説明

7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの微生物的生成方法

一般式8, 10, 12を有する化合物の生成のための前駆体の生成のための新規合成経路が開示される。前記合成の間、一般式4, Bの化合物を、微生物学的反応において生成する。基R7, R10, R11, R13, R17及びR17’及び基U-V-W-X-Y-Zは、特許請求の範囲に定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの微生物学的生成方法、それから生成され得る7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイド、後者の化合物の生成方法、及びそれらの化合物の使用及びそれらの化合物を含む医薬製剤に関する。さらに、本発明は、他の7α−置換された11βハロゲンステロイド、すなわち7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドから得られる7α−置換されたエストラ−1,3,5(10)−トリエンに関する。
【0002】
男性更年期障害の治療及び男性生殖器官の成長、並びに男性産児調節に関しては、アンドロゲン、特にテストステロンが使用される。さらに、それらのホルモンはまた、筋肉成長を促進する部分的同化活性成分を有する。
男性更年期障害は、年齢関連の内因性アンドロゲン生成の低下により特徴づけられ、そのようなホルモンの置換がその治療のために行われる(HRT (hormone replacement therapy):ホルモン置換療法)。
【0003】
精子形成の低下の他に、男性産児調節のためのLH−RH投与はまた、LHの放出及びテストステロンレベル及びリビドーの低下をもたらし、これは、テストステロン医薬剤の投与により補完される(D.E. Cummingsなど., “Prostate-Sparing Effects of the Potent Androgen 7α−Methyl-19-Nortestosterone: A Potential Alternative to Testosterone for Androgen Replacement and Male Contraception”, Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism, Vol. 83, No.12, pages 4212-4219 (1998))。
【0004】
アンドロゲン及び黄体ホルモン活性成分の投与による組合せ療法が、男性受胎能の調節のために使用され得る(例えば、WO01/60376A号及びそこに引用される資料を参照のこと)。
テストステロンによる処理の場合、副作用、特に間質(stroma)の細胞及び腺の数の上昇による前立腺肥大が進行することが示されている(BPH:良性前立腺肥大)。5α−レダクターゼにより介在されるテストステロンの代謝においては、BPHの発生をもたらすジヒドロテストステロン(DHT)が生成される(Cummingsなど., 前記;WO99/13883A1)。従って、5α−レダクターゼの阻害が、臨床学的実施においてBPHを処理するために使用される。
【0005】
ヒト身体におけるアンドロゲンステロイドのテストステロンのすばやい代謝はさらに、所望しないDHTの形成のみならず、またより高い用量の経口投与がテストステロンの所望する効果レベルを達成するために必要であることももたらす。従って、分散するための他の形、例えばi.m.−注射又は大きなパッチが必要である。
【0006】
一方では、上記徴候領域においてテストステロンを置換するためには、テストステロンのような高い生物学的有効性を有する7α−メチル−19−ノルテストステロン(MeNT)が、アンドロゲン受容体に対する高い結合親和性を有するので、提案されている。他方では、7α−メチル基による立体的阻害のために、それはたぶん、5α−レダクターゼによる代謝に対して耐性がある(Cummingsなど., 前記、WO99/13883A1号、WO99/13812A1号、アメリカ特許第5,342,834号)。
【0007】
テストステロンの代謝の間、小部分のこの化合物はまた、特に脳、肝臓及び脂肪組織において、ステロイド系の環Aの芳香族化により反応せしめられ、エストラジオールが形成される。テストステロン及びその代謝物の全作用に関しては、エストラジオールは実質的に、性別−特異的挙動性及びゴナドトロピン調節を担当できる。従って、成人男性に関するテストステロンの作用のようなその作用は、好都合であると見なされる(Cummingsなど., 前記)。
【0008】
しかしながら、テストステロンの薬理動態は満足のいくものではないことが示されている。特に、経口投与の場合、テストステロンは再びすばやく排泄され、その結果、そのような生成された医薬剤の作用の有効性及び持続期間は満足のいくものではない。従って、他のテストステロン誘導体がまた合成されている。そのような誘導体、特に19−ノルテストステロンの7α、11β−ジメチル誘導体、すなわち7α、11β−ジメチル−17β−ヒドロキシエストレ−4−エン−3−オン、7α、11β−ジメチル−17β−ヘプタノイルオキシエストレ−4−エン−3−オン、7α、11β−ジメチル−17β−[[(2−シクロペンチルエチル)−カルボニル]−オキシ]−エストレ−4−エン−3−オン、7α、11β−ジメチル−17β−(フェニルアセチルオキシ)−エストレ−4−エン−3−オン、及び7α、11β−ジメチル−17β−[[(トランス−4−[n−ブチル]シクロヘキシル)−カルボニル]−オキシ]−エストレ−4−エン−3−オンが、アメリカ特許第5,952,319号に記載されている。
【0009】
上記に言及された7α、11β−ジメチル誘導体は、NeNTのような上記利点、例えば改良された薬理動態を有し、すなわちそれらの作用の有効性及び持続期間がテストステロンに関して改良される。しかしながら、それらの誘導体は、高価な合成方法を通してのみ生成され得る。
【0010】
微生物学的方法でのステロイドの合成は、EPO900283B1に記載されている。エストレ−4−エン−3,17−ジオン及びカンレノンは、アスペルギラス・ニグリカンス(Aspergillus nigricans)、リゾプス・アルヒザス(Rhizopus arrhizus)及びペステロチア(Pestelotia)株から成る群から選択された微生物の使用により、その対応する11α−ヒドロキシ類似体に転換され得ることがそこに示されている。しかしながら、記載の序説において、ステロイドにおける微生物学的11α−ヒドロキシル化反応は予測できないものであることを、Shibaharaなど., Biochim. Biophys, Acta, 202 (1970), 172-179は、報告している。
【0011】
従って、本発明が基づく問題は、5α−レダクターゼによる還元に対して敏感でなく、また改良された薬理動態を有し、そして特に生成するのが容易である、テストステロンの誘導体を見出すことである。従って、本発明の非常に有意な観点は、生成するのに容易である初期生成物の良好な入手方法を見出すことから成る。
本発明が基づく問題は、請求項1,3及び6記載の7α−置換されたステロイドの微生物学的生成方法、請求項11記載の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイド、請求項23、24及び25記載の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成方法、請求項26記載のそれらの7α、17α―置換された11β−ハロゲンステロイドの使用、請求項27記載のそれらの7α、17α―置換された11β−ハロゲンステロイドを含む医薬製剤、及び請求項21記載の7α−置換された11β−ハロエストラ−1,3,5(10)−トリエンにより解決される。請求される主題の好ましい態様は、従属項に示される。
【0012】
定義
下記定義は、本明細書及び請求の範囲並びに略図1のすべての部分に関する。
すべての基又は他の構造単位は、個々の場合、示される意味の範囲内でお互い独立して変化することができる。
すべてのアルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル及びアルキニレン基は、直鎖であっても、又は枝分かれ鎖であっても良い。例えば、プロペニル基は、下記化学構造の1つにより記載され得る:-CH=C-CH3, -CH2-C=CH2又は-C(CH3)=CH2。従って、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i―ペンチル、t−ペンチル、ネオ−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、3−メチル−n−ペンチル、4−メチル−n−ペンチル、1−エチル−n−ブチル、2−エチル−n−ブチル、等は、C1-C18−アルキルの範囲内である。
【0013】
脂環式アルキルは、シクロアルキル環又は1つのアルキル基を通して直接的に結合される、シクロアルキル、又は1つのアルキル基又はいくつかのアルキル基により置換されるシクロアルキルのいずれかである。
同じ様に、脂環式アルケニルは、シクロアルケニル環、又はアルケニル基又は任意にはアルキル基の1つを通して直接的に結合される、シクロアルケニル、あるいは1もしくは複数のアルケニル基により又は1もしくは複数のアルケニル基とアルキル基とにより又は1又は複数のアルキル基により置換されたシクロアルケニル又はシクロアルキルのいずれかであり、ここで少なくとも1つの二重結合が脂環式アルケニルに含まれる。
【0014】
一方では、アリールは、フェニルであり得るが、しかし1−ナフチル又は2−ナフチルでもあり得る。主に、アリールはまた、ヘテロアリール、特に2−、3−及び4−ピリジニル、2−及び3−フリル、2−及び3−チエニル、2−及び3−ピロリル、2−、4−及び5−イミダゾリル、ピリダジニル、2−、4−及び5−ピリミジニル、及び3−及び4−ピリダジニルであり得る。
ハロゲンは、弗素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0015】
医薬的に適合できる付加塩は、無機又は有機酸、例えば塩酸、臭酸、ヨウ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸及びメタンスルホン酸とその対応する化合物との塩である。エステルは、特に琥珀酸により形成され得る。
記号R上の上付数字、例えばR13は、ステロイド環骨格上のそれらの位置を示し、それにより、ステロイド環骨格におけるC原子は、IUPAC命名法に従って番号付けされる。記号C上の上付数字、例えばC10は、ステロイド環骨格におけるそれぞれの炭素原子の位置を示す。
【0016】
発明の記載
新規微生物学的方法は、下記一般式4,B:
【化1】

【0017】
[式中、R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、H, CH3又はCF3を表し、そして
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの生成のために使用される。
【0018】
それらの物質の生成のための第1の変法においては、下記一般式3,A:
【化2】

