説明

4級炭素上にトリフルオロメチル基を有する有機化合物の調製

【課題】4級炭素上にトリフルオロメチル基を有する有機化合物の調整法の提供。
【解決手段】カルボン酸基及び電子求引基を有する4級炭素原子を持つ反応物質を準備する段階;そしてカルボン酸基をトリフルオロメチル基で置換するために、溶媒中で、SF4を用いて上記反応物質をSF4と反応させる段階を含む、4級炭素原子上にトリフルオロメチル基を有する分子を調製するための方法。更に4級炭素原子上にトリフルオロメチル基を有する分子を含む反応生成物の混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4級炭素原子、特に医薬品及び液晶製品の合成において中間体として有用な有機化合物等の上に、トリフルオロメチル基を有する有機化合物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリフルオロメチル(CF3)で置換された有機化合物を調製するための新規方法論が高い関心を集めている。この構造の存在を有する化合物は、染料及びポリマーから、医薬品及び農薬製品の範囲にわたるさまざまな産業製品における用途が見出されている。McClintonらの「Trifluoromethylations and Related Reactions in Organic Chemistry」Tetrahedron 1992,48,6555を参照のこと。医薬品及び農薬の中で、CF3基が与える高い親油性及び加水分解安定性は、それらの生物活性に強い影響を及ぼしている。トリフルオロメチル基を有する有機化合物はまた、液晶ディスプレイの成分として用いられている。Pauluthらの「Advanced Liquid Crystals for Television」J.Mater.Chem.2004,14,1219。
【0003】
1級(°)又は2級炭素原子上にトリフルオロメチル基を有する化合物の調製は、比較的容易に実施される一方で、4級炭素のところにF3基を導入することは、まだ合成上の課題であり、そしてこの変換を実施するためにわずかな方法のみが利用されている。これらには、複数段階の方法で、トリフルオロメチル含有構築ブロック(building block)を使用すること、又は比較的高価なトリフルオロメチル化薬剤を使用することが含まれる。McBeeらの「Diels−Alder Reactions with Fluorine−containing Olefins」J.Am.Chem.Soc.1955,77,915には、1−トリフルオロメチル−1’−メチルシクロヘキセンを調製するために、2−メチル−3,3,3−トリフルオロプロペンを、種々のジエンのディールスアルダー反応させることが記載されている。同様の反応が、Hanzawaらの「Construction of Trifluoromethylated Quaternary Carbons via Diels−Alder Reactions of 2−(Trifluoromethyl)propenoic Acid Derivatives:Application to the Synthesis of 16,16,16−Trifluororetinal」J.Org.Chem.1991,56,1718に報告されており、1−トリフルオロメチル−1’−カルボエトキシシクロヘキセンを調製するために、2−カルボアルコキシ−1−トリフルオロプロペン及びジエンが用いられている。Ruppertの試薬、トリフルオロメチルトリメチルシランは、4級炭素原子上にCF3基を有する化合物を調製する際の最初の段階として、ケトンとの反応を経由してトリフルオロメチル基を有機化合物に導入するために用いられている。Blazejewskiらの「Radical allylation of trifluoromethylated xanthates:use of DEAD for removing the allyltributyltin excess」Tett.Lett.2001,42,859.を参照のこと。有機化合物の4級炭素原子のところに、CF3基を導入するための他の方法には、アルキルアミンを、CF3NO2と反応させること(Golitzらの「A New Method for the Introduction of Trifluoromethyl Groups」Chem.Int.Ed.Eng.1977,16,12,854)、カルバニオンをS−(トリフルオロメチル)ジベンゾチオフェニウム塩と反応させること(UmemotoらのNew Method for Trifluoromethylation of Enolate Anions and Applications to Regio−,Diastereo−and Enantioselective Trifluoromethylation」J.Org.Chem.1994,59,5692)、及びトリフルオロヨウ化メチルをアミンと反応させてα−トリフルオロメチルケトンを発生させ、続いてCF3基を有する炭素原子のところでアルキル化させること(Balkoらの「Total synthesis of(±)−8−trifluoromethyl abscisic acid」Tett.Lett.1999,40,6347)が含まれる。
【0004】
4級炭素上にCF3基を有する化合物を合成するためのより直接的なアプローチには、カルボン酸エステル基のα位のところで、BrF3をジチオカルボネートと反応させることが含まれる。Rozenらの「α−Trifluoromethylation of Secondary and Sterically Hindered Carboxylates with Use of BrF3」J.Org.Chem.2004,69,7241を参照のこと。Dmowskiらの「Selective reactions of 1,1−cycloalkanedicarboxylic acids with SF4.A route to 1,1−bis(trifluoromethyl)cycloalkanes,1−fluoroformyl−1−(trifluoromethyl)cycloalkanes and 1−(trifluoromethyl)−1−cycloalkanecarboxylic acids」J. Fl.Chem.2000,102,141には、1−フルオロホルミル−1−トリフルオロメチルシクロアルカン及び1−トリフルオロメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸を調製するために、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸をSF4と反応させることが報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の進歩にもかかわらず、4級炭素原子上にトリフルオロメチル基を有する有機化合物を調製するためのさらなる手段を提供することが望まれている。
本明細書で引用する全ての参考文献を、それら全体を参照して本明細書に組み入れる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明の第一の態様は、4級炭素原子上にトリフルオロメチル基を有する分子を調製するための方法を含み、当該方法は、下記段階:
カルボン酸基及び電子求引基を有する4級炭素原子を含む反応物質を準備する段階;そして
カルボン酸基をトリフルオロメチル基に置換し、そして上記4級炭素原子上に上記トリフルオロメチル基を有する分子を含む反応生成物の混合物を与えるために、溶媒中で、上記反応物質をSF4と反応させる段階:
を含む。
【0007】
本発明の第三の態様は、4級炭素原子上にトリフルオロメチル基を有する分子を調製するための方法を含み、当該方法は、次の式により表される:
【化1】

