説明

3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[D][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の処方物

本発明は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の処方物、その薬学的パックもしくはキット、およびこれらを用いた処置方法に関する。化合物1は、種々のCFTR媒介性疾患を処置するか、もしくはその重篤度を軽減するために有用である。化合物1は、実質的に結晶性および本明細書で記載されかつ特徴付けられるように、形態Iとして言及される塩を含まない形態において存在し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、米国特許法§119の下、2007年12月7日に出願された米国仮特許出願第61/012,168号の利益を主張し、この出願の全内容は本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、本明細書で記載される、実質的に遊離の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸(化合物1)、水、および増粘剤(viscosity agent)を含む経口用処方物に関する。上記経口用処方物はさらに、界面活性剤、消泡剤、緩衝化剤、および味覚マスキング剤(taste masker)を含み得る。本発明はさらに、CFTR媒介性疾患(例えば、嚢胞性線維症)をこのような処方物で処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
CFTRは、種々の細胞タイプ(吸収上皮細胞および分泌上皮細胞が挙げられる)において発言されるcAMP/ATP媒介性アニオンチャネルである。ここでCFTRは、膜を横断するアニオンフラックス、ならびに他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を調節する。上皮細胞において、CFTRの正常な機能は、身体(呼吸組織および床下組織を含む)にくまなく電解質輸送を維持するために重要である。CFTRは、膜貫通ドメインのタンデム反復(各々は、6回膜貫通ヘリックスおよびヌクレオチド結合ドメインを含む)から構成されるタンパク質をコードする、約1480アミノ酸から構成される。上記2つの膜貫通ドメインは、大きな、極性の、調節性(R)−ドメインによって、チャネル活性および細胞の行き来(cellular trafficking)を調節する複数のリン酸化部位と連結されている。
【0004】
上記CFTRをコードする遺伝子は、同定されかつ配列決定された(Gregory,R.J.ら(1990)Nature 347:382−386;Rich,D.P.ら(1990)Nature 347:358−362)、(Riordan,J.R.ら(1989)Science 245:1066−1073を参照のこと)。この遺伝子の欠損は、嚢胞性線維症(「CF」)(ヒトにおいて最も一般的な致死的遺伝疾患)を生じるCFTRの変異を引き起こす。嚢胞性線維症は、米国において、2,500名の乳児に約1名が罹患する。一般的な米国の集団内で、最大1000万人の人々が、明らかな悪影響無く、上記欠損遺伝子の1コピーを有している。対照的に、上記CF関連遺伝子の2コピーを有する個体は、慢性肺疾患を含む、CFの衰弱しかつ致死的な影響を被る。
【0005】
嚢胞性線維症を有する患者において、呼吸器上皮において内因的に発現されるCFTRにおける変異は、イオンおよび流体輸送の平衡異常を引き起こす低下した頂部アニオン分泌をもたらす。アニオン輸送において生じた低下は、CF患者において最終的に死を引き起こす、肺における増強した粘液蓄積および付随する微生物感染の原因となる。呼吸器疾患に加えて、CF患者は、代表的には、胃腸系の問題、および処置されずに放置された場合、死がもたらされる膵臓の機能不全を被っている。さらに、嚢胞性線維症を有する男性の大部分は、生殖能力が無く、嚢胞性線維症を有する女性の間では、受精率が低下する。上記CF関連遺伝子の2コピーの重篤な影響とは対照的に、上記CF関連遺伝子の1コピーを有する個体は、コレラに対する抵抗性の増大および下痢から生じる脱水に対する抵抗性を示す(おそらくこのことは、上記集団内の上記CF遺伝子の比較的高頻度を説明する)。
【0006】
CF染色体の上記CFTR遺伝子の配列分析は、種々の疾患を引き起こす変異を明らかにした(Cutting,G.R.ら(1990)Nature 346:366−369;Dean,M.ら(1990)Cell 61:863:870;およびKerem,B−S.ら(1989)Science 245:1073−1080;Kerem,B−Sら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8447−8451)。今日までに、上記CF遺伝子における>1000の疾患を引き起こす変異が、同定されてきた(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も優勢な変異は、上記CFTRアミノ酸配列の508位のフェニルアラニンの欠失であり、ΔF508−CFTRと一般に言及される。この変異は、嚢胞性線維症の症例のうちの約70%において存在し、重篤な疾患と関連する。
【0007】
ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、上記発生しようとしているタンパク質が正確に折りたたみされないようにする。このことは、上記変異タンパク質がERを出られず、形質膜を行き来出来ないということを生じる。結果として、上記膜に存在するチャネルの数は、野生型CETRを発現する細胞において認められるよりも遙かに少ない。損なわれた行き来に加えて、上記変異は、不完全なチャネル開閉(defective channel gating)を生じる。まとめると、上記膜におけるチャネル数の低下および上記不完全な開閉は、上皮を横断するアニオン輸送の低下をもたらし、不完全なイオンおよび流体の弓道をもたらす(Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709−2727)。しかし、研究は、上記膜中の低下した数のΔF508−CFTRが、野生型CFTRより少ないにも拘わらず、機能的であることを示した(Dalemansら(1991),Nature Lond.354:526−528;Denningら,前出;Pasyk and Foskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347−50)。ΔF508−CFTRに加えて、不十分な行き来、合成、および/もしくはチャネル開閉を生じる、CFTRにおける他の疾患の原因となる変異は、アップレギュレートもしくはダウンレギュレートされて、アニオン分泌を変化させ得、疾患進行および/もしくは重篤度を改変し得る。
【0008】
CFTRは、アニオンに加えて、種々の分子を輸送するが、この役割(アニオンの輸送)が、上記上皮を横断するイオンおよび水の輸送の重要な機構においてある要素を表すことは、明らかである。他方の要素は、上皮NaチャネルであるENaC、Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPaseポンプおよび基底側細胞膜Kチャネル(これらは、上記細胞へのクロリドの取り込みを担う)を含む。
【0009】
これら要素は、一緒になって働いて、それらの選択的発現および細胞内での位置を介して、上記上皮を横断する指向性輸送を達成する。クロリド吸収は、尖端膜に存在するENaCおよびCFTR、ならびに上記再紡の基底側表面で発現される上記Na−K−ATPaseポンプおよびCl−チャネルの調和した活性によって起こる。管腔側からのクロリドの二次的な能動的輸送は、細胞内クロリドの蓄積をもたらし、これは、次いで、Clチャネルを介して受動的に細胞から出て、ベクトル様の輸送(vectorial transport)を生じ得る。基底側表面上にNa/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPaseポンプおよび基底側膜Kチャネル、ならびに管腔側にCFTRという配置は、管腔側のCFTRを介したクロリドの分泌を調和させる。水は、おそらくそれ自体が決して能動的に輸送されないので、上皮を横断するその流れは、ナトリウムおよびクロリドのバルクフローによって生成されるわずかな経上皮浸透圧勾配に依存する。
【0010】
上記で議論されるように、ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、上記発生しようとしているタンパク質が正確に折りたたみされないようにし、この変異タンパク質がERを出ず、上記形質膜へ行き来できないようになると考えられている。結果として、上記成熟タンパク質の不十分な量しか形質膜に存在せず、上皮組織内のクロリド輸送は、顕著に低下する。事実、ER機構によるABC輸送体の不完全なERプロセシングというこの細胞現象は、CF疾患についてのみならず、広く種々の遺伝性でない(isolated)疾患および遺伝性の疾患についても根底にある基礎であることが示された。上記ER機構が、うまく機能しない可能性がある2つの点は、分解をもたらす上記タンパク質のERエクスポートに関連がないか、これら不完全な/誤って折りたたみされたタンパク質のER蓄積かのいずれかによる[Aridor M,ら,Nature Med.,(7),pp 745−751(1999);Shastry,B.S.ら,Neurochem.International,43,pp 1−7(2003);Rutishauser,J.ら,Swiss Med Wkly,132,pp 211−222(2002);Morello,JPら,TIPS,21,pp.466−469(2000);Bross P.ら,Human Mut.,14,pp.186−198(1999)]。
【0011】
塩形態にある3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、特許文献1(上記刊行物は、その全体が本明細書に参考として援用される)において、CFTR活性のモジュレーターとして、開示され、従って、CFTR媒介性疾患(例えば、嚢胞性線維症)を処置することにおいて有用であると開示されている。しかし、哺乳動物の細胞膜におけるCFTRの活性を調節するために使用され得る、CFTR活性のモジュレーター(例えば、化合物1)の安定な形態が必要である。使用しやすさおよび患者が楽であるために、有効用量の化合物1を患者に投与するために使用され得る、化合物1の安定な経口用処方物もまた、必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2007/056341号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、以下の式:
【0014】
【化1】

