説明

ATP結合カセットトランスポーターのモジュレーター

本発明は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(「CFTR」)を含めて、ATP結合カセット(「ABC」)トランスポーターまたはその断片のモジュレーター、その組成物、およびそれを用いた方法に関する。また、本発明は、ABCトランスポーターによって媒介される疾患をこのようなモジュレーターを使用して治療する方法に関する。これらの化合物および薬剤として許容できる組成物は、様々な疾患、障害、もしくは病態を治療し、またはその重症度を緩和するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2005年10月6日に出願された米国仮特許出願番号60/724,736の優先権を主張し、上の出願の全ての内容は本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(「CFTR」)を含めて、ATP結合カセット(「ABC」)トランスポーターまたはその断片のモジュレーター、その組成物、およびそれを用いた方法に関する。また、本発明は、ABCトランスポーターによって媒介される疾患をこのようなモジュレーターを使用して治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ABCトランスポーターは、広範囲の薬理作用剤、潜在的に毒性のある薬物、および生体異物、ならびにアニオンの輸送を制御する膜輸送体タンパク質ファミリーである。ABCトランスポーターは、その特異的活性により細胞のアデノシン三リン酸(ATP)を結合し使用する相同性膜タンパク質である。これらのトランスポーターの一部は、悪性癌細胞を化学療法剤から防御する(MDR1−P糖タンパク質、または多剤耐性タンパク質MRP1のような)多剤耐性タンパク質として発見された。今日まで、48個のABC輸送体が同定され、その配列アイデンティティおよび機能に基づいて7つのファミリーに分類されている。
【0004】
ABCトランスポーターは、体内の様々な重要な生理的役割を制御し、有害な環境化合物に対する防御となる。このため、これらは、トランスポーターにおける欠陥に関連する疾患の治療、標的細胞からの薬物輸送の防止、およびABCトランスポーター活性の調節が有益となり得る他の疾患におけるインターベンションのための重要な創薬標的を表す。
【0005】
一般に疾患に関連するABCトランスポーターファミリーの1つのメンバーは、cAMP/ATPによって媒介されるアニオンチャネルCFTRである。CFTRは、吸収上皮細胞および分泌上皮細胞を含めて、様々な細胞型で発現され、膜を通過するアニオン流束、ならびに他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を制御する。上皮細胞では、CFTRが正常に機能することが、呼吸組織および消化組織を含めて、体全体の電解質輸送を維持するのにクリティカルである。CFTRは、それぞれ6つの膜貫通ヘリックスおよびヌクレオチド結合領域を含む膜貫通領域の縦列反復で構成されているタンパク質をコードする約1480個のアミノ酸から構成されている。チャンネル活性および細胞輸送を制御する複数のリン酸化部位を有する大きく極性のある制御(R)領域によって、2つの膜貫通領域が連結されている。
【0006】
CFTRをコードする遺伝子は同定され、配列決定されている(非特許文献1;非特許文献2)、(非特許文献3を参照のこと)。この遺伝子における欠陥によって、ヒトにおいて最もよく見られる死に至る遺伝性疾患である嚢胞性線維症(「CF」)を発症する、CFTRにおける突然変異が引き起こされる。米国では、乳児約2,500人に1人が嚢胞性線維症に冒されている。米国の一般人口のうち、最高1000万人が、明らかな疾患作用なしで、単一コピー欠陥遺伝子を保有している。一方、CF関連遺伝子の2コピーを保有する個体は、慢性肺疾患を含めて、CFの衰弱性および致死性の効果を被っている。
【0007】
嚢胞性線維症患者では、呼吸上皮において内因性発現されたCFTRにおける突然変異によって、頂端側アニオン分泌が低下し、イオンおよび体液輸送の不均衡を引き起こす。その結果として生じたアニオン輸送の低下は、肺における粘液蓄積の亢進、および付随して起こる微生物感染の一因となり、最終的にCF患者の死を引き起こす。呼吸器疾患に加えて、CF患者は、一般に胃腸障害、および治療しなければ死に至る膵機能不全を被る。さらに、嚢胞性線維症の男性は大部分が不妊であり、嚢胞性線維症の女性においては受胎能が低下する。CF関連遺伝子の2コピーの重度の効果とは対照的に、CF関連遺伝子の単一コピーを保有する個体は、コレラに対する抵抗性および下痢によって生ずる脱水に対する抵抗性の増大を発現し、おそらく、これは一般住民内でCF遺伝子の頻度が比較的高いことの説明となる。
【0008】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列分析によって、疾患を引き起こす様々な突然変異が明らかになっている(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6;非特許文献7)。CF遺伝子における疾患を引き起こす突然変異が、今日までに>1000個同定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も蔓延している突然変異は、CFTRアミノ酸配列の508位のフェニルアラニンの欠失であり、一般的にΔF508−CFTRと呼ばれる。この突然変異は嚢胞性線維症の症例のうち約70%において生じ、重度疾患を伴う。
【0009】
ΔF508−CFTRの残基508の欠失のため、新生タンパク質は正しい高次構造が形成されない。これによって、変異タンパク質はERを出て原形質膜に入ることができなくなる。その結果、膜に存在するチャネル数は、野生型CFTRを発現する細胞において観察される数よりはるかに少ない。輸送障害に加えて、突然変異はチャネル開閉に欠陥を生じる。膜のチャネル数の低下および欠陥開閉は共に、上皮を通過するアニオン輸送を低減し、イオンおよび体液の輸送に欠陥を生じる。(非特許文献8)。しかし、様々な研究によって、膜の減少したΔF508−CFTR数は野生型CFTRより少ないものの、機能することがわかった。(非特許文献9;Denningら、前掲;非特許文献10)。ΔF508−CFTRに加えて、輸送、合成、および/またはチャネル開閉に欠陥を生じる、CFTRにおける疾患を引き起こす他の突然変異を、アニオン分泌を変化させ、かつ疾患進行および/または重症度を変更するように上方または下方制御することができる。
【0010】
CFTRはアニオンに加えて様々な分子を輸送するが、この役割(アニオンの輸送)は、イオンおよび水の上皮を通過する重要な輸送機序において一要素を表すことが明らかである。他の要素としては、クロリドの細胞への取り込みを担う上皮Naチャネル、ENaC、Na/2Cl/Kコトランスポーター、Na−K−ATPアーゼポンプ、および側底膜Kチャネルが挙げられる。
【0011】
これらの要素は、その選択的発現および細胞内の局在化により上皮を通過する定方向輸送が実現されるように一緒に働く。クロリド吸収は、頂端膜に存在するENaCおよびCFTRと、細胞の側底面で発現されているNa−K−ATPアーゼポンプおよびCl−チャネルとの協調活動によって起こる。クロリドの管腔側からの二次性能動輸送によって、細胞内のクロリドが蓄積し、次いでClチャネルを経由して細胞から受動的に出ることができ、ベクトル輸送される。側底面のNa/2Cl/Kコトランスポーター、Na−K−ATPアーゼポンプ、および側底膜Kチャネルの配列、ならびに管腔側のCFTRによって、管腔側のCFTRを介したクロリドの分泌が調整される。水はそれ自体では、おそらく能動輸送されないので、上皮を通過するその流れは、ナトリウムおよびクロリドのバルク流によって生成される小さい経上皮浸透圧勾配に依存する。
【0012】
嚢胞性線維症に加えて、分泌性疾患など、CFTRにおける突然変異によって直接には引き起こされない他の疾患、およびCFTRによって媒介される他のタンパク質高次構造形成疾患にとって、CFTR活性の調節は有益であり得る。これらの疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼球乾燥疾患、およびシェーグレン症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
COPDは、進行性であり、かつ完全には可逆性でない気道閉塞を特徴とする。気道閉塞は、粘液分泌過多、肺気腫、および細気管支炎によるものである。変異型または野生型CFTRの活性化因子は、粘液分泌過多、およびCOPDにおいてよくみられる粘液線毛クリアランス障害の治療の可能性を与える。具体的には、CFTRを通過するアニオン分泌の増大は、気道表面粘液への体液輸送を容易にして、粘液に水分補給し、繊毛周囲液の粘度を最適化することができる。これは、粘液線毛クリアランスの亢進、およびCOPDを伴う症状の低減をもたらすはずである。眼球乾燥疾患は、涙液産生の低減、ならびに涙膜脂質、タンパク質、およびムチンのプロファイルの異常を特徴とする。眼球乾燥の原因は多数あり、その一部としては、年齢、レーシック(Lasik)眼科手術、関節炎、投薬、化学熱傷/熱傷、アレルギー、および嚢胞性線維症やシェーグレン症候群などの疾患が挙げられる。CFTRを介するアニオン分泌の増大は、眼を取り囲む角膜内皮細胞および分泌腺からの体液輸送を亢進して、角膜水化を増大する。これは、眼球乾燥疾患を伴う症状の軽減に役立つはずである。シェーグレン症候群は、眼、口、皮膚、呼吸組織、肝臓、膣、および腸を含めて、体中の水分産生腺を免疫系が攻撃する自己免疫疾患である。症状としては、眼球乾燥、口内乾燥、および膣乾燥、ならびに肺疾患が挙げられる。該疾患は、リウマチ様関節炎、全身性狼瘡、全身性硬化症、および多発性筋炎/皮膚筋炎も伴う。欠陥のあるタンパク質輸送は、治療の選択肢が限定されている疾患を引き起こすと考えられる。CFTR活性のモジュレーターは、疾患に冒されている様々な器官に水分補給し、随伴症状を改善する助けとなり得る。
【0014】
上記に述べた通り、ΔF508−CFTRの第508残基の欠失によって、新生タンパク質は正しい高次構造が形成されず、この変異タンパク質はERを出て原形質膜に入ることができなくなると考えられる。その結果、原形質膜には不十分な量の成熟タンパク質しか存在せず、上皮組織内のクロリド輸送は大幅に低減される。実際に、ER機構によるABCトランスポーターの欠陥ERプロセシングのこの細胞現象は、CF疾患だけでなく広範囲の他の孤立性および遺伝性疾患の基礎であることが示されている。ER機構を機能不全にする恐れがある2つの方式は、分解を引き起こすタンパク質のER搬出へのカップリングの損失、またはこれらの欠陥/高次構造形成異常タンパク質のER蓄積である。[非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15]。ER機能不全の前者クラスを伴う疾患は、嚢胞性線維症(上記に述べたミスフォールディングされたΔF508−CFTRに起因する)、遺伝性肺気腫(a1−抗トリプシン;非Piz型変異体に起因する)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管性浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞病/偽性ハーラー、ムコ多糖症(リソソームプロセシング酵素に起因する)、サンドホフ/テイ−サックス(β−ヘキソサミニダーゼに起因する)、クリグラー−ナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアリック−トランスフェラーゼに起因する)、多腺性内分泌障害/高インスリン症、糖尿病(インスリン受容体に起因する)、ラーロン型小人症(成長ホルモン受容体に起因する)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンに起因する)、悪性黒色腫(チロシナーゼに起因する)である。ER機能不全の後者クラスを伴う疾患は、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫(α1−抗トリプシン(PiZ型変異体)に起因する)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I、II、IV型プロコラーゲンに起因する)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノゲンに起因する)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンに起因する)、尿崩症(DI)、神経下垂体性DI(バソプレッシンホルモン/V2−受容体に起因する)、腎性DI(アクアポリンIIに起因する)、シャルコー・マリー・トゥース症候群(末梢ミエリンタンパク質22に起因する)、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因する)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン(Huntington)、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する)、ファブリー病(リソソームα−ガラクトシダーゼAに起因する)、およびストロイスラー−シャインカー病(Prpプロセシング欠損に起因する)である。
【0015】
CFTR活性の上方制御に加えて、CFTRモジュレーターによるアニオン分泌の低減は、分泌促進物質によって活性化されるクロリド輸送の結果として上皮の水輸送が劇的に増大する分泌性下痢の治療に有益であり得る。その機序は、cAMPの上昇およびCFTRの刺激を含む。
【0016】
下痢の原因は多数あるが、過剰なクロリド輸送によって生ずる下痢性疾患の主要な結果はすべてに共通であり、それには、脱水、アシドーシス、成長障害、および死が含まれる。
【0017】
急性および慢性の下痢は、世界の多地域で重大な医学的問題である。下痢は、栄養不良の重要な要因であり、かつ5歳未満の小児における主な死因(5,000,000人死亡/年)でもある。
【0018】
分泌性下痢はまた、後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患(IBD)の患者において危険な病態である。工業先進国から発展途上国への旅行者は、毎年1600万人が下痢を発症し、下痢の重症度および症例数は、旅行する国および地域に応じて変わる。
【0019】
ウシ、ブタ、ならびにウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、およびイヌなどの家畜およびペットにおける下痢(別名スカウアーズ(scours))は、これらの動物における主要な死因である。下痢は、離乳や物理的移動など、任意の重大な移行、ならびに様々な細菌またはウイルス感染に応答して生じることがあり、一般に動物の生涯のうち最初の数時間内に起こる。
【0020】
下痢を引き起こす最も一般的な細菌は、K99線毛抗原を有する毒素原性大腸菌(ETEC)である。下痢の一般的なウイルス性原因としては、ロタウイルスおよびコロナウイルスが挙げられる。他の感染因子としては、とりわけクリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫、およびサルモネラが挙げられる。
【0021】
ロタウイルス感染の症状としては、様便の排泄、脱水、および衰弱が挙げられる。コロナウイルスは、新生動物においてより重度な疾患を引き起こし、ロタウイルス感染より死亡率が高い。しかし、幼若動物は、1種より多いウイルス、またはウイルス性微生物と細菌性微生物の組合せに同時に感染する恐れがある場合が多い。これは、疾患の重症度を劇的に増大する。
【非特許文献1】Gregory, R. J.ら、(1990年)、Nature、347巻:382〜386頁
【非特許文献2】Rich, D. P.ら、(1990年)、Nature、347巻:358〜362頁
【非特許文献3】Riordan, J. R.ら、(1989年)、Science、245巻:1066〜1073頁
【非特許文献4】Cutting, G. R.ら、(1990年)、Nature、346巻:366〜369頁
【非特許文献5】Dean, M.ら、(1990年)、Cell、61巻:863:870頁
【非特許文献6】Kerem, B−S.ら、(1989年)、Science、245巻:1073〜1080頁
【非特許文献7】Kerem, B−Sら、(1990年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87巻:8447〜8451頁
【非特許文献8】Quinton, P. M.、(1990年)、FASEB J.、4巻:2709〜2727頁
【非特許文献9】Dalemansら、(1991年)、Nature Lond.、354巻:526〜528頁
【非特許文献10】PasykおよびFoskett、(1995年)、J. Cell. Biochem.、270巻:12347〜50頁
【非特許文献11】Aridor Mら、Nature Med.、5巻(7号)、745〜751頁(1999年)
【非特許文献12】Shastry, B.S.ら、Neurochem. International、43巻、1〜7頁(2003年)
【非特許文献13】Rutishauser, J.ら、Swiss Med Wkly、132巻、211〜222頁(2002年)
【非特許文献14】Morello, JPら、TIPS、21巻、466〜469頁(2000年)
【非特許文献15】Bross P.ら、Human Mut.、14巻、186〜198頁(1999年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、哺乳動物の細胞膜におけるABCトランスポーターの活性を調節するために使用することができるABCトランスポーター活性のモジュレーター、およびその組成物が必要とされている。
【0023】
このようなABCトランスポーター活性のモジュレーターを使用して、ABCトランスポーターによって媒介される疾患を治療する方法が必要とされている。
【0024】
哺乳動物のex vivo細胞膜におけるABCトランスポーター活性を調節する方法が必要とされている。
【0025】
哺乳動物の細胞膜におけるCFTRの活性を調節するために使用することができるCFTR活性のモジュレーターが必要とされている。
【0026】
このようなCFTR活性のモジュレーターを使用して、CFTRによって媒介される疾患を治療する方法が必要とされている。
【0027】
哺乳動物のex vivo細胞膜におけるCFTR活性を調節する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
(発明の要旨)
本発明の化合物およびその薬剤として許容できる組成物は、ABCトランスポーター活性のモジュレーターとして有用であることが今回見い出された。これらの化合物は、一般式I:
【0029】
【化8】

