説明

2つの傾斜円についてのコンピュータ断層撮影再構成

コンピュータ断層撮影装置(10)は、第1傾斜円(50)及び第2傾斜円(50′)を有する軌道に沿って投影データを得る。再構成器(22)は、微分器(24)と、フィルタ(26)と、逆投影器(27)とを有する。フィルタ(26)は、再構成されるようになっている位置(x)に従って変わるフィルタ関数を適用する。フィルタ関数のパラメータは、再構成器(22)がフィルタリングされた正確な逆投影を実行するように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータ断層撮影(CT)に関する。本発明は、医学におけるX線CTに対する特定のアプリケーションを提供する。本発明はまた、CTデータがオブジェクトの特徴に関する有用な情報を提供することが可能である、物品検査、セキュリティ検査、非破壊検査、前臨床撮影及び他の状況に対するアプリケーションを提供する。
【背景技術】
【0002】
CTスキャナは、オブジェクトの内部構造及び機能に関する情報を得るたねに必要である、医学のアプリケーション及び他のアプリケーションにおいてはかなり有用であることが認められてきている。例えば、医療撮影においては、CTスキャナは、人間の患者の内部の特徴に関する画像及び他の情報を提供するように広範に用いられている。CTスキャナの軸方向カバーを増加することが、動いている解剖学的構造の部位をスキャンする改善された能力、より短いスキャン時間、及び改善されたスキャナスループットを含む多くの有利点を有するようになるにつれて、ごく最近の傾向としては、マルチスライスCTが採用されるようになってきている。
【0003】
列数又はスライス数が増加するにつれて、円形スキャン軌道が益々興味をもたれるようになってきている。しかしながら、そのような円形軌道に伴う1つの問題点は、取得されたデータ集合の不完全性である。この問題点に対する1つの解決方法は、欠落データを与える付加軌道セグメントを用いることである。低周波数成分のみが円形軌道の再構成結果から欠落しているために、比較的低い線量において付加セグメントを得ることが可能である。付加セグメントを含む軌道の例は、円軌道、線軌道及び2つの傾斜円を有する。
【0004】
付加セグメントを使用するにより、円軌道から欠落したデータが与えられるが、改善の余地が残されている。特にかなり高品質の画像を再構成することが好ましいが、かなりの計算量を伴ったままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の特徴は、上記の事項及び他の事項に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一特徴に従って、装置は、微分器と、フィルタと、逆投影器とを有する。微分器は、第1傾斜円及び第2傾斜円を有する軌道に沿って取得されるコンピュータ断層撮影投影データを微分する。フィルタは、再構成されるようになっているオブジェクトの位置の関数として変化する適用しているフィルタの数及び方向により、微分データをフィルタリングする。
【0007】
他の特徴に従って、コンピュータ断層撮影方法は、第1傾斜円及び第2傾斜円に沿って取得されたコンピュータ断層撮影投影データを微分する段階と、微分されたデータをフィルタリングする段階と、フィルタリングされたデータを逆投影する段階とを有する。適用するフィルタの数及び方向は、再構成されるようになっているオブジェクトの位置の投影に基づいて変化する。
【0008】
他の特徴に従って、コンピュータ読み出し可能記憶媒体は、コンピュータプロセッサにより実行されるとき、コンピュータがコンピュータ断層撮影再構成方法を実行するようにする命令を有する。その方法は、第1円形軌道に沿って取得された微分第1コーンビーム投影データをフィルタリングする段階と、第2円形軌道に沿って取得された微分第2コーンビーム投影データをフィルタリングする段階と、検査中にオブジェクトを表すボリューメトリックデータを生成するようにフィルタリングされたデータを逆投影する段階とを有する。第2円形軌道は、第1円形軌道に対して傾斜していて、再構成は正確な再構成である。
【0009】
他の特徴に従って、装置は、第1傾斜円及び第2傾斜円を有する軌道に沿ってX線コンピュータ断層撮影軌道データを取得する手段と、取得された投影データの適切な再構成を実行する手段とを有する。適切な再構成を実行する手段は、平行光線に沿って取得された投影データを微分する手段と、微分されたデータをフィルタリングする手段であって、適用するフィルタの数は、X線コンピュータ断層撮影軌道データを取得する手段及び再構成されるようになっている位置に基づいて変化する、手段と、フィルタリングされたデータを逆投影する手段とを有する。その装置はまた。再構成されたデータを表す人間が読み取り可能な画像を生成する手段を有する。
【0010】
他の特徴に従って、少なくとも第1二次元検出器により与えられたデータから画像を再構成する方法は、少なくとも第1二次元検出器により第1傾斜円及び第2傾斜円と、コーンビーム投影とを有する軌道に沿って投影データを取得するようにオブジェクトをスキャンするステップと、FBPアルゴリズムによりスキャンされたオブジェクトの正確な画像を再構成するステップとを有する。
