説明

3−テトラゾリルインダゾール類および3−テトラゾリルピラゾロピリジン類並びにそれらの使用

本発明は、新規の3−テトラゾリルインダゾール誘導体および3−テトラゾリルピラゾロ[3,4−b]ピリジン誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のための、単独または組合せにおけるそれらの使用、および、疾患、特に心血管疾患の処置および/または予防に利用する医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規の3−テトラゾリルインダゾールおよび3−テトラゾリルピラゾロ[3,4−b]ピリジン誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のための、単独または組合せにおけるそれらの使用、および、疾患の処置および/または予防用の、特に心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物細胞における最も重要な細胞の伝達システムの1つは、環状グアノシン一リン酸(cGMP)である。内皮から放出され、ホルモン的および機械的シグナルを伝達する一酸化窒素(NO)と共に、それは、NO/cGMPシステムを形成する。グアニル酸シクラーゼは、グアノシン三リン酸(GTP)からのcGMPの生合成を触媒する。今日までに開示されたこのファミリーの代表例は、構造的特徴およびリガンドのタイプの両方に従って、2つのグループに分類できる:ナトリウム利尿ペプチドにより刺激され得る粒子性グアニル酸シクラーゼ、および、NOにより刺激され得る可溶性グアニル酸シクラーゼ。可溶性グアニル酸シクラーゼは2個のサブユニットからなり、恐らくヘテロ二量体毎に1個のヘムを含有し、それは調節部位の一部である。後者は、活性化メカニズムにとって中心的に重要なものである。NOは、ヘムの鉄原子に結合でき、かくして、この酵素の活性を顕著に増加させる。一方、ヘムを含まない調製物は、NOにより刺激され得ない。一酸化炭素(CO)もヘムの中心鉄原子に結合できるが、COによる刺激は、NOによるものよりも顕著に少ない。
【0003】
cGMPの産生、および、それに起因するホスホジエステラーゼ、イオンチャネルおよびタンパク質キナーゼの調節を介して、グアニル酸シクラーゼは、様々な生理的過程において、特に、平滑筋細胞の弛緩および増殖において、血小板の凝集および接着において、神経のシグナル伝達において、上述の過程の欠陥に起因する障害において、重要な役割を果たす。病的条件下では、NO/cGMP系は抑制されることがあり、例えば、高血圧、血小板活性化、細胞増殖の増加、内皮の機能不全、アテローム性動脈硬化、狭心症、心不全、心筋梗塞、血栓症、卒中および性機能不全を導き得る。
【0004】
NOから独立した、生物におけるcGMPシグナル伝達経路に影響を与えることを目的とするそのような障害の可能な処置方法は、予測される高い有効性および少ない副作用のために、有望なアプローチである。
【0005】
有機硝酸塩などの、それらの効果がNOをベースとする化合物は、今日まで、可溶性グアニル酸シクラーゼの治療的刺激に専ら使用されてきた。NOは、生物変換により産生され、ヘムの中心鉄原子に結合することにより、可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化する。副作用の他に、耐性の発生がこの処置様式の重大な欠点の1つである。
【0006】
可溶性グアニル酸シクラーゼを直接、即ち、事前のNO放出を伴わずに、刺激するいくつかの物質、例えば、3−(5'−ヒドロキシメチル−2'−フリル)−1−ベンジルインダゾール [YC-1, Wu et al., Blood 84 (1994), 4226; Muelsch et al., Brit. J. Pharmacol. 120 (1997), 681]、脂肪酸 [Goldberg et al., J. Biol. Chem. 252 (1977), 1279]、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート [Pettibone et al., Eur. J. Pharmacol. 116 (1985), 307]、イソリキリチゲニン(isoliquiritigenin)[Yu et al., Brit. J. Pharmacol. 114 (1995), 1587] および様々な置換ピラゾール誘導体(WO98/16223)が、近年記載された。
【0007】
さらなる複素環置換基を有する縮合ピラゾール誘導体は、とりわけ、WO98/16507、WO98/23619およびWO00/06569に、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子として記載されている。しかしながら、これらの化合物は、例えば、それらの肝臓での挙動、それらの薬物動態的挙動、それらの用量−効果関係および/またはそれらの代謝経路などの、それらのインビボの特性に関して欠点を示すことがわかってきた。
【0008】
化合物1−(2−フルオロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジンの穏やかな血管弛緩効果は、A. Straub et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 11, 781-784 (2001) により報告されている。様々な1−ベンジル−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−インダゾール誘導体は、G. Corsi et al., J. Med. Chem. 19 (6), 778-783 (1976) により開示されている。加えて、WO2005/030121は、新生物性疾患の処置用の複素環置換基を有する縮合ピラゾール誘導体を開示している。WO01/57024は、複素環置換基を有するある種のインダゾール類および緑内障および多発性硬化症における電位依存性ナトリウムチャネルの遮断のためのそれらの使用を特許請求している。
【0009】
本発明の目的は、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子として作用し、先行技術で開示された化合物と比較して、改善された活性を示す新規物質を提供することであった。
【発明の概要】
【0010】
特に、本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
Aは、CH、CRまたはNであり、
は、フェニル、ピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリルまたはイソオキサゾリルであり、これらの各々は、同一かまたは異なって、2個までのハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチルおよび/または(C−C)−アルキニルにより置換されていてもよいか、
または、
(C−C)−シクロアルキルであり、これは、同一かまたは異なって、2個までのフッ素および/または(C−C)−アルキルにより置換されていてもよく、
は、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
そして、
nは、0、1または2の数であり、
ここで、置換基Rが1個より多く存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよい]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関し、
但し、化合物1−(2−フルオロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン、1−(4−クロロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−インダゾール、1−(2,4−ジクロロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−インダゾールおよび1−(4−クロロ−2−メチルベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−インダゾールは除く。
【0011】
本発明による化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述の式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、および、式(I)に包含される例示的実施態様として後述する化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(式(I)に包含される後述の化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合に)である。
【0012】
本発明による化合物は、それらの構造次第で、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物に関する。立体異性的に純粋な構成分は、そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できるならば、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0013】
本発明の目的上、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。しかしながら、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も包含される。
【0014】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、無機酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0015】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして、好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩も含まれる。
【0016】
溶媒和物は、本発明の目的上、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明に関して好ましい溶媒和物は水和物である。
【0017】
本発明は、また、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に(例えば代謝的または加水分解的に)本発明による化合物に変換される化合物を包含する。
【0018】
本発明に関して、置換基は、断りの無い限り以下の意味を有する:
(C−C)−アルキルは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。好ましく言及し得る例は:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルである。
【0019】
(C−C)−アルキニルは、本発明に関して、2個ないし4個の炭素原子および三重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルキニルラジカルである。2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖のアルキニルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:エチニル、n−プロプ−1−イン−1−イル、n−プロプ−2−イン−1−イル、n−ブト−1−イン−1−イル、n−ブト−2−イン−1−イルおよびn−ブト−3−イン−1−イルである。
【0020】
(C−C)−アルコキシは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。好ましく言及し得る例は:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびtert−ブトキシである。
【0021】
(C−C)−シクロアルキルは、本発明に関して、5個ないし7個の環の炭素原子を有する単環式の飽和シクロアルキル基である。好ましく言及し得る例は:シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである。
【0022】
ハロゲンは、本発明に関して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。フッ素または塩素が好ましい。
【0023】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているならば、断りの無い限り、そのラジカルは、一置換または多置換されていてよい。本発明に関して、1個より多く存在する全てのラジカルは、相互に独立した意味を有する。1個、2個または3個の同一または異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がことさら特に好ましい。
【0024】
本発明に関して、好ましいのは、式中、
AがNであり、
が、ピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリルまたはイソオキサゾリルであり、これらの各々は、同一かまたは異なって、2個までのフッ素、塩素、臭素、シアノ、メチルおよび/またはトリフルオロメチルにより置換されていてもよいか、
(C−C)−シクロアルキルであり、これは、同一かまたは異なって、2個までのフッ素および/またはメチルにより置換されていてもよいか、
または、

