説明

ECU、配線、および当該ECUと当該配線とを導通させるためのコネクタを備えた電子装置、当該配線と当該コネクタとを備えた配線ユニット、ならびに、当該配線を当該ECUに導通させるための組み付け方法

【課題】ECU、配線、およびコネクタを有する電子装置において、座席の下にECUを配置し、座席に設けた穴を通してコネクタおよび配線を上から下に導き、その上でコネクタをECUに嵌合させる際に、座席下部のスペースの減少を抑えつつ、かつ、穴の大きさの増大を抑える。
【解決手段】コネクタ5は本体部51と可動部52とを有し、コネクタ5を座席の穴に通すときには可動部52を本体部51に対して第1の配置とすることで、ケーブル4がコネクタ5の後端部から真っ直ぐ後ろ方向に延びるようにし、コネクタ5をECU6に嵌合させるときには可動部52を本体部51に対して図に示すように第2の配置とすることで、可動部52がケーブル4を押し曲げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ECU、配線、および当該ECUと当該配線とを導通させるためのコネクタを備えた電子装置、当該配線と当該コネクタとを備えた配線ユニット、ならびに、当該配線を当該ECUに導通させるための組み付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線をECUに導通させるために、配線の先端部にコネクタを取り付けることが広く行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−203696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者の検討によれば、このようなECU、配線、およびコネクタを有する電子装置においては、コネクタから延びる配線がスペースの関係上邪魔になる場合がある。
【0005】
例えば、図14に示すように、座席101の下部にECU106を配置し、配線103を座席101の上に配置する必要がある場合がある。この場合、配線103とECU106とを導通させる方法としては、配線103の一部およびコネクタ105を、座席101に設けられた穴104を通して座席101の下部に導き、その上でコネクタ105をECU106に嵌合させる方法が考えられる。なお、図16中では、紙面に垂直な方向が座席の前後方向に該当する。
【0006】
この際、図16に示すように、コネクタ105をECU106に嵌合する方向が上下方向ではなく水平方向である場合、コネクタ105の後方(嵌合の方向とは逆の方向)に延びる配線103を、水平方向から上方向に曲げる必要があり、その曲げによって自然にできた膨らみ103aによって、シート101の下部のスペース110が狭くなってしまう。
【0007】
しかし、このような膨らみを防ぐために、あらかじめ配線103をコネクタ105の根本で折り曲げておくと、コネクタ105および配線103が穴104を通りにくくなってしまうか、あるいは、穴104を大きくしなければならず、後者の場合は、座席101の座り心地が悪化する恐れがある。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、ECU、配線、およびコネクタを有する電子装置において、座席の下にECUを配置し、座席に設けた穴を通してコネクタおよび配線を上から下に導き、その上でコネクタをECUに嵌合させる際に、座席下部のスペースの減少を抑えつつ、かつ、穴の大きさの増大を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、ECU(6)と、前記ECU(6)と導通するための配線(4)と、前記配線(4)における前記ECU(6)側の先端部に取り付けられると共に前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるために用いられる配線側コネクタ(5)と、を備え、前記ECU(6)は、前記配線側コネクタ(5)と嵌合することで前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるECU側コネクタ(62)を有し、前記配線側コネクタ(5)は、前記配線(4)の前記先端部を収容して前記ECU側コネクタ(62)と嵌合する配線側コネクタ本体(51)と、前記配線側コネクタ本体(51)に対して回転可能に取り付けられた可動部材(52)とを有し、前記配線側コネクタ本体(51)では、前記ECU側コネクタ(62)に嵌合する側とは反対側の面において、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)の内部から外部に突出しており、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向を規制するための板形状の規制部材(52a)と、前記規制部材(52a)に対して固定される延設部材(52b)と、を備え、前記延設部材(52b)は、前記規制部材(52a)から前記規制部材(52a)の板面に交差する方向に延び、また、前記配線側コネクタ本体(51)と係合し、また、前記配線側コネクタ本体(51)と当該延設部材(52b)との係合部分を回転軸として前記配線側コネクタ本体(51)に対し剛体回転可能となっており、それにより、前記延設部材(52b)および前記規制部材(52a)が共に前記配線側コネクタ本体(51)に対して剛体回転可能となり、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して第1の配置にあるとき、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出して前記配線側コネクタ本体(51)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない位置にあり、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置から第2の配置となるまで回転すると、前記規制部材(52a)が前記配線側コネクタ本体(51)のうち前記配線(4)が突出している部分に近づき、その結果、前記配線(4)が前記規制部材(52a)によって押し曲げられることで、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向が、前記反嵌合方向に対して交差する方向に限定されるようになっており、
前記可動部材(52)は、前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にあって前記配線側コネクタ本体(51)が前記配線側コネクタ(5)と嵌合しているとき、前記第2の配置が保持されるようになっていることを特徴とする電子装置である。
【0010】
このような構成の電子装置において、座席の下にECU(6)を配置し、座席に設けた穴を通して配線側コネクタ(5)および配線(4)を座席の上から下に導き、その上で配線側コネクタ(5)をECU(6)に嵌合させる場合、以下のような手順を採用すれば、座席下部のスペースの減少を抑えつつ、かつ、穴の大きさの増大を抑えることができる。
【0011】
まず作業者は、可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して第1の配置にあるようにセットし、その上で、配線側コネクタ(5)を座席の上から穴に通す。この場合、可動部材(52)は、配線(4)が配線側コネクタ本体(51)から突出して配線側コネクタ本体(51)をECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない。したがって、配線側コネクタ(5)をECU(6)に嵌合する側の先端部から穴に通す際には、配線(4)が配線側コネクタ(5)の後に従って真っ直ぐ穴を通るので、穴の大きさは配線側コネクタ(5)が容易に通ることのできる大きさであれば足りる。すなわち、穴の大きさの増大を抑えることができる。
【0012】
また、配線側コネクタ(5)が穴を通過した後、作業者は、可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して第2の配置となるよう、可動部材(52)を配線側コネクタ本体(51)に対して回転させる。そしてその上で、配線側コネクタ本体(51)をECU側コネクタ(62)に嵌合させる。
【0013】
このようにすれば、配線(4)が規制部材(52a)によって押し曲げられることで、配線(4)が配線側コネクタ本体(51)から突出する方向が、上記反嵌合方向に対して交差する方向に限定される。したがって、上記反嵌合方向に対して配線(4)が突出する場合に比べ、配線(4)の経路が膨らむ量が低減され、その結果、座席下部のスペースの減少を抑えることができる。
【0014】
そして、可動部材(52)は、配線側コネクタ本体(51)に対して第2の配置にあって配線側コネクタ本体(51)が配線側コネクタ(5)と嵌合しているとき、第2の配置が保持されるようになっている。したがって、座席下部のスペースの減少を抑える効果が嵌合後も持続する。
【0015】
