説明

3−(アミノ)−3−(シクロブチルメチル)−2−(ヒドロキシ)−プロピオンアミド塩酸塩の調製

開示されているのは、HCVプロテアーゼインヒビター(1R,5S)−N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[2(S)−[[[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2(S)−カルボキサミドの調製において有用な中間体である3−(アミノ)−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド塩酸塩の調製方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HCVプロテアーゼインヒビター(1R,5S)−N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[2(S)−[[[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2(S)−カルボキサミドの調製において有用な中間体である3−(アミノ)−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド塩酸塩の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、非A非B型肝炎における主な原因物質として推論されている(+)有意な一本鎖RNAウイルスである。ポリペプチドプロセッシングおよびウイルス複製のため必要なHCVプロテアーゼが特定されている。特許文献1は、HCVプロテアーゼインヒビターの一種類を開示し、それには(1R,5S)−N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[2(S)−[[[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]−カルボニル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2(S)−カルボキサミドが含まれ、構造式:
【0003】
【化1】

を有している。
【0004】
2005年3月17日公開の特許文献2、および2007年12月20日出願の米国仮特許出願第60/876,447号は、それぞれ式IIの化合物の調製方法を開示しており、それぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。さらに、2006年11月13日出願の特許文献3は、式IIの化合物を調製するための酸化方法を開示している。式IIの化合物のジアステレオマーの調製方法は、2005年11月10日出願の特許文献4中に開示されている。
【0005】
2005年1月27日出願の特許文献5は、(ジフェニルメチレン)グリシンエチルエステルからの3−(アミノ)−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド塩酸塩の調製方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,012,066号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0059800号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0149459号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0249702号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0020689号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、式IIの化合物は、スキームIの方法に従って調製され、
【0008】
【化2】

ここで、式IIIの化合物が、式Iの化合物の塩(I−塩)にカップリングされる。スキームIを参照すると、必要とされるものは、式Iの中間化合物を提供する改良された方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、3−(アミノ)−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド塩酸塩、すなわち下記の式Iの中間化合物(全てのジアステレオマーを表す)の調製方法であって、
【0010】
【化3】

(A)ニトロアルカン(E)をグリオキシル酸とカップリングさせて、ニトロ−ヒドロキシ酸(F)を得るステップであり:
【0011】
【化4】

ここで(E)が、
(1)シクロブタンメタノール(A)を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離基により酸化して、シクロブタンカルボキシアルデヒド(B)を得るステップと、
【0012】
【化5】

(2)このアルデヒド(B)をニトロメタンとカップリングさせて、ニトロ−アルコール(C)を得るステップと、
【0013】
【化6】

(3)化合物「C」を化合物「E」に変換するステップであり、このステップは、
(a)第1の方法であって、この第1の方法は、
(i)ニトロ−アルコール(C)を無水酢酸と反応させて化合物(CC)および(D)の混合物を得る工程と、
【0014】
【化7】

(ii)工程(a)(i)で得られた(CC)および(D)の混合物を、ニトロアルカン(E)に変換する工程であって、この工程は:
【0015】
【化8】

I)この混合物の水素化、もしくは
II)この混合物の、PEG−400の存在下における水素化ホウ素ナトリウムによる還元、もしくは
III)この混合物の、アルコールの存在下における水素化ホウ素ナトリウムによる還元
から選択される方法による、工程と
を含む第1の方法によってか、または
(b)第2の方法であって、この第2の方法は、
(i)ニトロ−アルコール(C)をCHSOClおよびトリエチルアミンと反応させて化合物(D)を得る工程と、
【0016】
【化9】

(ii)第2の方法の工程(b)(i)で得られた(D)を還元し、それによりニトロアルカン(E)をもたらす工程と
を含む第2の方法による、ステップと
を含む方法によって調製される、ステップ;
(B)ステップ「A」により提供される化合物(F)を水素化して、アミノ−ヒドロキシ酸(FA)をもたらすステップ;
【0017】
【化10】

3)(FA)をp−トルエンスルホン酸と共に還流させ、エステル化して(FF)を得るステップ;
【0018】
【化11】

4)このエステルをアミドに変換し、かつ(FF)のアミノ基を保護して(G)(式中、Protは保護基である)を得るステップ;
【0019】
【化12】

ならびに
5)(G)を、HClのアルコール溶液中で加熱するステップ
を含む方法を含む。
【0020】
他の実施形態において、式Fの化合物の分離された鏡像異性体対を含むラセミ体析出物は、式(E)の単離された化合物を、グリオキシル酸およびトリエチルアミンと反応させ、続いてベンジルアミンと反応させて、式F’−BAの鏡像異性体対のベンジルアミン塩を形成するステップ、すなわちF’鏡像異性体対として下記に示した、式Fの化合物のRSおよびSRジアステレオマー(これらは鏡像異性体である):
【0021】
【化13】

のベンジルアミン塩を形成するステップにより調製される。
【0022】
この実施形態において、式F’−BAの化合物の鏡像異性体対のベンジルアミン塩は、式Fの化合物の全てのジアステレオマーを含む溶液から析出することが好ましい。いくつかの実施形態において、式Fの化合物のラセミ混合物について、全てのジアステレオマーの平衡溶液中に存在するSSおよびRR異性体の量を超えるSRおよびRS形態の塩の量を析出させるのに十分な量のベンジルアミンを用いることが好ましく、またSSおよびRR形態で混合物中に存在するジアステレオマーが、その場所でSRまたはRS形態に相互変換され、その後ベンジルアミン塩(F’−BA)として選択的に析出される(動的析出)条件下においてSRおよびRS異性体の析出が行われることが好ましい。
【0023】
【化14】

式(F’−BA)の析出物を含む鏡像異性体対を酸性化し、還元して対応するアミン(F’A)とし、次いでエステル化して鏡像異性体対(F’F)をもたらし、これを対応するHCl塩、すなわち化合物(F’F−HCl)に変換する。
【0024】
【化15】

その後、析出した鏡像異性体対(F’F HCl)のエステル官能基を対応するアミドに変換して、アミノ−ヒドロキシ−アミド中間体をもたらし、得られたアミノ−ヒドロキシ−アミドのアミノ官能基の窒素原子を保護して、式(G’)の鏡像異性体対を得る。
【0025】
【化16】

式(G’)の鏡像異性体対であるラセミ混合物は、アルコール性HCl溶液中で加熱されて、アミノ官能基を脱保護し、式IAの鏡像異性体対、すなわち下記の構造を有する鏡像異性体化合物をもたらし
【0026】
【化17】

これを、本明細書において便宜上下記のように表すことがある:
【0027】
【化18】

(式中+/−記号は、RSおよびSR鏡像異性体の両方を含むラセミ化合物を示す)。
【0028】
式IAの化合物は、式IIの化合物の調製における有用な中間体である。
【0029】
【化19】

本発明の他の態様において、ベンジルアミンの代わりにジシクロヘキシルアミン(DCHA)を用いた、式F”の鏡像異性体対のDCHA塩を含む析出物を提供しており、これは構造:
【0030】
【化20】

を有する。
【0031】
したがって、本発明の他の態様は、式F”の鏡像異性体対を含むラセミ体析出物を提供することである。
【0032】
式F”の鏡像異性体も、式Iの化合物のRRおよびSS形態を含む鏡像異性体対を調製する上述の方法において使用することができる。式F’の鏡像異性体対と同様に、式F”の鏡像異性体対も、便宜上:
【0033】
【化21】

と表すことがあり、式中+/−記号はラセミ化合物を示し、すなわち析出物は、式Iの化合物のSSおよびRR異性体の両方を等量含む。したがって、分離すると直ぐに、化合物(F”−DCHA)(式F”の化合物のDCHAによる処理により調製される)を酸性化し、還元してアミン(F”A)とし、次いでエステル化し、かつエステル(F”F)のHCl塩に変換する。
【0034】
【化22】

(F”F HCl)をアミドに変換し、アミノ基を保護して、(G”)を得る。
【0035】
【化23】

いくつかの実施形態において、異性体対(G”)を、アルコール性HCl溶液中で加熱し、アミノ基を脱保護して、式IBのジアステレオマー、すなわち下記の構造を有する化合物をもたらすことが好ましく
【0036】
【化24】

