説明

3−メチルブテ−1−エンからポリマーを製造する方法

本発明は、コモノマーとして3−メチルブテ−1−エンを含有し、更なるモノマーとしてエテン又はプロペンを含有しており、この際、取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合が0.1〜40モル%である、コポリマー並びにこのようなコポリマーの製造法に関し、この際、この重合は少なくとも1個のシクロペンタジエニル基を有する触媒の存在下に実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモノマーとしての3−メチルブテ−1−エンの使用下におけるポリマーの製造に関する。
【0002】
3−メチルブテ−1−エンは、コポリマー及びブロックコポリマー、殊にエテン又はプロペンのそれらの製造のために使用される慣用のモノマーである。このようなコポリマー又はブロックコポリマーは、例えば膜又は繊維の製造のために使用することができる。
【0003】
JP08−073675は、高い融点を有し、チタン含有触媒に接しての3−メチルブテ−1−エンの重合及び引き続くプロペンの重合により得られるプロペンポリマー配合物(ポリマーブレンド)の製造を記載している。
【0004】
DE3146568中には、0.2質量%までの3−メチルブテ−1−エンを有することができるポリエチレンの製造を記載している。触媒としては、クロム−チタン−触媒が使用されている。US3661878中には、10%までの3−メチルブテ−1−エンを有するエテンポリマーの製造が記載されている。触媒としては、ジメチルヒドロゲンシロキシジメチルアルミニウム及び四塩化チタンからの触媒が使用されている。US3787323中では同様に、10%までの3−メチルブテ−1−エンを有するポリエチレンの製造のために、チタン触媒が使用されている。
【0005】
不均一系チタン触媒の使用下での重合は、比較的費用がかかる。従って本発明の課題は、3−メチルブテ−1−エンのポリマー又はコポリマーの製造のために好適である、選択的触媒系を提供することであった。
【0006】
近年、重合触媒として屡々シクロペンタジエニル−基を有するものが使用されている。この種類の最も公知の触媒は、2個のシクロペンタジエニル−基を有するメタロセン−触媒である。
【0007】
DE10052162中には、オレフィンの重合のためのメタロセン−触媒の使用が記載されている。モノマーとして特に、エテン又は3−メチルブテ−1−エンも使用できる。US2003/0092925中には、オレフィンの重合時の特定のメタロセン−触媒の使用が記載されている。US6531554中には、メタロセン触媒の製造及びα−オレフィンの重合のためのその使用が記載されている。WO2005/070977中には、複数のメタロセン化合物を有している触媒組成物が記載されている。この触媒組成物はホモ−及びコ−ポリマーの製造のために使用することができる。
【0008】
US5703187(The Dow Chemical Company)中には、オレフィン及び立体障害されたビニリデンモノマーからのコポリマーの製造法が記載されており、ここでは、置換又は非置換のシクロペンタジエニル基1個を有する金属錯体触媒が使用されている。US6072014中では、重合のために同じ種類の変性された触媒が使用されている。モノマーとしては、例えばエテン又は3−メチルブテ−1−エンを使用することができる。US2003/0105252中には、α−オレフィンの重合が記載されており、ここでも同様に、シクロペンタジエニル基1個を有する金属錯体触媒が使用されている。US2004/0186253中には、ホモ−、コ−又はブロックコポリマーの製造が記載されており、この場合には触媒として、1個のみのシクロペンタジエニル基を有するメタロセン−前駆物が使用されている。
【0009】
前記のいずれの文献中にも、3−メチルブテ−1−エンを有するポリマーの製造は
はっきりと記載されてはいない。
【0010】
論文 "Copolymerisation von Ethen und sterisch anspruchsvollen Olefinen durch Metallocen-Katalysatoren",Inken Beulich,Universitaet Hamburg 1999 中には、エテンと種々のオレフィンとの共重合が記載されている。特にエテンと3−メチルブテ−1−エンとの共重合も記載されている。エテンと3−メチルブテ−1−エンとの共重合のための触媒として、化合物「MeC(3−MeCp)(Flu)]ZrCl及び[MeSi(Ind)(Flu)]ZrClが記載されている。他の好適な触媒又は方法パラメータは挙げられていなかった。
【0011】
従って、本発明の課題は、3−メチルブテ−1−エンを有するコポリマーの製造のための選択的方法を提供することにあった。
【0012】
ところで意外にも、少なくとも1個のシクロペンタジエニル基を有する触媒を用いて、0.1〜40モル%の3−メチルブテ−1−エンを有する、エテン及び/又はプロペンのポリマーを得ることができることを発見した。
【0013】
従って本発明の課題は、モノマーとしてのエテン及び/又はプロペン及びコモノマーとしての3−メチルブテ−1−エンをベースとするコポリマー(この際、コポリマー中の3−メチルブテ−1−エンの割合は0.1〜40モル%である)の製造法であり、この方法は、共重合を、式(Cp)(Y)M(X)
【化1】

[式中、Cpは置換又は非置換のシクロペンタジエニル−、インデニル−、テトラヒドロインデニル−、オクタヒドロフルオレニル−及びフルオレニル−基から選択されるシクロペンタジエニル−タイプの基であり、
Yは置換又は非置換のシクロペンタジエニル−、インデニル−、テトラヒドロインデニル−、オクタヒドロフルオレニル−及びフルオレニル−基から選択されるシクロペンタジエニル−タイプの基又は窒素、燐、酸素又は硫黄及び20個までの水素ではない原子を含有しているアニオンリガンド基であり、この際、YとCpとは場合により共有結合して又は1個の基Zを介して相互に結合していてよい、
Xは相互に無関係に、ハロゲン原子、偽ハロゲン、水素原子、シリル基、ホスフィド、スルフィド又は有機基であり、かつ
mはMの原子価標をXで飽和するために充分である数である]の触媒及び助触媒としてのアルミニウム又はホウ素を有する化合物の存在下に実施することを特徴としている、但し、この方法がモノマーとしてのエテン及び3−メチルブテ−1−エンをベースとするコポリマーの製造法であり、殊に30℃の温度で実施される場合には、式Iの化合物として、[MeC(3−MeCp)(Flu)]ZrCl又は[MeSi(Ind)(Flu)]ZrClを使用しないことを条件としている。
【0014】
同様に本発明の目的物は、コモノマーとして3−メチルブテ−1−エンを含有しているコポリマーであり、これは、更なるモノマーとしてエテン又はプロペンを含有し、取込まれた3−メチルブテ−エンの割合は0.1〜40モル%であり、コポリマーは室温を下回る温度〜130℃、特に室温〜130℃の融点を有し、かつこれは殊に本発明の方法によって得られていることを特徴としている。
【0015】
本発明による方法は、簡単な方法で3−メチルブテ−1−エンとエテン又はプロペンとのコポリマーを製造することができる利点を有している。反応条件に応じて、エテン又はプロペンのホモポリマーの融点から室温を下回る温度まで至る融点を有するコポリマー又は融点ではなくガラス転位温度を有するコポリマーを得ることができる。このコポリマーの分子量は、広範囲に渡り調節可能である。
【0016】
コモノマーとしての3−メチルブテ−1−エンの使用の場合に、このコポリマーの分子量が広い範囲で調節できることによって、3−メチルブテ−1−エンは、通常は種々のコモノマーがそのために使用される、種々の特性を有するコポリマーを製造するためのコモノマーとして使用することができる。従って、コモノマーとしての3−メチルブテ−1−エンの使用によって、従来慣用の多種多様なコモノマーの代わりに、1種のみのコモノマーが提出されるはずである。
【0017】
コモノマーとしての1−ブテンと比較して、3−メチルブテ−1−エンの使用の場合には、既に、LLDPEの製造のために望ましい融点降下(LLDPEの望ましい融点は約105℃〜115℃)を達成するために、このコモノマーの取込みは半分(モル)で充分である。コポリマー中の1−オクテンと比較しても、3−メチルブテ−1−エンの使用の場合には、所望の融点降下を達成するために、小さいモル取込み率(molare Einbau-raten)で充分である。
【0018】
コモノマーとして3−メチルブテ−1−エンを使用する本発明による方法を用いると、更に、チーグラーナッタ−触媒を用いて製造される慣用のコポリマーに比べて狭い分子量分布を有するコポリマーを得ることができる。
【0019】
更に3−メチルブテ−1−エンのこの取込みによって、得られるコポリマーの高い強度を達成することができる。
【0020】
以下に、本発明による方法及びそれを用いて製造された生成物を実施例につき記載するが、本発明は例示されているこれら実施形に限定されるべきものではない。下記の範囲で一般式又は化合物分類が記載されている場合には、これらには、詳述されている化合物群に相当する範囲のみに限定されるべきではなく、個々の値(範囲)又は化合物からはみ出ることによって得ることのできる化合物の全ての構成成分範囲及び構成成分群も包含されるべきでる。
【0021】
モノマーとしてのエテン及び/又はプロペン及びコモノマーとしての3−メチルブテ−1−エンをベースとするコポリマー(この場合に、コポリマー中の3−メチルブテ−1−エンの割合は0.1〜40モル%、有利には0.1〜36モル%である)を製造するための本発明による方法は、共重合を、式(Cp)(Y)M(X)
【化2】

