説明

GABAコンジュゲートおよびそれらの使用方法

一態様において、本発明は、GABA類似体と薬物との共有結合性コンジュゲートの組成物を提供する。別の態様において、本発明は、該GABA類似体のコンジュゲートを用いた疼痛および神経系障害の処置方法を提供する。一態様において、本発明は、第1部分と第2部分を含む化合物であって、第1部分は、アミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって第2部分に共有結合され、第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年10月8日出願の米国仮特許出願番号61/103,800号の利益を主張し、該出願は本明細書中に参照として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
現在、疼痛(例えば、神経系の疼痛)の緩和には、単独薬物の投与を伴ういくつかの処置が推奨されている。麻薬性鎮痛薬、ガンマ(γ)−アミノ酪酸(GABA)類似体(ガバペンチン、プレガバリンおよびバクロフェンなど)、抗鬱薬ならびに非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の単回投与は、臨床および種々の動物モデルで疼痛の緩和特性を示すことが示されている。
【0003】
現行の単独薬物での疼痛軽減レジメンにより得られる有益性にもかかわらず、このようなレジメンは不都合点を有する。問題の一例は、今日利用可能な疼痛の処置レジメンの多くで引き起こされる好ましくない副作用の発生に関することである。モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬は、その単回投与に起因する中毒性効果および中枢神経系(CNS)での副作用および胃腸での副作用がよく知られているため、慢性の疼痛にはあまり処方されない。
【0004】
現行の疼痛処置レジメンの別の問題は、その有効性に関することである。現行の疼痛軽減レジメンで使用されている単独活性成分の多く(抗鬱剤またはGABA類似体など)は、ある種の重度の有痛状態では、その最大承認治療用量であっても充分な疼痛の軽減を得ることができない。充分な疼痛の軽減が得られないことに加え、薬物用量を増大すると、認知的欠陥、悪心および便秘などの好ましくない副作用の増大がもたらされることがあり得る。
【0005】
さらに、GABA類似体および多くの麻薬性鎮痛薬の他の問題は、あまり好都合でない薬物動態学的および生理学的特性に関することである。経口投与されるオピオイド分子の多くは、大部分が体循環に達する前に消化器官によって代謝される。一部のGABA類似体は、急速全身クリアランスおよび可飽和吸収により、疼痛および他のCNS障害の処置において、該薬物がその充分な潜在能に達することが制限されている。このような最適に満たない特性は、多くの場合、患者において充分に満たない有効性および好ましくない副作用をもたらす。
【0006】
徐放製剤は、当業者に充分わかるように、急速全身クリアランスの課題に対処するための慣用的な方法である(例えば、“Remingtion’s Pharmaceutical Sciences、”Philadelphia College of Pharmacy and Science、第17版、1985)。バクロフェン、ガバペンチンおよびプレガバリンなどのGABA類似体は大腸から吸収されない。そうではなく、これらの化合物は、典型的には、小腸で中性アミノ輸送体系によって吸収される(非特許文献1)。通常の管状臓器の急速通過により、このようなGABA類似体に対する徐放アプローチの成功裡の適用が妨げられている。
【0007】
これらの問題に鑑み、改善された治療上の有益性(すなわち、疼痛の感受性および/または頻度の低減)がもたらされる、および/または現行のレジメンの多くによって引き起こされる好ましくない副作用の発生が低減される、改善された疼痛レジメンの必要性があることが明白である。また、GABA類似体の薬物動態学的プロフィールの改善により、患者の必要性に応じて、よりカスタマイズされた投与レジメンももたらされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Jezykら、Pharm.Res.、1999、16、519−526
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
一態様において、本発明は、第1部分と第2部分を含む化合物であって、第1部分は、アミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって第2部分に共有結合され、第1部分がγ−アミノ酪(bytyric)酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である化合物を提供する。別の態様において、本発明は、第1部分と第2部分を含む化合物であって、第1部分は、カルボン酸基によって第2部分に共有結合され、第1部分のアミノ末端が保護基に連結され、第1部分がGABAまたはGABAの類似体もしくは誘導体である化合物を提供する。また、本発明は、本明細書において開示する本発明の化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物の実施形態を示す。
【0010】
別の態様において、本発明は、障害の予防または処置方法であって、それを必要とする被検体に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態において、該処置方法に使用される化合物は第1部分と第2部分とを含み、第1部分は、アミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって第2部分に共有結合され、第1部分がGABAまたはGABAの類似体もしくは誘導体である。他の実施形態では、該処置方法に使用される化合物は第1部分と第2部分とを含み、第1部分はカルボン酸基によって第2部分に共有結合され、第1部分のアミノ末端が保護基に連結され、第1部分がGABAまたはGABAの類似体もしくは誘導体である。さらに他の実施形態では、該方法は、それを必要とする被検体に治療有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む。かかる医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む。
【0011】
また別の態様において、本発明は、障害の処置と関連している有害作用の低減方法であって、それを必要とする被検体に、治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態において、該化合物は第1部分と第2部分とを含み、第1部分は第2部分に、アミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって共有結合され、第1部分がGABAまたはGABAの類似体もしくは誘導体である。他の実施形態では、該化合物は第1部分と第2部分とを含み、第1部分は第2部分にカルボン酸基によって共有結合され、第1部分のアミノ末端が保護基に連結され、第1部分がGABAまたはGABAの類似体もしくは誘導体である。さらに他の実施形態では、障害の処置と関連している有害作用の低減方法は、それを必要とする被検体に治療有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む。かかる医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、障害の処置の治療有効性を向上させるための方法であって、それを必要とする被検体に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態において、該化合物は第1部分と第2部分とを含み、第1部分は第2部分に、アミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって共有結合され、第1部分がGABAまたはGABAの類似体もしくは誘導体である。他の実施形態では、該化合物は第1部分と第2部分とを含み、第1部分は第2部分にカルボン酸基によって共有結合され、第1部分のアミノ末端が保護基に連結され、第1部分がGABAまたはGABAの類似体もしくは誘導体である。さらに他の実施形態では、障害の処置の治療有効性を向上させるための方法は、それを必要とする被検体に治療有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む。かかる医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む。
【0013】
本明細書において開示する発明の一部の態様の実施において、該化合物の第1部分はGABA類似体である。一部の実施形態では、第1部分は、バクロフェン、ビガバトリン、ガバペンチン、またはプレガバリン、またはγ−アミノホスフィン酸誘導体である。一部の実施形態において、第2部分は鎮痛薬、例えば限定されないが、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、麻酔薬、筋弛緩薬、または抗鬱薬である。他の実施形態では、第2部分は、γ−ヒドロキシ酪酸(GHB)、またはGHBの類似体、誘導体もしくは改変体である。第1部分と第2部分は、好ましくは共有結合によって連結されている。かかる共有結合は、エステル結合、アミド結合、イミン結合、カルバメート結合、カーボネート結合、チオエステル結合、アシルオキシカルバメート結合、アシルオキシカーボネート結合、ホスフェート結合、アシルオキシホスフェート結合またはモノ−、ジ−アルキルホスホルアミデート結合であり得る。一部の実施形態において、本発明は、さらに、第1部分を第2部分に共有結合させるリンカーを含む。かかるリンカーは、好ましくは生理学的に不安定である。一部の実施形態において、本発明は、さらに、該化合物の第1部分または第2部分にイオン結合または共有結合された第3部分を含む。他の実施形態では、該化合物は少なくとも1種類の他の治療用薬剤と組み合わせて使用され得、該治療用薬剤は、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、MAO阻害薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)拮抗薬、または選択的ノルアドレナリン置換(replace)阻害薬であり得る。かかる他の治療用薬剤は、本発明の化合物の投与の前に投与されても、同時に投与されても後に投与されてもよい。一部の実施形態において、本発明はまた、第1部分(例えば、GABA類似体)のアミノ末端に連結される保護基を提供する。保護基は、アミノ酸、イミン、カルバメート、N−ジチアスクシンイミド、モノ−もしくはジ−アルキルホスホルアミデート、またはアシルオキシカルバメートであり得る。好ましくは、保護基は、被検体への投与後、第1部分のアミノ基から切断可能である。
【0014】
また、本発明は、障害の処置における使用のための、本発明の化合物によって誘導される副作用低減のための、および本発明の化合物の治療有効性の向上のための方法を提供する。本明細書において開示する任意の主題の方法の実施において、好ましくは、処置対象の障害は疼痛または神経系障害である。一部の実施形態において、疼痛は急性、慢性または炎症性の疼痛である。他の実施形態では、神経系障害は、不安障害、鬱、解離性障害、人格障害、認知障害、気分障害、情動障害、神経変性障害、痙攣性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、統合失調症、パラノイア、精神病、ハンティングトン病、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、失神発作、運動低下症、脳障害、神経変性障害、パニック、不眠症、中毒性障害、または不穏下肢症候群である。一部の特定の実施形態において、被検体は動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。一部の実施形態において、本発明の化合物または医薬組成物の投与により、個々の部分単独の投与と比べて副作用が少なくとも1つ少なくなる。他の実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物の投与により、個々の部分単独の投与と比べて治療活性の向上がもたらされる。一部の特定の実施形態において、該化合物または該医薬組成物は別の薬剤と組み合わせて投与される。かかる別の薬剤は、本発明の化合物または医薬組成物の投与の前、同時、または後に投与され得る。
【0015】
さらに、本発明において、本発明の化合物または本発明の化合物の医薬組成物、およびキットを使用するための使用説明書を備える、被検体の疼痛または神経系障害を予防または処置するためのキットを提供する。一部の実施形態において、被検体は動物、好ましくはヒトである。他の実施形態では、キットは、さらに、疼痛または神経系障害の処置における使用のための、本発明の化合物によって誘導される副作用低減のための、および/または本発明の化合物の治療有効性の向上のための少なくとも1種類の他の薬剤を含む。
【0016】
引用による組み込み
本明細書に挙げたすべての刊行物、特許および特許出願は、引用によって、引用により組み込まれる個々の各刊行物、特許および特許出願が、あたかも具体的に個々に示されているかのように、その全体が本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
一態様において、本発明は、共有結合によって連結された少なくとも2つの部分を含むGABA−薬物コンジュゲートを提供する。該コンジュゲートの第1部分は、好ましくはGABA類似体を含む。一部の実施形態において、該コンジュゲートの第2部分は鎮痛薬を含む。他の実施形態では、該コンジュゲートの第2部分は、ガンマ(γ)−ヒドロキシ酪酸(GHB)を含む。該コンジュゲートの第2部分の鎮痛薬としては、限定されないが、麻薬物質、NSAID、抗鬱薬、麻酔薬、筋弛緩薬、ガンマ−ヒドロキシ酪酸、二重作用性オピオイド作用薬、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬、および本明細書において挙げた薬物の任意の医薬組成物が挙げられ得る。また、本発明は、このようなGABA−薬物コンジュゲートを合成および作製するための方法を提供する。さらに、本発明は、障害の処置および/または予防のための本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよびGABA−薬物コンジュゲートの医薬組成物の使用方法を含む。
【0018】
GABA−薬物コンジュゲートの本発明により、好ましくは、医薬に有用な製薬上の利点がもたらされる。第1に、このようなGABA−薬物コンジュゲートはインビボで不安定であり、体循環に達すると酵素的経路または化学的経路のいずれかによって切断され、相当量のGABA類似体と薬物、例えば、麻薬物質、NSAID、抗鬱薬、二重作用性オピオイド、麻酔薬、筋弛緩薬およびガンマ−ヒドロキシ酪酸から選択される鎮痛薬が生成される。第2に、GABA−薬物コンジュゲートの個々の各部分は、インビボで切断されると、探索対象の処置、例えば、疼痛または神経系障害の処置に関連がある異なるまたは重複しない生物学的標的を標的化する。したがって、GABA−薬物コンジュゲートは、インビボで切断されると、1つより多くの生物学的標的を標的化して相加的または相乗的生物学的効果を誘起し、治療有効性の向上をもたらし得るものである。GABA−薬物コンジュゲートから放出されるリンカーは、一般的に、被検体に適切な投与レジメンで投与されたとき無毒性である。
【0019】
酸性基の例としては、限定されないが、ホスフィン(phosphic)酸、ホスホン酸、スルホン酸、スルフィン酸またはカルボン酸などが挙げられる。また、アミノ末端はN末端、NH末端、N末端部またはアミン末端としても知られている。これらの用語は、本明細書において互換的に用いている。アミノ末端としては、遊離アミン基(−NH)を有するアミノ酸で終結したタンパク質またはポリペプチドの末端が挙げられる。橋状シクロアルキルとしては、
【0020】
【化1】

(式中:
Aは、(CR3536であり;
35およびR36は、独立して水素およびメチルからなる群より選択され;
33およびR34は、独立して水素およびメチルからなる群より選択され;
bは、1〜4の整数であり;
cは、0〜2の整数である)
を含むラジカルが挙げられる。
【0021】
GABA類似体の例としては、限定されないが、下記の構造:
【0022】
【化2】

(式中:
Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルであるか、あるいはRとRが、これらが結合している原子と一緒になって、アゼチジン、置換アゼチジン、ピロリジンまたは置換ピロリジン環を形成しており;
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか、あるいは任意選択で、RとRが、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキルおよび橋状シクロアルキル環を形成している)
が挙げられる。
【0023】
およびR23は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキル(heteroarylalky)からなる群より選択される。
【0024】
本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含むものであってもよく、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマーまたはジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。したがって、本明細書に示した化学構造は、図示した化合物の可能なあらゆるエナンチオマーおよび立体異性体、例えば限定されないが、立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、エナンチオマー的に純粋またはジアステレオマー的に純粋)ならびにエナンチオマー混合物および立体異性体混合物を包含する。エナンチオマー混合物および立体異性体混合物は、そのエナンチオマー成分または立体異性体成分に、当業者に充分わかる分離手法またはキラル合成手法を用いて分割され得る。また、本発明の化合物は、いくつかの互変異性形態、例えば限定されないが、エノール形態、ケト形態およびその混合物で存在していてもよい。したがって、本明細書に示した化学構造は、図示した化合物の可能なあらゆる互変異性形態を包含する。また、本発明の化合物としては、限定されないが、1つ以上の原子が通常自然界に見られる原子量と異なる原子量を有する同位体標識化合物も挙げられる。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、限定されないが、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられる。さらに、本発明の化合物の部分構造が図示されている場合、大括弧は、該分子の残部に対する該部分構造の結合点を示すことを理解されたい。
【0025】
一態様において、本発明の第2部分(例えば、薬物)は、典型的には、第1部分(例えば、GABA類似体)のガンマ−アミノ基に結合される。該2つの部分は、GABA類似体のガンマ−アミノ基を介して直接結合され、以下のリンカー、例えば限定されないが、カルボン酸アミド、ホスホン酸アミド、ホスフィン酸アミド、スルホン酸アミド、スルフィン酸アミドおよびイミンを形成していてもよく、任意選択で、インビボで切断され得るリンカー「X」を介して連結されていてもよい。別の態様において、本発明の第2部分は第1部分(例えば、GABA類似体)に、第1部分の酸性基によって結合される。本明細書において使用される酸性基としては、限定されないが、カルボン酸、ホスフィン酸およびスルフィン酸基が挙げられる。該コンジュゲートの第2部分は第1部分の酸性基に共有結合され、以下のリンカー、例えば限定されないが、カルボキシレート、チオエステル、ホスフィネート、スルフィネート、およびカルボン酸アミドを形成する。あるいはまた、該2つの部分は、任意選択で、インビボで切断され得るリンカー「Z」を介して連結されてもよい。
【0026】
一部の実施形態において、本発明は、式(I)および(II):
【0027】
【化3】

のGABA−薬物コンジュゲートまたは薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物および同位体を提供し、式中、
tは、0または1であり;
Xは、薬物とGABA類似体間のリンカーによる共有結合と定義し、以下のもの:
【0028】
【化4】

からなる群より選択され、
Zは、薬物とGABA類似体間のリンカーによる共有結合と定義し、以下のもの:
【0029】
【化5】

からなる群より選択され、
は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロ(heter)アリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか、あるいは任意選択で、RとRが、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロ(hetereo)アルキルまたは橋状シクロアルキル環を形成しており;
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、カルバモイル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルコキシカルボニル、置換シクロアルコキシカルボニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか、あるいは任意選択で、RとRが、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキルまたは橋状シクロアルキル環を形成しており;
20は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、置換アシル、アシルアミノ、置換アシルアミノ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、アルキル(alkly)スルフィニル、置換アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、置換アルキルスルホニル、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールオキシ、置換アリールオキシ、カルバモイル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ジアルキルアミノ、置換ジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアルキルオキシ、置換ヘテロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよび置換ヘテロアリールオキシからなる群より選択されるか、または任意選択で;
21およびR22は、独立して、水素、アシル、置換アシル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか、あるいは任意選択で、R20とR21が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環を形成している。
【0030】
別の態様において、本発明の第2部分は第1部分(例えば、GABA類似体)に、第1部分のC(カルボキシル)−末端によって結合され、第1部分のN(アミノ)末端は保護基「P」に結合される。一部の実施形態において、本発明のGABA−薬物コンジュゲートは、式(III)
【0031】
【化6】

(式中、
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか、あるいは任意選択で、RとRが、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキルおよび橋状シクロアルキル環を形成しており;
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
Zは、薬物とGABA類似体間のリンカーによる共有結合と定義し、以下のもの:
【0032】
【化7】