【0019】
[式中、R7、R10及びR13は一般式4,Bの化合物について示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたステロイドが、アスペルギラス・スペーシス (Aspergillus sp.), ベアウベリア・スペーシス (Beauveria sp.), グロメレラ・スペーシス (Glomerella sp.), グノモニア・スペーシス (Gnomonia sp.), ハプロスポレラ・スペーシス (Haplosporella sp.) 及びリゾプス・スペーシス (Rhizopus sp.) から成る群から選択された微生物の使用により、1つの工程段階においてヒドロキシル化され、そして酸化される。アスペルギラス・アワモリ (Aspergillus awamori) 、アスペルギラス・フィシュリ (Aspergillus fischeri) 、アスペルギラス・マリグナス (Aspergillus malignus) 、アスペルギラス・ニガー (Aspergillus nigar) 、ベアウベリア・バシアナ (Beauveria bassiana) 、グロメレラ・シングラタ (Glomerella cingulata) 、グノモニア・シングラタ (Gnomonia cingulata)、ハプロスポレラ・ヘスペレジカ (Haplosporella hesperedica) 及びリゾプス・ストロニファー (Rhizopus stolonifer) が特に好ましく、ここで特に、アスペルギラス・アワモリ(CBS)、アスペルギラス・フィシュリ(ATCC1020)、アスペルギラス・マリグナス(IMI16061)、アスペルギラス・ニガーATCC9142)、ベアウベリア・バシアナ(ATCC7159)、グロメレラ・シングラタ(CBS15226, CBS23849, CBS98069, ATCC56596, ATCC64682, IFO6425)、グノモニア・シングラタ(CBS15226)、ハプロスポレラ・ヘスペレジカ(CBS20837)及びリゾプス・ストロニファー(ATCC15441)が使用される。
【0020】
他方では、この微生物学的生成方法はまた、2段階で行われ得、それによれば、ヒドロキシル化反応及び酸化反応が連続的反応段階で行われる。反応の進行は反応期間を通して制御され得:一定の反応時間の後、中断される反応により、まだ酸化されていないが、ヒドロキシル化された種が単離され得る。従って、両工程段階は、別々に、又は混合された発酵において行われ得る。
【0021】
このためには、一般式3,Aの化合物が、アスペルギラスsp., ベアウベリアsp., ギベレラ・スペーシス (Gibberelln sp.) 、グロメレラsp.、グノモニアsp.、メタルヒジウム・スペーシス (Metarrhizium sp.) 、ニグロスポラ・スペーシス (Nigrospora sp.) 、リゾプスsp. 及びベルチシリウム・スペーシス (Verticillium sp.) から成る群から選択された第1微生物の使用による第1微生物工程において11α−位でヒドロキシル化され、、それにより、11α位でヒドロキシ基を有する7α−置換されたステロイドが形成される。この化合物は、下記一般式C:
【化3】

[式中、R7、R10 及びR13は、一般式4,Bの化合物について上記に示されたのと同じ意味を有する]
を有する。特に、アスペルギラス・マリグナス、アスペルギラス・メレウス (Aspergillus melleus) 、アスペルギラス・ニガー、アスペルギラス・オクラセウス (Aspergillus ochraceus) 、ベアウベリア・バシアナ、ギベレラ・フジクロイ (Gibberella fujikuroi) 、ギベレラ・ゼアエ (Gibberella zeae) 、 グロメレラ・シングラタ、グロメレラ・フサロイデス (Glomerella fusaroides) 、グノモニア・シングラタ、メタルヒジウム・アニソプリアエ (Metarrhizium anisopliae) 、ニグロスポラ・スファエリカ (Nigrospora sphaerica) 、リゾプス・オリザエ (Rhizopus oryzae) 、リゾプス・ストロニフェニル (Rhizopus stolonifer) 及びベルチシリウム・ダヒリアエ (Verticillium dahliae) が使用される。これに関して、特に、アスペルギラス・マリグナス(IMI16061)、アスペルギラス・メレウス(CBS)、アスペルギラス・ニガー(ATCC11394)、アスペルギラス・オクラセウス(NRRL405, CBS13252, ATCC46504)、ベアウベリア・バシアナ(ATCC7159, IFO5838, ATCC13144, IFO4848, CBS11025, CBS12736)、ギベレラ・フジクロイ(ATCC14842)、ギベレラ・ゼアエ(CBS4474)、 グロメレラ・シングラタ(ATCC10534, CBS23849, CBS23749, ATCC16646, ATCC16052, IFO6459, IFO6425, IFO6470, CBS98069, IFO7478, IFO5257, ATCC64682, ATCC15470)、グロメレラ・フサロイデス(ATCC9552)、グノモニア・シングラタ(CBS15226)、メタルヒジウム・アニソプリアエ(IFO5940)、ニグロスポラ・スファエリカ(ATCC12772)、リゾプス・オリザエ(ATCC4858, ATCC34102, ATCC34102)、リゾプス・ストロニフェニル(ATCC6227b, ATCC15441)及びベルチシリウム・ダヒリアエ(ATCC11405)が、ヒドロキシル化のために使用される。
【0022】
次に、中間生成物Cが、バチルス・スペーシス (Bacillus sp.) 、マイコバクテリウム・スペーシス (Mycobacterium sp.) 、ノカルジア・スペーシス (Nocardia sp.) 及びシュードモナス・スペーシス (Pseudomonas sp.) から成る群から選択された第2微生物の使用による第2微生物工程において酸化され、一般式4,Bの7α−置換されたステロイドが形成される。特に、バチルス・ラクチモルバス (Bacillus lactimorbus) 、バチルス・スファエリカス (Bacillus sphaericus) 、マイコバクテリウム・ネオアウラム (Mycobacterium neoaurum) 、マイコバクテリウム・スメグマチス (Mycobacterium smegmatis) 、ノカルジア・コラリナ (Nocardia corallina) 、ノカルジナ・グロベルラ (Nocardia globerula) 、ノカルジア・ミニマ (Nocardia minima) 、ノカルジア・レストリクタス (Nocardia restrictus) 、ノカルジア・ルブロペルチンクタ (Nocardia rubropertincta) 、ノカルジア・サルモニコロル (Nocardia salmonicolor) 及びシュードモナス・テストステロニ (Pseudomonas testosteroni) が使用され、それにより、特に、バチルス・ラクチモルバス(ATCC245)、バチルス・スファエリカス(ATCC7055)、マイコバクテリウム・ネオアウラム(ATCC9626, NRRL B-3683, NRRL B-3805)、マイコバクテリウム・スメグマチス(ATCC14468)、ノカルジア・コラリナ(ATCC31338)、ノカルジナ・グロベルラ(ATCC9356)、ノカルジア・ミニマ(ATCC19150)、ノカルジア・レストリクタス(NCIB10027)、ノカルジア・ルブロペルチンクタ(ATCC14352)、ノカルジア・サルモニコロル(ATCC19149)及びシュードモナス・テストステロニ(ATCC11996)が使用される。
【0023】
もう1つの変法においては、一般式4,Bの化合物が、下記一般式D:
【化4】

【0024】
[式中、R7、R10及びR13は、一般式4、Bの化合物に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたステロイドから、微生物学的反応により生成され得る。この反応は、アスペルギラス・スペーシス、ベアウベリア・スペーシス、クルブラリア・スペーシス、ギベレラ・スペーシス、グロメレラ・スペーシス、グノモニア・スペーシス、ハプロスポレラ・スペーシス、ヘリコスチラム・スペーシス (Helicostylum sp.) 、ニグロスポラ・スペーシス (Nigrospora sp.) 、リゾプス・スペーシス及びシンセファラストラム・スペーシス (Syncephalastrum sp.) から成る群から選択された微生物の使用により行われ、それにより、ステロイド骨格が11α位でヒドロキシル化され、そして従って、一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドが生成される。
【0025】
アスペルギラス・アリアセウス (Aspergillus alliaceus) 、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・フィシェリ、アスペルギラス・マリグナス、アスペルギラス・メレウス、アスペルギラス・ニジュアランス (Aspergillus nidualans) 、アスペルギラス・ニガー、アスペルギラス・オクラセウス、アスペルギラス・バリエコロル (Aspergillus variecolor) 、ベアウベリア・バシアナ、クルバラリア・ルナタ (Curvularia lunata) 、ギベレラ・ゼアエ、グロメレラ・シングラタ、グロメレラ・フサロイデス (Glomerella fusaroides) 、グノモニア・シングラタ、ハプロスポレラ・ヘスペレジカ (Haplosporella hesperedica) 、ヘリコスチラム・ピリホルマエ (Helicostylum piriformae) 、ニグロスポラ・スファエリカ (Nigrospora sphaerica) 、リゾプス・オリザエ及びシンセファラストラム・ラセモサム (Syncephalastrum racemosum) が好ましく、そして、特にアスペルギラス・アリアセウス(ATCC10060)、アスペルギラス・アワモリ(CBS)、アスペルギラス・フィシェリ(ATCC1020)、アスペルギラス・マリグナス(IMI16061)、アスペルギラス・メレウス(CBS)、アスペルギラス・ニジュアランス(ATCC11267)、アスペルギラス・ニガー(ATCC9142, ATCC11394)、アスペルギラス・オクラセウス(NRRL405, ATCC13252, ATCC46504)、アスペルギラス・バリエコロル(ATCC10067)、ベアウベリア・バシアナ(IFO5838, ATCC13144, IFO4848, CBS11025, CBS12736, ATCC7159)、クルバラリア・ルナタ(IX3)、ギベレラ・ゼアエ(CBS4474)、グロメレラ・シングラタ(ATCC10534, CBS23849, CBS23749, ATCC16646, IFO6459, IFO6425, IFO6470, ATCC15093, ATCC10529, IFO5257, ATCC56596, ATCC64682)、グロメレラ・フサロイデス(ATCC9552)、グノモニア・シングラタ(CBS15226)、ハプロスポレラ・ヘスペレジカ(CBS20837)、ヘリコスチラム・ピリホルマエ(ATCC8992)、ニグロスポラ・スファエリカ(ATCC12772)、リゾプス・オリザエ(ATCC4858)及びシンセファラストラム・ラセモサム(IFO4827)が使用される。
【0026】
一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドが生成される工程が特に適切であり、ここでお互い独立して、R7はCH3を表し、そして/又はR10はHを表し、そして/又はR13はCH3を表す。
【0027】
前記工程は、通常の手段で行われる。このためには、典型的には、まず第1に、滅菌された栄養溶液が株のために生成され、そして次に、この栄養溶液が株の培養溶液により接種され、株が培養される。次に、この手段で生成される予備培養物が、任意には、適切な栄養溶液により被覆された発酵器に添加される。好ましくは、株の培養に関して、成長期の後、出発物質、この場合、一般式3,Aの化合物、又は一般式Dの化合物のいずれかが発酵器に添加され、その結果、本発明の反応が進行する。反応が終結した後、物質の混合物が通常の手段で精製され、所望する7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドが単離される。
このようにして得られた一般式4,Bの化合物から、本発明の他の化合物が、本発明の生成方法により合成され得る。特に、下記一般8,10,12:
【0028】
【化5】

