説明

DC/DCコンバータ用制御装置

【課題】充電電流を直接検出することなく、主バッテリの消費電力を抑えることのできるDC/DCコンバータ用制御装置を提供する。
【解決手段】DC/DCコンバータ14から出力される出力電圧Voutと出力電流Ioutは、DC/DCコンバータ用制御装置20が制御情報として制御に用いている情報であり、配線抵抗Rw1を流れる出力電流をIout、配線抵抗Rw2を流れる電流を充放電電流Ibatである。DC/DCコンバータ用制御装置20は、補機バッテリ17の端子電圧Vsenseを測定し、Vout−Vsense(差分電圧)から、配線抵抗Rw1に出力電流を乗じた電圧値を減じ、さらに、得られた電圧値を配線抵抗Rw2にて除することで充放電電流Ibatを算出し、Ibatに基づいて補機バッテリの充電を制御することで主バッテリの消費電力を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主バッテリの電力を利用して補機バッテリへの充電を制御するDC/DCコンバータ用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車、エンジンを備えたハイブリッド自動車、及び燃料電池自動車では、高電圧・大容量の主バッテリを搭載し、主バッテリの高電圧をDC/DCコンバータにて降圧して補機バッテリを充電する自動車が知られている。DC/DCコンバータを介した補機バッテリへの充電は、補機バッテリが常に満充電状態になるように行われ、車両走行時に主バッテリの電気量が低下した場合でも同様に行われるため、主バッテリの電力を車両の駆動に十分利用できない場合や、主バッテリを充電するために駆動されるエンジンにより、燃料消費が大きくなる等の問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1には、補機バッテリを満充電可能な第1設定電圧と、第2設定電圧より低い第2設定電圧と、による充電が可能なDC/DCコンバータ用制御装置において、車両の走行状態をモニターし、車両停止時には第1設定電圧とし、車両走行時には第2設定電圧となるように制御するDC/DCコンバータ用制御装置が記載されている。
【0004】
特許文献1では、車両停止時に満充電可能な電圧である第1設定電圧とすることにより、主バッテリの負荷が軽くなるという利点があるものの、渋滞時のように車両停止時間が長い場合には、補機バッテリの過充電を招き、バッテリ液の減少や電極の劣化による補機バッテリの寿命の低下と、補機バッテリに接続されている補機類にも第1設定電圧が供給されることになり主バッテリの電力消費の増加と、なる場合があった。
【0005】
そこで、特許文献2には、主バッテリの消費電力を抑え、補機バッテリの寿命を長くすることのできるDC/DCコンバータ用制御装置が記載されている。このDC/DCコンバータ用制御装置は、補機バッテリを満充電可能な第1設定電圧を供給すると共に、第1設定電圧より低い第2設定電圧を間欠的に供給することで実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−79505号公報
【特許文献2】特開平4−325801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献2のDC/DCコンバータ用制御装置では、第1設定電圧と第2設定電圧を間欠的に供給する処理又は、補機バッテリへの充電電流を検出する電流検出手段を設け、この電流検出手段による充電電流値が所定値よりも大きくなったときに第1設定電圧から第2設定電圧に切り替える等の処理を実行している。このため、補機バッテリへの充電電流を検出する電流検出手段を設ける場合には、コストアップとなっていた。
【0008】
そこで、本発明に係るDC/DCコンバータ用制御装置は、充電電流を直接検出することなく、主バッテリの消費電力を抑えることのできるDC/DCコンバータ用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような目的を達成するために、本発明に係るDC/DCコンバータ用制御装置は、主バッテリの電力を利用して補機バッテリへの充電を制御するDC/DCコンバータ用制御装置において、DC/DCコンバータから補機までの配線抵抗である第1抵抗値を取得する第1抵抗値取得手段と、補機から補機バッテリまでの配線抵抗である第2抵抗値を取得する第2抵抗値取得手段と、補機バッテリの端子電圧を測定するバッテリ電圧測定手段と、DC/DCコンバータを制御するための制御情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された制御情報から出力電圧を取得する出力電圧取得手段と、記憶手段に記憶された制御情報から出力電流を取得する出力電流取得手段と、DC/DCコンバータから補機バッテリに流れる電流または補機バッテリから補機へ流れる電流である充