からなる群より選択され、
Pは、アミノ酸、イミン、カルバメート、N−ジチアスクシンイミド、モノ−もしくはジ−アルキルホスホルアミデート、アシルオキシカルバメートと定義する)
を有する。
【0033】
I.第1部分:GABAおよびGABA類似体
一態様において、本発明は、疼痛または神経系障害を処置するための組成物を提供する。一部の実施形態において、該組成物の第1部分はGABA類似体である。
【0034】
ガンマ−アミノ酪酸(GABA)は、哺乳動物の中枢神経系における抑制性神経伝達物質の1つである。これは、脳内の抑制シナプスにおいて、シナプス前ニューロンプロセスおよびシナプス後ニューロンプロセスの両方で、原形質膜内の特定の膜貫通受容体に結合することにより作用する。この結合によりイオンチャネルの開放が引き起こされ、負電荷を有する塩化物イオンの細胞内への流入、または正電荷を有するカリウムイオンの細胞からの流出のいずれかが可能になる。この作用により、膜内外電位差に負の変化がもたらされ、通常、過分極がもたらされる。3種類の一般的なGABA受容体、GABA、GABAおよびGABAが同定されている。GABAおよびGABAはイオノトロピー性受容体であるが、GABAはGタンパク質共役型代謝型受容体である。GABAレベルが低いことは、多くの疾患、例えば限定されないが、癲癇性発作、多発性硬化症、動作時振戦、パニック、不安および鬱と関連している。
【0035】
GABAが種々の疾患状態において果たしている役割により、血液脳関門を通過しないGABAと比べて医薬特性がより良好なGABA類似体の調製における関心が刺激された。したがって、いくつかのGABA類似体が当該技術分野において合成されている(Satzingerら、米国特許第4,04,175号;Silvermanら、米国特許第5,563,175号;同第6,028,214号;同第6,117,906号;国際出願公開公報番号WO92/09560;93/23383;Horwellら、米国特許第6,020,370号;国際出願公開公報番号WO97/29101、97/33858;97/33859;Bryansら、国際出願公開公報番号WO99/31057;99/31075;99/61424;00/15511;00/31020;00/50027;02/00209;Gugliettaら、国際出願公開公報番号WO99/08671)。
【0036】
いくつかのGABA類似体が同定されている。このようなGABA類似体としては、限定されないが、以下に示すバクロフェン[式IV(a)]、ビガバトリン[式IV(b)]、ガバペンチン[式IV(c)]、およびプレガバリン[式IV(d)]が挙げられる。GABAそのものとは異なり、このようなGABA誘導体は、おそらく能動輸送機構によって血液脳関門を通過できるだけでなく、臨床的に医薬的有用性を示す。バクロフェンは、特に、脊髄損傷、痙攣性両側麻痺、多発性硬化症および三叉神経痛の場合に、痙攣性動作の処置または疼痛の緩和に臨床的に使用されているGABA作用薬である。ビガバトリンは、癲癇および複雑部分発作などの疾患に対する補助処置薬として使用されている抗痙攣薬である。GABA類似体の中でも、ガバペンチンおよびプレガバリンは、最初は癲癇の処置用に開発されたが、慢性の疼痛の軽減、特に、神経障害性の疼痛(糖尿病性神経障害性の疼痛およびヘルペス後神経痛など)の軽減に有効であることが示されている。また、ガバペンチンおよびプレガバリンは、線維筋痛症の処置における有効性が示されている。ガバペンチンおよびプレガバリンは、一般に、ほとんどの患者で耐容性が良好であり、副作用プロフィールが比較的軽度であり、代謝および薬物−薬物相互作用が最小限である。ガバペンチンおよびプレガバリンは、GABA受容体との相互作用は最小限のようである。研究により、神経障害性の疼痛の軽減作用は、ニューロン膜内の高親和性結合部位である電位型N型カルシウムイオンチャネルのα−2−デルタサブユニットによって媒介されることが示唆されている(Rose,M.A.ら、Anesthesia、2002、57(5)、451−462)。このサブユニットは、神経障害性の疼痛のモデルにおける機械的過敏症の維持に関与している。カルシウムイオンにより、神経伝達物質を含有する小胞がシナプス前膜と融合することが可能になり、シナプス間隙を抑制する神経伝達物質の放出を促進させる作用が可能になる。ガバペンチンおよびプレガバリンはともに、おそらく、α−2−デルタ受容体を介してカルシウム流入をブロックし、ニューロン間で侵害受容シグナルを伝達する神経伝達物質の放出を低減させることにより、その治療効果を発揮している。インビトロ所見により、ガバペンチンは、興奮性神経伝達物質(グルタメートおよびノルエピネフリンなど)のシナプス前放出を低減させ得ることが示唆されている。
【0037】
【化8】

GABA類似体(例えば、ガバペンチン、プレガバリンおよびバクロフェン)を他の鎮痛薬(麻薬物質、二重作用性オピオイド鎮痛薬、NSAID、抗鬱薬、NMDA拮抗薬など)と使用する併用療法により、慢性の疼痛の制御の改善がもたらされる。一緒に投与すると、GABA類似体とこのような鎮痛薬は、相乗的または相加的様式で相互作用して慢性の疼痛を制御し得る。この相乗性により、潜在的に、各化合物の必要用量の低減が可能になり得、副作用の低減および該化合物の臨床的有用性の向上がもたらされ得る。該鎮痛効果は、GABA類似体(ガバペンチン、プレガバリンおよびバクロフェン)をオピオイド(モルヒネなど)と一緒に共投与することによって向上され得る(Pain and Symptom Management 2007、34(2)、183−189のKeskinbora K.J.;Kazi,J.A.、Gee,C.F.J.Mol.Neurosci.2007、32、47−52;Berger,A.;ら Clinical Therapeutics 2003、25(11)、2809−2821;Eckhardt,K.ら、Anesth Analg 2000、91、185−191;Granados−Soto,V.ら、Pharmacology 2005、74、200−208;Tiippana,E.M.;ら、Anesthesia & Analgesia 2007、104(6)、1545−1556;Codd.E.E.;ら、Pain 2008、134、254−262.)。また、本発明により、鎮痛効果が、GABA類似体(ガバペンチン、プレガバリン)をNSAIDまたはNMDA受容体拮抗薬と一緒に共投与することによって向上され得ることが報告された(Yoon,M.H.ら、Anesthesiology 1999、91(4)、1006−1013;Hurley,R.W.,ら、2002、97(5)、1263−1273;Durmus,M.ら、Acta Anaesthesiol Scand 2007、51、299−304;Ryan,M.ら、国際特許出願公開公報番号WO99/12537)。
【0038】
GABA類似体と他の鎮痛薬の共投与を使用する有益性にもかかわらず、このようなレジメンは、不都合点:1)GABA類似体(例えば限定されないが、ガバペンチン、プレガバリンおよびバクロフェン)の急速全身クリアランス、そのため、体循環中で治療濃度または予防濃度を維持するために頻繁な投与が必要とされる;2)高用量(1.8〜3.6g/日(分割用量))のガバペンチンの吸収の飽和による患者間でのばらつき;3)大腸内での吸収が最小限、これにより徐放製剤液が制限される;4)鎮痛薬(例えば、NSAID)によって引き起こされるGI毒性;ならびに5)一部の麻薬性鎮痛薬(モルヒネなど)での広範な初回通過代謝を有する。
【0039】
一態様において、本発明は、好ましくは上記の処置レジメンと比べていくつかの相違する利点を有する新しい化学物質実体を有する新規なGABA−薬物コンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、GABA−薬物コンジュゲートは大腸で吸収され得る。その結果、徐放製剤を使用することにより、投与頻度が低減され得る。他の実施形態では、GABA−薬物コンジュゲートは、GABA類似体の吸収機構を改変するもの(おそらく受動拡散によって)、および患者間の薬物動態学的および治療転帰の予測性の増大をもたらし得るものである。さらなる実施形態では、第1部分(例えば、GABA類似体)と第2部分(例えば、鎮痛薬)間のリンカーを最適化することにより、GABA−薬物コンジュゲートからの活性薬物(すなわち、GABA類似体の活性形態および該鎮痛薬の活性形態)の放出速度が最適化され得る。その結果、一部のGI不利益性(初回通過代謝またはGI副作用など)が、親薬物の投与と比べて低減され得る。また、本発明は、GABA−鎮痛薬コンジュゲート、例えば、GABA−NSAIDコンジュゲートを包含する。本発明のGABA−NSAIDコンジュゲートの投与により、潜在的に、NSAIDによって引き起こされる胃腸障害が予防、低減および/または処置され得る。
【0040】
II.第2部分
一部の実施形態において、本発明の組成物の第2部分は鎮痛薬である。
【0041】
A.鎮痛薬
鎮痛薬は、疼痛を軽減するために使用される薬物群の任意の構成員である。鎮痛性薬物は、末梢神経系および中枢神経系において種々の様式で作用する。鎮痛薬にはいくつかの類型があり、限定されないが、パラセタモール(アセトアミノフェン)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(ナプロキセンなど)、麻薬性薬物(モルヒネおよびアヘン剤など)、麻薬性を有する合成薬物(トラマドールなど)、および種々の他の類型が挙げられる。
【0042】
痛覚消失の選択は、他の適用薬物に対する感受性および応答によって決定され、また、疼痛の型によっても決定される。例えば、神経障害性の疼痛に対しては、従来の痛覚消失は有効性が低く、多くの場合、通常鎮痛薬とみなされない類型の薬物、例えば三環系抗鬱薬および抗痙攣薬などにより有益性がみられる。
【0043】
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDまたはNAID)は、非ステロイド系抗炎症剤/鎮痛薬(NSAIA)あるいは非ステロイド系抗炎症性医薬(NSAIM)と称されることもあり、鎮痛効果、解熱効果および高用量で抗炎症効果を有する薬物である。NSAIDは、疼痛、熱および炎症を低減し得るものである。用語「非ステロイド系」は、このような薬物を、同様のエイコサノイド抑制性抗炎症効果を有するステロイド系と識別するために用いる。鎮痛薬として、NSAIDは非麻薬性である。NSAIDとしては、限定されないが、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ナブメトン、ピロキシカム、アセトアミノフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、アスピリン、コリンマグネシウムトリサリチル酸、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、酢酸ターシャリー−ブチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、またはそのプロドラッグもしくは活性代謝産物が挙げられる。この薬物基の最も著名な構成員は、アスピリン、イブプロフェン、およびナプロキセンである。パラセタモール(アセトアミノフェン)が有する抗炎症活性はごくわずかであり、NSAIDではない。
【0044】
ほとんどのNSAIDは、酵素シクロオキシゲナーゼの非選択的阻害薬として作用するものであり、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)とシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)アイソエンザイムの両方を阻害する。シクロオキシゲナーゼは、アラキドン酸からのプロスタグランジンおよびトロンボキサンの形成を触媒する。プロスタグランジンは、炎症プロセスにおけるメッセンジャーとして作用する。NSAIDは、通常、疼痛および炎症が存在する急性または慢性の病状の処置に対して指示される。COX2阻害薬としては、限定されないが、ロフェコキシブ(VIOXX.RTM.、または4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−フェニル−2(5H)−フラノン)、セレコキシブ(CELEBREX.RTM.、または4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1− −イル]ベンゼンスルホンアミド)、ならびにバルデコキシブ(BEXTRA.RTM.、および4−(5−メチル−3−フェニル−4−イソオキサゾリル)ベンゼンスルホンアミド)が挙げられる。
【0045】
NSAIDは、一般的に、限定されないが、関節リウマチ、変形性関節症、炎症性関節症、急性痛風、月経困難症(dysmenorrhoea)、転移性の骨痛、頭痛および片頭痛、術後疼痛、炎症および組織損傷による軽度から中等度の疼痛、発熱(熱)、腸閉塞ならびに腎仙痛などの病状の対症的軽減に対して指示される。
【0046】
NSAIDと関連している2つの主な有害薬物反応(ADR)は、該薬剤の胃腸(GI)への効果および腎臓への効果に関するものである。このような効果は用量依存性であり、多くの場合、穿孔性潰瘍、胃腸上部の出血、および死亡のリスクが生じるのに充分重度であり、NSAID療法の使用が制限される。NSAID患者のうち推定10〜20%に消化不良が起こり、NSAIDに関連する胃腸上部の有害事象は、米国で年間、入院が103,000例および死亡が16,500例になると推定されており、薬物関連の救急外来の43%に相当する。
【0047】
一部の態様において、本発明は、従来の鎮痛薬と関連する副作用が低減され、処置の治療有効性が増大され得る組成物を提供する。
【0048】
麻薬性鎮痛薬
麻薬性鎮痛薬には2つの型:アヘン剤とオピオイド(アヘン剤誘導体)がある。アヘン剤はアヘン中に見られるアルカロイドであり、限定されないが、モルヒネ、コデインおよびテバインが挙げられる。オピオイドは、中枢神経系または胃腸管のオピオイド受容体に結合する任意の適用薬物である。オピオイドは4つの類型:内在性オピオイドペプチド(体内で生成:エンドルフィン、ジノルフィン、エンケファリン);アヘンアルカロイド(モルヒネ、コデイン、テバイン);半合成オピオイド(ヘロイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロコデイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、ニコモルヒネ);および完全合成オピオイド(ペチジンまたはデメロール、メタドン、フェンタニル、プロポキシフェン、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、トラマドール他)に大別される。
【0049】
オピオイドは、医薬において強い鎮痛薬として、重度または慢性の疼痛の軽減のために使用される。疼痛の軽減を得るために使用されるオピオイドの投薬量に上限はないが、有害作用(例えば、呼吸抑制)に対する耐容性の発現を可能にするため、用量は、徐々に上げなければならない。オピオイドの中毒の可能性と、慢性関節炎などの非悪性の慢性の疼痛の処置における鎮痛特性の有益性との対比に関して議論されている。麻薬性鎮痛薬の使用に伴う副作用および有害反応はたくさんある。一般的な副作用としては、限定されないが、悪心、嘔吐、嗜眠状態、口渇、縮瞳(瞳孔の収縮)、起立性低血圧症、尿閉、便秘および/または宿便が挙げられる。
【0050】
向精神剤
テトラヒドロカナビノール(THC)および一部の他のカンナビノイド(植物Cannabis sativa由来または合成いずれも)は、鎮痛特性を有する。他の向精神性の鎮痛剤としては、限定されないが、ケタミン(NMDA受容体拮抗薬)、クロニジンおよび他のα−アドレナリン作用性受容体作用薬、メキシレチンならびに他の局所麻酔薬の類似化合物が挙げられる。
【0051】
非定型および/または補助的鎮痛薬
オルフェナドリン、シクロロベンザプリン、スコポラミン、アトロピン、ガバペンチン、第1世代抗鬱薬および抗コリン作用性および/または抗痙攣性特性を有する他の薬物は、多くの場合、鎮痛薬とともに、中枢作用性鎮痛薬(オピオイドなど)を増強するため(疼痛、特に、神経障害性起源の疼痛に対して使用される場合)、および副交感神経系における作用によって多くの他の型の鎮痛薬の効果を調節するために使用される。三環系抗鬱薬、特にアミトリプチリンは疼痛を改善することが示されている。カルバマゼピン、ガバペンチンおよびプレガバリンの厳密な機構は不明であるが、これらの抗痙攣薬は神経障害性の疼痛を処置するために使用され、好成績度は中程度である。デキストロメトルファンは、オピオイドに対する耐容性の発現を遅滞させること、およびNMDA受容体に作用することによりさらなる痛覚消失を奏することが注目されている;メタドンおよびケトベミドンなどの一部の鎮痛薬、ならびに場合によっては、ピリトラミドは固有のNMDA作用を有する。過去において、エチルアルコールのCNS抑制効果のため、疼痛を和らげるための薬剤として強い酒類が使用されていた。しかしながら、アルコールが疼痛を処置する能力は、事実上、今日使用されているどの鎮痛薬(例えば、モルヒネ、コデイン)よりも劣っている。
【0052】
補助的鎮痛薬の使用は、疼痛制御分野の主要部分となりつつある。このような薬物の多くは、オピオイド鎮痛薬の副作用に対処するものである。例えば、抗ヒスタミン薬(例えば、オルフェナドリン)は、多くのオピオイドによって引き起こされるヒスタミンの放出に対処するものであり、メチルフェニデート、カフェイン、エフェドリン、デキストロアンフェタミン、およびコカインは、強い鎮静に対して奏功し、苦痛を有する患者の気分を抗鬱薬のように上昇させ得る。オピオイドを服用中の慢性の疼痛を有する患者に対するTHCの充分認知された有益性は、抗催吐作用よりも優れている。
【0053】
B.GHB
他の実施形態では、本発明の組成物の第2部分はガンマ−ヒドロキシ酪酸(GHB)またはGHBの任意の類似体、誘導体もしくは改変体である。GHBは、天然に存在する物質であり、中枢神経系、ワイン、牛肉、小型の柑橘類の果実、およびほぼすべての動物に少量で見られる。GHBは、ヒトの体内細胞で天然に生成され、ケトン体β−ヒドロキシラクテートと構造的に関連している。また、これは、神経保護的治療用栄養物であるが、いくつかの国では違法薬物に分類されている。これは、現在、米国では規制されており、ナルコレプシーを有する患者のカタプレキシーおよび過剰な日中の眠気を処置するために使用される。サプリメント/薬物として、これは、最も一般的には塩の形態で使用される。また、GHBは、発酵の結果としても生成される。
【0054】
GHBは、中枢神経系において少なくとも2つの相違する結合部位を有する。GHBは、興奮性であるGHB受容体の作用薬であり(Wu Yら、2004、Neuropharmacology 47(8):1146−56.)、抑制性であるGABA受容体では弱い作用薬である。GHBは、おそらく、GABA作用性ニューロン内でGABAから合成され、ニューロンの炎症(fire)時に放出される。
【0055】
経口摂取された場合、GABAは、それ自体の血液脳関門の通過は非常に不充分であり、また、高濃度において脳内部に入っても、あまり有効にGABA受容体に達しない。GABAは脳内で天然に合成されるため、通常濃度よりも高いと速やかに代謝され得る。しかしながら、薬理学的用量では、GHBは脳内でずっと高い濃度に達し、GABA受容体を活性化させ、これが主に鎮静効果を担う(Dimitrijevic Nら、2005、Eur.J.Pharmacol.519(3):246−52)。GHBの鎮静効果はGABA拮抗薬によってブロックされる。
【0056】
GHB受容体とGABAの両方の活性化がGHBの中毒性プロフィールの一因となる。ドパミン放出に対するGHBの効果は二相性であり、低濃度でGHB受容体によりドパミン放出が刺激される。高濃度では、バクロフェンおよびフェニブトなどの他のGABA作用薬のようにGABA受容体によってドパミン放出が抑止される(Maitre Mら、1990、J.Pharmacol.Exp.Ther.255(2):657−63;Smolders Iら、1995 Eur.J.Pharmacol.284(1−2):83−91)。初期の阻害後、次いで、ドパミン放出はGHB受容体によって増大する。GHBによるドパミン放出の阻害および増大はともに、ナロキソンおよびナルトレキソンなどのオピオイド拮抗薬によって抑止される。
【0057】
GHBの他のプロドラッグエステル形態としては、限定されないが、1,4−ジアセトキシブタン、メチル−4−アセトキシブタノエートおよびエチル−4−アセトキシブタノエートが挙げられる。このようなGHBのプロドラッグは、おそらく、発症を遅延させ、より長い作用持続期間を有するものである。また、中間体化合物4−ヒドロキシブタルデヒドもGHBのプロドラッグである。
【0058】
GHBは、GBL(ガンマ−ブチロラクトン)、ペンキはがし剤として一般的に使用される溶媒またはブタンジオール(1,4−ブタンジオール)、プラスチックおよび接着剤の製造に使用される化学薬品などの成分から作製され得る。GBLおよびブタンジオールはともに、体内でGHBに代謝される。
【0059】
本発明は、GHB、GHBの任意の類似体、誘導体、プロドラッグ形態または任意の他の適当な改変体を包含することに注意されたい。
【0060】
III.GABA−薬物コンジュゲートの合成
本発明のGABA−薬物コンジュゲートは、スキーム1〜8に図示した合成方法によって得られ得る。当業者には、本発明のGABA−薬物コンジュゲートの好ましい合成経路は、麻薬物質、NSAID、二重作用性オピオイド鎮痛薬、抗鬱薬、γ−酪酸およびNMDA受容体拮抗薬から選択される鎮痛薬をGABA類似体に連結させることからなることが認識されよう。GABA類似体の合成のための数多くの方法が当該技術分野において報告されている(Satzingerら、米国特許第4,024,175号;Silvermanら、米国特許第5,563,175号;同第6,028,214号;同第6,117,906号;Silvermanら、国際出願公開公報WO92/09560;WO93/23383;Horwellら、米国特許第6,020,370号;同第6,103,932;Horwellら、国際出願公開公報番号WO97/29101;WO97/33858;WO97/33859;Bryansら、国際出願公開公報番号WO98/17627;WO99/21824;WO99/31057;WO99/31075;WO99/61424;WO00/15611;WO00/31020;WO00/50027;Gugliettaら、国際出願公開公報番号WO99/08671;Belliottiら、国際出願公開公報番号WO99/31074)。GABA類似体の他の合成方法も当該技術分野において知られており、当業者に容易に入手可能である。本明細書に記載の鎮痛薬は当該技術分野において知られており、既知の手順に従って調製され得る。また、種々の官能基(例えば、カルボン酸、ヒドロキシル、チオール、アミン、スルホンアミド)を含む鎮痛薬分子をGABA類似体に連結させる技術も、確立された手順によって充分わかる(例えば、Greenら、“Protective Groups in Organic Chemistry”、(Wiley、第2版、1991);Harrisonら、“Compendium of Synthetic Organic Methods”、第1〜8巻(John Wiley and Sons、1971−1996);“Beilstein Handbook of Organic Chemistry、”Beilstein Institute of Organic Chemistry、Frankfurt,Germany;Feiserら、“Reagents for Organic Synthesis、”第1〜17巻、Wiley Interscience;Trostら、“Comprehensive Organic Synthesis、”Pergamon Press、1991;“Theilheimer’s Synthetic Methods of Organic Chemistry、”第1〜45巻、Karger、1991;March、“Advanced Organic Chemistry、”Wiley Interscience、1991;Larock “Comprehensive Organic Transformations、”VCH Publishers、1989;Paquette、“Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、”John Wiley & Sons、1995、Bodanzsky、“Principles of Peptide Synthesis、”Springer Verlag、1984;Bodanzsky、“Practice of Peptide Synthesis、”Springer Verlag、1984を参照のこと)。
【0061】
したがって、本発明の化合物およびその中間体の調製に有用な出発材料は市販のものであるか、またはよく知られた合成方法によって調製され得るものである。本明細書に記載のGABA−薬物コンジュゲートの他の合成方法は、当該技術分野で報告されているか、または本明細書において上記に示した参考文献に鑑みて当業者にすぐにわかるかのいずれかであり、本発明のGABA−薬物コンジュゲートを合成するために使用され得る。したがって、本明細書に記載のスキームに提示した方法は、包括的でなく例示的である。
【0062】
一態様において、本発明は、第1部分(例えば、GABA類似体)が第2部分(例えば、薬物)に、第1部分のアミノもしくはN末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって連結されたGABA−薬物コンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、第1部分は第2部分にアミノ末端によって連結されている。他の実施形態では、第1部分は第2部分に、酸性基、例えば限定されないが、ホスフィン酸基およびスルフィン酸基によって連結されている。一部の場合では、GABA類似体は、特にカルボキシル基がエステルによって保護されている場合、カルボキシル官能基によるガンマアミノ基の分子内環化を受け、環状アミドであるガンマ−ラクタムを形成する。この副生成物ラクタムの形成は、潜在的にインビボで毒性を生じる可能性がある。したがって、一部の実施形態では、該2つの部分をアミノ基で連結させることで、インビボならびにコンジュゲートの合成中でのラクタム形成が低減または抑制されることにより、潜在的に副作用が最小限になる。
【0063】
以下の任意のスキームにおいて、GABA類似体のアミノ基を第2部分(これは、鎮痛薬または他の保護基であり得る)に連結させた後、当業者に充分わかる多くの合成方法によってカルボン酸基をエステルまたはチオエステルに変換してもよい。好ましい一実施形態では、GABA類似体をアルコールまたはチオールと、カップリング試薬(例えば、カルボジイミドおよびジメチルアミノピリジン)の存在下で反応させると、エステルが得られ得る。別の好ましい実施形態では、GABA類似体をハロゲン化アルキルと、塩基の存在下で反応させると、エステルが得られ得る。GABA類似体をエステルまたはチオエステルに変換するための他の方法は、本明細書に示した参考文献に鑑みると、充分当業者の能力の範囲内である。
【0064】
【化9】

