説明

A3アデノシン受容体アロステリックモジュレーター

本発明は、アデノシン、A3アデノシン受容体(A3AR)アゴニストまたはA3アデノシン受容体アンタゴニストにより治療可能な状態の治療に使用される、A3アデノシン受容体モジュレーター(A3RM)である2,4−二置換キノリン誘導体を提供する。一実施形態において、2,4−二置換キノリン誘導体は、アデノシンまたはA3ARアゴニストにより治療可能な状態の治療に使用され、治療は、タンパク質の活性増強により(前記2,4−二置換キノリン誘導体とA3ARとの結合により)達成される。活性増強に使用された場合に2,4−二置換キノリン誘導体により治療可能ないくつかの状態として、悪性腫瘍、免疫不全、高眼圧または高眼圧に関連した状態が挙げられる。本発明はまた、記載された1つまたは複数の2,4−二置換キノリン誘導体を使用した、アデノシン、A3ARアゴニストまたはA3ARアンタゴニストにより治療可能な状態を有する被検体を治療するための方法ならびに前記誘導体を含む医薬組成物ならびに当該誘導体およびその使用説明書を含むキットを含む。1つの特定の2,4−二置換キノリン誘導体は、N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミドを含む。一実施形態において、本発明による2,4−二置換キノリン誘導体は、経口投与に適した形態に製剤化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Aアデノシン受容体(AAR)アロステリックモジュレーターおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(先行技術)
以下に挙げるものは、本発明の分野における最新技術を説明するのに適切と考えられる先行技術の一覧である。本明細書におけるこれらの参考文献は、場合により括弧内に下記一覧からその番号を明示することにより確認されるであろう。
1.Fishman Pら,Evidence for involvement of Wnt signaling pathway in IB−MECA mediated suppression of melanoma cells.Oncogene.,21:4060−4064(2002).
2.Fishman Pら,Targeting the A adenosine receptor for cancer therapy:inhibition of Prostate carcinoma cell growth by AAR agonist.Anticancer Res.,23:2077−2083(2003).
3.Madi Lら,A adenosine receptor activation in melanoma cells:association between receptor fate and tumor growth inhibition.J.Bio.Chem.,278:42121−42130(2003).
4.Ohana Gら,Inhibition of primary colon carcinoma growth and liver metastasis by the A adenosine receptor agonist IB−MECA.British J.Cancer.,89:1552−1558(2003).
5.Fishman Pら,An agonist to the A adenosine receptor inhibits colon carcinoma growth in mice via modulation of GSK−3 and NF−B.Oncogene,23:2465−2471(2004).
6.米国特許出願第2004016709号 A1.
7.Szabo,C.ら,Suppression of macrophage inflammatory protein(MIP)−1 production and collagen−induced arthritis by adenosine receptor agonists.British J.Pharmacology,125:379−387(1998).
8.Mabley,J.ら,The adenosine A receptor agonist,N−(3−iodobenzyl)−adenosine−5’−N−methyluronamide,is protective in two murine models of colitis.Europ.J.Pharmacology,466:323−329(2003).
9.Baharav,E.ら,The effect of adenosine and the A adenosine receptor agonist IB−MECA on joint inflammation and autoimmune diseases models.Inter.J.Mol.Med.10(supplement 1)page S104,abstract 499(2002).
10.PCT出願公報第WO2005/0063246号,entitled “Method for Treatment of Multiple Sclerosis”.
11.Montesinos,M.Carmenら,Adenosine A2A or A receptors are required for inhibition of inflammation by methotrexate and its analog MX−68.Arthritis & Rheumatism,48:240−247(2003).
12.Madi Lら,The A Adenosine Receptor is Highly Expressed in Tumor vs.Normal Cells:Potential Target for Tumor Growth Inhibition.Clinical Cancer Research,10:4472−4479(2004).
13.米国特許出願公報第20040137477号 A1,entitled “AAR as a marker for a diseased state”.
14.Gessi,S.ら,Elevated expression of A3 adenosine receptors in human colorectal cancer is reflected in peripheral blood cells Clinical Cancer Research 10:5895−5901(2004).
15.Birdsall NJら,Allosteric regulation of G−protein−linked receptors Biochem Soc Trans 23:108−111(1995).
16.Holzgrabe U およびMohr K,Allosteric modulators of ligand binding to muscarinic acetylcholine receptors,Drug Disc Today 3:214−222(1998).
17.Bruns RFおよびFergus JH,Allosteric enhancement of adenosine A receptor binding and function by 2−amino−3−benzoylthiophenes,Mol Pharmacol 38:939−949(1990).
18.Bhattacharya SおよびLinden J,Effects of long−term treatment with the allosteric enhancer,PD81,723,on Chinese hamster ovary cells expressing recombinant human A adenosine receptors,Mol.Pharmacol 50:104−11(1996).
19.Gao ZG,Kin SG,Soltysiak KA,Melman N,IJzerman AP,Jacobson KA,Selective allosteric enhancement of agonist binding and function at human A Adenosine receptors by a series of imidazoquinoline derivatives,Mol Pharmacol 62:81−89(2002).
【0003】
(発明の背景)
Gタンパク質共役受容体(GPCR)クラスは、細胞内シグナル伝達において重要な役割を担う細胞表面受容体の最大のファミリーである。アデノシン受容体はGPCRクラスの一部であり、GPCRのクラスAまたはロドプシン様サブファミリーに属する。プリンヌクレオシドであるアデノシンは、細胞表面アデノシン受容体を介して数多くの生理作用をもたらす。これらの受容体は全身に広く分布し、A、A2A、A2BおよびA受容体の4つのサブクラスに分けられ、最後のものは最も最近になって同定された受容体である。
【0004】
アデノシン受容体(AAR)は様々な生理的過程に関与する。この受容体は、様々な腫瘍細胞タイプで高度に発現されるのに対し、近接する正常組織での発現は比較的低い。特異的合成アゴニストによるこの受容体の活性化は、WntおよびNF−kBを含めた下流シグナル伝達経路の調節を誘導し、腫瘍増殖阻害をもたらす(1〜5)。
【0005】
ARアゴニストが大腸、前立腺および膵臓癌ならびに黒色腫および肝細胞癌の発達を阻害することがインビボ研究により示されている。またAARアゴニストは、関節リウマチ、クローン病および多発性硬化症のような様々な実験的自己免疫モデルにおける炎症過程を緩和することにより、抗炎症剤として作用することが示された(6〜10)。A2AおよびA受容体は、メトトレキサートの抗炎症作用を仲介することも提唱された(11)。
【0006】
アデノシン受容体(AAR)発現レベルは、正常細胞と比べ癌細胞において増加する(12)。したがって、AAR発現レベルは癌の診断方法として記載されている(13)。さらに、AAR発現レベルは、結腸直腸癌患者の末梢血細胞において増加することも記載されている(14)。
【0007】
GPCRクラスの受容体のメンバーのいくつかは、アロステリックに調節されることが報告されており(15)、すなわち、これらの受容体は、アゴニスト結合部位(オルソステリック部位、オルソステリックに調節される受容体)とは異なるが受容体活性を調節することができる1つまたは複数のさらなる結合部位を、受容体上に有する。
【0008】
GPCRのアロステリック調節は、ムスカリン受容体に関して最も広く特徴付けられており(16)、アロステリックモジュレーターがオルソステリックアゴニストを上回る治療上の利点をもたらし得ることが示唆されている。このような利点には、より広いサブタイプ選択性およびより少ない副作用が含まれ得る(15)。
【0009】
GPCRによるアゴニスト仲介性シグナル伝達には、局所分布の異なる2つの(1つはアゴニストの、もう1つはGタンパク質の)結合部位間を伝達される、受容体タンパク質でのコンホメーション変化が必要とされるため、アデノシン受容体は天然のアロステリックタンパク質である。アロステリックモジュレーターは、典型的なオルソステリックリガンドよりも数多くの利点、例えば、アロステリック効果に対する上限およびより広いGPCRサブタイプ選択性の可能性を有するため、GPCR上のアロステリック部位は新規な薬物標的となる。
【0010】
アデノシン受容体のアロステリック調節が報告された(17)。PD81723を含めた数多くのアミノベンゾイルチオフェンがAアデノシン受容体のアロステリックモジュレーターであった。これらの化合物は、Aアデノシン受容体に対する高度にサブタイプ選択的なエンハンサーであることが示され(17)、選択的Aアデノシン受容体アゴニストよりも、受容体の脱感作および下方調節を引き起こしにくかった(18)。
【0011】
1H−イミダゾ−[4,5−c]キノリン誘導体が、ヒトAアデノシン受容体の選択的アロステリックエンハンサーとしていくつか記載された(19)。具体的には、この誘導体は、アゴニスト誘導性応答の効力および最大効果に影響を及ぼす一方で、アゴニストであるN−(4−アミノ−3−[125I]ヨードベンジル)−5'−N−メチルカルボキサミドアデノシンのヒトAアデノシン受容体からの解離を減少させることが示された。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、その第1の態様により、以下の一般式(I):
【0013】
【化1】

【0014】
(式中:
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルケニル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、アルクシクロアルキル、アルカリール、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、C〜C15縮合シクロアルキル、二環式芳香族または芳香族複素環;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、C〜C10アルコキシ、C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルカノール、C〜C10アシル、C〜C10チオアルコキシ、ピリジルチオ、チオおよびC〜C10アルキルチオ、アセトアミドならびにスルホン酸から選択される基であり;
は、水素あるいはアリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルクヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アルクシクロアルキル、アルクシクロへテロアルキル、アルクシクロアルケニルおよびアルクヘテロシクロアルケニルからなる群より選択される環状部分から選択される基であり、前記環状部分は、任意でC〜C10アルキル、ハロ、C〜C10アルカノール、ヒドロキシル、C〜C10アシル、C〜C10アルコキシ;C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルコキシアルキル;C〜C10チオアルコキシ;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、ピリジルチオ、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、チオ、C〜C10アルキルチオ、アセトアミドおよびスルホン酸から選択される少なくとも1つの基で置換されているか;あるいは前記置換基は、環状部分の原子と共に、前記環状部分と縮合したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクロアルケニルを形成してもよい)
およびその薬学的に許容される塩を有する、アデノシンまたはアデノシンアゴニストにより治療可能な状態の治療に使用されるAアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)を提供する。
【0015】
本発明による具体的で非限定的なARMとして、以下から選択される2,4−二置換キノリン誘導体が挙げられる:
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(ベンジルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(シクロペンチルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)ベンズアミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロ−フェニル)アミノ]キノリン−4−イル}ベンズアミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)−2−フラミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}−2−フラミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド。
【0016】
一実施形態において、本発明の2,4−二置換キノリン誘導体は、N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミドである。
【0017】
本発明はまた、Aアデノシン受容体(AAR)の活性増強に使用するARMに関する。換言すれば、本発明の好適な実施形態は、Aアデノシン受容体(AAR)エンハンサーに関する。
【0018】
本発明はまた、被検体におけるAアデノシン受容体(AAR)活性を改変/作用する方法を提供し、その効果はアデノシンまたはAARアゴニストにより前記受容体で得られるものと同様であり、この方法は、ある量のAアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)を前記被検体に投与することを含み、その量はAAR活性の調節に効果的なものであり、前記ARMは以下の一般式(I):
【0019】
【化2】