【0029】
[式中、U-V-W-X-Y-Zは、環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10, C1-C2-C3-C4-C5=C10又はC1-C2-C3-C4-C5-C10の1つ(この場合、オキソ基(=O)がW(=C3)に結合される)、又は環構造C1=C2-C3=C4-C5=C6(この場合、基OR3がW(=C3)に結合される)を表し、
R3は、H, C1-C4-アルキル、C1-C4-アルカノイル、又はOR3−基のO−原子を有する環状C3-C7−エーテルを表し、
R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、α又はβ一位に存在し、そしてH, CH3又はCF3を表し、そしてX-Y-ZがC4-C5=C10でない場合にのみ存在し、
R11はハロゲンであり、
R13は、メチル又はエチルであり、
【0030】
R17は、H, C1-C18−アルキル、脂環族C1-C18−アルキル、C1-C18−アルケニル、脂環族C1-C18−アルケニル、C1-C18−アルキニル、C1-C18−アルキルアリール、C1-C8−アルキレンニトリル又は基P−Q(ここで、基P-Qは上記で言及された意味を有する)を表し、
R17’は、H, C1-C18−アルキル、脂環族C1-C18−アルキル、C1-C18−アルケニル、脂環族C1-C18−アルケニル、C1-C18−アルキニル、又はC1-C18−アルキルアリールを表し、ここでR17’はまた、ケト基を介して、17β−オキシ基に結合されていてもよく、そしてR17’はまた、さらに1又は複数の基NR18R19、又は1又は複数の基SOxR20(ここで、x=0、1又は2)により置換されていてもよく、そしてR18, R19, 及びR20は個々の場合、お互い独立して、R17と同じ意味を有することができる]
で表される7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイド、その医薬的に適合できる付加塩、エステル及びアミドが、好都合が活性成分を生成する。
【0031】
一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドから、追加の工程段階により得られるそれらの化合物は、上記言及された副作用を有さない強いアンドロゲン作用を有する価値ある活性成分である。それらの化合物は、医薬剤及び特に効果的な避妊薬及びホルモン置換療法(HRT)のための活性成分のために適切である。
【0032】
さらに、R17’が基NR18R19により置換される場合、これはメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ベンジルアミノ又はジベンジルアミノ基であり得る。
【0033】
特に適切な一般式8,10, 12の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドは、U-V-W-X-Y-Zが、環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10, C1-C2-C3-C4-C5=C10又はC1=C2-C3=C4-C5=C10を表す化合物である。
【0034】
第1の場合(U-V-W-X-Y-ZがC1-C2-C3-C4=C5-C10)、それらは、下記一般式10:
【化6】

で表されるステロイドである。
【0035】
第2の場合(U-V-W-X-Y-ZがC1-C2-C3-C4-C5=C10)、それらは、下記一般式12:
【化7】

で表されるステロイドである。
【0036】
一般式10及び12の化合物は、アンドロゲン作用化合物である。
第3の場合(U-V-W-X-Y-ZがC1=C2-C3=C4-C5=C10)、それらは、下記一般式8:
【化8】

で表されるステロイドである。
【0037】
それらの化合物は、エストロゲン(エストロゲン受容体−親和性化合物)である。
すべてのそれらの場合、基R3, R7, R10, R11, R13, R17及びR17’は、一般式8, 10, 12におけるそれらの対応する基と同じ意味を有する。
お互い独立して、R1は好ましくは、Hを表し、そして/又はR7はCH3を表し、そして/又はR11 は弗素を表し、そして/又はR13はCH3を表し、そして/又はR17はH, CH3, C1-C18-アルキニル、特にエチニル、CH2CN又はCF3を表し、そして/又はR17’はHを表す。
【0038】
本発明に従って特に適切である一般式8, 10, 12の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドは、次のものである:
17α−エチニル−11β―フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オン(式10)、
17α−エチニル−11β―フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−3−オン(式12)、
17α−エチニル−11β―フルオロ−7α−メチルエストラ−1,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(式8)。
【0039】
それらの化合物の生成に関しては、次の生成方法が採用され得る:
U-V-W-X-Y-Zが環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10を表す一般式10の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成に関しては、本発明の微生物学的生成方法により得られる一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドが、出発物質として使用される。
第1の合成段階においては、このようにして得られたそれらの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドは、ハロデヒドロキシル化試薬による求核置換により、その対応する7α−置換された11β−ハロゲンステロイド5に転換される:
【0040】
【化9】

【0041】
ハロデヒドロキシル化試薬として、この目的のために通常使用されるすべての化合物、例えば弗化水素酸、塩酸、臭酸又はヨウ素酸、塩化チオニル又は臭化チオニル、五塩化リン、オキシ塩化リン、N−クロロスクシンイミド、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、HF/ピリジン又はジエチルアミノ三弗化硫黄又は好ましくは、弗化ノナフリル/1,5−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセンが適切である。
【0042】
次に、化合物10が、環骨格のC17上の選択的アルキル化により5から生成される(これに関しては、略図1を参照のこと)。選択的アルキル化に関しては、通常のアルキル化試薬、例えばグリニャール化合物及び有機金属化合物、特にアルキルリチウム化合物が使用され得る。例えば臭化エチニルマグネシウムが、エストレ−4−エン−3、17−ジオンからの、その対応する17α−エチニル−17β−ヒドロキシ−エストレ−4−エン−3−オンの生成のためのアルキル化剤として使用され得る。
【0043】
U-V-W-X-Y-Zが環構造C1-C2-C3-C4-C5=C10を表し、そして一般式12を有する7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成のためには、一般式10の化合物が使用され、そして異性化され、その結果Δ4−二重結合がΔ5(10)−二重結合に異性化される。3−ケト基を保護するためには、第1に、環状エーテルがこの目的のために3−位で形成される。次に、Δ4−二重結合がΔ5(10)−二重結合に異性化され、それにより一般式12の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドが形成され、そして保護基が再び分離される。
【0044】
U-V-W-X-Y-ZがC1=C2-C3=C4-C5=C10を表す追加の一般式8の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成のためには、その方法は次の通りである:
第1に、上記ですでに記載されるように、一般式5のその対応する11β−ハロゲンステロイドが、微生物学的ヒドロキシル化及び酸化により得られた一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドから、求核置換反応におけるハロデヒドロキシル化により形成される。
【0045】
後者から、次に、下記一般式6:
【化10】

【0046】
[式中、R3, R7, R11及びR13は上記で示されたのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたエストラ−1,3,5(10)−トリエンが、例えば銅(II)塩による酸化により形成される。もう1つの基がHとしてR3を表す場合、その対応するエーテル又はエステルが、1,3,5(10)−トリエン環が酸化により形成された後、既知の手段で形成されるべきである。
【0047】
一般式6の7α−置換された11β−ハロエストラ−1,3,5(10)−トリエン、及びその医薬的に適合できる付加塩、エステル及びアミドはまた新規であり、本発明に従っての一般式8の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの合成における中間生成物として請求される。
特に好ましい一般式6の7α−置換された11β−ハロエストラ−1,3,5(10)−トリエンは、11β−フルオロ−3−ヒドロキシ−7α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンである。
【0048】
本発明の一般式8の7α−置換された11β−ハロゲンステロイドは、環骨格のC17での選択的アルキル化による一般式10の化合物の合成について前に記載されたのと同じ手段で、一般式6の7α−置換された11βハロエストラ−1,3,5(10)−トリエンから形成され得る。
さらに、下記一般式9の7α−置換された11β−ハロゲンステロイドはまた、一般式3,A又はDの7α−置換されたステロイドからの微生物学的ヒドロキシル化及び酸化により得られる一般式4,Bの物質からも生成され得、そして前記7α−置換された11βハロゲンステロイドはまたアンドロゲン性作用を有する:
【0049】
【化11】

