブチルグリシン(J.Med.Chem.(2000), 43(15),2805-2813)を使用して製造した。無色油状物が得られる。
39.2) N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N2−イソブチル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]グリシンアミド:
使用した合成手順は実施例36の工程36.2について述べたものと同一であり、但しCbz−グリシン及び中間体39.1及び21.3を使用する。ベージュ色固体が得られる。 融点:162-164℃。
実施例40ないし58の化合物は実施例2の化合物について述べた実験用プロトコルに従って、但しそれぞれ実施例21ないし39の化合物から出発して製造した。
実施例40: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
薄ベージュ色固体。 融点:141.5-142℃。
実施例41: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
淡桃色固体。 融点:184-186℃。
実施例42: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−アラニル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。 融点:144-146℃。
実施例43: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド
白色固体。融点:205-206℃。
実施例44: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−β−アラニル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
淡桃色固体。 融点:161-162℃。
実施例45: N−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
薄ベージュ色固体。 融点:137-138℃。
実施例46: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−D−バリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
白色固体。融点:145-146℃。
実施例47: 3−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
白色固体。融点:157-159℃。
実施例48: N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブタノイル)−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。 融点:160-161℃。
実施例49: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ノルバリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。 融点:195-196℃。
実施例50: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−セリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
灰色固体。 融点:128-130℃。
実施例51: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−トレオニル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
白色固体。融点:195-196℃。
実施例52: N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}−2−フェニルエタノイル)−L−ロイシンアミド:
白色固体。融点:137-138℃。
実施例53: N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}−ブト−3−エノイル)−L−ロイシンアミド:
淡桃色固体。 融点:159-161℃。
実施例54: 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]アラニル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
ベージュ色固体。 融点:138-140℃。
実施例55: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−バリンアミド:
薄ベージュ色固体。 融点:200-201℃。
実施例56: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド:
淡桃色固体。 融点:212-215℃。
実施例57: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−フェニルアラニンアミド:
淡黄色固体。 融点:207-208℃。
実施例58: N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−イソブチルグリシンアミド:
桃色固体。 融点:122-124℃。
実施例59: N−[2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロパノイル]グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
59.1) tert−ブチル 2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロパノエート:
K2CO3の1.93g(3当量)をDMF10ml中の中間体21.1の1g(4.6ミリモル)の溶液に添加する。この反応混合物を60℃に加熱した後、tert−ブチル 2−ブロムイソブチレートの1.73ml(2当量)を添加する。次いで混合物を110℃まで加温しそしてこの温度で攪拌を6時間保持する。温度を20℃に戻した後、この混合物を水100ml中に注入しそして生成物を酢酸エチル100mlを用いて2回抽出する。この有機溶液を最後に塩水100mlで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして真空下で濃縮乾固する。蒸発残渣をシリカカラム上で酢酸エチル/ヘプタン(1/9)を溶離剤として精製する。淡桃色固体450mgを収率28%で得る。融点:138-140℃。
59.2) 2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロピオン酸:
使用した実験用プロトコルは中間体21.3について述べたものと同一であるが、但し中間体21.1の代わりに中間体59.1を使用する。紫色固体254mgを収率67%で得る。融点:177-180℃。
【0119】
59.3) N−[2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロパノイル]グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
使用した合成手順は実施例22の化合物の合成について述べたものと同一であるが、但しグリシル−N−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド(中間体1.6の場合と同様の方法で製造された)及び中間体59.2を使用する。
淡黄色固体。 融点:100-104℃。
実施例60: N−[2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロパノイル]グリシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
使用した実験用プロトコルは実施例2の化合物について述べたものと同一であるが、但し実施例1の化合物の代わりに実施例59の化合物から出発する。
ベージュ色固体が得られる。 融点:127-128℃。