【化2】

(式中、*は、結合点であり、
そして、Rは、フッ素、塩素、シアノ、メチルまたはトリフルオロメチルである)
の置換オルト−フルオロフェニル基であり、
が、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、アミノ、メトキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
そして、
nが、0または1の数である、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0025】
本発明に関して、特に好ましいのは、以下の構造:
【化3】

を有する式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0026】
ラジカルの各々の組合せまたは好ましい組合せにおいて特別に示されるラジカルの定義は、また、それらのラジカルについて示される特定の組合せに拘わらず、所望により他の組合せのラジカルの定義によっても置き換えられる。
2個またはそれ以上の上述の好ましい範囲の組合せがことさら特に好ましい。
【0027】
本発明は、さらに、本発明の式(I)の化合物の製造方法に関し、それは、式(II)
【化4】

(式中、A、Rおよびnは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III)
【化5】

(式中、Rは、上記の意味を有し、
そして、Xは、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの脱離基である)
の化合物を用いて、式(IV)
【化6】

(式中、A、R、Rおよびnは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換し、
次いで、後者を、不活性溶媒中、アジ化アルカリ金属と、酸の存在下で、または、トリメチルシリルアジドと、必要に応じて触媒の存在下で反応させ、
かくして得られた本発明の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)酸もしくは塩基で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換すること、
を特徴とする。
【0028】
工程(II)+(III)→(IV)の不活性溶媒の例は、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油留分などの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼンもしくはクロロトルエンなどのハロ炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、アセトニトリルもしくはピリジンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。好ましくはジメチルホルムアミドを使用する。
【0029】
常套の無機または有機塩基は、工程(II)+(III)→(IV)の塩基として適する。これらには、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、ナトリウムまたはカリウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば、炭酸リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはセシウム、アルカリ金属アルコラート、例えば、ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシド、アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムまたはカリウム、アミド類、例えば、リチウムまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミド、有機金属化合物、例えば、ブチルリチウムまたはフェニルリチウム、または、有機アミン類、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンが含まれる。好ましくは炭酸セシウムを使用する。
【0030】
工程(II)+(III)→(IV)は、一般的に、0℃ないし+100℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+50℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で行うことができる(例えば、0.5ないし5bar)。それは、一般的に、大気圧下で実施する。
【0031】
工程(IV)→(I)の不活性溶媒の例は、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油留分などの炭化水素類、または、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)またはN−メチルピロリドン(NMP)などの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。好ましくはトルエンを使用する。
【0032】
この工程に適するアジド化反応物は、特に、塩化アンモニウムまたは酢酸などのプロトン供給源の存在下のアジ化ナトリウム、または、トリメチルシリルアジドである。後者の反応は、触媒の存在下で有利に実施できる。この目的で適する化合物は、特に、ジ−n−ブチルスズオキシド、トリメチルアルミニウムまたは臭化亜鉛などのものである。好ましくはジ−n−ブチルスズオキシドと組み合わせたトリメチルシリルアジドを使用する。
【0033】
工程(IV)→(I)は、一般的に、+50℃ないし+150℃の温度範囲で、好ましくは+60℃ないし+120℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で行うことができる(例えば、0.5ないし5bar)。それは、一般的に、大気圧下で実施する。
【0034】
式(II)の化合物は、文献に開示されているか、または、文献に開示されている方法と同様に製造できる[例えば、WO00/06569;G.M. Shutske et al., J. Heterocycl. Chem. 34, 789 (1997); H. Salkowski, Chem. Ber. 17, 506 (1884), ibid., 22, 2139 (1889); M.M. Abdel-Khalik et al., Synthesis, 1166 (2000) 参照]。AがNであり、nが0である式(II)の化合物は、また、2−フルオロピリジン(V)
【化7】

から出発して、トリフルオロ酢酸エチルによりアシル化し、続いてヒドラジンと縮合し、式(VI)
【化8】

の3−(トリフルオロメチル)ピラゾロピリジンを得、続いて(VI)をアンモニアと反応させることにより、得ることができる(下記の反応スキーム参照)。
【0035】
式(III)および(V)の化合物は、購入できるか、文献に開示されているか、または、文献に開示されている方法と同様に製造できる。
【0036】
本発明の化合物の製造は、以下の合成スキームにより例示説明できる:
スキーム
【化9】

