説明

AMC(AdvancedModulationandCoding)モードのブラインド識別

【課題】AMC(Advanced Modulation and Coding)モードのブラインド識別
【解決手段】通信システムの中で送信されるデータストリームを取得及び復調するための方法及び装置を提供する。本発明による方法は、前記データストリーム内の物理層フレーム(PLフレーム)の境界を見つけることと、前記データストリームに関連するユニークワード(UW)の最初の26ビットを見つけることと、前記UWを用いているスクランブルコードを見つけることと、前記データストリーム内の所望の信号に対して用いられる変調形式及びコードレートを割り出すための復号化手順を用いることとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、より詳細には、信号干渉を最小化する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術の典型的な衛星テレビシステムを例示している。
【0003】
図1は、衛星経由でオーディオ、ビデオ、及びデータ信号を送受信する通信システム、特にテレビ放送システム100を示している。本発明は、衛星ベースのテレビ放送システムの文脈の中で説明されているが、本明細書で記述される技術は、地上波放送システム、ケーブルベースのシステム、及びインターネットのような他の番組コンテンツ配信手法にも同様に適用可能である。更に、本発明はテレビコンテンツ(すなわちオーディオ及びビデオコンテンツ)に関して主に説明されるであろうが、本発明は、ビデオコンテンツ、オーディオコンテンツ、オーディオとビデオに関連したコンテンツ(例えば、テレビ視聴者チャネル:television viewer channels)、又はデータコンテンツ(例えば、コンピュータデータ)などを含む、多様な番組コンテンツ素材と共に実行することができる。
【0004】
テレビ放送システム100は、送信ステーション102、アップリンクパラボラアンテナ104、少なくとも1つの衛星106、及び受信機ステーション108Aから108C(集合的に受信機ステーション108と称する)を含んでいる。送信ステーション102は、例えばアナログテレビ信号、デジタルテレビ信号、ビデオテープ信号、オリジナルな番組信号、及びコンピュータが生成したHTMLコンテンツを含む信号などの、様々な信号を受信するための複数の入力110を含んでいる。加えて、複数の入力110は、ハードディスク又は他のデジタル記憶媒体を有するデジタルビデオサーバからの信号を受信する。送信ステーション102はまた、新聞及びテレビガイドの中に含まれるテレビ番組表の中にあるような、各種テレビチャンネルのスケジュール及び内容についての電子スケジュール情報を提供する、複数のスケジュール入力112を含んでいる。送信ステーション102は、スケジュール入力112からのデータを、番組ガイドデータに変換する。番組ガイドデータは、送信ステーション102の場所で手動により入力することもできる。この番組ガイドデータは、複数の「オブジェクト」からなる。この番組ガイドデータオブジェクトは、最終的にユーザのテレビモニタ上に表示される電子番組ガイドを構成するためのデータを含んでいる。
【0005】
送信ステーション102は、入力110及びスケジュール入力112上で受信される多様な入力信号を受信且つ処理し、この受信信号を標準形式に変換し、上記標準信号を単一出力データストリーム114に合成し、そして、この出力データストリーム114をアップリンクパラボラアンテナ104に連続的に出力する。出力データストリーム114は、デジタルデータストリームであり、典型的にはMPEG−2符号化を用いて圧縮するが、例えばMPEG−4又は他のスキームのような他の圧縮スキームを用いてもよい。
【0006】
出力データストリーム114内のデジタルデータは、複数のパケットに分割され、これら各パケットはサービスチャンネル識別(SCID:Service Channel Identification)番号を付けられる。このSCIDは、受信機ステーション108内の受信装置で用いられ、各テレビチャンネルに対応するパケットを識別することができる。エラー訂正データも同様に、出力データストリーム114の中に含まれる。
【0007】
出力データストリーム114は、典型的には、送信ステーション102によって標準周波数及び偏光変調技術を用いて変調される、多重化信号である。出力データストリーム114は、各周波数帯域が左偏光又は右偏光のどちらかがされた複数の(典型的には16の)周波数帯域を含んでいることが好ましい。あるいは、垂直偏光及び水平偏光を使用してもよい。
【0008】
アップリンクパラボラアンテナ104は、出力データストリーム114を連続的に送信ステーション102から受信し、この受信した信号を増幅し、信号116を少なくとも1つの衛星106へ送信する。単一のアップリンクパラボラアンテナ104及び3台の衛星106が図1に示されているが、更なる帯域幅を提供するため及び受信機ステーション108に出力データストリーム114を確実に連続的に届けるために、複数のアップリンクパラボラアンテナ104及びより多くの衛星106を用いるのが望ましい。
【0009】
衛星106は、地球の周囲を静止軌道で回る。各衛星106は、アップリンクパラボラアンテナ104から送信された信号116を受信する複数の中継器を含み、これらの中継器は、受信した信号116を増幅し、受信した信号116を異なる周波数帯域へ周波数シフトし、その後、増幅及び周波数シフトした信号118を地球上の望ましい地域(受信機ステーション108はこの場所に設置されているか若しくは将来のある時点で設置される)に送信する。受信機ステーション108は、その後、衛星106から送信された信号118を受信し、処理する。
【0010】
各衛星106は信号118を、番組(オーディオ、ビデオ、若しくはデータ信号又は任意の組み合わせでもよい)を放送する様々な利用者に認可された、32の異なる周波数で送信する。これらの信号は、一般的にはKuバンドの周波数、すなわち11〜18GHzに位置しているが、Kaバンドの周波数、すなわち18〜40GHz(より典型的には20〜30GHz帯)又は他の周波数バンドで送信してもよい。
【0011】
図2は、オーディオ、ビデオ、及びデータ信号を受信し復号化する、受信機ステーション108の中の1ステーションのブロック図である。通常、受信機ステーション108は、IRD(Integrated Receiver Decoder)としても知られる「セットトップボックス」であり、これは通常、家又は集合住宅の中にあり、衛星から送信されたテレビ信号118を受信するためのものである。受信機ステーション108はまた、後日再生するために信号を記録できるPVR(個人用ビデオレコーダ:Personal Video Recorder)であってもよい。
【0012】
受信機パラボラアンテナ200は、ODU(室外機:Outdoor Unit)であってもよく、これは通常は、家又は集合住宅の上に設置される小さなパラボラアンテナである。しかしながら、受信機パラボラアンテナ200は、必要なら地上に設置されるより大きなパラボラアンテナであってもよい。
【0013】
受信機パラボラアンテナ200は、通常、反射体のパラボラアンテナとフィードホーン・アッセンブリを用いてダウンリンク信号118を受信し、ワイヤ又は同軸ケーブルを介して受信機ステーション108へと導く。それぞれの受信機ステーションは専用のケーブルを有しており、このケーブルは受信機パラボラアンテナ200がマルチスイッチ(multiswitch)を介してダウンリンク信号118を選択的に受信機ステーション108へと導くことを可能とし、且つ受信機ステーション108がどの信号118が望ましいのかを決めることを可能とする。
【0014】
受信機ステーション108は、典型的には受信機パラボラアンテナ200、代替コンテンツソース202、受信機204、モニタ206、記録デバイス208、リモートコントロール210、及びアクセスカード212を含んでいる。受信機204は、チューナ214/復調器/FEC(前進型誤信号訂正:Forward Error Correction)デコーダ216、デジタル−アナログ(DA)コンバータ218、CPU220、クロック222、メモリ224、論理回路226、インターフェース228、IR受信器230とアクセスカードインターフェース232を含んでいる。受信機パラボラアンテナ200は、衛星106によって送られた信号118を受信し、この信号118を増幅してチューナ214に渡す。チューナ214及び復調器/FECデコーダ216は、CPU220の制御下で動作する。
【0015】
CPU220は、メモリ224又はCPU220内の補助メモリに記憶されたオペレーティングシステムの制御下で動作する。CPU220により実行される機能は、メモリ224内に記憶された1またはそれ以上の制御プログラム又はアプリケーションによって制御される。オペレーティングシステム及びアプリケーションは、これらがCPU220によって読み出されて実行される時に、受信機204に、本発明を実行及び/又は利用するために必要な機能及びステップを、一般的にはメモリ224内に記憶されたデータに対してアクセス又は操作を行うことにより実行させる、複数の命令で構成されている。このようなアプリケーションを実行する命令は、例えばメモリ224又はアクセスカード212のような、コンピュータ読み取り可能媒体に明白に具現化されている。CPU220はまた、インターフェース228又は受信機パラボラアンテナ200を介して他のデバイスと通信し、メモリ224の中に記憶されるコマンドや命令を受けとり、これによって本発明に従うコンピュータプログラムプロダクトすなわち製品(article of manufacture)を構成してもよい。そのようなものとして、本明細書で用いられたような「製品」、「プログラム記憶デバイス」、及び「コンピュータプログラムプロダクト」という用語は、コンピュータが読み取り可能な任意のデバイス又は媒体からCPU220によってアクセス可能な如何なるアプリケーションをも網羅することを意図している。
【0016】