これも、式IIの化合物をもたらすのに使用することができる。
【0037】
【化25】

一態様において、本発明は、下記の構造を有する化合物、およびこれらの化合物それぞれの調製方法である:
【0038】
【化26】

【0039】
【化27】

【発明を実施するための形態】
【0040】
一態様において、本発明の方法は、ニトロアルカン(E)の調製から出発し、以下のスキーム1において図式的に示される反応を用いている。
【0041】
【化28】

他の態様において、本発明の方法は、ニトロアルカン(E)の調製から出発し、以下のスキーム2において図式的に示される反応を用いている。
【0042】
【化29】

上記に示した「課題を解決するための手段」(Summary of the Invention)においてまた反応スキームにおいて、括弧は、次のステップに続くまでに、中間体が単離されないことを示している。中間体化合物は単離することができるが、いくつかの実施形態において、それぞれのステップで生成物を単離しないことが好ましいことが理解されるであろう。
【0043】
その全体が本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2005/0020689号は、(ジフェニルメチレン)−グリシンエチルエステルから3−(アミノ)−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド塩酸塩を調製するさらなる方法を開示している。さらに、式IIの化合物を調製するための1種または複数の式Iの中間化合物の使用手順が、米国特許第7,012,066号中に開示されている。それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれている??に公開された米国特許出願公開第2005/0059800号および??に公開された米国特許出願公開第2005/0249702号、ならびに2007年6月8日出願の米国特許出願第11/792,770号および2006年11月13日出願の第11/598,528号中に開示されているのは、式Iの中間体からの式IIの化合物のさらなる調製手順である。
【0044】
下記の略語が、以下の記述および実施例において使用されている:TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離基);RT(室温);TEA(トリエチルアミン)、DMAP(N,N−ジメチルアミノピリジン);EtOAc(酢酸エチル);IPA(イソプロピルアルコール);Ac(アセチル);Et(エチル);THF(テトラヒドロフラン);eq(1または複数当量);MTBE(tert−ブチルメチルエーテル);Boc(t−ブトキシカルボニル)。記号(±)は、少なくとも1つのキラル中心を有する構造の前に挿入されて、構造的にその鏡像異性体と共に提供される化合物が、ラセミ混合物として存在し、したがって等量のそれぞれの鏡像異性体が存在することを示している。
【0045】
シクロブタンカルボキシアルデヒド、すなわち式(B)の化合物は、酸化により、好ましくは知られているTEMPO酸化の手順を使用するステップにより、市販のシクロブタンメタノール(A)から調製される。TEMPO反応は、CHCl、EtOAc、トルエンまたはMTBEなどの溶媒、好ましくはCHCl(約5〜15倍の体積、好ましくは約10倍)中で行われ、それにKBr(水中約20〜30%、好ましくは約24%)およびNaHCO(好ましくは飽和水溶液)が添加される。約0.005〜0.2eq、好ましくは約0.02eqのTEMPO試薬を添加し、混合物を約−10〜10℃、好ましくは約−5〜0℃まで冷却し、続いて1〜1.3eq、好ましくは約1.15eqの次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)を添加する。反応後、KHPOまたはNaを添加し(約0.2〜0.4eq、好ましくは約0.25eq)、生成物を回収する。
【0046】
式(B)の化合物は、TEAの存在下でニトロメタンによるヘンリーカップリング(Henry coupling)によって、対応するニトロアルコール(C)に変換される。TEA(約0.1〜1eq、好ましくは約0.3eq)は、トルエン、CHCl、CHOH、エタノール、THF、2−メチル−THF、エチレングリコールジメチルエーテル、MTBE、EtOAc、CHCN、酢酸イソプロピル、またはそれらの混合物などの溶媒、好ましくはトルエン中の1〜5eq、好ましくは1.2eqのニトロメタンに添加される。TEAを添加し、混合物を撹拌する。添加中の温度を約0℃〜約40℃、好ましくは約15℃〜約25℃に保持し、また撹拌中は温度を、約0℃〜約40℃の温度、好ましくは約20℃〜約25℃の温度に保持する。生成物は、次のステップで直接使用されるのが好ましい。
【0047】
こうして調製されて、式(C)の化合物は、触媒量のDMAPの存在下で無水酢酸と反応させるステップにより、式(CC)および(D)の化合物の1:1混合物に変換される。触媒量のDMAPを、式(C)の化合物を含有する溶液に添加し、また約1〜2eq、好ましくは約1.35eqの無水酢酸を添加する。添加中の温度を約0℃〜約40℃、好ましくは約15℃に保持し、また撹拌中は温度を、約0℃〜約40℃、好ましくは約15℃〜約20℃の温度に保持する。生成物は、次のステップで直接使用されるのが好ましい。
【0048】
上記において調製した式(CC)および(D)の化合物を含有する溶液は、次の3種の異なった手順のうちの1つを使用して、対応する式(E)のニトロ−アルカン化合物に変換される:方法I−水素化触媒の存在下における水素による、式CCおよびDの化合物を含む溶液の水素化;方法II−PEG−400(登録商標)の存在下におけるNaBHを使用した、式CCおよびDの化合物の還元;ならびに方法III−t−ブタノールの存在下におけるNaBHを使用した、式CCおよびDの化合物の還元。得られた、式(E)の化合物を含む粗製溶液は、場合によって式(F)の化合物への変換を行う前の蒸留ステップを伴って、次のステップにおいて式(F)の化合物を調製するために使用することができる。
【0049】
式(CC)および(D)の化合物を変換するために方法Iを用いる場合、式(CC)および(D)の化合物を含む溶液に、溶媒,例えばCHOH、塩基,例えばトリエチルアミン(TEA)(約0.1〜1eq、好ましくは約0.6eq)、および触媒量の水素化触媒、例えば8族金属触媒、例えば、活性炭上の任意の形態のPd、およびRu、好ましくはPd/C、またより好ましくは5%Pd/C、すなわちDegussa(登録商標)社からのE101R(登録商標)が添加される。いくつかの実施形態において、約1〜100psiの範囲にある水素圧力を用いるのが好ましく、より好ましくは約5psiの水素圧力が好ましい。いくつかの実施形態において、約(−10)℃〜約(+20)℃の温度、好ましくは約0℃の温度で水素化反応を行って式(E)の化合物を得ることが好ましい。
【0050】
式(CC)および(D)の化合物を変換するために方法IIを用いる場合、式(CC)および(D)の化合物を含む溶液に、存在する出発物質の重量グラム数に対して2倍までの範囲における溶媒体積mL数のポリエチレングリコール(PEG)類似体、好ましくはPEG−400を投入する。換言すると、例えば100gの式Bの化合物を用いる場合、200mLまでのPEG400を使用する。出発物質のグラム数の1倍のmLにおける体積を用いるのが好ましい。1−4eqの範囲における、好ましくは2eqの固体NaBHを添加する。この添加は、約(−10)℃〜約(+40)℃の温度範囲で、好ましくは約(+5)℃〜約(+20)℃の温度で行われる。別法として方法IIは、(CC)および(D)の溶液を、約0℃〜約40℃、好ましくは約10℃〜約20℃の温度で溶媒、例えばトルエン中の約1−4eq、好ましくは2.5eqのNaBHのスラリーに添加するステップによって行うことができる。
【0051】
式(CC)および(D)の化合物を式(E)の化合物に変換するために方法IIIを用いる場合、式(CC)および(D)の化合物を含む溶液に、アルコール、例えばt−ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール(EtOH)およびメタノール(CHOH)を投入する。いくつかの実施形態において、使用している出発物質のグラムでの重量の3倍までのmLでの体積、好ましくは使用している出発物質のグラムでの重量の約1.89倍のmLでの体積の量におけるt−ブタノールを用いることが好ましい。例えば、100gの式Bの化合物を用いる場合、300mLまでのt−ブタノールが用いられる。いくつかの実施形態において、式(CC)および(D)の化合物のアルコール溶液を、約0〜40℃、好ましくは約15〜25℃の温度範囲で溶媒、例えばトルエン中において約1〜約4当量、好ましくは約1.5当量の固体NaBHを含むスラリーに添加することが好ましい。
【0052】
式(F)の化合物を得るため、トルエン中の式(E)の化合物の溶液に、メタノール((E)の重量に対して約1〜5倍、好ましくは約3倍)を添加する。反応混合物の温度を約0℃〜約40℃に、好ましくは約0℃〜約20℃の温度に保持しながら、約1〜3eq、好ましくは約2eqのグリオキシル酸(水中50%)またはグリオキシル酸一水和物を添加する。存在する式(E)の化合物の量に対して約1当量〜約4当量、好ましくは約2.7当量を提供する量におけるトリエチルアミン(TEA)を添加し、温度を約0℃〜約50℃に、好ましくは約25℃〜約35℃に保持しながら、混合物を撹拌する。こうして調製した式(F)の化合物を、塩基で次いで酸で抽出した後、有機溶媒中の溶液として回収する。いくつかの実施形態において、式(F)の化合物を含む溶液は、さらに精製せずに次のステップで用いるのが好ましい。
【0053】
式(F)の化合物は、その前のステップで得られた式(F)の溶液を、アルコール例えばメタノール、および触媒量の、好ましくは使用した式(F)の化合物量に対して約0.05eq〜約0.4eq、より好ましくは使用した式(F)の化合物量に対して約0.2eqの水素化触媒、例えば任意の形態の活性炭上のPd金属およびRuに添加するステップにより、式(FA)の化合物に変換される。いくつかの実施形態において、木炭上のパラジウム(Pd/C)、より好ましくは10%乾燥Pd/Cを使用し、かつ約20℃〜約100℃の温度、好ましくは約60℃の温度において水素圧力下で水素化反応を行うことが好ましい。水素化反応が完結した後で、こうして調製した式(FA)の化合物は、それをp−トルエンスルホン酸一水和物(好ましくは存在する式(FA)の化合物量に対して約1〜1.3eq、またより好ましくは約1.2eq)と反応させるステップによりp−トルエンスルホン酸塩に(または、別法として、適正な酸試薬の使用によりHClまたは酢酸塩に)変換され、またこの塩を、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、および炭素原子10個まで有する他のアルコールと共に還流させるステップにより、対応するエステル、例えば、スキーム1中に存在する工程で例示されるようにメタノールからメチルエステル、すなわち式(FF)の化合物に変換される。このステップでこうして得られたエステルは、好ましくはEtOAc、2−メチル−テトラヒドロフランおよびMTBEにより反応溶液から析出させた後、固体として回収することが好ましい。
【0054】
スキーム1において示したように、式(FF)の化合物は、メタノール中に溶解した約30当量までのアンモニアを含む冷(好ましくは5℃未満)溶液に、式(FF)の固体化合物を添加し、次いで場合によって約5当量まで(使用した式(FF)の化合物量に対して)の水酸化アンモニウムを、好ましくは、水酸化アンモニウムを添加する場合、約2.5当量の水酸化アンモニウムを添加し、その混合物を約(−5)℃〜約70℃の温度、好ましくは約(0)℃〜約(−5)℃の温度に保持しながら撹拌するステップにより、このエステルから、対応する式(G)のアミドに変換される。アミノ化反応が完結した後、この溶液を濃縮し、水およびアルコール、好ましくはメタノールに再溶解する。次いで、この溶液を塩基、例えばKCOで処理するステップにより、式(G)の化合物中のアミノ基を保護する。KCOを使用するいくつかの実施形態において、約0.5当量のKCO〜約2当量のKCO、好ましくは約0.67当量のKCOを使用し、次いで(Boc)O(好ましくは約1eq〜約3eq、より好ましくは約1.4eq)を添加するのが好ましい。KCOを使用するいくつかの実施形態において、混合物の温度を約(0)℃〜約(40)℃の温度に、より好ましくは約(15)℃〜約(25)℃の温度に保持することが好ましい。当技術分野で知られている方法を用いることによって、Bocの代わりに他の酸活性な保護基を使用し、アミノ官能基を保護することができる点が理解されるであろう。上述のように、式(G)のアミド化合物は、2つの鏡像異性体のラセミ混合物である。
【0055】
いくつかの実施形態において、こうして得られた式(G)の保護されたアミド化合物は、HClのアルコール溶液中の式(G)の化合物の溶液を加熱するステップによって、塩の形態における式Iの化合物(スキーム1におけるH−化合物)に変換される。いくつかの実施形態において、HClイソプロパノール溶液を使用して、式(G)の化合物を脱保護するのが好ましい。
【0056】
スキーム1を用いるいくつかの実施形態において、スキーム1Aのそれぞれのステップにおいて示される方法論を用いて種々のステップを実行することが好ましく、それぞれの方法論は上記において詳細に個別に考察されているものである。
【0057】
【化30】

