説明

Cr4+ドープ混合合金レーザー材料及びレーザー並びに当該材料の使用方法

Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4(式中、MはMg2+よりも大きなイオン半径を有する4価のイオンであり、さらにAはSi4+よりも大きなイオン半径を有する2価のイオンである)の単結晶を含むのレーザー媒質。さらに、a)0≦x<2 及び 0<y<1;又はb)0<x<2 及び y=0 若しくは y=1(但し、MがCa2+で、x=1 である場合には、yは0ではない。)のどちらかである。当該レーザー媒質は、チューナブル近赤外線(NIR)レーザーのようなレーザー素子で用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、2005年1月25日に出願され参照によって本明細書に取り込まれる米国仮特許出願番号:60/646,546の利益を主張する。
(連邦政府によって後援された研究又は開発に関する記述)
本発明は、NASAによって授与された助成金番号:NCC-1-03009 及び米国国防総省から得た助成金番号:W911NF0410023 に基づく政府支援でなされたものである。政府は、本発明において一部の権利を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
(背景技術)
Cr4+イオンをベースにしたチューナブル固体レーザーの開発は、フォルステライト、Cr:Mg2SiO4で1988年に始まった[V. Petricevic, S.K. Gayen and R.R. Alfano, Appl. Phys. Letters 53 (1988) 2590]。当該開発は、Cr4+ドープY3Al512[A.P. Shkadarevich, in: OSA Proceedings on Tunable Solid State Lasers, Ed. M.L. Shand and H.P. Jenssen (Optical Society of America, Washington, D.C., 1989), Vol. 5, pp.60-65]、Y2SiO5[J. Koetke, S. Kuck, K. Petermann, G. Huber, G. Gerullo, M. Danailov, V. Magni, L.F. Qian, and O. Svelto, Opt. Commun. 101 (1993) 195]及びY3ScxAl5-x12[S. Kuck, K. Peterman, U. Pohlmann, U. Schonhoff, and G. Huber, Appl. Phys, B58, (1994) 153]のような他の結晶媒質へ広げられた。これらの材料はまた、概して他の原子化状態で結晶構造中にクロムドーパントを含む。これらの他の原子化状態は、トラップとして作用することがあり、Cr4+レージングイオンの全体の濃度を減らす。レーザー材料中のCr4+レージングイオン濃度の上昇は、レーザー素子の効率を改善することができる。
【0003】
種々のアプローチが、結晶中のCr4+濃度を上昇させるために用いられてきた。例えば、特定の結晶成長条件が、初充填中の酸化クロムの種々の総量、成長雰囲気中の種々の酸素含有量及び/又は種々の成長後熱処理を用いて作成された。適切な電荷補償を保持する結晶構造中のクロムイオンの取り込みに関して可能なメカニズムも、検討されてきた(W. Chen and G Boulon. Growth mechnism of Cr:forsterite laser crystal with high Cr concentration, Optical Materials, 24 (2003) 163-168; R. Feldman, Y. Shimony and Z. Burshtein. Dynamics of chromium ion valence transformations in Cr,Ca:YAG crystals used as laser gain and passive Q-switching media Optical Materials, Volume 24, Issues 1-2, October-November 2003, Pages 333-344; J.L. Mass, J.M. Burlitch, S.A. Markgraf, M. Higuchi, R. Dieckmann, D.B. Barber and C.R. Pollock, Oxygen activity dependence of the chromium (IV) population in chromium-doped forsterite crystals grown by the floating zone technique, Journal of Crystal Growth, Volume 165, Issue 3, 1 August 1996, Pages 250-255)。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