[式中、Cpは置換又は非置換のシクロペンタジエニル−、インデニル−、テトラヒドロインデニル−、オクタヒドロフルオレニル−及びフルオレニル−基から選択されるシクロペンタジエニル−タイプの基であり、
Yは置換又は非置換のシクロペンタジエニル−、インデニル−、テトラヒドロインデニル−、オクタヒドロフルオレニル−及びフルオレニル−基から選択されるシクロペンタジエニル−タイプの基又は窒素、燐、酸素又は硫黄及び20個までの水素ではない原子を含有しているアニオンリガンド基であり、この際、YとCpとは場合により共有結合して又は1個の基Zを介して相互に結合していてよい、
Mは、元素周期律表のスカンジウムを除く第3族〜第10族の、有利には第4〜第6族の又はランタノイドの金属であり、
Xは相互に無関係に、ハロゲン原子、偽ハロゲン、例えばシアニド又はアジド、水素原子、シリル基、ホスフィド、スルフィド又は有機基、例えばアルキル−、アリール−、アミド−、アリールオキシ−、アルコキシ−、アセチル−又はアセチルアセトナート−基、殊に炭素原子数1〜20を有する有機基であり、かつ
mはMの原子価標をXで飽和するために充分である数値である]の触媒及び助触媒としてのアルミニウム又はホウ素を有する化合物の存在下に実施することを特徴としている、但し、この方法がモノマーとしてのエテン及び3−メチルブテ−1−エンをベースとするコポリマーの製造法であり、かつ殊に30℃の温度で実施される場合には、式Iの化合物として「MeC(3−MeCp)(Flu)]ZrCl又は[MeSi(Ind)(Flu)]ZrClを使用しないことを条件としている。式Iの触媒中に1個以上のXが存在する場合には、存在するXは同じであることが有利である。本発明による触媒が金属Mとして、Zr、Ti又はHfを有することが有利である。シクロペンタジエニル−、インデニル−、テトラヒドロインデニル−、オクタヒドロフルオレニル−及びフルオレニル−基に付く可能な置換基は、殊にアルキル−、アリール−、アルキルアリール−、アラルキル−又はシリル−基であることができる。好ましい置換基は、アルキル基、例えばメチル−、エチル−、プロピル−又はt−ブチル−基である。
【0022】
共重合を、式Z(Cp)(Y)M(X)
【化3】

[式中、Cp、Y、M、X及びmは式I中に記載と同じものを表し、
Zはホウ素又は元素周期律表の第14族の元素を有し、20個までの水素ではない原子を有する基である]の触媒(化合物Ia)の存在下に実施するのが有利である。式中のZがCR−又はSiR−基であり、R及びRは同一又は異なるもので、水素又は芳香族、脂肪−芳香族、芳香−脂肪族又は脂肪族基である、触媒を使用するのが好ましい。芳香族基としてはヘテロ芳香族基も好適である。脂肪族基としては、直線状、分枝した又は環状の脂肪族基も存在することができる。基R及びRがC〜C−アルキル−基、殊にメチル−又はエチル−又はフェニル−基であることが特別好ましい。
【0023】
この共重合時に、式Iの化合物単独を又は場合によってはこれラセミ混合物を触媒として使用するのが有利である。
【0024】
本発明による方法では、殊にUS2004/0186253に記載のような、アミジン−基又はアミジン−基の誘導体1個を有するような式Iの化合物又は例えば殊にUS6531554に記載のような、C−及び/又はSi−原子1〜3個を有する鎖を介してシクロペンタンジエニル−基と連結されたアリール−基1個を有するもの又は特に、例えば殊にUS2003/0105252中に記載されているような、1個の、特に正確に1個のアルケニル基、好ましくは炭素原子5又は6個を有するアルケニル基で置換されたインデニル−基並びにジメチルシラン−t−ブチルアミド−基を有するもの又は例えば殊にUS2003/0092925に記載のような、更に1個の末端不飽和の炭化水素−基及び1個のアリール−基が結合している炭素原子1個から成るブリッジを介して連結されている2個のシクロペンタンジエニル−基を有するもの、又は例えば殊にUS6072014に記載されているような、1個以上の金属原子を有するもの又は"Copolymerisation von Ethen und sterisch anspruchsvollen Olefinen durch Metallocen-Katalysatoren", Inken Beulich, Universitaet Hamburg 1999、188〜204頁又は "W.Kaminsky,I.Beulich; Copolymerisation of Ethen with Cyclic and Other Sterically Hindered Olefines", Macromol. Symp.173,211-225(2001)"中に記載されているような、「MeC(3−MeCp)(Flu)]ZrCl又は[MeSi(Ind)(Flu)]ZrClを使用しないことが好ましい。記載の文献及びそれらの内容は明らかに参照できる。
【0025】
アルミニウム含有化合物としては、例えば有機アルミニウム化合物を使用することができる。ホウ素を有する化合物としては、例えばホウ酸塩を使用することができる。有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルモキサン、アルミニウムアルキル又はアルミニウムアルキルハライドを使用することが有利である。有機アルミニウム化合物として、メチルアルモキサン(MAO)を使用することが特別好ましい。アルモキサン(英語で、Aluminoxane)の製造は、例えばUS5099050、WO2005/070977、US2003/0092925又はUS5041583中に記載されているか又はUS4542119の記載と同様に行うことができ、それらの内容は、本発明の開示内容に属する。好適なアルミニウムアルキル化合物の製造は、例えばUS5703187中に記載されており、その内容は同様に本発明の開示内容に属する。US5703187の明細書から、更に式Iの好ましい触媒並びにそれらの製造を知ることができる。同様に、文献 "Copolymerisation von Ethen und sterisch anspruchvollen Olefinen durch Metallocen-Katalysatoren",Inken Beulich, Universitaet Hamburg 1999から、式Iの触媒を知ることができる。この文献から、殊に触媒及び助触媒の好適な製造法並びにコポリマーの検査のための測定法を知ることもできる。この文献の内容も本発明の開示内容に属する。
【0026】
式Iによる触媒は、例えば、金属化合物MXm+2(ここで、M及びXは式I中に記載のものを表し、Xの数は、化合物MXm+2が電子中性である程度の大きさである)を式(Cp−Z−Y)2−のジアニオンを有する化合物と、又は順次に(順序は任意)、Cp−アニオン及びY−アニオンを有する化合物と反応させることによって得ることができる。
【0027】
この反応は、溶剤中で行なうのが有利である。溶剤としては、その反応に対して不活性である全ての溶剤又は溶剤混合物を使用することができる。この反応を、重合の場合にも使用することのできる溶剤中で行うのが有利である。式Iによる触媒の取得のためのこの反応を、トルエン、エチルベンゼン、ブタン又はキシレン又はこれらの混合物中で実施することが特別好ましい。
【0028】
式Iによる触媒の取得のためのこの反応を、不活性ガス雰囲気中で行うことが有利である。好適な不活性ガスは、例えば窒素又はアルゴンである。この反応を−90〜150℃、好ましくは−20〜70℃の温度で行うのが有利である。
【0029】
式(Cp−Z−Y)2−のジアニオン1個又はアニオンCp又はY1個を有していてよい化合物は、例えば相応するアルカリ−又はアルカリ土類金属化合物(塩)であってよい。式Na(Cp−Z−Y)、K(Cp−Z−Y)、Li(Cp−Z−Y)、Mg(Cp−Z−Y)又はCa(Cp−Z−Y)の塩を、式(Cp−Z−Y)2−のジアニオン1個を有する化合物として使用するのが有利である。1個のアニオンCp又はYを有する化合物として、例えば式NaCp、NaY、KCp、KY、LiCp又はLiYの化合物を使用することができる。これらの化合物と化合物MXm+2との反応によって、相応する塩カチオンX又はカチオンX及び式Iの触媒が得られる。塩カチオンX又はカチオンXは、触媒の更なる使用の前に分離除去することができる。塩が固体として沈殿する場合には、この分離を、例えば濾過によって行うことができる。
【0030】
式Iの触媒は、前記のように、1つの前工程で特別に製造することができるか又は直接及び場合によってはその場で、重合が実施される反応容器中で製造することができる。
【0031】
本発明による方法では、この重合を、式Iによる触媒の金属Mと助触媒としてのアルミニウムとのモル比1:0.1〜1:100000、好ましくは1:1〜10:50000、特別好ましくは1:100〜1:25000、全く特別好ましくは1:1000〜1:10000で実施するのが有利である。
【0032】
助触媒及び式Iの触媒は、一緒に又は別々に重合容器に供給することができる。別々に添加するのが有利である。初期重合を実施しないことが特別好ましい。
【0033】
共重合を、本発明によるこの方法では、モノマー(非遮蔽)と式Iの触媒とのモル比1×1010対1〜100対1、好ましくは1×108対1〜500対1、特別好ましくは1×10対1〜1000対1で実施するのが有利である。
【0034】
本発明の方法では、この共重合を液相で又は気相で実施することができる。この共重合を液相中で行うのが有利である。それというのもより高い活性が達成され、かつより均一なポリマーが得られるからである。更に、気相での共重合の際には、場合によっては再び分離されるべきである担体が必要になる。
【0035】
共重合が溶剤の存在下に実施される場合が有利であり得る。溶剤としては、共重合の場合に不活性である全ての液体を使用することができる。本発明による方法ではこの共重合を、脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、デカン、ブタン又はシクロヘキサンから、芳香族炭化水素、例えばベンゼンから又は芳香成分をも脂肪族成分をも有する炭化水素、例えばトルエン、キシレン又はエチルベンゼンから選択される有機溶剤中で実施することが有利である。式Iの触媒を溶解するために好適である溶剤を使用する場合が有利であり得る。そのような溶剤は、例えばベンゼン、トルエン、o−、m−、p−キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、メシチレン、ヘキサン及びヘプタン及びナフタリンであることができる。本発明による方法では、トルエン、キシレン、ヘキサン、ブタン及びヘプタンから選択される溶剤を使用することが特別好ましい。
【0036】
本発明による方法では、共重合を、広い温度範囲内で実施することができる。この共重合を、−30℃〜250℃の温度、好ましくは10〜120℃の温度及び特別好ましくは35〜80℃の温度、殊に50〜75℃の温度で実施するのが有利である。殊に最後に記載の二つの温度範囲では、この共重合を、特別高い触媒活性で、かつ従って非常に経済的に実施することができる。
【0037】
本発明による方法でこの共重合を、低圧、常圧又は高圧で実施することができる。0.1〜10MPaの圧力、好ましくは0.1〜1MPaの圧力でこの共重合を実施するのが有利である。
【0038】
この本発明による方法では、3−メチルブテ−1−エン及びエテン及びプロペンのモノマーの合計に対する共重合の反応混合物中の3−メチルブテ−1−エンモノマーのモル割合は少なくとも20%である。バッチ中のモノマーに対する3−メチルブテ−1−エンのモル割合は40〜80%であるのが有利である。
【0039】
本発明による方法の好ましい1実施形では、式Iの触媒として、式中のCp及びYが置換又は非置換のシクロペンタジエニル−、インデニル−及びフルオレニル−基(ここで、置換基として殊にアルキル基が存在することができる)から選択される、同じ又は異なる基であり、Zが炭化水素基、有利にはCR又はSiR(ここで、R及びRは同じ又は異なる、H又は炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜4を有する炭化水素基である)であり、Mが元素周期律表の第4〜6族、殊に第4族の金属、有利にはTi又はZrであり、Xがハロゲン、有利にはCl又はFであり、m=2、3又は4、殊に2である、触媒が使用される。式Iの触媒として、式II又はIII:
【化4】