【0011】
本発明の更なる特徴については、以下の詳細説明を読むことにより理解することができる。
【0012】
本発明は、種々の構成要素及び構成要素の構成、並びに種々のステップ及びステップの構成を具現化するものである。図は、好適な実施形態を単に例示するものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】X線CTスキャナを示す図である。
【図2】第1仮想検出器に適用されているフィルタラインを示す図である。
【図3A】第2仮想検出器を示す図である。
【図3B】第2仮想検出器を示す図である。
【図4A】第2円上の第1位置における第2仮想検出器に適用されたフィルタラインの集合を示す図である。
【図4B】第2円上の第2位置における第2仮想検出器に対して適用されたフィルタラインの集合を示す図である。
【図5A】第2円上の第1位置における第2仮想検出器に関連するフィルタラインの集合を示す図である。
【図5B】第2円上の第2位置における第2仮想検出器に関連するフィルタラインの集合を示す図である。
【図5C】第2円上の第1位置における第2仮想検出器に関連するフィルタラインの集合を示す図である。
【図5D】第2円上の第2位置における第2仮想検出器に関連するフィルタラインの集合を示す図である。
【図6A】第2円上の第1位置における第2仮想検出器に関連するフィルタラインの集合を示す図である。
【図6B】第2円上の第2位置における第2仮想検出器に関連するフィルタラインの集合を示す図である。
【図6C】第2円上の第1位置における第2仮想検出器に関連するフィルタラインの集合を示す図である。
【図6D】第2円上の第2位置における第2仮想検出器に関連するフィルタラインの集合を示す図である。
【図7】撮影方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照するに、CTスキャナ10は、回転軸rの周りを回転する回転ガントリ18を有する。回転ガントリ18は、一般に、円錐状の放射ビームを生成するX線管等のX線源12を支持している。ガントリ18はまた、検査領域14の反対側においてある角度の弧を有するX線感応性検出器20を支持している。図示しているように、検出器20は、複数列又は複数スライスの検出器要素100を有するマルチスライス検出器である。フラットパネル検出器、領域検出器又は他の検出器20の構成及び第4世代システム形状又は他のシステム形状がまた、実施されることが可能である。カウチ等のオブジェクト支持部16は、検査領域14における検査中に、患者又は他のオブジェクトを支持する。
【0015】
回転ガントリ18及びオブジェクト19は、第1円50及び第2円50′を有するスキャン軌道に従って投影画像を取得するように相対的に移動可能であり、それら第1円50及び第2円50′は互いに対して傾斜している。図を明確化するために、例示としての第1円50を、図1において実線で示している一方、第2円50′を破線で示している。それらの軌道は、X線源12が検査領域14の周りを回転するとき、例えば、ガントリ20を傾けることにより、支持部16を傾けることにより、又はX線源12及び/又は検出器20のどちらか一方のみ又はそれらを組み合わせて平行移動することにより、得られる。X線源12及び検出器20はまた、一定の角度位置に保たれる一方、オブジェクト19が回転されることが可能である。
【0016】
回転ガントリ18において又は回転ガントリ18に近接して好適に位置付けられるデータ測定システム23は、検出器20からの信号を更に処理するために、信号調整、アナログ−ディジタル変換、多重化等の機能を有する。制御器28は、好ましい軌道を与えるためのガントリ18及び/又はオブジェクト19の回転運動、並びに好ましいスキャンプロトコルを実行するために必要に応じた他のパラメータを調整する。
【0017】
再構成器22は、オブジェクト19を表すボリューメトリックデータを生成するように、検出器20からの信号を再構成する。再構成器22は、投影データを微分する微分器24と、微分されたデータをフィルタリングするフィルタ26と、フィルタリングされたデータを逆投影する逆投影器27とを有する。更に下で説明するように、再構成器22は、2つの傾斜した円50、50′を有するスキャン軌道を用いて取得される投影データの正確なフィルタリングされた逆投影(FBP)を実行する。
【0018】
汎用コンピュータはオペレータコンソール44のために機能する。オペレータコンソール44は、モニタ又はディスプレイ等の人間が読み取り可能な出力装置と、キーボード及びマウス等の入力装置とを有する。ユーザコンソールに存在するソフトウェアは、好ましいスキャンプロトコルを確立し、スキャンを開始及び終了し、ボリュメトリック画像データを見又は操作し、若しくは、例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介して、スキャナ10とインタラクトすることにより、オペレータがスキャナ10の動作を制御することを可能にする。