ある実施態様は、Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4(式中、MはMg2+よりも大きなイオン半径を有する4価のイオンであり、AはSi4+よりも大きなイオン半径を有する2価のイオンである)の単結晶を含むレーザー媒質である。さらに、a)0≦x<2 及び 0<y<1;又はb)0<x<2 及び y=0 若しくは y=1(但し、MがCa2+で、x=1 である場合には、yは0ではない。)のどちらかである。
他の実施態様は、前記レーザー媒質を含むチューナブル近赤外線レーザーのようなレーザーである。
【0005】
さらに他の実施態様は、レーザー媒質の製造方法である。当該方法は、溶媒中で処置されるレーザー媒質を形成するための少なくとも一つの置換体を含む溶液を形成することを含み、前記の少なくとも一つの置換体は金属オキシドである。Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4(式中、MはMg2+よりも大きなイオン半径を有する4価のイオンであり、AはSi4+よりも大きなイオン半径を有する2価のイオンである)の少なくとも一つの結晶が、前記溶液から形成される。さらに、a)0≦x<2 及び 0<y<1;又はb)0<x<2 及び y=0 若しくは y=1(但し、MがCa2+で、x=1 である場合には、yは0ではない。)のどちらかである。ある実施態様において、当該方法は、基材を提供すること及び液相エピタキシによって当該基材上にCr4+:Mg2-xxSi1-yy4の層を形成することを含む。
【0006】
限定的でなく網羅的でない本発明の実施態様が、以下の図面を参照して記載される。図面中、同種の指示数表示は、特別の定めのない限り、種々の図面を通して同種の部品について言及する。
本発明のさらなる理解のために、参照が添付の図面に関連して読まれるべき以下の詳細な説明に対し構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(詳細な説明)
近赤外線(NIR)レーザー材料を含む新しいレーザー材料は、フォルステライト(Mg2SiO4)の合金を基盤とすることができる。これらの材料は、チューナブルNIRレーザーのようなレーザーに関するクロムドープレーザー材料(例えば、レーザー媒質)として用いることができる。増加したCr4+濃度は多くの場合、フォルステライト結晶構造中の促進されたCr4+の取り込み状態を与える特定の同形置換によって獲得することができる。適切なレーザー媒質(材料)の例は、カンラン石型結晶構造を有するクロムドープ混合合金単結晶組成物(Mg2-xxSi1-yy4)である。この合金中で、M=Ca、Sr、Ba又はMg2+よりも大きなイオン半径を有するその他の2価イオンであり、さらに、A=Ge、Ti、Zr又はSi4+よりも大きなイオン半径を有するその他の4価イオンである。
【0008】
これらの材料に関して、a)0≦x<2 及び 0<y<1;又はb)0<x<2 及び y=0 若しくは y=1(但し、MがCa2+で、x=1 である場合には、yは0ではない。)のどちらかである。いくつかの実施態様において、0<x<2 又は 0.1≦x≦1.9 又は 0.1≦x≦1 である。いくつかの実施態様において、0.1≦y≦0.9 である。いくつかの実施態様において、0.1≦x≦1.9 及び 0.1≦y≦0.9 である。
【0009】
いくつかの実施態様において、単結晶は、少なくとも 0.05wt% のCr4+を有することができ、少なくとも 0.1wt% のCr4+、少なくとも 0.5wt% のCr4+又は少なくとも 1wt% のCr4+又はそれ以上のCr4+を有していてもよい。いくつかの実施態様において、単結晶は、1 wt% 〜 5wt% のCr4+を有している。
【0010】
従来、クロムドープフォルステライト(Cr:Mg2SiO4)のレーザー稼動は、フォルステライト構造の4面体配位部位のSi4+と置き換わるCr4+イオンの結果であると考えられた。残念なことに、通常また8面体配位部位のMg2+に関してのCr3+の置換も存在する。結晶成長過程を制御することにより(酸化性雰囲気、結晶成長方向など)、Cr4+/Cr3+の比率は上昇するかもしれないが、フォルステライト中のCr4+の総量(例えば、濃度)は概して、比較的低いレベル(概して、0.05wt% を超えない)に留まる。Ca2+のようなより大きな2価イオンの存在は、光学的にアクティブなCr4+中心の形成を促進することができる。
