説明

2型糖尿病組み合わせウェーハ

本発明は、糖尿病療法のための活性剤の組み合わせを適用するための迅速に崩壊する経口医薬製剤に関し、ここで、当該医薬製剤は、2型糖尿病を処置するのに適する少なくとも2種の活性剤を含み、またここで、該抗糖尿病活性剤は、スルホニルウレア、グリタゾン、グリニド、ビグアナイドおよび吸収阻害剤を含む群から選択される。本発明はさらに、本発明の活性剤の組み合わせの、糖尿病を処置するための経口医薬製剤を製造するための使用、糖尿病の治療処置のための方法およびウェーハ状医薬製剤の製造方法を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病の療法のための活性剤の組み合わせを適用するための迅速に崩壊する経口剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
真性糖尿病(diabetes mellitus)は、ドイツのみにおいて約600万人に影響を与える代謝疾患である。一般的に糖尿病とも呼称される真性糖尿病は、炭水化物を利用する身体の不十分な能力により生じる血糖値の長期間継続する病理学的上昇であると考えられている。
真性糖尿病について、1型糖尿病と2型糖尿病との間で区別がなされる;これらの徴候は共に、年齢に依存せずに発生し得る。
【0003】
「若年性」または「インスリン依存性」糖尿病とも呼ばれる1型糖尿病は、概して、すでに小児および青年において発生するが、一層後期の年齢、即ち成人においても出現し得る。1型糖尿病は、糖尿病患者の約10%において存在し、免疫系によるインスリン産生細胞の破壊の結果発生する(自己免疫疾患)。
1型糖尿病においては、身体は、もはやインスリンを産生することができず、1型糖尿病は常に、インスリンを用いた処置を必要とし、したがって経口療法に対しては明確には反応しない。
【0004】
「高齢者の糖尿病」または「インスリン非依存性糖尿病」とも呼ばれ、糖尿病の症例の90%の割合を占める2型糖尿病は、ゆっくりと発現するに過ぎず、概して高齢者においてのみ見られる。しかし、生活様式および食習慣の変化により、これは、太りすぎの小児および青年においてもますます診断されている。
2型糖尿病の前兆は、いわゆる病理学的糖耐性であり、ここで身体は、もはや炭水化物を適切に利用することができず、このことは、しばしば太りすぎ、高血圧、高い血中脂質レベルおよび上昇した尿酸値と同時に起こり、これは、用語「メタボリックシンドローム」の下に集約される。
【0005】
2型糖尿病の主要な原因の1つは、インスリン抵抗性、即ちインスリンの作用の喪失であり、これは、栄養過多および低下した身体活動性の結果発生する。
【0006】
専門家は、今後、人々が一層太りすぎになり、一層高齢となり、太りすぎの青年の世代が成人期に達するため、2型糖尿病患者の数は、尚さらに増大すると予想している。2型糖尿病の発症は、潜行性であり、しばしば極めて後期に診断されるに過ぎない。当該疾患の連続的な進行性の発現のために、処置は、規則的な制御を必要とし、疾患の経過への適合を必要とし得る。
慢性の上昇した血糖値により、血管および神経系に対する重大な損傷がもたらされ得、かつ心臓、目および腎臓が損傷し得るため、処置の目的は、血糖を非糖尿病のレベルに維持することである。
【0007】
2型糖尿病においては、疾患の開始時には、絶対的インスリン欠乏はなく、単に当該ホルモンの低下した作用があるのみであるため、種々の活性剤および機構の作用を伴う経口療法に対する種々の方法があり、これは、以下のことに基づく:
−体細胞のインスリンに対する感受性を改善すること;
−膵臓におけるインスリン分泌を改善すること;
−特に食事中の内因性インスリン分泌を刺激して、食後の高血糖を回避すること;
−グルコース吸収を遅延させ、炭水化物の分解を遅延させること。
【0008】
2型糖尿病が、処置を必要とする状態に達した後、2型糖尿病を処置するための医薬を、終身服用しなければならない。
2型糖尿病の処置において、2種の経口抗糖尿病薬を組み合わせて、一層良好な治療効果を達成するか、または用量およびこれにより物質の群についての副作用プロフィールの減少を達成することが、好都合であり、治療的に望ましいことが、見出され得る。
【0009】
しかし、活性剤の組み合わせにはまた、所望の治療効果を達成するための摂取スケジュールに従う整合した摂取が必要である。この理由により、1種の剤形中に活性剤を組み合わせるのが望ましい。その理由は、これにより、患者についての摂取が促進され、誤った適用の危険が最小になるからである。
したがって、剤形の容易であり、直接的な適用が、患者についての摂取を促進し、コンプライアンスを増大させるために可能でなければならない。
【0010】
剤形はさらに、活性剤を迅速に放出し、作用の迅速な開始を確実にすることが可能でなければならない。したがって、剤形の崩壊および当該活性剤の放出は、経口的な適用のための剤形の場合においては、適用の部位においてすでに、例えば口腔においてすでに発生していなければならない。これは、ある種の活性剤を食物の摂取の直前に服用する際に、または高血糖ショックを処置するために、特に重要である。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の目的は、糖尿病の処置において有効に用いることができ、活性剤の低い投与量のみを必要として、抗糖尿病薬の副作用を可能な限り低く保持し、これにより日常の生活を妨げない剤形を提供することにあった。さらに、剤形は、良好なコンプライアンスを示さなければならず、これは、患者への投与を、可能な限り単純にしなければならず、患者に、例えば剤形の大きさの理由により、薬物療法を受けることに対して留保させてはならないことなどを意味する。前記剤形はさらに、既知の剤形、特に錠剤の欠点を回避することを意図する。
