説明

DP1受容体アゴニストとして使用されるピロリジン−2−オン誘導体

本発明は、プロスタグランジン受容体のアゴニストとして使用される化合物に関する。さらに詳しくは本明細書は、ピロリジン−2−オン誘導体であるDP1受容体アゴニストを作製し使用するための方法と組成物を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ピロリジン−2−オン誘導体、並びに当該化合物を使用する方法及び組成物に関する。具体的な実施態様において、本化合物はDP1受容体のアゴニストとして有用である。
【背景技術】
【0002】
プロスタノイドファミリーのメンバーであるプロスタグランジン(PGs)は、アラキドン酸へのシクロオキシゲナーゼ1及び2の作用により形成される。PGsの生物活性には例えば、異なる受容体サブタイプにより仲介される、平滑筋の収縮と緩和、神経伝達物質放出の抑制と増強、脂肪分解の抑制、胃液分泌抑制、炎症性メディエーター放出の抑制(Colemanら、Prostanoids and Their Receptor)、Comprehensive Medicinal Chemistry第3版、J.C.Emmett、643−714、Pergammon Press、オックスフォード、英国、1990)がある。今日まで、PGsの作用を仲介する少なくとも8つの受容体が知られている。PGE2は4つの受容体サブタイプ(EP1-4受容体)を有し、一方PGs D2、F2、I2、及びトロンボキサン(TX)A2はそれぞれ1つの受容体を有する(それぞれDP、FP、IP、及びTP受容体;Narumiyaら、Physiol Rev.79:1193−1226 1999)。これらの受容体のさらなる説明は、例えば米国特許第5,606,814号及び5,759,789号に見出すことができる。
【0003】
EP受容体の各タイプとサブタイプが欠如したノックアウトマウスの研究は、異なるプロスタグランジン受容体の役割について有益である。例えばEP受容体が欠如したマウスは、排卵、血圧制御、動脈管の閉鎖、及び骨吸収のような種々の機構で、EP受容体の種々の異なるタイプとサブタイプについて異なる役割を示した(Ushikubiら、Jpn.J.Pharmacol.,83,279−285,2000)。EP2についてネコの気管の平滑筋緩和、EP4について血管拡張(Gardinier,Br.J.Pharmac.1986,87,45−56;Colemanら、1994 Pharmacological Reviews 46(2)、205−229)、及びEP4について抗炎症活性(Takayamaら、The Journal of Biological Chemstry,277,46:44147−44154,2002)のようなEP受容体のさらなる役割が報告されている。腎プロスタグランジンE2(PGE2)は、糸球体微小循環と直細血管を拡張し、腎髄質を供給し、遠位尿細管中の塩と水の輸送を調節することによる正常な腎機能に対して決定的に重要である。DPについて複数(少なくとも2つ)の受容体タイプがある。EP受容体研究と類似の研究は、異なるDP受容体の役割について有益であろう。
【0004】
プロスタグランジンE2(PGE2)は、EP受容体のすべてのサブタイプの天然のリガンドである。従って内因性プロスタグランジンを用いて、EP受容体のサブタイプの1つに対する選択的作用を達成することは困難である。
【0005】
いくつかのプロスタノイド受容体とこれらの受容体の調節物質が主に報告されている(Eicosanoids:From Biotechnology to Therapeutic Applications(Plenum Press、ニューヨーク);Journal of Lipid Mediators and Cell Signalling 14:83−87(1996);The British Journal of Pharmacology,112:735−740(1994);WO96/06822;WO97/00863;WO97/00864;WO96/03380;EP752421;US6,211,197,US4,211,876;US3,873,566;及び、Bennettら、J.Med.Chem.19(5):715−717(1976))。
【0006】
特定のプロスタグランジンリガンドと類似体が、プロスタグランジンに関連する生物活性を与えることが報告されている(US6,288,120;US6,211,197;US4,090,019;US4,033,989;US4,003,911)。Eタイプのプロスタグランジン作用は、プロスタグランジンE受容体との相互作用を介することが報告されている。特定の化合物がまた、EP4アゴニストとして報告されている(WO02/24647、EP1110949A1、WO03/009872、及びWO03/007941)。
【0007】
プロスタグランジンファミリーの化合物に関連する疾患又は疾患の処置のための新しい化合物及び方法を有することは望ましいであろう。
【0008】
発明の概要
本発明は、プロスタグランジン受容体のアゴニストとして使用され得る化合物に関する。さらに詳しくは、本明細書は、ピロリジン−2−オン誘導体であるDP1受容体アゴニストを作製及び使用するための方法及び組成物を記載する。このような化合物の例は、式I:
【化1】

{式中、A及びCはそれぞれ独立に水素又はヒドロキシであり;
Mは、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、C1〜C6アルキニル、及び(CH2)q−Bからなる群から選択され、ここでBは、任意に置換された炭素環式アリール、3〜8個の環原子と少なくとも1つのN、O又はS環原子とを有する任意に置換された複素脂環式基、及び5又は6個の環原子と少なくとも1つのN、O又はS環原子とを有する単環を有する複素環式芳香族基を含んでなる群から選択され;ここで「−(CH2)q−B」中のqは1、2、3及び4から選択され;
Uは、(CH2)p(ここで、pは0、1及び2から選択される)であり;
VとQは、それぞれ独立に水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキル、C1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールアルキル、−CR12−W(ここで、R1とR2は独立にHとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)であり;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;VとQの少なくとも1つは水素以外である};及びその医薬として許容される塩を有する。特に好適な化合物において、AとCはそれぞれ水素である。本発明の具体的な化合物において、Bは任意に置換された炭素環式アリール、又は任意に置換されたフェニルである。
【0009】
さらに具体的な実施態様において、本化合物は、式II又は式:
【化2】

{式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;具体的な実施態様においてnは1又は2であり、
Uは(CH2)p(ここでpは0、1、及び2から選択される)であり;
VとQは、それぞれ独立に、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールアルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)から選択され;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;VとQの少なくとも1つは水素以外である};及びその医薬として許容される塩を有し得る。
【0010】
また、式III:
【化3】

{式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;
Uは(CH2)p(ここでpは0、1、及び2から選択される)であり;VとQは、それぞれ独立に、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールアルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)から選択され;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;VとQの少なくとも1つは水素以外である}を有する好ましい典型的な化合物;及びその医薬として許容される塩は、式Iにより包含される。
【0011】
式Iに包含される他の好適な化合物には、式IV:
【化4】

{式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;nは、0、1、2、3、4、及び5から選択される整数であり;
Uは(CH2)p(ここでpは0、1、及び2から選択される)であり;
Qは、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルケニル、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールC1〜C6アルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)から任意に置換され;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びアリールC1〜C6アルキルから選択される}の好適な化合物;及びその医薬として許容される塩が挙げられる。
【0012】
本発明の具体的な好適な化合物、式I〜IVの任意の化合物において、pは0である。
【0013】
式Iに包含される他の好適な化合物には、式V:
【化5】

【0014】
{式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;nは、0、1、2、3、4、及び5から選択される整数であり;
Qは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリールアルキル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールC1〜C6アルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)から選択され;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びアリールC1〜C6アルキルから選択される}を有する好適な化合物;及びその医薬として許容される塩が挙げられる。式Vの化合物において、nは好ましくは1であり、Rは好ましくはパラ置換基である。さらに具体的な実施態様において、Rは−C(O)OHである。式Vの化合物の他の好適な実施態様において、Qは特に、直鎖又は分岐鎖C1〜C12アルキル又は任意に置換されたアリールアルキルと定義される。
【0015】
式Vの好適な化合物において、Rは「パラ」位置の−C(O)OHであり、nは1であり;Qは−CR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)であり;Wは、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びアリールC1〜C6アルキルから選択される化合物、及びその医薬として許容される塩。
【0016】
他の実施態様は、式Vの化合物{ここで、Rは「パラ」位置の−C(O)OHであり;nは1であり;Qは−CR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)であり;Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、及びアリールから選択される}、及びその医薬として許容される塩を包含する。
【0017】
具体的な実施態様において式Iの化合物は、Mが以下の式を有するものである:
【化6】

{式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
Aは、任意に置換されたピリジル、ピロリル、フリル(フラニル)、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3−ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、及びベンゾキノリルからなる群から選択され;且つ
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;nは0、1、2、3、4、及び5から選択される整数である。}。
【0018】
他の実施態様においてMは:
【化7】

からなる群から選択される。
【0019】
Mはまた、
【化8】

(式中、R4は、H、アルキル基、アリール基、又は塩からなる群から選択される)からなる群から選択される。
【0020】
具体的な好適な実施態様においてMは:
【化9】

である。
【0021】
他の好適な実施態様においてMは:
【化10】

である。
【0022】
他の好適な実施態様においてMは:
【化11】

である。
【0023】
本発明のさらなる化合物は、以下の式で示されるように式I.2、I.2.1、II.2、III2、IV.2、及びV.2により包含される。置換基A、B、C、R、U、Q、V、及び整数nは上記で定義したものである。
【化12】

【0024】
本明細書で詳細に説明される具体的な化合物以外に本発明はさらに、医薬として使用される該化合物のいずれかに関する。ある実施態様において本明細書に記載の化合物は、プロスタグランジン欠損に関連する疾患又は障害を処置するための薬剤の製造における使用が意図される。
【0025】
本発明はさらに、本発明の化合物の有効量を哺乳動物に投与することにより、プロスタグランジン受容体の作用を増大又は上昇させることを含む、哺乳動物の疾患又は障害を処置する方法に関する。この疾患は、プロスタグランジンの作用を介する任意の疾患である。特に、非限定的な例において哺乳動物は、魚鱗癬、ドライアイ、睡眠障害、胃潰瘍、好ましくない筋肉収縮、炎症性疾患、勃起不全、喘息、高血圧、好ましくない血液凝固、不妊症もしくは不妊障害、好酸球障害、性機能不全、緑内障、眼圧上昇、腎機能不全、免疫不全疾患又は障害、AIDS、及び好ましくない骨量減少に罹患しているか又は罹患しやすい。哺乳動物は、家畜動物、ペット動物、動物園の動物、又は実験室の動物でもよい。具体的な実施態様において哺乳動物は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及びヤギ、ペット動物(例えばイヌ、ネコ)、外来動物及び/又は動物園動物、実験室動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、及びハムスターを含む)からなる群から選択される。好適な実施態様において哺乳動物はヒトである。哺乳動物は雄性又は雌性でもよい。哺乳動物が雌性である実施態様において雌は、早期産、月経困難症、子癇前症、又は子癇に罹患しているか又は罹患しやすいものでもよい。他の実施態様において処置の必要な雌は、後期妊娠段階であり、及び子宮頚管成熟の制御が必要である。ある実施態様において雌は不妊症に罹患しているか又は罹患しやすい。さらに別の実施態様において本発明の方法は、排卵障害に罹患している雌の処置に有用である。
【0026】
すなわち本発明の方法はいくつかの実施態様で、早期産、月経困難症、喘息、高血圧、不妊障害、好ましくない血液凝固、子癇前症、子癇、好酸球障害、好ましくない骨量減少、性機能不全、腎機能不全、免疫不全疾患、ドライアイ、魚鱗癬、眼圧上昇、睡眠障害、胃潰瘍、又は炎症性疾患に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物を処置する方法であって、本発明の化合物(例えば本発明の式I〜Vのいずれかで示される化合物)の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなる方法に関する。
【0027】
プロスタグランジンに関連する疾患又は障害を処置するための薬剤の調製するための本発明の化合物の使用が、特に意図される。
【0028】
さらに本発明は、早期産、月経困難症、喘息、高血圧、不妊障害、好ましくない血液凝固、子癇前症、子癇、好酸球障害、好ましくない骨量減少、性機能不全、腎機能不全、免疫不全疾患、ドライアイ、魚鱗癬、眼圧上昇、睡眠障害、胃潰瘍、又は炎症性疾患を処置するための薬剤を製造するための本明細書に記載の化合物の使用に関する。
【0029】
本発明はさらに、医薬として許容される担体と本明細書に記載の1つ又はそれ以上のピロリジン−2−オン誘導体とを含む医薬組成物に関する。さらに具体的な実施態様において医薬組成物中の化合物は、早期産、月経困難症、喘息、高血圧、不妊症もしくは不妊障害、性機能不全、好ましくない血液凝固、破壊性骨疾患もしくは障害、子癇前症もしくは子癇、好酸球障害、腎機能不全、免疫不全疾患、ドライアイ、魚鱗癬、眼圧上昇、睡眠障害、又は胃潰瘍を処置するための化合物の使用説明書とともに包装される。
【0030】
また雌の不妊症状を処置する方法であって、プロスタグランジンDP1受容体アゴニスト、そのプロドラッグ、又は該化合物の医薬として許容される塩、該化合物のプロドラッグもしくはジアステレオ異性体混合物、塩又はプロドラッグを該雌に投与することを含んでなる方法が本明細書に記載される。具体的な実施態様において症状は不妊症である。他のさらに具体的な実施態様において症状は排卵障害である。さらなる実施態様において雌は、排卵誘発又はART処置を受けている。本発明の特に好適な処置法において、プロスタグランジンDP1受容体アゴニストは、式VI:
【化13】

{式中、AとCのそれぞれは、独立にH又はOH、好ましくはHであり;
Bは、任意に置換されたC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリールC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリールC1〜C6ヘテロアルキル、任意に置換されたヘテロアリールC1〜C6アルコキシ、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクロアルキルから選択されるが、ただしBが任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクロアルキルである時、Bに結合する定義されていない結合は1重結合であり;
点線は任意の2重結合を示す;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRはアミノもしくは任意に置換されたアルキルアミンであり;nは0、1、2、3、4及び5から選択される整数であり;
Uは(CH2)p(ここでpは0、1及び2から選択される)であり;
Qは、1〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル、2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルケニル、2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクリルアルキルC1〜C6アルキル、アリールC1〜C6アルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は、独立にHとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成する)であり;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びアリールC1〜C6アルキルから選択される}の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択される。
【0031】
さらに詳しくは、プロスタグランジンDP1受容体アゴニストは、式VI[ここでAはHであり;BはC1〜C6アルキルであり、Bは1重結合により結合しており;RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、例えば−O−アルキル及びアルキルから選択される)であるか;又はZはアミノもしくはアルキルアミン{例えばNR12(ここでR1とR2は独立に水素又はアルキルである)、−NHSO23、及びNHC(O)R3(ここでR3はC1〜C6アルキルとアリールから選択される)}であり;Uは(CH2)p(ここでpは0である)であり;Qは、−CR45−W(ここでR4とR5は、独立にH、ハロゲン、及びC1〜C6アルキルから選択され;Wは、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、及びヘテロアリールから選択される)である}の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択される。
【0032】
さらに別の実施態様においてプロスタグランジンDP1受容体アゴニストは、式VI{ここでAはHであり;BはC1〜C6アルキルであり;RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、アルコキシから選択される)であるか;又はRはヘテロアリールであり;Uは(CH2)p(ここでpは0である)であり;Qは、−CH2−W(ここでWは、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択される)である}の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択される。
【0033】
さらに別の実施態様においてプロスタグランジンDP1受容体アゴニストは、式VI{ここでAはHであり;BはC1〜C6アルコキシ、−CH2−アリール、及びCH2−ヘテロアリールであり、Bは1重結合により結合しており;RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、アルコキシから選択される)であるか;又はRはヘテロアリールであり;Uは(CH2)p(ここでpは0である)であり;Qは、−CH2−W(ここでWは、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択される)である}の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択される。
【0034】
さらに別の実施態様においてプロスタグランジンDP1受容体アゴニストは、式VI{ここでAはHであり;Bは置換アリールであり、Bは1重結合により結合しており;RはC(=O)Z(ここでZはヒドロキシである)であり;Uは(CH2)p(ここでpは0である)であり;Qは、−CR45−W(ここでR4とR5は、独立にH及びC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR4とR5はこれらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる;Wは、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、アリール、及び置換フェニルから選択される)である}の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択される。
【0035】
特に好適な実施態様においてプロスタグランジンDP1受容体アゴニストは、以下からなる群から選択される:
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【0036】
本発明の他の特徴と利点は、以下の詳細な説明から明らかであろう。しかし詳細な説明と具体例は本発明の好適な実施態様を示すためにのみ例示され、この詳細な説明から本発明の精神と範囲内で種々の変更と修飾ができることは当業者に明らかであろう。
【0037】
好適な実施態様の説明
本出願において、種々の障害に有用な、特にプロスタグランジンに関連する疾患又は障害の処置(例えばプロスタノイド誘導性平滑筋収縮を阻害する)に有用ないくつかのピロリジン−2−オン誘導体が記載される。本発明のいくつかの化合物は一般に、式I:
【化18】

【0038】
[ここで、AとCはそれぞれ独立に水素又はヒドロキシであり;
Mは、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、C1〜C6アルキニル、及び(CH2)q−B{ここでBは、任意に置換された炭素環式アリール、3〜8個の環原子と少なくとも1つのN、O又はS環原子とを有する任意に置換された複素脂環式基、及び5又は6個の環原子と少なくとも1つのN、O又はS環原子とを有する単環を有する複素環式芳香族基であり;「−(CH2)q−B」中のqは1、2、3及び4から選択される}からなる群から選択され;
Uは、(CH2)p(ここでpは0、1及び2から選択される)であり;
VとQは、それぞれ独立に水素、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルケニル、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたC1〜C6ヘテロアルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリールC1〜C6アルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立にHと任意に置換されたC1〜C6アルキルから選択され、好ましくはHであり;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともに任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3、C4、もしくはC5シクロアルキルを形成する)からなる群から選択され;
Wは、水素、任意に置換されたC1〜C6アルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたアリールC1〜C6アルキルからなる群から選択され;VとQの少なくとも1つは水素以外である]に示す構造;及びその医薬として許容される塩を有する。
【0039】
式Iにおいて、好ましくはBは任意に置換された炭素環式アリール、複素脂環式もしくは複素環式芳香族基であり、例えばカルボン酸エステル{例えば、−COOR(ここでRは水素又はC1〜C6アルキルである)}、アミド{例えば−CONHR(ここでRは水素又はC1〜C6アルキルである)}などにより置換される環式基である。
【0040】
式Iの好適な化合物は、置換基Aが水素であり、及び/又は置換基Bが任意に置換されたチオフェン、任意に置換されたピロール、任意に置換されたフラン、又は任意に置換された炭素環式アリール基、特に任意に置換されたフェニルである化合物を含み、例えば以下の式II:
【化19】

