説明

DC−DCコンバータ

【課題】発熱による性能劣化を抑制し、かつ小型の半導体モジュールの形態としたDC−DCコンバータを得る。
【解決手段】このDC−DCコンバータ10においては、金属で構成されたリードフレーム11〜16上に絶縁性材料で構成された基板20が搭載される。リードフレーム11〜16上には、基板20の他に、その周囲に、インダクタ31、ダイオード32、シャント抵抗33、MOSFET34、35が搭載される。インダクタ31、ダイオード32,MOSFET34、35が発生する熱は、リードフレーム11、12、14、15によって効率的に放熱される。制御用IC21、22は熱伝導率の低い材料で構成された基板20を介してリードフレーム14に搭載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電圧の変換を行い、電源回路として用いられるDC−DCコンバータの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器においては、様々なデバイスが搭載され、それぞれが最適条件で動作することによって電子機器が動作する。電子機器の電源としては、AC100Vが用いられる場合が多いが、一般に、この交流電圧はAC−DCコンバータで整流され、直流電圧に変換されてから各デバイスに供給される。ただし、デバイス毎に動作の最適電圧は異なるため、この電源電圧は各デバイス毎に最適化されてから各デバイスに供給される。こうした各デバイス毎に設けられた電源回路はPOL(Point of Load)と呼ばれ、具体的には、DC−DCコンバータが用いられる。DC−DCコンバータの回路は、制御回路(制御IC)、スイッチング素子(ローサイドMOSFET、ハイサイドMOSFET)、及び電子部品(抵抗、コンデンサ、インダクタ、ダイオード等)で構成され、他のデバイス(CPU等)と同様に、これらの構成要素がパッケージ内に封入された半導体モジュールの形態とされる。
【0003】
DC−DCコンバータに限らず、一般に半導体モジュールには、小型であることが要求される。半導体モジュールを小型化するためには、その構成要素を高密度で実装することが必要である。また、一般に半導体素子(制御IC等)は高温で性能が劣化するため、この際には、動作時に発熱する電子部品(インダクタ、スイッチング素子等)の放熱を高効率で行えることも必要である。
【0004】
DC−DCコンバータを小型化する技術としては、例えば、特許文献1に、インダクタを多層基板内に形成し、この多層基板上に制御ICやインダクタ以外の電子素子を搭載する技術が記載されている。この技術においては、比較的大面積であるインダクタ(コイル)が基板内に形成されるため、この半導体モジュールを特に小型化することができる。
【0005】
また、特許文献2には、複数の銅基板(リードフレーム)を用い、その上に各構成要素(制御IC、電子素子)を配置し、各構成要素間の電気的接続は、リードフレーム間を適宜接続することによって行う技術が記載されている。この技術においては、リードフレームの構成を最適化することにより、高密度の実装を行うことができると同時に、動作時における各構成要素の放熱を熱伝導率の高いリードフレームから行うことができるため、放熱を高効率で行うことができる。
【0006】
これらの技術により、DC−DCコンバータを半導体モジュールの形態として構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−124271号公報
【特許文献2】特表2008−545280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、使用時の発熱が特に大きなインダクタが、多層配線基板中に形成される。インダクタの発する熱は、多層配線基板によっては放熱されにくい一方で、多層配線基板上に搭載された制御ICに伝わりやすい。前記の通り、制御ICの性能は高温で劣化する。また、インダクタが高温になれば、インダクタの性能も劣化する。このため、このDC−DCコンバータの性能は劣化することがあった。
【0009】
一方、特許文献2に記載の技術においては、熱伝導率の高いリードフレームによって良好な放熱特性が得られるものの、一つのリードフレームは単一の導体であるため、複数のリードフレームの構成(個々のリードフレームの形状、各リードフレームの配置)は回路構成によって制限される。従って、その設計の自由度は低く、高密度の実装は実際には困難であり、このDC−DCコンバータを小型の半導体モジュールとすることは困難であった。
【0010】
従って、発熱による性能劣化を抑制し、かつ小型の半導体モジュールの形態としたDC−DCコンバータを得ることは困難であった。
【0011】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明のDC−DCコンバータは、制御ICチップと複数の電子部品とが実装されて半導体モジュールとして構成されたDC−DCコンバータであって、前記複数の電子部品のうちの一部を搭載し、金属で構成されるリードフレームと、前記リードフレームに搭載された電子部品以外の前記電子部品と前記制御ICチップとを表面に搭載し、前記リードフレーム上に搭載され、絶縁性材料で構成される基板と、を具備することを特徴とする。