【0020】
(式中:
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルケニル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、アルクシクロアルキル、アルカリール、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、C〜C15縮合シクロアルキル、二環式芳香族または芳香族複素環;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、C〜C10アルコキシ、C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルカノール、C〜C10アシル、C〜C10チオアルコキシ、ピリジルチオ、チオおよびC〜C10アルキルチオ、アセトアミドならびにスルホン酸から選択される基であり;
は、水素あるいはアリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルクヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アルクシクロアルキル、アルクシクロへテロアルキル、アルクシクロアルケニルおよびアルクヘテロシクロアルケニルからなる群より選択される環状部分から選択される基であり、前記環状部分は、任意でC〜C10アルキル、ハロ、C〜C10アルカノール、ヒドロキシル、C〜C10アシル、C〜C10アルコキシ;C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルコキシアルキル;C〜C10チオアルコキシ;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、ピリジルチオ、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、チオ、C〜C10アルキルチオ、アセトアミドおよびスルホン酸から選択される少なくとも1つの基で置換されているか;あるいは前記置換基は、環状部分の原子と共に、前記環状部分と縮合したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクロアルケニルを形成してもよい)
およびその薬学的に許容される塩を有する。
【0021】
さらに、アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態を有する被検体を治療するための方法が提供され、この方法は、ある量のAアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)を前記被検体に投与することを含み、その量はAAR活性を調節する(変える、変化させる)のに十分かつ効果的なものであり、前記ARMは以下の一般式(I):
【0022】
【化3】

【0023】
(式中:
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルケニル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、アルクシクロアルキル、アルカリール、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、C〜C15縮合シクロアルキル、二環式芳香族または芳香族複素環;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、C〜C10アルコキシ、C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルカノール、C〜C10アシル、C〜C10チオアルコキシ、ピリジルチオ、チオおよびC〜C10アルキルチオ、アセトアミドならびにスルホン酸から選択される基であり;
は、水素あるいはアリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルクヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アルクシクロアルキル、アルクシクロへテロアルキル、アルクシクロアルケニルおよびアルクヘテロシクロアルケニルからなる群より選択される環状部分から選択される基であり、前記環状部分は、任意でC〜C10アルキル、ハロ、C〜C10アルカノール、ヒドロキシル、C〜C10アシル、C〜C10アルコキシ;C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルコキシアルキル;C〜C10チオアルコキシ;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、ピリジルチオ、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、チオ、C〜C10アルキルチオ、アセトアミドおよびスルホン酸から選択される少なくとも1つの基で置換されているか;あるいは前記置換基は、環状部分の原子と共に、前記環状部分と縮合したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクロアルケニルを形成してもよい)
およびその薬学的に許容される塩を有する。
【0024】
本発明はまた、本明細書に明示されるARMまたは上記のような2,4−二置換キノリン誘導体を有効成分として含む医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、一実施形態によれば、経口投与に適する形態である。
【0025】
本発明はまた、アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態の治療用の医薬組成物を調製するための、本明細書に明示されるARMの使用を提供する。
【0026】
最後に、本発明は、本明細書に明示されるARMならびに被検体におけるアデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態の治療での前記ARMの使用説明書を含む、キットを提供する。
【0027】
本発明を理解するためおよび本発明を実施する方法を理解するために、以下に添付する図面を参照して、非限定的な実施例のみにより好適な実施形態が説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】2,4−二置換キノリン誘導体(化合物16〜20)の合成手順の図式である。
【図2】2,4−二置換キノリン誘導体(化合物21〜34)の合成手順の図式である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態例の詳細な説明
本発明は、2,4−二置換キノリン誘導体の使用によるAアデノシン受容体(AAR)のアロステリック調節(阻害または増強であるが、主として増強)に関する。具体的には、本発明は、2,4−二置換キノリン誘導体がAアデノシン受容体と結合する際にその有効性を効果的に増加させるという発見に基づく。
【0030】
理解されているように、本発明は、治療におけるAアデノシン受容体モジュレーターの使用に関して以下の詳細な説明において説明されるが、Aアデノシン受容体のアロステリックモジュレーター、好ましくはエンハンサーとして特に効果的であることが認められるいくつかの新規な2,4−二置換キノリン誘導体のみならず、Aアデノシン受容体アロステリックモジュレーターを含む医薬組成物、このようなAアデノシン受容体アロステリックモジュレーターを使用した方法ならびにAアデノシン受容体アロステリックモジュレーターおよびその使用説明書を含むキットも本発明に包含されることが理解されるべきである。
【0031】
本明細書で使用され、「アロステリック制御」という用語と互換的に使用され得る「アロステリック調節」という用語は、エフェクター分子が、Aアデノシン受容体(AAR)の内因性リガンド結合部位(オルソステリック部位と定義される)とは異なるAARアロステリック部位で結合することによる、酵素、受容体またはその他のタンパク質の活性の改変または変化(増加または減少)を意味する。
【0032】
ARアロステリック部位と結合することにより前記活性を増強するエフェクター分子は、本明細書では「アロステリックアクチベーター」または「アロステリックエンハンサー」と称するに対し、活性を減少させるものを「アロステリックインヒビター」と呼ぶ。
【0033】
したがって、本発明は、その第1の態様により、その治療のためにAアデノシン受容体(A3AR)の調節を必要としかつアデノシンまたはAアデノシン受容体(AAR)アゴニストにより治療可能な状態の治療において使用する、Aアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)を提供し、ここで、ARMは以下の一般式(I):
【0034】
【化4】

【0035】
(式中:
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルケニル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、アルクシクロアルキル、アルカリール、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、C〜C15縮合シクロアルキル、二環式芳香族または芳香族複素環;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、C〜C10アルコキシ、C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルカノール、C〜C10アシル、C〜C10チオアルコキシ、ピリジルチオ、チオおよびC〜C10アルキルチオ、アセトアミドならびにスルホン酸から選択される基であり;
は、水素あるいはアリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルクヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アルクシクロアルキル、アルクシクロへテロアルキル、アルクシクロアルケニルおよびアルクヘテロシクロアルケニルからなる群より選択される環状部分から選択される基であり、前記環状部分は、任意でC〜C10アルキル、ハロ、C〜C10アルカノール、ヒドロキシル、C〜C10アシル、C〜C10アルコキシ;C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルコキシアルキル;C〜C10チオアルコキシ;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、ピリジルチオ、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、チオ、C〜C10アルキルチオ、アセトアミドおよびスルホン酸から選択される少なくとも1つの基で置換されているか;あるいは前記置換基は、環状部分の原子と共に、前記環状部分と縮合したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクロアルケニルを形成してもよい)
ならびにアデノシンまたはアデノシンアゴニストにより治療可能な状態の治療において使用する、それらの薬学的に許容される塩を有する。
【0036】
「アルキル」という用語は、本明細書においては、1〜10個の炭素原子およびより好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖を指すために使用され、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチルなどを包含するが、これらに限定されない。
【0037】
同様に、「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、それぞれ2〜10個または3〜10個の炭素原子およびより好ましくは2〜6個または3〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖を意味し、アルケニルまたはアルキニルは、少なくとも1つの不飽和結合を有する。
【0038】
アルキル、アルケニルまたはアルキニル置換基は、ヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。したがって、明記されていないが、アルキルチオ、アルコキシ、アルカノール、アルキルアミンなどのような任意の上記および下記アルキル修飾には、対応するアルケニルまたはアルキニル修飾、例えば、アルケニルチオ、アルケニルオキシ、アルケノール、アルケニルアミン、またはそれぞれアルキニルチオ、アルキニルオキシ、アルキノール、アルキニルアミンなども包含されることが理解されるべきである。
【0039】
「アリール」という用語は、単一環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する、5〜14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を意味する。好適なアリールとして、フェニル、インダニル、ベンゾイミダゾールが挙げられる。
【0040】
「アルカリール」という用語は、好ましくはアルキレン部分に1個〜10個の炭素原子およびアリール部分に6個〜14個の炭素原子を有する、−アルキレン−アリール基を指す。このようなアルカリール基の例として、ベンジル、フェネチルなどが挙げられる。
【0041】
「置換アリール」という用語は、上記のような1〜3個の置換基で置換されている芳香族部分を指す。当業者に理解されているように、様々な置換基が考えられる。しかし、いくつかの好適な置換基として、ハロゲン、(置換)アミノ、ニトロ、シアノ、アルキル、アルコキシ、アシルオキシまたはアルカノール、スルホニル、スルフィニルが非限定的に挙げられる。
【0042】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード、好ましくはクロロを指す。
【0043】
「アシル」という用語は、基H−C(O)−およびアルキル−C(O)−を指す。
【0044】
「アルカノール」という用語は、基−COHおよびアルク−OHを指し、「アルク」は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン鎖を意味する。
【0045】
「アルコキシ」という用語は、本明細書においては、−O−アルキルを意味するために使用され、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシなどを包含するが、これらに限定されない。
【0046】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書においては、−S−アルキルを意味するために使用され、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなどを包含するが、これらに限定されない。
【0047】
「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書においては、−アルキル−O−アルキルを意味するために使用され、メトキシメチル、エトキシメチル、n−プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n−ブトキシメチル、イソブトキシメチル、t−ブトキシメチルなどを包含するが、これらに限定されない。
【0048】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書においては、環式炭化水素ラジカルを意味するために使用され、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを包含するが、これらに限定されない。
【0049】
「アルコキシカルボニル」という用語は、本明細書においては、−C(O)O−アルキルを意味するために使用され、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルなどを包含するが、これらに限定されない。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、Rは、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールを表す。
【0051】
一実施形態において、Rは、アリール、アルカリール、シクロアルキルから選択され、アリールまたはシクロアルキルは、C〜C10アルキル、ハロ(好ましくはクロロ)およびC〜C10アルキルエーテルから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されている。
【0052】
別の実施形態において、Rは、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは以下の式(II)を有する五員芳香族複素環から選択され:
【0053】
【化5】

【0054】
(式中、Zは、O、SまたはNHから選択される]かつ
は、C〜Cシクロアルキル、フェニル、アルクフェニルあるいは以下の式(IIIa)もしくは(IIIb)を有する五員環または五員芳香族複素環と縮合した芳香環から選択され:
【0055】
【化6】

【0056】
(式中、Yは、NまたはCHから選択される)
前記シクロアルキル、フェニル、アルクフェニル中あるいは式(Va)または(Vb)中の、アリールまたはシクロアルキル環は、C〜C10アルキル、ハロまたはC〜C10アルキルエーテルから選択される置換基で任意に置換されている。
【0057】
さらに別の実施形態において、Rは、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは以下の式(IIa)を有する五員芳香族複素環から選択され:
【0058】
【化7】

【0059】
は、シクロペンチル、フェニル、メチルフェニルあるいは以下の式(IIIa)もしくは(IIIb)を有する五員環または五員芳香族複素環と縮合した芳香環から選択され:
【0060】
【化8】

【0061】
フェニルは、任意にメチル、クロロまたはメチルエーテルで1回以上置換されている。
【0062】
は、一般式(IV)でも表すことができ:
【0063】
【化9】