メモリ224及びアクセスカード212は、例えば、受信機204が処理及び表示を生成することを許可されたチャンネルのリスト、受信機204が使われている地域に対する郵便番号及び市外局番、受信機204の型式名又は番号、受信機204のシリアル番号、アクセスカード212のシリアル番号、受信機204の所有者の氏名/住所/電話番号、並びに受信機204の製造者名などの、受信機204に対する多様なパラメータを記憶する。
【0017】
アクセスカード212は、受信機204から取り外し可能である(図2に示すように)。受信機204に挿入されたとき、アクセスカード212は、インターフェース228を介してカスタマサービスセンタ(図示せず)に通信する、アクセスカードインターフェース232に接続される。アクセスカード212は、ユーザの特有のアカウント情報に基づき、カスタマサービスセンタからアクセス許可情報を受信する。加えて、アクセスカード212及びカスタマサービスセンタは、サービスの課金及び注文に関してやり取りする。
【0018】
クロック222は、CPU220に現在の現地時間を提供する。インターフェース228は、受信機ステーション108の場所にあるテレフォンジャック234に接続されるのが好ましい。インターフェース228は、受信機204がテレフォンジャック234を介して図1に示すような送信ステーション102と通信することを可能にする。インターフェース228はまた、例えばインターネットのようなネットワークとの間でデータをやり取りするために用いてもよい。
【0019】
受信機パラボラアンテナ200からチューナ214へ送信される信号は、複数の変調されたRF(ラジオ周波数:Radio Frequency)信号である。その後、所望のRF信号は、チューナ214によりベースバンドへとダウンコンバートされる。チューナ214はまた、同相及び直交位相(I及びQ)信号も生成する。これらの2つの信号は、その後復調器/FEC特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)216に渡される。復調器/FEC216ASICは、それからI及びQ信号を復調し、FECデコーダが送信されたシンボルの各々を正しくに認識する。QPSK(四相位相変調:Quaternary Phase Shift Keying)又は8PSK信号に対する上記受信シンボルは、それぞれ2ビット、3ビットのデータビットを有している。この訂正されたシンボルは、データビットに変換され、次にペイロードデータバイトの中に組み込まれ、最終的にはデータパケットの中に組み込まれる。データパケットは、130データバイト又は188データバイト(187データバイト及び1同期用バイト)を有してもよい。
【0020】
受信機パラボラアンテナ200により受信された上記デジタル衛星信号に加え、テレビコンテンツの他のソースも同様に用いることが好ましい。例えば、代替コンテンツソース202は、モニタ206にさらなるテレビコンテンツを提供する。代替コンテンツソース202は、チューナ214に接続される。代替コンテンツソース202は、全国テレビジョン標準委員会(NTSC:National Television Standards Committee)信号の放送信号を受信するためのアンテナ、アメリカテレビジョン標準委員会(ATSC:American Television Standards Committee)信号を受信するためのケーブル、又は他のコンテンツソースであってもよい。1台だけの代替コンテンツソース202が示されているが、複数のソースを用いることができる。
【0021】
先ず、データが受信機204に入ると、CPU220は、当業界で一般にブートオブジェクト(Boot Object)と称される初期化用データを探す。ブートオブジェクトは、他のプログラムガイドオブジェクトすべてを見いだすことができる複数のSCIDを特定する。ブートオブジェクトはいつも同じSCID付きで転送されるので、CPU220はこのSCIDを付けたパケットを探さなければならないということが分かる。このブートオブジェクトからの上記情報は、番組ガイドデータのパケットを識別してこれらをメモリ224に導くために、CPU220によって用いられる。
【0022】
リモートコントロール210は、受信機204の中のIR受信機230により受信される、赤外線(IR)信号236を放射する。例えば(例としてであり且つ限定するものとしてではないが)、UHF(Ultra High Frequency)リモートコントロール、受信機204上のキーパッド、リモートキーパッド及びリモートマウスのような他のタイプのデータ入力デバイスを代わりに用いてもよい。ユーザが、リモートコントロール210上の「ガイド」ボタンを押すことにより、番組ガイドを表示することを要求すると、ガイド要求信号がIR受信機230により受信され論理回路226に送信される。論理回路226は、CPU220にこのガイド要求を知らせる。このガイド要求に応答して、CPU220はメモリ224に番組ガイドのデジタル画像をDAコンバータ218に転送させる。DAコンバータ218は、この番組ガイドのデジタル画像を標準のアナログテレビ信号に変換し、この信号がその後モニタ206に送信される。モニタ206は、次にテレビ映像及びオーディオ信号を表示する。モニタ206は、代わりにデジタルテレビでもよく、この場合は受信機204におけるデジタル−アナログ変換は不要である。
【0023】
ユーザは、リモートコントロール210を使用して上記電子番組ガイドと相互交流する。ユーザの相互交流の例としては、特定のチャンネルを選択することや追加のガイド情報を要求することが含まれる。ユーザがリモートコントロール210を用いて或るチャンネルを選択する場合、IR受信機230はこのユーザの選択を論理回路226に中継し、論理回路226はこの選択をその後メモリ224に渡し、このメモリにおいてCPU220が上記ユーザ選択をアクセスする。CPU220は、復調器/FECデコーダ216から受信したオーディオ、ビデオ、及び他のパケットに対するMPEG2/MPEG4復号化ステップを実行し、選択されたチャンネルに対するオーディオ及びビデオ信号をDAコンバータ218に出力する。DAコンバータ218は、このデジタル信号をアナログ信号に変換し、このアナログ信号をモニタ206に出力する。
【0024】
ここでは例としてテレビ放送システム100として示されている、このような通信システム100は、高品質送信に対する要求を受け入れてきたが、これはデジタル技術によって可能になった。上記パケット及び他のデータがアップリンクパラボラアンテナ104から受信機ステーション108に送信される時、他の受信機ステーション108に提供することを意図されたパケットの中のシンボル及びビットは、一般的に、衛星106から受信機ステーション108に同じ周波数で送信されるが、これは、この送信周波数が衛星106の制限により抑制されることと、利用可能な上記送信周波数が、周波数スペクトル内の特定の周波数で送信することに対する政府の認可により抑制されることによる。
【0025】
更に、データフレームは、互いに干渉する可能性があり且つ受信機ステーション108がモニタ206上に必要な信号をデコードして提供することができない可能性のあるやり方で符号化される。このような干渉は「コチャンネル(Co−channel)」干渉と呼ばれ、1つのチャンネルのデータが他のチャンネルのデータの受信及び復調と干渉するものである。実際のアプリケーションでは、このコチャンネル干渉は、他のシステム運用者の送信、隣接する軌道位置内で動作する衛星106、又はスポットビーム衛星放送システム100内の他のスポット送信ビームによっても生じ得る。
【0026】
通信システム100がより多くのデータを送信する(すなわち、衛星放送システム上に、モニタ206で見ることが出来るより多くの番号チャンネルがある)につれ、データ送信間の干渉は増加し、そのようなことから、信号受信の品質は悪影響を受ける可能性がある。
【0027】
上記の利用可能なスペクトルの最大限の利用を図るため、及び最小の干渉で数多くの異なる番組チャンネルを提供するため、RF送信は、別のコードとスクランブルされる。しかしながら、このコードを知らなければ、受信機ステーション108は、どの信号118を復号化するか判断することができず、従って、受信機ステーション108は信号118を正しく処理することができないであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
従って、復号化に対する事前の知識無しに且つ放送システム内に表示することなしに、適切に上記スクランブルコードを識別することができる当分野においてニーズが存在することを理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
従来技術の制限の最小化、及び本明細書を読んで理解すればすぐに明白になる他の制限を最小化するため、本発明は、通信システムにおいてデータストリームを取得及び復調するための方法と装置を開示する。本発明に従う方法は、前記データストリーム内の物理層フレーム(PLフレーム:Physical Layer Frame)の境界を見つけることと、前記データストリームに関連するユニークワード(UW:Unique Word)の最初の26ビットを見つけることと、前記UWを用いているスクランブルコード(Scrambling code)を見つけることと、前記データストリーム内の所望の信号に対して用いられる変調形式及びコードレートを割り出すための復号化手順を用いることとを備えている。
【0030】
このような方法は更に、前記データストリームは衛星からのダウンリンク信号であることと、前記スクランブルコードは更に前記データストリームのペイロード部分をスクランブルするために用いるゴールドコード(Gold code)を備えることと、前記PLフレームの境界を見つけることは更に前記PLフレームの粗い境界を見つけることを備えることと、前記PLフレームの境界を見つけることは更に前記PLフレームのフレーム先頭(SOF:Start of Frame)を見つけることを備えることと、前記SOFを見つけることはPLヘッダの最後のシンボルと前記PLヘッダの最初のシンボルの共役の積を正規化することを備えることと、前記UWの前記最初の26ビットを見つけることは、最初のシンボルが既知の位相を有することができるように、前記SOF後の前記データストリームの最初の26個のシンボルを正規化することを備えることと、及び、前記スクランブルコードを見つけることは前記UWに関連する前記スクランブルコードを調べることを備えること、とを選択的に含んでいる。
