説明

EP4受容体アンタゴニストとしてのヘテロ環式アミド誘導体

本発明は、本願で定義する式(I)の化合物(またはその医薬的に許容される塩)、その医薬組成物、および製造におけるそれらの使用、ならびに治療法(therapeutic treatment)としてプロスタグランジンEP4受容体の拮抗作用を含む生物学的プロセスを調節する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第61/188,888号に対する優先権を主張するものであって、その全内容は参照することによって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、ヘテロ環式アミド誘導体、またはそれらの医薬的に許容される塩、医薬的に許容されるプロドラッグ、それらから製造される医薬組成物、およびヒトを含む哺乳類におけるそれらの医学的用途に関する。本発明の化合物は、プロスタグランジンE2受容体アンタゴニストとしての活性を有し、疼痛および炎症、ならびに関節炎などの他の炎症関連障害の治療または軽減に有用である。
【0003】
プロスタグランジンは、疼痛、発熱および炎症と関連する他の症状のメディエーターである。プロスタグランジンE2(PGE2)は、炎症と関連する主なエイコサノイドである。さらに、PGE2は、痛覚過敏、子宮収縮、消化蠕動、覚醒(awakeness)、胃酸分泌の抑制、血圧、血小板機能、骨代謝、および血管形成などの様々な生理的および/または病理学的状態にも関与する。異なる薬理学的特性を示す4つのPGE2受容体サブタイプ(EP1、EP2、EP3およびEP4)が同定され、クローン化されている。EP4サブタイプ、Gs共役受容体は、cAMP生成を刺激し、広範な組織型に分布しているが、これはPGE2媒介生物学的事象における主要な役割を示唆するものである。特許公報WO96/06822、WO96/11902、EP752421−A1、WO03/16254、WO05/021508、およびWO07/121578は、プロスタグランジン媒介疾患の治療のための様々な化合物を開示している。
【0004】
プロスタノイド受容体ならびにそれらの最も一般に用いられる選択的アゴニストおよびアンタゴニストの特徴づけおよび治療関連性が研究されている:Eicosanoids: From Biotechnology to Therapeutic Applications, Folco, Samuelsson, Maclouf, and Velo eds, Plenum Press, New York, 1996, chap. 14, 137-154; Journal of Lipid Mediators and Cell Signalling, 1996, 14, 83-87; and Prostaglandins and Other Lipid Mediators, 2002, 69, 557-573.
【0005】
それゆえ、選択的プロスタグランジンリガンド、アゴニストまたはアンタゴニストは、いずれのプロスタグランジンE受容体サブタイプが考慮されているかに依存して、通常の非ステロイド性抗炎症薬と類似の抗炎症性、解熱性および鎮痛性を有する。さらに、選択的プロスタグランジンリガンドは、血管恒常性、生殖、胃腸機能および骨代謝に対する効果を有する。無差別のシクロオキシゲナーゼ阻害剤であるNSAIDと異なり、選択的プロスタグランジンリガンドは副作用の減少をもたらしうる。特に、該化合物は、胃腸毒性の可能性の減少、腎臓副作用の可能性の減少、出血時間に対する減少効果、およびアスピリン感受性の対象における喘息発作の誘発の減少をもたらすと信じられている。
【0006】
研究は、マウスにおいてコラーゲン抗体注射によって誘導される慢性炎症が、主にPGE2受容体のEP4サブタイプを通じて媒介されることを示している。例えば、Journal of Clinical Investigation (2002, 110, 651-658)を参照のこと。最近になって、Nature Medicine (Yao et. al. published online 24 May 2009)の研究において、PGE2−EP4シグナル伝達がTH1分化およびTH17増殖を通じて免疫炎症を促進することを示す証拠が提供されており、それゆえ、EP4拮抗作用が多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、およびアレルギー性皮膚障害などの免疫疾患に治療的に有用でありうることを示唆している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プロスタグランジンE2媒介疾患を治療するための新規の化合物および方法、ならびにその医薬組成物に関する。本発明の化合物は、NSAIDおよびオピエートと構造的に異なっており、E型プロスタグランジンの疼痛および炎症効果のアンタゴニストである。特に、本発明は、PGE2受容体のEP4サブタイプのアンタゴニストである新規の化合物に関する。それゆえ該化合物は、ヒトを含む哺乳類において、急性および慢性疼痛、骨関節炎、関節リウマチならびに癌を含む、EP4受容体によって媒介される疾患または状態の治療に有用であると期待される。
【0008】
発明の概略
1つの態様において、本発明は、急性および慢性疼痛、骨関節炎、関節リウマチならびに癌などのEP4受容体媒介性の疾患または状態の治療に、EP4受容体アンタゴニストとして有用な一連の新規アミド誘導体に関する。医薬組成物および使用方法も本発明の範囲内に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な記載
定義
本明細書で用いられている略語は、化学および生物学の分野におけるそれらの通常の意味を有する。
【0010】
特段の記載がない限り、「アルキル」は、単独で、または別の置換基の一部として、直鎖(すなわち分岐していない)もしくは分岐鎖、もしくは環式炭化水素ラジカル、またはその組み合わせを意味し、完全飽和、またはモノもしくはポリ不飽和であってよく、二価および多価ラジカルを含みうる。炭素原子の数が指定されたもの(すなわちC1−C10)は、1〜10個の炭素を意味する。飽和炭化水素ラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、ならびに、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、およびn−オクチルなどの相同体(homologs)および異性体などの基を含み、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するアルキル基である。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに高級相同体(higher homologs)および異性体を含み、これらに限定されない。炭化水素基に限定されたアルキル基は、「ホモアルキル」と呼ばれる。
【0011】
「フルオロアルキル」は、1つ以上の水素原子がフルオロ原子(fluoro atoms)に交換された、上記で定義したアルキルを意味する。
【0012】
「アルキレン」は、単独で、または別の置換基の一部として、アルキルに由来する二価のラジカルを意味し、例えば、−CHCHCHCH−、−CHCH=CHCH−、−CHC≡CCH−、および−CHCHCH(CHCHCH)CH−などでこれらに限定されない。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有する基が本発明において好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、より短鎖のアルキルまたはアルキレン基であり、一般的に8個以下の炭素原子を有する。
【0013】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する炭素鎖を意味し、直鎖状もしくは分岐状またはその組み合わせであってよい。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、および2−ヘプチニルなどを含む。
【0014】
「シクロアルキル」は、単環式または二環式飽和炭素環を意味し、そのそれぞれは3〜10個の炭素原子を有する。シクロアルキルの「縮合類似体(fused analog)」は、アリールまたはヘテロアリール基に縮合し、結合点が非芳香族部分上に存在する単環式環を意味する。シクロアルキルおよびその縮合類似体(fused analogs)の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、およびインダニルなどを含む。
【0015】
「アルコキシ」は、示された数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルコキシ基を意味する。例えば、C1−6アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびイソプロポキシなどを含む。
【0016】
特段の記載がない限り、「ヘテロアルキル」は、単独で、または別の用語と組み合わせて、少なくとも1つの炭素原子ならびにO、N、P、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で構成される安定な直鎖もしくは分岐鎖、もしくは環式炭化水素ラジカル、またはその組み合わせを意味し、窒素、リン、および硫黄原子は任意に酸化されていてよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されていてよい。ヘテロ原子のO、N、P、SおよびSiは、ヘテロアルキル基のいずれかの内側の位置、またはアルキル基が分子の残部に結合している位置にあってよい。例として、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、−CH=CH−N(CH)−CH、−O−CH、−O−CH−CH、および−CNを含み、これらに限定されない。最大で2または3個までのヘテロ原子が連続していてよく、例えば、−CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CHなどであってよい。同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、単独で、または別の置換基の一部として、ヘテロアルキルに由来する二価のラジカルを意味し、例えば、−CH−CH−S−CH−CH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−などで、これらに限定されない。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子は鎖末端のいずれかまたは両方を占有していてもよい(例えば、アルキレンオキソ、アルキレンジオキソ、アルキレンアミノ、およびアルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基については、連結基の配向は、連結基の式が書かれている方向によって示されるものではない。例えば、式−C(O)OR’−は、−C(O)OR’−および−R’OC(O)−の両方を表す。上記のように、本明細書で用いられているヘテロアルキル基は、ヘテロ原子を通じて分子の残部と結合している基を含み、例えば−C(O)R’、−C(O)NR’、−NR’R”、−OR’、−SR’、および/または−SOR’などである。「ヘテロアルキル」が示され、続いて特定のヘテロアルキル基、例えば−NR’R”などが示されている場合、用語ヘテロアルキルおよび−NR’R”は重複的または相互排他的ではないと理解されるであろう。むしろ、明瞭にするために特定のヘテロアルキル基が示されている。それゆえ、用語「ヘテロアルキル」は、本明細書で特定のヘテロアルキル基、例えば−NR’R”などを排除するものとして解釈されるべきではない。
【0017】
「シクロアルコキシ」は、酸素原子と結合した、上記で定義したシクロアルキルを意味し、例えばシクロプロピルオキシなどである。
【0018】
「フルオロアルコキシ」は、1つ以上の水素原子がフルオロ原子(fluoro atoms)に交換された、上記で定義したアルコキシを意味する。
【0019】
「アリール」は、炭素原子のみを含有する単環式または二環式芳香族環を意味する。アリールの「縮合類似体(fused analog)」は、単環式シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリル基に縮合し、結合点が芳香族部分上に存在するアリール基を意味する。アリールおよびその縮合類似体(fused analogs)の例は、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、および1,4−ベンゾジオキサニルなどを含む。
【0020】
「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、各環が5〜6個の原子を含有する単環式または二環式芳香族環を意味する。ヘテロアリールの「縮合類似体(fused analog)」は、単環式シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリル基に縮合し、結合点が芳香族部分上に存在するヘテロアリール基を意味する。ヘテロアリールの例は、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、およびイソキノリルなどを含む。
【0021】
Ar1およびAr2の定義において言及された該アリール基および該ヘテロアリール基は、非置換、または置換基αからなる群から選択される少なくとも1つの置換基によって置換されている;該置換基αは、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基、シアノ基、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基、1〜5個の炭素原子を有するアルカノイル基、3〜7個の環原子を有するシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アリール基、7〜10個の炭素原子を有するアラルコキシ基、アリールカルボニル基、2つの隣接するx基は任意に一緒になって3または4個の炭素原子を有するアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成する、アミノカルボニル基、2〜5個の炭素原子を有するアルケニル基、1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基、アミノスルフィニル基、アミノスルホニル基、ヒドロキシ基、1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシ基、2〜5個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するアルキルスルホニル基、1〜4個の炭素原子を有するアルカノイルアミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルカノイル(アルキル)アミノ基、アルカノイルおよびアルキル部分の両方に1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルアミノアルキル基、アルカノイルおよび各アルキル部分の両方に1〜6個の炭素原子を有するアルカノイル(アルキル)アミノアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ基、1〜6個の炭素原子を有するモノまたはジアルキルアミノカルボニル基、1〜6個の炭素原子を有するモノまたはジアルキルアミノスルフィニル基、1〜6個の炭素原子を有するモノまたはジアルキルアミノスルホニル基、1〜4個の炭素原子を有するアミノアルキル基、1〜6個の炭素原子を有するモノまたはジアルキルアミノ基、各アルキル部分に1〜6個の炭素原子を有するモノまたはジアルキルアミノアルキル基、7〜10個の炭素原子を有するアラルキル基、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するヘテロアリールアルキル基、アルコキシ部分に1〜4個の炭素原子を有するヘテロアリールアルコキシ基、ならびに1〜4個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ基からなる群から選択される。
【0022】
「ヘテロシクリル」は、N、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式または二環式飽和環であって、該環の各々が3〜10個の原子を有し、結合点が炭素または窒素であってよい環を意味する。ヘテロシクリルの「縮合類似体(fused analog)」は、アリールまたはヘテロアリール基に縮合し、結合点が非芳香族部分上に存在する単環式ヘテロ環を意味する。「ヘテロシクリル」およびその縮合類似体(fused analogs)の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンゾオキサジニル(benzoxazinyl)、テトラヒドロキノリニル(tetrahydrohydroquinolinyl)、テトラヒドロイソキノリニル、およびジヒドロインドリルなどを含む。該用語は、芳香族ではない部分的不飽和の単環式環、例えば窒素を通じて結合した2−もしくは4−ピリドンまたはN置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N置換ウラシル)なども含む。
【0023】
特段の記載がない限り、「ハロ」または「ハロゲン」は、単独で、または別の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意図する。例えば、用語「ハロ(C1−C4)アルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、および3−ブロモプロピルなどを含み、これらに限定されないことを意図する。
【0024】
用語「同時に(concomitantly)投与すること」は、1つ以上の治療薬を実質的に同時に(concurrently)投与することを意味する。用語「同時に(concomitantly)投与すること」は、単一医薬剤形中の2つの薬剤を投与することのみならず、それ自体の別々の医薬製剤(pharmaceutical dosage formulation)中にある各活性薬剤の投与をも包含する。別々の製剤(dosage formulation)が用いられる場合、薬剤は本質的に同じ時、すなわち、同時に(concurrently)投与されうる。
【0025】
用語「連続して投与すること」は、別々の分離した時間(staggered times)に薬剤を投与することを意味する。それゆえ、例えば、薬剤は、アスピリンおよび本発明の化合物の有利な医薬効果が実質的に同じ時に患者によって実現されるように連続して投与されうる。それゆえ、例えば、本発明の化合物およびアスピリンが共に1日1回ベースで投与される場合、2つの薬剤の連続投与の間の分離間隔は、最大12時間まで離れていてよい。
【0026】
「プロドラッグ」は、インビボで親薬物に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、場合によっては、親薬物よりも投与が容易でありうるため、しばしば有用である。例えば、それらは経口投与によって体内に吸収され利用され得る一方、親薬物はそうではない。プロドラッグは、医薬組成物中で、親薬物よりも溶解度の改善を示すこともありうる。プロドラッグの非限定的例として、式Iの化合物をエステル(「プロドラッグ」)として投与して水溶性が移動の弊害となる細胞膜を横切る送達を促進し、次いで水溶性が有利な細胞内に入った時点で代謝的に加水分解してカルボン酸、活性物質(active entity)となる。プロドラッグのさらなる例として、先と同様に該用語の範囲を限定することを意図するものではないが、短いペプチドが酸性基と結合し、細胞内で活性部分に変換されるものが挙げられる。
【0027】
本発明は、1つには、EP4選択的アンタゴニストとして有用な式I:
【化1】