[(a):1.LDA、THF;2.CFCOEt;3.ヒドラジン水和物;(b):aq.NH;(c):R−CH−X、塩基;(d):MeSiN、cat.(n−Bu)SnO]。
【0037】
本発明の化合物は、価値ある薬理特性を有し、ヒトおよび動物における障害の予防および処置に使用できる。
【0038】
本発明の化合物はさらなる処置選択肢を開拓し、薬学の向上に相当する。先行技術で開示された物質と比較して、本発明の化合物は、驚くべきことに、より強力な血管弛緩効果を示す。
【0039】
本発明の化合物は、さらに、血小板凝集を阻害し、血圧の低下および冠血流の増加を導く。これらの効果は、可溶性グアニル酸シクラーゼの直接刺激およびcGMPの細胞内増加により媒介される。加えて、本発明の化合物は、例えば、EDRF(内皮由来弛緩因子)、NO供給源、プロトポルフィリンIX、アラキドン酸またはフェニルヒドラジン誘導体などの、cGMPレベルを高める物質の効果を増強する。
【0040】
従って、本発明による化合物は、心血管障害の処置用、例えば、高血圧および心不全、安定および不安定狭心症、肺高血圧、末梢および心臓の血管障害、不整脈の処置用、血栓塞栓性障害および虚血、例えば心筋梗塞、卒中、一過性および虚血性の発作、末梢血流の障害、再灌流障害の処置用、血栓溶解治療、経皮経管的血管形成術(PTA)、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)およびバイパス術後の再狭窄の予防用、動脈硬化症、喘息性障害、並びに、前立腺肥大、勃起不全、女性の性機能不全および失禁などの泌尿器系の疾患、骨粗鬆症、緑内障並びに胃不全麻痺の処置用の医薬において用いることができる。
【0041】
本発明による化合物は、さらに、一次および二次レイノー現象、微小循環の障害、跛行、末梢および自律神経ニューロパシー、糖尿病性微小血管障害、糖尿病性網膜症、四肢の糖尿病性潰瘍、CREST症候群、エリテマトーデス、爪真菌症、リウマチ性障害の処置、並びに創傷治癒および皮膚の日焼けの促進に使用できる。
【0042】
本発明による化合物は、さらに、急性および慢性肺疾患、例えば、呼吸促迫症候群(ALI、ARDS)および慢性閉塞性気道疾患(COPD)の処置、並びに、急性および慢性腎不全の処置に適する。
【0043】
本発明で説明する化合物は、また、NO/cGMP系の撹乱を特徴とする中枢神経系の疾患を制御するための有効成分でもある。それらは、特に軽度認知障害、加齢関連学習および記憶障害、加齢関連記憶喪失、血管性認知症、頭蓋大脳外傷、卒中、卒中後に生じる認知症(「卒中後認知症」)、外傷後の頭蓋大脳外傷、一般的な集中障害、学習記憶に問題のある小児の集中障害、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、ピック症候群を含む前頭葉の変性を伴う認知症、パーキンソン病、進行性核麻痺、大脳皮質基底核変性症を伴う認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、多発性硬化症、視床変性、クロイツフェルト−ヤコブ型認知症、HIV認知症、認知症を伴う統合失調症またはコルサコフ精神病などの症状/疾患/症候群に関連して生じるもののような、認知障害後の知覚力、集中力、学習力または記憶力の改善に特に適する。それらは、また、不安、緊張および抑鬱状態などの中枢神経系の障害、CNS関連性機能不全および睡眠障害の処置、および、食物、刺激物および嗜癖性物質の摂取の病的撹乱の制御にも適する。
【0044】
本発明による化合物は、さらに、脳血流の制御にも適し、従って、偏頭痛の制御に有効な物質である。それらは、また、卒中などの脳梗塞、脳虚血および頭蓋脳外傷の後遺症の予防および制御にも適する。本発明による化合物は、同様に、疼痛状態の制御にも用いることができる。
【0045】
加えて、本発明による化合物は、抗炎症効果を有し、従って、抗炎症剤として用いることができる。
【0046】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0047】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用に関する。
【0048】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物の有効量を使用することによる、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法に関する。
【0049】
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の有効成分と組み合わせて用いることができる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬に関する。好ましく言及し得る、適する組合せの有効成分の例は、以下のものである:
・有機硝酸塩およびNO供給源、例えば、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1および吸入NO;
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2および/または5の阻害剤、特にシルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィルなどのPDE5阻害剤;
・例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの、抗血栓活性を有する物質;
・例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断薬、ベータ−受容体遮断薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群からの、血圧を下げる有効成分;および/または、
・例えば、そして好ましくは、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの、脂質代謝を改変する有効成分。
【0050】
抗血栓活性を有する物質は、好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの化合物を意味する。
【0051】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、血小板凝集阻害剤、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールと組み合わせて投与する。
【0052】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、トロンビン阻害剤、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサン(clexane)と組み合わせて投与する。
【0053】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、GPIIb/IIIaアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブと組み合わせて投与する。
【0054】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、Xa因子阻害剤、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン(rivaroxaban)(BAY59−7939)、DU−176b、アピキサバン(apixaban)、オタミキサバン(otamixaban)、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリナックス、イドラパリナックス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428と組み合わせて投与する。
【0055】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与する。
【0056】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ビタミンKアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、クマリンと組み合わせて投与する。
【0057】
血圧を下げる物質は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断薬、ベータ−受容体遮断薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群からの化合物を意味する。
【0058】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、カルシウム拮抗薬、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与する。
【0059】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、アルファ−1−受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プラゾシンと組み合わせて投与する。
【0060】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ベータ−受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール(adaprolol)、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与する。