を有する、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の経口用処方物に関する。
【0015】
化合物1は、種々のCFTR媒介性疾患を処置するか、もしくはその重篤度を軽減するために有用である。化合物1は、実質的に結晶性および本明細書で記載されかつ特徴付けられるように、形態Iとして言及される塩を含まない形態において存在し得る。
【0016】
薬学的に受容可能な化合物を湿らせるのが困難であることは、処方の観点から、薬学分野においては問題になり得る。例えば、化合物1は、低い溶解度を有するのに加えて、水性媒体で湿らせるのが困難であり、よって、水性分散物を形成するには特別な問題を示す。
【0017】
化合物1を湿らせるのに困難があるせいで、上記物質は、長期間高剪断混合を使用するという手段に訴える必要性なしに、水性媒体中で適切に懸濁することは困難である。懸濁物の沈降防止特性(anti−settling properties)を改善する1つのアプローチは、増粘剤(例えば、天然ガムもしくはセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース)のうちのいずれか)を使用して、粘性を増大させ、それによって、上記懸濁物中の湿らせた粒子の再沈降の速度を遅らせることである。安定性および処理しやすさのために、他の薬剤(例えば、界面活性剤、消泡剤、および緩衝化剤)を含めることもまた、望ましいことがある。患者が楽であるように、化合物1と関連する不愉快な風味を隠すために、味覚マスキング剤を含めることもまた、望ましい。
【0018】
従って、改善された貯蔵寿命を維持し(すなわち、差異沈降する前に長期間にわたって懸濁物を維持する)化合物1の良好な懸濁物が、処方分野に付加価値(valuable addition)を示す。風味が改善された懸濁物は、さらなる付加価値である。「良好な懸濁物」とは、(1)本発明に従う経口用処方物において、室温(RT、通常は、25℃)において、24時間より長く、好ましくは、1週間より長く、認識できる沈澱が存在しないこと、および(2)認識出来る沈澱が起こってしまった場合、単純な物理的混合(例えば、おだやかに手動で攪拌するかまたは中程度に手動で浸透するか)によって、再懸濁が容易にもたらされ、高剪断混合は必要ないこと、を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、形態Iにある化合物1の単結晶構造から計算したX線回折パターンである。
【図2】図2は、形態Iにある化合物1の実際のX線粉末回折パターンである。
【図3】図3は、形態Iにある化合物1の単結晶から計算したX線回折パターン、および形態Iにある化合物1の実際のX線粉末回折パターンのオーバーレイである。
【図4】図4は、形態Iにある化合物1の示差走査熱量測定(DSC)トレースである。
【図5】図5は、単結晶X線分析に基づいて、形態Iにある化合物1の配座写真である。
【図6】図6は、カルボン酸基を介して形成されるダイマーとしての、単結晶X線分析に基づいた、形態Iにある化合物1の配座写真である。
【図7】図7は、単結晶X線分析に基づいた、形態Iにある化合物1の配座写真である。これは、上記分子が、互いに積み重なっていることを示す。
【図8】図8は、異なる観点(down a)を示す、単結晶X線分析に基づいた、形態Iにある化合物1の配座写真である。
【図9】図9は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HClおよび水性メチルセルロース処方物中に室温において24時間にわたって懸濁された後の同じ化合物のX線粉末回折パターンのオーバーレイである。
【図10】図10は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HCl、ならびに水性メチルセルロース−ポリソルベート 80処方物中で0時間および24時間にわたって、室温で懸濁された後の同じ化合物のDSCのオーバーレイである。
【図11】図11は、T(0)における化合物1懸濁物のH NMR分析である。
【図12】図12は、室温において24時間にわたって貯蔵した化合物1懸濁物のH NMR分析である。
【図13】図13は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HCl標準物質のH NMR分析である。
【図14】図14は、用量75mg/kgにおける1回の経口投与の1〜48時間後において、雄性ラットにおける形態Iにある化合物1の組織分布のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書で使用される場合、以下の定義は、別段示されない限り、適用されるものとする。
【0021】
用語「CFTR」とは、本明細書で使用される場合、嚢胞性線維症膜コンダクタンスレギュレーターもしくはレギュレーター活性の能力がある変異(ΔF508 CFTRおよびG551D CFTRが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、CFTR変異については、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照のこと))を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「結晶性」とは、その構造ユニットが、固定した幾何パターンもしくは格子において配置され、その結果、結晶性固体が、硬い長距離秩序を有する化合物もしくは組成物をいう。上記結晶構造を構成する構造ユニットは、原子、分子、もしくはイオンであり得る。結晶性固体は、明確な融解点を示す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「分散物」とは、1つの物質、分散相が、不連続ユニットで、第2の物質(連続相もしくはビヒクル)全体を介して分配された分散系をいう。上記分散相のサイズは、かなり変動し得る(例えば、サイズがナノメートル寸法から複数ミクロンのコロイド性粒子)。一実施形態において、本発明の水性処方物は、水中の化合物1の分散物である。
【0024】
用語「調節する」とは、本明細書で使用される場合、測定可能な量によって、例えば、活性を増大もしくは減少させることを意味する。
【0025】
一局面において、本発明は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸 (化合物1)、水、および増粘剤を含む水性処方物に関する。
【0026】
別の実施形態において、化合物1は、Cu K α線照射を使用して得られたX線粉末回折において、15.2〜15.6度、16.1〜16.5度、および14.3〜14.7度における1つ以上のピークによって特徴付けられる。
【0027】
別の実施形態において、化合物1は、15.4度、16.3度、および14.5度における1つ以上のピークによって特徴付けられる。
【0028】
別の実施形態において、化合物1は、14.6〜15.0度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0029】
別の実施形態において、化合物1は、14.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0030】
別の実施形態において、化合物1は、17.6〜18.0度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0031】
別の実施形態において、化合物1は、17.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0032】
別の実施形態において、化合物1は、16.4〜16.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0033】
別の実施形態において、化合物1は、16.4〜16.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0034】
別の実施形態において、化合物1は、16.6度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0035】
別の実施形態において、化合物1は、7.6〜8.0度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0036】
別の実施形態において、化合物1は、7.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0037】
別の実施形態において、化合物1は、25.8〜26.2度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0038】
別の実施形態において、化合物1は、26.0度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0039】
別の実施形態において、化合物1は、21.4〜21.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0040】
別の実施形態において、化合物1は、21.6度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0041】
別の実施形態において、化合物1は、23.1〜23.5度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0042】
別の実施形態において、化合物1は、23.3度におけるピークによってさらに特徴付けられる。
【0043】
いくつかの実施形態において、化合物1は、図1のものに実質的に類似の回折パターンによって特徴付けられる。
【0044】
いくつかの実施形態において、化合物1は、図2のものに実質的に類似の回折パターンによって特徴付けられる。
【0045】
別の実施形態において、化合物1は、単斜晶系、P2/n 空間群、および以下の単位格子寸法:a=4.9626(7)Å;b=12.2994(18)Å;c=33.075(4)Å;α=90°;β=93.938(9)°;およびγ=90°を有する。
【0046】
別の実施形態において、上記増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリレート、ポビドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、トラガカントガム、およびケイ酸マグネシウムアルミニウムからなる群より選択される。別の実施形態において、上記増粘剤は、メチルセルロースである。
【0047】
別の実施形態において、化合物1の濃度は、約0.5〜約20重量%である。別の実施形態において、化合物1の濃度は、約1〜約10重量%である。別の実施形態において、化合物1の濃度は、約2.5〜約3.5重量%である。
【0048】
別の実施形態において、上記増粘剤の濃度は、約0.1〜約2重量%である。別の実施形態において、上記増粘剤の濃度は、約0.1〜約1重量%である。別の実施形態において、上記増粘剤の濃度は、約0.5重量%である。
【0049】
別の実施形態において、化合物1の濃度は、約0.5〜約20重量%であり;上記増粘剤の濃度は、約0.1〜約2重量%である。別の実施形態において、化合物1の濃度は、約1〜約10重量%であり;上記増粘剤の濃度は、約0.5〜約1重量%である。別の実施形態において、化合物1の濃度は、約2.5〜約3.5重量%であり;上記増粘剤の濃度は、約0.5重量%である。別の実施形態において、化合物1の濃度は、約0.5〜約20重量%であり;上記増粘剤は、約0.5重量%のメチルセルロースである。
【0050】
別の実施形態において、上記処方物のうちのいずれかは、界面活性剤をさらに含む。別の実施形態において、上記界面活性剤は、アニオン性、カチオン性もしくは非イオン性の界面活性剤である。別の実施形態において、上記界面活性剤は、ドデシル硫酸、ラウリル硫酸、ラウレス硫酸(laureth sulfate)、アルキルベンゼンスルホン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、およびドコサヘキサエン酸からなる群より選択されるアニオン性界面活性剤である。別の実施形態において、上記界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシル化タロウアミン、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウムからなる群より選択されるカチオン性界面活性剤である。別の実施形態において、上記界面活性剤は、ポリソルベート 20、ポリソルベート 40、ポリソルベート 60、ポリソルベート 65、ポリソルベート 80、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポロキサミン、アルキルポリグルコシド、オクチルグルコシド、デシルマルトシド、脂肪アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、およびコカミドTEAからなる群より選択される非イオン性界面活性剤である。別の実施形態において、上記界面活性剤は、ポリソルベート 80である。
【0051】
別の実施形態において、上記界面活性剤の濃度は、約0.1〜約10重量%である。別の実施形態において、上記界面活性剤の濃度は、約0.1〜約1重量%である。別の実施形態において、上記界面活性剤の濃度は、約0.5重量%である。別の実施形態において、上記界面活性剤は、約0.5重量%のポリソルベート 80である。
【0052】
別の実施形態において、上記処方物のうちのいずれかは、消泡剤をさらに含む。別の実施形態において、上記消泡剤は、ポリジメチルシロキサンを含む。別の実施形態において、上記消泡剤は、シメチコンである。
【0053】
別の実施形態において、上記消泡剤の濃度は、約0.01〜約0.2重量%である。別の実施形態において、上記消泡剤の濃度は、約0.01%〜約0.1重量%である。別の実施形態において、上記消泡剤の濃度は、約0.05重量%である。
【0054】
別の実施形態において、上記処方物のうちのいずれかは、緩衝化剤をさらに含む。別の実施形態において、上記緩衝化剤は、酢酸、ホウ酸、炭酸、リン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、酢酸、安息香酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルタル酸もしくはグルタミン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアンモニウム塩を含む。別の実施形態において、上記緩衝化剤は、クエン酸のナトリウム塩、カリウム塩、もしくはアンモニウム塩を含む。
【0055】
別の実施形態において、上記処方物のうちのいずれかは、マスキング剤および/もしくは矯味矯臭剤をさらに含む。
【0056】
別の局面において、本発明は、哺乳動物における嚢胞性線維症を処置するための方法に関し、上記方法は、上記化合物1の処方物のうちのいずれかを投与する工程を包含する。別の実施形態において、上記方法は、さらなる治療剤を投与する工程を包含する。別の実施形態において、上記さらなる治療剤は、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーター、および栄養剤からなる群より選択される。
【0057】
別の実施形態において、投与単位形態における化合物1の投与量は、約100mg〜約1,000mgである。別の実施形態において、化合物1の上記投与量は、約200mg〜約900mgである。別の実施形態において、化合物1の上記投与量は、約300mg〜約800mgである。別の実施形態において、化合物1の上記投与量は、約400mg〜約700mgである。別の実施形態において、化合物1の上記投与量は、約500mg〜約600mgである。
【0058】
別の局面において、本発明は、上記化合物1の処方物のうちのいずれかおよびその使用説明書を含む薬学的パックもしくはキットに関する。
【0059】
別の局面において、本発明は、化合物1、水、メチルセルロース、ポリソルベート 80、およびシメチコンを含む経口用処方物に関する。
【0060】
別の実施形態において、化合物1は、約2.5%〜約3.5重量%の濃度において存在する。別の実施形態において、上記メチルセルロースは、約0.5重量%の濃度において存在する。別の実施形態において、上記ポリソルベート 80は、約0.5重量%の濃度において存在する。別の実施形態において、上記シメチコンは、約0.05重量%の濃度において存在する。
【0061】
本明細書で記載されるプロセスは、本発明の組成物を調製するために使用され得る。上記プロセスにおいて使用される成分の量および特徴は、本明細書で記載されるとおりである。
【0062】
(化合物1を調製するための方法)
化合物1は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸であり、一実施形態においては、スキーム1〜3に従って、酸クロリド部分とアミン部分とをカップリングすることによって調製され得る。形態Iにある化合物1は、一実施形態において、有効な時間量にわたって3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の塩形態(例えば、HCl)を、適切な溶媒中に分散もしくは溶解させることから調製される。別の実施形態において、形態Iにある化合物1は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)−t−ブチルベンゾエートおよび適切な酸(例えば、ギ酸)から直接形成される。
【0063】
スキーム1.酸クロリド部分の合成
【0064】
【化2】