しかも、延設部材(52b)は、規制部材(52a)から規制部材(52a)の板面に交差する方向に延び、また、前記配線側コネクタ本体(51)と係合し、また、前記配線側コネクタ本体(51)と当該延設部材(52b)との係合部分を回転軸として前記配線側コネクタ本体(51)に対し剛体回転可能となっており、それにより、前記延設部材(52b)および前記規制部材(52a)が共に前記配線側コネクタ本体(51)に対して剛体回転可能となっている。
【0016】
このように、可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)と係合して剛体回転するような構成になっていることで、可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して回転可能とするための構成が、例えば一部を折れ曲がり可能な柔軟な部材(特許文献1の図14、15の胴部52とロック片54との間の部材)とする場合に比べ、簡易かつ耐久性が高いものとなる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子装置において、前記ECU側コネクタ(62)は、前記配線側コネクタ本体(51)と嵌合する際に前記配線側コネクタ本体(51)を収容するスリーブ部(62a)を備え、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にない場合、前記延設部材(52b)と前記スリーブ部(62a)とがぶつかることで、前記配線側コネクタ本体(51)と前記ECU側コネクタ(62)との嵌合が妨げられることを特徴とする。
【0018】
このようになっていることで、可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して第2の配置とならない限り、配線側コネクタ本体(51)とECU側コネクタ(62)とが嵌合しない。
【0019】
したがって、作業者は、可動部材(52)を第2の配置にセットすることを忘れた状態で配線側コネクタ本体(51)とECU側コネクタ(62)を嵌合してしまうことがない。したがって、組み付け時において、可動部材(52)を第2の配置とすること、すなわち、配線(4)が規制部材(52a)によって押し曲げられて反嵌合方向に対して交差する方向に限定することを作業者が忘れたままとなってしまう可能性が低減される。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子装置において、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にない場合、前記延設部材(52b)と前記スリーブ部(62a)とがぶつかることで、前記配線(4)と前記ECU(6)との導通が妨げられることを特徴とする。
【0021】
このようになっていることで、可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して第2の配置とならない限り、配線(4)とECU(6)とが導通しない。
【0022】
したがって、作業者は、仮に組み付け時において可動部材(52)を第2の配置とすることを忘れてしまったとしても、その後の導通の確認作業において、配線(4)とECU(6)とが導通しないことに気づき、その原因を探す過程で可動部材(52)を第2の配置なっていないことを発見することができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明は、前記ECU側コネクタ(62)は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置において、前記配線側コネクタ本体(51)と嵌合する際に前記配線側コネクタ本体(51)を収容するスリーブ部(62a)を備え、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にあって前記配線側コネクタ本体(51)が前記ECU側コネクタ(62)に嵌合している場合、前記スリーブ部(62a)が障害物となって前記延設部材(52b)の前記配線側コネクタ本体(51)に対する回転を妨げることを特徴とする。
【0024】
このようになっていることで、可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して第2の配置にあって配線側コネクタ本体(51)がECU側コネクタ(62)に嵌合している場合、可動部材(52)が第2の配置から回転することができず、その結果、第2の配置が安定的に保持されることになる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電子装置において、前記延設部材(52b)の回転軸は、前記反嵌合方向に対して垂直になっており、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置にある場合、前記回転軸にも前記反嵌合方向にも垂直な方向において、前記可動部材(52)の存在する範囲は、前記配線側コネクタ本体(51)が存在する範囲内に収まっていることを特徴とする。
【0026】
このように、可動部材(52)が第1の配置にある場合、回転軸にも反嵌合方向にも垂直な方向において、配線側コネクタ本体(51)の体格よりも可動部材(52)の体格の方が小さくなり、かつ、可動部材(52)の存在する範囲が、配線側コネクタ本体(51)が存在する範囲内に収まることで、座席の穴に配線側コネクタ(5)を通すときに、可動部材(52)が邪魔になる可能性がより低下する。
【0027】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置において、前記規制部材(52a)のうち前記配線(4)を押し曲げる側の面には、当該面の他の部分よりも隆起した隆起部(52c)が形成されており、前記隆起部(52c)の当該面の周囲の部分に対する板面垂直方向の高さは、前記配線(4)の厚みを上回っており、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にある場合、前記配線側コネクタ本体(51)において前記配線(4)が突出する面に対して前記隆起部(52c)が接触するようになっていることを特徴とする。
【0028】
このようになっていることで、可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して第2の配置にある場合、配線側コネクタ本体(51)において配線(4)が突出する面に対して隆起部(52c)が接触するので、当該面と隆起部(52c)との間に、配線(4)の厚みよりも大きい空隙が存在する。したがって、この空隙に配線(4)が配置されることになり、配線(4)が規制部材(52a)と配線側コネクタ本体(51)に挟まれて強いストレスを受ける可能性が低下する。その結果、配線(4)の損傷の可能性が低下する。
【0029】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の電子装置において、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にある場合、前記規制部材(52a)は、前記反嵌合方向に垂直かつ前記延設部材(52b)の回転軸に垂直な方向に、前記配線側コネクタ本体(51)よりも突出していることを特徴とする。
【0030】
このように、配線(3)が押し曲げられる方向に前記規制部材(52a)が突出していることで、より確かに配線(4)の突出方向が規制される。
【0031】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電子装置において、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にある場合、前記規制部材(52a)によって前記配線(4)が曲げられる方向は、前記反嵌合方向に対して垂直な方向であることを特徴とする。
【0032】
このようになっていることで、そうでない場合に比べ、座席の下のスペースをより広く確保することができる。
【0033】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電子装置において、前記配線(4)は、フィルムに配線パターンが形成されたフィルム配線であることを特徴とする。
【0034】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電子装置前後に並ぶ2つの座席のうち前側の座席の下部に配置されることを特徴とする。
【0035】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の電子装置において、前記ECU(6)は、車両の座席の下部に配置されることを特徴とする。
【0036】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の電子装置において、前記配線(4)における前記ECU(6)側とは反対側の先端部に、車両の座席に着座する乗員の種別を検出する乗員検知用の回路(2)を備えたことを特徴とする。