[式中、式IIにおいて、A、C、U、V、及びQは上記式Iで定義したものと同じであり;
M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z{ここでZは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、例えば−O−アルキル、好ましくは−O−C1〜C4アルキル(すなわち、メチル、エチル、プロピル、又はブチルエステルを含むC1〜C4エステルを与える)、及び任意に置換されたアルキル、好ましくはC1〜C6アルキルからなる群から選択される}であるか;又はRはアミノ又はアルキルアミン、例えばNR12(ここでR1とR2は独立に水素又は任意に置換されたアルキル、好ましくは1〜6を有するC1〜C6アルキル)であり;nは1、2、3、4(ここで利用可能なフェニル環位置はすべて水素置換される)及び5から選択される整数であり、好ましくはnは0、1及び2から選択される]の化合物;及びその医薬として許容される塩を含む。
【0041】
上記式IとIIの好適な化合物は、ピロリジノン環窒素の置換基の成分としてパラ置換フェニル成分を有するもの、例えば以下の式III:
【化20】

(式III中、A、C、U、Q、及びVは、式Iについて定義したものと同じであり;M’とRは式IIについて定義したものと同じである)の化合物、及びその医薬として許容される塩を含む。
【0042】
また好適なのは、置換基QとVの1つが水素であり、他の1つが非水素基である上記式の化合物であり、例えば以下の式IV:
【化21】

[式IV中、
Uは式Iで定義したものと同じであり;
M’、R及びnは式IIで定義したものと同じであり;
Qは、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルケニル、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリール、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、Hと任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはH又はメチルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともに任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3、C4もしくはC5シクロアルキルを形成することができる)からなる群から選択され;
Wは、水素、任意に置換されたC1〜C6アルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたアリールアルキルからなる群から選択される]の化合物、及びその医薬として許容される塩である。
【0043】
また好適なのは、Uが存在しない(p=0)上記式の化合物であり、従って以下の式V:
【化22】

[式V中、
M’、R、及びnは式IIで定義したものと同じであり;且つ
Qは、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する、さらに好ましくは1〜9個の炭素原子を有する任意に置換された(直鎖又は分岐鎖)アルキル(例えば、フェニル、ヘキシル、ヘプチル、又はノニル成分)、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルケニル、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリールアルキル、例えば任意に置換されたベンジル又はフェネチル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、Hと任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはH又はメチルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともに任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3もしくはC4シクロアルキルを形成することができる)からなる群から選択され;
Wは、水素、任意に置換されたC1〜C6アルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたアリールC1〜C6アルキルからなる群から選択される]の化合物、及びその医薬として許容される塩である。
【0044】
本発明の好適な化合物の群は、式V{ここでRはC(=O)OHであり、「パラ」置換基であり;nは1である}の化合物;及びその医薬として許容される塩を含む。
【0045】
Qは、任意に置換されたC1〜C6アルキル、任意に置換されたC2〜C6アルケニル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、H及び任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはH又はメチルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともに任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3もしくはC4シクロアルキルを形成することができる)からなる群から選択され;
Wは、水素、任意に置換されたC1〜C6アルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたアリールC1〜C6アルキルからなる群から選択され;及びその医薬として許容される塩。
【0046】
本発明の化合物の他のさらに好適な群は、式V{ここでRはC(=O)OHであり、「パラ」位置であり、nは1であり;
Qは−CR12−W(ここでR1とR2は独立に、H及び任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはH又はメチルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともに任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3もしくはC4シクロアルキルを形成することができる);
Wは、水素、任意に置換されたC1〜C6アルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、及び任意に置換されたアリールからなる群から選択される}の化合物;及びその医薬として許容される塩である。
【0047】
ある実施態様において、本発明の化合物は標準的プロスタグランジンDP1受容体結合アッセイにおいて結合活性を示す。アッセイフォーマットの例を以下の実施例5に示す。
【0048】
ある実施態様において、本発明の化合物はまた他のプロスタグランジン受容体への選択的結合を示すことができる。
【0049】
上記したように本発明の置換1,2−置換5−ピロリジノン化合物は、プロスタグランジン群の化合物が引き起こす疾患と障害の処置に有用である。本発明の処置法は一般に、必要な哺乳動物に本明細書に開示の1つ又はそれ以上のピロリジノン化合物の有効量を投与することを含む。
【0050】
本発明のピロリジノン化合物は、早期産、月経困難症、喘息、及び気管支拡張により処置される他の症状、炎症、高血圧、好ましくない血液凝固、他の好ましくない血小板活性、子癇前症及び/又は子癇、及び好酸球関連障害に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物の処置に特に有用である。本発明のピロリジノンベースの化合物はまた、不妊症に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物、特に不妊症に罹患している雌を処置するのに有用である。本発明のピロリジノン化合物は、排卵障害に罹患している雌の哺乳動物の処置に特に有用である。さらに本発明の化合物は、生殖処置、例えば体外受精又はインプラント法(卵胞の成長と成熟を刺激するために)を受けている雌に投与することができる。本発明の化合物はまた、性機能不全(勃起不全を含む)を処置するのに有用である。
【0051】
本発明の好適な化合物は、好ましくない骨量減少(例えば、特に女性の骨粗鬆症)を処置するのに、又は骨形成を促進するのに、及びページェット病のような他の骨疾患の処置に、骨移植片の治癒もしくは置換などに有用であろう。
【0052】
本発明の化合物はまた、急性又は慢性腎不全に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物を含む腎不全に罹患しているか又は罹患しやすい被験体の処置に有用である。
【0053】
本発明の化合物はまた、ウイルス感染、特にHIV感染のようなレトロウイルス感染が引き起こす疾患のような免疫不全疾患又は障害を含む免疫障害に罹患しているか又は罹患しやすい被験体の処置に有用である。そのような処置により特に恩恵を受けるのは、AIDSに罹患しているか又は罹患しやすいヒトであろう(Thiviergeら、Blood,1998,92(1),40−45)。
【0054】
本発明の化合物はさらに、例えばあらかじめ収縮している毛様体筋の緩和により被験体の眼内圧上昇を低下させるのに有用であろう。
【0055】
特に緑内障又は眼内圧上昇が引き起こす他の障害に罹患しているか又は罹患しやすいヒトのような哺乳動物。本発明の化合物はまた、ドライアイに罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物特にヒトの処置に有用であろう。
【0056】
本発明の化合物はまた、被験体の睡眠を促進するために、例えば高齢(例えば65才以上のヒト)による睡眠障害に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物特にヒトを処置するために、有用であろう。
【0057】
本発明の化合物はまた、性機能不全に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物、特に勃起不全に罹患しているヒト男性を処置するのに有用であろう。
【0058】
本発明の化合物はまた、炎症、炎症性疼痛、及び痛覚過敏を含む炎症性疾患又は障害に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物を処置するのに有用であろう。
【0059】
本発明の化合物はさらに、潰瘍、特に胃潰瘍に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物を処置するのに有用であろう。当該処置は、胃潰瘍を促進することがある抗炎症剤で処置されている患者で行われる。
【0060】
本発明の化合物はまた、皮膚障害、特に乾燥皮膚(魚鱗癬)又は皮疹に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物特にヒトに投与される。
【0061】
さらなる態様において本発明は、特に式I〜Vのいずれかからなる群から選択される化合物を含むピロリジン−2−オン化合物の使用であって、早期産、排卵誘発、子宮頚管成熟、月経困難症、喘息、高血圧、不妊症もしくは不妊障害、好ましくない血液凝固、子癇前症もしくは子癇、好酸球障害、性機能不全(勃起不全を含む)、骨粗鬆症、及び他の破壊性骨疾患もしくは障害、腎機能不全(急性及び慢性)、免疫不全疾患もしくは障害、ドライアイ、皮膚障害(例えば魚鱗癬)、緑内障が引き起こすような眼内圧上昇、睡眠障害、潰瘍、炎症性疾患もしくは障害、及びプロスタグランジンとその受容体が引き起こす他の疾患及び障害を含む、本明細書に開示の疾患又は症状の処置又は予防(予防的処置を含む)のための該使用を提供する。
【0062】
さらに別の態様において本発明は、特に式I〜Vのいずれかの化合物であるピロリジン−2−オン化合物の使用であって、早期産、排卵誘発、子宮頚管成熟、月経困難症、喘息、高血圧、不妊症もしくは不妊障害、好ましくない血液凝固、子癇前症もしくは子癇、好酸球障害、性機能不全(勃起不全を含む)、骨粗鬆症、及び他の破壊性骨疾患もしくは障害、腎機能不全(急性及び慢性)、免疫不全疾患もしくは障害、ドライアイ、皮膚障害(例えば魚鱗癬)、緑内障が引き起こすような眼内圧上昇、睡眠障害、潰瘍、炎症性疾患もしくは障害、及びプロスタグランジンとその受容体が引き起こす他の疾患及び障害を含む、本明細書に開示の疾患又は症状の処置又は予防(予防的処置を含む)のための薬剤を製造するための該使用を提供する。
【0063】
本発明の好適な方法は、本明細書に開示の症状に罹患しやすいか又は罹患している被験体(例えば哺乳動物、特にヒト)を同定及び/又は選択し、次に、特に、同定され選択された被験体、特に不妊症、特に非排卵障害、早期産、喘息、高血圧、性機能不全(勃起不全を含む)、骨粗鬆症、及び他の破壊性骨疾患もしくは障害、炎症、腎機能不全(急性及び慢性)、免疫不全疾患もしくは障害、ドライアイ、皮膚障害(例えば魚鱗癬)、緑内障が引き起こすような眼内圧上昇、睡眠障害、潰瘍、又はプロスタグランジンに関連する他の疾患及び障害に罹患しやすいか又は罹患していると同定され選択された被験体に、本発明の1つ又はそれ以上の化合物を投与することを含む。
【0064】
本発明はまた、本発明の1つ又はそれ以上のピロリジン−2−オン化合物を化合物の適当な担体とともに含む医薬組成物を提供する。
【0065】
さらなる態様において本発明は、排卵障害を含む不妊症の処置のためにプロスタグランジンDP1受容体アゴニストを投与することを含む、方法と医薬組成物を提供する。さらに詳しくは本発明は、排卵を開始、さらに詳しくは排卵誘発の処置もしくは生殖補助医療(ART)を受けている患者の排卵を開始することを含む、排卵を誘発するための方法と医薬組成物とに関する。
【0066】
さらに別の態様において本発明は、不妊症障害の処置のためのプロスタグランジンDP1受容体アゴニストを投与することを含む方法と医薬組成物であって、DP1アゴニストは以下の式VI:
【化23】

[式中、AとCのそれぞれは、独立にH又はOH、好ましくはHであり;
Bは、任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはC3もしくはC4アルキル、任意に置換されたアリールC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリールC1〜C6ヘテロアルキル、好ましくはアリールC1〜C6アルコキシ、任意に置換されたヘテロアリールC1〜C6アルコキシ、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるが、ただしBが任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクロアルキルである時、Bに結合する定義されていない結合は1重結合であり;
点線は任意の2重結合を示す;
RはC(=O)Z{ここでZは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、例えば−O−アルキル、好ましくは−O−C1〜C4アルキル(すなわち、メチル、エチル、プロピル、又はブチルエステルを含むC1〜C4エステルを与える)、任意に置換されたアルキル、好ましくはC1〜C6アルキル、及び任意に置換されたアリールなる群から選択されるか;又はZは、アミノ又はアルキルアミン、例えばNR12(ここでR1とR2は独立に水素及び任意に置換されたアルキル、好ましくはC1〜C6アルキル、−NHSO23、及びNHC(O)R3(R3は、任意に置換されたC1〜C6アルキル及び任意に置換されたアリールから選択される)からなる群から選択される}であるか;又はRは、任意に置換されたヘテロアリール(好ましくは少なくとも1つのN原子を含む)(テトラゾリルを含む)であり;
Uは(CH2)p(ここでpは0、1及び2から選択される整数であり、好ましくは0又は1である)であり;
Qは−CR45−W(ここでR4とR5は、独立にH、ハロゲン及び任意に置換されたC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR4とR5はこれらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3、C4もしくはC5シクロアルキルを形成することができる)であり;
Wは、水素、任意に置換されたC1〜C6アルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアリールC1〜C6アルキル、及び任意に置換されたヘテロアリールC1〜C6アルキルからなる群から選択される]の化合物;及び医薬として許容される塩の中から選択されることを特徴とする、方法と医薬組成物を提供する。
【0067】
好適な該DP1アゴニストはDP1結合アッセイで選択される。このようなアッセイの例は、以後の実施例5で定義される。
【0068】
本明細書に記載のピロリジン−2−オン誘導体は、種々の置換基を含有してもよい。本発明の化合物(これは、式I、II、III、IV、及びVの化合物と本明細書に記載のその変種とを含む)の適当なアルキル置換基は、典型的には1〜約12個の炭素原子、さらに好ましくは1〜8個の炭素原子、さらに好ましくは1、2、3、4、5、又は6子の炭素原子を有する。本明細書において用語「アルキル」は、特に修飾しない場合は、環状もしくは非環状ならびに分岐鎖もしくは直鎖の基を意味するが、環状基は少なくとも3つの炭素環メンバーを含むであろう。本発明の化合物の好適なアルケニル及びアルキニル基は、1つ又はそれ以上の不飽和結合、典型的には2〜約12個の炭素原子、さらに好ましくは2〜約8個の炭素原子、さらに好ましくは2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有する。本明細書において用語アルケニルとアルキニルは、環状及び非環状基の両方を意味するが、直鎖又は分岐鎖の非環状基が一般により好ましい。
【0069】
本発明の化合物の好適なアルコキシ基は、1つ又はそれ以上の酸素結合と1〜8個の炭素原子、さらに好ましくは1、2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子とを有する基を含む。好適なアルキルアミノ基は、1つ又はそれ以上の1級、2級及び/又は3級アミン基と、1〜8個の炭素原子、さらに好ましくは1、2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子とを有する基を含む。
【0070】
特に式Iの置換基Bとしての本発明の化合物の適当な複素脂環式基は、1つ又はそれ以上のN、O又はS原子を含有し、例えばテトラヒドロフラニル、チエニル、ピペリジニル、モルホリノ、及びピロリジニル基を含む。
【0071】
特に式Iの置換基Bとしての本発明の化合物の適当な複素環式芳香族基は、少なくとも1つのN、O又はS環原子を有する5員又は6員単環成分である。複素環式芳香族基の具体例には、任意に置換されたピリジル、ピロリル、フリル(フラニル)、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3−ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、及びベンゾキノリルがある。任意に置換されたチエニル、任意に置換されたフラニル、任意に置換されたピラジニル、及び任意に置換されたピリジルは、特に好適な複素環式芳香族B置換基である。
【0072】
本発明の化合物の適当な炭素環式アリール基には、単環及び多環化合物(別々の及び/又は縮合アリール基を含有する多環化合物を含む)がある。本発明の化合物の典型的な炭素環式アリール基は、1〜3個の別々のもしくは縮合した環と6〜約18個の炭素環原子を含有する。特に好適な炭素環式アリール基には、フェニル;フェニル、1−ナフチル、及び2−ナフチルを含むナフチル;ビフェニル;フェナトリル;アントラシル;及びアセナフチルがある。置換フェニル、例えば2−置換フェニル、3−置換フェニル、4−置換フェニル、2,3−置換フェニル、2,4−置換フェニル、及び2,5−置換フェニル;及び5、6、及び/又は7位で置換されたナフチルを含む置換ナフチルを含む置換された炭素環基は特に適している。
【0073】
本発明の化合物の適当なアラルキル基には、単環及び多環化合物(別々の及び/又は炭素環式アリール基を含有する多環化合物を含む)がある。典型的なアラルキル基は、1〜3個の別々のもしくは縮合した環と6〜約18個の炭素環原子を含有する。特に好適な炭素環式アリール基には、ベンジルとナフチルエチル(−CH2−ナフチル)、及び上記した他の炭素環アラルキル基がある。
【0074】
上記したように上記式の種々の置換基(例えば、R、R1、R、B、V、Q、及びZ)は任意に置換されてよい。「置換された」R、R1、R2、B、V、Q、及びZ基又は他の置換基は、1つ又はそれ以上の利用可能な位置(典型的には1〜3又は4つの位置)で水素以外により、本明細書に開示のような1つ又はそれ以上の適当な基により置換される。「置換された」R、R1、R2、B、V、Q、及びZ基又は他の置換基上に存在し得る適当な基には、例えばハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アルカノイル、例えばC1〜C6アルカノイル基、例えばアシルなど;カルボキサミド;1〜約12個の炭素原子、又は1、2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子を有する基を含むアルキル基;1つ又はそれ以上の不飽和結合と2〜約12個の炭素原子、又は2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子を有する基を含むアルケニル及びアルキニル基;1つ又はそれ以上の酸素結合と1〜約12個の炭素原子、又は1、2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子を有する基を含むアルコキシ基;アリールオキシ、例えばフェノキシ;アルキルアミノ基、例えば1つ又はそれ以上のN原子と1〜約12個の炭素原子、又は1、2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子を有する基;6又はそれ以上の炭素原子を有する炭素環式アリール;1〜3個の別々のもしくは縮合した環と6〜約18個の炭素環原子を有するアラルキル、ベンジルが好適な基であり;又は1〜3個の別々のもしくは縮合した環と6〜約18個の炭素環原子を有するアラルコキシ、例えばO−ベンジルがある。また任意に置換されたという用語は、成分R、R1、R2、B、V、Q、及びZの1つの位置で2つのアルキル置換基が閉環を受けて、シクロアルキル(例えばシクロプロピル)成分を与える場合も含む。
【0075】
本発明の特に好適な実施態様は、式V[ここでRは「パラ」位置の−C(O)OHであり、nは1であり、
Qは、任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはブチル、ペンチル、ヘキシル、メチルブチル、メチルプロピル、ジメチルプロピル、ジメチルペンチル、又はトリフルオロプロピル、任意に置換されたC2〜C6アルケニル、好ましくはブテニル、任意に置換されたC2〜C6アルキニル、及びCR12−W[ここでR1とR2は、独立にHと任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはHもしくはメチルから選択されるか;又はR1とR2はこれらが結合している炭素原子とともに任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3もしくはC4シクロアルキルを形成する;Wは、水素、任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはプロピル、ブチル、ペンチル、メチル−1−エチル、メチルプロピル、tert−ブチル、もしくはトリフルオロエチル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、好ましくはメチルシクロプロピル、エチルシクロプロピル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくはシクロプロピル、シクロペンチル、もしくはシクロヘキシル、任意に置換されたアリール、好ましくは任意に置換されたフェニル(フェニル、メチルフェニル、ハロゲノフェニル、及びクロロフェニルを含む)、及び任意に置換されたアリールC1〜C6アルキル、好ましくはエチルフェニルである}からなる群から選択される]のピロリジン誘導体;及びその医薬として許容される塩である。
【0076】
本発明の化合物の他の好適な基は、式V[ここでRは「パラ」位置の−C(O)OHであり、nは1であり;Qは、−CR12−W[ここでR1とR2は、独立にHと任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはHもしくはメチルから選択されるか;又はR1とR2はこれらが結合している炭素原子とともに任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3もしくはC4シクロアルキル、好ましくはシクロプロピルもしくはシクロブチルを形成する;Wは、水素、任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはプロピル、ブチル、ペンチル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、好ましくはメチルシクロプロピルもしくはエチルシクロプロピル、及び任意に置換されたアリール、好ましくは任意に置換されたフェニル(フェニル及びメチルフェニルを含む)からなる群から選択される}である]の化合物;及びその医薬として許容される塩を含む。
【0077】
本発明の特に好適なピロリジノンは、下記の化合物及びこれらの化合物の医薬として許容される塩を含む:
【化24】