式I
[式中:
R1およびR2は、水素、C1−6アルキル、C1−6シクロアルキル、C1−6フルオロシクロアルキル、およびC1−6フルオロアルキルからなる群から独立して選択され;または、R1およびR2は、それらが共に結合している炭素原子と一緒になって、Rcで任意に置換された3〜6員の炭素環を完成し;もしくは、R1およびR2は、それらが共に結合している炭素原子と一緒になってS、OもしくはNRbなどの1もしくは2個のヘテロ原子を含有する3〜6員環を完成し、ここでRbは、水素、C1−6アルキル、C1−6シクロアルキル、C1−6フルオロシクロアルキル、C1−6フルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)C1−6アルキル、C(O)アリール、S(O)アルキル、およびS(O)アリールからなる群から選択され;
YはOまたはSであり;
Xは結合、=CH−、CH、O、またはSであり;
Ar1およびAr2は、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から独立して選択されるか、またはC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの縮合類似体(fused analog)であり、ここでAr1およびAr2は、1〜3個のRc基で任意に置換されており;
Rcは、ハロおよびR1から独立して選択され、
Raは、−COH、−COM、−C(O)NHS(O)Raa、または
【化2】

を表し
Raaは、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6シクロアルキル、C1−6シクロハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
Mはエステルプロドラッグ基であり;かつ
【化3】

は6,6−、5,5−、5,6−または6,5−二環式テンプレート(bicyclic template)である]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0028】
1つの実施態様では、
【化4】

は、下記のヘテロ環部分:
【化5】

[式中、
A、BおよびCの各々は、N、CHおよびC(Rc)から独立して選択され;
Gは、−C(O)および−C(S)−から選択され;またはGは−S(O)−であり;
Lは−CH−、S、OおよびNRcから選択される]
から選択される。
【0029】
別の実施態様では、
【化6】

は、下記のヘテロ環部分:
【化7】

[式中、
A、BおよびCの各々は、N、CHおよびC(Rc)から独立して選択され;
X、LおよびGは、結合、−CH−、O、S、およびN(Rd)から独立して選択され;
RdはH、アリールまたはアルキルである]
から選択される。
【0030】
別の実施態様では、
【化8】

は、下記のヘテロ環部分:
【化9】

[式中、Rcは前記と同様に定義される]
から選択される。
【0031】
別の実施態様では、
【化10】

は、下記のヘテロ環部分:
【化11】

[式中、A、BおよびCの各々は、N、CHおよびC(Rc)から独立して選択される]
から選択される。
【0032】
別の実施態様では、
【化12】

は、下記のヘテロ環部分:
【化13】

[式中、
−K−L−M−は、
−C(R3)=C(R)−N−、
−C(R4)=N−C(R)−、
−C(R4)=N−N−、
−N=C(R4)−N−、
−N=N−N−、
−C(R4)−N=C−、
−N(R4)−C(R)=C−、
−N(R4)−N=C−、
−C(R3)=N−N−、
−N=C(R3)−N−、
−O−N=C−および
−S−N=C−からなる群から選択され
ここでR3は、水素、ハロ、C1−6アルキル、C1−6フルオロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6フルオロアルコキシおよびアセチルからなる群から選択され;
各R4は、水素、C1−6アルキル、C1−6フルオロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−4フルオロアルコキシおよびアセチルからなる群から独立して選択される]
から選択される。
【0033】
別の実施態様では、
【化14】

は、下記の6,5−ヘテロ二環式部分:
【化15】

から選択される。
【0034】
1つの実施態様では、本発明は、R1がメチルであり、R2が水素である式Iの化合物;もしくは、R1がメチルであり、R2がメチルである式Iの化合物;または、R1およびR2が、それらが共に結合している炭素原子と一緒になって3〜6員の炭素環を形成している式Iの化合物に関する。
【0035】
別の実施態様では、本発明は、Ar1が1〜3個のRc基で任意に置換されたフェニルである式Iの化合物;または、Ar2が1〜3個のRc基で任意に置換されたフェニルである式Iの化合物に関する。
【0036】
本発明は、式Iのプロドラッグも包含する。プロドラッグは、エステルもしくはアミドまたは他の適切な基であってよい。好ましいプロドラッグは、式Ia
【化16】

式Ia
[式中、
Rdは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基または7〜12個の炭素原子を有するアラルキル基、アリール、もしくはヘテロアリールを表す]
のエステル誘導体を含む。
【0037】
式Iの別の好ましいプロドラッグは、1つ以上の一酸化窒素放出基を含有するエステル誘導体である(式Ib)
【化17】

式Ib
[式中、Tはいずれかの適切なリンカーである]。
【0038】
EP4アンタゴニストの一酸化窒素放出プロドラッグの化合物の1つの実施態様は、式Ic
【化18】

式Ic
[式中、
Zは、O、SまたはNReであり、Reは水素、アルキルまたはアリールであり;
VはOおよびSからなる群から独立して選択され、各VはC1−C10アルキルのいずれか1つの炭素原子に独立して結合しており;
nは1、2、3または4である]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩である。
【0039】
EP4アンタゴニストの一酸化窒素放出プロドラッグの化合物の別の実施態様は、式Id
【化19】

式Id
[式中、
ZはO、SまたはNReであり;Reは、水素、アルキルまたはアリールであり;
Vは、OまたはSであり;各Vは、C1−C10アルキルの1つの炭素原子に独立して結合しており;
Rfは、水素、ハロ、アルコキシ、アルキルチオ、CN、CF、アルキル、アルキルスルホニル、S(O)NH、およびS(O)NH−アルキルからなる群から選択され;
Wは
【化20】

である]
の化合物である。
【0040】
好ましくは、EP4アンタゴニストの一酸化窒素放出プロドラッグの化合物は、式Ie、I(f)またはI(g):
【化21】

式Ie
[式中、nは1〜10の整数である];
【化22】

式If
[式中、nおよびmは1〜10の整数である];
【化23】

式Ig
[式中、
nは1〜6の整数であり;
Rgは、H、ハロゲン、アルキル、またはハロアルキルである]
の化合物である。
【0041】
当然のことながら、特定の式Iの化合物(または塩、プロドラッグ、もしくは抱合体)は、互変異性体、シスまたはトランス異性体、および光学活性体、ラセミ体、またはジアステレオ異性体を含む異性体にて存在し、単離されてよい。本発明は、互変異性体のいずれかもしくはその混合物として存在する式Iの化合物;またはジアステレオマーの混合物として、および個々のジアステレオマーの形態として存在する式Iの化合物を包含し、本発明は、エナンチオマーの混合物として、および個々のエナンチオマーの形態として存在する式Iの化合物を包含し、その混合物または形態のいずれもEP4受容体に対する拮抗作用を有し、特定の形態を製造または単離する方法、および下記で述べる試験を含む標準的試験によってEP4受容体に対する拮抗作用を決定する方法は当該技術分野で周知であると理解されるべきである。
【0042】
さらに、式Iの化合物(またはその塩、プロドラッグもしくは抱合体)は多形を示してよく、または水もしくは有機溶媒と溶媒和物を形成してよい。本発明は、そのようないかなる多形、いかなる溶媒和物またはそのいかなる混合物も包含する。
【0043】
上記のように、本発明は、式Iの化合物の医薬的に許容される塩を含む。本発明の塩基性化合物は、生理的に許容される対イオンを生じる多数の無機および有機酸のいずれかと反応し、医薬的に許容される塩を形成するのに十分な塩基性を持つ1つ以上の官能基を有する。医薬的に許容される酸付加塩を形成するために一般的に利用される酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびに、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、および酢酸などの有機酸である。それゆえ、医薬的に許容される該塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびマンデル酸塩などである。
【0044】
本発明は、通常の様式にてアミノ、ヒドロキシ、またはカルボキシ基などの化合物の官能基と形成される式Iのプロドラッグの他の許容される形態も包含する。
【0045】
本発明は、式Iの化合物の有効量を投与することによってEP4受容体に拮抗する方法にも関する。
【0046】
本発明は、EP4受容体でのPGE2の作用によって媒介される状態に苦しむヒトまたは動物対象を治療する方法であって、式Iの化合物の有効量を該対象に投与することを含む方法も包含する。
【0047】
本発明は、EP4受容体でのPGE2の作用によって媒介される疾患または状態の治療用の薬剤の製造のための式Iの化合物の使用も包含する。
【0048】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は1つ以上の不斉中心を含有し、それゆえ、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在しうる。本発明は、式I〜式Igの化合物の全ての該異性体を包含することを意図する。
【0049】
本明細書で記載している化合物のいくつかはオレフィン性二重結合を含有し、特段の記載がない限り、EおよびZ幾何異性体の両方を含むことを意図する。
【0050】
本明細書で記載している化合物は、水素が異なる結合点に存在してよく、それは互変異性体と呼ばれる。例えば、ケトンおよびそのエノール型は、ケト−エノール互変異性体として知られている。個々の互変異性体およびその混合物は、式I〜式Igの化合物に包含される。
【0051】
式Iの化合物は、例えば、MeOHもしくはEtOAcまたはその混合物などの適切な溶媒からの分別再結晶によってエナンチオマーのジアステレオ異性体対に分離されてよい。そのようにして得られたエナンチオマーは、例えば分割剤としての光学活性体アミンの使用、またはキラルHPLCカラムなどの通常の方法によって、個々の立体異性体に分離されてよい。
【0052】
あるいは、式Iの化合物のいずれかのエナンチオマーは、光学的に純粋な出発物質または既知の立体配置の試薬を用いた立体特異的合成によって得られうる。
【0053】