またはその薬剤として許容できる塩を有し、式中R、R、R、R、X、およびmは、概略的に下記のクラスおよびサブクラスで記述される。
【0030】
これらの化合物および薬剤として許容できる組成物は、様々な疾患、障害、もしくは病態を治療し、またはその重症度を緩和するのに有用であり、それには、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管性浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞病/偽性ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン症、糖尿病、ラーロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、悪性黒色腫、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経学的障害、例えばハンチントン、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー病、COPD、眼球乾燥疾患、およびシェーグレン症候群が含まれるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(発明の詳細な説明)
1.発明の概要
本発明は、ABCトランスポーター活性を調節する方法であって、前記ABCトランスポーターを式Iの化合物:
【0032】
【化9】

またはその薬剤として許容できる塩と接触させるステップを含み、式中:
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ独立に、−XR’であり、
Xはそれぞれ独立に、結合であり、あるいは必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでXのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
R’はそれぞれ独立に、水素、あるいはC1〜8脂肪族基、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは架橋二環式の環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の二環式もしくは三環式の環系から選択された必要に応じて置換されている基から選択され、あるいはRが2回出現する場合はそれらが結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている3〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成し、水素以外のR’基はそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
mはそれぞれ独立に、0〜4であり、
はそれぞれ独立に、H、または−X−Rで必要に応じて置換されているC1〜8脂肪族基であり、ここでR脂肪族基のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CHS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ、(シクロ脂肪族)アルキル、(ヘテロシクロ脂肪族)アルキル、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり、ここでRのアルキル部分は、Rで必要に応じて置換されており、Rのアルキル部分のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で置換されていてもよく、Rのシクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、もしくはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、またはRはRであり、あるいは
とRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のR’で必要に応じて置換されていてもよい5〜7員のヘテロシクロ脂肪族を形成してもよく、
は、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族であり、これらはそれぞれ、アリールまたはヘテロアリールと必要に応じて縮合し、ここでRは、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族の環の核構造の窒素原子に結合し、Rは、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
はそれぞれ独立に、アリール、ヘテロアリール、C1〜8アラルキル、またはC1〜8ヘテロアラルキルであり、ここでRのアルキル部分は、Rで必要に応じて置換されており、Rのアルキル部分のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、Rのアリールまたはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
Wはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでWのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、CN、CF、−O(C1〜4アルキル)、−OCF、または1〜3個のハロ、ハロアルキル、アルコキシ、もしくは脂肪族で必要に応じて置換されているフェニルである;
但し、化合物はインドールの5位に下記の基:
−C(O)−(必要に応じて置換されているピペリジニル)−CH−(必要に応じて置換されているフェニル)、または
−C(O)−(必要に応じて置換されているピペラジニル)−(C1〜4アルキル)−(必要に応じて置換されているフェニル)
を含まないことを条件とする方法に関する。
【0033】
2.化合物および定義
本発明の化合物は、上記で概略的に記述されたものを包含し、さらに本明細書で開示されるクラス、サブクラス、および種によって説明される。本明細書では、別段の示唆のない限り、下記の定義を適用するものとする。
【0034】
本明細書では、「ABC−トランスポーター」という用語は、in vivoまたはin vitroで存在する、ABCトランスポータータンパク質またはその少なくとも1つの結合領域を含む断片を意味する。本明細書では、「結合領域」という用語は、モジュレーターに結合することができる、ABC−トランスポーター上の領域を意味する。例えば、Hwang, T. C.ら、J. Gen. Physiol.(1998年):111巻(3号)、477〜90頁を参照のこと。
【0035】
本明細書では、「CFTR」という用語は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子、またはその制御因子活性の可能性がある突然変異体を意味し、それには、ΔF508 CFTRおよびG551D CFTRが含まれるが、これらに限定されない。(CFTR変異体については、例えばhttp://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照のこと)。
【0036】
本明細書では、「調節する」という用語は、例えば活性を測定可能な量で増大または低減させることを意味する。ABCトランスポーター、例えばCFTRアニオンチャネルの活性を増大することによって、CFTR活性などのABCトランスポーター活性を調節する化合物は、アゴニストと呼ばれる。ABCトランスポーター、例えばCFTRアニオンチャネルの活性を低減することによって、CFTR活性などのABCトランスポーター活性を調節する化合物は、アンタゴニストと呼ばれる。アゴニストは、CFTRアニオンチャネルなどのABCトランスポーターと相互作用して、受容体が内因性リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する能力を増大させる。アンタゴニストは、CFTRなどのABCトランスポーターと相互作用し、1つもしくは複数の内因性リガンドまたは1つもしくは複数の基質と受容体の1つもしくは複数の結合部位において競合して、受容体が内因性リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する能力を低減する。
【0037】
「ABCトランスポーターによって媒介される疾患を治療し、またはその重症度を低減する」という語句は、ABCトランスポーターおよび/またはCFTR活性によって直接引き起こされる疾患の治療と、ABCトランスポーターおよび/またはCFTRアニオンチャネル活性によって直接には引き起こされない疾患の症状の軽減とを意味する。症状がABCトランスポーターおよび/またはCFTR活性によって影響され得る疾患としては例えば、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管性浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞病/偽性ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン症、糖尿病、ラーロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、悪性黒色腫、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経学的障害、例えばハンチントン、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー病、COPD、眼球乾燥疾患、およびシェーグレン症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の目的では、化学元素は、元素周期表(CAS版)、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って確認される。さらに、有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books, Sausalito:1999年、ならびに「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、編集:Smith, M.B.およびMarch, J.、John Wiley & Sons, New York:2001年に記載されており、その内容は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
本明細書に記載する通り、本発明の化合物は、上記で概略的に示されたもの、または本発明の個別のクラス、サブクラス、および種で例示されたものなど、1つもしくは複数の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。
【0040】
本明細書では、脂肪族という用語は、アルキル、アルケニル、およびアルキニルという用語を包含する。
【0041】
「アルキリデン鎖」または「アルキリデン」という用語は、完全に飽和されてもよく(例えば、アルキル)、または1つもしくは複数の不飽和単位を有してもよく(例えばアルケニルもしくはアルキニル)、分子の残り部分への結合点が2つある、直鎖状もしくは分岐状炭素鎖を意味する。「スピロシクロアルキリデン」という用語は、完全に飽和されてもよく、または1つもしくは複数の不飽和単位を有してもよく、同じ環炭素原子から分子の残り部分への結合点が2つある炭素環式環を意味する。
【0042】
本明細書では、「アルキル」基は、1〜8(例えば、1〜6または1〜4)個の炭素原子を含む飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、直鎖状または分岐状とすることができる。アルキル基としては例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、および2−エチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ(同じ原子または隣接する原子上の2つのアルコキシ基はそれらが結合している原子と一緒になって、環を形成することができる)、アロイル、ヘテロアロイル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アシル、スルホニル(アルキルスルホニルやアリールスルホニルなど)、スルフィニル(アルキルスルフィニルなど)、スルファニル(アルキルスルファニルなど)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルバモイル、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、オキソ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、またはヘテロアラルキルカルボニルアミノなど、1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。
【0043】
本明細書では、「アルケニル」基は、2〜8(例えば、2〜6または2〜4)個の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を含む脂肪族炭素基を意味する。アルキル基と同様に、アルケニル基は、直鎖状または分岐状とすることができる。アルケニル基としては例えば、アリル、イソプレニル、2−ブテニル、および2−ヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ(同じ原子または隣接する原子上の2つのアルコキシ基はそれらが結合している原子と一緒になって、環を形成することができる)、アロイル、ヘテロアロイル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アシル、スルホニル(アルキルスルホニルやアリールスルホニルなど)、スルフィニル(アルキルスルフィニルなど)、スルファニル(アルキルスルファニルなど)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルバモイル、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、オキソ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、またはヘテロアラルキルカルボニルアミノなど、1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。
【0044】
本明細書では、「アルキニル」基は、2〜8(例えば、2〜6または2〜4)個の炭素原子および少なくとも1つの三重結合を含む脂肪族炭素基を意味する。アルキニル基は、直鎖状または分岐状とすることができる。アルキニル基としては例えば、プロパルギルおよびブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ(同じ原子または隣接する原子上の2つのアルコキシ基はそれらが結合している原子と一緒になって、環を形成することができる)、アロイル、ヘテロアロイル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アシル、スルホニル(アルキルスルホニルやアリールスルホニルなど)、スルフィニル(アルキルスルフィニルなど)、スルファニル(アルキルスルファニルなど)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルバモイル、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、オキソ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、またはヘテロアラルキルカルボニルアミノなど、1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。
【0045】
本明細書では、「アミノ」基は、−NRを意味し、式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり、これらはそれぞれ、本明細書に定義されており、必要に応じて置換されている。「アミノ」という用語が末端基(例えば、アルキルカルボニルアミノ)でない場合、−NR−で表される。Rは、上記に定義する意味と同じ意味である。
【0046】
本明細書では、単独で使用され、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」のようにより大きな部分の一部として使用される「アリール」基は、フェニル、ナフチル、または2〜3個の環を有するベンゼン縮合基を意味する。例えば、ベンゼン縮合基としては、1つまたは2つのC4〜8炭素環式部分と縮合しているフェニル、例えば1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インダニル、またはフルオレニルが挙げられる。アリールは、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、スルホニル(アルキルスルホニルなど)、スルフィニル(アルキルスルフィニルなど)、スルファニル(アルキルスルファニルなど)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなど、1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されている。
【0047】
本明細書では、「アラルキル」基は、アリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1〜4アルキル基)を意味する。「アルキル」と「アリール」とは、本明細書に定義されている。アラルキル基の一例は、ベンジルである。「ヘテロアラルキル」基は、ヘテロアリールで置換されているアルキル基を意味する。「アルキル」と「ヘテロアリール」とは、本明細書に定義されている。