の触媒が全く特別好ましく使用される。本発明の方法のこの実施形は、プロペン及び3−メチルブテ−1−エンを共重合させるべき場合に殊に好ましい。しかしながら、式III及びVの触媒を、好ましくはエテンと3−メチルブテ−1−エンとの共重合のために使用することもできる。従ってエテンとの共重合の場合に、式IIIの触媒を使用することによって、特別高い取込み率を得ることができる。従って式Iによる、殊に式Iaによる触媒(ここでY及びCpは、例えば式IIIの化合物の場合と同じものである)を使用することが特別好ましい。
【0040】
式IIの触媒の製造は、例えばEP0351391に記載のように行うことができる。式IIIの触媒の製造は、例えばSpaleck et al.によりNew. J. Chem.,14,6(1990)499中に記載されているように行うことができる。化合物IIIは、次のようにして得ることもできる:ビス(2−インデニル)−プロパンをジエチルエーテル中に懸濁させ、−79℃でn−Bu−Liを用いてヘキサン中で脱プロトン化する。反応混合物を室温で3時間撹拌する。固体ZrClを添加し、室温で更に一晩撹拌する。得られる懸濁液をセライト上に与え、フルオロベンゼンを用いて抽出する。引き続き、フルオロベンゼンを真空中で除去濃縮させる。得られる残分(化合物III)をジエチルエーテルで数回洗浄し、フルオロベンゼン/ジエチルエーテルから再結晶させる。
【0041】
式Iの特別好ましい触媒は、式VIによる触媒であり、これは、3−メチルブテ−1−エンとエテン又はプロペンとの共重合の場合に使用することができる。この触媒の特別な実施形は、既に前の式Vで記載されている。従って、式VI:
【化5】

[式中、TはC又はSiであり、R及びRは同じ又は異なるもので、H、炭素原子数1〜20を有する炭化水素基、有利にはメチル−、エチル−又はフェニル−基であり、Xはそれぞれ無関係に、ハロゲン原子、偽ハロゲン、例えばシアニド又はアジド、水素原子、シリル基、ホスフィド、スルフィド又は有機基、例えばアルキル−、アリール−、アミド−、アリールオキシ−、アルコキシ−、アセチル−又はアセチルアセトナート−基、殊に炭素原子数1〜20を有する有機基、有利にはClであり、Mは元素周期律表のスカンジウムを除く第3〜10族の、有利には第4〜6族の金属、好ましくはZr、Ti又はHf又はランタノイドである]の触媒も本発明の目的物ある。式VIの本発明による触媒は、式Vに一致しないものが好ましい。
【0042】
式VIの触媒は、例えば論文 "Alternierende Copolymerisation von Ethen und Propen mit C1-symmetrischen Metallocen/MAO-Katalysatoren",B.Heuer Arbeitskreis Kaminsky,Universitaet Hamburg 2004の式Vの触媒の例で記載されているように、差し当たり1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−ビベンゾフルオレン(OMOHBBF)を製造することによって得ることができる。これは、2,5−ジクロロ−2,5−ジメチルヘキサン100g(0.546モル;C16Cl;M=183.12g/モル)及びフルオレン45.3g(0.273モル;Cl310;M=166.22g/モル)をニトロメタン800ml中に装入し、ニトロメタン60ml中の塩化アルミニウム44.6g(0.334モル;AlCl;M=133.34g/モル)の溶液をゆっくり滴加することにより得ることができる。約1/3の塩化アルミニウム添加の後に、バッチは、僅かな発熱及びガス発生下に、赤/褐色〜青/緑色に着色する。約10分後にガス発生は減退し、塩化アルミニウム溶液の残分を加える。バッチを一晩撹拌すると、引き続き暗紫色を示す。濾過の後に紫色の濾過残分を水400ml中に懸濁させると、色が消える。n−ヘキサン400mlを加え、混合物を一晩撹拌する。残留沈殿物を分離し、有機相を一緒に添加し、溶剤を除去する。残分に熱n−ヘキサン300mlを加え、濾過し、かつn−ヘキサンで、濾液が無色にとどまるまで洗浄する。無色の生成物を油ポンプ真空中で乾燥させる。
【0043】
引き続き、(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−ジベンゾフルオレニル)リチウム11.6g(30ミリモル;C2937Li;M=392.56g/モル)をn−ペンタン150ml中に懸濁させ、カニューレを通してゆっくりn−ペンタン150ml中のジクロロジフェニルシラン9.6ml(45ミリモル;C1210SiCl;M=253.21g/モル;d=1.20g/cm)の溶液に加え、一晩撹拌することによって、クロロ−ジフェニル−9−(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロジベンゾフルオレニル)シラン(CDOODBFS)を製造する。引き続き溶剤を除去し、残分をジエチルエーテル130ml中に入れ、セライトを通して濾過する。引き続き溶剤を約30mlまで濃縮し、n−ヘキサン30mlを加える。混合物を更に濃縮させ、約−20℃で生成物を結晶させると、無色結晶が得られる。
【0044】
他方で、引き続き、クロロ−ジフェニル−9−(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−ジベンゾフルオレニル)シラン4.09g(6.78ミリモル;C4147SiCl;M=603.37g/モル)をジエチルエーテル100ml中に溶かし、インデニルリチウム828mg(6.78ミリモル;CLi;M=122.10g/モル)を加えることによって、ジフェニル−1−インデニル−9−(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−ジベンゾフルオレニル)シランを製造する。バッチを還流下に10日間加熱し、引き続き水100mlを用いて加水分解する。有機相を分離し、水相をジエチルエーテルで3回抽出し、集められたエーテル相を硫酸ナトリウム上で乾燥させる。生成物は、痕跡量のジエチルエーテルを有するn−ヘキサンの溶液から、白色固体として沈殿する。
【0045】
次いで、ジフェニル−1−インデニル−9−(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロジベンゾ−フルオレニル)シラン1.0g(1.46ミリモル;C5054Si;M=683.07g/モル)をジエチルエーテル40ml中に溶かし、n−ブチルリチウム2当量(2.93ミリモル;CLi;M=64.06g/モル)を加え、一晩撹拌することによって、式VIの触媒としてのジフェニルシリル−(1−インデニル−9−(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロジベンゾ−フルオレニル))−ジルコニウムジクロリドを得ることができる。この橙色溶液に四塩化ジルコニウム341mg(1.46ミリモル、ZrCl;M=233.04g/モル)を加え、改めて一晩撹拌する。微細な白色沈殿を有する強赤色溶液から溶剤を除去し、残分をジクロロメタン50ml中に溶かし、セライトを通して濾過する。引き続き溶剤を改めて除去し、残分をジエチルエーテル10ml中に溶かし、n−ヘキサン10mlを添加する。この混合物から、赤色沈殿が現れるまで溶剤を除く。引き続き生成物を濾別すると、式VIの触媒が得られる。
【0046】
本発明の方法のもう一つの好ましい実施形では、式Iの触媒として、式中のCpがメチル基1〜4個、特に4個で置換されたシクロペンタジエニル−基であり、Yが窒素又は燐を有する基、特にN−R(ここで、Rは炭素原子数1〜20を有する炭化水素基である)であり、Zが珪素を有する基であり、Mが元素周期律表の第4〜6族、殊に第4族の金属、特にTi又はZrであり、Xがハロゲン、特にCl又はFであり、mが2、3又は4、殊に2である触媒が使用される。式Iの触媒として、式IV:
【化6】

