説明

ACアダプタ

【課題】本発明は、携帯電話等の携帯端末を充電できるとともに、携帯端末の記憶する情報データを、携帯端末とはインターフェースの異なるネットワークで利用することができるACアダプタを提供することを目的とする。
【解決手段】交流電源から所定の直流電圧を生成する電源回路11が実装された第1の回路基板10と、
インターフェース変換手段27、27aが搭載された第2の回路基板20と、
少なくとも1つの面に導電膜40が形成された中間壁33を有し、該中間壁33により、前記第1の回路基板10を収容する第1の収容室31と、前記第2の回路基板20を収容する第2の収容室32とが仕切られて形成されたケース30、30a、30bと、
前記中間壁33を貫通して、前記第1の回路基板10と前記第2の回路基板20とを接続するコネクタ50、51、52と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ACアダプタに関し、特に、電源回路が実装された第1の回路基板と、インターフェース変換回路が搭載された第2の回路基板とを有するACアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電池パックを用いた携帯電話機の内蔵充電器に給電を行う給電システムにおいて、携帯電話機と嵌合して、携帯電話機の入力コネクタをデータ通信用ケーブルに接続するための凹部と、ACアダプタを内蔵充電器に接続させるための給電用端子及び負極端子とを有する卓上ホルダと、卓上ホルダの給電用端子及び負極端子から内蔵充電器を介して電池パックへの充電を行う電池パック充電用電気回路とを備えた携帯電話機内蔵充電器給電システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる携帯電話機内蔵充電器給電システムによれば、携帯電話機を卓上ホルダに嵌合することにより、入力コネクタを介さず内蔵充電器に直接的にACアダプタが接続され、携帯電話機の入力コネクタはデータ通信のためにのみ用いることができるので、充電、データ通信を同時に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−57741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、充電とデータ通信を同時に行うためには、卓上ホルダが常に必要となり、スペースを要するとともに、気が向いたときに近くのAC電源から充電を行うときには、卓上ホルダをACアダプタとともに持ち運ぶ必要があり、不便であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1には、データ通信をどのように行うかは一切考慮されておらず、例えば、携帯電話内に保存された画像データや音声データを、インターフェースが異なるネットワークと通信するようなデータ通信を行うことができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、携帯電話等の携帯端末を充電できるとともに、携帯端末の記憶する情報データを、携帯端末とはインターフェースの異なるネットワークで利用することができるACアダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明に係るACアダプタ(100、100a、100b)は、交流電源から所定の直流電圧を生成する電源回路(11)が実装された第1の回路基板(10)と、
インターフェース変換手段(27、27a)が搭載された第2の回路基板(20)と、
少なくとも1つの面に導電膜(40)が形成された中間壁(33)を有し、該中間壁(33)により、前記第1の回路基板(10)を収容する第1の収容室(31)と、前記第2の回路基板(20)を収容する第2の収容室(32)とが仕切られて形成されたケース(30、30a、30b)と、
前記中間壁(33)を貫通して、前記第1の回路基板(10)と前記第2の回路基板(20)とを接続するコネクタ(50、51、52)と、を含むことを特徴とする。
【0009】
これにより、第1の回路基板と第2の回路基板が高調波で干渉することを防ぐことができ、ACアダプタ本来の直流充電電圧を生成する機能と、異なるインターフェースに対する通信機能を1つのACアダプタ内に搭載することができ、小型でありながら、高機能を有するACアダプタとすることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に係るACアダプタ(100、100a、100b)において、
前記導電膜(40)は、金属蒸着膜であることを特徴とする。
【0011】
これにより、金属膜の形成により中間壁に十分なシールド効果を持たせられるとともに、蒸着により剥がれたりするおそれを低減させ、高耐久性を有するACアダプタとすることができる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係るACアダプタ(100、100a、100b)において、