スキーム1において上記に図示するように、カルボン酸含有薬物はGABA類似体の誘導体(1)の末端アミノ基に直接カップリングされ、付加物(2)が得られ得る。この反応を行なうための試薬は当業者に充分わかり、限定されないが、カルボジイミド、アミニウム塩、ホスホニウム塩などが挙げられる。あるいはまた、薬物由来のカルボン酸の反応はアシル塩化物の形成によって活性化され得、無水物、続いてGABA類似体(1)が塩基(例えば、水酸化物、第3級アミンなど)の存在下で使用され、(2)が合成され得る。
【0065】
【化10】

スキーム2に図示するように、GABA類似体の誘導体(1)と、ヒドロキシル部分を含む薬物は、まず、アルコールをホスゲン、ジイミダゾールカルバメートまたはジ−p−ニトロフェニルカーボネートと、塩基の存在下で反応させ、続いて、塩基性条件下でGABA類似体を付加することにより、カルバメートまたはチオカルバメートリンカーによって連結され得る。あるいはまた、イソシアネート(4)またはチオイソシアネート(5)へのアルコールのよく知られた付加法を用いても(3)および(6)が合成され得る。
【0066】
【化11】

【0067】
【化12】

式(8)のGABA−薬物コンジュゲートの合成方法の一例をスキーム3に図示する。クロロホルメートを、まず、芳香族脱離基(p−ニトロフェノール)で塩基の存在下で処理してp−ニトロフェニルカーボネートを得、これをカルボン酸含有薬物と、ヨウ化ナトリウムおよび塩基(第3級アミン、CsCO、AgCO)の存在下で反応させ、化合物(7)を得る。中間体(7)をGABA類似体で塩基の存在下で処理すると、式(8)のGABA−薬物コンジュゲートの形成がもたらされる。
【0068】
【化13】

式(10)のGABA−薬物コンジュゲートの合成をスキーム4に図示する。クロロホルメートを、まず、GABA類似体で塩基の存在下で処理して中間体(9)を得、次いで、これをヒドロキシル基含有薬物と、ヨウ化ナトリウムおよび塩基の存在下で反応させ、最終GABA−薬物コンジュゲート(10)を得る。
【0069】
【化14】

式(14)を有するGABA−薬物コンジュゲートの合成方法をスキーム5に図示する。ヒドロキシル官能基含有薬物を、まず、クロロホルメート(choroformate)(または他の活性カルバメートもしくはカーボネート)と、塩基の存在下で反応させる。ハライド交換によって中間体(13)を得、これをGABA類似体と、塩基性条件下、二酸化炭素の存在下で反応させ、式(14)を有する最終GABA−薬物コンジュゲートを得る。
【0070】
【化15】

式(17)を有するGABA−薬物コンジュゲートの合成方法をスキーム6に図示する。薬物由来の活性化クロロホルメート(または他の活性カルバメートもしくはカーボネート)を、α−ヒドロキシアルキルアセテートと、塩基の存在下で反応させてカーボネートを得る。次いで、エステルを除去して中間体(15)を得る。化合物(15)をハロゲン化物置換カーボネートと、塩基およびヨウ化ナトリウムの存在下で反応させ、化合物(16)を形成させる。次いで、化合物(16)をGABA類似体と、塩基性条件下でカップリングさせ、式(17)を有する最終化合物を得る。
【0071】
【化16】

式(18)を有するGABA−薬物コンジュゲートの合成をスキーム7に図示する。薬物由来の活性化クロロホルメート(または他の活性カルバメートもしくはカーボネート)を、α−ヒドロキシアルキルアセテートと塩基性条件下で反応させた後、エステルを除去して化合物(15)を得る。次いで、化合物(15)のエステルをGABA類似体とカップリングさせ、式(18)を有する最終化合物を得る。
【0072】
別の態様において、本発明は、第1部分(例えば、GABA類似体)が第2部分(例えば、薬物)に第1部分のカルボキシル(すなわち、カルボン酸基)によって連結され、第1部分のアミノ(すなわち、N末端)が保護基に連結されたGABA−薬物コンジュゲートを提供する。該コンジュゲートのかかる構造により、副作用および毒性の増大の一因となり得るラクタムの形成が抑制または低減される。
【0073】
保護基は、アミノ酸、イミン、カルバメート、N−ジチアスクシンイミド、モノ−もしくはジ−アルキルホスホルアミデート、またはアシルオキシカルバメートを含む。
【0074】
【化17】

式(21)を有するカルボキシル基によるGABA−薬物コンジュゲートの合成をスキーム8に図示する。出発のGABA類似体を、まずリン酸ジアルキル塩化物と、塩基の存在下で反応させる。エステル(19)の脱保護後、次いで、遊離カルボン酸(20)を塩化物と塩基性条件下で反応させ、ラクタム形成を抑制するための保護されたアミノ基を有する最終薬物コンジュゲートを得る。
【0075】
リンカー
本発明において、第1部分は第2部分に共有結合される。一部の実施形態において、該2つの部分はリンカーによって連結される。本発明に使用され得るリンカーとしては、限定されないが、以下のもの:
【0076】
【化18】

