説明

HCV複製についての小動物モデル

HCV複製及び/又はウイルス又はウイルス様粒子の産生のための動物モデルを提供する。本発明は、免疫無防備状態である動物を含む動物モデル内でHCV核酸を送達し、HCVタンパク質を複製及び発現するために、細胞内に存在するHCVレプリコンを使用する。本発明は更に、哺乳動物におけるHCVを処置又は予防する方法であって、免疫調節化合物及び別の抗ウイルス剤を含む組み合わせを哺乳動物に投与することを含む、方法も提供する。又、インターフェロンα又はその他何れかの免疫調節因子に対する感受性の低下を示す細胞株、及びこのような細胞株を作製又は単離する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
C型肝炎ウイルス(HCV)は、ヒト及びチンパンジーにのみ感染する。結果として、HCVの分野は、HCVの感染及び/又は複製の強力な小動物モデルがないことに悩まされている。存在する、又は提案されたHCVの感染及び複製のモデルは、複雑な技術及び/又は天然のHCVに感染したヒトの接種材料の使用に依存する。幾つかの存在するモデルは、移植した自然に感染したHCV細胞、又はヒト血清を使用してex vivo又はin vivoでHCVに感染した細胞を使用する。既存のモデルは又、肝臓を損傷するように遺伝的に突然変異したマウスの使用に依存し、及び/又は宿主の生物学を複雑にするHCV遺伝子を送達するウイルスベクターを使用する場合がある。例えば、1つの手法においては、初代ヒト肝細胞(PHH)が、肝臓が損傷された(Alb−uPA SCID/bg)マウスの肝臓に移植される。PHHが移植されると、マウスは、HCVを含むヒト血清に(in vivoで)感染する可能性がある。次いで、HCVがこれらのヒト肝細胞に感染する。或いは、供与体における自然感染の結果として、in vivoで感染したPHHはマウスの肝臓に移植することができる。別の手法においては、ヒト肝細胞癌細胞(HCC)が、ex vivoでHCVを含むヒト血漿とインキュベートされ、無胸腺ヌードマウスの肝臓に移植される。又、HCVレプリコン及び欠損を克服する少なくとも1つのタンパク質をコードするヌクレオチド配列に操作可能に結合している制御配列を含む発現システムを使用して、必須の肝臓タンパク質を欠損する肝臓を損傷したマウスを形質転換することが提案された。又、プロテアーゼ等のHCVタンパク質を送達するアデノウイルスベクターを使用することが開示されている。更に、感染性のモデルは、ex vivoで肝臓のフラグメントを感染し、感染した肝臓をマウス(XTL)に移植することを含む。
【0002】
これらのシステムの不都合は、それらが多くの時間と労力を要し、新鮮なヒト肝細胞を単離及び移植するための特別な専門知識を必要とし、及び/又は遺伝子導入動物(高い死亡率を有する)を必要とし、感染性のウイルス接種材料を必要とし、及び/又は宿主と細胞生物学に重要な影響を与えるウイルスベクターを使用することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本発明は、HCV複製及び/又はウイルス又はウイルス様粒子の産生のための動物モデルにおいて使用することのできる動物を提供する。本発明は、HCV核酸を送達し、免疫無防備状態である動物を含む動物モデルにおいてHCVタンパク質を複製及び発現するために細胞内に存在するHCVレプリコンを利用する。レプリコンは、更にレポーター遺伝子を含み、ゲノム又はサブゲノムのレプリコンであってもよい。
【0004】
前記動物は、免疫無防備状態である動物中に導入されたHCVレプリコンを含有する細胞を含む。細胞は、既にHCVレプリコンを含む(感染細胞)か、又はHCV RNAの複製及びウイルスタンパク質の発現を補助するHCVレプリコンを使用してin vitroでトランスフェクションされている(トランスフェクト細胞)。細胞は又、レプリコンRNAを使用して、動物においてin vivoでトランスフェクトすることができる。細胞は又、更なるタンパク質を発現する場合もある。レプリコンは、レプリコンの複製及び/又は発現を監視するか、レプリコンからのウイルス又はウイルス様粒子の産生を監視するためのレポーター遺伝子を更に含む。レプリコンを含む細胞を動物に導入した後、HCVレプリコンの複製及び/又は発現を、in vivo又はin vitroで測定する場合がある。ウイルス又はウイルス様粒子の産生は、ウイルス又はウイルス様粒子についての動物の血液を試験することにより監視することができる。種々の実施形態によれば、動物における増殖及びレプリコン安定性に適応されるヒト由来細胞が使用される。一実施形態において、動物は本明細書に開示するような小動物である。
【0005】
別の実施形態において、本発明は、複数の抗ウイルス剤の併用、及び複数の抗ウイルス剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるHCVを処置又は予防する方法であって、免疫調節化合物及び別の抗ウイルス剤を含む組み合わせを哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態において、抗ウイルス剤は、プロテアーゼ、ヘリカーゼ、GTPアーゼ、ポリメラーゼ等のウイルス酵素の阻害剤、IRESの阻害剤、siRNA又はアンチセンス等の小分子、抗−cd81化合物等のHCV生物学の阻害剤、及び本明細書で詳細に考察するその他既知の免疫調節因子からなる群から選択することができる抗C型肝炎ウイルス剤である。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、以下に示す実施例において提供される方法に従って得られるゲノム又はサブゲノムレプリコン(sub−genomic replicon)を含む細胞株を提供する。幾つかの実施形態において、細胞株は、本明細書に記載の通り、動物において1回以上継代接種された後のインターフェロン又はその他幾つかの免疫調節因子に対する感受性の低下を示す。一実施形態において、本発明は、HCVレプリコン由来のHCVウイルス又はウイルス様粒子の複製、発現又は産生を測定するのに有用な動物であって、該動物がレポーター遺伝子を含むHCVレプリコンを含み、免疫無防備状態である動物を提供する。
【0008】
HCVレプリコンを含む細胞は、初代肝細胞、幹細胞、腎臓細胞、肝臓細胞、骨髄由来細胞、肝癌、肝芽腫からなる群から選択され、ヒト細胞株であっても、不死化細胞株であってもよい。好ましい実施形態において、動物は小動物であり、げっ歯類であってもよい。
【0009】