前記第1の回路基板(10)と前記第2の回路基板(20)は、前記中間壁(33)を隔てて対向して配置されていることを特徴とする。
【0013】
これにより、ACアダプタを省スペースに構成することができる。
【0014】
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係るACアダプタ(100、100a、100b)において、
前記インターフェース変換手段(27、27a)は、USBインターフェースとイーサネット(登録商標)インターフェースとの変換回路(27a)又は前記CPUが読み込む変換プログラム(27)を含むことを特徴とする。
【0015】
これにより、USBインターフェースから取得した情報を、例えば、家庭内ネットワーク等に利用することができ、情報の有効利用を図ることができる。
【0016】
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明に係るACアダプタ(100、100a、100b)において、
前記第1の回路基板(10)及び前記第2の回路基板(20)には、トランス(12、29)が搭載されていることを特徴とする。
【0017】
これにより、第1の回路基板及び第2の回路基板の発熱を低減することができるとともに、トランス間の高調波の干渉を低減させることができる。
【0018】
第6の発明は、第4の発明に係るACアダプタ(100、100a、100b)において、
前記ケース(30)の外側には、先端に携帯端末(110)と接続可能なコネクタ(61)を有し、該携帯端末(110)を充電させるとともに該携帯端末(110)とUSB通信を行うケーブル(60)と、イーサネットケーブル(120)が接続可能なコネクタ(70)が備えられていることを特徴とする。
【0019】
これにより、携帯端末を充電しながら、携帯端末の有する情報データをイーサネットに展開することができ、携帯端末にとって必要な充電を行いつつ情報データを有効活用することができる。
【0020】
第7の発明は、第4の発明に係るACアダプタ(100、100a、100b)において、
前記ケース(30)の外側には、USBコネクタ(80)と、イーサネットケーブル(120)が接続可能なコネクタ(70)が備えられていることを特徴とする。
【0021】
これにより、種々の携帯端末のデータをイーサネットで利用することができる。
【0022】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、省スペースで情報端末の充電を行いつつ、情報端末の情報をインターフェースの異なるネットワークで利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1に係るACアダプタ100を含むシステム構成の一例を示した図である。
【図2】図2は、実施例1に係るACアダプタ100内部のシステム構成の一例を示した図である。図2(A)は、実施例1に係るACアダプタ100の機能ブロック図の一例である。図2(B)は、ソフトウェアのデータ構造の一例を示した模式図である。
【図3】実施例1に係るACアダプタ100の内部構成の一例を示した図である。図3(A)は、実施例1に係るACアダプタ100の側断面構成の一例を示した図である。図3(B)は、図3(A)のAA'断面の平面構成の一例を示した平面図である。
【図4】実施例2に係るACアダプタ100aの全体構成の一例を示した図である。図4(A)は、実施例2に係るACアダプタ100aの機能ブロックの一例を示した図である。図4(B)は、ソフトウェアのデータ構造の一例を示した模式図である。
【図5】実施例3に係るACアダプタ100bを含むシステム構成の例を示した図である。
【図6】実施例3に係るACアダプタ100bの内部構成の一例を示した図である。図6(A)は、実施例3に係るACアダプタ100bの側断面構成を示した図である。図6(B)は、図6(A)のAA' 断面の中間壁33の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明を適用した実施例1に係るAC(Alternating Current)アダプタ100を含むシステム構成の一例を示した図である。図1において、実施例1に係るACアダプタ100は、ケース30と、ブレード90と、USB(Universal Serial Bus)ケーブル60とを備える。また、ケース30の外側の表面には、イーサネット(登録商標)ケーブルが接続可能なイーサネットコネクタ70が設けられ、USBケーブル60の先端には、携帯電話111用のUSBコネクタ61が設けられている。USBコネクタ61は、携帯電話111の入出力コネクタ112に接続されている。USBコネクタ61は、携帯電話111が専用の特殊な入出力コネクタ112を有する場合には、携帯電話111用の特殊なUSBコネクタ61として構成される。一方、携帯電話111の入出力コネクタ112が、デジタルカメラ等の他の種類の携帯端末と互換性を有する標準的なUSB接続可能に構成されている場合には、そのような他の携帯端末にも使用可能なUSBコネクタ61であってよい。