スキーム2.アミン部分の合成
【0065】
【化3】

スキーム3.3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の酸塩の形成
【0066】
【化4】

出発点として、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の、(例えば、HCl)塩形態を使用して、化合物1は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の上記HCl塩形態を、適切な溶媒中で、十分な時間量にわたって分散もしくは溶解させることによって、高収率において形成され得る。3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の他の形態が使用され得る(例えば、他の無機酸形態もしくは有機酸形態)。上記他の塩形態は、t−ブチルエステルの、対応する酸での加水分解から生じる。他の酸/塩形態としては、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸、安息香酸、マロン酸などが挙げられる。3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の塩形態は、使用される溶媒に依存して、可溶性であるかもしれないし可溶性でないかもしれないが、可溶性の欠如は、化合物1の形成を妨げない。例えば、一実施形態において、上記適切な溶媒は、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸のHCl塩形態が、水中での溶解性が不十分に過ぎないとしても、水もしくはアルコール/水混合物(例えば、約50% メタノール/水混合物)であり得る。一実施形態において、上記適切な溶媒は水である。
【0067】
3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の塩形態から化合物1を形成するための有効な時間量は、約1〜24時間の間のいずれかの時間であり得る。一般に、24時間より長い時間は、高収率(〜98%)を得るためには必要でないが、特定の溶媒は、より長い時間量を要し得る。必要とされる時間量は、一般に、上記温度に対して逆比例する(inversely proportional)こともまた、認められる。すなわち、上記温度が高くなるほど、酸を解離して(dissociation of acid)化合物1を形成するのに作用するために必要とされる時間は少なくなる。上記溶媒が水である場合、室温において約24時間にわたって上記分散物を攪拌すると、約98%収率において化合物1が得られる。3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の塩形態の溶液が、処理目的で望まれる場合、高温および有機溶媒が使用され得る。上記溶液を、有効な時間量にわたって高温において攪拌した後、冷却した際の再結晶化は、実質的に純粋な形態の化合物1を生じる。一実施形態において、実質的に純粋とは、約90%より高い純度に言及する。別の実施形態において、実質的に純粋とは、約95%より高い純度に言及する。別の実施形態において、実質的に純粋とは、約98%より高い純度に言及する。別の実施形態において、実質的に純粋とは、約99%より高い純度に言及する。上記選択される温度は、使用される溶媒に一部依存し、当業者が決定する十分範囲内である。一実施形態において、上記温度は、室温〜約80℃の間である。別の実施形態において、上記温度は、室温〜約40℃の間である。別の実施形態において、上記温度は、約40℃〜約60℃の間である。別の実施形態において、上記温度は、約60℃〜約80℃の間である。
【0068】
いくつかの実施形態において、化合物1は、有機溶媒からの再結晶化によってさらに精製され得る。有機溶媒の例としては、トルエン、クメン、アニソール、1−ブタノール、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルt−ブチルエーテル、メチルイソブチルケトン、もしくは1−プロパノール/水(種々の比率で)が挙げられるが、これらに限定されない。温度は、上記に記載されるように使用され得る。例えば、一実施形態において、化合物1は、完全に溶解されるまで、約75℃において1−ブタノール中で溶解される。上記溶液を、約0.2℃/分の速度で約10℃へと冷却すると、化合物1の結晶が得られ、これは、濾過によって単離され得る。
【0069】
(使用、処方物および投与)
(水性処方物)
本発明の一局面において、水性処方物が提供され、ここでこれら処方物は、本明細書に記載される化合物1、水、および増粘剤を含み、必要に応じて、他の薬剤(例えば、界面活性剤、消泡剤、味覚マスキング剤、および/もしくは矯味矯臭剤(flavorant)、ならびにさらなる薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントもしくはビヒクルを含む。特定の実施形態において、これら処方物は、必要に応じて、1種以上のさらなる治療剤をさらに含む。
【0070】
化合物1が、薬学的に受容可能な誘導体もしくはそのプロドラッグとして存在し得ることもまた、認識される。本発明によれば、薬学的に受容可能な誘導体もしくはプロドラッグとしては、エステル、このようなエステルの塩、または任意の他の付加物もしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されず、これを必要とする患者に投与する際に、直接的にもしくは間接的に、本明細書で記載されるもの以外の化合物、またはこれらの代謝産物もしくは残渣を提供し得る。
【0071】
(1.増粘剤)
上記増粘剤は、薬学的に受容可能な増粘剤(例えば、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、ポビドン、アラビアガム、グアーガム、トラガカントガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、およびポリアクリレートか)から選択される。好ましい増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリレート、ポビドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムおよびトラガカントガムを含む。特に好ましい増粘剤は、メチルセルロース、ポリアクリレート、キサンタンガム、グアーガム、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびケイ酸マグネシウムアルミニウムである。特に好ましい増粘剤は、メチルセルロースである。
【0072】
本発明の経口用処方物は、一般に、約0.1〜約20重量%の増粘剤を含む。好ましい実施形態において、上記増粘剤の濃度は、約0.1〜約1重量%である。特に好ましい実施形態において、上記増粘剤の濃度は、約0.5重量%である。
【0073】
(2.界面活性剤)
界面活性剤は、水および有機化合物(例えば、化合物1)との間の表面張力を、上記水−化合物1の界面において吸着することによって、低下させる。界面活性剤は、化合物1の湿潤性を増大させ、その水性懸濁物の安定性の原因となる。界面活性剤は、しばしば、4つの主なグループに分類される;アニオン性、カチオン性、非イオン性、および双性イオン性(二重電荷)。好ましい実施形態において、上記界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、もしくは非イオン性界面活性剤である。
【0074】
アニオン性界面活性剤としては、ドデシル硫酸、ラウリル硫酸、ラウレス硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、もしくはドコサヘキサエン酸の塩から選択され得る。
【0075】
カチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシル化タロウアミン、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウムから選択され得る。
【0076】
非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポロキサミン、アルキルポリグルコシド、オクチルグルコシド、デシルマルトシド、脂肪アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、およびコカミドTEAから選択され得る。用語「ポリソルベート」は、Handbook Of Pharmaceutical Excipients(Ainley Wade and Paul Wellerによって編集),The Pharmaceutical Press,London,1994において開示されかつ定義されているように、その分野で認識されている意味(すなわち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)に関して使用される。有用なポリソルベートとしては、ポリソルベート 20、21、40、60、61、65、80、81、85、および120が挙げられる。ポリソルベート 80が好ましい。ポリソルベート 80はまた、その市販されている商用名「Tween80」として一般に言及される。
【0077】
本発明の経口用処方物は、一般に、約0.1〜約10重量%の界面活性剤を含む。好ましい実施形態において、上記界面活性剤の濃度は、約0.1〜約1重量%である。特に好ましい実施形態において、上記界面活性剤の濃度は、約0.5重量%である。
【0078】
(3.消泡剤)
その名称が示唆するように、消泡剤は、泡の形成を阻害する化学添加剤である。消泡剤は、膨張を軽減するために、薬学的組成物において医薬として使用される。なぜなら、消泡剤は、小さな泡を大きな泡へと合体させ、このことは、より容易に通過させる(which are passed more easily)。多くの消泡剤は、ポリジメチルシロキサンを含む。よく知られている例は、薬物シメチコンであり、シメチコンは、薬物(例えば、Gas−XTM)中の活性成分である。シメチコンは、ポリジメチルシロキサンおよびシリカゲルの混合物である。
【0079】
本発明の経口用処方物は、一般に、約0.01〜約0.2重量%の消泡剤を含む。好ましい実施形態において、上記消泡剤の濃度は、約0.01%〜約0.1重量%である。特に好ましい実施形態において、上記消泡剤の濃度は、約0.05重量%である。
【0080】
(4.緩衝化剤)
緩衝化剤は、緩衝化溶液を含む弱酸もしくは弱塩基のいずれかであり得る。これら薬剤は、酸性条件もしくは塩基性条件に置かれるべき物質に添加されて、上記物質を安定化する。本発明の経口用処方物のための適切な緩衝化剤は、酢酸、ホウ酸、炭酸、リン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、酢酸、安息香酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルタル酸もしくはグルタミン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアンモニウム塩から選択され得る。好ましい実施形態において、上記緩衝化剤は、クエン酸のナトリウム塩、カリウム塩、もしくはアンモニウム塩を含む。
【0081】
(5.味覚マスキング剤および/もしくは矯味矯臭剤)
先に述べられるように、化合物1の経口用処方物中に味覚マスキング剤を含めることは有利である。このような味覚マスキング剤は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のクロリド(塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムを含む)である。塩化ナトリウムが好ましい。上記味覚マスキング剤は、一般に、上記懸濁物の重量に基づいて、味覚マスキング剤として、味覚をマスキングする量(taste−masking amount)において、一般に、約0.5〜約2.0重量%の量において、上記懸濁物中に含まれる。他の塩については、等モル量が計算され得る。他の味覚マスキング剤としては、糖が挙げられる(他の甘味剤および/もしくは矯味矯臭剤の存在ありまたはなしで)。使用される場合、矯味矯臭剤は、合成フレーバーオイルおよび風味付け香料(flavoring aromatic)および/もしくは天然油、植物の葉、花、実などからの抽出物、ならびにこれらの組み合わせから選択され得る。これらは、シナモン油、ウィンターグリーン油、ペパーミント油、クローブ油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、シダーリーフ油、ナツメグ油、セージ油、ビターアーモンド油、およびカシア油を含み得る。バニラ、柑橘油(レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツが挙げられる)およびフルーツエッセンス(リンゴ、バナナ、洋なし、桃、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、スモモ、パイナップル、アプリコットなどが挙げられる)は、矯味矯臭剤(flavor)としても有用である。矯味矯臭剤の量は、多くの要因(望ましい感覚器刺激効果が挙げられる)に依存し得る。一般に、上記矯味矯臭剤は、全懸濁物重量に基づいて、約0.01〜約1.0重量%の量において存在する。
【0082】
上記のように、本発明の処方物は、水の他に、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、もしくはビヒクルを含み、これらとしては、本明細書で使用される場合、所望される特定の投与形態に適切である場合、任意のおよび全ての溶媒、希釈剤、もしくは他の液体ビヒクル、分散補助剤もしくは懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、濃化剤もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などが挙げられる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物を処方する際に使用される種々のキャリア、およびそれらの調製のための公知の技術を開示している。任意の従来のキャリア媒体が、本発明の化合物と不適合である(例えば、任意の望ましくない生物学的効果も生じることによって、さもなければ、薬学的に受容可能な組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することによって)範囲を除いて、その使用は、本発明の範囲内にあると企図される。薬学的に受容可能なキャリアとして働き得る物質のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、カカオ脂および坐剤用ワックス);油(例えば、落花生油、綿実油、;紅花油;ごま油;オリーブ油;コーン油および大豆油);グリコール(例えば、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル);寒天;アルギン酸;発熱物質非含有水;等張性生理食塩水;リンゲル溶液;およびエチルアルコール、ならびに他の非毒性の適合性滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられるが、これらに限定されず、同様に、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、芳香剤、保存剤および抗酸化剤はまた、処方者の判断に従って、上記組成物中に存在し得る。
【0083】
(化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用)
さらに別の局面において、本発明は、CFTRによって影響を与えられる状態、疾患もしくは障害を処置するための方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、CFTR活性の欠損によって影響を及ぼされる状態、疾患もしくは障害を処置するための方法を提供し、上記方法は、本明細書に記載される化合物1を含む経口用処方物を、被験体(好ましくは、哺乳動物)に投与する工程を包含する。
【0084】
「CFTR媒介性疾患」とは、本明細書で使用される場合、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性血色素症、凝固−線溶系欠損(例えば、プロテインC欠損、1型 遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポ蛋白血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス)、クリグラー・ナジャー II型、多腺性内分泌不全症(Polyendocrinopathy)/高インスリン血症(Hyperinsulemia)、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシス(Glycanosis)CDG1型、遺伝性気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損、尿崩症(DI)、神経生理学的(Neurophyseal)DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(polyglutamine neurological disorder)(例えば、ハンチントン、脊髄小脳変性症 I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋硬直性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群)、COPD、ドライアイ疾患、およびシェーグレン病)から選択される疾患である。
【0085】
特定の実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるCFTR媒介性疾患を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記哺乳動物に、有効量の、本明細書に記載される化合物1を含む組成物を投与する工程を包含する。
【0086】
代替の好ましい実施形態によれば、本発明は、ヒトにおける嚢胞性線維症を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記ヒトに、本明細書に記載される化合物1を含む経口用処方物を投与する工程を包含する。
【0087】
本発明によれば、化合物1の経口用処方物の「有効量」とは、上記疾患のうちのいずれかを処置するかもしくはその重篤度を軽減するために有効な量である。
【0088】
特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の経口用処方物は、呼吸器および非呼吸器の上皮の先端膜において残っているCFTR活性を示す患者における嚢胞性線維症を処置するか、もしくはその重篤度を軽減するために有用である。上記上皮表面において残っているCFTR活性の存在は、当該分野で公知の方法(例えば、標準的な電気生理学的技術、生化学的技術、もしくは組織化学的技術)を使用して、容易に検出され得る。このような方法は、インビボもしくはエキソビボでの電気生理学的技術、汗もしくは唾液のCl濃度の測定、または細胞表面密度をモニターするために、エキソビボでの生化学的もしくは組織化学的技術を使用して、CFTR活性を同定する。このような方法を使用して、残っているCFTR活性は、種々の異なる変異についてヘテロ接合性もしくはホモ接合性の患者(最も一般的な変異であるΔF508についてホモ接合性もしくはヘテロ接合性の患者を含む)において容易に検出され得る。
【0089】
一実施形態において、本明細書に記載される化合物1の経口用処方物は、残っているCFTR活性を示す特定の遺伝子型(例えば、クラスIII変異(調節もしくはゲート開閉が損なわれている)、クラスIV変異(コンダクタンスが変化している)、もしくはクラスV変異(合成が低下している)(Lee R.Choo−Kang,Pamela L.,Zeitlin,Type I,II,III,IV,and V cystic fibrosis Tansmembrane Conductance Regulator Defects and Opportunities of Therapy;Current Opinion in Pulmonary Medicine 6:521−529,2000))内の患者における嚢胞性線維症を処置するかもしくはこれらの重篤度を軽減するために有用である。残っているCFTR活性を示す他の患者遺伝子型は、これらのクラスのうちの1つについてホモ接合性であるか、または変異の任意の他のクラス(クラスI変異、クラスII変異、もしくは分類がない変異を含む)とヘテロ接合性である患者を含む。
【0090】
一実施形態において、本明細書に記載される化合物1の経口用処方物は、特定の臨床表現型(例えば、代表的には、上皮の先端膜において残っているCFTR活性の量と相関する中程度から軽度の臨床表現型)内の患者における嚢胞性線維症を処置するかもしくはその重篤度を軽減するために有用である。このような表現型は、膵機能不全を示す患者、または突発性膵炎および先天性両側精管欠損症、または軽度の肺疾患を有すると診断された患者を含む。
【0091】
必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢、および全般的な健康状態、感染の重篤度、特定の薬剤、投与様式などに依存して、被験体間で変動する、本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投与の均質性のために、投与単位形態において処方される。表現「投与単位形態」とは、本明細書で使用される場合、処置されるべき患者にとって適切な、薬剤の物理的に別個の単位に言及する。しかし、本発明の化合物および組成物の合計1日使用量は、妥当な医学的判断の範囲兄で、主治医によって決定されることが理解される。任意の特定の患者もしくは生物についての特定の有効用量レベルは、種々の要因(処置されている障害および上記障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;上記患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;投与の時間、投与経路、および上記使用される特定の化合物の排出時間;処置の期間;上記使用される特定の化合物と組み合わせてもしくは同時に使用される薬物、ならびに医療分野において周知の類似の要因が挙げられる)に依存する。用語「患者」とは、本明細書で使用される場合、動物、好ましくは、哺乳動物、および最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0092】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、望ましい治療効果を得るために、1日に1回以上、1日あたり、被験体の体重の約0.01mg/kg〜約50mg/kg、および好ましくは、約1mg/kg〜約25mg/kgの投与レベルにおいて経口投与され得る。
【0093】
特定の実施形態において、投与単位形態における化合物1の投与量は、約100mg〜約1,000mgである。別の実施形態において、化合物1の投与量は、約200mg〜約900mgである。別の実施形態において、化合物1の投与量は、約300mg〜約800mgである。別の実施形態において、化合物1の投与量は、約400mg〜約700mgである。別の実施形態において、化合物1の投与量は、約500mg〜約600mgである。
【0094】
本明細書に記載される化合物1の経口用処方物が、併用治療において使用され得る(すなわち、化合物1の経口用処方物が、1種以上の他の望ましい治療剤もしくは医学的手順と同時に、その前に、またはその後に投与され得る)こともまた、認識される。併用レジメンにおいて使用するための特定の治療(治療剤もしくは手順)の組み合わせは、望ましい治療剤および/もしくは手順の適合性、ならびに達成されるべき望ましい治療効果を考慮にいれる。使用される治療剤が、同じ障害に対して望ましい効果を達成し得る(例えば、本発明の化合物が、上記同じ障害を処置するために使用される別の薬剤と同時に投与され得る)か、または使用される治療剤が、異なる効果(例えば、任意の有害な効果の制御)を達成し得ることもまた、認められる。本明細書で使用される場合、特定の疾患、もしくは状態を処置もしくは予防するために通常投与されるさらなる治療剤は、「処置されている上記疾患もしくは状態に適している」として知られている。
【0095】
一実施形態において、上記さらなる薬剤は、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーター、もしくは栄養剤から選択される。
【0096】
別の実施形態において、上記さらなる薬剤は、ゲンタマイシン、クルクミン、シクロホスファミド、4−フェニルブチレート、ミグルスタット、フェロジピン、ニモジピン、フィロキシン B、ゲニステイン(geniestein)、アピゲニン、cAMP/cGMPモジュレーター(例えば、ロリプラム、シルデナフィル、ミルリノン、タダラフィル、アムリノン、イソプロテレノール、アルブテロール、およびアルメテロール、デオキシスペルグアリン、HSP 90インヒビター、HSP 70インヒビター、プロテアソームインヒビター(例えば、エポキソマイシン(epoxomicin)、ラクタシスチンなど)から選択される化合物である。
【0097】
別の実施形態において、上記さらなる薬剤は、WO 2004028480、WO 2004110352、WO 2005094374、WO 2005120497、もしくはWO 2006101740において開示される化合物である。
【0098】
別の実施形態において、上記さらなる薬剤は、CFTR調節活性を示すベンゾ(c)キノリジニウム誘導体、またはCFTR調節活性を示すベンゾピラン誘導体である。
【0099】
別の実施形態において、上記さらなる薬剤は、US7202262、US6992096、US20060148864、US20060148863、US20060035943、US20050164973、WO2006110483、WO2006044456、WO2006044682、WO2006044505、WO2006044503、WO2006044502、もしくはWO2004091502において開示される化合物である。
【0100】
別の実施形態において、上記さらなる薬剤は、WO2004080972、WO2004111014、WO2005035514、WO2005049018、WO2006002421、WO2006099256、WO2006127588、もしくはWO2007044560において開示される化合物である。
【0101】
別の実施形態において、上記さらなる薬剤は、米国特許出願第11/165,818号(米国特許出願公開第2006/0074075号(2005年6月24日出願)として公開され、その全体が本明細書に参考として援用される)において開示される化合物から選択される。別の実施形態において、上記さらなる薬剤は、N−(5−ヒドロキシ−2,4−ditert−ブチル−フェニル)−4−オキソ−1H−キノリン−3−カルボキサミドである。これら組み合わせは、嚢胞性線維症を含む、本明細書に記載される疾患を処置するために有用である。これら組み合わせはまた、本明細書に記載されるキットにおいても有用である。
【0102】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療剤の量は、唯一の活性薬剤としてその治療剤を含む組成物において通常投与される量に過ぎない。好ましくは、本開示の組成物中のさらなる治療剤の量は、唯一の治療上活性な薬剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量のうちの約50%〜100%の範囲に及ぶ。
【0103】
(毒性学)
(要旨)
意図された臨床的投与経路は経口であるので、経口毒性研究を、マウス、ラットおよびイヌにおいて行った。以下の節、単一用量毒性研究は、行われた毒性研究をまとめる:化合物1の経口用処方物の急性経口毒性を、化合物1の単一用量、続いて、14日間の観察期間を与えたマウスおよびラットにおいて評価した。反復経口投与の効果を、予備的な7日間毒性研究、その後、14日間GLP1毒性研究において、ラットおよびイヌにおいて評価した。ラットにおいて、最大600mg/kg/日までが、毒性効果なしに許容された。イヌにおいては、最大200mg/kg/日までが、毒性効果なしに許容された。
【0104】
マウスおよびラットにおける最大2000mg/kgまでの化合物1の経口用処方物の1回経口用量(20mL/kgの全用量容積、0.5% Tween80+水中で0.5% MCにおける懸濁物として処方される)は、予定外の死亡を生じ、投与後の14日間の観察期間の間の顕著な臨床的観察を生じず、十分に許容されるとみなされた。器官重量に対する影響も、剖検時に認められた肉眼的な所見(顕微鏡的所見)もなかった。
【0105】
化合物1の経口用処方物は、7日間および14日間両方の反復用量経口毒性研究において十分に許容された。ラット(最大600mg/kg/日までの投与量)およびイヌ(最大200mg/kg/日まで)において、唯一の知見は、試験した最大用量におけるわずかな臨床的な化学的パラメーターおよび血液パラメーターに対する軽度の効果であった。これらの変化のいずれも、有害であるとはみなされず、いずれの種における光学顕微鏡的病変に、化合物1は優位に関連しなかった。さらに、ECG追跡(イヌ)および眼科的実験(両方の種)は全て、正常な限度範囲内であった。低い前立腺重量:体重比および前立腺:脳の重量比(全ての用量レベルにおいて52〜62%)が、14日間研究において、化合物1雄性イヌ 対 対応するビヒクルコントロール群について観察された。しかし、上記器官における光学顕微鏡的変化の非存在下では、これは、化合物1の直接的な影響とみなされず、この研究において使用した若い動物の性的未成熟さに起因した偽の結果である可能性があった。有害効果レベル(NOAEL)を観察しなかったので、両方の種において試験した最高用量を考慮した:ラットにおいて600mg/kg/日およびイヌにおいて200mg/kg/日。
【0106】
遺伝的毒物学についての可能性を、標準的なGLP細菌変異(Ames)アッセイ、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)染色体異常型アッセイ、およびインビボマウス小核アッセイを使用して、試験した:化合物1は、全ての試験において陰性であった。安全性薬理学研究からのデータ(ICH S7A/S7Bバッテリー)は、化合物1の経口用処方物が、CF患者の処置において、胃腸系、呼吸器系、CNS系もしくは心血管系に悪影響を引き起こさないようであることを示唆する。上記予備的7日間毒性研究を除いて、全ての研究を、GLP規則に従って行った。
【0107】
(インビトロ研究)
化合物1を、放射性標識結合研究を使用して、広い範囲の酵素およびレセプターに対して対比スクリーニングした(MDS Pharma Services,LeadProfiling and SpectrumScreen,MDSPS PT#: 1083321を参照のこと)。結合活性を、約3μMのKiで、Thromboxane A2(TXA2)レセプター(TPレセプター)についてのみ観察した。ラット大動脈を使用する、TPレセプター機能のインビトロ機能アッセイにおいて、化合物1が、1〜10μMの間のIC50を有するTPレセプターアンタゴニストであることを実証した。しかし、心血管系も呼吸器系も、安全性薬理学研究において知見は認められなかった。このことは、化合物1が、ラットにおいて最大1000mg/kgまでおよびイヌにおいて最大200mg/kgまでの経口用量における非常に高い全身曝露を達成したにも拘わらず、インビボでのTPレセプターアンタゴニスト効果を有さないことを示唆する。
【0108】
CF患者において、血小板凝集性およびTXA2放出が増大し、このことは、気管支収縮の病因に寄与し得る(O’Sullivanら,(2005)Blood 105:4635、Steadら,(1987)Prostaglandins Leukot Med 26:91)。化合物1の上記潜在的なTPレセプター拮抗作用は、TXA2誘導性の気管支収縮を妨げることによって、CF患者において治療的効果を提供し得る。
【0109】
化合物1の、hERG(膜再分極を担う心臓K+チャネル)に対する効果を、種々の電気生理学的技術を使用して分析した。これらアッセイのうちのいずれかにおいて、30μM未満のhERG IC50値の証拠は存在しなかった。このことは、hERGチャネル競合結合の欠如と一致している(10μMにおいて3H−アステミゾール結合の4%阻害)。これら知見は、hERG阻害およびその関連するインビボでのQT延長についての可能性が低いことを示唆する。
【0110】
(1回投与毒性研究)
マウスおよびラットにおける500、1000、もしくは2000mg/kg 化合物1の1回経口用量(20mL/kgの全用量容積、0.5% Tween80+水中0.5% MCにおける懸濁物として調製)は、予定外の死亡を生じ、投与後の14日間の観察期間の間の顕著な臨床的観察を生じず、十分に許容されるとみなされた。器官重量に対する影響も、剖検時に認められた肉眼的な所見(顕微鏡的所見)もなかった。ラットおよびマウスにおける急性研究において、最大許容用量(MTD)および有害効果が観察されないレベル(NOAEL)の両方が、>2000mg/kgであるとみなされた。
【0111】
両方の種についてのMTD/NOAELにおける平均毒物動態パラメーターを、表1においてまとめる。
【0112】
【表1】