【0031】
本発明に従う装置は、通信システムの中で送信されるデータストリームの取得及び復調する装置であって、前記データストリーム内の物理層フレームの境界を見つけるための、且つ前記データストリームに関連するユニークワードの最初の26ビットを見つけるための復調器と、前記復調器に接続されており、前記ユニークワードを利用しているスクランブルコードを見つけるためのデスクランブラと、前記デスクランブラに接続されており、前記データストリーム内の所望の信号に対して用いられる変調形式及びコードレートの割り出しと前記データストリームの復号化を行うためのデコーダとを備えている。
【0032】
そのような装置は更に、前記データストリームは衛星からのダウンリンク信号であることと、前記スクランブルコードは更に前記データストリームのペイロード部分をスクランブルするために用いるゴールドコード(Gold code)を備えることと、前記物理層フレームの境界を見つけることは更に前記物理層フレームの粗い境界を見つけることを備えることと、前記物理層フレームの境界を見つけることは更に前記物理層フレームのフレーム先頭を見つけることを備えることと、前記フレーム先頭を見つけることは物理層ヘッダの最後のシンボルと前記物理層ヘッダの最初のシンボルの共役の積を正規化することを備えることと、前記ユニークワードの前記最初の26ビットを見つけることは、最初のシンボルが既知の位相を有することができるように、前記フレーム先頭後の前記データストリームの最初の26個のシンボルを正規化することを備えることと、及び、スクランブルコードを見つけることは前記ユニークワードに関連する前記スクランブルコードを調べることを備えること、とを選択的に含んでいる。
【0033】
本発明に従う他のシステム実施形態は、データストリームを送信及び受信するシステムであって、且つ、送信機を備え、前記送信機は更にエンコーダを備え、前記エンコーダは前記データストリームを受け取り且つ物理層ヘッダ及びペイロード部分を含む前記データストリームの符号化バージョンを生成し、前記エンコーダに接続されており、前記データストリームの前記符号化バージョンを受け取るための、且つ前記データストリームのスクランブル化バージョンを作り出すためのスクランブラを備え、前記エンコーダに接続されており、前記データストリームの前記スクランブル化バージョンをキャリア上に変調するための変調器を備え、及び受信機を備え、前記受信機は更に、前記データストリームの前記スクランブル化バージョン内の物理層フレームの境界を見つけるための、且つ前記データストリームの前記スクランブル化バージョンに関連するユニークワードの最初の26ビットを見つけるための復調器と、前記復調器に接続されており、前記ユニークワードを利用している前記データストリームの前記スクランブル化バージョンにスクランブルコードを適用して前記データストリームの符号化バージョンを再度作り出すためのデスクランブラと、前記デスクランブラに接続されており、変調形式とコードレートを用いて前記データストリームの前記符号化バージョンを復号化するためのデコーダとを備えており、前記デコーダは前記データストリーム内の所望の信号を抽出する。
【0034】
上記システムは更に、前記データストリームの前記符号化バージョンをスクランブルすることを状況に応じて含み、前記スクランブルすることは前記データストリームの前記符号化バージョンの前記ペイロード部分のみをスクランブルし、前記データストリームは衛星からのダウンリンク信号であり、前記スクランブルコードは更に前記データストリームのペイロード部分をスクランブルするために用いられるゴールドコードを備えている。
【0035】
本発明の更なる他の態様、機能、及び利点が、請求及び開示されるこのシステム及び方法に内在しており、あるいは、以下の詳細記述及び図面から明白となるであろう。この詳細記述及び図面は単に、本発明の特定の実施形態及び実施を例示しているが、本発明はまた他の且つ異なる実施形態も可能であり、また本発明の細部のいくつかは、全て本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の観点で変更することができる。従って、上記図面及び記述は、事実上、例示的且つ本発明を限定しないものとしてみなされるべきである。
【0036】
本発明は、添付の図面の図表の中で例として且つ限定しないものとして説明され、この中では同様の参照番号は同様の要素を参照している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下の説明では、本明細書の一部を成す添付の図面が参照され、これら図面は、例示するものとして、本発明のいくつかの実施形態を示している。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いることができ、また構造的な変更をすることができる、ということは当然である。
【0038】
(概説)
本発明では、デジタルデータは信号114、衛星106、及び信号118を介して、送信ステーション102から送信される。このデジタルデータは3つの主要コンポーネント、つまり、物理層ヘッダ又はPLヘッダと呼ばれるデータフレームのヘッダ部と、ペイロードデータと、及び、選択的に、受信機ステーション108内での劣化(主に位相ノイズ)による悪影響を緩和するために受信機ステーション108により用いられる、パイロットシンボルと呼ばれる付加的に挿入されるシンボルと、を含んでいる。PLヘッダを用いることにより、復調器/FECデコーダ216は、毎データフレームの最初において迅速に正しい位相と周波数を得ることができる。多くの8PSK及びQPSK送信モードに対しては、パイロットシンボルは位相ノイズの中の信号をより正確に追跡するためにも必要である。しかしながら、所望の信号に対するPLヘッダと、干渉する同一周波数信号がタイミングを合わせて整列する特定の場合には、この干渉が非常に大きいので復調器/FECデコーダ216は、この所望の信号に関連するキャリア周波数の位相を必要な正確さで決定することができない。これは、復調器/FECデコーダ216がこの所望の信号に対してフェーズロックを維持しようとしている時に、好ましくない信号が同じヘッダシンボル又はパイロットシンボルを提供し、復調器/FECデコーダ216がこの好ましくない信号の存在によって混乱し、その結果、所望の信号の位相を追跡できない可能性があるということを意味する。このような復調器/FECデコーダ216の混乱は、復調器/FECデコーダ216を所望の信号から「プルオフ(pulled off)」させたこととして、従来技術では知られている。復調器/FECデコーダ216が、QPSK送信に対し最適のコンステレーションポイント(constellation point)から45度引っ張られた場合、復調器は正しくシンボルを認識しないであろう。これは、エラーを導き、早急に修正されなければ、このデータエラーはロックの損失として識別されるであろう。これは次に、CPU220が復調器/FECデコーダ216にこの信号を再取得するように命令する結果となり、この所望の信号が再取得されるまでは、データの喪失となる。このようなデータの喪失によって、モニタ206に不正確なデータが提供されるかもしれず、また場合によっては、視聴者が見るときにモニタ206上のサービスの中断をもたらすかもしれない。コチャンネル干渉は、視聴者に、モニタ206上の動作や会話を伴う所望のテレビチャンネルを見せるどころか、真っ暗な画面に劣化したモニタを見させるか、又は不明瞭な画像を見させるか、又は不明瞭な音声を聞かせるかもしれない。
【0039】
本発明は、ダウンリンク信号118の最初の捕捉の問題に関する。復調器/FECデコーダ216が、LDPC(Low−Density−Parity−Check)コード及びBCHコードを用いる新規のDVBS2仕様に基づく変調及びFEC(forward error correction:前進型誤信号訂正)方式を使って符号化される、ダウンリンク信号118をデコードするための適切な情報をもっていない場合は、復調器/FECデコーダ216は、信号118を復調しデコードすることができないであろう。
【0040】
従来のアプリケーションは、それ自体共通の周波数干渉に関係しており、これは実に−14dBcほどの低いレベルであったとはいえ、復調器/FECデコーダに晴天の条件下で間欠的なデータ喪失をもたらす可能性があった。この問題に対応するため、従来の特許出願は、如何なる2つのDVBS2送信も充分に異なることを確実にする、スクランブル技術に言及している。上記データフレームは、3つの部分、つまり物理層ヘッダ(PLヘッダ)、ペイロード部、及びパイロットシンボル、からなっている。これらの従来の出願には、PLヘッダのための1つのスクランブルコード(ユニークワードと称する)と、ペイロード及びパイロット部のためのもう1つのコード(ゴールドコード)の使用が記載されている。現在では、およそ1000対のユニークワード及びゴールドコードが利用可能であり、1対のコードがそれぞれのダウンリンク信号118とともに用いられる。
【0041】
しかしながら、これらの従来の発明は、一つとして信号118の不適切な取得と関連しているものはない。IRDs108中の現在の復調器/FECデコーダ216ASICは、ユニークワード及びゴールドコードを含む、DVBS2通信をデコードするための特定の情報を有する必要がある。如何なる理由かにより、ユニークワード又はゴールドコードが利用できないか又は正しくない場合は、信号118をデコードすることは出来ない。
【0042】