【0037】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1ないし12に記載の電子装置において、前記乗員検知用の回路(2)は、静電容量方式で前記乗員の種別を検出することを特徴とする。
【0038】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の電子装置において、前記配線(4)における前記ECU(6)側とは反対側の先端部に、車両の座席への乗員の着座を検出する着座検知用の回路を備えたことを特徴とする。
【0039】
また、請求項15に記載の発明は、ECU(6)と導通するための配線(4)と、前記配線(4)における前記ECU(6)側の先端部に取り付けられると共に前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるために用いられる配線側コネクタ(5)と、を備え、前記配線側コネクタ(5)は、前記配線(4)の前記先端部を収容して前記ECU側コネクタ(62)と嵌合する配線側コネクタ本体(51)と、前記配線側コネクタ本体(51)に対して回転可能に取り付けられた可動部材(52)とを有し、前記配線側コネクタ本体(51)では、前記ECU(62)に嵌合する側とは反対側の面において、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)の内部から外部に突出しており、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向を規制するための板形状の規制部材(52a)と、前記規制部材(52a)に対して固定される延設部材(52b)と、を備え、前記延設部材(52b)は、前記規制部材(52a)から前記規制部材(52a)の板面に交差する方向に延び、また、前記配線側コネクタ本体(51)と係合し、また、前記配線側コネクタ本体(51)と当該延設部材(52b)との係合部分を回転軸として前記配線側コネクタ本体(51)に対し剛体回転可能となっており、それにより、前記延設部材(52b)および前記規制部材(52a)が共に前記配線側コネクタ本体(51)に対して剛体回転可能となり、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して第1の配置にあるとき、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出して前記配線側コネクタ本体(51)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない位置にあり、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置から第2の配置となるまで回転すると、前記規制部材(52a)が前記配線側コネクタ本体(51)のうち前記配線(4)が突出している部分に近づき、その結果、前記配線(4)が前記規制部材(52a)によって押し曲げられることで、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向が、前記反嵌合方向に対して交差する方向に限定されるようになっており、前記可動部材(52)は、前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にあって前記配線側コネクタ本体(51)が前記配線側コネクタ(5)と嵌合しているとき、前記第2の配置が保持されるようになっていることを特徴とする配線ユニットである。
【0040】
このように配線(4)および配線側コネクタ(5)とを備えた配線ユニットとしても、本発明を捉えることができる。
【0041】
また、請求項16に記載の発明は、配線(4)の先端部に取り付けられた配線側コネクタ(5)をECU(6)と嵌合させることで前記配線(4)を前記ECU(6)に導通させるための組み付け方法であって、前記ECU(6)は、前記配線側コネクタ(5)と嵌合することで前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるECU側コネクタ(62)を有し、前記配線側コネクタ(5)では、前記ECU側コネクタ(62)に嵌合する側とは反対側の面において、前記配線(4)が前記配線側コネクタ(5)の内部から外部に突出しており、前記配線側コネクタ(5)は、第1の状態と第2の状態の間で変化することのできる機構を有しており、前記配線側コネクタ(5)が前記第1の状態にあるとき、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ(5)から突出して前記配線側コネクタ(5)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げないようになっており、前記配線側コネクタ(5)が前記第1の状態から前記第2の状態に変化すると、前記配線(4)が前記配線側コネクタ(5)から突出する方向が、前記反嵌合方向に対して交差する方向に限定されるようになっており、当該組み付け方法は:前記配線側コネクタ(5)が前記第1の状態にある状態で、前記配線側コネクタ(5)を座席の上から前記座席に設けられた穴に通す工程と、前記配線側コネクタ(5)が前記穴を通過した後、前記配線側コネクタ(5)が前記第2の状態となるようにする工程と、前記第2の状態となるようにする工程の後、前記配線側コネクタ(5)が前記第2の状態となっているときに、前記配線側コネクタ(5)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる工程と、を備えたことを特徴とする組み付け方法である。
【0042】
また、請求項17に記載の発明は、配線(4)の先端部に取り付けられた配線側コネクタ(5)をECU(6)と嵌合させることで前記配線(4)を前記ECU(6)に導通させるための組み付け方法であって、前記ECU(6)は、前記配線側コネクタ(5)と嵌合することで前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるECU側コネクタ(62)を有し、前記配線側コネクタ(5)は、前記配線(4)の前記先端部を収容してECU側コネクタ(62)と嵌合する配線側コネクタ本体(51)と、前記配線側コネクタ本体(51)に対して変位可能に取り付けられた可動部材(52)とを有し、前記配線側コネクタ本体(51)では、前記ECU側コネクタ(62)に嵌合する側とは反対側の面において、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)の内部から外部に突出しており、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して第1の配置にあるとき、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出して前記配線側コネクタ本体(51)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない位置にあり、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置から第2の配置となるまで変位すると、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)のうち前記配線(4)が突出している部分に近づき、その結果、前記配線(4)が前記可動部材(52)によって押し曲げられることで、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向が、前記反嵌合方向に対して交差する方向に限定されるようになっており、前記可動部材(52)は、前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にあって前記配線側コネクタ本体(51)が前記配線側コネクタ(5)と嵌合しているとき、前記第2の配置が保持されるようになっており、当該組み付け方法は:前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置にある状態で、前記配線側コネクタ(5)を座席の上から前記座席に設けられた穴に通す工程と、前記配線側コネクタ(5)が前記穴を通過した後、前記可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して第2の配置となるよう、前記可動部材(52)を前記配線側コネクタ本体(51)に対して変位させる工程と、前記変位させる工程の後、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にある状態で、前記配線側コネクタ本体(51)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる工程と、を備えたことを特徴とする組み付け方法である。
【0043】