【0120】
実施例61: N−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イルカルボニル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
61.1) 5−アセチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−カルボン酸:
使用した実験用プロトコルは中間体1.10の合成について述べたものと同一であるが、但し出発化合物として1−(5−アセチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イル)エタノン(J.Chem.Soc. 1973, 859-863)を使用する。
淡黄色固体を収率62%で得る。 融点:189-189.5℃。
61.2) 10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−カルボン酸:
エタノール35ml中の中間体61.1の3.06g(10.88ミリモル)及びKOHの3g(45ミリモル)の混合物を還流下に15時間加熱する。 0℃に冷却した後、この反応媒質を2NのHClを用いてpH=1まで酸性化する。次いで、この混合物を酢酸エチルを用いて抽出し、次いでこの有機溶液を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして最後に濃縮乾固する。褐色の油状物を得る。質量分析の結果は20%が所望の生成物そして70%がアセチル化生成物(中間体61.1)であることを示した。この混合物をそのまま次工程に使用する。
61.3) N−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イルカルボニル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
この化合物は実施例1の化合物について述べたものと同一の合成手段に従って、但し出発化合物として中間体1.6及び61.2を使用して製造した。
実施例62: N−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イルカルボニル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
使用した実験用プロトコルは実施例2の化合物について述べたものと同一であるが、但し本例では出発化合物として実施例61の化合物を使用する。薄ベージュ色固体が得られる。 融点:142-143℃。
【0121】
実施例63: N−[(5−アセチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イル)カルボニル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
この化合物は実施例1の化合物について述べたものと同一の合成手段に従って、但し出発化合物として中間体1.6及び61.1を使用して製造した。
実施例64: 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]アラニル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド:
使用した実験用プロトコルは実施例2について述べたものと同一であるが、但し本例では実施例1の化合物の代わりに実施例63の化合物を使用する。白色固体が得られる。 融点:166-167℃。
【0122】
本発明の化合物の薬理学的研究:
ヒトのカルパインIについての作用の研究
この試験は酵素(ヒトの赤血球からの精製された酵素)の活性を測定することからなる。すなわち、該酵素を緩衝液中で蛍光色素(アミノ−メチルクマリン、AMC)及びカルシウムと組み合わせたペプチド基質の存在下で培養する。カルシウムによって活性化された酵素は基質を蛋白分解してAMCフラグメントを放出する。放出されたAMCは380nmにおける励起下で460nmで蛍光を発する。したがって、該酵素の活性は蛍光の量、すなわち遊離AMCフラグメントの量に比例する。この蛍光(380/460nm)はマルチ−ウエル型(multi-well)蛍光光度計(ビクター2、Wallac)を用いて測定する。
この検定は透明な底部及び黒色の壁面を有する96個のウエルをもつ微小板(microplates)中で行い、該微小板中にウエル1個当たり10%DMSO中の10μlの供試物質、緩衝液(トリス−HCl 110mM;NaCl 110mM;EDTA 2.2mM;EGTA 2.2mM;メルカプトエタノール 1.1mM)中の2.2U/mlのヒトのカルパインI(Calbiochem,参照番号:208713)、1.1mMのSuc Leu Tyr−AMC基質(Bachem,参照番号:I−1355) を含有する反応混合物45μlを分配させる。反応は45μlのCaCl2 22mMを添加することによって開始させる。バックグラウンドノイズを測定するために、カルシウムを含まない対照試験用ウエルを微小板に追加する(10μlの10%DMSO+酵素及び基質を含む緩衝液45μl+水45μl)。酵素の全活性を測定するために、生成物を含まない対照試験用ウエルを微小板に追加する(10%DMSO10μl +酵素及び基質を含む緩衝液45μl+22mMCaCl2の45μl)。各濃度(0.1nM−10μM)の生成物を2回試験する。微小板を振盪し、培養を暗所で25℃で1時間行った。蛍光は蛍光光度計を使用して380/460nmで読み取る。
この試験において、実施例2、7ないし12、16ないし18、20、40ないし53、55ないし57、60、62及び64の化合物は5μMより低いか又は等しいIC50値を有する。
【0123】
ラットの(C6)グリア細胞におけるカルパイン活性についての現場(in situ)作用の研究
ラットのC6グリア細胞を10%FBSのDMEM培地中に、96個のウエルをもつ微小板中のウエル1個当たり25,000個の細胞濃度で接種する。翌日、付着した細胞を血清を含まないDMEM培地中で及び40mMのHepes中で3回洗浄する。カルパイン阻害剤100μlをこれらのウエル中に供与する。5%CO2雰囲気下で、37℃で1時間培養した後、蛍光カルパイン基質(Suc−Leu−Tyr−AMC)及びマイトトキシン(シグマ社、参照番号:M−9159)を含有する10μlを添加してウエル中の最終濃度をそれぞれ100μM及び1nMに調整する。
該細胞酵素の全活性を測定するために、生成物を含有しないウエルを微小板に追加する(100thDMSO100μl+MTX10μl及び基質)。バックグラウンドノイズはMTXを含まない対照試験用ウエルを追加することによって測定する。阻害剤の各濃度(0.01μMないし100μM)は3回試験する。微小板を振盪し、蛍光をTゼロでビクターを使用して380/460nmで読み取る。培養はC6細胞について暗所で30℃で1時間30分行った。
【0124】
この試験において、実施例8、9、11、16、20、40、43及び47ないし53の化合物は10μMより低いか又は等しいIC50値を有する。
【0125】
ラットの大脳皮質の脂質過酸化についての作用の研究
本発明の生成物の阻害活性をマロンジアルデヒド(MDA)濃度によって測定される脂質の過酸化度についてのそれらの作用を測定することによって決定する。不飽和脂肪酸の過酸化によって生成されるMDAは脂質過酸化の良好な指針である(H.Esterbauer &H.Cheeseman, Meth. Enzymol. (1990), 186, 407-421)。体重200−250gの雄のスプラグー ダウレイ種のラット(Charles River)を断頭によって屠殺し、大脳皮質を取り出し、次いでトーマス(Thomas)ポットを用い、20mMトリス−HCl緩衝液(pH=7.4)中で均質化処理する。得られる均質体を4℃、50,000gで10分間遠心分離(2回)する。ペレットは−80℃に保持する。この実験の当日に、ペレットは1g/15mlの濃度の懸濁体に置換しそして4℃、515gで10分間遠心分離処理される。この上澄み液を用いて直ちに脂質の過酸化度を測定する。ラットの大脳皮質の均質体(500μl)は供試化合物又は溶剤(10μl)の存在下に37℃で15分間培養する。脂質の過酸化反応は1mMのFeCl2、1mMのEDTA及び4mMのアスコルビン酸の50μlを添加することによって開始される。37℃で30分間培養した後、反応をジ−tert−ブチルヒドロキシトルエンの溶液(BHT、0.2%)50μlの添加によって停止させる。MDAは熱量測定試験を用いて定量される、すなわち色素形成試薬(R)、N−メチル−2−フェニルインドール(650μl)を該均質体200μlと45℃で1時間反応させることによって、定量される。MDA1分子と試薬Rの2分子との縮合によって安定な発色団が形成され、その極大吸収波長は586nmに等しい(Caldwell等、European J. Pharmacol.(1995),285,203−206)。