【0061】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブサルタン(embusartan)と組み合わせて投与する。
【0062】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ACE阻害剤、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)と組み合わせて投与する。
【0063】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、エンドセリンアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ボセンタン、ダルセンタン(darusentan)、アンブリセンタンまたはシタキセンタン(sitaxsentan)と組み合わせて投与する。
【0064】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、レニン阻害剤、例えば、そして好ましくは、アリスキレン、SPP−600またはSPP−800と組み合わせて投与する。
【0065】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、スピロノラクトンまたはエプレレノンと組み合わせて投与する。
【0066】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、利尿剤、例えば、そして好ましくは、フロセミドと組み合わせて投与する。
【0067】
脂質代謝を改変する物質は、好ましくは、CETP阻害剤、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの化合物を意味する。
【0068】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、CETP阻害剤、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ(CP529414)、JJT−705またはCETPワクチン(Avant)と組み合わせて投与する。
【0069】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、甲状腺受容体アゴニスト、例えば、そして好ましくは、D−チロキシン、3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)、CGS23425またはアキシチロム(axitirome)(CGS26214)と組み合わせて投与する。
【0070】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、スタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与する。
【0071】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、スクアレン合成阻害剤、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475と組み合わせて投与する。
【0072】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ACAT阻害剤、例えば、そして好ましくは、アバシミブ(avasimibe)、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797と組み合わせて投与する。
【0073】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、MTP阻害剤、例えば、そして好ましくは、インプリタピド(implitapide)、BMS−201038、R−103757またはJTT−130と組み合わせて投与する。
【0074】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、PPAR−ガンマアゴニスト、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与する。
【0075】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、PPAR−デルタアゴニスト、例えば、そして好ましくは、GW501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与する。
【0076】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、コレステロール吸収阻害剤、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドと組み合わせて投与する。
【0077】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、リパーゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、オーリスタットと組み合わせて投与する。
【0078】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ポリマー性胆汁酸吸着剤、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、コレスタゲル(CholestaGel)またはコレスチミドと組み合わせて投与する。
【0079】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、胆汁酸再吸収阻害剤、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635と組み合わせて投与する。
【0080】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、リポタンパク質(a)アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ゲンカベン(gemcabene)カルシウム(CI−1027)またはニコチン酸と組み合わせて投与する。
【0081】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常は1種またはそれ以上の、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0082】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらを、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳経路に、またはインプラントもしくはステントとしてなど、適する方法で投与できる。
本発明による化合物は、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
【0083】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明による化合物を迅速におよび/または改変された様式で送達し、本発明による化合物を結晶形および/または不定形および/または溶解形で含有する投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、不溶であるか、もしくは遅れて溶解し、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有するもの)、口中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0084】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、なかんずく、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0085】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形態(なかんずく、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー;舌に、舌下にまたは頬側に投与するための錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0086】
経口または非経腸投与、特に経口投与が好ましい。
【0087】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0088】
非経腸投与で、約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を得るために有利であると一般的に証明された。経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0089】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。大量に投与する場合、これらを1日に亘る複数の個別投与量に分割するのが望ましいことがある。
【0090】
以下の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
下記の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積を基準とする。
【実施例】
【0091】
A. 実施例
略号:
【表1】