【0064】
(式中、nは、0または1〜5から選択される整数であり;好ましくは、nは0、1または2である)かつ
およびXは、同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル、アルカノールまたはアルコキシ、インダニル、ピロリンから選択されるが、ただし、前記nが0である場合、XおよびXは水素ではない。
【0065】
本発明による具体的であるが非限定的なA3RMとして、以下の2,4−二置換キノリン誘導体(括弧内は、以下の表1に準じた番号である)が挙げられる:
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド(16)、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(17)、
N−[2−(ベンジルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド(18)、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(19)、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド(20)、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(21)、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(22)、
N−[2−(シクロペンチルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド(23)、
N−[2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド(24)、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド(25)、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド(26)、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド(27)、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド(28)、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)ベンズアミド(29)、
N−{2−[(3,4−ジクロロ−フェニル)アミノ]キノリン−4−イル}ベンズアミド(30)、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)−2−フラミド(31)、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}−2−フラミド(32)、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド(33)、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド(34)。
【0066】
一実施形態において、前記ARMはAアデノシン受容体アロステリックエンハンサーである、すなわち、Aアデノシン受容体(AAR)の活性増強に使用される。本実施形によれば、ARMは上記の式(I)を有し、ここで、前記Rは、C〜Cシクロアルキルまたはフェニルであり;かつRは、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは以下の式(III)を有する五員環シクロアルキルと縮合した芳香環であり:
【0067】
【化10】

【0068】
中のフェニル部分は、非置換であるか、あるいはC〜Cアルキル、ハロゲンまたはC〜Cアルクエーテルで少なくとも1回置換されている。
【0069】
A3ARエンハンサーのより詳細な実施形態において、Rは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロブチルまたはフェニルから選択され;かつRは、シクロペンチル、フェニルまたは以下の式(III)を有する五員環シクロアルキルと縮合した芳香環であり:
【0070】
【化11】