(式中、
(i)R1は、次から成る群から選択される電子求引基であり:
(a)カルボン酸エステル,COOR’(ここで、R’は、1〜20個の炭素原子の、未置換のアルキル、置換されたアルキル、未置換のアリール、又は置換されたアリールである);
(b)NO2
(c)SOR(ここで、Rは、アルキル又はアリールである);
(d)SO2R(ここで、Rは、アルキル又はアリールである);
(e)POOR3(ここで、Rは、アルキル又はアリールである);
(f)PR3(ここで、Rは、アルキル又はアリールである):及び
(g)CN;そして
(ii)R3、R4は、3〜8個の炭素原子のシクロアルキルであるか、又は
(iii)R3及びR4は、1〜20個の炭素原子の、未置換のアルキル、置換されたアルキル、未置換のアリール及び置換されたアリールから成る群から独立して選択される)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、CF3置換された4級炭素を調製するための新しい手順を記載する。本発明のこの方法は、溶媒中のSF4を、電子求引基を有するカルボン酸と反応することを利用する。この方法において、トリフルオロメチル置換された生成物が、医薬品又は液晶化合物として実用性を有しうる多種多様の製品を製造するために、さらに合成することができる置換基と共に高収率で得られる。
【0009】
下記反応式が、4級炭素上にトリフルオロメチル基を有する化合物を得るための本発明の方法の実施形態を要約する:
【化2】

(式中、R1、R3及びR4は、次の通り規定される)。
【0010】
1は、好ましくは、電子求引基であり、そしてさらに好ましくは、カルボン酸エステル,COOR’(ここで、R’は、ヘテロ原子、例えば、O、N又はSを含む置換基を有するか又は有しない、1〜20個の炭素原子の、アルキル又はアリールである)である。より好ましくない実施形態では、R1は、電子求引しない基である。R1が、電子求引基ではない場合に、生成物の収率がより顕著に低くなる。例えば、R3、R4が、4−(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサンであり、そしてR1が、電子求引基ではない場合には、CF3含有生成物の収率は、R1がCOOCH3の場合の50%と比較して、5%である。
【0011】
好適な電子求引基のさらに比限定的な例には、NO2、SOR(ここで、Rは、アルキル又はアリールである)、SOR2(ここで、Rは、アルキル又はアリールである)、POOR3(ここで、Rは、アルキル又はアリールである)、PR3(ここで、Rは、アルキル又はアリールである)及びCNが含まれる。
ある実施形態では、R3、R4は、アルキル、アリール及び/又は脂環式置換基を有する、3〜8個の炭素原子のシクロアルキルである。これらの基を、ヘテロ原子置換基(例えば、それらに限定されるものではないが、O、S、N)及びハロゲン(例えば、Cl、F、Br、I)を有するか又は有しない置換基、例えば、それらに限定されるものではないが、アルキル、アリール、シクロアルキル(3〜8個の炭素)及びアルキルシクロアルキルでさらに置換することができる。
【0012】
ある実施形態では、R3は、ヘテロ原子置換基(例えば、それらに限定されるものではないが、O、S、N)及びハロゲン(例えば、Cl、F、Br、I)を有する又は有しないアルキル(最大20個の炭素原子)、アリール(最大20個の炭素原子)である。
ある実施形態では、R4は、ヘテロ原子置換基(例えば、それらに限定されるものではないが、O、S、N)及びハロゲン(例えば、Cl、F、Br、I)を有する又は有しないアルキル(好ましくは、最大20個の炭素原子)又はアリール(好ましくは、最大20個の炭素原子)である。
【0013】
ある実施形態では、SF4と反応した反応物質は、次の群により選択される式により表される:
【化3】