【0050】
[式中、R7、R11及びR13は、上記に示されるのと同じ意味を有する]。特に好ましい化合物は、11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンである。一般式9の化合物及び医薬的に適合できるその付加塩、エステル及びアミドもまた、アンドロゲン性作用を有する。
一般式9の化合物の生成のためには、エストル−4−エン−3、17−ジオン5が、例えば硼化水素により、17β−ヒドロキシ−エストル−4−エン−3−オン9に還元される。
【0051】
さらに、一般式9の化合物は、下記式:
【化12】

【0052】
[式中、R7, R10, R11及びR13は、一般式8, 10, 12におけるような意味を有する]
で表される、その対応する7α−置換された11β−ハロエストラ−5(10)−エンに転換され得る。このためには、一般式9の化合物は、Δ4−二重結合のΔ5(10)−二重結合への変更により異性化される。3−ケト基を保護するためには、第1に、3位での環状エーテルがこの目的のために形成される。次に、Δ4−二重結合がΔ5(10)−二重結合に異性化され、それにより、上記に示される7α−置換された11β−ハロゲンステロイドが形成され、そして次に、保護基が再び切断される。
【0053】
最後に、その対応する7α−置換された11βハロエストラ−5(10)−エンはまた、Δ4−二重結合のΔ5(10)−二重結合への異性化により、一般式5の化合物から転換され得る:
【化13】

[式中、R7, R10, R11及びR13は一般式8、10、12におけるような意味を有する]。
【0054】
このためには、一般式5の化合物は、Δ4−二重結合のΔ5(10)−二重結合への変更により異性化される。3−ケト基を保護するためには、第1に、3位での環状エーテルがこの目的のために形成される。次に、Δ4−二重結合がΔ5(10)−二重結合に異性化され、それにより、上記に示される7α−置換された11β−ハロゲンステロイドが形成され、そして最終的に、保護基が再び切断される。
【0055】
すべての上記化合物はまた、対応するヒドロキシ基が3−又は17β−位に存在する場合、さらにエステル化又はエーテル化され得る。例えば、化合物9は、対応する17β−エーテル又は17β−エステルに転換され得る。好ましい化合物は、11β−フルオロ−17β−(4−スルファモイルベンゾキシ)−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンである。C17でのオキシ−酸素原子上の置換基として、R17’について示されるのと基本的に同じ基が適切である。
【0056】
特に、一般式8, 10, 12の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドが、医薬剤の生成のために適切である。従って、本発明はまた、少なくとも1つの一般式I, 10, 12の上記化合物、及び少なくとも1つの医薬的に適合できるビークルを含む、医薬剤及び医薬製剤の生成のためへの一般式8, 10, 12の上記化合物の使用に関する。
【0057】
本発明の一般式10、12の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドは、上記に言及された副作用、例えば前立腺の刺激を伴わないで(特に、良性前立腺肥大を伴わない)、強いアンドロゲン作用を有する化合物である。前記化合物は合成するにも容易である。一般式10又は12の本発明の化合物は、男性用HRTのためにのみ使用されるだけでなく、それらの化合物は、他の活性成分の追加の投与を伴わない場合でさえ、十分な計量がLH、身体において生成されるテストステロン、及びFSH(卵胞刺激ホルモン)の血液レベルを適切に低めるために行われた場合、効果的な男性用避妊剤として適切である。これは、LH及びFSHの放出を阻害する本発明の11β−ハロゲンステロイドに依存する。LHはLeydig細胞を刺激し、その結果、テストステロンが分泌される。LHの血液レベルが低く維持される場合、内因性テストステロンの放出はまた低下する。テストステロンは精子形成のために必要とされ、そしてFSHは胚細胞を刺激する。従って、十分に高いFSH及びLH血液レベルは、効果的な精子形成のために必要であり、それにより、十分に高いLH血液レベルが、精子形成のために必要であるテストステロン放出をもたらす。
【0058】
7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドによる独占的処理は、滅菌のための追加の活性成分を伴わないで、効果的な男性用避妊をすでにもたらすことができるので、この目的のために適切である医薬剤の投与が有意に単純化され得、そして使用の費用は相当に低められ得る。
本発明の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドはまた、男性受精能を調節するために、ゲスタゲンと組合して使用され得る。
【0059】
さらに、本発明の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドは、5α−レダクターゼ及びステロイド−11−ヒドロキシラーゼを効果的に阻害し[CYP11B(P450c11)、G. Zhang, W.L. Miller, Journal of Clinical Endocrinology and Metabokism, Vol. 81, pages 3254-3256 (1996)]、その結果、例えば前立腺の刺激が選択的に回避され、そしてそれらの化合物は改良された薬物動物学を有する。11−ヒドロキシラーゼの阻害は、アンドロゲン性化合物の低められた非活性化及び身体からのそれらの低められた排泄をもたらす。結果として、既知の化合物に比較して、それらの化合物の作用の有効性及び持続期間が、経口投与の後、特に改良される。
【0060】
上記理由のために、それらの化合物は、男性用受胎調節への使用のために、及びエストロゲン性ステロイドを形成するための同時に得られた芳香族化能力を伴っての5α−還元に対する低められた傾向、及び血清脂質及び中枢神経系に対する好都合な影響を有するアンドロゲン置換療法のために特に適切である。
アンドロゲン作用、及び上記副作用が生じない観察は、一般式10及び12の本発明の化合物についての精嚢試験により決定された。本発明の一般式8の化合物の有効性が、子宮成長試験によりエストロゲン作用のために調べられた。
【0061】
本発明の一般式10又は12の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイド、又はそれらの化合物を含む本発明の医薬製剤は、非不妊性男性患者、及び基本的にはまた雄の哺乳類を処理するために十分に適切である。男性用避妊のための適用は、男性患者が単なる一時的な不妊性であることをもたらす。本発明の活性成分又は医薬製剤の適用が完結した後、元の状態が再現され、その結果、男性患者はもはや不妊性ではなく、そして精子形成が元の程度に再現される。所望する期間、一時的な不妊性の状態を維持するためには、活性成分又はその製剤の投与が行われるべきであり、それにより、投与は、投与の形に依存して、短期間、毎日、又は長期間、定期的に反復されるべきである。活性成分又はその製剤の1度の又は反復された投与が完結された後、男性患者の非不妊性状態はすぐには回復せず、むしろ、ゆっくりと回復し、それにより、この目的のために必要である時間は、種々の要因、例えば投与量、患者の身体構造及びほかの医薬剤の同時投与に依存する。
【0062】
投与の目的が避妊から成る場合、7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの用量は、個々の患者におけるLH及びFSHの血清レベルが多くとも2.5 I.E./ml(I.E.:国際単位)、特に多くとも1.0 I.E./mlであり、そしてテストスロンの血液レベルが多くとも10nモル/l、特に多くとも3nモル/lであるよう高く設定されるべきである。
本発明の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドが避妊のためにではなく、HRTのために使用される場合、その用量は低く設定される。このためには、それぞれ2.5 I.E.以上のLH及びFSH、及び10nモル/l以上のテストステロンの血液レベルを可能にする効果レベルを達成する試みが行われる。
【0063】
LH, FSH及びテストステロンの血液レベルを設定するために必要とされる本発明の一般式10又は12の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの用量は、多くの要因に依存し、そして従って投与−特異的態様で決定されるべきである。第1に、用量は天然においては、治療の型に依存する。化合物が男性用避妊のために使用される場合、HRTのためへの使用の場合におけるよりも有意に高い用量が与えられるべきである。その用量はまた、7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの型及びその生物学的利用能に依存する。投与の型はまた、投与される量のために必須である。最後に、用量はまた、処理される患者の身体構造、及び他の要因、例えば他の医薬剤が同時に供給されるかどうかの状態に依存する。
【0064】
化合物は、経口及び非経口、例えばi.p.(腹腔内)、i.v.(静脈内)、i.m.(筋肉内)又は経皮投与され得る。化合物はまた、組織に移植され得る。投与される化合物の量は、有効量は、有効量が投与される場合、広範囲内で変動する。投与される化合物の量は、0.1〜100mgの範囲である。ヒトにおける好ましい毎日の用量は、0.1〜10mgである。投与の期間は、達成される目的に依存する。
カプセル、ピル、錠剤、被覆された錠剤、クリーム、軟膏、ローション、液体、例えばシロップ、ゲル、i.p., i.v., i.m.又は経皮用注射のための注射用液体、等が、使用のために適切であり、それにより、分散のための個々の形が、本発明の化合物を、身体に、そのタイプに依存して、徐々に又は短時間以内で全量で開放する。
【0065】
経口投与に関しては、カプセル、ピル、錠剤、被覆された錠剤及び液体又は分散のために他の知られている経口形が、医薬製剤として使用される。この場合、医薬剤は、それらが活性成分を短時間で開放し、そしてそれらを身体に供給するか、又はそれらがデポット作用を有し、その結果、身体への活性成分の遅い供給が達成されるような手段で配合され得る。7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの他に、用量単位は、1又は複数の医薬的適合できるビークル、例えば医薬剤のレオロジーを調節するための物質、界面活性剤、微小カプセル、微粒子、顆粒、希釈剤、結合剤、例えばスターチ、糖、ソルビトール及びゼラチン、又は充填剤、例えばサリチル酸及びタルク、滑剤、色素、香料及び他の物質を含むことができる。
【0066】
特に、本発明の7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドはまた、経口投与のために意図され、そして活性11β−ハロゲンステロイドの他に、次の成分、すなわち医薬的に適合できる油及び/又は医薬的に適合できる親油性界面活性剤、及び/又は医薬的に適合できる親水性界面活性剤、及び/又は医薬的に適合できる水混和性溶媒を含む溶液の形で配合され得る。これに関しては、WO-A-97/21440号を参照のこと。
ステロイドのより良好な生成物学適用能を達成するためには、化合物はまた、シクロデキストリン包接体として配合され得る。このためには、化合物は、α−、β−又はγ−シクロデキストリン又はその誘導体と反応せしめられる。
【0067】
局部適用され得るクリーム、軟膏、ローション及び溶液が使用される場合、後者は、本発明の化合物が身体に十分な量で供給されるような手段で構成されるべきである。分散のためのそれらの形においては、アジュバント、例えば医薬剤のレオロジーを調節するための物質、界面活性剤、保存剤、希釈剤、皮膚を通しての本発明のステロイドの透過性を高めるための物質、色素、香料及び皮膚保護剤、例えばコンディショナー及び保湿剤が含まれる。本発明のステロイドとともに、他の活性成分がまた、医薬剤に含まれ得る。
【0068】
非経口投与に関しては、活性成分は、生理学的に適用できる希釈剤に溶解されるか又は懸濁され得る。希釈剤として、非常にしばしばであるが、溶解剤、界面活性剤、沈殿防止剤又は乳化剤の添加を伴ってか又はそれらを伴わないで、油が使用される。使用される油の例は、オリーブ油、ピーナツ油、綿花種子油、大豆油、ヒマシ油及びゴマ油である。注射用製剤を配合するためには、本発明の化合物が溶解されるか又は乳化されるいずれかの溶液ビークルが使用され得る。それらの液体は時々また、粘度を調節するための物質、界面活性剤、保存剤、溶解剤、希釈剤、及び他の添加剤(溶液を等張に設定するための)を含む。他の活性成分はまた、7α、17α−置換された11β−ハロゲンステロイドと共に投与され得る。
【0069】
本発明の11β−ハロゲンステロイドは、活性成分の遅延された開放が可能にされるような手段で配合され得る。デポット注射又は移植製剤の形で投与され得る。このためには、既知の技法、例えば膜を溶解するか又は膜と共に作用するデポットが使用され得る。移植物は、不活性材料として、生分解性ポリマー又は合成シリコーン、例えばシリコーンゴムを含むことができる。本発明の11β−ハロゲンステロイドはまた、経皮投与のために、パッチに組込まれ得る。
下記に示される例は、本発明をより詳細に説明するために使用される。
【実施例】
【0070】
A.微生物学的合成:
11α−ヒドロキシ−7α−メチル−エストル−4−エン−3,17−ジオン(化合物4, B):
例1
【化14】