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記基板の内部には配線層が形成されることを特徴とする。
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記基板は接着剤を介して前記リードフレーム上に搭載されることを特徴とする。
本発明のDC−DCコンバータは、前記リードフレームを複数具備し、前記複数の電子部品の中にはインダクタが含まれ、該インダクタは、該インダクタの両端子にそれぞれ接続された2つのリードフレーム上に搭載されることを特徴とする。
本発明のDC−DCコンバータは、DIP(Dual In−line Package)型パッケージ中に実装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のように構成されているので、発熱による性能劣化を抑制し、かつ小型の半導体モジュールの形態としたDC−DCコンバータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るDC−DCコンバータ(半導体モジュール)の構成を示す透視斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るDC−DCコンバータの回路構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るDC−DCコンバータにおけるリードフレームの構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るDC−DCコンバータにおいて、リードフレーム上に搭載する基板、電子部品の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るDC−DCコンバータにおいて用いられる基板上の制御IC及び電子部品の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るDC−DCコンバータにおけるリードフレーム上の2箇所の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態となるDC−DCコンバータにつき説明する。このDC−DCコンバータ10は、2つの制御ICと、複数の電子部品(抵抗、コンデンサ、インダクタ、スイッチング素子、ダイオード等)とで構成され、一体化された半導体モジュールとなっている。図1はこの半導体モジュールの透視斜視図であり、図2はその回路構成図である。ここで、その回路構成全体はDC−DCコンバータとして一般的に知られるものであり、図2における破線内の構成要素が、図1に示される半導体モジュール内に設置されている。この回路は、インダクタ31、MOSFET34、35、制御回路ブロック36、補助電源回路37、過電流検出部38等で構成されている。
【0016】
このDC−DCコンバータ10においては、金属で構成されたリードフレーム11〜16上に絶縁性材料で構成された基板20が搭載される。リードフレーム11〜16を構成する金属としては、熱伝導率が高く、機械的強度が高い銅又は銅合金が特に好ましい。リードフレーム11〜16上には、基板20の他に、その周囲に、インダクタ31、補助電源回路37に含まれるダイオード32、過電流検出部38に含まれるシャント抵抗33、MOSFET34、35が搭載される。この構造全体は、樹脂等で構成されたモールド材70によって矩形体形状に封止されており、実際には、図示していないDIP(Dual In−line Package)型のパッケージに収納されている。
【0017】
基板20上には、制御IC21、22、及び複数の電子部品23が搭載される。ここでいう複数の電子部品23とは、回路図(図2)における前記のインダクタ31、ダイオード32、シャント抵抗33、MOSFET34、35、制御IC21、22以外の構成要素(抵抗、コンデンサ、ダイオード)である。図2(回路図)における制御回路ブロック36は、複数の電子部品23のうちのいずれかと、制御IC21とで構成される。補助電源回路37は、制御IC22と、ダイオード32、及び複数の電子部品23のうちのいずれか(制御回路ブロック36に含まれるものを除く)で構成される。過電流検出部38は、シャント抵抗33と、複数の電子部品23のうちのいずれか(制御回路ブロック36、補助電源回路37に含まれるものを除く)とで構成される。すなわち、このDC−DCコンバータ10においては、前記のリードフレーム上に直接搭載された構成要素以外の構成要素は全て基板20上に搭載される。
【0018】