用語「医薬的に許容される塩」は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む医薬的に許容される無毒性塩基または酸から製造される塩を指す。無機塩基に由来する塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、および亜鉛などを含む。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウム塩である。医薬的に許容される有機無毒性塩基に由来する塩は、第1級、第2級、および第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、ならびにトロメタミンなどの塩を含む。
【0054】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は無機および有機酸を含む医薬的に許容される無毒性酸から製造されてよい。該酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、およびp−トルエンスルホン酸などを含む。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、および酒石酸である。
【0055】
本明細書で用いられている式Iの化合物への言及は、医薬的に許容される塩も含むことを意図すると理解されるであろう。
【0056】
有用性
本発明の化合物はEP4受容体のアンタゴニストであり、それゆえ、EP4受容体媒介疾患の治療に有用であると期待される。1つの実施態様では、式Iのものを含む本発明に記載されているEP4アンタゴニストのプロドラッグは、インビボの生体内変換によりプロスタグランジンに対する拮抗作用を有し、それゆえ治療、特に、ヒトを含む哺乳類対象における疼痛、神経因性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、慢性疼痛、急性疼痛、発熱またはリウマチ熱と関連する炎症、インフルエンザまたは他のウイルス感染、風邪、腰痛および頸部痛、骨痛、分娩後疼痛、月経困難症、頭痛、片頭痛、歯痛、捻挫および筋挫傷(strains)、筋炎、神経痛、線維筋痛、滑膜炎、関節リウマチを含む関節炎、変性関節疾患(骨関節炎)、痛風および強直性脊椎炎、滑液包炎、放射線および腐食性化学薬品(corrosive chemical)による傷害を含む熱傷、日焼け、外科的および歯科的処置後の疼痛、骨折、免疫および自己免疫疾患;細胞悪性形質転換または転移性腫瘍増殖;糖尿病性網膜症、腫瘍血管形成;月経困難症と関連するプロスタノイド誘導性平滑筋収縮、早期分娩、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息または好酸球関連障害、高グロブリン血症、キャッスルマン病、骨髄腫;アルツハイマー病、睡眠障害、内分泌障害;緑内障;骨量減少;骨粗鬆症、骨形成の促進;パジェット病:消化性潰瘍、胃炎、局所性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎または他の胃腸病変における細胞保護作用;GI出血および化学療法を受けている患者;低プロトロンビン血症、血友病、および他の出血障害から選択される血液凝固障害;腎疾患;血栓症;閉塞性血管疾患;手術前;ならびに抗血液凝固;交感神経依存性疼痛;切断に起因する疼痛、皮膚疾患(例えば湿疹または乾癬など);眼疾患、例えば緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎および眼組織に対する急性傷害(例えば結膜炎など);肺障害(例えば気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、ハト愛好家病、農夫肺、またはCOPDなど);胃腸管障害(例えばアフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、疣状胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性大腸症候群、炎症性腸疾患、または胃腸逆流疾患(gastrointestinal reflex disease)など);臓器移植;炎症性要素を有する他の状態、例えば血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、重症筋無力症(myaesthenia gravis)、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、腱炎、滑液包炎、およびシェーグレン症候群;血小板機能異常(例えば閉塞性血管疾患など);利尿作用;インポテンスまたは勃起機能障害;骨代謝異常または再吸収によって特徴付けられる骨疾患、例えば骨粗鬆症;高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、骨パジェット病、骨溶解症、骨転移を伴うまたは伴わない悪性高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、骨関節炎、骨痛、骨減少症、癌悪液質、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis)(特に尿路結石症)、固形癌、痛風および強直性脊椎炎、腱炎および滑液包炎;骨吸収、NSAIDおよびCOX−2阻害剤の血行動態副作用、心血管疾患、高血圧症または心筋虚血;機能性または器質性静脈不全;静脈瘤療法(varicose therapy);痔核;ならびに動脈圧の著しい低下と関連するショック状態(例えば敗血症ショックなど);神経変性疾患および神経変性、例えば認知症、特に変性認知症(老年性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、ALS、ならびに運動ニューロン疾患を含む);血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む);ならびに、頭蓋内占拠性病変と関連する認知症;外傷;感染および関連状態(HIV感染を含む);代謝;毒素;無酸素症およびビタミン欠乏症;ならびに、加齢と関連する軽度認知障害、特に加齢による記憶障害;神経保護、および脳卒中、心停止、肺バイパス(pulmonary bypass)、外傷性脳損傷、または脊髄損傷後の神経変性;耳鳴、1型糖尿病の合併症(例えば糖尿病性細小血管症、糖尿病性腎症、黄斑変性症、または緑内障など)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病およびサルコイドーシス;腎機能障害(例えば腎炎、特にメサンギウム増殖性糸球体腎炎、または腎炎症候群など)、肝機能障害(肝炎、または肝硬変など)、胃腸障害(下痢など)、アルコール性肝硬変、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、心疾患、硬化症、臓器移植反応、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症、歯牙欠損、骨折、多発性骨髄腫、様々な浮腫、高血圧症、月経前緊張症、尿路結石、乏尿、高リン酸尿症、掻痒(prutitus) 蕁麻疹(urticaria)、接触皮膚炎、ウルシ皮膚炎、頻尿、学習障害、歯肉炎(gingiritis)、歯周炎(predontitis)、肺傷害、肝傷害、ならびに便秘などの疾患または状態の治療に有用である。
【0057】
本発明は、非ステロイド性抗炎症剤での治療に感受性のある炎症疾患を治療する方法であって、該治療を必要とする患者に、式Iの化合物の無毒性の治療的有効量を投与することを含む方法も包含する。本実施態様の中には、患者が血栓性心血管イベントおよび/またはGI潰瘍形成/出血の危険性をも有している場合の上記方法が包含される。
【0058】
本発明の別の実施態様は、COX−1/COX−2阻害に優先してEP4に選択的に拮抗する活性薬剤によって有利に治療されるプロスタグランジンE2媒介疾患を治療する方法であって、式Iの化合物の無毒性の治療的有効量を、該治療を必要とする患者に投与することを含む方法に関する。本発明の本実施態様は、患者が血栓性心血管イベントの危険性をも有する場合の治療を含む。
【0059】
本発明の別の実施態様は、慢性的なプロスタグランジンE2媒介性の疾患または状態を治療する一方で、該治療を必要とするヒト患者において血栓性心血管およびGI出血性イベントの危険性を減少させるための方法であって、式Iの化合物をプロスタグランジンE2媒介性の疾患または状態を治療するのに有効な量にて、およびアスピリンを血栓性心血管イベントの危険性を減少させるのに有効な量にて該患者に同時に、または連続して投与することを含む方法に関する。本実施態様の範囲内には、式Iの化合物が1日1回または2回ベースで経口投与される場合の上記方法が包含される。本実施態様は、骨関節炎、関節リウマチ、慢性疼痛および癌を治療することを含む。本実施態様では、アスピリンが約30mg〜約1000mg;約80mg〜約650mg;または約81mg〜約325mgの用量で投与される。本実施態様の1つの態様では、アスピリンは1日1回経口投与される。
【0060】
本発明は、式Iの化合物およびアスピリンを、医薬的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物も包含する。
【0061】
用語「慢性的なプロスタグランジンE2媒介性の疾患または状態を治療する」は、本発明の選択的EP4アンタゴニストを投与することによって有利に治療または予防されるいずれかの慢性的な疾患または状態を治療または予防することを意味する。該用語は、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染と関連する症状、風邪、腰痛、頸部痛、月経困難症、頭痛、片頭痛、歯痛、捻挫および筋挫傷(strains)、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節リウマチを含む関節炎、変性関節疾患(骨関節炎)、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、熱傷、傷害、ならびに外科的処置後の疼痛および炎症を含むさまざまな状態の疼痛、発熱および炎症の軽減を含む。さらに、本発明の化合物は、細胞悪性形質転換および転移性腫瘍増殖を阻害し得、それゆえ癌の治療および/または予防に用いられうる。さらに、本発明の化合物は、アルツハイマー病または認知障害の発症または進行を阻害しうる。該用語は、糖尿病性網膜症および腫瘍血管形成などにて生じうるプロスタグランジンE2媒介増殖性疾患の治療および/または予防も含む。用語「治療する」は、疾患または状態の徴候および症状を示す患者を解放するために患者を治療するのみならず、疾患または状態の発症または進行を予防するために無症状の患者を予防的に治療することも包含する。
【0062】
「血栓性心血管イベント」は、血小板凝集、血栓症、ならびにその後に続く、血栓性または血栓塞栓性脳卒中、心筋虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作(TIA;一過性黒内障)、可逆性虚血性神経障害、およびいずれかの血管床(内臓の、腎臓の、大動脈の、または末梢の、など)におけるいずれかの類似の血栓性イベントを含む虚血性臨床イベントに起因することが知られているタイプのいずれかの突発的イベントとして定義される。
【0063】
用語「該治療を必要とし、血栓性心血管イベントの危険性がある患者」は、シクロオキシゲナーゼ2媒介疾患の治療を必要とし、かつ、血栓性心血管イベントの危険性も有する患者を意味する。当業者であれば、シクロオキシゲナーゼ2媒介性の疾患または状態の治療を必要とし、血栓性心血管イベントに苦しむ危険性も有する患者を診断することができるであろう。例えば、該患者は、骨関節炎を有し、前に心筋梗塞を有していた50歳以上の患者でありうる。血栓性心血管イベントの他の危険因子は、高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病、慢性腎機能障害、喫煙、および該イベントのいずれかの前の個人歴または家族歴を含む。患者への薬物の組み合わせの投与は、自己投与および別の人間による患者への投与の両方を含む。
【0064】
本発明の化合物は、NSAIDおよびCOX−2阻害剤の血行動態副作用を弱めるのにも有用である。
【0065】
本発明の化合物は、心血管疾患、例えば高血圧症または心筋虚血など;機能性または器質性静脈不全;静脈瘤療法(varicose therapy);痔核;および動脈圧の著しい低下と関連するショック状態(例えば敗血症ショックなど)の治療にも有用である。
【0066】
本発明の化合物は、神経変性疾患および神経変性、例えば認知症、特に変性認知症(老年性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、ALS、ならびに運動ニューロン疾患を含む);血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む);ならびに、頭蓋内占拠性病変と関連する認知症;外傷;感染および関連状態(HIV感染を含む);代謝;毒素;無酸素症およびビタミン欠乏症;ならびに、加齢と関連する軽度認知障害、特に加齢による記憶障害の治療にも有用である。
【0067】
式Iの化合物は、神経保護の治療、および脳卒中、心停止、肺バイパス(pulmonary bypass)、外傷性脳損傷、または脊髄損傷などの後の神経変性の治療にも有用である。
【0068】
本発明の化合物は、耳鳴の治療にも有用である。
【0069】