このように、配線(4)の先端部に取り付けられた配線側コネクタ(5)をECU(6)と嵌合させることで前記配線(4)を前記ECU(6)に導通させるための組み付け方法としても捉えることができる。
【0044】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る乗員検知装置の構成を示す概略図である。
【図2】配線側コネクタ5およびECU6の斜視図である。
【図3】ECU6の側面図である。
【図4】ECU6の正面図である。
【図5】第1の状態における配線側コネクタ本体51および可動部材52の斜視図である。
【図6】第2の状態における配線側コネクタ本体51および可動部材52の斜視図である。
【図7】配線側コネクタ本体51単体の三面図である。
【図8】可動部材52単体の三面図である。
【図9】第1の状態における配線側コネクタ5の正面図である。
【図10】第1の状態における配線側コネクタ5の側面図である。
【図11】第2の状態における配線側コネクタ5の側面図である。
【図12】第2の状態で配線側コネクタ5をECU側コネクタ62に嵌合した状態の部分断面図である。
【図13】第1の状態で配線側コネクタ5をECU側コネクタ62に嵌合しようとした状態の部分断面図である。
【図14】電子装置の座席への取り付け例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る乗員検知装置(特許請求の範囲の電子装置の一例に相当する)の構成を示す。この乗員検知装置は、車両内の座席(運転席、助手席、後部座席)のうち、助手席のみを検出対象としており、助手席に着座する乗員の種別(具体的には、大人、子供の別)を静電容量方式で検出するようになっている。
【0047】
図1(a)は、助手席の座部(着座時に乗員の臀部および大腿部が乗る部分)を真上から見た図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図であり、図1(c)は、図1(a)のB−B断面図である。ただし、図1(a)、図1(c)では、座部のシートカバー3の記載を省略している。以下では、上、下、前、後、右、左とは、この助手席を基準とした上下前後右左をいう。
【0048】
乗員検知装置は、座部のシートクッション1の上面とシートカバーとの間に挟まれて配置されたセンサマット2と、センサマット2と一体に形成されてセンサマット2の端部から延びる配線4と、配線4におけるセンサマット2とは逆側(すなわちECU6側)の先端部に取り付けられた配線側コネクタ5と、配線側コネクタ5の嵌合先である乗員検知用のECU6と、を備えている。ここで、配線4および配線側コネクタ5が、特許請求の範囲の配線ユニットを構成する。
【0049】
センサマット2は、助手席に着座する乗員の種別を静電容量方式で検出する乗員検知用の回路を備えた部材である。静電容量方式とは、座部に載る乗員の静電容量(またはインピーダンス)を検出することで、当該検出対象の検出を行う方式をいう。
【0050】
このセンサマット2は、シートクッション1の上面に両面テープ等で貼り付けられており、図2に示すように、中央部に穴が空いたほぼ矩形のフィルム形状を有する部材であり、薄肉状のPEN(ポリエチレンナフタレート)等のフィルムをベース部材とする。そしてセンサマット2は、フィルム内に図示しないメイン電極、およびガード電極を有している。これらメイン電極、およびガード電極は、ベース部材の表面に塗布される金属(例えば、カーボン、アルミニウム)である。
【0051】
メイン電極は、ベース部材の表面上に配置されている。ガード電極は、ベース部材のメイン電極とは反対側の表面上に対向配置されている。また、メイン電極、ガード電極の表面は、着座部3のセンサマット2以外の部分に直に接触しないよう、絶縁部材(例えば薄肉状のPEN)で覆われている。
【0052】
配線4は、センサマット2と一体に形成された細長いフィルム形状の部材であり、センサマット2の後側の一辺の左端部から延び出ており、シートクッション1の左後部の隅に上下に空けられた穴10を上から下に通り、ECU6側の先端部が、配線側コネクタ5に収容され、ECU6と導通している。
【0053】
この配線4も、センサマット2と同様、薄肉状のPEN等のフィルムをベース部材とし、そのベース部材の表面に金属(例えば、カーボン、アルミニウム)が塗布されている。この金属は、メイン電極およびガード電極と導通し、さらに、ECU6と導通することで、メイン電極とECU6とを導通させると共に、ガード電極とECU6とを導通させている。
【0054】
配線側コネクタ5は、配線4におけるECU6側の先端部に取り付けられると共に配線4とECU6とを導通させるために用いられる部材である。具体的には、配線4が取り付けられた配線側コネクタ5をECU6に嵌合させることで、ECU6と配線4の導線との導通が実現し、ひいては配線4のECU6側とは反対側の先端部に接続された回路(すなわちセンサマット2の各電極)とECU6との導通が実現する。
【0055】
ECU6は、センサマット2の直下のスペースに配置されている。より具体的には、ECU6は、穴10の直下で、ブラケット7を介してシートフレーム8に固定されている。
【0056】
このように固定された状態のECU6に対して、配線側コネクタ5は水平方向(より具体的には右方向)から嵌合するようになっている。以下、配線側コネクタ5をECU6に嵌合させるときに配線側コネクタ5を移動させる方向を、嵌合方向といい、嵌合方向とは正反対の方向を反嵌合方向という。この状態で、配線側コネクタ5から延びる配線4は、保護カバー9によって、ECU6とは反対側の物体(例えば後部座席の乗員の足)から保護されている。
【0057】
このECU6は、内部回路と、内部回路を収容して保護する樹脂製(例えばPBT)の筐体とから成る。内部回路としては、センサマット2の各電極に印加するための一定電圧の高周波電圧を発生する発振回路、各電極に流れる電流値を検出する電流検出抵抗器とを備えている。そしてECU6は、電流検出抵抗器が検出した検出結果に基づいて、助手席に着座する乗員の有無、助手席に着座する乗員の種別等を判定し、その判定結果を図示しないエアバックECU等の他の電子装置に出力する。エアバックECUは、ECU6から受けた判定結果の信号に基づいて、エアバック等の制御を行う。
【0058】
以下、配線側コネクタ5およびECU6の詳細な構造について、図2〜図8を用いて説明する。図2に、配線側コネクタ5およびECU6の斜視図を示し、図3および図4にそれぞれECU6の側面図(座席の右側から見た図)および正面図(座席の後側から見た図)を示す。
【0059】
ECU6の筐体は、内部回路を収容する本体部61に加え、ECU側コネクタ62および外部接続部63を有している。ECU側コネクタ62は、配線側コネクタ5と嵌合することで配線4とECU6の内部回路とを導通させるための部材である。外部接続部63は、上述のエアバックECU等の他の電子装置と電気的に接続するためのコネクタ部材である。
【0060】
ECU側コネクタ62は、本体部61に対して一体に形成され、ECU6がシートフレーム8に固定された状態において、本体部61の直下に位置し、かつ、その開口部が水平右方向を向くようになっている。このようになっていることで、嵌合方向が水平左方向となる。
【0061】
このECU側コネクタ62は、配線側コネクタ5と嵌合する際に配線側コネクタ5の一部を収容するスリーブ部62aと、スリーブ部62aの嵌合方向端部の開口を塞ぐように設けられた基底部62bとを有している。そして基底部62bからは、複数本(具体的には5本)のオス端子64が、スリーブ部62aで囲まれた部分に突出している。このオス端子64は、ECU6の内部回路と導通しており、さらに後述するように、配線側コネクタ5とECU側コネクタ62とが嵌合したときに配線4と導通する。
【0062】
また、スリーブ部62aの反嵌合方向側の端部においては、下側部分が切り欠かれた形状となっている。これにより、スリーブ部62aの反嵌合方向側の端部においては、上側部分(以下、突出部という)が下側部分よりも反嵌合方向に突出している。
【0063】
図2に示す通り、配線側コネクタ5は、樹脂製(例えばPBT)の配線側コネクタ本体51および樹脂製(例えばPBT)の可動部材52を有している。配線側コネクタ本体51は、配線4の嵌合方向の先端部を収容して配線側コネクタ5と嵌合する部分である。可動部材52は、配線側コネクタ本体51とは別体の部材であり、配線側コネクタ本体51に対して回転可能に取り付けられている。
【0064】
図5および図6に、配線側コネクタ本体51および可動部材52の斜視図を示す。また、図7に、配線側コネクタ本体51単体の三面図を示し、図8に、可動部材52単体の三面図を示す。
【0065】
図7(a)は、配線側コネクタ本体51を嵌合方向側から見た図であり、図7(b)は、配線側コネクタ本体51を図7(a)の右側から見た図であり、図7(c)は、配線側コネクタ本体51を図7(b)の上側から見た図である。図8(b)は、可動部材52を図8(a)の右側から見た図であり、図8(c)は、可動部材52を図8(a)の上側から見た図である。
【0066】