本発明は、スクランブルされたDVBS2通信を殆どブラインド状態で取得するための、方法、装置、及び製品を提供する。本発明は、ユニークワード及びゴールドコードを、(1)使用される可能性のある見込みユニークワード及びゴールドコードについての事前知識、(2)中心周波数、及び(3)この通信のシンボルレート、のみを用いて決定する方法を提供する。コンピュータシミュレーションの結果、この開示の中で記載された手順は、新たな復調器/FECデコーダASIC内のユニークワード及びゴールドコードを、この信号が検出されない現在の状態と比較すると、1秒未満で識別することに用いることができるということがわかった。
【0043】
上記スクランブルコードをブラインド取得しないのであれば、IRD受信器は正しいスクランブルコードを有していなければならず、さもなければ信号はデコードされない。本発明は、不正確な又は欠落したスクランブルコードを用いることによる取得不具合を避けるための、コンピュータ的に効率的な方法を提供する。
【0044】
(システム概要)
放送アプリケーションの中では、連続モード受信機ステーション108が広く用いられている。低信号対雑音(SNR)環境で良好に機能するスクランブルコード及びエラー訂正回路は、同期(例えば、キャリア位相及びキャリア周波数)に関しては、これらの受信機ステーション108とは対立する。物理層ヘッダ及び/又はパイロットシンボルを、このような同期に用いることができる。従って、システム性能に関する重要な考察の1つは、物理層ヘッダ及び/又はパイロットシンボル上のコチャンネル干渉についてのものである。物理層ヘッダ及びパイロットは、キャリア位相及びキャリア周波数の取得及び/又は追跡に用いられることから、このような干渉は受信器の性能を劣化させる可能性がある。
【0045】
多くのデジタル放送システム100は、これらの同期プロセスのためのフレーム構造内に、通常のオーバヘッドビットを超える追加のトレーニング用シンボルを用いている。このオーバヘッドの増加は、信号対雑音(SNR)が必要なレベルに比較して低く、且つ、組み合わせ又は単独で、位相ノイズが高い場合に特に要求され、このような環境は高性能なコードが高次変調と連動して用いられるときによくある。伝統的に、連続モード受信器は、キャリア周波数及び位相の取得と追跡をするためにフイードバック制御ループを利用している。単にフイードバック制御ループに基づくこのようなアプローチは、強いRF(Radio Frequency)位相ノイズ及び温度ノイズを起こしがちであり、高いサイクルスリップ(cycle slip)率及び高いエラーフロア(error floor)を受信器性能全体に対して引き起こす。従って、これらのアプローチは、捕捉範囲の制限及び捕捉時間の長さに加え、特定の性能目標に対するトレーニングシンボルの観点でのオーバヘッドの増加に苦しむ。更に、これらの従来の同期技術は、特定の変調スキームに依存しており、そのため変調スキームの利用における柔軟性を妨げる。
【0046】
デジタル放送システム100の中では、通常、受信機108が、プリアンブル、ヘッダ、及び/又は放送データフレーム構造(図4Aに示す)の中に組み込まれた固有のスクランブルコード又は固有のユニークワード(UW)を調べることにより、キャリア同期を実現し、これによりトレーニング目的のために特別に指定された追加のオーバヘッドの利用を低減することができる。
【0047】
このような個別のデジタル放送システム100の中で、送信ファシリティ102は、メディアコンテンツ(例えば、オーディオ、ビデオ、テキスト情報、データ等)を意味する予定のメッセージの個別の1式を生成し、この予定のメッセージのそれぞれは、対応する信号波形を有している。これらの信号波形は、通信チャンネル116及び118によって、減衰されるか、そうでなければ変更される。放送チャンネル116及び118内のノイズに対抗するため、送信ファシリティ102は、低密度パリティ検査(LDPC)コードのような前進型誤信号訂正(FEC)コード、又は異なるFECコードを連結したものを、利用する。
【0048】
送信ファシリティ102により生成されるLDPC又は他のFECコード(又は複数のコード)は、如何なる性能劣化も招くことなく、高速な実行を容易にする。送信ファシリティ102から出力されるこれらの構造化されたLDPCコードは、変調スキーム(例えば、8PSK)のおかげで、既にチャンネルエラーに対して脆弱になっているビットノードに、少数のチェックノードを割り当てることを回避する。このようなLDPCコードは、並列処理可能なデコードプロセスを有し(ターボコードとは違って)ており、これは加算、比較、及びテーブルルックアップなどの、単純な動作を好都合にも含んでいる。その上、注意深くLDPCコードを設計すれば、例えばSN比が増加したとしてもエラーの減少が見られないなどの、浅いエラーフロア(shallow error floor)、は示さない。エラーフロアが存在することになったとしても、BCH(Bose/Chaudhuri/Hocquenghem)コードのような他のコードを用いてこのようなエラーフロアを著しく抑制することができるであろう。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、送信ファシリティ102は、以下に図2の中で説明されるような比較的簡単な符号化技術を用いてスクランブルコードを生成し、これらのスクランブルコードはこれらのコチャンネル干渉に対抗する能力に基づき生成される。
【0050】
(送信器機能)
図3Aは、図1のデジタル放送システム100のデジタル送信ファシリティの中に採用されている典型的な送信器の図である。送信ファシリティ102内の送信器300が、入力ソース110から入力を受け取り且つ受信機ステーション108におけるエラー訂正処理に適するより高冗長の符号化ストリームを出力する、LDPC/BCHエンコーダ302を備えている。入力ソース110は、入力Xから信号kを生成する。LDPCコードは、パリティチェックマトリックスを用いて指定される。LDPCコードを符号化するには、一般に生成マトリックスを指定する必要がある。BCHコードは、デジタル放送システム100のエラーフロアを低減するために含まれ、これによりエラー訂正能力が向上する。
【0051】
LDPC/BCHエンコーダ302は、パリティチェックマトリックスのみを用いる単純な符号化技術を用いて、前記パリティチェックマトリックスの上に構成を与えることにより、前記スクランブラ304及び変調器306に対して信号Yを生成する。厳密に言うと、前記マトリックスの特定の部分が三角形になるように制約することにより、このパリティチェックマトリックス上に制約が置かれる。このような制約により、結果的に計算効率が高くなり、一方で性能劣化は無視できるほどであり、従って、魅力的なトレードオフが構成される。
【0052】
スクランブラ304は、本発明に従ってFECで符号化されたシンボルをスクランブルし、以下で充分に説明するように、コチャンネル干渉を最小化する。
【0053】
変調器306は、スクランブラ304出力からのスクランブルされたメッセージを送信アンテナ104に送信される信号波形にマッピングし、送信アンテナ104は通信チャンネル116を通してこれらの波形を放射する。送信アンテナ104からのこの送信は、以下で論ずるように復調器に伝播する。衛星通信システムの場合は、送信アンテナ104から送信される信号は、図1に示すように衛星を介して受信機ステーション108に中継される。
【0054】
(復調器)
図3Bは、図2のシステムの中の典型的な復調器/FECデコーダ216の図である。復調器/FECデコーダ216は、復調器308、キャリア同期モジュール/デスクランブラ310、及びLDPC/BCHデコーダ312を備え、受信機パラボラアンテナ200を介しての送信器300からの信号の受信を支援する。本発明の一実施形態によれば、復調器308は、受信機パラボラアンテナ200から受信したLDPC符号化された信号のフィルタリング及びシンボルタイミング同期を提供し、またキャリア同期モジュール/デスクランブラ310は、フレーム同期、周波数と位相の取得、及び復調器308から出力される信号の追跡とスクランブルの解除を行う。復調の後、これら信号はLDPC/BCHデコーダ312に送られ、LDPC/BCHデコーダ312はメッセージX’を生成することにより元のソースメッセージの再構築を試みる。
【0055】
受信側に関しては、所望のキャリアと干渉キャリアが同じ復調及び符号化構成(又はモード)を使っている場合、フレームヘッダ(図4Aに示す)同士がちょうど同じタイミングで並んで同時にこれらの相対的周波数オフセットが小さいとき、この干渉は復調器のための位相推定に重大な誤りをもたらす。結果的に復調器は、この信号フレームと干渉フレームが同じタイミングで並んだ時に、周期的にエラーを生み出す可能性がある。この状況は、問題になっているこれら信号の周波数及びシンボルクロックが充分に接近しているときに起こる(これらの信号は、互いに対してドリフトしているのかもしれないが)。
【0056】
(フレーム構造)
図4Aは、本発明のシステムの中で用いられる典型的なフレーム構造の図である。一例として、例えば衛星放送及び双方向サービスをサポートすることができる、LDPC符号化フレーム400が示されている。LDPC符号化フレーム400は、物理層ヘッダ(「PLヘッダ」と表示される)401を含んで1スロットを占め、同様にデータ又は他のペイロードのための他のスロット403を占めている。加えて、LDPC符号化フレーム400は、本発明の一実施形態によれば、毎16スロット後にキャリア位相及び周波数の同期を助けるためのパイロットブロック405を使用している。パイロットブロック405は選択的であることを書き留めておく。パイロットブロック(すなわちパイロットシーケンス)405(これは、スクランブルされたブロックを示す可能性がある)は、16個のスロットの403の後に示されてはいるが、LDPC符号化フレーム400の間のどこにでも挿入することができる。
【0057】
典型的な一実施形態では、このパイロット挿入プロセスは、パイロットブロックを1440シンボル毎に挿入する。このシナリオの下では、上記パイロットブロックは36のパイロットシンボルを含んでいる。例えば、物理層フレーム400の中で、最初のパイロットブロックがこのようにPLヘッダ401の先頭から1440個のペイロードシンボル後に挿入され、第2のパイロットブロックは2880ペイロード信号後に挿入される等である。パイロットブロック位置が次のPLヘッダ401の先頭と一致する場合は、パイロットブロック405は挿入されない。