本発明の化合物は、依存症誘発剤への依存を予防もしくは減少させ、または、依存症誘発剤に対する耐性または逆耐性を予防もしくは減少させるのにも有用である。依存症誘発剤の例は、オピオイド(例えばモルヒネなど)、CNS抑制剤(例えばエタノールなど)、覚醒剤(例えばコカインなど)およびニコチンを含む。
【0070】
本発明の化合物は、1型糖尿病の合併症(例えば糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、黄斑変性症、または緑内障など)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病およびサルコイドーシスの治療にも有用である。
【0071】
本発明の化合物は、腎機能障害(腎炎、特にメサンギウム増殖性糸球体腎炎、および腎炎症候群など)、肝機能障害(肝炎、および肝硬変など)、胃腸障害(下痢など)ならびに結腸癌の治療にも有用である。
【0072】
本発明の化合物は、治療または予防を必要とする対象の新生物を治療または予防するのにも有用である。用語「治療」は、新生物の増殖、拡散または転移の部分的または完全阻害、および腫瘍細胞の部分的または完全破壊を含む。用語「予防」は、臨床的に明らかな新生物の発症を完全に予防すること、または危険性を有する個人の前臨床的に明らかな新生物の段階の発症を予防することを含む。本定義によって、悪性細胞の開始を予防すること、または前悪性細胞の悪性細胞への進行を停止もしくは逆行させることが包含されることも意図する。これは、新生物を発症する危険性がある対象の予防的治療を含む。治療目的の用語「対象」は、既知の新生物のいずれか1つを有するいずれかのヒトまたは哺乳類対象を含み、好ましくはヒト対象である。予防方法のために、対象はいずれかのヒトまたは動物対象であり、好ましくは新生物が生じる危険性を有するヒト対象である。対象は、発癌物質への曝露、または新生物を有する遺伝的素因のためなどによって危険性を有しうる。
【0073】
用語「新生物」は、良性および癌性の腫瘍、増殖およびポリープを含む。それゆえ、本発明の化合物は、扁平上皮細胞乳頭腫、基底細胞腫瘍、移行細胞乳頭腫、腺腫、ガストリノーマ、胆管細胞腺腫、肝細胞腺腫、腎尿細管腺腫、オンコサイトーマ、グロムス腫瘍、メラノサイト性母斑、線維腫、粘液腫、脂肪腫、平滑筋腫、横紋筋腫、良性奇形腫、血管腫、骨腫、軟骨腫および髄膜腫を含む良性の腫瘍、増殖およびポリープを治療または予防するのに有用である。本発明の化合物は、扁平上皮癌、基底細胞癌、移行細胞癌、腺癌、悪性ガストリノーマ、胆管細胞癌、肝細胞癌、腎細胞癌、悪性メラノーマ、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫,横紋筋肉腫、悪性奇形腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、悪性髄膜腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫および白血病を含む癌性の腫瘍、増殖およびポリープを治療または予防するのにも有用である。本明細書の目的のために、「新生物」は、脳癌、骨癌、上皮細胞由来新生物(上皮癌)、基底細胞癌、腺癌、胃腸癌、例えば口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌および胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌および皮膚癌、例えば扁平上皮細胞および基底細胞癌、前立腺癌、腎細胞癌、ならびに上皮、間葉または全身の血液細胞に影響する他の既知の癌を含む。本発明の化合物は、上述の癌のいずれかを治療または予防するのに有用である。本発明の化合物は、下記の細胞型の良性および癌性の腫瘍、増殖およびポリープを治療または予防するのに有用である:扁平上皮、基底細胞、移行上皮、腺上皮、G細胞、胆管上皮、肝細胞、細管上皮(tubules epithelium)、メラニン形成細胞、繊維性結合組織、心臓骨格、脂肪組織、平滑筋、骨格筋、生殖細胞、血管、リンパ管、骨、軟骨、髄膜、リンパ系細胞および造血細胞。該化合物は、家族性大腸腺腫症(FAP)を含む腺腫性ポリープを有する対象を治療するのに用いられうる。さらに、該化合物は、FAPの危険性がある患者にポリープが形成されるのを予防するのに用いられうる。好ましくは、本発明の化合物は、下記の癌を治療または予防するのに有用である:結腸直腸、食道 胃、乳、頭頸部、皮膚、肺、肝臓、胆嚢、膵臓、膀胱、子宮内膜 子宮頸部、前立腺、甲状腺および脳。
【0074】
式Iの化合物は、例えば下記の1つ以上の化学療法剤と組み合わせて用いることもできる:
i. アロマターゼ阻害剤、
ii. 抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン剤(特に前立腺癌の場合)またはゴナドレリンアゴニスト、
iii. トポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤、
iv. 微小管活性剤、アルキル化剤、抗悪性腫瘍性代謝拮抗剤または白金化合物(platin compound)、
v. タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性もしくはタンパク質もしくは脂質ホスファターゼ活性を標的にし/減少させる化合物、さらなる抗血管形成化合物または細胞分化プロセスを誘導する化合物、
vi. ブラジキニンI受容体またはアンジオテンシンIIアンタゴニスト、
vii. シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ビスホスホネート、エベロリムスなどのラパマイシン誘導体、ヘパラナーゼ阻害剤(ヘパラン硫酸分解を予防する)、例えばPl 88、生物学的応答調節物質、好ましくはリンホカインもしくはインターフェロン、例えばインターフェロンif、ユビキチン化阻害剤、または抗アポトーシス経路を遮断する阻害剤、
viii.Ras発癌性アイソフォームの阻害剤、例えば、H−Ras、K−RasもしくはN−Ras、またはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばL−744、832もしくはDK8G557、
ix. テロメラーゼ阻害剤、例えばテロメスタチン、
x. プロテアーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤、例えばベンガミド(bengamide)もしくはその誘導体、またはプロテアソーム阻害剤、例えばPS 341、
xi. ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、例えばボリノスタット、MG0103またはMS275
xii.PTP 1B阻害剤。
【0075】
別段の明記がない限り、治療への言及は、確立した症状の治療および予防的治療の両方を含むと理解されるべきである。
【0076】
用語「一酸化窒素放出EP4アンタゴニスト」または「NO−EP4アンタゴニスト」は、エステル結合などの連結基によってNO放出部分に結合した、本明細書で定義した選択的EP4アンタゴニストプロドラッグの改変バージョンを意味する。
【0077】
用語「治療に有効な量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって探求される、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発するであろう薬物または医薬品の量を意味することを意図する。該用語は、組織、系、動物またはヒトにおいて予防するために研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって探求される、生物学的または医学的イベントの発生の危険性を予防または減少するであろう医薬の量も包含する。NO−EP4アンタゴニストは、最大でNSAIDについての通常の投与量レベルの投与量レベルまで投与されてよい。適切な投与量レベルは、選択したEP4アンタゴニストの抗炎症効果に依存するであろうが、典型的には、適切なレベルは約0.001〜50mg/kg/日、好ましくは0.005〜30mg/kg/日、特に0.05〜10mg/kg/日であろう。化合物は、1日1回、2回または3回の投与計画で投与されてよい。
【0078】
製剤
本発明は、上記の治療方法に使用するための医薬組成物も提供する。本発明の医薬組成物は、有効成分として式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩を、EP4受容体に拮抗するのに十分な量にて含み、医薬的に許容される担体および任意に他の治療成分も含有してよい。用語「医薬的に許容される塩」は、無機塩基および有機塩基を含む医薬的に許容される無毒性塩基から製造される塩を指す。無機塩基に由来する塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、および亜鉛などを含む。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウム塩である。医薬的に許容される有機無毒性塩基に由来する塩は、第1級、第2級、および第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、ならびにトロメタミンなどの塩を含む。
【0079】
本明細書の治療方法の考察において、式Iの化合物への言及は医薬的に許容される塩も含むことを意図すると理解されるであろう。
【0080】
式Iの化合物は、収縮性プロスタノイドの合成を予防することによってプロスタグランジンE2誘導性の平滑筋収縮も阻害するであろうし、それゆえ、月経困難症、早期分娩および喘息の治療に使用されてよい。それらは、骨量減少(骨粗鬆症)の阻害にも有用であろう。
【0081】
同様に、式Iの化合物は、製造において、現在他の薬剤または成分と同時投与されている通常のNSAIDの部分的または完全な代替物として有用であろう。それゆえ、さらなる態様では、本発明は、上記で定義した式Iの化合物の無毒性の治療的有効量、およびNSAID、COX−2選択的阻害剤、アセトアミノフェンもしくはフェナセチンを含む別の鎮痛剤;カフェインを含む増強剤;H2−アンタゴニスト、水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウム、シメチコン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、もしくはレボ−デスオキシエフェドリンを含む鬱血除去剤;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、もしくはデキストロメトルファンを含む鎮咳剤;利尿剤;または鎮静性もしくは非鎮静性抗ヒスタミン剤などの1つ以上の成分を含む、上記で定義したプロスタグランジンE2媒介疾患を治療するための医薬組成物を包含する。さらに本発明は、シクロオキシゲナーゼ媒介疾患を治療する方法であって、式Iの化合物の無毒性の治療的有効量を、該治療を必要とする患者に投与することを含み、直前に列挙した該成分の1つ以上と任意に同時投与されることを含む方法を包含する。
【0082】
有効成分(すなわち式Iの化合物)を含有する医薬組成物は、経口使用のための適切な形態、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁液、分散性粉末剤もしくは顆粒剤、乳剤、ハードもしくはソフトカプセル剤、もしくはシロップ剤またはエリキシル剤であってよい。経口使用を意図する組成物は、医薬組成物の製造について当該技術分野で周知のいずれかの方法に従って製造されてよく、該組成物は、医薬的に洗練され、口当たりがいい製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含有してよい。錠剤は、錠剤の製造に適切な無毒性の医薬的に許容される賦形剤と混合した有効成分を含有する。これらの賦形剤は、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなど;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、またはアルギン酸など;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム(acacia)など、ならびに、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどであってよい。錠剤はコーティングされていなくてもよく、または、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させる既知の技術によってコーティングされていてよく、それによって、長期にわたる持続作用を提供してよい。例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなどの時間遅延物質が利用されてよい。それらは、米国特許第4,256,108号;第4,166,452号;および第4,265,874号(その内容は参照することによって本明細書に援用される)に記載されている技術によってコーティングされてもよく、制御放出用の浸透圧治療錠剤を形成してよい。
【0083】
下記の製剤の例は説明のためにのみ提供され、本発明の範囲を限定することは全く意図しない。本明細書で語句「有効成分」は、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩、プロ化合物(procompound)、抱合体、もしくは溶媒和物を指す。
【表1】