【0071】
中のフェニル部分は、非置換であるか、あるいはメチル、Clまたはメチルエーテルで少なくとも1回置換されている。
【0072】
A3ARエンハンサーの非限定的なリストとして、以下の2,4−二置換キノリン誘導体が挙げられる:
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド 、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド。
【0073】
2,4−二置換キノリン誘導体のより特定な群として、以下のものが非限定的に挙げられる:
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド 、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド。
【0074】
好適なAARエンハンサーは、N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミドである。
【0075】
A3RMの活性増強に関して、増強はまた、以下の1つまたは複数の発生によって定義される:
前記A3ARエンハンサーが前記AARのアロステリック部位と結合することにより、前記AARの有効性が少なくとも15%増加すること;または
アデノシンもしくはAARアゴニストのその結合部位からの解離速度の減少;
アデノシンまたはAARアゴニストのその結合部位からの置換が60%未満であること。
【0076】
さらに、受容体の活性増強による調節に関して、アデノシンまたはA3ARアゴニストにより治療可能でありかつ前記アロステリックエンハンサーにより治療され得る状態には、悪性腫瘍、免疫不全、高眼圧または高眼圧に関連した状態が非限定的に含まれる。この目的のために、前記治療を必要とする被検体はまた、前記ARのオルソステリック結合部位に対するアゴニストと組み合わせて治療され得る。
【0077】
A3ARアロステリックエンハンサーが使用され得る状態として、関節リウマチ(RA)、緑内障または被検体の骨髄系増強のためが挙げられる。
【0078】
本発明はまた、被検体におけるAアデノシン受容体(AAR)活性に影響を与える方法に関するものであり、その効果は、前記受容体に対するアデノシンまたはAARアゴニストの効果と同様であり、その方法は、ある量のAアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)を前記被検体に投与することを含み、その量は、AAR活性を調節するのに効果的なものであり、前記ARMは上記一般式(I)を有する。
【0079】
前記受容体に対するアデノシンまたはAARアゴニストの効果と同様の効果に関して、アデノシンおよび/またはAARアゴニストが、受容体と結合することにより酵素、タンパク質などの活性を増加させる場合、ARMによる同様の効果も、前記酵素、タンパク質などの活性の増加であることを意味する。活性の変化は、ARMの結合により治療効果が得られる程度であるべきであり、その治療効果は、ARMによる治療に関して以下に明記される。
【0080】
さらに、アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態を有する被検体を治療するための方法が提供され、この方法は、ある量のAアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)を前記被検体に投与することを含み、その量は、AAR活性を調節するのに効果的なものであり、前記ARMは上記一般式(I)を有する。
【0081】
本明細書で使用される「治療」という用語は、本発明によるAAMおよび特に本明細書に明示される置換キノリン誘導体のある量を投与することにより得られる治療効果を指し、その治療効果は、以下の1つまたは複数から選択される:アデノシンまたはAアデノシン受容体アゴニスト(AARアゴニスト)で治療可能な状態に関連した望ましくない症状の改善、このような症状が起こる前のそれらの発症予防、状態の進行遅延、状態の任意の症状悪化の遅延、状態の寛解期の開始促進、状態の進行性の慢性期のおいて引き起こされる任意の回復不能な損傷の遅延、前記進行期開始の遅延、状態の重症度の軽減もしくは治癒、状態からの生存率向上もしくはより迅速な回復、状態発生の予防または上記の2つ以上の組合せ。
【0082】
2,4−二置換キノリンが受容体に対して有する特定の効果、すなわち、阻害または増強に応じて、AARの調節により様々な状態が治療され得る。
【0083】
調節が、受容体の有効性の阻害または減少を含む場合、状態は、Aアデノシン受容体アンタゴニストの結合により治療可能な任意の状態であり得る。このような状態には、特定の悪性腫瘍または特定の免疫不全が非限定的に含まれる。
【0084】
調節が、受容体の有効性の増強または増加を含む場合、状態は、アデノシンまたはAアデノシン受容体アゴニストの結合により治療可能な任意の状態であり得る。このような状態には、高増殖性疾患および特にすべてのタイプの固形腫瘍;皮膚増殖性疾患(例えば乾癬);様々な良性過形成疾患;炎症性疾患;心筋または腎虚血のような虚血状態および眼圧に関連した状態(例えば緑内障)が含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
「固形腫瘍」という用語は、神経起源の癌腫、肉腫、腺腫および癌をならびに事実上、造血細胞を起源としない任意のタイプの癌を指し、特に関係するのは以下のものである:癌腫、肉腫、腺腫、肝細胞癌、肝細胞癌、肝芽腫、横紋筋肉腫、食道癌、甲状腺癌、神経節芽腫(ganglioblastoma)、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、滑膜腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋皮肉腫(rhabdotheliosarcoma)、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、腎細胞癌、血腫、胆管癌、黒色腫、絨毛癌腫、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、多発性骨髄腫、直腸癌、甲状腺癌、頭頸部癌、脳癌、末梢神経系癌、中枢神経系癌、神経芽腫、子宮内膜癌および上記すべての転移。原発腫瘍部位のみならずその転移においてもAARの発現増加が見られるということが本発明により示されている。
【0086】
良性過形成疾患として、良性前立腺過形成(BPH)、消化管、子宮などにおける非腫瘍性ポリープなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
炎症性疾患として、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態の治療に関して、本発明によるARエンハンサーは、好ましくは以下から選択される2,4−二置換キノリン誘導体である:
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド。
【0089】
より好ましくは、ARエンハンサーは以下から選択される:
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド。
【0090】
本発明によれば、ARMは、オルソステリック結合部位に対するリガンドと組み合わせて投与し得る。調節が受容体の増強を含む場合、ARMは、アデノシンまたはAARアゴニストと組み合わせて投与し得る;調節が受容体の阻害を含む場合、ARMは、AARアンタゴニストと組み合わせて投与し得る。
【0091】
「組合せ」という用語は、少なくともARMおよびオルソステリック部位に対するリガンドの投与を含む治療計画を包含する。治療計画は、ARMおよびリガンドの同時もしくは共投与または投与間隔を設けた投与を含み得る。ARMおよびリガンドは、一緒に製剤化してもよく、または2つの異なる製剤に含まれてもよい。さらに、ARMおよびリガンドの投与様式および/または治療計画(すなわち、期間当たりの投与量)は異なっていてもよい。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、ARMは、経口的に被検体に投与されるが、非経口(静脈内、筋肉内、動脈内、皮下、鼻腔内、肺を介するもの(吸入))を含めた他の投与経路が適用可能である。
【0093】
本発明はまた、以下から選択される新規な2,4−二置換キノリン誘導体を提供する:
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(ベンジルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(シクロペンチルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)ベンズアミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロ−フェニル)アミノ]キノリン−4−イル}ベンズアミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)−2−フラミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}−2−フラミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド。
【0094】
特に、本発明は、以下から選択される新規な2,4−二置換キノリン誘導体を提供する:
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド。
【0095】
より特には、本発明は、以下から選択される新規な2,4−二置換キノリン誘導体を提供する:
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド。
【0096】
本発明による好ましい新規な2,4−二置換キノリン誘導体は、N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミドである。
【0097】
概略的には、新規な誘導体16〜20は、図1に表される図式で示されるように合成されたが、その他の誘導体(21〜34)は、図2に表される図式で示されるように合成された。キノリンの酸化によりキノリン−1−オキシド(2)が生じ[Ochiai,E.Recent Japanese work on the chemistry of pyridine 1−oxide and related compounds,J.Org.Chem.1953,18,534−551;Zhong,P.ら,A simple and efficient method for the preparation of heterocyclic N−oxide,Synth.Commun.2004,34,247−253]、これをニトロ化して4−ニトロキノリン−1−オキシド(3)を得た[Taylor Jr,E.C.ら,3−Methyl−4−nitropyridine−1−oxide.Org.Synth.1963.Coll.Vol.4.654−656;Yokoyama,A.ら,Nitration of quinoline 1−oxide:mechanism of regioselectivity,Chem.Pharm.Bull.1997,45,279−283]。4−ニトロキノリン−1−オキシド(3)をオキシ臭化リンで処理して2−ブロモ−4−ニトロキノリン(4)を得た[Hamana,M.ら,A new deoxidation reaction of aromatic tertiary amine oxides.Reaction of 4−nitroquinoline 1−oxide with phosphorus bromide.Chem.Abstr.1957.51.6639;Wozniak,M.ら,Amination of 4−nitroquinoline with liquid methylamine/potassium permanganate,Chem.Heterocyc.Comp.1998,34,837−840]。これを酢酸中で鉄粉により4−アミノ−2−ブロモキノリン(5)に変換した[Kornblum,N.ら,The reduction of optically active 2−nitrooctane and−phenylnitroethane.J.Am.Chem.Soc.1955.77.6266−6269;Den Hertog,H.J.ら,Reactivity of aminobromoquinolines towards potassium amide in liquid ammonia,Rec.Trav.Chim.des Pays−Bas.1972,91,841−849]。オキシ塩化リン中でのアニリンによるマロン酸閉環反応により2,4−ジクロロキノリン(8)が生じ[Osborne,A.G.ら,2,4−dihalogenoquinolines.Synthesis,orientation effects and H and 13C NMR spectral studies,J.Chem.Soc.Perkin Trans.I.1993,1,2747−2755]、次いでマイクロ波中でのアンモニア処理により2−アミノ−4−クロロキノリン(9)が生じた[von Buchi,J.ら,Die tuberkulostatische wirkung von 2−oxy−4−amino−chinolin−derivaten,Helv.Chim.Acta.1949,32,1806−1814;Wojahn,H.Untersuchungen uber den zusammenhang von chemischer constitution und anasthesierender wirkung bei 2−alkoxy−chinolin−derivaten,Arch.Pharm.1936,274,83−106]。化合物5および9と塩化カルボニルとの[Chang,L.C.W.ら,2,4,6−Trisubstituted pyrimidines as a new class of selective adenosine A1 receptor antagonists,J.Med.Chem.2004,47,6529−6540]、次いで適当なアミンとの反応により、それぞれ所望の化合物16〜20および21〜34が生じた[Goblyos,A.ら,Structure−activity relationships of new 1H−imidazo[4,5−c]quinolin−4−amine derivatives as allosteric enhancers of the A3 adenosine receptor,J.Med.Chem.2006,49,3354−3361]。
【0098】
上記のように、マイクロ波照射(最大約2.5時間)を用いて(BuchiまたはWojahnの手順を改変することにより、より容易かつより直接的に最終産物が精製されることが現在わかっている。マイクロ波照射がこの手順に関係するとは考えられていなかったため、これは予想外のことであった。
【0099】
上記特定の2,4−二置換キノリン誘導体はそれ自体新規なものであり、大部分は、そのAARとのアロステリックな結合により得られる反応を増強することが示されていることが留意される。
【0100】
本発明の2,4−二置換キノリン誘導体は、一方では、A、A2AおよびA2Bアデノシンレセプターのオルソステリック結合部位に対する親和性があればそれが減少しており(不掲載)、かつAアデノシン受容体に対する親和性が減少しており(表2の4列目)、他方では、Aアデノシン受容体のアロステリック部位での高い有効性を有する(表2の最右列)ということが示された。本明細書に開示される誘導体の選択的親和性/有効性は、表2の化合物22、25、26および28に関して特に顕著であった。これら4つの化合物は、オルソステリックリガンド結合の置換が少ない(<50%)一方で、明らかな活性増強を有する(対照値100%と比較して最大249%−表2の最右列を参照)。
【0101】
下記の表2でさらに示されるように、本発明の特定の2,4−二置換キノリン誘導体は、AARの活性を増加させることが示された。したがって、上記のように、本発明の好適な実施形態にはAAR活性の増強が含まれる。
【0102】
したがって、本発明の式(I)の置換キノリン誘導体および特定の新規2,4−二置換キノリン誘導体に関するおよびアロステリックエンハンサーの上の定義に従う場合、受容体に対する置換キノリン誘導体の効果は、置換キノリンと受容体アロステリック部位との結合によるAアデノシン受容体の有効性が少なくとも15%増加することにより示され、この増加は、AARアゴニストとオルソステリック結合部位との解離速度の減少(少なくとも30%、好ましくは40%)として測定された。
【0103】
本発明はまた、本明細書の上記および下記で提供される新規な2,4−二置換キノリン誘導体を有効成分として含む医薬組成物を提供する。
【0104】
本発明はさらに、本明細書に明示される式(I)を有するARMを有効成分として含む、アデノシンまたはAARアゴニストで治療可能な状態を治療するための医薬組成物を提供する。
【0105】
本発明の組成物は、ARMと前記ARのオルソステリック結合部位に対するリガンドとの組合せを含み得る。一実施形態において、前記リガンドはARアゴニストであり、前記組成物はAアデノシン受容体アロステリックエンハンサーを含む。
【0106】
一実施形態において、アデノシンにより治療可能な状態を治療するための組成物中のAAMは、本明細書に開示される2,4−二置換キノリン誘導体である。
【0107】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、経口投与に適した形態である。
【0108】
本発明はさらに、アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態の治療のための医薬組成物を調製するための、以下の一般式(I)およびその薬学的に許容される塩を有するARMの使用を提供する。
【0109】
本発明の組成物を製造するとき、式(I)の置換キノリン誘導体または新規な2,4−二置換キノリン誘導体は、通常、添加剤と混合されるか、添加剤により希釈されるか、またはカプセル、小袋、紙もしくはその他の容器の形態をとり得る担体内に封入される。「生理学的に許容される添加剤」という用語は、一般に安全、無毒かつ生物学的にもしくはその他で有害でない医薬組成物または製剤の調製に有用な、任意の添加剤を意味し、ヒトの医薬用途のみならず獣医学的用途にも許容される添加剤を包含する。添加剤が希釈剤として働く場合、それは、2,4−二置換キノリン誘導体の媒体、担体または媒質として作用する固体、半固体または液体物質であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、粉末剤、トローチ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体としてまたは液体媒質中で)、軟および硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌注射液剤ならびに滅菌包装粉末剤の形態であり得る。
【0110】
医薬組成物中の本発明の式(I)の置換キノリン誘導体または新規な2,4−二置換キノリン誘導体の有効量は、特定の適用、様式または導入、特定の化合物の効力および所望の濃度により異なるか、または調節され得る。有効量は、通常、適切に計画された臨床試験(用量範囲探索試験)において決定され、有効量を決定するためのこのような試験を適切に実施する方法は、当業者に既知であろう。一般的に知られているように、有効量は、アロステリック結合部位に対する2,4−二置換キノリン誘導体の親和性、当該誘導体の体内分布プロファイル、体内半減期のような様々な薬理学的パラメーターを含めた様々な因子、もしあれば有害な副作用、年齢および性別のような因子などに依存する。
【0111】
RMは、通常、単位投与剤形で投与される。「単位投与剤形」という用語は、ヒト被検体およびその他の哺乳動物用の単位用量として適する物理的に別個の単位を指し、各単位には、所望の治療効果をもたらすよう計算された所定量の活性物質が、適切な医薬添加剤と共に含まれている。このような単位投与剤形中の治療に有効な化合物の量は、約0.5mg〜500mgで変化し得る。
【0112】
この場合、本発明の組成物は、通常、1日に1投与量、1日に複数投与量、複数日で1投与量などで長期間にわたり投与されるであろう。治療期間は、一般に、疾患過程の長さおよび特定の2,4−二置換キノリン誘導体の効果および治療される患者の種に合わせた長さとなるであろう。
【0113】
上記および下記説明ならびに添付の特許請求の範囲においては、「a」、「an」及び「the」の形は、文脈から明らかにそうでないことが指示されない限り、単数形および複数形の指示対象を包含することが理解されるべきである。例えば、「2,4−二置換キノリン誘導体(a 2,4−disubstituted quinoline derivative)」は、2,4−二置換キノリンの同一物または異なる化学的改変である、1つまたは複数の化合物を意味する。
【0114】
さらに、「含む(comprising)」という用語は、本発明の方法および組成物が、挙げられた2,4−二置換キノリン誘導体を含み得るが、他の物質を除外しないことを意味するよう意図されることが理解されるべきである。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、挙げられた成分を含むが、2,4−二置換キノリン誘導体と受容体との結合により得られる生化学的応答において本質的な意義を有し得る他の成分を除外しない、方法および組成物を定義するために使用される。例えば、有効成分としての2,4−二置換キノリン誘導体および薬学的に許容される担体から本質的になる組成物は、受容体のアロステリック部位または結合部位と結合することができる他の化合物を含まないか、あるいは有意でない量(受容体活性に対して有意でない作用を有するであろう量)だけを含むということになる。したがって、「からなる(consisting of)」は、他の成分の微量元素以外のものも除外することを意味する。これらの各遷移語(transition terms)により定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0115】