【0092】
LC/MSおよびHPLCの方法:
方法1(LC/MS):
装置: HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0093】
方法2(LC/MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0094】
方法3(LC/MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0095】
方法4(LC/MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0096】
方法5(分取HPLC):
カラム:Grom-Sil 120 ODS-4HE, 10 μm, 250 mm x 30 mm;溶離剤A:0.1%ギ酸、水中、溶離剤B:アセトニトリル;流速:50ml/分;グラジエント:0−3分10%B、3−27分10%B→95%B、27−34分95%B、34−38分10%B。
【0097】
方法6(分取HPLC):
カラム:Grom-Sil 120 ODS-4HE, 10 μm, 250 mm x 30 mm;溶離剤A:水、溶離剤B:アセトニトリル;流速:50ml/分;グラジエントA/B:80:20→5:95。
【0098】
出発化合物および中間体:
実施例1A
1−(シクロヘプチルメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化10】

【0099】
段階a):
3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
【化11】

2−フルオロピリジン(2.00g、20.6mmol)を、−75℃で、新たに調製したTHF(60ml)中のLDA(22.7mmol)の溶液に添加する。溶液をこの温度で4時間撹拌する。次いで、トリフルオロ酢酸エチル(18.4g、130mmol)を急速に添加し、その間に内部温度は約40℃に上昇する。混合物を−75℃に再度冷却し、次いでヒドラジン水和物(28.9g、577mmol)を添加する。続いて反応混合物を70℃で6時間加熱する。次いで揮発性成分を真空で除去する。水(300ml)を残渣に添加し、混合物を激しく撹拌しながら短時間沸騰させる。それを室温に冷まし、吸引濾過する。残渣を酢酸エチル(300ml)に取り、硫酸ナトリウムで乾燥し、活性炭で脱色する。濃縮し、表題化合物7.50g(理論値の55%)を僅かに黄色がかった固体として得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.43 (dd, J = 8.1, 4.4 Hz, 1H), 8.34 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.72 (dd, J = 4.4, 1.5 Hz, 1H), 14.67 (br. s, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 1.60 分.; MS (ESIpos): m/z = 188 [M+H]+.
【0100】
段階b):
1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化12】

3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(500mg、2.67mmol)を、33%強度水性アンモニア溶液(10ml)中、マイクロ波中、140℃で10分間加熱する。次いで、混合物を真空で濃縮し、残渣を酢酸エチル100mlおよびtert−ブチルメチルエーテル20mlと70℃で撹拌する。不溶性成分を高温のまま吸引濾過により除去し、濾液を濃縮する。乾燥させ、表題化合物346mg(理論値の90%)を淡いベージュ色の結晶として得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.47 (dd, J = 8.2, 4.5 Hz, 1H), 8.46 (dd, J = 8.2, 1.5 Hz, 1H), 8.73 (dd, J = 4.5, 1.5 Hz, 1H), 15.02 (br. s, 1H).
LC/MS (方法 1): Rt = 1.30 分.; MS (ESIpos): m/z = 145 [M+H]+.
【0101】
段階c):
1−(シクロヘプチルメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化13】

1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル290mg(2.012mmol)を、DMF5mlに溶解し、シクロヘプチルメチルメタンスルホネート419mg(2.012mmol)および炭酸セシウム656mg(2.012mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌する。次いで、さらなるシクロヘプチルメチルメタンスルホネート200mg(0.969mmol)および炭酸セシウム320mg(0.982mmol)を反応混合物に添加し、それを室温でさらに2日間撹拌する。さらなるシクロヘプチルメチルメタンスルホネート180mg(0.872mmol)および炭酸セシウム282mg(0.865mmol)を添加し、反応混合物を再度室温で2日間撹拌する。次いで水を反応混合物に添加し、それをジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1→2:1)。表題化合物433mg(理論値の85%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.17-1.73 (m, 12H), 2.22-2.28 (m, 1H), 3.98 (d, J = 6.4, 2H), 7.51 (dd, J = 8.1, 4.4, 1H), 8.48 (dd, J = 8.1, 1.5, 1H), 8.76-8.77 (m, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 2.82 分.; MS (ESIpos): m/z = 255 [M+H]+.
【0102】
実施例2A
1−(シクロペンチルメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化14】