【表2】

【0084】
経口使用のための製剤は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されたハードゼラチンカプセル剤として存在してもよく、または、有効成分が水もしくは油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合されたソフトゼラチンカプセル剤として存在してもよい。
【0085】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合した活性物質を含有する。該賦形剤は懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムである;分散剤または湿潤剤は天然に存在するリン脂質であってよく、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルの縮合物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートである。水性懸濁液は、1つ以上の防腐剤、例えばエチル、またはn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、および1つ以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリンまたはアスパルテームも含有してよい。
【0086】
油性懸濁液は、有効成分を植物油中、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油中、または流動パラフィンなどの鉱油中に懸濁することによって製剤化されてよい。油性懸濁液は増粘剤、例えば蜜蝋、ハードパラフィンまたはセチルアルコールを含有してよい。口当たりがいい経口製剤を提供するために、上記のような甘味剤、および香味剤が加えられてよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を加えることによって保存されてよい。
【0087】
水を加えることによる水性懸濁液の製造に適切な分散性粉末剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1つ以上の防腐剤と混合した有効成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、既に上記で例示している。付加的な賦形剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤も存在してよい。
【0088】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油、もしくは鉱油、例えば流動パラフィンまたはこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然に存在するリン脂質、例えば大豆、レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、および該部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。乳剤は、甘味剤および香味剤も含有してよい。
【0089】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に製剤化されてよい。該製剤は、粘滑剤、防腐剤ならびに香味剤および着色剤も含有してよい。医薬組成物は、無菌注射用の水性または油性懸濁液の形態であってよい。この懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、既知の技術に従って製剤化されてよい。無菌注射製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用の溶液または懸濁液であってもよく、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってよい。利用されてよい許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、溶媒または懸濁化剤として無菌の固定油が通常利用される。このために、合成モノまたはジグリセリドを含むいずれかの無菌性の(bland)固定油が利用されてよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の製造に使用できることが分かっている。
【0090】
本発明の化合物は、鼻腔内投与または吸入によって投与されてもよく、典型的には乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥混合物にて、または混合成分粒子として、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合されたものとして)、または適切な推進剤(propellant)、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンを使用し、もしくは使用しない加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気流体力学を用いて細かい霧を生じるIアトマイザー)、もしくはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態である。鼻腔内使用のために、粉末は生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0091】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノール、または活性剤の分散、可溶化、もしくは延長放出(extending release)のための適切な代替剤、溶媒としての推進剤(propellant)および任意に界面活性剤、例えばソルビタントリオレエート、オレイン酸、またはオリゴ乳酸を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0092】
乾燥粉末または懸濁液製剤にて使用する前に、吸入による送達に適切なサイズまで製剤を微粒子化する(典型的には5ミクロン未満)。
【0093】
これは、いずれかの適切な粉砕方法、例えばスパイラルジェットミリング(spiral jet milling)、流動床ジェットミリング(fluid bed jet milling)、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理(supercritical fluid processing)、高圧ホモジナイゼーション(high pressure homogenization)、またはスプレー乾燥によって達成されうる。
【0094】
吸入器(inhaler)または吸入器(insufflator)に使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはHPMCから製造される)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末ベース、およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの機能調整剤(performance modifier)の粉末混合物を含有するように製剤化されてよい。ラクトースは無水物または一水和物の形態であってよく、好ましくは後者であってよい。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0095】
電気流体力学を用いて細かい霧を生じるアトマイザーで使用するのに適切な溶液製剤は、1回の作動につきlog〜20mgの本発明の化合物を含有してよく、作動量は11〜1001の範囲で変動してよい。典型的な製剤は、式(1)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含んでよい。プロピレングリコールの代わりに用いられてよい代替溶媒は、グリセロールおよびポリエチレングリコールを含む。
【0096】
メントールおよびレボメントールなどの適切な香味剤、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味剤が、吸入/鼻腔内投与のためにそれらの本発明の製剤に加えられてよい。
【0097】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、例えば、ポリ(DL−乳酸−コグリコール酸(PGLA)を用いて即時および/または調節放出(modified release)となるように製剤化されてよい。調節放出(Modified release)製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的およびプログラム放出を含む。
【0098】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投与量単位は定量を送達する弁によって決定される。本発明に従う単位は、典型的には1fig〜10mgの式(I)の化合物を含有する定用量または「パフ(puff)」を投与するように準備される。1日の総用量は、典型的には1lag〜10mgの範囲であろうが、これは単一用量にて、またはより一般的には、1日を通した分割用量として投与されてよい。
【0099】
式Iの化合物は、薬物の直腸投与のための坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、常温で固体であるが直腸温度で液体であり、それゆえ直腸内にて融解して薬物を放出するであろう適切な非刺激性の賦形剤と薬物を混合することによって製造されうる。該物質は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0100】
局所使用のために、式Iの化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゼリー、溶液または懸濁液などが利用される。(この適用のために、局所適用は口腔洗浄薬(mouth washes)およびうがい薬(gargles)を含むであろう。)
【0101】
約0.01mg〜約140mg/kg体重/日、あるいは約0.5mg〜約7g/患者/日のオーダーの投与量レベルが上記の状態の治療に有用である。例えば、炎症は、約0.01〜50mg/kg体重/日、あるいは約0.5mg〜約3.5g/患者/日、好ましくは2.5mg〜1g/患者/日の化合物の投与によって有効に治療されうる。
【0102】
単一剤形を製造するために担体物質と組み合わせてよい有効成分の量は、治療される宿主および特定の投与様式に依存して変動するであろう。例えば、ヒトに経口投与するための製剤は、全組成物の約5〜約95パーセントの間で変動してよい担体物質の適切かつ都合のよい量と組み合わせられる0.5mg〜5gの活性薬剤を含有してよい。単位剤形(Dosage unit forms)は、一般的に約1mg〜約500mgの有効成分、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mgを含有するであろう。
【0103】
しかしながら、いずれかの特定の疾患および/または患者のための特定の用量レベルは、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与期間、投与経路、排出速度、薬物の組み合わせ、および治療を受けている特定の疾患の重症度を含むさまざまな要因に依存するであろうことは理解されるであろう。
【0104】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用な疾患または状態の治療/予防/抑制または回復に有用な他の薬物と組み合わせて用いられてよい。そのような他の薬物は、それらに一般に用いられる経路および量にて、式Iの化合物と同時にまたは連続して投与されてよい。式Iの化合物が1つ以上の他の薬物と同時に用いられる場合、式Iの化合物に加えてそのような他の薬物を含有する医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて1つ以上の他の有効成分も含有するものを含む。別々に、または同一の医薬組成物にて投与される、式Iの化合物と組み合わせてよい他の有効成分の例は、下記を含み、これらに限定されない:COX−2阻害剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブまたはパレコキシブなど;5−リポキシゲナーゼ阻害剤;NSAID、例えばジクロフェナク、インドメタシン、ナブメトンまたはイブプロフェンなど;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD、例えばメトトレキセートなど;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャネル遮断薬、例えばラモトリジンなど;NMDA受容体修飾因子、例えばグリシン受容体アンタゴニストなど;ガバペンチンおよび関連化合物;三環式抗うつ薬、例えばアミトリプチリンなど;ニューロン安定化抗てんかん薬(neurone stabilising antiepileptic drugs);モノアミン作動性取り込み阻害剤、例えばベンラファキシンなど;オピオイド鎮痛剤;局所麻酔薬;5HTアゴニスト、例えばトリプタン、例えばスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタンまたはリザトリプタンなど;EP1受容体リガンド;EP2受容体リガンド;EP3受容体リガンド;EP1アンタゴニスト;EP2アンタゴニストおよびEP3アンタゴニスト;ならびにカルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体アンタゴニスト。本発明の化合物が他の治療薬と組み合わせて用いられる場合、該化合物はいずれかの都合のよい経路によって連続して、または同時に投与されてよい。
【0105】
それゆえ本発明は、さらなる態様において、式Iの化合物またはその医薬的に許容される誘導体もしくは塩を、さらなる治療薬または薬剤と共に含む組み合わせを提供する。
【0106】
上記で言及した組み合わせは、医薬製剤の形態にて使用するために都合よく存在してよく、それゆえ医薬的に許容される担体または賦形剤との上記で定義した組み合わせを含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を構成する。該組み合わせの個々の成分は、別々の、または組み合わせた医薬製剤にて連続して、または同時に投与されてよい。
【0107】
第2の有効成分に対する式Iの化合物の重量比は変動してよく、各成分の有効用量に依存するであろう。一般的に、それぞれの有効用量が用いられるであろう。それゆえ、例えば、式Iの化合物をNSAIDと組み合わせる場合、NSAIDに対する式Iの化合物の重量比は、一般的に約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲であろう。式Iの化合物と他の有効成分の組み合わせも一般的に上述の範囲内にあるであろうが、各場合において、各有効成分の有効用量が好ましい。
【0108】
生物学的活性を決定するためのアッセイ
式Iの化合物は、インビトロおよびインビボでのそれらのプロスタノイドアンタゴニストまたはアゴニスト活性、ならびにそれらの選択性を決定するために、下記のアッセイを用いて試験することができる。実証したプロスタグランジン受容体活性は、DP、EP1、EP2、EP3、EP4、FP、IPおよびTPである。
【0109】
実施例A.ヒト胎児腎臓(HEK)293(ebna)細胞株におけるプロスタノイド受容体の安定発現
全長コード配列に対応するプロスタノイド受容体cDNAを哺乳類発現ベクターの適切な部位にサブクローン化し、HEK293(ebna)細胞にトランスフェクトする。個々のcDNAを発現しているHEK293(ebna)細胞を選択下で増殖し、増殖の2〜3週間後にクローニングリング法を用いて個々のコロニーを単離し、続いてクローン細胞株に拡張する。
【0110】
実施例B.プロスタノイド受容体結合アッセイ
受容体結合アッセイに使用するために、トランスフェクトされたHEK293(ebna)細胞を培養液中に維持し、収集し、プロテアーゼ阻害剤の存在下で細胞を溶菌後、分画遠心法によって膜を調製する。プロスタノイド受容体結合アッセイ(DP1、DP2(CRTH2)、EP1、EP2、EP3−III、EP4、FP、IP、およびTP用)は、1mM EDTA、2.5〜30mMの二価のカチオンおよび適切な放射性リガンドを含有する、10mM MES/KOH(pH6.0)(EPs、FPおよびTP)または10mM HEPES/KOH(pH7.4)(DPsおよびIP)中で行う。全てのインキュベーションで1%(v/v)に保つジメチルスルホキシドに合成化合物を加える。膜タンパク質を加えることによって反応を開始する。10μMの対応する非放射性プロスタノイドの存在下で非特異的結合を決定する。室温または30℃で60〜90分間インキュベーションを実施し、急速濾過によって終結する。全結合から非特異的結合を減算することによって特異的結合を計算する。各リガンド濃度での残余の特異的結合を計算し、シグモイドの濃度−反応曲線を作成するためにリガンド濃度の関数として表す。化合物の結合親和性は、式Ki=InPt/1+[放射性リガンド]/Kd[式中、Kdは放射性リガンド:受容体相互作用についての平衡解離定数であり、InPtは用量−反応曲線の屈曲点である]から平衡阻害定数(Ki)を計算することによって決定する。
【0111】
EP4受容体結合アッセイは、台湾のMSD Pharma Serviceにて、下記のアッセイ条件下で行った:
【表3】