【0048】
本明細書では、「シクロ脂肪族」基は、「シクロアルキル」基および「シクロアルケニル」基を包含する。
【0049】
本明細書では、「シクロアルキル」基は、3〜10(例えば、5〜10)個の炭素原子を有する飽和炭素環式の単環式または二環式(縮合または架橋)環を意味する。シクロアルキル基としては例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、クビル、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、およびビシクロ[3.3.2.]デシル、ならびにアダマンチルが挙げられる。本明細書では、「シクロアルケニル」基は、3〜10(例えば、4〜8)個の炭素原子を有し、1つまたは複数の二重結合を有する非芳香族炭素環式の環を意味する。シクロアルケニル基としては例えば、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、およびビシクロ[3.3.1]ノネニルが挙げられる。シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、スルホニル(アルキルスルホニルやアリールスルホニルなど)、スルフィニル(アルキルスルフィニルなど)、スルファニル(アルキルスルファニルなど)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなど、1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。
【0050】
二環式脂肪族環系は、シクロ脂肪族の置換基で置換されていてもよい架橋および縮合シクロ脂肪族環系を包含する。
【0051】
本明細書では、ヘテロシクロ脂肪族という用語は、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基を包含する。
【0052】
本明細書では、「ヘテロシクロアルキル」基は、3員〜10員の単環式または二環式(縮合または架橋)(例えば、5員〜10員の単環または二環式)飽和環構造を意味し、ここで、環原子のうち1つまたは複数は、ヘテロ原子、例えばN、O、またはSである。ヘテロシクロアルキル基としては例えば、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロ−ベンゾフリル、オクタヒドロ−クロメニル、オクタヒドロ−チオクロメニル、オクタヒドロ−インドリル、オクタヒドロ−ピリンジニル、デカヒドロ−キノリニル、オクタヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが挙げられる。単環式ヘテロシクロアルキル基は、テトラヒドロイソキノリンなどのフェニル部分と縮合していてもよい。本明細書では、「ヘテロシクロアルケニル」基は、1つまたは複数の二重結合を有する単環式または二環式(例えば、5員〜10員の単環式または二環式)非芳香族環構造を意味し、ここで、環原子のうち1つまたは複数は、ヘテロ原子、例えばN、O、またはSである。ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル基は、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル(ベンズイミダゾリジニルなど)、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ(同じ原子または隣接する原子上の2つのアルコキシ基はそれらが結合している原子と一緒になって、環を形成することができる)、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、スルホニル(アルキルスルホニルやアリールスルホニルなど)、スルフィニル(アルキルスルフィニルなど)、スルファニル(アルキルスルファニルなど)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなど、1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。
【0053】
二環式ヘテロ脂肪族環系は、ヘテロシクロ脂肪族の置換基で置換されていてもよい架橋または縮合シクロヘテロ脂肪族環系を包含する。
【0054】
本明細書では、「ヘテロアリール」基は、4〜15個の環原子を有する単環式、二環式、または三環式環構造を意味し、ここで、環原子のうち1つまたは複数は、ヘテロ原子、例えばN、O、またはSであり、二環式または三環式環構造の1つまたは複数の環は芳香族である。ヘテロアリール基としては、2〜3個の環を有するベンゼン縮合環系が挙げられる。例えば、ベンゼン縮合基としては、1つまたは2つのC4〜8ヘテロ環式部分と縮合されているフェニル、例えばインドリニルおよびテトラヒドロキノリニルが挙げられる。ヘテロアリールのいくつかの例は、アゼチジニル、ピリジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンズチアゾリル、キサンテン、チオキサンテン、フェノチアジン、ジヒドロインドール、およびベンゾ[1,3]ジオキソールである。ヘテロアリールは、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、スルホニル(アルキルスルホニルやアリールスルホニルなど)、スルフィニル(アルキルスルフィニルなど)、スルファニル(アルキルスルファニルなど)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなど、1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されている。本明細書では、「ヘテロアラルキル」基は、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1〜4アルキル基)を意味する。「アルキル」と「ヘテロアリール」とは、上記に定義されている。
【0055】
本明細書では、「環状部分」は、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールを包含し、これらはそれぞれ、上記に定義されている。
【0056】
本明細書では、「アシル」基は、ホルミル基またはアルキル−C(=O)−を意味し、ここで、「アルキル」は上記に定義されている。アセチルおよびピバロイルは、アシル基の例である。
【0057】
本明細書では、「カルバモイル」基は、構造−O−CO−NRまたは−NR−CO−O−Rを有する基を意味し、式中、RおよびRは上記に定義されており、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルとすることができる。
【0058】
本明細書では、「カルボキシ」および「スルホ」基はそれぞれ、−COOHまたは−COOR、および−SOHまたは−SOを意味する。
【0059】
本明細書では、「アルコキシ」基は、アルキル−O−基を意味し、ここで、「アルキル」は上記に定義されている。
【0060】
本明細書では、「スルホキシ」基は、−O−SO−Rまたは−SO−O−Rを意味し、ここで、Rは上記に定義されている。
【0061】
本明細書では、「スルホニル」基は、−S(O)−Rを意味し、ここで、Rは上記に定義されている。
【0062】
本明細書では、「スルフィニル」基は、−S(O)−Rを意味し、ここで、Rは上記に定義されている。
【0063】
本明細書では、「スルファニル」基は、−S−Rを意味し、ここで、Rは上記に定義されている。
【0064】
本明細書では、「ハロゲン」または「ハロ」基は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0065】
本明細書では、「ハロ脂肪族」基は、1〜3個のハロゲンで置換されている脂肪族基を意味する。例えば、ハロアルキルという用語は、−CF基を包含する。
【0066】
本明細書では、「スルファモイル」基は、構造−S(O)−NRまたは−NR−S(O)−Rを意味し、ここでR、R、およびRは上記に定義されている。
【0067】
本明細書では、「スルファミド」基は、構造−NR−S(O)−NRを意味し、ここでR、R、およびRは上記に定義されている。
【0068】
本明細書では、単独で使用され、または別の基と共に使用される「カルボニルアミノ」基は、−C(O)−NR−、−NR−C(O)−、および−C(O)−N(Rなどのアミド基を意味する。例えば、アルキルカルボニルアミノとしては、アルキル−C(O)−NR−およびアルキル−NR−C(O)−が挙げられる。
【0069】
本明細書では、「尿素」基は、構造−NR−CO−NRを意味し、「チオ尿素」基は、構造−NR−CS−NRを意味する。R、R、およびRは上記に定義されている。
【0070】
「必要に応じて置換されている」という語句は、「置換または非置換である」という語句と同義に使用される。本明細書に記載する通り、本発明の化合物は、上記で概略的に示されたもの、または本発明の個別のクラス、サブクラス、および種で例示されたものなど、1つもしくは複数の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。本明細書に記載する通り、R、R、R、およびRなどの変数は、アルキルやアリールなど、特定の基を包含する。別段の注記のない限り、式I、II、III、IIIa、およびIVに関連して本明細書に記載する変数の特定の基はそれぞれ、本明細書に記載する1つまたは複数の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。特定の基の置換基はそれぞれ、さらにハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロ、ハロアルキル、およびアルキルのうちの1〜3つで必要に応じて置換されている。例えば、アルキル基は、アルキルスルファニルで置換されていてもよく、そのアルキルスルファニルは、ハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロ、ハロアルキル、およびアルキルのうちの1〜3つで必要に応じて置換されていてもよい。追加の例として、アルキルは、(シクロアルキル)カルボニルアミノで置換されていてもよい。(シクロアルキル)カルボニルアミノのシクロアルキル部分は、ハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロ、ハロアルキル、およびアルキルのうちの1〜3つで必要に応じて置換されている。
【0071】
一般に、「置換されている」という用語は、「必要に応じて」という用語が先行していようがいまいが、所与の構造中の水素基が指定の置換基の基で置換されていることを意味する。特定の置換基は、上記の定義、ならびに下記の化合物およびその例の説明に記載されている。別段の示唆のない限り、必要に応じて置換されている基は、基の置換可能な各位置に置換基を有してもよく、所与の構造の1つより多い位置が指定の基から選択された1つより多い置換基で置換されていてもよい場合は、各位置の置換基は同じでも異なってもよい。ヘテロシクロアルキルなどの環置換基は、シクロアルキルなどの別の環に結合して、スピロ二環式環系を形成することができ、例えば両方の環は1つの共通の原子を共有する。当業者なら理解するように、本発明で考えられる置換基の組合せは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成を生じる組合せである。
【0072】
本明細書では、「安定なまたは化学的に実現可能な」という語句は、本明細書に開示する目的のうち1つまたは複数のためにその生成、検出、好ましくはその回収、精製、および使用を可能にする条件にかけた場合に実質的には変化されない化合物を意味する。いくつかの実施形態では、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、40℃以下の温度で、水分の非存在下またはその他の化学反応条件下、少なくとも1週間維持された場合に実質的には変化されない化合物である。
【0073】
本明細書では、有効量は、治療対象の患者に治療効果を与えるのに必要とされる量と定義され、通常は患者の年齢、表面積、体重、および病態に基づいて決定される。動物およびヒトについての用量の相互関係(単位:ミリグラム/体表面1平方メートル)は、Freireichら、Cancer Chemother. Rep.、50巻:219頁(1966年)に記載されている。体表面積は、患者の身長および体重からほぼ決定することができる。例えば、Scientific Tables、Geigy Pharmaceuticals、Ardsley、New York、537頁(1970年)を参照のこと。
【0074】
本明細書では、「患者」は、ヒトを含めて、哺乳動物を意味する。
【0075】
別段の記述のない限り、本明細書に示す構造は、構造のすべての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)異性体);例えば、各不斉中心についてRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体も含むように意図されている。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。別段の記述のない限り、本発明の化合物の互変異性形はすべて、本発明の範囲内である。さらに、別段の記述のない限り、本明細書に示す構造は、1つまたは複数の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物も含むように意図されている。例えば、水素がジュウテリウムもしくはトリチウムによって置換されている点、または炭素が13C−もしくは14C−濃縮炭素によって置換されている点以外は本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば生物検定において分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0076】
3.例示的化合物の説明
本発明のいくつかの実施形態では、式IIの化合物:
【0077】
【化10】

またはその薬剤として許容できる塩が提供され、式中:
、R、R、X、R’、およびmはそれぞれ、上記に定義されており、
AAおよびABはそれぞれ独立に、それぞれ1〜3個の−WRで必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロ脂肪族であり、
およびYはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでC1〜6アルキリデン鎖のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
Wはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでWのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、CN、CF、−O(C1〜4アルキル)、または−OCFであり、
Eはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでC1〜6アルキリデン鎖のメチレン単位は2個までが、−C(O)−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されている;
但し、化合物は、
N−[1−[(3,5−ジフルオロフェニル)メチル]−3−[[(3−エチルフェニル)メチル]アミノ]−2−ヒドロキシプロピル]−1−メチル−α−オキソ−1H−インドール−3−アセトアミド、
2−(1H−インドール−3−イル)−N−(2−モルホリノ−1−フェニルエチル)−2−オキソアセトアミド、または
N−(1,3−ビス(ベンジルチオ)プロパン−2−イル)−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソアセトアミドでないことを条件とする。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態では、式IIIの化合物:
【0079】
【化11】

またはその薬剤として許容できる塩が提供され、式中:
、R、R、X、R’、およびmはそれぞれ、上記に定義されており、
10はそれぞれ、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族であり、これらはそれぞれ、1〜3個のハロ、ハロアルキル、アルコキシ、脂肪族、アリール、またはヘテロアリールで必要に応じて置換されており、ここでアリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、脂肪族のうちの1〜3つで必要に応じて置換されており、
pはそれぞれ0〜3である。
【0080】
いくつかの特定の態様では、式IIIの化合物には、構造IIIaが含まれ:
【0081】
【化12】

式中、R、R、R、X、R’、およびmはそれぞれ、上記に定義されている通りであり、
環は、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族であり、これらはそれぞれ、1〜3個のハロ、ハロアルキル、アルコキシ、脂肪族、アリール、またはヘテロアリールで必要に応じて置換されており、ここでアリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、脂肪族のうちの1〜3つで必要に応じて置換されており、
はそれぞれ独立に、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、または脂肪族であり、
dはそれぞれ独立に、0〜3である。
【0082】
本発明の他の実施形態では、式IVの化合物:
【0083】
【化13】