1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル300mg(2.081mmol;実施例1A、段階b)を、DMF10mlに溶解し、シクロペンチルメチルメタンスルホネート371mg(2.081mmol)および炭酸セシウム678mg(2.081mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌する。水を反応混合物に添加し、それをジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を分取HPLC(方法6)により精製する。表題化合物9mg(理論値の2%)を得る。
LC/MS (方法 2): Rt = 2.48 分.; MS (ESIpos): m/z = 227 [M+H]+.
【0103】
実施例3A
1−(シクロヘキシルメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化15】

1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル82mg(0.569mmol;実施例1A、段階b)を、DMF3mlに溶解し、シクロヘキシルメチルブロミド204mg(1.138mmol)および炭酸セシウム371mg(1.138mmol)を添加し、混合物を室温で24時間撹拌する。水を反応混合物に添加し、それをジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を分取HPLC(方法6)により精製する。表題化合物26mg(理論値の19%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.97-1.23 (m, 5H), 1.47-1.66 (m, 5H), 1.95-2.06 (m, 1H), 4.46 (d, J = 7.1, 2H), 7.51 (dd, J = 8.3, 4.4, 1H), 8.48 (dd, J = 8.3, 1.2, 1H), 8.76 (dd, J = 4.4, 1.2, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 2.63 分.; MS (ESIpos): m/z = 241 [M+H]+.
【0104】
実施例4A
1−(2,3−ジフルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化16】

炭酸セシウム(244mg、0.75mmol)を、DMF1.8ml中の1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル(90mg、0.62mmol;実施例1A、段階b)および2,3−ジフルオロベンジルブロミド(142mg、0.69mmol)の溶液に、アルゴン下、室温で添加し、反応混合物を16時間撹拌する。後処理に、1N塩酸1.5mlおよびDMSO3mlを添加する。得られる溶液全部を分取HPLC(方法5)により直接精製する。表題化合物127mg(理論値の75%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 5.93 (s, 2H), 7.12-7.23 (m, 2H), 7.43 (dd, 1H), 7.55 (dd, 1H), 8.51 (dd, 1H), 8.81 (dd, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 2.29 分.; MS (ESIpos): m/z = 271 [M+H]+.
【0105】
実施例5A
1−(2,5−ジフルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化17】

実施例4Aと同様に、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル(100mg、0.69mmol)および2,5−ジフルオロベンジルブロミド(158mg、0.76mmol)から出発して、表題化合物150mg(理論値の80%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 5.88 (s, 2H), 7.20-7.35 (m, 3H), 7.56 (dd, 1H), 8.52 (dd, 1H), 8.81 (dd, 1H).
LC/MS (方法 1): Rt = 2.44 分.; MS (ESIpos): m/z = 271 [M+H]+.
【0106】
実施例6A
1−(5−クロロ−2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化18】

実施例4Aと同様に、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル(110mg、0.76mmol)および2−フルオロ−5−クロロベンジルブロミド(188mg、0.84mmol)から出発して、表題化合物154mg(理論値の70%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 5.87 (s, 2H), 7.31 (dd, 1H), 7.46-7.51 (m, 2H), 7.55 (dd, 1H), 8.51 (dd, 1H), 8.81 (dd, 1H).
LC/MS (方法 1): Rt = 2.59 分.; MS (ESIpos): m/z = 287 [M+H]+.
【0107】
実施例7A
1−[(5−クロロ−2−チエニル)メチル]−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化19】

実施例4Aと同様に、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル(100mg、90%純度、0.62mmol)および2−クロロ−5−(クロロメチル)チオフェン(125mg、0.75mmol)から出発して、表題化合物130mg(理論値の74%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 5.97 (s, 2H), 7.01 (d, 1H), 7.12 (d, 1H), 7.56 (dd, 1H), 8.51 (dd, 1H), 8.82 (dd, 1H).
【0108】
例示的実施態様:
実施例1
1−(シクロヘプチルメチル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
【化20】

実施例1Aの化合物150mg(0.590mmol)を、トルエン15mlに溶解し、トリメチルシリルアジド140mg(1.180mmol)およびジ−n−ブチルスズオキシド15mg(0.059mmol)を添加し、混合物を還流下で24時間加熱する。冷却後、水を反応混合物に添加し、それを酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を分取HPLC(方法6)により精製する。表題化合物43mg(理論値の24%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.23-1.40 (m, 4H), 1.43-1.65 (m, 8H), 2.28-2.35 (m, 1H), 4.46 (d, J = 7.3, 2H), 7.48 (dd, J = 8.1, 4.4, 1H), 8.68 (dd, J = 8.1, 1.5, 1H), 8.73 (dd, J = 4.4, 1.5, 1H), 17.31 (br. s, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 2.25 分.; MS (ESIpos): m/z = 298 [M+H]+.
【0109】
実施例2
1−(シクロペンチルメチル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
【化21】