さらに、すべての数値は、例えば、本発明の組成物を構成する成分の量または範囲を言う場合、記載された数値のプラスまたはマイナス20%以下、時に10%以下の近似値であることが理解されるべきである。常に明記されるわけではなくても、すべての数値表記の前に「約」という用語を伴うということが理解されるべきである。
【0116】
以下、非限定的な実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0117】
材料および方法
機器および分析
Emrys(商標)OptimizerでEmrys(商標)Optimizerソフトウェアを用いてマイクロ波アシスト化学を行った。反応用に2〜5mL容量の丸底バイアルを使用した。
【0118】
BrukerAC200またはBrukerDMX600分光計を用いてH−NMRスペクトルを200MHzで測定した。13C−NMRスペクトルを50または150MHzで測定した。内標準としてのテトラメチルシラン(TMS)と比較したHおよび13Cの化学シフトをppm(δ)で表し、結合定数をHzで表す。融点をBuchiキャピラリー融点装置で測定し、補正はしていない。新規な標的化合物の燃焼分析は、Leiden大学(オランダ)、Gorlaeus Laboratoriesの分析学部で行われ、別途明記しない限り、理論値から0.4%以内である。
【0119】
化学合成
キノリン−1−オキシド(2)
化合物2を他で記載のように調製した[Ochiai,E.Recent Japanese Work on the Chemistry of Pyridine 1−oxide and Related Compounds,J.Org.Chem.,1953,18,534−551;Zhong,P.ら,A Simple and Efficient Method for the Preparation of Heterocyclic N−oxide.Synth.Commun.2004,34,247−253]。簡潔に述べれば、キノリン(25.83g,0.2mol)の酢酸(70mL)中溶液にH(水中35%,1.5eq,29mL)を加え、反応物を70℃で21時間攪拌した。2MのNaOHでpHを8に調整し、反応物をDCM(4×80mL)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥させて濃縮した。生成物を、カラムクロマトグラフィー、酢酸エチル溶離液により精製した。生成物を酢酸エチルから結晶化した。収量:21.72g(72%)。HNMR(CDCl)δ7.30(t,1H,J=7.66,6.96Hz,Ar)、7.61〜7.90(m,4H,Ar)、8.54(d,1H,J=5.84Hz,Ar)、8.75(d,1H,J=8.78Hz,Ar)。
【0120】
4−ニトロキノリン−1−オキシド(3)
化合物3を他で記載の方法により調製した[Taylor Jr,E.C.ら,3−Methyl−4−nitropyridine−1−oxide.Org.Synth.1963.Coll.Vol.4.654−656]。簡潔に述べれば、化合物2(19.10g,0.13mol)を濃硫酸中に溶解し、65℃まで加温した。硝酸(65%,1.1eq,15mL)を緩やかに滴加した。反応物を65℃で2時間攪拌した。反応物を冷却し、氷上に注加した。生成物が黄色の固体として沈殿し、これを濾過して取り出し、5%NaCO(1×10mL)、水(2×10mL)、エタノール(1×10mL)で洗浄し、乾燥させた。収量:21.90g(88%)。HNMR(CDCl)δ7.85−7.94(m,2H,Ar)、8.21(d,1H,J=6.58Hz,Ar)、8.53(d,1H,J=7.30Hz,Ar)、8.73〜8.86(m,1H,Ar)。HNMRは、文献中のHNMRスペクトルと一致していた[Yokoyama,A.ら,Nitration of Quinoline 1−oxide:Mechanism of Regioselectivity.Chem.Pharm.Bull.1997,45,279−283]。
【0121】
2−ブロモ−4−ニトロキノリン(4)
化合物4を他で記載のように調製した[Hamana,M.ら,A new deoxidation reaction of aromatic tertiary amine oxides.Reaction of 4−nitroquinoline 1−oxide with phosphorus bromide.Chem.Abstr.1957.51.6639]。簡潔に述べれば、化合物3(1.86g,9.8mmol)をクロロホルム中に溶解し、氷浴中で冷却した。POBr(1.25eq)を加え、反応物を氷浴中で2時間攪拌した。反応物を氷上に注加し、2MのNaOHでpHを9に調整し、DCM(3×80mL)で抽出した。生成物を、カラムクロマトグラフィー、DCM溶離液により精製した。収量:1.30g(52%)。HNMR(CDCl)δ7.63〜7.94(m,2H,Ar)、8.06(s,1H,Ar)、8.17(t,1H,J=7.16,6.84Hz,Ar)、8.38(d,1H,J=8.76Hz,Ar)。HNMRは、文献中のHNMRスペクトルと一致していた[Wozniak,M.ら,Amination of 4−nitroquinoline with Liquid Methylamine/Potassium permanganate.Chem.Heterocyc.Comp.1998,34,837−840]。
【0122】
4−アミノ−2−ブロモキノリン(5)
化合物5を他で記載の方法により調製した[Kornblum,N.ら,The reduction of optically active 2−nitrooctane and−phenylnitroethane.J.Am.Chem.Soc.1955.77.6266−6269;Den Hertog,H.J.;Buurman,D.J.Rec.Trav.Chim.des Pays−Bas.1972,91,841−849]。簡潔に述べれば、化合物4(1.82g,7.2mmol)を酢酸中に溶解した。鉄粉(5eq)を加え、反応物を65℃で2.5時間攪拌した。鉄粉を濾過して取り出し、DCMで洗浄した。2MのNaOHでpHを9に調整した。これを再び濾過し、残留物をアンモニアで洗浄した。水層をDCMで抽出し、MgSOで乾燥させて濃縮した。生成物を、カラムクロマトグラフィー、DCM溶離液により精製した。収量:0.69g(43%)。HNMR(CDCl)δ4.81(bs,2H,NH)、6.76(s,1H,Ar)、7.48(t,1H,J=7.31,7.06Hz,Ar)、7.62〜7.73(m,2H,Ar)、7.94(d,1H,J=8.76Hz,Ar)。13CNMR(CDCl)δ106.60、117.82、120.21、125.37、129.19、130.40、142.59、148.78、150.90。
【0123】
2,4−ジクロロキノリン(8)
化合物8を他で記載のように調製した[Osborne,A.G.ら,2,4−Dihalogenoquinolines.Synthesis,Orientation Effects and H and 13CNMR Spectral Studies.J.Chem.Soc.Perkin Trans.I.1993,1,2747−2755]。簡潔に述べれば、マロン酸(8.32g,0.08mol)をPOCl(60mL)中に溶解し、氷浴中で冷却した。アニリン(1.25eq)を滴加した。反応物を2.5時間還流し、次いで室温まで冷却して、氷上に注加した。2MのNaOHでpHを9に調整した。沈殿を濾過して取り出し、DCMで水層を抽出した。生成物を、カラムクロマトグラフィー、DCM溶離液により精製した。収量:5.51g(35%)。HNMR(CDCl)δ1.25(s,1H,Ar)、7.64(t,1H,J=7.84,6.16Hz,Ar)、7.79(t,1H,J=6.89,6.71Hz,Ar)、8.03(d,1H,J=8.16Hz,Ar)、8.21(d,1H,J=8.21Hz,Ar)。HNMRスペクトルは、文献中のHNMRスペクトルと一致していた。
【0124】
4−アミノ−2−クロロキノリン(9)
化合物9の調製は、他で記載されている[von Buchi,J.ら,Die Tuberkulostatische Wirkung von 2−Oxy−4−amino−chinolin Derivaten.Helv.Chim.Acta.1949,32,1806−1814;Wojahn,H.Untersuchungen uber den Zusammenhang von chemischer Konstitution und anasthesierender Wirkung bei 2−Alkoxy−chinolin Deivaten.Arch.Pharm.1936,274,83−106]。しかし、本発明者らは、ここに記載のように調製した。簡潔に述べれば、化合物8(0.35g,1.8mmol)をアンモニア(水中28〜30%,3mL)中に懸濁した。反応をマイクロ波中、160℃で2.5時間行った。反応完了後、アンモニアを蒸発させた。生成物を、カラムクロマトグラフィー、DCM中3%のMeOH溶離液により精製した。収量:0.14g(44%)。HNMR(CDCl)δ4.83(bs,2H,NH)、6.62(s,1H,Ar)、7.43〜7.51(m,1H,Ar)、7.63〜7.73(m,2H,Ar)、7.89〜7.95(m,1H,Ar)。13CNMR(600MHz,CDCl)δ103.07、117.60、120.08、125.27、129.13、130.46、148.26、151.40、151.41。
【0125】
N−(2−ブロモキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド(10)
簡潔に述べれば、化合物5(0.32g,1.40mmol)をピリジン(5mL)中に溶解し、シクロペンタンカルボニルクロリド(1.3eq)を加えた。反応物を115℃で2時間攪拌した。反応完了後、ピリジンを蒸発させた。生成物を、カラムクロマトグラフィー、DCM中5%のMeOH溶離液により精製した。生成物をMeOHから結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.35g(79%)。MS(ESI)m/z:319.9[M+H]+1、[M−H]+1HNMR(CDCl)δ1.64〜2.07(m,8H,4CH)、2.53〜3.00(m,1H,CH)、7.54〜7.62(m,1H,Ar)、7.69〜7.79(m,2H,Ar)、7.92(bs,1H,NH)、7.99〜8.08(m,1H,Ar)、8.43(s,1H,Ar)。13CNMR(CDCl)δ25.96、30.51、47.2、114.51、118.85、126.76、129.89、130.40、141.56、143.17、148.63、175.07[Chang,L.C.W.ら,2,4,6−Trisubstituted pyrimidines as a new class of selective adenosine A receptor antagonists,J.Med.Chem.2004,47,6529−6540]。
【0126】
N−(2−クロロキノリン−4−イル)カルボキサミド(11〜15)調製の概略的手順
簡潔に述べれば、化合物9をピリジン中に溶解し(1mmol/3mL)、適当な酸塩化物(1.3eq)を加えた。反応物を60℃で90分間攪拌した。反応完了後、ピリジンを蒸発させた。生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した[Chang,L.C.W.ら,2,4,6−Trisubstituted pyrimidines as a new class of selective adenosine A receptor antagonists,J.Med.Chem.2004,47,6529−6540]。
【0127】
N−(2−クロロキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド(11)
スケール:1.6mmol。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中5%のMeOHであった。収量:0.34g(78%)。HNMR(CDCl)δ1.58〜2.18(m,8H,4CH)、2.81〜2.98(m,1H,CH)、7.53〜7.61(m,1H,Ar)、7.68〜7.76(m,2H,Ar)、7.95〜8.03(m,2H,Ar,NH)、 8.42(s,1H,Ar)。13CNMR(CDCl)δ26.18、30.72、47.43、91.47、94.32、111.33、118.94、126.86、130.04、130.65、142.41、148.26、152.24、175.28。
【0128】
N−(2−クロロキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド(12)
スケール:2.2mmol。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中2〜5%のMeOHであった。生成物をMeOHから結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.60g(95%)。HNMR(CDCl)δ1.28〜2.04(m,10H,5CH)、2.38〜2.53(m,1H,CH)、7.56〜7.63(m,1H,Ar)、7.71〜7.79(m,2H,Ar)、7.96〜7.63(m,2H,Ar,NH)、8.44(s,1H,Ar)。13CNMR(CDCl)δ25.51、29.66、46.83、111.21、118.52、118.73、126.67、129.89、130.46、142.17、148.05、152.09、174.71。
【0129】
N−(2−クロロ−キノリン−4−イル)ベンズアミド(13)
スケール:3.91mmol。カラムクロマトグラフィー用の溶離液はDCMであった。収量:0.47g(42%)。HNMR(CDCl)δ7.52〜7.65(m,4H,Ar)、7.72〜7.84(m,2H,Ar)、7.94〜8.06(m,3H,Ar)、8.51(s,1H,Ar)、8.64(bs,1H,NH)。13CNMR(CDCl)δ111.40、118.83、126.50、126.89、128.83、129.38、130.26、132.56、133.47、141.93、147.72、151.48、165.67。
【0130】
N−(2−クロロキノリン−4−イル)−2−フラミド(14)
スケール:3.36mmol。カラムクロマトグラフィー用の溶離液はDCMであった。収量:0.52g(57%)。HNMR(CDCl)δ6.65〜6.68(m,1H,Ar)、7.39(d,1H,J=3.65Hz,Ar)、7.60〜7.90(m,4H,Ar)、8.05(d,1H,J=12.00Hz,Ar)、8.52(s,1H,Ar)、8.93(bs,1H,NH)。13CNMR(CDCl)δ110.49、112.98、116.77、118.10、118.59、126.60、129.42、130.33、141.36、144.94、146.58、147.67、151.49、155.65。
【0131】
N−(2−クロロキノリン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド(15)
スケール:3.92mmol。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中1%のMeOHであった。収量:0.89g(87%)。HNMR(CDCl+MeOD1滴)δ1.72〜2.58(m,6H,3CH)、3.28〜3.45(m,1H,CH)、7.52〜7.60(m,1H,Ar)、7.69〜7.83(m,3H,Ar,NH)、7.98〜8.03(m,1H,Ar)、8.43(s,1H,Ar)。13CNMR(CDCl+MeOD1滴)δ17.85、25.04、40.74、111.13、118.38、118.89、126.35、129.29、130.23、142.09、147.73、151.58、173.81。
【0132】
2,4−置換キノリン(16〜34)調製の概略的手順
方法A:化合物10〜15を無水エタノール(1.5mmol/2.5mL)中に溶解/懸濁し、適当なアミン(3eq)を加えた。混合物を、マイクロ波中、140℃で80分間加熱した。反応完了後、エタノールを蒸発させ、残留物をDCM(100mL)中に溶解させて、1MのNaOH(3×100mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させた。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、再結晶化した[Goblyos,A.ら,Structure−activity relationships of new 1H−imidazo[4,5−c]quinolin−4−amine derivatives as allosteric enhancers of the A adenosine receptor,J.Med.Chem.2006,49,3354−3361]。方法B:化合物10〜15および適当なアミン(10eq)を、マイクロ波中、溶媒無しで180℃で90分間加熱した。反応完了後、混合物をDCM(100mL)中に溶解し、水(2×50mL)、鹹水(1×50mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させた。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、再結晶化した。
【0133】
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド(16)
方法A。スケール:0.36mmolの化合物10。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中3〜10%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して黄色の結晶を得た。収量:0.039g(33%)。MS(ESI)m/z:331.2[M+H]+1HNMR(CDCl)δ1.72〜2.04(m,8H,4CH)、2.80〜2.98(m,1H,CH)、6.93(br s,1H,NH)、7.07(t,1H,J=5.74,8.06Hz,Ar)、7.25〜7.41(m,3H,Ar)、7.57〜7.67(m,5H,m;Ar)、7.78〜7.83(m,1H,Ar)、8.01(s,1H,NH)。13CNMR(CDCl)δ25.63、30.18、46.89、100.90、116.18、118.36、119.73、122.50、127.25、129.46、139.77、140.96、147.54、154.51、174.87。Anal.calcd for C2121O・0.3HO C,74.89;H,6.46;N,12.48。Found C,74.89;H,6.81;N,12.18。
【0134】
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(17)
方法B。スケール:0.34mmolの化合物10。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中2%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.024g(19%)。MS(ESI)m/z:400.3[M+H]+1HNMR(CDCl)δ1.61〜2.01(m,8H,4CH)、2.80〜2.97(m,1H,CH)、6.79(bs,1H,NH)、7.32〜7.51(m,3H,Ar)、7.57〜7.67(m,2H,Ar)、7.81〜7.94(m,3H,Ar,NH)、8.08(s,1H,Ar)。13CNMRδ(CDCl+MeOD1滴)δ25.84、30.45、46.40、102.78、117.03、118.30、119.49、120.40、122.97、124.13、127.22、129.68、130.04、132.10、140.41、141.32、147.35、154.21、176.62。Anal.calcd for C2119OCl・0.55CHCl C,59.38;H,4.53;N,9.40。Found C,59.00;H,4.43;N,9.72。
【0135】
N−[2−(ベンジルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド(18)
方法A。スケール:0.35mmolの化合物10および3eqのベンジルアミン・HCl。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中3〜5%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して黄色の結晶を得た。収量:0.040g(33%)。MS(ESI)m/z:345.4[M+H]+1HNMR(CDCl)δ1.65〜2.09(m,8H,4CH)、2.79〜2.92(m,1H,CH)、4.73(d,2H,J=8.0Hz,CH)、5.06(bs,1H,NH)、7.20〜7.41(m,7H,Ar)、7.51〜7.59(m,2H,Ar)、7.70(s,1H,Ar)、7.74(s,1H,NH)。13CNMR(CDCl)δ25.66、30.24、45.40、46.92、100.11、115.82、118.27、121.52、126.92、127.10、127.49、128.28、129.25、139.11、140.44、148.42、157.18、174.98。Anal.calcd for C2223O・0.4HO C,74.93;H,6.80;N,11.92。Found C,74.86;H,6.76;N,12.16。