化合物1は、マウスにおいて十分吸収され、最大血漿濃度(tmax)に達する時間は、0.5〜2.0時間の範囲に及んだ。最大血漿濃度(Cmax)およびAUC0〜24時間は、用量が増大するにつれて増大したが、用量比例様式より小さかった。Cmaxは、500mg/kgの雄性において142mg/mLから2000mg/kgの雌性において325mg/mLまでの範囲に及んだ一方で、AUC0〜24時間は、500mg/kgの雌性において1837mg*hr/mLから2000mg/kgの雌性において2899mg*hr/mLまでの範囲に及んだ。上記Cmax値に達した後、化合物1濃度は、血漿から着々と減少し、化合物1の観察された排出半減期(t1/2)値は、4.1〜8.6時間の範囲に及んだ。t1/2における明らかな性別差は存在せず、t1/2は、500mg/kgから1000mg/kgの用量へ増大するとともに増大した。2000mg/kgへの用量のさらなる増大は、排出半減期を変化させなかった。このことは、吸収限界のクリアランスプロセスの飽和を示唆する。化合物1曝露において性別関連の顕著な効果は認められなかった。
【0113】
化合物1はまた、ラットにおいて十分に吸収され、最大血漿濃度(tmax)に達する時間は、4.0〜24.0時間時間の範囲に及んだ。最大血漿濃度(Cmax)およびAUC0〜24時間は、用量を増大させると増大したが、AUC0〜24時間値が雄性ラットにおいて観察されたことを除いて、用量比例様式より少なかった。Cmaxは、500mg/kgの雄性における135mg/mLから2000mg/kgの雄性における306mg/mLまでの範囲に及んだ一方で、AUC0〜24時間は、500mg/kgの雄性における1389mg*hr/mLから2000mg/kgの雌性における6750mg*hr/mLまでの範囲に及んだ。上記Cmax値に達した後に、化合物1濃度は、血漿から着々と減少し、化合物1の上記観察された排出半減期(t1/2)値は、9.4〜10.8時間の範囲に及んだ。上記排出半減期は、化合物1の1000mg/kg用量および2000mg/kg用量においては計算できなかった。2倍より高い値が、雌性 対 雄性において認められた500mg/kg用量群におけるAUC0〜24時間値を除いて、化合物1曝露における顕著な性別関連効果は認められなかった。
【0114】
(反復用量毒性研究)
7日間および14日間の反復用量経口毒性研究を、ラット(最大600mg/kg/日まで)およびイヌ(最大200mg/kg/日まで)において行った。
【0115】
化合物1は、最大300mg/kg/日までの用量レベルでのラットにおける7日間の用量範囲発見研究において十分許容された。上記動物に、ビヒクル(水中0.5% メチルセルロース)、もしくは15mg/kg、75mg/kg、もしくは150mg/kgの化合物1を1日2回、連続7日間にわたって経口投与した。上記1日2回の用量を、約10時間の間隔を空けて投与し、上記用量容積は、全ての用量群について5mL/kg/b.i.d.であった。上記投与期間の最後に、全ての動物を安楽死させ、剖検した。補欠の動物(Satellite animal)(6/性/群2〜4)に、毒性動物と同じ様式において投与し、血漿サンプルを、1日目および7日目に、毒物動態(TK)分析のために集めた。上記研究の間に評価したパラメーターは、以下であった:生存性、臨床的観察、体重、飼料消費量、臨床症状(結末)、器官重量、肉眼観察および顕微鏡的病理。全ての動物は、上記研究が終わるまで生存していた。
【0116】
1日目の血漿AUC0〜24時間データは、以前に行った、ラットにおける化合物1の単一用量研究と一致していた。近似的な用量比例曝露は、両方の研究日数での全ての用量レベルにおいて両方の性別において認められ、顕著な性別による効果は認められなかった。最大投与量(300mg/kg/日)において、平均血漿濃度は、雄性において約260mM(Cmax 約430mM)および雌性において190mM(Cmax 約280mM)であった。
【0117】
上記研究における知見は、上記300mg/kg/日 雌性における低血清カリウム、および300mg/kg/日 動物における体重に対する微小な効果(両方の性別)に限定された。さらに、300mg/kg/日 化合物1において投与した雄性は、尿pHのわずかな増加およびより高い副腎重量を有した。これらの変化は、有害であるとはみなされず、上記試験した組織のうちのいずれかにおいても、肉眼的病変もしくは組織病理学的所見に関連する試験事項はなかった。従って、この研究の条件下では、上記NOAELは、300mg/kg/日であった。
【0118】
同様に、上記14日間のラット研究における唯一の知見は、150mg/kg/日、300mg/kg/日、および600mg/kg/日(5mL/kgの全用量体積、0.5% Tween80+水中0.5% MCにおける懸濁物として処方され、1日に1回経口で与えられる)の用量において、ALTレベル(23%〜46% 増大)、全ビリルビン(0%〜54% 増大)、総コレステロール(21〜45% 増大)、赤血球(RBC)パラメーター(全ヘモグロビン、ヘマトクリット、およびRBC数は、4〜8%減少)に対して軽度の影響があった一方で、血球数およびリンパ球数(27〜64% 増大)、および網状赤血球数(23〜32% 増大)は、最高用量においてのみであった。これらの変化のいずれも有害であるとはみなされず、光学顕微鏡で検鏡した40個より多い器官および組織のいずれにおいても、化合物1に関連した顕著な知見はなかった。従って、ラットへの化合物1の14日間の毎日の経口投与の後に、上記NOAELは、試験した最高用量である、600mg/kg/日であるとみなされた。
【0119】
化合物1はまた、最大100mg/kg/日までの用量レベルにおいて、イヌにおける7日間の用量範囲発見研究で十分に許容された。一方の性別につき1匹のイヌに、ビヒクル(0.5% メチルセルロース+水中0.5% Tween80)、または25mg/kg/日、50mg/kg/日、もしくは100mg/kg/日の化合物1を、連続7日間経口投与した。上記用量容積は、全ての用量群について5mL/kg/日であった。血漿サンプルを、TK分析および生存性のために1日目および7日目に集め、臨床的観察、体重、資料消費量、臨床的病理(結末)、器官重量、肉眼的観察、および顕微鏡的病理を、評価した。全ての動物は、上記研究が終わるまで生存していた。
【0120】
1日目の血漿AUC0〜24時間データは、イヌにおける化合物1の以前に行った単一用量研究と一致していた。曝露は、一般に、両方の性別において用量を増大させると増大したが、その増大は、用量比例より小さく、顕著な性別の差異は認められなかった。上記最大容量(100mg/kg/日)において、平均血漿濃度は、雄性において16mM(Cmax 約110mM)および雌性において38mM(Cmax 約130mM)であった。
【0121】
この研究における知見は、臨床的化学パラメーターにおけるわずかなバリエーション、およびに100mg/kg/日 雄性における体重に対してわずかな効果(0.3kg 減少)に限定された。これらの変化は、有害であるとはみなされず、飼料消費量、血液学、凝固パラメーター、およびECG測定に対する影響は全くなく、試験した上記組織のいずれにおいても、肉眼的病変もしくは組織病理的知見に関連する試験事項はなかった。従って、この研究の条件下では、上記NOAELは、100mg/kg/日であった。
【0122】
同様に、14日間のイヌ研究における唯一の知見は、150mg/kg/日、300mg/kg/日および600mg/kg/日の用量(5mL/kgの全用量容積、0.5% Tween 80+水中0.5% MCにおける懸濁物として処方、1日に1回経口であたえられる)において、総コレステロール(21〜29% 低下)、トリグリセリド(44〜46% 低下)、およびRBCパラメーター(7〜14% 低下)に対して軽度の効果であった。ラット研究のように、これら変化は、有害であるとみなされず、光学顕微鏡による顕著な化合物1関連知見はなかった。さらに、ECG追跡および眼科学調査は、全て通常の限度内であった。低い前立腺重量:体重の比および前立腺:脳の重量比(全ての用量レベルにおいて52〜62%)は、14日間のイヌ研究において、全ての化合物1の雄性 対 その対応するビヒクルコントロール群について注目された。しかし、この器官における光学顕微鏡的変化の非存在かで、これは、化合物1の直接効果であるとはみなされず、この研究において使用された若い動物の性的未成熟さに起因した偽の結果であった可能性がある。上記イヌもしくはラットの14日間研究のいずれからも、光学顕微鏡により検鏡した器官および組織のいずれにおいても、顕著な試験事項に関連する知見はなかった。従って、イヌへの化合物1の毎日の経口投与の14日後、上記NOAELは、試験した最大投与量である200mg/kg/日であるとみなした。
【0123】
両方の種についての上記NOAELにおける平均毒物動態パラメーターを、表2にまとめる。上記反復用量毒性研究における全身曝露は、上記投与器官の間を通して、高く、かつ持続させた:上記それぞれのNOAELにおいて、平均CmaxおよびAUC0〜24時間値は、ラットにおいて222μg/mLおよび3951μg*hr/mL、ならびにイヌにおいて75mg/mLおよび645μg*hr/mLであった。雄性と雌性との間のTKパラメーターにおいて注意される大きな差異も、研究1日目と研究14日目を比較する場合にも、大きな差異はなかった。
【0124】
【表2】