【0126】
この試験において、実施例2、7ないし9、11、12、16、17、20、40ないし45、56、57、60及び62の化合物は5μMより低いか又は等しいIC50値を有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)

〔式中、Aは次式

(式中、R1、R、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基又は−NR7R8基を表わし、R7及びR8はそれぞれ水素原子、アルキル基又は−COR9基を表わし、R9は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、R3は水素原子、アルキル基又は−COR10基を表わし、R10は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、Wは結合手又は−CH2−CH2−、−CH=CH−、−O−、−S−又は−NR11−基を表わし、R11は水素原子又はアルキル基を表わす)の基を表わし;
Xは−CO−、−Y−CO−、−O−Y−CO−又は−NR12−Y−CO−基を表わし、Yはアルキレン基又はハロアルキレン基を表わし、R12は水素原子、アルキル基又は−COR13基を表わし、R13は水素原子、アルキル基、ハロアルキル基又はアルコキシ基を表わし;
AAはそれが存在するそれぞれの場合について天然アミノ酸、反応性化学官能基(カルボン酸、アミン、アルコール又はチオール基のような)をもつ側鎖がアルキル又はアラルキルエステルの形態(酸官能基について)で、アルキル又はアラルキルカルバメート又はアルキル又はアラルキルカルボキシアミドの形態(アミン官能基について)で、アルキル又はアラルキルエーテル又はアルキル又はアラルキルチオエーテルの形態又はアルキル又はアラルキルエステルの形態(アルコール及びチオール官能基について)で、保護されている天然アミノ酸又は最後に一般式−NR14 −(CH2)p−CR15CR16−CO−のアミノ酸を表わし、pは0又は1を表わし、R14は水素原子又はアルキル基を表わし、R15は水素原子又はアルキル基を表わしそしてR16は水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、フェニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基又はアルケニル基を表わすか、又はR15及びR16はそれらが結合している炭素原子とともに3ないし7個の炭素原子(好ましくは3ないし6個の炭素原子)をもつ飽和炭素環を形成し、−(AA)−基はまた一般式−NR17−(CH2)3−CH(R18)−CO−のカルバペプチドを表わすこともでき、R17は水素原子又はアルキル基を表わしそしてR18は水素原子又はアルキル基を表わし;
nは2又は3を表わし;そして最後に
Rは水素原子又はアルキル基又は−CO−R19基を表わし、R19はアルキル基を表わす〕の化合物又は該化合物の塩。
【請求項2】
R1、R、R4、R5及びR6がそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基、アルコキシ基又は−NR7R8基を表わし;
R3が水素原子、メチル基又は−COR9基を表わし、R9はメチル基又はtert−ブトキシ基を表わし;
Wが結合手又は−CH2−CH2−、−CH=CH−、−O−又は−S−を表わし;
Xが−CO−、−Y−CO−又は−O−Y−CO−を表わし;
−(AA)−はそれぞれが天然アミノ酸、3−メチルバリン、ノルバリン、フェニルグリシン、ビニルグリシン及び2−アミノ酪酸からなる群から選んだアミノ酸を含有するものであり;
nが2を表わし;そして
Rが水素原子又はメチル基を表わす;ものであることを特徴とする請求項1に記載の一般式(I)の化合物又は該化合物の塩。
【請求項3】
R1、R、R4、R5及びR6がそれぞれ水素原子又はアルキル基又はアルコキシ基を表わし;
R3が水素原子又はメチル基を表わし;
Wが−O−又は−S−を表わし;
Xが−Y−CO−又は−O−Y−CO−を表わし;
−(AA)−が−(AA2)−(AA1)−(ただし、AA1がLeu(ロイシン)を表わしそしてAA2が天然アミノ酸、3−メチルバリン、ノルバリン、フェニルグリシン、ビニルグリシン及び2−アミノ酪酸からなる群から選んだアミノ酸を表わす)を表わし;
Rが水素原子を表わす;ものであることを特徴とする請求項1に記載の一般式(I)の化合物又は該化合物の塩。
【請求項4】
つぎの化合物:
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−ロイシル−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N6−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 1−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−プロリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)グリシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N6−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 1−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)−L−プロリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)ロイシル−N1−[(3S)−2−(アセチルオキシ)−テトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N2−(10H−フェノチアジン−2−イルカルボニル)リシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― O−(tert−ブチル)−N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−セリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−アラニル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― O−(tert−ブチル)−N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−セリル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10H−フェノチアジン−2−イルアセチル)−L−アラニル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド;