が挙げられる。
【0077】
生理学的に不安定な連結は、生理的液体(例えば、血漿)中で見られるものに近い生理学的条件下で不安定な任意の適当な連結であり得る。該連結は、直接結合(例えば、アミド、エステル、カーボネート、カルバメート、アシルオキシカルバメート、スルホネートまたはスルファメート結合)であってもよく、連結基(例えば、C〜C12ジアルコール、C〜C12ヒドロキシルアルカン酸、C〜C12ヒドロキシアルキルアミン、C〜C12二酸、C〜C12アミノ酸、またはC〜C12ジアミン)であってもよい。特に好ましい連結は、アミド、エステル、カーボネート、カルバメート、およびスルファメート直接連結、ならびにコハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、オキサ酸、オキサメチレンおよびそのハロゲン化物による連結である。該連結は、生理的条件下(これは、一般的にpH約6〜約8を意味する)で不安定である。連結の不安定性は、具体的な連結の型、生理的液体の厳密なpHおよびイオン強度、ならびにインビボで加水分解反応を触媒する傾向にある酵素の有無に依存する。一般に、インビボでの連結の不安定性は、該化合物が生理的液体中に可溶化されていない場合の該連結の安定性に相対して測定される。したがって、本発明による一部の化合物は一部の生理的液体中で比較的安定であり得るが、それでもなお、そのまま、または非生理的液体(例えば、アセトンなどの非水性溶媒)に溶解させた場合と比べて、インビボで(またはインビトロ、生理的液体に溶解させた場合(天然またはシミュレーションいずれでも))比較的加水分解を受けやすい。したがって、該不安定な連結は、薬物を水性液、特に、血漿などの生理的液体に溶解させた場合、反応によって加水分解生成物が得られるようなものである。
【0078】
二酸、ジアルコール、アミノ酸などを適当なリンカーであると上記に記載しているが、他のリンカーも本発明の範囲に包含される。例えば、本発明による化合物の加水分解生成物は二酸を含み得るが、該連結を行なうために使用される実際の試薬は、例えば、ジアシルハロゲン化物(塩化スクシニルなど)、または無水物(無水コハク酸もしくは無水ジグリコール酸など)であってもよい。当業者には、他の可能な酸、アルコール、アミノ、スルファトおよびスルファモイル誘導体も、対応する連結を行なうための試薬として使用され得ることが認識されよう。
【0079】
IV.本発明の医薬組成物
本発明のまた別の態様は、GABA−薬物共有結合性コンジュゲートまたは該コンジュゲートと本発明の他の薬剤との組合せを含む医薬組成物の製剤、投与経路および有効用量に関する。
【0080】
本発明の組成物は、経口(例えば、口腔内および舌下)、経直腸、経鼻、経表面、経皮パッチ、肺経由、経膣、坐剤、または非経口(例えば、筋肉内、動脈内、髄腔内、皮内、腹腔内、皮下および静脈内)投与に適したものなど、あるいはエーロゾル化、吸入または吹送による投与に適した形態の医薬用製剤として投与され得る。薬物送達系に関する一般的な情報は、Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Lippencott Williams & Wilkins、Baltimore Md.(1999)を見るとよい。
【0081】
種々の実施形態において、医薬組成物には、担体および賦形剤(例えば限定されないが、緩衝剤、糖質、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸(グリシンなど)、酸化防止剤、静菌薬、キレート剤、懸濁化剤、増粘剤および/または保存料)、水、油類(例えば限定されないが、石油系のもの、動物、植物または合成起源のもの(ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)など)、生理食塩水溶液、水性デキストロースおよび液状グリセロール、フレーバー剤、着色剤、粘着防止剤ならびに他の許容され得る添加剤、補助剤または結合剤、生理学的条件に近づけるために必要とされる他の薬学的に許容され得る補助物質(pH緩衝剤、張度調整剤、乳化剤、湿潤剤など)などが含まれる。賦形剤の例としては、限定されないが、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。一部の実施形態において、医薬調製物は実質的に保存料を含まない。他の実施形態では、医薬調製物は少なくとも1種類の保存料を含んでいてもよい。医薬投薬形態に関する一般的な方法論は、Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Lippencott Williams & Wilkins、Baltimore Md.(1999))において知得される。当業者にわかる任意の適当な担体が本発明の組成物の投与に使用され得るが、担体の型は投与様式に応じて異なることは認識されよう。
【0082】
また、該化合物を、よく知られた手法を用いてリポソーム内にカプセル封入してもよい。また、生分解性ミクロスフィアも本発明の医薬組成物の担体として使用され得る。好適な生分解性ミクロスフィアは、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号および同第5,942,252号に開示されている。
【0083】
該化合物は、リポソームまたはミクロスフィア(または微粒子)にて投与され得る。患者への投与のためのリポソームおよびミクロスフィアの調製方法は当業者に充分わかる。米国特許第4,789,734号(その内容は、引用により本明細書に組み込まれる)には、生物学的物質をリポソーム内にカプセル封入するための方法が記載されている。本質的には、該物質を水溶液に溶解させ、適切なリン脂質および脂質を界面活性剤とともに(必要であれば)添加し、該物質を透析または超音波処理する(必要に応じて)。既知の方法の概説は、G.Gregoriadis、第14章,”Liposomes,” Drug Carriers in Biology and Medicine、pp.2.sup.87−341(Academic Press、1979)に示されている。
【0084】
ポリマーまたはタンパク質で形成されたミクロスフィアは当業者に充分わかり、胃腸管を通過して直接血流中に入るように調整することができる。あるいはまた、数日間から数ヶ月間の範囲の期間にわたる低速放出のために、該化合物を組み込み、そのミクロスフィアまたは複合ミクロスフィアを埋入してもよい。例えば、米国特許第4,906,474号、同第4,925,673号および同第3,625,214号、ならびにJein、TIPS 19:155−157(1998)(その内容は、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0085】
薬物の濃度は調整され得、溶液のpHは緩衝され得、等張性は静脈内注射に適合性であるように調整され得、これは当該技術分野でよく知られている。
【0086】
本発明の化合物は、当該技術分野でよく知られ適当なビヒクルで、滅菌液剤または懸濁剤として製剤化され得る。医薬組成物は、慣用的なよく知られた滅菌手法で滅菌してもよく、滅菌濾過してもよい。得られた水性液剤は、そのままでの使用のためにパッケージングしてもよく、凍結乾燥してもよく、凍結乾燥調製物は投与前に滅菌溶液と合わせる。好適な製剤およびさらなる担体は、Remington “The Science and Practice of Pharmacy”(第20版、Lippincott Williams & Wilkins、Baltimore MD)(その教示は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0087】
薬剤またはその薬学的に許容され得る塩は、単独、または1種類以上の他の薬剤と組み合わせて、または1種類以上の他の形態で提供され得る。例えば、製剤は、各薬剤の相対効力および意図される適応症に応じて、1種類以上の薬剤を特定の割合で含むものであり得る。例えば、2つの異なる宿主標的を標的化するための組成物において、効力が同等である場合、約1:1比の薬剤が使用され得る。2つの形態を同じ投薬単位、例えば、1つのクリーム剤、坐剤、錠剤、カプセル剤、エーロゾルスプレー剤、または粉剤包(溶解して飲料にする)に一緒に製剤化してもよく;各形態を別々の単位、例えば、2つのクリーム剤、2つの坐剤、2つの錠剤、2つのカプセル剤、錠剤と該錠剤を溶解させるための溶解させる液剤、2つのエーロゾルスプレー剤、または粉剤包と該粉剤を溶解させるための溶解させる液剤などに製剤化してもよい。
【0088】
典型的な薬学的に許容され得る塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどの無機イオンのものである。かかる塩としては、無機または有機酸との塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸またはマレイン酸との塩が挙げられる。また、該薬剤(1種類または複数種)がカルボキシ基または他の酸性基を含む場合、これを無機または有機塩基との薬学的に許容され得る付加塩に変換させてもよい。適当な塩基の例としては、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシル−アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0089】
薬学的に許容され得るエステルまたはアミドとしては、限定されないが、エチル、メチル、イソブチル、エチレングリコールなどが挙げられる。典型的なアミドとしては、限定されないが、非置換アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミドなどが挙げられる。
【0090】
必要または所望により、該コンジュゲートおよび/またはコンジュゲートの組合せは、他の薬剤とともに投与され得る。本発明のコンジュゲートおよび/またはコンジュゲートの組合せと共投与され得る薬剤の選択は、少なくとも一部において処置対象の病状に依存し得る。本発明の製剤に特に有用な薬剤としては、限定されないが、例えば、疼痛に対する治療効果を有する任意の薬剤が挙げられ、限定されないが、例えば、炎症性の病状、鬱、統合失調症、不眠症および不安を処置するために使用される薬物が挙げられる。
【0091】
薬剤(1種類または複数種)(またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはアミド)は、それ自体を投与してもよく、活性薬剤(1種類または複数種)が1種類以上の薬学的に許容され得る担体と混和または混合された医薬組成物の形態で投与してもよい。医薬組成物は、本明細書で用いる場合、被検体への投与のために調製された任意の組成物であり得る。本発明による使用のための医薬組成物は、慣用的な様式で、活性薬剤を投与可能な調製物に加工処理することを容易にする1種類以上の生理学的に許容され得る担体(例えば、賦形剤、希釈剤および/または助剤を含む)を用いて製剤化され得る。適正な製剤は、少なくとも一部において、選択される投与経路に依存し得る。本発明において有用な薬剤(1種類または複数種)またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはアミドは患者に、いくつかの投与経路または投与様式を用いて、例えば限定されないが、経口、口腔内、経表面、経直腸、経皮、経粘膜、皮下、静脈内および筋肉内適用、ならびに吸入によって送達され得る。
【0092】
本発明の好ましい組成物は、経口送達、特に経口徐放投与用に製剤化される。経口投与用では、GABA−薬物コンジュゲートは、活性GABA−薬物コンジュゲートを、当該技術分野でよく知られた薬学的に許容され得る担体と合わせることにより、容易に製剤化され得る。かかる担体は、本発明のGABA−薬物コンジュゲートが、処置対象の患者が経口摂取するための錠剤(限定されないが、チュアブル錠、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、ロゼンジ剤、飴玉、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、粉剤、懸濁剤、エリキシル剤、カシェ剤などを含む)として製剤化されるのを可能にするものである。かかる製剤には、薬学的に許容され得る担体、例えば限定されないが、固形希釈剤または充填剤、滅菌水性媒体および種々の無毒性有機溶媒が含有され得る。固形担体は1種類以上の物質であってもよく、希釈剤、フレーバー剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としての機能も果たすものであり得る。粉剤では、担体は、一般的に、微細に細分された固形物であり、微細に細分された活性成分と混合される。錠剤では、活性成分は、一般的に、必要な結合能を有する担体と適当な割合で混合され、所望の形状およびサイズに圧密化される。粉剤および錠剤は、好ましくは、約1〜約70パーセントの活性化合物を含む。好適な担体としては、限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどが挙げられる。一般的に、本発明の薬剤は、経口投薬形態の組成物全体の約0.5%、約5%、約10%、約20%、または約30%〜約50%、約60%、約70%、約80%または約90%(重量基準)の範囲の濃度レベルで、所望の単位投薬量がもたらされるのに充分な量で含める。さらに、錠剤または丸剤形態では、胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期間にわたって持続的作用がもたらされるように、該組成物をコーティングしてもよい。また、浸透圧により活性が駆動される化合物を選択的透過性膜で囲むことも、本発明の化合物および組成物の経口投与に適している。このような後者の基本形では、カプセル剤の周囲環境からの流体が該駆動性化合物によって吸収され、該化合物が膨潤して開口部から薬剤または薬剤組成物を移動させる。このような送達基本形では、即放性製剤のスパイク型プロフィールとは反対に、本質的にゼロ次の送達プロフィールがもたらされ得る。また、モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料も使用され得る。
【0093】
経口使用のための水性懸濁剤は、本発明のコンジュゲート(1種類または複数種)を、薬学的に許容され得る賦形剤、例えば、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース)、湿潤剤(例えば、レシチン、リゾレシチンおよび/または長鎖脂肪族アルコール)、ならびに着色剤、保存料、フレーバー剤などとともに含むものであり得る。好適な担体、賦形剤または希釈剤としては、限定されないが、水、生理食塩水、アルキレングリコール(例えば、プロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)油、アルコール、pH4〜pH6の弱酸性バッファー(例えば、約5mM〜約50mMの酢酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩)などが挙げられる。また、フレーバー剤、保存料、着色剤、胆汁酸塩、アシルカルニチンなどを添加してもよい。
【0094】
一部の実施形態において、例えば大きな親油性部分が存在するため、該薬剤を溶液にするために油類または非水性溶媒が必要な場合があり得る。あるいはまた、乳剤、懸濁剤、または他の調製物、例えばリポソーム調製物が使用され得る。リポソーム調製物に関して、病状の処置のための任意の既知のリポソーム調製法が使用され得る。例えば、Banghamら、J.Mol.Biol.23:238−252(1965)およびSzokaら、Proc.Natl Acad.Sci.USA 75:4194−4198(1978)(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。また、該組成物を特定の作用部位に指向させるためのリガンドをリポソームに結合してもよい。また、一部の患者集団における可溶化、投与および/またはコンプライアンスを容易にするため、本発明のGABA−薬物コンジュゲートを食品、例えば、クリームチーズ、バター、サラダドレッシング、またはアイスクリームに一体化させてもよい。
【0095】
経口使用のための医薬調製物を固形賦形剤として得、任意選択で、得られた混合物を摩砕し、顆粒剤混合物を加工処理し、所望により適当な助剤を添加した後、錠剤または糖衣錠の芯剤を得てもよい。好適な賦形剤は、特に、糖類、例えば限定されないが、ラクトース、スクロース、マンニトールもしくはソルビトール;フレーバー成分、セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、イモデンプン、ゼラチン、ガムトラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの充填剤である。所望により、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)が添加され得る。また、GABA−薬物コンジュゲートは、徐放調製物として製剤化され得る。
【0096】
糖衣錠の芯剤に適当なコーティングを施してもよい。この目的のためには濃縮糖溶液が使用され得、これには、任意選択で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー液、ならびに適当な有機溶媒または溶媒混合物が含有され得る。識別のため、または活性GABA−薬物コンジュゲートの種々の組合せを特徴的に表示するために、錠剤または糖衣錠コーティングに染料または顔料を添加してもよい。
【0097】
経口使用され得る医薬調製物としては、ゼラチン製のプッシュフィット型カプセル剤ならびにゼラチンと可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)で作製された
、密閉型軟カプセル剤が挙げられる。プッシュフィット型カプセル剤は、活性成分を、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)および/または滑沢剤(タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなど)ならびに任意選択で安定剤と混合された状態で含むものであり得る。軟カプセル剤では、活性薬剤は、適当な液体、例えば、脂肪油、液状パラフィンまたは液状ポリエチレングリコールなどに溶解または懸濁され得る。また、安定剤を添加してもよい。経口投与のための製剤はすべて、投与に適した投薬量であるのがよい。
【0098】
経口投与に適した他の形態としては、液状形態の調製物(例えば限定されないが、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤)、または使用直前に液状形態の調製物に変換させることが意図される固形形態の調製物が挙げられる。乳剤は、溶液中(例えば、プロピレングリコール水溶液中)で調製されたものであってもよく、乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタンもしくはアカシア)を含むものであってもよい。水性液剤は、活性成分を水に溶解させ、適当な着色剤、フレーバー、安定剤および増粘剤を添加することにより調製され得る。水性懸濁剤は、微細に細分された活性成分を水中に、粘性物質(天然または合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他のよく知られた懸濁化剤など)とともに分散させることにより調製され得る。該組成物とともに投与され得る好適な充填剤または担体としては、限定されないが、寒天、アルコール、脂肪、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、多糖類、ポリビニルピロリドン、シリカ、滅菌生理食塩水など、またはその混合物が挙げられ、適当な量で使用される。固形形態の調製物は、液剤、懸濁剤および乳剤を含み、活性成分に加えて、着色剤、フレーバー、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などが含有され得る。
【0099】
シロップ剤または懸濁剤は、活性化合物を、糖(例えば、スクロース)の濃縮水性溶液に添加することにより作製され得、また、これに任意の補助成分を添加してもよい。かかる補助成分としては、フレーバー、糖の結晶化を遅滞させる薬剤、または任意の他の成分の可溶性を増大させる薬剤(例えば、多価アルコール、例えば、グリセロールもしくはソルビトールとして)が挙げられ得る。
【0100】
本発明の化合物を経口投与用に製剤化する場合、胃腸(GI)管からの吸収を向上させるため、胃内滞留型製剤を用いることが望ましい場合があり得る。胃内に数時間滞留される製剤は、本発明の化合物をゆっくり放出し、徐放(本発明の一部の実施形態では好ましい場合があり得る)をもたらすものであり得る。かかる胃内滞留型製剤の開示は、Klausner,E.A.;Lavy,E.;Barta,M.;Cserepes,E.;Friedman,M.;Hoffman,A.2003 “Novel gastroretentive dosage forms:evaluation of gastroretentivity and its effect on levodopa in humans.”Pharm.Res.20、1466−73、Hoffman,A.;Stepensky,D.;Lavy,E.;Eyal,S.Klausner,E.;Friedman,M.2004 “Pharmacokinetic and pahrmacodynamic aspects of gastroretentive dosage forms”Int.J.Pharm.11、141−53、Streubel,A.;Siepmann,J.;Bodmeier,R.;2006 “Gastroretentive drug delivery systems”Expert Opin.Drug Deliver.3,217−3、およびChavanpatil,M.D.;Jain,P.;Chaudhari,S.;Shear,R.;Vavia,P.R.“Novel sustained release,swellable and bioadhesive gastroretentive drug delivery system for olfoxacin” Int.J.Pharm.(2006年3月24日電子公開)において知得され得る。本発明の化合物の吸収を最大にするため、発泡性、浮遊性および生体接着性手法を用いてもよい。
【0101】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または連続注入による)のために製剤化され得、アンプル、充填済シリンジ、小容量注入または反復投与容器の単位投与形態にて、保存料を添加して提示され得る。該組成物には、懸濁剤、液剤、または乳剤(油性もしくは水性ビヒクル中)(例えば、水性ポリエチレングリコール中の液剤)などの形態が採用され得る。
【0102】
注射用製剤では、ビヒクルは、当該技術分野で適当であることが知られているもの、例えば、ゴマ油、コーン油、綿実油、またはピーナッツ油、ならびにエリキシル、マンニトール、デキストロース、または滅菌水性溶液、および同様の医薬用ビヒクルとの水性溶液または油性懸濁液またはエマルジョンから選択され得る。また、製剤は、生体適合性で生分解性であるポリマー組成物(ポリ(乳酸−コ−グリコール)酸など)を含むものであり得る。優れた徐放性能が得られるように、このような物質をミクロまたはナノスフィアに作製し、薬物を負荷し、さらにコーティングまたは誘導体化してもよい。眼周囲または眼内注射に適したビヒクルとしては、例えば、注射等級水中の治療用薬剤の懸濁剤、リポソームおよび親油性物質に適したビヒクルが挙げられる。眼周囲または眼内注射のための他のビヒクルはは当該技術分野でよく知られている。
【0103】
好ましい一実施形態では、該組成物は、常套的な手順に従って、人間への静脈内投与に適合された医薬組成物として製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張性水性バッファー中の液剤である。また、必要な場合は、該組成物に、可溶化剤および注射部位での疼痛を和らげるための局所麻酔薬(リドカインなど)も含めてもよい。一般的に、該成分は、別々または一緒に混合された状態のいずれかで単位投薬形態に(例えば、凍結乾燥させた乾燥粉剤もしくは水分無含有濃縮液として)、活性薬剤の量が表示された密閉密封容器(アンプルまたはサシェ剤など)に供給される。該組成物が注入によって投与される場合、滅菌医薬等級水または生理食塩水を入れた注入ボトルにて施薬され得る。該組成物が注射によって投与される場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルは、該成分が投与前に混合され得るように提供され得る。
【0104】
投与が注射によるものである場合、活性化合物は水性溶液中、特に、生理学的適合性バッファー(ハンクス液、リンゲル液、または生理食塩水バッファー)中で製剤化され得る。該溶液には、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの製剤化剤が含有され得る。あるいはまた、活性化合物は、使用前に適当なビヒクル(例えば、滅菌パイロジェンフリー水)で構成される粉末形態であり得る。一部の実施形態において、医薬組成物は、アジュバントまたはGABA−薬物コンジュゲートによって刺激される免疫応答を向上させるために添加される任意の他の物質を含まない。一部の実施形態では、医薬組成物は、GABA−薬物コンジュゲートに対する免疫応答を抑止する物質を含む。製剤化方法は当該技術分野において知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、最新版、Mack Publishing Co.、Easton Pに開示されている。
【0105】
先に記載の製剤に加え、該薬剤はまた、デポー調製物としても製剤化され得る。かかる長期作用性製剤は、埋入または経皮送達(例えば、皮下もしくは筋肉内)、筋肉内注射あるは経皮パッチの使用によって投与され得る。したがって、例えば、GABA−薬物コンジュゲートは、適当なポリマー物質もしくは疎水性物質(例えば、許容され得る油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは、やや溶けにくい誘導体として(例えば、やや溶けにくい塩として)製剤化され得る。
【0106】
一部の実施形態において、1種類以上の本発明のGABA−薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、特定の疼痛の部位またはその付近に経表面投与または注射した場合、局所および限局性効果を奏する。例えば、粘性液、液剤、懸濁剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)系液剤、リポソーム製剤、ゲル剤、ゼリー剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏、坐剤、フォーム剤、またはエーロゾルスプレー剤の直接経表面適用が、例えば、局所および/または限局性効果を得るために局所投与に使用され得る。かかる製剤用の医薬として適切なビヒクルとしては、例えば、低級脂肪族アルコール、ポリグリコール(例えば、グリセロールまたはポリエチレングリコール)、脂肪酸のエステル、油類、脂肪、シリコーンなどが挙げられる。また、かかる調製物には、保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エステル)および/または酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸およびトコフェロール)が含有され得る。Dermatological Formulations:Percutaneous absorption、Barry(編)、Marcel Dekker Incl、1983も参照のこと。一部の実施形態では、表皮または粘膜のウイルス感染を処置するために、酵素阻害薬を含む局所/経表面製剤が使用される。
【0107】
本発明の医薬組成物は、化粧料として、または皮膚科学的に許容され得る担体を含むものであってもよい。かかる担体は、皮膚、爪、粘膜、組織および/または頭髪と適合性であり、このような要件を満たす慣用的に使用されている任意の化粧料用または皮膚科用担体が包含され得る。かかる担体は、当業者によって容易に選択され得よう。皮膚軟膏の製剤化では、本発明の薬剤または薬剤の組合せは、油性炭化水素基剤、無水吸収基剤、油中水型吸収基剤、水中油型水分除去性基剤および/または水溶性基剤中にて製剤化され得る。かかる担体および賦形剤の例としては、限定されないが、保湿剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、モノラウリン酸グリセロール、スルホキシド、テルペン(例えば、メタノール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、ならびにポリマー(ポリエチレングリコールなど)が挙げられる。
【0108】
軟膏およびクリーム剤は、例えば、水性または油性基剤を用い、適当な増粘剤および/またはゲル化剤の添加を伴って製剤化され得る。ローション剤は、水性または油性基剤を用いて製剤化され得、一般に、1種類以上の乳化剤、安定化剤、分散化剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤も含有する。医薬用薬剤の送達のための経皮パッチの構成および使用は当該技術分野でよく知られている。例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号および同第5,001,139号を参照のこと。かかるパッチは、医薬用薬剤の連続、脈動または用時送達用に構成され得る。
【0109】
本発明の医薬組成物および投薬形態を形成するために使用され得る滑沢剤としては、限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水添植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸(laureate)エチル、寒天、またはその混合物が挙げられる。さらなる滑沢剤としては、例えば、syloidシリカゲル、合成シリカの凝結エーロゾル、またはその混合物が挙げられる。滑沢剤は、任意選択で、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量で添加され得る。
【0110】
本発明による組成物は、経表面適用に適した任意の形態、例えば限定されないが、水性、水性−アルコール性もしくは油性液剤、ローション剤もしくは血清分散剤、水性、無水もしくは油性ゲル剤、乳剤(水相中への脂肪相の分散によって得られるもの(O/Wあるいは水中油型)もしくはその逆(W/Oあるいは油中水型))、イオンおよび/または非イオン型のマイクロエマルジョン剤もしくは択一的にマイクロカプセル剤、微粒子剤もしくは脂質小胞分散剤であり得る。このような組成物は、慣用的な方法に従って調製され得る。本発明の薬剤以外に、本発明による組成物の種々の構成成分の量は、当該技術分野で慣用的に使用されている量である。このような組成物は、特に、顔、手、ボディおよび/または粘膜あるいは皮膚清浄用の保護、処置またはケア用のクリーム、乳液、ローション、ゲルまたはフォームを構成する。また、該組成物は、石鹸またはクレンジングバーを構成する固形調製物からなるものであってもよい。
【0111】
また、本発明の組成物には、化粧料および皮膚科分野に一般的な補助剤、例えば、親水性または親油性ゲル化剤、親水性または親油性活性薬剤、保存剤、酸化防止剤、溶媒、香料、充填剤、日焼け防止剤、におい吸収剤および染料なども含有され得る。このような種々の補助剤の量は、該分野で慣用的に使用および考慮されている量であり、例えば、組成物の総重量の約0.01%〜約20%である。その性質に応じて、このような補助剤は、脂肪相、水相および/または脂質小胞中に導入され得る。
【0112】
一部の実施形態において、目に関連する疼痛は、本発明の薬剤または薬剤の組合せを含む眼科用の液剤、懸濁剤、軟膏または挿入物で有効に処置され得る。点眼薬は、活性成分を滅菌水性溶液(例えば、生理食塩水、緩衝溶液など)に溶解させること、または使用前に溶解させる粉剤組成物を合わせることにより調製され得る。他のビヒクルは、当該技術分野において知られているように選択され得、限定されないが:平衡塩溶液、生理食塩水溶液、水溶性ポリエーテル(ポリエチレン(ethyene)グリコールなど)、ポリビニル(ポリビニルアルコールおよびポビドンなど)、セルロース誘導体(メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、石油誘導体(鉱油および白色ワセリンなど)、動物脂肪(ラノリンなど)、アクリル酸のポリマー(カルボキシポリメチレンゲルなど)、植物性脂肪(ピーナッツ油など)および多糖類(デキストランなど)、ならびにグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸ナトリウムなど)が挙げられる。所望により、点眼薬に通常使用される添加剤を添加してもよい。かかる添加剤としては、限定されないが、等張化剤(例えば、塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えば、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなど)、保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)、増粘剤(例えば、糖、例えば、ラクトース、マンニトール、マルトースなど;例えば、ヒアルロン酸もしくはその塩、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなど;例えば、ムコ多糖、例えば、コンドロイチン硫酸など;例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたは当業者にわかる他の薬剤)が挙げられる。
【0113】
本発明の組成物の成分の可溶性は、該組成物中の界面活性剤または他の適切な補助溶媒によって向上され得る。かかる補助溶媒としては、限定されないが、ポリソルベート20、60および80、プルロニックF68、F−84およびP−103、シクロデキストリン、または当業者にわかる他の薬剤が挙げられる。かかる補助溶媒は、約0.01%〜2%(重量基準)のレベルで使用され得る。
【0114】
本発明の組成物は、反復用量形態にパッケージングされてもよい。使用中の微生物汚染を抑制するため、保存料が好ましい場合があり得る。好適な保存料としては、限定されないが:塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、Onamer M、または当業者にわかる他の薬剤が挙げられる。先行技術の眼科用製剤では、かかる保存料は0.004%〜0.02%のレベルで使用され得る。本出願の組成物では、保存料(好ましくは塩化ベンザルコニウム)は、0.001%〜0.01%未満、例えば0.001%〜0.008%、好ましくは約0.005%(重量基準)のレベルで使用され得る。本発明の組成物を微生物の悪影響から防御するには、塩化ベンザルコニウムの濃度が0.005%で充分であり得ることがわかった。
【0115】
一部の実施形態において、耳に関連する疼痛は、GABA−薬物コンジュゲートまたは本発明のGABA−薬物コンジュゲートの組合せを含む耳用の液剤、懸濁剤、軟膏または挿入物で有効に処置され得る。
【0116】
一部の実施形態において、本発明のGABA−薬物コンジュゲートは、懸濁剤形態ではなく可溶性状態で送達され、これにより、より急速で定量的な作用部位への吸収が可能になる。一般に、ゼリー剤、クリーム剤、ローション剤、坐剤および軟膏などの製剤では、より広範な面積を本発明の薬剤に曝露することができ、一方、溶液状態の製剤、例えばスプレー剤では、より即時的で短期間の曝露がもたらされる。
【0117】