【0012】
上記で説明したように、一定の血糖値を維持するために、糖尿病患者は、薬物療法を規則的に受けることが必須である。さらに、医薬を単純な方式で適用して、所要に応じて、これらを食事前に、また人前でも服用することができるようにすることが、可能でなければならない。その理由は、抗糖尿病薬の群からのある種の活性剤について、これらを食事前に適用する場合が有益であるからである。
病的血糖(pathoglycaemia)の場合においても、適用を迅速に行って、高血糖ショックに対抗しなければならない。
【0013】
糖尿病を処置するための活性剤の投与のために一般的に用いられる剤形は、錠剤およびカプセルである。
錠剤またはカプセルは、服用するのが比較的容易であるが、作用の開始は、一般的に遅延され、活性剤は、胃腸管を介して吸収される際には、「初回通過効果」の影響を受けやすく、したがって錠剤またはカプセルにおいて高い初期の活性剤濃度が必要である。
【0014】
しばしば、患者は、錠剤を液体と共に服用することが可能であるに過ぎず、これにより、当該患者の移動の自由におけるある程度の低下がもたらされる。例えば、自動車を運転している間に、または食事の直前の会議の間に錠剤を服用することは、困難を伴って可能であるに過ぎない。
【0015】
上記の目的は、口腔において崩壊する親水性ポリマーフィルムのシート状剤形により解決され、前記剤形は、2型糖尿病の処置に適する少なくとも2種の活性剤を含むことが、見出された。
既知の活性剤に加えて、これらの遊離酸もしくは塩基、またはこれらの治療的に活性な塩もまた、活性剤として好適である。
【0016】
本発明の剤形における活性剤を組み合わせることにより、患者は、活性剤の両方を服用するのが一層容易である。口腔粘膜を介しての活性剤の吸収により、他の経口剤形と比較して、例えば飲み込みにおいて困難を有する患者または錠剤を服用するのを拒否する患者にもまた、経口経路を介して医薬を投与することができるという利点が付与される。さらに、患者が両方の活性剤について1種の医薬を服用しなければならないに過ぎないため、薬物療法の誤りの危険が低下する。これにより、コンプライアンスおよび療法の成功が改善される。
【0017】
さらに、活性剤または活性剤の少なくとも一部を粘膜を介して直接吸収することができるため、作用の開始が発生するまでの時間は、顕著に短縮され得、したがってグリニド(glinide)または吸収遅延剤を、適用の要件に従って適用することができる。
【0018】
特に、糖尿病を処置するための1つの投与形態において活性剤を組み合わせ、ここで活性剤の1種が、迅速に作用する活性剤、例えばグリニドまたは吸収遅延剤であり、第2の活性剤が、インスリン分泌の長期間の増大のための比較的長い半減期を有する活性剤であるために、特別な利点を達成することが可能である。例えば、このような組み合わせを食事前に服用する場合には、食事を摂取する間直ちに、またこの短時間後にさえも、血糖値が正常な範囲から逸脱せず、食後の高血糖を回避するように、血糖値を調節することができる。
【0019】
さらに、単一の活性剤の組み合わせは、相乗効果を有する作用の異なる機構を有する活性剤を含んでいてもよく、したがって異なる生理学的活性の結果、単一成分の組成物を用いる場合よりも少量の活性剤を、血糖チェックにおいて投薬することができる。
【0020】
活性剤を組み合わせる場合においてさえも、医薬の整合性のある摂取および良好なコンプライアンスは、最適な有効性を確実にするための必要条件である。
これらの活性剤の組み合わせをシート状剤形(ウェーハ)において投与することにより、容易な摂取のみならず、活性剤成分の互いに対する正確な適合も可能になり、したがって摂取を忘れたことによる、または1種の活性剤のみの二重の摂取による誤った投薬、およびしたがって高血糖または低血糖状態を誘発し得る血糖値の不適切な調節は、発生しない。
【0021】
ある種の活性剤の経粘膜的投与の他の利点は、胃腸経路を迂回し、経口投与に続いての「初回通過」効果、即ち最初の肝臓通過の間の活性剤の顕著な部分の代謝がこれにより回避され、したがって活性剤が高い程度で利用されるという事実である。
【0022】
さらに、初回通過効果により生じる活性剤の損失が実際に発生しないため、ある種の活性剤の投与量をしばしば対応して低下させることができ、これにより同様に、患者からの負荷の解消および、比較的低いUDEの結果としての改善された幸福感がもたらされる。
【0023】
さらに、互いに対する活性剤の比率を変化させることにより、それぞれの必要性に対する投与量を適合させることが可能である。したがって、本発明の剤形は、患者が炭水化物吸収阻害剤に対して、または上昇するインスリン分泌に対して一層良好に応答するかに依存して、患者に適合した活性剤の組み合わせを含んでいてもよい。
【0024】
ウェーハの単純であり低費用の製造の理由により、異なる活性剤濃度を含む多種の医薬を提供することが、可能である。
ウェーハを積層物で構成する場合には、例えば、活性剤含有層の厚さのみを変化させるか、または活性剤の濃度を変化させることが可能である。
他方、異なる活性剤含量を有するが、同一の活性剤比率を有する医薬製品を、単に剤形の表面を種々の大きさに切断することにより、製造することができる。
【0025】