【0011】
カンラン石の構造をやはり有する他のCr4+ドープ結晶(Ga2GeO4)の合成、結晶成長及び奏効するレーザー稼動が、研究されてきた(V. Petricevic, A.B. Bykov, J.M. Evans and R.R. Alfano Optics Letters 21 (1996), p.1750)。この材料は、8面体部位及び4面体部位の形状を含む結晶構造が結晶構造中のCr4+取り込み(例えば、置換)に関しての重要因子であることを明示した。レーザー材料の当該組成物は、4面体部位のCr4+イオンの適合を左右する結晶構造のパラメーターを規定する。当該組成物は、レーザー結晶中のCr4+濃度を改善するための条件を提供することができる。温度及び成長雰囲気のような成長条件は、二次的要因であるように思われる。
【実施例】
【0012】
フォルステライトに関連するCrドープカンラン石の種々の合金の分光学的研究は蛍光特性の変化を示し、これは、Cr4+/Cr3+比率が当該材料の組成物に依存することを明示する。例えば、CrドープMg2GeO4の多くの粉末サンプルが、固体反応によって合成された。合成は、空気雰囲気のマッフル炉中において、1400℃ で20時間行った。当該最初の粉末混合物は、約 1wt% のCr23をドープしたMgO及びGeO2の化学量論量を含んでいた。冷却速度は、初めの急冷(例えば、材料の入ったるつぼを熱い加熱炉から取り出す)から、1400 ℃ から室温まで48時間までの範囲の一定期間にわたる徐冷まで変えられた。X線粉末回折解析は、急冷サンプル及び徐冷サンプルに関する構造的な差を少しも示さなかった。カンラン石構造だけが、スピネル型構造の痕跡なしに観察された。
【0013】
示差熱分析(DTA)実験もまた、多形転移を検出するために実施された。当該実験は、800 ℃ 付近の非常にゆっくりとした加熱条件及び冷却条件を含んでいた。少しの熱的異常も当該サンプルに関しては検出されなかった。結果として、スピネル型構造の形跡は、このDTA検討によって示されなかった。
【0014】
図1に図解された蛍光測定が、当該サンプルに関して行われた。これらの測定もまた、CrドープMg2GeO4のカンラン石構造のみの存在を支持した。スペクトルは、8面体占有中のCr3+イオンからの発光(925 nm で最大)及び4面体占有中のCr4+イオンから(1170 nm で最大)の発光に起因する2つの広帯域で構成されていた。1360 nm の鋭い線は、ポンプ半導体レーザー(680 nm)の二次発光である。
【0015】
粉末サンプルでのX線回折、DTA及び蛍光測定の結果を考慮すると、Mg2GeO4のカンラン石型構造は非常に安定であり、この型の構造だけが合成手順の間に形成される。加熱手順及び冷却手順は、MgO−GeO2図のシステムで明示されるとおりスピネル転移を引き起こさない[C.R. Robbins and E.M. Levin, Am. J. Sci., 257, 65 (1959) ]。
【0016】
多くのクロムドープ合金Mg2Ge1-ySiy4粉末サンプル(式中、yは0.1から0.9まで変わる)が生成され、格子定数が蛍光測定と組み合わせた標準的なX線解析法を用いて測定された。格子定数は概して、純粋なMg2GeO4から純粋なMg2SiO4までの置換(y=0 から y=1 まで)で、直線的に変化する。蛍光測定は、これらの材料中のCr3+分布及びCr4+分布に関する極めて興味深い特性を示した。図2から理解することができるとおり、Cr3+の発光は、Si/Ge比率が1に等しいと近似した組成物のサンプルで抑制(Cr3+/Cr4+比率が下がる)される。さらに、最大Cr4+発光の波長は、サンプル中のゲルマニウム含有量の増加でより長い波長へシフトする(1360 nm の鋭い線は、ポンプ半導体レーザー(680 nm)の二次発光である)。
【0017】
レーザー材料は、液相エピタキシであってもよいがこれに限定されない種々の方法によって形成することができる。オキシド材料に関して、LPE法の一つの例は、以下のとおりである。溶液の成分を、飽和温度を超えておよそ 50 ℃ 〜 およそ 100 ℃ において白金るつぼ中で融解する。例えば、溶液は、溶媒及び酸化ゲルマニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム及び酸化クロム(又はMg2SiO4又はMg2GeO4のような混合したオキシド)のような好ましい反応物の化学量論的量を好ましい化学量論的量で含んでいてもよい。成長の前に、融液を攪拌して溶質成分を完全融解させる。基材をプラチナ容器上に水平に取り付け、加熱炉中で予熱する。基材は、5秒 〜 10 秒毎に変更される 50 rpm 〜 100 rpm の交互の回転を有する。ディッピング前に、温度の変動を制限するために、基材は融液上に数分間留まらなければならない。成長の間、融解温度は一定に保たれる。成長の後に、溶媒の小滴を排除するために速い速度の回転(800 rpm)が用いられるべきである。次に基材を、熱応力を回避するためにゆっくりと加熱炉から引き抜く。