【0019】
ここで、再構成器22について、更に詳細に説明する。以下の説明のために、図1を参照するに、第1円50はXY面内に位置付けられることを前提とする一方、第2円50′はY軸に関して傾斜している。それらの条件を用いて、第1円50及び第2円50′は、次式
【0020】
【数1】

のようにパラメータ化され、ここで、y(s)及びy(s)は第1円50及び第2円50′のそれぞれに対するX線源12の位置であり、sはX線源12の角位置であり、λはそれらの円の傾斜角であり、そしてRはX線源12から回転軸rまでの距離である。
【0021】
投影に沿って種々の位置y(s)について、測定された投影データは、オブジェクトを透過する複数の光線又は経路の各々に沿った放射線減衰の線席分として、次式
【0022】
【数2】

のように表されることが可能であり、ここで、θは光線の方向を表す単位ベクトルであり、f(y+lθ)は目的関数である。
【0023】
継続して図1を参照するに、微分器24は、次式
【0024】
【数3】

のように、平行光線に沿った投影データを微分する。
【0025】
上記微分のために、平行光線は、異なる光源軌道からもたらされるが、同様の列における検出器20を横断する平行光線である。一実施形態においては、その微分はフーリエフィルタを用いて行われるが、他の適切な微分技術を用いることも可能である。
【0026】
フィルタ26は、1/sinγフィルタを用いて、微分されたデータをフィルタリングする。適用するフィルタの数N及び適用するフィルタの方向eはX線源の位置s及び再構成されるようになっているオブジェクトのボクセル又は位置xの関数として変化する。所定のX線源の位置及びオブジェクトの位置について、X線源sからオブジェクト位置xまで向かっている単位ベクトルβ(s,x)は次式
β(s,x)=(x−y(s)/|x−y(s))| 式4
のように定義される。単位ベクトルeで表されるフィルタベクトルの方向はベクトルβ(s,x)に対して垂直である。
【0027】
フィルタリング動作は次式
【0028】
【数4】

のように表される。下で更に詳細に説明するように、フィルタ依存性重みμ及びフィルタベクトルeは、正確な再構成を提供するように有利に選択される。特に、フィルタベクトルeは、仮想平面検出器に関連して規定されるフィルタラインの1つ又はそれ以上の集合に沿ってデータをフィルタリングするように有利に選択される一方、フィルタ依存性重みμは、フィルタベクトルe及びフィルタ依存性重みμの組み合わせにおいて正確であるように再構成を確実にするように選択される。
【0029】
逆投影器27は、オブジェクト19又はオブジェクトの対象領域を表すボリューメトリックデータf(x)を生成するように、フィルタリングされたデータを逆投影する。逆投影動作は、次式
【0030】
【数5】

のように表される。式6の逆投影は、第1円50及び第2円50′の両方からのデータに適応されることに留意されたい。
【0031】
フィルタベクトルeは、ここで、それぞれ仮想検出器座標(uplanar,vplanar)を有する第1仮想平面検出器及び第2仮想平面検出器に関連して表される。第1仮想検出器50は、第1円50に関連して規定され、第2仮想検出器50′は、第2円50′に関連して規定される。下における説明のために、第1仮想検出器は、X線源12と第1仮想検出器とが交差するラインに対して直角であることが前提となっている(即ち、第1仮想検出器は、X線ビームの中心光線に対して直交することが前提である)。更に、第1円50を含む面の交差がまた、第1仮想検出器のuplanar軸に対して平行であることが前提である。第2仮想検出器は、同様に、X線源12′と第2仮想検出器とが交差するラインに対して直角であることが前提となっている(即ち、第2仮想検出器は、X線ビームの中心光線に対して直交することが前提である)。第2円50′を含む面の交差がまた、第2仮想検出器のuplanar軸に対して平行であることが前提である。
【0032】
第1仮想検出器及び第2仮想検出器に関連して規定されるまっすぐなフィルタラインの1つ又はそれ以上の集合に沿って、微分されたデータがフィルタリングされるように、フィルタベクトルeが確立される。図2は、第1仮想検出器204に関連するフィルタライン202の集合を示している。フィルタライン202の単独の集合のみが必要であり、それ故、上記の式5におけるNの値は1である。フィルタライン202は、仮想検出器204のuplanar軸に、それ故、第1円50の平面の投影208に対して平行である。上記の式5におけるフィルタ依存性重みμは1/2に設定される。図示しているように、フィルタリングの方向206は、左側から右側への方向である。
【0033】
ここで、第2円50′についてであるが、フィルタラインの集合の数、即ち、上記式5のNの値は、オブジェクトの位置xが投影される第2仮想検出器における位置に依存する。図3A及び3Bは、2つの異なる任意のX線源位置sについて第2円50′から分かるように、第2仮想検出器302を示している。曲線304は、第2仮想検出器302への一次円50の投影を表している。直線306は、第2仮想検出器302への第2円50′の投影に対して平行であり、第2仮想検出器302への第1円50の投影304に対する接線である。