本発明は又、HCV複製を減少又は阻害する化合物を同定する方法であって、a)請求項1〜45の何れか1項に記載の免疫無防備状態である動物を提供する工程;b)候補化合物を該動物に投与する工程;及びc)手順a)で提供される、該化合物と接触させていない動物の該レプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルと比較して、該動物の該レプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルを測定する工程を含み;該化合物と接触させた該動物のレプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルを減少又は阻害する化合物が、HCVの複製を阻害する又は減少させる化合物である、方法を提供する。
【0010】
本発明は又、HCV粒子の産生を減少又は阻害する化合物を同定する方法であって、a)免疫無防備状態である動物を提供する工程;b)化合物を該動物に投与する工程(該化合物は、レプリコンの複製又は発現を減少させず、阻害しない);及びc)手順a)で提供される、該化合物と接触させていない動物の該レプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルと比較して、該動物の該レプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルを測定する工程を含み;該化合物と接触させた該動物のレプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルを減少又は阻害する化合物が、HCV粒子の産生を阻害する又は減少させる化合物である、方法を提供する。
【0011】
本発明は又、治療有効量の第1の抗ウイルス剤、及び治療有効量の第2の抗ウイルス剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0012】
本発明は又、本明細書に開示された薬学的組成物の抗HCVに有効な量を哺乳動物に投与することにより哺乳動物におけるHCV感染を処置又は予防する方法を提供する。
【0013】
本発明は更に、本明細書に記載の一般的方法及び特定の実施例の何れかに記載の通り1つ及び複数の細胞株を樹立する方法も提供する。一実施形態において、本発明は、前記細胞株が、本明細書に開示される本発明の動物を継代接種した後に免疫調節因子に対して感受性が低い細胞株を提供する。
【0014】
一実施形態において、免疫調節化合物はインターフェロンα2Bである。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、インターフェロンαに対する感受性が低下した腫瘍細胞株であって、(一実施形態において生物発光性である)レポーター遺伝子を含むHCVレプリコンを含む腫瘍細胞を、免疫無防備状態のマウスであって、細胞移植される前に放射線照射されているマウスに移植する;強力な生物発光又はその他のマーカーを放射線照射した腫瘍を移植した後のマウスから切除する;細胞のための陽性選択剤の存在下で腫瘍の生物発光部分をin vitroで培養する;ルシフェラーゼ発現が高い細胞コロニーを選択して、前記細胞を培養する、手順により得られる、腫瘍細胞株を提供する。別の実施形態において、本発明は、レプリコンが回復した腫瘍細胞株であって、レプリコンを含む間に動物を継代接種していない親細胞株に比較して、インターフェロンα又は別の免疫修飾化合物に対する感受性の低下を示す、腫瘍細胞株を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(詳細な説明)
本発明は、HCV複製及び/又はウイルス又はウイルス様粒子の産生の動物モデルに使用できる動物を提供する。モデルでは、レポーター遺伝子を含むHCVレプリコンを含む細胞を有する動物を使用する。細胞は、レプリコンの複製及び/又は発現に結びつくルシフェラーゼ遺伝子等のレポーター遺伝子を含むウイルス及び非ウイルス性タンパク質の発現を補助するHCVレプリコンでトランスフェクトされる。HCVレプリコン含む細胞を動物に導入した後、レポーター遺伝子は、in vivo又はin vitroで測定されるHCVレプリコンの複製、発現又はウイルス粒子の産生を可能にする。種々の実施形態によれば、宿主内で増殖及び/又はレプリコン安定性に適合するヒト由来の細胞を使用することができる。動物モデルは、in vivo又はin vitroでHCV抗−ウイルス化合物の潜在的な活性を評価するための検定として使用することができる。
【0017】
モデルの幾つかの利点は、以下の通りである:即ち、遺伝子導入動物を必要としない;容易に利用可能な動物(例えばSCIDマウス)を使用できる;ヒト由来細胞を使用できる。更に、モデルは、感染性ヒト接種材料の使用を記載する以前のモデルと異なる、非感染性HCVレプリコンの使用を可能にする。従って、動物は、潜在的な抗HCV治療薬をスクリーニング及び検出するためのより安全且つより便利なモデルを提供する。
【0018】
レプリコンを含む細胞は、動物における種々の標的部位に導入又は移植することができる。細胞は、動物の肝臓及び/又は皮下腔に移植又は送達することができる。幾つかの実施形態において、導入された細胞は腫瘍を形成する。細胞は、in vitroでレプリコンを使用してトランスフェクトすることができ、又は動物に導入された後にin vivoでトランスフェクトすることができる。
【0019】
本発明のHCVレプリコンのモデルは、レプリコン内に含まれるレポーター遺伝子の複製又は発現を検出又は監視することにより、HCVのゲノム又はサブゲノムレプリコンの複製又は発現を、in vivo及び/又はin vitroで監視するために使用することができる。
【0020】
モデルは又、レプリコンを含む細胞から産生されたHCVウイルス又はウイルス様粒子中に存在するレポーター遺伝子活性を検出又は監視することにより、HCVのライフサイクルにおける1つ以上の必須の手順を監視するための手段を提供する。ウイルスのライフサイクルには、ウイルスが細胞に入り、ウイルス粒子を産生し、他の細胞に感染するために細胞から出るために必要な手順が含まれる。これらの手順には、細胞表面への結合、細胞への侵入を促進する表面上の受容体との相互作用、ウイルスゲノムを放出するためのウイルス粒子の脱コート、ウイルスゲノムの複製及び発現、ウイルスゲノムの粒子へのパッケージを含む粒子の成熟、細胞から出て最終的に細胞を死滅させ、ウイルスの子孫を放出することが含まれる(Fields Virology (1996) Chapter 10: Virus−Host Interactions D. Knipeを参照)。