【0071】
オートクレーブにおいて121℃で30分間、滅菌され、そして3重量%のグルコース、1重量%のトウモロコシ浸漬用リッカー、0.2重量%のNaNO3、0.1重量%のKH2PO4、0.2重量%のK2HPO4、0.05重量%のKCl、0.05重量%のMgSO4 ・7H2O、及び0.002重量%のFeSO4・7H2O(pH6.0)から成る栄養溶液1000mlを含む2L三角フラスコに、グノモニア・シングラタ(CBS15226)株のスラントロッド培養物を接種し、そして165rpmでの回転振盪機において28℃で72時間、振盪した。この予備培養物により、その予備培養物について記載されるのと同じ最終組織の無菌培地19Lにより被覆された20Lの発酵器を接種した。さらに、滅菌の前、もう1つの1.0mlのシリコーン油及び1.0mlのシンペロニック(オキソアルコールエトキシレート)を、気泡排除のために添加した。
【0072】
0.7バールの過剰圧力、28℃の温度、20L/分の通気及び250rpmの攪拌速度での12時間の成長期の後、40mlのDMF中、4.0gの17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンを添加した。攪拌を続け、そしてそれを通気した。135時間後、培養ブイヨンを収穫し、そして10Lのメチルイソブチルケトンにより12時間、及び5Lのメチルイソブチルケトンにより5時間、抽出した。組合された有機相を、乾燥状態に蒸発した。シリコーン油を、ヘキサンにより洗浄した。ヘキサン及び酢酸エチルから成るグラジエントを用いてのシリカゲル上でのクロマトグラフィー処理の後、1.64g(39%)の11α−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3,17−ジオンを単離した。
【0073】
例2
【化15】

【0074】
オートクレーブにおいて121℃で30分間、滅菌され、そして3重量%のグルコース、1重量%のトウモロコシ浸漬用リッカー、0.2重量%のNaNO3、0.1重量%のKH2PO4、0.2重量%のK2HPO4、0.05重量%のKCl、0.05重量%のMgSO4 ・7H2O、及び0.002重量%のFeSO4・7H2O(pH6.0)から成る栄養溶液1000mlを含む2L三角フラスコに、グロメラ・シングラタ(IFO6425)株のスラントロッド培養物を接種し、そして165rpmでの回転振盪機において28℃で72時間、振盪した。この予備培養物により、20Lの発酵器を接種し、そして前記発酵器をその予備培養物について記載されるのと同じ最終組織の無菌培地19Lにより被覆した。
【0075】
さらに、滅菌の前、もう1つの1.0mlのシリコーン油及び1.0mlのシンペロニックを、気泡排除のために添加した。0.7バールの過剰圧力、28℃の温度、10L/分の通気及び350rpmの攪拌速度での12時間の成長期の後、30mlのDMF中、2.0gの17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンを添加した。攪拌を続け、そしてそれを通気した。19時間後、培養ブイヨンを収穫し、そして20Lのメチルイソブチルケトンにより16時間、及び20Lのメチルイソブチルケトンにより23時間、抽出した。組合された有機相を、乾燥状態に蒸発した。残渣をメタノールに、かなりの程度まで溶解した。
【0076】
シリコーン油を濾過した。それを蒸発により濃縮し、そしてジクロロメタン及びアセトンから成るグラジエントを用いて、シリカゲル上でのクロマトグラフィー処理の後、1.55g(73%)の11α、17β−ジヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンを単離した。アセトン/ジイソプロピルエーテルからの再結晶化の後、163℃の融点及び[α]D=-16°(CHCl3, c=0.501)を有する白色結晶827mg(39%)を単離した。
【0077】
オートクレーブにおいて126℃で30分間、滅菌され、そして0.5重量%のグルコース、0.5重量%のbacto−酵母抽出物、0.1重量%のペプトン及び0.2重量%のトウモロコシ浸漬用リッカー(pH7.5)から成る栄養溶液500mlを含む2Lの三角フラスコを、バチルス・スファエリカス(ATCC7055)株の培養物からの4個の凍結球体(cryosphere)により接種し、そして165rpmでの回転振盪機において28℃で24時間、振盪した。この予備培養物により、予備培養物について記載されるのと同じ組成の無菌培地500mlを含む、4個の2Lの三角フラスコ(それぞれ、この培養ブイヨン10%を含む)を接種した。165rpmでの回転振盪機における28℃の温度での4時間の成長期間の後、2.5mlのDMF中、50mgの11α、17β−ジヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンを、個々のフラスコに添加した。
【0078】
振盪を48時間、続けた。組合された培養ブイヨンを、2Lのメチルイソブチルケトンにより2度、抽出した。組合された有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして乾燥状態に蒸発した。この場合、630mgの油状−結晶性残渣を得た。アセトン/ジイソプロピルエーテルからの再結晶化の後、189℃の融点及び[α]D=+40.4°(CHCl3, c=0.529) を有する黄色の結晶103mg(49.2%)を単離した(これまでのクロマトグラフィー精製を伴わないでの直接的な結晶化)。
【0079】
例3
【化16】