遺伝毒性
化合物1は、上記最近変異(Ames)アッセイにおいて顕著な復帰変異を誘導せず、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞アッセイにおいて、染色体異常誘発能(染色体異常)について陰性であった。化合物1は、最大2000mg/kgまでの用量での経口摂取によって、雄性マウスに投与した場合(インビボ哺乳動物小核アッセイ)、小核化多染性赤血球の数の顕著な増加を誘導しなかった。
【0125】
(考察および結論)
化合物1の経口用処方物は、マウスおよびラットにおける急性毒性研究において、およびラットおよびイヌにおける反復同姓研究において十分に許容された。遺伝毒性の傾向は見いだされなかった。14日間の反復用量毒性研究におけるNOAELは、少なくとも、ラットにおいて600mg/kg/日、およびイヌにおいて200mg/kg/日であった。計算を体表面積に基づいて行うと、ヒトの等価な用量は、いずれのNOAELを使用しても、少なくとも95mg/kgである。60kgのヒトを仮定すると、これは、約5700mgの合計1日用量に等しい。
【0126】
安全域計算は、推定される有効血漿レベルを達成するために、NOAELおよび用量に基づき、上記レベルは、肺分布もしくは血漿タンパク質結合に関して調節されない。上記ラットにおける有効用量が、EC90レベルを達成しかつ維持するためのCtrough標的に基づいて、2.3mg/kg b.i.d.であると仮定すると、上記ラット NOAELから予測された安全域は、130×である。イヌにおける有効用量が、EC90レベルを達成しかつ維持するためのCtrough標的に基づいて、0.91mg/kg b.i.d.であると仮定すると、上記イヌNOAELから推定される安全域の範囲は、110×であると考えられる。
【0127】
(薬物動態および薬物代謝)
(要旨)
化合物1の薬物動態を、上記毒物学研究において使用した同じ種において評価した:CD−1マウス、Sprague Dawleyラットおよびビーグル犬。上記化合物1の薬物動態をまた、カニクイザルにおいて評価した。3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の結晶形態(遊離形態(化合物1)およびそのHCl塩)を、毒物学および薬物動態研究に使用した。
【0128】
上記ラットにおける、メチルセルロース懸濁物からの化合物1の吸収は優れており、47%〜100%の範囲に及ぶ。上記イヌにおける化合物1のバイオアベイラビリティーは、メチルセルロース懸濁物で経口投与された場合、10mg/kgにおいて53%および200mg/kgにおいて20%である。化合物1は、上記ラット、マウス、イヌおよびサルにおいて非常に低いクリアランスを有する。ラットもしくはイヌに経口投与された場合、化合物1の半減期は、5〜9時間である。メチルセルロース懸濁物で、ラットにおける化合物1への全身曝露は、上記1〜300mg/kgの名目上の用量範囲にわたって投与した用量に比例する。イヌにおいて、上記HCl塩として経口曝露された3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸への全身曝露は、1〜200mg/kgの用量範囲にわたって投与された用量に比例する。
【0129】
標識されていない化合物1の、ラットへの1回経口投与の後に、最高の分布は、肝臓、次に、肺、膵臓および脳への分布であった。組織 対 血漿比は、75mg/kgの経口投与後1時間において、それぞれ、0.73、0.19、0.13および0.02であった。化合物1の排泄は、投与(1μg/mL未満の濃度)の48時間後に、全ての組織からほぼ完全であった。上記肺への分布は、血漿に対して低いが、低用量および中用量において肺で測定された濃度は、有効であると推定される。
【0130】
(吸収)
3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の吸収を、メチルセルロース懸濁処方物での化合物1もしくはHCl塩の経口投与後に、ラットおよびイヌにおいて評価した。確認されていない研究グレードアッセイを、これらの分析のために使用した。全ての薬物動態研究を、別段特定されない限り、飼育動物を使用して行った。
【0131】
メチルセルロース懸濁物で化合物1を経口投与した雄性Sprague Dawleyラットにおいて、用量比例曝露が、血漿AUC0−INFおよびCmax値によって測定される場合、1〜300mg/kgの用量範囲にわたって認められた(表3)。600mg/kgにおいて、全身的な曝露における増大は、用量における増大に対する比例ほどでなかった。バイオアベイラビリティーは、ラットにおける1〜600mg/kg 経口用量範囲にわたって、47%〜100%の範囲に及んだ。このことは、上記化合物の優れた吸収を示す。
【0132】
5.9〜8.1時間の最終半減期(Terminal half−lives)を、1〜600mg/kg 経口用量範囲にわたって測定した。上記tmax値は、ラットにおいて研究した上記経口用量範囲にわたって、3.0〜4.7時間の範囲に及んだ。
【0133】
【表3】