(式中、R’はC1〜C10のアルキルであり、そしてR’’はC1〜C5のアルキルである)。
【0014】
溶媒は、HFを含むことが好ましい。他の好適な溶媒には、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、THF、炭化水素、例えば、ヘキサン及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。他の好適な溶媒には、フルオロカーボン、例えば、Freon 113等が含まれるが、これらに限定されるものではない。上記溶媒は、SF4と反応しないことが好ましい。
上記反応に関する好ましい温度範囲は、−78℃〜100℃である。
【0015】
ある実施形態では、反応時間の範囲は、1分〜5日、又は約24時間である。
最終生成物は、さらなる用途の前に、所望により、例えば、標準的精製手順、例えば、再結晶、蒸留又はクロマトグラフィーにより精製されうる。
所望により、CF3基を有する炭素上の電子求引性置換基を、それらの化学反応性の効力により他の基へ転換することができる。エステル官能基を別の基へ転換する非限定的な例を、下記スキーム1〜3で具体的に説明する。
【0016】
【化4】

【0017】
スキーム1では、カルボン酸1を、トリフルオロメチル誘導体2に転換する。次いで、エステル2を、水素化リチウムアルミニウムを用いた還元、及び生成した1級アルコールの酸化によりアルデヒド3に転換する。アルデヒド上のウィッティヒ反応により、ビニル置換された生成物4が得られる。
【0018】
エステル基を別の基に転換する別の方法を、スキーム2に示す。
【0019】
【化5】

【0020】
カルボン酸1を、トリフルオロメチル誘導体2に転換する。次いで、2のエステルを、水素化リチウムアルミニウムを用いた還元、そして生成した1級アルコールの酸化によりアルデヒドに転換する。アルデヒド3を、ヘキシルマグネシウムブロミドと反応させることにより、アルコール6の構造体を生成させる。
従って、スキーム1及び2において、本発明は、次の段階;
(1)同一炭素原子上(geminal)のカルボキシレート基及びエステル基を含む反応物質を準備する段階;
(2)カルボキシレート基をトリフルオロメチル基に置換する段階;
(3)エステルをアルデヒドに転換する段階;そして
(4)アルデヒドをビニル置換された又はアルコール置換された中間体に転換する段階:
を含む。
【0021】
スキーム3では、エステル官能基を、ケトン基に転換する。エステルの酸7への加水分解、続いて、対応する酸塩化物8への転換、そして次の有機マグネシウム又はオルガノクプラート(organocuprate)試薬との反応により、ケトン9が生成する。
【0022】
【化6】