図5〜図7に示すように、配線側コネクタ本体51は、胴部51a、嵌合穴形成部51b、2つの軸部材51c、2つの爪部材51d、および複数のガイド部材51eを有している。これら胴部51a、嵌合穴形成部51b、軸部材51c、爪部材51d、およびガイド部材51eは、一体に形成されている。胴部51aは、配線4を収容する略直方体形状の部材である。
【0067】
嵌合穴形成部51bは、配線側コネクタ本体51の嵌合方向側の先端において、配線側コネクタ本体51の内部と外部とを連通させる穴を複数個(具体的には5個)形成する部材である。配線側コネクタ本体51とECU側コネクタ62との嵌合時には、この穴にECU6のオス端子64が挿入されることで、ECU6のオス端子64と配線4とが導通するようになっている。
【0068】
軸部材51cは、配線側コネクタ本体51の嵌合方向に平行な側面のうち、嵌合時に前後方向を向く2つの面のそれぞれから垂直に突出している略円柱形状の部材である。各面中で軸部材51cが設けられている位置は、反嵌合方向の端部のうち、嵌合時(すなわち、シートフレーム8に固定されたECU6に配線側コネクタ本体51が嵌合したとき)に下方向に位置する部分である。この2つの軸部材51cは、互いに同軸となるように配置されている。この軸部材51cのそれぞれには、可動部材52が係合するようになっている。
【0069】
爪部材51dは、軸部材51cと同じ面に設けられている。この軸部材51cの機能については後述する。
【0070】
ガイド部材51eは、配線側コネクタ本体51をECU側コネクタ62に嵌合させるときに配線側コネクタ本体51の移動をガイドするための突起である。これらガイド部材51eは、ECU側コネクタ62のスリーブ部62aの内側に設けられた溝に嵌ってスライドするようになっており、それによって、配線側コネクタ本体51の移動をガイドすることができる。ガイド部材51eが設けられる位置は、配線側コネクタ本体51の嵌合方向に平行な側面のうち、嵌合時に下方向を向く面である。
【0071】
また、配線側コネクタ本体51では、反嵌合方向側(ECU側コネクタ62に嵌合する側とは反対側)の面には、図示しない穴が形成されており、この穴を通って、配線4が配線側コネクタ本体51の内部から外部に突出している。
【0072】
図5、6、8に示すように、可動部材52は、平板形状の規制部材52aおよび2つの延設部材52bを有している。これら規制部材52aおよび延設部材52bは一体に形成されている。
【0073】
規制部材52aは、配線4が配線側コネクタ本体51から突出する方向を規制するための平板状の部材である。この規制部材52aの形状は、角が丸まった長方形の一辺の中央部が長方形に切り欠かれた平板形状となっている。
【0074】
また、規制部材52aのうち配線4を押し曲げる側の面には、当該面の他の部分よりも(規制部材52aの板面に垂直かつ配線側コネクタ本体51に当たる側に)隆起した2つの隆起部52cが形成されている。この隆起部52cの当該面の周囲の部分に対する高さ(規制部材52aの板面に垂直な方向の高さ)は、配線4の厚みを上回っている。また、この2つの隆起部52cの間の間隔は、配線4の幅よりも長くなっている。
【0075】
2つの延設部材52bは、規制部材52aの4辺のうち、四角形に切り欠かれた辺に隣接する2辺のそれぞれに固定された板形状の部材である。そして各延設部材52bは、規制部材52aから規制部材52aの板面に直交する方向であり、かつ隆起部52cの隆起する側に延びている。したがって、2つの規制部材52aは互いに平行に配置されている。
【0076】
また、2つの延設部材52bは、穴形成部52dを有しており、この穴形成部52dによって形成された穴11のそれぞれに配線側コネクタ本体51の軸部材51cが嵌め込まれている。これによって、可動部材52と配線側コネクタ本体51との係合が実現する。そして延設部材52bは、この可動部材52と配線側コネクタ本体51との係合部分(すなわち軸部材51c)を回転軸として、配線側コネクタ本体51に対して剛体回転可能となっている。それにより、延設部材52bおよび規制部材52aが共に同期して配線側コネクタ本体51に対して剛体回転可能となる。なお、この回転軸は、嵌合方向(および反嵌合方向)に垂直となっている。
【0077】
このような可動部材52の回転機構により、配線側コネクタ5は、配線側コネクタ本体51に対する可動部材52の相対的な配置が異なる2つの状態間で変化することができる。2つの状態のうち第1の状態は、図5に示すような状態であり、第2の状態は、図6に示すような状態である。
【0078】
すなわち、第1の状態においては、規制部材52aの板面が反嵌合方向に平行になっており、規制部材52aから延設部材52bが延びる方向が反嵌合方向に垂直になっている。このような可動部材52の配線側コネクタ本体51に対する配置を、第1の配置という。このように、規制部材52aの板面が反嵌合方向に対して平行になっており、延設部材52bは配線側コネクタ本体51のうち配線4が突出していない面において回転するだけなので、第1の状態において可動部材52は、図5に示すように配線4が配線側コネクタ本体51から突出して反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない位置にある。
【0079】
また、可動部材52が配線側コネクタ本体51に対して第1の配置から第2の配置となるまで回転すると、すなわち、配線側コネクタ5が図5に示す第1の状態から図6に示す第2の状態まで変化すると、規制部材52aが配線側コネクタ本体51のうち配線4が突出している部分に近づき、その結果、配線4が規制部材52aによって押し曲げられることで、配線4が配線側コネクタ本体51から突出する方向が、反嵌合方向に対して直交する方向に限定される。また、規制部材52aから延設部材52bが延びる方向が嵌合方向と同じ方向になっている。
【0080】
なおこの第2の状態においては、配線側コネクタ本体51において配線4が突出する面に対して隆起部52cが接触するようになっている。このように、可動部材52が配線側コネクタ本体51に対して第2の配置にある場合、配線側コネクタ本体51において配線4が突出する面に対して隆起部52cが接触するので、当該面と隆起部52cとの間に、配線4の厚みよりも大きい空隙が存在する。したがって、この空隙に配線4が配置されることになり、配線4が規制部材52aと配線側コネクタ本体51に挟まれて強いストレスを受ける可能性が低下する。その結果、配線4の損傷の可能性が低下する。
【0081】
またこの第2の状態においては、可動部材52は、反嵌合方向に垂直な方向に、配線側コネクタ本体51よりも突出している。このようになっていることで、より確かに配線4の突出方向が規制される。
【0082】
なお、可動部材52が第2の配置にある場合、爪部材51dが延設部材52bに引っかかることで、可動部材52が第1の配置まで戻ることが妨げられる。このようになっていることで、可動部材52は、配線側コネクタ本体51に対して第2の配置にあるとき、当該第2の配置が保持されるようになっている。ただし、延設部材52bを配線側コネクタ本体51から引き離すように力を加えることで、延設部材52bを僅かに弾性変形させ、その状態のまま可動部材52を回転させれば、第1の配置に戻すことができる。
【0083】
次に、以上のような構成の乗員検知装置を座席(具体的には助手席)および助手席の直下に組み付ける方法について説明する。
【0084】
まず第1の工程として、図1(c)に示すように、ブラケット7を介してECU6をシートフレーム8にネジ等で固定する。このとき、既述の通り、ECU6が助手席の直下かつ穴10の直下にあり、嵌合方向が左方向となるようにする。続いて第2の工程として、図1(a)に示すように、センサマット2をシートクッション1の上面に両面テープ等で貼り付ける。
【0085】
続いて第3の工程として、図9、図10に示すように、可動部材52を配線側コネクタ本体51に対して第1の配置にセットする。なお、図9は、配線側コネクタ5を嵌合方向12側から見た正面図であり、図10は、図9の右側から配線側コネクタ5を見た側面図である。
【0086】
このとき、図10に示すように、可動部材52の回転軸51cにも反嵌合方向12にも垂直な方向(以下、単に厚み方向という)において、延設部材52bの存在する範囲Hは、配線側コネクタ本体51が存在する範囲L内に収まっている。ここで、延設部材52bの存在する厚み方向の範囲Hとは、可動部材52を反嵌合方向に射影した像の厚み方向の範囲をいい、配線側コネクタ本体51が存在する範囲Lとは、配線側コネクタ本体51を反嵌合方向に射影した像の厚み方向の範囲をいう。
【0087】
このようになる理由の1つ目は、厚み方向に平行な図10中の上方向を正の厚み方向とし、厚み方向に平行な図10中の下方向を逆の厚み方向とすると、第1の状態において、軸部材51cの回転中心から正の厚み方向に沿った配線側コネクタ本体51の端部までの長さpよりも、軸部材51cの回転中心から正の厚み方向に平行な第1の方向に沿った延設部材52bの端部までの長さqの方が短いことである。
【0088】
