説明

C−アリールグルコシドSGLT2インヒビターおよびその製造方法

式(I):


で示される化合物。上記化合物を単独または他の治療薬と併用する糖尿病および関連疾患を治療する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2004年9月23日出願の米国仮出願番号60/612,599の優先権の利益を主張し、これは、全体として参照することにより本発明に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、腎臓で見出されたナトリウム依存性グルコーストランスポーターの選択的インヒビターであるC−アリールグルコシドおよびこのようなC−アリールグルコシドを単独または1つ以上の他のタイプの治療薬と併用することによって糖尿病または障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
世界中で約一億人の人々が、過剰な肝臓でのグルコース生産および末梢性インスリン耐性による高血糖を特徴とするII型糖尿病 (NIDDM)に苦しんでおり、その根本的原因は未だ解明されていない。糖尿病患者における血漿グルコースレベルの不断のコントロールは、糖尿病の合併症および進行した疾患に見られるベータ細胞の破壊発生を相殺する。
血漿グルコースは、通常は腎臓の糸球体内で濾過され、近位尿細管で能動的に再吸収される。腎臓におけるグルコース再取り込みの90%が、腎皮質近位尿細管の早期S1セグメントの上皮細胞で起こる。腎近位尿細管の早期S1セグメントで優勢に発現する、14の膜貫通セグメントを含む672個のアミノ酸タンパク質であるSGLT2が、この再吸収に関与する主要なトランスポーターである可能性が高い。基質特異性、ナトリウム依存性およびSGLT2の局在化は、ヒト皮質腎近位尿細管において既に特徴付けられた高容量、低親和性、ナトリウム依存性グルコーストランスポーターの特性と一致する。さらに、事実上、ラット腎臓皮質からmRNAにコードされたすべてのNa依存性グルコース輸送活性は、ラットSGLT2に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害されるので、ハイブリッド枯渇実験は、SGLT2を近位尿細管のS1セグメントにおける優勢なNa+/グルコースコトランスポーターとして結びつける。ヒトにおいて、SGLT2の突然変異は、腎性糖尿の家族型に関係があり、腎臓グルコース再吸収におけるSGLT2の主な役割のさらなる証拠を提供する。このような患者において、腎臓形態学および腎臓機能は、その他の点では正常である。SGLT2の阻害が、糖尿病患者におけるグルコース排出の増進を介して、血漿グルコースレベルを低下させることが予測される。
【0004】
アミノ酸レベルにおいてSGLT2と60%同一である、もう1つのNa依存性グルコースコトランスポーターであるSGLT1は、小腸および腎近位尿細管のより遠位のS3セグメントで発現する。配列類似性にもかかわらず、ヒトSGLT1およびSGLT2は、生化学的に区別できる。
SGLT活性の特異的インヒビターであるフロリジンの投与は、幾つかの糖尿病げっ歯類モデルにおいて、グルコース排出を促進すること、空腹時および食後血漿グルコースを低下すること、および低血糖副作用を伴うことなくグルコース利用を促進することによって、インビボ概念の証拠を提供した。血漿イオンバランス、腎機能または腎臓形態学における副作用がないことは、2週間のフロリジン処置の結果として観察されている。さらに、糖尿が存在するにもかかわらず正常な動物にフロリジンを投与する場合に、低血糖あるいはその他の副作用がないことが、観察されている。肥満NIDDMラットモデルにおける空腹時および食後血漿グルコースを改善するため、インスリン分泌および利用を改善するため、および低血糖または腎臓副作用を起こすことなく腎症および神経障害を弱めるための6ヶ月間の腎臓SGLTのインヒビターの投与(田辺製薬)が報告された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SGLT1の阻害はまた、SGLT1トランスポーターにおける突然変異が腸でのグルコース取り込み障害ならびに生死にかかわる下痢および脱水をもたらす遺伝性症候群であるグルコース/ガラクトース吸収障害(GGM)によって例証されるような重篤な悪い結果をもたらしうるので、SGLT1および2活性の一般的インヒビターは治療的に魅力的ではない。糖尿病患者におけるSGLT2の選択的阻害が、重大な胃腸副作用を引き起こすことなく、尿へのグルコースの排出を増進してインスリン感受性を改善し、糖尿病合併症の発生を遅延化させることによって血漿グルコースを正常化することが予測される。
したがって、SGLT2トランスポーターに対して選択的である化合物の発見が、糖尿病などの血漿グルコースレベルのコントロールに関連する疾患または障害の治療または予防のための有用性を実証する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、構造式:

I
で示されるC−アリールグルコシド化合物を提供する。
式(I)の化合物は、その医薬的に許容しうる塩、複合体、立体異性体およびエステルを包含する。
式(I)の化合物は、SGLT2の選択的インヒビターとしての活性を有し、したがって、血漿グルコースレベルのコントロールに関連する疾患または障害の予防または治療のための有用性を提供する。このような疾患または障害の例として、糖尿病ならびに糖尿病の微小および大血管合併症が挙げられる。
【0007】
本発明は、式(I)の化合物、そのような化合物を用いる医薬組成物およびそのような化合物の使用方法を提供する。さらに詳しくは、本発明は、治療有効量の式(I)の化合物を単独または医薬的に許容しうる担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、治療を必要とするヒト患者に、治療有効量の式(I)の化合物を投与することを特徴とする、本明細書に記載する疾患および障害を治療するか、またはその進行または発症を遅延化する方法を提供する。
【0008】
本発明化合物は、単独または本明細書に記載の治療上の領域で活性のある1つ以上の作用剤と組み合わせて使用することができる。
さらに、治療を必要とするヒト患者に、治療有効量の式(I)の化合物および別のタイプの抗糖尿病薬および/または抗高脂血症薬などの別のタイプの治療薬を投与することを特徴とする、上述および後述する疾患の治療方法を提供する。
【0009】
発明の詳細な記載
以下の表は、実用性および実用化に関連する幾つかの特徴を考慮した類似構造化合物に対する本発明化合物(化合物1、カラム4)のマトリックス比較を含む。
化合物1(本発明化合物)および3−5の構造を以下に示す。
【表1】

化合物5


化合物4


化合物3


化合物1(式(I)の化合物)

【0010】
上記表に示すように、すべての被検化合物のうち、式(I)の化合物のみが、有利な特徴を示す。すなわち、式(I)の化合物のみが、糖尿病ラットにおける血漿グルコースの有利な減少(効力)、プロトタイプ的製剤における安定性(貯蔵寿命の目安)およびインビトロ染色体異常誘発活性実験における負の結果(発ガン可能性の減少)を示す。
【0011】
比較実験のための個々の手順
I.実験Aのための手順:ストレプトゾシン処置糖尿病ラットにおける血中グルコース効果の決定
上記マトリックスにおいて分析した化合物の血漿グルコースにおける影響力を合理的に予測するために以下の分析を利用した。
新鮮な冷(4℃)0.01 Mクエン酸緩衝液で調製した65 mg/kgのストレプトゾシン(Sigma)の単回腹腔内注射によって体重 250−275 gの雄性スプラーグドーリーラット(Charles River)を糖尿病にした。4日後、空腹状態の動物から採血した。尾端から全血を採取し、グルコメーター・エリート(Bayer)を用いるグルコース酸化法によってグルコースを分析した。平均血中グルコースレベルは、450−550 mg/dlであった。
実験当日に、5% m−ピロール、20 % PEG 400および20 mM 二リン酸ナトリウムを含むビヒクルに化合物を溶解した。ラットを秤量し、無作為に各グループ6匹のラットからなる4つのグループに分け、ビヒクルまたは0.1 mg/kgの化合物を経口投与した。胃管栄養の総量は、1 ml/体重kgであった。投与後、実験期間中ケージから食餌を除去し、ラットには水を自由摂取させた。薬物投与後0、30、60、120、180、240および300分の時点で尾端から血液サンプルを得た。グルコメーター・エリート(Bayer)を用いるグルコース酸化法によって血中グルコースを分析した。
【0012】
A.統計的データ分析
マイクロソフト・エクセルを用いて、各辞典における平均グルコース値およびビヒクルに対する変化パーセントの計算を行った。マイクロソフト・エクセルまたは統計プログラムStatViewを用いて、統計的分析(薬物処置グループ対ビヒクルコントロールを比較するT検定またはフィッシャー検定後のANOVA)を行った。0.05未満のp値を統計的に有意であるとみなした。
【0013】
II.実験Bのための手順:促進老化条件下での通例用いられる固体賦形剤の存在下の酸化的に不安定な治療薬の安定性決定
通例用いられる賦形剤および典型的抗酸化剤の存在下での化合物3の化学的安定性を評価するために以下の手順を用いた。
乳鉢と乳棒を用いて薬物物質を各抗酸化剤とともに磨砕し、次いで、乾燥状態において以下の表に記載した他の賦形剤と混合した。この実験では抗酸化剤としてメタ重亜硫酸ナトリウムおよびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を用いた。BHAは、0.01% w/wと0.5% w/wの2種類の濃度で用い、メタ重亜硫酸ナトリウムは0.01% w/wで用いた。40℃/73% RHおよびHIL/uvで貯蔵したサンプルに対し、酸素ガスをバイアルにパージし、ふたをきつく閉めた。2番目の表に記載した異なる促進老化条件下に薬物−賦形剤混合物(A−D)を1−3週間置いた後、HPLC分析を行った。いずれの目に見える酸化不安定性の結果も示さなかった化合物(化合物1、4および5)は、通例固体投与剤形において用いられる賦形剤の存在下で化学的に安定であることがわかった。
【0014】
第1表
プロトタイプ的薬物−賦形剤混合物の安定性評価中に用いた抗酸化剤の存在または不在下での通例の賦形剤
【表2】