またはその薬剤として許容できる塩が提供され、式中:
、R、R、X、R’、およびmはそれぞれ、上記に定義されている通りであり、
11はそれぞれ、アリールまたはヘテロアリールであり、これらはそれぞれ、1〜3個のハロ、脂肪族、アリール、またはヘテロアリールで必要に応じて置換されており、
pはそれぞれ0〜3である。
【0084】
4.置換基の説明
一実施形態では、Rは水素である。あるいは、RはC1〜C6脂肪族である。Rとしては例えば、C1〜C6アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、またはブチルが挙げられる。
【0085】
一実施形態では、R’は水素である。
【0086】
一実施形態では、R’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、またはOCHFから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されているC1〜C8脂肪族基であり、ここで前記C1〜C8脂肪族のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CONH(C1〜C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1〜C4アルキル)CON(C1〜C4アルキル)−、−OCON(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1〜C4アルキル)−、−SON(C1〜C4アルキル)−、N(C1〜C4アルキル)SO−、または−N(C1〜C4アルキル)SON(C1〜C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0087】
一実施形態では、R’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、またはOCHFから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されているC1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニルであり、ここで前記C1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニルのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CONH(C1〜C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1〜C4アルキル)CON(C1〜C4アルキル)−、−OCON(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1〜C4アルキル)−、−SON(C1〜C4アルキル)−、N(C1〜C4アルキル)SO−、または−N(C1〜C4アルキル)SON(C1〜C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0088】
一実施形態では、R’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、またはOCHFから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されているC1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニルである。
【0089】
一実施形態では、R’は、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択された0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、または完全不飽和単環式環であり、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1〜C6アルキルから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されており、前記C1〜C6アルキルのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CONH(C1〜C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1〜C4アルキル)CON(C1〜C4アルキル)−、−OCON(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1〜C4アルキル)−、−SON(C1〜C4アルキル)−、N(C1〜C4アルキル)SO−、または−N(C1〜C4アルキル)SON(C1〜C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0090】
一実施形態では、R’は、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択された3〜8員のシクロアルキル環であり、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1〜C6アルキルから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されており、前記C1〜C6アルキルのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CONH(C1〜C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1〜C4アルキル)CON(C1〜C4アルキル)−、−OCON(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1〜C4アルキル)−、−SON(C1〜C4アルキル)−、N(C1〜C4アルキル)SO−、または−N(C1〜C4アルキル)SON(C1〜C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。実施形態としては例えば、必要に応じて置換されているシクロプロピル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルが挙げられる。
【0091】
一実施形態では、R’は、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和単環式環であり、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1〜C6アルキルから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されており、前記C1〜C6アルキルのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CONH(C1〜C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1〜C4アルキル)CON(C1〜C4アルキル)−、−OCON(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1〜C4アルキル)−、−SON(C1〜C4アルキル)−、N(C1〜C4アルキル)SO−、または−N(C1〜C4アルキル)SON(C1〜C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。実施形態としては例えば、必要に応じて置換されているテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニルなどが挙げられる。
【0092】
一実施形態では、R’は、窒素、酸素、または硫黄から選択された1個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和単環式環であり、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1〜C6アルキルから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されており、前記C1〜C6アルキルのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CONH(C1〜C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1〜C4アルキル)CON(C1〜C4アルキル)−、−OCON(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1〜C4アルキル)−、−SON(C1〜C4アルキル)−、N(C1〜C4アルキル)SO−、または−N(C1〜C4アルキル)SON(C1〜C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0093】
一実施形態では、R’は、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択された0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、または完全不飽和二環式環系であり、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1〜C6アルキルから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されており、前記C1〜C6アルキルのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CONH(C1〜C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1〜C4アルキル)CON(C1〜C4アルキル)−、−OCON(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1〜C4アルキル)−、−SON(C1〜C4アルキル)−、N(C1〜C4アルキル)SO−、または−N(C1〜C4アルキル)SON(C1〜C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0094】
一実施形態では、R’が2回出現する場合はそれらが結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択された0〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている3〜12員の飽和、部分不飽和、または完全不飽和の単環式または二環式環を形成し、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1〜C6アルキルから選択された3個までの置換基で必要に応じて置換されており、前記C1〜C6アルキルのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CONH(C1〜C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1〜C4アルキル)CON(C1〜C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1〜C4アルキル)−、−SON(C1〜C4アルキル)−、N(C1〜C4アルキル)SO−、または−N(C1〜C4アルキル)SON(C1〜C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0095】
複数の実施形態では、Rは独立に、H、または−X−Rで必要に応じて置換されているC1〜8脂肪族基ある。複数の例では、RはHである。
【0096】
いくつかの実施形態では、Rは、(シクロ脂肪族)アルキル、(ヘテロシクロ脂肪族)アルキル、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、ここでRのアルキル部分はRで置換されている。他の実施形態では、Rは、それぞれWRで必要に応じて置換されているアラルキルまたはヘテロアラルキルである。
【0097】
いくつかの実施形態では、Rはそれぞれ、C1〜8アラルキルまたはC1〜8ヘテロアラルキルであり、ここでRのアルキル部分は、Rで必要に応じて置換されており、Rのアルキル部分のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、Rのアリールまたはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。
【0098】
いくつかの実施形態では、Rは、C1〜8アラルキルまたはC1〜8ヘテロアラルキルであり、ここでアリールまたはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。Rは、−(C1〜4アルキル)−アリールであり、ここでアリールは、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。Rは、−(C1〜4アルキル)−アリールであり、ここでアリールは、アルコキシ、ハロ、アルキルカルボニルアミノ、脂肪族、およびアルキルカルボニルから独立に選択された1〜2個の置換基で置換されている。Rは、−(C1〜4アルキル)−ヘテロアリールであり、ここでヘテロアリールは、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。Rは、−(C1〜4アルキル)−ヘテロアリールであり、ここでヘテロアリールは、アルコキシ、ハロ、アルキルカルボニルアミノ、脂肪族、アルキルアリールアルキル、およびアルキルカルボニルから独立に選択された1〜2個の置換基で置換されている。
【0099】
いくつかの実施形態では、Rは、C1〜8アラルキルまたはC1〜8ヘテロアラルキルであり、ここでアリールまたはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、C1〜4アルキル部分の非隣接のメチレン単位は1個または2個が、−O−、−NR’−、−S−、−SO−、−COO−、または−CO−で必要に応じてかつ独立に置換されている。Rは、C1〜8アラルキルまたはC1〜8ヘテロアラルキルであり、ここでアリールまたはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、C1〜4アルキル部分の非隣接のメチレン単位は1個または2個が、O、NR’、またはSで必要に応じてかつ独立に置換されている。
【0100】
いくつかの実施形態では、Rは、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族であり、これらはそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。複数の例では、Rは、単環式シクロ脂肪族または単環式ヘテロ環式脂肪族である。いくつかの例では、Rは、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、またはシクロプロピルであり、これらはそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。複数の他の例では、Rはシクロ脂肪族であり、Rは、必要に応じて置換されているアリールで置換されている。Rのさらに具体的な例としては、必要に応じて置換されているフェニルで一置換されているシクロヘキシル、シクロペンチル、またはシクロプロピルが挙げられる。
【0101】
他の例では、Rは、ピペリジニルまたはテトラヒドロピロリルであり、これらはそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。他の例では、Rは、二環式脂肪族または二環式ヘテロ脂肪族であり、二環式脂肪族または二環式ヘテロ脂肪族はそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。Rは、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている二環式脂肪族である。Rは、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されているノボルナニルである。あるいは、Rは、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されているトロパンである。
【0102】
いくつかの実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているC1〜4脂肪族基である。
【0103】
複数の実施形態では、Rは、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族であり、これらはそれぞれ、アリールまたはヘテロアリールと必要に応じて縮合し、ここでRは、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族環の化学的に実現可能な任意の位置において核構造のアミノ窒素原子に結合し、Rは、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている。
【0104】
複数の実施形態では、Rは、下記であり
【0105】
【化14】

ここでRは、化学的に実現可能な任意の位置において1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、−WRは上記に定義されている。例えば、Rは、下記である。
【0106】
【化15】

複数の代替実施形態では、Rは、インドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ヒドロインダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、またはインデニルであり、これらはそれぞれ、1〜3個のアルコキシ、脂肪族、ハロ、またはアルキルカルボニルで必要に応じて置換されている。
【0107】
他の実施形態では、Wは、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここで非隣接のメチレン単位は1個または2個が、−O−、−NR’−、−S−、−SO−、−COO−、または−CO−で必要に応じてかつ独立に置換されている。いくつかの実施形態では、RはR’またはハロである。さらに他の実施形態では、WRは出現するたびに独立に、−C1〜3アルキル、−O(C1〜3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、または−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されている単環式もしくは二環式の芳香族環、必要に応じて置換されているアリールスルホニル、必要に応じて置換されている5員ヘテロアリール環、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)である。Wは結合であり、RはハロまたはR’である。
【0108】
いくつかの実施形態では、mは1または2である。
【0109】
いくつかの実施形態では、mは0である。あるいは、mは1である。あるいは、mは2である。いくつかの実施形態では、mは3である。さらに他の実施形態では、mは4である。
【0110】
いくつかの実施形態では、Rは水素である。あるいは、Rは、必要に応じて置換されているC1〜8脂肪族基である。いくつかの実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているC1〜4脂肪族である。
【0111】
本発明の一実施形態では、Rはそれぞれ、同時に水素である。別の実施形態では、RおよびRは共に、同時に水素である。
【0112】
別の実施形態では、RはX−Rであり、式中、Xは−SONR’−であり、RはR’である。
【0113】
いくつかの実施形態では、Xは、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここで非隣接のメチレン単位は1個または2個が、−O−、−NR−、−S−、−SO−、−COO−、または−CO−で必要に応じてかつ独立に置換されている。いくつかの実施形態では、RはR’またはハロである。さらに他の実施形態では、XRは出現するたびに独立に、−C1〜3アルキル、−O(C1〜3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、または−COOR’、−COR’、−O(CHN(R)(R’)、−O(CH)N(R)(R’)、−CON(R)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されているフェニル、−N(R)(R’)、−(CHN(R)(R’)、または−(CH)N(R)(R’)である。
【0114】
いくつかの実施形態では、Rは水素である。いくつかの他の実施形態では、RはC1〜4直鎖状または分岐状の脂肪族である。
【0115】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、脂肪族、アルキルカルボニルアミノ、またはアルコキシから選択される。
【0116】
いくつかの実施形態では、WRは出現するたびに独立に、−C1〜3アルキル、−O(C1〜3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、−SONH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R)(R’)、−O(CH)N(R)(R’)、−CON(R)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されている単環式もしくは二環式の芳香族環、必要に応じて置換されているアリールスルホニル、必要に応じて置換されている5員ヘテロアリール環、−N(R)(R’)、−(CHN(R)(R’)、または−(CH)N(R)(R’)である。他の実施形態では、−WRは、脂肪族、アルコキシ、またはアルキルカルボニルアミノから選択される。
【0117】
複数の実施形態では、式IIIのR10はシクロ脂肪族である。R10としては例えば、シクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、またはシクロブチルが挙げられ、これらはそれぞれ、1〜3個の脂肪族、アリール、またはヘテロアリールで必要に応じて置換されている。R10が脂肪族、ハロ、アリール、またはヘテロアリールで置換されている場合、前記脂肪族、ハロ、アリール、またはヘテロアリールは、1〜3個のアルコキシ、ハロ、または脂肪族で必要に応じて置換されていてもよい。
【0118】
複数の他の実施形態では、R10はヘテロシクロ脂肪族である。R10としては例えば、テトラヒドロフリル、ピペリジニル、またはピロリジニルが挙げられ、これらはそれぞれ、1〜3個の脂肪族、ハロ、アリール、またはヘテロアリールで必要に応じて置換されている。R10が脂肪族、ハロ、アリール、またはヘテロアリールで置換されている場合、前記脂肪族、ハロ、アリール、またはヘテロアリールは、1〜3個のアルコキシ、ハロ、または脂肪族で必要に応じて置換されていてもよい。
【0119】
複数の他の実施形態では、式IIIのR10は、下記から選択される1つである。
【0120】
【化16】

複数の実施形態では、R11は、必要に応じて置換されているアリールまたはヘテロアリールである。複数の他の実施形態では、R11は、ハロ、脂肪族、アリール、ヘテロアリール、およびアルコキシから独立に選択された1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている。R11が脂肪族、アリール、ヘテロアリール、またはアルコキシで置換されている場合、前記脂肪族、アリール、ヘテロアリール、またはアルコキシは、1〜3個のアルコキシ、脂肪族、またはハロで必要に応じて置換されていてもよい。
【0121】
複数の追加の実施形態では、R11は、下記から選択される1つである。
【0122】
【化17】

さらに別の実施形態では、RとRは一緒になって、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている5〜7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する。特定の実施形態では、RとRは一緒になって、必要に応じて置換されているピペリジンまたは必要に応じて置換されているピペラジンを形成する。
【0123】
本発明の代表的な化合物としては、下記が挙げられる。
【0124】
【化18】

【0125】
【化19】

5.一般合成スキーム
式Iの化合物は、当技術分野で知られている方法で調製することができる。下記のスキーム1および2は、式Iの化合物の例示的合成方法を示す。
【0126】
【化20】