上記においてスキーム2で提示したように、式(G)の化合物を調製する本方法を用いる場合、式(E)の化合物への式(C)の化合物の変換は、下記の反応スキームを使用して実行することが好ましい:
【0058】
【化31】

したがって、上記において示したように調製した式(C)の化合物を含む溶液を、溶媒、例えばトルエンで希釈する(約3〜5倍、好ましくは約4倍)。この反応混合物に、存在する式(C)の化合物量に対して約0.9当量〜存在する式(C)の化合物量に対して約2当量、好ましくは1.2当量の塩化メタンスルホニル(MsCl、CHSOCl)をゆっくり添加して、穏やかな発熱反応が起っている間、反応混合物の温度をそのまま保持する。反応混合物を約(−25)℃未満の温度に保持しながら、好ましくは約1当量〜約3当量、より好ましくは約2.2当量のトリエチルアミン(TEA)をゆっくり添加する。TEA添加に続いて、混合物を約(−78)℃〜約(0)℃の温度に保持しながら、好ましくは混合物の温度を約(−30)℃〜約(−25)℃に保持しながら混合物を撹拌する。いくつかの実施形態において、こうして調製した式(D)の化合物を、トルエン溶液の形で回収するのが好ましく、この溶液は調製したままで次のステップ、すなわち式(E)の化合物の調製において用いることができる。
【0059】
式(E)の化合物は、触媒量の水素化触媒、例えば活性炭上のPdまたはRuの形態のものを式(D)の化合物を含む溶液に添加し、この混合物を水素化するステップにより調製することができる。いくつかの実施形態において、水素化触媒として、Pd/C、より好ましくは10%乾燥Pd/Cを使用し、約0℃〜約40℃の温度で、より好ましくは約25℃の温度で水素化反応を行うことが好ましい。水素化後、反応混合物をクーゲルローア蒸留(Kugelrhor distillation)により精製して純粋な(E)が得られる。この反応ステップのいくつかの実施形態において、式(D)の化合物を含む溶液は、アルコール、好ましくはイソプロパノール(IPA)で、好ましくは約2倍〜5倍に等しいIPA、より好ましくは約3倍のIPAの量と、上述した触媒量の水素化触媒とで希釈することが好ましい。いくつかの実施形態において、水素化触媒として、10%Pd/C、例えば、Degussa社からのE101Rを使用し、かつ約0℃〜約40℃の温度で水素化反応を行うことが好ましく、約25℃の温度で水素化することがより好ましい。いくつかの実施形態において、得られた(E)の溶液を、さらに精製せずにその後のステップで用いることが好ましい。
【0060】
上記において提示したスキーム2を参照すると、いくつかの実施形態において、スキーム2Aのそれぞれのステップにおいて示される方法論を用いて、提示された種々のステップを実行することが好ましく、それぞれの方法論は上記において詳細に個別に考察されているものである。
【0061】
【化32】

本発明者らは驚くべきことに、式(F)の化合物を形成する際、上記において提示したスキーム1またはスキーム2のいずれかに関連したニトロヒドロキシ酸段階の合成において、上述したように、鏡像異性体対化合物の混合物、すなわち式F”およびF’の化合物の混合物である混合物を、ジシクロヘキシルアミン(DCHA)またはベンジルアミン(BnNH)のいずれかで処理して、所望の鏡像異性体を析出させるステップにより、ジアステレオマーを鏡像異性体対として有効に分離することが達成し得ることを見出している。
【0062】
【化33】