【0015】
第2表
促進老化条件下での薬物賦形剤混合物の安定性実験のための条件
【表3】

【0016】
III.実験Cのための手順:チャイニーズハムスター卵巣細胞における細胞遺伝学実験
ヒトにおいて発ガン性でありうる潜在性治療薬の早期同定が非常に望まれている。インビトロ染色体異常誘発能実験は、化合物の潜在的発ガン性の早期表示を提供する。以下の手順を用いて、治療上関心のある化合物の染色体異常誘発活性を予測した。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において構造的染色体損傷を誘発する対象の化合物の潜在能力を決定するによって染色体異常誘発能を予測した。バックグラウンドレベルを越えて染色体損傷が有意に上昇するならば、これが、化合物が染色体異常誘発潜在能力を有する証拠である。このアッセイにおいて染色体損傷の有意な上昇レベルの検出を遺伝子損傷の指標とみなす。
【0017】
A.試験物質担体およびコントロール物質
ビヒクルコントロールはジメチルスルホキシド(DMSO)である。ポジティブコントロールは、S9活性化なしのマイトマイシンCの3時間および20時間曝露であり、S9ラット肝臓酵素の存在下でのシクロホスファミド3時間曝露であった。マイトマイシンCとシクロホスファミドの両方を滅菌水で希釈した。
【0018】
B.対象化合物の投与
濃度選択
対象化合物のDMSO中の2つの貯蔵液を、1つは高濃度で、もう1つは低濃度で調製した。CHO細胞の処置後に、ビヒクルコントロール、低用量溶液および高用量溶液のアリコートを採取し、対象化合物の濃度を決定するために分析した。濃度は、対象化合物の非GLP溶解度/混和性/距離測定細胞毒性(range−finding cytotoxicity)(ATP)アッセイの結果に基づいて選択した。DMSO中で対象化合物の溶解度の上限を決定したら、DMSO溶液を培養培地に加えて、pHまたは浸透圧における影響を決定する。距離測定細胞毒性アッセイにおいて、ラット肝臓(S9)酵素の存在下(3時間)または不在下(20時間)の両方で、対象化合物の11の濃度を試験した。試験した最高濃度は、10 mM、5000 μg/mlまたは溶解度の限界である。溶解度/混和性/距離測定細胞毒性(ATP)アッセイの結果に基づいて、完全細胞遺伝学実験において試験するための6つの濃度を選択した。
【0019】
試験物質の濃度
対象化合物のDMSO貯蔵液は、完全アッセイに用いられる最高試験物質濃度の100倍であった。6つの濃度を試験する。距離測定実験において観察される細胞毒性用量応答から、5つの低用量のための一連の希釈係数を決定した。すべての処置グループについて、合計容量50μl(貯蔵液+DMSO)を5 mlの培養培地に加える。
【0020】
実験計画
各処置グループについて、重複培養物を用いる。実験計画は、以下の通りであった:
【表4】

【0021】
D.試験系
CHO細胞系は、雌性チャイニーズハムスターの卵巣生検に由来するものを用いた。このアッセイに用いた細胞(CHO−WBL)は、最初はサンフランシスコ、カリフォルニア大学のDr.S.Wolffの研究室から入手した。その後、核型安定性を維持するために細胞をサブクローンした。この細胞系の平均周期は、様式の染色体数(modal chromosome number)21の12−14時間である。核型安定性および潜在的マイコプラズマ汚染について、細胞を常に監視する。
【0022】
E.同定
実験に用いたすべての培養フラスコおよび/またはチューブを数字でラベル付けした。細胞収集、低張処理および固定のための遠心分離管を対応するフラスコと同じ数字でラベル付けした。さらに、固定した細胞から調製した顕微鏡スライドも遠心分離管と同じ数字を表示した。染色体異常についての不偏細胞遺伝学分析のための独立した観察者によっって顕微鏡スライドを符号付けした。永久ラベルを符号付けしたスライドに貼った。
【0023】
F.実験方法論
CHO細胞の培養物を最低4つの濃度の試験物質ならびにポジティブおよびビヒクルコントロールに曝露することによる標準的手順2-6を用いて染色体異常アッセイを行った。非活性化試験系において、処置は、約3時間および20時間であり、S9活性化試験系において、曝露は3時間であった7-8
【0024】
S9代謝活性化
外因性代謝活性化(S9)系は、アロクロール1254−誘発ラット肝臓S9(ミクロソーム画分)フラクションならびに塩およびコファクターから構成された。外因性代謝活性化(S9)系におけるS9、塩およびコファクターの最終濃度は、10 μl/ml(1 % v/v)のアロクロール1254−誘発ラット肝臓S9(ミクロソーム画分)フラクション、2.5 mM MgCl2・6H2O、1.25 mM グルコース−6−ホスフェート、10.3 mM KCl、1 mM NADPおよび12.8 mM Na2HPO4であった。
【0025】
標的細胞の調製
10%ウシ胎児血清、L−グルタミン(2 mM)、ペニシリンG(100単位/ml)およびストレプトマイシン(100 μg/ml)を補足したマッコイの5A培地に、対数増殖CHO−WBL細胞を約0.5 x 106細胞/25 cm2フラスコで播いた。湿気のある環境にて、5% CO2の空気中、フラスコを約37℃にて16−24時間インキュベートした。
【0026】
標的細胞の処置
培養開始の翌日に、培養培地を新鮮な培地と交換した。代謝活性化なしの3および20時間曝露について、投与は、上述の完全培地にて行う。S9代謝活性化有りの3時間の曝露について、培地は、ウシ胎児血清を含まず、S9、塩およびコファクターを含む以外は上述のものと同一である。代謝活性化有りまたは無しの3時間の曝露の後、培地を吸引し、細胞をリン酸緩食塩水で濯ぎ、完全培地を再供給し、インキュベーターに戻した。
【0027】
中期細胞の採集
最初の処置から約20時間の1回の収集期を用いた。この収集期は、約13時間のの細胞周期の約1.5倍に対応する8。細胞収集の2−3時間前に、培養物に0.1 μg/mlの最終濃度でコルセミド(登録商標)を加える。
トリプシン処理によって細胞を収集し、遠心分離によって集め、細胞数および生存細胞パーセントを決定するためにアリコートを除去した。細胞数および生存細胞パーセントを用いて、ビヒクルコントロールに対する細胞成長阻害(細胞毒性)を決定した。細胞の残りを0.075 M KClで膨潤させ、固定液(メタノール:氷酢酸3:1v/v)を連続的に3回交換して洗浄し、ふたをし、一夜またはそれ以上約2−8℃にて貯蔵した。スライドを調製するために、細胞を遠心分離によって集め、新鮮な固定液に再懸濁した。固定された細胞の懸濁液をガラス顕微鏡スライドに適用し、風乾した。スライドをギムザで染色し、永久標本にした。
【0028】
G.染色体異常分析
観察された細胞毒性に基づいて、染色体異常分析のために最低3つの濃度を選択した。過剰の細胞毒性が、試験物質の直接的染色体異常誘発作用に無関係である染色体異常を誘発しうるという証拠があるので9、10、一般に、細胞数または分裂指数を>50%まで減少する濃度は、染色体異常について評価しなかった。有糸分裂中の細胞の頻度(分裂指数)について、最低で各スライドから500個の細胞およびフラスコ当たり2つのスライドを評価し、数的異常の頻度(倍数性および核内倍加)について、最低で100個の有糸分裂細胞を評価した。各重複フラスコから、2つの独立した評価により、染色体構造異常について、別々のスライドからの50個の有糸分裂中期細胞を計算した。21±2個の染色体を含む中期細胞のみを評価した。2つの独立した評価を合わせて、染色体構造異常について、フラスコ当たり100個の中期細胞および濃度当たり200個の中期細胞を得た。出願人は、細胞毒性または最初の25個の中期細胞/スライドにおいて観察された≧50%の異常な中期細胞によってこれらの数が到達可能でなかったかに留意した。
【0029】
H.統計的データ分析
発見された異常の数およびタイプ、審査した細胞の総集団中の構造的に損傷された細胞のパーセンテージ、および細胞当たりの異常の平均を計算し、各処置グループについて記録した。データには染色分体および同位染色分体ギャップが存在したが、1つまたはそれ以上の異常をもつ細胞の合計パーセンテージまたは細胞当たりの構造異常の頻度には包含されない。フィッシャーの直接確率検定を用いて、異常(構造的または数的)細胞の頻度の統計的分析を行った。フィッシャーの検定を用いて、各処置グループと溶媒コントロールとを異常細胞の頻度について対で比較した。いずれの試験物質用量レベルにおいてもポジティブフィッシャーの直接確率検定の場合には、コクラン−アーミテージ検定を用いて用量−応答性を測定した。データの解釈の指針として、統計的に有意である(p≦0.05)1つまたはそれ以上の濃度で用量−応答様式で異常をもつ細胞のパーセンテージが増加する場合にポジティブ応答を誘発すると試験物質をみなした。しかし、統計的に有意であるが、歴史的にネガティブまたはビヒクルコントロールの範囲を越えない値は、生物学的に有意でないと判断することができる。異常において統計的に有意な増加を示していない試験物質は、ネガティブであると結論付けた。
【0030】
I.受諾できるアッセイのための基準
以下の基準を満たす場合に、全染色体異常アッセイを受諾できると判断した:
1)ポジティブコントロール培養が、5%レベルで統計的に有意である染色体異常頻度の増加を示さなければならない。
2)ビヒクル−コントロール培養における損傷中期細胞のパーセンテージが、6%(平均として)を超えてはならない。
3)少なくとも1つの試験物質が、少なくとも最高の用量において、いくらかの細胞毒性を示す(すなわち、細胞カウントまたは分裂指数が減少する)べきである。最高濃度において細胞毒性が観察されないが、試験物質が溶解度の限界であるか、またはその投与濃度限界(すなわち、10 mMまたは5000 μg/ml)であるか、または体積の限界(20%)であるかのいずれかならば、アッセイを受諾できるとみなした。
【0031】
J.ポジティブ応答のための基準
以下の基準を満たす場合に、試験物質に対する応答を受諾できると判断した:
1)異常細胞のパーセンテージの有意な増加(p<5%)が、フィッシャーの直接確率検定を用いて実証された。
2)染色体異常頻度の統計的に有意な増加(p<5%)が、用量−応答性を測定するために用いたコクラン−アーミテージ検定において実証された。
3)損傷中期細胞の平均パーセントが、歴史的ネガティブコントロールレベル(すなわち、ビヒクル−コントロールグループの平均+2標準偏差)の上限を超えた。
【0032】
細胞発生セクションのための参考文献
1.Snyder RDおよびGreen JW.A review of the genotoxicity of marketed pharmaceuticals、Mutation Research.2001;488: 151−169.
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3.Preston RJ、Au W、Bender MA、Brewen JG、Carrano AV、Heddle JA、McFee AF、Wolff SおよびWassom JS.Mammalian in−vivo and in−vitro cytogenetic assays: a report of the U.S.EPA's Gene−Tox Program.Mutation Res.1981;87: 143−188.
4.Galloway SM、Bloom AD、Resnick M、Margolin BH、Nakamura F、Archer PおよびZeiger E.Development of a standard protocol for in vitro cytogenetic testing in Chinese hamster ovary cells: Comparison of 22 compounds in two laboratories.Environ Mutagen.1985;7: 1−51.
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8.Galloway SM、Aardema MJ、Ishidate Jr.M、Ivett JL、Kirkland DJ、Morita T、Mosesso PおよびSofuni T.Report from working group on in vitro test for chromosome aberrations.Mutation Research.1994;312: 241−261.
9.Hillard CA、Armstrong MJ、Bradt CI、Hill RB、 Greenwood SKおよびGalloway SM.Chromosome aberrations in vitro related to cytotoxicity of nonmutagenic chemicals and metabolic poisons.Environ Mol Mutagen.1998;31: 316−326.
10.Galloway SM.Cytotoxicity and chromosome aberrations in vitro: Experience in industry and the case for an upper limit on toxicity in the aberration assay.Environ Mol Mutagen.2000;35: 191−201.
【0033】
本明細書において、以下の略語を用いる:
Me=メチル
Et=エチル
TBS=tert−ブチルジメチルシリル
THF=テトラヒドロフラン
Et2O=ジエチルエーテル
EtOAc=酢酸エチル
DMF=ジメチルホルムアミド
MeOH=メタノール
EtOH=エタノール
DMAP=4−ジメチルアミノピリジン
n−BuLi=n−ブチルリチウム
min=分
hまたはhr=時間
L=リットル
mL=ミリリットル
g=グラム
mg=ミリグラム
mol=モル
mmol=ミリモル
meq=ミリ当量
satまたはsat'd=飽和
aq.=水性
TLC=薄層クロマトグラフィー
NMR=核磁気共鳴
HPLC=高性能液体クロマトグラフィー
LC/MS=高性能液体クロマトグラフィー/質量分析
MSまたはMass Spec=質量分析
【0034】
以下は、本明細書に用いる種々の用語の定義である。これらの定義は、単独またはより大きいグループの一部のいずれかとして、本明細書に用いられる場合の用語に適用する(特定の場合において他に特記する場合を除く)。
インビボにて生物活性剤を提供するように変換されうる化合物(すなわち、式(I)の化合物)が、本発明の範囲および精神内のプロドラッグである。
種々の形体のプロドラッグが当業界で公知である。プロドラッグおよびプロドラッグ誘導体の包括的記述が、以下の文献に記載されている:
a)The Practice of Medicinal Chemistry、Camille G.Wermuthら、Ch 31、(Academic Press、1996);
b)Design of Prodrugs、H.Bundgaard編、(Elsevier、1985);および
c)A Textbook of Drug Design and Development、P.Krogsgaard−LarsonおよびH.Bundgaard編、Ch 5、p 113−191(Harwood Academic Publishers、1991)。
これらは、全体として参照することにより本発明に援用される。
【0035】
本発明の治療薬の投与は、治療有効量の本発明作用薬の投与を包含する。本明細書で用いる用語「治療有効量」は、本発明組成物の投与によって治療しうる病気を治療または予防するための治療薬の量を意味する。その量は、検出可能な治療または予防または改善効果を示すのに十分な量である。効果としては、たとえば、本明細書に記載した病気の治療または予防が挙げられる。患者にとっての正確な有効量は、患者の身体の大きさおよび健康状態、治療される病気の性質および程度、医師の提言および投与のために選ばれた治療法または治療法の組み合わせによって決められる。したがって、正確な有効量を予め特定するのは有益ではない。
【0036】
本発明の式(I)の化合物は、以下の反応工程式1およびその記載ならびに本明細書に記載の化合物を製造するための当業界であれば過度の実験を行うことなく容易に用いることができる関連する既刊文献の手順にしたがって製造することができる。これらの反応のために例示した試薬および手順は、以下に実施例として記載される。
【0037】
反応工程式1