放電電流を、バッテリ電圧、出力電圧、出力電流、第1抵抗値及び第2抵抗値に基づいて算出する充放電電流算出手段と、算出された充放電電流に応じてDC/DCコンバータの出力電圧を設定する出力電圧設定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るDC/DCコンバータ用制御装置において、第1抵抗値取得手段は、記憶部に予め記録された第1抵抗値を取得し、第2抵抗値取得手段は、記憶部に予め記録された第2抵抗値を取得し、充放電電流算出手段は、出力電圧とバッテリ端子電圧との差の電圧値から、第1抵抗値に出力電流を乗じた電圧値を減じ、さらに、得られた電圧値を第2抵抗値にて除することで充放電電流を算出することを特徴とする。このような構成とすることにより、直接電流を測定する手段を設ける必要がない。
【0011】
また、本発明に係るDC/DCコンバータ用制御装置において、出力電圧設定手段は、充放電電流が予め決められたしきい値よりも低い電流となった場合、補機バッテリを満充電可能な第1設定電圧より低い第2設定電圧に変更し、第2設定電圧は、出力電圧と補機バッテリ端子電圧との差が、充放電電流に第1抵抗値を乗じた電圧であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るDC/DCコンバータ用制御装置において、第2設定電圧は、出力電圧と補機バッテリ端子電圧との差に基づいて連続的に変化する電圧であることを特徴とする。このような構成とすることで、緩やかに充電電圧を変更することが可能となり、補機バッテリへの負担を低減することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係るDC/DCコンバータ用制御装置において、補機バッテリの端子電圧を測定するバッテリ電圧測定手段は、DC/DCコンバータから補機用バッテリまでの配線長により発生する電圧降下を、出力電圧と比較することにより検出が可能な測定手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るDC/DCコンバータ用制御装置がDC/DCコンバータを制御することにより、新たなハードウエアのコストアップ無しに効果的な電圧の設定が可能となる。また、DC/DCコンバータを介して行われる補機バッテリの充電は、一般的に補機バッテリが常に満充電となるように行われるが、本発明に係るDC/DCコンバータ用制御装置では、充電電流を補機バッテリ端子電圧と、DC/DCコンバータの出力電圧と、の差分等から算出し、早期に補機バッテリの充電状況に応じた充電に移行することで主バッテリの電力低下を遅らせることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るDC/DCコンバータ用制御装置を搭載した車両の構成を示す。
【図2】本発明の実施形態に係る差分電圧と電流の関係を示す関係図である。
【図3】本発明の実施形態に係る充電電流算出処理の流れを示すフローチャート図である。
【図4】本発明の実施形態に係る燃費制御処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施形態に係る充放電挙動を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る充放電挙動を説明する説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る再充電処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0017】
図1はDC/DCコンバータ用制御装置20を搭載した車両10の構成を示している。車両10は、主バッテリ16の電力によりモータ19を駆動することでエンジン21による走行を補助するハイブリッド自動車である。図1の車両10は、エンジン21と、モータ19と、主バッテリ16と、インバータ15と、DC/DCコンバータ14と、DC/DCコンバータ14を制御するDC/DCコンバータ用制御装置20と、DC/DCコンバータ用制御装置20とインバータ15とを制御するHVECU13(Hybrid−ECU)と、鉛電池である補機バッテリ17と、車両補機18と、を有している。
【0018】
次に、各構成機器の接続について述べる。主バッテリ16はインバータ15とDC/DCコンバータ14に接続され、HVECU13はインバータ15とDC/DCコンバータ14とに接続されている。インバータ15は、HVECU13からの指示に基づいて主バッテリ16からの高圧電力を制御してモータ19に出力することで、モータ19が車輪を駆動する。同様に、DC/DCコンバータ14もHVECU13からの指示に基づいて動作する。DC/DCコンバータ用制御装置20は、主バッテリ16の数百Vの電圧を降圧して例えば補機バッテリの開放電圧より高い13.5V〜15.0Vの電圧を車両補機18と補機バッテリ17とに供給する。