また、このようになる理由の2つ目は、第1の状態において、軸部材51cの回転中心から逆の厚み方向に沿った配線側コネクタ本体51の端部までの長さrよりも、軸部材51cの回転中心から逆の厚み方向に沿った延設部材52bの端部までの長さsの方が短いことである。また、これを実現するために、第1の状態においてガイド部材51eと規制部材52aとが干渉しないよう、既述の通り規制部材52aに切り欠きが設けられている。
【0089】
続いて第4の工程として、配線側コネクタ5が第1の状態にある状態で、配線側コネクタ5を座席の上から座席に設けられた穴10に通す。この場合、可動部材52は、配線4が配線側コネクタ本体51から突出して反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない。したがって、配線側コネクタ5を嵌合方向側の先端部から穴10に通す際には、配線4が配線側コネクタ5の後に従って真っ直ぐ穴10を通るので、穴の大きさは配線側コネクタ5が容易に通ることのできる大きさであれば足りる。すなわち、穴の大きさの増大を抑えることができる。
【0090】
また、可動部材52が第1の配置にある場合、回転軸51cにも反嵌合方向にも垂直な方向において、配線側コネクタ本体51の体格よりも可動部材52の体格の方が小さくなり、かつ、厚み方向において、可動部材52の存在する範囲が、配線側コネクタ本体51が存在する範囲内に収まることで、座席の穴10に配線側コネクタ5を通すときに、可動部材52が邪魔になる可能性がより低下する。
【0091】
続いて第5の工程として、配線側コネクタ5が穴10を通過した後、図11に示すように、配線側コネクタ5が第2の状態となるように、可動部材52を軸部材51cの周りに回転させる(すなわち、可動部材52を変位させる)。このようにすれば、配線4が規制部材52aによって押し曲げられることで、配線4が配線側コネクタ本体51から突出する方向が、上記反嵌合方向に対して直交するする方向に限定される。
【0092】
続いて第6の工程として、配線側コネクタ5が第2の状態となっているときに、配線側コネクタ本体51をECU側コネクタ62に嵌合させ、配線側コネクタ本体51を正規位置にセットする。そして、配線側コネクタ5から反嵌合側に僅かに離れた位置に保護カバー9を(車体に対して)固定する。
【0093】
ここで、配線側コネクタ本体51の正規位置とは、配線側コネクタ本体51がECU側コネクタ62に当接することで、配線側コネクタ本体51をそれ以上嵌合方向に動かすことができないようになった位置をいう。
【0094】
このとき、図1(c)に示すように、配線4が上方、すなわち穴10の方向に強制的に曲げられるので、配線4の経路が膨らむ量が低減され、その分、保護カバー9をよりECU6に近づけることができ、その結果、助手席下部のスペースの減少を抑えることができる。
【0095】
図12に、ECU側コネクタ62に第2の状態の配線側コネクタ5が挿入され、正規位置で嵌合した状態を示す。なお、図12中、1点鎖線よりも左側の部分は断面図となっている。この図に示すように、第2の状態では、延設部材52bが第2の配置となっており、スリーブ部62aの切り欠きに延設部材52bが嵌ることで、スリーブ部62aと延設部材52bとが干渉することなく嵌合が実現する。嵌合が実現した場合には、ECU6のオス端子64と配線側コネクタ本体51内に固定されて配線4と導通するメス端子54とが導通し、その結果、配線4とECU6の内部回路とが導通する。
【0096】
そして、このように嵌合が実現した状態において、可動部材52は第2の配置で保持されるようになっている。その理由の1つ目は、上述のように爪部材51dによって第2の配置が保持されていることである。理由の2つ目は、第2の状態において、延設部材52bとスリーブ部62aの突出部の下端とが位置Tにおいて接触していることである。このようになっていることで、可動部材52を第2の配置以外にするために回転させようとしても、スリーブ部62aが障害物となって回転を妨げているので、回転できない。
【0097】
このようになっていることで、可動部材52が配線側コネクタ本体51に対して第2の配置にあって配線側コネクタ本体51が可動部材52に嵌合している場合、可動部材52が第2の配置から回転することができず、その結果、第2の配置が安定的に保持されることになる。したがって、座席下部のスペースの減少を抑える効果が嵌合後も持続する。
【0098】
そして、可動部材52は、配線側コネクタ本体51に対して第2の配置にあって配線側コネクタ本体51が配線側コネクタ5と嵌合しているとき、第2の配置が保持されるようになっている。
【0099】
しかも、延設部材52bは、規制部材52aから規制部材52aの板面に交差する方向に延び、また、前記配線側コネクタ本体51と係合し、また、配線側コネクタ本体51と当該延設部材52bとの係合部分を回転軸として前記配線側コネクタ本体51に対し剛体回転可能となっており、それにより、延設部材52bおよび規制部材52aが共に配線側コネクタ本体51に対して剛体回転可能となっている。
【0100】
このように、可動部材52が配線側コネクタ本体51と係合して剛体回転するような構成になっていることで、可動部材52が配線側コネクタ本体51に対して回転可能とするための構成が、例えば一部を折れ曲がり可能な柔軟な部材(特許文献1の図14、15の胴部52とロック片54との間の部材)とする場合に比べ、簡易かつ耐久性が高いものとなる。
【0101】
なお、配線側コネクタ5が第2の状態にない場合は、配線側コネクタ本体51がECU側コネクタ62と嵌合することができず、また、配線4とECU6の内部回路も導通することはできない。
【0102】
このことを示すために、第1の状態にある配線側コネクタ5をECU側コネクタ62に嵌合させようとして挿入した場合について、図13を用いて説明する。この図13においても、1点鎖線よりも左側の部分は断面図となっている。
【0103】
この図に示すように、可動部材52が配線側コネクタ本体51に対して第2の配置になく第1の配置にある場合、延設部材52bとスリーブ部62aの突出部の右端(反嵌合方向の端部)とが位置Uでぶつかることで、配線側コネクタ本体51と前記ECU側コネクタ62との嵌合が妨げられる。このようになるのは、第1の状態における延設部材52bの厚み方向の長さよりも、第2の状態における延設部材52bの厚み方向の長さが長くなっているからである。
【0104】
このようになっていることで、可動部材52が配線側コネクタ本体51に対して第2の配置とならない限り、配線側コネクタ本体51とECU側コネクタ62とが嵌合しない。したがって、作業者は、可動部材52を第2の配置にセットすることを忘れた状態で配線側コネクタ本体51とECU側コネクタ62を嵌合してしまうことがない。したがって、組み付け時において、可動部材52を第2の配置とすること、すなわち、配線4が規制部材52aによって押し曲げられて反嵌合方向に対して交差する方向に限定することを作業者が忘れたままとなってしまう可能性が低減される。
【0105】
さらに、図13の状態では、オス端子64とメス端子54とが接触しないので、配線4とECU6の内部回路との導通も妨げられる。このようになるのは、第1の状態における延設部材52bの嵌合方向側の端部(位置U)からメス端子54の嵌合方向側の端部までの距離が、第1の状態におけるスリーブ部62aの突出部の反嵌合方向側の端部(位置U)からオス端子64の反嵌合方向側の端部までの距離よりも短くなっているからである。
【0106】
このようになっていることで、可動部材52が配線側コネクタ本体51に対して第2の配置とならない限り、配線4とECU6の内部回路とが導通しない。したがって、作業者は、仮に組み付け時において可動部材52を第2の配置とすることを忘れてしまったとしても、その後の導通の確認作業において、配線4とECU6の内部回路とが導通しないことに気づき、その原因を探す過程で可動部材52を第2の配置なっていないことを発見することができる。
【0107】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0108】
例えば、第2の状態では、配線4が配線側コネクタ本体51から突出する方向が、反嵌合方向に対して直交する方向に限定されるのではなく、単に交差する方向に限定されるようになっていてもよい。この場合でも、ある程度のスペースの確保は実現する。
【0109】
また、可動部材52は、回転に限らず、配線側コネクタ本体51に対して可動あって、第1の状態と第2の状態との間で変位するようになっていればよい。
【0110】
また、上記実施形態では、延設部材52bは、規制部材52aから規制部材52aの板面に直交する方向に延びているが、直交する方向に限らず、規制部材52aの板面に交差する方向であればよい。
【0111】
また、乗員検知装置の搭載先は、助手席のみならず、運転席、後部座席であってもよい。運転席の下のスペースは、その運転席の真後ろにある後部座席に座る人の足が入るスペースであるから、より広く確保した方が望ましい。また、後部座席の下のスペースは、荷物の収納スペースとなる場合があるので、その場合は、より広く確保した方が望ましい。
【0112】