【0078】
上記化合物の例以外に、本発明の他の有用なDP1アゴニストは特に限定されないが以下を含む:
【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【0079】
他の好適な構造は以下を含む:
【化29】

{式中、RはH、アルキル基、又はエステルもしくは塩を形成するアリール基である。}。
【0080】
上記したように本発明の好適な化合物は、例えば以下の実施例5のプロトコールのようにプロスタグランジンDP1受容体結合アッセイで活性を示す。一般に本発明の好適な化合物は、以下の実施例5に例示されるようなプロスタグランジンアッセイで、約100又はそれ以下のKi(μM)、さらに好ましくは約50又はそれ以下のKi(μM)、さらに好ましくは約10又は20又はそれ以下のKi(μM)、さらに好ましくは約5又はそれ以下のKi(μM)を示す。
【0081】
本発明のピロリジノン化合物は、容易に調製することができる。適当な合成法は以下のスキーム1に例示される。以下のスキームに示す化合物は例示するのみであり、後述のように同様の方法で種々の他の化合物を使用することができる。
【0082】
本発明の別の態様において、排卵障害を含む不妊症の処置のためのプロスタグランジンDP1受容体アゴニストを投与することを含んでなる方法と医薬組成物が提供される。さらに詳しくは本発明は、排卵を誘発、特に排卵を開始するための方法と医薬組成物に関し;さらに詳しくは本発明は、排卵誘発又はART療法を受けている患者の排卵を開始するための方法と医薬組成物に関する。
【0083】
用語「DP1受容体アゴニスト」は、プロスタグランジンDP1サブタイプ受容体に結合する化合物(その異性体、プロドラッグ、及び医薬として許容される塩を含む)に関する。プロスタグランジンDP1サブタイプアゴニストは、いくつかの従来の測定法(DP1受容体を過剰発現している細胞についてのプロスタグランジンDP1結合アッセイとサイクリックAMPアッセイを含む)により同定することができる。DP1アゴニストを選択するために、当業者は他の適切な従来の測定法を使用してもよい。
【0084】
好適なプロスタグランジンDP1受容体アゴニストは、プロスタグランジンDP1受容体結合アッセイで活性を示し、その例は後述の実施例5の例で規定される。
【0085】
本発明のDP1受容体アゴニストの特に好適な群は、以下の実施例5に例示されるようなプロスタグランジンDP1受容体アッセイで、約20又はそれ以下のKi(μM)、さらに好ましくは約10又はそれ以下のKi(μM)、さらに好ましくは約5又は2又はそれ以下のKi(μM)、さらに好ましくは約1又はそれ以下のKi(μM)、さらに好ましくは約0.1又はそれ以下のKi(μM)を示す。
【0086】
他の好適なプロスタグランジンDP1受容体アゴニストは、DP1受容体を過剰発現している細胞株についてのcAMPアッセイで活性を示し、その例は、後述の実施例5で定義されるプロトコールで示される。
【0087】
本発明のDP1受容体アゴニストの他の特に好適な群は、以下の実施例5に例示されるように、当該cAMP/DP1受容体で約30又はそれ以下のEC50(nM)、さらに好ましくは約20又はそれ以下、約10又は5又はそれ以下のEC50(nM)、約1又は0.1又はそれ以下のEC50(nM)を有する。
【0088】
本発明のさらなる実施態様において排卵開始に使用される選択的DP1受容体アゴニストは、DP1アッセイで上記した好適なDP1活性を有する当該分野のDP1アゴニストから選択することができる。
【0089】
本発明のある実施態様において排卵を誘発する該方法は、該DP1アゴニストが、式VI(ここで置換基A、B、D、R、U、Q、W、R1、R2、R3、R4、及びR5は上記式VIで定義したものと同じである)の化合物の中から選択される方法である。
【0090】
本発明の好適な実施態様において排卵誘発又はART用に排卵を開始させる該方法は、該DP1アゴニストが式VI[ここでAはHであり;Bは任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはブチルであり;Dは2重結合であり;RはC(=O)Z{ここでZは、水素、ヒドロキシル、アルコキシ、例えば−O−アルキル好ましくは−O−C1〜C4アルキル(すなわち、メチル、エチル、プロピル又はブチルエステルを含むC1〜C4エステルを与える)、任意に置換されたアルキル、好ましくはC1〜C6アルキルから選択され;又はZは、アミノ又はアルキルアミン、例えば−NR12(ここでR1とR2は、独立に水素又は任意に置換されたアルキル、好ましくはC1〜C6アルキル、−NHSO23及びNHC(O)R3(R3は任意に置換されたC1〜C6アルキルと任意に置換されたアリールの中から選択される)である)から選択される}であり;Uは(CH2)p(ここでpは0である)であり;Qは−CR45−W(ここでR4とR5は独立にH、ハロゲン、及び任意に置換されたC1〜C6アルキルから選択され;Wは任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)である]の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択される方法である。
【0091】
本発明の好適な実施態様において排卵誘発又はART用に排卵を開始させる方法は、使用されるアゴニストが式VI[ここでAはHであり;Bは任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはC3又はC4アルキルであり;Dは1重結合又はcis2重結合であり;RはC(=O)Z{ここでZは、水素、ヒドロキシル、アルコキシ、例えば−O−アルキル好ましくは−O−C1〜C4アルキル(すなわち、メチル、エチル、プロピル又はブチルエステルを含むC1〜C4エステルを与える)から選択される}であるか;又はRは任意に置換されたヘテロアリール、好ましくは少なくとも1つのN原子を含む(テトラゾリルを含む)であり;Uは(CH2)p(ここでpは0である)であり;Qは−CH2−W(ここでWは任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクリルアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)である]の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択される方法である。
【0092】
本発明の好適な実施態様において排卵誘発又はART用に排卵を開始させる方法は、式VI[ここでAはHであり;Bは任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、好ましくはアリールオキシ、最も好ましくはフェニルオキシ、任意に置換された−CH2−アリール、及び任意に置換された−CH2−ヘテロアリールから選択され;Dは1重結合であり;RはC(=O)Z{ここでZは、水素、ヒドロキシル、アルコキシ、例えば−O−アルキル好ましくは−O−C1〜C4アルキル(すなわち、メチル、エチル、プロピル又はブチルエステルを含むC1〜C4エステルを与える)から選択される}であるか;又はRは任意に置換されたヘテロアリール、好ましくは少なくとも1つのN原子を含む(テトラゾリルを含む);Uは(CH2)p(ここでpは0である)であり;Qは−CH2−W(ここでWは任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、任意に置換されたC3〜C6ヘテロシクリルアルキル、任意に置換されたアリール及び任意に置換されたヘテロアリール、アリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択される)である]の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択されるDP1アゴニストを使用する方法である。
【0093】
本発明の別の好適な実施態様において排卵誘発又はART用に排卵を開始させる該方法は、DP1アゴニストが式VI[ここでAはHであり;Bは任意に置換されたアリール、好ましくはフェニルであり;Dは1重結合であり;RはC(=O)Z{ここでZは、ヒドロキシルである}であり;Uは(CH2)p(ここでpは0である)であり;Qは−CR45−W(ここでR4とR5は独立にH、及び任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはH又はメチルから選択されるか;又はR4とR5は、これらが結合している炭素とともに任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC3又はC4シクロアルキルを形成することができる;Wは任意に置換されたC1〜C6アルキル、好ましくはメチル、プロピル、ブチル、ペンチル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、好ましくはメチルシクロプロピル、エチルシクロプロピル、任意に置換されたC3〜C6シクロアルキル、好ましくはシクロプロピル、シクロペンチル、任意に置換されたアリール、好ましくは任意に置換されたフェニルから選択される)である]の化合物;及びその医薬として許容される塩の中から選択される方法である。
【0094】
排卵誘発又はART用に排卵を開始させる本発明の特に好適なDP1アゴニストは、以下の化合物及びこれらの化合物の医薬として許容される塩を含む:
【化30】

【0095】
用途「C1〜C6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する1価の分岐又は非分岐のアルキル基を意味する。この用語に包含されるアルキル基の例には、特に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルなどがある。同様に、用語「C1〜C4アルキル」は、1〜4個の炭素原子を有する1価の分岐又は非分岐のアルキル基を意味する。この用語に包含されるアルキル基の例には、特に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどがある。
【0096】
用語「C1〜C6ヘテロアルキル」は、上記定義のC1〜C6アルキル基であって、少なくとも1つの炭素原子が、O、S、NR(Rは水素又はメチルと定義される)からなる群から選択されるヘテロ原子により置換されるものである。好適なC1〜C6ヘテロアルキルには、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシブチルなどがある。
【0097】
用語「C2〜C6アルケニル」は、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つ又は2つのアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を意味する。好適なアルケニル基には、エテニル(−CH=CH2)、n−2−プロペニル(アリル、−CH2CH=CH2)などがある。
【0098】
用語「C2〜C6アルキニル」は、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つ又は2つのアルキニル不飽和部位を有するアルキニル基を意味し、好適なアルキニル基には、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CH2C≡CH)などがある。
【0099】
用語「C2〜C6ヘテロアルケニル」及び「C2〜C6ヘテロアルキニル」は、それぞれC2〜C6アルケニル及びC2〜C6アルキニルであって、少なくとも1つの炭素原子が、O、S、NR(Rは水素又はメチルと定義される)からなる群から選択されるヘテロ原子により置換されるものである。C2〜C6ヘテロアルケニルの例には、メトキシプロペニル、メトキシブテニルがある。C2〜C6ヘテロアルキニルの例には、メトキシプロピニル、メトキシブチニルなどがある。
【0100】
用語「C3〜C6シクロアルキル」は、3〜6個の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどがある。不飽和環(例えばシクロヘキセニル)もまた使用される。
【0101】
用語「C3〜C8ヘテロシクリルアルキル」は上記定義の炭素原子C3〜C8シクロアルキル基であって、ここで最大3個の炭素原子が、O、S、NR(Rは水素又はメチルと定義される)からなる群から選択されるヘテロ原子により置換されるものである。
【0102】
好適なヘテロシクリルアルキルは、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、1−メチルピペラジン、モルホリンなどを含む。
【0103】
用語「C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル」は、3〜6個の炭素原子を有する飽和炭素環を置換基として有する上記で定義したC1〜C6アルキル基を意味する。例としては、エチルシクロブチル、シクロプロピルメチルシクロブチルなどがある。
【0104】
用語「アリール」は、1つの環(例えばフェニル)又は複数の縮合環(例えばナフチル)を有する6〜14個の炭素原子の芳香族炭素環基を意味する。例には、フェニル、ナフチル、フェナントレニルなどがある。
【0105】
用語「アリールC1〜C6アルキル」は、アリール置換基(ベンジル、フェネチルなどを含む)を有するC1〜C6アルキル基を意味する。
【0106】
用語「プロドラッグ」は、投与後にインビボでいくつかの化学的又は生理学的プロセスを介して薬物を放出する薬物前駆体である化合物を意味する。
【0107】
用語「DP1アゴニスト」は、プロスタグランジンDP1サブタイプ受容体に結合する、化合物(その異性体、プロドラッグ、及び医薬として許容される塩を含む)を意味する。当該性質は、当業者により容易に測定される(例えば、Boie,Yら、Eur.J.Pharmacol.1997,340,227−241、又はAbramovitz M.ら、Biochim.at Biophys.Acta 2000,1483,285−293を参照)。本明細書において種々の当該化合物が記載され参照される。しかし他のプロスタグランジンDP1アゴニストは当業者に公知である。DP1アゴニストの例は以下のように開示される。
【0108】
用語「DP1受容体への選択的結合」は、他のプロスタグランジン受容体、特にDP2、EP1及び/又はEP3、場合によりEP2と比較して選択的な化合物を意味する。この関連で選択性は、本発明の化合物のDP1受容体に対する親和性が、他のプロスタグランジン受容体に対する親和性より少なくとも2倍より大きいこと、さらに好ましくは親和性が少なくとも5倍より大きいこと、さらに好ましくは親和性が少なくとも10倍より大きいこと、及び特に他のプロスタグランジン受容体(EP1又はEP3)に対する親和性の100倍又は1000倍より大きいこと、特にDP2受容体に対する親和性より10倍以上大きいことを意味する。
【0109】
用語「不妊症状」はまた、雌の哺乳動物、特に女性患者の症状、特に不妊症を意味する。この症状は、排卵開始が必要な症状を含む。当該症状の女性患者の例は、排卵誘発又は生殖補助医療(ART)を受けている女性である。
【0110】
用語「排卵誘発」(OI)は、体内受精(in vivo fertilization)のために女性患者の卵管への卵母細胞の放出を刺激することを意味する。OIは、無排卵患者[例えば、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)に罹患している患者を含む、WHO I群患者(低ゴナドトロピン性性機能低下症)とWHO II群患者(性腺機能停止又は低下による下垂体機能不全]で使用される。多胎妊娠が引き起こすリスクを避けるために、単一の卵母細胞の放出を刺激することが好ましい。典型的な排卵誘発法では、患者はFSH、FSHの類似体、又は内因性FSH産生を刺激する分子を投与されて、平均直径が約17mm又はそれ以上である少なくとも1つの卵母細胞が観察(超音波により)されるまで数日間卵胞増殖を刺激する。この段階で排卵開始剤(hCG)が投与されて、卵胞の破裂と卵管への卵母細胞の放出(「排卵開始」)を刺激する。本発明の分子は、OI処方のhCGの排卵開示用量を置換又は補足することができる。本発明の化合物とOI処方で従来から使用される1つ又はそれ以上の化合物との組合せを使用する併用療法が特に意図される。
【0111】
用語「生殖補助医療」には、例えば体外受精(IVF)、及び細胞質内精子注入(ICSI)がある。破裂直前の成熟卵胞から卵母細胞が採取され、等級付けされた後、精子と一緒にしてインビトロで受精される。得られる胚は品質の等級付けがなされ、通常2〜3個が子宮内に移植される(残りの胚は将来の使用のために低温保存される)。
【0112】
妊娠の成立させるためには多くの因子が関与するため、多くの患者は成功するまで複数回卵母細胞を子宮に入れられる。このためOI処方と比較してARTでは、妊娠の成功確率を最大にするために複数の卵母細胞を採取することが好ましい。卵胞増殖を誘導することができる外因性物質(例えばFSH)の投与による複数の排卵前卵胞の制御された成長は、卵巣過剰刺激の調節(COH)と呼ばれる。平均直径が16mmより大きい卵胞が少なくとも3つある時、排卵が開始される(hCG大量投与)。卵母細胞は通常、排卵前卵胞から吸引により回収される。本発明の分子は、ART処方のhCGの排卵開始用量を置換又は補足することができる。
【0113】
本発明は以下の実施例により説明されるが、これらは決して本発明を限定するものではない。
【0114】
略語
例において以下の略語が使用される:min(分)、hr(時間)、i.p.(腹腔内)、i.v.(静脈内)、mg(ミリグラム)、mmol(ミリモル)、mM(ミリモル)、nM(ナノモル)、eq(当量)、mL(ミリリットル)、μl(マイクロリットル)、ACN(アセトニトリル)、BP(平均動脈圧)、BSA(ウシ血清アルブミン)、cAMP(環状アデノシンモノホスフェート)、DCM(ジクロロメタン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、EtOAc(酢酸エチル)、FBS(胎児牛血清)、GP(モルモット)、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)、HR(心拍)、IT(くも膜下)、LPS(リポ多糖)、MES(2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸)、MgSO4(硫酸マグネシウム)、NP3S(N−メチル−ピロリジノン)、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)、PEG(ポリエチレングリコール)、PGE1(プロスタグランジンE1)、PGE2(プロスタグランジンE2)、PMSG(妊馬血清ゴナドトロピン)、p.o.(per os、経口投与)、PVT(ポリビニルトルエン)、PSS(生理的塩溶液)、RT(室温)、SPA(シンチレーション近接アッセイ)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、TNF(腫瘍壊死因子)。
【0115】
本発明の化合物の合成:
本発明の化合物は、以下の一般的方法と操作を使用して容易に入手可能な出発物質から調製することができる。
【0116】
適当な合成法は以下のスキーム1に例示される。以下のスキームに記載の化合物は例示目的のみであり、後述のように同様の方法で種々の他の化合物を使用できることを理解されたい。さらに本明細書に記載の単離可能な各中間体は、それら自体が有用な出発物質及び/又は処置用化合物として特記される。
【0117】
4及び5つの環位置に水素ではない置換基を有する出発物質を使用して、当該置換基を有する化合物を提供することができる。典型的な又は好適な実験条件(すなわち反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が与えられる場合、特に明記しない場合は他の実験条件も使用できることを理解されたい。最適温度条件は、使用される具体的な反応物又は溶媒により変化する。当該条件は、日常的最適化法を使用して当業者が決定することができる。
【0118】
DP1選択性アゴニストとして作用するガンマ−ラクタム誘導体の一般的な合成は、スキーム1〜3に記載される。ベンジルプロリネート誘導体6の調製は、スキーム1に報告されるように行われた。臭化ビニルマグネシウムと適当なワインレブ (Weinreb)アミド2 との反応は、高収率で所望のエノン誘導体3を与え、これを使用してミハエル(Michael)反応によりH−D−Glu(OBn)−OBnをアルキル化した。適切な溶媒中で数時間還流して分子内環化によりアミドを形成して閉環生成物5を得た。ピロリジン−2−オン誘導体は、非天然アミノ酸(D)−Glu誘導体から受け継いだ所望の立体構造を有した。
スキーム1
【化31】