驚くべきことに、本発明者らは、析出させかつ濾過して析出物を回収する前に、この溶液を選択されたアミンと共に撹拌する時間量を変動させることにより、析出される主要ジアステレオマー対副生ジアステレオマーの比率を変動させ得ることを見出している。その上、本発明者らは驚くべきことに、ジアステレオマー富化された形態の式F’またはF”いずれかのニトロ−ヒドロキシ酸化合物によって式Iの化合物を得るためのスキーム1または2のいずれかにおいて提示される反応シーケンスを実行すると、分離された生成物中に存在する副生異性体量のさらなる減少がもたらされることを見出している。したがって、例えばベンジルアミン塩として異性体のF’鏡像異性体対を析出させると、典型的に、析出物中に存在するF’鏡像異性体対の異性体対F”鏡像異性体対の異性体の比率として約20:1〜約13:1をもたらす。混合物における主要ジアステレオマーとしてF’鏡像異性体対を含有する、かつその混合物中に存在する副生ジアステレオマーとしてF”鏡像異性体対を含有するヒドロキシ酸溶液を還元すると、還元された化合物が、対応するF’F−HCl化合物にその後変換されることによって、鏡像異性体対のF”F異性体は、F’F−HCl生成物中に約1%未満のレベルで存在するという結果になる。
【0063】
本発明者らは驚くべきことに、ベンジルアミン塩を析出させると、全てのジアステレオマーの平衡溶液中に存在するSSおよびRR異性体の量を超えるSRおよびRS塩形態の式F’のニトロ−ヒドロキシ酸化合物の量をもたらすことができることを見出している。したがって、ジアステレオマーの混合物から析出させることができるSRおよびRS異性体の量は、平衡混合物中に存在する量を超える可能性がある。理論に束縛されることを望まないが、混合物中に存在するSSおよびRRジアステレオマーが、平衡化によりその場でSRまたはRS形態に相互変換され、次いでベンジルアミンの存在下でSRおよびRS形態として選択的に析出され(動的析出)、したがって析出されるこの鏡像異性体対の量における増加をもたらすものと考えられる。
【0064】
【化34】

本発明者らは、ジシクロヘキシルアミン塩について同様な結果を見出しており、この場合F”鏡像異性体対のジアステレオマーがDCHA塩として選択的に析出され、典型的には、約1:9〜約1:14の副生:主要の比率の鏡像異性体対のジアステレオマーが析出される。理論に束縛されることを望まないが、撹拌時間を長くしかつ/または多重に析出させると、本明細書において示した原理に従って主要鏡像異性体対のジアステレオマーを指向し選択された、非常に高くジアステレオマー富化された析出物として主要鏡像異性体対のジアステレオマーをもたらすものと考えられる。したがって、ジアステレオマー的に富化された鏡像異性体対の析出を伴う前述した合成ステップを実行すると、式IAの鏡像異性体対
【0065】
【化35】

または式IBの鏡像異性体対
【0066】
【化36】

を、高度のジアステレオマー的過剰性のもとに選択的に調製することができる。したがって、ニトロ−ヒドロキシ酸の鏡像異性体対ジアステレオマー、すなわち式F(F’またはF”のいずれか)の化合物を分離するステップにより、高度のジアステレオ選択性を有する上述した反応スキームによって式Iの化合物を調製することができる。ニトロ−ヒドロキシ酸の鏡像異性体対のジアステレオマー(F’−BAまたはF”−BA)を調製するには、式(E)の精製された化合物を、溶媒、例えばトルエンおよびIPAの混合物中において、グリオキシル酸(存在する式(E)の化合物量に対して約0.95〜1.25eq、好ましくは約1.0eq)およびTEA(約1〜2eq、好ましくは約1.5eq)と反応させる。いくつかの実施形態において、TEAを添加する間、反応混合物の温度を約0℃〜約40℃の範囲に、好ましくは約25℃の温度に保持することが好ましい。TEA添加後、混合物を撹拌する。いくつかの実施形態において、混合物を約0℃〜約40℃の温度に、好ましくは約20℃〜約30℃の温度に保持しながら、この混合物を撹拌することが好ましい。ベンジルアミン(約1〜2eq、好ましくは約1.5eq)を添加し、その塩の選択的析出により(F’−BA)の異性体の1:13混合物がもたらされる。
【0067】
別法として、溶媒、例えば、トルエンとアルコール例えばメタノール、エタノールおよびイソプロパノールとの混合物中の式(E)の化合物の粗製溶液に、グリオキシル酸(水中50%、約1〜2eq、好ましくは1.5eq)を投入し、またTEAを添加する(約1.5〜2eq、好ましくは約2eq)。約0℃〜約40℃の温度範囲、好ましくは約20℃で撹拌した後、溶媒を濃縮し、混合物を溶媒、例えばメチル第三級ブチルエーテル(MTBE)に再溶解する。希HClを添加し、混合物を抽出し、トルエンなどの溶媒に再溶解する。TEA(約1〜2eq、好ましくは約1.5eq)を添加し、続いてベンジルアミン(約1〜2.5eq、好ましくは約2eq)を添加する。その塩の析出により(F’−BA)の異性体の1:16混合物がもたらされる。
【0068】
本明細書から理解されるように、選択されたアミンについて、実行される撹拌時間量および析出回数を変化させるステップによって、他の異性体比率を得ることができる。
【0069】
HClの希釈水溶液で(F’−BA)を酸性化し、この遊離アミノ酸化合物を有機溶媒、例えばMTBE中に抽出する。溶媒を放散させ、その残渣を、アルコール例えばメタノール、エタノールおよびイソプロパノール中に再溶解し、式(F’−BA)の化合物をPd/C、好ましくは10%Pd/C(湿分50%)により水素化するステップによって還元して、鏡像異性体対(F’A)を得る。(F’A)をメタノール中の塩化水素で処理して、式(F’F−HCl)の鏡像異性体対が得られる。
【0070】
2種の方法のうちの1つにより、(F’F−HCl)を、式(G’)の鏡像異性体対に変換する。固体(F’F−HCl)をアルコール好ましくはメタノール中に溶解し、温度を約(−5)℃と約70℃の間、好ましくは約10℃に保持しながら、NHOH(5倍まで、好ましくは3倍)と反応させる。得られた生成物を、塩基、例えばKCOで処理し、次いで生成物のアミノ基を酸活性保護基、例えばBocにより保護する。いくつかの実施形態において、化合物を(Boc)O(約1〜3eq、好ましくは約1.1eq)で処理するステップにより、保護基を導入することが好ましい。別法として、固体(F’F−HCl)を、アンモニアのメタノール溶液を有する加圧ボンベ内で反応させ、次いで上述のように塩基および保護基で処理する。
【0071】
式IAの化合物である鏡像異性体対は、式(G’)の化合物にアルコール(4〜10倍、好ましくは8倍)を添加し、次いで混合物をアルコール中のHCl(1〜4倍、好ましくは2倍、5〜6N)と反応させるステップにより得られる。いくつかの実施形態において、アルコールとしてIPAを用いることが好ましい。別法として、HClガスを使用することができる。
【0072】
他の代替的方法において、(F’F−HCl)を上述のようにNHOHで処理し、生成物を抽出し(好ましくはTHF、2−メチル−THFおよび食塩水により)、この有機溶液を上述のようにHClで処理して、式(IA)の化合物を得る。
【0073】
式(F”)の鏡像異性体対を含むジシクロヘキシルアミン塩(F”−DCHA)は、式(E)の化合物を溶媒、例えばトルエンとエタノールの混合物中に溶解し、かつグリオキシル酸もしくはグリオキシル酸一水和物(約1〜2eq、好ましくは約1.2eq)を添加し、続いてジシクロヘキシルアミン(約1〜2eq、好ましくは約1.5eq)を添加するステップにより調製される。その結果得られる、回収された析出物は鏡像異性体対のジアステレオマーの14:1混合物であり、SSおよびRR異性体が主である式(F”−DCHA)の鏡像異性体対である。得られた式(F”−DCHA)の鏡像異性体対のジアステレオマーを、式(F’−BA)の鏡像異性体対のジアステレオマーについて記述したのと同様の方法で処理して、式(IB)の鏡像異性体対のジアステレオマーを得る。
【0074】
【化37】