【表4】

【0112】
実施例C.プロスタノイド受容体アゴニストおよびアンタゴニストアッセイ
受容体リガンドがアゴニストであるかアンタゴニストであるかを決定するために、HEK−293(ebna)−hEP4細胞内での細胞内cAMP蓄積の刺激を測定する細胞全体での二次メッセンジャーアッセイを行う。細胞を収集し、25mM HEPES、pH7.4を含有するHBSSに再懸濁する。インキュベーションは、0.5mM IBMX(ホスホジエステラーゼ阻害剤、Biomolから入手可能)を含有する。サンプルを37℃で10分間インキュベートし、反応を終了し、次いでcAMPレベルを測定する。全てのインキュベーションで1%(v/v;アゴニスト)または2%(v/v;アンタゴニスト)に保つジメチルスルホキシドにリガンドを加える。アゴニストについては、二次メッセンジャー応答をリガンド濃度の関数として表し、PGE2標準と比較したEC50値および最大応答の両方を計算する。アンタゴニストについては、そのEC70に相当する濃度のPGE2アゴニストの存在下で用量−反応曲線を実施することによって、リガンドがアゴニスト応答を阻害する能力を決定する。IC50値は、PGE2誘導活性の50%を阻害するのに必要なリガンドの濃度として計算する。
【0113】
実施例D.ラット足浮腫アッセイ
方法は、チャンら(Chan et al)(J. Pharmacol. Exp. Ther. 274: 1531-1537, 1995)に記載されているのと同一である。
【0114】
実施例E.ラットにおいてカラギーナンによって誘導される急性炎症性痛覚過敏
方法はボイスら(Boyce et al)(Neuropharmacology 33: 1609-1611, 1994)に記載されているのと同様であり、参照することによって本明細書に援用される。
【0115】
実施例F.ラットにおけるアジュバント誘導性関節炎
雌性ルイスラット(体重〜146−170g)を秤量し、耳標をつけ、群に割り当て(関節炎を誘導しなかった陰性対照群、ビヒクル対照群、総1日用量1mg/kgでインドメタシンを投与された陽性対照群、および総1日用量0.10〜3.0mg/kgの試験化合物を投与された4つの群)、各群の中で体重が同等になるようにした。6つの群の各10匹のラットについて、0.1mLの軽鉱油(アジュバント)中の0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)を後足に注射し、陰性対照群の10匹のラットにはアジュバントを注射しなかった。体重、反対側の足容積(水銀置換プレチスモグラフィーによって決定する)およびX線写真側面像(ケタミンおよびキシラジン麻酔下で得られる)をアジュバント注射前(−1日)および21日後に決定し、第一足容積をアジュバント注射前(−1日)ならびに4日後および21日後に決定する。X線写真およびアジュバントの注射のために、0.03〜0.1mLのケタミン(87mg/kg)およびキシラジン(13mg/kg)の組み合わせを筋肉内注射することによりラットに麻酔をかける。第0日および第21日に、Faxitron(45kVp、30秒)およびKodak X−OMAT TL フィルムを用いてX線写真を両方の後足から作成し、自動プロセッサにて現像する。実験的治療を知らされていない研究者によって、軟組織および硬組織内の変化についてX線写真を評価する。以下のX線写真変化は、重症度に従って数値的に段階付けしたものである:軟組織容積増加(0−4)、関節腔の狭窄または拡張(0−5)、軟骨下糜爛(0−3)、骨膜反応(0−4)、骨溶解(0−4)、亜脱臼(0−3)、および変性関節変化(0−3)。各X線写真変化についての重症度の数値的段階を確立するために特定の判断基準を用いる。1つの足あたりの可能な最大スコアは26であった。総1日用量0.1、0.3、1、および3mg/kg/日の試験化合物、総1日用量1mg/kg/日のインドメタシン、またはビヒクル(0.5%メトセルの滅菌水溶液)の1日2回の経口投与を、アジュバントの注射後に開始し、21日間継続する。化合物は毎週製造し、用いるまで暗中で冷蔵し、投与直前にボルテックスで混合する。
【0116】
化合物の合成
【化24】

【0117】
【化25】

【0118】
【化26】

【0119】
【化27】

【0120】
【化28】

【0121】
【化29】

【0122】
【化30】

【0123】
【化31】

【0124】
【化32】

【0125】
【化33】

【0126】
【化34】

【0127】
【化35】

【0128】
【化36】

【0129】
【化37】

【0130】
上記スキームにおいて、記号Ar2は式IのAr2に相当し、本明細書で記載しているように任意に置換されている。
【0131】
下記の実施例は本発明をさらに記載するために提供されており、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0132】
実施例1
(S)−4−(1−{[2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]−アミノ}−エチル)−安息香酸
【化38】

【0133】
ステップ1 4−ブロモ−5−メチル−チオフェン−2−カルバルデヒド
【化39】

表題化合物は、J. Phys. Chem. Vol. 106, 1659 (2002)に記載されている製法に従って製造した。40gの2−メチル−2−カルバルデヒドを溶解した320mlのAcOH溶液に、臭素(20ml)を溶解した150mlのAcOH溶液を6時間にわたって加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌した後、8mLの臭素を溶解した50mlのAcOH溶液を加え、攪拌をさらに24時間継続した。次いで混合物を減圧濃縮した。残渣を300mlのNaCOの飽和水溶液で処理し、2X500mlのエーテルで抽出した。合わせたエーテル抽出物をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を100mlの10:1のヘキサン/エーテルから析出させ(swished)、40gの表題化合物を得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.88(s,1H),7.90(s,1H),2.53(s,3H)。
【0134】
ステップ2 2−アジド−3−(4−ブロモ−5−メチル−チオフェン−2−イル)−アクリル酸メチルエステル
【化40】

−25℃に冷却したアジド−酢酸メチルエステル(25g、220mmol)および4−ブロモ−5−メチル−チオフェン−2−カルバルデヒド(15g、73mmol)を溶解した50mlのMeOH溶液に、NaOMeのMeOH溶液(51ml、4.36M)を加えた。生じた混合物(スラッシュ)を、機械式攪拌器を用いて0℃で2時間攪拌し、200gの氷を加えた。黄色固体を濾過によって収集し、風乾し、18gの表題生成物を得、さらに精製することなく次のステップに用いた。
【0135】
ステップ3 3−ブロモ−2−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸メチルエステル
【化41】

還流キシレン(100ml)に、ステップ2の粗生成物(18g)を溶解した250mlのキシレン溶液を20分間にわたって加えた。10分間還流後、反応混合物を冷却し、約100mlの容積まで濃縮した。固体を濾過によって収集し、12.5gの表題化合物を白色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ11.3(bs,1H),7.14(s,1H),3.85(s,3H),2.47(s,3H)。
【0136】
ステップ4 3−ブロモ−2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸メチルエステル
【化42】

3−ブロモ−2−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸メチルエステル(8.3g)、4−トリフルオロメチルベンジルブロミド(8.4g)およびCsCO(25g)の溶液を、室温で14時間攪拌した。次いで、反応混合物を200mlの1:1のヘキサン/EtOAcで希釈し、シリカゲルのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、15gの表題化合物の粗生成物を得、さらに精製することなく次のステップに用いた。
【0137】
ステップ4 3−ブロモ−2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
【化43】

ステップ3の粗生成物(15g)を溶解した200mlの1:1のMeOH/THF溶液に、100mlの1N LiOH水溶液を加えた。反応混合物を55℃で4時間攪拌し、減圧濃縮し、揮発性溶媒を除去した。得られた水溶液を20mlのAcOHで処理し、2時間攪拌した。固体を濾過によって収集し、11.5の表題化合物を白色粉末として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.68(d,2H),7.35(s,1H),7.22(d,2H),6.25(s,2H),2.48(s,3H)。
【0138】
ステップ5 3−ブロモ−2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール
【化44】

10gのステップ4の生成物と1gの銅粉末の、150mlのキノリン中の混合物を、油浴中、140℃で4時間加熱した。反応混合物を冷却し、6N HClで酸性化し、次いで500mlのエーテルで抽出した。エーテル層を200mlの2N HClで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、7gの表題化合物を淡褐色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.69(d,2H),7.31(d,2H),7.13(d,1H),6.44(d,1H),5.72(s,2H),2.40(s,3H)。
【0139】
ステップ6 2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボン酸メチルエステル
【化45】

0.7gのステップ5の生成物、0.7gのPdCldppf.CHCl、および0.56mlのEtNの、30mlの2:1のDMSO/MeOH中の混合物をCO(バルーン圧)下、75℃で4日間加熱した。反応混合物を200mlの1:1のヘキサン/EtOAcに注ぎ、100mlの水と共に4時間攪拌した。有機層を100mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。最大15%EtOAc/ヘキサンまでのグラジエントで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって残渣を精製し、0.35gの表題化合物を淡褐色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.65(d,2H),7.20(d,2H),7.16(d,1H),6.45(d,1H),5.78(s,2H),3.73(s,3H),2.65(s,3H)。
【0140】
ステップ7 2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボン酸
【化46】

0.35gのステップ6の生成物の混合物を15mlのTHF、10mlのMeOHおよび5mlの水に溶解し、続いて5mlの1N LiOH水溶液に溶解した。室温で5時間攪拌後、1mlのAcOHを加え、混合物を50mlのEtOAcで抽出した。有機層を25mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、0.30gの表題化合物を白色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ11.25(bs,1H),7.62(d,2H),7.21(d,2H),7.15(d,1H),6.45(d,1H),5.86(s,2H),2.72(s,3H)。
【0141】
ステップ8 (S)−4−(1−{[2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]−アミノ}−エチル)−安息香酸
【化47】