実施例2Aの化合物9mg(0.039mmol)を、トルエン1mlに溶解し、トリメチルシリルアジド9mg(0.078mmol)およびジ−n−ブチルスズオキシド1mg(0.004mmol)を添加し、混合物を還流下で24時間加熱する。冷却後、水を反応混合物に添加し、それを酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。表題化合物10mg(理論値の97%)を得る。
LC/MS (方法 3): Rt = 2.19 分.; MS (ESIpos): m/z = 270 [M+H]+.
【0110】
実施例3
1−(シクロヘキシルメチル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
【化22】

実施例3Aの化合物93mg(0.386mmol)を、トルエン2mlに溶解し、トリメチルシリルアジド99mg(0.772mmol)およびジ−n−ブチルスズオキシド10mg(0.039mmol)を添加し、混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、水を反応混合物に添加し、それを酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を分取HPLC(方法6)により精製する。表題化合物90mg(理論値の83%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.02-1.20 (m, 5H), 1.52-1.67 (m, 5H), 2.02-2.11 (m, 1H), 4.47 (d, J = 7.3, 2H), 7.47 (dd, J = 8.1, 4.4, 1H), 8.68 (dd, J = 8.1, 1.5, 1H), 8.72 (dd, J = 4.4, 1.5, 1H), 17.30 (br. s, 1H).
LC/MS (方法 1): Rt = 2.30 分.; MS (ESIpos): m/z = 284 [M+H]+.
【0111】
実施例4
1−(2,3−ジフルオロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
【化23】

1−(2,3−ジフルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル56mg(0.21mmol;実施例4A)を、トルエン1.6mlに溶解し、トリメチルシリルアジド48mg(0.41mmol)およびジ−n−ブチルスズオキシド5.1mg(0.02mmol)を添加し、混合物を還流下で終夜加熱する。冷却後、水を反応混合物に添加し、それを酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を分取HPLC(方法5)により精製する。表題化合物63mg(理論値の97%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 5.96 (s, 2H), 7.06 (dd, 1H), 7.17 (dd, 1H), 7.41 (dd, 1H), 7.53 (dd, 1H), 8.72 (dd, 1H), 8.78 (dd, 1H), 17.38 (br. s, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 1.88 分.; MS (ESIpos): m/z = 314 [M+H]+.
【0112】
実施例5
1−(2,5−ジフルオロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
【化24】

実施例4と同様に、1−(2,5−ジフルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル75mg(0.28mmol;実施例5A)から出発して、表題化合物65mg(理論値の75%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 5.90 (s, 2H), 7.10-7.17 (m, 1H), 7.20-7.36 (m, 2H), 7.52 (dd, 1H), 8.72 (dd, 1H), 8.77 (dd, 1H).
LC/MS (方法 1): Rt = 2.03 分.; MS (ESIpos): m/z = 314 [M+H]+.
【0113】
実施例6
1−(5−クロロ−2−フルオロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
【化25】

実施例4と同様に、1−(5−クロロ−2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル64mg(0.22mmol;実施例6A)から出発して、表題化合物72mg(理論値の98%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 5.90 (s, 2H), 7.32 (dd, 1H), 7.41 (dd, 1H), 7.44-7.49 (m, 1H), 7.53 (dd, 1H), 8.72 (dd, 1H), 8.78 (dd, 1H), 17.35 (br. s, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 1.99 分.; MS (ESIpos): m/z = 330 [M+H]+.
【0114】
実施例7
1−[(5−クロロ−2−チエニル)メチル]−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
【化26】

トルエン1.6ml中の1−[(5−クロロ−2−チエニル)メチル]−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニトリル57mg(0.21mmol;実施例7A)、ジ−n−ブチルスズオキシド5mg(0.021mmol)およびトリメチルシリルアジド55μl(47.8mg、0.42mmol)を、還流下で16時間撹拌する。次いで、反応混合物を室温に冷却し、エタノール1.6mlを添加し、混合物を室温で1時間撹拌する。後処理に、酢酸エチル20mlを添加し、溶液を水10mlで2回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をDMSOに溶解し、分取HPLC(方法5)により精製する。表題化合物52mg(理論値の79%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 5.97 (s, 2H), 7.00 (d, 1H), 7.09 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H), 8.71 (dd, 1H), 8.79 (dd, 1H).
LC/MS (方法 4): Rt = 2.51 分.; MS (ESIpos): m/z = 318 [M+H]+.
【0115】
B. 薬理活性の評価
本発明の化合物の薬理効果を、以下のアッセイで示すことができる:
B−1. インビトロの血管弛緩効果
首の後ろへの打撃によりウサギを気絶させ、失血させる。大動脈を取り出し、付着している組織を除き、幅1.5mmの環に分け、カルボゲン(carbogen)でガス処理された以下の組成(各場合でmM表記):NaCl:119;KCl:4.8;CaClx2HO:1;MgSOx7HO:1.4;KHPO:1.2;NaHCO:25;グルコース:10のKrebs-Henseleit 溶液を有する5mlの器官浴中に、当初張力下で、37℃で、1つずつ置く。Statham UC2 セルで収縮力を検出し、A/D変換器 (DAS-1802 HC、Keithley Instruments, Munich)で増幅およびデジタル化し、チャートレコーダーで並行して記録する。フェニレフリンを増大する濃度で累積的に浴に添加することにより、収縮を誘導する。数回の対照サイクルの後、さらなる実施毎に増大する用量で被験物質を添加し、収縮のレベルを、直前の実施で達成される収縮のレベルと比較する。収縮のレベルを50%まで低減するのに必要な濃度(IC50値)をこれから算出する。標準的適用量は5μlであり、浴溶液中のDMSO含有量は、0.1%に相当する。
【0116】
本発明の化合物の代表的なIC50値を、下表に示す:
【表2】