【0119】
ケトン5は、MeOH/H2O中のNaBH4とCeCl3を使用してルッチェ(Luche)の条件を介して非特異的に還元することができる。得られるジアステレオ異性体はカラムクロマトグラフィーにより単離することができる。ケトン中間体のキラル還元は、キラル試薬2−メチル−CBS−オキサザボロリジンとBH3・THF錯体を使用して室温で得られる(スキーム2)。2−メチル−CBS−オキサザボロリジンはキラル試薬であり、他のキラル剤も使用できることを理解されたい。
スキーム2
【化32】

【0120】
次に最終化合物の合成はスキーム3に記載のように行われる。アルコール成分をTBSのような適当な保護基により保護し、次にエステル基を還元して、高収率でピロリジン−2−オン誘導体8を得た。1級アルコールのスワーン(Swern)酸化によりアルデヒド中間体9を得た。所望のホスホネートを使用するウィッティグ(Wittig)反応と次の酸中間体のエステル化により中間体10を得た。酸性条件下での2重結合の接触水素化によりアルコール中間体11を得た。エステル基をケン化して、ほとんど定量的収率で所望のピロリジン−2−オン誘導体を得た。
スキーム3
【化33】

【0121】
本発明の化合物のさらなる好適な合成は、後述の実施例で詳細に説明される。
【0122】
上記したように本発明は、プロスタグランジン介在又は関連疾患又は障害を処置又は予防するための方法を含む。
【0123】
本発明の好適な処置法は、好ましくないプロスタノイド誘導平滑筋収縮を含む、好ましくない平滑筋収縮を阻害することを含む。本発明の方法は、月経困難症、早期産、喘息及び血管拡張により緩和される他の症状、炎症、高血圧、好ましくない血液凝固(例えば血栓を減少又は予防するため)、及び他の好ましくない血小板活性、子癇前症及び/又は子癇、及び好酸球障害(好酸球障害)に罹患しているか又は罹患しやすい患者を処置する方法を含む。
【0124】
好ましくない血液凝固の処置及び/又は予防は、静脈血栓及び胚塞栓症、動脈血栓、例えば心筋虚血、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓による卒中、及び末梢動脈血栓症の処置と予防がある。本発明の化合物はまた、人工臓器、心臓弁、医療行為(例えば、体内留置装置、例えばカテーテル、ステントなど)などを含む抗凝固に有用である。
【0125】
本発明はまた、一般に不妊症に罹患しているか又は罹患していることが疑われる哺乳動物、特にヒトのような霊長類への本発明の1つ又はそれ以上のピロリジン化合物の投与を含む、不妊症の処置法を含む。ヒトの場合、1年以内の避妊しない性交で妊娠しない不妊症に罹患しているか又は罹患していることが疑われる患者の同定については、メルクマニュアル(Merck Manual)、第2巻、12〜17頁(第16版)を参照されたい。
【0126】
本発明の処置法は、排卵障害に罹患している雌の哺乳動物に特に有益である。さらに本発明の化合物は、卵胞成長を刺激するために生殖補助医療(例えば体外受精)を受けている女性に投与することができる。特に本発明の処置法は、例えばIVFの場での哺乳動物の卵の生存及び/又は受精能を上昇させるための体外受精技術と組合せて使用される。
【0127】
本発明の処置法はまた、妊娠後期の子宮頚管成熟の制御に使用される(例えば、ヒトでは妊娠後期は、第3トリメスター特に30週以降であろう)。
【0128】
本発明の処置法はまた、眼内圧上昇が関与する緑内障又は他の障害の処置を含む。
【0129】
本発明の処置法はまた、骨粗鬆症を処置するために、及び骨形成(例えば骨折の処置法として使用するために)を促進するために、及びページェット病のような他の骨疾患の抑制又は予防を含む。本発明はまた、例えば低骨量を示す症状(例えば骨粗鬆症)を有する哺乳動物のような低骨量を有するか、又は低骨量に罹患しやすい哺乳動物を処置するための方法を含む。
【0130】
本発明はまた、他の骨量増大又は増強、例えば骨移植成功率を上昇させるために、又は顔面再構成及び他の処置法後の当該移植片の必要な置換、骨伸長、骨治癒を促進する処置法を含む。当該処置法はまた、適切な医療器具(例えば、整形外科器具、例えば脊髄ケース、骨ピンとネジ、及び他の骨固定器具)とともに使用される。
【0131】
一般に当該処置法は、低骨量を示す任意の症状に有用であり、これらの症状には、骨量レベルが世界保健機構の「Assessment of Fracture Risk and its Application to Screening for Postmenopausal Osteoporosis(1994),World Health Organization Technical Series 843」による基準に定義された年齢特異的正常値より低いものを含む。さらに詳しくは当該症状には、歯周病、歯槽骨量減少、卵巣摘出後及び児童突発性骨量減少、上記の一次及び二次骨粗鬆症、及びこれらの合併症(例えば脊柱弯曲、伸長低下、及び人工器官術)がある。
【0132】
当該骨増殖促進療法に特に適した被験体には、骨傷害を含む急性損傷を患う被験体、顔面再構成のような関連手術を受けた被験体、及び閉経後女性や50又は60才以上の男女のような上記疾患と障害のリスクが高い被験体がある。
【0133】
本発明の化合物はまた、性機能不全(男性性機能不全、例えば勃起不全を含む)を処置するのに有用であろう。
【0134】
本発明の化合物はまた、腎機能不全に罹患しているか又は罹患しやすい被験体(急性又は慢性腎不全に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物を含む)の処置に有用である。当該処置法は、哺乳動物(特にヒト)の腎臓組織の修復及び/又は再生を促進することができる。
【0135】
本発明の化合物はまた、免疫不全疾患又は障害(ウイルス感染、特にHIV感染のようなレトロウイルス感染が引き起こす障害)を含む免疫障害に罹患しているか又は罹患しやすい被験体の処置にも有用である。
【0136】
本発明の化合物はさらに、あらかじめ収縮している単離された毛様体筋の緩和により被験体の眼内圧上昇を低下させるのに有用であろう。特に緑内障又は眼内圧上昇が引き起こす他の障害に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物(例えばヒト)は、本発明の化合物により処置される。本発明の化合物はまた、ドライアイに罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物(例えばヒト)の処置に有用であろう。
【0137】
本発明の化合物はさらに、炎症性疾患又は障害(血管炎症、炎症性疼痛、及び痛覚過敏を含む)に罹患しているか又は罹患しやすい被験体の処置に有用であろう。
【0138】
本発明の化合物はまた、例えば65才又はそれ以上のヒトのような高齢が引き起こす睡眠障害に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物(例えばヒト)を処置するために、被験体の睡眠を促進するのに有用であろう。
【0139】
本発明の処置法は一般に、処置の必要な哺乳動物(例えば霊長類、特にヒト)を含む被験体に1つ又はそれ以上の本発明の化合物の有効量を投与することを含む。
【0140】
本発明の方法の処置法の典型的な候補は、上記疾患又は障害のいずれかに罹患しているか又は罹患しやすいヒト、例えば早期産に罹患しやすいか又は罹患している女性、又は月経困難症もしくは好ましくない骨量減少に罹患しているか又は罹患しやすい被験体である。
【0141】
本発明の処置法はまた、ヒト以外の哺乳動物の処置、ウマや家畜(ウシ、ヒツジ、乳牛、ヤギ、ブタなど)及びペット(例えばイヌやネコ)を処置するような獣医学的応用に有用であろう。早期産を処置するための本発明の方法はまた、当該獣医学的応用において特に有用であろう。本発明の処置法はまた、このような獣医学応用において不妊症の処置に有用であろう。
【0142】
診断又は研究応用では、げっ歯動物(例えばマウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類、及びブタ(例えば近交系のブタ)などを含む広範囲の哺乳動物に適しているであろう。さらにインビトロ応用、例えばインビトロ診断応用及び研究応用では、上記被験体の体液(例えば血液、血漿、血清、細胞間質液、唾液、便、及び尿)及び細胞や組織試料が使用に適しているであろう。
【0143】
本発明の化合物(1,2−置換5−ピロリジノン化合物及びDP1アゴニスト)は、他の処置薬との「カクテル」製剤として、すなわち本発明の1つ又はそれ以上の化合物と1つ又はそれ以上の他の活性処置薬、特に1つ又はそれ以上の他の公知の不妊症処置薬との同時、連続、又は別々の使用のために共同投与される。例えば1つ又はそれ以上の本発明の化合物は、処置される適応症により疼痛寛解剤、抗炎症剤、抗凝固剤とともに、同時、連続、又は別々の使用で共同投与される。
【0144】
当該共同薬剤療法の適当な抗凝固剤には、ワーファリン、ヘパリン、ヒルジンもしくはヒルログ、又は抗血小板剤(例えばレオプロ(ReoPro))がある。
【0145】
不妊障害の処置のために本発明の1つ又はそれ以上の化合物は、卵胞刺激ホルモン及び/又は黄体形成ホルモンなどの公知の不妊症処置薬(例えばゴナルエフ(Gonal−F)、メトロジンHP(MetrodinHP)、又はパーゴナル(Pergonal))とともに、同時、連続、又は別々の使用で共同投与される。
【0146】
1,2−置換5−ピロリジノン化合物及びDP1アゴニストを含む本発明の化合物は、唯一の活性成分として投与されるか、又は1つ又はそれ以上の他の処置薬と共同投与され、種々の経路、例えば経口又は注射(筋肉内、腹腔内、皮下、又は静脈内注射)により、又は局所的(経皮的、経膣的)投与などにより投与することができる。本発明のピロリジン化合物は、プロトン化型及び水溶性型、例えば有機もしくは無機酸(塩酸塩、硫酸塩、ヘミ硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩など)の医薬として許容される塩として、被験体に適切に投与される。化合物が酸性基(例えばカルボキシ基)を有する場合、塩基付加塩が調製される。さらなる適切な塩のリストは、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、2000、Mack Publishing Company(イーストン、ペンシルベニア州)の第5部に記載されている。
【0147】
本発明の化合物は、単独で又は上記の1つ又はそれ以上の他の処置薬と組合せて、通常の賦形剤(すなわち活性化合物と有害に反応せず受容者にも有害ではない経口、非経口、腸内もしくは局所投与に適した医薬として許容される有機もしくは無機担体物質)との混合物で医薬組成物として使用することができる。適当な医薬として許容される担体には、特に限定されないが、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドとジグリセリド、石油エーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどがある。医薬調製物は滅菌することができ、所望であれば補助物質、例えば活性化合物と有害な反応をしない滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、着色剤、香味剤、及び/又は芳香物質などと混合することができる。
【0148】
本発明の医薬組成物は好ましくは、例えば早期産、月経困難症、喘息、もしくは本明細書に開示の他の障害、例えばプロスタグランジンに関連するかもしくは介在する疾患又は障害を処置するための化合物の処置的使用の説明(書)とともに包装された1,2−置換5−ピロリジノン化合物とDP1アゴニストを含む本発明の化合物を含む。
【0149】
経口投与のために、置換ピロリジン化合物とDP1アゴニストとを含む本発明の1つ又はそれ以上の化合物を含有する医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ剤(troches)、トローチ剤(lozenges)、水性もしくは油性懸濁剤、散剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬カプセルもしくは軟カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤などとして調製される。典型的に適切なものは、錠剤、糖衣錠、又はカプセル剤(タルク及び/又は炭水化物担体結合剤などを有する)であり、担体は好ましくは乳糖及び/又はコーンスターチ及び/又はバレイショデンプンである。シロップ剤、エリキシル剤などでは甘味ビヒクルが使用される。示差的に分解されるコーティング、例えばマイクロカプセル化、複コーティングなどで活性成分が保護されたものを含む持続放出組成物を調製することができる。
【0150】
非経口投与(例えば皮下、腹腔内、又は筋肉内投与)のために、特に適したものは、液剤、好ましくは油性もしくは水性液剤、ならびに懸濁剤、乳剤、又は埋没物(坐剤を含む)である。アンプル剤は便利な単位用量型である。
【0151】
ある処置法で使用される活性化合物の実際の好適な量は、使用される具体的な化合物、製剤化される具体的な組成物、投与形式、具体的な投与部位などに従って変化することは理解されるであろう。ある投与計画の最適な投与速度は、前記指針について行われる通常の用量決定試験を使用して当業者が容易に決定することができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences(前述)を参照。一般に本発明の1つ又はそれ以上の1,2−置換5−ピロリジノン化合物の適当な有効量は、特に本発明のより強力な化合物を使用する場合、1日当たり受容者の体重1kg当たり0.01〜100ミリグラムの範囲、好ましくは1日当たり受容者の体重1kg当たり0.01〜20ミリグラムの範囲、さらに好ましくは1日当たり受容者の体重1kg当たり0.05〜4ミリグラムの範囲である。所望の用量は、1日1回、又は数回に分けて、例えば2〜4回の分割用量で、1日のうち適切な間隔で又は適切なスケジュールで投与される。当該分割用量は、単位用量剤型(例えば、単位用量について0.05〜10ミリグラムの本発明の化合物)として投与される。
【0152】
本明細書で引用されるすべての文書の全文は、参照することにより本明細書に組み込まれる。以下の非限定例は本発明を例示する。以下の例において「rac.」は、具体的な化合物のラセミ体又はラセミ化合物を意味する。
【実施例】
【0153】
以下の例は、本発明の好適な実施態様を示すために含まれる。以下の例で開示される技術は、本発明の実施においてうまく機能することが本発明者により発見された技術であり、従ってその実施の好適な形式を構成すると考えられることは当業者に明らかであろう。しかし、本開示を考慮すると、開示された具体例に、本発明の精神と範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0154】
特に明記しない場合はすべての試薬は、市販品(アクロス(Acros)又はアルドリッチ(Aldrich))を入手したままさらに精製することなく使用した。無水溶媒はアクロス(Acros)からアクロシール(AcroSeal)ビンで購入した。カラムクロマトグラフィー用にシリカゲル230〜400メッシュ(グレード60Å)を使用した。TLC分析用にフィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific)の薄層クロマトグラフィー用シリカゲル60F254プレコートプレート(層厚さ250μm、2.5×7.5cm)を使用した。質量スペクトルはサーモクエスト(ThermoQuest)からのフィニガン(Finnigan)LCQDuoLC/MSD分光光度計を用いて得た。NMRスペクトルは、ジェルエクリプス(Jeol Eclipse)400分光光度計(400MHz)を用いて得た。化学シフトはTMSに対して示される。必要な場合はC−H相関とCOSYスペクトルからNMRシグナルの割り当てを行った。
【0155】
実施例1. 4−(3−(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソテトラヒドロ−1H−2−ピロリルプロピル)安息香酸の合成
【化34】