出発物のインドールオキサリルクロリド類およびインドールシュウ酸類は市販されており、または知られている方法で調製される。
【0127】
スキーム1および2に従って調製される本発明の例示的化合物は、下記の実施例に記載される。
【0128】
5.使用、処方、および投与
薬剤として許容できる組成物
上記に記述したように、本発明は、ABCトランスポーターのモジュレーターとして有用であり、したがって嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管性浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞病/偽性ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン症、糖尿病、ラーロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、悪性黒色腫、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経学的障害、例えばハンチントン、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する)、ファブリー病、およびストロイスラー−シャインカー病などの疾患、障害、または病態の治療に有用である化合物を提供する。
【0129】
したがって、本発明の別の態様では、本明細書に記載する化合物のいずれかを含み、必要に応じて薬剤として許容できる担体、アジュバント、またはビヒクルを含む、薬剤として許容できる組成物が提供される。いくつかの実施形態では、これらの組成物は、必要に応じて1つまたは複数の追加の治療剤をさらに含む。
【0130】
本発明の化合物のいくつかは、治療のための遊離の形、あるいは適切な場合には、その薬剤として許容できる誘導体またはプロドラッグとして存在できることも理解されよう。本発明によれば、薬剤として許容できる誘導体またはプロドラッグとしては、薬剤として許容できる塩、エステル、このようなエステルの塩、あるいは必要とする患者に投与すると、本明細書に通常なら記載する化合物、またはその代謝産物もしくは残基を直接もしくは間接的に提供することができる任意の他の付加物もしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
本明細書では、「薬剤として許容できる塩」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしに、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適切であり、合理的な利益/危険比と釣り合っている塩を意味する。「薬剤として許容できる塩」は、レシピエントに投与すると、本発明の化合物、またはその阻害活性代謝物もしくは残基を直接または間接的に提供することができる本発明の化合物の任意の非毒性の塩またはエステルの塩を意味する。
【0132】
薬剤として許容できる塩は、当技術分野で周知である。例えば、S. M. Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれるJ. Pharmaceutical Sciences、1977年、66巻、1〜19頁に、薬剤として許容できる塩を詳述している。本発明の化合物の薬剤として許容できる塩としては、適切な無機酸および有機酸、ならびに塩基に由来する塩が挙げられる。薬剤として許容できる無毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸を用いて、あるいはイオン交換体など、当技術分野で使用される他の方法で形成される、アミノ基の塩である。他の薬剤として許容できる塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明では、本明細書に開示する化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も考えられている。このような四級化によって、水または油に可溶性または分散性の生成物を得ることができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。別の薬剤として許容できる塩としては、適切な場合には、ハリド、ヒドロキシド、カルボキシラート、スルファート、ホスファート、ニトラート、低級アルキルスルホナート、およびアリールスルホナートなどの対イオンを用いて生成される無毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
【0133】
上述したように、本発明の薬剤として許容できる組成物は、薬剤として許容できる担体、アジュバント、またはビヒクルをさらに含み、これらとして、本明細書では、所望の個別の剤形に適した任意のおよびすべての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘もしくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などが挙げられる。Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005年、D.B. Troy編、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、ならびにEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. SwarbrickおよびJ. C. Boylan編、1988〜1999頁、Marcel Dekker, New York(それぞれ、その内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、薬剤として許容できる組成物を処方する際に使用される様々な担体、およびその調製のための周知の技法を開示する。任意の通常の担体媒体が、何らかの望ましくない生体効果を生じ、またはその他の方法で薬剤として許容できる組成物の任意の他の成分と相互作用して害を及ぼすことなどによって、本発明の化合物と適合しない場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると考えられる。薬剤として許容できる担体として機能することができる材料の一部の例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、ホスファート、グリシン、ソルビン酸、もしくはソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩もしくは電解質、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリラート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;トウモロコシデンプンやジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびセルロースアセタートなどのセルロースおよびその誘導体;トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターや座剤ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油などの油;プロピレングリコールやポリエチレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルやラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびホスファート緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムやステアリン酸マグネシウムなど、他の非毒性の相溶性滑沢剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、矯味剤、および芳香剤が挙げられるが、これらに限定されず、防腐剤および酸化防止剤も、処方者の判断に従って組成物に存在することができる。
【0134】
化合物および薬剤として許容できる組成物の使用
さらに別の態様では、本発明は、ABCトランスポーター活性が関与する病態、疾患、または障害を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、ABCトランスポーター活性の欠損が関与する病態、疾患、または障害を治療する方法であって、式(I)の化合物を含む組成物を、それを必要とする対象、好ましくは哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0135】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管性浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞病/偽性ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン症、糖尿病、ラーロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、悪性黒色腫、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経学的障害、例えばハンチントン、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する)、ファブリー病、およびストロイスラー−シャインカー病、分泌性下痢、多発性嚢胞腎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼球乾燥疾患、およびシェーグレン症候群を治療する方法であって、前記哺乳動物に、有効量の式(I)の化合物または上述するその好ましい実施形態を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0136】
代替の好ましい実施形態によれば、本発明は、前記哺乳動物に組成物を投与するステップを含む、嚢胞性線維症を治療する方法であって、前記哺乳動物に有効量の式(I)の化合物または上述するその好ましい実施形態を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0137】
本発明によれば、「有効量」の化合物または薬剤として許容できる組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管性浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞病/偽性ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン症、糖尿病、ラーロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、悪性黒色腫、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経学的障害、例えばハンチントン、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー病、分泌性下痢、多発性嚢胞腎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼球乾燥疾患、およびシェーグレン症候群の1つまたは複数を治療し、あるいはその重症度を緩和するのに有効なその量である。
【0138】
本発明の方法によれば、化合物および組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管性浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞病/偽性ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン症、糖尿病、ラーロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、悪性黒色腫、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経学的障害、例えばハンチントン、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー病、分泌性下痢、多発性嚢胞腎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼球乾燥疾患、およびシェーグレン症候群の1つまたは複数を治療し、あるいはその重症度を緩和するのに有効な任意の量および任意の投与経路で投与することができる。
【0139】
必要とされる正確な量は、対象によって変わり、対象の種、年齢、および全身状態、感染の重症度、個別の作用剤、その投与モードなどに依存する。本発明の化合物は、好ましくは投与を容易し用量を均一にするため投与単位形態で処方される。本明細書では、「投与単位形態」という表現は、治療対象の患者に適した作用剤の物理的に個別の単位を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の1日の全使用量は、健全な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解されよう。任意の個別の患者または有機体の特定の有効用量レベルは、治療対象の障害および障害の重症度、使用する特定の化合物の活性、使用する特定の組成物、患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別、および食餌、使用する特定の化合物の投与時間、投与経路、および排泄速度、治療期間、使用する特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用する薬物、ならびに医療技術分野で周知の同様な要因を含めて、様々な要因に依存する。本明細書では、「患者」という用語は、動物、例えば哺乳動物、より具体的にはヒトを意味する。
【0140】
本発明の薬剤として許容できる組成物は、ヒトおよび他の動物に、治療対象の感染の重症度に応じて、経口、直腸、非経口、大槽内、腟内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤、または滴剤によるものとして)、頬側(経口またはスプレー式点鼻薬として)投与などをすることができる。いくつかの実施形態では、本発明の化合物を、対象の体重/日の用量レベル約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kg、1日1回または複数回で経口または非経口投与して、所望の治療効果を得ることができる。
【0141】
経口投与用の液体剤形としては、薬剤として許容できる乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物など、他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤など、当技術分野で使用される不活性希釈剤を含有することができる。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤化剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、矯味剤、および芳香剤などのアジュバントも含むことができる。
【0142】
注射可能な製剤、例えば注射可能な水性または油性の無菌懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤化剤、および懸濁化剤を使用する周知の技術に従って処方することができる。注射可能な無菌製剤は、非経口的に許容できる無毒性の希釈剤または溶媒中、例えば溶媒として1,3−ブタンジオール中の注射可能な無菌液剤、懸濁剤、または乳剤とすることもできる。これらの使用することができる許容できるビヒクルおよび溶媒の中で、水、リンゲル液、U.S.P.および等張食塩水溶液が有用である。さらに、無菌の不揮発性油は通常、溶媒または懸濁化媒体として使用される。このために、合成モノまたはジグリセリドを含めて、任意の無刺激不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製に使用される。
【0143】
注射可能な処方剤は、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって、あるいは使用する前に無菌水または他の注射可能な無菌媒体に溶解または分散することができる無菌固体組成物の形で滅菌剤を組み込むことによって、無菌化することができる。
【0144】
本発明の化合物の効果を延長するためには、化合物の皮下注射または筋肉内注射からの吸収を遅延させることが望ましい場合が多い。これは、水溶性が不十分な結晶質または非晶質の材料の液体懸濁剤の使用によって実施することができる。その場合、化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は結晶サイズおよび結晶形に依存することがある。あるいは、非経口投与された化合物の形の遅延吸収は、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることによって実施される。注射可能なデポー剤形は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。化合物とポリマーの比、および使用する個別のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーとしては例えば、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。体組織と適合性があるリポソームまたはマイクロエマルジョンに化合物を封入することによって、注射可能なデポー処方剤も調製される。
【0145】
直腸または腟内の投与用の組成物は、周囲温度で固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔で溶融し、活性化合物を放出する、カカオバター、ポリエチレングリコール、または座剤ワックスなど、適切な非刺激性賦形剤または担体と本発明の化合物を混合することによって調製することができる坐剤であることが好ましい。
【0146】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体剤形では、活性化合物を、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウムなど、少なくとも1つの薬剤として許容できる不活性な賦形剤もしくは担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリカート、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの難溶化剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールやグリセロールモノステアラートなどの湿潤化剤、h)カオリンやベントナイト粘土などの吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにその混合物と混合する。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合は、剤形は緩衝剤を含むこともできる。
【0147】
同様のタイプの固体組成物を、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、製薬技術分野で周知の腸溶性コーティングや他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらは、不透明化剤を必要に応じて含有することがあり、活性成分のみをまたはそれを優先的に、腸管のある部分で、必要に応じて遅延方式で放出する組成物を有することもできる。使用することができる包埋組成物としては例えば、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物も、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用することができる。
【0148】