さらに、これらの平坦な形状のために、活性剤の組み合わせを含む本発明のウェーハを、例えば財布中に容易に携帯することができ、旅行時においても即座に利用可能である。これらは、服用するのが容易であり、糖尿病の処置および突然発生する低血糖の場合の両方において、これらは迅速に奏効する。
【0026】
親水性水溶性および/または膨潤性ポリマーフィルム用のベースポリマーとして適する水溶性または膨潤性ポリマーは、デキストラン、デンプンおよびデンプン誘導体、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースまたはプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えばWalocel)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルエチルセルロースなど)を含む多糖、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、ペクチン、ゼラチン、アルギン酸、コラーゲン、キトサン、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギーナン天然ガム、トラガカント、高分散二酸化ケイ素(highly dispersed silicon dioxide)、ベントナイト、並びに前述の親水性ポリマーの誘導体またはこれらのポリマーの2種もしくは3種以上の組み合わせを含む群からのポリマーである。代替として、ポリマーフィルムは、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー製であってもよい。
【0027】
本発明の剤形中に含まれるポリマーの比率は、当該剤形の乾燥質量に対して、好ましくは5〜95重量%、一層好ましくは15〜75重量%である。
【0028】
親水性ポリマーに基づいており、2型糖尿病の処置のために用いられる本発明のシート状医薬製剤は、2型糖尿病の経口療法に適する少なくとも2種の活性剤の活性剤の組み合わせを含む。
【0029】
好ましい態様において、医薬製剤は、2〜4種、好ましくは2〜3種、一層好ましくは2種の活性剤を含み、活性剤は、スルホニルウレア(sulfonylureas)、グリタゾン(glitazones)、グリニド(glinides)、ビグアナイド(biguanides)および吸収遅延剤を含む群から選択される。
好ましくは、活性剤製剤中に含まれる活性剤は、異なる作用の機構を有する異なる活性剤の群に属する。
活性剤の1種が、血糖値を迅速に低下させる活性剤であり、一方第2の活性剤が、長期間の作用を発生させることが、さらに好ましい。
【0030】
医薬製剤の好ましい態様は、2種の活性剤の活性剤の組み合わせを含み、ここで前記活性剤は、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ナテグリニド、レパグリニド、グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリメピリド、グリキドンおよびトルブタミドを含む群から選択される。
活性剤の他の組み合わせは、ナテグリニドおよびメトホルミンを含む。
【0031】
抗糖尿病薬の活性剤含量は、ウェーハの合計重量に対して、2%〜80%、好ましくは5%〜70%および一層好ましくは10%〜30%である。
【0032】
物理化学的特性を改善する、例えば脆性または脆化を低減するために、保湿剤、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールエステルなどを、フィルムに加えてもよい。
【0033】
他の態様において、酸化防止剤、例えばビタミンC(アスコルビン酸)、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンE(酢酸トコフェロール)、ヒドロキシ安息香酸誘導体を、ウェーハに加えて、フィルムおよび活性剤を安定化させてもよい。さらに、酸性および塩基性イオン交換体を、安定剤として用いてもよい。
【0034】
他の態様において、他の成分、例えば染料、顔料、風味香味剤(taste flavouring)、天然の、および/または合成の香味物質、甘味料、緩衝系を、フィルムに加えてもよい。特に、風味香味剤および香味物質は、活性剤のしばしば劣悪な特有の風味または臭気をカバーし、かつ/または剤形に良好な風味を付与することができ、したがって薬剤を服用する患者の用意が、顕著に改善される。
【0035】
緩衝系を加えることは、一方でフィルムおよび活性剤を外側の影響に対して貯蔵の間安定化する役割を果たし;他方で、剤形のpHは、これにより生理学的に許容し得るpH値に調整され得、したがって粘膜の刺激は、回避される。緩衝系を用いることにより、酸性または塩基性の活性剤のマトリックスへの溶解性を改善することも、可能である。
【0036】
本発明の剤形は、薄くなるように、例えばウェーハの形態に構成される。剤形の厚さは、好ましくは0.1〜5mm、一層好ましくは0.5〜1mmである。剤形の厚さについての下限は、約50μmである。剤形の表面積は、0.09cm〜12cm、好ましくは1cm〜8cm、一層好ましくは3cm〜6cmである。
【0037】
他の態様において、本発明のウェーハは、崩壊剤またはウィッキング剤(wicking agent)、例えば重炭酸塩−酸混合物またはアエロジル(aerosil)を含み、これは、液体との接触により活性化され、これを適用した後にウェーハの崩壊を促進し、これによりまた活性剤の放出を促進する。