【0058】
本発明の一実施形態によるキャリア同期モジュール310(図3)は、PLヘッダ401及び/又はパイロットブロック405をキャリア周波数及び位相の同期のために利用する。PLヘッダ401及び/又はパイロットブロック405は、キャリア同期、すなわち周波数取得及び追跡動作並びに位相追跡ループの動作を支援するために用いることができる。そのようなものとして、PLヘッダ401及びパイロットブロック405は、「トレーニング」すなわち「パイロット」シンボルとしてみなされ、個別的に又は集合的に、トレーニングブロックを構成する。
【0059】
各PLヘッダ401は、通常、26個のシンボルを備えるフレーム始端(SOF:Start Of Frame)部、及び64個のシンボルを備えるPLSコードフィールド(Physical Layer Signaling Code field)を備えている。通常、このSOF部は、これ以上スクランブルされることなく送信される全ての信号に対する、全てのPLヘッダ401に対して同じである。
【0060】
QPSK、8PSK、及び他の変調に対して、パイロットシーケンス405は、36シンボル長のセグメント(各シンボルは
【数1】

【0061】
)である。物理層フレーム400の中で、パイロットシーケンス405は、1440個のデータシンボルの後に挿入することができる。このシナリオの下では、PLヘッダ401は変調、符号化、及びパイロット構成に応じて、64の利用可能なフォーマットを有することができる。
【0062】
干渉キャリア及び所望のキャリア(すなわちコチャンネル同士)のPLヘッダ401が、タイミング的に並んだとき、干渉PLヘッダ401からの干渉性の寄与により著しい位相エラーを導き、受入れがたい性能の劣化をもたらす可能性がある。同様に、双方のコチャンネルがパイロットシンボルを(双方が、パイロットブロック405に対して同じゴールドコードシーケンスを用いて)使うと、パイロットブロック405は全く同じようにスクランブルされ、干渉キャリア(すなわちコチャンネル)内のパイロットブロックの干渉性の寄与は依然として問題になるであろう。
【0063】
コチャンネル干渉の影響を緩和するため、物理層フレーム400はパイロットモードでスクランブルされる。一般的に、このモードでは、非ヘッダ部407はこの送信器に固有のゴールドコードシーケンスを用いてスクランブルされる。しかしながら、放送モードでは、パイロットブロック405を含む物理層フレーム400全体は、例えば、全ての受信機108が同じゴールドコードシーケンスを提供されるように、共通のコードを用いてスクランブルされる。
【0064】
(PLヘッダへの異なるスクランブルコードの適用)
図4Bに見られるように、コチャンネル干渉の影響を低減するため、PLヘッダ401と同じ長さのいくつかの異なるユニークワード(UW)パターンを、それぞれのコチャンネルに対しPLヘッダ401をスクランブルするために利用することができる。例えば、異なるUWパターン411、413とPLヘッダ401との排他的論理和(XOR論理409を通じて)を、所望のキャリア及び干渉キャリア(すなわちコチャンネル同士)に対して実行することができる。このアプローチの下では、干渉キャリアのPLヘッダ401に関連するパワーが、所望のキャリアのPLヘッダ401にもはや干渉的に加わることはない。
【0065】
物理層フレーム400は、衛星放送及び双方向サービスに対応する(且つ、DVB(Digital Video Broadcast)−S2標準に準拠する)構造に関して説明されたが、本発明のキャリア同期技術は他のフレーム構造に適用することができるということが分かる。
【0066】
更に、個別のPLヘッダ401は、物理層フレーム400にPLヘッダ401を付加する前にスクランブルすることができ、また個別のPLヘッダ401は他のPLヘッダ401をスクランブルすることなしでスクランブルすることができる。本発明は、2つの物理層フレーム400間の予期されるコチャンネル干渉に基づいて、スクランブルコード(又はスクランブルコードを生成するシーズ(seeds))を選択すること、又は代替的に、スクランブルコードを選択しないことを想定する。PLヘッダは、再度述べるが、図5に示すように、物理層フレーム400のスクランブル処理の一部としてスクランブルされるか、そうでなければ、暗号化スキーマを用いて暗号化される。
【0067】
PLヘッダ401をスクランブルするために用いられるコード411及び413は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されるようなゴールドコード、他の、シーズから生成されたコード(seeded codes)、又は他のコーディングスキームとすることができる。このようなコード又はこのようなコードのためのシーズは、限定された数のコード又はシーズから選択することができる。また、これらのコード又はシーズは、物理層フレーム400を変調及びデスクランブルするための物理層フレーム400のデスクランブル処理の中で用いるために、受信機ステーション108に送ることができる。この限定された数のコード又はシーズは、衛星32の数又は通信システム100内の予期されるコチャンネル干渉の数を含む、多数の因子に基づき選択することができる。
【0068】
(コチャンネルスクランブル処理)
図5は、本発明の一実施形態に基づく、コチャンネル干渉を隔離するためのシーケンススクランブラの図である。スクランブルコードは、本発明の一実施形態に従ってゴールドコードから構成することができる、複雑なシーケンスである。すなわち、スクランブラ304がスクランブルシーケンスRn(i)を生成する。表1は、図5のこのスクランブラシーケンス生成部に従って、どのようにスクランブルシーケンスRn(i)がスクランブラ304を用いてフレームをスクランブルするかを定義している。具体的には、表1は、スクランブラ304の出力に基づく入力シンボルの出力シンボルへのマッピングを示す。
【表1】

【0069】
このような2つのm−シーケンス生成部のそれぞれに対する異なるシーズを用いることにより、異なるゴールドシーケンスを生成することができる。異なるサービスに対し異なるシーズ500を用いることにより、相互干渉を低減することができる。
【0070】
放送モードでは、シンボル90個の物理層ヘッダ401は、特定の物理チャンネルに対して一定を維持する。ゴールドシーケンスは、各フレームの最初でリセットされ、従って、スクランブルされたパイロットは、フレーム長に等しい間隔と同じ周期性をもつ。フレーム内の情報を運ぶデータは、変化し且つランダムと思われることから、コチャンネル干渉はランダムであり、動作中のSNRを劣化させる。このスキームを使うことなしには、元のPLヘッダ401及びパイロットブロック405の時間的不変性という性格のため、このような取得及び追跡をするためのパイロット及び物理層ヘッダによって、受信器にとってはキャリア及び位相の推定が歪められることになる。これは、ランダムデータに関連するSNR劣化によるものを超えて性能を劣化させる。
【0071】
スクランブラ304は、別のスクランブルシーケンス(図5のn)を用い、更にコチャンネル干渉を隔離する。1つのスクランブルシーケンスがPLヘッダに対して準備され、もう1つがパイロットに対して準備される。異なるパイロットが、異なるシーズに関してゴールドシーケンスのn値から指定される。
【0072】
そのようなものとして、本発明は、コチャンネル干渉緩和のために、PLヘッダ401、パイロットブロック405、及びペイロード403のいくつかの組み合わせに対する、別々のスクランブルを予期されている。システムの複雑さにもよるが、所与のチャンネルに対するPLヘッダ401及びパイロットブロック405(存在する場合)は、ペイロード403をスクランブルすることなしに、コチャンネルとは違うコードを用いてスクランブルすることができる。要するに、1つのチャンネル400内の全ての非「ペイロード403」シンボルは、1つのコードを用いてスクランブルされ、他のチャンネル400内の全ての非ペイロード403シンボルは別のコードを用いてスクランブルされる。
【0073】
更に、2つの別なチャンネルに対するPLヘッダ401及びパイロットブロック405(存在する場合)は、別のスクランブルコードを用いてスクランブルすることができ、また、これらのチャンネルに対するペイロード403は、他のコードを用いてスクランブルすることができる。例えば、第1のスクランブルシーケンスを第1のPLヘッダ401に適用することができ、第2のスクランブルシーケンスを第2のPLヘッダ401に適用することができる。第1のペイロード403及びパイロットブロック405には、第3のスクランブルシーケンスが適用され(典型的にはゴールドコード)、また、第2のペイロード及びパイロットブロック405には、第4のスクランブルシーケンスが適用される(これも通常はゴールドコード)。
【0074】
本発明の中ではまた、PLヘッダ401及びペイロード403並びにパイロットブロック405に対する、対になった2つのコードを用いるシステムがあり得るということも、予期されている。従って、PLヘッダ401に対して用いられる所与の1つのスクランブルコードは、ペイロード403及びパイロットブロック405をスクランブルするために用いる1つのスクランブルコードと常に一緒に用いられる。これらのコードの対は、如何なる信号400にも適用することができ、また、1つの信号400から他の信号400へと必要に応じ再割り当てすることができる。
【0075】
本発明の範囲の中ではまた、通信システム100内の各ペイロード403及びパイロットブロック405信号が、1つの固有のスクランブルコードを受け入れることも意図されている。更に、各PLヘッダ401は、1つの固有のスクランブルコードを受け入れることができ、この固有のスクランブルコードを、必要に応じペイロード403及びパイロットブロック405に対するスクランブルコードと対にすることができる。
【0076】