【0018】
PbO及びBi23を基盤とした2つの型の溶媒を検証した。当該検証方法は、種々の濃度の溶質を有する”溶媒(PbO又はBi23)−溶質(Cr:Mg2GeO4)”システム中での多くの組成物の調製及びその後部分融解が起こるまで加熱処置にかけることを基盤とする。PbOは概して優れた結晶化パラメーターを提供しなかったが、10 mol% 未満のCr:Mg2GeO4含有量の組成物でさえCr:Mg2GeO4の結晶化を特徴としていたので、Bi23は非常に有望であることが発見された。固化したサンプル中のCr:Mg2GeO4微小結晶の存在が、発光特性の測定によって検出された。
【0019】
Cr:Mg2GeO4の結晶成長に関する出発組成物は以下のとおりである:MgO−0.025 mol、GeO2−0.025 mol、Bi23−0.25 mol、Cr23−0.075 mol。この組成物に関する結晶化温度は、1050 ℃ よりも低かった。融液中に置かれたMg2SiO4結晶が融解の痕跡を少しも示さなかったことが発見された。Cr:Mg2GeO4の指向性ヘテロエピタキシャル成長だけが、Mg2SiO4結晶の表面上で観察された。
【0020】
Cr:Mg2GeO4結晶の自己集合もまた、高温溶液中で観察された。1 mm までのサイズの結晶が、クラストとして表面上に20時間の間に形成された。Bi23を基盤としたフラックス中での結晶及び層の発光特性を、図3に示す。結晶及び層の両方が、Cr3+発光及びCr4+発光を示す。
【0021】
図1、図2及び図3から理解することができるとおり、CrドープMg2GeO4の粉末、単結晶及びエピタキシャル層の蛍光スペクトルは類似しており、それら全ては、Cr3+発光帯域及びCr4+発光帯域の両方を含む。Crドープ混合Mg2(Ge,Si)O4の蛍光測定結果は、ゲルマニウムイオン及びケイ素イオンの混合物を含む組成物がMg2GeO4及びMg2SiO4のスペクトルと同様のスペクトルを有していることを示唆する。
【0022】
図4A及び図4Bは、ポンピング形状(geometry)に依存する薄ディスクレーザーシステム又は薄スラブレーザーシステムでレーザー媒質を使用するための2つの異なる設計を図解する。両方の構想において、ディスクそれ自身上の誘電体反射鏡コーティング108、110は、オシレータの共振器を明示する。第一構成において(図4A)、ディスクの冷却面102は光学的にコートされて全反射体として作動し、ディスクはヒートシンク104(例えば、銅ヒートシンク)上に搭載され、さらにポンピング光106は前側ディスク表面へ導かれる。他の構成において(図4B)、ディスクの冷却面102はポンピング放射のために透明であり、レーザー発光を高く反射し、レーザーディスクは透明なヒートシンク104(例えば、サファイアヒートシンク)上に搭載され、さらに軸方向後方のポンピング光106は透明なサファイアヒートシンクの中を貫いて導かれる。
【0023】
改良版の第一構成において(図5)、ディスクの冷却面102(この実施態様において、ウェッジスラブ)は光学的にコートされて全反射体として作動する。ウェッジスラブは活性要素として用いることができ、ポンプ効率を上昇させる。反射コーティング108、110はレーザーの異なる構成として働き、共振器空洞112を形成する。ディスク102もまた、ポンピング光106を受け取る表面上に反射防止コーティング114を含む。
【0024】
近赤外線(NIR)レーザーを含む種々のレーザーは、これらの材料を用いて形成することができ、例えば、図4A、図4B及び図5に概略的に図解された配置を含むレーザーであってもよい。薄いMg2-xxSi1-yy4ディスクを有する完全に固体の小型レーザーとして構築することができるレーザーシステムの一つの例が、図6Aに概略的に図解される。レーザーの中心に、透明なヒートシンク304(例えば、サファイアヒートシンク)上に配置されたMg2-xxSi1-yy4ディスク302が存在する。ディスクは、ダイオード棒306(又はいずれの他の適切なポンピング光源)からの光でポンプされる。例えば、多くの棒からなる半導体レーザースタックをポンピングに用いることができる。ポンピング光は、平面導波路308によってレーザー先端まで供給される。