の触媒を使用することが全く特別好ましい。エテンと3−メチルブテ−1−エンとを共重合させるべき場合には、本発明の方法のこの実施形が殊に好ましい。式IVによる触媒は、例えば、J.OkudaによるChem. Ber. 1990,123,1649中の記載又はF.Amor und J. OkudaによるJ.Organomet. Chem. 1996, 520, 245中の記載又はEP0416815又はUS5026798中の記載と同様に製造することができる。
【0047】
この共重合は、有利には15分〜4時間、特に0.5〜2時間にわたり行われる。この共重合は、簡単な方法で、モノマー供給の中止により又はアルコール、例えばエタノールの添加によって中断することができる。モノマー供給の中止によるこの中断時には、一定でない条件下で更に共重合が起こることがあり、この共重合はモノマーが利用されるかぎり充分長く進行するので、アルコールの添加によってこの共重合を中断することが有利である。この共重合の時間は、例えば使用触媒の量の変動によって調節することができる。この共重合は不連続的に又は連続的に実施することができる。
【0048】
この共重合の際に得られる共重合混合物は、公知方法で後処理することができる。この後処理は、この共重合混合物に、それで触媒が分解される薬剤を供給することによって行うのが有利である。好適な薬剤は、例えばアルコール、殊にエタノールであることができる。共重合混合物に、この薬剤を過剰モル量で、特に、式Iの触媒の金属Mに対して少なくとも2〜20倍モル過剰で添加される程度の多量の薬剤を添加するのが有利である。
【0049】
共重合混合物の後処理の場合に、これを酸、特に、水中又は水−エタノール混合物中の酸、殊に塩酸の5〜20質量%溶液で処理する場合が有利であり得る。こうして、触媒残分は共重合混合物から溶出させることができる。引き続き、共重合混合物を中和するために好適である薬剤、特に炭酸水素ナトリウムを、特に好ましくは1〜50質量%の、特に5〜10質量%の炭酸水素ナトリウム溶液(水中又は水−エタノール混合物中)を、共重合混合物に、この共重合混合物が中性である、即ち約7のpH−値を有する程度の量で加えるのが有利である。こうして得られる混合物を、水で、好ましくは脱鉱水で洗浄するのが有利である。このような洗浄は、好適な装置中、例えば抽出塔中又は振出用ロート中で実施することができる。
【0050】
このように処理された共重合混合物から、共重合混合物中に固体として存在するコポリマーを、機械的に、例えば濾過又はデカンテーションによって分離することができる。可溶性コポリマーの分離のためには、共重合混合物を、コポリマーが固体として沈殿する程度に充分濃縮させることができる。このことは、殊に熱的に行うことができる。濃縮時に沈殿したコポリマーを、共重合混合物から機械的に分離することもできる。
【0051】
こうして得られたコポリマーを乾燥プロセスに供する場合が有利でありうる。こうして、場合により共重合プロセスで使用された場合によっては健康上危険である溶剤が、コポリマーの仕上げ処理時にコントロール不能に環境に排出されることを阻止することができる。乾燥は実験室内で、そのために好適である装置中、例えば乾燥箱中で行うことができる。30〜60℃の温度で乾燥を行うのが有利である。
【0052】
本発明の方法で、考えられ得る方式で得ることのできる3−メチルブテ−1−エン、エテン及び/又はプロペンを使用することができる。モノマーが純粋物質として又は他の成分と混合して存在するか否かに応じて、このような混合物を化学的又は物理的に処理することが必要になりうるか又は有利でありうる。混合物が共重合反応を遅延させるか又は完全に停止させることができる成分を有する場合には、殊にこのような処理が必要である。このような成分は、殊に触媒毒であることがありうる。共重合反応に対して負の影響を有することがありうる公知の成分は、例えば硫黄、酸素及び酸素含有化合物、例えば水である。化学的処理は、例えば、不所望の成分を、この混合物から容易に除去できる他の化合物と反応させることによって行うことができるであろう。このような混合物から、例えばアルカリ金属との反応によって水を除去することができる。物理的処理は、例えば蒸留のような熱的処理であるか又は濾過、デカンテーション又は類似の処理であるか又はこれらの組み合わせであることができる。使用される3−メチルブテ−1−エンの精製は、連結された再凝固及びトリイソブチルアルミニウム(TIBA)と一緒の撹拌によって特別好ましく行われる。
【0053】
本発明の方法で3−メチルブテ−1−エンが使用される場合に、3−メチルブタノールから水分離によって得られたことは有利である。この3−メチルブテ−1−エンは、化学的精製工程を実施することなしに、それを直接使用することのできる利点を有する。本発明の方法では、
a)イソブテンをヒドロホルミル化して3−メチルブタナールにする工程、
b)3−メチルブタナールを水素化して3−メチルブタノールにする工程及び
c)3−メチルブタノールから水分離する工程
によって得られる3−メチルブテ−1−エンを使用する(この際、工程c)から得られる3−メチルブテ−1−エンは、特に化学的精製工程の実施なしに直接使用される)ことが特別有利である。
【0054】
工程a)によるヒドロホルミル化は、公知の手段及び方法で実施することができる。このヒドロホルミル化を、ロジウム錯体触媒の存在下に実施するのが有利である。好適なリガンドは、例えばホスフィット−又はホスフィン−リガンド、特に置換又は非置換のトリフェニルホスフィン又はトリフェニルホスフィット、好ましくはトリフェニルホスフィン又はトリフェニルホスフィットである。このヒドロホルミル化の方法工程は、例えばEP0562451又はDE02627354中に記載されているように実施することができる。反応温度は、好ましくは70〜150℃、特に100〜130℃である。反応圧は、有利には2〜20MPa、好ましくは3〜6MPaである。
【0055】
リガンド又は錯体触媒としては、殊に、EP0155508(UCC)、EP0213639(UCC)、EP0214622(UCC)、EP0471071(BASF)、EP1099677(OXENO)、EP1099678(OXENO)又はEP1201675(OXENO)中に記載されているものを使用することができる。一座ホスフィットリガンドを有する特別好適なロジウム−錯体触媒は、例えばそのアリール基がホスフィット−酸素に対してオルト位に嵩高な基を有し、m−又はp−位でも置換されているトリアリールホスフィット、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニル)ホスフィットである。ロジウム及びビスホスフィットから成っている触媒系の使用下でのイソブテンのヒドロホルミル化は、例えば、特許US4668651、US4769498及びWO85/03702明細書中に記載されている。挙げられている全ての文献及びそれらの開示内容をもって本明細書の課題は開示されているものとする。
【0056】
水素化のために、方法工程b)で触媒として、例えばニッケル−、銅−、銅/ニッケル−、銅/クロム−、銅/クロム/ニッケル−、亜鉛/クロム−、ニッケル/モリブデン−触媒を使用することができる。これらの触媒は、担体不含であってよいか又は水素化活性物質又はその前駆物は、二酸化珪素又は酸化アルミニウム等の担体上に担持されていてよい。それに接してヒドロホルミル化混合物が水素化される好ましい触媒は、銅及びニッケルそれぞれ0.3〜15質量%、並びに活性化剤としてクロム0.05〜3.5質量%及び有利にアルカリ成分0.01〜1.6質量%、特に0.02〜1.2質量%を、担体上に、特に酸化アルミニウム及び二酸化珪素上に有している。量記載は、未還元の触媒に対するものである。アルカリ成分は任意成分である。この触媒は、低い流動抵抗を示す形で、例えば顆粒、ペレット又は成形体の形、例えばタブレット、シリンダー、ストランド押出成形体又はリングの形で有利に使用される。それらは、その使用前に、例えば水素流中での加熱によって活性化されることが適切である。
【0057】
水素化、好ましくは液相水素化を、0.5〜50MPa、好ましくは1.5〜10MPaの全圧で実施するのが有利である。気相での水素化は、より低い圧力で実施することもでき、この場合には相応して大きいガス容積が存在する。複数の水素化反応器が使用される場合には、個々の反応器中の全圧は、前記の圧力限界内で同じ又は異なっていてよい。方法工程b)での液相又は気相での水素化の場合の反応温度は、大抵120〜220℃、殊に140〜180℃であってよい。このような水素化は、例えば特許出願DE19842369及びDE19842370明細書中に記載されており、これをもって開示されているものとする。
【0058】
この水素化は、好ましくは水の存在下に実施される。必要な水は、反応器流入物中に含有されていることができる。しかしながら、水を、適当な箇所で水素化装置中に供給導入することも可能である。気相水素化の場合には、水を水蒸気の形で供給することが適切である。好ましい水素化法は、例えばDE10062448中に記載されているように、水の添加下での液相水素化である。この水素化を、0.05〜10質量%、殊に0.5〜5質量%、全く特別に1〜2.5質量%の水含有率で実施することが特別好ましい。この場合にこの水含有率は、水素化排出物中で測定される。
【0059】
方法工程b)による水素化の後に得られる3−メチルブタノールから、方法工程c)で、水分離によって3−メチルブテ−1−エンが製造される。この脱水は、気相又は液/気−混合相で実施することができる。方法工程c)は、連続的に又は不連続的に実施することができる。方法工程c)は、懸濁された又は塊状で固定床中に配置された触媒に接して実施することができる。この水分離は、反応混合物からの反応生成物の簡単な分離の故に、固体触媒に接して、200〜500℃の温度範囲で、好ましくは気相−又は気/液−混合相で実施される。連続的な脱水を、固定床中に配置された触媒に接して実施することが特別好ましい。触媒として、アルカリ土類金属の、アルミニウム、インジウム、ガリウムの、珪素、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、トリウムの並びに希土類金属の酸化物を使用することができる。前記酸化物の混合酸化物及び組み合わせ物を使用することもできる。いくつかの触媒の場合には、アルカリ金属酸化物の添加によって特定の酸性度に調節することができる。
【0060】
科学専門文献から、例えば次の好適な触媒が公知である:
【化7】