【0080】
オートクレーブにおいて121℃で30分間、滅菌され、そして3重量%のグルコース、1重量%のトウモロコシ浸漬用リッカー、0.2重量%のNaNO3、0.1重量%のKH2PO4、0.2重量%のK2HPO4、0.05重量%のKCl、0.05重量%のMgSO4 ・7H2O、及び0.002重量%のFeSO4・7H2O(pH6.0)から成る栄養溶液500mlを含む2L三角フラスコに、アスペルギラス・オキラセウス(CBS13252)株のスラントロッド培養物を接種し、そして165rpmでの回転振盪機において28℃で72時間、振盪した。この予備培養物により、10Lの発酵器を接種し、そして前記発酵器をその予備培養物について記載されるのと同じ最終組織の無菌培地9.5Lにより被覆した。さらに、滅菌の前、もう1つの0.5mlのシリコーン油及び0.5mlのシンペロニックを、気泡排除のために添加した。
【0081】
0.7バールの過剰圧力、28℃の温度、5L/分の通気及び350rpmの攪拌速度での6時間の成長期の後、15mlのDMF中、1.0gの17β−メチルエストル−4−エン−3,17−ジオンを添加した。攪拌を続け、そしてそれを通気した。22時間後、培養ブイヨンを収穫し、そして7Lのメチルイソブチルケトンにより4時間、抽出した。組合された有機相を、乾燥状態に蒸発した。残渣をメタノールに、かなりの程度まで溶解した。シリコーン油を濾過した。それを蒸発により濃縮し、そしてジクロロメタン及びアセトンから成るグラジエントを用いて、シリカゲル上でのクロマトグラフィー処理の後、0.78g(74%)の11α−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3,17−ジオンを単離した。アセトン/ジイソプロピルエーテルからの再結晶化の後、200℃の融点及び[α]D=+52°(CHCl3, c=0.5905)を有する白色結晶311mg(29.6%)を単離した。
【0082】
B. 化学的生成方法
例4:11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンの生成
a)11β−フルオロ−7α−メチルエストル−4−エン−3,17−ジオン
11.5mlのペルフルオロブタン−1−スルホン酸フルオリドを、250mlのトルエン及び18.2mlの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン中、13.08gの11α−ヒドロキシ−7α−メチル−エストル−4−エン−3,17−ジオン(本発明に従って微生物学的合成により生成された(パートA))の溶液に、0℃で滴下した。1時間後、それを、2Mの塩酸により中和し、水に添加し、酢酸エチルにより4度、抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、乾燥し、そして真空下での蒸発により濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチルグラジエントを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した後、8.7gの11β−フルオロ−7α−メチル−エストル−4−エン−3,17−ジオンを得た。融点:101.4℃、[α]D:+135.8°(CHCl3)。
【0083】
b)11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オン
148mlのテトラヒドロフラン中、8.7gの11β−フルオロ−7α−メチル−エストル−4−エン−3,17−ジオンの溶液を、テトラヒドロフラン中、1Mのリチウムアルミニウムトリ−tert−ブトキシ水素化物29.5mlと共に0℃で少しづつ混合した。次に、希硫酸を0℃で添加し、そしてその反応溶液を氷水に添加し、酢酸エチルにより3度、抽出し、洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下での蒸発により濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。143−144℃の融点を有する11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オン5.8gを得た。[α]D=+89.9°(CHCl3)。
【0084】
例5:11β−フルオロ−17β−(4−スルファモイルベンゾキシ)−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンの生成
7.5mlのピリジン中、500mgの11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンの溶液を、750mgの4−スルファモイル安息香酸、800mgのN, N−ジシクロヘキシルカルボジイミド及び125mgのp−トルエンスルホン酸と共に室温で混合し、そして8.5時間、攪拌し、次に、それを、炭酸水素ナトリウム溶液に添加し、ジクロロメタンにより4度、抽出し、洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下での蒸発により濃縮し、そしてジクロロメタン/アセトンを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。232℃の融点を有する11β−フルオロ−17β−(4−スルファモイルベンゾキシ)−7α−メチルエストル−4−エン−3−オン302mgを得た。[α]D=+100.5°(CHCl3)。
【0085】
例6:17α−エチニル−11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンの生成
a)11β−フルオロ−3−メトキシ−7α−メチルエストラ−3,5−ジエン−17−オン
20mlの2,2−ジメトキシプロパン中、2gの11β−フルオロ−7α−メチルエストル−4−エン−3,17−ジオンの溶液を、200mgのピリジニウムトシレートと共に80℃で6.5時間、攪拌した。次に、それを酢酸エチルにより希釈し、炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下での蒸発により濃縮した。2gの粗11β−フルオロ−3−メトキシ−7α−メチルエストラ−3,5−ジエン−17−オンを得た。
【0086】
b)17α−エチニル−11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オン
60mlのテトラヒドロフラン中、9.17gの塩化セシウム(III )の溶液を、74.2mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(テトラヒドロフラン中、0.5M)と共に少しづつ混合し、そして0℃で1時間、攪拌した。次に、40mlのテトラヒドロフラン中、2gの粗11β−フルオロ−3−メトキシ−7α−メチルエストラ−3,5−ジエン−17−オンの溶液を少しづつ添加し、そして0℃でさらに3.5時間、攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、水に添加し、酢酸エチルにより3度、抽出し、半濃縮された塩酸、炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下での蒸発により濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。218−220℃の融点を有する17α−エチニル−11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オン1.15gを得た。[α]D=+19.2°(CHCl3)。
【0087】
例7:17α−エチニル−11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−3−オンの生成
a)3,3−エタンジイルジオキシ−17α−エチニル−11β−フルオロ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−17β−オール
7mlのジクロロメタン及び4.7mlのエチレングリコール中、700mgの17α−エチニル−11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オンの溶液を、2.3mlのトリメチルオルトホルメート及び30mgのp−トルエンスルホン酸水和物と共に室温で6.5時間、攪拌した。次に、それを、炭酸水素ナトリウム溶液に添加し、酢酸エチルにより3度、抽出し、洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下での蒸発により濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。3,3−エタンジイルジオキシ−17α−エチニル−11β−フルオロ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−17β−オール205mgを得た。
【0088】
b)17α−エチニル−11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−3−オン
27mlのメタノール及び3.6mlの水中、205mgの3,3−エタンジイルジオキシ−17α−エチニル−11β−フルオロ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−17β−オールの溶液を、361mgのシュウ酸と共に室温で24時間、攪拌した。次に、それを、炭酸水素ナトリウム溶液に添加し、酢酸エチルにより3度、抽出し、洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下での蒸発により濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。112−114℃の融点を有する17α−エチニル−11β−フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−3−オン95mgを得た。
【0089】
例8:17α−エチニル−11β−フルオロ−7α−メチルエストル−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールの調製
a)11β−フルオロ−3−ヒドロキシ−7α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン
16.5mlのアセトニトリル中、500mgの11β−フルオロ−7α−メチルエストル−4−エン−3,17−ジオンの溶液を、400mgの臭化銅(II)と共に25℃で6.5時間、攪拌した。次に、それを酢酸エチルにより希釈し、炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下での蒸発により濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。185−186℃の融点を有する、280mgの純粋な11β−フルオロ−3−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−1,3,5(10)−トリエン−17−オンを得た。
【0090】
b)17α−エチニル−11β−フルオロ−7α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
7.5mlのテトラヒドロフラン中、2.03gの塩化セシウム(III )の溶液を、16.5mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(テトラヒドロフラン中、0.5M)と共に少しづつ混合し、そして0℃で0.5時間、攪拌した。次に、2.8mlのテトラヒドロフラン中、280mgの11β−フルオロ−3−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−1,3,5(10)−トリエン−17−オンの溶液を少しづつ添加し、そして0℃でさらに3.5時間、攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、水に添加し、酢酸エチルにより4度、抽出し、洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下での蒸発により濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。
115−117℃の融点を有する17α−エチニル−11β−フルオロ−7α−メチルエストル−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール220mgを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式4,B:
【化1】

[式中、R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、α−又はβ−位に存在し、そしてH, CH3又はCF3を表し、そして
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの微生物学的生成方法であって、下記一般式3,A:
【化2】

[式中、R7、R10及びR13は上記に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたステロイドを、アスペルギラス・スペーシス (Aspergillus sp.), ベアウベリア・スペーシス (Beauveria sp.), グロメレラ・スペーシス (Glomerella sp.), グノモニア・スペーシス (Gnomonia sp.), ハプロスポレラ・スペーシス (Haplosporella sp.) 及びリゾプス・スペーシス (Rhizopus sp.)から成る群から選択された微生物の使用によりヒドロキシル化し、そして酸化することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記微生物が、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awarmori)、アスペルギラス・フィシュリ(Aspergillus fischeri)、アスペルギラス・マリグナス(Aspergillus malignus)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)、グノモニア・シングラタ(Gnomonia cingulata)、ハプロスポレラ・ヘスペレジカ(Haplosporella hesperedica)及びリゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
下記一般式4,B:
【化3】

[式中、R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、α−又はβ−位に存在し、そしてH, CH3又はCF3を表し、そして
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの微生物学的生成方法であって、下記一般式3,A:
【化4】

[式中、R7、R10及びR13は上記に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたステロイドを、アスペルギラス・スペーシス, ベアウベリア・スペーシス, ギベレラ・スペーシス (Gibberella sp.)、グロメレラ・スペーシス, グノモニア・スペーシス, メタルヒジウム・スペーシス (Metarrhizium sp.), ニグロスポラ・スペーシス (Nigrospora sp.)、リゾプス・スペーシス及びベルチシリウム・スペーシス(Verticillium sp.)から成る群から選択された第1微生物の使用による第1微生物工程において11α−位でヒドロキシル化し、下記一般式C:
【化5】

[式中、R7、R10及びR13は上記に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドを形成し、そして一般式Cを有する前記7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドを、バチルス・スペーシス (Bacillus sp.), マイコバクテリウム・スペーシス (Mycobacterium sp.)、ノカルジア・スペーシス (Nocardia sp.), 及びシュードモナス・スペーシス (Pseudomonas sp.) から成る群から選択された第2微生物の使用による第2微生物工程において酸化し、一般式4,Bの7α−置換されたステロイドを形成させることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記第1微生物が、アスペルギラス・マリグナス(Aspergillus malignus),アスペルギラス・メレウス(Aspergillus melleus)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギラス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus), ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana),ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、ギベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae), グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata),グロメレラ・フサロイデス(Glomerella fusaroides)、グノモニア・シングラタ(Gnomonia cingulata)、メタルヒジウム・アニソプリアエ(Metarrhizium anisopliae)、ニグロスポラ・スファエリカ(Nigrospora sphaerica)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、リゾプス・ストロニフェニル(Rhizopus stolonifer)及びベルチシリウム・ダヒリアエ(Verticillium dahliae)から成る群から選択される請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第2微生物が、バチルス・ラクチモルバス(Bacillus lactimorbus)、バチルス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)、マイコバクテリウム・ネオアウラム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)、ノカルジア・コラリナ(Nocardia corallina)、ノカルジア・グロベルラ(Nocardia globerula)、ノカルジア・ミニマ(Nocardia minima)、ノカルジア・レストリクタス(Nocardia restrictus)、ノカルジア・ルブロペルチンクタ(Nocardia rubropertincta)、ノカルジア・サルモニコロル(Nocardia salmonicolor)及びシュードモナス・テストステロニ(Pseudomonas testosteroni)から成る群から選択される請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
下記一般式4,B:
【化6】