所与の信号400に対する単一のスクランブルシーケンスとして説明したが、本発明はまた、スクランブルシーケンスを、所与の数のフレームが送信された後に変更又はローテーションさせることも意図している。これらの、PLヘッダ401、ペイロード403並びにパイロットブロック405、又は双方に対するスクランブルシーケンスは、必要に応じランダムベース又は周期ベースで、本発明の範囲から逸脱することなく、ローテーションすることができる。
【0077】
(特定の順番/組み合わせでのコードの適用)
図4A及び4Bに示すように、ゴールドシーケンスシーズ500(これは、ペイロード403とパイロットブロック405のスクランブルに用いられる)及びヘッダスクランブルコード411、413(PLヘッダ401のスクランブルに用いられる)が、それぞれの信号に適用される。しかしながら、所定のゴールドシーケンスシーズ500は、所定のヘッダスクランブルコード411とは必ずしもうまくは動かない。最適なゴールドシーケンスシーズ500とPLヘッダスクランブルコード411の組み合わせが選択されてテストが行われ、この選択されたゴールドシーケンスシーズ500/ヘッダスクランブルコード411の組み合わせが、他のゴールドシーケンスシーズ500/ヘッダスクランブルコード411の対と干渉しないことが確実にされる。
【0078】
これらの対(所定のチャンネルに適用されるゴールドシーケンスシーズ500/ヘッダスクランブルコード411)が、通信システム100内の他の全ての対と共に適切に動作するために、それぞれの対は、起こり得るコチャンネル干渉について他の全ての対に対してチェックされる。1000チャンネルが放送されるのであれば、1000対のゴールドシーケンスシーズ500/ヘッダスクランブルコード411が生成されチェックされる必要がある。
【0079】
(シーズの生成)
それぞれのゴールドシーケンスシーズ500が、最初に、ヘッダスクランブルコード411とは独立に生成される。各対は、AMC(Advanced Modulation and Coding)スクランブルコードと時折呼ばれ、簡単に参照する手段としてAMCコード番号が与えられる。例えば、限定するものではないが、AMCコード1はゴールドシーケンスシーズ500(ここではシーズは「00」)とヘッダスクランブルコード411(ここではヘッダコードは「01」コード)の組み合わせとすることができる。AMCコード2は、別のゴールドシーケンスシーズ500と別のヘッダスクランブルコード411の組み合わせであろう。送信器300及び復調器308には、その後衛星106の各中継器に対するAMCコード番号がプログラムされ、復調器308が、どのAMCコードが所定の信号に対する同調と復調のために適合するのかが「分かる」ようにする。
【0080】
DVB−S2放送標準からのデフォルトのシーズを採用するなどの所望のスキームを用いて、先ず、第1のシーズ(これは、各信号に対するゴールドスクランブルシーケンスに帰着する)を選択する。第2の候補ゴールドシーケンスシーズ500が、ゴールドシーケンスシーズのプールの残りから選択され、パイロットシンボルを用いるDVBS−2送信モードを用いて実行される時に、第1のシーズに対するこの候補ゴールドシーケンスシーズの相互相関が計算される。この第2の候補シーズは、これの第1のシーズとの相互相関の全てが全てのパイロットオフセットに対して既定の閾値を下回る場合のみ保持され、さもなければ他の候補がこの第2のシーズのために残りのシーズプールから選択され、この第2のシーズが選択されるまでこの処理は続く。第3の候補シーズは、その後選択され、この第3の候補シーズを用いてスクランブルされる第3の送信に対する、この第3の候補シーズの前の2つの送信との間の相互相関が計算される。第3のシーズは、これの第1及び第2のシーズとの相互相関が全てのパイロットオフセットに対して前記閾値を下回るなどの場合のみ選択される。この処理は、必要な数のシーズが特定されるまで続く。このようにして、全て選択されたゴールドシーケンスが、互いに対して前記既定の閾値を下回る相互相関を有することになり、これは、これらのシーズを用いる送信は互いに強い相関を有することは無く、従って有害な干渉は互いに最小限しかもたらさないということを指し示している。上記閾値は、通信システム100を構築するために用いられるコンポーネント内でのチャンネルの分離が可能だと仮定すれば、コチャンネル干渉に対しての最悪シナリオとして選択される。これらのゴールドシーケンスシーズ500のサブセットを、例えば、ブートストラップローダ(BSL:Boot Strap Loader)又は他の目的に用いるなどの、通信システム100の特定の部分のために保存しておくことができる。これらのシーズ500シーケンスのサブセットらが比較されるときに、これらのゴールドシーケンスシーズは性能によりランク付けされ、最良のシーズ500は最悪のシーズ500よりも高く格付けされ、従って、ゴールドシーケンスシーズ500の格付け順位を作り出すことができる。
【0081】
(コード対のブラインド取得)
通常、復調器216は、所定のダウンリンク信号118上で提供される、ゴールドシーケンスシーズ500/ヘッダスクランブルコード411の組み合わせについての情報を有しており、ダウンリンク信号118は適切に復調、デコード、及びモニタ206上に表示される。しかしながら、受信機ステーション108内にある上記コード知識がダウンリンク信号118に用いられているコードと一致せず、そのためダウンリンク信号118が取得されないときがある。
【0082】
本発明は、メモリ224とCPU220、及び必要に応じクロック222を用い、信号118を符号化するために用いる全てのコード組み合わせについての情報をメモリ224に記憶し、このコードの組み合わせに対し、正確に取得できないか又は特定の時間間隔内に取得できないかどうかを順に調べることにより、信号118が取得されたかどうかを判断する。
【0083】
以下の議論で用いられる、いくつかの基礎的な因子がある。
【0084】
DIRECTVモードに対する物理層フレームのシンボル長は、32490、32282、21690、又は22194である。
【0085】
現在のスクランブルコードは、ユニークワードの最初の26ビットにより(UWの最初の26ビットの微分された25ビットによってさえ)一意的に識別でき、1000+16個の全ての利用可能なユニークワードを比較すると、UWの最初の26ビットについての微分ビットの1016個の間の最小ハミング距離は、2である。
【0086】
時間的なリカバリは、AMCモード情報なしでも実行でき、周波数オフセットは、一部の周知のアルゴリズムにより1MHzまで低減することができる。
【0087】
(プロセスフロー)
図6は、本発明のプロセスフローを例示している。
【0088】
ボックス600は、データストリーム内の物理層フレーム(PLフレーム)の境界を見つけることを例示している。
【0089】
ボックス602は、ユニークワード(UW)の最初の26ビットを見つけることを例示している。
【0090】
ボックス604は、UW及びゴールドシーケンス、すなわちスクランブルコード全体を見つけることを例示している。
【0091】
ボックス606は、復号化手順を用いて、所望の信号に対する変調タイプ及びコードレートを割り出すことを例示している。
【0092】
(物理層フレームの境界の検出)
各物理層フレーム400がスクランブルコードによりスクランブルされたとしても、PLヘッダ401は、それぞれのフレームに対して常に同じ(変調又はコーディングパラメータが変わらない限り)であり、スクランブル後であっても依然として同じである。この情報は、物理層フレーム400の境界を識別するために用いることができる。
【0093】
粗い境界を識別するために、フレーム長が前記の4つの可能なケースから選ばれる(例えば、Lとする)。最初のシンボルから始まって、相互相関が或る連続するシンボル(例えば、90シンボル:これは変調及びBBヘッダ情報に基づいて変わってもよい)と、Lシンボルだけ遅れる90シンボルとの間で実行される。このプロセスは、全Lシンボルに対してやり通される。相互相関が絶対値を取る場合は、正しい物理層フレーム400の開始地点はピーク位置のそばにあるであろう。シンボルの不確実範囲は、約[−35、35]すなわち約71シンボルであってもよい。
【0094】
実際のフレーム境界を識別するために、上記不確実範囲(例えば、全体で71)の内で、PLヘッダ401(90シンボル)が固定されているという上記情報が再び用いられる。{s1、s2、・・・s90}が、PLヘッダ401を備えている信号だとすると、s90conj(s1)は、固定又はゆっくりと変化する、周波数オフセット及び位相ノイズに対しては固定値であろう。そして、s90conj(s1)が、振幅が1になるように、すなわち位相が変わらないように正規化される。次に、上記不確実範囲内のフレーム始端のそれぞれに対し、正規化されたいくつかの物理層フレーム400(例えば、50物理層フレーム400)に対するs90conj(s1)の平均を取る。平均の中でも、最大ピーク振幅が選択される。これが、正確なPLフレームの始端(SOF)である。BBヘッダの影響を考慮する場合には、この閾値メソッドを用いてSOFを識別することができる。
【0095】
上記パイロットが所望のキャリア信号118の中に含まれる場合には、パイロットはそれぞれのPLフレームに対して固定であるという情報を用いて、より迅速にSOF境界を識別することができるということに留意されたい。
【0096】
(UWの最初の26ビットの検出)
一旦正確な物理層フレーム400の境界が検出されると、PLヘッダ401の最初の26ビットは変調、コードレート、パイロット、又はパイロットの不使用、には依存しないという情報が、ユニークワード411の最初の26ビットを識別するために用いられる。一旦ユニークワード411の最初の26ビットが識別されると、通常メモリ224の中に常駐している利用可能なスクランブルコードのテーブルが検索され、スクランブルコード(ユニークワード411及びゴールドコード500の双方)が識別される。
【0097】