【0019】
従来の内燃機関を使用した自動車では、エンジンをスタータモータで起動する必要があり、大電流を消費するスタータモータを回すためにエンジンルーム内に補機バッテリを搭載していたが、ハイブリッド自動車では、駆動用の高電圧・大容量のバッテリを搭載し、車両駆動用のモータにてエンジンを起動することができるようになったため、補機バッテリをエンジンルーム内に搭載する必要がなくなり、ラゲージルームに搭載する場合がある。
【0020】
本実施形態では、エンジン21、モータ19、インバータ15、DC/DCコンバータ14をエンジンコンパートメント11に配置し、主バッテリ16と補機バッテリ17とをラゲージルーム12の床下に配置している。このため、DC/DCコンバータ14から補機バッテリ17までの配線長が従来の車両より長く、DC/DCコンバータ14の出力電圧と、補機バッテリ17の端子電圧では例えば約0.5V程度の電位差(差分電圧)が発生することがある。そこで、発明者は、このような配線長が長いという構成上の特性を用いることにより、補機バッテリの充放電電流を差分電圧で置き換えることに着目した。
【0021】
図1を用いて補機バッテリ系22の回路について概説する。図1のDC/DCコンバータ14は、HVECU13の指示に基づいて主バッテリ16の高電圧を補機バッテリ17の電圧まで降圧し、補機バッテリ17を充電可能な電圧となるように制御する。DC/DCコンバータ14から車両補機18までの配線抵抗をRw1、車両補機18から補機バッテリ17までの配線抵抗をRw2、車両補機18を流れる電流をIloadとする。DC/DCコンバータ14から出力される出力電圧Voutと出力電流Ioutは、DC/DCコンバータ用制御装置20が制御情報として制御に用いている情報であり、配線抵抗Rw1を流れる出力電流をIout、配線抵抗Rw2を流れる電流を充放電電流Ibatとする。補機バッテリ17の端子電圧を測定するための配線が、補機バッテリの端子とDC/DCコンバータ14とに接続され、DC/DCコンバータ用制御装置20は端子電圧Vsenseを測定する。このため、DC/DCコンバータ用制御装置20は、Vout−Vsense(差分電圧)を算出することにより後述する処理により充放電電流Ibatを算出することができる。
【0022】
図2は差分電圧と電流の関係を示す関係図を示している。図2には、差分電圧となるVout−Vsenseを縦軸、Ioutを横軸のグラフ上に取り、グラフ上の3本の特性をIbat=0Vを実線、Ibat=中状態を破線、及び、Ibat=大状態を破線で示している。これらの特性は、VoutがVsenseより大きい場合において、差分電圧とIoutとは比例関係となる。例えば、Ibat=0Vの状態は、Iout*Rw1で表され、補機バッテリがほぼ満充電状態であり、かつ、車両補機の消費する電流が全てDC/DCコンバータから供給されている場合である。Ibat=中状態は、Iout*Rw1+Ibat*Rw2で表され、補機バッテリの充電量が少し減少し、充放電電流Ibatが流れている場合である。Ibat=大状態は、補機バッテリの充電量がさらに減少し、充放電電流Ibatが中状態より多く流れる場合である。このように、差分電圧(Vout−Vsense)と電流Ioutとの関係は配線抵抗Rw1,Rw2によって傾きが決まり、ほぼ比例関係となる。なお、DC/DCコンバータの制御が働いていることから、Vsenseの電圧よりVoutの電圧が高く、DC/DCコンバータの能力を超える電流まで供給することが可能である。次に、本実施形態におけるIbatの算出方法について説明する。
【0023】
図3は充放電電流算出処理の流れを示している。Ibatの算出処理が開始されると、DC/DCコンバータ用制御装置(以下、ECUとも呼ぶ)は、ステップS10において、予め設定されている配線抵抗(Rw1,Rw2)などの初期情報を取得してステップS12に移る。これらの情報は、校正処理によって求められ、ECUのメモリに書き込まれた値である。ステップS12において、ECUは降圧処理中の制御情報から出力電流Ioutを取得してステップS14に移る。ステップS14において、ECUは降圧処理中の制御情報から出力電圧Voutを取得してステップS16に移る。ステップS16において、ECUは、補機バッテリ端子電圧Vsenseを取得してステップS18に移る。ステップS18において、ECUは、Ibat=(Vout−Vsense−Rw1*Iout)/Rw2・・・(式1)にてIbatを算出する。なお、この処理は予め決められた間隔で実行され、定期的にIbatが算出される。
【0024】