【0117】
B−2. 組換えグアニル酸シクラーゼレポーター細胞株に対する効果
本発明の化合物の細胞の効果を、F. Wunder et al., Anal. Biochem. 339, 104-112 (2005) に記載の通りに、組換えグアニル酸シクラーゼレポーター細胞株で測定する。
【0118】
B−3. 静脈内および経口投与後の薬物動態特徴の測定
被験物質を、動物(例えば、マウス、ラット、イヌ)に液剤として静脈内投与する;液剤または懸濁剤として、胃管栄養により経口投与を行う。物質の投与後、血液を動物から定められた時点で採取する。これをヘパリン処理し、次いで、遠心分離によりそこから血漿を得る。物質を血漿中でLC/MS−MSにより分析的に定量する。かくして確かめられた血漿濃度−時間経過から、有効な薬物動態のコンピュータープログラムを利用して、AUC、Cmax、T1/2(半減期)およびCL(クリアランス)などの薬物動態特性を算出する。
【0119】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明による化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明による化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)10mg(BASFより、Ludwigshafen, Germany)およびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明による化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。続いて、顆粒を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0120】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明による化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMCのキサンタンガム、Pennsylvania, USA) 400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明による化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0121】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明による化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明による化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで、混合過程を継続する。
【0122】
i.v.溶液:
本発明による化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に満たすのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Aは、CH、CRまたはNであり、
は、フェニル、ピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリルまたはイソオキサゾリルであり、これらの各々は、同一かまたは異なって、2個までのハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチルおよび/または(C−C)−アルキニルにより置換されていてもよいか、
または、
(C−C)−シクロアルキルであり、これは、同一かまたは異なって、2個までのフッ素および/または(C−C)−アルキルにより置換されていてもよく、
は、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
そして、
nは、0、1または2の数であり、
ここで、置換基Rが1個より多く存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよい]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、
但し、化合物1−(2−フルオロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン、1−(4−クロロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−インダゾール、1−(2,4−ジクロロベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−インダゾールおよび1−(4−クロロ−2−メチルベンジル)−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−インダゾールは除く。
【請求項2】
式中、
AがNであり、
が、ピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリルまたはイソオキサゾリルであり、これらの各々は、同一かまたは異なって、2個までのフッ素、塩素、臭素、シアノ、メチルおよび/またはトリフルオロメチルにより置換されていてもよいか、
(C−C)−シクロアルキルであり、これは、同一かまたは異なって、2個までのフッ素および/またはメチルにより置換されていてもよいか、
または、

【化2】

(式中、*は、結合点であり、
そして、Rは、フッ素、塩素、シアノ、メチルまたはトリフルオロメチルである)
の置換オルト−フルオロフェニル基であり、
が、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、アミノ、メトキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
そして、
nが、0または1の数である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
以下の構造:
【化3】

の1つを有する請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化4】

(式中、A、Rおよびnは、各々請求項1ないし請求項3に記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III)
【化5】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項3に記載の意味を有し、
そして、Xは、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの脱離基である)
の化合物を用いて、式(IV)
【化6】

(式中、A、R、Rおよびnは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換し、
次いで、後者を、不活性溶媒中、アジ化アルカリ金属と、酸の存在下で、または、トリメチルシリルアジドと、必要に応じて触媒の存在下で、反応させ、
かくして得られる本発明の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)酸もしくは塩基で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換すること、
を特徴とする、方法。
【請求項5】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、有機硝酸塩、NO供給源、cGMP−PDE阻害剤、抗血栓活性を有する物質、血圧を下げる物質および脂質代謝を改変する物質からなる群から選択されるさらなる有効成分と組み合わせて含む、医薬。
【請求項9】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防のための、請求項7または請求項8に記載の医薬。
【請求項10】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の医薬の有効量の使用による、ヒトおよび動物の心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2009−536929(P2009−536929A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508196(P2009−508196)
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003814
【国際公開番号】WO2007/128454
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】