【0156】
中間体1.1:臭化4−カルボキシフェネチル(トリフェニル)ホスホニウム
p−ブロモエチル安息香酸(15mmol,3.45g)とトリフェニルホスフィン(16.5mmol,4.32g)を100mlのm−キシレン中で9時間還流した(油浴温度150℃)。次に混合物を冷却し、生成した固体をろ過し、m−キシレン(2×20ml)、ヘキサン(2×20ml)で洗浄し、風乾して6.05g(82%)のベージュ色の結晶を得た。MeOH−CHCl3−ヘキサン(約1:3:5)から再結晶化して2.8g(38%)の臭化4−カルボキシフェネチル(トリフェニル)ホスホニウムの純粋なオフホワイト結晶を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74 (d, 2H, 8.4Hz, H2, H6 Ar), 7.68 (m, 3H, Ph3P), 7.55 (m, 12H, Ph3P), 7.09 (d, 2H, 8.4Hz, H3, H5 Ar), 3.48 (m, 2H, CH2-P), 2.86 (m, 2H, CH2-Ar)。
【0157】
中間体1.2:N−メチル−N−メトキシ−シクロヘキサンカルボキサミド
乾燥した窒素でフラッシュした丸底フラスコで、塩酸N,O−ジメチルヒドロキシルアミン(0.1mol,13.3ml)を200mlの無水ジクロロメタンに懸濁した。得られた混合物に、水で冷却しながら約5分間トリエチルアミン(0.22mol,30ml)を滴下して加えた(塩が形成されたため攪拌は困難になった)。得られた混合物に、窒素下で攪拌し氷水で冷却しながら、塩化シクロヘキサンカルボニルを約15分で滴下して加えた。混合物を一晩攪拌し、水(50ml)で洗浄し、飽和NH4Cl(50ml)水、次に食塩水(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して17.8gの粗生成物を得た。150gのシリカゲル(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル、100:0〜50:50)で精製して13.6g(80%)のN−メチル−N−メトキシ−シクロヘキサンカルボキサミドを清澄な油状物として得た[Rf 0.44(ヘキサン−EtOAc 1:1)]。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.67 (s, 3H, OCH3), 3.15 (s, 3H, NCH3), 2.65 (m, 1H, CH-CO), 1.8-1.6 (m, 5H, シクロヘキシル), 1.5-1.4 (qm, 2H, シクロヘキシル), 1.3-1.2 (m, 3H, シクロヘキシル)。
【0158】
中間体1.3:1−シクロヘキシルプロプ−2−エン−1−オン
−10〜0℃(氷−NaCl浴)の150mlの無水THF中のN−メチル−N−メトキシ−シクロヘキサンカルボキサミド(0.05mol,8.5g)の攪拌溶液に、臭化ビニルマグネシウムの溶液(THF中1M、0.1mol,100ml)を滴下して加えた。得られた混合物を0℃で1時間攪拌し(白色の固体が生成)、次に室温で4時間攪拌した(固体は溶解した)。得られた溶液を、0.5Lの飽和NH4Cl水を含有する磁気スターラーと温度計を取り付けた充分に冷却した三角フラスコに、温度が0℃〜+10℃に維持される速度で激しく攪拌しながら、カニューレでゆっくり加えた。より高温では生成物のオリゴマー化が起きる。相を分離し、水相をEtOAc(3×100ml)で抽出し、一緒にした有機抽出物を飽和NH4Cl水でpH<7になるまで洗浄し(5×50ml、すべてのN,O−ジメチルヒドロキシルアミン生成物を注意深く除去する)、次に食塩水(100ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、>80mbarの真空下で濃縮した(揮発性生成物が蒸発しないように注意する)。純粋なビニルシクロヘキシルケトンを含有する黄色の油状物の収率11.8g。さらに精製することなく0.05molとして次の反応で使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.41 (dd, 1H, 17.5Hz, 10.3Hz, Z-H-CH=C), 6.25 (dd, 1H, 17.5Hz, 1.4Hz, E-H-CH=C), 5.74 (dd, 1H, 10.3Hz, 1.4Hz, CO-CH=C), 2.60 (m, 1H, シクロヘキシル CH- CO), 1.9-1.7 (m, 3H, シクロヘキシル), 1.7-1.5 (m, 2H, シクロヘキシル), 1.4-1.2 (m, 5H, シクロヘキシル)。
【0159】
中間体1.4:ベンジル1−(3−シクロヘキシル−3−オキソプロピル)−5−オキソ−D−プロリネート
炎で乾燥させた窒素でフラッシュした磁気スターラーを取り付けた1リットルの丸底フラスコに、無水1−プロパノール(0.5リットル)中のグルタミン酸D−ジベンジル塩酸塩(H−D−Glu(OBn)−OBn)(0.04mol,14.6g)を溶解した。氷浴で冷却した得られた溶液に、トリエチルアミン(0.15mol,21ml)を窒素下で攪拌して加えた。混合物を10分攪拌し、次に新たに調製したビニルシクロヘキシルケトン(0.05mol)を加えた。反応混合物を窒素下で0〜5℃で反応が完了するまで3時間攪拌した(濃縮アリコートのLC−MSとNMRにより制御)。
【0160】
反応が完了したら、冷却を止め、還流冷却器をフラスコに取り付けて、混合物を油浴で一晩還流した。黄色の溶液を濃縮し、クロロホルム−ヘキサン(1:1 v/v,100ml)の混合物で希釈し、Et3NHClの白色の針状物からろ過した。ろ液を再度濃縮して、26.1gの淡黄色の油状物を得た。200gのシリカゲル(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル、100:0〜0:100)で精製して8.85g(62%)の純粋なベンジル1−(3−シクロヘキシル−3−オキソプロピル)−5−オキソ−D−プロリネートを清澄な油として得た[Rf 0.30(ヘキサン−EtOAc 1:4)]。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36 (m, 5H, Ph), 5.19 (d, 1H, 12.0Hz, CH2Ph), 5.15 (d, 1H, 12.0Hz, OCH2Ph), 4.33 (m, 1H, CH-COOBn), 4.11 (m, 1H, シクロヘキシル CH-CO), 3.62 (m, 1H, CH2-N), 3.37 (m, 1H, CH2-N), 2.89 (m, 1H, 鎖 CH2-CO), 2.66 (m, 1H, 鎖 CH2-CO), 2.43 (m, 1H, ラクタム環 CH2-CO), 2.30 (m, 1H, ラクタム環 CH2-CO), 2.27 (m, 1H, ラクタム環 H3) 2.02 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.85-1.55 (m, 5H, シクロヘキシル), 1.30-1.15 (m, 5H, シクロヘキシル)。13C NMR (100 MHz, CDC13) δ 211.9 (CO-C6H11), 175.0 (-CO-N), 171.7 (COOBn), 135.0 (ipso-C Ph), 128.5, 128.2 (o-C, m-C Ph), 128.4 (p-C Ph), 67.5 (OCH2-Ph), 61.7 (CH-COOBn), 51.2 (シクロヘキシル CH-CO), 39.2 (鎖 CH2CO), 38.2 (CH2-N), 30.1 (ラクタム環 CH2-CO), 29.0, 26.5, 26.3 (シクロヘキシル), 24.1 (ラクタム環 C3)。
【0161】
中間体1.5と1.6:ベンジル1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソ−D−プロリネートとベンジル1−[(3S)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソ−D−プロリネート
100mlのMeOHと20mlのH2O中の0℃のベンジル1−(3−シクロヘキシル−3−オキソプロピル)−5−オキソ−D−プロリネート(24.5mmol,8.80g)の攪拌溶液に、塩化セリウム(III)6水和物(25mmol,9.32g)を加えた。得られた溶液に水素化ホウ素ナトリウム(25mmol,0.95g)の一部を素早く加え、混合物を0℃で攪拌した。15分後、数mlのアセトンを加えて反応を停止させ、真空下で濃縮して、2つのジアステレオ異性体の混合物を含有する8.98gの粗油状物を得た。混合物を300gのシリカゲル(溶出液 ヘキサン−EtOAc 100:0〜0:100)で分離して以下を得た:
【0162】
中間体1.5(1.87g,21%)、清澄な油状物、Rf=0.32(EtOAc)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.35 (m, 5H, Ph), 5.20 (d, 1H, 12.0Hz, CH2Ph), 5.18 (d, 1H, 12.0Hz, OCH2Ph), 4.20 (m, 1H, CH-COOBn), 3.94 (m, 1H, CH2-N), 3.13 (m, 1H, CH-OH), 2.93 (m, 1H, CH2-N), 2.51 (m, 1H, ラクタム環 CH2-CO), 2.40 (m, 1H, ラクタム環 CH2-CO), 2.33 (m, 1H, ラクタム環 H3) 2.09 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.85 (m, 1H, シクロヘキシル) 1.76-1.55 (m, 4H, シクロヘキシル), 1.58 (m, 1H, CH2-CHOH), 1.44 (m, 1H, CH2-CHOH), 1.29 (m, 1H, シクロヘキシル CH-CO), 1.30-0.9 (m, 5H, シクロヘキシル)。 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.9 (-CO-N), 171.1 (COOBn), 134.8 (ipso-C Ph), 128.6, 128.2 (o-C, m-C, p-C Ph), 72.1 (CH-OH), 67.7 (OCH2-Ph), 60.1 (CH-COOBn), 44.0 (シクロヘキシル CH-CHOH), 39.2 (CH2-N), 32.0 (CH2CHOH), 30.0 (ラクタム環 CH2-CO), 29.8, 29.2, 27.2, 27.0, 26.9 (シクロヘキシル), 23.7 (ラクタム環 C3)。
【0163】
中間体1.6(2.13g,24%)は清澄な油状物として得られた、Rf=0.25(EtOAc);1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33 (m, 5H, Ph), 5.18 (d, 1H, 12.0Hz, CH2Ph), 5.11 (d, 1H, 12.0Hz, OCH2Ph), 4.16 (m, 1H, CH-COOBn), 3.58 (m, 1H, CH2-N), 2.29 (m, 1H, CH2-N), 3.23 (m, 1H, CH-OH), 2.54 (m, 1H, ラクタム環 CH2- CO), 2.34 (m, 1H, ラクタム環 CH2-CO), 2.29 (m, 1H, ラクタム環 H3) 2.04 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.8 (br.t, 1H, シクロヘキシル) 1.72-1.5 (m, 4H, シクロヘキシル), 1.56 (m, 1H, CH2-CHOH), 1.36 (m, 1H, CH2-CHOH), 1.25 (m, 1H, シクロヘキシル CH-CO), 1.25-0.9 (m, 5H, シクロヘキシル)。13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 176.2 (-CO-N), 171.6 (COOBn), 134.8 (ipso-C Ph), 128.6, 128.2 (o-C, m-C, p-C Ph), 72.4 (CH-OH), 67.7 (OCH2-Ph), 60.1 (CH-COOBn), 44.0 (シクロヘキシル CH-CHOH), 41.1 (CH2-N), 32.7 (CH2CHOH), 30.2 (ラクタム環 CH2-CO), 29.7, 29.0, 27.2, 27.0, 26.9 (シクロヘキシル), 24.2 (ラクタム環 C3)。
【0164】
中間体1.7:ベンジル1−[(3R)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)−5−オキソ−D−プロリネート
0℃に冷却した20mlの無水DMF中の中間体1.5(5.6mmol,2.00g)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(20mmol,2.8ml)をシリンジで窒素雰囲気下で加え、次にtert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(8.4mmol,1.46ml)を加えた。溶液を一晩攪拌し、真空下で濃縮し、100mlの水で希釈し、EtOAc(3×20ml)で抽出し、抽出物をMgSO4で乾燥し、濃縮して2.65g(100%)の標題化合物を清澄な油状物として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0165】
中間体1.8:(5R)−1−((3R)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)−5−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン
MeOH(200ml)中の中間体1.7(5.6mmol,2.65g)の攪拌溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(7.1mmol,270mg)を3回に分けて8時間かけて加え、反応混合物を一晩攪拌し、次に真空下で濃縮した。200gのシリカゲル(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル、80:20〜0:100)で精製して0.79g(39%、又は反応したエステル上で44%)の標題化合物を白色の蝋状固体として得た。Rf 0.20 (EtOAc);1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.78 (dd, 1H, 11.4Hz, 3.7Hz, CH2OH), 3.70 (br.td, 1H, ~8Hz, ~4Hz, CHCH2OH), 3.65 (m, 1H, CH2-N), 3.62 (dd, 1H, 11.4Hz, 3.3Hz, CH2OH), 3.49 (br.quint, ~4Hz, CH-OTBS), 3.03 (ddd, 1H, 13.6Hz, 11.0Hz, 4.8Hz, CH2-N), 2.46 (ddd, 1H, 17Hz, 10Hz, 7.3Hz, ラクタム環 CH2-CO), 2.31 (ddd, 1H, 17Hz, 10Hz, 5.5Hz, ラクタム環 CH2-CO), 2.08 (m, 1H, ラクタム環 H3) 1.97 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.8-1.6 (m, 5H, シクロヘキシル), 1.66 (m, 1H, CH2-CHOTBS), 1.55 (m, 1H, CH2-CHOTBS), 1.38 (br.tq, 1H, ~12Hz, ~4Hz, シクロヘキシル CH-CHOTBS), 1.2-0.9 (m, 5H, シクロヘキシル)。13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.1 (-CO-N), 75.0 (CH-OTBS), 63.0 (CH2OH), 59.2 (CH-CH2OH), 44.5 (シクロヘキシル CH-CHOTBS), 38.7 (CH2-N), 31.2 (ラクタム環 CH2-CO), 31.0 (CH2-CHOTBS), 29.5, 28.4, 27.4, 27.2, 27.1 (シクロヘキシル), 26.6 (C(CH3)3), 21.9 (ラクタム環 C3), 18.9 (Si-CMe3), -3.5 (Si-CH3)。
【0166】
中間体1.9:(2R)−1−((3R)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)−5−オキソピロリジン−2−カルボアルデヒド
乾燥させ窒素でフラッシュした25mlのフラスコ中で、塩化オキサリル(0.36mmol,31μl)を−78℃の5mlのジクロロメタンに窒素下で加え、次にDMSO(0.45mmol,35μl)を加えた。10分後、2mlの塩化メチレン中の中間体1.8(0.28mmol,103mg)を隔壁を介して加え、2〜3mlの塩化メチレンで移動を完了させた。混合物を−78℃で1.2時間攪拌し、次にトリエチルアミン(1.40mmol,194μl)を加え、15分間攪拌した。Rfが0.20(出発アルコールと同じ)の副産物の生成のために、反応のTLC制御は困難であった。氷浴の代わりにCO2−アセトン浴を使用して、攪拌をさらに5分間継続し、10mlの飽和NH4Cl水で反応を停止させた。層を分離し、有機層を食塩水(5ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して120mgの標題化合物を清澄な油状物(Rf 0.39)(EtOAc)として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0167】
中間体1.10:4−{3−[(2R)−1−((3R)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)−5−オキソピロリジン−2−イル]プロプ−2−エニル}安息香酸メチル
10mlのTHF中の中間体1.1(1.12mmol,550mg)の攪拌懸濁液に、カリウムtert−ブトキシド溶液(THF中1M、2.24mmol,2.24ml)を0℃で窒素下で滴下して加えた。15分後、2mlのTHF中の中間体1.9(0.28mmol)の溶液を加え、さらに3mlのTHFにより移動を完了した。反応が完了するまで(TLC制御)、混合物を0℃で4時間攪拌した。次に20mlのEtOAcを加え、反応物を氷浴で冷却し、塩酸(1M、2.24mmol,2.24ml)で酸性にし、15分間攪拌した。この時点で灰色の懸濁液が、白色沈殿物のほとんど無い黄色の溶液になった。有機相をデカントし、EtOAc(10ml)で洗浄し、再度デカントした。有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮した。
【0168】
遊離の酸は酸化トリフェニルホスフィンと他の不純物から分離することが困難であり、分離を容易にするために粗反応混合物をメチルエステルに変換した(後述)。
【0169】
10mlのジクロロメタンと5mlのメタノール中の上記混合物の溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン(ヘキサン中2M、0.42mmol,0.24ml)を加え、室温で一晩攪拌した。反応物を濃縮しシリカゲルで精製して、61mg(3工程で43%)の標題化合物を清澄な油状物として得た。
【0170】
中間体1.11:4−(3−{(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソピロリジン−2−イル}プロピル)安息香酸メチル
7mlのMeOH中の中間体1.10の溶液(0.12mmol,61mg)に、パラジウム担持活性炭(10%Pd,0.019mmol,20mg)と1滴(約0.05ml)の濃塩酸を加えた。H2を満たしたバルーン下で混合物を一晩攪拌した。混合物を触媒からろ過し、濃縮して41mgの清澄な油状物を得た。4gのシリカゲル(溶出液、ヘキサン−EtOAc、90:10〜0:100)で精製して32.4mg(66%)の標題化合物を清澄な油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.95 (d, 2H, 8.0Hz, o-H Ar), 7.22 (d, 2H, 8.0Hz, m-H Ar), 3.88 (s, 3H, COOMe), 3.85 (ddd, 1H, 14.3Hz, 11.7Hz, 5.6Hz, N-CH2), 3.51 (dm, 1H, ~8Hz, ラクタム環 CH-CH2), 3.05 (ddd, 1H, 11. OHz, 5.8Hz, 2.2Hz, CHOH), 2.88 (ddd, 1H, 14.3Hz, 4.8Hz, 3.6Hz, N-CH2), 2.69 (m, 2H, CH2-Ar), 2.36 (m, 2H, ラクタム環 CH2-CO), 2.12 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.85 (br.d, 1H, 12Hz シクロヘキシル), 1.75-1.50 (m, 8H, シクロヘキシル, アルキル), 1.37 (m, 1H, シクロヘキシル CH-CHOH), 1.3-0.9 (m, 8H, シクロヘキシル, アルキル)。13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.6 (CO-N), 166.6 (COOMe), 146.8 (Cl Ar), 129.7, 128.2 (o-C, m-C Ar), 127.9 (p-C Ar), 71.7 (CHOH), 57.2 (ラクタム環 N-CH), 52.5 (OCH3), 43.9 (シクロヘキシル CH-CHOH), 36.8 (CH2-N), 36.3 (CH2Ar), 32.7 (N-CH-CH2), 31.8 (CH2-CHOH), 30.6 (ラクタム環 CH2-CO), 29.9, 29.4, 27.2, 27.0, 26.9 (シクロヘキシル), 26.6 (CH2-CH2-Ar), 24.8 (ラクタム環 C3)。
【0171】
4−(3−(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソテトラヒドロ−1H−2−ピロリルプロピル)安息香酸(実施例1)
2mlのMeOHと1mlのH2O中の中間体1.11の溶液(0.080mmol,32.4mg)に、NaOHの溶液(H2O中10M,0.80mmol,80μl)を加え、溶液を一晩攪拌した。TLCはエステルの完全な消失を示した。反応物を真空下で濃縮し、5mlの水で希釈し、塩酸(H2O中1M,0.80mmol,0.80ml)で酸性にした−白色の油状固体の沈殿が観察された。混合物をEtOAc(3×3ml)で抽出し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮して31mg(100%)の標題化合物を白色の蝋状固体として得た。1mlのMeOH中の生成物の溶液を力価測定し、1mlのH2Oで希釈し、固体が溶解するまでNaOHの1M溶液(90μl)で激しく攪拌して、酸のNa塩を調製した。得られた溶液を2日間凍結乾燥して、33mg(100%)の大きな白色の固体を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.86 (d, 2H, 8.0Hz, o-H Ar), 7.19 (d, 2H, 8.0Hz, m-H Ar), 3.75 (m, 1H, N-CH2), 3.55 (m, 1H, ラクタム環 CH-CH2), 3.12 (m, 2H, CHOH, N-CH2), 2.70 (m, 2H, CH2-Ar), 2.33 (m, 2H, ラクタム環 CH2-CO), 2.12 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.85-1.55 (m, 9H, シクロヘキシル, アルキル), 1.50-0.9 (m, 9H, シクロヘキシル, アルキル)。MS (m/z): 388 (M+H+)。
【0172】
実施例2. 4−(3−(2S)−I−[(3S)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソテトラヒドロ−lH−2−ピロリルプロピル)安息香酸の合成
【化35】