【0034】
図示しているように、投影304、306は、第2仮想検出器302をA、B、C及びDに分離している。フィルタラインの数N、フィルタ依存性重みμ及びフィルタラインの方向eは、オブジェクト位置xが投影される第2仮想検出器302の領域に依存する。
【0035】
オブジェクト位置xが領域Dに投影される場合、投影データはフィルタリング又は逆投影される必要はない(即ち、N=0)。
【0036】
オブジェクト位置xが領域Aに投影される場合、フィルタラインの3つの集合が必要(即ち、N=3)である。図4A及び4Bは、第2円50′における2つの異なる任意の位置におけるフィルタライン402の第1集合(例えば、n=1)を示している。図示しているように、フィルタライン402は、uplanar軸に対して、それ故、第2円50′の投影306に対して平行である。フィルタ依存性重みμは1/2に設定され、フィルタリングの方向404は左側から右側である。図5A、5B、5C及び5Dは、第2円50′における4つの異なる任意の位置におけるフィルタライン502の第2集合(例えば、n=2)を示している。図示しているように、フィルタライン502は、オブジェクト位置xが投影されたポイントの左の方に位置している接線の点を有する、第1円50の投影304に対する接線である。フィルタ依存性重みμは1/4に設定され、フィルタリングの方向504は右側から左側である。図6A、6B、6C及び6Dは、第2円50′における4つの異なる任意の位置におけるフィルタライン602の第3集合(例えば、n=3)をまた、示している。図示しているように、フィルタライン602は、オブジェクト位置xが投影されたポイントの右の方に位置している接線の点を有する、第1円50の投影304に対する接線である。フィルタ依存性重みμは1/4に設定され、フィルタリングの方向604は左側から右側である。
【0037】
オブジェクト位置xが領域B又はCに投影される場合、フィルタラインの2つの集合が必要(即ち、N=2)である。図5及び図6に示すフィルタラインの集合が用いられる。領域Bにおいては、フィルタ依存性重みμは、両方の集合について、1/4に設定される。領域Cにおいては、フィルタ依存性重みμは、両方の集合について、−1/4に設定される。
【0038】
ここで、動作について、図7を参照して説明する。
【0039】
2つの傾斜した円50、50′を有する軌跡についてのスキャンデータが、ステップ702において取得される。
【0040】
第1円及び第2円50′から得られるスキャンデータは、ステップ704において微分される。
【0041】
微分されたデータはステップ706においてフィルタリングされる。上記のように、適用されるフィルタの重み及び方向は、有利であることに、円50、50′、X線源位置s、及び逆投影されるオブジェクト位置xの関数として変化する。フィルタは、複数のX線源及びオブジェクト位置の各々について適用されることに留意する必要がある。
【0042】
ステップ708においては、フィルタリングされたデータは、ボリューメトリックデータを生成するように逆投影される。
【0043】
ボリューメトリックデータを表す人間が読み取り可能である画像は、ステップ710において、例えば、オペレータコンソール44と関連付けられたモニタ、他の適切なモニタ又はディスプレイ、フィルム等に表示される。
【0044】
変形について検討する。例えば、第1円50のスキャンは、比較的高いX線の線量において行われ、第2円50′のスキャンは、比較的低いX線の線量において行われることが可能である。そのような実施は、対象物の動きからもたされるアーティファクトを低減することが望ましい心臓用アプリケーションの及び他のアプリケーションに関連する場合に特に、有利である。特に、そのような実施は、第2円からのデータが、比較的低い空間周波数成分を有する投影データを提供しそれ故、再構成された画像の品質に対してあまり重要でないことを利用する。また、スキャン動作に関連して予測して、再構成中に遡及的に、又はそれらを組み合わせて、等に拘わらず、心臓ゲーティング、呼吸器ゲーティング又は他の運動ゲーティングが第1円50及び/又は第2円50′に適用されることが可能であることに留意されたい。
【0045】
他の変形においては、複数の再構成の結果が組み合わされる。第1再構成においては、円50、50′のうちの一は第1円50として扱われ、他は第2円50′として扱われる。第2再構成においては、それらの円の処理は逆にされる(即ち、一の円は第2円として扱われ、他の円は第1円として扱われる)。第1円50及び第2円のスキャンが略等しい線量を用いて行われる場合、再構成の結果は、それらを平均化することにより組み合わされることが可能である。
【0046】