また、延設部材52bの回転軸は、反嵌合方向に対して必ずしも垂直になっておらずともよい。延設部材52bの回転軸は、反嵌合方向に対して非平行であればよい。
【0113】
延設部材52bの回転軸は、配線側コネクタ本体51ではなく、延設部材52b自体に設けられていてもよい。その場合は、配線側コネクタ本体51には軸受け用の窪みがあればよい。
【0114】
また、上記実施形態では、本発明の電子装置の一例として、静電容量方式の乗員検知装置を採用している。しかし、本発明の電子装置は、このようなものにかぎらず、静電容量方式以外の乗員検知装置であってもよいし、座席の座部に設置された感圧センサを備え、座席への乗員の着座の有無を検出する着座センサであってもよい。
【0115】
また、本発明の電子装置が取り付けられる対象となる座席は、必ずしも車両の座席でなくともよい。例えば、船舶や航空機の座席であってもよいし、映画館の座席であってもよい。船舶、航空機、映画館の座席では、複数の座席が前後に並んでいるが、前後に並ぶ2つの座席のうち前側の座席の下部に電子装置が配置されていれば、後部座席に着座する人の足のスペースを広く確保できる。また、後に座席がない座席の下部に電子装置が搭載された場合であっても、座席下部に荷物置き場等のスペースが確保できる。
【符号の説明】
【0116】
1 シートクッション
2 センサマット
4 配線
5 配線側コネクタ
6 ECU
10 穴
51 配線側コネクタ本体
51c 軸部材
51d 爪部材
52 可動部材
52a 規制部材
52b 延設部材
52c 隆起部
52d 穴形成部
54 メス端子
62 ECU側コネクタ
62a スリーブ部
64 オス端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ECU(6)と、
前記ECU(6)と導通するための配線(4)と、
前記配線(4)における前記ECU(6)側の先端部に取り付けられると共に前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるために用いられる配線側コネクタ(5)と、を備え、
前記ECU(6)は、前記配線側コネクタ(5)と嵌合することで前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるECU側コネクタ(62)を有し、
前記配線側コネクタ(5)は、前記配線(4)の前記先端部を収容して前記ECU側コネクタ(62)と嵌合する配線側コネクタ本体(51)と、前記配線側コネクタ本体(51)に対して回転可能に取り付けられた可動部材(52)とを有し、
前記配線側コネクタ本体(51)では、前記ECU側コネクタ(62)に嵌合する側とは反対側の面において、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)の内部から外部に突出しており、
前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向を規制するための板形状の規制部材(52a)と、前記規制部材(52a)に対して固定される延設部材(52b)と、を備え、
前記延設部材(52b)は、前記規制部材(52a)から前記規制部材(52a)の板面に交差する方向に延び、また、前記配線側コネクタ本体(51)と係合し、また、前記配線側コネクタ本体(51)と当該延設部材(52b)との係合部分を回転軸として前記配線側コネクタ本体(51)に対し剛体回転可能となっており、それにより、前記延設部材(52b)および前記規制部材(52a)が共に前記配線側コネクタ本体(51)に対して剛体回転可能となり、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して第1の配置にあるとき、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出して前記配線側コネクタ本体(51)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない位置にあり、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置から第2の配置となるまで回転すると、前記規制部材(52a)が前記配線側コネクタ本体(51)のうち前記配線(4)が突出している部分に近づき、その結果、前記配線(4)が前記規制部材(52a)によって押し曲げられることで、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向が、前記反嵌合方向に対して交差する方向に限定されるようになっており、
前記可動部材(52)は、前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にあって前記配線側コネクタ本体(51)が前記配線側コネクタ(5)と嵌合しているとき、前記第2の配置が保持されるようになっていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記ECU側コネクタ(62)は、前記配線側コネクタ本体(51)と嵌合する際に前記配線側コネクタ本体(51)を収容するスリーブ部(62a)を備え、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にない場合、前記延設部材(52b)と前記スリーブ部(62a)とがぶつかることで、前記配線側コネクタ本体(51)と前記ECU側コネクタ(62)との嵌合が妨げられることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にない場合、前記延設部材(52b)と前記スリーブ部(62a)とがぶつかることで、前記配線(4)と前記ECU(6)との導通が妨げられることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記ECU側コネクタ(62)は、前記配線側コネクタ本体(51)と嵌合する際に前記配線側コネクタ本体(51)を収容するスリーブ部(62a)を備え、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にあって前記配線側コネクタ本体(51)が前記ECU側コネクタ(62)に嵌合している場合、前記スリーブ部(62a)が障害物となって前記延設部材(52b)の前記配線側コネクタ本体(51)に対する回転を妨げることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記延設部材(52b)の回転軸は、前記反嵌合方向に対して垂直になっており、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置にある場合、前記回転軸にも前記反嵌合方向にも垂直な方向において、前記可動部材(52)の存在する範囲は、前記配線側コネクタ本体(51)が存在する範囲内に収まっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
前記規制部材(52a)のうち前記配線(4)を押し曲げる側の面には、当該面の他の部分よりも隆起した隆起部(52c)が形成されており、前記隆起部(52c)の当該面の周囲の部分に対する板面垂直方向の高さは、前記配線(4)の厚みを上回っており、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にある場合、前記配線側コネクタ本体(51)において前記配線(4)が突出する面に対して前記隆起部(52c)が接触するようになっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項7】
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にある場合、前記規制部材(52a)は、前記反嵌合方向に垂直かつ前記延設部材(52b)の回転軸に垂直な方向に、前記配線側コネクタ本体(51)よりも突出していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項8】
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にある場合、前記規制部材(52a)によって前記配線(4)が曲げられる方向は、前記反嵌合方向に対して垂直な方向であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項9】
前記配線(4)は、フィルムに配線パターンが形成されたフィルム配線であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項10】
前後に並ぶ2つの座席のうち前側の座席の下部に配置されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項11】
前記ECU(6)は、車両の座席の下部に配置されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項12】