【0038】
式(I)の化合物は、反応工程式1にしたがって、H2O/THF/MeOHの1:2:3混合物または水性MeOHまたは水性EtOHなどの溶媒中、式(II):

II
の化合物をLiOHまたはNaOHなどの塩基で処理することによって製造することができる。
式(II)の化合物は、アルファおよびベータアノマーの混合物として得られた粗式(Ia)の化合物を精製する簡便な手段を提供する。式(II)の化合物は、ピリジンおよびジメチルアミノピリジン(DMAP)などの触媒を含むCH2Cl2などの溶媒中、式(Ia)の化合物をAc2Oで処理することによって製造することができる。

Ia
式(Ia)の化合物は、BF3・Et2Oなどのルイス酸触媒の存在下、−10℃にて1:1 CH2Cl2/MeCNなどの溶媒中、Et3SiHなどの還元剤で式(III)の化合物を還元することによって製造することができる。

III
別法として、式(II)の化合物は、ヒューニッヒ塩基またはEt3Nなどの塩基およびDMAPなどの触媒を含むトルエンまたはCH2Cl2などの溶媒中、Ac2Oで式(III)の化合物を最初にアセチル化することによって式(III)の化合物から製造することができ、式(IV)の化合物が得られる。

IV
続いて起こる、式(II)の化合物への式(IV)の化合物の変換は、1当量のH2OおよびBF3・Et2Oなどのルイス酸触媒を含むMeCNなどの溶媒中、Et3SiHなどの還元剤で20℃にて処理することによって達成することができる。
【0039】
反応工程式2

【0040】
上記反応工程式2に概略するように、式(III)の化合物は、トルエンなどの溶媒中、−75℃にて、式(VI)の過シリル化グルコノラクトンに式(V)のアリールリチウムのTHF溶液を添加することによって製造することができる。続いて、30分後にメタンスルホン酸(MSA)などのプロトン酸のメタノール溶液を加え、中間体ラクトールが式(III)の化合物に完全に変換されるまで溶液を撹拌する。
V VI

式(VI)の化合物は、N−メチルモルホリンなどの塩基を含むTHFなどの溶媒中、トリメチルシリルクロリドなどのシリル化剤で市販のD−グルコノラクトンを処理することによって製造することができる。
式(V)の化合物は、THFなどの溶媒中、−75℃にて、n−BuLiまたはt−BuLiなどのアルキルリチウムで式(VII)の化合物を処理することによって製造することができる

VII
式(VII)の化合物は、BF3・Et2OまたはCF3SO3Hなどのルイス酸触媒の存在下、Et3SiHなどの還元剤で式(VIII)の化合物を処理することによって容易に製造することができる。