【0136】
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(19)
方法A。スケール:0.36mmolの化合物10。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中0〜2%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して淡褐色の結晶を得た。収量:0.050g(40%)。MS(ESI)m/z:345.4[M+H]+1HNMR(CDCl)δ1.56〜2.05(m,8H,4CH)、2.31(s,3H,CH)、2.72〜2.88(m,1H,CH)、6.87(bs,1H,NH)、7.10〜7.28(m,3H,Ar)、7.43〜7.57(m,4H,Ar)、7.73〜7.89(m,3H,Ar,NH)。13CNMR(CDCl)δ20.26、25.42、29.97、46.61、100.53、116.03、118.21、120.03、122.00、127.16、129.10、131.98、137.01、140.56、147.81、154.78、174.77。Anal.calcd.for C2223O・0.5HO C,74.55;H,6.82;N,11.86。Found C,74.38;H,6.81;N,11.94。
【0137】
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド(20)
方法A。スケール:0.35mmolの化合物10。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中5%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して褐色の結晶を得た。収量:0.054g(45%)。MS(ESI)m/z:371.5[M+H]+1HNMR(CDCl)δ1.59〜2.13(m,8H,4CH)、2.74〜2.90(m,6H,3CH)、6.93(bs,1H,NH)、7.14〜7.31(m,4H,Ar)、7.42〜7.58(m,3H,Ar)、7.75(d,1H,J=8.58Hz,Ar)、7.88(s,1H,NH)。13CNMR(CDCl)δ25.60、25.90、30.45、32.27、33.03、47.07、101.02、116.42、117.00、118.64、118.85、122.43、124.58、127.58、129.58、138.05、139.05、140.93、145.23、148.29、155.42、175.22。Anal.calcd.for C2425O・1.5HO C,72.34;H,7.08;N,10.54。Found C,72.47;H,6.84;N,10.32。
【0138】
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(21)
方法A。スケール:0.84mmolの化合物11。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中3%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して褐色の結晶を得た。収量:0.12g(39%)。MS(ESI)m/z:361.4[M+H]+1HNMR(CDCl)δ1.60〜2.06(m,8H,4CH)、2.77〜2.95(m,1H,CH)、3.82(s,3H,CH)、6.69(bs,1H,NH)、6.88〜6.97(m,2H,Ar)、7.23〜7.31(m,1H,Ar)、7.44〜7.60(m,4H,Ar)、7.73〜7.90(m,3H,Ar,NH)。13CNMR(CDCl)δ25.93、30.48、47.25、55.50、100.32、114.48、116.30、118.42、122.43、122.91、127.70、129.68、133.01、140.96、148.45、155.79、155.97、175.10。Anal.calcd.for C2223・0.5HO C,71.53;H,6.53;N,11.34。Found C,71.55;H,6.44;N,11.36。
【0139】
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(22)
方法A。スケール:0.96mmolの化合物11。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中2〜5%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して黄色の結晶を得た。収量:0.31g(87%)。MS(ESI)m/z:365.9[M+H]+1HNMR(CDCl)δ1.62〜216(m,8H,4CH)、2.80〜2.97(m,1H,CH)、6.90(bs,1H,NH)、7.27〜7.38(m,4H,Ar)、7.56〜7.59(m,4H,Ar)、7.75〜7.88(m,1H,Ar)、7.98(s,1H,NH)。13CNMR(CDCl)δ25.96、30.51、47.34、100.96、116.30、118.30、120.85、123.13、127.31、128.01、129.01、129.86、138.80、141.11、147.93、154.42、175.25。Anal.calcd.for C2120OCl・0.3CHCl C,66.29;H,5.31;N,10.74。Found C,66.10;H,5.28;N,11.10。
【0140】
N−[2−(シクロペンチルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド(23)
方法A。スケール:0.93mmolの化合物11。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中5%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化してオフホワイトの結晶を得た。収量:0.039g(14%)。MS(ESI)m/z:323.4[M+H]+1HNMR(CDCl)δ1.40〜2.16(m,16H,8CH)、2.77〜2.95(m,1H,CH)、4.15〜4.32(m,1H,CH)、4.92(bs,1H,NH)、7.20(t,1H,J=9.76Hz,Ar)、7.48〜7.84(m,6H,Ar,NH)。13CNMR(CDCl)δ23.78、25.96、30.51、33.64、47.28、53.20、99.44、115.54、118.39、121.49、126.98、129.58、140.74、148.72、157.70、175.28。Anal.calcd.for C2025O・0.7CHCl C,67.13;H,6.95;N,10.97。Found C,66.87;H,7.23;N,11.34。
【0141】
N−[2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド(24)
方法A。スケール:0.87mmolの化合物11。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中5〜10%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して灰色の結晶を得た。収量:0.15g(47%)。MS(ESI)m/z:371.4[M+H]+1HNMR 300MHz(CDCl+MeOD1滴)δ1.62〜2.03(m,8H,4CH)、2.84〜2.92(m,1H,CH)、7.26〜7.32(m,2H,Ar)、7.43〜7.50(m,2H,Ar)、7.58(t,1H,J=5.33,4.75Hz,Ar)、7.67(d,1H,J=5.33Hz,Ar)、7.77(d,1H,J=5.40Hz,Ar)、7.85(s,1H,Ar)、8.02(s,1H,Ar)、8.08(s,1H,Ar)。13CNMR(CDCl+MeOD1滴)δ25.84、30.39、46.46、101.62、110.57、112.03、116.85、119.55、122.37、123.40、126.52、129.74、133.25、133.65、137.41、141.47、147.87、156.00、176.31。Anal.calcd.for C2221O C,71.13;H,5.70;N,18.86。Found C,71.16;H,5.75;N,18.78。
【0142】
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド(25)
方法A。スケール:1.04mmolの化合物12。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中2〜4%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.26g(73%)。HNMR(CDCl)δ1.22〜2.12(m,10H,5CH)、2.31〜2.49(m,1H,CH)、6.88(bs,1H,NH)、7.04(t,1H,J=8.38,7.62Hz,Ar)、7.26〜7.38(m,3H,Ar)、7.54〜7.67(m,4H,Ar)、7.79(d,1H,J=8.22Hz,Ar)、7.87(s,1H,NH)、7.96(s,1H,Ar)。13CNMR(CDCl)δ25.57、25.84、29.33、44.16、46.25、98.56、115.33、120.40、121.06、122.28、123.52、125.19、129.52、131.31、137.68、141.23、144.66、153.91、175.92。Anal.calcd.for C2223O・0.3HO C,75.32;H,6.78;N,11.98。Found C,75.14;H,6.97;N,11.88。
【0143】
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド(26)
方法B。スケール:0.17mmolの化合物12。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中1%のMeOHであった。生成物を酢酸エチルから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.16g(43%)。HNMR(CDCl)δ1.23〜2.17(m,10H,5CH)、2.35〜2.50(m,1H,CH)、6.77(bs,1H,NH)、7.32〜7.41(m,2H,Ar)、7.49(dd,1H,J=6.22,2.56Hz,Ar)、7.58〜7.67(m,2H,Ar)、7.84〜7.88(m,2H,Ar,NH)、7.95(s,1H,Ar)、8.09(d,1H,J=2.56Hz,Ar)。13CNMR(DMSO−d)δ25.23、25.48、29.27、38.30、44.46、103.69、117.58、118.24、119.03、121.55、122.00、122.55、127.07、129.67、130.28、130.80、141.89、141.98、147.50、154.26、175.87。Anal.calcd.for C2221ClO・0.5HO C,62.42;H,5.24;N,9.93。Found C,62.67;H,5.20;N,9.94。
【0144】
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド(27)
方法A。スケール:1.00mmolの化合物12。DCM:酢酸エチル:MeOH=70:20:10の溶離液。生成物を、MeOH:石油エーテル=1:30から再結晶化した。収量:0.14g、39%。HNMR(CDCl)δ1.30〜2.09(m,10H,5CH)、2.34〜2.46(m,1H,CH)、2.34(s,3H,CH)、6.71(bs,1H,NH)、7.15〜7.35(m,4H,Ar)、7.47〜7.62(m,3H,Ar)、7.79(d,1H,J=7.30Hz,Ar)、7.99(s,1H,Ar)。13CNMR(DMSO−d)δ20.58、25.34、29.46、46.60、100.64、116.25、118.20、120.29、122.32、127.69、129.42、132.27、137.27、140.64、148.25、155.07、174.60。 Anal.calcd.for C2325O・0.5HO C,74.97;H,7.11;N,11.40。Found C,74.97;H,6.96;N,11.39。
【0145】
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド(28)
方法A。スケール:1.20mmolの化合物12。DCM中10〜17%の酢酸エチル溶離液。生成物を、MeOH:石油エーテル=1:30から再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.08g、16%。HNMR(CDCl)δ1.35〜2.40(m,10H,5CH)、2.86〜2.98(m,1H,CH)、6.72(s,1H,NH)、7.19〜7.34(m,4H,Ar)、7.48〜7.62(m,2H,Ar)、7.79(d,1H,J=8.00Hz,Ar)、7.97(s,1H,Ar)。13CNMR(DMSO−d)δ14.16、21.02、25.58、25.65、29.70、32.32、33.08、46.83、60.37、100.86、116.43、116.99、118.42、118.86、122.48、124.63、127.83、129.61、138.11、139.10、140.81、145.28、148.45、155.47、174.78。Anal.calcd.for C2527O・2.4HO C,71.17;H,7.98;N,9.09。Found C,71.17;H,7.63;N,8.69。
【0146】
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)ベンズアミド(29)
方法A。スケール:0.71mmolの化合物13。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中1〜2%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.12g(49%)。HNMR(CDCl)δ6.86(bs,1H,NH)、7.07(t,1H,J=8.03,6.57Hz)、7.29〜7.42(m,3H,Ar)、7.50〜7.69(m,8H,Ar)、7.85(d,1H,J=8.40Hz,Ar)、7.93〜7.98(m,1H,Ar)、8.11(s,1H,Ar)、8.50(bs,1H,NH)。13CNMR(DMSO−d)δ107.03、118.46、118.88、120.97、122.19、122.79、126.79、128.13、128.55、129.61、132.04、134.43、141.65、141.89、148.02、154.66、166.663。Anal.calcd.for C2217O C,77.86;H,5.05;N,12.38。Found C,77.56;H,5.20;N,12.46。
【0147】
N−{2−[(3,4−ジクロロ−フェニル)アミノ]キノリン−4−イル}ベンズアミド(30)
方法B。スケール:0.94mmolの化合物13。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中0.25%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.16g(42%)。HNMR(CDCl)δ6.85(bs,1H,NH)、7.39(t,2H,J=8.40,8.04Hz,Ar)、7.49〜7.71(m,6H,Ar)、7.87〜7.99(m,3H,Ar)、8.09〜8.13(m,2H,Ar)、8.54(bs,1H,NH)。13CNMR(DMSO−d)δ106.45、118.34、118.85、119.12、121.76、122.79、126.95、128.16、128.52、129.86、130.37、130.86、132.10、134.40、141.77、142.32、147.59、154.08、166.75。Anal.calcd.for C2215ClO C,64.72;H,3.70;N,10.29。Found C,64.42;H,3.85;N,10.34。
【0148】
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)−2−フラミド(31)
方法A。スケール:0.58mmolの化合物14。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中1〜2%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.058g(32%)。HNMR(CDCl)δ6.52〜6.54(m,1H,Ar)、7.02(t,1H,J=7.30Hz,Ar)、7.24〜7.35(m,6H,Ar)、7.51〜7.62(m,5H,Ar,NH)、8.09(s,1H Ar)、8.74(bs,1H,NH)。13CNMR(CDCl)δ101.06、112.74、116.19、118.22、119.47、122.19、122.62、127.74、128.77、129.47、139.93、140.17、144.57、147.02、148.05、154.63、156.12。Anal.calcd.for C2015 C,72.93;H,4.59;N,12.75。Found C,72.35;H,4.61;N,12.59。
【0149】
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}−2−フラミド(32)
方法B。スケール:0.77mmolの化合物14。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中0〜1%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.18g(59%)。HNMR(CDCl)δ6.58〜6.61(m,1H,Ar)、7.26〜7.50(m,4H,Ar)、7.59〜7.83(m,4H,Ar)、8.08(s,1H,Ar)、8.15(s,1H,Ar)。13CNMR(DMSO−d)δ106.42、112.36、115.88、118.37、118.64、119.19、121.82、122.61、122.85、126.95、129.92、130.34、130.86、141.50、141.71、146.44、146.95、147.56、153.99、156.96。Anal.calcd.for C2013Cl C,60.23;H,3.29;N,10.55。Found C,60.10;H,3.48;N,10.59。
【0150】
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド(33)
方法B。スケール:0.77mmolの化合物15。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中1〜2%のMeOHであった。生成物を酢酸エチルから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.17g(71%)。HNMR(CDCl)δ1.93〜2.56(m,6H,3CH)、3.24〜3.41(m,1H,CH)、6.84(bs,1H,NH)、7.05(t,1H,J=7.30Hz,Ar)、7.26〜7.40(m,3H,Ar)、7.53〜7.82(m,6H,Ar,NH)、7.99(s,1H,NH)。13CNMR(CDCl)δ17.75、25.11、40.64、101.94、116.52、118.74、119.40、122.10、122.38、127.41、128.74、129.35、140.32、140.50、147.90、154.63、174.28。Anal.calcd.for C2019O・0.5HO C,73.60;H,6.18;N,12.87。Found C,73.94;H,6.15;N,12.95。
【0151】
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド(34)
方法B。スケール:0.77mmolの化合物15。カラムクロマトグラフィー用の溶離液は、DCM中0〜0.5%のMeOHであった。生成物をメタノールから再結晶化して白色の結晶を得た。収量:0.13g(44%)。HNMR(CDCl)δ1.95〜2.53(m,6H,3CH)、3.23〜3.42(m,1H,CH)、6.79(bs,1H,NH)、7.31〜7.39(m,2H,Ar)、7.47〜7.70(m,5H,Ar,NH)、7.86(d,1H,J=8.40Hz,Ar)、7.95(s,1H,Ar)、8.09(s,1H,Ar)。13CNMR(DMSO−d)δ17.90、24.78、103.57、117.49、118.25、119.06、121.58、121.94、122.58、127.10、129.70、130.28、130.80、141.89、141.95、147.47、154.29、174.45。Anal.calcd.for C2017ClO C,62.19;H,4.44;N,10.88。Found C,61.85;H,4.65;N,10.82。
【0152】
上記のように調製した2,4−二置換キノリン誘導体の化学構造および物理化学的特性を表1にまとめる。
【0153】
【表1−1】