【0173】
中間体2.1:ベンジル1−((3S)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)−5−オキソ−D−プロリネート
中間体1.7の方法に従って中間体1.6(5.9mmol,2.13g)から3S異性体を得て、2.80g(100%)の清澄な油状物を得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0174】
中間体2.2:(5R)−1−((3S)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)−5−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン
中間体1.8の方法に従って中間体2.1(5.9mmol,2.80g)から3S異性体を得て、0.93g(43%、又は反応エステル上で50%)を得た。Rf (EtOAc)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.77 (dd, 1H, 11.0Hz, 3.7Hz, CH2OH), 3.67 (m, 1H, CHCH2OH), 3.64 (dd, 1H, 11.4Hz, 3.7Hz, CH2OH), 3.55 (ddd, 13.6Hz, 11.4Hz, 5.5Hz, 1H, CH2-N), 3.47 (dt, 6.6Hz, 4.8Hz, CH-OTBS), 3.03 (ddd, 1H, 13.6Hz, 11.0Hz, 4.8Hz, CH2-N), 2.46 (ddd, 1H, 17Hz, 9.9Hz, 7.0Hz, ラクタム環 CH2-CO), 2.31 (ddd, 1H, 17Hz, 10Hz, 5.5Hz, ラクタム環 CH2-CO), 2.10 (m, 1H, ラクタム環 H3) 1.93 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.73-1.55 (m, 7H, シクロヘキシル, CH2-CHOTBS), 1.39 (tm, 1H, ~llHz, シクロヘキシル CH-CHOTBS), 1.2-0.9 (m, 5H, シクロヘキシル)。13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.2 (-CO-N), 74.9 (CH-OTBS), 63.1 (CH2OH), 59.9 (CH-CH2OH), 43.3 (シクロヘキシル CH-CHOTBS), 38.2 (CH2-N), 31.8 (CH2CHOTBS), 31.1 (ラクタム環 CH2-CO), 29.3, 29.1, 27.3, 27.1, 27.1 (シクロヘキシル), 26.6 (C(CH3)3), 21.9 (ラクタム環 C3), 18.8 (Si-CMe3), -3.3, -3.5 (Si-CH3)。MS (m/z): 392 (M+Na+)。
【0175】
中間体2.3:(2R)−1−((3S)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)−5−オキシピロリジン−2−カルボアルデヒド
3S異性体は、中間体1.9の方法に従って中間体2.2(0.30mmol,125mg)から定量的粗収率で清澄な油状物(Rf 0.43,EtOAc)として得て、これはTLC(3R異性体とは異なり)によると純粋であり、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0176】
中間体2.4:4−{3−[(2R)−1−((3S)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)−5−オキソピロリジン−2−イル]プロプ−2−エニル}安息香酸メチル
3S異性体は、中間体1.10の方法に従って中間体2.3(0.33mmol)から、87.1mg(3工程で51%)の生成物を得た。
【0177】
中間体2.5:4−(3−{(2R)−1−[(3S)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソピロリジン−2−イル}プロピル)安息香酸メチル
3S異性体は、中間体1.11の方法に従って中間体2.4(0.17mmol,87mg)から、53.7mg(79%)の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ δ 7.93 (d, 2H, 8.0Hz, o-H Ar), 7.20 (d, 2H, 8.0Hz, m-H Ar), 3.87 (s, 3H, COOMe), 3.59 (m, 1H, N-CH2), 3.54 (m, 1H, ラクタム環 N-CH-CH2), 3.18 (ddd, 1H, 10.6Hz, 6.2Hz, 2.6Hz, CHOH), 2.88 (ddd, 1H, 14Hz, 5Hz, 4Hz, N-CH2), 2.68 (m, 2H, CH2-Ar), 2.37 (m, 1H, ラクタム環 CH2-CO), 2.30 (m, 1H, ラクタム環 CH2-CO), 2.13 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.85-0.9 (m, 18H, シクロヘキシル, アルキル)。 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 176.2 (CO-N), 166.5 (COOMe), 146.8 (Cl Ar), 129.6, 128.2 (o-C, m-C Ar), 127.9 (p-C Ar), 72.3 (CHOH), 60.9 (ラクタム環 N-CH), 52.5 (OCH3), 44.0 (シクロヘキシル CH-CHOH), 39.8 (CH2-N), 36.4 (CH2Ar), 34.7 (N-CH-CH2), 34.1 (CH2-CHOH), 30.9 (ラクタム環 CH2-CO), 29.8, 29.3, 27.2, 27.0, 26.9 (シクロヘキシル), 26.8 (CH2-CH2-Ar), 25.2 (ラクタム環 C3)。
【0178】
4−(3−{(2S)−1−[(3S)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソピロリジン−2−イル}プロピル)安息香酸(実施例2)
3S異性体は、中間体1.11の方法に従って中間体2.から調製した。粗酸を0.8gのシリカゲル(溶出液、EtOAc−MeOH、100:0〜60:40)で精製して35.2mg(68%)の純粋な酸を得た。次のNa塩の調製により34.9mg(94%)の白色の固体が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.01 (d, 2H, 8.4Hz, o-H Ar), 7.27 (d, 2H, 8.0Hz, m-H Ar), 3.88 (m, 1H, N-CH2), 3.54 (m, 1H, ラクタム環 CH-CH2), 3.06 (m, 1H, CHOH), 2.90 (m, 1H, N-CH2), 2.73 (m, 2H, CH2-Ar), 2.38 (m, 2H, ラクタム環 CH2-CO), 2.13 (m, 1H, ラクタム環 H3), 1.85 (br.d, 1H, 12Hz シクロヘキシル), 1.80-1.55 (m, 8H, シクロヘキシル, アルキル), 1.45-0.9 (m, 9H, シクロヘキシル, アルキル)。MS (m/z): 388 (M+H+, 45)。
【0179】
実施例3. 7−{(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソピロリジン−2−イル}ヘプタン酸の合成
【化36】

【0180】
中間体3.1:臭化6−カルボキシヘキシル(トリフェニル)ホスホニウム
アセトニトリル(18ml)中の6−ブロモヘキサン酸(18mmol,3.50g)とトリフェニルホスフィン(18mmol,4.71g)の溶液を18時間還流した。次に反応混合物を冷却し、生成したオフホワイトの固体をろ過した。シリカゲル(EtOAc、次にMeOH)でフラッシュクロマトグラフィーを行って、生成物を白色の固体(1.08g,86%)として得た。
【0181】
7−{(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソピロリジン−2−イル}ヘプタン酸(実施例3)
化合物は中間体3.1と中間体1.9から実施例1の方法に従って調製した。1H NMR (400 MHz, CD3OD, Na塩) δ 3.6 -3.75 (m, 2H), 3.20 -3.30 (m, 1H), 3.05 -3.15 (m, 1H), 2.20 -2.40 (m, 4H), 2.10 -2.20 (m, 1H), 1.55 -1.90 (m, 10H), 0.90 -1.45 (m, 14H). MS (m/z): 354.1 (M+H+)。
【0182】
実施例4. 7−{(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソピロリジン−2−イル}ヘプタン酸の合成
【化37】

【0183】
化合物は中間体3.1と中間体2.3から実施例2の方法に従って調製した。1H NMR (400 MHz, CD3OD, Na塩) δ 3.65 -3.75 (m, 1H), 3.45 -3.55 (m, 1H) 3.10 -3.30 (m, 2H), 2.20 -2.40 (m, 4H), 2.10 -2.20 (m, 1H), 1.55 -1.90 (m, 10H), 0.90 -1.45 (m, 14H)。MS (m/z): 354.1 (M+H+)。
【0184】
実施例5:本発明の化合物の生物活性の測定方法
本発明の化合物は、プロスタノイドアゴニスト(又はアンタゴニスト)活性をインビトロ及びインビボで測定するために、及びあるプロスタノイド受容体について化合物の選択性を評価するために、種々の生物学的測定法を使用して試験することができる。本発明の化合物は好ましくはDP1受容体に対して特異的である。DP1及びDP2受容体の両方とも当業者に公知であり、例えば米国特許第6,395,499号;Hawcroftら(Cancer Lett.2004 Jul 8;210(1):81−4、ヒト結腸癌細胞によるプロスタグランジンD2受容体DP1とDP2の発現を記載する);Hammadら(J.Immunol.2003 Oct 15;171(8):3936−40;気道樹状細胞遊走と機能におけるDP1受容体のプロスタグランジンD2による活性化を記載する);Monneretら(Blood,2001 Sep 15;98(6):1942−8)、ヒト好酸球中のDP2受容体を記載する)に記載されている。本発明の化合物の活性を試験するために使用される他のプロスタグランジン受容体には、EP1、EP2、EP3、EP4、FP、IP及びTPがある。
【0185】
5.1 細胞株中でのプロスタノイド受容体の安定な発現
完全長コード配列に対応するプロスタノイド受容体cDNAは当業者に公知であり、哺乳動物発現ベクターの適切な部位にサブクリニーングし、安定なトランスフェクションに通常使用される任意の宿主細胞にトランスフェクトする。当該細胞には、例えばVERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、COS細胞(例えばCOS−7)、W138、BHK、HepG2、3T3、RIN、MDCK、A549、PC12、K562、及びHEK293細胞がある。当該実施態様で使用される好適な細胞株は、EBNA−1タンパク質でトランスフェクトされこれを発現するヒト胚腎細胞(HEK−293)である。トランスフェクトすると、個々のcDNAを発現するHEK293(ebna)細胞は選択下で増殖し、2〜3週間後にクローニングリング法を使用して個々のコロニーが単離され、クローン細胞株に拡張される。
【0186】
5.2 プロスタノイド受容体結合アッセイ
HEK293(ebna)細胞又は適切な受容体で安定にトランスフェクトされた他の細胞を、培地中に保持、採取し、受容体結合アッセイで使用するためにプロテアーゼインヒビターの存在下で細胞を溶解した後に、分画遠心法により膜を調製する。
【0187】
プロスタノイド受容体結合アッセイは、1mM EDTA、10mM 2価陽イオン、及び特定の受容体の適切な放射性リガンドを含有する10mM MES/KOH(pH6.0)(EPs、FPとTP)又は10mMHEPES/KOH(pH7.4)(DPとIP)中で行う。反応は膜タンパク質の添加により開始する。典型的にはすべてのインキュベーションで1%(v/v)で一定に維持されるジメチルスルホキシドのような溶媒にリガンドを加える。非特異的結合は、1μMの対応する非放射性プロスタノイドの存在下で測定する。インキュベーションは室温又は30℃で60分間行い、急速ろ過により停止する。特異的結合は、総結合から非特異的結合を引いて計算する。各リガンド濃度での残存特異的結合を計算し、リガンド濃度の関数として表し、リガンド親和性の測定のためのシグモイドの濃度応答曲線を作製する。
【0188】
別のプロトコールでは、本発明の化合物を、以下のプロトコールのDP1受容体結合アッセイで試験する。25mM MES、10mM MgCl2、1mM EDTA(pH6.0)を含有するアッセイ緩衝液中で、20μgのDP1受容体膜、0.5mgのコムギ胚芽アグルチニン被覆PVT−SPAビーズ、及び1%DMS中で本発明の化合物(25μl/ウェル)もしくは10μMの冷却PGE2を含む又は含まない、20nMの受容体の放射能標識リガンド(例えばトリチウム−PGE2)を含有する混合物を、コーニング3600プレート中でプレートシェーカーで室温で2時間インキュベートする。3HSPAdpm2プログラムを使用してトップカウント上のプレートを計測して、放射能標識リガンド結合を評価する。グラフパッド(Graphpad)(登録商標)プリズムプログラムを使用して、ワンサイト(one site)競合パラメータに基づいて%結合とインヒビターのKi値を計算する。異なる受容体とその特異的リガンドを使用してこのようなアッセイを変更して、このような受容体に対する本発明の化合物の活性を評価してもよい。このようなアッセイを使用して本発明の化合物のいくつかの化合物例についてDP1 Ki値を計算したが、これらを表1に示す。下記表から明らかなように、DP2に対するこれらの化合物のKi値と比較してDP1に対するこれらの化合物のKi値は、本発明のアゴニストの例がこれらの他のプロスタグランジン受容体と比較するとDP1に対して特異的であることを示す(h−EP2、h−EP3及びh−EP4に対するKi値>10000nM)。
【表1】