【0027】
イーサネットコネクタ70には、イーサネットケーブル120が接続される。イーサネットケーブル120には、デバイス130が接続され、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area network)が形成されている。イーサネットケーブル120に接続されているデバイス130は、例えば、パーソナルコンピュータ131や、ハブ(集線装置)132や、インターネット133や、サーバ134であったりしてよい。デバイス130は、用途に応じて、複数のデバイス130が接続され、種々のネットワークを形成してよい。ネットワークは、例えば、DLNA(Digital Living Network Area)等の家庭内ネットワークであってもよい。また、サーバ134は、例えば、上述のDLNA用のサーバ134であってもよい。
【0028】
図1において、ACアダプタ100は、ブレード90が交流電源のコンセントに挿入されることにより、交流電圧100〔V〕から携帯電話111の充電に必要な直流電圧に変換して生成する電圧変換生成機能を有する。そして、ACアダプタ100は、USBケーブル60及びUSBコネクタ61を介して、生成した直流電圧を携帯電話111の入出力コネクタ112に供給する。
【0029】
また、ACアダプタ100は、図示しないCPUを備えている。ACアダプタ100は、USBケーブル60及びUSBコネクタ61を介して携帯電話111に接続されているので、マスストレージとしてDドライブのように認識することができ、携帯電話111に保存されている情報データをファイルとして認識することができる。そして、ACアダプタ100は、携帯電話111のメモリに記憶されている画像データや、音声データをファイルとして認識することができ、認識したファイルにアクセスすることができる。
【0030】
このように、本実施例に係るACアダプタ100は、携帯電話111にUSBケーブル60を介して接続されることにより、交流電圧を直流電圧に変換して携帯電話111に供給する機能と、携帯電話111とUSB通信を行う機能を有している。
【0031】
一方、ACアダプタ100は、ケース30に設けられたイーサネットコネクタ70にイーサネットケーブル120が接続されることにより、各デバイス130とイーサネットを組むことが可能となっている。イーサネットケーブル120には、パーソナルコンピュータ131と、ハブ132と、インターネット133と、サーバ134とがデバイス130として接続されている。ACアダプタ100は、携帯電話111から取り込んだ各種データを、イーサネットケーブル120を介して通信を行い、各デバイス130に供給することができる。
【0032】
パーソナルコンピュータ131は、画像を表示したり、音声を出力したり、画像データや音声データ等の編集及び加工を行うことができる演算処理手段である。これにより、携帯電話111内に保存されている各種データを、パーソナルコンピュータ131で出力したり、加工したりすることが可能となる。なお、パーソナルコンピュータ131は、図1においては、1台のみ表示されているが、複数台が接続されていてもよい。
【0033】
ハブ132は、スター型LANで用いられる集線装置であり、各デバイス130は、ハブ132を介して相互に接続されていてよい。
【0034】
インターネット133は、国際的にネットワーク同士が接続されている外部のコンピュータネットワークに、各デバイス130を接続可能にするネットワーク接続手段である。これにより、携帯電話111内の保存データを、外部のネットワークに送信することができる。
【0035】
サーバ134は、各デバイス130を、例えば、家庭内でDLNA等の家庭内ネットワークを組む際に、サーバ機能を有するコンピュータである。例えば、DLNAを利用すると、パーソナルコンピュータ131内の画像データを、DLNA対応の高品質のテレビで表示したり、DLNA対応の高品質オーィオで音声データを出力したりすることが可能となる。サーバ134は、そのようなLANを組む際に、サーバ機能を有するコンピュータとして機能する。
【0036】
このように、本実施例に係るACアダプタ100によれば、携帯電話111内のデータを、家庭内のデバイス130で出力、加工したりするだけでなく、外部のインターネットに送信したり、また、外部からデータを携帯電話111にダウンロードしたりすることも可能となる。
【0037】
次に、図2を用いて、ACアダプタ100内部のシステム構成の一例について説明する。図2は、実施例1に係るACアダプタ100内部のシステム構成の一例を示した図である。図2(A)は、実施例1に係るACアダプタ100の機能ブロック図の一例である。図2(A)において、実施例1に係るACアダプタ100は、第1の回路基板10と、第2の回路基板20と、ケース30と、USBケーブル60とを備える。第1の回路基板10及び第2の回路基板20は、ケース30内に収容され、USBケーブル60は、ケース30内部の第2の回路基板に接続され、ケース30の内部から、外部に露出している。
【0038】