経表面/局所適用に関する実施形態では、医薬組成物に、1種類以上の浸透向上剤が含まれ得る。例えば、製剤には、透過性関門(例えば、皮膚)を通過する本発明のGABA−薬物コンジュゲートまたはGABA−薬物コンジュゲートの組合せの浸透を増大させる、または送達を補助する適当な固相またはゲル相の担体または賦形剤が含まれ得る。このような浸透向上化合物の多くは、経表面製剤の技術分野において知られており、例えば、水、アルコール(例えば、テルペン様メタノール、エタノール、2−プロパノールなど)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、テトラデシルメチルスルホキシド)、ピロリドン(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン)、ラウロカプラム、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフルフリルアルコール、L−α−アミノ酸、アニオン系、カチオン系、両性または非イオン系界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、脂肪酸、脂肪族アルコール(例えば、オレイン酸)、アミン、アミド、クロフィブリン酸アミド、ヘキサメチレンラウラミド、タンパク質分解性酵素、α−ビサボロール、d−リモネン、尿素ならびにN,N−ジエチル−m−トルアミドなどが挙げられる。さらなる例としては、限定されないが、保湿剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール)、モノラウリン酸グリセロール、アルカン、アルカノール、ORGELASE、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、および/または他のポリマーが挙げられる。一部の実施形態において、医薬組成物には、1種類以上のかかる浸透向上剤が含まれる。
【0118】
一部の実施形態において、局所/経表面適用のために医薬組成物には、1種類以上の抗菌性保存料、例えば、第4級アンモニウム化合物、有機水銀剤、p−ヒドロキシベンゾエート、芳香族アルコール、クロロブタノールなどが含まれ得る。
【0119】
胃腸の疼痛は、GABA−薬物コンジュゲートまたは本発明のGABA−薬物コンジュゲートの組合せを含む経口または経直腸送達される液剤、懸濁剤、軟膏、注腸剤および/または坐剤で有効に処置され得る。
【0120】
呼吸器系に関連する疼痛は、GABA−薬物コンジュゲートまたは本発明のGABA−薬物コンジュゲートの組合せを含むエーロゾル液剤、懸濁剤または乾燥粉剤で有効に処置され得る。エーロゾルは、呼吸器系または鼻道を介して投与され得る。例えば、当業者には、本発明の組成物を適切な担体(例えば、薬学的に許容され得る噴射剤)に懸濁または溶解させ、経鼻スプレー剤または吸入剤を用いて肺内に直接投与してもよいことが認識されよう。例えば、酵素阻害薬を含むエーロゾル製剤を、例えば、経鼻スプレー剤または吸入剤としての投与のために、噴射剤または溶媒と噴射剤の混合物に溶解、懸濁または乳化させることができる。エーロゾル製剤には、任意の許容され得る噴射剤(圧力下)、例えば、化粧料として、または皮膚科学的または薬学的に許容され得る噴射剤(当該技術分野で慣用的に使用されているもの)が含有され得る。
【0121】
経鼻投与のためのエーロゾル製剤は、一般的に、鼻道に滴剤またはスプレー剤で投与されるように設計され水性液剤である。経鼻液剤は、一般的に等張性であり、約5.5〜約6.5のpHが維持されるようにわずかに緩衝されている点で鼻汁と同様であり得るが、この範囲外のpH値もさらに使用され得る。また、抗菌剤または保存料も製剤に含まれ得る。
【0122】
吸入および吸入剤のためのエーロゾル製剤は、経鼻または経口呼吸性経路によって投与された場合、本発明の薬剤または薬剤の組合せが被検体の呼吸樹内に運ばれるように設計され得る。吸入用液剤は、例えばネブライザによって投与され得る。微粉末状または液状の薬物を含む吸入剤または吹送剤は、呼吸器系に、例えば分配を補助する噴射剤中の該薬剤または薬剤の組合せの液剤または懸濁剤の医薬用エーロゾルとして送達され得る。噴射剤は、液化ガス、例えば、ハロカーボン、例えば、フルオロカーボン(フッ素化塩素化炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボンなど)、およびヒドロクロロカーボン、ならびに炭化水素および炭化水素エーテルであり得る。
【0123】
本発明において有用なハロカーボン噴射剤としては、フルオロカーボン噴射剤(全部の水素がフッ素で置き換えられている)、クロロフルオロカーボン噴射剤(全部の水素が塩素と少なくとも1つのフッ素で置き換えられている)、含水素フルオロカーボン噴射剤、および含水素クロロフルオロカーボン噴射剤が挙げられる。ハロカーボン噴射剤は、Johnson、米国特許第5,376,359号(1994年12月27日発行);Byronら、米国特許第5,190,029号(1993年3月2日発行);およびPurewalら、米国特許第5,776,434号(1998年7月7日発行)に記載されている。本発明において有用な炭化水素噴射剤としては、限定されないが、例えば、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ペンタン、イソペンタンおよびネオペンタンが挙げられる。また、炭化水素のブレンドも噴射剤として使用され得る。エーテル噴射剤としては、例えば、ジメチルエーテルならびにエーテル類が挙げられる。また、本発明のエーロゾル製剤は1種類より多くの噴射剤を含むものであってもよい。例えば、エーロゾル製剤は、同じ類型の1種類より多くの噴射剤(2種類以上のフルオロカーボンなど)を含むものであってもよく;異なる類型の1種類より多く、2種類より多く、3種類より多くの噴射剤(フルオロ炭化水素と炭化水素など)を含むものであってもよい。また、本発明の医薬組成物は、圧縮ガス(例えば、二酸化炭素、亜酸化窒素または窒素などの不活性ガス)を用いて施薬されるものであってもよい。
【0124】
また、エーロゾル製剤に、他の成分、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ならびに界面活性剤または他の成分(油類およびデタージェントなど)を含めてもよい。このような成分は、製剤を安定化させる、および/または弁部材に潤滑性を付与する機能を果たすものであり得る。
【0125】
エーロゾル製剤は、圧力下でパッケージングされ得、液剤、懸濁剤、乳剤、粉剤および半固形調製物を用いてエーロゾルとして製剤化され得る。例えば、液剤のエーロゾル製剤は、(実質的に)純粋な噴射剤または噴射剤と溶媒の混合物中の本発明のGABA−薬物コンジュゲート(酵素阻害薬など)の液剤を含むものであり得る。溶媒は、該薬剤を溶解させるため、および/または噴射剤の蒸発を遅滞させるために使用され得る。本発明において有用な溶媒としては、例えば、水、エタノールおよびグリコールが挙げられる。適当な溶媒の任意の組合せが、任意選択で保存料、酸化防止剤および/または他のエーロゾル成分と合わせて使用され得る(can be use)。
【0126】
また、エーロゾル製剤は分散剤または懸濁剤であってもよい。懸濁剤のエーロゾル製剤は、本発明の薬剤または薬剤の組合せ(例えば、酵素阻害薬)と分散化剤の懸濁剤を含むものであり得る。本発明において有用な分散化剤としては、例えば、トリオレイン酸ソルビタン、オレイルアルコール、オレイン酸、レシチンおよびコーン油が挙げられる。また、懸濁剤のエーロゾル製剤には、限定されないが、滑沢剤、保存料、酸化防止剤および/または他のエーロゾル成分が含有され得る。
【0127】
エーロゾル製剤は、同様に乳剤として製剤化され得る。乳剤のエーロゾル製剤は、例えば、アルコール(エタノールなど)、界面活性剤、水および噴射剤、ならびに本発明の薬剤または薬剤の組合せ(例えば、酵素阻害薬)を含むものであり得る。使用される界面活性剤は、非イオン系、アニオン系またはカチオン系であり得る。乳剤のエーロゾル製剤の一例は、例えば、エタノール、界面活性剤、水および噴射剤を含むものである。乳剤のエーロゾル製剤の別の例は、例えば、植物油、モノステアリン酸グリセリルおよびプロパンを含むものである。
【0128】
本発明の化合物は、坐剤としての投与のために製剤化され得る。低融点ワックス、例えば、トリグリセリドの混合物、脂肪酸グリセリド、Witepsol S55(Dynamite Nobel Chemical、Germanyの商標)、またはココアバターをまず融解させ、活性成分を、例えば撹拌によって均一に分散させる。次いで、この均一な融解混合物を簡便なサイズの成形型に注入し、冷却して固化させる。
【0129】
本発明の化合物は、経膣投与のための製剤化され得る。膣坐薬、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤は、活性成分に加えて、当該技術分野において適切であることが知られているものなどの担体を含む(containing)。
【0130】
さらに、経表面、眼内、眼周囲または全身投与のための挿入物上、挿入物内または挿入物に結合させた徐放製剤における使用のための生体適合性ポリマーに、本発明の化合物を放出可能に結合させてもよいことが想定される。生体適合性ポリマーからの制御放出は、注入用製剤を形成するための水溶性ポリマーでも同様に利用され得る。
生体適合性ポリマー(例えば、PLGAミクロスフィアまたはナノスフィアなど)からの制御放出は、徐放投与のための眼内への埋入または注射に適した製剤においても同様に利用され得る。任意の適当な生分解性および生体適合性ポリマーが使用され得る。
【0131】
本発明のGABA−薬物コンジュゲートが酸性である場合、これは、上記のの任意の製剤中に、遊離酸、薬学的に許容され得る塩、溶媒和物または水和物として含まれ得る。薬学的に許容され得る塩は、実質的に、遊離酸の活性を保持しており、塩基との反応によって調製され得、水性および他のプロトン性溶媒中において、対応する遊離酸形態よりも可溶性である傾向にある。
【0132】
本発明のGABA−薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、慣用的な混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル封入、封鎖または凍結乾燥プロセスによって製造され得る。
【0133】
V.処置方法
本発明は、予防的および治療的処置方法であって、それを必要とする被検体に、治療有効量の本発明の化合物または医薬組成物を投与することによる方法を提供する。一部の実施形態において、本発明の化合物は第1部分と第2部分とを含み、第1部分は第2部分にアミノ末端によって共有結合され、第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である。他の実施形態では、障害の予防的および/または治療的処置に使用される本発明の化合物は第1部分と第2部分とを含み、第1部分は第2部分にカルボキシル末端によって共有結合され、第1部分のアミノ末端が保護基に連結され、第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である。
【0134】
好適な被検体は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば限定されないが、ゴリラ、チンパンジー、オランウータンもしくはサル)、齧歯類(例えば限定されないが、マウス、ラット、モルモットもしくはアレチネズミ)イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギまたはヤギであり得る。被検体は、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
【0135】
一部の実施形態において、本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または医薬組成物は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)に、神経系障害、癲癇、または疼痛、例えば限定されないが、中枢媒介性の疼痛、末梢媒介性の疼痛、構造的または軟質組織損傷関連の疼痛、進行性疾患関連の疼痛(すなわち、腫瘍学)および神経障害性の有痛状態(これらはすべて、急性(すなわち、急性の負傷または外傷、術前および術後のもの、片頭痛などの頭痛)、慢性(すなわち、神経障害性の疼痛の病状、例えば、糖尿病性末梢神経障害およびヘルペス後(post−herpatic)神経痛)および炎症性の病状(すなわち、骨または関節リウマチ、急性の負傷もしくは外傷に対する後遺症)の有痛状態を含む)、鬱、不安、精神病、失神発作、運動低下症、脳障害、神経変性障害、パニック、不眠症、胃腸障害、中毒性障害(例えば、エタノール、コカイン)、不穏下肢症候群を処置するために投与される。
【0136】
他の実施形態では、本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物は、動物(好ましくは、ヒト)に、種々の障害、例えば、神経系障害、癲癇、疼痛、例えば限定されないが、中枢媒介性の疼痛、末梢媒介性の疼痛、構造的または軟質組織損傷関連の疼痛、進行性疾患関連の疼痛(すなわち、腫瘍学)および神経障害性の有痛状態(これらはすべて、急性(すなわち、急性の負傷または外傷、術前および術後のもの、片頭痛などの頭痛)、慢性(すなわち、神経障害性の疼痛の病状、例えば、糖尿病性末梢神経障害およびヘルペス後神経痛)および炎症性の病状(すなわち、骨または関節リウマチ、急性の負傷もしくは外傷に対する後遺症)の有痛状態を含み得る)、鬱、不安、精神病、失神発作、運動低下症、脳障害、神経変性障害、パニック、不眠症、胃腸障害、中毒性障害(例えば、エタノール、コカイン)、ならびに不穏下肢症候群の素因に対する防止的/予防的手段として投与される。
【0137】
さらなる実施形態では、本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物は、1つの障害の予防のため、および本明細書において上記の別の障害の処置のために並行して使用され、例えば、GABA−薬物コンジュゲートは、精神病または中毒の予防と疼痛の処置のために使用され得る。
【0138】
神経系障害、癲癇および疼痛の処置および/または予防における本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物が好適なものとしては、限定されないが、中枢媒介性の疼痛、末梢媒介性の疼痛、構造的または軟質組織損傷関連の疼痛、進行性疾患関連の疼痛(すなわち、腫瘍学)および神経障害性の有痛状態、(これらはすべて、急性(すなわち、急性の負傷または外傷、術前および術後のもの、片頭痛などの頭痛)、慢性(すなわち、神経障害性の疼痛の病状、例えば、糖尿病性末梢神経障害およびヘルペス後神経痛)ならびに炎症性(すなわち、骨または関節リウマチ、急性の負傷もしくは外傷に対する後遺症)の有痛状態を含む)が挙げられる。上記の疾患、例えば限定されないが、鬱、不安、精神病、失神発作、運動低下症、脳障害、神経変性障害、パニック、不眠症、胃腸障害、中毒性障害(例えば、エタノール、コカイン)および不穏下肢症候群に対する治療的および予防的処置レジメンは、当該技術分野で報告された方法によって判定され得る(Satzingerら、米国特許第4,04,175号;Silvermanら、米国特許第5,563,175号;同第6,028,214号;同第6,117,906号;国際出願公開公報番号WO92/09560;93/23383;Horwellら、米国特許第6,020,370号;国際出願公開公報番号WO97/29101、97/33858;97/33859;Bryansら、国際出願公開公報番号WO99/31057;99/31075;99/61424;00/15511;00/31020;00/50027;02/00209;Gugliettaら、国際出願公開公報番号WO99/08671;Andreaら、国際出願公開公報番号WO99/12537;Ashburnら、国際出願公開公報番号08/11016;Rosenburgら、国際出願公開公報番号08/09663;Buschmannら、国際出願公開公報番号WO07/90661;Garciaら、国際出願公開公報WO07/52999;Raoら、国際出願公開公報番号WO07/38620;Wongら、国際出願公開公報WO06/113568;Hizueら、国際出願公開公報番号WO05/102390;Fieldら、国際出願公開公報番号WO05/92318;Hurttら、国際出願公開公報番号WO00/53225)。
【0139】
投与
本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物は、単独で、1種類以上の医薬活性薬剤(例えば限定されないが、本発明の他の化合物)と組み合わせて投与または適用され得る。
【0140】
本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または1種類以上の本発明の化合物を含む本発明の組成物は、好ましくは、経口投与によって投与される。また、本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物は、任意の非経口経路、例えば、注入またはボーラス注射、上皮もしくは粘膜皮膚内層(例えば、経口粘膜、直腸および腸の粘膜など)からの吸収によっても投与され得る。投与は全身性または局所であり得る。本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物の投与における使用のための種々の送達系が知られている(例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどへのカプセル封入)。投与方法としては、限定されないが、本明細書において上記のセクションIVに記載のような、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、大脳内、膣内、経皮、経直腸、吸入、経表面(特に、耳、鼻、目または皮膚に対して)が挙げられる。本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物は、単独で、または1種類以上の医薬活性薬剤(例えば限定されないが、本発明の他の化合物)と組み合わせて投与または適用され得る。
【0141】
一部の好ましい実施形態では、本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物は、徐放系、好ましくは経口徐放系によって送達され得る。一実施形態では、ポンプが使用され得る(Langer(上掲);Sefton、1987、CRC Crit Ref Biomed Eng.14,201;Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.321,574参照)。別の実施形態では、ポリマー材料が使用され得る(“Medical Applications of Controlled Release、”LangerおよびWise(編)、CRC Pres.、Boca Raton、Florida(1974);“Controlled Drug Bioavailability,”Drug Product Design and Performance、SmolnおよびBall(編)、Wiley、New York(1984);RangerおよびPeppas、1983、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol Chem.23:61参照;また、Levyら、1985、Science 228:190;Duringら、1989、Ann.Neurol.25:351;Howardら、1989、J.Neurosurg.71:105も参照のこと)。好ましい一実施形態では、ポリマー材料が経口徐放送達に使用される。好ましいポリマーとしては、限定されないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースが挙げられ、最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。また、他の好ましいセルロースエーテルも報告されている(Alderman、Int.J.Pharm.Tech.& Prod.Mfr.、1984、5(3)1−9)。薬物放出に影響を及ぼす要素は当業者に充分わかり、当該技術分野において報告されている(Bambaら、Int.J.Pharm.、1979、2,307)。
【0142】
他の実施形態では、腸溶コーティングされた調製物が経口徐放投与に使用され得る。好ましいコーティング材料としては、限定されないが、pH依存的可溶性を有するポリマー(すなわち、pH制御放出)、低速またはpH依存的膨潤速度、溶解速度または腐食速度を有するポリマー(すなわち、時限的制御放出)、圧力を上げることによって破壊される堅固な層を形成するポリマー(すなわち、圧力制御放出)が挙げられる。
【0143】
さらに他の実施形態では、浸透圧送達系が経口徐放投与に使用される(Vermaら、Drug Dev.Ind,Pharm.、2000、26:695−708)。好ましい一実施形態では、OROS(商標)浸透圧デバイスが経口徐放送達デバイスに使用される(Theeuwesら、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号)。
【0144】
また別の実施形態では、制御放出系は、本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物の標的の近傍に配置され得、したがって、必要とされるのは全身用量の一部にすぎない(例えば、“Medical Applications of Controlled Release,”(上掲)、第2巻、第115〜138頁(1984)のGoodson)。また、Langer、1990、Science 249:1527−1533に論考された他の制御放出系も使用され得る。
【0145】
本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物は、化学的および/または酵素的のいずれかによって切断され得る。哺乳動物の胃、腸管腔、腸組織、血液、肝臓、脳または任意の他の適当な組織中に存在する1種類以上の酵素によって、GABA−薬物コンジュゲートのリンカーおよび/または本発明の組成物が酵素的に切断され得る。GABA−薬物の切断機構は、当該技術分野において知られているもの、または当該分野において未知もしくは新規なものであり得る。本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび/または組成物のリンカー(liner)は、胃腸管による吸収前および/または胃腸管による吸収後に切断され得る(例えば、哺乳動物の腸組織、血液、肝臓もしくは他の適当な組織中で)。本発明におけるGABA−薬物コンジュゲートのリンカーが胃腸管による吸収前に切断される場合、該薬物およびGABA類似体は、体循環中に、通常、能動輸送および/または受動拡散によって吸収され得る。
【0146】
投薬量
本発明における使用に適した医薬組成物としては、活性成分が有効量で、すなわち、少なくとも1種類の型の疼痛または神経系障害を有する宿主において治療的および/または予防的有益性が得られるのに有効な量で存在する組成物が挙げられる。本発明のGABA−薬物コンジュゲートの有効量は、障害、例えば限定されないが、疼痛(すなわち、腫瘍学)、神経障害性の有痛状態(急性(すなわち、急性の負傷または外傷、術前および術後のもの、片頭痛などの頭痛)、慢性(すなわち、神経障害性の疼痛の病状、例えば、糖尿病性末梢神経障害およびヘルペス後神経痛)ならびに炎症性(すなわち、骨または関節リウマチ、急性の負傷もしくは外傷に対する後遺症)の有痛状態を包含する)、鬱、不安、精神病、失神発作、運動低下症、脳障害、神経変性障害、パニック、不眠症、胃腸障害、中毒性障害(例えば、エタノール、コカイン)、ならびに不穏下肢症候群を処置または予防するための使用を意図する。
【0147】
具体的な適用に有効な実際の量は、処置対象の病状(1つまたは複数)、被検体の体調、苦痛の感受性、製剤、および投与経路、ならびに当業者にわかる他の要素に依存する。最適な投薬量範囲の特定を補助するため、任意選択でインビトロまたはインビボアッセイを使用してもよい。GABA−薬物コンジュゲートの有効量の決定は、本明細書における開示内容を鑑みると充分に当業者の能力の範囲内であり、常套的な最適化手法を用いて決定される。
【0148】
ヒトにおける使用のための有効量は、動物モデルから決定され得る。例えば、ヒトに対する用量は、動物において有効であることがわかっている循環、肝臓、経表面および/または胃腸濃度が得られるように設定され得る。本発明のGABA−薬物コンジュゲートは、好ましくは、少なくとも1種類の動物モデルにおいて安全性および有効性が実証されるように試験される。一部の実施形態では、本明細書に記載の本発明のGABA−薬物コンジュゲートの治療有効用量は、実質的な毒性は引き起こされないが、個々の各化合物の投与または2つの親化合物の共製剤化と比べて相乗効果が得られる治療上の有益性をもたらすものである。本発明のGABA−薬物コンジュゲートの毒性は、標準的な製薬手順を用いて判定され得、当業者によって容易に確認され得る。毒性効果と治療効果の用量比は治療指数である。一部の実施形態において、本発明のGABA−薬物コンジュゲートは、本明細書において挙げた疾患または障害において、その親化合物と比べて高い治療指数を示す。GABA−薬物コンジュゲートの投薬量は、毒性がほとんど、または全くもたらされない循環濃度範囲内である。当業者には、特に本明細書に記載の動物モデル実験に鑑みて、ヒトでの使用のための有効量を決定することができよう。動物データおよび他の型の同様のデータに基づき、当業者には、ヒトに適切な本発明の組成物の有効量を決定することができよう。
【0149】
有効量は、GABA−薬物コンジュゲートまたは本発明のGABA−薬物コンジュゲートの組合せに言及している場合、一般的に、医学または製薬技術分野の種々の規制機関または顧問機関のいずれか(例えば、FDA、AMA)によって、あるいは製造業者または供給業者によって推奨または承認された用量範囲、投与様式、製剤などを意味する。
【0150】
一部の実施形態において、本発明のGABA−薬物コンジュゲートの投与は、断続的、例えば、2日に1回、3日毎、5日日毎、週1回、1ヶ月に1回または2回などの投与であってもよい。一部の実施形態において、該量、形態および/または種々の形態の量は、異なる投与時点で異なっていてもよい。例えば、本発明の医薬組成物の投薬量は、単回投与、多数回適用または制御放出によって送達され得る。好ましい一実施形態では、本発明のGABA−薬物コンジュゲートは経口徐放投与によって送達される。好ましくは、GABA−薬物コンジュゲートは、1日1回または2回投与される。経口投与に好適な投薬量範囲は、親GABA−薬物コンジュゲートの効力に依存性であるが、一般的には、体重1キログラムあたり約0.001mg〜約200mgの本発明の化合物である。好ましくは、投薬量は、約0.01〜約50mg/kg体重(body)、より好ましくは約0.05〜約25mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜約10mg/kg体重、より好ましくは約0.2〜約5mg/kg体重の範囲である。投与は、断続的に繰り返してもよく、単独または他の薬物と組み合わせて行なわれる。そのスケジュールは、障害の有効な処置に必要なだけ長く継続され得る。
【0151】
一実施形態において、本発明は、GABA類似体−NSAIDコンジュゲートを含む組成物を提供する。活性NSAIDは、該コンジュゲートから放出されたとき抗炎症量で、好ましくは、単独投与の場合に通常使用される量より少ない量で存在させ、活性GABA類似体は、該コンジュゲートから放出されたとき細胞保護量で、すなわち、本発明の場合以外ではNSAIDによって引き起こされる胃腸障害の予防または低減に有効な量で存在させる。また、GABA類似体およびNSAIDはともに、その活性形態において、該コンジュゲートからインビボで放出されたとき、GABA類似体およびNSAIDを単独で投与または共製剤化した場合と比べて優れた治療有効性がもたらされる治療有効用量で存在させる。一般に、GABA類似体−NSAIDは0.001mg〜約200mgの用量で存在させる。任意のNSAIDが、本発明による任意のGABA類似体と組み合わされ得る。使用される好ましいGABA類似体は、式(3)および(4)の化合物、すなわち、ガバペンチンおよびプレガバリンである。該組成物に使用される好ましいNSAIDとしては、限定されないが、スリンダク、ナプロキセン、インドメタシン、メフェナム酸、ジクロフェナク、フェノプロフェン、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン、ピロキシカム、アセチルサリチル酸、オキサプロジン、およびブロムフェナクが挙げられる。使用されるNSAIDのほとんどは、一般的に、カルシウム、ナトリウムまたはカリウムなどの塩(例えば、フェンスプロフェンカルシウムおよびブロムフェナクナトリウム)として市販されている。より好ましい組合せとしては、限定されないが、ナプロキセンナトリウムまたはイブプロフェンとコンジュゲートされたプレガバリンまたはガバペンチンが挙げられる。該組成物には、本明細書において上記のものなどの一般的な医薬用賦形剤が含有され得る。
【0152】
当業者であれば、患者における具体的な薬剤の投与の効果をモニタリングすることができよう。例えば、疼痛の程度は当該技術分野の標準的な手法によって決定され得る。
【0153】
VII.使用方法
A.併用療法
本発明の一部の特定の実施形態において、本発明のGABA−薬物コンジュゲートは、少なくとも1種類の他の治療用薬剤との併用療法において使用され得る。本発明のGABA−薬物コンジュゲートおよび該治療用薬剤は相加的に、あるいはより好ましくは相乗的に作用し得る。
【0154】
併用療法は、本発明のコンジュゲートと、治療用薬剤の共作用による有益な効果を得ることが意図された特定の処置レジメンの一部としての少なくとも第2の薬剤との投与を含む。該併用の有益な効果としては、限定されないが、治療用薬剤の併用に起因する薬物動態学的または薬力学的共作用が挙げられる。このような治療用薬剤の併用投与は、典型的には、規定された期間(通常、選択される組合せに応じて数分間、数時間、数日間または数週間)にわたって行なわれる。併用療法は、逐次または実質的に同時のいずれかで行なわれ得る。1種類より多くの治療用薬剤の逐次投与の場合、各治療用薬剤は異なる時点で投与される。同時投与の場合、治療用薬剤のうち少なくとも2種類が実質的に同時の様式で、同じ医薬組成物または異なる医薬組成物のいずれかにて投与される。実質的に同時の投与は、例えば、被検体に、固定比率の各治療用薬剤を有する単一のカプセル剤、または各治療用薬剤に対して単一のカプセル剤を他種類投与することにより行なわれ得る。好ましい一実施形態では、本発明のGABA−薬物コンジュゲートを含む組成物は別の治療用薬剤の投与と並行して投与され、該別の治療用薬剤は、本発明のGABA−薬物コンジュゲートと同じ組成物の一部であってもよく、異なる組成物であってもよい。別の実施形態では、本発明のGABA−薬物コンジュゲートを含む組成物は、別の治療用薬剤の投与の前または後に投与される。
【0155】
各治療用薬剤の逐次投与または実質的に同時の投与は、任意の適切な経路によって、例えば限定されないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織からの直接吸収によって行なわれ得る。治療用薬剤は、同じ経路で投与されても異なる経路で投与されてもよい。例えば、選択された組合せの第1の治療用薬剤は静脈内注射によって投与され得、一方、該組合せの他方の治療用薬剤は経口投与され得る。あるいはまた、例えば、すべての治療用薬剤を経口投与してもよく、あるいはすべての治療用薬剤を静脈内注射によって投与してもよい。治療用薬剤が投与される順序はあまり重要ではない。また、併用療法は、上記の治療用薬剤を、さらに他の生物学的活性成分および非薬物療法(例えば、手術または放射線処置)と組み合わせて投与することを包含する。併用療法がさらに非薬物処置を含む場合、該非薬物処置は、治療用薬剤と非薬物処置の併用の共作用による有益な効果が得られる限り、任意の適当な時点で行なわれ得る。例えば、適切な場合では、該有益な効果は、非薬物処置を治療用薬剤の投与から一次的に除いた場合でも、なお有意な期間、得られる。該コンジュゲートとその他の薬理活性薬剤は患者に、同時、逐次または組合せで投与され得る。本発明の併用が使用される場合、本発明の化合物とその他の薬理活性薬剤は、同じ薬学的に許容され得る担体中に存在させ、かくして同時に投与してもよいことは認識されよう。これらを別々の医薬用担体(慣用的な経口投薬形態など)に存在させ、同時に摂取させてもよい。用語「併用」は、さらに、化合物を別々の投薬形態で提供し、逐次投与する場合もいう。
【0156】
B.有害作用の低減および治療有効性の向上
また、本発明は、必要とする被検体に、治療有効量の本発明のコンジュゲートまたは医薬組成物を投与することにより、障害の処置と関連する有害作用の低減および/または治療有効性の増大のための方法の実施形態を示す。
【0157】
本明細書に記載のコンジュゲートの毒性および治療有効性は、実験動物で標準的な製薬手順によって、例えば、主題の化合物のIC50およびLD50(試験動物の50%の死亡を引き起こす致死用量)を求めることによって決定され得る。
【0158】
一実施形態において、本発明の組成物は、疼痛の処置レジメンの多くで引き起こされる好ましくない副作用の発生、例えば限定されないが、胃腸での副作用、認知的欠陥、悪心および便秘を低減するものである。別の実施形態では、本発明の組成物は、個々の各非コンジュゲート薬物で必要とされる用量よりも低い用量で、充分な疼痛の軽減が得られるものである。別の実施形態では、本発明の組成物は、改善された薬物動態学的および生理学的特性(例えば限定されないが、低速全身クリアランスおよびGABA類似体の吸収の改善)を有し、このような薬物が疼痛および他のCNS障害の処置において充分な潜在能に達することを可能にする。また別の実施形態では、本発明の組成物を送達するための徐放製剤の使用により、活性薬物、すなわちGABA類似体の急速全身クリアランスがさらに低減される。GABA類似体(バクロフェン、ガバペンチンおよびプレガバリンなど)は、大腸で吸収されるのではなく、小腸で中性アミノ輸送体系によって吸収されるため、本発明の組成物により、徐放アプローチをこのようなGABA類似体に成功裡に適用することが可能になる。
【0159】
本発明の好ましい実施形態を本明細書において図示および記載したが、かかる実施形態は単なる一例として示していることは当業者に自明であろう。ここに、数多くの変形、変更および置換えが、本発明から逸脱することなく当業者に思いつくであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する種々の択一例が本発明の実施において使用され得ることを理解されたい。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に規定されること、ならびにこの特許請求の範囲およびその均等の範囲内である方法および構造が特許請求の範囲に包含されることを意図する。
【実施例】
【0160】
実施例
実施例1:プレガバリン−ナプロキセンコンジュゲートの合成
本発明は、さらに、以下の実施例を参照することによって規定される。本実施例には、本発明の化合物および組成物の調製ならびに本発明の化合物および組成物を使用するためのアッセイを詳細に記載する。当業者には、材料および方法の両方に対して多くの修正が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることが自明であろう。
【0161】
以下の実施例において、下記の略号は下記の用語を表す。本明細書において定義していない略号は、その一般に認知された意味を有する。
【0162】
AIBN = 2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
Atm = 気圧
Boc = tert−ブチルオキシカルボニル
Cbz = カルボベンジルオキシ
CPM = 毎分カウント
DCC = ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP = 4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DMEM = ダルベッコ最小イーグル培地
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
Fmoc = 9−フルオレニルメチルオキシカルボニル
g = グラム
h = 時間
HBSS = ハンクス緩衝生理食塩水溶液
L = リットル
LC/MS = 液体クロマトグラフィー/質量分析
M = モル
min = 分
mL = ミリリットル
mmol = ミリモル
NBS = N−ブロモスクシンイミド
NHS = N−ヒドロキシスクシンイミド
PBS = リン酸緩衝生理食塩水
THF = テトラヒドロフラン
TFA = トリフルオロ酢酸
TMS = トリメチルシリル
μL = マイクロリットル
μM = マイクロモル
v/v = 容量対容量
アシルオキシアルキルメタンチオカーボネート(3)
工程1:
【0163】
【化19】