図4は本実施形態における燃費制御処理の流れを示している。一般に、補機バッテリを満充電するためには約15V程度の電圧を供給する必要があるが、満充電状態になった場合に供給電圧を、例えば、約12Vまで低下させることにより、約20%の低減が可能となる。図5は図4の燃費制御処理におけるDC/DCコンバータの充放電挙動を示し、図5(A)はIbatにより表現したグラフであり、図5(B)はVout−Vsenseの差分電圧により表現したグラフである。ここで、燃費制御処理とは、補機バッテリの充電量に応じてVoutを逐次制御することで補機バッテリの過充電を防止すると共に、主バッテリの電力消費を抑制することにより、走行できる距離を伸ばす処理である。
【0025】
最初に、充放電電流Ibatを測定して燃費制御処理をする例について図5(A)を用いて概説する。図5(A)の右上の(a)点では、補機バッテリの充電量が少ない状態を示し、例えば約15V程度の電圧Voutを供給している状態である。その後、補機バッテリの充電量が増加するに従いIbatが低下し、Ibatの低下に伴いVoutを低下させ、Ibatが「0」になる(b)点、つまり、補機バッテリの開放電圧Vopen近傍の電圧までVoutを低下させることにより燃費制御処理を実現する。他方、車両補機の使用電流が増加するに従い、Ibatが放電側に移動すると共にVoutがVopenを下回ることになる。この場合には、DC/DCコンバータ及び補機バッテリから車両補機に電流が流れ、さらにDC/DCコンバータの出力制限電流以上となる(c)点を超える場合には、補機バッテリからの電流が流れることになる。このように、図5(A)は補機バッテリに加わる電流をプロットしたことから補機バッテリの立場から充電電流と放電電流を示している。
【0026】
次に、図4の燃費制御処理の流れと、図5(B)と、充放電挙動を示している図6と、を用いて詳説する。図4の燃費制御処理が開始すると、DC/DCコンバータ用制御装置(ECU)は、図5の(1)点付近に示すような補機バッテリの充電量が少ない状態における充電処理において、所定時間毎にIbatが予め決められたしきい値Ithより小さいかどうかを判定する(Ibat<Ith:ステップS20からステップS22)。もし、しきい値より大きい場合には、ECUは充電が終わっていないと判断してステップS20に戻る。また、しきい値より小さい場合には、ECUは充電が完了したと判断してステップS24に移る。ここで、しきい値より小さい場合は、図6(1)に示している状態であり、もっぱらDC/DCコンバータ14から車両補機18に電流が流れている状態であることから、Vout=Vsense+Iout*Rw1・・・(式2)で表現することができる。
【0027】
図4のステップS24において、ECUは取得したVoutと測定したVsenseをVout(1)とVsense(1)として記録し、差分電圧Vout−Vsenseを得ることでIbatを(式1)から求めてステップS26へ移る。ステップS26では、ECUはVoutを予め決められた電圧間隔であるVstepだけ下げ、ステップS28に移る。ステップS28では、ECUはVout−Vsenseが正であり充電側であることを判定する。もし、正である場合には、ECUはステップS26にてさらにVoutを下げる処理を決められた時間間隔で実行する。この処理により、緩やかにVoutが減少して燃費制御が実行されることになる。その後、ECUの制御により、補機バッテリの開放電圧Vopen以下となり、車両補機による電流消費が進み、Vout−Vsenseが「0」以下となった場合には、ステップS30にてその時のVoutをVout(2)として記録する。この状態は、図6(2)に示している状態であり、DC/DCコンバータ14から車両補機18へIoutの電流が供給されると共に、補機バッテリ17からIbatの電流が供給される状態であり、Iout*Rw1=Ibat*Rw2・・・(式3)で表現することができる。
【0028】
ECUは、ステップS32において補機バッテリから放電させるために、Voutを予め決められた電圧間隔であるVstep下げ、ステップS34に移る。ステップS34では、ECUは、|Vout−Vsense|<=Vout−Vout(2) ・・・(式4)の関係となるまで緩やかにVoutを下げる処理を行う。この処理により、DC/DCコンバータの出力電流と補機バッテリからの出力電流とがほぼ同じ値となるVout(3)が求まる。この状態は、図6(3)に示している状態であり、Vsense−Vout=Ibat*Rw2−Iout*Rw1・・・(式5)で表現することができる。この時、放電状態となっているため、VsenseがVoutより大きい電圧となっている。次に、ECUはステップS36にてVout(3)を記録した後にステップS38に移る。ステップS38では、Vout=2*Vout(1)−Vout(2) ・・・(式6)により燃費制御におけるVoutが求まり、図5の(4)点が求まることになる。この一連の処理によりECUは、燃費制御におけるVoutを算出することが可能となる。最後に、燃費制御のVoutを算出した後の処理について説明する。
【0029】