3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸のHCl塩の経口薬物動態を、用量30mg/kgにおいて、雄性Sprague Dawleyラットにおいて給餌条件および絶食条件下で評価した(表4)。上記HCl塩の投与後の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HClへの全身的曝露は、給餌条件および絶食条件下で類似であり、給餌条件下で同じ用量レベルで、化合物1について得られた曝露に類似であった。上記給餌条件下でのCmax(36.1μg/mL)は、絶食条件下でのもの(52.3μg/mL)より低かった。このことは、おそらく、飼料の存在下では胃が空になっている時間が減少したことに起因した。上記HCl塩の経口投与後のtmaxは、給餌条件下で3.7時間および絶食条件下で3.3時間であった。このことは、給餌条件下で化合物1を経口投与した後の、3.0〜4.7時間のtmaxに類似であった。3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の最終半減期は、経口投与後の雄性ラットにおいて、5.9〜8.1時間(化合物1)もしくは5.4〜6.1時間(HCl塩)であった。
【0134】
【表4】

雄性ビーグル犬へ懸濁物で1回経口投与した後の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸についての薬物動態パラメーターは、表5に示される。3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸(HCl塩)を、0.5% メチルセルロース/水中で1〜10mg/kgの名目用量レベルにおいて最初に投与したが、このビヒクルでの曝露における変動性に起因して、0.5% ポリソルベート 80を、より高い用量レベルのために、上記処方物に添加した。0.5% ポリソルベート 80/0.5% メチルセルロース/水中の5〜200mg/kgの名目用量レベルにおいて、曝露は高くかつ200mg/kgに対して比較的用量比例的であった(表5)。その半減期は、両方のビヒクルにおいて研究した全ての用量に関して、4.9〜8.8時間の範囲に及んだ。バイオアベイラビリティーは、研究した全ての用量レベルにおいて、および両方の懸濁処方物において、24%〜49%の範囲に及んだ。
【0135】
【表5】

化合物1の経口薬物動態を、1回の10mg/kg投与後に、雄性ビーグル犬において給餌条件および絶食条件下で決定した(表6)。化合物1の血漿AUC0−INFは、上記絶食状態もしくは給餌状態において匹敵したが、絶食条件下でのCmax(7.9μg/mL)は、給餌条件下(4.1μg/mL)よりも高かった。上記tmaxは、上記給餌状態(2.7時間)においてより、上記絶食状態において投与後直ぐに生じた(1.5時間)。化合物1への上記全身曝露の変動性は、絶食条件下(AUC0−INFについて27%のCV)より、給餌条件下(AUC0−INFについ67%のCV)で高かった。このことは、おそらく、給餌条件下での胃が空になっている時間の変化に起因した。
【0136】
【表6】

化合物1および3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸のHCl塩を、雄性イヌへ200mg/kgにおいて経口投与した後、より高い全身性AUC0−INF値およびCmax値を、化合物1(それぞれ、288μg・時間/mLおよび52μg/mL)ではなく、そのHCl塩(それぞれ、755μg・時間/mLおよび133μg/mL)で観察した(表7)。3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸についての上記tmaxおよびt1/2は、化合物1およびHCl塩の投与後に類似であった(表7)。
【0137】
【表7】

(考察)
0.5% メチルセルロース/水懸濁物で75mg/kgにおいてラットへ経口投与した後、投与後1〜48時間における3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の組織−対−血漿濃度比は、肝臓(0.7〜1.8)で最高、次いで、肺(0.15〜0.35)、膵臓(0.12〜0.15)、および脳において最低(0.02)であった(表8,図14)。48時間において、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の濃度は極めて低く(1μg/mL未満)、このことは、 組織からのほぼ完全な排出を示す。測定された全ての組織からの3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の排出速度は、その血漿排出速度に類似であった(表9)。
【0138】
【表8】

【0139】
【表9】

本明細書に記載される発明が、十分に理解されうるように、以下の実施例が示される。これら実施例は、例示目的に過ぎず、いかなる様式においても本発明を限定すると解釈されるべきではないことが理解されるものとする。
【実施例】
【0140】
(方法および材料)
(示差走査熱量測定(DSC))
上記形態Iの示差走査熱量測定(DSC)データを、DSC Q100 V9.6 Build 290(TA Instruments,New Castle,DE)を使用した集めた。温度を、インジウムで較正し、熱容量を、サファイアで較正した。サンプル3〜6mgを、アルミニウムパンの中へ入れて秤量した。これらパンを、1個のピンホール付きのふたを使用してクリンプした。上記サンプルを、1.0℃/分の加熱速度において、かつ50ml/分の窒素ガスパージをしながら、25℃〜350℃でスキャンした。データを、Thermal Advantage Q SeriesTMバージョン2.2.0.248ソフトウェアによって集め、Universal Analysisソフトウェアバージョン4.1D(TA Instruments,New Castle,DE)によって分析した。報告された数字は、1回の分析を表す。
【0141】
(XRPD(X線粉末回折))
化合物1のX線回折(XRD)データを、HI−STAR 二次元検出器およびフラットグラファイトモノクロメータ−(flat graphite monochromator)を備えたBruker D8 DISCOVER粉末回折計で集めた。Kα照射でCuシールしたチューブを、40kV、35mAにおいて使用した。上記サンプルを、25℃のゼロバックグラウンドシリコンウェハの上に置いた。各サンプルについて、2回のデータフレームを、2つの異なるθ角:8°および26°において各々120秒間で集めた。上記データを、GADDSソフトウェアで積分し、DIFFRACTplusEVAソフトウェアで統合した。上記報告されたピーク位置の不確実性は、±0.2度である。
【0142】
Vitride(登録商標)(ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド[もしくはNaAlH(OCHCHOCH]、トルエン中65重量%溶液)を、Aldrich Chemicalsから購入した。
【0143】
2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸を、Saltigo(Lanxess Corporationの系列会社)から購入した。
【0144】
化合物名がその化合物の構造を正確に記載されていない可能性のある本願のどこかでは、上記構造が、その名称に取って代わり、適用される。
【0145】
(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HClの合成))
(酸クロリド部分)
((2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−メタノールの合成)
【0146】
【化5】

市販の2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸(1.0当量)を、トルエン(10容積)中でスラリーにする。Vitride(登録商標)(2当量)を、上記温度を15〜25℃において維持しながら、滴下漏斗(addition funnel)を介して一定速度で添加する。添加の最後に、上記温度を、2時間にわたって40℃へと上昇させ、次いで、10%(w/w) NaOH水溶液(4.0当量)を、上記温度を40〜50℃において維持しながら、滴下漏斗を介して注意深く添加する。さらに30分間攪拌した後、その層を、40℃において分離させる。その有機相を20℃へと冷却し、次いで、水(2×1.5容積)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して、粗製(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−メタノールを得る。これを、次の工程において直接使用する。
【0147】
(5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソールの合成)
【0148】
【化6】

(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−メタノール(1.0当量)を、MTBE(5容積)中に溶解する。触媒量のDMAP(1mol%)を添加し、SOCl(1.2当量)を、滴下漏斗を介して添加する。上記SOClを、上記反応器中の上記温度を、15〜25℃において維持しながら、一定速度で添加する。上記温度を、30℃へと1時間にわたって上昇させ、次いで、20℃へと冷却し、次いで、水(4容積)を、上記温度を30℃において維持しながら、滴下漏斗を介して添加する。さらに30分間攪拌した後、その層を分離させる。その有機層を攪拌し、10%(w/v) NaOH水溶液(4.4容積)を添加する。15〜20分間攪拌した後、その層を分離させる。次いで、その有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して、粗製5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソールを得る。これを、次の工程に直接使用する。
【0149】
((2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−アセトニトリルの合成)
【0150】
【化7】

DMSO(1.25容積)中の5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール(1当量)の溶液を、上記温度を30〜40℃の間に維持しながら、DMSO(3容積)中のNaCN(1.4当量)のスラリーに添加する。上記混合物を、1時間にわたって攪拌し、次いで、水(6容積)を添加し、続いて、MTBE(4容積)を添加する。30分間攪拌した後、その層を分離する。その水層を、MTBE(1.8容積)で抽出する。その合わせた有機層を、水(1.8容積)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して、粗製(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−アセトニトリル(95%)を得る。これを、次の工程において直接使用する。
【0151】
((2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリルの合成)
【0152】
【化8】

(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−アセトニトリル(1.0当量)、50重量% KOH水溶液(5.0当量)、1−ブロモ−2−クロロエタン(1.5当量)、およびOctNBr(0.02当量)の混合物を、70℃において1時間にわたって加熱する。上記反応混合物を、冷却し、次いで、MTBEおよび水で後処理する(work up)。その有機相を、水およびブラインで洗浄し、次いで、その溶媒を除去して、(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリルを得る。
【0153】
(1−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸の合成)
【0154】
【化9】

(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリルを、エタノール(5容積)中の6M NaOH(8当量)を使用して、80℃において一晩加水分解する。上記混合物を、室温へと冷却し、エタノールを、真空下でエバポレートする。その残渣を、水およびMTBEの中にとり、1M HClを添加し、その層を分離する。次いで、そのMTBE層を、ジシクロヘキシルアミン(0.97当量)で処理した。そのスラリーを、0℃へと冷却し、濾過し、ヘプタンで洗浄して、対応するDCHA塩を得る。上記塩を、MTBEおよび10% クエン酸の中にとり、全ての固体が溶解するまで攪拌する。その層を分離し、そのMTBE層を水およびブラインで洗浄した。溶媒をヘプタンに交換し、続いて、濾過し、真空オーブン中、50℃において一晩乾燥させた後、1−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸を得る。
【0155】
(1−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニルクロリドの合成)
【0156】
【化10】

1−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸(1.2当量)を、トルエン(2.5容積)中でスラリーにし、上記混合物を60℃へと加熱する。SOCl(1.4当量)を、滴下漏斗を介して添加する。上記トルエンおよびSOClを、30分後に上記反応混合物から蒸溜する。さらなるトルエン(2.5容積)を添加し、再び蒸溜する。
【0157】
(アミン部分)
(tert−ブチル−3−(3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾエートの合成)
【0158】
【化11】