当業者は、上述した種々のステップにおいて、よく知られている抽出手順を使用し、必要に応じてこれらの中間体を精製することができる点を理解するであろう。
【0075】
下記は、本方法において用いられる式Iの化合物および中間体を調製する典型的な手順を示す詳細な実施例である。
【実施例】
【0076】
(実施例1)
(Bの調製)
CHCl(1L)中の化合物A(シクロブタンメタノール)(100g)の溶液に、24%KBr(62.5ml)水溶液を添加した。この混合物に、NaHCO水溶液(150ml)を添加し、この混合物を−5℃まで冷却した。これに、TEMPO試薬(1.8g)を添加し、混合物を20分間撹拌した。温度を−5℃〜0℃の間に保持しながら、ゆっくりと5%NaOCl(約1900ml)を混合物に投入した。次いで混合物を約30分間撹拌した。次いでKHPO水溶液(8.25%、400ml)を添加し、RTまで加温しながら、混合物をさらに約30分間撹拌した。次いで層に分割し、分離した。有機層を無水MgSOで乾燥し、濾過した。浴温度約0℃の部分真空(約110トール)下において乾燥有機層を注意深く蒸留して、大部分の溶媒を除去した。濃縮物を大気圧でさらに蒸留して、無色液体として化合物B(シクロブタンカルボキシアルデヒド)(70.6g;70.4%、純度96%)を得た:
【0077】
【化38】

(実施例2)
(Cの調製)
窒素下で、ニトロメタン(39ml)、TEA(25ml)およびトルエン(200ml)の混合物を温度15℃前後で約10分間撹拌した。この混合物に、15〜25℃で化合物B(50g)をゆっくり添加し、この混合物を20〜25℃で16.5時間撹拌した。得られた化合物Cの溶液をその場で次のステップのために使用した。
【0078】
【化39】

(実施例3)
(CC/Dの調製)
実施例2からのCの溶液を0〜5℃まで冷却し、固体DMAP(3.6g)を添加した。反応混合物を約10分間撹拌して全固形分を溶解させ、次いで無水酢酸(75.5ml、1.35eq)を15℃前後でゆっくり添加した。15〜20℃で2時間撹拌した後、得られた化合物CC/Dの溶液をその場で次のステップのために使用した。
【0079】
(実施例4)
(Eの調製、方法I)
化合物Bから調製したCC/Dの溶液(実施例3、5.0g)に、5%Pd/C(湿分50%、2.0g、Degussa社からのE101 R)、CHOH(10ml)およびTEA(5ml)を投入し、混合物を水素圧力(〜5psi)下0℃前後において撹拌した。反応は、16時間後に終了した(HPLC分析により測定した)。反応混合物にセライト(0.3g)を投入し、30分間撹拌し、次いで濾過し、トルエン(30mL)で洗浄した。得られた有機層を1N HCl水溶液(10mL)、NaHCO飽和水溶液(10mL)および食塩水(10mL)で洗浄した。得られた有機溶液は、化合物Eを含有する(5.23g、収率67.9%)。
【0080】
【化40】

(実施例5)
(Eの調製、方法II)
実施例3からのCC/Dの溶液(10g)に、PEG−400(10ml)および水(6ml)を投入し、0℃前後まで冷却した。固体投入装置を使用して、5〜20℃で固体NaBH(8.6g)をゆっくり投入し、混合物を20℃前後で40分間撹拌した。得られたスラリーを0〜5℃まで冷却し、0〜10℃で、冷水(40ml)によりゆっくり反応を止めた。有機層を分離し、また水層をトルエン(120ml)で逆抽出した。この有機溶液は、化合物Eを含有していた(11.1g、収率72%)。
【0081】
【化41】

(実施例6)
(Eの調製、方法II)
実施例3において調製したCC/Dの溶液(50g)に、PEG−400(50ml)および水(32ml)を投入し、0〜5℃前後まで冷却した。反応混合物を5℃未満まで冷却した。他の反応器に、NaBH(固体、53.75g、2.5eq)およびトルエン(200ml)を投入し、このスラリーを5℃未満に冷却した。CC/D溶液を、1時間にわたってこのNaBH懸濁液中に移し換え、この間バッチ温度を20℃未満に保持した。温度を20℃に調節し、混合物を1時間撹拌し、HPLC分析のため小試料を採取した。HPLCにより測定して反応が完結すると直ぐに、反応混合物を5℃未満まで冷却した。このバッチを冷水(250ml)中にゆっくり投入し、この間20℃未満の温度を保持した。バッチ温度を20℃に調節し、混合物を30分間撹拌し、次いで有機層を分離した。水層をトルエン(300ml)で逆抽出した。合わせた有機液(organics)を、1NのHCl(250mL)、次いで飽和NaHCO(250mL)、次いで食塩水(250mL)で洗浄した。生成物溶液を、真空下30℃未満の温度で275mlまで濃縮した。得られた溶液を次のステップのために使用した。この有機溶液は、化合物Eを含有していた(50.7g、収率66%)。
【0082】
【化42】

(実施例7)
(Eの調製、方法III)
実施例3において調製したCC/Dの溶液(50g)に、5℃と15℃の間の温度を保持しながら、t−BuOH(95ml)を投入した。反応混合物を0℃と10℃の間の温度まで冷却した。他の反応器に、NaBH(固体、32.25g、1.5eq)およびトルエン(200ml)を投入した(50g規模用の3L反応器)。このスラリーを0℃と10℃の間の温度まで冷却した。CC/D混合物を、1〜3時間にわたってこのNaBH懸濁液中に移し換え、この間15℃と25℃の間のバッチ温度を保持した。温度を15℃と25℃の間に調節し、混合物を4〜6時間撹拌した。HPLC分析のために小試料を採取した(IPC)。HPLCにより測定して反応が終わると(spec<1%)直ぐに、反応混合物を0℃と10℃の間の温度まで冷却した。この混合物を、15℃と25℃の間の温度を保持しながらゆっくり冷水(250ml)に添加した。温度を15℃と25℃の間に調節し、混合物を30分間撹拌した。有機層を分離し、水層をトルエン(200ml)で逆抽出した。合わせた有機液を、1NのHCl(150ml)、飽和NaHCO(150ml)、次いで食塩水(150ml)で洗浄した。この有機溶液は、化合物Eを含有していた(52g、収率68%)。得られた溶液を次のステップのために使用した。
【0083】
【化43】

(実施例8)
(MsClによるBからのDの調製)
RTにおけるトルエン(48ml)中のニトロメタン(16.8g)の溶液に、TEA(4.2g)をゆっくり添加し、混合物を約10分間撹拌した。この混合物に、化合物B(11.6g)をゆっくり添加した。反応混合物をRTで約6時間撹拌し、その後、NMRにより反応の完結について監視した。トルエン(50ml)により溶液をさらに希釈した。得られた溶液を、−25℃未満まで冷却した。CHSOCl(18.9g)を、−30〜−25℃で約10分にわたってゆっくり添加した。TEA(30.7g)をゆっくり投入した。−25℃未満に発熱を保持するため、添加を調節した。−30〜−25℃で反応混合物を約10分間撹拌した。反応混合物を約−5〜0℃まで加温し、水(100ml)をゆっくり投入した。
【0084】
反応混合物をRTで約5〜15分間撹拌し、沈降させ、分割した。水層を、およそトルエン(50ml)で逆抽出する。合わせた有機液を1N HCl(72ml)で洗浄した。層に分割し、分離した。次いで有機層を飽和NaHCO(72ml)で洗浄した。層に分割し、分離した。次いで有機液を飽和食塩水で洗浄した(2×72ml)。層に分割し、分離して、化合物Dの溶液をもたらした。
【0085】
【化44】

(実施例9)
(Eの調製)
実施例8からのトルエン中の化合物Dの溶液に、乾燥した炭素上パラジウム触媒(2.1g、10%活性)を添加し、得られた混合物をバルーンにより6〜8時間水素化した。HPLCにより反応の進行を監視した。反応完結後、触媒を濾過し、トルエン(18ml)で洗浄した。生成物溶液を生(neat)液体まで濃縮した。濃縮物をクーゲルローア蒸留によりさらに精製して、透明な無色の化合物Eを得た(18.9g、75%(アルデヒドBから))。
【0086】
【化45】