一般手順:
ナトリウムメチルチオーレート(58g,0.17mol)の21%(w/w)水溶液を、1−クロロエチル クロロホルメート(25g,0.17mol)と臭化テトラブチルアンモニウム(1.7mmol)のCHCl(45mL)溶液に、2時間かけて添加した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、次いで、水相の分離およびブライン(2×50mL)での有機相の抽出によって調製した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮した。残渣を真空蒸留によって精製し、生成物を無色の液状物として得た(収率,95%)。化合物2a:H NMR(400MHz,CDCl)δ 5.75(s,1H),2.38(s,2H)。化合物2b:H NMR(400MHz,CDCl)δ 6.59(q,J=5.7Hz,1H),2.37(s,3H),1.80(d,J=5.8Hz,3H)。
【0164】
【化20】

一般手順:
ジイソプロピルアミン(16g,150mmol)を、(S)−6−メトキシ−α−メチル−2−ナフタレン酢酸(ナプロキセン(naproxan)、34g,150mmol)とクロロアルキルメタンチオカーボネート(2、100mmol)の混合物に滴下した。この混合物を80〜90℃で3時間撹拌した。次いで、30mLのジクロロメタンを反応混合物に添加した。この混合物を2時間撹拌した。次いで、反応混合物を50mLの水と100mLのエチルエーテルに分配した。有機相を水、飽和炭酸カリウム溶液(KCO)およびブラインで洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥させた。溶媒を回転式エバポレーションによって除去し、メチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)とn−ヘキサンの混合物中で再結晶させた後、白色固形生成物を得た。
【0165】
化合物(3a):白色結晶、収率、90%;mp:73〜74℃.[α]25D=+44.59°(c=1.0、CHCl)。IR(KBr)νmax:2981,2936,1757,1723,1633,1606,1506,1485,1454,1393,1266,1176,1157,1065,1030,981,854,811,673cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.72(s,1H),7.70(s,1H),7.66(d,J=1.3Hz,1H),7.39(dd,J=8.4,1.7Hz,1H),7.16(dd,J=8.9,2.5Hz,1H),7.12(d,J=2.4Hz,1H),5.82(d,J=5.6Hz,1H),5.78(d,J=5.6Hz,1H),3.91(q,J=7.1Hz,1H),3.90(s,3H),2.26(s,3H),1.61(d,J=7.2Hz,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 173.10,171.05,157.77,134.68,133.84,129.35,128.95,127.34,126.13(2),119.09,105.59,80.65,55.30,45.16,18.29,13.31。
【0166】
化合物(3b,ジアステレオ異性体):白色結晶、収率:87%;mp:65〜66℃. IR(KBr)νmax:3055,2986,2937,2916,2848,1750,1719,1606,1451,1392,1264,1177,1134,1050,910,854,747cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.56(d,J=2.8Hz,1H),7.54(t,J=2.1Hz,1H),7.51(s,0.5H),7.50(s,0.5H),7.26−7.24(m,0.5H),7.24−7.21(m,0.5H),7.01(t,J=2.2Hz,0.5H),6.99(t,J=2.2Hz,0.5H),6.96(s,1H),6.85(dq,J=10.9,5.4Hz,1H),3.75−3.67(m,4H),2.14(s,1.5H),1.98(s,1.5H),1.44(d,J=1.6Hz,1.5H),1.43(d,J=1.6Hz,1.5H),1.33(d,J=5.5Hz,1.5H),1.24(d,J=5.5Hz,1.5H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 171.43,171.32,169.00,168.80,156.64,156.60,133.92,133.79,132.70,132.66,128.26,128.21,127.85(2),126.16,126.08,125.14,125.02,124.97(2),117.97,117.85,104.49,104.46,89.31,89.05,54.12(2),44.15,44.11,18.34,18.24,17.38,17.18,12.15,11.97。
【0167】
工程2:
【0168】
【化21】