2−ブロモ−3−メチルピリジン(1.0当量)を、トルエン(12容積)中に溶解する。KCO(4.8当量)を添加し、続いて、水(3.5容積)を添加し、上記混合物を、N流下で1時間にわたって、65℃へと加熱する。3−(t−ブトキシカルボニル)フェニルボロン酸(1.05当量)およびPd(dppf)Cl・CHCl(0.015当量)を、次いで添加し、上記混合物を、80℃へと加熱する。2時間後、蒸気過熱をやめ、水を添加し(3.5容積)、その層を分離させる。次いで、その有機相を水(3.5容積)で洗浄し、10% メタンスルホン酸水溶液(2当量 MsOH,7.7容積)で抽出する。その水相を、50% NaOH(2当量)水溶液で塩基性にし、EtOAc(8容積)で抽出する。その有機層を濃縮して、粗製tert−ブチル−3−(3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾエート(82%)を得る。これを、次の工程において直接使用する。
【0159】
(2−(3−(tert−ブトキシカルボニル)フェニル)−3−メチルピリジン−1−オキシドの合成)
【0160】
【化12】

tert−ブチル−3−(3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾエート(1.0当量)を、EtOAc(6容積)に溶解する。水(0.3容積)を添加し、続いて、尿素−過酸化水素(3当量)を添加する。上記フタル酸無水物(3当量)を固体として少しずつ添加して、上記反応器中の温度を45℃未満に維持する。フタル酸無水物の添加が完了した後、上記混合物を、45℃へと加熱する。さらに4時間攪拌した後、上記加熱をやめる。10% w/w NaSO水溶液(1.5当量)を、滴下漏斗を介して添加する。NaSO添加が完了した後、上記混合物をさらに30分間攪拌し、その層を分離する。その有機層を攪拌し、10% w/w NaCO水溶液(2当量)を添加する。さらに30分間攪拌した後、その層を分離させる。その有機相を13% w/v NaCl水溶液で洗浄する。次いで、その有機相を濾過し、濃縮して、2−(3−(tert−ブトキシカルボニル)フェニル)−3−メチルピリジン−1−オキシド(95%)を得る。これを、次の工程において直接使用する。
【0161】
(tert−ブチル−3−(6−アミノ−3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾエートの合成)
【0162】
【化13】

2−(3−(tert−ブトキシカルボニル)フェニル)−3−メチルピリジン−1−オキシド(1当量)およびMeCN(8容積)中のピリジン(4当量)の溶液を、70℃へと加熱する。MeCN(2容積)中のメタンスルホン酸無水物(1.5当量)の溶液を、上記温度を75℃未満において維持しながら、滴下漏斗を介して50分間にわたって添加する。上記混合物を、添加後さらに0.5時間攪拌する。次いで、上記混合物を周囲温度経と冷却させる。エタノールアミン(10当量)を、滴下漏斗を介して添加する。2時間攪拌した後、水(6容積)を添加し、上記混合物を、10℃へと冷却する。3時間以上にわたって攪拌した後、上記固体を濾過により集め、水(3容積)、2:1 MeCN/水(3容積)、およびMeCN(2×1.5容積)で洗浄する。上記固体を、50℃の真空オーブン中、わずかなNを流しながら一定重量(<1%の差)へと乾燥させて、tert−ブチル−3−(6−アミノ−3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾエートを赤−黄色固体として得る(53%収率)。
【0163】
(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)−t−ブチルベンゾエートの合成)
【0164】
【化14】

上記粗製酸クロリドを、トルエン(酸クロリドに基づいて2.5容積)中に溶解し、滴下漏斗を介して、トルエン(tert−ブチル−3−(6−アミノ−3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾエートに基づいて4容積)中の、tert−ブチル−3−(6−アミノ−3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾエート(1当量)、ジメチルアミノピリジン(DMAP,0.02当量)、およびトリエチルアミン(3.0当量)の混合物へと添加する。2時間後、水(tert−ブチル−3−(6−アミノ−3−メチルピリジン−2−イル)ベンゾエートに基づいて4容積)を、上記反応混合物に添加する。30分間攪拌した後、その層を分離する。次いで、その有機相を濾過し、濃縮して、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)−t−ブチルベンゾエート(定量的粗製収量)の粘稠性の油を得る。MeCN(粗製生成物に基づいて3容積)を添加し、結晶化が生じるまで蒸留する。水(粗製生成物に基づいて2容積)を添加し、上記混合物を2時間攪拌する。その固体を濾過によって集め、1:1(容積単位で)のMeCN/水(粗製生成物に基づいて2×1容積)で洗浄し、真空下で、上記フィルター上で部分的に乾燥させる。上記固体を、60℃の真空オーブン中で、わずかにNを流しながら一定重量へと乾燥させて(<1%の差)、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)−t−ブチルベンゾエートを褐色固体として得る。
【0165】
(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HCl塩の合成)
【0166】
【化15】

MeCN(3.0容積)中の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)−t−ブチルベンゾエート(1.0当量)のスラリーに、水(0.83容積)、続いて、濃HCl(0.83容積)を添加する。上記混合物を、45±5℃へと加熱する。24〜48時間にわたって攪拌した後、上記反応が完了し、上記混合物を周囲温度へと冷却させる。水(1.33容積)を添加し、上記混合物を攪拌する。上記固体を、濾過によって集め、水(2×0.3容積)で洗浄し、真空下で、上記フィルター上で部分的に乾燥させる。上記固体を、60℃の真空オーブン中、わずかにNを流しながら、一定重量(<1%の差)へと乾燥させて、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HClを灰白色固体として得る。
【0167】
(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸(化合物1)の合成)
【0168】
【化16】

水(10容積)中の、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HCl(1当量)のスラリーを、周囲温度において攪拌する。サンプルを、24時間攪拌した後に採取する。上記サンプルを濾過し、その固体を水(2×)で洗浄する。上記固体サンプルを、DSC分析用に付託する。DSC分析が、化合物1への完全な変換を示す場合、上記固体を濾過により集め、水(2×1.0容積)で洗浄し、真空下で、上記フィルター上で部分的に乾燥させる。上記固体を、60℃の真空オーブン中、わずかにNを流しながら、一定重量(<1%の差)へと乾燥させて、化合物1を灰白色固体として得る(98%収率)。
【0169】
(水および塩基を使用する、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸(化合物1)の合成)
【0170】
【化17】

周囲温度で攪拌した水(10容積)中の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HCl(1当量)のスラリーに、50% w/w NaOH水溶液(2.5当量)を添加する。上記混合物を、15分間以上(NLT)もしくは均質な溶液になるまで攪拌する。濃HCl(4当量)を添加して、化合物1を結晶化する。上記混合物を、必要であれば60℃もしくは90℃へと加熱して、そのt−ブチルベンゾエートエステルのレベルを還元する。上記混合物を、HPLC分析が0.8%(AUC)以下(NMT)のt−ブチルベンゾエートエステルを示すまで加熱する。次いで、上記混合物を周囲温度へと冷却し、その固体を濾過によって集め、水(3×3.4容積)で洗浄し、真空下で、上記フィルター上で部分的に乾燥させる。上記固体を、60℃の真空オーブン中、わずかにNを流しながら、一定重量(<1%の差)へと乾燥させて、化合物1を灰白色固体として得る(97%収率)。
【0171】
(ベンゾエートから直接の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸(形態I)の合成)
【0172】
【化18】

ギ酸(3.0容積)中の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)−t−ブチルベンゾエート(1.0当量)の溶液を、70±10℃へと加熱する。上記反応系を、上記反応が完了するまで(1.0% AUC以下の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)−t−ブチルベンゾエート)継続するか、または8時間以下の時間にわたって加熱し続ける。上記混合物を周囲温度へと冷却させる。上記溶液を水(6容積)に添加し、50℃において加熱し、上記混合物を攪拌する。次いで、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)−t−ブチルベンゾエートのレベルが0.8%(AUC)以下になるまで、上記混合物を70±10℃へと加熱する。上記固体を濾過によって集め、水(2×3容積)で洗浄し、真空下で、上記フィルター上で部分的に乾燥させる。上記固体を、60℃の真空オーブン中、わずかにNを流しながら、一定重量(<1%の差)へと乾燥させて、形態Iにある化合物1を灰白色固体として得る。
【0173】
形態Iにある化合物1の単結晶構造から計算したX線回折パターンを、図1に示す。表10は、図1についての計算されたピークを示す。
【0174】
【表10】

形態Iにある化合物1の実際のX線粉末回折パターンは、図2に示される。表11は、図2についての実際のピークを列挙する。
【0175】
【表11】

形態Iにある化合物1の単結晶構造から計算されたX線回折パターン、および形態Iにある化合物1の実際のX線粉末回折パターンのオーバーレイを、図3に示す。上記オーバーレイは、計算されたピーク位置と実際のピーク位置との間の良好な一致を示し、その差異は、わずか約0.15度である。
【0176】
形態Iにある化合物1の上記DSC追跡を、図4に示す。形態Iにある化合物1の融解は、約204℃において生じる。
【0177】
単結晶X線分析に基づく形態Iにある化合物1の立体配座図は、図5〜8に示される。図6〜8は、ダイマーのカルボン酸基と結晶中で生じる得られたスタッキングとの間の水素結合を示す。上記結晶構造は、上記分子の密なパッキングを明らかにする。形態Iにある化合物1は、単斜晶系のP2/nであり、以下の単位格子寸法を有する:a=4.9626(7)Å、b=12.299(2)Å、c=33.075(4)Å、β=93.938(9)°、V=2014.0Å、Z=4。構造データから計算された形態Iにある化合物1の密度は、100Kにおいて1.492g/cmである。
【0178】
化合物1のH NMRスペクトルを、図11〜13に示す(図11および図12は、50mg/mL、0.5 メチルセルロース−ポリソルベート 80懸濁物中の形態Iにある化合物1を示し、図13は、HCl塩としての化合物1を示す)。
【0179】
以下の表12は、化合物1の分析データを示す。
【0180】
【表12】

CFTRモジュレーターとしての、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の塩形態および化合物1を試験するためのアッセイは、国際PCT公開 WO 2007056341(上記刊行物は、その全体が本明細書に参考として援用される)に開示されている。
【0181】
(形態Iにある化合物1の水性処方物の調製)
化合物1の、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HClより優れた熱力学的安定性が原因で、化合物1の水性処方物は、水性処方物中にいずれかの化合物を分散させることによって調製し得る。
【0182】
(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HClから)
(1.メチルセルロースとの水性処方物)
0.5重量% メチルセルロースの100mLのストック溶液を、0.5gのメチルセルロースを、99.5gの精製水と、完全に溶解されるまで(約24時間)攪拌することによって調製した。遊離塩基に基づく適切な量の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HClを秤量し、シンチレーションバイアルに移した。遊離塩基に基づいて6mg/mL(HCl塩に基づいて6.48mg/mL)を作製するために所望の量の0.5% メチルセルロースストック溶液を、上記バイアルに移し、20分間にわたって超音波処理し、約5分間にわたってホモジナイズした。
【0183】
そのXRPDデータ(図9)は、元の固体および懸濁処方物のX線パターンが類似であることを示した。このことは、室温において少なくとも24時間にわたって、上記化合物の結晶構造において明らかな物理的変化がないが、化合物1の形成は、明らかであることを示している。上記メチルセルロース処方物を、0時間および24時間においてHPLC分析にも供した:
カラム:Waters Symmetry C18,3.5μm,150×4.60mm,P/No:WAT200632
カラム温度:制御せず
注入容積:5μL
流速:1mL/分
移動相:A−水中0.1% ギ酸
B−CAN中0.1% ギ酸
勾配:時間 %A %B
0 75 25
20’ 10 90
25’ 10 90
予定時刻(Post time):5’
検出 UV 240nm,BW:16分,参照=360,100
【0184】
【表13】

化合物1は、室温において、メチルセルロース処方物中で、化学的分解の徴候なく、少なくとも24時間にわたって物理的にかつ化学的に安定である。
【0185】
(2.メチルセルロースおよびポリソルベート 80との水性処方物)
メチルセルロース(0.5g)を、99.0gの精製水とビーカー中で合わせ、60〜70℃のウォーターバスの中で、30分〜1時間にわたって攪拌した。上記溶液を、0℃の氷/水バス中でさらに30分間もしくは透明になるまで攪拌した。ポリソルベート 80(0.5g)を添加し、室温において攪拌し、続いて、30分〜1時間または透明な溶液が得られるまで攪拌した。
【0186】
遊離塩基に基づいて適切な量の3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HClを、秤量し、シンチレーション場イルに移した。遊離塩基に基づいて6mg/mL(HCl塩に基づいて6.48mg/mL)を作製するために所望の量の0.5% メチルセルロースおよび0.5% ポリソルベート 80ストック溶液を、1〜2分間交互に攪拌しながら上記バイアルに移し、20分間超音波処理した。上記溶液を、約1〜2分間にわたってホモジナイズした。
【0187】
先に調製された0.5% メチルセルロース処方物のように、上記HCl塩は、T(0)において迅速に形態Iにある化合物1へと変換し、XRPD(図10)に示され、H NMR分析によって確認されるように結晶なし形態の懸濁物を生じた(図11〜13)。さらに、T(0)における懸濁物中の上記固体形態を回収し、HPLC分析に供した:
カラム:Waters Symmetry C18、3.5μm、150×4.60mm,P/No:WAT200632
カラム温度:制御せず
注入容積:10μL
流速:1mL/min
移動相:A−水中0.1% ギ酸
B−CAN中0.1% ギ酸
勾配:時間 %A %B
0 75 25
20’ 10 90
25’ 10 90
予定時刻:5’
検出 UV215nm,参考=オフ
大きな分解物ピークは検出されず、上記サンプルについてのHPLC保持時間は、使用された標準物質と同じであった。このことは、元の固体と懸濁物形態との間のXRPDパターンとH NMRデータにおける差異が、分解物の形成に起因しないことを示唆した。
【0188】
【表14】