[式中、R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、H, CH3又はCF3を表し、そして
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの微生物学的生成方法であって、下記一般式D:
【化7】

[式中、R7、R10及びR13は上記に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたステロイドを、アスペルギラス・スペーシス、ベアウベリア・スペーシス、クルブラリア・スペーシス (Curvularia sp.)、ギベレラ・スペーシス, グロメレラ・スペーシス, グノモニア・スペーシス, ハプロスポレラ・スペーシス, ヘリコスチラム・スペーシス (Helicostylum sp.), ニグロスポラ・スペーシス, リゾプス・スペーシス及びシンセファラストラム・スペーシス (Syncephalastrum sp.) から成る群から選択された微生物の使用によりヒドロキシル化することを特徴とする方法。
【請求項7】
前記微生物が、アスペルギラス・アリアセウス(Aspergillus alliaceus)、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギラス・フィシェリ(Aspergillus fischeri)、アスペルギラス・マリグナス(Aspergillus malignus)、アスペルギラス・メレウス(Aspergillus melleus)、アスペルギラス・ニジュアランス(Aspergillus nidualans)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギラス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus)、アスペルギラス・バリエコロル(Aspergillus variecolor)、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、クルバラリア・ルナタ(Curvularia lunata)、ギベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)、グロメレラ・フサロイデス(Glomerella fusaroides)、グノモニア・シングラタ(Gnomonia cingulata)、ハプロスポレラ・ヘスペレジカ(Haplosporella hesperedica)、ヘリコスチラム・ピリホルマエ(Helicostylum piriformae)、ニグロスポラ・スファエリカ(Nigrospora sphaerica)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)及びシンセファラストラム・ラセモサム(Syncephalastrum racemosum)から成る群から選択される請求項6記載の方法。
【請求項8】
R7がCH3を表す請求項1〜7のいずれか1項記載の微生物学的方法。
【請求項9】
R10がHを表す請求項1〜8のいずれか1項記載の微生物学的方法。
【請求項10】
R13がCH3を表す請求項1〜9のいずれか1項記載の微生物学的方法。
【請求項11】
下記一般8,10,12:
【化8】

[式中、U-V-W-X-Y-Zは、環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10, C1-C2-C3-C4-C5=C10又はC1-C2-C3-C4-C5-C10の1つ(この場合、オキソ基(=O)がW(=C3)に結合される)、又は環構造C1=C2-C3=C4-C5=C6(この場合、基OR3がW(=C3)に結合される)を表し、
R3は、H, C1-C4-アルキル、C1-C4-アルカノイル、又はOR3−基のO−原子を有する環状C3-C7−エーテルを表し、
R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、α又はβ一位に存在し、そしてH, CH3又はCF3を表し、そしてX-Y-ZがC4-C5=C10でない場合にのみ存在し、
R11はハロゲンであり、
R13は、メチル又はエチルであり、
R17は、H, C1-C18−アルキル、脂環族C1-C18−アルキル、C1-C18−アルケニル、脂環族C1-C18−アルケニル、C1-C18−アルキニル、C1-C18−アルキルアリール、C1-C8−アルキレンニトリル又は基P−Q(ここで、基P-Qは上記で言及された意味を有する)を表し、
R17’は、H, C1-C18−アルキル、脂環族C1-C18−アルキル、C1-C18−アルケニル、脂環族C1-C18−アルケニル、C1-C18−アルキニル、又はC1-C18−アルキルアリールを表しここでR17’はまた、ケト基を介して、17β−オキシ基に結合されていてもよく、そしてR17’はまた、さらに1又は複数の基NR18R19、又は1又は複数の基SOxR20(ここで、x=0、1又は2)により置換されていてもよく、そしてR18, R19, 及びR20は個々の場合、お互い独立して、R17と同じ意味を有することができる]
で表される7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド、その医薬的に適合できる付加塩、エステル及びアミド。
【請求項12】
U-V-W-X-Y-Zが、環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10, C1-C2-C3-C4-C5=C10又はC1=C2-C3=C4-C5=C10を表す、請求項11記載の7α,17α―置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項13】
R1がHを表す、請求項11又は12記載の7α,17α―置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項14】
R7がCH3を表す、請求項11〜13のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項15】
R11が弗素を表す、請求項11〜14のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項16】
R13がCH3を表す、請求項11〜15のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項17】
R17がH、CH3、C1-C18−アルキニル、CH2CN又はCF3を表す請求項11〜16のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項18】
R17がエチニルを表す、請求項11〜17のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項19】
R17’がはHを表す、請求項11〜18のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項20】
17α−エチニル−11β―フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オン、
17α−エチニル−11β―フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−3−オン、
17α−エチニル−11β―フルオロ−7α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールである、請求項11〜19のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項21】
下記一般式6:
【化9】

[式中、R3は、H, C1-C4-アルキル、C1-C4-アルカノイル、又はOR3基のO−原子を有する環状C3-C7−エーテルを表し、
R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R11は、水素であり、
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11β−アロエストラー1,3,5 (10)−トリエン、並びにその医薬的に適合できる付加塩、エステル及びアミド。
【請求項22】
11β−フルオロ−3−ヒドロキシ−7α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンである、請求項21記載の7α−置換された11β−ハロエストラ−1,3,5(10)−トリエン。
【請求項23】
U−V−W−X−Y−Zが環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10を表す、請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式10の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成方法であって、次の工程段階:
一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの11位におけるハロデヒドロキシル化剤による求核置換;
この場合に生成される7α−置換された11β−ハロゲンステロイドと環骨格のC17原子に対する選択的態様でのアルキル化剤との反応による一般式10の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの形成を含んで成る方法。
【請求項24】
U−V−W−X−Y−Zが環構造C1-C2-C3-C4-C5=C10を表す、請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式12 の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成方法であって、次の工程段階:
一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの11位におけるハロデヒドロキシル化剤による求核置換;
この場合に生成される7α−置換された11β−ハロゲンステロイドと環骨格のC17原子に対する選択的態様でのアルキル化剤との反応による一般式10の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの形成;
一般式10の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの異性化によるU−V−W−X−Y−Zが環構造C1-C2-C3-C4-C5=C10を表す一般式12のその対応する異性体の形成;
を含んで成る方法。
【請求項25】
U−V−W−X−Y−Zが環構造C1=C2-C3=C4-C5=C6を表す、請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式8の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成方法であって、
一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの11位におけるハロデヒドロキシル化剤による求核置換;
この場合に生成する7α−置換された11β−ハロゲンステロイドの酸化による、請求項17又は18記載の一般式6の7α−置換されたエストラ−1,3,5(10)−トリエンの形成;
この場合に生成される7α−置換された11β−ハロゲンステロイドと環骨格のC17原子に対する選択的態様でのアルキル化剤との反応による一般式8の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの形成;
を含んで成る方法。
【請求項26】
医薬剤の生成のためへの請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式8,10,12の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの使用。
【請求項27】
少なくとも1つの請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式8,10,12の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド、及び少なくとも1つの医薬的に適合できるビークルを含む医薬製剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式4,B:
【化1】

[式中、R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、水素、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、α−又はβ−位に存在し、そしてH, CH3又はCF3を表し、そして
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの微生物学的生成方法であって、下記一般式3,A:
【化2】

[式中、R7、R10及びR13は上記に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたステロイドを、アスペルギラス・スペーシス (Aspergillus sp.), ベアウベリア・スペーシス (Beauveria sp.), グロメレラ・スペーシス (Glomerella sp.), グノモニア・スペーシス (Gnomonia sp.), ハプロスポレラ・スペーシス (Haplosporella sp.) 及びリゾプス・スペーシス (Rhizopus sp.)から成る群から選択された微生物の使用によりヒドロキシル化し、そして酸化することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記微生物が、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awarmori)、アスペルギラス・フィシュリ(Aspergillus fischeri)、アスペルギラス・マリグナス(Aspergillus malignus)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)、グノモニア・シングラタ(Gnomonia cingulata)、ハプロスポレラ・ヘスペレジカ(Haplosporella hesperedica)及びリゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
下記一般式4,B:
【化3】

[式中、R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、水素、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、α−又はβ−位に存在し、そしてH, CH3又はCF3を表し、そして
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの微生物学的生成方法であって、下記一般式3,A:
【化4】

[式中、R7、R10及びR13は上記に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたステロイドを、アスペルギラス・スペーシス, ベアウベリア・スペーシス, ギベレラ・スペーシス (Gibberella sp.)、グロメレラ・スペーシス, グノモニア・スペーシス, メタルヒジウム・スペーシス (Metarrhizium sp.), ニグロスポラ・スペーシス (Nigrospora sp.)、リゾプス・スペーシス及びベルチシリウム・スペーシス(Verticillium sp.)から成る群から選択された第1微生物の使用による第1微生物工程において11α−位でヒドロキシル化し、下記一般式C:
【化5】