【0021】
モデルは、潜在的なHCV抗ウイルス化合物を評価するためのin vivo検定として使用される場合がある。一実施形態において、動物は、HCVの複製及び/又は粒子形成を減少又は予防することが知られている化合物が投与され、次いで、HCVの感染を減少又は予防する公知の化合物との相加又は相乗効果を有する第2の候補化合物が動物に投与される。モデルは又、以前に導入され、次いで動物から除去された、本明細書に開示されたHCVレプリコンを含む細胞におけるHCVレプリコンのin vitro複製及び発現を測定するために使用される場合もある。
別の実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるHCVの処置又は予防のための薬学的組成物及び化合物及び組み合わせを提供する。薬学的組成物には、同時又は連続して投与される化合物が含まれる。
【0022】
薬学的組成物は、キットにおける成分として提供することができる。
【0023】
薬学的組成物は、1つ以上の担体及び賦形剤を含んでいてもよい。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物又は組み合わせを投与することにより、動物におけるHCVを処置又は予防する方法を提供する。本発明の薬学的組成物は、1つ以上の薬学的担体及び/又は賦形剤を含む。張力を調整するため、ナトリウム塩等の生理食塩水を含むことが好ましい。1〜20mg/mLで存在し得る塩化ナトリウム(NaCl)が好ましい。
【0025】
組成物は一般的に、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは240〜360mOsm/kgの浸透圧を有し、更に好ましくは290〜300mOsm/kgの範囲である。本発明の組成物は、1つ以上の緩衝剤を含んでいてもよい。一般的な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、Tris緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、又はクエン酸緩衝剤が含まれる。緩衝剤は、通常は5〜20mMの範囲で含まれる。
【0026】
本発明の組成物のpHは、一般的に5.0〜7.5、更に一般的には最適な安定性のために5.0〜6.0又は6.0〜7.0である。従って、本発明の方法には、梱包前にバルクワクチンのpHを調整する手順が含まれる。
【0027】
本発明の組成物は好ましくは無菌である。
【0028】
本発明の組成物は、好ましくは非発熱性、例えば、投与量当たり1EU未満(内毒素単位、標準的測定)であり、好ましくは投与単位当たり0.1EU未満である。本発明の組成物は、好ましくはグルテンを含まない。本発明の組成物は、種々の形態で調製される場合がある。例えば、組成物は、注射液として、即ち、液剤又は懸濁液の何れかとして調製される場合がある。液剤又は懸濁液に好適な固体、注射液の前の液体担体も調製することができる(例えば、SynagisTM等の凍結乾燥組成物、防腐剤を含む無菌水で再構築されるHerceptinTM)。組成物は、軟膏、クリーム又は粉末等の局所投与用に調製される場合がある。組成物は、例えば、錠剤又はカプセルとして、スプレーとして、又はシロップ(風味をつけてもよい)として、経口投与用に調製される場合がある。組成物は、例えば、微粉又はスプレーを使用した吸入等の肺投与用に調製される場合がある。組成物は、座薬又は腟坐薬として調製される場合がある。組成物は、経鼻、経耳、又は眼投与、例えばドロップ用に調製される場合がある。組成物は、組み合わされた組成物が患者に投与する直前に再構築されるように設計されたキット形態である場合がある。例えば、凍結乾燥された抗体は、無菌水又は無菌緩衝剤と一緒にキット形態で提供されてもよい。本発明の組成物は、一般的に水性形態である。
【0029】
本発明の組成物は、0.5mLの投与量で患者に投与することができる。0.5mL投与の言及には、通常の差異、例えば、0.5mL±0.05mLが含まれることが理解される。
【0030】
薬学的組成物には、所望の疾患又は病状を処置、改善又は予防するため、又は検出可能な治療効果を示すのに十分な量で、1つ以上の抗ウイルス化合物の有効量を含む。治療効果は又、身体症状の減少を含む。任意の特定の患者についての正確な有効量は、大きさ及び健康状態、病状の性質及び程度、投与のために選択された治療法又は治療法の組み合わせに依存するであろう。所定の状態についての有効量は、日常的な実験によって決定され、臨床医の判断の範囲内である。本発明の目的のため、有効量は、一般的に約0.01mg/kg〜約50mg/kg、又は約0.05mg/kg〜約10mg/kgである。公知の抗体をベースとする医薬品は、この点で案内を提供し、例えば、HerceptinTMは、21mg/mLの溶液の静脈注射によって投与され、4mg/体重1kgの初期用量、及び2mg/体重1kgの1週間の維持用量を有し、RituxanTMは375mg/mで週1回投与される。
【0031】
本発明は、特に、ヒト患者における処置に適している。
【0032】
幾つかの実施形態において、げっ歯類が使用され、好ましい一実施形態においてマウスが使用される。動物は、放射線照射により、生物学的又は化学的免疫抑制剤(例えばグルココルチコイド)又はそれらの組み合わせの投与により、遺伝子突然変異により免疫無防備状態である(例えば、SCIDマウス)。
【0033】
本明細書に開示されるような、他の小動物も使用することができる。
【0034】
動物に導入される細胞は、HCVを有することができる何れかの細胞である場合があるが、好ましくは不死化されたヒト由来細胞であり、一実施形態においてはヒト肝癌Huh7細胞である。種々の実施形態によれば、細胞株にトランスフェクトされたレプリコンはゲノム又はサブゲノムである。レプリコンは、抗ゲノム(又は抗サブゲノム)鋳型からトランスフェクトすることができる。一実施形態において、レプリコンは、複製に必要な非構成HCVタンパク質を発現するサブゲノムレプリコンである。又、レプリコンには、レポーター遺伝子活性をin vivo又はin vitroで測定することを可能にするレポーター遺伝子が含まれる。一実施形態において、ルシフェラーゼはレポーターである。
【0035】