【0061】
触媒及び反応条件の選択を、副産物、例えばエーテルの形成並びに形成された1−オレフィンの内部二重結合を有するオレフィンまでの異性化が充分に避けられるように行うことが有利である。従って3−メチルブテ−1−エンの製造のために、塩基性又は強塩基性の触媒を使用するのが好ましい。好ましく使用される触媒は、主成分として酸化アルミニウム(Al)及び/又は酸化ジルコニウム(ZrO)並びにアルカリ金属−及び/又はアルカリ土類金属酸化物を有することができる。更なる成分として、この触媒中には、二酸化チタン、二酸化珪素及び/又は酸化トリウムを、0.01〜3質量%、好ましくは0.5〜5質量%で含有することができる。
【0062】
この触媒中の塩基性金属酸化物の割合(水酸化物が酸化物中で換算される)は、好ましくは0.01〜10質量%、特別好ましくは0.1〜5質量%、殊に好ましくは0.1〜3質量%である。好ましいアルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウム及び/又は酸化カリウムである。アルカリ土類金属酸化物として、好ましくはマグネシウム−、ストロンチウム−及び/又はバリウム酸化物が使用される。方法工程c)での水分離は、式で酸化アルミニウム及び酸化バリウムから成っている固体触媒に接して特別好適に行われる。方法工程c)での触媒としては、全く特別好ましく、式で酸化バリウム及び酸化アルミニウムから成っている、酸化バリウム(BaO)で変性されたγ−酸化アルミニウムが使用される。
【0063】
80〜350m/g、好ましくは120〜250m/gのBET−表面積(DIN66131に従うN−吸収によって測定)を有するγ−酸化アルミニウムが有利に使用される。この触媒は、公知方法で製造されうる。慣用の方法は、例えば、適当な塩溶液を用いるAl−体の沈殿、浸漬又は吹き付け及び引き続くか焼である。
【0064】
同様に、DE10359628中に記載されており、80〜99質量部の二酸化ジルコニウム割合、0.5〜10質量部の酸化イットリウム割合及び0.1〜3質量部のアルカリ土類−又はアルカリ金属酸化物割合を有している触媒を使用する場合も有利でありうる。
【0065】
連続的水分離の場合に、種々の変法を使用することができる。方法工程c)は、例えば断熱的、ポリトロープ又は実際に等温的に、即ち典型的に10℃より小さい温度差で実施することができる。この方法工程は、1工程又は多工程で実施することができる。後者の場合には、全ての反応器、適切には反応管を、断熱的に又は実際に等温的に操作することができる。同様に1つの又は複数の反応器を断熱的に、かつ他を実際に等温的に操作することが可能である。この水分離を、直線通路中で操作することが好ましい。しかしながら、生成物循環流下に操作することもできる。直線通路中での操作の際には、触媒負荷率は触媒1kg当たり及び1時間当たりアルコール0.01〜30、好ましくは0.1〜10kgである。方法工程c)による水分離の場合の触媒層中の温度は、200〜450℃、殊に250〜400℃であるのが有利である。この水分離(脱水)は、減圧下に、過圧下に又は常圧下に実施することができる。
【0066】
3−メチルブタノールを、純粋な形で又は希釈して脱水反応器中に案内することができる。希釈剤としては、不活性ガス又はガス混合物、例えば窒素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、合成ガス、メタン又は水蒸気又は反応条件下に不活性で、反応排出物から容易に分離除去することのできる有機溶剤を使用することができる。
【0067】
3−メチルブテ−1−エン形成までのできるだけ高い選択率を得るために、使用アルコールの部分変換率を得ようとする場合だけでも有利であることが判明した。99%の変換率の場合に、例えば92%の選択率を達成することができる。方法工程c)を、直線通路中での変換率が少なくとも30%、有利には30〜99%及び好ましくは30〜90%であるように実施するのが有利である。
【0068】
方法工程c)の生成物として、3−メチルブテ−1−エンを有する混合物が得られる。方法工程c)で、有利に、それから3−メチルブテ−1−エンが分離される混合物が得られる。この反応混合物を、場合によっては水分離の後に、蒸留によって、3−メチルブタン−1−オール、3−メチルブテ−1−エン及び副産物に分けることができる。
【0069】
工程a)、b)及び/又はc)の間又は後に、1つ又は複数の後処理工程を実施することができる。反応しなかった出発物質、副産物及び/又は触媒から、物理的方法で、例えばデカンテーション、濾過、抽出又は蒸留によって、所望の生成物を分離するような後処理工程を実施するのが有利である。好適な分離法は当業者には公知であり、これは、当業者の能力に好適である分離法及び分離問題のための分離パラメータを選択することに相当する。
【0070】
本発明による方法を用いて、3−メチルブテ−1−エンとエテン及び/又はプロペンとの、殊にエテン又はプロペンとのコポリマーを製造することができる。使用される方法パラメータに依存して、非常に異なる特性を有するコポリマーを製造することができる。本発明の方法により、構成成分として3−メチルブテ−1−エン及びエテン及び/又はプロペンを含有している本発明によるコポリマーが特別好ましく製造される。
【0071】
3−メチルブテ−1−エンを含有している本発明によるコポリマーは、更なるモノマーとしてエテン及び/又はプロペン、特にエテン又はプロペンを、かつ好ましくはモノマーとしてもっぱら3−メチルブテ−1−エンとエテン又はプロペンを含有しており、取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合は0.1〜40モル%、特に0.1〜36モル%、好ましくは0.1〜10モル%、特別好ましくは0.5〜10モル%、全く特別好ましくは1〜5モル%であり、このコポリマーが、室温(20℃)又は室温を下回る温度〜130℃の融点を有することを特徴としている。
【0072】
本発明によるコポリマーは、2500〜2200000g/モル、特に5000〜500000の分子量M(重量平均分子量)を有することができる。この分子量はゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィによって測定することができる。本発明の範囲で、分子量をFirma Waters,Typ:Hochtemperatur Alliance GPCV 2000のゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィによって測定した。溶剤として、1,2,4−トリクロロベンゼンを使用した。4本のスチラゲル−カラム(HT6、HT5、HT4、HT3)及び前カラムを使用した。カラム材料としては、スチレンジビニルベンゼン=SDV(Firma PSS9の)/スチラゲル(Firma Waltersの)を使用した。流動速度は1ml/minであり、測定は140℃で行った。それぞれ0.15ml〜0.2mlの試料溶液に、0.2質量%の濃度でコポリマーを注入した。狭い分布のポリスチレン標準(Firma PSS)を用いて、カラムバッチを較正した。滞留時間は、汎用較正の使用下に、5次の多項式を介して、ポリスチレン分子量及び当該K−及びα−値に関係つけられた。検出器として、内部粘度検出器と連結された内部(RI)−検出器を使用した。データ収録及びデータの評価を、Waters Millenium 32 GPC プログラム(Firma WaterのVersion 3,20)を用いて行った。
【0073】
本発明によるコポリマーは、有利には1つの融点を有するが、2つの融点が存在する場合には、高い方の融点は、室温以下〜130℃、特に室温〜130℃、好ましくは80〜125℃、特別好ましくは90〜120℃、全く特別好ましくは100〜115℃、殊に105〜115℃を示す。エテン/3−メチルブテ−1−エン−コポリマーの場合に、3−メチルブテ−1−エン2.8モル%の取込みで、既に約30℃の融点の降下を得ることができる。プロペン/3−メチルブテ−1−エン−コポリマーの場合の2つの比較的近く隣り合っている融点の存在は、文献によれば、再結晶プロセスに又はDSC−測定の間の2つの結晶相の存在に帰因している(例えばGraef et al.の Journal of Polymer Science: Part A:Polymer Chemistry, 2002, 40, 128-140参照)。
【0074】
特別好ましい本発明によるコポリマーは、モノマーとしてプロペンを含有し、この際、取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合は、1〜10モル%であり、融点は90〜125℃である。このようなコポリマーは、好ましく6500〜8500g/モルの分子量Mを有している。
【0075】
もう一つの好ましい本発明によるコポリマーは、モノマーとしてエテンを含有し、この際、取込まれた3−メチルブテー1−エンの割合は0.5〜6モル%であり、融点は90〜130℃、殊に105〜130℃である。このようなコポリマーは、好ましく10000〜500000g/モル、殊に15000〜500000g/モルの分子量Mを有する。
【0076】
全く特別に好ましいコポリマーは、モノマーとしてエテンを含有し、この際、取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合は3〜6モル%であり、融点は、主に90〜115℃、特に105〜115℃である。このコポリマーは、主に15000〜75000g/モルの分子量Mを有する。このようなコポリマーは、LLDPE(線状−低密度−ポリエチレン)として使用することができる。本発明によるLLDPE(これは、3〜6モル%の取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合を有する)は、例えば膜及びシートの製造のために使用することができる。
【0077】
前記の本発明によるコポリマーは、有利に本発明の方法によって得られる。
【0078】
本発明によるコポリマーは、シート又は成形体の製造のために、殊に射出成形体又は押出成形体の製造のために使用することができる。殊に本発明によるコポリマーは、シートの形で、料理用袋、袋物、小袋又はショルダーバッグの製造のため、中空体、例えば容器、瓶、チューブ、缶、樽又は貯蔵タンクとして又は射出成形部材、例えば瓶ケースとして使用することができる。殊にプロペン/3−メチルブテ−1−エン−コポリマーは、それが屡々油性〜粘着性を有するので、接着剤又はオイルとして使用することができる。
【0079】
図1〜3につき本発明を以下に詳述するが、本発明はそこに例示されている実施方式のみに限定されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、実施例で使用される重合装置を示す図である。
【図2】図2は、例1aで[MeC(Cp)(Flu)ZrCl]/MAOを用いて製造されたコポリマーに関する、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合に依存しているプロペン/3−メチルブテ−1−エン−コポリマーのプロペン−分のシンジオタクチシティの測定値を示す図である。
【図3】図3は、例1aで[MeC(Cp)(Flu)ZrCl]/MAOを用いて製造されたポリ−(3−メチルブテ−1−エン)の13C−NMR−スペクトルを示す図である。
【0081】
図1中には、実施例中で使用されている重合装置が図示されている。この重合装置は、温度計ケース1、隔壁密封球弁2、アルゴン/真空−接続及び排出弁3、攪拌機4、圧力計5、トルエン供給管6、流量調節器7、精製カラム8、アルケン圧縮容器9、コントロール系及びデータ検出装置10並びに接続ガスボトル/3−メチルブテ−1−エンを有するレクチャ−ボトルへの結合部11を備えている、二重壁反応容器を有している。この二重壁には、反応容器の内容物の加熱又は冷却のために熱媒体を通すことができる。
【0082】
図2中には、例1aにより[MeC(Cp)(Flu)ZrCl]/MAOを用いて製造されたポリマーに関する、バッチ中の3−メチルブテ−1−エン割合に依存しているプロペン/3−メチルブテ−1−エン−コポリマーのプロペン−分のシンジオタクチシティーの測定値がプロットされている。
【0083】
図3中には、例1aにより[MeC(Cp)(Flu)ZrCl]/MAOを用いて製造されたポリ−(3−メチルブテ−1−エン)の13C−NMR−スペクトルが示されている。
【0084】
次の実施例につき本発明を説明するが、これらは、明細書及び特許請求の範囲から明らかである使用分野を限定するものではない。
【0085】
3−メチルブテ−1−エン(3MB1)とエテン及びプロペンとの共重合の例
下記の共重合を、Firma Buechiの1リットル−ガラスオートクレーブ(この中で、0.6MPaまでの圧力で気密に操作できる)中で、半連続的に実施した。磁気カップリングにより間接的に作動されるプロペラ攪拌機を用い、500U/minで、充分に撹拌した。この装置の正確な構成は、図1から知ることができる。図1中に示されている重合装置は、温度計ケース1、隔壁密封球弁2、アルゴン/真空−接続及び排出弁3、攪拌機4、圧力計5、トルエン供給管6、流量調節器7、精製カラム8、アルケン圧縮容器9、制御系及びデータ検出装置10並びに接続ガスボトル/3−メチルブテ−1−エンを有するレクチャ−ボトルへの結合部11を有している。
【0086】
共重合の実施
各々の共重合の前に、オートクレーブを減圧下(油ポンプ真空)に95℃で少なくとも1時間加熱し、この際に、アルゴンで数回パージした。所望の実験温度の調節の後に、メチルアルモキサン(MAO)400mg及びトルエン200mlの充填を行った。このMAOは、10質量%トルエン溶液(Firma Crompton)から、濾過及び引き続く溶剤及び場合により存在する残留トリメチルアルミニウムの濃縮除去によって得られた固体として使用された。引き続き、反応器を改めて真空にした。次いでこの装置に、3−メチルブテ−1−エンを吹き込んだ。アルゴンで再び常圧を形成させる前に、重量コントロールを介して所望量の3−メチルブテ−1−エンをトルエン中に溶かした。引き続き、所望のアルケン圧(エテン−又はプロペン圧)で飽和させた。このためにアルケン圧を、更なるモノマーが後から流れないように、即ち重合開始までにもはやモノマー流が現れないように調節した。重合を、隔壁を通す噴入による気密スプレーを用いる触媒トルエン溶液の注入によって開始させた。プロペン/3−メチルブテ−1−エン−共重合の場合には、0.03MPa又は0.07MPaの圧力に、かつエテン/3−メチルブテ−1−エン−共重合の場合には、0.025〜0.4MPaの圧力に調節した。
【0087】
Aldrichから入手された3−メチルブテ−1−エンの使用の前に、これを精製した。このために、3−メチル−1−ブテンを差し当たり三首フラスコ中で濃縮させ、氷水−冷却下にトリイソブチルアルミニウム(TIBA)と共に数時間(約4時間)撹拌し、引き続きレクチャ−ボトル中に導入濃縮させた。
【0088】
重合の間のアルケンの後配量を、圧力低下装置を用いて行い、この際、計算機に接続されている流量調節装置を介してアルケン消費量をコントロールした。この装置にはコモノマーの連続的後配量を行わなかったので、重合条件を、3−メチルブテンの変換率が約5%を上回らないように保持した。
【0089】
重合中断は、アルケン供給の停止、エタノールの噴入による触媒の分解及び過圧の放圧によって行った。引き続きこの反応溶液を、ビーカー中に移した。
【0090】
ポリマーの後処理
触媒残分の溶出のために、反応溶液を、濃塩酸、エタノール及び水を1対2対7の質量比で有しているエタノール−水性塩酸溶液と共に一晩撹拌した。引き続き、−トルエン可溶性ポリマーもトルエン不溶性ポリマーも−5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、最後に脱鉱水で3回洗浄して中性にした。引き続きトルエン不溶性ポリマーを濾過し、エタノールで洗浄した。トルエン可溶性ポリマーの場合には、回転蒸発器で約50mlまで濃縮させ、かつ−可能な場合には−エタノールで沈殿させた。引き続き、同様にブフナーロートを通して濾過し、エタノールで洗浄した。ポリマーを真空乾燥機中、40℃で恒量になるまで乾燥させた。
【0091】
例1:3−メチルブテ−1−エンとプロペンとの共重合
プロペンとの重合系列のために、触媒[MeC(Cp)(Flu)]ZrCl(式II)(例Ia)及びrac−[MeC(Ind)]ZrCl(式III)(例Ib)を使用した。これらの化合物は、例えば、Boulder又はAldrichから入手することができる。式IIの触媒は、J.A.Ewen,R.L.Jones,A.RazaviによるJ.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255中又はEP0354391中の記載と同様に製造することもできる。式IIIの触媒は、W.Spaleck,M.Antberg,V.Dolle,R.Klein,J.Rohrmann and A.Winter による New J.Chem.,14,6(1990)499中の記載と同様に製造することもできる。実施例Ia及びIb中の濃度系列及び温度系列が実施される反応条件は、第1表中から知ることができる。
【0092】
【化8】