【0189】
5.3 全細胞セカンドメッセンジャーアッセイ
細胞内カルシウムの細胞内cAMP蓄積又は動員(アポエクオリンで安定にトランスフェクトしたHEK293(ebna)細胞中のEP1、FP及びTP)の刺激(HEK293(ebna)細胞中のEP2、EP4、DP1、DP2、及びIP)又は阻害(HEK293(ebna)細胞中のEP3)を測定する全細胞セカンドメッセンジャーアッセイを行って、受容体リガンドがアゴニストであるか又はアンタゴニストであるかを決定する。cAMPアッセイのために細胞を採取し、25mM HEPES(pH7.4)を含有するHBSS中に再懸濁した。インキュベート物は100μM RO−20174(ホスホジエステラーゼIV型インヒビター、バイオモル(Biomol)から入手できる)と、EP3阻害アッセイのみの場合はcAMP産生を刺激するための15μMホルスコリンを含有する。
【0190】
試料を37℃で10分間インキュベートし、反応を停止させ、次にcAMPレベルを測定する。カルシウム動員アッセイのために細胞に、補助因子である還元グルタチオンとシーレンテラジン(coelenterazine)とを添加し、採取し、Ham’s F12培地に再懸濁する。カルシウム動員は、細胞内発光タンパク質エクオリンへのカルシウムの結合により発生した光を追跡することにより測定する。ジメチルスルホキシド中のリガンドを加え、これをすべてのインキュベーションで1%(v/v)で一定にする。
【0191】
アゴニスト用に、セカンドメッセンジャー応答をリガンド濃度の関数として表し、プロスタノイド標準物質と比較したEC50値と最大応答を計算する。アンタゴニスト用に、アゴニスト応答を阻害するリガンドの能力をシルド(Schild)解析により測定し、KBとスロープ値の両方を計算する。
【0192】
別のプロトコール例では、適切な受容体でトランスフェクトしたHEK293−EBNA細胞を、100μlの培養培地(10%FBS、2nM L−グルタミン及び250μg/mlのヒグロマイシンを補足したD−MEM/F12;すべてギブコビーアールエル(Gibco BRL)から)中ウェル当たり4×104細胞で96ウェルの不透明プレート(コスター(Costar)#3917)に接種し、37℃でインキュベートする。一晩インキュベーション後、各ウェルから培地を除去し、フェノールレッドを含まないD−MEM/F12、0.1%BSA(ギブコビーアールエル(Gibco BRL))及び0.1mM 3イソブチル−1−メチル−キサンチン(シグマ(Sigma))からなる45μlのアッセイ培地で置換した。37℃で15分インキュベーション後、20μlのアッセイ培地中に所望の濃度の16−16−ジメチルPGE−2又は化合物を細胞に加え、37℃でさらに1時間インキュベートした。総cAMP(細胞内及び細胞外)をcAMPスクリーンELISAシステム(トロピックス(Tropix)#CS1000)を使用して測定した。
【0193】
5.4 インビボ排卵アッセイ
本発明の化合物の排卵開始活性を成熟マウス排卵誘発モデルで試験する。成熟した10週齢のCDマウスを使用する。試薬は以下のように調製する:PMSG(妊馬血清ゴナドトロピン)(カルビオケム(Calbiochem)、カタログ番号367222)とhCG(セロノ(Serono))はPBSで希釈する。PGE2(カイマン(Cayman)、アンアーバー、ミシガン州)をエタノールに溶解し、0.154M NaHCO2緩衝液(pH8.0)で希釈してエタノールの最終濃度を3パーセント未満にする。試験化合物(溶解度に基づく)をエタノール、DMSO又は他の試薬にあらかじめ溶解する。次に試験化合物を食塩水又は他の希釈剤、例えばPBS又はNP3S(食塩水中5% N−メチル−ピロリジノン/30%PEG−400/25%PEG−200/20%プロピレングリコール)で希釈する。PMSGは卵胞の成長と成熟を刺激するのに役立つ。
【0194】
成熟卵胞は、排卵開始用量のhCG又はhCG置換が行われた時排卵する。以下の試験プロトコールは、試験動物のために使用された(典型的には試験群当たり5匹の動物)。
【0195】
1日目:200UL PBS中の5IU PMSGを注入(腹腔内、15:00PM)
2日目:投与無し
3日目:排卵開始用量のhCG(腹腔内)又はhCG置換(PGE2又は本発明の化合物、皮下、静脈内、又は経口経路)を注入、15:00PM
4日目:排卵開始物質注入の18時間後、CO2窒息により動物を屠殺し、細かいハサミとピンセットを使用して腹腔を開く。子宮、卵管、及び卵巣を採取し、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含有するあらかじめ印を付けたディッシュに入れる。採取した組織を実験室に運搬し、解剖顕微鏡下で無傷の卵管を子宮と卵巣から注意深く分離する。分離した卵管をガラスの顕微鏡スライドにのせ、別のスライドでカバーする。2つのスライドの端をテープでとめる。卵管中の排卵した卵子の数を、4×対物レンズ付きの直立顕微鏡を使用して卵管を計測し記録する。
【0196】
化合物の経口活性を評価するために2つの実験を行い、第1の実験は非絶食動物を用いて行い、第2の実験は24時間絶食動物(水は与える)を用いて行った。本発明の化合物をその溶解度に従って、エタノール、DMSO又は他の試薬にあらかじめ溶解する。次に本発明の化合物を食塩水又は他の希釈剤(PBS又はNP3S)で希釈した後、経口投与する。
【0197】
本発明の化合物を、上記したようにインビボ排卵誘発モデルで試験して、皮下(sc)、経口(po)及び静脈内(iv)投与経路で排卵を開始させるこれらの化合物の能力を評価する。試験群は以下のように評価する:
【0198】
群 プライミング 処理
群1 5IU PMSG 対照ビヒクル
群2 5IU PMSG HCG(0.12mg/kg腹腔内)
群3 5IU PMSG PGE2(13.5mg/kg)
群4 5IU PMSG 試験化合物(10mg/kg)
群5 5IU PMSG 試験化合物(30mg/kg)
群6 5IU PMSG 試験化合物(90mg/kg)
【0199】
上記の試験群を使用することにより、各群で得られる卵子の数を測定し、こうして排卵の刺激に及ぼす化合物の作用を評価することができる。
【0200】
DP1のアゴニストは、そのKi及び/又はEC50値に基づくアッセイを使用して選択される。
【0201】
次に上記したようにインビボ排卵誘発モデルで本発明の化合物を試験して、皮下(s.c.)及び経口(po)投与経路についてED50を計算する。活性の比較をするために、DP1アゴニストの選択基準を満たさない参照化合物(スルプロストンとブタプロスト)についてもデータが得られる。
【0202】
実施態様例では排卵誘発のインビボモデルの経口活性を、20mg/kgの単回投与で他の本発明の化合物について評価する。
【0203】
本発明の化合物は、成熟マウスで少なくとも1つの投与経路で排卵誘発を刺激できることが好ましい。好ましくは化合物は3つの投与経路(sc、iv、及びpo)のすべてで排卵を刺激することができる。
【0204】
5.5 モルモット気管支収縮のインビボ阻害
ヒトの喘息処置用の物質を試験するために、一般にモルモット肺−コリン作動性インビボモデルが使用される(Fleischら、1985、K.Pharmacol.Exp.Ther.233:148−157)。本発明の化合物はこのモデルで試験される。
【0205】
体重250±50gの3匹のダンカンハートレイ(Duncan Hartley)由来の雄又は雌のモルモットの群を、ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg腹腔内と、必要であればさらに15mg/kg腹腔内)で麻酔し、次に塩化スクシニルコリン(2mg/匹、腹腔内)を投与して自発呼吸を止める。体温は37℃〜38℃で維持する。
【0206】
気管にカニューレ挿管し、ハーバードげっ歯動物呼吸器で閉鎖系でモルモットを呼吸させる。P23IDスタタム(Statham)変換器に連結したカニューレの側腕を介して気管圧を記録する。呼吸速度は50拍/分で一回拍出量(約1ml/100g)は6cmH2Oのベースライン気管圧を発生するのに充分である。平均動脈圧(BP)をカニューレ挿管した頚動脈から追跡し、心拍(HR)はリードIIで連結した胸部導子から得られる。頚静脈は、1ml/kgの容量で静脈内ビヒクル又は薬剤投与のためにカニューレ挿管する。
【0207】
気管圧(cmH2O)の上昇として反映されるコリン作動誘導性気管支収縮応答は、塩酸メタコリンの投与(10μg/kg塩基重量、静脈内)により誘発される。ビヒクル処理対照動物では、メタコリン誘導性気管支収縮はその最大応答(気管閉塞により得られる最大に可能な気管支収縮の約40〜65パーセント)の70〜90パーセントの範囲である。
【0208】
本発明の化合物はまた、気管(IT)経由の投与経路で試験される。この別の実験では、塩酸メタコリン(10μg/kg、静脈内)誘導気管支収縮の10分(実験1と2については5分)前に、本発明の試験化合物、参照化合物、又はビヒクルがIT投与される。材料と方法欄に記載されるように、直ちに気管圧(ITP)、血圧、及び心拍が測定される。
【0209】
MED(中有効用量)を測定する。ビヒクル処理対照動物に対して誘導気管支収縮の50パーセント又はそれ以上(≧50%)の阻害は有意であると見なす。
【0210】
本発明の化合物は、3匹のモルモットで塩酸メタコリン刺激投与の5分前に静脈内投与(10mg/kg)される。ビヒクル処理対照動物に対して誘導気管支収縮の50パーセント又はそれ以上(≧50%)の阻害は有意であると見なす。
【0211】
本発明の試験化合物は、3×105mg/kgから最大0.3mg/kgまでの異なる濃度で静脈内注射される。このような試験から、メタコリン誘導気管支収縮(>50%)阻害が観察される濃度が容易に計算され、インビボ有効用量(ED50)が決定される。化合物は血圧又は心拍を変化させないことが(必ずしも必要ではないが)好ましい。
【0212】
これらのモデル試験では用量は変化する。例えば化合物は0.04、0.4、4.0、及び40μg/モルモットで試験される。参照物質、例えばサルブタモール(40μg/動物)とビヒクル対照も試験された。
上記試験を行うことは、気管支収縮筋肉の拡張を引き起こす本発明の化合物の能力(これは代謝物誘導性の気管支筋肉収縮の阻害を引き起こす)を証明した。
【0213】
5.5 マウスにおけるLPS誘導性TNFα放出のインビボ阻害
本発明のアゴニストは抗炎症剤として有用であり、アゴニストはプロスタグランジン受容体、特にDP1受容体及び/又はDP2を介する炎症のインヒビターとして作用する。
【0214】
エンドトキシンは、グラム陰性菌の外膜のリポ多糖(LPS)成分である。LPSに対する応答は、異なる細胞集団の活性化が関与し、種々の炎症性サイトカイン[腫瘍壊死因子−アルファ(TNFα)とインターフェロンガンマ(IFN−γ)を含む]の発現を引き起こすことが証明されている。
【0215】
本発明の化合物の抗炎症活性は、以下のプロトコールを使用してLPS抗原刺激後に評価される:
【0216】
8週齢のC3H/HENマウス(イッファ−クレド(IFFA−CREDO)、ラルブレスレ(L’arbresle)、フランス)は、例えば6つの異なる用量(0.5%CMC/ツイーン20中0.001、0.01、0.1、1又は3及び10mg/kg)で本発明の化合物による経口処理を受ける。6匹のマウスを1群として使用する。15分後、エンドトキシン(O111:B4 シグマ(Sigma)、0.3mg/kg)を腹腔内注射する。断頭術によりヘパリン化全血を採取する。血漿中のTNFαレベルをELISA(アールアンドディーシステムズ(R&D Systems)、アブジングドン(Abdingdon)、英国)により測定する。対照動物にはビヒクルとして0.5%CMC/0.25%ツイーン20(10mg/kg)を投与する。実験から得られたデータは平均±SEMとして表し、一元配置分散分析(ANOVA)と次にダネットt検定により解析する。
【0217】
本発明の化合物の活性は、TNF放出の阻害パーセントとして表され、最大作用の50%の阻害用量(ID50)がmg/kgで計算される。このような実験プロトコールを使用して、LPS抗原刺激モデルで本発明の化合物がTNFアルファの放出を阻害するかどうかを示すデータが得られる。
【0218】
本発明の化合物の抗炎症活性を測定するために、以下の追加のアッセイもまた行ってもよい。化合物は:例えばChanら(J.Pharmacol.Exp.Ther.274:1531−1537,1995)に記載されているように、ラット足浮腫アッセイを使用して浮腫に対する効力;例えばChanら(J.Pharmacol.Exp.Ther.274:1531−1537,1995)に記載されているように、意識のあるラットのLPS誘導発熱に対する効力;例えばChanら(Eur.J.Pharmacol.327:221−225,1997)に記載されているように、意識のあるリスザルのLPS誘導発熱に対する効力;Boyceら(Neuropharmacology 33:1609−1611,1994)に記載されているように、ラットのカラゲニンに誘導される急性炎症性痛覚過敏に対する効力について評価される。
【0219】
5.6 陰茎海綿体組織に対するインビボ作用
陰茎勃起は、3つの主要な生理学的事象に基づく:動脈血流の上昇、海綿洞と海綿体の膨張組織の緩和、及び膨張組織により引き起こされる静脈の機械的圧迫による静脈還流の妨害。
【0220】
PGE1は勃起不全の処置に使用されて平滑筋を緩和し、従って勃起の進行を促進する。PGE1の投与は、陰茎の海綿組識への局所注射により行われる。しかしPGE1はプロスタノイド受容体に対する選択性が低く、刺激作用がある。勃起不全の処置のためにEP2及び/又はEP4の選択的アゴニストが開発されている(WO9902164)。
【0221】
陰茎海綿体組織片の緩和に対する本発明の化合物の作用は、例えば後述のヒト又はウサギ組織について測定される。
【0222】
ヒト組織の入手。海綿体組織は、勃起不全の処置のために人工陰茎移植手術を受けている患者から得られる。手術室で海綿体の生検試料を直ちに冷却(4℃)生理食塩溶液に入れ、実験室に運ぶ。組織片(3mm×3mm×10mm)を切断し、臓器浴(organ bath)試験のために調製する。
【0223】
ウサギ組織入手。成体の雄のニュージーランド白色ウサギ(4.5〜5.0kg)をケタミン(35mg/kg)とキシラジン(5mg/kg)で鎮静させ、ペントバルビタールナトリウム(60mg/kg体重)で安楽死させる。放血させた後陰茎を切りだし、海綿体と尿道を取り出してきれいにする。海綿体組織片を周りの白膜から切り離し、臓器浴試験のために調製する。
【0224】
混合ストック溶液の調製と用量応答。PGE1(カイマンケミカル社(Cayman Chemical Co.)、アンアーバー、ミシガン州)を、使用の日まで固体型で−20℃で保存する。1mgのPGE1を含有するバイアルに1mlの70%DMSOを加えてストック溶液を作製する。本発明の化合物を1mlの70%DMSOに溶解して、100μlのアリコートに分割し、使用するまで−20℃で保存する。臓器浴での用量応答のために、PGE1のストック溶液と本発明の化合物を70%DMSOで希釈して最も高い濃度を作製し、次にすべての用量について2%DMSOで連続希釈する。典型的な用量応答曲線でDMSOの濃度を、25ml浴中0.1%未満になり、最も高い濃度が0.5%を超えないようにチェックする。
【0225】
臓器浴試験。ヒト又はウサギの海綿体組織片を、絹のヒモの付いた固定支持体にのせ、堅い金属ワイアの付いた張力変換器(モデルFT03;グラステレファクター(GrassTelefactor)、アストロメッド社(Astro−Med,Inc.)、ウェストワーウィック(West Warwick)、ロードアイランド州)に取り付ける。取り付け後、組織片を生理塩溶液(PSS;118.3mM NaCl、4.7mM KCl、0.6mM MgSO4、1.2mM KH2PO4、2.5mM CaCl2、25mM NaHCO3、0.026mM CaNa2EDTA、11.1mM グルコース)の25ml浴に浸漬する。溶液を95%空気/5%CO2で脱気してpHを7.4にし、温度を37℃に維持する。すべての組織片を3μMのインドメタシンで処理して内因性プロスタノイド産生を阻害し、自発収縮活性を最小にする。海綿体組織を直ちに伸ばし、収縮のための最適休止等尺性張力を決定する。3〜4回毎の伸長(1gの張力/伸ばし)後、組織を1μMのフェニルエフリンで収縮させる。フェニルエフリン誘導性収縮の強度は以前の収縮の10%内である時、等尺性張力について張力は最適であると見なされる。すべての組織片を新鮮なPSSで充分に洗浄する。次に組織片を1μMフェニルエフリンで収縮させる。安定な状態が達成されたら、組織片を上昇する濃度のPGE1又は本発明の化合物に暴露させる。
【0226】
データ解析。各実験の最後に、すべての組織片を10μMのパパベリンと10μMのニトロプルシドで処理して最大緩和(100%)を誘導する。試験した薬剤濃度の範囲にわたって緩和応答の総量は、プロットした曲線下の面積により決定される。EC50値はプリズムソフトウェア(グラフパッド(GraphPad)、サンジエゴ、カリフォルニア州)を使用して計算される。最終的データ解析のために、ANOVAを使用して緩和パラメータを比較する。ANOVAのp値が0.05未満である場合、ツケイ−クレーマー(Tukey−Kramer)試験を使用して対応のある検定後比較を行う。
【0227】
表2は臓器浴試験の結果を要約する。化合物#1は、フェニルエフリンで収縮後にヒト陰茎海綿体組織片の用量依存性緩和を引き起こした。DP受容体アゴニストBW245C(参照分子)は、匹敵する強度(EC50=59nM)で緩和を引き起こした。しかし緩和の程度(最大作用)は、BW245Cより化合物#1が大きかった。両方の化合物ともPGE1(EC50=210nM)より強力であった。PGE1は現在、PDE5インヒビターに非応答性の男性について使用されている。内因性DP受容体アゴニストであるPGD2は、0.3μMからヒト海綿体組織の用量依存性緩和を引き起こしたが、高濃度では収縮を引き起こした。この応答プロフィールは、動物のDPアゴニストのさらなるインビボ評価の理論的根拠となった。
【表2】