[式中、R7、R10及びR13は上記に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドを形成し、そして一般式Cを有する前記7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドを、バチルス・スペーシス (Bacillus sp.), マイコバクテリウム・スペーシス (Mycobacterium sp.)、ノカルジア・スペーシス (Nocardia sp.), 及びシュードモナス・スペーシス (Pseudomonas sp.) から成る群から選択された第2微生物の使用による第2微生物工程において酸化し、一般式4,Bの7α−置換されたステロイドを形成させることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記第1微生物が、アスペルギラス・マリグナス(Aspergillus malignus),アスペルギラス・メレウス(Aspergillus melleus)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギラス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus), ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana),ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、ギベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae), グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata),グロメレラ・フサロイデス(Glomerella fusaroides)、グノモニア・シングラタ(Gnomonia cingulata)、メタルヒジウム・アニソプリアエ(Metarrhizium anisopliae)、ニグロスポラ・スファエリカ(Nigrospora sphaerica)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、リゾプス・ストロニフェニル(Rhizopus stolonifer)及びベルチシリウム・ダヒリアエ(Verticillium dahliae)から成る群から選択される請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第2微生物が、バチルス・ラクチモルバス(Bacillus lactimorbus)、バチルス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)、マイコバクテリウム・ネオアウラム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)、ノカルジア・コラリナ(Nocardia corallina)、ノカルジア・グロベルラ(Nocardia globerula)、ノカルジア・ミニマ(Nocardia minima)、ノカルジア・レストリクタス(Nocardia restrictus)、ノカルジア・ルブロペルチンクタ(Nocardia rubropertincta)、ノカルジア・サルモニコロル(Nocardia salmonicolor)及びシュードモナス・テストステロニ(Pseudomonas testosteroni)から成る群から選択される請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
下記一般式4,B:
【化6】

[式中、R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、水素、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、H, CH3又はCF3を表し、そして
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの微生物学的生成方法であって、下記一般式D:
【化7】

[式中、R7、R10及びR13は上記に示されるのと同じ意味を有する]
で表される7α−置換されたステロイドを、ベアウベリア・スペーシス、クルブラリア・スペーシス (Curvularia sp.)、ギベレラ・スペーシス, グロメレラ・スペーシス, グノモニア・スペーシス, ハプロスポレラ・スペーシス, ヘリコスチラム・スペーシス (Helicostylum sp.), ニグロスポラ・スペーシス及びシンセファラストラム・スペーシス (Syncephalastrum sp.) から成る群から選択された微生物の使用によりヒドロキシル化することを特徴とする方法。
【請求項7】
前記微生物が、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、クルバラリア・ルナタ(Curvularia lunata)、ギベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)、グロメレラ・フサロイデス(Glomerella fusaroides)、グノモニア・シングラタ(Gnomonia cingulata)、ハプロスポレラ・ヘスペレジカ(Haplosporella hesperedica)、ヘリコスチラム・ピリホルマエ(Helicostylum piriformae)、ニグロスポラ・スファエリカ(Nigrospora sphaerica)及びシンセファラストラム・ラセモサム(Syncephalastrum racemosum)から成る群から選択される請求項6記載の方法。
【請求項8】
R7がCH3を表す請求項1〜7のいずれか1項記載の微生物学的方法。
【請求項9】
R10がHを表す請求項1〜8のいずれか1項記載の微生物学的方法。
【請求項10】
R13がCH3を表す請求項1〜9のいずれか1項記載の微生物学的方法。
【請求項11】
下記一般8,10,12:
【化8】

[式中、U-V-W-X-Y-Zは、環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10, C1-C2-C3-C4-C5=C10又はC1-C2-C3-C4-C5-C10の1つ(この場合、オキソ基(=O)がW(=C3)に結合される)、又は環構造C1=C2-C3=C4-C5=C6(この場合、基OR3がW(=C3)に結合される)を表し、
R3は、H, C1-C4-アルキル、C1-C4-アルカノイル、又はOR3−基のO−原子を有する環状C3-C7−エーテルを表し、
R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、水素、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R10は、α又はβ一位に存在し、そしてH, CH3又はCF3を表し、そしてX-Y-ZがC4-C5=C10でない場合にのみ存在し、
R11はハロゲンであり、
R13は、メチル又はエチルであり、
R17は、H, C1-C18−アルキル、脂環族C1-C18−アルキル、C1-C18−アルケニル、脂環族C1-C18−アルケニル、C1-C18−アルキニル、C1-C18−アルキルアリール、C1-C8−アルキレンニトリル又は基P−Q(ここで、基P-Qは上記で言及された意味を有する)を表し、
R17’は、H, C1-C18−アルキル、脂環族C1-C18−アルキル、C1-C18−アルケニル、脂環族C1-C18−アルケニル、C1-C18−アルキニル、又はC1-C18−アルキルアリールを表しここでR17’はまた、ケト基を介して、17β−オキシ基に結合されていてもよく、そしてR17’はまた、さらに1又は複数の基NR18R19、又は1又は複数の基SOxR20(ここで、x=0、1又は2)により置換されていてもよく、そしてR18, R19, 及びR20は個々の場合、お互い独立して、R17と同じ意味を有することができる]
で表される7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド、その医薬的に適合できる付加塩、エステル及びアミド。
【請求項12】
U-V-W-X-Y-Zが、環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10, C1-C2-C3-C4-C5=C10又はC1=C2-C3=C4-C5=C10を表す、請求項11記載の7α,17α―置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項13】
R1がHを表す、請求項11又は12記載の7α,17α―置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項14】
R7がCH3を表す、請求項11〜13のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項15】
R11が弗素を表す、請求項11〜14のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項16】
R13がCH3を表す、請求項11〜15のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項17】
R17がH、CH3、C1-C18−アルキニル、CH2CN又はCF3を表す請求項11〜16のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項18】
R17がエチニルを表す、請求項11〜17のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項19】
R17’がはHを表す、請求項11〜18のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項20】
17α−エチニル−11β―フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−4−エン−3−オン、
17α−エチニル−11β―フルオロ−17β−ヒドロキシ−7α−メチルエストル−5(10)−エン−3−オン、
17α−エチニル−11β―フルオロ−7α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールである、請求項11〜19のいずれか1項記載の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド。
【請求項21】
下記一般式6:
【化9】

[式中、R3は、H, C1-C4-アルキル、C1-C4-アルカノイル、又はOR3基のO−原子を有する環状C3-C7−エーテルを表し、
R7は、基P−Qであり、ここで、
Pは、C1-C4−アルキレンを表し、そしてQは、水素、C1-C4−アルキル又はC1-C4−フルオロアルキルを表し、そして基P−QはPを介してステロイド骨格に結合しており、
R11は、水素であり、
R13は、メチル又はエチルである]
で表される7α−置換された11β−アロエストラー1,3,5 (10)−トリエン、並びにその医薬的に適合できる付加塩、エステル及びアミド。
【請求項22】
11β−フルオロ−3−ヒドロキシ−7α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンである、請求項21記載の7α−置換された11β−ハロエストラ−1,3,5(10)−トリエン。
【請求項23】
U−V−W−X−Y−Zが環構造C1-C2-C3-C4=C5-C10を表す、請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式10の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成方法であって、次の工程段階:
一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの11位におけるハロデヒドロキシル化剤による求核置換;
この場合に生成される7α−置換された11β−ハロゲンステロイドと環骨格のC17原子に対する選択的態様でのアルキル化剤との反応による一般式10の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの形成を含んで成る方法。
【請求項24】
U−V−W−X−Y−Zが環構造C1-C2-C3-C4-C5=C10を表す、請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式12 の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成方法であって、次の工程段階:
一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの11位におけるハロデヒドロキシル化剤による求核置換;
この場合に生成される7α−置換された11β−ハロゲンステロイドと環骨格のC17原子に対する選択的態様でのアルキル化剤との反応による一般式10の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの形成;
一般式10の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの異性化によるU−V−W−X−Y−Zが環構造C1-C2-C3-C4-C5=C10を表す一般式12のその対応する異性体の形成;
を含んで成る方法。
【請求項25】
U−V−W−X−Y−Zが環構造C1=C2-C3=C4-C5=C6を表す、請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式8の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの生成方法であって、
一般式4,Bの7α−置換された11α−ヒドロキシステロイドの11位におけるハロデヒドロキシル化剤による求核置換;
この場合に生成する7α−置換された11β−ハロゲンステロイドの酸化による、請求項17又は18記載の一般式6の7α−置換されたエストラ−1,3,5(10)−トリエンの形成;
この場合に生成される7α−置換された11β−ハロゲンステロイドと環骨格のC17原子に対する選択的態様でのアルキル化剤との反応による一般式8の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの形成;
を含んで成る方法。
【請求項26】
医薬剤の生成のためへの請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式8,10,12の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイドの使用。
【請求項27】
少なくとも1つの請求項11〜20のいずれか1項記載の一般式8,10,12の7α,17α−置換された11β−ハロゲンステロイド、及び少なくとも1つの医薬的に適合できるビークルを含む医薬製剤。

【公表番号】特表2006−503813(P2006−503813A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−523777(P2004−523777)
【出願日】平成15年7月24日(2003.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/008111
【国際公開番号】WO2004/011663
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(300049958)シエーリング アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】