レポーター遺伝子は、HCVレプリコン内に含まれ、レプリコンが複製される時に複製される。レポーター遺伝子は、モノシストロン性、二シストロン性又は三シストロン性RNAの何れかとして、HCVタンパク質をコードする遺伝子と共発現される。二シストロン性の配置においては、レプリコン内の1つ以上の遺伝子が、レプリコン上に存在する他の遺伝子の発現を制御しない別個の遺伝要素の翻訳制御下にある。更なる遺伝子は、(1)HCVタンパク質と共に、(2)レポーター遺伝子と共に、又は(3)レプリコン内に含まれる、他の更に別の転写制御要素の制御下で発現される場合がある。更に、HCVタンパク質はHCVポリタンパク質として一緒に発現することができ、又はレポーター遺伝子及び任意の更なる遺伝子について上述のような別個の遺伝要素の発現下であってもよい。或いは、複製は、レポーター遺伝子の発現なしで、例えば、レポーターに特異的な核酸配列をコードする核酸の相対的な存在又は非存在について検定することにより、検出することができる。
【0036】
遺伝子の翻訳を制御する遺伝要素は当業者に周知であり、例えば、HCV、ポリオウイルス及び脳心筋ウイルス由来の内部リボソーム侵入部位(IRES)が含まれる。
【0037】
他の態様においては、本発明は、抗HCV活性を有する化合物、即ち、HCV複製及び/又はHCVタンパク質の発現を減少又は阻害する化合物を同定する方法を提供する。化合物は、HCVレプリコンの複製を妨害することにより、複製を直接制御することができ、又は宿主内でHCV複製に必要なHCVタンパク質の発現を妨害することにより、複製を間接的に制御することができる。或いは、以下で考察する通り、前記動物は、本質的に複製又は発現に影響しないが、ウイルス又はウイルス様粒子の形成を減少又は阻害する化合物を同定する方法を提供する。
【0038】
HCVレプリコンのin vivo複製及び発現は、動物内のレポーター遺伝子活性を検出することにより直接in vivoで検出することができる。或いは、動物内でのin vivo複製又は発現にもたらされるレポーター遺伝子活性は、血液又は組織を動物から除去した後に、血液又は組織中で検出することができる。
【0039】
一実施形態において、更にレポーター遺伝子を含むHCVレプリコンを含む細胞を有する動物をin vivoで試験化合物と接触させる。レプリコンが複製される場合、レポーター遺伝子が複製だけされる。本明細書で考察する通り、実施例に依存し、レポーター遺伝子タンパク質の発現は起こらないが、HCVポリタンパク質の発現に結びついてもよい。動物内のレプリコン中に含まれるレポーター遺伝子の活性を、試験化合物と接触させていない細胞を含む動物中のレプリコン中に含まれるレポーター遺伝子活性と比較する。レプリコンの複製及び/又は発現を減少させる化合物は、ヒトにおけるHCV複製及び/又は発現の調節のための医薬品としての用途を有する場合がある化合物である。
【0040】
別の実施形態において、更にレポーター遺伝子を含むHCVレプリコンを含む細胞を有する動物を、in vivoで試験化合物と接触させる。動物中のウイルス又はウイルス様粒子中に含まれるレポーター遺伝子の活性を、試験化合物と接触させていない細胞を含む動物中のウイルス又はウイルス様粒子中に含まれるレポーター遺伝子の活性と比較する。ウイルス又はウイルス様粒子中に含まれるレポーター遺伝子の活性を減少又は阻害するが、レプリコンの複製又は発現に影響しない化合物は、HCVウイルス又はウイルス様粒子の形成の調節のための医薬品としての用途を有する場合がある化合物である。
【0041】
別の実施形態において、HCVレプリコンを含む細胞を動物に導入する。腫瘍由来の細胞及び腫瘍細胞はレプリコンを含有する。in vivoにおける複製の後、レプリコンを含む細胞を動物から外科的に除去し、組織培養で増殖し、in vitroで試験化合物と接触させる。HCV複製及び/又は発現を、同一の方法で培養したが試験化合物と接触させていないHCVレプリコンを含む細胞とin vitroにおいて比較する。複製又は発現を減少又は阻害する化合物は、HCV感染の処置に有用な医薬品の製造に有用である。
【0042】
HCVレプリコン中に含まれるレポーター遺伝子がモノシストロン性の配置で提供される場合、ゲノム又はサブゲノムレプリコンによって産生されるポリタンパク質の一部として発現する。レポーター遺伝子は、レポーター遺伝子産物の両方の境界(又はレポーター遺伝子産物がポリタンパク質のアミノ又はカルボキシル末端である場合は1個の境界)で開裂認識部位を提供することによってポリタンパク質から開裂され得る。開裂部位は、該部位において特異的に開裂するプロテアーゼ(例えば、HCVプロテアーゼ)によって認識される。或いは、レポーター遺伝子は開裂部位なしで構築することができ、従って、HCVタンパク質の1つに融合する融合タンパク質として持続することができる。ゲノムレプリコンにおいては、レポーター遺伝子が融合タンパク質の一部である場合、構造タンパク質(即ち、コア又はエンベロープ)と融合する。サブゲノムレプリコンにおいては、レポーター遺伝子が融合タンパク質の一部である場合、非構造タンパク質と融合する。好ましい一実施形態において、レポーター遺伝子が融合タンパク質を有するサブゲノムレプリコン中に含まれる場合、レポーターはNS5Aと融合する。レポーター遺伝子は常にタンパク質を発現する必要はない。幾つかの実施形態において、レポーターは、レポーターについての核酸配列特異性の相対的な存在又は非存在を検出することにより検出することができる。
【0043】
前記動物は、薬物動態学(PK)、薬力学(PD)、毒性研究及びin vivoにおける抗ウイルスHCV候補化合物の急速なスクリーニングのための、HCV複製の阻害剤を評価及び同定するために使用することができるHCV複製の動物モデルを提供する。
【0044】
レプリコン
「レプリコン」という用語は、細胞内に存在する場合、それ自体のコピーを直接生成することができるウイルス核酸を指す。ゲノム又はサブゲノム複製システムを使用する細胞をベースとするHCV複製システムは周知である。本明細書に開示されたレプリコンを含む細胞は、本発明に従い、マウス又は他の動物に導入される。細胞は、更なる核酸、遺伝子又はタンパク質を含むか、又は発現する、更なるウイルスレプリコン及び/又はプラスミドを更に含むことができる。1つ以上の他の更なる遺伝子及び/又は調節領域も存在してもよく、HCVレプリコンでトランスフェクトされた細胞中で発現される。更なる遺伝子又はタンパク質はHCVレプリコン上に提供することができ、当該技術分野で周知の種々の技術を使用して宿主細胞ゲノムに、安定又は一過性にトランスフェクトすることができる。更なる遺伝子又はタンパク質は、例えば細胞生存のマーカーとして使用することができる。更に、更なる遺伝子又はタンパク質は、HCV複製、発現及び/又はウイルス又はウイルス様粒子の産生を向上又は可能にする補助機能を提供することができる。