それぞれの棒から放射された放射は、円筒型マイクロレンズ310によってまず個別に視準された。平面導波路は、半導体レーザーの放射ビームを方向付けるために用いられる。2つの円筒型レンズ312は、視準された半導体レーザービームを平面導波路に集中させるため用いられる。結像光学系、例えば円筒型レンズ及び球面レンズを用いて、導波路の後ろで、均一のポンピング線が得られ、透明なヒートシンク304を通ってMg2-xxSi1-yy4ディスク結晶につながれる。ディスクそれ自身上の誘電体反射鏡コーティング314、316は、オシレータの共振器を確定する。ヒートシンクに取り付けられたディスクの冷却面は、レーザー波長で高反射率及びポンピング波長で高透過率を得る目的でコートされ、一方で反対面は両方の波長に関して高反射コートされる。
【0025】
第二の例が、図6Bに概略的に図解され、同様のポンプ組み立て(半導体レーザー棒306、光学素子310、312及び導波路308を備えた)が、その前面からのMg2-xxSi1-yy4ウェッジ302をポンプするために用いられる。利得媒質(ウェッジ)における熱管理は、このレーザーの良好な稼動に関して最も大切であり、ヒートシンク304(例えば、銅ヒートシンク)によって提供される。ウェッジ302は、ヒートシンク304付近の裏面上に高反射率コーティング314及び表面上に反射防止コーティング318を含む。カプラ320は、レーザー波長で 95 % の反射率のコーティングを有して提供される。
【0026】
図7に概略的に図解される他の実施態様において、パルス稼動のために、レーザー先端(例えば、レーザーディスク402)からの近赤外線光は、一連の分散鏡404a、404bを介して受動的なモード同期を誘導する半導体可飽和吸収体鏡406に方向付けられることができる。このレーザー光は、鏡408及びチューニング素子410を介して、出力カプラ412まで通過することができる。
【0027】
導波路レーザー素子の1つの例が、図8に概略的に図解される。ポンプ半導体レーザー502は、連結光学素子506を通って上記に記載されたCr4+材料でできた導波路504までポンピング光を提供する。例として、導波路は、レーザー周波数で高反射性でポンピング周波数で高透過性のコーティング508及びレーザー周波数で 95 % の透過率である第二コーティング510を有する。
【0028】
これらの例のレーザー及び導波路レーザー素子が、より多くの構成部品若しくはより少ない構成部品を含むことができ又はレーザー及び他の素子の既知の構成に従って変更することができることが認識される。
【0029】
上記の明細書、実施例及びデータは、本発明の組成物の製造及び使用の記載を提供する。本発明の多くの実施態様は、本発明の精神及び発明の範囲から逸脱することなく作り出すことができるので、本発明はまた、下に添付された特許請求の範囲内にも属している。本明細書で引用された各々の学術論文、特許、特許出願及び他の参考文献の完全な開示は、あらゆる目的のために参照として本明細書に取り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、クロムドープMg2GeO4粉末サンプルの蛍光スペクトルである。
【図2】図2は、種々のクロムドープMg2(GeySi1-y)O4粉末の蛍光スペクトルを提示する。
【図3】図3は、液相エピタキシ溶液中(左)及びMg2SiO4基材上(右)で形成された結晶中のクロムドープMg2GeO4の蛍光スペクトルを提示する。
【図4A】図4Aは、本発明に従ったレーザーの第一の実施態様の概略図である。
【図4B】図4Bは、本発明に従ったレーザーの第二の実施態様の概略図である。
【図5】図5は、本発明に従ったレーザーの第三の実施態様の概略図である。
【図6A】図6Aは、本発明に従ったレーザーシステムの2つの実施態様の概略図である。
【図6B】図6Bは、本発明に従ったレーザーシステムの2つの実施態様の概略図である。
【図7】図7は、本発明に従ったレーザーシステムの他の実施態様の概略図である。
【図8】図8は、本発明に従った導波路レーザー/増幅器のある実施態様の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4の単結晶を含む、レーザー媒質。
(式中、MはMg2+よりも大きなイオン半径を有する4価のイオンであり、AはSi4+よりも大きなイオン半径を有する2価のイオンであって;さらに、
a)0≦x<2 及び 0<y<1;又は
b)0<x<2 及び y=0 若しくは y=1(但し、MがCa2+で、x=1 である場合には、yは0ではない)
のどちらかである)
【請求項2】
AがGe4+、Ti4+及びZr4+から選択された、請求項1に記載のレーザー媒質。
【請求項3】
MがCa2+、Sr2+及びBa2+から選択された、請求項2に記載のレーザー媒質。
【請求項4】
0.1≦y≦0.9 である、請求項2に記載のレーザー媒質。
【請求項5】
0.1≦x≦1.9 である、請求項1に記載のレーザー媒質。
【請求項6】
前記レーザー媒質がMg2SiO4を含む基材上で処置される、請求項1に記載のレーザー媒質。
【請求項7】
AがGe4+で x=0 である、請求項1に記載のレーザー媒質。
【請求項8】
Cr4濃度が少なくとも 1at% である、請求項1に記載のレーザー媒質。
【請求項9】
Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4の単結晶を含むレーザー媒質を含む、レーザー。
(式中、MはMg2+よりも大きなイオン半径を有する4価のイオンであり、AはSi4+よりも大きなイオン半径を有する2価のイオンであって;さらに、
a)0≦x<2 及び 0<y<1;又は
b)0<x<2 及び y=0 若しくは y=1(但し、MがCa2+で、x=1 である場合には、yは0ではない。)
のどちらかである)
【請求項10】
前記レーザーが近赤外線レーザーである、請求項9に記載のレーザー。
【請求項11】
前記レーザー媒質が薄ディスク又は薄ウェッジである、請求項9に記載のレーザー。
【請求項12】
前記レーザー媒質の表面に取り付けられたヒートシンクをさらに含む、請求項9に記載のレーザー。
【請求項13】
前記レーザー媒質へポンピング光を提供するために構成され配置されたポンプ光源をさらに含む、請求項9に記載のレーザー。
【請求項14】
前記レーザー媒質によって放射された光の周波数を調整するためのチューニング素子をさらに含む、請求項9に記載のレーザー。
【請求項15】
前記レーザーが連続波モード同期型である、請求項9に記載のレーザー。
【請求項16】
溶媒中で処置されるレーザー媒質を形成するための少なくとも一つの置換体を含む溶液を形成することを含み、
前記の少なくとも一つの置換体が金属オキシドであり;さらに、
前記溶液からCr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することを含む、レーザー媒質の製造方法。
(式中、MはMg2+よりも大きなイオン半径を有する4価のイオンであり、AはSi4+よりも大きなイオン半径を有する2価のイオンであって;さらに、
a)0≦x<2 及び 0<y<1;又は
b)0<x<2 及び y=0 若しくは y=1(但し、MがCa2+で、x=1 である場合には、yは0ではない。)
のどちらかである)
【請求項17】
少なくとも一つの結晶を形成することが、液相エピタキシによって基材上にCr4+:Mg2-xxSi1-yy4の層を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
基材を提供することが、Mg2SiO4基材を提供することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することが、式中、AがGe4+、Ti4+及びZr4+から選択されたCr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することが、式中、MがCa2+、Sr2+及びBa2+から選択されたCr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することが、式中、0.1≦y≦0.9 であるCr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
Cr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することが、式中、0.1≦x≦1.9 であるCr4+:Mg2-xxSi1-yy4の少なくとも一つの結晶を形成することを含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−528429(P2008−528429A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553205(P2007−553205)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/002664
【国際公開番号】WO2006/081303
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(507248826)リサーチ ファウンデイション オブ ザ シティー ユニヴァーシティ オブ ニューヨーク (3)
【Fターム(参考)】