― N−[3−(10H−フェノチアジン−2−イル)プロパノイル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[3−(10H−フェノチアジン−2−イル)プロパノイル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−β−アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−D−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 3−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブタノイル)−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ノルバリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−セリル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−トレオニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}−2−フェニルエタノイル)−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブト−3−エノイル)−L−ロイシンアミド;
― 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]アラニル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−バリンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−3−シクロヘキシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−フェニルアラニンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N2−イソブチル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−グリシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ロイシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−アラニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−
N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−β−アラニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−D−バリル−
N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 3−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−バリル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブタノイル)−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−ノルバリル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−セリル−
N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−L−トレオニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}−2−フェニルエタノイル)−L−ロイシンアミド;
― N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−((2S)−2−{[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)−アセチル]アミノ}ブト−3−エノイル)−L−ロイシンアミド;
― 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−アラニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−バリンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−3−シクロヘキシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−アラニンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−フェニルアラニンアミド;
― N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−N2−イソブチルグリシンアミド;
― N−[2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロパノイル]グリシル−N−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−[2−メチル−2−(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)プロパノイル]グリシル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イルカルボニル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イルカルボニル)−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― N−〔(5−アセチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−3−イル)カルボニル〕−L−ロイシル−N1−[(3S)−2−メトキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
― 2−メチル−N−[(10H−フェノチアジン−2−イルオキシ)アセチル]−アラニル−N−[(3S)−2−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
から選んだものであることを特徴とする請求項1記載の一般式(I)の化合物又はこれらの化合物のいずれかの塩。
【請求項5】
医薬品としての請求項1記載の一般式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容し得る塩。
【請求項6】
活性成分として請求項1記載の一般式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容し得る塩を含有しかつ少なくとも一種の薬学的に許容し得る賦形剤を含有してなる医薬組成物。
【請求項7】
カルパイン類の阻害剤として使用される医薬品の製造のための請求項1記載の一般式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項8】
脂質の過酸化の阻止に使用される医薬品の製造のための請求項1記載の一般式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項9】
カルパイン類の阻害及び脂質の過酸化の阻止に使用される医薬品の製造のための請求項1記載の一般式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項10】
炎症性及び免疫性疾患、心臓血管性及び脳血管性疾患、中枢神経系又は末梢神経系疾患、骨粗しょう症、筋ジストロフィー、増殖性疾患、白内障、器官の移植に付随する拒絶反応及び自己免疫性及びウイルス性疾患からなる群から選んだ疾患の処置に使用される医薬品の製造のための請求項1記載の一般式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容し得る塩の使用。


【公表番号】特表2007−513929(P2007−513929A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543581(P2006−543581)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003147
【国際公開番号】WO2005/056551
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(505474717)ソシエテ ド コンセイユ ド ルシェルシェ エ ダアップリカーション シャンティフィック(エス.セー.エール.アー.エス.) (41)
【Fターム(参考)】