【0045】
ゲノム遺伝子の発現を上方制御するか、他の送達ベクター中の遺伝子の更なるコピーを提供するか、又は染色体内に組み込まれることにより、内因性の宿主遺伝子が過剰発現される。逆に、阻害性タンパク質の下方制御を使用することができる。発現の下方制御法には、アンチセンス核酸、リボザイム、固定された核酸、マイクロRNA又はsiRNAが含まれる。宿主細胞内で補助機能を提供するための補助因子として使用することのできる1つのタンパク質はカベオリン−3であり、更なる異種のカベオリン−3又は内因性のカベオリン−3の上方制御を本発明において使用することができる。カベオリン−3はシャペロニンとして報告されている。
【0046】
カベオリン−3の発現が筋肉でのみ見られないことが発見された。意外なことに、HCVレプリコンを有するHuh−7細胞株において検出され、更に粒子状のHCVタンパク質構造を有する細胞中で共局在化していることが発見された。HCV感染によって発現は誘導されないが、低い内因性のレベルで存在すると思われる。カベオリン−3は、HCVの成熟において役割を果たすと思われる。
【0047】
カベオリン−3についてのGeneCardは、コードCAV3を使用して見出すことができる。GeneCardは、タンパク質がLGMD1C、M−カベオリン及びVIP−21と呼ばれることを示す。これまでに10個のSNPが開示されている。基準のヒトCAV3配列はGI番号GI:4502589及びNP_001225(配列番号1)を有する151量体である。
【0048】
【化1】

本明細書で使用される「更なる遺伝子」という用語は、細胞中でタンパク質を発現するか制御因子を提供する遺伝子又は他の核酸を含むことを意味する。更なる遺伝子は、HCV及び宿主細胞に対して異種であり得、HCV又は宿主細胞ゲノム由来であり得る。従って、本明細書で使用される該用語は宿主細胞ゲノム中に既に存在する宿主細胞遺伝子を意味するが、エピソーム要素としての更なる遺伝子として提供されるか、正常部位と異なる(又はそれに加え)宿主脂肪ゲノム上の部位に組み込まれる。
【0049】
特に指示がない限り、本明細書で使用される単数形は複数形を包含してもよく、複数形は単数形を包含してもよい。従って、例えば、特に指示がない限り、「単数の細胞」の言及には複数の細胞が含まれ、「複数の細胞」の言及には単数の細胞が含まれてもよい。同様に、レプリコンを有する細胞のトランスフェクションは、複数の細胞が複数のレプリコンでトランスフェクトされる状態を含むことを意味する。同様に、「レプリコンを含む細胞の動物への導入」は、レプリコンを含む複数の細胞が動物に産生される状態を含むことを意味する。
【0050】
「レプリコン」及び「遺伝要素」という用語は、センス鎖(ウイルスゲノムRNA)に変換され、複製に必要なウイルスタンパク質に翻訳され得る、ウイルスRNA又は任意の相補的配列(例えば、cDNA逆転写物又は相補的RNA)のセンス鎖を含むと理解すべきである。当業者は、代替えの構築物を使用することができることを理解するであろう。
【0051】
サブゲノムHCVレプリコンは、少なくとも1つのHCVタンパク質又はタンパク質の機能的フラグメントをコードするHCVゲノムの1つ以上の領域を欠如する。サブゲノムレプリコンは非感染性である。
【0052】
HCVの1つ以上の非構造タンパク質(例えば、プロテアーゼポリメラーゼ)を発現するが、全てのHCV構造タンパク質を発現しないサブゲノムHCVレプリコンは当該技術分野において公知である。例えば、1つのシステムにおいて、ヒト肝癌細胞株5−2 Huh7は非構造タンパク質NS3、NS4A、NS4B、NS5A及びNS5Bを有する(Nicole Krieger, Volker Lohmann, and Ralf Bartenschlager. Enhancement of hepatitis C virus RNA replication by cell culture−adaptive mutations. 2001, Journal of Virology,75(10): 4614−4624)。サブゲノムは細胞株中で少なくとも幾つかのHCV非構造タンパク質を複製及び発現する。
【0053】
幾つかの実施形態において、レプリコンは、少なくとも1つのHCV非構造タンパク質、選択可能なマーカー及びレポーターを複製し、発現するサブゲノムレプリコンである。選択可能なマーカーは、レプリコンを有する細胞の選択を可能にする。幾つかの実施形態において、G418を有する、選択のためのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(Neo)が使用される。薬剤耐性に基づく他のマーカーの具体例には、aad、ble、dhfr、hpt、nptII、aphII、gat及びpacが含まれる。他のマーカーは、プロマイシン、ゼオシン、又はハイグロマイシン等の抗生物質を使用した選択を可能にするが、当業者は、当該技術分野において公知である、レプリコンを有する細胞の選択を可能にする任意のマーカーを使用することができることを理解するであろう。
【0054】
一実施形態において、レポーターはルシフェラーゼである。レポーター及びレポーター遺伝子については、以下で更に詳細に考察する。レポーター遺伝子は、in vitro又はin vivoにおいてHCV複製及び/又は細胞の生存能力を監視するために使用することができる。
【0055】
本発明の動物モデルにおいて使用されるHCVレプリコンは感染性であっても、ウイルス又はウイルス様粒子を産生してもよく、又は非感染性であってもよい。
【0056】