【0023】
従って、スキーム3において、本発明は、次の段階;
(1)同一炭素原子上(geminal)のカルボキシレート基及びエステル基を含む反応物質を準備する段階;
(2)カルボキシレート基をトリフルオロメチル基に置換する段階;
(3)エステルを酸に転換する段階;
(4)酸を酸塩化物に転換する段階;
(5)酸塩化物を有機金属試薬と反応させてからケトンを生成させる段階:
を含む。
【実施例】
【0024】
本発明を、次の例に関連してさらに詳細に説明するが、本発明は、それらに限定されるとみなされるべきではないことが理解されるべきである。
【0025】
例1
四フッ化硫黄を用いた1−カルボキシ−1−カルボメトキシ−4(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサンのフッ素化
4.2gの1−カルボキシ−1−カルボメトキシ−4(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサンを、レリーフデバイス及びインレットバルブがT字に連結して取り付けられ、そして磁石製攪拌棒を含む75mLのHokeシリンダー内に入れた。上記Hokeシリンダーを排気し、そして−78℃まで冷却した。9.4gのフッ化水素を、9.5モル当量の四フッ化硫黄と共に冷却したシリンダーの中に減圧供給(vacuum transfer)した。上記シリンダー上のバルブを閉じ、そして室温まで暖めた。反応物を、室温で24時間攪拌した。揮発分を、上記Hokeシリンダーから排気し、そして残余の内容物を、ジエチルエーテルを用いて抽出し、そして重炭酸ナトリウム上で中和した。当該混合物をろ過し、濃縮し、そしてヘキサン中の2〜4%のエチルアセテート(vol/vol)を用いて溶出するシリカゲルのプラグを通過させた。GC−MSクロマトグラムは、それぞれ、分子イオンピーク(m/z=334)を有する、4つのアキシアル/エカトリアル異性体に相当する4つの生成物のピークを示した。溶媒を蒸発させると、反応物により、2.0gの生成物が生じた。
【0026】
例2
水素化リチウムアルミニウムを用いた、1−トリフルオロメチル−1−カルボメトキシ−4−(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサンの還元
200mgの水素化リチウムアルミニウムを、窒素下で、100mLの乾いた2首丸底フラスコに入れた。10mLの無水テトラヒドロフランを添加し、そして上記フラスコを、氷浴中で0℃まで冷却した。1.45gの1−トリフルオロメチル−1−カルボメトキシ−4−(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサンを、6mLの無水テトラヒドロフラン中に溶解し、そして上記反応フラスコに液滴として添加した。反応物を、0℃で1時間、次いで室温で4時間攪拌した。当該反応混合物を、ジエチルエーテルで希釈し、そして0.25mLの水をゆっくり添加し、25mLのNaOH(aq)、続いて0.75mLの水を添加した。当該混合物を、一晩中攪拌した。アルミニウム塩のろ過後に、当該有機相を水を用いて2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮して1.0gの生成物を得た。GC−MSクロマトグラムは、それぞれ、分子イオンピーク(m/z=306)を有する、アキシアル/エカトリアル異性体に関する、3つの明確に区別できるピーク(おそらく、第4のピークは、他の3つのうちの一つの下に隠れた)を示した。
【0027】
例3
無水クロム酸/ピリジンを用いた、1−トリフルオロメチル−1−ヒドロキシメチル−4−(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサンの酸化
1.0mgの無水クロム酸を、窒素下で、乾いた100mLの2首丸底フラスコに入れた。10mLの無水塩化メチレンを添加し、続いて1.7mLの無水ピリジンを添加した。上記混合物を、室温で40分間攪拌した。1.0gの1−トリフルオロメチル−1−ヒドロキシメチル−4−(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサンを、6mLの無水塩化メチレンに添加し、そして週末の間攪拌した。当該反応物をエーテルで希釈し、そして当該沈殿物を、セライトろ過した。当該有機相を、希釈したHCl溶液を用いて2回、NaHCO3溶液を用いて1回、そして水を用いて1回洗浄し、続いて、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして溶媒の蒸発して、0.59gの物質を生じさせた。GC−MSクロマトグラムは、分子イオンピーク(m/z=302)を有するピークを示した。
【0028】
例4
1−トリフルオロメチル−1−ホルミル−4−(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサンのウィッティヒ反応
6.25mgのヘキシルホスホニウムブロミドを、窒素下で、乾いた100mLの2首丸底フラスコ内に入れた。30mLの無水テトラヒドロフランを添加し、そして−70℃まで冷却した。ヘキサン中の2.5Mのn−ブチルリチウム5.8mLを、攪拌しながら、液滴として添加し、そして全ての塩を溶解し、オレンジ色の溶液を生成させた。冷却浴を若干下げ、そして10mLテトラヒドロフラン中の1−トリフルオロメチル−1−ホルミル−4−(4’−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサン4.04gを、ゆっくり添加し、そして2時間攪拌した。ジエチルエーテルを添加し、そして当該反応混合物を、希釈したHCl(aq)で洗浄し、続いて飽和重炭酸ナトリウム液で洗浄した。当該有機相を濃縮し、そしてヘキサンを用いて粉末(triturate)にした。上記ヘキサンを、シリカのプラグを通過させ、それをさらに追加のヘキサンを用いて洗浄した。上記混合したヘキサン溶媒を蒸発させ、4.21gの生成物を生じさせた。GC−MSクロマトグラムは、分子イオンピーク(m/z=327)を示した。
【0029】
本発明を、詳細に、そしてそれらの具体例に関連して記載してきたが、それらの精神及び範囲から外れることなく、種々の変形及び改良をそれらの中で行うことができることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4級炭素原子上にトリフルオロメチル基を有する分子を調製するための方法であって、
当該方法は、下記段階;
カルボン酸基及び電子求引基を有する4級炭素原子を含む反応物質を準備する段階;そして
前記カルボン酸基を前記トリフルオロメチル基で置換し、そして前記4級炭素原子上に前記トリフルオロメチル基を有する分子を含む反応生成物の混合物を得るために、溶媒中で、前記反応物質をSF4と反応させる段階:
を含む。
【請求項2】
前記電子求引基がエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、HF、エーテル、THF、炭化水素及びフルオロカーボンから成る群から選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒がHFを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記反応物質が、次の群:
【化1】