(実施例10)
(Eの調製)
実施例8からの化合物Dの溶液をIPA(32ml)で希釈した。得られた溶液を湿分50%炭素上パラジウム触媒(1.8g、10%活性)に添加し、得られた混合物をバルーンにより18時間水素化した。HPLCにより反応の進行を監視した。反応完結後、触媒を濾過し、トルエン(35ml)で洗浄した。この溶液は、10.6gの化合物Eを含有していた。真空下において30℃未満の温度で溶液を85mLまで濃縮した。トルエン(35ml)を添加し、再び混合物を85mLまで濃縮した。トルエンを添加して溶液を106mlとし、IPA(10.6ml)を添加した。この溶液は、9.8gの化合物Eを含有しており(Bからの収率55%)、その場で次のステップのために使用した。
【0087】
【化46】

(実施例11)
(Fの調製)
実施例7からの化合物Eの溶液(111.5g、0.155モル、ニトロメタン16〜20%を有するトルエン中)にCHOH(335ml)を投入した。この混合物を0℃と10℃の間の温度まで冷却した。0℃と20℃の間の温度に保持しながら、グリオキシル酸(256g、2.0eq、水中50%)を添加した。混合物を10分間撹拌した。15〜25℃の間の温度に保持しながら、TEA(327m、2.7eq)をゆっくり添加した。25℃と35℃の間の温度で混合物を15〜20時間撹拌し、HPLCにより反応の完結を監視した(specは面積により<2%である)。完結すると、反応混合物を0℃と10℃の間の温度まで冷却した。0℃と10℃の間の温度に保持しながら、KCO水溶液(水中2.5重量%KCOの558ml)を添加し、5℃と15℃の間の温度で混合物を15分間撹拌した。化合物Fを含有する水層を分離し、0℃と10℃の間の温度まで冷却した。0℃と10℃の間の温度に保持しながらpHが1.5〜2となるまで濃HCl(175ml)を添加した。MTBE(223ml)を添加し、10℃と20℃の間の温度で混合物を10分間撹拌した。層に分割し、水層をMTBE(167ml)で逆抽出した。合わせた有機液を1N HCl(112ml)、食塩水(112ml、水中10%NaCl)で洗浄し、食塩水(56ml、水中10%NaCl)でもう1回洗浄した。得られた化合物Fの有機溶液を、濃縮/蒸留をせずに次のステップのために使用している。
【0088】
【化47】

(実施例12)
(FFの調製)
水素化装置内の10%Pd/C(10.4g、50%湿分)に、乾燥CHOH(155ml)を添加した。実施例11で調製した化合物Fの遊離酸溶液(51.8g)を水素化装置に移し換えた。得られたスラリーを、水素圧力(90psi)下60度で水素化した。15時間後、p−トルエンスルホン酸一水和物(58.1g)を添加し、30分間撹拌して固体生成物を溶解させた。セライト(5.2g)を添加し、混合物を15分間撹拌した。スラリーを濾過し、CHOH(78ml)で洗浄した。得られた溶液を、体積約140mlまで蒸留した。CHOH(518ml)を添加し、得られた溶液を最小体積まで蒸留し、スラリーをもたらした。CHOH(518ml、KF spec<3%)を添加し、混合物を加熱して16時間還流させた。大気圧下で混合物を体積207mlまで濃縮した。EtOAc(518ml)を添加し、混合物を大気圧下で体積414mlまで濃縮した。得られたスラリーを、0〜5℃まで冷却した。MTBE(259ml)を添加し、得られたスラリーを、−13〜−10℃まで冷却し,1時間撹拌した。生成物を濾過し、EtOAcとMTBEとの1:1混合物(104ml)で洗浄し、乾燥して76.8gの固体をもたらした(2種のジアステレオマーの比率54:46、収率84%)。
【0089】
【化48】

(実施例13)
(Gの調製)
化合物FF(30.0g)に、5℃未満に予冷した7N NH/CHOH(93.8ml)を添加した。得られたスラリーを−5℃と5℃の間の温度まで冷却した。−2℃と5℃の間の温度に保持しながら、5℃未満に予冷したNHOH(75.0ml)を添加した。この混合物を、0℃と5℃の間の温度に保持しながら、1.5日撹拌した。混合物を、40℃未満の真空下で最小体積まで濃縮した。15℃と25℃の間の温度に保持しながら、CHOH(60ml)および水(60ml)を添加した。KCO(7.7g、0.67eq)を添加し、混合物を10分間撹拌し、次いで(Boc)O(25.6ml、1.4eq)を添加し、この間15℃と25℃の間の温度に保持した。混合物を、15℃と25℃の間の温度で15時間撹拌した。20℃未満の温度に保持しながら水(240ml)を添加し、得られたスラリーを5℃まで冷却し、混合物を17時間撹拌した。生成物を濾過し、水(25ml)で洗浄し、乾燥して19.5gの固体(収率86%)、すなわち2種のジアステレオマーの混合物(SS/RR:SR/RS=55:45)をもたらした。
【0090】
【化49】

(実施例14)
(F’−BA、鏡像異性体対のジアステレオマー
【0091】
【化50】

の調製)
化合物E(50.0g)を、トルエン(450ml)とIPA(50ml)との混合物中に溶解した。グリオキシル酸一水和物(1.0eq、35.65g)を添加し、混合物を10分間撹拌した。15℃〜20℃の間の温度に保持しながら、TEAを投入した(1.5eq、81.5ml)。反応が完結すると(6〜12時間)、ベンジルアミン(1.5eq、63.4ml)を添加した。MTBE(500ml)を添加し、混合物を24時間撹拌した。析出物を濾過し、MTBE(100ml)で洗浄し、室温で真空下において1晩乾燥した。ベンジルアミン塩は、収率82%(98g)で、パート1異性体と、パート2異性体との混合物(1:13)として得られた。
【0092】
【化51】

(実施例15)
(F’−BA、鏡像異性体対のジアステレオマーの調製)
トルエン中の実施例6からの粗製化合物Eの溶液(55.0g、426ミリモル)にエタノール(275ml)を添加した。得られた混合物を10℃未満に冷却した。20℃未満の温度で水中50%グリオキシル酸(94.6g、1.5eq)をゆっくり添加した。15〜20℃でTEA(119.35ml、2eq)を添加し、約20℃で4時間撹拌した後、反応混合物を30℃未満の温度で約275mlまで濃縮した。MTBE(550ml)を添加し、得られた混合物を約10℃まで冷却した。20℃未満の温度で希HCl溶液(110mlの濃HClと440mlの水から調製した)を添加した。有機層を分離し、食塩水(165ml)で洗浄した。トルエン(550ml)を添加し、得られた混合物を約10℃まで冷却した。10〜20℃でTEA(89.65ml、1.5eq)を添加した。15〜20℃でベンジルアミン(92.95ml、2eq)を添加した。得られたスラリーを約20℃で19.5時間撹拌した。析出物を濾過し、MTBE(約300ml)で洗浄し、RTで真空下において1晩乾燥した。ベンジルアミン塩は収率84%(111.2g)で、パート1/パート2異性体(1/16)の混合物として得られた。
【0093】
【化52】

(実施例16)
(ジシクロヘキシルアミン塩鏡像異性体対のジアステレオマー(F”−DCHA)の調製)
化合物E(6.46g、50ミリモル)を、トルエン(58ml)とエタノール(6.5ml)との混合物中に溶解した。グリオキシル酸一水和物(5.52g、1.2eq)をRTで添加した。25℃未満の温度でジシクロヘキシルアミン(13.6g、1.5eq)をゆっくり添加した。RTで3時間撹拌した後、得られたスラリーにRTでMTBE(65ml)を添加した。2時間後、析出物を濾過し、MTBEで洗浄し、真空下で乾燥した。ジシクロヘキシルアミン塩は、収率50%(9.63g)でパート1/パート2異性体(9/1)の混合物として得られた。
【0094】
【化53】

(実施例17)
(ジシクロヘキシルアミン塩鏡像異性体対のジアステレオマー(F”−DCHA)の調製)
化合物E(1.0g、7.7ミリモル)を、トルエン(9ml)とエタノール(1ml)との混合物中に溶解した。グリオキシル酸一水和物(0.71g、1eq)をRTで添加した。25℃未満の温度でジシクロヘキシルアミン(2.31ml、1.5eq)をゆっくり添加した。RTで16時間撹拌した後、得られたスラリーにRTでトルエン(10ml)を添加した。24時間後、析出物を濾過し、トルエンで洗浄し、真空下で乾燥した。ジシクロヘキシルアミン塩は収率43%(1.29g)で、パート1/パート2異性体(14/1)の混合物として得られた。
【0095】
【化54】