【0093】
第1表:プロペン/3−メチルブテ−1−エン−共重合及び3−メチルブテ−1−エン−共重合の反応条件
【表1】

【0094】
例Ia:触媒としての[MeC(Cp)(Flu)]ZrClの存在下での共重合
次の第2及び第3表中に、触媒としての[MeC(Cp)(Flu)]ZrClの存在下での3−メチルブテ−1−エンとプロペンとの共重合の結果が記載されている。
【0095】
第2表:30℃の重合温度の場合の触媒[MeC(Cp)(Flu)]ZrClを用いる重合結果を濃度系列に関して示している一覧表
【表2】

【0096】
第3表:X3MB1=0.8の場合の触媒[MeC(Cp)(Flu)]ZrClを用いる重合結果を温度系列に関して示している一覧表
【表3】

【0097】
第2表及び第3表中に記載の2番目の融点は、おそらく測定の間の再結晶プロセスに帰因している。
【0098】
第2表から知ることができるように、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの増加性割合に伴い、純粋なプロペン重合の場合の約2000kg/(モル触媒・h・モルモノマー・L-1)の活性が、X3MBI=0.80の場合には約73kg/(モル触媒・h・モルモノマー・L-1)まで明らかに低下することを確認することができる。3−メチルブテ−1−エンのホモ重合は、2kg/(モル触媒・h・モルモノマー・L-1)の低い活性で経過する(モルモノマー・L-1の値は、濃度cモノマーを表す)。
【0099】
第3表から知ることができるように、重合温度に関して最大活性は30〜45℃で生じている。
【0100】
双方の表から、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの増加性割合に伴い、重量平均分子量Mの減少を観察することができることが判る。同様に分子量Mは、重合温度の上昇に伴い低下し、この際、15℃の重合温度の場合の68000g/モルのMが60℃の重合温度の場合には約1/3(23000g/モル)まで減少するので、その影響は特別強力である。このことは、例えば反応中断の多数回出現にあるらしい。コポリマー及びポリプロピレンの分子量の測定は、前記のようにゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィを用いて行った。
【0101】
熱的特性は、DSC(示差走査熱量測定法)を用いて測定した。このために、コポリマー7〜12mgの試料を、Typ Mettler Toledo DSC821eの示差熱量計で、20℃/minの加熱速度を用いて、−100〜+200℃の範囲で測定した。2回加熱により得られたデータの内、第2加熱のデータを使用した。ガラス転移の場合には、試料を、より緩徐な加熱速度(10℃/min)を用いて再度測定した。曲線作成時に得られたピークを、Firma Mettler ToledoのプログラムSTARe8.01を用いて電子工学的に評価した。DSC−検査の結果で意外にも、ポリマーの1つのみの融点ピークの出現ではなく、得られたポリマーでは屡々2つの入り交じった融点ピークを確認することができた。シンジオタクチックポリプロピレンに関する文献から公知のこの現象は、再結晶プロセスに帰因することができる(Graef et al., Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry, 2002 ,40,128-140;De Rosa et al.,Macromolecules,1998,31,6206-6210参照)。
【0102】
更に、融点ピークと並んで弱い顕著なガラス転移を検出することができ、これは非晶質領域の存在を示している。バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの種々異なる割合に対して、得られたポリマーにおけるガラス転移温度の僅かな低下並びに融点の明らかな低下を確認することができた。重合温度の上昇及び分子量の低下に伴い、融点の明らかな下落が観察された。
【0103】
バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合の増加に伴い、シンジオタクチックペンタデン分が明らかに低下し:純粋プロペン重合の場合にはこれはなお82%であるが、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合が80モル%の場合にはこれは約70%まで低下する(図2)。この測定は13C−NMR−分光法を用いて行った。この場合に、プロペンのメチル領域内にこのコモノマーによる信号は生じないという想定から出発した。
【0104】
13C−NMR−スペクトルで、取込まれた3−メチルブテ−1−エンに帰することのできる信号を検出できなかったとはいえ、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合の増加に伴う分子量及び融点の低下に基づき既に、単なる「純粋な」ポリプロピレンではなく、僅かな取込みの場合であるがどうしてもプロペン/3−メチルブテ−1−エン−コポリマーが製造されること及びNMR−スペクトルでの相応する信号が雑音の中に没することが推測されるはずである。
【0105】
これに反して、3−メチルブテ−1−エンのホモ重合は成功した。図3は、ポリ−(3−メチルブテ−1−エン)の相応する13C−NMR−スペクトルを示している。この図3中には、[MeC(Cp)(Flu)]ZrCl/MAOを用いて製造されたポリ−(3−メチルブテ−1−エン)の13C−NMR−スペクトルが示されている。数字は、ポリ−(3−メチルブテ−1−エン)(式V)中のどの炭素原子に関連するピークであるかを示している。
【0106】
【化9】