一般手順:
N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS,2.30g,20mmol)を、15mLのジクロロメタンと2.1gの水に溶解させた化合物(3)(10mmol)に添加した。得られた懸濁液を0℃まで冷却し、25mLのジクロロメタンに溶解させた3−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA,6.90g,40mmol)をゆっくり添加した。次いで、反応混合物を0℃で1時間および室温で15時間撹拌した。
【0169】
次いで、反応混合物を濾過し、40mLのエチルエーテルと30mLの飽和重炭酸カリウム溶液で希釈した。有機相を分離し、飽和炭酸カリウム溶液(30mL)、水(40mL)およびブライン(2×30mL)で洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥させた。溶媒を回転式エバポレーションによって除去した後、粗製化合物(4)を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって4:1の石油エーテル(60〜90℃):酢酸エチルにより精製し、酢酸エチル/n−ヘキサン中で再結晶させた。
【0170】
化合物(4a):収率:32%、mp:115〜116℃;[α]25D=+45.06°(c=1.0,CHCl)。IR(KBr)νmax:2984,2942,1822,1793,1607,1486,1457,1258,1230,1201,1162,1131,1091,986,924,813,736,645cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.73(d,J=4.1Hz,1H),7.71(d,J=4.4Hz,1H),7.67(s,1H),7.38(dd,J=8.5,1.7Hz,1H),7.14(dd,J=8.8,2.5Hz,1H),7.12(d,J=2.2Hz,1H),5.91(d,J=5.5Hz,1H),5.77(d,J=5.5Hz,1H),3.94(q,J=7.1Hz,1H),3.91(s,3H),2.81(s,4H),1.62(d,J=7.2Hz,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 172.71,168.47(2),157.77,150.73,134.31,133.82,129.31,128.83,127.42,126.18,126.04,119.11,105.58,83.74,55.27,44.97,25.33(2),18.21. HRMS(ESI)実測値424.1002,([M+Na],C2019NOの計算値424.1003)。
【0171】
化合物(4b,ジアステレオ異性体):白色結晶、収率、40%;mp:145〜146℃. IR(KBr)νmax:2992,2942,1819,1792,1744,1632,1606,1506,1486,1454,1393,1373,1260,1234,1202,1048,910,879,812,735,644cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.71(dd,J=8.5,4.5Hz,2H),7.65(s,1H),7.38(s,0.5H),7.36(s,0.5H),7.17−7.08(m,2H),6.88−6.79(m,1H),3.98−3.83(m,4H),2.82(s,2H),2.73(s,2H),1.58(m,4.5H),1.48(d,J=5.4Hz,1.5H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 172.31,172.18,168.39(2),168.24(2),157.75,157.68,149.87,149.73,134.66,134.40,133.80,133.74,129.45,129.33,128.93,128.90,127.36,127.32,126.18,126.15(2),126.09,119.09,118.85,105.58(2),93.89,93.79,55.33(2),45.27,45.04,25.44(2),25.29(2),19.27,19.19,18.41,18.34. HRMS(ESI)実測値438.1157,([M+Na],C2121NOの計算値438.1159)。
【0172】
工程3:
【0173】
【化22】

一般手順:
(3S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸(プレガバリン,504mg,3.3mmol)と2mLの水を、5mLのジクロロメタンに溶解させた化合物(4)(1.2g,3mmol)に添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を、15mLのエチルエーテルと10mLの水で希釈した。有機相を分離し、水(10mL)とブライン(2×10mL)で洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥させた。溶媒を回転式エバポレーションによって除去した後、粗製生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、4:1の石油エーテル(60−90℃):酢酸エチルにより精製し、粘性の液状化合物を得た。
【0174】
化合物(5a):粘性の液状物,収率,80%.[α]25D=+17.79°(c=1.0,CHCl)。IR(KBr)νmax:3351,2960,1746,1634,1607,1535,1464,1392,1265,1218,1175,1159,1123,1032,1000,854,738cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.80−7.62(m,3H),7.39(dd,J=8.5,1.5Hz,1H),7.13(dd,J=8.9,2.4Hz,1H),7.10(d,J=1.9Hz,1H),5.71(d,J=5.8Hz,1H),5.69(d,J=5.9Hz,1H),5.09(t,J=6.3Hz,1H),3.91(s,3H),3.89(q,J=7.2Hz,1H),3.26−3.17(m,1H),3.02(dt,J=13.9,7.0Hz,1H),2.26(dd,J=15.1,5.0Hz,1H),2.16(dd,J=15.1,7.6Hz,1H),2.12−2.06(m,1H),1.65−1.60(m,1H),1.58(d,J=7.1Hz,3H),1.09(t,J=7.6Hz,2H),0.88(d,J=6.6Hz,3H),0.86(d,J=6.6Hz,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 177.57,173.97,157.70,154.90,134.82,133.77,129.31,128.90,127.22,126.19,126.14,119.05,105.57,80.09,55.31,45.22,44.42,41.26,36.82,33.41,25.10,22.61,22.57,18.24. HRMS(ESI)実測値468.1995([M+Na],C2431NOの計算値468.1993)。
【0175】
化合物(5b):収率、98%。HRMS(ESI)実測値482.2145([M+Na],C2533NOの計算値482.2149)。IR(KBr)νmax:3340,2956,1741,1633,1606,1529,1507,1454,1391,1264,1231,1175,1160,1066,925,854,811,747,670cm−1
【0176】
キラル精製の条件:
キラル精製は、以下に記載する条件を用いて行なった。画分を収集し、溶媒を真空除去し、両方のジアステレオマーを白色固形物として得た。
【0177】
【表1】

化合物(5b−1)(光学的に純粋)、白色結晶として、mp:100〜101℃.[α]25D=+7.9°(c=1.0,CHCl)。IR(KBr)νmax:3368,2956,2937,1741,1633,1607,1531,1508,1464,1392,1264,1232,1175,1155,1069,913,734cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.69(d,J=8.6Hz,1H),7.68(s,1H),7.64(s,1H),7.37(d,J=8.4Hz,1H),7.13(d,J=9.1Hz,1H),7.10(s,1H),6.81(q,J=5.2Hz,1H),5.09(s,1H),3.90(s,3H),3.82(q,J=6.9Hz,1H),3.34−3.22(m,1H),3.15−3.03(m,1H),2.29(m,2H),2.13(m,1H),1.73−1.59(m,1H),1.55(d,J=7.0Hz,3H),1.33(d,J=5.0Hz,3H),1.16(t,J=6.5Hz,2H),0.90(d,J=6.9Hz,3H),0.88(d,J=6.6Hz,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 172.85,157.65,154.48,135.35,133.69,129.29,128.93,127.17,126.18,126.03,118.98,105.59,89.88,55.31,45.29,44.35,41.32,37.09,33.46,29.71,25.13,22.67,22.60,19.51,18.56。
【0178】
化合物(5b−2)(光学的に純粋)、白色結晶として、mp:120〜120℃.[α]25D=+23.62°(c=1.0,CHCl)。IR(KBr)νmax:3368,2956,2928,1743,1633,1607,1527,1508,1465,1391,1264,1231,1177,1159,1067,913,743cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.71−7.68(m,2H),7.65(s,1H),7.38(d,J=8.4Hz,1H),7.13(d,J=9.1Hz,1H),7.10(s,1H),6.81(q,J=5.1Hz,1H),4.80(t,J=5.8Hz,1H),3.90(s,3H),3.83(q,J=7.0Hz,1H),3.22−3.10(m,1H),2.95−2.85(m,1H),2.15(dt,J=14.0,7.1Hz,1H),2.09−1.99(m,2H),1.61−1.52(m,4H),1.44(d,J=5.3Hz,3H),1.05(t,J=6.5Hz,2H),0.87(d,J=6.8Hz,3H),0.85(d,J=6.6Hz,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 171.72,156.57,153.33,134.15,132.62,128.28,127.87,126.06,125.21,125.10,117.86,104.53,88.61,54.23,44.39,43.10,40.17,35.92,32.24,28.66,24.03,21.57(2),18.64,17.38。
【0179】
実施例2:ガバペンチン−GHBコンジュゲートの合成
この実施例には、GABA類似体−γヒドロキシ酪酸(GHB)コンジュゲート、より詳しくはガバペンチン−GHBコンジュゲートの合成を一般的に記載する。
【0180】
【化23】


実施例3:GABA作用薬−モルヒネコンジュゲートの合成
この実施例には、GABA受容体作用薬−アヘン剤鎮痛薬コンジュゲート、より詳しくは、GABA作用薬−モルヒネコンジュゲートの合成を示す。
【0181】
【化24】