フレームの先頭すなわちSOFが一旦割り出されると、ユニークワード411の最初の26ビットを検出するために、不確かな位相及び周波数を伴う各SOFに対し、最初のシンボルが常に既知の1つの位相を有するように最初の26信号を正規化する。次に、特定の時間間隔の間の26シンボルのそれぞれの平均をとり(例えば、100物理層フレーム400)、26の平均されたシンボルを得る。平均されたシンボルを、{t1、・・・、t26}とし、スクランブル無しのPLヘッダ401の最初の26シンボルを{h1、・・・、h26}とすると、{t1、・・・、t26}を{h1、・・・、h26}によりローテートバック(rotate back)し、新たなシーケンス{a1、・・・a26}を得る。ここでi=1、・・・、26に対しai=ti/hiである。さて、シーケンス{a1、・・・a26}は、いくつかの周波数オフセットと位相オフセットを伴うシーケンス{1−2u1、・・・、1−2u26}である。この周波数オフセットはたかだか25%のはずなので、コヒーレント法又は非コヒーレント法のいずれかを用いて、{u1、・・・、u26}若しくは1+{u1、・・・、u26}mod2であるシーケンス{v1、・・・、v26}、又は{u2−u1、・・・、u26−u25}mod2である{v1、・・・、v25}を決定することができる。これは、これらのシーケンスが、ユニークワード411に対して変換(invert)することができ且つこれらの方法は同様にこの変換を解読することができるということを意味する。
【0098】
より正確だがより多くのメモリとより多くの計算時間を要する平均化シンボル{t1、・・・、t26}を得る他の方法があるということに留意されたい。例えば、最初の90ヘッダシンボルが2つの連続する物理層フレーム400について収集される場合、この2つのシーケンスの相互相関を用いて、この2つのヘッダ間のおおよその位相の回転を検出することができる。次に、第2のヘッダシンボルを、第1のヘッダシンボルとほぼ同じ位相を有するように正規化する。同様に、最後の収集された90ヘッダシンボルに対し、これらを第1の90ヘッダシンボルとほぼ同じ位相を有するように正規化する。これで、最初の26シンボルを平均することができ、{t1、・・・、t26}が得られる。
【0099】
他の効率的な方法が次のように描かれる。それぞれの受信された26信号{s1、・・・、s26}に対し、{h1、・・・、h26}により位相をローテートし、新たなシンボルシーケンス、例えば、{t1、・・・、t26}を得る。i=1、・・・、25に対するシーケンス{x1、・・・、x25}(ここで
【数2】

【0100】
)が次に得られ、xiの位相はt(i+1)とtiとの位相差である。特定の数(例えば100)の上記ベクトル{x1、・・・、x25}を平均し、新たなシーケンス{y1、・・・、y25}を求める。y1の位相によるベクトル{y1、・・・、y25}の正規化と実数(y1)の符号の調節を行った後、{u2−u1、・・・u26−u25}mod2である{v1、・・・、v25}が得られる。これらのアルゴリズム及び技術の他のバリエーションは、本発明の範囲から逸脱することなく用いることができる。
【0101】
(スクランブルコードの検出)
一旦{v1、・・・、v26}、又は{v1、・・・、v25}が割り出されると、スクランブルコード全体を検出するために、これらの得られた数値を、それぞれのユニークワード411を用いて得られるであろう数値と比較し、一致する値が真のユニークワード411を決定する。各ユニークワード411と(各)ゴールドシーケンスシーズ500との間には1対1の相関関係があることから、完全なスクランブルコードは一旦ユニークワード411が見つけられれば割り出される。
【0102】
その後、この特定された組み合わせは信号118をデスクランブラするために用いることができ、そして標準のDBVS2復号化手順が、選択されたダウンリンク信号118に対する変調タイプ及びコードレートを割り出すことが出来る。
【0103】
(実験結果)
図6に関して説明された方法は、一連のシミュレーションを用いてテストされた。パイロットシンボルが無く、且つスクランブルコードIDの17(BBヘッダは我々のシミュレーションには含まれない)でスクランブルされた、QPSK9/10モードに対して、25%の周波数オフセットとCNR=1dBとするようなAWGNが加えられた。上記90シンボルが相互相関されるとき、PLヘッダ401が寄与するピークは非常に明白である。このシミュレーションの結果は、粗いフレーム境界を決定することができることを示す。パイロットなしのQPSKに対しては、誤検出確率は約0.0005にすぎない。上記の正確な境界の手法が用いられ、且つ50PLフレームを観測したとき、正確なSOFが寄与するピークは容易に観察できる。従って、正確なSOFは、50物理層フレーム400未満の中から決定することができる(粗い境界及び正確な境界の特定を含む)。誤検出確率は、非常に小さいことが分かった。誤検出確率は、粗い境界が正しく特定された条件では、正確なSOF検出に対して約0.0005である。全般的に見れば、誤検出確率は50物理層フレーム400に基づき約0.001と見積もられる。
【0104】
SOF境界が分かれば、非コヒーレント法を用いて100物理層フレーム400に基づいてシーケンス{v1、・・・、v25}を得ることができる。仮に、u={u1、・・・、u26}が、スクランブルIDの17を用いたUW411の最初の26ビットとする。i=1、・・・、25に対して、Vi=abs(u(i+1)−ui)であることが分かった。コヒーレント法は、同じ性能を実現するのに、より少ない物理層フレーム400しか必要としないと予想されている。利用可能な1016の現在確認されているユニークワード411全体を検索した結果、これらの微分コードはどれも同じではなく、それぞれのユニークワード411内では少なくとも2ビットは違っていることが示された。
【0105】
一旦スクランブルコードが決定されると、粗い周波数オフセットが26SOFシンボルに基づいて推定される。パイロットのオン又はオフ状態は、予測されるフレーム長により判断される。上記の粗い周波数オフセットを除いた後、コードレート情報をPLヘッダ401からReed−Mullerデコーダを用いて抽出することができる。上記の手順の後、復調器/FEC216復号化ASIC、又は代替的に、メモリ224は、所望のキャリアに対する全ての情報を有することができ、この信号は既定のAMC(Advanced Modulation and Coding)仕様に基づいて正しくデコードされる。
【0106】
ブラインド取得は、約120物理層フレーム400以内に終了することができることが予想されている。復調・取得全体(AGC及びタイミングリカバリの後の)は、約150物理層フレーム400で達成でき、これは20MHzのシンボルレートにおいてQPSKモードに対して約250ms、8PSKモードに対して約166msであり、誤検出確率は全体で0.001未満であった。誤検出は、BCHエラーインジケータを用いて又はMPEGパケットCRC結果を用いて得られる。
【0107】
(本発明の他のアプリケーション)
他のアプリケーションは、提案されるアルゴリズムが、未知のAMC又はDVB−S2信号ソースからの干渉を特定することにも用いることができるというものである。このアイデアは、大まかには次のように表される。所望の信号は、通常パワーが大きい。復号化、再符号化、及び再変調後では、この所望の信号を混合した信号から除き、干渉信号及びノイズのみを残すことができる。この干渉信号は、これのキャリア対ノイズ比(CNR:Carrier to Noise Ratio)が0dBを超えている場合に限り、識別することができる。これは、所望の信号を小さくすることによりこの干渉信号を識別する、余り望ましくない従来の技術と匹敵する。
【0108】
(結論)
要約すれば、本発明は、通信システムの中で送信されるデータストリームを取得及び復調するための方法及び装置を備えている。本発明による方法は、前記データストリーム内の物理層フレーム(PLフレーム)の境界を見つけることと、前記データストリームに関連するユニークワード(UW)の最初の26ビットを見つけることと、前記UWを用いているスクランブルコードを見つけることと、前記データストリーム内の所望の信号に対して用いられる変調形式及びコードレートを割り出すための復号化手順を用いることとを備えている。
【0109】
上記の方法は更に、前記データストリームは衛星からのダウンリンク信号であることと、前記スクランブルコードは更に前記データストリームのペイロード部分をスクランブルするために用いるゴールドコード(Gold code)を備えることと、前記PLフレームの境界を見つけることは更に前記PLフレームの粗い境界を見つけることを備えることと、前記PLフレームの境界を見つけることは更に前記PLフレームのフレーム先頭(SOF:Start of Frame)を見つけることを備えることと、前記SOFを見つけることはPLヘッダの最後のシンボルと前記PLヘッダの最初のシンボルの共役の積を正規化することを備えることと、前記UWの前記最初の26ビットを見つけることは、最初のシンボルが既知の位相を有することができるように、前記SOF後の前記データストリームの最初の26個のシンボルを正規化することを備えることと、及び、前記スクランブルコードを見つけることは前記UWに関連する前記スクランブルコードを調べることを備えること、とを選択的に含んでいる。
【0110】
本発明に従う装置は、通信システムの中で送信されるデータストリームの取得及び復調する装置であって、前記データストリーム内の物理層フレームの境界を見つけるための、且つ前記データストリームに関連するユニークワードの最初の26ビットを見つけるための復調器と、前記復調器に接続されており、前記ユニークワードを利用しているスクランブルコード見つけるためのデスクランブラと、前記デスクランブラに接続されており、前記データストリーム内の所望の信号に対して用いられる変調形式及びコードレートの決定と前記データストリームの復号化を行うためのデコーダとを備えている。
【0111】