【0107】
ポリ−(3−メチルブテ−1−エン)の信号の関連付けは、出版物(A.Borriello,V. Busico,R.Cipullo,Macromol.Rapid Commun.,1996,17,589-597)及び特許(T.Asabuma ,Y.Tamai,公開特許公報(1991),JP 03200812 A2)に従って行った(この際、この明細書中のスペクトルは著しく単純化されている)。
【0108】
ポリマー中の3−メチルブテ−1−エンの取込みに関する証明は、Pyro−GC−MSを用いて得ることができた。この場合には、ポリマーを高熱分解させ、断片をガスクロマトグラフィで分け、質量分析計を用いて分析する。双方のホモポリマーのそれぞれの特徴ピークから及びコポリマークロマトグラム中のそれらの比から、−ピーク比及び13C−NMR−分析法を用いて測定される、rac−[MeC(Ind)]ZrClを用いて製造されたコポリマーの取込み率を用いて−取込まれたコモノマーの量を逆推論することができる。従って、プロペン/3−メチルブテ−1−エン−コポリマーが得られたが、その取込み率は、評価法ではるかに1%を下回り、むしろX3MB1=0.8で得られたコポリマーに関しては極めて小さい。
【0109】
例1Bb:触媒としてのrac−[MeC(Ind)]ZrClの存在下での
共重合
次の第4表及び第5表中には、触媒としてのrac−[MeC(Ind)]ZrClの存在下での3−メチルブテ−1−エンとプロペンとの共重合の結果が記載されている。
【0110】
第4表:30℃の重合温度の場合の触媒rac−[MeC(Ind)]ZrClを用いる重合結果を濃度系列に関して示している一覧表
【表4】

【0111】
第5表:X3MB1=0.8の場合の触媒rac−[MeC(Ind)]ZrClを用いる重合結果を温度系列に関して示している一覧表
【表5】

【0112】
第4表から知ることができるように、ここでも、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合の増加に伴い、活性は、全体としては触媒[MeC(Cp)(Flu)]ZrClについてのそれよりも高いが、活性の明らかな低下が確認された。X3MB1=0.8の場合の約1100kg/(モル触媒・h・モルモノマー・L−1)のなお比較的高い活性は特別顕著であり、これは、C−対称触媒[MeC(Cp)(Flu)]ZrClに関して認められた活性の約15倍の値に相当している。15〜60℃の検査温度範囲で、重合温度の上昇に伴い上昇する活性を観察することができた。X3MB1=0.8の場合の約500kg/(モル触媒・h・モルモノマー・L−1)の活性を示す15℃から、これは60℃までに約2300kg/(モル触媒・h・モルモノマー・L−1)でほぼ5倍になっていることが判る。この触媒を用いても、15kg/(モル触媒・h・モルモノマー・L−1)の僅かに高い活性ではあるが、3−メチルブテ−1−エンのホモ重合は成功している。
【0113】
バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの全ての割合に対して分子量は10000g/モルを下回っており、従って比較的低い。バッチ中の3−メチルブテ−1−エンのモル分率の増加に伴い、分子量の僅かな低下を確認することができる。GPC又は粘度測定法を用いるポリ(3−メチルブテ−1−エン)の分子量の測定は、種々の溶剤中のこのポリマーの不溶性に基づき、強い加熱の場合にも不可能であった。コポリマー及びポリプロピレンの分子量の測定は前記のようにゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィを用いて行った。
【0114】
融点は、純粋なポリプロピレンの約134℃から、ポリマー中の3−メチルブテ−1−エンの増加性割合に比例して、X3MB1=0.8に関する約89℃まで、45℃だけ低下し、これは同時に分子量の減少にも結びついていた。更にこのコポリマーは、約3.5%のコモノマー取込み率から、融点ピークと並んでガラス転移を示すことには注目すべきことであった。
【0115】
得られたコポリマーのタクチシティは約70〜90%(アイソタクチシティ)の範囲内にある、即ちポリマー中の3−メチルブテ−1−エンの増加性割合に伴いアイソタクチシティは低下する。タクチシティの測定は、ペンタデン(Pentaden)から13C−NMR−スペクトルでのメチル−領域(約19.5〜22.5ppmの範囲)内で行われた。
【0116】
取込み率の測定のためには、差し当たり、13C−NMR−スペクトルからの信号を、DEPT−実験(極性移転による歪みのないエンハンスメント)の考察下に関連付けることが必要であった。取込み率は、ブロペン分のCH−分枝点の信号に比例するイソプロピル基の鎖分枝点の信号を介して測定された。この測定は、ソフトウエアACD SpecView(Version3.50)を用い、手によるピーク−積分を介して行われた。この検査範囲内で約9モル%までのコモノマー取込み率が得られた。種々の重合温度に対して取込まれたコモノマーの種々の割合が認められた。検査範囲内で、ポリマー中のコモノマー割合は8.5〜10モル%で変動した。
【0117】
前記の実施例から、プロペンと3−メチルブテ−1−エンとの共重合が可能であることを知ることができる。C−対称触媒[MeC(Cp)(Flu)]ZrClを用いると、この低い活性を有する触媒を用いる3−メチルブテ−1−エンのホモ重合が可能であるが、ポリマー特性への明白な影響の場合でも、極めて低い取込み率を有するコポリマーのみを製造することができた。
【0118】
ここで、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合の増加に伴いシンジオタクチシティが明らかに低下するが、rac−[MeC(Ind)]ZrClを用いて合成されたポリマーのアイソタクチシティは、90〜70%の範囲内で変動し、この際、アイソタクチシティはバッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合の増加に伴い低下する。この触媒を用いて、明らかに高い取込み率(これは特別融点に強く作用する)を得ることもできた。
【0119】
例2:3−メチルブテ−1−エンとエテンとの共重合
例2a〜2cで、3種の異なる触媒の使用下に実験系列2a〜2cを実施し、この場合に、3−メチルブテ−1−エンの割合を変えた。第6表から、例2a〜2cの反応条件を知ることができる。
【0120】
第6表:エテン/3−メチルブテ−1−エン−共重合の反応条件
【表6】

【0121】
例2a:触媒[MeSi(MeCp)(NtertBu)]TiClを用いる共重合
エテンとの重合系列のために、触媒[MeSi(MeCp)(NtertBu)]TiCl(式IV)を用いた。実験2aを実施した条件は、第6表から知ることができる。式IVによる触媒は、例えばJ.OkudaによるChem.Ber.1990,123,1649中の記載又はF.Amor und J.OkudaによるJ.Organomet.Chem.1996,520,245中の記載又はEP0416815又はUP5026798中の記載と同様に製造することができる。実験系列2aで測定された結果は、次の第7表から知ることができる。
【0122】
第7表:触媒[MeSi(MeCp)(NtertBu)]TiClを用いる重合結果の一覧表
【表7】

【0123】
=ガラス転移温度
PD=多分散性
=数平均分子量。
【0124】
第7表から知ることができるように、この共重合は、触媒活性がバッチ中の3−メチルブテ−1−エン割合に著しく依存することが明らかである。バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合の増加に伴う活性の著しい低下に基づき、3−メチルブテン−1−ホモ重合の実験は不成功であった。
【0125】
選ばれた触媒の3−メチルブテ−1−エンに関する取込み特性は、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合に比較的強く依存している。バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合が低い〜中程度の場合には、殆ど取込みが行われなかった。しかしながら、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンが98モル%である場合には、コポリマー中の3−メチルブテ−1−エン17.3モル%の取込み率を得ることができた。3−メチルブテ−1−エンの取込み率の増加に伴い、融点の低下が確認できた。3−メチルブテ−1−エン約4モル%の取込み率まで、線状の低密度ポリエチレン(LLDPE)が得られた(LLDPEの融点は、通常は約100〜130℃の範囲内にある)。4.2〜4.6モル%の取込み率の場合に、超低密度のポリエチレン(ULDPE)が得られた(ULDPEの融点は、典型的には約90〜100℃の範囲内にある)。17.3モル%のコモノマー取込み率を有するコポリマーは、既に室温で完全に非晶質であった。
【0126】
分子量は、3−メチルブテ−1−エンの取込み率の増加に伴い10だけ低下するので、18モル%の3−メチルブテ−1−エンの含有率を有するコポリマーは既に殆どオリゴマー化合物と称することができる。
【0127】
使用されているこの触媒を用いてエテン/3−メチルブテン−コポリマーを製造することができる。
【0128】
例2b:触媒[PhSi(OctHFlu)(Ind)]ZrClを用いる共重合
エテンとの重合系列のために、触媒[PhSi(OctHFlu)(Ind)]ZrCl(式V)を用いた。第6表から、実験2bを実施した条件を知ることができる。次の第8表から、実験2bで測定された結果を知ることができる。
【0129】
第8表:触媒[PhSi(OctHFlu)(Ind)]ZrClを用いる実験系列2bの共重合結果の一覧表
【表8】