活性化合物は、上述したような1つまたは複数の賦形剤を含むマイクロカプセル形態とすることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、製薬技術分野で周知の腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。このような固体剤形では、活性化合物を、スクロース、ラクトース、またはデンプンなど、少なくとも1つの不活性希釈剤と混和することができる。このような剤形は、通常の慣行であるように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えばステアリン酸マグネシウムや微結晶性セルロースなどの打錠用滑沢剤および他の打錠助剤を含むこともできる。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合は、剤形は緩衝剤を含むこともできる。これらは、不透明化剤を必要に応じて含有することがあり、活性成分のみをまたはそれを優先的に、腸管のある部分で、必要に応じて遅延方式で放出する組成物を有することもできる。使用することができる包埋組成物としては例えば、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0149】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤、または貼付剤が挙げられる。活性成分を、無菌条件下で、必要とされ得る薬剤として許容できる担体、および任意の必要とされる防腐剤または緩衝剤と混和させる。眼科用処方剤、点耳剤、および点眼剤も本発明の範囲内であると考えられる。さらに、本発明では、化合物を体に制御送達するという追加の利点を有する経皮貼付剤の使用が考えられている。このような剤形は、化合物を適切な媒体中で溶解または分配することによって調製される。吸収促進薬を使用して、皮膚を通過する化合物の流入を増大させることもできる。速度は、速度制御膜を備えることによって、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散することによって制御することができる。
【0150】
概略的に上述したように、本発明の化合物は、ABCトランスポーターのモジュレーターとして有用である。したがって、特定の理論に拘泥するものではないが、化合物および組成物は、特にABCトランスポーターの活性亢進または不活性が疾患、病態、もしくは障害に関与している疾患、病態、もしくは障害を治療し、またはその重症度を緩和するのに有用である。ABCトランスポーターの活性亢進または不活性が個別の疾患、病態、または障害に関与している場合、疾患、病態、または障害は、「ABCトランスポーターによって媒介される疾患、病態、または障害」とも呼ばれることがある。したがって、別の態様では、本発明は、ABCトランスポーターの活性亢進または不活性が病状に関与している疾患、病態、または障害を治療し、その重症度を緩和する方法を提供する。
【0151】
ABCトランスポーターのモジュレーターとして本発明で利用される化合物の活性は、一般的に当技術分野、および本明細書の実施例で記載されている方法に従って定量することができる。
【0152】
本発明の化合物および薬剤として許容できる組成物を併用療法で使用することができる、すなわち化合物および薬剤として許容できる組成物を、1つまたは複数の他の所望の治療剤または医療手法と同時、それより先または後に投与できることも理解されよう。併用レジメンで使用するための治療剤(治療剤または手法)の具体的な併用は、所望の治療剤および/または手法の相溶性、ならびに実現すべき所望の治療効果を考慮に入れる。使用する治療剤は、同じ障害に対して所望の効果を実現でき(例えば、本発明の化合物を、同じ障害を治療するために使用される別の作用剤と同時に投与することができる)、または異なる効果を実現できる(例えば、任意の有害作用の制御)ことも理解されよう。本明細書では、個別の疾患または病態を治療または予防するために一般的に投与される追加の治療剤は、「治療対象の疾患または病態に適している」ことが知られている。
【0153】
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として含む組成物で通常なら投与されるはずの量以下である。好ましくは、本明細書に開示する組成物中の追加の治療剤の量は、その作用剤を唯一の治療活性剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%である。
【0154】
義肢、人工弁、移植血管、ステント、およびカテーテルなどの植込み型医療装置をコーティングするための組成物に、本発明の化合物またはその薬剤として許容できる組成物を組み込むこともできる。したがって、別の態様では、本発明は、本明細書に概略的にクラスおよびサブクラスで上述される本発明の化合物、および前記植込み型装置をコーティングするのに適した担体を含む、植込み型装置をコーティングするための組成物を含む。さらに別の態様では、本発明は、本明細書に概略的にクラスおよびサブクラスで上述される本発明の化合物、および前記植込み型装置をコーティングするのに適した担体を含む組成物でコーティングされた植込み型装置を含む。コーティングされた植込み型装置の適切なコーティングおよび一般調製は、米国特許第6,099,562号、第5,886,026号、および第5,304,121号に記載されている。コーティングは、通常はヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびその混合物などの生体適合性ポリマー材料である。必要に応じて、コーティングをフルオロシリコーン、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはその組合せの適切なトップコートでさらに被覆して、組成物の放出制御特性を与えることができる。
【0155】
本発明の別の態様は、生体試料もしくは患者(例えば、in vitroまたはin vivo)においてABCトランスポーター活性を調節することであって、式Iの化合物もしくは前記化合物を含む組成物を患者に投与し、またはそれと前記生体試料を接触させることを含む方法に関する。本明細書では、「生体試料」という用語は、制限なく、細胞培養液またはその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、もしくは他の体液またはその抽出物を包含する。
【0156】
生体試料におけるABCトランスポーター活性の調節は、当業者に周知である様々な目的のために有用である。このような目的としては例えば、生物学的および病理学的現象におけるABCトランスポーターの研究、およびABCトランスポーターの新規モジュレーターの比較評価が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
さらに別の実施形態では、in vitroまたはin vivoにおいてアニオンチャネルの活性を調節する方法であって、前記チャネルを式(I)の化合物と接触させるステップを含む方法が提供されている。好ましい実施形態では、アニオンチャネルは、クロリドチャネルまたはビカルボナートチャネルである。他の好ましい実施形態では、アニオンチャネルは、クロリドチャネルである。
【0158】
代替の一実施形態によれば、本発明は、細胞膜中の機能性ABCトランスポーターの数を増大させる方法であって、前記細胞を式(I)の化合物と接触させるステップを含む方法を提供する。本明細書では、「機能性ABCトランスポーター」という用語は、輸送活性が可能であるABCトランスポーターを意味する。好ましい実施形態では、前記機能性ABCトランスポーターはCFTRである。
【0159】
別の好ましい実施形態によれば、ABCトランスポーターの活性は、膜電位を測定することによって測定される。生体試料の膜間電位を測定する手段は、光膜電位アッセイや他の電気生理学的方法など、当技術分野で周知の方法のいずれかを用いることができる。
【0160】
光膜電位アッセイには、GonzalezおよびTsienが説明する電位感受性FRETセンサー(Gonzalez, J. E.およびR. Y. Tsien、(1995年)、「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」、Biophys J、69巻(4号):1272〜80頁、ならびにGonzalez, J. E.およびR. Y. Tsien、(1997年)、「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」、Chem Biol、4巻(4号):269〜77頁を参照のこと)を、電位/イオンプローブリーダー(VIPR)など、蛍光変化を測定する機器(Gonzalez, J. E.、K. Oadesら、(1999年)、「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」、Drug Discov Today、4巻(9号):431〜439頁を参照のこと)と組み合わせて利用する。
【0161】
これらの電位感受性アッセイは、膜に可溶な電位感受性色素であるDiSBAC(3)と、原形質膜の外葉に結合しFRETドナーとして機能する蛍光リン脂質であるCC2−DMPEとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化に基づく。膜電位(V)の変化によって、負に帯電したDiSBAC(3)は原形質膜を通過して再分布し、CC2−DMPEからのエネルギー移動量はそれに応じて変化する。蛍光発光の変化は、細胞ベースのスクリーニングを96ウェルまたは384ウェルのマイクロタイタープレートで実施するように設計された、リキッドハンドラーと蛍光検出器の統合物であるVIPR(商標)IIを使用して監視することができる。
【0162】
別の態様では、本発明は、in vitroまたはin vivoにおいて生体試料のABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定する際に使用するためのキットであって、(i)式(I)の化合物または上記の実施形態のいずれかを含む組成物、および(ii)a)組成物を生体試料と接触させ、b)前記ABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定するための指示書を含むキットを提供する。一実施形態では、キットはさらに、a)追加の組成物を生体試料と接触させ、b)前記追加の化合物の存在下における前記ABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定し、c)追加の化合物の存在下におけるABCトランスポーターの活性を、式(I)の組成物の存在下におけるABCトランスポーターの密度と比較するための指示書を含む。好ましい実施形態では、キットを使用して、CFTRの密度を測定する。
【0163】
本明細書に記載する本発明がより完全に理解されるために、下記の実施例を記載する。これらの実施例は例示の目的にすぎず、本発明を限定するものとして決して解釈されるべきでないことを理解されたい。
【実施例】
【0164】
6.実施例
例示的化合物の合成を下記の実施例に記載する。
(実施例1)
N−ベンズヒドリル−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミド
上記のスキームIに従って、(1H−インドール−3−イル)−オキソ−アセチルクロリドおよびC,C−ジフェニル−メチルアミンを出発物として、N−ベンズヒドリル−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミドを合成した。収率(52%)。HPLC保持時間3.59分、10〜99% CHCN、5分ラン;H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 12.26 (s, 1H), 9.56 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 8.56 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 8.22 (m, 1H), 7.54 (m, 1H), 7.43−7.26 (m, 12H), 6.32 (d, J = 9.1 Hz, 1H); ESI−MS 355.5 m/z (MH).
(実施例2)
2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−N−フェネチル−アセトアミド
上記のスキームIに従って、(1H−インドール−3−イル)−オキソ−アセチルクロリドおよびフェネチルアミンを出発物として、2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−N−フェネチル−アセトアミドを合成した。収率(61%)。HPLC保持時間3.17分、10〜99% CHCN、5分ラン;H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 12.23 (s, 1H), 8.79 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.23 (m, 1H), 7.53 (m, 1H), 7.33−7.19 (m, 7H), 3.47 (m, 2H), 2.85 (t, J = 7.4 Hz, 2H); ESI−MS 293.3 m/z (MH).
(実施例5)
N,N−ジベンジル−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミド
上記のスキームIに従って、(1H−インドール−3−イル)−オキソ−アセチルクロリドおよびジベンジルアミンを出発物として、N,N−ジベンジル−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミドを合成した。収率(58%)。HPLC保持時間3.52分、10〜99% CHCN、5分ラン;H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 12.36 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 8.11 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.54 (m, 1H), 7.43−7.39 (m, 2H), 7.35−7.22 (m, 10H), 4.54 (s, 2H), 4.41 (s, 2H); ESI−MS 369.3 m/z (MH).
(実施例10)
2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−N−フェネチル−アセトアミド
上記のスキームIIに従って、(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−オキソ−酢酸およびフェネチルアミンを出発物として、2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−N−フェネチル−アセトアミドを合成した。収率(61%)。HPLC保持時間3.38分、10〜99% CHCN、5分ラン;H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 8.80 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.25 (m, 1H), 7.60 (m, 1H), 7.36−7.20 (m, 7H), 3.91 (s, 3H), 3.47 (m, 2H), 2.86 (t, J = 7.4 Hz, 2H); ESI−MS 307.3 m/z (MH).
(実施例12)
N−ベンズヒドリル−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミド
上記のスキームIIに従って、(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−オキソ−酢酸およびC,C−ジフェニル−メチルアミンを出発物として、N−ベンズヒドリル−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミドを合成した。収率(11%)。HPLC保持時間3.79分、10〜99% CHCN、5分ラン;H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 9.56 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.24 (m, 1H), 7.61 (m, 1H), 7.43−7.26 (m, 12H), 6.32 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 3.90 (s, 3H); ESI−MS 369.1 m/z (MH).
(実施例14)
N−ベンジル−2−(1H−インドール−3−イル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミド
上記のスキームIに従って、(1H−インドール−3−イル)−オキソ−アセチルクロリドおよびベンジル−メチル−アミンを出発物として、N−ベンジル−2−(1H−インドール−3−イル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドを合成した。収率(54%)。HPLC保持時間2.96分、10〜99% CHCN、5分ラン;H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 12.35 (s, 1H), 8.25 (s, 0.5H), 8.13−8.11 (m, 1.5H), 7.54 (m, 1H), 7.44−7.23 (m, 7H), 4.68 (s, 1H), 4.47 (s, 1H), 2.88 (s, 1.5H), 2.85 (s, 1.5H); ESI−MS 293.3 m/z (MH).
(実施例15)
N,N−ジベンジル−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミド
上記のスキームIIに従って、(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−オキソ−酢酸およびジベンジルアミンを出発物として、N,N−ジベンジル−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミドを合成した。収率(70%)。HPLC保持時間3.70分、10〜99% CHCN、5分ラン;H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 8.28 (s, 1H), 8.12 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.43−7.25 (m, 12H), 4.55 (s, 2H), 4.40 (s, 2H), 3.93 (s, 3H); ESI−MS 383.3 m/z (MH).
(実施例18)
N−(2,2−ジフェニルエチル)−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミド
上記のスキームIに従って、(1H−インドール−3−イル)−オキソ−アセチルクロリドおよび2,2−ジフェニル−エチルアミンを出発物として、N−(2,2−ジフェニルエチル)−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミドを合成した。収率(48%)。HPLC保持時間3.55分、10〜99% CHCN、5分ラン;H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 12.22 (s, 1H), 8.70 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 8.50 (s, 1H), 8.17 (m, 1H), 7.52 (m, 1H), 7.36−7.18 (m, 12H), 4.43 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 3.90 (dd, J = 8.0, 6.0 Hz, 2H); ESI−MS 369.3 m/z (MH).
化学技術分野の技術者は、実施例および上記のスキームを用いて、表1の化合物を含めて、本発明の化合物を合成することができる。
【0165】
上記の実施例に従って調製された本発明の化合物を特徴付けるデータを下記に示す。
【0166】
【表1−1】