【0228】
インビボ実験(ウサギ):海綿体内注射
DPアゴニストを40%プロピレングリコールで可溶化し、海綿体内注射により投与して0.1mlの総量中で規定の用量を投与した。陰茎海綿体圧(ICP)は最終的に全身動脈圧(SAP)により制限されるため、ICP/SAP比を計算してすべての勃起応答を標準化した。
【0229】
ウサギでは、化合物#1の海綿体内注射は陰茎勃起の持続又は1〜3分間継続する一過性エピソードを引き起こした。動脈圧は一定であった。あるウサギでは化合物#1の最大用量(5μg)の海綿体内注射後に自発性陰茎勃起の繰り返し及び一過性エピソードが記録された。別のウサギでは化合物#1の最大用量(5μg)の海綿体内注射により、海綿体区画に明らかに伝搬される動脈圧波が記録され、陰茎抵抗動脈が充分拡張されたことを示した。ピーク応答又は「曲線下の面積(AUC)」により測定すると、ビヒクル(40%プロピレングリコール)と比較して化合物#1は一貫してICP/SAPの用量依存性上昇を引き起こした。ラットでも同様の勃起促進性応答が観察された。ラットでのBW245Cの海綿体内注射により、化合物#1に対して同様の勃起促進性応答を引き起こした。ウサギでは、どの用量の化合物#1を投与しても全身血圧に目立った変化は無かった。すべてのデータは複数の種でDP1受容体が海綿体平滑筋緩和を仲介すること、及び海綿体内投与された化合物#1は、ヒトで勃起を開始させる効率的な活性を示す強力なアゴニストであることを示唆する。現在PGE1は、局所的陰茎組織傷害又は神経傷害の程度が処置選択肢としてのPDE5インヒビターの使用を妨害するために、PDE5インヒビターに対して非応答性の男性に、使用されている。しかしPGE1は注射により繊維増多応答を引き起こし、海綿体繊維症の重症度とさらなる機能不全を徐々に増大させる。従って化合物#1はプロスタグランジンE1(PGE1)の海綿体内注射への有用な代替物となり得る。
【0230】
5.7 骨量減少予防に対するインビボ作用
骨アナボリック物質としての本発明の化合物の活性は、以下のように例えばラット卵巣摘出モデルで試験することができる。雌のスプラーグ−ドーレイ処女ラットを、投与前の体重測定値に基づいて処理群にランダム化した。目的は、すべての処理群について同じ平均体重を達成することである。
【0231】
手術:動物をケタミンとキシラジン(SOP ST−AEP007)で鎮静させた。背腹部の表面の毛を剃り、無菌手術の準備をする。正中線に沿って脊椎の腰部のすぐ前から開始して1回切開する。腹部の両側背側部の下部の筋肉組織を露出させる。筋肉組織を切開して、腹腔にアクセスできるようにする。
【0232】
動物群(「Ovx」)について卵巣を捜し、子宮角の結合部で切断し、取り出す。子宮を戻し筋肉を縫合する。反対側も同様に行う。
【0233】
対照群の動物(「シャム」)について卵巣を捜し、体外に出すが切り離さない。子宮と卵巣を腹腔に戻し筋肉を縫合する。
【0234】
筋肉層を縫合して閉じ、創傷クリップで皮膚の切開部を閉じる。
【0235】
投与:手術の1日後に投与を開始する。術後6週間動物に毎日皮下注射する。0.1、1.0、10.0mg/kgの用量の本発明の化合物が使用される。対照群には、術後6週間30μg/kgの17エストラジオール(シグマケミカル(Sigma chemical))を毎日皮下注射する。対照群の動物(「シャム」群と「Ovx」群)にビヒクル(食塩水)を皮下注射する。
【0236】
蛍光色素標識:動的組織形態測定を可能にするために、剖検の6日前と2日前の2回カルセイン(10mg/kg、腹腔内)の注射を行う。
【0237】
体重と臨床観察:処置の開始の1週間前から開始して処置期間の終了まで、体重を毎週記録する。さらに疾患の兆候又は処置への応答について毎日ラットを観察する。
【0238】
血液及び尿生化学:屠殺の前に、代謝ケージを使用して各動物から18時間尿の試料を採取する。屠殺時は、吸入麻酔下の各ラットの後眼窩洞から血液試料を採取する。以下のパラメータを尿と血清で測定する。
【0239】
パラメータ法:尿デオキシピリジノリンをイムノアッセイ(ピリリンクス−ディー(Pyrilinks−D)、クイデル(Quidel)、マウントビュー(Mt.View)、カリフォルニア州)により測定する;尿クレアチニンをコバス(COBAS)化学装置(クレアチニン試薬ロシュダイアグノスティクス(Roche Diagnostics)、インディアナポリス、インディアナ州)により測定する;血清オステオカルシンをイムノアッセイ(ラットOSU IRMA、イムノトピクス(Immunotopics)、サンクレメンテ、カリフォルニア州)により測定する。
【0240】
剖検:投与と尿/血液採取の完了後、二酸化炭素窒息を利用して動物を安楽死させる。すべての動物に以下の操作を行う。最終の体重を記録する。おおまかに観察して異常が無いかどうかチェックする。以下の試験を行う:
【0241】
骨密度スキャン:L2〜L4腰椎をアピキシムス(aPIXImus)装置(ルナー社(Lunar Corp.)、マジソン、ウィスコンシン州)を使用してDXA(二重エネルギーX線吸収法)スキャンを行う。PIXIスキャンから、骨塩含量、面積、及び密度を測定する。DXAによる骨密度測定値は、Formicaら、1998,Osteoporosis International,8(5):460−467に記載されている。
【0242】
ストラテック(Stratec)XCT RMと関連ソフトウェア(ストラテックメディツィンテクルミク社(StratecMedizinteclmik Gmbh)、プフォルツァイム(Pforzheim)、ドイツ、ソフトウェアバージョン5.40C)を使用して、右大腿骨をpQCT(末梢定量的コンピューター断層撮影)によりスキャンする。大腿骨を2つの部位(大腿骨遠位端の20%と大腿骨中央の50%)でスキャンする。位置は概観像(scout view)を使用して証明され、大腿骨幹の長軸に垂直な1つの0.5mmスライスからのスキャン結果を記録する。遠位大腿骨のスキャンから総骨塩含量、総骨面積、総骨密度、骨梁骨塩含量、骨梁骨面積、及び骨梁骨密度を解析する。大腿骨の中央骨幹については、総骨塩含量、総骨面積、総骨密度、皮質骨塩含量、皮質骨面積、皮質骨密度、骨膜周囲、及び骨内膜周囲を解析する。
【0243】
pQCTによる骨密度測定は、Formicaら、1988、Osteoporosis International,8(5):460−467、及びTsugeno 2002、Osteoporosis International,13(8):650−656に記載されている。
【0244】
腰椎と大腿骨の生体力学試験:L5〜L6からL5腰椎を単離し、低速ダイモンドソーを使用して椎弓と椎弓根とを除去する。各椎体の頭蓋端と仙骨端も除去して、2つの平行表面と約4mmの高さを有する椎体試料を作製する。電子デジタルカリパスを使用して椎体の中央−横方向及び前−後方向の幅を測定する。これらの値は記録され、断面積の計算に使用される。錐体試料の高さもまた電子カリパスを使用して測定し記録する。次に試料を2つのプラテンの間に置き、インストロンメカニカル試験装置(Instron Mechanical Testing Instrument)(インストロン(Instron)4465、5500に改装)で6mm/分の変位速度で破壊されるまで負荷をかける。
【0245】
負荷と変位をインストロンインストルメントソフトウェア(メルリン(Merlin)II、インストロン)により記録し、破壊時の最大負荷、硬度、及び吸収されたエネルギーは、負荷と変位曲線から用手法で選択される。次に最大負荷、硬度、吸収されたエネルギー、断面積、及び高さから、固有特性である、応力、弾性率、及び靭性が計算される。
【0246】
pQCTスキャン後、電子カリパスを用いて大腿骨幹の中点での前後の直径を測定し、記録する。次にインストロンメカニカル試験装置(Instron Mechanical Testing Instrument)(インストロン(Instron)4465、5500に改装)で大腿骨を3点支持具の下部支持部の上に置き、前側面を下に向ける。2つの下部支持部の距離を14mmに設定する。上部負荷装置を大腿骨幹の中央と合わせる。大腿骨が破断するまで、6mm/分の一定の変位速度で負荷をかける。最大負荷の位置、硬度、及び吸収されたエネルギーを用手法で選択し、装置のソフトウェア(メルリン(Merlin)II、インストロン)により値を計算する。最大負荷、硬度、吸収されたエネルギー、前後の直径、及び慣性モーメントから、固有特性である、応力、弾性率、及び靭性が計算される。
【0247】
3点曲げ試験後に、低速ダイモンドダイヤモンドソーを使用して大腿顆のすぐ近傍で遠位大腿骨幹端の3mmセグメントを切る。円筒形圧子(平面試験面の直径1.6mm)を用いてセグメントの遠い面で骨髄腔の中央に負荷をかける。圧子は、6mm/分の一定の変位速度で負荷反転まで2mmの深さまで腔を貫通させる。最大負荷の位置、硬度、及び吸収されたエネルギーを用手法で負荷変位装置から選択し、装置のソフトウェア(メルリン(Merlin)II、インストロン)により計算する。最大負荷を圧子面積で割って、応力を計算する。
【0248】
骨組織学と動的組織形態:
脱水、包埋、及び薄切。近位脛骨のホルマリン固定試料を一連の上昇するエタノール濃度で脱水する。脱水後、骨試料をメチルメタクリレートベースのプラスチックに浸透させ包埋する。近位脛骨の包埋試料を、タングステン−カーバイドミクロトームナイフを取り付けたライツ(Leitz)モーター駆動回転ミクロトームを使用して縦に薄切する。ブロックをトリミングした後、4μmの切片を顕微鏡用にゴルドナートリクローム(Goldner’s trichrome)染色液で染色する。8μmの切片を表面蛍光顕微鏡用に染色しない。
【0249】
組織形態測定
近位脛骨の静的及び動的組織形態測定を行う。測定は二次海綿骨を含む(成長板の最下端から1.05である部分)。
【0250】
組織形態測定は、ニコンエクリプス(Nikon Eclipse)E400光/表面蛍光顕微鏡とビデオサブシステムを接続したオステオメジャー(OsteoMeasure)ソフトウェアプログラム(オステオメトリクス(OsteoMetrics,Inc.)、アトランタ、ジョージア州)を使用して行われる。組織形態測定はブラインド形式で読まれる。総組織面積、骨梁数、骨梁厚さ、骨梁分離、及び骨表面のパーセントとしての破骨細胞周囲を、標準化した式に従って計算される。動的パラメータ用に、単一標識カルセイン周囲長、2重標識カルセイン周囲長、及びインターラベル幅(標識の厚さ)を、8μm圧の非染色切片について測定し、石灰化表面、ミネラル付着速度、骨形成速度−表面関係項を計算する。
【0251】
5.8 ラットにおけるアジュバント誘導性関節炎に対するインビボ作用
化合物はまた、ラットでアジュバント誘導関節炎に対する効力についても追跡される。そのようなアッセイの例では、雌のルイスラット(体重約146〜170g)の体重が測定され、耳に印を付け、群分けされ(関節炎を誘導しない陰性対照群、ビヒクル対照群、インドメタシンを総1日量1mg/kgで投与される陽性対照群、及び試験化合物が総1日量0.10〜3.0mg/kgで投与される4つの群)、各群内で体重が等しくなるようにする。10匹のラットの6つの群のそれぞれに、0.1mlの軽ミネラル油中の0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリクム(Mycobacterium butyricum)(アジュバント)を後足に注射し、10匹のラットの陰性対照群にはアジュバントを注射しない。体重、反対側の足の容積(水銀排除体積変動記録法により測定)と側面からのレントゲン写真(ケタミンとキシラジン麻酔下で得られる)を、アジュバント注射の前(−1日)と21日目に測定し、アジュバント注射の前(−1日)と4日目及び21日目に最初の足の容積を測定する。ラットは、レントゲン写真とアジュバントの注射とのために、ケタミン(87mg/kg)とキシラジン(13mg/kg)の組合せ0.03〜0.1mlを筋肉内注射して麻酔する。レントゲン写真は、0日目と21日目にファクシトロン(Faxitron)(45kVp、30秒)とコダックX−OMT TLフィルムを使用して両方の後足を撮り、自動プロセッサーで現像する。レントゲン写真は、好ましくは実験処理については知らされていない研究者が軟組織と硬組織の変化について評価する。レントゲン写真の変化は重症度に応じて数値で等級付けされ、例えば軟組織容積の増加(0〜4)、関節腔の縮小又は拡大(0〜5)、軟骨下侵食(0〜3)、骨膜反応(0〜4)、骨溶解(0〜4)、亜脱臼(0〜3)、及び退行性関節変化(0〜3)。各レントゲン写真の変化について重症度の数値等級付けを確立するために、具体的な基準が使用される。1つの足について最大の可能なスコアは、研究者により設定され、例えば26である。1日の総用量0.1、0.3、1、及び3mg/kgの試験化合物、1日の総用量1mg/kgのインドメタシン、又はビヒクル(無菌水中0.5%メトセル)を、アジュバント注射から開始して21日間、1日2回投与される。化合物は毎週調製され、使用するまで冷暗所で保存され、投与直前にボルテックス混合する。
【0252】
本明細書に開示し特許請求したすべての組成物及び/又は方法は、本開示を参照することにより過度の実験をすることなく作製し実施することができる。本発明の組成物と方法は好適な実施態様で説明されているが、本発明の概念、精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書の組成物及び/又は方法、及び方法の工程もしくは工程の順序に変更態様が可能であることは当業者に明らかであろう。さらに詳しくは、化学的及び生理学的に関連するいくつかの物質を本明細書に記載の物質の代わりに使用しても、同じか又は同様の結果が得られることは明らかであろう。当業者に明らかな当該同様の代替物及び修飾は、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の精神、範囲、及び概念内にあると考えられる。
【0253】
本明細書の補足となる方法又は他の詳細を提供するように本明細書で引用される文献は、具体的に参照することにより本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、AとCはそれぞれ独立に水素又はヒドロキシであり;
Mは、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、C1〜C6アルキニル、及び−(CH2)q−B{ここでBは、任意に置換された炭素環式アリール、3〜8個の環原子と少なくとも1つのN、O又はS環原子とを有する任意に置換された複素脂環式基、及び5又は6個の環原子と少なくとも1つのN、O又はS環原子とを有する単環を有する複素環式芳香族基を含んでなる群から選択され;ここで「−(CH2)q−B」中のqは1、2、3及び4から選択される}からなる群から選択され;
Uは、(CH2)p(ここでpは0、1及び2から選択される)であり;
VとQは、それぞれ独立に水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキル、C1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールアルキル、−CR12−W(ここでR1とR2は独立にHとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)であり;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;VとQの少なくとも1つは水素以外である]の化合物;及びその医薬として許容される塩。
【請求項2】
AとCがそれぞれ水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Bが任意に置換された炭素環式アリールである、請求項1又は2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
Bが任意に置換されたフェニルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1の化合物であって、式II:
【化2】

[式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;
Uは(CH2)p(ここでpは0、1、及び2から選択される)であり;
VとQは、それぞれ独立に、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールアルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)から選択され;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;VとQの少なくとも1つは水素以外である]を有する化合物;及びその医薬として許容される塩。
【請求項6】
nが1又は2である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物であって、以下の式III:
【化3】

[式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;
Uは(CH2)p(ここでpは0、1、及び2から選択される)であり;VとQは、それぞれ独立に、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールアルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)から選択され;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;VとQの少なくとも1つは水素以外である]を有する化合物;及びその医薬として許容される塩。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、以下の式IV:
【化4】

[式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;nは、0、1、2、3、4、及び5から選択される整数であり;
Uは(CH2)p(ここでpは0、1、及び2から選択される)であり;
Qは、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルケニル、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールC1〜C6アルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)から任意に置換され;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びアリールC1〜C6アルキルから選択される]を有する化合物;及びその医薬として許容される塩。
【請求項9】
pが0である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物であって、以下の式V:
【化5】

[式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;nは、0、1、2、3、4、及び5から選択される整数であり;
Qは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリールアルキル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールC1〜C6アルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)から選択され;
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びアリールC1〜C6アルキルから選択される]を有する化合物;及びその医薬として許容される塩。
【請求項11】
nが1であり、Rがパラ置換基である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Rが−C(O)OHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
Qが直鎖又は分岐鎖のC1〜C12アルキル又は任意に置換されたアリールアルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
請求項10に記載の化合物であって、Rは「パラ」位置の−C(O)OHであり、nは1であり;QはCR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)であり;Wは、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びアリールC1〜C6アルキルから選択される化合物;及びその医薬として許容される塩。
【請求項15】
請求項10に記載の化合物であって、Rは「パラ」位置の−C(O)OHであり;nは1であり;Qは−CR12−W(ここでR1とR2は独立に、HとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる;Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、及びアリールから選択される)である化合物;及びその医薬として許容される塩。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物であって、Mが式:
【化6】

[式中、M’は、任意に置換されたC1〜C7アルキル、C1〜C6アルケニル、及びC1〜C6アルキニルからなる群から選択され、
Aは、任意に置換されたピリジル、ピロリル、フリル(フラニル)、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3−ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、及びベンゾキノリルからなる群から選択され;且つ
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンであり;nは0、1、2、3、4、及び5から選択される整数である]を有する化合物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物であって、Mは:
【化7】

からなる群から選択される化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物であって、Mは:
【化8】

(式中、R4は、H、アルキル基、アリール基、又は塩からなる群から選択される)からなる群から選択される化合物。
【請求項19】
Mが:
【化9】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
Mが:
【化10】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
Mが:
【化11】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物であって:
4−(3−(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシルプロピル]−5−オキソテトラヒドロ−1H−2−ピロリルプロピル)安息香酸、
4−(3−(2S)−1−[(3S)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソテトラヒドロ−1H−2−ピロリルプロピル)安息香酸、
7−{(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソピロリジン−2−イル}ヘプタン酸、及び
7−{(2S)−1−[(3R)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル]−5−オキソピロリジン−2−イル}ヘプタン酸
からなる群から選択される化合物。
【請求項23】
以下の式:
【化12】

[式中、AとCは、それぞれ独立に水素又はヒドロキシであり;
Bは、任意に置換された炭素環式アリール、3〜8個の環原子と少なくとも1つのN、O又はS環原子とを有する任意に置換された複素脂環式基、及び5又は6個の環原子と少なくとも1つのN、O又はS環原子とを有する単環を有する複素環式芳香族基からなる群から選択され;
RはC(=O)Z(ここでZは、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、及び任意に置換されたアルキルから選択される)であるか;又はRは、アミノ又は任意に置換されたアルキルアミンである)であり;
nは、0、1、2、3、4及び5から選択される整数であり;
Uは、(CH2)p(ここでpは0、1及び2から選択される)であり;
VとQは、それぞれ独立に水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、C3〜C6ヘテロシクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールアルキル、及びCR12−W(ここでR1とR2は独立にHとC1〜C6アルキルから選択されるか;又はR1とR2は、これらが結合している炭素とともにC3〜C6シクロアルキルを形成することができる)であり;且つ
Wは、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;VとQの少なくとも1つは水素以外である}のいずれかの化合物;及びその医薬として許容される塩。
【請求項24】
医薬として使用される請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
プロスタグランジン欠損に関連する疾患又は障害の処置用の医薬の製造に使用される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなる、プロスタグランジン受容体の作用を増大又は上昇させることを含んでなる、哺乳動物の疾患又は障害を処置する方法。
【請求項27】
哺乳動物が、魚鱗癬、ドライアイ、睡眠障害、胃潰瘍、好ましくない筋肉収縮、炎症性疾患、勃起不全、喘息、高血圧、好ましくない血液凝固、不妊症もしくは不妊障害、好酸球障害、性機能不全、緑内障、眼圧上昇、腎機能不全、免疫不全疾患又は障害、AIDS、又は好ましくない骨量減少に罹患しているか又は罹患しやすい、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
哺乳動物が雄性である、請求項26〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
早期産、月経困難症、喘息、高血圧、不妊障害、好ましくない血液凝固、子癇前症、子癇、好酸球障害、好ましくない骨量減少、性機能不全、腎機能不全、免疫不全疾患、ドライアイ、魚鱗癬、眼圧上昇、睡眠障害、胃潰瘍、炎症性疾患、又は勃起不全に罹患しているか又は罹患しやすい哺乳動物を処置する方法であって、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物の有効量を該哺乳動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項30】
哺乳動物が勃起不全に罹患しているか又は罹りやすく、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物の有効量を海綿体内注入することを含んでなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
プロスタグランジンに関連する疾患又は障害を処置するための薬剤を製造するための、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項32】
早期産、月経困難症、喘息、高血圧、不妊障害、好ましくない血液凝固、子癇前症、子癇、好酸球障害、好ましくない骨量減少、性機能不全、腎機能不全、免疫不全疾患、ドライアイ、魚鱗癬、眼圧上昇、睡眠障害、胃潰瘍、炎症性疾患、又は勃起不全を処置するための薬剤の製造のための、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項33】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物の有効量の海綿体内注入を含んでなる、勃起不全を処置するための薬剤の製造のための請求項32の使用。
【請求項34】
医薬として許容される担体及び1つ又はそれ以上の請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。

【公表番号】特表2008−522963(P2008−522963A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543864(P2007−543864)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056477
【国際公開番号】WO2006/061366
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(504320031)ラボラトワール セローノ ソシエテ アノニム (14)
【Fターム(参考)】