レプリコンは1つ以上の細胞適応突然変異を有する場合がある。これらの突然変異は、HCV産生に許容されないか、効果的でない細胞内においてHCVの複製を向上させるか可能にする。一実施形態において、Huh7細胞が使用される場合、レプリコンは以下の細胞適応突然変異、即ちNS3領域におけるE1202G,T1280I、及びNS4B領域におけるK1846Tを有し得る(Nicole Krieger, Volker Lohmann, and Ralf Bartenschlager, Enhancement of hepatitis C virus RNA replication by cell culture−adaptive mutations. 2001, Journal of Virology, 75(10): 4614−4624;Volker Lohmann, Sandra Hoffmann, Ulrike Herian, Francois Penin, and Ralf Bartenschlager, Viral and cellular determinants of hepatitis C virus RNA replication in cell culture. 2003, Journal of Virology, 77(5): 3007−3019)。このような細胞適応突然変異は必ず必要なわけではなく、細胞によっては、細胞培養に適応させることなくHCV複製を補助できるものもある(例えば、HCV−N又はJFH−1)。本発明のモデル及び動物は、これらの突然変異を使用するかにかかわらずHCVレプリコンの増殖を補助することができる。
【0057】
レプリコンは、好ましくは内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む。適切なIRESは、ポリオウイルス、脳−心筋ウイルス(EMCV)、及びHCVそれ自体から公知である。ポリオウイルスIRES(「PVI」)を含むレプリコンは、PVIレプリコンと呼ばれる場合がある。図1は、レプリコンPILucUbiNeoNS3−3’/ETを示す。PVIはルシフェラーゼレポーター遺伝子(Luc)の上流であり、発現を促進する。EMCV IRES(EI)は、3’NTRによる3’末端に隣接するNS3〜NS5B領域の翻訳を指示する。レプリコンはNeo選択マーカーを有する。特に、Luc発現は、HCV 5’NTRよりもPIによって促進される。星は、適応突然変異である、NS3領域におけるE1202G、T1280I、及びNS4B領域におけるK1846Tを示す。
【0058】
PVIを有するサブゲノムレプリコン及び/又は高度に適応した突然変異は、突然変異及び/又はPVIなしで、レプリコンを超えた、向上した翻訳及び複製効率をもたらす。例えば、5−2 Huh7細胞中で使用される構築物はLucUbiNeoNS3−3’/5.1である。図2Aは、トランスフェクションの24、27、48及び78時間後におけるLucUbiNeoNS3−3’/5.1と比較し、PILucUbiNeoNS3−3’/ETでトランスフェクトされたHuh7細胞の10,000個の細胞当たりの相対的光単位(RLU)として表わされるルシフェラーゼ読み出し情報を示す。Luc発現がポリオウイルスIRESによって促進されるので、LucUbiNeoNS3−3’/5.1レプリコンはPVIレプリコンによって標識される。LucがHCVレプリコンの5’NTR領域(IRES)によって促進されるので、PILucUbiNeoNS3−3’/ETレプリコンはHCVIレプリコンを標識する。ルシフェラーゼ読み出し情報は、PVIレプリコンがHCVIレプリコンを超える向上した転写効率を有することを示す。
【0059】
図2Bは、G418選択下でのコロニー形成を示す。HCVIレプリコン(適応突然変異E1202G、T1280I、L1757I、N2109D、S2197P、P2327S及びK2350Eを有する)を含むHuh7細胞、HCVIレプリコン(適応突然変異E1202G、T1280I及びK1846Tを有する)を有するHuh7細胞、及びPVIレプリコン(適応突然変異E1202G、T1280I及びKl846Tを有する)を含むHuh7細胞を増殖させた。レプリコンを有する細胞を、G418を使用して選択した。図2Bに示す通り、多くのPVIレプリコンを有する細胞は、HCVIレプリコンを有する細胞よりも複製された。更に、突然変異を含むHCVI細胞は、適応突然変異なしでHCVI細胞を超えた、向上した複製を有する。
【0060】
動物モデルは、向上した翻訳及び複製効率の結果を得るように、Huh7細胞適応突然変異及びポリオウイルスIRESを含む図1に示すレプリコンを含み得る。しかし、本発明は、HCVのゲノム又はサブゲノムレプリコン、又はプロテアーゼ及び/又はポリメラーゼ等のHCV非構造タンパク質を発現する他の遺伝要素を使用して実施することができる。これには、適応突然変異を含まないレプリコン又はその他の遺伝要素、並びに適応突然変異を含むレプリコン又はその他の遺伝要素が含まれる。
【0061】
HCVゲノム及びサブゲノムレプリコンは、種々のウイルス株及び遺伝子型から由来してもよい。HCVゲノムは、任意のタイプ(例えば、1、2、3、4、5、6)又はサブタイプ(例えば、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、1j、1k、1l、1m、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2i、2k、2l、2m、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3i、3k、4a、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4k、4l、4m、4n、4o、4p、4q、4r、4s、4t、5a、6a、6b、6d、6f、6g、6h、6i、6j、6k、6l、6m、6n)であり得る。この命名は、NIAIDC型肝炎ウイルス(HCV)配列データベース(http://hcv.lanl.gov/content/hcv−db/classification/genotable.html)に記載の通り、最新の標準であり、以前の遺伝子型7〜9は、遺伝子型6のサブタイプに再分類されている(Simmonds, et al. (1996) J Gen Virol 77: 3013−24)。従って、新しい分類には、以前の分類、I、II、III、IV、V、VI、4α、4β、7a、7b、7c/NGII/VII、7d、NGI、8a、8b、9a、9b、9c、10a/TD3及び11aが含まれる。本発明に使用される適切なHCVの株は、遺伝子型2a株JFHA(Kato, et al. (2003) J Med Virol 64:334−9)である。
【0062】
HCVゲノム由来のRNAを、相補的なDNAコピーを作製するために使用することができる。DNAのコピーは逆転写(RT)によって作製することができる。或いは、DNAのコピー又はそのフラグメントは、合成手段によって完全に、又は一部を作製することができる。RNAゲノムのDNAコピーが利用可能になると、二重鎖DNAに変換することができ、次いでベクター(例えば、プラスミド)内にクローニングすることができ、プラスミドは、ウイルスRNAが転写され得るDNA鋳型を製造するために使用することができる。別の方法として、DNAはベクターを使用することなしにウイルスRNAを生成するために使用することができ、このような場合、DNA依存RNAポリメラーゼのための適切なプロモーターはウイルスゲノムの出発点の上流に導入される。適切なプロモーターには、in vitro転写(IVT)反応に使用されるT7、T3及びSP6プロモーターが含まれる。ウイルスのDNAコピーは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅することができる。
【0063】
別の方法として、ウイルスの転写物は、Qβレプリカーゼ等のRNA−依存RNAポリメラーゼを使用してRNA鋳型から製造することができる。転写が媒介する増幅(TMA)反応はRNAを増幅するために使用することができる。
【0064】
HCV配列を含むプラスミドは、当該技術分野において周知の何れかの方法により構築することができる。例えば、Sambrook, Fritsch, and Maniatis, Molecular cloning a laboratory manual (2nd Edition) 1989 Cold Spring Harbor Laboratory Press;Joseph Sambrook, David W. Russell, Joe Sambrook, Molecular Cloning:a Laboratory Manual, ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2000 or PCR Applications, 1999, ed. M. Innis, D. Gelfand and J. Sninsky, Academic Pressを参照されたい。図1に示すPILucUbiNeoNS3−3’/ETレプリコンは、pFK 1 1389 LucUbiNeoNS3−3’/5.1(Krieger Nicole, Lohmann Volker, and Bartenschlager Ralf. Enhancement of hepatitis C virus RNA replication by cell culture−adaptive mutations. 2001, Journal of Virology, 75(10):4614−4624)由来の2.6kbのXball−NotIフラグメントを、pFK I341 PI Luc NS3−3’/ET(ReBLikonから入手可能)由来のXbal−NotIフラグメントで置換することにより構築することができる。
【0065】
レポーター遺伝子
本発明の動物は、宿主が犠牲にならないように、リアルタイムで、及び繰り返し、以下の化合物の抗HCV活性を可能にする。更に、抗HCV活性が単一の時点及びHCV複製の動物モデルでそのような観測を容易にするより、むしろ繰り返して定量化されることが望ましい。
【0066】
好ましくは、レポーター遺伝子は容易に検定される。例えば、レポーター遺伝子は可視のシグナル等の検出可能なシグナルを与える。レポーター遺伝子は、それ自体で可視のシグナルを与えるか、又は蛍光タンパク質又は酵素等の可視の変化を与える反応を触媒するタンパク質をコードする。レポーター遺伝子は、両方とも、着色された基質及び/又は産生物で通常に使用される、β−ガラクトシダーゼ又はペルオキシダーゼ等の酵素をコードすることができる。レポーター遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、又はYFP又はCFP等のそれらの蛍光誘導体等の蛍光タンパク質をコードすることができる。レポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ等の発光タンパク質をコードすることができる。レポーター遺伝子は、細胞内でのDNA複製を促進し、又は薬剤耐性マーカーをコードすることができる。レポーター遺伝子は、抗原に特異的に結合する抗体を使用して検出することができる抗原をコードすることができる。レポーター遺伝子は又、核酸ハイブリダイゼーション及び/又は増幅技術を使用して検出することができるユニークな核酸配列であってもよい。前記リストは具体例であり、レポーター遺伝子の源を限定することを意図せず、更に多くのレポーター遺伝子が当業者によって容易に認識され得る。
【0067】
本発明において用途を見出し得るレポーター遺伝子には、例えば、検出のための公知の抗体を有する抗原(例えば、ヒト成長ホルモン及びヒト成長ホルモンに対する抗体)、及びin vitro又はin vivoで検出することができる活性を有する酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質等)が含まれる。更に、既述の通り、レポーターをコードする核酸の存在の検出は又、複製、発現又は粒子産生を検出することによって監視することができる。
【0068】
従って、本明細書に定義されるように、レポーター遺伝子「活性」の検出には、レポーター遺伝子の産物の物理的存在又は化学的活性の検出が含まれ、又はレポーター遺伝子に特異的な核酸配列の全て又は一部の検出が含まれる。
【0069】
幾つかの実施形態において、レプリコンはレポーターとしてルシフェラーゼを使用する。ルシフェラーゼ活性は、Xenogen, Inc.から入手できる技術及び装置にしたがい、生きている動物中でin vivoで評価することができる。動物、例えばマウスの腹腔内にルシフェラーゼの基質としてルシフェリンを注射する。次いで、これらの動物を麻酔し、CCDカメラを使用して発光シグナルを捕獲することによってルシフェラーゼ活性を定量する。この方法においては、任意の所定の時間にわたり繰り返して動物を測定することができる。ルシフェラーゼに加えて、in vivoで定量することができる他のレポーター遺伝子がある。緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質又はその変形は、ハロゲン光源及びCCDカメラを使用してin situで可視化することができる。イメージングの第三の方法は、レポーター遺伝子としてHSVチミジンキナーゼを使用することを含む。この方法においては、レポーター遺伝子の活性量を、マイクロPETシステムを使用して定量する。動物は、マイクロPETにより評価される前に、基質9−(4−[18F]フルオロ−3−ヒドロキシメチルブチル)グアニンを投与される。
【0070】