【0167】
【表1−2】

7.化合物のΔF508−CFTR修正特性を検出し測定するアッセイ
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための膜電位の光学的方法
光膜電位アッセイには、GonzalezおよびTsienが説明する電位感受性FRETセンサー(Gonzalez, J. E.およびR. Y. Tsien、(1995年)、「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」、Biophys J、69巻(4号):1272〜80頁、ならびにGonzalez, J. E.およびR. Y. Tsien、(1997年)、「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」、Chem Biol、4巻(4号):269〜77頁を参照のこと)を、電位/イオンプローブリーダー(VIPR)など、蛍光変化を測定する機器(Gonzalez, J. E.、K. Oadesら、(1999年)、「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」、Drug Discov Today、4巻(9号):431〜439頁を参照のこと)と組み合わせて利用した。
【0168】
これらの電位感受性アッセイは、膜に可溶性の電位感受性色素であるDiSBAC(3)と、原形質膜の外葉に結合しFRETドナーとして機能する蛍光リン脂質であるCC2−DMPEとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化に基づく。膜電位(V)の変化によって、負に帯電したDiSBAC(3)は原形質膜を通過して再分布し、CC2−DMPEからのエネルギー移動量はそれに応じて変化する。細胞ベースのスクリーニングを96ウェルまたは384ウェルのマイクロタイタープレートで実施するように設計された、リキッドハンドラーと蛍光検出器の統合物であるVIPR(商標)IIを使用して、蛍光発光の変化を監視した。
【0169】
修正化合物の同定
ΔF508−CFTRに関連する輸送欠陥を修正する低分子を同定するために、単独添加HTSアッセイフォーマットを開発した。試験化合物の存在下または非存在下(負の対照)に、細胞を無血清培地で16時間、37℃で培養した。正の対照として、384ウェルプレートに蒔かれた細胞を27℃で16時間培養して、ΔF508−CFTRを「温度修正」した。引き続いて、細胞をクレブス・リンゲル液で3回すすぎ、電位感受性色素を添加した。ΔF508−CFTRを活性化するために、10μM ホルスコリン、およびCFTR相乗剤であるゲニステイン(20μM)をCl不含培地と共に、各ウェルに添加した。Cl不含培地を添加すると、ΔF508−CFTR活性化に応答するClの流出が促進され、その結果生じた膜脱分極を、FRETに基づく電位センサー用色素を使用して光学的に監視した。
【0170】
相乗剤化合物の同定
ΔF508−CFTRの相乗剤を同定するために、二重添加HTSアッセイフォーマットを開発した。第1の添加では、試験化合物を含むかまたは含まないCl不含培地を各ウェルに添加した。22秒後、第2の添加として、2〜10μM ホルスコリンを含有するCl不含培地を添加して、ΔF508−CFTRを活性化した。両方の添加後の細胞外Clの濃度は28mMであった。これによって、ΔF508−CFTR活性化に応答するClの流出が促進され、その結果生じた膜脱分極を、FRETに基づく電位センサー用色素を使用して光学的に監視した。
【0171】
溶液
浴液#1:(単位mM)NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、NaOHでpHを7.4にする。
【0172】
クロリド不含浴液:浴液#1中のクロリド塩がグルコン酸塩で置換されている。
【0173】
CC2−DMPE:DMSO中10mMの保存溶液として調製し、−20℃で貯蔵。
【0174】
DiSBAC(3):DMSO中10mMのストックとして調製し、−20℃で貯蔵。
【0175】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学的測定に使用する。175cmの培養用フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1倍NEAA、□−ME、1倍ペニシリン/ストレプトマイシン、および25mM HEPESを補充したダルベッコ変法イーグル培地で、5%CO、湿度90%、37℃で、細胞を維持した。すべての光学的アッセイのために、細胞を30,000個/ウェルで384ウェルのマトリゲルコートプレートに播種し、相乗剤アッセイのために、37℃で2時間培養してから、27℃で24時間培養した。修正アッセイのために、細胞を化合物と共にまたはそれなしに、27℃または37℃で16〜24時間培養した。
【0176】
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイする電気生理学的アッセイ
1.ウッシングチェンバーアッセイ
ΔF508−CFTRを発現する極性のある上皮細胞について、ウッシングチェンバー実験を行って、さらにΔF508−CFTRモジュレーターを特徴付けし、光学的アッセイで同定した。Costar Snapwell細胞培養インサートで増殖させたFRTΔF508−CFTR上皮細胞をウッシングチェンバー(Physiologic Instruments,Inc.,San Diego,CA)に設置し、電位固定装置(Department of Bioengineering,University of Iowa,IAおよびPhysiologic Instruments,Inc.,San Diego,CA)を使用して、単層を連続的に短絡した。2mVのパルスをかけることによって、経上皮抵抗を測定した。これらの条件下で、FRT上皮は4KΩ/cm以上の抵抗値を示した。溶液を27℃で維持し、空気でバブリングした。細胞を含まないインサートを使用して、電極オフセット電位および流体抵抗を修正した。これらの条件下で、電流は、頂端膜で発現しているΔF508−CFTRを通過するClの流れを反映している。MP100A−CEインターフェースおよびAcqKnowledgeソフトウェア(v3.2.6;BIOPAC Systems,Santa Barbara,CA)を使用して、ISCをデジタル的に取得した。
【0177】
修正化合物の同定
典型的プロトコルは、側底膜から頂端膜のCl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するために、通常のリンゲルを側底膜側に使用した一方、頂端側NaClを等モルのグルコン酸ナトリウムで置換して(NaOHでpHを7.4に滴定)、上皮の両端間のCl濃度勾配を大きくした。実験はすべて、インタクトな単層を用いて行った。ΔF508−CFTRを完全に活性化するために、ホルスコリン(10μM)、およびPDE阻害剤であるIBMX(100μM)を添加し、続いてCFTR相乗剤であるゲニステイン(50μM)を添加した。
【0178】
他の細胞型で観察されるように、ΔF508−CFTRを安定に発現するFRT細胞の低温での培養によって、原形質膜におけるCFTRの機能密度が増大する。修正化合物の活性を決定するために、細胞を10μMの試験化合物と共に、37℃で24時間培養し、続いて3回洗浄してから、記録した。化合物で処理した細胞における、cAMPおよびゲニステインによって媒介されるISCを27℃および37℃の対照に対して基準化し、活性百分率で表した。細胞を修正化合物と共に前培養すると、cAMPおよびゲニステインによって媒介されるISCが、37℃の対照に比べて大幅に増大した。
【0179】
相乗剤化合物の同定
典型的プロトコルは、側底膜から頂端膜のCl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するために、通常のリンゲルを側底膜側に使用し、ナイスタチン(360μg/ml)で透過処理した一方、頂端側NaClを等モルのグルコン酸ナトリウムで置換して(NaOHでpHを7.4に滴定)、上皮の両端間のCl濃度勾配を大きくした。実験はすべて、ナイスタチン透過処理して30分後に行った。ホルスコリン(10μM)およびすべての試験化合物を、細胞培養インサートの両側に添加した。これらの推定ΔF508−CFTR相乗剤の有効性を、周知の相乗剤であるゲニステインの有効性と比較した。
【0180】
溶液
側底側溶液(単位mM):NaCl(135)、CaCl(1.2)、MgCl(1.2)、KHPO(2.4)、KHPO(0.6)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)(10)、およびデキストロース(10)。溶液をNaOHでpHを7.4に滴定した。
【0181】
頂端側溶液(単位mM):側底側溶液と同じであるが、NaClがグルコン酸Na(135)で置換されている。
【0182】
細胞培養
ΔF508−CFTRを発現するフィッシャーラット上皮(FRT)細胞(FRTΔF508−CFTR)を、本発明者らの光学的アッセイによって同定された推定ΔF508−CFTRモジュレーターのウッシングチェンバー実験に使用した。細胞をCostar Snapwell細胞培養インサートで培養し、5%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを補充したクーン変法ハムF−12培地で、5% CO、37℃で5日間培養した。化合物の相乗剤活性の特徴付けに使用する前に、細胞を27℃で16〜48時間培養して、ΔF508−CFTRについて修正した。修正化合物の活性を決定するために、細胞を化合物と共にまたはそれなしに、27℃または37℃で24時間培養した。
【0183】
2.ホールセル記録
ΔF508−CFTRを安定に発現する、温度および試験化合物によって修正されたNIH3T3細胞における巨視的ΔF508−CFTR電流(IΔF508)を、穿孔パッチホールセル記録法で監視した。簡潔に言えば、Axopatch 200Bパッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc.,Foster City,CA)を使用して、IΔF508の電位固定記録を室温で行った。記録はすべて、サンプリング周波数10kHzで取得し、1kHzで低域フィルタリングした。ピペットは、細胞内液で充填されたとき5〜6M(の抵抗を有した。これらの記録条件下で、室温におけるClの逆転電位の計算値(ECl)は−28mVであった。記録はすべて、シール抵抗>20G(、および直列抵抗<15M(であった。パルス発生、データ取得、および解析は、Digidata 1320 A/Dインターフェースと共にClampex 8(Axon Instruments Inc.)を装備したPCを使用して行った。浴には<250μlの生理食塩水が入っており、重力駆動灌流装置を使用して、2ml/分の速度で連続灌流した。
【0184】
修正化合物の同定
原形質膜の機能性ΔF508−CFTRの密度を増大させるための修正化合物の活性を決定するために、修正化合物で24時間処置した後、上記の穿孔パッチ記録技法を使用して、電流密度を測定した。ΔF508−CFTRを完全に活性化するために、10μMホルスコリンおよび20μMゲニステインを細胞に添加した。本発明者らの記録条件下で、27℃における24時間培養した後の電流密度は、37℃における24時間培養した後に観察された電流密度より高かった。これらの結果は、低温培養が原形質膜のΔF508−CFTRの密度に及ぼす周知の効果と一致する。修正化合物がCFTR電流密度に及ぼす効果を決定するために、細胞を10μMの試験化合物と共に、37℃で24時間培養し、電流密度を27℃および37℃の対照と比較した(活性(%))。記録する前に、細胞を細胞外記録媒体で3回洗浄して、任意の残留試験化合物を除去した。10μMの修正化合物と共に前培養すると、cAMPおよびゲニステイン依存性電流が、37℃の対照に比べて大幅に増大した。
【0185】
相乗剤化合物の同定
ΔF508−CFTR相乗剤の、ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3細胞における巨視的ΔF508−CFTR Cl電流(IΔF508)を増大させる能力も、穿孔パッチ記録技法で調査した。光学的アッセイによって同定された相乗剤は、光学的アッセイで観察された同様な効力および有効性と共に、IΔF508の用量依存的増大を誘起した。試験する細胞すべてにおいて、相乗剤の添加前および添加中の逆転電位は約−30mVであった。これは、EClの計算値(−28mV)である。
【0186】
溶液
細胞内液(単位mM):アスパラギン酸Cs(90)、CsCl(50)、MgCl(1)、HEPES(10)、および240μg/mlアムホテリシン−B(CsOHでpHを7.35に調整)。
【0187】
細胞外液(単位mM):N−メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl(150)、MgCl(2)、CaCl(2)、HEPES(10)(HClでpHを7.35に調整)。
【0188】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、ホールセル記録に使用する。175cmの培養用フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1倍NEAA、β−ME、1倍ペニシリン/ストレプトマイシン、および25mM HEPESを補充したダルベッコ変法イーグル培地で、5%CO、湿度90%、37℃で、細胞を維持した。ホールセル記録では、2,500〜5,000個の細胞をポリ−L−リシンコートカバーガラスに播種し、27℃で24〜48時間培養してから、相乗剤の活性を試験するために使用し、修正化合物と共にまたはそれなしに、37℃で培養し、修正物の活性を測定した。
【0189】
3.単一チャネル記録
温度修正ΔF508−CFTRの単一チャンネル活性はNIH3T3細胞で安定に発現し、相乗剤化合物の活性は、切除したインサイドアウト膜パッチを使用して観察された。簡潔に言えば、Axopatch 200Bパッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc.)を使用して、単一チャンネル活性の電位固定記録を室温で行った。記録はすべて、サンプリング周波数10kHzで取得し、400Hzで低域フィルタリングした。パッチピペットは、Corning Kovar Sealing #7052ガラス(World Precision Instruments,Inc.,Sarasota,FL)から作製され、細胞外液で充填されたとき5〜8M(の抵抗を有した。切除した後、1mM Mg−ATP、および75nMのcAMP依存性プロテインキナーゼ、触媒サブユニット(PKA;Promega Corp.Madison,WI)を添加することによって、ΔF508−CFTRを活性化した。チャンネル活性が安定化した後、重力駆動微小灌流装置を使用して、パッチを灌流した。流入をパッチに隣接して設置し、1〜2秒内で完全な溶液交換が行われた。急速還流中ΔF508−CFTR活性を維持するために、非特異的ホスファターゼ阻害剤F(10mM NaF)を浴液に添加した。これらの記録条件では、チャンネル活性はパッチ記録の期間(最高60分)中、一定のままであった。細胞内液から細胞外液に移動する陽電荷(アニオンはその反対方向で移動する)によって生じた電流は、正電流として示される。ピペット電位(V)は、80mVに維持された。
【0190】
チャンネル活性を、≦2個の活性チャネルを含む膜パッチから解析した。最大の同時開口数によって、実験過程中の活性チャネル数が決定された。単一チャネル電流振幅を決定するために、Bio−Patch Analysisソフトウェア(Bio−Logic Comp.France)を使用して、120秒のΔF508−CFTR活性から記録されたデータを100Hzで「オフライン」フィルター処理し、次いで多重ガウス関数に一致した全点の振幅ヒストグラムを作製するために使用した。全微視的電流および開確率(P)は、120秒のチャンネル活性から決定された。Bio−Patchソフトウェアを使用して、またはP=I/i(N)という関係(式中、I=平均電流、i=単一チャネル電流振幅、およびN=パッチの活性チャネル数)から、Pを決定した。
【0191】
溶液
細胞外液(単位mM):NMDG(150)、アスパラギン酸(150)、CaCl(5)、MgCl(2)、およびHEPES(10)(トリス塩基でpHを7.35に調整)。
【0192】
細胞内液(単位mM):NMDG−Cl(150)、MgCl(2)、EGTA(5)、TES(10)、およびトリス塩基(14)(HClでpHを7.35に調整)。
【0193】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切除した膜パッチクランプ記録に使用する。175cmの培養用フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1倍NEAA、β−ME、1倍ペニシリン/ストレプトマイシン、および25mM HEPESを補充したダルベッコ変法イーグル培地で、5%CO、湿度90%、37℃で、細胞を維持した。単一チャネル記録では、2,500〜5,000個の細胞をポリ−L−リシンコートカバーガラスに播種し、27℃で24〜48時間培養してから、使用した。
【0194】
本発明の化合物は、ATP結合カセットトランスポーターのモジュレーターとして有用である。下記の表3は、表1のいくつかの実施形態のEC50および相対的有効性を示す。
【0195】
下記の表3では、次の意味を適用する。
【0196】
EC50:「+++」は<1uMを意味し、「++」は1uM〜5uMを意味し、「+」は5uM超を意味する。
【0197】
【表2−1】