【0038】
好ましい態様において、ウェーハは、発泡体として存在し、したがって活性剤の放出は、拡大された表面のために尚一層迅速に行われる。この態様において、発泡体の空洞は、液体形態での活性剤を1種または2種以上含んでいてもよい。
【0039】
粘膜を介しての活性剤の吸収を改善するために、透過促進剤、例えば脂肪族アルコール、脂肪酸、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪族アルコールエステルおよび脂肪酸エステルの群からの物質、特にモノラウリル酸ソルビタンまたは長鎖脂肪酸のメチル、エチルもしくはイソプロピルアルコールとのエステル、または脂肪族アルコールの酢酸もしくは乳酸とのエステル、またはDMSO(ジメチルスルホキシド)およびオレイン酸ジエタノールアミンなどの物質を、同様にフィルム中に包含させてもよい。これらの物質の構成成分の量は、各々の場合において活性剤マトリックスの合計重量に対して0.1〜25重量%、好ましくは1〜10重量%である。
【0040】
さらに、ウェーハの組成物は、活性剤の放出を遅延させる化合物を含んでいてもよい(例えばマイクロカプセル封入)。
他の態様において、ウェーハは、粘膜付着特性を有し、したがってこれは、これが完全に溶解するまで粘膜に付着する。
【0041】
好ましい態様において、活性剤の少なくとも1種は、イオン交換体に結合し、したがって親水性ポリマーは、口腔において迅速に崩壊し、他方活性剤の放出は、遅延されるか、または例えば胃腸管中でpHが変化した際に発生する。このようにして、作用および吸収の異なる機構を有する活性剤を、1つの剤形において投与することができる。即ち、放出された活性剤の少なくとも1種は、例えば粘膜を介して適用の部位において吸収されるか、またはこれは、一層遠方に輸送され、他の部位において吸収される。
【0042】
ウェーハはまた、異なる層を有する積層物として構成されてもよく、活性剤は、互いに空間的に分離しており、これらの組成の点で互いに異なっている別個の層中に包含される。このようにして、ウェーハの種々の層の崩壊時間が互いに異なる場合には、活性剤を、異なる作用の部位において、しかしまた遅延を伴って放出させることができる。
【0043】
同様に、活性剤を、異なる速度で崩壊する層内に配置し、したがって製剤が全体的に遅延効果を示すようにしてもよい。
さらなる態様において、外層の1つは、粘膜付着性であって、粘膜に対する剤形の付着を促進し、直接的な接触を確立することにより粘膜を介して活性剤吸収を容易にしてもよい。
【0044】
本発明の剤形の水性媒体中での崩壊は、好ましくは、1秒〜5分の範囲内で、一層好ましくは5秒〜1分の範囲内で、最も好ましくは10秒〜30秒の範囲内で起こる。
本発明の剤形は、有利には、口腔中に医薬を投与するのに、または直腸内、膣内もしくは鼻腔内投与に適する。これらを、ヒト医学および獣医学において用いることができる。
【0045】
本発明はさらに、本発明の活性剤の組み合わせの、糖尿病を処置するための経口剤形を製造するための使用に関し、前記剤形は、好ましくはウェーハとして処方される。
さらに、本発明は、糖尿病を罹患しているヒトの治療的疼痛処置のための方法であって、抗糖尿病薬の上記の活性剤の組み合わせの投与を、経粘膜吸収を伴う経口的に適用可能な剤形により行う、前記方法に関する。
【0046】
最後に、本発明はまた、シート状剤形の製造方法であって、以下の段階:
−少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも2種の抗糖尿病活性剤を含む溶液を調製する段階;
−当該溶液を、被覆基材上に塗布する段階、並びに
−乾燥し、溶媒を離脱させることにより、塗布した溶液を固化させる段階
を含む、前記方法に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分との接触により迅速に崩壊し、2型糖尿病を処置するために用いる、親水性ポリマーをベースとしたシート状医薬製剤であって、前記医薬製剤が、2型糖尿病の経口処置に適する少なくとも2種の活性剤の活性剤の組み合わせを含むことを特徴とする、前記シート状医薬製剤。
【請求項2】
活性剤が、スルホニルウレア、グリタゾン、グリニド、ビグアナイドおよび吸収遅延剤を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
活性剤の組み合わせが、2種の活性剤を含み、該活性剤は、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ナテグリニド、レパグリニド、グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリメピリド、グリキドンおよびトルブタミドを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
活性剤の組み合わせが、ナテグリニドおよびメトホルミンを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項5】