【0130】
=ガラス転移温度。融点の場合の括弧内に記載されている値は、小さい付加的な融点ピークである。
【0131】
PD=多分散性
=数平均分子量。
【0132】
第8表から知ることができるように、この共重合は、バッチ中の3−メチルブテンの割合による触媒活性の強い依存性を示していた。バッチ中の3−メチルブテンの割合の増加に伴う活性の著しい低下に基づき、3−メチルブテン−ホモ重合の実験は不成功であった。
【0133】
選択された触媒の3−メチルブテ−1−エンに関する取込み特性は、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合にかなり強く依存している。バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの低〜中程度の割合の場合には、比較的低い取込みが行われた。バッチ中の3−メチルブテ−1−エン98モル%の場合には、コポリマー中の3−メチルブテ−1−エン19.0モル%の取込み率を達することができた。
【0134】
3−メチルブテンの取込み率の増加に伴い、融点の低下を確認することができた。分子量は、3−メチルブテ−1−エンの取込み率の増加に伴い10だけ低下した。一般に、例2bによる実験で、例2aにおけるよりも大きい分子量を有するコポリマーが得られている。使用されているこの触媒を用いて、エテン/3−メチルブテン−コポリマーを製造できることを示すことができた。
【0135】
例2c:触媒rac−[MeC(Ind)]ZrClを用いる共重合
エテンとの重合系列のために、触媒rac−[MeC(Ind)]ZrCl(式III)を使用した。実験2cを実施することのできた条件は、第6表から知ることができる。実験系列2cに関して測定された結果は、次の第9表から知ることができる。
【0136】
第9表:触媒rac−[MeC(Ind)]ZrClを用いる実験系列2cでの重合結果の一覧表
【表9】

【0137】
=ガラス転移温度。融点の場合の括弧内に記載されている値は、小さい付加的な融点ピークである。
【0138】
PD=多分散性
=数平均分子量。
【0139】
第9表から知ることができるようにこの実験でも、共重合が、バッチ中の3−メチルブテン割合による触媒活性の強い依存性を示した。
【0140】
選択触媒の3−メチルブテ−1−エンに関する取込み特性は、バッチ中の3−メチルブテ−1−エンの割合に比較的強く依存している。例2a及び2bによる実験とは反対に、実験系列2cでは、3−メチルブテ−1−エンの二桁%割合の取込み率が既にバッチ中の80モル%の割合の場合に達成されることが明らかである。バッチ中の3−メチルブテ−1−エン98モル%では、36.8%の取込み率さえも達成された。
【0141】
例2a及び2bとは対照的に、例2cで得られたコポリマーの分子量は、比較的僅かな帯域幅内で変動した。
【0142】
得られたコポリマーの多分散性は約2である。これに反して、チーグラーナッタ−触媒の場合に得られたコポリマーは、多分散性に関して明らかに高い値を有する。多分散性の測定のために必要な値M(数平均分子量)及びM(重量平均分子量)は、GPCを用いて測定された。
【0143】
低い多分散性は、狭い分子量分布と同意義である。従って、本発明による方法を用いて、狭い分子量分布を有するコポリマーが得られている。特に、本発明によるエテン−コポリマーは、1.2〜2.8、好ましくは1.6〜2の多分散性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーとしてのエテン及び/又はプロペン及びコモノマーとしての3−メチルブテ−1−エンをベースとし、コポリマー中の3−メチルブテ−1−エンの割合が0.1〜40モル%であるコポリマーを製造する方法において、
共重合を、式(Cp)(Y)M(X)
【化1】

[式中、Cpは、置換又は非置換のシクロペンタジエニル−、インデニル−、テトラヒドロインデニル−、オクタヒドロフルオレニル−及びフルオレニル−基から選択されるシクロペンタジエニル−タイプの基であり、
Yは、置換又は非置換のシクロペンタジエニル−、インデニル−、テトラヒドロインデニル−、オクタヒドロフルオレニル−及びフルオレニル−基から選択されるシクロペンタジエニル−タイプの基又は窒素、燐、酸素又は硫黄及び20個までの水素ではない原子を含有しているアニオンリガンド基であり、この際、CpとYとは共有結合していてよいか又は1個の基Zを介して相互に結合していてよい、
Mは、元素周期律表のスカンジウムを除く第3〜10族の又はランタノイドの金属であり、
Xは相互に無関係に、ハロゲン原子、偽ハロゲン、水素原子、シリル基、ホスフィド、スルフィド又は有機基であり、かつ
mは、Mの原子価標をXで飽和するために充分である数である]の触媒及び助触媒としてのアルミニウム又はホウ素を有する化合物の存在下に実施することを特徴とする、コポリマーの製造法(但し、この方法がモノマーとしてのエテン及び3−メチルブテ−1−エンをベースとするコポリマーの製造法であり、かつ30℃の温度で実施される場合には、式Iの化合物として「MeC(3−MeCp)(Flu)]ZrCl又は[MeSi(Ind)(Flu)]ZrClを使用しない)。
【請求項2】
共重合を、式Z(Cp)(Y)M(X)
【化2】

[式中、Cp、Y、M、X及びmは式I中に記載と同じものを表し、Zはホウ素又は元素周期律表の第14族の元素を有し、20個までの水素ではない原子を有している基である]の触媒Iaの存在下に実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式中のZはCR−又はSiR−基(ここで、R及びRは同一又は異なる、水素又は芳香族又は脂肪族基である)を表す、触媒を使用することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アルミニウム基を有する化合物として、メチルアルモキサン(MAO)を使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
共重合を、式Iによる触媒の金属と助触媒のアルミニウム又はホウ素とのモル比1:0.1〜1:100000で実施することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
共重合を、モノマーと式Iの触媒とのモル比1×1010:1〜100:1で実施することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
共重合を、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンから選択される溶剤中で実施することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
共重合を、−30℃〜250℃、好ましくは50〜80℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
共重合を、0.1〜1MPaの圧力で実施することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
3−メチルブテ−1−エン及びエテン及びプロペンのモノマーの合計に対する反応混合物中の3−メチルブテ−1−エンモノマーのモル割合は、少なくとも20%であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
割合は40〜80%であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式Iの触媒として、式中のCp及びYは同じ又は異なるもので、シクロペンタジエニル−、インデニル−及びフルオレニル−基から選択される基であり、Zは炭化水素基であり、Mは元素周期律系の第4族の金属であり、Xはハロゲンであり、mは2である、触媒を使用することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
式Iの触媒として、式II又はIII:
【化3】

の触媒を使用することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
プロペンと3−メチルブテ−1−エンとを共重合させることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
式Iの触媒として、式中のCpは1〜4個のメチル基で置換されたシクロペンタジエニル−基であり、Yは窒素を有する基であり、Zは珪素を有する基であり、Mは元素周期律表の第4族の金属であり、Xはハロゲンであり、mは2である、触媒を使用することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
式Iの触媒として、式IV:
【化4】

の触媒を使用することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
エテンと3−メチルブテ−1−エンとを共重合させることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
a)イソブテンをヒドロホルミル化して3−メチルブタナールにする工程、
b)3−メチルブタナールを水素化して3−メチルブタノールにする工程及び
c)3−メチルブタノールから水を分離する工程
によって得られる3−メチルブテ−1−エンを使用する、この際、工程c)から得られる3−メチルブテ−1−エンを、化学的精製工程を実施せずに直接使用することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
コモノマーとして3−メチルブテ−1−エンを含有しているコポリマーであって、更なるモノマーとしてエテン又はプロペンを含有しており、取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合は0.1〜40モル%であり、かつこのコモノマーは、室温を下回る温度〜130℃の融点を有していることを特徴とする、コポリマー。
【請求項20】
コポリマーは、2500〜2200000g/モルの分子量Mを有していることを特徴とする、請求項19に記載のコポリマー。
【請求項21】
コポリマーは、80〜125℃の融点を有していることを特徴とする、請求項19又は20に記載のコポリマー。
【請求項22】
モノマーとしてプロペンを含有しており、取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合は1〜10モル%であり、かつ90〜125℃の融点を有していることを特徴とする、請求項19から21までのいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項23】
モノマーとしてエテンを含有しており、取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合は0.5〜6モル%であり、105〜130℃の融点を有していることを特徴とする、請求項19から21までのいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項24】
モノマーとしてエテンを含有しており、取込まれた3−メチルブテ−1−エンの割合は3〜6モル%であり、105〜115℃の融点を有していることを特徴とする、請求項19から21までのいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項25】
コポリマーは、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法で得られていることを特徴とする、請求項19から23までのいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項26】
式VI:
【化5】

[式中、TはC又はSiであり、R及びRは同じ又は異なるもので、H、炭素原子数1〜20を有する炭化水素基であり、Xはそれぞれ無関係に、ハロゲン原子、偽ハロゲン、水素原子、シリル基、ホスフィド、スルフィド又は有機基、例えばアルキル−、アリール−、アミド−、アリールオキシ−、アルコキシ−、アセチル−又はアセチルアセトナート−基であり、Mは、元素周期律表の、スカンジウムを除く第3〜第10族の又はランタノイドの金属である]の触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−542874(P2009−542874A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518805(P2009−518805)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054580
【国際公開番号】WO2008/006636
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(398054432)エボニック オクセノ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (63)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Oxeno GmbH
【住所又は居所原語表記】Paul−Baumann−Strasse 1, D−45764 Marl, Germany
【Fターム(参考)】