VIII
式(VIII)の化合物は、AlCl3またはAlBr3などの当量のルイス酸を含むエチルベンゼンなどの溶媒中、2−クロロ−5−ブロモベンゾイルクロリドで市販のエチルベンゼンをフリーデル−クラフトアシル化することによって製造することができる。2−クロロ−5−ブロモベンゾイルクロリドは、触媒量のDMFを含むCH2Cl2などの溶媒中、塩化オキサリルで処理することによって市販の2−クロロ−5−ブロモ安息香酸から容易に製造することができる。
【0041】
実用性および組み合わせ
A.実用性
本発明化合物は、哺乳動物の腸および腎臓で見出されるナトリウム依存性グルコーストランスポーターのインヒビターとしての活性を有する。好ましくは、本発明化合物は、腎臓SGLT2活性の選択的インヒビターであり、したがって、SGLT2活性に関連する疾患または障害の治療に用いることができる。
したがって、本発明化合物は、糖尿病(I型およびII型、耐糖能異常、インスリン耐性ならびに腎症、網膜症、神経障害および白内障などの糖尿病合併症を含む)の治療または進行もしくは発症の遅延化、高血糖、高インスリン血症、高コレステロール血症、遊離脂肪酸またはグリセロールの血中レベル上昇、高脂血症、高トリグリセリド血症、肥満、創傷治癒、組織虚血、アテローム性動脈硬化症および高血圧など(これらに限定されるものではない)の種々の病気および障害を治療するために、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。本発明化合物は、高密度リポタンパク質(HDL)の血中レベルを増加させるのに用いることもできる。
さらに、Johannsson J.Clin.Endocrinol.Metab.、82、727−34(l997)に詳述される、「シンドロームX」または「メタボリック症候群」と総称される病気、疾患および疾病は、本発明化合物を用いて治療することができる。
【0042】
B.組み合わせ
本発明の範囲には、有効成分として医薬的有効量の式(I)の化合物を単独または医薬的担体または希釈剤と組み合わせて含む医薬組成物が包含される。必要に応じて、本発明化合物は独立した治療として、または1つ以上の他の治療薬と組み合わせて用いることができる。
本発明化合物と併用するのに適した「治療薬」として、抗糖尿病薬;抗高血糖薬;脂質低下薬;抗肥満薬;降圧薬および食欲抑制薬などの前述の障害の治療に有用な公知の治療薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない
【0043】
本発明化合物と併用するのに適した抗糖尿病薬の例として、ビグアナイド(たとえば、メトホルミンまたはフェンホルミンなど)、グルコシダーゼインヒビター(たとえば、アカルボースまたはミグリトールなど)、インスリン(インスリン分泌促進物質またはインスリン抵抗性改善薬など)、メグリチナイド(たとえば、レパグリナイドなど)、スルホニル尿素(たとえば、グリメピリド、グリブリド、グリクラジド、クロルプロパミドおよびグリピジドなど)、ビグアナイド/グリブリド併用薬(たとえば、グルコバンス(登録商標)など)、チアゾリジンジオン(たとえば、トログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンなど)、PPAR−アルファアゴニスト、PPAR−ガンマアゴニスト、PPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト、グリコーゲングリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、脂肪酸結合タンパク質のインヒビター(aP2)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)またはGLP−1受容体の他のアゴニストおよびジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)インヒビターが挙げられる。
【0044】
少なくとも1つ以上の他の抗糖尿病薬と併用する式(I)の化合物の使用は、これらの薬剤単独のそれぞれから可能な効果よりも大きい、そしてこれらの薬剤によって生み出される組み合わせ相加的抗糖尿病効果よりも大きい抗高血糖効果を提供すると考えられる。
【0045】
他の適当なチアゾリジンジオンとして、MitsubishiのMCC−555(U.S.特許番号5,594,0l6に開示)、Glaxo−WelcomeのGL−262570、エングリタゾン(CP−68722、Pfizer)またはダルグリタゾン(CP−86325、Pfizer、イサグリタゾン(MIT/J&J)、JTT−501(JPNT/P&U)、L−895645(Merck)、R−119702(Sankyo/WL)、NN−2344(Dr.Reddy/NN)またはYM−440(Yamanouchi)が挙げられる。
【0046】
PPAR−アルファアゴニスト、PPAR−ガンマアゴニストおよびPPAR アルファ/ガンマデュアルアゴニストの例として、ムラグリタザール、ペリグリタザール、AR−HO39242(Astra/Zeneca)、GW−409544(Glaxo−Wellcome)、GW−501516(Glaxo−Wellcome)、KRP297(Kyorin Merck)ならびにMurakamiら、「A Novel Insulin Sensitizer Acts As a Coligand for Peroxisome Proliferation−Activated Receptor Alpha(PPAR alpha) and PPAR gamma.Effect on PPAR alpha Activation on Abnormal Lipid Metabolism in Liver of Zucker Fatty Rats」、Diabetes 47、1841−1847(1998)、WO 01/21602およびU.S特許6,653,314に開示のもの(これは、全体として参照することにより本発明に援用される)が挙げられ、本明細書に記載の用量を用い、好ましい化合物として指名された化合物は、本明細書において用いるのに好ましい。
【0047】
適当なaP2インヒビターとして、U.S.出願番号09/391,053、September 7、1999出願およびU.S.出願番号09/519,079、March 6、2000出願に開示のものが挙げられ、本明細書に記載の用量を用いる。
【0048】
適当なDPP4インヒビターとして、WO99/38501、WO99/46272、WO99/67279(PROBIODRUG)、WO99/67278(PROBIODRUG)、WO99/61431(PROBIODRUG)に開示のもの、Hughesら、Biochemistry、38(36)、11597−11603、1999に開示のNVP−DPP728A(1−[[[2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル]アミノ]アセチル]−2−シアノ−(S)−ピロリジン)(Novartis)、TSL−225(トリプトフィル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(Yamadaら、Bioorg.& Med.Chem.Lett.8(1998) 1537−1540に開示)、Ashworthら、Bioorg.& Med.Chem.Lett.、Vol.6、No.22、pp 1163−1166および2745−2748(1996)に開示の2−シアノピロリジドおよび4−シアノピロリジド、U.S.出願番号10/899641、WO 01/868603およびU.S.特許6,395,767に開示の化合物が挙げられれ、上記文献に記載の用量を用いる。
【0049】
他の適当なメグリチナイドとして、ナテグリナイド(Novartis)またはKAD1229(PF/Kissei)が挙げられる。
【0050】
本発明化合物と併用するのに適当な抗高血糖薬として、GLP−l(l−36)アミド、GLP−l(7−36)アミド、GLP−l(7−37)(U.S.特許番号5,6l4,492に開示)などのグルカゴン様ペプチド−l(GLP−l)ならびにエキセナチド(Amylin/Lilly)、LY−315902(Lilly)、MK−0431(Merck)、リラグルチド(NovoNordisk)、ZP−10(Zealand Pharmaceuticals A/S)、CJC−1131(Conjuchem Inc)およびWO 03/033671に開示の化合物が挙げられる。
【0051】
本発明化合物と併用するのに適当な抗高脂血症薬の例として、1つ以上のMTPインヒビター、HMG CoAレダクターゼインヒビター、スクアレンシンセターゼインヒビター、フィブリン酸誘導体、ACATインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター、コレステロール吸収インヒビター、回腸Na+/胆汁酸コトランスポーターインヒビター、LDL受容体活性のアップレギュレーター、胆汁酸捕捉剤、コレステロールエステルトランスファータンパク質(たとえば、 CP−529414(Pfizer)およびJTT−705(Akros Pharma)などのCETPインヒビター)、PPARアゴニスト(上述)および/またはニコチン酸およびその誘導体が挙げられる。
【0052】
上述のように用いられるMTPインヒビターの例として、U.S.特許番号5,595,872、U.S.特許番号5,739,135、U.S.特許番号5,712,279、U.S.特許番号5,760,246、U.S.特許番号5,827,875、U.S.特許番号5,885,983およびU.S.特許番号5,962,440に開示のものが挙げられる。
【0053】
1つ以上の式(I)の化合物と併用しうるHMG CoAレダクターゼインヒビターとして、U.S.特許番号3,983,140に開示のメバスタチンおよび関連化合物、U.S.特許番号4,231,938に開示のロバスタチン(メビノリン)および関連化合物、U.S.特許番号4,346,227に開示のプラバスタチンおよび関連化合物、U.S.特許番号4,448,784 and 4,450,171に開示のシンバスタチンおよび関連化合物が挙げられる。本明細書において用いる他のHMG CoAレダクターゼインヒビターとして、U.S.特許番号5,354,772に開示のフルバスタチン、U.S.特許番号5,006,530 and 5,177,080に開示のセリバスタチン、U.S.特許番号4,681,893、5,273,995、5,385,929および5,686,104に開示のアトルバスタチン、U.S.特許番号5,011,930に開示のアタバスタチン(Nissan/Sankyoのニスバスタチン(NK−104))、U.S.特許番号5,260,440に開示のビサスタチン(Shionogi−Astra/Zeneca(ZD−4522))、およびU.S.特許番号5,753,675に開示の関連スタチン化合物、U.S.特許番号4,613,610に開示のメバロノラクトン誘導体のピラゾール類縁体、PCT出願WO 86/03488に開示のメバロノラクトン誘導体のインデン類縁体、U.S.特許番号4,647,576に開示の6−[2−(置換ピロール−1−イル)アルキル)ピラン−2−オンおよびその誘導体、PCT出願WO 86/07054に開示のSearleのSC−45355(3−置換ペンタンジオン酸誘導体)ジクロルアセテート、メバロノラクトンのイミダゾール類縁体、フランス特許番号2,596,393に開示の3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−プロパン−ホスホン酸誘導体、欧州特許出願番号0221025に開示の2,3−ジ置換ピロール、フランおよびチオフェン誘導体、U.S.特許番号4,686,237に開示のメバロノラクトンのナフチル類縁体、U.S.特許番号4,499,289に開示のオクタヒドロナフタレン、欧州特許出願番号0142146 A2に開示のメビノリン(ロバスタチン)のケト類縁体およびU.S.特許番号5,506,219および5,691,322に開示のキノリンおよびピリジン誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない
【0054】
好ましい抗高脂血症薬は、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトロバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチンおよびZD−4522である。
さらに、GB 2205837に開示されたようなHMG CoAレダクターゼを阻害するのに有用なホスフィン酸化合物が、本発明化合物と併用するのに適している。
【0055】
本発明で用いるのに適したスクアレンシンセターゼインヒビターとして、U.S.特許番号5,712,396に開示のα−ホスホノ−スルホネート、イソプレノイド(ホスフィニル−メチル)ホスホネートなどのBillerら、J.Med.Chem.、1988、Vol.31、No.10、pp 1869−1871に開示のもの、ならびにたとえば、U.S.特許番号4,871,721および4,924,024およびBiller、S.A.、Neuenschwander、K.、Ponpipom、M.M.およびPoulter、C.D.、Current Pharmaceutical Design、2、1−40(1996)に開示の他の公知のスクアレンシンセターゼインヒビターが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
さらに、本発明で用いるのに適した他のスクアレンシンセターゼインヒビターとして、P.Ortiz de Montellanoら、J.Med.Chem.、1977、20、243−249に開示のテルペノイドピロホスフェート、CoreyおよびVolante、J.Am.Chem.Soc.、1976、98、1291−1293に開示のファルネシルジホスフェート類縁体Aおよびプレスクアレンピロホスフェート(PSQ−PP)類縁体、McClard、R.W.ら、J.A.C.S.、1987、109、554に報告されたホスフィニルホスホネート4およびCapson、T.L.、PhD 学位論文、June、1987、Dept.Med.Chem.U of Utah、Abstract、Table of Contents、pp 16、17、40−43、48−51、Summaryに報告されたシクロプロパンが挙げられる。
【0057】
式(I)の化合物と併用しうるフィブリン酸誘導体として、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、ベンザフィブレート、シプロフィブレート、クリノフィブレートなど、U.S.特許番号3,674,836に開示のプロブコールおよび関連化合物(プロブコールおよゲムフィブロジルが好ましい)、コレスチラミン、コレスチポールおよびDEAE−セファデックス(Secholex(登録商標)、Policexide(登録商標))などの胆汁酸捕捉剤ならびにリポスタビル(Rhone−Poulenc)、Eisai E−5050(N−置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(HOE−402)、テトラヒドロリプツタチン(THL)、イスチグマスタニルホスホリルコリン(SPC、Roche)、アミノシクロデキストリン(Tanabe Seiyaku)、Ajinomoto AJ−814(アズレン誘導体)、メリナミド(Sumitomo)、Sandoz 58−035、アメリカン・シアナミドCL−277,082およびCL−283,546(ジ置換尿素誘導体)、ニコチン酸、アシピモックス、アシフラン、ネオマイシン、p−アミノサリチル酸、アスピリン、U.S.特許番号4,759,923に開示のポリ(ジアルキルメチルアミン)誘導体、第四級アミンポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)およびU.S.特許番号4,027,009などに開示のイオネンおよびその他の公知の血清コレステロール低下薬が挙げられる。
【0058】