本明細書において上記に示した実施例は例示であって限定的ではないとみなされ、本発明は、本明細書に示す詳細事項に限定されるものでなく、本発明の範囲および均等の範囲内で修正されてもよい。
【0182】
実施例4:GABA−薬物コンジュゲートのCaco−2細胞透過性のインビトロ測定
本発明のGABA−薬物コンジュゲートの受動透過性は、当該技術分野でよく知られた標準的な方法を用いてインビトロで評価される(例えば、Stewart,、Pharm.Res.、1995、12、693参照)。例えば、受動透過性は、培養分極細胞単層(例えば、Caco−2細胞)を通過するGABA−薬物の流量を調べることにより評価される。連続培養(28回未満の継代)により得たCaco−2細胞を高密度で、Transwellポリカーボネートフィルター上に播種する。細胞を、DMEM/10%ウシ胎仔血清+0.1mM非必須アミノ酸+2mM L−Glnとともに、5%CO/95%O、37℃で実験日まで維持する。透過性試験は、先端側ではpH6.5で(1mM CaCl、1mM MgCl、150mM NaCl、3mM KCl、1mM NaHPO4、5mMグルコースを含有する50mM MESバッファー中)、基底外側ではpH7.4で(10mM HEPESを含有するハンクス緩衝塩溶液中)、流出ポンプ阻害薬(250μM MK−571、250uM ベラパミル、1mM オフロキサシン)の存在下で行なう。挿入物を、バッファーを入れた12または24ウェルプレート内に配置し、37C°で30分間インキュベートする。プロドラッグ(200μM)を先端側または基底外側区画(ドナー)に添加し、反対区画(レシーバー)におけるプロドラッグおよび/または放出された親薬物の濃度を、間隔をあけて1時間にわたり、LC/MS/MSを用いて測定する。見かけ透過性の値(Papp)は、等式:
app=V(dC/dt)/(AC
を用いて計算される。ここで、Vは、レシーバー区画の容積(単位:mL)であり;dC/dtは、GABA−薬物と親薬物の全流量(μM/s)であり(時間に対するレシーバー区画内の濃度のプロットの傾きから測定);Cは、GABA−薬物コンジュゲートの初期濃度(単位:μM)であり;Aは、膜表面積(単位:cm)である。好ましくは、有意な経細胞透過性を有するGABA−薬物コンジュゲートは、≧1×10−6cm/sのPapp値、より好ましくは≧1×10−5cm/sのPapp値、さらにより好ましくは≧5×10−5cm/sのPapp値を示す。
【0183】
実施例5:化学安定性
化学安定性試験のため、pH2.0(0.1Mリン酸カリウムと0.5M NaClを使用)、pH7.4およびpH8.0(0.1M Tris−HClと0.5M NaClを使用)のバッファーを調製する。化合物(5μM)をバッファーとともに、37℃で1時間、温度制御HPLCオートサンプラー内でインキュベートする。試料をゼロ時点および添加1時間後にインジェクトする。試料を後述するLC/MS/MSによって解析する。
【0184】
実施例6:代謝安定性
血漿安定性:化合物(5μM)を、90%ラットまたはヒト血漿とともに37℃で1時間インキュベートする。試料をゼロ時点および添加の1時間後に採取し、さらなる変換を防ぐため即座にメタノールでクエンチする。クエンチした試料を凍結し、解析まで−80℃に維持する。試料を、後述するLC/MS/MSによって解析する。
【0185】
肝臓ホモジネート:化合物(5μM)を、ラットまたはヒト肝臓S9とともに0.5mgタンパク質/mLで、1mM NADPHの存在下、pH7.4および37℃で1時間インキュベートする。試料をゼロ時点および添加の1時間後に採取し、さらなる変換を防ぐため即座にメタノールでクエンチする。クエンチした試料を凍結し、解析まで−80℃に維持する。試料を、後述するLC/MS/MSによって解析する。
【0186】
Caco−2細胞ホモジネート:Caco−2細胞をフラスコ内で21日間にわたって培養する。次いで、細胞を氷冷10mMリン酸ナトリウム/0.15M塩化カリウム(pH7.4)中でリンス処理/剥離を行なう。細胞を、4℃で超音波処理(プローブ超音波装置を使用)によって溶解させ、9,000×gで20分間、4℃にて遠心分離し、得られた上清み(Caco−2細胞ホモジネートS9画分)アリコートを0.5mLのバイアル内に移し、使用まで−80℃で保存する。安定性試験のため、化合物(5μM)を、Caco−2 S9(0.5mgタンパク質/mL)とともにpH7.4および37℃で1時間インキュベートする。試料をゼロ時点および添加の1時間後に採取し、さらなる変換を防ぐため即座にメタノールでクエンチする。クエンチした試料を凍結し、解析まで−80℃に維持する。試料を、後述するLC/MS/MSによって解析する。
【0187】
パンクレアチン:化合物(5μM)を、ブタパンクレアチン(pH7.5バッファー中10mg/mL)とともに37℃で1時間インキュベートする。試料をゼロ時点および添加の1時間後に採取し、さらなる変換を防ぐため即座にメタノールでクエンチする。クエンチした試料を凍結し、解析まで−80℃に維持する。試料を、後述するLC/MS/MSによって解析する。
【0188】
種々の種における薬物コンジュゲートの代謝:薬物コンジュゲート(10μM)をラット、イヌ、サルおよびヒト由来の血漿、腸S9、肺S9、肝臓S9および腎臓S9とともに、37℃で1時間インキュベートする。調製物はすべて、1mgタンパク質/mLを含むものとする。試料を、ゼロ時点および添加後1時間にわたって間隔をあけて採取し、さらなる変換を防ぐため即座にメタノールでクエンチする。次いで、クエンチした試料を凍結し、解析まで−80℃に維持する。試料を、後述するLC/MS/MSによって解析する。各マトリックスでの薬物コンジュゲートの親薬物への変換速度を、pmol/min/mgタンパク質で計算する。
【0189】
薬物コンジュゲートによる特異的CYP450アイソフォームの阻害:GABA−薬物コンジュゲートのリード候補を、CYP450アイソフォームの阻害について試験する。薬物コンジュゲートがシトクロムP450媒介性代謝を阻害する能力を、標準的な方法によって、バキュロソーム(Supersomes(商標))内で発現させた特異的CYP450アイソフォームを用いて調べる。各アイソフォームの実験条件を以下に示す。蛍光代謝産物が生成される標準的な基質を使用する。実験は96ウェル形式で行なう。インキュベーションにはすべて、NADPH補因子ミックスを含めた。各インキュベーションにおけるCYP450タンパク質の終濃度は2.5〜5.0pMにする。陽性対照化合物を含む化合物はすべて、NADPH生成系の溶液中で、400uMまでの終濃度が得られるまで連続希釈する。得られた溶液を、特異的CYP450アイソフォームおよび関連基質とともに、37℃で15〜45分間インキュベートする。停止溶液(80%アセトニトリル/20%0.5M Tris塩基)を添加して、反応を停止させる。試料を、FlexStation蛍光プレートリーダーを用いて解析する。
【0190】
生成物形成の阻害割合を、各薬物コンジュゲート濃度および対照阻害薬について求める。試料ウェルからブランク値を差し引き、正味の蛍光シグナルを得る。50%阻害をブラケット(bracket)した薬物コンジュゲートの濃度(CHighおよびCLow)を求める。次いで、各特異的アイソフォームの阻害のIC50値を、ブラケット濃度および対応する阻害割合値から、線形補間によって以下のようにして求める:
IC50=(50%−%ILow)/(%IHigh−%ILow) × (CHigh−Clow)+CLow
式中、CLowおよびCHighは、50%阻害をブラケットする濃度であり、%IHighおよび%ILowは、それぞれ、低濃度および高濃度における対応する阻害割合値である。これは、Supersomes(商標)の供給業者によって推奨された計算法である。
【0191】
CYPアイソフォーム(標準基質):CYP3A4(7−ベンジルオキシトリフルオロメチル(methy)クマリン);CYP1A2(3−シアノ−7−エトキシクマリン);CYP2C9(7−メトキシトリフルオロメチルクマリン);CYP2C19(3−シアノ−7−エトキシクマリン);CYP2D6(3−[2−(N,N−ジエチル−N−メチルアミノ)エチル]−7−メチルオキシ(methyoxy)−4−メチルクマリン);CYP2E1(7−メチルオキシ−4−トリフルオロメチルクマリン)。
【0192】
実施例7:ラットの結腸内へのGABA類似体、鎮痛薬またはGABA−薬物コンジュゲートの投与後のGABA類似体およびコンジュゲート型鎮痛薬取込み
薬物をゆっくりと6〜24時間にわたって放出する徐放経口投薬形態は、一般的に、用量の有意な割合を結腸内で放出する。したがって、かかる投薬形態における使用に適した薬物は、好ましくは良好な結腸内吸収を示す。この実験は、経口徐放製剤における使用に対するGABA−薬物コンジュゲートの好適性を評価するために行なう。
【0193】
工程A:投与プロトコル
ラットは市販のものを入手し、上行結腸と頚静脈の両方に、予めカニューレを挿入する。動物は、実験時、意識がある状態にしておく。動物はすべて、一晩および投与後4時間まで絶食させる。対象化合物は、液剤(水中、またはPEG 400などの他の溶媒であってもよい)として、結腸内に直接、カニューレから所望の用量で投与する。血液試料(0.5mL)は、頚静脈のカニューレから、8時間にわたって間隔をあけて採取し、GABA−薬物コンジュゲートのさらなる変換を防ぐため、アセトニトリル/メタノールの添加によって即座にクエンチする。血液試料は、後述するようにして解析する。
【0194】
工程B:結腸内吸収薬物のための試料の調製
ブランクの1.5mL容のエッペンドルフチューブ内に、300μLの50/50アセトニトリル/メタノールおよび20μLのp−クロロフェニルアラニンを内部標準として添加する。
【0195】
1.ラット血液を種々の時点で収集し、即座に100μLの血液を該エッペンドルフチューブ内に添加し、ボルテックスして混合する。
【0196】
2.10μLのGABA類似体または鎮痛薬標準溶液(0.04、0.2、1、5、25、100μg/mL)を90μLのブランクラット血液に添加し、最終較正標準(0.004、0.02、0.1、0.5、2.5、10μg/mL)にする。次いで、300μLの50/50アセトニトリル/メタノールを各チューブ内に添加した後、20μLのp−クロロフェニルアラニンを添加する。
【0197】
3.試料をボルテックスし、14,000rpmで10min遠心分離する。
【0198】
4.LC/MS/MS解析用に上清みを採取する。
【0199】
工程C:LC/MS/MS解析
10ADVpバイナリーポンプおよびCTC HTS−PALオートサンプラーを備えたLC/MS/MS分光計を解析に使用する。選択したカラムを、解析中、45℃まで加熱する。移動相は、0.1%ギ酸(A)と0.1%ギ酸含有アセトニトリル(B)などの異なる溶媒混合物であってもよい。勾配条件は、解析対象の化合物に応じて(depend on)変更され得る。LC/MS/MS装置(API 2000など)において、TurboIonSpray源が使用され得る。解析は、ポジティブイオンモードまたはネガティブイオンモードの両方で行なわれ得、化合物の解析に基づいてMRMトランジション(transition)が選択され得る。20μLの試料をインジェクトする。ピークは、Analyst 1.1定量ソフトウェアを用いて積算され得る。これらの各GABA−薬物コンジュゲートの結腸投与後、GABA類似体および鎮痛薬の最大血漿濃度(Cmax)、ならびに時間に対するGABA類似体および鎮痛薬の血漿濃度の曲線下面積(AUC)を、親薬物と比較する。所望のコンジュゲートは、GABA類似体と鎮痛薬の両方にGABA類似体および鎮痛薬自体よりも高いCmaxおよび大きいAUC値をもたらすはずである。このデータは、本発明の化合物が、このようなGABA類似体の急速全身クリアランスのため、投与頻度を最小限にするために選択されたGABA類似体および鎮痛薬の吸収の向上および/または有効な徐放に適した組成物として製剤化され得ることを示す。
【0200】
実施例8:カニクイザルへの静脈内投与後のコンジュゲート型GABA類似体またはコンジュゲート型鎮痛薬の薬物動態
GABA類似体または鎮痛薬を4匹の雄カニクイザルに、水性液剤として静脈内ボーラス注射によって、伏在静脈内に所望の用量で投与する。投与後、24時間にわたって間隔をあけて、血液試料をすべての動物から採取する。血液は、血漿に対して4℃で即座に処理する。続いて、すべての血漿試料を、GABA類似体または鎮痛薬について、上記のLC/MS/MSアッセイを用いて解析する。
【0201】
実施例9:カニクイザルの結腸へのGABA類似体またはGABA−薬物コンジュゲートの投与後のGABA類似体またはコンジュゲート型鎮痛薬の取込み
GABA類似体、鎮痛薬およびGABA−薬物コンジュゲートを所望の用量で、1群あたり4匹の雄カニクイザルに、水性液剤または懸濁剤のいずれかを、ボーラス注射によって直接結腸内に留置カニューレから投与する。結腸送達のため、フレキシブルFrenchカテーテルを各サルの直腸内に挿入し、近位結腸(ほぼ16インチ)まで透視法を用いて延ばす。投与中、Telazol/ケタミンの投与によってサルを軽く鎮静させる。各処置間では、少なくとも5〜7日間のウォッシュアウト期間を設ける。投与後、24時間にわたって間隔をあけて血液試料を採取し、即座にクエンチし、血漿に対して4℃で処理する。続いて、すべての血漿試料を、GABA類似体、鎮痛薬およびインタクトなGABA−薬物コンジュゲートについて、上記のLC/MS/MSアッセイを用いて解析する。GABA−薬物コンジュゲートの結腸投与後、GABA類似体および鎮痛薬の最大血漿濃度(Cmax)、ならびに時間に対するGABA類似体および鎮痛薬の血漿濃度の曲線下面積(AUC)は、GABA類似体自体の結腸投与で得られるものよりも有意に大きい。このデータは、このようなGABA−薬物コンジュゲートが、このようなGABA類似体の急速全身クリアランスのため、投与頻度を最小限にするためのGABA類似体の吸収の向上および/または有効な徐放に適した組成物として製剤化され得ることを示す。
【0202】
実施例10:カニクイザルへのGABA−薬物コンジュゲートの経口投与後のGABA類似体およびコンジュゲート型鎮痛薬の取込み
GABA−薬物コンジュゲートを経口強制投与によって、1群あたり4匹の雄カニクイザルに、それぞれ、水性液剤または懸濁剤のいずれかとして投与する。投与後、24時間にわたって間隔をあけて血液試料を採取し、即座にクエンチし、血漿に対して4℃で処理する。続いて、すべての血漿試料を、GABA類似体、鎮痛薬およびインタクトなGABA−薬物コンジュゲートについて、上記のLC/MS/MSアッセイを用いて解析する。
【0203】
本発明の好ましい実施形態を本明細書において図示および記載したが、かかる実施形態は単なる一例として示していることは当業者に自明であろう。ここに、数多くの変形、変更および置換えが、本発明から逸脱することなく当業者に思いつくであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する種々の択一例が本発明の実施において使用され得ることを理解されたい。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に規定されること、ならびにこの特許請求の範囲およびその均等の範囲内である方法および構造が特許請求の範囲に包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分と第2部分とを含む化合物であって、該第1部分はアミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって該第2部分に共有結合され、該第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である、化合物。
【請求項2】
第1部分と第2部分とを含み、該第1部分はカルボン酸基によって該第2部分に共有結合され、該第1部分のアミノ末端は保護基に連結され、該第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である化合物。
【請求項3】
前記第1部分がGABA類似体である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記第1部分が、バクロフェン、ビガバトリン、ガバペンチン、またはプレガバリン、またはγ−アミノホスフィン酸誘導体である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記第2部分が鎮痛薬である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
前記第2部分が、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、または抗鬱薬である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記第2部分が、γ−ヒドロキシ酪酸(GHB)、またはGHBの類似体、誘導体もしくは改変体である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項8】
前記第1および前記第2部分が、エステル結合、アミド結合、イミン結合、カルバメート結合、カーボネート結合、チオエステル結合、アシルオキシカルバメート結合、アシルオキシカーボネート結合、ホスフェート結合およびアシルオキシホスフェート結合からなる群より選択される共有結合によって連結されている、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項9】
前記第1部分を前記第2部分に共有結合させるリンカーをさらに含む、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項10】
前記リンカーが生理学的に不安定である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物の前記第1部分または第2部分にイオン結合または共有結合された第3部分をさらに含む、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項12】
少なくとも1種類の他の治療用薬剤と組み合わせて使用され得る、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項13】
前記治療用薬剤が、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、MAO阻害薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)拮抗薬、および選択的ノルアドレナリン置換阻害薬からなる群より選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記酸性末端がホスフィン酸基またはスルフィン酸基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記保護基が、アミノ酸、イミン、カルバメート、N−ジチアスクシンイミド、モノ−もしくはジ−アルキルホスホルアミデート、またはアシルオキシカルバメートを含む、請求項2に記載の化合物。
【請求項16】
前記保護基が前記第1部分のアミノ基から切断可能である、請求項2に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1または2に記載の化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項18】
少なくとも1種類の他の治療用薬剤をさらに含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
疼痛および/または神経系障害を処置するためのものである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
被検体の疼痛または神経系障害を予防または処置するためのキットであって、請求項1または2に記載の化合物、および該キットを使用するための使用説明書を備える、キット。
【請求項21】
前記被検体が動物、好ましくはヒトである、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
疼痛または神経系障害の処置における使用のための少なくとも1種類の他の薬剤をさらに含む、請求項20に記載のキット。
【請求項23】
障害の予防または処置方法であって、該予防または処置を必要とする被検体に治療有効量の化合物を投与することを含み、該化合物が、第1部分と第2部分とを含み、該第1部分はアミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって第2部分に共有結合され、該第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である、方法。
【請求項24】
障害の予防または処置方法であって、該予防または処置を必要とする被検体に治療有効量の化合物を投与することを含み、該化合物が、第1部分と第2部分とを含み、該第1部分は、カルボン酸基によって第2部分に共有結合され、該第1部分のアミノ末端が保護基に連結され、該第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である、方法。
【請求項25】
前記第1部分がGABA類似体である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1部分が、バクロフェン、ビガバトリン、ガバペンチン、プレガバリン、またはγ−アミノホスフィン酸誘導体である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2部分が鎮痛薬である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項28】
前記第2部分が、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、または抗鬱薬である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項29】
前記第2部分が、γ−ヒドロキシ酪酸(GHB)、またはGHBの類似体、誘導体もしくは改変体である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項30】
前記第1および前記第2部分が、エステル結合、アミド結合、イミン結合、カルバメート結合、カーボネート結合、チオエステル結合、アシルオキシカルバメート結合、アシルオキシカーボネート結合、ホスフェート結合およびアシルオキシホスフェート結合からなる群より選択される共有結合によって連結されている、請求項23または24に記載の方法。
【請求項31】
前記第1部分を前記第2部分に共有結合させるリンカーをさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項32】
前記リンカーが生理学的に不安定である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物の第1部分または第2部分にイオン結合または共有結合された第3部分をさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が少なくとも1種類の他の治療用薬剤と組み合わせて使用され得る、請求項23または24に記載の方法。
【請求項35】
前記治療用薬剤が、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、MAO阻害薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)拮抗薬、および選択的ノルアドレナリン置換阻害薬からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記予防または処置を必要とする被検体に、前記化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物の治療有効量を投与することをさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項37】
前記障害が疼痛または神経系障害である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項38】
疼痛が、急性、慢性または炎症性状態のものである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記神経系障害が、有痛障害、不安障害、鬱、解離性障害、人格障害、認知障害、気分障害、情動障害、神経変性障害、痙攣性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、統合失調症、パラノイア、精神病、ハンティングトン病、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、失神発作、運動低下症、脳障害、神経変性障害、パニック、不眠症、中毒性障害、および不穏下肢症候群からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記被検体が動物である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項41】
前記被検体がヒトである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記化合物または前記医薬組成物の投与により、個々の部分単独の投与と比べて副作用が少なくとも1つ少なくなる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物または前記医薬組成物の投与により、個々の部分単独の投与と比べて治療活性の向上がもたらされる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物または前記医薬組成物が別の薬剤と組み合わせて投与される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項45】
前記別の薬剤が、前記化合物または前記医薬組成物の投与の前、同時または後に投与される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記酸性末端がホスフィン酸基またはスルフィン酸基を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項47】
前記保護基が、アミノ酸、イミン、カルバメート、N−ジチアスクシンイミド、モノ−もしくはジ−アルキルホスホルアミデート、またはアシルオキシカルバメートを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項48】
前記保護基が前記第1部分のアミノ基から切断可能である、請求項24に記載の方法。
【請求項49】
障害の処置と関連している有害作用の低減方法であって、該低減を必要とする被検体に、治療有効量の化合物を投与することを含み、該化合物が、第1部分と第2部分とを含み、該第1部分は、アミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって該第2部分に共有結合され、該第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である、方法。
【請求項50】
障害の処置と関連している有害作用の低減方法であって、該低減を必要とする被検体に治療有効量の化合物を投与することを含み、該化合物が、第1部分と第2部分とを含み、該第1部分は、カルボン酸基によって該第2部分に共有結合され、該第1部分のアミノ末端が保護基に連結され、該第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である、方法。
【請求項51】
前記第1部分がGABA類似体である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記第1部分が、バクロフェン、ビガバトリン、ガバペンチン、プレガバリン、またはγ−アミノホスフィン酸誘導体である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項53】
前記第2部分が鎮痛薬である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項54】
前記第2部分が、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、または抗鬱薬である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項55】
前記第2部分が、γ−ヒドロキシ酪酸(GHB)、またはGHBの類似体、誘導体もしくは改変体である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項56】
前記第1および前記第2部分が、エステル結合、アミド結合、イミン結合、カルバメート結合、カーボネート結合、チオエステル結合、アシルオキシカルバメート結合、アシルオキシカーボネート結合、ホスフェート結合およびアシルオキシホスフェート結合からなる群より選択される共有結合によって連結されている、請求項49または50に記載の方法。
【請求項57】
前記第1部分を前記第2部分に共有結合させるリンカーをさらに含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項58】
前記リンカーが生理学的に不安定である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記化合物の第1部分または第2部分にイオン結合または共有結合された第3部分をさらに含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項60】
前記化合物が少なくとも1種類の他の治療用薬剤と組み合わせて使用され得る、請求項49または50に記載の方法。
【請求項61】
前記治療用薬剤が、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、MAO阻害薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)拮抗薬、および選択的ノルアドレナリン置換阻害薬からなる群より選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記低減を必要とする被検体に、前記化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物の治療有効量を投与することをさらに含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項63】
前記障害が、疼痛または神経系疾患または障害である、請求項49または50に記載の方法。
【請求項64】
前記疼痛が、急性、慢性または炎症性状態のものである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記神経系障害が、有痛障害、不安障害、鬱、解離性障害、人格障害、認知障害、気分障害、情動障害、神経変性障害、痙攣性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、統合失調症、パラノイア、精神病、ハンティングトン病、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、失神発作、運動低下症、脳障害、神経変性障害、パニック、不眠症、中毒性障害、および不穏下肢症候群からなる群より選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記被検体がヒトである、請求項49または50に記載の方法。
【請求項67】
前記有害な副作用が、硬直、振せん、運動緩徐、精神緩慢、遅発性ジスキネジー、カタレプシー、急性ジストニア反応および静座不能(akathasia)からなる群より選択される、請求項49または50に記載の方法。
【請求項68】
前記酸性末端がホスフィン酸基またはスルフィン酸基を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項69】
前記保護基が、アミノ酸、イミン、カルバメート、N−ジチアスクシンイミド、モノ−もしくはジ−アルキルホスホルアミデート、またはアシルオキシカルバメートを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項70】
前記保護基が前記第1部分のアミノ基から切断可能である、請求項50に記載の方法。
【請求項71】
障害の処置の治療有効性を向上させるための方法であって、該処置を必要とする被検体に治療有効量の化合物を投与することを含み、該化合物が、第1部分と第2部分とを含み、該第1部分は、アミノ末端またはカルボン酸基以外の酸性末端によって該第2部分に共有結合され、該第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体である、方法。
【請求項72】
障害の処置の治療有効性を向上させるための方法であって、該処置を必要とする被検体に治療有効量の化合物を投与することを含み、該化合物が、第1部分と第2部分とを含み、該第1部分はカルボン酸基によって該第2部分に共有結合され、該第1部分のアミノ末端が保護基に連結され、該第1部分がγ−アミノ酪酸(GABA)またはGABAの類似体もしくは誘導体であるもの、方法。
【請求項73】
前記第1部分がGABA類似体である、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
前記第1部分が、バクロフェン、ビガバトリン、ガバペンチン、またはプレガバリンである、請求項71または72に記載の方法。
【請求項75】
前記第2部分が鎮痛薬である、請求項71または72に記載の方法。
【請求項76】
前記第2部分が、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、または抗鬱薬である、請求項71または72に記載の方法。
【請求項77】
前記第2部分が、γ−ヒドロキシ酪酸(GHB)、またはGHBの類似体、誘導体もしくは改変体である、請求項71または72に記載の方法。
【請求項78】
前記第1および前記第2部分が、エステル結合、アミド結合、イミン結合、カルバメート結合、カーボネート結合、チオエステル結合、アシルオキシカルバメート結合、アシルオキシカーボネート結合、ホスフェート結合およびアシルオキシホスフェート結合からなる群より選択される共有結合によって連結されている、請求項71または72に記載の方法。
【請求項79】
前記第1部分を前記第2部分に共有結合させるリンカーをさらに含む、請求項71または72に記載の方法。
【請求項80】
前記リンカーが生理学的に不安定である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記化合物の第1部分または第2部分にイオン結合または共有結合された第3部分をさらに含む、請求項71または72に記載の方法。
【請求項82】
前記化合物が少なくとも1種類の他の治療用薬剤と組み合わせて使用され得る、請求項71または72に記載の方法。
【請求項83】
前記治療用薬剤が、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、MAO阻害薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)拮抗薬、および選択的ノルアドレナリン置換阻害薬からなる群より選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記他の治療用薬剤が、前記化合物の投与の前、同時または後に投与される、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記処置を必要とする被検体に、前記化合物と薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物の治療有効量を投与することをさらに含む、請求項71または72に記載の方法。
【請求項86】
前記障害が、疼痛または神経系疾患または障害である、請求項71または72に記載の方法。
【請求項87】
前記疼痛が、急性、慢性または炎症性状態のものである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記神経系障害が、有痛障害、不安障害、鬱、解離性障害、人格障害、認知障害、気分障害、情動障害、神経変性障害、痙攣性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、統合失調症、パラノイア、精神病、ハンティングトン病、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、失神発作、運動低下症、脳障害、神経変性障害、パニック、不眠症、中毒性障害、および不穏下肢症候群からなる群より選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記被検体がヒトである、請求項71または72に記載の方法。
【請求項90】
治療有効性の向上が、前記化合物の吸収の増大または半減期の増大によるものである、請求項71または72に記載の方法。
【請求項91】
前記酸性末端がホスフィン酸基またはスルフィン酸基を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項92】
前記保護基が、アミノ酸、イミン、カルバメート、N−ジチアスクシンイミド、モノ−もしくはジ−アルキルホスホルアミデート、またはアシルオキシカルバメートを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項93】
前記保護基が前記第1部分のアミノ基から切断可能である、請求項72に記載の方法。

【公表番号】特表2012−505238(P2012−505238A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531180(P2011−531180)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/060058
【国際公開番号】WO2010/042759
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511088689)カイフィア ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】