【0198】
【表2−2】

他の実施形態
本発明をその詳細な説明と共に記述してきたが、上記の説明は本発明の範囲を例示するものであって、限定するものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されることを理解されたい。他の態様、利点、および修正は下記の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ABCトランスポーター活性を調節する方法であって、前記ABCトランスポーターを式(I)の化合物:
【化1】

またはその薬剤として許容できる塩と接触させるステップを含み、式中:
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ独立に、−XR’であり、
Xはそれぞれ独立に、結合であり、あるいは必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでXのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
R’はそれぞれ独立に、水素、あるいはC1〜8脂肪族基、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは架橋二環式の環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の二環式もしくは三環式の環系から選択された必要に応じて置換されている基から選択され、あるいはR’が2回出現する場合はそれらが結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されていてもよい3〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成し、水素以外のR’基はそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
mはそれぞれ独立に、0〜4であり、
はそれぞれ独立に、H、または−X−Rで必要に応じて置換されているC1〜8脂肪族基であり、ここでR脂肪族基のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CHS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ、(シクロ脂肪族)アルキル、(ヘテロシクロ脂肪族)アルキル、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり、ここでRのアルキル部分は、Rで必要に応じて置換されており、Rのアルキル部分のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で置換されていてもよく、Rのシクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、もしくはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、またはRはRであり、あるいは
とRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のR’で必要に応じて置換されている5〜7員のヘテロシクロ脂肪族を形成してもよく、
は、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族であり、これらはそれぞれ、アリールまたはヘテロアリールと必要に応じて縮合し、ここでRは、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族の環を介して窒素原子に結合し、Rは、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
はそれぞれ独立に、アリール、ヘテロアリール、C1〜8アラルキル、またはC1〜8ヘテロアラルキルであり、ここでRのアルキル部分は、Rで必要に応じて置換されており、Rのアルキル部分のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、Rのアリールまたはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
Wはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでWのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、CN、CF、−O(C1〜4アルキル)、−OCF、または1〜3個のハロ、ハロアルキル、アルコキシ、もしくは脂肪族で必要に応じて置換されているフェニルであり、
但し、化合物はインドールの5位に下記の基:
−C(O)−(必要に応じて置換されているピペリジニル)−CH−(必要に応じて置換されているフェニル)、または
−C(O)−(必要に応じて置換されているピペラジニル)−(C1〜4アルキル)−(必要に応じて置換されているフェニル)
を含まないことを条件とする方法。
【請求項2】
がそれぞれ、C1〜8アラルキルまたはC1〜8ヘテロアラルキルであり、ここでRのアルキル部分は、Rで必要に応じて置換されており、Rのアルキル部分のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、Rのアリールまたはヘテロアリール部分は、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
mが1または2である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
WRが出現するたびに独立に、−C1〜3アルキル、−O(C1〜3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、−SONH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R)(R’)、−O(CH)N(R)(R’)、−CON(R)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されている単環式もしくは二環式の芳香族環、必要に応じて置換されているアリールスルホニル、必要に応じて置換されている5員ヘテロアリール環、−N(R)(R’)、−(CHN(R)(R’)、または−(CH)N(R)(R’)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
mが0である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
mが1である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
mが2である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
が、(シクロ脂肪族)アルキル、(ヘテロシクロ脂肪族)アルキル、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、ここでRのアルキル部分はRで置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
が、必要に応じて置換されているC1〜4脂肪族基である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
が、それぞれWRで必要に応じて置換されているアラルキルまたはヘテロアラルキルである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
Wが結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここで非隣接のメチレン単位は1個または2個が、−O−、−NR’−、−S−、−SO−、−COO−、または−CO−で必要に応じてかつ独立に置換されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
がR’またはハロである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
mが1〜4であり、−WRが、脂肪族、アルコキシ、またはアルキルカルボニルアミノから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
がHである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
mが1、2、または3であり、Xがそれぞれ独立に結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここで非隣接のメチレン単位は1個または2個が、−O−、−NR−、−S−、−SO−、−COO−、または−CO−で必要に応じてかつ独立に置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
がR’またはハロである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
mが1〜4であり、−XRが出現するたびに独立に、−C1〜3アルキル、−O(C1〜3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、−SONH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されているフェニル、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
R’がそれぞれ独立に、脂肪族である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ABCトランスポーター活性を調節する方法であって、前記ABCトランスポーターを式(IIIa)の化合物:
【化2】

またはその薬剤として許容できる塩と接触させるステップを含み、式中:
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ独立に、−XR’であり、
Xはそれぞれ独立に、結合であり、あるいは必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでXのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
R’はそれぞれ独立に、水素、あるいはC1〜8脂肪族基、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは架橋二環式の環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の二環式もしくは三環式の環系から選択された必要に応じて置換されている基から選択され、あるいはR’が2回出現する場合はそれらが結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されていてもよい3〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成し、水素以外のR’基はそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
mはそれぞれ独立に、0〜4であり、
はそれぞれ独立に、H、または−X−Rで必要に応じて置換されているC1〜8脂肪族基であり、ここでR脂肪族基のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CHS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
Wはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでWのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、CN、CF、−O(C1〜4アルキル)、−OCF、または1〜3個のハロ、ハロアルキル、アルコキシ、もしくは脂肪族で必要に応じて置換されているフェニルであり、
環は、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族であり、これらはそれぞれ、1〜3個のハロ、ハロアルキル、アルコキシ、脂肪族、アリール、またはヘテロアリールで必要に応じて置換されており、ここでアリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、または脂肪族のうちの1〜3つで必要に応じて置換されており、
はそれぞれ独立に、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、または脂肪族であり、
dはそれぞれ独立に、0〜3である方法。
【請求項20】
ABCトランスポーター活性を調節する方法であって、前記ABCトランスポーターを式(II)の化合物:
【化3】

またはその薬剤として許容できる塩と接触させるステップを含み、式中:
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ独立に、−XR’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ独立に、H、または−X−Rで必要に応じて置換されているC1〜8脂肪族基であり、ここでR脂肪族基のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CHS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
mはそれぞれ独立に、0〜4であり、
Xはそれぞれ独立に、結合であり、あるいは必要に応じて置換されているC〜Cアルキリデン鎖であり、ここでXのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
R’はそれぞれ独立に、水素、あるいはC1〜8脂肪族基、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは架橋二環式の環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の二環式もしくは三環式の環系から選択された必要に応じて置換されている基から選択され、あるいはR’が2回出現する場合はそれらが結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている3〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成し、水素以外のR’基はそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
AAおよびABはそれぞれ独立に、1〜3個の−WRでそれぞれ必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロ脂肪族であり、
およびYはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでC1〜6アルキリデン鎖のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
Wはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでWのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、CN、CF、−O(C1〜4アルキル)、または−OCFであり、
Eはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでC1〜6アルキリデン鎖のメチレン単位は2個までが、−C(O)−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されている方法。
【請求項21】
がHである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
およびYの一方がC〜Cアルキリデン鎖であり、ここでC〜Cアルキリデン鎖のメチレン単位は1個が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
〜Cアルキリデン鎖のメチレン単位が、−CO−、−CS−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、または−NR’−で置換されている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
〜Cアルキリデン鎖のメチレン単位が、−O−、−S−、または−NR’−で置換されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
〜Cアルキリデン鎖のメチレン単位が、−O−または−S−で置換されている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
およびYの一方がC〜Cアルキルである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
AAが、1〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている6員芳香族環であり、またはAAが、必要に応じて置換されているフェニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
AAがフェニルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
AAが、必要に応じて置換されているピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、または1,2,4−トリアジニルである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
AAが、1〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている5員芳香族環であり、前記ヘテロ原子は窒素、酸素、または硫黄である、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
AAが、1〜2個の窒素原子を有する、必要に応じて置換されている5員芳香族環である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
化合物が下記から選択される、請求項1に記載の方法。
【化4】

【化5】

【請求項33】
ABCトランスポーターによって媒介される疾患を治療し、またはその重症度を低減する方法であって、請求項l、19、および20のいずれか一項に記載の化合物を哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項34】
ABCトランスポーターによって媒介される前記疾患が、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管性浮腫、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、I細胞病/偽性ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン症、糖尿病、ラーロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、悪性黒色腫、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、筋緊張性ジストロフィー、遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー病、COPD、眼球乾燥疾患、およびシェーグレン症候群である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
式(II)の化合物:
【化6】

またはその薬剤として許容できる塩であって、式中:
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ独立に、−XR’、ハロ、NO、またはCNであり、
はそれぞれ独立に、H、または−X−Rで必要に応じて置換されているC1〜8脂肪族基であり、ここでR脂肪族基のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CHS−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されていてもよく、
mはそれぞれ独立に、0〜4であり、
Xはそれぞれ独立に、結合であり、あるいは必要に応じて置換されているC〜Cアルキリデン鎖であり、ここでXのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
R’はそれぞれ独立に、水素、あるいはC1〜8脂肪族基、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは架橋二環式の環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の二環式もしくは三環式の環系から選択された必要に応じて置換されている基から選択され、あるいはR’が2回出現する場合はそれらが結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立に選択された0〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている3〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成し、水素以外のR’基はそれぞれ、1〜3個の−WRで必要に応じて置換されており、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、またはCNであり、
AAおよびABはそれぞれ独立に、1〜3個の−WRでそれぞれ必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロ脂肪族であり、
およびYはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでC1〜6アルキリデン鎖のメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
Wはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでWのメチレン単位は2個までが、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されており、
はそれぞれ独立に、R’、ハロ、NO、CN、CF、−O(C1〜4アルキル)、または−OCFであり、
Eはそれぞれ独立に、結合であり、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここでC1〜6アルキリデン鎖のメチレン単位は2個までが、−C(O)−、−CS−、−COCO−、CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、−NR’SONR’−で必要に応じてかつ独立に置換されている;
但し、N−[1−[(3,5−ジフルオロフェニル)メチル]−3−[[(3−エチルフェニル)メチル]アミノ]−2−ヒドロキシプロピル]−1−メチル−α−オキソ−1H−インドール−3−アセトアミド、2−(1H−インドール−3−イル)−N−(2−モルホリノ−1−フェニルエチル)−2−オキソアセトアミド、またはN−(1,3−ビス(ベンジルチオ)プロパン−2−イル)−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソアセトアミドでないことを条件とする化合物。
【請求項36】
がHである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
およびYの一方がC〜Cアルキリデン鎖であり、ここでC〜Cアルキリデン鎖のメチレン単位は1個が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
〜Cアルキリデン鎖のメチレン単位が、−CO−、−CS−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、または−NR’−で置換されている、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
〜Cアルキリデン鎖のメチレン単位が、−O−、−S−、または−NR’−で置換されている、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
〜Cアルキリデン鎖のメチレン単位が、−O−または−S−で置換されている、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
およびYの一方がC〜Cアルキレン鎖である、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
AAが、1〜3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている6員芳香族環であり、またはAAが、必要に応じて置換されているフェニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項43】
AAがフェニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項44】
AAが、必要に応じて置換されているピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、またはトリアジニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項45】
AAが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている5員芳香族環である、請求項35に記載の化合物。
【請求項46】
mが1、2、または3であり、Xがそれぞれ独立に、結合、または必要に応じて置換されているC1〜6アルキリデン鎖であり、ここで非隣接のメチレン単位は1個または2個が、−O−、−NR−、−S−、−SO−、−COO−、または−CO−で必要に応じてかつ独立に置換されている、請求項35に記載の化合物。
【請求項47】
がR’またはハロである、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
mが1、2、または3であり、−XRが出現するたびに独立に、ハロ、−C1〜3アルキル、−O(C1〜3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、−SONH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R)(R’)、−O(CH)N(R)(R’)、−CON(R)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されている単環式もしくは二環式の芳香族環、必要に応じて置換されているアリールスルホニル、必要に応じて置換されている5員ヘテロアリール環、−N(R)(R’)、−(CHN(R)(R’)、または−(CH)N(R)(R’)である、請求項35に記載の化合物。
【請求項49】
がHである、請求項35に記載の化合物。
【請求項50】
下記から選択される化合物。
【化7】

【請求項51】
(i)請求項35に記載の化合物、および
(ii)薬剤として許容できる担体
を含む薬剤組成物。
【請求項52】
粘液溶解剤、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、CFTRモジュレーター、または栄養剤から選択された追加の作用剤を必要に応じてさらに含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
細胞膜中の機能性ABCトランスポーターの数を増大させる方法であって、前記細胞を請求項35に記載の化合物と接触させるステップを含む方法。
【請求項54】
ABCトランスポーターがCFTRである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
in vitroまたはin vivoにおいて生体試料のABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定する際に使用するためのキットであって、
(i)請求項1、19、20、および35のいずれかに記載の化合物を含む組成物、
(ii)以下:
a)組成物を生体試料と接触させるため、および
b)前記ABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定するため、
の指示書
を含むキット。
【請求項56】
CFTRの密度を測定するために使用される、請求項55に記載のキット。

【公表番号】特表2009−511494(P2009−511494A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534730(P2008−534730)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/039220
【国際公開番号】WO2007/044560
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】