式(I)の化合物と併用しうるACATインヒビターとして、Drugs of the Future 24、9−15(1999)、(Avasimibe);「The ACAT inhibitor、Cl−1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters」、Nicolosiら、Atherosclerosis(Shannon、Irel).(1998)、137(1)、77−85;「The pharmacological profile of FCE 27677:a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100−containing lipoprotein」、Ghiselli、Giancarlo、Cardiovasc.Drug Rev.(1998)、16(1)、16−30;「RP 73163:a bioavailable alkylsulfinyl−diphenylimidazole ACAT inhibitor」、Smith、C.ら、Bioorg.Med.Chem.Lett.(1996)、6(1)、47−50;「ACAT Inhibitor:physiologic mechanisms for hypolipidemic and anti−atherosclerotic activities in experimental animals」、Krause ら、Editor(s):Ruffolo、Robert R.、Jr.;Hollinger、Mannfred A.、Inflammation:Mediators Pathways(1995)、173−98、Publisher:CRC、Boca Raton、FlA.;「ACAT Inhibitor:potential anti−atherosclerotic agents」、Sliskovicら、Curr.Med.Chem.(1994)、1(3)、204−25;「Inhibitor of acyl−CoA:cholesterol O−acyl transferase(ACAT) as hypocholesterolemic agents.6.The first water−soluble ACAT inhibitor with lipid−regulating activity.Inhibitor of acyl−CoA:cholesterol acyltransferase(ACAT).7.Development of a series of substituted N−phenyl−N'−[(1−phenylcyclopentyl)methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic activity」、Stoutら、Chemtracts:Org.Chem.(1995)、8(6)、359−62、or TS−962(Taisho Pharmaceutical Co.Ltd)に開示のものが挙げられる。
【0059】
抗高脂血症薬は、MD−700(Taisho Pharmaceutical Co.Ltd)およびLY295427(Eli Lilly)などのLD2受容体のアップレギュレーターであってもよい。
本発明化合物と併用するのに適したコレステロール吸収インヒビターの例として、SCH48461(Schering−Plough)ならびにAtherosclerosis 115、45−63(1995)およびJ.Med.Chem.41、973(1998)に開示のものが挙げられる。
本発明化合物と併用するのに適した回腸Na+/胆汁酸コトランスポーターインヒビターの例として、Drugs of the Future、24、425−430(1999)に開示の化合物が挙げられる。
【0060】
式(I)の化合物と併用しうるリポキシゲナーゼインヒビターとして、WO 97/12615に開示のベンズイミダゾール誘導体などの15−リポキシゲナーゼ(15−LO)インヒビター、WO 97/12613に開示の15−LOインヒビター、WO 96/38144に開示のイソチアゾロンおよびSendobryら「Attenuation of diet−induced atherosclerosis in rabbits with a highly selective 15−lipoxygenase inhibitor lacking significant antioxidant properties」、Brit.J.Pharmacology(1997) 120、1199−1206およびCornicelliら、「15−lipoxygenase and its Inhibition:A Novel Therapeutic Target for Vascular Disease」、Current Pharmaceutical Design、1999、5、11−20に開示の15−LOインヒビターが挙げられる。
【0061】
本発明化合物と併用するのに適した降圧薬の例として、ベータアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(L−型およびT−型;たとえば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピンンおよびミベフラジル)、利尿薬(たとえば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロリド、スピロノラクトン)、レニンインヒビター、ACEインヒビター(たとえば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラゾプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT−1受容体アンタゴニスト(たとえば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET受容体アンタゴニスト(たとえば、シタキセンタン、アトロセンタンおよびU.S.特許番号5,612,359および6,043,265に開示の化合物)、デュアルET/AIIアンタゴニスト(たとえば、WO 00/01389に開示の化合物)、中和エンドペプチダーゼ(NEP)インヒビター、バソペプシダーゼインヒビター(デュアルNEP−ACEインヒビター)(たとえば、オマパトリラートおよびゲモパトリラート)および硝酸塩薬が挙げられる。
【0062】
本発明化合物と併用するのに適した抗肥満薬の例として、ベータ3アドレナリン作動薬、リパーゼインヒビター、セロトニン(およびドーパミン)再取り込みインヒビター、甲状腺受容体ベータ薬、5HT2Cアゴニスト、(Arena APD−356など);Synaptic SNAP−7941およびTakeda T−226926などのMCHR1アンタゴニスト、メラノコルチン受容体(MC4R)アゴニスト、メラニン凝集ホルモン受容体(MCHR)アンタゴニスト(Synaptic SNAP−7941およびTakeda T−226926など)、ガラニン受容体モジュレーター、オレキシンアンタゴニスト、CCKアゴニスト、NPY1またはNPY5アンタゴニスト、NPY2およびNPY4モジュレーター、コルチコトロピン放出因子アゴニスト、ヒスタミン受容体−3(H3)モジュレーター、11−ベータ−HSD−1インヒビター、アディポネクチン受容体モジュレーター、モノアミン再取り込みインヒビターまたは放出薬、毛様体神経栄養因子(CNTF、Regeneronのアクソカイン(AXOKINE)(登録商標)など)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、レプチンおよびレプチン受容体モジュレーター、カンナビノイド−1受容体アンタゴニスト(SR−141716(Sanofi)またはSLV−319(Solvay)など)および/または食欲低下薬が挙げられる。
【0063】
必要に応じて本発明化合物と併用しうるベータ3アドレナリン作動薬として、AJ9677(Takeda/Dainippon)、L750355(Merck)またはCP331648(Pfizer)またはU.S.特許番号5,541,204、5,770,615、5,491,134、5,776,983および5,488,064に開示の他の公知のベータ3アゴニストが挙げられる。
必要に応じて本発明化合物と併用しうるリパーゼインヒビターの例として、オルリスタットまたはATL−962(Alizyme)が挙げられる。
【0064】
必要に応じて本発明化合物と併用しうるセロトニン(およびドーパミン)再取り込みインヒビター(またはセロトニン受容体アゴニスト)の例として、BVT−933(Biovitrum)、シブトラミン、トピラメート(Johnson & Johnson)またはアクソカイン(Regeneron)が挙げられる。
必要に応じて本発明化合物と併用しうる甲状腺受容体ベータ化合物の例として、WO97/21993(U.Cal SF)、WO99/00353(KaroBio)およびGB98/284425(KaroBio)に開示のものなどの甲状腺受容体リガンドが挙げられる。
【0065】
必要に応じて本発明化合物と併用しうるモノアミン再取り込みインヒビターとして、フェンフルアミン、デキシフェンフルアミン、フルボキサミン、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、クロルフェンテルミン、クロフォレックス、クロルテルミン、ピシロレックス、シブトラミン、デキサムフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミンまたはマジンドールが挙げられる。
必要に応じて本発明化合物と併用しうる食欲低下薬として、トピラメート(Johnson & Johnson)、デキサムフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミンまたはマジンドールが挙げられる。
前述の特許および特許出願は、全体として参照することにより本発明に援用される
【0066】
上述の他の治療薬は、本発明化合物と併用される場合、たとえば、上述の特許のように、または当業者の1人によって別段に決定されるように、米医薬品便覧に指示された量で用いることができる。
同時または連続的に1つ以上の他の治療薬と併用して本発明化合物を用いる場合、以下の配合率および用量範囲が好ましい。
【0067】
他の抗糖尿病薬がビグアナイドである場合、式(I)の化合物は、ビグアナイドに対する重量比が約0.01:1−約l00:l、好ましくは約0.1:1−約5:1の範囲で用いる。
式(I)の化合物は、グルコシダーゼに対する重量比約が約0.0l:l−約l00:l、好ましくは約0.5:l−約50:lの範囲で用いる。
式(I)の化合物は、スルホニル尿素に対する重量比約が約0.0l:l−約l00:l、好ましくは約0.2:l−約10:lの範囲で用いる。
式(I)の化合物は、チアゾリジンジオンに対する重量比約が約0.0l:l−約l00:l、好ましくは約0.2:l−約10:lの範囲で用いる。
【0068】
存在する場合、チアゾリジンジオン抗糖尿病薬は、約0.01−約2000 mg/日の範囲の量で用い、1日1−4回単回または分割投与する。
必要に応じて、スルホニル尿素およびチアゾリジンジオンを約l50 mg以下の量で式(I)の化合物と単一の錠剤に組み込んでもよい。
存在する場合、メトホルミンまたはその塩は、約500−約2000 mg/日の範囲の量で用い、1日1−4回単回または分割投与する。
存在する場合、GLP−lペプチドは、U.S.特許番号5,346,70l(TheraTech)、5,6l4,492および5,63l,224(これらは、全体として参照することにより本発明に援用される)に記載されるように経口バッカル製剤、経鼻投与または非経口で投与することができる。
【0069】
式(I)のSGLT2インヒビターは、メグリチニド、PPAR−ガンマアゴニスト、PPAR−アルファ/ガンマデュアルアゴニスト、aP2インヒビターまたはDPP4インヒビターに対する重量比約が約0.0l:l−約l00:l、好ましくは約0.2:l−約10:lの範囲で用いる。
式(I)の化合物は通常、抗高脂血症薬(存在する場合)に対する重量比約が約500:l−約1:500、好ましくは約100:1−約1:100の範囲で用いる。
経口投与の場合、約0.01 mg/kg−約500 mg、好ましくは約0.1 mg−約100 mgの範囲の量でMTPインヒビターを用い、1日1−4回で投与して、満足できる結果が得られる。
錠剤またはカプセル剤などの好ましい経口投与剤形は、約1−約500 mg、好ましくは約2−約400 mg、より好ましくは約5−約250 mgの範囲の量でMTPインヒビターを含み、1日1−4回で投する。
【0070】
経口投与の場合、約1−2000 mg、好ましくは約4−約200 mgの範囲の量でHMG CoAレダクターゼインヒビターを用いて、満足できる結果が得られる。
錠剤またはカプセル剤などの好ましい経口投与剤形は、約1−約100 mg、好ましくは約5−約80 mg、より好ましくは約10−約40 mgの範囲の量でHMG CoAレダクターゼインヒビターを含む。
【0071】
スクアレンシンセターゼインヒビターは、約10 mg−約2000 mg、好ましくは約25 mg−約200 mgの範囲の量で用いる。
錠剤またはカプセル剤などの好ましい経口投与剤形は、約10−約500 mg、好ましくは約25−約200 mgの範囲の量でスクアレンシンセターゼインヒビターを含む。
【0072】
式(I)の化合物は、本明細書に記載の使用のいずれかのために、いずれかの適当な経路、たとえば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤または散剤などの経口で;舌下で;バッカル剤で;皮下、静脈内、筋肉内または胸骨内注射または灌流技術(たとえば、滅菌注射用水性もしくは非水性の溶液もしくは懸濁液)などの非経口で;吸入スプレーなどの鼻粘膜への投与などの経鼻で;クリーム剤または軟膏の剤形などの局所適用で;または座剤の剤形などの経直腸で;非毒性の医薬的に許容しうるビヒクルまたは希釈剤を含む単位投与剤形にて投与することができる。
【0073】
糖尿病および関連疾患などの本明細書に開示する疾患のいずれかを治療するための本発明の好ましい方法を行うには、医薬的ビヒクルまたは希釈剤とともに、1つ以上の式(I)の化合物を含み、他の抗糖尿病薬および/または抗高脂血症薬および/または他のタイプの治療薬を含むかまたは含まない医薬組成物を用いる。医薬組成物は、慣例の固体または液体ビヒクルまたは希釈剤および医薬的に許容しうる担体、賦形剤、結合剤などの所望の投与モードに適したタイプの医薬品添加物を用いて製剤することができる。該化合物は、ヒト、サル、イヌなどの哺乳動物に、たとえば、錠剤、カプセル剤、ビーズ、顆粒剤または散剤などの剤形での経口経路によって投与することができ、あるいは、注射製剤の剤形での非経口投与によって投与することができ、あるいは、経鼻もしくは経皮パッチで投与することができる。典型的な固体製剤は、約10−約500 mgの式(I)の化合物を含む。成人のための用量は、1日当たり10−2,000 mgが好ましく、単回投与もしくは1日1−4回の分割用量で投与することができる。
【0074】
典型的な注射製剤は、250 mgの式(I)の化合物を無菌的にバイアルに入れ、無菌的に凍結乾燥し、密封することによって製造することができる。使用するには、バイアルの内容物を2 mLの生理食塩水と混合し、注射製剤を作成する。
当然のことながら、いずれかの特定の患者のための特定の用量および投与頻度は、多様であり、用いる特定の化合物の活性、その化合物の作用の代謝安定性および作用の長さ、患者の種、年齢、体重、一般的健康、性別および食事、投与のモードおよび時間、排出の速度、薬物の組み合わせおよび特定の身体状態の重篤度などの種々の因子に応じて決まる。
本発明化合物のSGLT2インヒビター活性は、以下に記載するアッセイ系の使用によって決定することができる。
【0075】
SGLT2活性のためのアッセイ
標準的分子生物学技術を用いて、ヒトSGLT2のmRNA配列(GenBank #M95549)をヒト腎臓mRNAから逆転写および増幅によってクローニングした。cDNA配列をCHO細胞に安定にトランスフェクトさせ、本質的にRyanら(1994)の記載にしたがって、SGLT2活性についてクローンをアッセイした。次の変更を加え、本質的にRyanらの記載にしたがって、クローン的に選択した細胞系におけるSGLT2活性の阻害の評価を行った。ウエル当たり10,000または20,000個の細胞をプレーティングし、10%ウシ胎児血清および500 μg/mlのジェネティシンを含むハムのF−12培地にて培養した。プレーティングの2または3日後に、約90%集密の細胞をアッセイした。10 mM Hepes/Tris、137 mM N−メチル−D−グルカミン、5.4 mM KCl、2.8 mM CaCl2および1.2 mM MgSO4、pH 7.4を含み、ナトリウム欠損緩衝液で1回細胞を洗浄した。10 mM Hepes/Tris、137 mM NaCl、5.4 mM KCl、2.8 mM CaCl2および1.2 mM MgSO4、pH 7.4を含むタンパク質フリーの緩衝液中で120分間インキュベートした後、10 μM [14C] AMG(α−メチル−D−グルコピラノシド)の存在下、8つの濃度にてインヒビターをアッセイした。IC50として最大応答の半分のインヒビター濃度を決定するために、応答曲線を経験4パラメーターモデルにフィッティングさせた。測定毎に3回の複製を行った。0.5 mMフロリジンを含む氷冷1Xリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄することによってアッセイを停止し、次いで、細胞を50 μlの0.1% NaOHで濯いだ。200 μlのMicroScint−40シンチレーション液を加えた後、細胞を1時間振とうし、次いで、TopCountシンチレーションカウンターで[14C]AMGを定量した。インヒビターの不在下でのコントロールアッセイを、NaClの存在および不在下で行い、ポジティブコントロールとしてすべてのアッセイにおいてフロリジンについての用量応答曲線を作成した。
【0076】
Ryan MJ、Johnson G、Kirk J、Fuerstenberg SM、Zager RA and Torok−Storb B.1994.HK−2:an immortalized proximal tubule epithelial cell line from normal adult human kidney.Kidney International 45:48−57。
以下の実施例は、さらに詳しい説明であるが、本発明の具体例を制限するものではない。
【実施例】
【0077】
実施例1