フィルタリング動作について、上記においては、第1仮想平面検出器及び第2仮想平面検出器に関連して説明しているが、当業者は、それらの仮想検出器が物理的検出器でなく、それに代えて、種々のフィルタ軌道を表す構成としての役割を果たす仮想表面であることが可能である。従って、そのフィルタリング動作はまた、他の平面又は非平面仮想検出器又は表面、物理的検出器100及び/又はX線源12、若しくは座標系と関連して表現されることが可能である。
【0047】
更に、第1円50のスキャンが、第2円50′のスキャンに時間的に先行して行われる必要はない。それ故、例えば、第2円50′が最初にスキャンされることが可能である。第1円50及び第2円50′のスキャンはまた、インターリーブに基づいて実行されることが可能である。スキャナはまた、複数のX線源12の集合及び/又は検出器20を備えることが可能であり、その場合、それらの円のスキャンは、略同時に行われることが可能である。
【0048】
再構成は、スキャンと同時に実行される必要はない。従って、投影データの一部又は全てが、例えば、患者又は他の対象物がもはやスキャナ10の近傍にない後に、後続の再構成及び/又は操作のために記憶されることが可能である。
【0049】
スキャン軌道に関する変形についてまた、検討する。例えば、第1円50及び第2円50′は異なる半径Rを有することが可能である。オブジェクト及び対象領域の形状に依存して、両方の円50、50′が回転軸rに対して傾けられる必要はない。従って、例えば、それらの円50、50′のうちの1つの面は、その軸rに対して実質的に直角であることが可能である。第1円50及び第2円50′はまた、特に、スキャナが複数のX線源12及び/又は検出器20を有し、長手方向の動きがオブジェクト19に関連して与えられる状態において、長手方向にオフセットを有することが可能である。
【0050】
上記の説明は、焦点からのX線放射を生成するX線管を用いる、X線CTに焦点を当てているが、他の放射線源及び他の種類の放射線を用いることも検討されることが可能である。代替としては、ガンマ放射線源及びガンマ放射線検出器が用いられることが可能である。
【0051】
好ましい再構成時間、マトリクスサイズ、コスト、及び他の因子に依存して、再構成器22の種々の実施形態について検討されることが可能である。例えば、微分器24、フィルタ26及び逆投影器27の1つ又はそれ以上が、コンピュータプロセッサによりアクセスされるときに、コンピュータが上記の技術を実行するようにするコンピュータ読み出し可能命令により実行されることが可能である。そのような実施例においては、それらの命令は、適切なプロセッサに関連する又は適切なプロセッサに対して利用可能であるコンピュータ読み出し可能記憶媒体に記憶される。種々の機能がまた、直列的に又は並列的に動作するように、複数のコンピュータ、複数のコンピュータプロセッサ及び/又は複数のソフトウェアルーチンに割り当てられることが可能である。同様に、再構成器22の機能の一部又は全てがまた、例えば、適切なディジタル回路及び/又はアナログ回路を用いて、ハードウェアにおいて実施されることが可能である。
【0052】
本発明については、上記で、好適な実施形態に関して説明している。修正及び変形が、上記の詳細説明を読んで理解することにより案出されることが可能である。本発明においては、それらの修正及び変形は全てが、同時提出の特許請求の範囲における範囲から逸脱することなく又はその範囲と同等の範囲であると解釈できるように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1傾斜円及び第2傾斜円を有する軌道に沿って得られるコンピュータ断層撮影投影データを微分する微分器;
前記微分されたデータをフィルタリングするフィルタであって、適用される前記フィルタの数及び方向は、再構成されるようになっているオブジェクト位置の関数として変わる、フィルタ;並びに
前記フィルタリングされたデータを逆投影する逆投影器;
を有する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記微分器、前記フィルタ及び前記逆投影器は、前記投影データの適切な再構成を実行するように協働する、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記フィルタは、フィルタラインの第2集合に沿ってフィルタリングし、前記のフィルタラインの第1集合は、仮想平面検出器に関して直線である、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記フィルタは、フィルタラインの第2集合に沿ってフィルタリングし、前記のフィルタラインの第2集合は、仮想平面検出器に関して直線である、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記フィルタは、仮想平面検出器における前記第1傾斜円の投影に対して平行である方向に前記第1円に沿って得られるデータをフィルタリングする、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記第2円に沿って得られるデータに適用される前記フィルタは、前記オブジェクト位置が投影される仮想検出器における領域の関数として変化する、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記仮想検出器は第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を有し、前記第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域は、前記仮想検出器に対する前記第1円の投影により、及び前記仮想検出器に対する前記第2円の投影に対する平行な線により境界付けられている、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記仮想検出器に対する前記第1円の前記投影は曲線であり、前記仮想検出器に対する前記第2円の前記投影は直線である、装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、前記適用されるフィルタの前記数及び方向は前記領域の関数として変わる、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記フィルタは、次式
【数6】

に従って、前記微分されたデータをフィルタリングする、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、前記装置は、心臓ゲーティング再構成を実行するように前記第1円に沿って得られる投影データを用いる、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記第1円に沿って得られる投影データは相対的に高い第1線量において得られ、前記第2円に沿って得られる投影データは相対的に低い第2線量において得られる、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、前記コンピュータ断層撮影投影データを得る手段を更に有する、装置。
【請求項14】
第1傾斜円及び第2傾斜円に沿って得られたコンピュータ断層撮影投影データを微分する段階;
前記微分されたデータをフィルタリングする段階であって、適用される前記フィルタの数及び方向は、再構成されるようになっているオブジェクト位置の投影にも基づいて変わる、段階;並びに
前記フィルタリングされたデータを逆投影する段階;
を有するコンピュータ断層撮影方法。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、前記フィルタリングする段階は、1/sinγフィルタに従って前記微分された投影データをフィルタリングする段階を有する、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項16】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、フィルタラインの少なくとも第1集合に沿って前記第2円に沿って得られたデータをフィルタリングする段階を有し、前記投影ラインの集合の前記数は前記オブジェクト位置及びソース位置の関数として変わる、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項17】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、前記適用されるフィルタの前記数は2と3との間で変わる、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項18】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、前記第2円に沿って得られた前記データは、仮想平面検出器に対する前記第2円の前記投影に対して平行である方向にフィルタリングされる、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項19】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、前記第2円に沿って得られた前記データは、仮想平面検出器に対する前記第1円の投影に対して接する複数のフィルタラインに沿ってフィルタリングされる、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項20】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、前記フィルタリングされたデータをフィルタ依存性重み付け関数に従って重み付けする段階を有する、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項21】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、前記第1円に沿って得られる前記コンピュータ断層撮影投影データは第1線量において得られ、前記第2円に沿って得られる前記コンピュータ断層撮影投影データは第2線量において得られ、前記第1線量及び前記第2線量は略等しい、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項22】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、第1再構成及び第2再構成を実行するように前記第1円及び前記第2円に沿って得られる投影データを用いる段階と、前記第1再構成及び第2再構成の結果を結び付ける段階とを有する、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項23】