第1の回路基板10は、電源回路11が搭載された回路基板である。電源回路11は、交流電源から、携帯電話111の電源となる所定の直流電圧を生成する機能を有する。電源回路11は、交流電源100〔V〕から所定の直流電圧を生成するために、例えば、交流電圧100〔V〕から直流電圧100〔V〕への変換を行い、次いで、直流電圧100〔V〕から、所定の大きさの直流電圧を得るための電圧変換を行う。所定の大きさの直流電圧は、例えば、4〜5〔V〕程度であってもよい。そのような電圧変換を行うため、電源回路11は、トランス12を備えていてよい。
【0039】
第2の回路基板20は、マイクロコンピュータ21が搭載された回路基板21である。また、第2の回路基板20は、イーサネットコネクタ70に接続されており、必要に応じて、トランス29が搭載されてもよい。
【0040】
マイクロコンピュータ21は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)22と、メモリ23とを備える。メモリ23の記憶内容のソフトウェアの一例は、図2(B)に示されている。
【0041】
図2(B)は、メモリ23に記憶されているソフトウェアのデータ構造の一例を示した模式図である。図2(B)において、メモリ23に記憶されたソフトウェアは、基本ソフトウェアとして、OS(Operating System、オペレーティングシステム)24が備えられ、アプリケーションソフトウェア28として、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol、トランスミッションコントロールプロトコル/インターネットプロトコル)プログラム25と、DLNAプログラム26と、インターフェース変換プログラム27とが記憶されている。よって、CPU22が、アプリケーションソフトウェア28のプログラムを順次読み込んで実行することにより、マイクロコンピュータ21は、USBケーブル60を介して、携帯電話111との通信及びイーサネットとの通信に必要な機能を果たす。
【0042】
OS24は、CPU22がアプリケーションソフトウェア28を動作させるための基本ソフトウェアである。TCP/IPプログラム25は、イーサネットで標準的に使用されるTCP/IPのプロトコルを用いた通信を行うためのプログラムである。DLNAプログラム26は、家庭内ネットワークのDLNAを用いた通信を行うためのプログラムである。
【0043】
インターフェース変換プログラム27は、USB通信に用いられるUSBインターフェースとイーサネット通信に用いられるイーサネットインターフェース同士の変換を行うためのプログラムである。携帯電話111内にあるデータを、イーサネット上で用いるためには、携帯電話111に用いられているUSBインターフェースと、イーサネット上で用いられているイーサネットインターフェースとの相互互換を図る必要がある。第2の回路基板20においては、USBインターフェースとイーサネットインターフェースとのインターフェース変換処理を、CPU22がインターフェース変換プログラム27を読み込むことによりマイコン21が行う。よって、インターフェース変換プログラム27は、インターフェース変換手段の一部として機能する。
【0044】
図2(A)に戻る。トランス29は、平衡型トランスであり、不平衡を平衡にするトランスである。トランス29の1次側は、マイクロコンピュータ21に接続され、2次側は、イーサネットコネクタ70に接続されている。
【0045】
また、USBケーブル60は、先端にUSBコネクタ61が設けられ、携帯電話111と接続可能に構成されているとともに、他端は、マイクロコンピュータ21に接続されている。マイクロコンピュータ21には、CPU22が搭載され、インターフェース変換プログラム27がメモリ23内に記憶されているので、USBケーブル60からマイクロコンピュータ21に供給されたUSB通信データは、マイクロコンピュータ21でイーサネットにおいて通信可能な信号に変換され、トランス29を介して、イーサネットコネクタ70から出力可能な状態とされる。
【0046】
このように、実施例1に係るACアダプタ100は、携帯電話111との通信で使用されるUSBインターフェースと、イーサネットでの通信で使用されるイーサネットインターフェースとの変換が可能なインターフェース変換手段として、CPU22及びインターフェース変換プログラム27を含む。つまり、ACアダプタ100は、OS24上でインターフェース変換プログラム27を動作させることにより、携帯電話111とイーサネットとの通信が可能なように構成されている。
【0047】
しかしながら、第1の電気回路10と第2の電気回路20とを、同じケース30内で動作させると、第1の電気回路10の電源回路11に搭載され、大電流が流れるトランス12が発生させる磁界が、第2の電気回路20に搭載された小電流が流れるトランス29に影響を与え、第2の電気回路20の動作がうまくいかない場合がある。そこで、本実施例に係るACアダプタ100においては、第1の電気回路10と第2の電気回路20の構成においても、そのような磁界の干渉が発生しない構成としている。
【0048】
図3は、実施例1に係るACアダプタ100のケース30内の内部構成の一例を示した図である。図3(A)は、実施例1に係るACアダプタ100の側断面構成の一例を示した図である。図3(B)は、図3(A)のAA'断面の平面構成の一例を示した平面図である。
【0049】
図3(A)において、実施例1に係るACアダプタ100は、第1の電気回路10と、第2の電気回路20と、ケース30と、コネクタ50と、USBケーブル60と、イーサネットコネクタ70と、ブレード90とを備える。なお、図1及び図2と同様の構成要素については、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0050】
図3(A)において、実施例1に係るACアダプタ100は、ケース30が、中間壁33で仕切られた第1の収容室31と、第2の収容室32とを有し、第1の回路基板10が第1の収容室に収容され、第2の回路基板20が第2の収容室に収容されている。また、図3(A)において、中間壁32の第2の収容室32側の面には、導電膜40が形成されている。更に、中間壁33には貫通孔34が設けられており、第1の回路基板10と、第2の回路基板は、コネクタ50で接続されている。実施例1に係るACアダプタ100は、例えば、このような第1の回路基板10と第2の回路基板20とを別の収容室に分離して収容してもよい。これにより、第1の回路基板10に搭載されている電源回路11により発生する電源ノイズの、第2の回路基板20への影響を低減させることができる。
【0051】
ケース30は、第1の収容室31と第2の収容室32を形成する中間壁33を有する。ケース30は、例えば、樹脂材料で構成されてよい。これにより、成型加工を容易に行うことができる。
【0052】
第1の収容室31には、第1の回路基板10が収容される。また、第1の収容室31は、交流電源のコンセントに挿入されるブレード90も備える。第1の回路基板10には、電源回路11が搭載され、電源回路11には、トランス12が搭載されている。このトランス12は、交流電源100〔V〕から、1/20程度の約5〔V〕程度への降圧を行うため、比較的大きな電流が流れ、大きな磁界を発生させる。そして、その磁界は、第2の回路基板20に悪影響を与え得るが、図3(A)に示すように、第1の収容室31に電源回路11及びトランス12を密閉するように収容することにより、第2の収容室32に収容された第2の回路基板20への影響を低減させることができる構成となっている。
【0053】
第2の収容室32には、第2の回路基板20が、密閉的に分離されて収容されている。第2の収容室32は、中間壁33の表面に、導電膜40が形成されている点が、第1の収容室31と異なる。かかる導電膜40を中間壁33の表面に形成することにより、第1の収容室31から第2の収容室32を電気的にシールドし、トランス12からの磁界の影響を低減させることができる。導電膜40は、導電性を有する膜であれば、種々の材料の膜を適用することができるが、例えば、金属膜であってもよい。金属膜は、種々の手法により中間壁33の表面に形成することができるが、例えば、金属蒸着により金属蒸着膜の導電膜40を形成するようにしてもよい。
【0054】
なお、導電膜40は、本実施例に係るACアダプタ100においては、中間壁33の第2の収容室32側のみに形成しているが、更に第1の収容室31に形成するようにしてもよいし、第1の収容室31側の中間壁33のみに形成するようにしてもよい。導電膜40の形成面は、中間壁33の面上であれば、用途に応じて種々の態様をとりうる。
【0055】
第2の収容室32内に収容された第2の回路基板20は、図2において説明したように、CPU22、メモリ23等を備えるマイクロコンピュータ21と、トランス29とを備える。また、第2の回路基板20に接続されたイーサネットコネクタ70が、ケース20の外側表面に、コネクタ部分が露出するように設けられる。マイクロコンピュータ21は、図2において説明したように、ACアダプタ100の第2の回路基板20は、USBインターフェースとイーサネットインターフェースとのインターフェース変換手段として、インターフェース変換プログラム27を、OS24とともにメモリ23内に記憶しており、CPU22によりインターフェース変換処理を行うことが可能なように構成されている。よって、第2の回路基板20に接続されたUSBケーブル60から入力された携帯電話111のデータ信号は、マイクロコンピュータ21及びトランス29を経て、イーサネットインターフェースで使用可能な信号に変換され、イーサネットコネクタ70から各デバイス130にデータ信号を供給することが可能となる。
【0056】
一方、USBケーブル60の先端のUSBコネクタ61に接続された携帯電話111には、USBケーブル60から直流電圧が供給され、充電が行われる。直流電圧は、第1の回路基板10側で生成されるが、第1の回路基板10と第2の回路基板20は、コネクタ50で電気的に接続され、第1の回路基板10の電源回路11で生成した直流電圧が、コネクタ50を介して、第2の回路基板20に供給される。第2の回路基板20からは、USBケーブル60を用いて携帯電話111への直流電圧の供給が行われ、携帯電話111を充電することが可能な構成となっている。