【0078】


A.5−ブロモ−2−クロロ−4'−エチルベンゾフェノン
700 mLのCH2Cl2中の市販の5−ブロモ−2−クロロ安息香酸(410g、1.74 mol)の磁気撹拌懸濁液を入れた2Lの丸底フラスコに、塩化オキサリル(235g、1.85 mol)、次いで、1.5 mLのDMFを加えた。得られるHClを捕捉するために、ガスが撹拌水性KOH溶液の表面上を排出されるようにフラスコにチューブを取り付けた。2時間後にガスの激しい発生が終わり、均質な反応液を一夜撹拌した後、ロータリーエバポレーターを用いて真空下で揮発物を除去する。得られる油状物は、次の排気中に固化した。
粗5−ブロモ−2−クロロベンゾイルクロリドを530 mlのエチルベンゼンに溶解した後、黄色溶液を−3℃に冷却し、次いで、AlCl3(257g、1.93 mol)を温度が10℃を超えないように、〜30gの部分に60分間にわたって加える。60%のAlCl3を加えた後に放出を開始する多量のHClガスを、撹拌中の濃NaOH溶液の上を通して捕捉する。反応物をさらに濃縮するならば、磁気撹拌機はAlCl3の添加の完了時に撹拌を維持できなかった。〜15℃にバスを温めながら1時間撹拌した後、バスを除去する。20℃にて4時間後、濃厚なシロップ状物を氷(1.5 kg)上に注ぐ。続いて、撹拌懸濁液を冷却後ただちに、H2O(1 L)を加え、次いで、EtOAcで4回抽出する。有機抽出物を合わせ、1N HClで2回、1M KOHで3回、塩水で2回洗浄した後、乾燥(硫酸ナトリウム)する。最初にロータリーエバポレーターを用い、次いで、1トールで〜60℃にて加熱することによって揮発物を除去する。得られる暗色油状物の1H NMR分析により、残渣がオルト/パラ異性体の1:14混合物であることが示される。ヘキサンに溶解し、シリカゲルパッドで濾過して大部分の着色を除去する。溶離液を濃縮して、5−ブロモ−2−クロロ−4'−エチルベンゾフェノン/5−ブロモ−2−クロロ−2'−エチルベンゾフェノンの14:1混合物560g(99%)を得る。
HPLC保持時間:4.7分、YMC S5 C−18 4.6x50mm カラム、2.5 mL/分、220nMにて検出;4分間の勾配 0−100% B、100% Bにて2分間の保持。溶媒A:10% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4。溶媒B:90% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4
5−ブロモ−2−クロロ−4'−エチルベンゾフェノン
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ7.73(d、2H、JAB=8.2 Hz)、7.54(dd、1H、J=2.2 Hz、J=8.8 Hz)、7.32(d、1H、J=8.8 Hz)、7.295(d、2H、JAB=8.2 Hz)、2.72(q、2H、J=7.7 Hz)、1.27(t、3H、J=7.7 Hz)。
13C NMR(100 MHz、CDCl3)δ193.13。151.33、140.49、133.8、133.52、131.6、131.44、130.34、130.16、128.28、120.44、29.04、15.02。
5−ブロモ−2−クロロ−2'−エチルベンゾフェノン(特有のシグナル)
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ2.64(q、2H、J=7.7 Hz)、1.23(t、3H、J=7.7 Hz)。
13C NMR(100 MHz、CDCl3)δ28.9、15.5。
【0079】