(実施例18)
(F’F−HCl塩、単一ジアステレオマー(RSおよびSRの鏡像異性体の1:1混合物)の調製)
15〜20℃においてHClの希釈水溶液(438ml、1N)に、主として1種のジアステレオマーからなる実施例15の化合物(100g)を添加し、混合物を全て溶解するまで撹拌した。MTBE(300ml)を添加し、混合物を撹拌した。層を沈降させ、分割した。水層をMTBE(200ml)で2回目として抽出した。合わせた有機液を10%NaCl水溶液(50ml)で洗浄した。層を沈降させ、分割し、減圧下で有機層を最小体積まで濃縮した。得られた油にMTBE(300ml)を添加し、再び減圧下で有機層を最小体積まで濃縮した。得られた油をCHOH(200ml)中に溶解し、この溶液を減圧下で約150mlまで濃縮した。得られた残渣をCHOH(500ml)で希釈し、この溶液に10%Pd−C(50%湿分)(6.5g)を添加し、約50〜60℃の温度で水素について90psiに保持した。反応が完結した後、CHOH中の無水HClを添加し、混合物を約30分間撹拌した。触媒を濾過し、CHOH(65ml)で洗浄して、化合物FF−HClの溶液をもたらした。
【0096】
【化55】

(実施例19)
(化合物G’(SRおよびRS鏡像異性体対)の調製)
固体FF−HCl(5g)にCHOH(10ml)を投入した。得られた溶液を10℃未満まで冷却し、温度を10℃未満に保持しながらNHOH(15ml)を添加した。10℃で15時間撹拌した後、反応混合物を30℃未満の温度で真空下において最小体積まで濃縮した。15℃と25℃の間の温度に保持しながら、CHOH(25ml)を添加した。15℃と25℃の間の温度に保持しながら、水(5ml)を添加し、次いでKCO(2.2g)を添加した。10分間撹拌した後、15℃と25℃の間の温度に保持しながら、(Boc)O(5.5ml)を投入した。混合物を、15℃と25℃の間の温度で4時間撹拌した。HPLC−2により、反応の完結を監視した(spec<3%)。25℃未満の温度に保持しながら、水(40ml)を添加し、得られたスラリーを10℃まで冷却し、1時間撹拌した。生成物を濾過し、CHOHと水の1:3混合物(25ml)で洗浄し、乾燥して5.3gの固体をもたらした(収率87%)。
【0097】
【化56】

(実施例20)
(G’(RSおよびSRの鏡像異性体の1:1混合物)の調製)
加圧ボンベ内の固体F’F−HCl(10g)にCHOH中の冷7N NH(200ml)を投入した。得られた溶液を加圧ボンベ内で60℃において5時間撹拌した。反応混合物を30℃未満の温度で真空下において最小体積まで濃縮した。15℃と25℃の間の温度に保持しながら、CHOH(60ml)および水(20ml)を添加し、次いでKCO(6.6g、1eq)を添加した。10分間撹拌した後、15℃と25℃の間の温度に保持しながら、(Boc)O(11ml、1.1eq)を投入した。混合物を、15℃と25℃の間の温度で4〜15時間撹拌した。HPLC−2により、反応の完結について監視した(spec<2%)。25℃未満の温度に保持しながら、水(50ml)を添加し、得られたスラリーを5℃まで冷却し、2時間撹拌した。生成物を濾過し、CHOHと水の1:2混合物(50ml)で洗浄し、乾燥して11.2gの固体化合物Gをもたらした(収率92%)。
【0098】
【化57】

(実施例21)
(式IAの化合物−(RSおよびSRの鏡像異性体の1:1混合物)の調製)
実施例20の化合物(5.0g)中に、IPA(40ml)を添加し、続いてIPA中の5〜6N HCl(10ml)を添加した。得られたスラリーを50℃まで加熱し、4時間撹拌した。スラリーをRTまで冷却し1時間撹拌した。生成物を濾過し、MTBE(25ml)で洗浄し、乾燥して3.72gの固体をもたらした(収率97%)。
【0099】
【化58】

(実施例22)
(式IAの化合物−(RSおよびSRの鏡像異性体の1:1混合物)の調製)
化合物F’−BA(実施例14、15)(60g)に、水240mlおよび濃HCl 22.8mlから調製し予冷したHCl水溶液を投入した。MTBE(180ml)を添加し、得られた二相混合物を10分間撹拌した。水層を分離し、MTBE(120ml)で逆抽出した。合わせた有機液を食塩水(30ml)で洗浄し、有機層を分離し、最小体積まで濃縮した。得られた油をMTBE(180ml)で希釈し、最小体積まで濃縮した。得られた油をCHOH(600ml)で希釈し、10%Pd/C(湿分50%)(2g)を入れた水素化装置で水素化した。その際、溶液は50度で水素圧力(90psi)下において水素化した。15時間後、HPLC(ニトロ化合物の消失)用の試料を採取した。反応が完結すると、CHOH中の無水HCl(1.2eq、CHOH 120ml中のAcCl 16.5mlから調製した)を添加した。セライト(2.0g)を添加し、混合物を30分間撹拌した。得られた混合物を濾過し、CHOH(39ml)で洗浄し、次いで60度に16時間加熱した。反応の完結は、NMRにより監視した:specは<2%である。
【0100】
得られた溶液を、体積80mlまで濃縮し、20℃未満まで冷却した。CHOH(40ml)、THF(110ml)およびNHOH(水中29%)(80ml)を添加した。0℃〜RTにおいて15時間撹拌した後、THF(118ml)、2−メチルテトラヒドロフラン(118ml)および食塩水(79ml)を添加した。混合物を30分間撹拌した。下部水層を分割し、THF(118ml)と2−メチルテトラヒドロフラン(59ml)との混合物で2回逆抽出した。合わせた有機液を体積120mlまで濃縮した。得られた混合物をIPA(393ml)で希釈し、10℃まで冷却した。得られたスラリーに、IPA中の5N HCl(53ml)を添加した。1時間撹拌した後、生成物を濾過し、MTBE(197ml)で洗浄し、乾燥して26.2gの式Iの固体化合物をもたらした(収率69%)。
【0101】
【化59】

本発明は、上記に示した特定の実施形態について、また特定の実施形態に関連して記述されてきたが、これらの実施例は例示的であることを意図されており、限定的であることを意図していない。それらの多くの代替策、修正および他の変形形態が、当業者には明らかであろう。全てのこれらの代替策、修正および変形形態は、本発明の精神および範囲内に収まると考えている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物の調製方法であって、
【化60】

(A)ニトロアルカン(E)をグリオキシル酸とカップリングさせて、ニトロ−ヒドロキシ酸(F)を得るステップであり:
【化61】

ここで(E)が、
(a)シクロブタンメタノール(A)を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離基により酸化して、シクロブタンカルボキシアルデヒド(B)を得るステップと、
【化62】

(b)前記アルデヒド(B)をニトロメタンとカップリングさせて、ニトロ−アルコール(C)を得るステップと、
【化63】

(c)化合物(C)を化合物(E)に変換するステップであり、前記ステップは、
(1)第1の方法であって、前記第1の方法は、
(i)ニトロ−アルコール(C)を無水酢酸と反応させて化合物(CC)および(D)の混合物を得る工程と、
【化64】

(ii)工程(c)1(i)で得られた前記(CC)および(D)の混合物を、ニトロアルカン(E)に変換する工程であって、前記工程は:
【化65】

I)前記混合物の水素化、もしくは
II)前記混合物の、PEG−400の存在下における水素化ホウ素ナトリウムによる還元、もしくは
III)前記混合物の、アルコールの存在下における水素化ホウ素ナトリウムによる還元
から選択される方法による、工程と
を含む第1の方法によってか、または
(2)第2の方法であって、前記第2の方法は、
(i)前記ニトロ−アルコール(C)をCHSOClおよびトリエチルアミンと反応させて化合物(D)を得る工程と、
【化66】

(ii)方法の工程(2)(i)で得られた(D)を還元し、それによりニトロアルカン(E)をもたらす工程と
を含む第2の方法による、ステップと
を含む方法によって調製される、ステップ;
(B)ステップ「A」により提供される化合物(F)を水素化して、アミノ−ヒドロキシ酸(FA)をもたらすステップ;
【化67】