上記の装置は更に、前記データストリームは衛星からのダウンリンク信号であることと、前記スクランブルコードは更に前記データストリームのペイロード部分をスクランブルするために用いるゴールドコードを備えることと、前記物理層フレームの境界を見つけることは更に前記物理層フレームの粗い境界を見つけることを備えることと、前記物理層フレームの境界を見つけることは更に前記物理層フレームのフレーム先頭を見つけることを備えることと、前記フレーム先頭を見つけることは物理層ヘッダの最後のシンボルと前記物理層ヘッダの最初のシンボルの共役の積を正規化することを備えることと、前記ユニークワードの前記最初の26ビットを見つけることは、最初のシンボルが既知の位相を有することができるように、前記フレーム先頭後の前記データストリームの最初の26個のシンボルを正規化することを備えることと、及び、スクランブルコードを見つけることは前記ユニークワードに関連する前記スクランブルコードを調べることを備えること、とを選択的に含んでいる。
【0112】
本発明に従うシステム実施形態は、データストリームを送信及び受信するシステムであって、送信器を備え、前記送信器は更にエンコーダを備え、前記エンコーダは前記データストリームを受け取り且つ物理層ヘッダ及びペイロード部分を含む前記データストリームの符号化バージョンを生成し、前記エンコーダに接続されており、前記データストリームの前記符号化バージョンを受け取るための、且つ前記データストリームのスクランブル化バージョンを作り出すためのスクランブラを備え、前記エンコーダに接続されており、前記データストリームの前記スクランブル化バージョンをキャリア上に変調するための変調器を備え、及び受信器を備え、前記受信器は更に、前記データストリームの前記スクランブル化バージョン内の物理層フレームの境界を見つけるための、且つ前記データストリームの前記スクランブル化バージョンに関連するユニークワードの最初の26ビットを見つけるための復調器と、前記復調器に接続されており、前記ユニークワードを利用している前記データストリームの前記スクランブル化バージョンにスクランブルコードを適用して前記データストリームの符号化バージョンを再度作り出すためのデスクランブラと、前記デスクランブラに接続されており、変調形式とコードレートを用いて前記データストリームの前記符号化バージョンを復号化するためのデコーダとを備えており、前記デコーダは前記データストリーム内の所望の信号を抽出する。
【0113】
上記システムは更に、前記データストリームの前記符号化バージョンをスクランブルすることを任意に含み、前記スクランブルすることは前記データストリームの前記符号化バージョンの前記ペイロード部分のみをスクランブルし、前記データストリームは衛星からのダウンリンク信号であり、前記スクランブルコードは更に前記データストリームのペイロード部分をスクランブルするために用いるゴールドコードを備えている。
【0114】
本発明の範囲は、この詳細説明により限定されるのではなく、むしろこれに添付された請求項及びこれの同等物によって限定されるということが意図されている。上記の明細書、実施例及びデータは、本発明の構成の製品及び利用についての完全な説明を提供している。本発明の多くの実施形態を本発明の精神及び範囲から逸脱することなく成すことができることから、本発明は、この後に添付した請求項及びこれの同等物の中に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】従来技術の典型的な衛星ベース放送システムを例示している。
【図2】オーディオ、ビデオ、及びデータ信号を受信且つ符号化する受信ステーションのブロック図である。
【図3A】図1及び図2のシステムのデジタル送信ステーションの中に用いられる、典型的な送信器及び復調器の図である。
【図3B】図1及び図2のシステムのデジタル送信ステーションの中に用いられる、典型的な送信器及び復調器の図である。
【図4A】本発明の一実施形態に従って、図3のシステムの中で用いられるフレーム構造、及び様々なユニークワード(UW)を用いてフレームヘッダをスクランブルするためのロジックの図である。
【図4B】本発明の一実施形態に従って、図3のシステムの中で用いられるフレーム構造、及び様々なユニークワード(UW)を用いてフレームヘッダをスクランブルするためのロジックの図である。
【図5】本発明の各種実施形態に従って、コチャンネル干渉を隔離するためのスクランブラの図である。
【図6】本発明のステップを表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
102 送信ステーション
104 アップリンクパラボラアンテナ
108 受信機ステーション
110 入力ソース
200 受信機パラボラアンテナ
202 代替コンテンツソース
204 受信器
206 モニタ
208 記録デバイス
210 リモートコントロール
212 アクセスカード
214 チューナ
216 復調器/FEC
218 DAコンバータ
220 CPU
222 クロック
224 メモリ
226 論理回路
228 インターフェース
230 IR受信器
232 アクセスカードインターフェース
234 テレフォンジャック
302 LDPC/BCHエンコーダ
304 スクランブラ
306 変調器
308 復調器
310 キャリア同期モジュール/デスクランブラ
312 LDPC/BCHデコーダ
401 PLヘッダ
500 シーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムにおいて送信されるデータストリームを取得及び復調するための方法であって、
前記データストリーム内の物理層フレーム(PLフレーム)の境界を見つけることと、
前記データストリームに関連するユニークワード(UW)の最初の26ビットを見つけることと、
前記UWを用いているスクランブルコードを見つけることと、
前記データストリーム内の所望の信号に対して用いられる変調形式及びコードレートを決定するための復号化手順を用いることと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記データストリームは衛星からのダウンリンク信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スクランブルコードは、前記データストリームのペイロード部分をスクランブルするために用いるゴールドコード(Gold code)を更に備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記PLフレームの境界を見つけることは、更に前記PLフレームの粗い境界を見つけることを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記PLフレームの境界を見つけることは、更に前記PLフレームのフレーム先頭(SOF)を見つけることを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記SOFを見つけることは、物理層ヘッダの最後のシンボルと前記物理層ヘッダの最初のシンボルの共役の積を正規化することを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記UWの前記最初の26ビットを見つけることは、最初のシンボルが既知の位相を有することができるように、前記SOF後の前記データストリームの最初の26個のシンボルを正規化することを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スクランブルコードを見つけることは、前記UWに関連する前記スクランブルコードを調べることを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
通信システムにおいて、送信されるデータストリームを取得及び復調するための装置であって、
前記データストリーム内の物理層フレームの境界を見つけ、前記データストリームに関連するユニークワードの最初の26ビットを見つけるための復調器と、
前記復調器に接続されており、前記ユニークワードを利用しているスクランブルコードを見つけるためのデスクランブラと、
前記デスクランブラに接続されており、前記データストリーム内の所望の信号に対して用いられる変調形式及びコードレートの決定と前記データストリームの復号化を行うためのデコーダと、
を備える、装置。
【請求項10】
データストリームを送信及び受信するシステムであって、
送信器を備え、前記送信器は更に、
エンコーダを備え、前記エンコーダは前記データストリームを受け取り且つ物理層ヘッダ及びペイロード部分を含む前記データストリームの符号化バージョンを生成し、
前記エンコーダに接続されており、前記データストリームの前記符号化バージョンを受け取り、前記データストリームのスクランブル化バージョンを作り出すためのスクランブラを備え、
前記エンコーダに接続されており、前記データストリームの前記スクランブル化バージョンをキャリア上に変調するための変調器を備え、
受信器を備え、前記受信器は更に、
前記データストリームの前記スクランブル化バージョン内の物理層フレームの境界を見つけ、前記データストリームの前記スクランブル化バージョンに関連するユニークワードの最初の26ビットを見つけるための復調器と、
前記復調器に接続されており、前記ユニークワードを利用している前記データストリームの前記スクランブル化バージョンにスクランブルコードを適用して前記データストリームの符号化バージョンを再度作り出すためのデスクランブラと、
前記デスクランブラに接続されており、変調形式とコードレートを用いて前記データストリームの前記符号化バージョンを復号化するためのデコーダと、
を備えており、
前記デコーダは前記データストリーム内の所望の信号を抽出する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−259422(P2007−259422A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−29259(P2007−29259)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(504228254)ザ・ディレクティービー・グループ・インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】