B.5−ブロモ−2−クロロ−4'−エチルジフェニルメタン
300 mlのTFA中の〜7%の異性体ケトンを含むEt3SiH(400 g、3.45 mol)および5−ブロモ−2−クロロ−4'−エチルベンゾフェノン(534g、1.65 mol)の撹拌溶液に、30℃にてCF3SO3H(1.5 g、0.01 mol)を加える。数分以内に、温度が上昇して溶液に激しい還流が起こる。注意しながら、外部氷浴にて冷却してこの発熱を和らげる。1時間後、HPLCにより、反応が90%完了したことが示される。追加のEt3SiH(20 g)を加え、70℃にて一夜加熱した後、HPLC分析により反応が>95%完了したことが示される。冷却後、減圧下のクーゲルロール蒸留によって揮発物を除去する。得られる〜1Lの明灰色油状物を1LのH2Oに注ぐ。混合物をヘキサンで3回抽出し、有機層を合わせ、H2Oで3回、Na2CO3で2回、塩水で2回洗浄した後、乾燥(硫酸ナトリウム)する。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、〜 1 Lの透明な明琥珀色油状物が残る。この物質をさらに濃縮し、0.6トールにて蒸留して(Et3Si)2O(450 mL)を除去する。蒸留先端の温度が75℃に達したらすぐに、ポットを冷却する。ポットの1H NMR分析により、それが(Et3Si)2Oにジアリールメタンの〜8:1混合物を含むことが示される。激しく撹拌する10℃ 85% EtOH/H2O(1.2L)に生成物を注ぐことによって混合物の結晶化が達成される。数時間撹拌した後、濾過により結晶を集め、冷たい1:1 EtOH/H2Oで洗浄し、減圧乾燥する。〜1%の(Et3Si)2Oを含む低融点固体として得られた5−ブロモ−2−クロロ−4'−エチルジフェニルメタン(500 g)をさらに精製することなく用いる。
HPLC保持時間:5.3分、YMC S5 C−18 4.6x50mm カラム、2.5 mL/分、220nMにて検出;4分間の勾配 0−100% B、100% Bにて2分間の保持。溶媒A:10% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4。溶媒B:90% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4
1H NMR(125 MHz、CDCl3)δ7.27−7.23(m、3H)、7.14(d、2H、JAB=7.7 Hz)、7.09(d、2H、JAB=7.7 Hz)、2.63(q、2H、J=7.7 Hz)、1.23(t、3H、J=7.7 Hz)。
13C NMR(100 MHz、CDCl3)δ142.46。141.08、135.68、133.64、133.13、130.85、130.55、128.83、128.1、120.0、38.62、28.43、15.51。
【0080】



C.2,3,4,6−テトラ−O−トリメチルシリル−D−グルコノラクトン
2.4LのTHF中のグルコノラクトン(239g、1.34 mol)およびN−メチルモルホリン(1180 mL、10.73 mol)の撹拌−5℃溶液に、アルゴン下、トリメチルシリルクロリド(1022 mL、8.05 mol)を温度が5℃を超えないような速度で滴下ロートにて加える。1時間後、撹拌反応物を35℃にて5時間加熱し、すぐに20℃まで冷却し、反応物を一夜撹拌する。3.6Lのトルエンで希釈した後、混合物を0−5℃に冷却し、次いで、7LのH2Oを温度が10℃を超えないような速度で注意深く加える。最初の部分のH2Oの添加により激しい発熱が起こるので注意する。混合後、静置して相を分離させ、次いで分ける。有機相を水性NaH2PO4(2L)、H2O(1L)および塩水(1L)で洗浄する。次いで、有機層をロータリーエバポレーターで減圧濃縮し、得られる明黄色油状物に250 mlのトルエンを2回加え、再濃縮して、616gを得る。
【0081】
D.


450 mlの1:2 無水THF/トルエン中のB項の5−ブロモ−2−クロロ−4'−エチルジフェニルメタン(88g、0.28 mol)の撹拌−78℃溶液に、アルゴン下、ヘキサン中の2.5 M n−BuLi(136 mL、0.34 mol)を、温度が−55℃以下に維持されるような速度で加える。添加後10分間撹拌した後、トルエン(350 mL)中のC項の2,3,4,6−テトラ−O−トリメチルシリル−D−グルコノラクトン(153g、0.33 mol)の撹拌−78℃溶液に、温度が−55℃以下に維持されるような速度でカニューレにて溶液を移す。溶液を−78℃にて30分間撹拌した後、メタンスルホン酸(28 mL、0.45 mol)を含む400 mlのMeOHを加えて反応を停止する。反応物を20℃にて一夜を通して18時間撹拌する。HPLC分析により、LC/MSによって予測されたO−メチルグルコシドの質量に対応する新たなピークが示される。反応が完了したら、200 mlのH2O中のNaHCO3(42 g、0.5 mol)を添加して反応を停止する。pHが弱塩基性でないならば、さらにNaHCO3を加えた後、2倍のH2Oで希釈し、EtOAcで3回抽出する。EtOAc画分を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した後、油状物(140 g、HPLC分析による純度90%)はさらなる精製を行わず、不純物を含むジアステレオマー混合物として反応を進める。
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ7.37(m、1H)、7.23(m、2H)、 7.02(m、4H)、5.14(m、1H)、5.06(m、1H)、4.07(m、1H)、4.03(d、1H、JAB=15.4 Hz)、3.97(d、1H、JAB=15.4 Hz)、3.80−3.70(m、4H)、3.60(m、1H)、3.48(m、1H)、3.31(m、1H)、2.84(s、3H)、2.53(q、2H、J =7.5 Hz )、1.14(t、3H、J =7.5 Hz)。
13C NMR(100 MHz、CDCl3)δ144.4、140.7、138.94、136.9、132.51、131.6、130.96、130.6、130.2、129.16、103.36、77.0、74.86、72.48、64.27、51.57、41.33、30.75、17.9。
HPLC保持時間:4.28分、90%純度、YMC S5 C−18 4.6x50mm カラム、2.5 mL/分、220nMにて検出;4分間の勾配 0−100% B、100% Bにて2分間の保持。溶媒A:10% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4。溶媒B:90% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4
LC/MS:[M−OMe]+ 391、393;[M+Na]+ 445、447。
【0082】
E.


ジイソプロピルエチルアミン(465 g、3.6 mol)およびDMAP(0.5g、4.1 mmol)を含むTHF(1 L)中のD項のO−メチルグルコシド(206g、0.49 mol)の溶液を0℃に冷却する。酢酸無水物(326g、3.19 mol)を温度が5℃を超えないような速度でゆっくりと加える。溶液を徐々に20℃まで温めた後、10時間撹拌するとtlc分析によりテトラアセテートに完全に変換されたことが示される。EtOAc(1.5 L) and 10% 水性H3PO4(1.5 L)を加えて反応を停止する。層を分離した後、水性相をEtOAcで2回抽出する。有機相を合わせ、塩水で1回洗浄し、次いで、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧濃縮する。得られる油状物を300 mlのトルエンに2回溶解し、再濃縮して、濃厚な油状物(300g、95% HPLC純度)を得、得られる不純なジアステレオマー混合物をさらなる精製を行うことなく用いる。
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ7.38(d、1H、J=8.3 Hz)、7.28(dd、1H、J=8.3 Hz、J=2.2 Hz)、7.24(d、1H、J=2.2 Hz)、7.11(d、2H、JAB=8.3 Hz)、7.04(d、2H、JAB=8.3 Hz)、5.56(t、1H、J=9.7 Hz)、5.21(t、1H、J=10.1 Hz)、4.93(t、1H、J=10.1 Hz)、4.20(dd、1H、J=12 Hz、J=2 Hz)、4.12(d、1H、JAB=15.4 Hz)、4.02(m、1H)、4.018(d、1H、JAB=15.4 Hz)、3.10(s、3H)、2.606(q、2H、J=7.7 Hz)、2.097(s、3H)、2.05(s、3H)、1.94(s、3H)、1.72sd(s、3H)、1.21(t、3H、J=7.7 Hz) 。
13C NMR(100 MHz、CDCl3)δ170.7、170.05、169.47、168.9、142.2、138.74、136.4、135.1、134.7、 129.8、129.4、128.6、128.0、126.0、100.02、73.83、71.33、68.87、68.77、62.11、49.43、38.75、28.4、22.64、20.68、20.58、20.16、15.5。
HPLC保持時間:4.81分、90% 純度、YMC S5 C−18 4.6x50mm カラム、2.5 mL/分、220nMにて検出;4分間の勾配 0−100% B、100% Bにて2分間の保持。溶媒A:10% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4。溶媒B:90% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4
【0083】
F.