(式中、R’は、C1〜C10のアルキルであり、そしてR’’は、C1〜C5のアルキルである)
から選択される式により表される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
再結晶、蒸留及びクロマトグラフィーの少なくとも一つにより、前記反応生成物の混合物から前記分子を精製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応させる段階の後に、前記電子求引基を、アルデヒド、アルコール、酸塩化物及びオレフィンから成る群から選択される別の基に転換する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電子求引基がエステルであり、そして当該エステルを、さらにアルコールに転換されるアルデヒドに転換する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電子求引基がエステルであり、そして当該エステルを、酸塩化物に転換される酸に転換し、当該酸塩化物をケトンに転換する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
4級炭素原子上にトリフルオロメチル基及びアルキル基を有する分子を調製するための方法であって、
当該方法は、次の一連の段階;
カルボン酸基及びエステル基を有する4級炭素原子を含む反応物質を準備する段階;そして
前記カルボン酸基を前記トリフルオロメチル基で置換するために、溶媒中で、前記反応物質をSF4と反応させる段階;そして
前記4級炭素原子上に前記トリフルオロメチル基及び前記アルキル基を有する分子を供給するために、前記エステル基を前記アルキル基に置換する段階:
を含む。
【請求項11】
前記溶媒が、HF、エーテル、THF、炭化水素及びフルオロカーボンから成る群から選択される少なくとも一つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒がHFを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記置換する段階が、前記エステルをアルデヒドに転換し、前記アルデヒドをビニル置換された又はアルコール置換された中間体に転換し、そして前記中間体を水素化する段階を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記置換する段階が、前記エステルを酸に転換し、前記酸を酸塩化物に置換し、そして前記酸塩化物を、有機金属試薬と反応させてケトンを生成させ、そして前記ケトンのカルボニル基をメチレン基に還元することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
4級炭素原子上にトリフルオロメチル基を有する分子を調製するための方法であって、
当該方法は、下記式;
【化2】

(式中、
(i)R1は、下記(a)〜(g)から成る群から選択される電子求引基であり:
(a)カルボン酸エステル,COOR’(ここで、R’は、1〜20個の炭素原子の、未置換のアルキル、置換されたアルキル、未置換のアリール又は置換されたアリールである);
(b)NO2
(c)SOR(ここで、Rは、アルキル又はアリールである);
(d)SO2R(ここで、Rは、アルキル又はアリールである);
(e)POOR3(ここで、Rは、アルキル又はアリールである);
(f)PR3(ここで、Rは、アルキル又はアリールである):及び
(g)CN;そして
(ii)R3、R4は、3〜8個の炭素原子のシクロアルキルであるか、又は
(iii)R3及びR4は、1〜20個の炭素原子の、未置換のアルキル、置換されたアルキル、未置換のアリール及び置換されたアリールから成る群から独立して選択される)
により表される。
【請求項16】
前記溶媒が、HF、エーテル、THF、炭化水素及びフルオロカーボンから成る群から選択される少なくとも一つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒がHFを含む、請求項15に記載の方法。

【公開番号】特開2008−239602(P2008−239602A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−23731(P2008−23731)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】