【0057】
なお、コネクタ50は、第1の回路基板10と、第2の回路基板20とを、中間壁33の貫通孔34を介して接続できるコネクタ50であれば、種々の接続部品を適用することができる。例えば、コネクタ50は、図3(A)に示すように、第1の回路基板10に雄又は雌のコネクタ51が設けられ、第2の回路基板20には、コネクタ51と嵌合するコネクタ52が設けられているような構成としてもよい。
【0058】
図3(B)は、図3(A)のAA'断面における実施例1に係るACアダプタ100の平面構成を示した図である。図3(B)において、中間壁33の第2の収容室32側の面には、金属蒸着による導電膜40が形成され、貫通孔34の位置には、コネクタ52が設けられている。貫通孔34は、コネクタ52により隙間が極めて小さい状態とされ、第1の収容室31側からの磁界の漏れも少ない構成となっている。
【0059】
なお、第1の回路基板10と第2の回路基板20は、コネクタ50による接続が容易で、かつACアダプタ100のスペースを小さくするために、互いに中間壁33を介して対向して配置されてよい。このような構成とすることにより、第1の回路基板10と第2の回路基板20とが平面的に重なるような配置となり、ACアダプタ100の平面的大きさを最小限にすることができる。また、コネクタ51、52は、第1の回路基板10及び第2の回路基板20の対向面上の、接続端子が形成されている位置に、各々垂直に立てるように設置すればよいので、コネクタ51、52の設置も容易に行うことができる。
【0060】
このように、実施例1に係るACアダプタ100によれば、ケース30の内部に第1の収容室31と第2の収容室32とを中間壁33を仕切りとして分離形成し、中間壁33の少なくとも一面に導電膜40を形成することにより、第1の回路基板10からの電源ノイズの第2の回路基板20への影響を低減させることができる。また、ACアダプタ100をコンパクトに構成することができ、省スペースでありながら、充電機能とインターフェース変換可能な通信機能を有する多機能なACアダプタ100とすることができる。
【実施例2】
【0061】
図4は、本発明を適用した実施例2に係るACアダプタ100aの全体構成の一例を示した図である。図4(A)は、実施例2に係るACアダプタ100aの機能ブロックの一例を示した図である。図4(A)において、実施例2に係るACアダプタ100aは、第1の回路基板10と、第2の回路基板20aと、ケース30と、USBケーブル60と、イーサネットコネクタ70を有する点は、実施例1に係るACアダプタ100と同様である。また、第1の回路基板10が、電源回路11とトランス12を有する点も、実施例1に係るACアダプタ100と同様であるので、実施例1と同様の参照符号を付してその説明を省略する。
【0062】
実施例2に係るACアダプタ100aは、第2の回路基板20aが、マイクロコンピュータ21aと、トランス29とを備える以外に、インターフェース変換回路27aを更に備える点で、実施例1に係るACアダプタ100と異なる。つまり、実施例1に係るACアダプタ100においては、USBインターフェースとイーサネットインターフェースとの変換処理を、ソフトウェアを用いてマイクロコンピュータ21において行ったが、実施例2に係るACアダプタ100aにおいては、インターフェース変換回路27aを用いて回路的にUSBインターフェースとイーサネットインターフェースとの変換処理を行う。このように、インターフェースの変換を行うインターフェース変換手段は、回路的に、インターフェース変換回路27aとして構成されてもよい。
【0063】
よって、実施例2に係るACアダプタ100aにおいては、USBケーブル60は、マイクロコンピュータ21ではなく、インターフェース変換回路27aに接続される。なお、その他の構成要素については、メモリ23aに記憶されたソフトウェアの内容が異なる以外は、CPU22、トランス29及びイーサネットコネクタ70については、実施例1に係るACアダプタ100と同様の構成及び機能を有するので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図4(B)は、メモリ23aに記憶されたソフトウェアのデータ構造の一例を示した模式図である。図4(B)において、ソフトウェアは、OS24と、TCP/IPプログラム25と、DLNAプログラム26とを含む。実施例2のソフトウェアは、OS24は基本ソフトウェアとして動作し、TCP/IPプログラム25と、DLNAプログラム26がアプリケーションソフトウェアとして動作する点は、実施例1のソフトウェアと同様である。実施例2に係るACアダプタ100aのソフトウェアにおいては、インターフェース変換プログラム27がアプリケーションソフトウェア28aに含まれていない点で、実施例1に係るACアダプタ100のソフトウェアと異なっている。これは、インターフェース変換の処理を、ソフトウェア的にではなく、インターフェース変換回路27aで回路的に処理しているからであり、ソフトウェア的なインターフェース変換処理は不要となったからである。