H2O(9g、0.5 mol)およびEt3SiH(188g、1.62 mol)を含むCH2Cl2(500 mL)中の上記粗油状物(301g、0.51 mol)の撹拌溶液を−20℃に冷却し、次いで、BF3・Et2O(145g、1.02 mol)を加える。添加中、温度を<0℃に維持する。反応物を10℃にて2時間、15−20℃にて18時間連続的に撹拌した後、CH2Cl2(500 mL)およびH2O(500 mL)を加えて反応を停止する。層を分離した後、水性相をCH2Cl2で1回抽出する。有機層を合わせ、水性NaHCO3および塩水で1回洗浄した後、乾燥(硫酸ナトリウム)する。濾過によりNa2SO4を除去した後、Ac2O(6.4g、65 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(9.5g、74 mmol)およびDMAP(100mg、0.8 mmol)を加える。還元および検査中に加水分解されるグルコシドのヒドロキシルが再アセチル化されることを保証するために、溶液を20℃にて18時間撹拌する。減圧濃縮により得られる油状物にエタノールを加えて結晶化する。濾過した後、HPLCによるこの物質の純度は98%であり、EtOHから再結晶して、テトラアセチル化ベータ−C−グルコシドを白色固体(180g、99.8%純度)で得る。手順D−Fについての全変換は61%である。
HPLC保持時間:4.74分、100%純度、YMC S5 C−18 4.6x50mm カラム、2.5 mL/分、220nMにて検出;4分間の勾配 0−100% B、100% Bにて2分間の保持。溶媒A:10% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4。溶媒B:90% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4
1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ7.35(d、1H、J=8.2 Hz)、7.19(dd、1H、J=8.2 Hz、J=2.2 Hz)、 7.11(d、2H、JAB=8.5 Hz)、7.086(d、1H、J=2.2 Hz)、7.06(d、2H、JAB=8.5 Hz)、5.28(t、1H、J=9.7 Hz)、5.20(t、1H、J=9.7 Hz)、5.04(t、1H、J=9.7 Hz)、4.31(d、1H、J=9.9 Hz)、4.26(dd、1H、J=12 Hz、J=5 Hz)、4.135(dd、1H、J=12 Hz、J=5 Hz)、4.095(d、1H、JAB=7.7 Hz)、3.995(d、1H、JAB=7.7 Hz)、3.79(m、1H)、2.605(q、2H、J=7.7 Hz)、2.069(s、3H)、2.04(s、3H)、1.98(s、3H)、1.67(s、3H)、1.21(t、3H、J=7.7 Hz) 。
13C NMR(125 MHz、CDCl3)δ170.64、170.3、169.4、168.7、142.2、138.78、136.4、135.1、134.6、 129.9、129.8、128.7、128.0、125.9、79.45、76.1、74.1、72.5、68.45、62.2、38.6、28.4、20.7、20.6、20.59、20.2、15.55。
LC−MS [M+NH4+] at m/z 578.3
【0084】
G.


2:3 THF/MeOH(350 mL)中のF項のテトラアセチル化ベータ−C−グルコシド(25g、44.6 mmol)を窒素下、20℃にて5分間撹拌することによって形成された白色懸濁液に、H2O(70 mL)中のLiOH・H2O(2.0g、50 mmol)を加える。15分後、反応物は不透明な溶液であり、2.5時間後、HPLC分析により、反応が98%完了したことが示される。一夜撹拌後、変換が99%に増加したらすぐに、体積が150 mLになるようにロータリーエバポレーターを用いて揮発物を除去する。10% 水性KHSO4(100 mL)を添加した後、残渣を100 mlのH2Oでさらに希釈し、次いで、EtOAcで3回抽出する。乾燥(硫酸ナトリウム)後、ロータリーエバポレーターを用いて揮発物を除去し、得られる油状物を減圧下で最少量のEtOAcに泡立たせる。この物質に捕捉されたEtOAcの量は、減圧乾燥によって減らすことができる。ガラス状のオフホワイト固体を掬い取り、0.15トール、25℃にて24時間さらに乾燥して、6.7 mol%のEtOAcを含む17.3 gの所望のC−アリールグルコシドを得る。
HPLC保持時間:4.21分、98.8%純度、YMC S5 C−18 4.6x50mm カラム、2.5 mL/分、220nMにて検出;4分間の勾配 0−100% B、100% Bにて2分間の保持。溶媒A:10% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4。溶媒B:90% MeOH/H2O+0.2 % H3PO4
1H NMR(500 MHz、CD3OD)δ7.34(d、1H、J=8.2 Hz)、7.33(d、1H、J=1.7 Hz)、 7.27(dd、1H、J=8.2 Hz、J=1.7 Hz)、 7.08(部分的に重なったAB カルテット、4H)、4.1−4.0(m、3H)、3.86(d、1H、J=11.6 Hz)、3.68(dd、1H、J=5.3、10.6 Hz)、3.46−3.26(m、4H) Hz)、2.57(q、2H、J=7 Hz)、1.19(t、3H、J=7 Hz)。
13C NMR(125 MHz、CD3OD)δ143.2、140.0、139.7、138.1、134.5、131.98、130.1、129.8、128.8、128.2、82.8、82.14、79.7、76.4、71.9、63.1、39.7、29.4、16.25。
MS [M+Na] at m/z 理論値415.1288;実測値415.1293
元素分析:C21H25ClO5・0.07 EtOAc・0.19 H2O:計算値 C 63.51、H 6.50、Cl 8.80;実測値 C 63.63、H 6.63、Cl 8.82

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:

I
で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩、複合体、立体異性体またはプロドラッグエステル。
【請求項2】
式(I)の化合物および医薬的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項3】
式(I)の化合物および抗糖尿病薬、抗肥満薬、降圧薬、抗アテローム硬化薬および脂質低下薬から選ばれる少なくとも1つ治療薬を含む医薬配合剤。
【請求項4】
式(I)の化合物および少なくとも1つの抗糖尿病薬を含む請求項3に記載の医薬配合剤。
【請求項5】
抗糖尿病薬が、ビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼインヒビター、PPARガンマアゴニスト、PPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト、aP2インヒビター、DPP4インヒビター、インスリン抵抗性改善薬、グルカゴン様ペプチド−l(GLP−l)、PTP1Bインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、グルコース−6−ホスファターゼインヒビター、インスリンおよびメグリチナイドから選ばれる少なくとも1つの作用薬である請求項4に記載の医薬配合剤。
【請求項6】
抗糖尿病薬が、メトホルミン、グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミド、グリクラジド、アカルボース、ミグリトール、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、インスリン、イサグリタゾン、レパグリナイド、ナテグリナイド、ムラグリタザールおよびペリグリタザールから選ばれる少なくとも1つの作用薬である請求項4に記載の医薬配合剤。
【請求項7】
式(I)の化合物が、約0.01−約300:1の範囲の抗糖尿病薬に対する重量比で存在する請求項4に記載の医薬配合剤。
【請求項8】
抗肥満薬が、ベータ3アドレナリン作動薬、リパーゼインヒビター、セロトニン再取り込みインヒビター、甲状腺受容体ベータ薬、5HT2Cアゴニスト、MCHR1アンタゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、メラニン凝集ホルモン受容体アンタゴニスト、ガラニン受容体モジュレーター、オレキシンアンタゴニスト、CCKアゴニスト、NPY1またはNPY5アンタゴニスト、NPY2またはNPY4モジュレーター、コルチコトロピン放出因子アゴニスト、ヒスタミン受容体−3(H3)モジュレーター、11−ベータ−HSD−1インヒビター、アディポネクチン受容体モジュレーター、モノアミン再取り込みインヒビター、毛様体神経栄養因子、脳由来神経栄養因子、レプチンまたはレプチン受容体モジュレーター、カンナビノイド−1受容体アンタゴニストおよび食欲低下薬から選ばれる少なくとも1つの作用薬である請求項3に記載の医薬配合剤。
【請求項9】
抗肥満薬が、リモナバント、オルリスタット、シブトラミン、トピラメート、デキサムフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミンおよびマジンドールから選ばれる少なくとも1つの作用薬である請求項8に記載の医薬配合剤。
【請求項10】
脂質低下薬が、MTPインヒビター、CETPインヒビター、HMG CoAレダクターゼインヒビター、スクアレンシンセターゼインヒビター、フィブリン酸誘導体、LDL受容体活性のアップレギュレーター、リポキシゲナーゼインヒビターおよびACATインヒビターから選ばれる少なくとも1つの作用薬である請求項3に記載の医薬配合剤。
【請求項11】
脂質低下薬が、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトロバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ニスバスタチン、ビサスタチン、アタバスタチン、ロスバスタチン、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレートおよびアバシミベから選ばれる少なくとも1つの作用薬である請求項10に記載の医薬配合剤。
【請求項12】
式(I)の化合物が、約0.01−約300:1の範囲の脂質低下薬に対する重量比で存在する請求項10に記載の医薬配合剤。
【請求項13】
有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、遅延創傷治癒、インスリン耐性、高血糖、高インスリン血症、脂肪酸またはグリセロールの血中レベル上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド血症、シンドロームX、糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症または高血圧を治療するか、またはその進行または発症を遅延化する方法、あるいは高密度リポタンパク質の血中レベルを増加させる方法。
【請求項14】
抗糖尿病薬、抗肥満薬、降圧薬、抗アテローム硬化薬および脂質低下薬から選ばれる少なくとも1つの治療有効量の付加的治療薬を同時または連続的に投与することをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
治療有効量の式(I)の化合物を単独または抗糖尿病薬、糖尿病の合併症の治療薬、抗肥満薬、降圧薬、抗血小板薬、抗アテローム硬化薬および抗高脂血症薬から選ばれる少なくとも1つの他の治療薬と併用して投与することを含むII型糖尿病の治療方法。
【請求項16】
構造式:



または

を有する化合物。

【公表番号】特表2008−514625(P2008−514625A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533695(P2007−533695)
【出願日】平成17年9月23日(2005.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/034359
【国際公開番号】WO2006/034489
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】