【表1−2】


【表1−3】

【0154】
生物学的実験
材料
125I]N−(4−アミノ−3−ヨードベンジル)アデノシン−5´−N−メチルウロンアミド(I−AB−MECA;2000Ci/mmol)をAmersham Pharmacia Biotech(Buckinghamshire,UK)より入手した。
【0155】
細胞培養および膜調製
組換えヒトA受容体を発現するCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、10%のウシ胎仔血清、100units/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび2μmol/mlのグルタミンを添加したDMEMおよびF12(1:1)中で培養した。トリプシン処理により細胞を回収した。ホモジナイゼーションおよび懸濁後、細胞を500gで10分間遠心分離し、ペレットを、10mMのMgClを含む50mMのTris・HCl緩衝液(pH7.4)中に再懸濁させた。懸濁液を電動ホモジナイザーで10分間ホモジナイズし、次いで、4℃で20分間、20,000gで再遠心分離した。得られたペレットを、3Units/mLのアデノシンデアミナーゼの存在下、緩衝液中に再懸濁させ、結合実験まで懸濁液を−80℃で保管した。タンパク質濃度をBradfordアッセイを用いて測定した。
【0156】
ヒトAARに対する結合アッセイ
競合結合アッセイにおける各チューブには、膜懸濁液(タンパク質20μg)100μl、[125I]I−AB−MECA(0.5nM)50μlならびに10mMのMgClおよび1mMのEDTAを含むTris・HCl緩衝液(50mM,pH8.0)中の漸増濃度の試験モジュレーター50μlが含まれていた。緩衝液中の10μMの5´−N−エチルカルボキサミドアデノシンを用いて非特異的結合を測定した。混合物を25℃で60分間インキュベートした。MT−24細胞ハーベスター(Brandell,Gaithersburgh,MD,USA)を用いて、減圧下でWhatmanGF/Bフィルターで濾過することにより結合反応を停止させた。フィルターを9mLの氷冷緩衝液で3回洗浄した。Beckman5500Bγカウンターで放射能測定を行った。
【0157】
125I]I−AB−MECAのヒトAARからの解離速度
125I]I−AB−MECAの解離を以下のように測定した。10mMのMgClおよび1mMのEDTAを含む総容積100μlのTris・HCl緩衝液(50mM,pH8.0)中で、膜(20μg)を0.5nM[125I]I−AB−MECAと共に25℃で60分間プレインキュベートした。次に3μMのCl−IB−MECAを、アロステリックモジュレーターと共にまたはそれ無しで添加することにより、解離を開始させた。適当な時間間隔において、全結合の解離の経時変化を急速濾過により測定した。3μMのCl−IB−MECA存在下で60分間インキュベーションした後に、非特異的結合を測定した。上記のようにさらにアッセイを行った。
【0158】
統計解析
結合パラメーターを、Prism5.0ソフトウェア(GraphPAD,San Diego,CA,USA)を用いて計算した。競合曲線から得られたIC50値を、Cheng−Prusoffの式を用いてK値に変換した。データを平均±標準誤差として表した。
【0159】
【表2−1】


【表2−2】

【0160】
表2では、ヒトアデノシンA受容体のオルソステリック部位での2,4−二置換キノリン誘導体の効果(4列目)が、ヒトアデノシンA受容体上のアロステリック部位に対するその効果(5列目)と共に記載してある。多くの化合物が、特にR=3,4−Cl−フェニル(≦50%の置換)の場合、オルソステリック結合部位に対する親和性を、あったとしても極わずかしか示さない。オルソステリック認識とアロステリック認識との間に最も隔たりが見られたのは化合物26で、オルソステリック部位での置換が極わずか(17%)であり、かつ大きなアロステリック効果(対照値100%に対して247%)を有していた。ほとんどの化合物は、放射性リガンドの解離を有意に遅らせる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アデノシン、Aアデノシン受容体アゴニストまたはAアデノシン受容体アンタゴニストからなる群より選択される化合物により治療可能な状態の治療において使用される、以下の一般式(I):
【化1】

(式中:
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルケニル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、アルクシクロアルキル、アルカリール、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、C〜C15縮合シクロアルキル、二環式芳香族または芳香族複素環;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、C〜C10アルコキシ、C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルカノール、C〜C10アシル、C〜C10チオアルコキシ、ピリジルチオ、チオおよびC〜C10アルキルチオ、アセトアミドならびにスルホン酸から選択される基であり;
は、水素あるいはアリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルクヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アルクシクロアルキル、アルクシクロへテロアルキル、アルクシクロアルケニルおよびアルクヘテロシクロアルケニルからなる群より選択される環状部分から選択される基であり、前記環状部分は、任意でC〜C10アルキル、ハロ、C〜C10アルカノール、ヒドロキシル、C〜C10アシル、C〜C10アルコキシ;C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルコキシアルキル;C〜C10チオアルコキシ;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、ピリジルチオ、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、チオ、C〜C10アルキルチオ、アセトアミドおよびスルホン酸から選択される少なくとも1つの基で置換されているか;あるいは前記置換基は、環状部分の原子と共に、前記環状部分と縮合したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクロアルケニルを形成してもよい)
およびその薬学的に許容される塩を有する、Aアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)。
【請求項2】
が、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される、請求項1に記載のARM。
【請求項3】
が、アリール、アルカリール、シクロアルキルから選択され、前記アリールまたはシクロアルキルが、C〜C10アルキル、ハロおよびC〜C10アルキルエーテルから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されている、請求項1または2に記載のARM。
【請求項4】
が、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは以下の式(II):
【化2】

(式中、Zは、O、SまたはNHから選択される)
を有する五員芳香族複素環から選択され;かつ
が、C〜Cシクロアルキル、フェニル、アルクフェニルあるいは以下の式(IIIa)もしくは(IIIb):
【化3】