【0065】
このように、実施例2に係るACアダプタ100aのように、インターフェース変換手段は、ソフトウェアのプログラムに含まれるのではなく、インターフェース変換回路27aとしてハード的に構成されてもよい。回路的に処理を行うことにより、高速なインターフェース変換処理を行うことができる。
【実施例3】
【0066】
図5は、本発明を適用した実施例3に係るACアダプタ100bを含むシステム構成の一例を示した図である。図5において、実施例3に係るACアダプタ100bは、ケース30bに、ブレード90と、イーサネットコネクタ70とが設けられている点で、実施例1に係るACアダプタ100と同様であるが、USBコネクタ80が更にケース30bの外側の表面に設けられている点と、USBケーブル60が設けられていない点で、実施例1に係るACアダプタ100と異なっている。
【0067】
また、実施例3に係るACアダプタ100bを含むシステム構成は、イーサネット側は、イーサネットケーブル120にパーソナルコンピュータ131と、ハブ132と、インターネット133等のデバイス130が接続されている点で実施例1に係るACアダプタ100を含むシステム構成と同様であるが、USB側は、携帯電話111だけでなく、デジタルビデオ113と、デジタルカメラ114とを携帯端末110として含む点で、実施例1に係るACアダプタ100を含むシステムと異なっている。
【0068】
このように、実施例3に係るACアダプタ100bは、USBケーブル60ではなく、USBコネクタ80をケース30bの外側表面に設け、USB通信を、USBコネクタ80を用いるようにしてもよい。その際、USBコネクタ80を、携帯端末110全般に標準的に用いられているUSBコネクタ80とすることにより、充電及び通信対象の携帯端末110として、携帯電話111以外に、デジタルビデオ113と、デジタルカメラ114等を含めることができる。このように、ACアダプタ100bの充電及びUSB通信の対象は、携帯電話111のみならず、充電及びUSB通信を行う携帯端末110全般としてもよい。これにより、携帯端末110が有する画像データ又は音声データ等のデータを、イーサネット上に展開することができ、種々の携帯端末110について、データ出力やデータ加工を行うことができる。例えば、携帯端末110がデジタルビデオ113の場合には、動画映像をイーサネット上のパーソナルコンピュータ131に表示することができるし、その動画映像をインターネット133により外部に送信することも可能である。また、ハブ132により、更にパーソナルコンピュータ131を設け、編集を行うこともできる。デジタルカメラ114の場合も、デジタルビデオ113の場合と同様に、撮像した画像データを、パーソナルコンピュータ131に表示させたり、インターネット133により外部に送信したりすることが可能となる。
【0069】
このように、ACアダプタ100bのケース30bの外側表面に、USBコネクタ80を設け、ACアダプタ100bをより汎用的に携帯端末110全般に適用するようにしてもよい。携帯電話111においても、専用の入出力コネクタ112を設けるのではなく、標準的な携帯端末110用のUSBコネクタを用いる場合が増加しているので、そのような携帯電話111については、実施例3に係るACアダプタ100bを適用することができる。また、実施例3に係るACアダプタ100bを、携帯電話111用としてではなく、他の種類の携帯端末110として構成することもできる。なお、携帯端末110用のUSBコネクタは、パーソナルコンピュータ等に用いられているUSBコネクタよりもサイズの小さいミニUSBコネクタが用いられている場合も多いので、そのような種類の携帯端末110に適合させるためには、ミニUSBコネクタ80を用いるようにすればよい。
【0070】
図6は、実施例3に係るACアダプタ100bの、内部構成の一例を示した図である。図6(A)は、実施例3に係るACアダプタ100bの側断面構成の一例を示した図である。図6(A)において、第1の収容室31及び第1の基板回路10と、第2の収容室32と、コネクタ50と、イーサネットコネクタ70の構成は、実施例1の図3と同様であるので、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0071】
実施例3に係るACアダプタ100bにおいては、第2の回路基板20bの構成及びケース30bの外側の構成が異なっている。第2の回路基板20bには、USBケーブル60が接続されずに、代わりに、USBコネクタ80が設けられている。このように、USBコネクタ80を第2の回路基板20bと接続し、USBインターフェースをUSBコネクタ80としたことにより、USBケーブル60を取り除くことができる。
【0072】