0.5% メチルセルロース/0.5% ポリソルベート 80中の上記化合物1懸濁物をまた、Malvern Master−Sizerを使用して、粒径分布について試験した。上記懸濁物サンプルを、室温において24時間にわたって保持した。表15に示されるように、24時間後の上記懸濁物粒子の平均サイズは、10ミクロン未満であった。
【0189】
【表15】

0.5% メチルセルロース/0.5% ポリソルベート 80中の、3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸・HCl懸濁物は、物理的に安定でない。上記HCl塩形態は、T(0)において、懸濁ビヒクル中において化合物1へ迅速に変換し、結晶なし形態の懸濁物を生じる。化合物1は、化学的分解の徴候なしに、0.5% メチルセルロース/0.5% ポリソルベート 80処方ビヒクル中、少なくとも24時間にわたって室温において化学的に安定である。
【0190】
(動物における毒物研究のための、形態Iにある化合物1の水性処方物の調製)
(出発物質)
動物毒物試験のための本発明の経口用処方物を、以下の出発物質を用いて標準化した方法において調製した:
【0191】
【表24】

(ストックビヒクル溶液)
メチルセルロース(0.5重量%)およびポリソルベート 80(0.5重量%)のストック水性ビヒクルを、以下の工程に従って調製した。
1.70〜80℃へと加熱した33.0gの水中に0.5gのメチルセルロースを添加し、上記ポリマーが完全に分散するまで攪拌する。
2.ビヒクルを熱から外し、次いで、66.0gの2〜8℃へと冷却した水を、攪拌しながら添加する。1時間にわたって攪拌し続ける。
3.0.5gのポリソルベート 80を、上記溶液に添加する。
4.上記混合物を、室温において、上記ポリソルベート 80が完全に溶解するまで(約1〜2時間)攪拌する。
【0192】
(使用される化合物1の量)
使用される上記化合物1の量は、以下のように計算した:
必要とされる化合物1の量=溶液の目標容積(mL)×目標濃度(mg/mL)。
必要とされるストックビヒクルの容積(mL)=溶液の目標容積n(mL)−(必要とされる化合物1の量(mg)/1000mg/mL)。
注意:上記処方物およびビヒクルの密度は、1000mg/mLである。
【0193】
種々の用量のためのサンプル計算は、以下に例示される:
実施例1:
35mLの、25mg/mL懸濁物(遊離形態として)を調製するために必要とされる必要とされる化合物1の量(mg)=35(mL)×25mg/mL=875mg。
必要とされるストックビヒクルの容積=35(mL)−(875/1000)=34.1mL。
【0194】
実施例2:
35mLの、50mg/mL懸濁物(遊離形態として)を調製するために必要とされる化合物1の量(mg)=35(mL)×50mg/mL=1750mg。
必要とされるストックビヒクルの容積=35(mL)−(1750/1000)=33.25mL。
【0195】
実施例3:
35mLの、100mg/mL懸濁物(遊離形態として)を調製するために必要とされる化合物1の量(mg)=35(mL)×100mg/mL=3500mg.
必要とされるストックビヒクルの容積=35(mL)−(3500/1000)=31.5mL。
【0196】
(化合物1の経口用処方物の調製)
化合物1の経口懸濁処方物を、以下の工程に従って調製した:
1.上記の計算に従って、化合物1の必要とされる量を秤量する。
2.化合物1を容器の中へ移す。できなければ、容器の中で直接秤量する。上記化合物が、上記容器の壁に付かないように注意する。
3.ポジティブディスプレイスメントピペットもしくはシリンジを用いて、所望の量の0.5%(w/w) MC/0.5%(w/w) ポリソルベート 80ビヒクルを、容器に添加する。
4.上記処方物ビヒクル中に上記化合物が均一に分布するように、時々攪拌しながら、5分間にわたって超音波処理する。
5.中速〜高速で、2〜3分間の間、または均質な懸濁物が形成されるまで、上記処方物をホモジナイズする。
6.上記処方物ビヒクルを、5〜10分間にわたってボルテックスおよび/もしくは超音波処理する。より長い超音波時間は、上記ウォーターバスの温度を上昇させるので、超音波処理を反復することによって、上記化合物を含む容器を過熱しないように、注意せねばならない。
7.発泡を裂けるために、上記容器を氷上に置くことによって、冷たく保持する。
8.室温(25±3℃)において、一定に攪拌しながら、閉じた容器中に処方物を保存する。投与は、調製の24時間以内に完了するべきであり、残りの処方物は、調整後24時間に廃棄されるべきである。
9.投与前に、中速〜高速で、2〜3分間の間、または均質な懸濁物が形成されるまで、上記処方物をホモジナイズする。
10.上記処方物を、投与している間に常に攪拌する。
11.調製直後に投与するのでなければ、投与前に工程9〜10を反復する。
【0197】
表16〜23は、上記手順に従って調製した、動物毒物学実験において使用した化合物1の用量計算を列挙する。
【0198】
【表16】

【0199】
【表17】

【0200】
【表18】

【0201】
【表19】

【0202】
【表20】

【0203】
【表21】

【0204】
【表22】

【0205】
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸、水、および増粘剤を含む、水性処方物。
【請求項2】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、Cu K α線照射を使用して得られるX線粉末回折において、15.2〜15.6度、16.1〜16.5度、および14.3〜14.7度における1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、15.4度、16.3度、および14.5度における1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項2に記載の処方物。
【請求項4】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、14.6〜15.0度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項2に記載の処方物。
【請求項5】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、14.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項4に記載の処方物。
【請求項6】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、17.6〜18.0度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項4に記載の処方物。
【請求項7】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、17.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項6に記載の処方物。
【請求項8】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、16.4〜16.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項6に記載の処方物。
【請求項9】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、16.4〜16.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項8に記載の処方物。
【請求項10】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、16.6度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項9に記載の処方物。
【請求項11】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、7.6〜8.0度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項9に記載の処方物。
【請求項12】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、7.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項11に記載の処方物。
【請求項13】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、25.8〜26.2度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項11に記載の処方物。
【請求項14】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、26.0度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項13に記載の処方物。
【請求項15】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、21.4〜21.8度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項13に記載の処方物。
【請求項16】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、21.6度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項15に記載の処方物。
【請求項17】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、23.1〜23.5度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項15に記載の処方物。
【請求項18】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、23.3度におけるピークによってさらに特徴付けられる、請求項17に記載の処方物。
【請求項19】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、図1のものに実質的に類似の回折パターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の処方物。
【請求項20】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、図2のものに実質的に類似の回折パターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の処方物。
【請求項21】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、単斜晶系、P2/n 空間群、および以下の単位格子寸法:
a=4.9626(7)Å α=90°
b=12.2994(18)Å β=93.938(9)°
c=33.075(4)Å γ=90°
を有する、請求項1に記載の処方物。
【請求項22】
前記増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリレート、ポビドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、トラガカントガム、およびケイ酸マグネシウムアルミニウムからなる群より選択される、請求項1に記載の処方物。
【請求項23】
前記増粘剤は、メチルセルロースである、請求項1に記載の処方物。
【請求項24】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の濃度は、0.5〜20重量%である、請求項1に記載の処方物。
【請求項25】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の濃度は、2.5〜3.5重量%である、請求項1に記載の処方物。
【請求項26】
前記増粘剤の濃度は、0.1〜2重量%である、請求項1に記載の処方物。
【請求項27】
前記増粘剤の濃度は、0.5重量%である、請求項1に記載の処方物。
【請求項28】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の濃度は、0.5〜20重量%であり;前記増粘剤の濃度は、0.1〜2重量%である、請求項1に記載の処方物。
【請求項29】
前記3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸の濃度は、2.5〜3.5重量%であり;前記増粘剤の濃度は、0.5重量%である、請求項1に記載の処方物。
【請求項30】
界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項31】
前記界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、もしくは非イオン性の界面活性剤である、請求項30に記載の処方物。
【請求項32】
前記界面活性剤は、ドデシル硫酸、ラウリル硫酸、ラウレス硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、およびドコサヘキサエン酸の塩からなる群より選択される、アニオン性界面活性剤である、請求項31に記載の処方物。
【請求項33】
前記界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシル化タロウアミン、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウムからなる群より選択される、カチオン性界面活性剤である、請求項31に記載の処方物。
【請求項34】
前記界面活性剤は、ポリソルベート 20、ポリソルベート 40、ポリソルベート 60、ポリソルベート 65、ポリソルベート 80、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポロキサミン、アルキルポリグルコシド、オクチルグルコシド、デシルマルトシド、脂肪アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、およびコカミドTEAからなる群より選択される、非イオン性界面活性剤である、請求項31に記載の処方物。
【請求項35】
前記界面活性剤は、ポリソルベート 80である、請求項30に記載の処方物。
【請求項36】
前記界面活性剤の濃度は、0.1〜10重量%である、請求項30に記載の処方物。
【請求項37】
前記界面活性剤の濃度は、0.5重量%である、請求項30に記載の処方物。
【請求項38】
前記界面活性剤は、0.5重量%のポリソルベート 80である、請求項30に記載の処方物。
【請求項39】
消泡剤をさらに含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項40】
前記消泡剤は、ポリジメチルシロキサンを含む、請求項39に記載の処方物。
【請求項41】
前記消泡剤は、シメチコンである、請求項40に記載の処方物。
【請求項42】
前記消泡剤の濃度は、0.01〜0.2重量%である、請求項39に記載の処方物。
【請求項43】
前記消泡剤の濃度は、0.05重量%である、請求項39に記載の処方物。
【請求項44】
緩衝化剤をさらに含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項45】
前記緩衝化剤は、酢酸、ホウ酸、炭酸、リン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、酢酸、安息香酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルタル酸もしくはグルタミン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアンモニウム塩を含む、請求項44に記載の処方物。
【請求項46】
前記緩衝化剤は、クエン酸のナトリウム塩、カリウム塩、もしくはアンモニウム塩を含む、請求項44に記載の処方物。
【請求項47】
マスキング剤および/もしくは矯味矯臭剤をさらに含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項48】
3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸、水、メチルセルロース、ポリソルベート 80、およびシメチコンを含む経口用処方物。
【請求項49】
3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸は、2.5%〜3.5重量%の濃度において存在する、請求項48に記載の経口用処方物。
【請求項50】
メチルセルロースは、0.5重量%の濃度において存在する、請求項49に記載の経口用処方物。
【請求項51】
ポリソルベート 80は、0.5重量%の濃度において存在する、請求項50に記載の経口用処方物。
【請求項52】
シメチコンは、0.05重量%の濃度において存在する、請求項51に記載の経口用処方物。
【請求項53】
請求項1に記載の処方物を投与する工程を包含する、哺乳動物における嚢胞性線維症を処置するための方法。
【請求項54】
前記方法は、さらなる治療剤を投与する工程を包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記さらなる治療剤は、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーター、および栄養剤からなる群より選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
請求項1に記載の処方物およびその使用説明書を含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−506331(P2011−506331A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537038(P2010−537038)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/085457
【国際公開番号】WO2009/076141
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】