図3は、この構成におけるリードフレーム11〜16の形状及びその配置を示す図である。図3に示されるように、リードフレーム11〜16は、全体として図3中における破線で示された矩形を形成するように配列されており、各々は分離され、電気的に独立である。各リードフレームの一辺には、矩形状のピンが突出して形成されており、このピンは、リードフレーム11〜16全体が構成する矩形の一辺にくるように設けられている。また、各リードフレームのピンと同様の形状をし、各リードフレームとは独立した複数の独立ピン17が、各リードフレームのピンと同様に配置される。各リードフレームのピン、及び独立ピン17は、このDC−DCコンバータ(半導体モジュール)10と、外部との電気的接続点となっており、図1における矩形体形状のモールド材70を構成する面から突出する形態とされる。これらのピン及び独立ピン17は、DIP型パッケージのピンとなる。
【0019】
リードフレーム11〜16上における、基板20、インダクタ31、ダイオード32、シャント抵抗33、MOSFET34、35の配置を図4に示す。インダクタ31の両端子は、インダクタ31を構成するチップの裏面に形成された電極及びこれに接続されたはんだ又は導電性接着剤(以下、はんだ等:図示せず)を介し、それぞれリードフレーム11、12に接続される。同様に、ダイオード32における一方の端子はリードフレーム15に、シャント抵抗33の両端子はそれぞれリードフレーム14、15に、MOSFET34、35のドレイン端子はそれぞれリードフレーム14、11に接続される。ダイオード32における他方の端子と基板20、リードフレーム13と基板20、MOSFET34、35のゲートと基板20、MOSFET34のソースとリードフレーム11、MOSFET35のソースとリードフレーム16とは、図1に示されるように、それぞれボンディングワイヤ40で接続される。なお、図4においては、基板20内と基板20外とを接続するボンディングワイヤ40の記載は省略されている。
【0020】
基板20上における制御IC21、22、複数の電子部品23の配置を示したのが図5である。基板20は絶縁性材料で構成され、その表面は絶縁性であるが、金属で構成された基板上パッド50が多数形成されている。制御IC21、22は、それぞれ基板20の表面に接着剤又ははんだ(図示せず)で接続されている。図2に示された制御IC21、22における端子はそれぞれの表面のチップ上パッド51に接続されており、チップ上パッド51と基板上パッド50とは、図5に示されるように、ボンディングワイヤ40で接続される。基板上パッド50は、後述する基板20内の配線層に接続される。なお、制御IC21、22と基板20との接合を接着剤で行う場合、この接着剤は絶縁性であっても導電性であってもよい。
【0021】
基板20上において、後述するように、電子部品23は、はんだ等で基板上パッド50上に接続される。電子部品(抵抗、コンデンサ等)23の両端子は、その底部に形成されており、この部分がはんだ等によってそれぞれ1対の基板上パッド50に接続される。
【0022】
図6は、この構造の断面を示す図であり、図6(a)は図4におけるA−Aにおける断面、図6(b)はB−Bにおける断面をそれぞれ示す。図6(a)においては、インダクタ31がリードフレーム11、12上に固定される形態が、図6(b)においては、基板20がリードフレーム14上に固定される形態及び基板20の断面構造が示されている。なお、ここで、モールド材70の記載は省略されている。
【0023】
図6(a)に示されるように、インダクタ31は、はんだ等で形成され導電性であるはんだ層52によってリードフレーム11、12に接続される。なお、前記の通り、インダクタ31の裏面(リードフレーム側の面)には、インダクタ31の両端子に接続された電極が形成されており、この両電極は、それぞれ、はんだ層52を介してリードフレーム11、12にそれぞれ接続される。従って、インダクタ31は、この構成によって図2に示された回路中に組み込まれる。この構成は、インダクタ31だけでなく、シャント抵抗33についても同様である。また、ダイオード32、MOSFET34、35がそれぞれリードフレーム15、14、11に接合される構造も、これらにおいては裏面に形成された電極が一つである点を除き、同様である。
【0024】
一方、図6(b)に示されるように、基板20は、例えばエポキシ系樹脂で構成されたソルダーレジスト層53を介し、接着剤54を用いてリードフレーム14上に接続される。
【0025】
また、この基板20は、第1、第2、第3の絶縁層201、202、203が積層されて構成される。第1、第2、第3の絶縁層201、202、203は、例えば絶縁性の樹脂材料でそれぞれ形成され、高い絶縁耐圧を有する。また、この材料の熱伝導率はリードフレーム11〜16を構成する銅又は銅合金と比べると低い。第1の絶縁層201と第2の絶縁層202の間には第1内部配線層204が、第2の絶縁層202と第3の絶縁層203の間には第2内部配線層205が、それぞれ形成されているまた、第3の絶縁層203の裏面(図6中下側の面)には、金属層206が全面にわたり形成されている。第1内部配線層204、第2内部配線層205、金属層206、及び基板上パッド50は、同様の金属で構成される。
【0026】