請求項14に記載のコンピュータ断層撮影方法であって、前記第1円及び前記第2円のうちの少なくとも1つに沿って得られた前記投影データは予測してゲーティングされる、コンピュータ断層撮影方法。
【請求項24】
コンピュータプロセッサにより実行されるときに、コンピュータがコンピュータ断層撮影再構成方法を実行するようにする命令を有するコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、前記コンピュータ断層撮影再構成方法は:
第1円軌道に沿って得られた微分第1コーンビーム投影データをフィルタリングする段階;
第2円軌道に沿って得られた微分第2コーンビーム投影データをフィルタリングする段階であって、前記第2円軌道は前記第1円軌道に対して傾いている、段階;及び
検査中にオブジェクトを表すボリューメトリックデータを生成するように前記フィルタリングされたデータを逆投影する段階であって、前記再構成は正確な再構成である、段階;
を有する、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項25】
請求項24に記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、前記方法は、平行光線に沿って前記第1コーンビームデータを微分する段階を更に有する、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項26】
請求項24に記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、前記の微分コーンデータをフィルタリングする段階は、再構成されるようになっているオブジェクト位置の投影の位置に基づいて、適用されたフィルタの方向を変える段階を有する、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項27】
請求項26に記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、前記投影の前記位置は仮想面における投影の位置を有し、前記仮想面への前記第1円の投影は曲線を生成し、前記仮想面への前記第2円の投影は直線を生成する、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項28】
請求項24に記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、前記微分コーンデータをフィルタリングする段階は、再構成されるようになっているオブじぇっくと位置の投影の位置に基づいて、適用されるフィルタの数を変える、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項29】
第1傾斜円及び第2傾斜円を有する軌道に沿ってX線コンピュータ断層撮影投影データを得る手段;
前記得られた投影データの正確な再構成を実行する手段;
平行光線に沿って得られた投影データを微分する手段;
前記微分データをフィルタリングする手段であって、X線コンピュータ断層撮影投影データを得る手段の位置及び再構成されるようになっている位置に基づいて、前記適用されるフィルタの数が変わる、手段;
前記フィルタリングされたデータを逆投影する手段;並びに
前記再構成されたデータを表す、人間が読み取り可能な画像を生成する手段;
を有する装置。
【請求項30】
少なくとも第1二次元検出器により提供されるデータから画像を再構成する方法であって:
少なくとも第1二次元検出器による第1傾斜円及び第2傾斜円を有する軌道、及びコーンビーム投影に沿った投影データを得るようにオブジェクトをスキャンする段階;並びに
FBPアルゴリズムにより前記スキャンされたオブジェクトの正確な画像を再構成する段階;
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−501270(P2010−501270A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525673(P2009−525673)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/074204
【国際公開番号】WO2008/024585
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】