(式中、Yは、NまたはCHから選択される)
を有する五員環または五員芳香族複素環と縮合した芳香環から選択され;
前記シクロアルキル、フェニル、アルクフェニル中あるいは式(Va)または(Vb)中の、アリールまたはシクロアルキル環が、C〜C10アルキル、ハロまたはC〜C10アルキルエーテルから選択される置換基で任意に置換されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のARM。
【請求項5】
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(ベンジルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(シクロペンチルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)ベンズアミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロ−フェニル)アミノ]キノリン−4−イル}ベンズアミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)−2−フラミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}−2−フラミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド
から選択される2,4−二置換キノリン誘導体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のARM。
【請求項6】
アデノシン受容体(AAR)の活性を増強することでアデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態を治療することに使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のARM。
【請求項7】
前記Rが、C〜Cシクロアルキルまたはフェニルであり;かつ
が、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは以下の式(III):
【化4】

を有する五員環シクロアルキルと縮合した芳香環から選択され、
中の前記フェニル部分が、非置換であるか、あるいはC〜Cアルキル、ハロゲンまたはC〜Cアルクエーテルで少なくとも1回置換されている、請求項6に記載のARM。
【請求項8】
前記Rが、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロブチルまたはフェニルから選択され;かつ
が、シクロペンチル、フェニルまたは以下の式(III):
【化5】

を有する五員環シクロアルキルと縮合した芳香環から選択され、
中の前記フェニル部分が、非置換であるか、あるいはメチル、Clまたはメチルエーテルで少なくとも1回置換されている、請求項7に記載のARM。
【請求項9】
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド
から選択される2,4−二置換キノリン誘導体である、請求項8に記載のARM。
【請求項10】
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド
から選択される、請求項8に記載のARM。
【請求項11】
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミドである、請求項10に記載のARM。
【請求項12】
ARの活性を増強するためのAARエンハンサーであり、前記増強が、以下の1つまたは複数:
(a)前記A3ARエンハンサーが前記AARのアロステリック部位と結合することにより、前記AARの有効性が少なくとも15%増加すること;または
(b)アデノシンもしくはAARアゴニストのその結合部位からの解離速度の減少
の発生
を含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載のARM。
【請求項13】
前記増強が、アデノシンまたはAARアゴニストのその結合部位からの60%未満の置換を含む、請求項12に記載のARM。
【請求項14】
アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な前記状態が、悪性腫瘍、免疫不全、高眼圧または高眼圧に関連した状態からなる群より選択される、請求項6〜13のいずれか1項に記載のARM。
【請求項15】
前記AARのオルソステリック結合部位に対するアゴニストと組み合わせて使用される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のARM。
【請求項16】
関節リウマチの治療に使用される、請求項14または15に記載のARM。
【請求項17】
被検体の骨髄系の増強に使用される、請求項14または15に記載のARM。
【請求項18】
緑内障の治療に使用される、請求項14または15に記載のARM。
【請求項19】
被検体におけるAアデノシン受容体(AAR)活性に影響を与える方法であって、前記受容体に対するその効果が、アデノシン、AARアゴニストおよびAARアンタゴニストからなる群より選択される化合物の効果と同様であり、前記方法が、ある量のAアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)を前記被検体に投与することを含み、前記量が、AAR活性を調節するのに効果的なものであり、前記ARMが、以下の一般式(I):
【化6】

(式中:
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルケニル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、アルクシクロアルキル、アルカリール、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、C〜C15縮合シクロアルキル、二環式芳香族または芳香族複素環;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、C〜C10アルコキシ、C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルカノール、C〜C10アシル、C〜C10チオアルコキシ、ピリジルチオ、チオおよびC〜C10アルキルチオ、アセトアミドならびにスルホン酸から選択される基であり;
は、水素あるいはアリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルクヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アルクシクロアルキル、アルクシクロへテロアルキル、アルクシクロアルケニルおよびアルクヘテロシクロアルケニルからなる群より選択される環状部分から選択される基であり、前記環状部分は、任意でC〜C10アルキル、ハロ、C〜C10アルカノール、ヒドロキシル、C〜C10アシル、C〜C10アルコキシ;C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルコキシアルキル;C〜C10チオアルコキシ;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、ピリジルチオ、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、チオ、C〜C10アルキルチオ、アセトアミドおよびスルホン酸から選択される少なくとも1つの基で置換されているか;あるいは前記置換基は、環状部分の原子と共に、前記環状部分と縮合したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクロアルケニルを形成してもよい)
およびそれらの薬学的に許容される塩を有する、方法。
【請求項20】
アデノシン、AARアゴニストまたはAARアンタゴニストからなる群より選択される化合物により治療可能な状態を有する被検体を治療するための方法であって、ある量のAアデノシン受容体アロステリックモジュレーター(ARM)を前記被検体に投与することを含み、前記量が、AAR活性を調節するのに効果的なものであり、前記ARMが、以下の一般式(I):
【化7】

(式中:
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルケニル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、アルクシクロアルキル、アルカリール、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、C〜C15縮合シクロアルキル、二環式芳香族または芳香族複素環;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、C〜C10アルコキシ、C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルカノール、C〜C10アシル、C〜C10チオアルコキシ、ピリジルチオ、チオおよびC〜C10アルキルチオ、アセトアミドならびにスルホン酸から選択される基であり;
は、水素あるいはアリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルクヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アルクシクロアルキル、アルクシクロへテロアルキル、アルクシクロアルケニルおよびアルクヘテロシクロアルケニルからなる群より選択される環状部分から選択される基であり、前記環状部分は、任意でC〜C10アルキル、ハロ、C〜C10アルカノール、ヒドロキシル、C〜C10アシル、C〜C10アルコキシ;C〜C10−アルコキシカルボニル、C〜C10アルコキシアルキル;C〜C10チオアルコキシ;C〜C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C〜C10アルキルアミノ、ピリジルチオ、C〜C10アルケニル;C〜C10アルキニル、チオ、C〜C10アルキルチオ、アセトアミドおよびスルホン酸から選択される少なくとも1つの基で置換されているか;あるいは前記置換基は、環状部分の原子と共に、前記環状部分と縮合したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクロアルケニルを形成してもよい)
およびその薬学的に許容される塩を有する、方法。
【請求項21】
が、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
が、アリール、アルカリール、シクロアルキルから選択され、前記アリールまたはシクロアルキルが、C〜C10アルキル、ハロおよびC〜C10アルキルエーテルから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されている、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
が、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは以下の式(II):
【化8】

(式中、Zは、O、SまたはNHから選択される]
を有する五員芳香族複素環から選択され;かつ
が、C〜Cシクロアルキル、フェニル、アルクフェニルあるいは以下の式(IIIa)もしくは(IIIb):
【化9】

(式中、Yは、NまたはCHから選択される]
を有する五員環または五員芳香族複素環と縮合した芳香環から選択され;
前記シクロアルキル、フェニル、アルクフェニル中あるいは式(Va)または(Vb)中の、アリールまたはシクロアルキル環は、C〜C10アルキル、ハロまたはC〜C10アルキルエーテルから選択される置換基で任意に置換されている、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ARMが、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(ベンジルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(シクロペンチルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)ベンズアミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロ−フェニル)アミノ]キノリン−4−イル}ベンズアミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)−2−フラミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}−2−フラミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド
から選択される2,4−二置換キノリン誘導体である、請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記Aアデノシン受容体(AAR)の活性が増強される、請求項19〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記ARMが、式(I)のAARエンハンサーであり、
式中、
が、C〜Cシクロアルキルまたはフェニルでり;かつ
が、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは以下の式(III):
【化10】

を有する五員環シクロアルキルと縮合した芳香環から選択され、
中の前記フェニル部分が、非置換であるか、あるいはC〜Cアルキル、ハロゲンまたはC〜Cアルクエーテルで少なくとも1回置換されている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記Rが、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロブチルまたはフェニルから選択され;かつ
が、シクロペンチル、フェニルまたは以下の式(III):
【化11】

を有する五員環シクロアルキルと縮合した芳香環から選択され、
中の前記フェニル部分が、非置換であるか、あるいはメチル、Clまたはメチルエーテルで少なくとも1回置換されている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記AARエンハンサーが、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド
から選択される2,4−二置換キノリン誘導体である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記AARエンハンサーが、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド
から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記AARエンハンサーが、N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミドである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記増強が、以下の1つまたは複数:
(a)前記A3ARエンハンサーが前記AARのアロステリック部位と結合することにより、前記AARの有効性が少なくとも15%増加すること;または
(b)アデノシンもしくはAARアゴニストのその結合部位からの解離速度の減少
の発生
を含む、請求項25〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記増強が、アデノシンまたはAARアゴニストのその結合部位からの60%未満の置換を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な前記状態が、悪性腫瘍、免疫不全、高眼圧または高眼圧に関連した状態からなる群より選択される、請求項20と請求項25〜32のいずれか1項とに記載の方法。
【請求項34】
前記AAMを、前記ARのオルソステリック結合部位に対するアゴニストと組み合わせて前記被検体に投与することを含む、請求項19〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記状態が、関節リウマチまたは緑内障から選択される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
被検体の骨髄系増強のための、請求項20〜34に記載の方法。
【請求項37】
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(ベンジルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(シクロペンチルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−[2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)ベンズアミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロ−フェニル)アミノ]キノリン−4−イル}ベンズアミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)−2−フラミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}−2−フラミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド;および
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド
からなる群より選択される、2,4−二置換キノリン誘導体。
【請求項38】
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(4−メチルフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミドおよび
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド
からなる群より選択される、請求項37の2,4−二置換キノリン誘導体。
【請求項39】
N−{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロペンタンカルボキサミド、
N−(2−アニリノキノリン−4−イル)シクロヘキサンカルボキサミド、
N−{2−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]キノリン−4−イル}シクロヘキサンカルボキサミド、
N−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)キノリン−4−イル]シクロヘキサンカルボキサミド
からなる群より選択される、請求項38の2,4−二置換キノリン誘導体。
【請求項40】
請求項38または39に記載の2,4−二置換キノリン誘導体を有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項41】
アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態の治療のための医薬組成物であって、請求項1〜18のいずれか1項に記載のARMを有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項42】
経口投与に適した形態である、請求項40または41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
アデノシン、AARアゴニストまたはAARアンタゴニストにより治療可能な状態の治療のための医薬組成物を調製するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載のARMの使用。
【請求項44】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のARMと、被検体におけるアデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能な状態の治療での前記ARMの使用説明書とを含む、キット。
【請求項45】
前記治療を必要とする被検体に前記A3RMを経口投与するための説明書を含む、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
前記状態が、アデノシンまたはAARアゴニストにより治療可能であり、かつ悪性腫瘍、免疫不全、高眼圧または高眼圧に関連した状態からなる群より選択される、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記状態が、関節リウマチ、高眼圧または高眼圧に関連した状態である、請求項46に記載のキット。




【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500255(P2012−500255A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523482(P2011−523482)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000791
【国際公開番号】WO2010/020981
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(511038695)ユニバーシテイト ライデン (1)
【出願人】(511038776)キャン−ファイト バイオファーマ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】