また、基板上パッド50と第1内部配線層204、第1内部配線層204と第2内部配線層205とは、それぞれBHV(Blind Via Hole)配線207で接続される。BHV配線207は、第1の絶縁層201、あるいは第2の絶縁層202にレーザー加工によって開口部を設け、この開口部に金属のめっき処理等を行うことによって形成される。金属層206が基板20の裏面の全面にわたり形成されているのに対し、第1内部配線層204、第2内部配線層205、及び複数のBHV配線207は、複数の電子部品23等を含んだ形で図2の構成の回路が構成されるように、それぞれパターニングされる。従って、第1内部配線層204、第2内部配線層205、及び複数のBHV配線207は、基板20内の配線を構成する。
【0027】
金属層206と第2内部配線層205との間にはBHV配線207は形成されていないため、金属層206と基板20内の配線、あるいは基板上パッド50とは電気的に接続されない。従って、基板20内の配線とリードフレーム14との間の絶縁性が保たれる。
【0028】
なお、上記の構造の基板20は、一般に知られる多層配線基板と同様であり、その材料、製造方法も一般に知られるものが用いられる。
【0029】
また、前記の通り、基板20上においては、電子部品23は基板上パッド50上にはんだ層52によって接合され、基板20内の配線(BHV配線207、第1内部配線層204)に電気的に接続される。
【0030】
基板20とリードフレーム14とは、絶縁性のソルダーレジスト層53、接着剤54によって接合され、かつ金属層206と第2内部配線層205とは電気的に接続されていないため、基板20内の配線とリードフレーム14とは電気的に独立となる。この構成は、リードフレーム14との間の耐圧を確保する必要がある電子部品23を基板20に搭載する際には有利である。この場合、基板20内の配線と金属層206とは第3の絶縁層203により、金属層206とリードフレーム14とはソルダーレジスト層53によりそれぞれ絶縁されるため、接着剤54として、絶縁性が高いものを用いる必要はない。
【0031】
以上の構成により、このDC−DCコンバータ10は、半導体モジュールとなる。この半導体モジュールにおいては、図2の回路における破線で囲まれた箇所の構成要素が全て搭載されている。
【0032】
図2の回路の動作時において大電流が流れ、特に高温となりやすいのは、インダクタ31、ダイオード32,MOSFET34、35であり、特にインダクタ31の発熱が大きい。上記の構成において、これらは、熱伝導率が高く放熱効果の大きなリードフレーム11、12、14、15上にはんだ層によって接合される。従って、インダクタ31、ダイオード32,MOSFET34、35が発生する熱は、リードフレーム11、12、14、15によって効率的に放熱される。この放熱により、インダクタ31の効率を向上させることができる。
【0033】
一方、基板20に搭載された制御IC21、22、電子部品23は、いずれも動作時の発熱量が小さい。また、制御IC21、22は半導体集積回路であるため、高温におけるその性能劣化が大きい。上記の構造においては、これらは熱伝導率の低い材料で構成された基板20を介してリードフレーム14に搭載される。更に、このリードフレーム14は、最も発熱の大きなインダクタ31を搭載するリードフレーム11、12とは別体である。従って、インダクタ31の発熱が制御IC21、22に伝達することを抑制することができ、熱による制御IC21、22の性能劣化を抑制することができる。MOSFET34、35の発熱が制御IC21、22に与える悪影響も同様に低減される。
【0034】
特許文献2に記載の技術においても、インダクタ、ダイオード,MOSFET等の発する熱はリードフレームによって効率的に放熱される。しかしながら、インダクタ、ダイオード,MOSFET等の発する熱が、制御ICを搭載したリードフレームを介して、制御ICに伝わりやすい。これに対して、上記のDC−DCコンバータ10においては、制御ICは基板を介してリードフレームに搭載されるため、インダクタ、ダイオード,MOSFET等の発する熱が制御ICに伝達することが抑制され、制御ICの性能劣化が抑制される。また、特許文献1に記載の技術においては、制御ICを搭載する基板内にインダクタが形成されるため、上記のDC−DCコンバータ10と比べて、インダクタの発熱が制御ICに与える悪影響は大きく、その放熱効果も不充分である。
【0035】
また、特許文献2に記載の技術では、例えば図2に示されるDC−DCコンバータ回路における各構成要素を接続する配線は、リードフレームもしくはボンディングワイヤで形成される。従って、各リードフレームの形状や配置はこの構成要素の配置で決定される。一方で、各リードフレームは各構成要素を搭載するための機械的支持基板ともなっているため、充分な機械的強度が得られるように各リードフレームの形状や配置を設定することも必要である。従って、これらの全ての条件が満たされるように、各構成要素の配置やこれに伴う各リードフレームの形状や配置を設定することが必要になり、結局、設計の自由度が低くなる。故に、各構成要素を高密度に実装して小型の半導体モジュールとすることは実際には困難である。
【0036】