前記配線(4)における前記ECU(6)側とは反対側の先端部に、車両の座席に着座する乗員の種別を検出する乗員検知用の回路(2)を備えたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項13】
前記乗員検知用の回路(2)は、静電容量方式で前記乗員の種別を検出することを特徴とする請求項1ないし12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記配線(4)における前記ECU(6)側とは反対側の先端部に、車両の座席への乗員の着座を検出する着座検知用の回路を備えたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項15】
ECU(6)と導通するための配線(4)と、
前記配線(4)における前記ECU(6)側の先端部に取り付けられると共に前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるために用いられる配線側コネクタ(5)と、を備え、
前記配線側コネクタ(5)は、前記配線(4)の前記先端部を収容して前記ECU側コネクタ(62)と嵌合する配線側コネクタ本体(51)と、前記配線側コネクタ本体(51)に対して回転可能に取り付けられた可動部材(52)とを有し、
前記配線側コネクタ本体(51)では、前記ECU(62)に嵌合する側とは反対側の面において、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)の内部から外部に突出しており、
前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向を規制するための板形状の規制部材(52a)と、前記規制部材(52a)に対して固定される延設部材(52b)と、を備え、
前記延設部材(52b)は、前記規制部材(52a)から前記規制部材(52a)の板面に交差する方向に延び、また、前記配線側コネクタ本体(51)と係合し、また、前記配線側コネクタ本体(51)と当該延設部材(52b)との係合部分を回転軸として前記配線側コネクタ本体(51)に対し剛体回転可能となっており、それにより、前記延設部材(52b)および前記規制部材(52a)が共に前記配線側コネクタ本体(51)に対して剛体回転可能となり、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して第1の配置にあるとき、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出して前記配線側コネクタ本体(51)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない位置にあり、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置から第2の配置となるまで回転すると、前記規制部材(52a)が前記配線側コネクタ本体(51)のうち前記配線(4)が突出している部分に近づき、その結果、前記配線(4)が前記規制部材(52a)によって押し曲げられることで、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向が、前記反嵌合方向に対して交差する方向に限定されるようになっており、
前記可動部材(52)は、前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にあって前記配線側コネクタ本体(51)が前記配線側コネクタ(5)と嵌合しているとき、前記第2の配置が保持されるようになっていることを特徴とする配線ユニット。
【請求項16】
配線(4)の先端部に取り付けられた配線側コネクタ(5)をECU(6)と嵌合させることで前記配線(4)を前記ECU(6)に導通させるための組み付け方法であって、
前記ECU(6)は、前記配線側コネクタ(5)と嵌合することで前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるECU側コネクタ(62)を有し、
前記配線側コネクタ(5)では、前記ECU側コネクタ(62)に嵌合する側とは反対側の面において、前記配線(4)が前記配線側コネクタ(5)の内部から外部に突出しており、
前記配線側コネクタ(5)は、第1の状態と第2の状態の間で変化することのできる機構を有しており、
前記配線側コネクタ(5)が前記第1の状態にあるとき、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ(5)から突出して前記配線側コネクタ(5)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げないようになっており、
前記配線側コネクタ(5)が前記第1の状態から前記第2の状態に変化すると、前記配線(4)が前記配線側コネクタ(5)から突出する方向が、前記反嵌合方向に対して交差する方向に限定されるようになっており、
当該組み付け方法は:
前記配線側コネクタ(5)が前記第1の状態にある状態で、前記配線側コネクタ(5)を座席の上から前記座席に設けられた穴に通す工程と、
前記配線側コネクタ(5)が前記穴を通過した後、前記配線側コネクタ(5)が前記第2の状態となるようにする工程と、
前記第2の状態となるようにする工程の後、前記配線側コネクタ(5)が前記第2の状態となっているときに、前記配線側コネクタ(5)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる工程と、を備えたことを特徴とする組み付け方法。
【請求項17】
配線(4)の先端部に取り付けられた配線側コネクタ(5)をECU(6)と嵌合させることで前記配線(4)を前記ECU(6)に導通させるための組み付け方法であって、
前記ECU(6)は、前記配線側コネクタ(5)と嵌合することで前記配線(4)と前記ECU(6)とを導通させるECU側コネクタ(62)を有し、
前記配線側コネクタ(5)は、前記配線(4)の前記先端部を収容してECU側コネクタ(62)と嵌合する配線側コネクタ本体(51)と、前記配線側コネクタ本体(51)に対して変位可能に取り付けられた可動部材(52)とを有し、
前記配線側コネクタ本体(51)では、前記ECU側コネクタ(62)に嵌合する側とは反対側の面において、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)の内部から外部に突出しており、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して第1の配置にあるとき、前記可動部材(52)は、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出して前記配線側コネクタ本体(51)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる方向とは正反対の反嵌合方向に真っ直ぐ延びるのを妨げない位置にあり、
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置から第2の配置となるまで変位すると、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)のうち前記配線(4)が突出している部分に近づき、その結果、前記配線(4)が前記可動部材(52)によって押し曲げられることで、前記配線(4)が前記配線側コネクタ本体(51)から突出する方向が、前記反嵌合方向に対して交差する方向に限定されるようになっており、
前記可動部材(52)は、前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にあって前記配線側コネクタ本体(51)が前記配線側コネクタ(5)と嵌合しているとき、前記第2の配置が保持されるようになっており、
当該組み付け方法は:
前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第1の配置にある状態で、前記配線側コネクタ(5)を座席の上から前記座席に設けられた穴に通す工程と、
前記配線側コネクタ(5)が前記穴を通過した後、前記可動部材(52)が配線側コネクタ本体(51)に対して第2の配置となるよう、前記可動部材(52)を前記配線側コネクタ本体(51)に対して変位させる工程と、
前記変位させる工程の後、前記可動部材(52)が前記配線側コネクタ本体(51)に対して前記第2の配置にある状態で、前記配線側コネクタ本体(51)を前記ECU側コネクタ(62)に嵌合させる工程と、を備えたことを特徴とする組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−60538(P2011−60538A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208031(P2009−208031)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】