0.043gの2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボン酸、0.060gの(S)−4−(1−アミノ−エチル)−安息香酸メチルエステル、0.040gのHOBT水和物、0.054gのエチル−ジメチルアミノプロピル−カルボジイミド塩酸塩(EDCl)および0.060mlのN−メチルモルホリンの、2mlのDMF中の混合物を、室温で18時間攪拌した。次いで反応を1mlの水および2mlの飽和NaHCO溶液でクエンチした。生じた混合物を15mlのEtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗メチルエステルを得、2mlのTHF、2mLのMeOHおよび0.5mLの水に溶解し、0.5mLの1M LiOH溶液で処理した。室温で24時間攪拌後、反応混合物を減圧濃縮し、THFおよびMeOHを除去した。残渣を2mLの水で希釈し、勢いよく攪拌しながら0.3mLのAcOHで処理した。2時間攪拌後、固体を濾過によって収集し、風乾し、0.029gの表題化合物を白色粉末として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.99(d,2H),7.82(d,1H),7.54(d,2H),7.52(d,2H),7.16(d,2H),7.10(d,2H),6.40(d,1H),5.50(s,2H),5.24(五重線,1H),2.54(s,3H),1.52(d,3H)。
【0142】
実施例2
(S)−4−(1−{[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]−アミノ}−エチル)−安息香酸
【化48】

【0143】
ステップ1 2−アジド−3−(4−ブロモ−チオフェン−2−イル)−アクリル酸メチルエステル
【化49】

−25℃に冷却した、アジド−酢酸メチルエステル(25g、220mmol)および15gの4−ブロモ−チオフェン−2−カルバルデヒド(14.0g、73mmol)を溶解した50mlのMeOH溶液に、NaOMeのMeOH溶液(51ml、4.36M)を加えた。生じた混合物(スラッシュ)を、機械式攪拌器を用いて0℃で2時間攪拌し、200gの氷を加えた。黄色固体を濾過によって収集し、風乾し、15gの表題生成物を得、さらに精製することなく次のステップに用いた。
【0144】
ステップ2 3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸メチルエステル
【化50】

還流キシレン(100ml)に、ステップ2の粗生成物(15g)を溶解した250mlのキシレン溶液を20分間にわたって加えた。10分間還流後、反応混合物を冷却し、〜100mlの容積まで濃縮した。固体を濾過によって収集し、12gの表題化合物を白色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ11.47(bs,1H),7.52(s,1H),7.22(s,1H),3.87(s,3H)。
【0145】
ステップ3 3−ブロモ−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸メチルエステル
【化51】

3−ブロモ−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸メチルエステル(2.3g)、4−トリフルオロメチルベンジルブロミド(2.4g)およびCsCO(4g)の溶液を室温で14時間攪拌した。次いで、反応混合物を100mlの1:1のヘキサン/EtOAcで希釈し、シリカゲルのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、4.0gの表題化合物の粗生成物を得、さらに精製することなく次のステップに用いた。
【0146】
ステップ4 3−ブロモ−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボン酸
【化52】

ステップ3の粗生成物(4g)を溶解した、50mlの1:1のMeOH/THF溶液に、25mlの1N LiOH水溶液を加えた。反応混合物を55℃で4時間攪拌し、減圧濃縮し、揮発性溶媒を除去した。得られた水溶液を5mlのAcOHで処理し、2時間攪拌した。固体を濾過によって収集し、3.2の表題化合物を白色粉末として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.68(d,2H),7.60(s,1H),7.42(s,1H),7.23(d,2H),6.27(s,2H)。
【0147】
ステップ5 3−ブロモ−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール
【化53】

3gのステップ4の生成物と0.3gの銅粉末の、50mlのキノリン中の混合物を、油浴中、140℃で4時間加熱した。反応混合物を冷却し、6N HClで酸性化し、次いで150mlのエーテルで抽出した。エーテル層を200mlの2N HClで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、2.2gの表題化合物を淡褐色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.70(d,2H),7.33(d,2H),7.25(d,1H),7.20(s,1H),6.53(d,1H),5.72(s,2H)。
【0148】
ステップ6 4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボン酸メチルエステル
【化54】

2.0gのステップ5の生成物、0.54gのPdCldppf.CHCl、および1.8mlのEtNの、60mlの2:1のDMSO/MeOH中の混合物を、CO(バルーン圧)下、75℃で24時間加熱した。反応混合物を400mlの1:1のヘキサン/EtOAcに注ぎ、200mlの水と共に4時間攪拌した。有機層を100mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。最大15%EtOAc/ヘキサンまでのグラジエントで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって残渣を精製し、1.7gの表題化合物を淡褐色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.06(s,1H),7.63(d,2H),7.27(d,2H),7.23(d,1H),6.57(d,1H),5.95(s,2H),3.78(s,3H)。
【0149】
ステップ7 4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボン酸
【化55】

1.0gのステップ6の生成物の混合物を45mlのTHF、30mlのMeOHおよび15mlの水に溶解し、続いて15mlの1N LiOH水溶液に溶解した。室温で5時間攪拌後、2mlのAcOHを加え、混合物を150mlのEtOAcで抽出した。有機層を50mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、0.9gの表題化合物を白色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ11.10(bs,1H),8.11(s,1H),7.62(d,2H),7.27(d,2H),7.22(d,1H),6.55(s,1H),5.98(s,2H)。
【0150】
ステップ8 (S)−4−(1−{[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]−アミノ}−エチル)−安息香酸
【化56】

0.107gの2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボン酸、0.150gの(S)−4−(1−アミノ−エチル)−安息香酸メチルエステル、0.100gのHOBT水和物、0.133gのエチル−ジメチルアミノプロピル−カルボジイミド塩酸塩(EDCl)および0.150mlのN−メチルモルホリンの、4mlのDMF中の混合物を、室温で18時間攪拌した。次いで、反応を2mlの水および5mlの飽和NaHCO溶液でクエンチした。生じた混合物を20mlのEtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗メチルエステルを得、4mlのTHF、4mLのMeOHおよび1mLの水に溶解し、1mLの1N LiOH溶液で処理した。室温で24時間攪拌後、反応混合物を減圧濃縮し、THFおよびMeOHを除去した。残渣を4mLの水で希釈し、勢いよく攪拌しながら0.7mLのAcOHで処理した。2時間攪拌後、固体を濾過によって収集し、風乾し、0.110gの表題化合物を白色粉末として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.05(d,1H),8.01(d,2H),7.74(s,1H),7.54(d,2H),7.51(d,2H),7.26(d,1H),7.20(d,2H),6.50(d,1H),5.83(d,1H),5.72(d,1H),5.27(五重線,1H),1.51(d,3H)。
【0151】
実施例3
4−(1−{[2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]−アミノ}−シクロプロピル)−安息香酸
【化57】

0.3gの2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボン酸、0.25gの4−(1−アミノ−シクロプロピル)−安息香酸メチルエステル、0.5gのHATUおよび0.25mlのPrNEtの、8mlのDMF中の混合物を、室温で16時間攪拌した。次いで、反応を30mlの水で希釈し、100mlのEtOAcで抽出した。有機層を50mlの水および50mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。抽出物を濾過し、濃縮し、粗メチルエステルを得、20mlの1:1のTHF/MeOHに溶解し、10mlの0.5M LiOH水溶液で処理した。室温で15時間攪拌後、1mlのAcOHを加え、反応混合物を75mlのEtOAcで抽出した。有機層を50mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。抽出物を濾過し、濃縮し、0.25gの表題化合物を淡褐色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ11.12(bs,1H),8.17(s,1H),7.85(d,2H),7.57(d,2H),7.35(d,2H),7.11(d,2H),7.05(d,1H),6.42(d,1H),5.58(s,2H),2.62(s,3H),1.31(m,2H),1.20(m,2H)。
【0152】
実施例4
4−(1−{[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]−アミノ}−シクロプロピル)−安息香酸
【化58】

0.33gの4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボン酸、0.23gの4−(1−アミノ−シクロプロピル)−安息香酸メチルエステル、0.5gのHATUおよび0.25mlのPrNEtの、8mlのDMF中の混合物を、室温で16時間攪拌した。次いで、反応を30mlの水で希釈し、100mlのEtOAcで抽出した。有機層を50mlの水および50mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。抽出物を濾過し、濃縮し、粗メチルエステルを得、20mlの1:1のTHF/MeOHに溶解し、10mlの0.5N LiOH水溶液で処理した。室温で15時間攪拌後、1mlのAcOHを加え、反応混合物を75mlのEtOAcで抽出した。有機層を50mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。抽出物を濾過し、濃縮し、0.22gの表題化合物を淡褐色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ11.03(bs,1H),8.49(s,1H),7.40(d,2H),7.83(s,1H),7.57(d,2H),7.32(d,2H),7.23(d,1H),7.19(d,2H),6.51(d,1H),5.35(s,2H),1.35(m,2H),1.32(m,2H)。
【0153】
実施例5
4−(1−{[2−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボニル]−アミノ}−シクロプロピル)−安息香酸
【化59】

【0154】
ステップ1 7−ブロモ−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン
【化60】

7−ブロモ−1H−インドール−2,3−ジオン(4.5g)、CsCO(10g)および1−ブロモメチル−4−トリフルオロメチルベンゼン(5g)の、50mlのDMF中の混合物を、55℃で6時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、100mlの1:1のヘキサン/EtOAcで希釈し、シリカゲルのパッドを通して濾過した。濾液を減圧濃縮し、粗生成物を100mlのエタノールおよび10mlの50%ヒドラジン水溶液に溶解した。生じた混合物を10時間加熱還流し、50mlの水で希釈した。室温まで冷却後、固体を濾過によって収集し、風乾し、表題化合物を白色固体として得た(5.2g)。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.68(d,2H),7.50(d,2H),7.35−7.40(m,2H),6.97(t,1H),5.48(s,2H),3.76(s,2H)。
【0155】
ステップ2 2−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボン酸
【化61】

2.8gの7−ブロモ−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、0.70gのPdCldppf.CHCl、および2.34mlのEtNの、75mlの2:1のDMSO/MeOH中の混合物を、CO(バルーン圧)下、75℃で24時間加熱した。反応混合物を400mlの1:1のヘキサン/EtOAcに注ぎ、200mlの水と共に4時間攪拌した。有機層を150mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、シリカゲルのパッドを通して濾過し、濃縮した。残渣を60mlのTHF、20mlのMeOHおよび20mlの水に溶解し、続いて30mlの1N LiOH水溶液に溶解した。室温で5時間攪拌後、5mlのAcOHを加え、混合物を250mlのEtOAcで抽出した。有機層を50mlの食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を50mlの1:1のヘキサン/EtOAcから析出させ(swished)、1.2gの表題化合物を淡褐色固体として得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ11.3(bs,1H),7.58(d,2H),7.52(d,1H),7.50(d,1H),7.33(d,2H),7.08(t,1H),5.40(s,2H),3.76(s,2H)。
【0156】
ステップ3 4−(1−{[2−オキソ−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボニル]−アミノ}−シクロプロピル)−安息香酸
【化62】