(C)(FA)をp−トルエンスルホン酸と共に還流させ、エステル化して(FF)を得るステップ;
【化68】

(D)前記エステルをアミドに変換し、かつ(FF)のアミノ基を保護して(G)(式中、Protは保護基である)を得るステップ;
【化69】

ならびに
(E)ステップ(D)で調製された(G)を、HClのアルコール溶液中で加熱するステップ
を含む方法。
【請求項2】
1)前記ニトロアルカン(E)をグリオキシル酸とカップリングさせて、前記ニトロ−ヒドロキシ酸(F)を得るステップであって、
【化70】

ここで(E)が、
(a)シクロブタンメタノール(A)を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離基により酸化して、シクロブタンカルボキシアルデヒド(B)を得るステップと、
【化71】

(b)前記アルデヒド(B)をニトロメタンとカップリングさせて、前記ニトロ−アルコール(C)を得るステップと、
【化72】

(c)前記ニトロ−アルコール(C)を無水酢酸と反応させて化合物(CC)および(D)の混合物を得るステップと、
【化73】

(d)前記(CC)および(D)の混合物を、前記ニトロアルカン(E)に変換するステップであって、前記ステップは:
【化74】

I)オレフィンの水素化、
II)前記オレフィンの、PEG−400の存在下における水素化ホウ素ナトリウムによる還元、または
III)前記オレフィンの、アルコールの存在下における水素化ホウ素ナトリウムによる還元
による、ステップと
によって調製されるステップ;
2)(F)を水素化して、前記アミノ−ヒドロキシ酸(FA)をもたらすステップ;
【化75】

3)(FA)をp−トルエンスルホン酸と共に還流させ、エステル化して(FF)を得るステップ;
【化76】

4)前記エステルをアミドに変換し、かつ(FF)のアミノ基を保護して(G)(式中、Protは保護基である)を得るステップ;
【化77】

ならびに
5)(G)を、HClのアルコール溶液中で加熱するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1)前記ニトロアルカン(E)をグリオキシル酸とカップリングさせて、前記ニトロ−ヒドロキシ酸(F)を得るステップであって、
【化78】

ここで(E)が、
(a)シクロブタンメタノール(A)を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離基により酸化して、シクロブタンカルボキシアルデヒド(B)を得るステップと、
【化79】

(b)前記アルデヒド(B)をニトロメタンとカップリングさせて、前記ニトロ−アルコール(C)を得るステップと、
【化80】

(e)前記ニトロ−アルコール(C)をCHSOClおよびトリエチルアミンと反応させて化合物(D)を得るステップと、
【化81】

(f)(D)を還元して、前記ニトロアルカン(E)を得るステップと
によって調製されるステップ;
2)(F)を水素化して、前記アミノ−ヒドロキシ酸(FA)を得るステップ;
【化82】

3)(FA)をp−トルエンスルホン酸と共に還流させ、エステル化して(FF)を得るステップ;
【化83】

4)前記エステルをアミドに変換し、かつ(FF)のアミノ基を保護して(G)(式中、Protは保護基である)を得るステップ;
【化84】

ならびに
5)(G)を、HClのアルコール溶液中で加熱するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1)前記ニトロアルカン(E)を、トルエン中のTEAの存在下でグリオキシル酸とカップリングさせて、前記ニトロ−ヒドロキシ酸(F)を得るステップであって、
ここで(E)が、
(a)シクロブタンメタノール(A)を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離基により酸化して、シクロブタンカルボキシアルデヒド(B)を得るステップと、
(b)前記アルデヒド(B)を、トルエン中のTEAの存在下でニトロメタンとカップリングさせて、前記ニトロ−アルコール(C)を得るステップと、
(c)前記ニトロ−アルコール(C)を、無水酢酸および触媒量のDMAPと反応させて化合物(CC)および(D)の混合物を得るステップと、
(d)前記(CC)および(D)の混合物を、前記ニトロアルカン(E)に変換するステップであって、前記ステップは:
I)アルコール中のPd/Cによる水素化、
II)PEG−400の存在下における水素化ホウ素ナトリウムによるオレフィンの還元、または
III)アルコールの存在下における水素化ホウ素ナトリウムによる前記オレフィンの還元
による、ステップと
によって調製されるステップ;
2)(F)を、アルコール中のPd/Cにより水素化して、前記アミノ−ヒドロキシ酸(FA)を得るステップ;
3)(FA)をp−トルエンスルホン酸と共に還流させ、そしてアルコール中で還流させることによりエステル化して(FF)を得るステップ;
4)前記エステルを、NHOHで処理することによりアミドに変換し、かつ塩基および保護基で処理することにより(FF)のアミノ基を保護して(G)を得るステップ;ならびに
5)(G)を、HClのアルコール溶液中で加熱するステップ
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ1、パート(d)における前記還元が、方法IIIによって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1)前記ニトロアルカン(E)を、トルエン中のTEAの存在下でグリオキシル酸とカップリングさせて、前記ニトロ−ヒドロキシ酸(F)を得るステップであって、
ここで(E)が、
(a)シクロブタンメタノール(A)を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離基により酸化して、シクロブタンカルボキシアルデヒド(B)を得るステップと、
(b)前記アルデヒド(B)を、トルエン中のTEAの存在下でニトロメタンとカップリングさせて、前記ニトロ−アルコール(C)を得るステップと、
(e)前記ニトロ−アルコール(C)をCHSOClおよびトリエチルアミンと反応させて化合物(D)を得るステップと、
(f)(D)をPD/Cで水素化することにより還元して、前記ニトロアルカン(E)を得るステップと
によって調製される、ステップ;
2)(F)を、アルコール中のPd/Cで水素化して、前記アミノ−ヒドロキシ酸(FA)を得るステップ;
3)(FA)をp−トルエンスルホン酸と共に還流させ、そしてアルコール中で還流させることによりエステル化して(FF)を得るステップ;
4)前記エステルをNHOHで処理することによりアミドに変換し、かつ塩基および保護基で処理することにより(FF)のアミノ基を保護して(G)を得るステップ;
ならびに
5)(G)を、HClのアルコール溶液中で加熱するステップ
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
下記の化合物の調製方法であって、
【化85】

(E)を、グリオキシル酸およびトリエチルアミンと反応させ、続いてベンジルアミンと反応させて、単一ジアステレオマーであるF−BAベンジルアミン塩を形成させるステップと、
【化86】

(F)を、酸性化しかつ還元してアミン(FA)を得、次いでエステル化し、かつ(FF)のHCl塩に変換するステップと、
【化87】

(FF−HCl)をアミドに変換し、脱保護し、またアミノ基を保護して(G)を得るステップと、
【化88】

(G)を、HClのアルコール溶液中で加熱するステップと
を含む方法。
【請求項8】
下記の化合物の調製方法であって、
【化89】

(E)を、グリオキシル酸およびトリエチルアミンと反応させ、続いてジシクロヘキシルアミンと反応させて、単一ジアステレオマーであるFジシクロヘキシルアミン塩を形成させるステップと、
【化90】

(F)を、酸性化しかつ還元してアミン(FA)とし、次いでエステル化し、かつ(FF)のHCl塩に変換するステップと、
【化91】

(FF HCl)をアミドに変換し、脱保護し、またアミノ基を保護して(G)を得るステップと、
【化92】

(G)をHClのアルコール溶液中で加熱するステップと
を含む方法。
【請求項9】
下式:
【化93】

【化94】

のいずれかの化合物。
【請求項10】
化合物Fが、その後のステップを実行する前に、ジシクロヘキシルアミンおよびベンジルアミンから選択されるアミンを使用してアミン塩析出物として得られ、前記析出物が、DCHAを選択した場合、約1:9〜約1:14の比率の主要異性体対副生異性体を含有し、またベンジルアミンを選択した場合、約1:13〜約1:20の比率の主要異性体対副生異性体を含有する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記析出された化合物Fを用いた後に生成される化合物FF−HCl、GおよびHのジアステレオマーの比率が、化合物Fについて析出された前記異性体の比率を反映している、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2010−513492(P2010−513492A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542838(P2009−542838)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/025759
【国際公開番号】WO2008/082486
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】