これに対して、このDC−DCコンバータ10においては、図2に示されるDC−DCコンバータ回路における特に発熱量の大きな電子部品(インダクタ31、MOSFET34、35等)をリードフレーム上に搭載し、発熱量の小さな電子部品は、制御IC21、22と共に基板20に搭載することができる。基板20においては、前記の通り多層配線構造を用いることができるため、設計の自由度は高い。また、リードフレーム上に直接搭載される電子部品は全体の一部であり、その数は少ない。例えば、リードフレームの数は図3の場合で6個と少なく、かつ、図3に示されるように、全体として矩形を形成するように隙間を小さくしてこれらを配列することができる。故に、このDC−DCコンバータ10における設計の自由度は高く、実装の高密度化が図れ、これを小型の半導体モジュールとすることができる。また、図3に示されるように、矩形形状を構成するようにリードフレームを配置して各ピンを取り出す構成とすることが容易であるため、特にDIP型のパッケージに適合させることも容易である。
【0037】
なお、上記の例においては、基板20の裏面に設けた金属層206を電気的に独立させた構成とした。しかしながら、逆に金属層206を基板20内の配線と接続させ、ソルダーレジスト層53を用いず、金属層206とリードフレーム14との接続をインダクタ31等と同様にはんだ層により行えば、基板20とリードフレーム14との接続をインダクタ31等と同様に行うこともできる。
【0038】
また、上記の例では、電子部品のうち、インダクタ、ダイオード、シャント抵抗、MOSFETをリードフレーム上に直接搭載し、他の電子部品を基板に搭載する構成としたが、これに限られるものではない。発熱量の大きな電子部品はリードフレーム上に直接搭載することが必要であるが、発熱量が小さな電子部品は、リードフレーム、基板のどちらに搭載してもよく、回路構成に応じて適宜設定できる。前記の通り、この際の設計の自由度は高く、高密度化、高性能化に応じた設計が容易である。
【0039】
あるいは、基板に搭載する電子部品の数が少ない場合には、基板内の配線を設けず、基板表面にのみ配線を設けた構成としてもよい。すなわち、基板における配線も適宜設定することが可能である。
【0040】
また、前記の例では、DIP型のパッケージを用いてこのDC−DCコンバータを半導体モジュールとする構成としたが、これに限られるものではない。例えば、SOP(Small Outline Package)型、SON(Small Outline Nonlead)型、リード出しSON型等、任意の形態のパッケージに適合させることが可能なことは明らかである。
【符号の説明】
【0041】
10 DC−DCコンバータ(半導体モジュール)
11〜16 リードフレーム
17 独立ピン
20 基板
21、22 制御IC
23 電子部品
31 インダクタ
32 ダイオード
33 シャント抵抗
34、35 MOSFET
36 制御回路ブロック
37 補助電源回路
38 過電流検出部
40 ボンディングワイヤ
50 基板上パッド
51 チップ上パッド
52 はんだ層
53 ソルダーレジスト層
54 接着剤
70 モールド材
201 第1の絶縁層
202 第2の絶縁層
203 第3の絶縁層
204 第1内部配線層(基板内の配線)
205 第2内部配線層(基板内の配線)
206 金属層
207 BHV配線(基板内の配線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ICチップと複数の電子部品とが実装されて半導体モジュールとして構成されたDC−DCコンバータであって、
前記複数の電子部品のうちの一部を搭載し、金属で構成されるリードフレームと、
前記リードフレームに搭載された電子部品以外の前記電子部品と前記制御ICチップとを表面に搭載し、前記リードフレーム上に搭載され、絶縁性材料で構成される基板と、
を具備することを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
前記基板の内部には配線層が形成されることを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項3】
前記基板は接着剤を介して前記リードフレーム上に搭載されることを特徴とする請求項1又は2に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項4】
前記リードフレームを複数具備し、
前記複数の電子部品の中にはインダクタが含まれ、該インダクタは、該インダクタの両端子にそれぞれ接続された2つのリードフレーム上に搭載されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項5】
DIP(Dual In−line Package)型パッケージ中に実装されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のDC−DCコンバータ。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−251582(P2010−251582A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100682(P2009−100682)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】