図7は再充電処理の流れを示している。ECUは、ステップS40にて所定時間が経過するまで燃費制御を実行し、所定時間経過後、Ibatがしきい値Ithより大きい場合にはステップS42にて再充電実行する。ステップS44において、ECUは降圧処理中の制御情報から出力電流Ioutを取得してステップS46に移る。ステップS46において、ECUは降圧処理中の制御情報から出力電圧Voutを取得してステップS48に移る。ステップS48において、ECUは、補機バッテリ端子電圧Vsenseを取得してステップS50に移る。ステップS50において、ECUは、上述した(式1)にてIbatを算出する。これらの処理を実行することにより、燃費制御を実現することが可能となる。
【0030】
以上、上述したように、本実施形態のDC/DCコンバータ用制御装置がDC/DCコンバータを制御することにより、新たなハードウエアのコストアップ無しに効果的な電圧の設定が可能となる。また、本実施形態のDC/DCコンバータ用制御装置では、充電電流を補機バッテリ端子電圧と、DC/DCコンバータの出力電圧と、の差分等から算出し、早期に補機バッテリの充電状況に応じた充電に移行することで主バッテリの電力低下を遅らせることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 車両、11 エンジンコンパートメント、12 ラゲージルーム、14 DC/DCコンバータ、15 インバータ、16 主バッテリ、17 補機バッテリ、18 車両補機、19 モータ、20 DC/DCコンバータ用制御装置、21 エンジン。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主バッテリの電力を利用して補機バッテリへの充電を制御するDC/DCコンバータ用制御装置において、
DC/DCコンバータから補機までの配線抵抗である第1抵抗値を取得する第1抵抗値取得手段と、
補機から補機バッテリまでの配線抵抗である第2抵抗値を取得する第2抵抗値取得手段と、
補機バッテリの端子電圧を測定するバッテリ電圧測定手段と、
DC/DCコンバータを制御するための制御情報を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された制御情報から出力電圧を取得する出力電圧取得手段と、
記憶手段に記憶された制御情報から出力電流を取得する出力電流取得手段と、
DC/DCコンバータから補機バッテリに流れる電流または補機バッテリから補機へ流れる電流である充放電電流を、バッテリ電圧、出力電圧、出力電流、第1抵抗値及び第2抵抗値に基づいて算出する充放電電流算出手段と、
算出された充放電電流に応じてDC/DCコンバータの出力電圧を設定する出力電圧設定手段と、
を有することを特徴とするDC/DCコンバータ用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のDC/DCコンバータ用制御装置において、
第1抵抗値取得手段は、記憶部に予め記録された第1抵抗値を取得し、
第2抵抗値取得手段は、記憶部に予め記録された第2抵抗値を取得し、
充放電電流算出手段は、出力電圧とバッテリ端子電圧との差の電圧値から、第1抵抗値に出力電流を乗じた電圧値を減じ、さらに、得られた電圧値を第2抵抗値にて除することで充放電電流を算出することを特徴とするDC/DCコンバータ用制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のDC/DCコンバータ用制御装置において、
出力電圧設定手段は、充放電電流が予め決められたしきい値よりも低い電流となった場合、補機バッテリを満充電可能な第1設定電圧より低い第2設定電圧に変更し、
第2設定電圧は、出力電圧と補機バッテリ端子電圧との差が、充放電電流に第1抵抗値を乗じた電圧であることを特徴とするDC/DCコンバータ用制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のDC/DCコンバータ用制御装置において、
第2設定電圧は、出力電圧と補機バッテリ端子電圧との差に基づいて連続的に変化する電圧であることを特徴とするDC/DCコンバータ用制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載のDC/DCコンバータ用制御装置において、
補機バッテリの端子電圧を測定するバッテリ電圧測定手段は、DC/DCコンバータから補機用バッテリまでの配線長により発生する電圧降下を、出力電圧と比較することにより検出が可能な測定手段であることを特徴とするDC/DCコンバータ用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−157120(P2012−157120A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12732(P2011−12732)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】