なお、実施例3に係るACアダプタ100bにおいて、インターフェース変換手段は、ソフトウェア的にメモリ23内に保存されたインターフェース変換プログラム27により処理を行ってもよいし、インターフェース変換回路27aを第2の回路基板20b上に設け、回路的にインターフェース変換の処理を行ってもよい。また、CPU22を含むマイクロコンピュータ21及びトランス29が第2の回路基板20b上に搭載される点は、実施例1に係るACアダプタ100と同様である。
【0073】
ケース30bの中間壁33の第2の収容室32側の面には、導電膜40が形成されており、導電膜40は、第1の収容室31側又は双方に設けてもよい点も、実施例1に係るACアダプタ100と同様である。
【0074】
図6(B)は、図6(A)のAA' 断面における中間壁33の第2の収容室32側の平面図である。図6(B)においても、実施例3に係るACアダプタ100bは、中間壁33上に導電膜40が形成され、貫通孔34に設けられたコネクタ52により、第1の回路基板10と第2の回路基板20bの接続が図られる点も、実施例1に係るACアダプタ100と同様である。
【0075】
実施例3に係るACアダプタ100bによれば、USBコネクタ80をケース30の外側表面に設けることにより、USB通信機能を有する携帯端末110全般に適用可能なACアダプタ100bとすることができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、携帯電話等のUSB通信機能を有する携帯端末の充電用ACアダプタに利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 第1の回路基板
11 電源回路
12、29 トランス
20 第2の回路基板
21 マイクロコンピュータ
22 CPU
23 メモリ
24 OS
25 TCP/IPプログラム
26 DLNAプログラム
27 インターフェース変換プログラム
27a インターフェース変換回路
28 アプリケーションソフトウェア
30 ケース
31 第1の収容室
32 第2の収容室
33 中間壁
34 貫通孔
40 導電膜
50、51、52 コネクタ
60 USBケーブル
61、80 USBコネクタ
70 イーサコネクタ
90 ブレード
100、100a、100b ACアダプタ
110 携帯端末
111 携帯電話
112 入出力コネクタ
113 デジタルビデオ
114 デジタルカメラ
120 イーサネットケーブル
130 デバイス
131 パーソナルコンピュータ
132 ハブ
133 インターネット
134 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から所定の直流電圧を生成する電源回路が実装された第1の回路基板と、
インターフェース変換手段及びCPUが搭載された第2の回路基板と、
少なくとも1つの面に導電膜が形成された中間壁を有し、該中間壁により、前記第1の回路基板を収容する第1の収容室と、前記第2の回路基板を収容する第2の収容室とが仕切られて形成されたケースと、
前記中間壁を貫通して、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを接続するコネクタと、を含むことを特徴とするACアダプタ。
【請求項2】
前記導電膜は、金属蒸着膜であることを特徴とする請求項1に記載のACアダプタ。
【請求項3】
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板は、前記中間壁を隔てて対向して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のACアダプタ。
【請求項4】
前記インターフェース変換手段は、USBインターフェースとイーサネット(登録商標)インターフェースとの変換回路又は前記CPUが読み込む変換プログラムを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のACアダプタ。
【請求項5】
前記第1の回路基板及び前記第2の回路基板には、トランスが搭載されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のACアダプタ。
【請求項6】
前記ケースの外側には、先端に携帯端末と接続可能なコネクタを有し、該携帯端末を充電させるとともに該携帯端末とUSB通信を行うケーブルと、イーサネットケーブルが接続可能なコネクタが備えられていることを特徴とする請求項4に記載のACアダプタ。
【請求項7】
前記ケースの外側には、USBコネクタと、イーサネットケーブルが接続可能なコネクタが備えられていることを特徴とする請求項4に記載のACアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−231953(P2010−231953A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76534(P2009−76534)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】