0.40gの2−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボン酸、0.29gの(±)4−(1−アミノ−エチル)−安息香酸メチルエステル、0.19gのHOBT水和物、0.30gのエチル−ジメチルアミノプロピル−カルボジイミド塩酸塩(EDCl)および0.150mlのN−メチルモルホリンの、7mlのDMF中の混合物を、室温で16時間攪拌した。次いで、反応を10mlの水および5mlの飽和NaHCO溶液でクエンチした。生じた混合物を25mlのEtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗メチルエステル(0.3g)を得、5mlのTHF、5mLのMeOHに溶解し、4mLの1N LiOH溶液で処理した。50℃で12時間攪拌後、反応混合物を減圧濃縮し、THFおよびMeOHを除去した。残渣を8mLの水で希釈し、勢いよく攪拌しながら1mLのAcOHで処理した。2時間攪拌後、固体を濾過によって収集し、風乾し、0.25gの表題化合物を白色粉末として得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d):δ12.80(bs,1H),9.18(s,1H),7.78(d,2H),7.61(d,2H),7.46(d,1H),7.39(d,1H),7.23(d,2H),7.20(d,2H),7.14(t,1H),5.40(s,2H),3.73(s,2H),1.10(m,2H),0.73(m,2H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式I
[式中:
R1およびR2は、水素、C1−6アルキル、C1−6シクロアルキル、C1−6フルオロシクロアルキル、およびC1−6フルオロアルキルからなる群から独立して選択され、または、R1およびR2は、それらが共に結合している炭素原子と一緒になって、Rcで任意に置換された3〜6員の炭素環を完成し;もしくは、S、OおよびNRbから選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する3〜6員環を完成し、ここでRbは、水素、C1−6アルキル、C1−6シクロアルキル、C1−6フルオロシクロアルキル、C1−6フルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)C1−6アルキル、C(O)アリール、S(O)アルキル、およびS(O)アリールからなる群から選択され;
YはOまたはSであり;
Xは結合、=CH−、CH、O、またはSであり;
Ar1およびAr2は、C3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から独立して選択されるか、またはC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの縮合類似体(fused analog)であり、ここでAr1およびAr2は、1〜3個のRc基で任意に置換されており;
Rcは、ハロおよびR1から独立して選択され、
Raは、−COH、−COM、−C(O)NHS(O)Raa、または
【化2】

を表し、
Raaは、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6シクロアルキル、C1−6シクロハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
Mは、医薬的に許容される塩またはエステルプロドラッグ基であり;
【化3】

は6,6−、5,5−、5,6−または6,5−二環式テンプレート(bicyclic template)である]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
【化4】

が、構造:
【化5】

[式中、
A、BおよびCの各々は、N、CHおよびC(Rc)から独立して選択され;
Gは、−C(O)および−C(S)−から選択され;またはGは−S(O)−であり;かつ
Lは−CH−、S、OおよびNR1から選択される]
を有する請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
【化6】

が、構造:
【化7】

[式中、
A、BおよびCの各々は、N、CHおよびC(Rc)から独立して選択され;
X、LおよびGは、結合、−CH−、O、S、およびN(Rd)から独立して選択され;かつ
RdはH、アリールまたはアルキルである]
を有する請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
【化8】

が、構造:
【化9】

を有する請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
【化10】

が、構造:
【化11】

[式中、A、BおよびCの各々は、N、CHおよびC(Rc)から独立して選択される]
を有する請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
【化12】

が、構造:
【化13】

[式中、
−K−L−M−は、
−C(R3)=C(R4)−N−、
−C(R3)=N−C(R4)−、
−C(R4)=N−N−、
−N=C(R4)−N−、
−N=N−N−、
−C(R4)−N=C−、
−N(R4)−C(R3)=C−、
−N(R4)−N=C−、
−C(R3)=N−N−、
−N=C(R3)−N−、
−O−N=C−および
−S−N=C−からなる群から選択され;
ここでR3は、水素、ハロ、C1−6アルキル、C1−6フルオロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6フルオロアルコキシおよびアセチルからなる群から選択され;かつ
各R4は、水素、C1−6アルキル、C1−6フルオロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−4フルオロアルコキシおよびアセチルからなる群から独立して選択される]
を有する請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
【化14】

が、下記の6,5−ヘテロ環部分:
【化15】

から選択される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
式Ia
【化16】

式Ia
[式中、
Rdは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基または7〜12個の炭素原子を有するアラルキル基、アリール、もしくはヘテロアリールを表す]
を有する請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
式Ib
【化17】

式Ib
[式中、Tは適切なリンカーである]
の一酸化窒素放出エステルプロドラッグの形態である請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
式Ic
【化18】

式Ic
[式中、
Zは、O、SまたはNReであり、Reは水素、アルキルまたはアリールであり;
VはOおよびSからなる群から独立して選択され、各VはC1−C10アルキルのいずれか1つの炭素原子に独立して結合しており;
nは1,2、3または4である]
の一酸化窒素放出エステルプロドラッグ、またはその医薬的に許容される塩の形態である、請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
式Id
【化19】

式Id
[式中:
Zは、O、SまたはNReであり、Reは水素、アルキルまたはアリールであり;
VはOおよびSからなる群から選択され、各VはC1−C10アルキルの1つの炭素原子に独立して結合しており;
Rfは、
(a)水素、
(b)ハロ、
(c)アルコキシ、
(d)アルキルチオ、
(e)CN、
(f)CF
(g)アルキル、
(h)アルキルスルホニル
(i)S(O)NH、および
(j)S(O)NH−アルキル
からなる群から選択され;
Wは
【化20】

である]
の一酸化窒素放出プロドラッグの形態である請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
式Ie
【化21】

式Ie
[式中、nは1〜10の整数である]
を有する請求項8記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
式If
【化22】

式If
[式中、nおよびmは1〜10の整数である]
を有する請求項9記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
式Ig
【化23】

式Ig
[式中、
nは1〜6の整数であり;
Rgは、H、ハロゲン、アルキル、またはハロアルキルである]
を有する請求項10記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
−K−L−M−が−C(R3)=C(R4)−N−である、請求項6記載の化合物。
【請求項16】
−K−L−M−が−C(R3)=N−N−である、請求項6記載の化合物。
【請求項17】
−K−L−M−が−N(R4)−C(R3)=C−である、請求項6記載の化合物。
【請求項18】
−K−L−M−が−N=C(R3)−N−である、請求項6記載の化合物。
【請求項19】
−K−L−M−が−N=N−N−である、請求項6記載の化合物。
【請求項20】
式Ih
【化24】

式Ih
[式中、
R1、R2およびRcは請求項1と同様に定義され;
−K−L−M−は請求項6と同様に定義され;
nは1、2、3、または4の整数であり;
Xは、結合、−CH−、または−CHR1−である]
で示される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項21】
式Ii
【化25】

式Ii
[式中、
R1、R2およびRcは請求項1と同様に定義され;
Lは、−CH−、O、S、またはNR1であり;
nは、1、2、または3の整数であり;
Xは、結合、−CH−、または−CHR1−である]
で示される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項22】
式Ij
【化26】

式Ij
[式中、
R1、R2およびRcは請求項1と同様に定義され;
nは、1、2、または3の整数であり;
Xは、結合、−CH−、−CHR1−、O、S、またはNR1である]
で示される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項23】
式Ik
【化27】

式Ik
[式中、
R1、R2およびRcは請求項1と同様に定義され;
nは、1、2、または3の整数であり;
Xは、結合、−CH−、−CHR1−、O、S、またはNR1である]
で示される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項24】
式Il
【化28】

式Il
[式中、
Rcは請求項1と同様に定義され;
Rccは水素、C1−6アルキル、またはC1−6シクロアルキルである]
で示される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項25】
式Im
【化29】

式Im
[式中、
Rcは請求項1と同様に定義され;
Lは、O、S、または−CH−である]
で示される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項26】
式In
【化30】

式In
[式中、
Rcは請求項1と同様に定義され;
Xは、結合、−CH−、O、またはSである]
で示される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項27】
4−((1S)−1−{[4−(4−クロロベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−((1S)−1−{[4−(4−クロロベンジル)−2−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−((1S)−1−{[4−(4−トリフルオロメチルベンジル)−2−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−(1−{[4−(4−クロロ−ベンジル)−2−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−(1−{[2−メチル−4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−(1−{[5−オキソ−4−(4−トリフルオロメチルベンジル)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−((1S)−1−{[5−クロロ−1−(4−クロロベンジル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−((1S)−1−{[6−クロロ−3−(4−クロロベンジル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾール−4−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−(1−{[6−クロロ−2−オキソ−3−(4−トリフルオロメチルベンジル)−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾール−4−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−((1S)−1−{[7−クロロ−3−(4−トリフルオロメチルベンジル)インドリジン−5−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−(1−{[7−クロロ−3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)インドリジン−5−カルボニル]−アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−(1−{[7−クロロ−3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−5−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−((1S)−1−{[7−クロロ−3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−5−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−((1S)−1−{[7−クロロ−3−(4−トリフルオロメチルフェニルスルファニル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−5−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−(1−{[7−クロロ−3−(4−トリフルオロメチルベンジル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−5−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−(1−{[7−フルオロ−3−(4−トリフルオロメチルベンジル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−5−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−(1−{[7−フルオロ−3−(4−トリフルオロメチルベンジル)−インドリジン−5−カルボニル]アミノ}−シクロプロピル)安息香酸;
4−((1S)−1−{[7−フルオロ−3−(4−トリフルオロメチルベンジル)インドリジン−5−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−(1−{[7−フルオロ−3−(4−トリフルオロメチルベンジル)−インドリジン−5−カルボニル]アミノ}−1−メチル−エチル)安息香酸;
4−(1−メチル−1−{[4−(4−トリフルオロメチルベンジル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−3−カルボニル]アミノ}エチル)安息香酸;
4−(1−{[2−フルオロ−6−(4−トリフルオロメチルベンジル)ピロロ[1,2−a]ピリミジン−4−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
4−(1−{[3−フルオロ−7−(4−トリフルオロメチルベンジル)ピロロ[1,2−c]ピリミジン−1−カルボニル]アミノ}シクロプロピル)安息香酸;
7−フルオロ−5−(4−トリフルオロメチルベンジル)−インドリジン−3−カルボン酸(1−フェニルシクロプロピル)アミド;および
7−フルオロ−5−(4−トリフルオロメチルベンジル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸(1−フェニルシクロプロピル)アミド
からなる群から選択される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項28】
エステルプロドラッグまたは一酸化窒素放出エステルプロドラッグである、請求項27の化合物。
【請求項29】
式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩を、1つ以上の生理的に許容される担体または賦形剤と混合して含む、医薬組成物。
【請求項30】
EP4受容体でのPGE2の作用によって媒介される状態に苦しむヒトまたは動物対象を治療する方法であって、それを必要とする患者に、請求項1記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項31】
EP4受容体でのPGE2の作用によって媒介される状態の治療用の薬剤の製造のための、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項32】
プロスタグランジンE2の作用によって媒介される疾患または状態を治療する方法であって、請求項1記載の化合物の治療的有効量を、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与することを含む方法。
【請求項33】
癌の治療を必要とする哺乳類の癌を治療する方法であって、該哺乳類に、請求項1記載の化合物の治療的有効量を、1つ以上の他の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む方法。

【公表番号】特表2012−500211(P2012−500211A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523175(P2011−523175)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/053748
【国際公開番号】WO2010/019796
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511080465)ベータ・ファーマ・カナダ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Beta Pharma Canada Inc.
【Fターム(参考)】