親水性ポリマーが、デキストラン、デンプンおよびデンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロースまたはプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、Walocel)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルエチルセルロースなどのセルロース誘導体、を含む多糖、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、ペクチン、ゼラチン、アルギン酸、コラーゲン、キトサン、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギーナン天然ガム、トラガカント、高分散二酸化ケイ素、ベントナイト、並びに前述の親水性ポリマーの誘導体またはこれらのポリマーの2種もしくは3種以上の組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項6】
ポリマーフィルムが、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー製であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項7】
製剤が、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールおよびポリグリセロールエステルを含む群から選択された保湿剤を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項8】
製剤が、ビタミンC(アスコルビン酸)、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンE(酢酸トコフェロール)、ヒドロキシ安息香酸誘導体を含む群から選択された酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項9】
製剤の活性剤が、風味のマスキングのための酸性または塩基性イオン交換体に結合していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項10】
製剤が、染料および/または顔料を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項11】
製剤が、天然および/または合成香味物質を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項12】
製剤が、崩壊剤またはウィッキング剤を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項13】
製剤のpH値が、緩衝系により調整されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項14】
親水性ポリマーが、口腔中に適用された後に5分未満で、好ましくは3分未満で、一層好ましくは1分未満で、最も好ましくは30秒未満で崩壊することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項15】
親水性ポリマーが、口腔中で迅速に崩壊し、一方活性剤は、前記活性剤を胃腸管に到達した際にのみ放出するイオン交換体に結合したままであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項16】
活性剤が、互いに空間的に分離され、これらの組成に関して互いに異なる別個の層中に含まれていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項17】
製剤が、発泡体として存在し、活性剤の少なくとも1種が、前記発泡体の空洞内で液体形態で存在することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の医薬製剤の、ヒトまたは動物に対する医薬的活性剤の直腸内、膣内または鼻腔内投与のための使用。
【請求項19】
少なくとも2種の経口的な抗糖尿病活性剤の活性剤の組み合わせの、疼痛障害を処置するための請求項1〜18のいずれかに記載の経口剤形を製造するための使用。
【請求項20】
医薬製品がウェーハとして処方されていることを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
2型糖尿病を罹患しているヒトの治療的糖尿病処置のための方法であって、2種の抗糖尿病薬の活性剤の組み合わせの投与を、経粘膜吸収を伴う経口的に適用可能な剤形により行うことを特徴とする、前記方法。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれかに記載のシート状剤形の製造方法であって、
−少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも2種の活性剤を含む溶液を調製し;
−当該溶液を、被覆基材上に塗布し、また
−乾燥し、溶媒を離脱させることにより、塗布した溶液を固化させる
ことを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2009−539896(P2009−539896A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514665(P2009−514665)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004953
【国際公開番号】WO2007/144084
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【Fターム(参考)】