in vivoでシグナルが検出されるレポーターを使用することに代え、又は加えて、モデルは、例えば、マウスを検死した後に腫瘍から抽出した生検から活性をin vitroで測定することができるレポーター遺伝子を有してもよい。この方法において使用することができるレポーター遺伝子には、酵素、例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、CAT及び他の同様のレポーターが含まれる。更に、血液中で測定される分泌タンパク質をコードするレポーター遺伝子を使用することができる。このようなレポーター遺伝子の具体例は、分泌性アルカリホスファターゼ、ヒト成長ホルモンをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子は又、配列特異的マーカーを含むことができる。
【0071】
細胞株
宿主内でHCVレプリコンの複製を補助することのできる、どのような細胞株も使用することができる。Huh7細胞株に加えて、ヒト癌細胞株HeLa、マウス肝癌Hepa1−6、HEK293、ヒト肝癌細胞株HepG2及びIMY−N9(融合ヒト肝癌及びHepG2細胞に由来する細胞株)が、HCVレプリコンの複製を補助することが知られている。従って、これらの腫瘍細胞株、又はHCVゲノム又はサブゲノムレプリコンの複製を補助する(プロテアーゼ及び/又はポリメラーゼを含むHCV非構造タンパク質を発現する)、どのような他の細胞株も、モデルにおいて使用することができる。幾つかの実施形態において、細胞株は、ヒト細胞、好ましくはヒト肝癌細胞株Huh7細胞に由来する。
【0072】
本発明において使用するための1つの細胞株は、肝細胞癌、即ち、Huh7(Nakabayashi, et al. (1982)Cancer Res 42: 3858−63)として知られているヒト肝癌細胞株に由来する。有用なHuh7−由来細胞株は、完全長のHCVレプリコンを補助する「21−5」である(Pietschmann, et al. (2002) J. Virol 76: 4008−21)。他の適切な細胞株は、Huh−7のサブ系であり、細胞培養において完全HCV複製を補助することのできるHuh−7.5及びHuh−7.8であり(Blight, et al. (2002) J. Virol. 76: 13001−14;国際特許第WO2004/044182号)、Huh−7.5が好ましい。Huh7細胞(及びそれらの誘導体)の継代接種により由来する細胞、及びHuh7細胞をα−インターフェロン及び/又はγ−インターフェロンで処理することにより由来する細胞も使用することができる。国際特許第WO2004/044182号に開示されているように、HCVについて許容される細胞株は、(a)HCVに感染した細胞を培養し;(b)HCVの細胞を治療し;及び(c)HCV複製について許容される培養細胞のサブラインを同定することを含む方法によって製造することができる。
【0073】
HCV複製のための動物モデルにおけるヒト由来細胞の使用は幾つかの理由により好ましい。第一に、ヒト由来細胞の使用は、HCV複製の正確なモデルを提供する。第二に、同種細胞の使用には、レプリコンを阻害する宿主からのインターフェロン応答が含まれ、細胞は、宿主生物に関して好ましくは異種である。これは、モデルを維持すること、及び候補化合物又はプロトコールの効果を確認することを困難にする。例えば、レプリコンを有するマウス細胞の使用は、レプリコンを阻害するマウスのインターフェロンα応答を引き起こすが、ヒト由来細胞はマウスのインターフェロンαに対する感受性を有さない。
【0074】
幾つかの実施形態において、細胞は腫瘍細胞であることに留意する必要がある。腫瘍細胞(例えば、Huh−7、HeLa等)は宿主を更に容易に継代接種することができる。しかし、本発明は腫瘍細胞に限定されず、HCVレプリコンの複製を補助する細胞又は細胞株を使用して実施することができる。
【0075】
種々の実施形態によれば、細胞株は、1)宿主中のin vivoで腫瘍細胞の増殖速度を上昇させ(腫瘍細胞を使用した場合)及び/又は2)宿主中のin vivoでレプリコンの発現を上昇するために適応される(例えば、ルシフェラーゼレポーターが使用される生物発光ルシフェラーゼシグナルによって測定される)。細胞株は、上昇する腫瘍増殖速度及び/又はモデルにおいてin vivoにおける安定性に適応され、本明細書において適応細胞株と呼ばれる。
【0076】
種々の実施形態によれば、細胞株は、まずin vivo腫瘍増殖速度に適応され、次いで上昇するレプリコン発現に適応される。
【0077】
高増殖適応細胞:
幾つかの実施形態において、増殖速度のための細胞株が宿主を通じて継代接種され、通常は連続的な継代接種によりin vivoに適応される。
【0078】
幾つかの実施形態において、継代接種は細胞を皮下移植し腫瘍を増殖させることを含む。最も大きい(即ちより速く増殖する)腫瘍を特定し、適応可能であれば更に継代接種させるために集める。腫瘍を切除し、髄質に刻み入れる。この方法においては、細胞は、マウスにおいて増殖速度が増加した腫瘍について適応される。最終的な継代接種からの最も大きい腫瘍を集め、細胞培養中に広げ、適応細胞株を形成した。
【0079】
幾つかの実施形態において、継代接種は、細胞を肝臓に移植し、腫瘍を増殖させることを含む。最も速く増殖する腫瘍を特定し、上で説明した通り適用可能であれば更なる継代接種のために集める。最終的な形態培養からの最も大きい腫瘍を集め、細胞培養中に広げ、適応細胞株を形成した。
【0080】
図3は、5−2 Huh7細胞及びS6.1細胞による腫瘍形成の速度を示す。S6.1細胞株は、マウスにおけるin vivoでの連続的な皮下継代接種による5−2 Huh7細胞に由来する。(S6.1細胞株を、5−2 Huh7細胞に由来するように、「Huh7(5−2)−S6.1」と呼ぶ)S6.1細胞株の生成は、以下の実施例において詳細に説明する。5−2 Huh7細胞の2つの群及びS6.1細胞の1つの群をSCID/bgマウスに皮下移植した。腫瘍の体積を測定した。腫瘍の形成は、S6.1細胞を適応したマウスにおいて有意に早く、平均的な腫瘍の体積は20日で10倍を示した。これは、開示したような、連続的継代接種により産生された細胞株が、向上した腫瘍増殖速度を有することを示す。
【0081】
S6.1細胞及び以下に示す実施例における細胞株は、レプリコンを有する502Huh7細胞株に由来する。しかし、レプリコンを有しない細胞は、増殖速度に適応させた後に、(モデルで使用する、又は安定性の向上に適応させるために)レプリコンでトランスフェクトさせることができることを、当業者は理解するはずである。
【0082】
安定したレプリコンを有する宿主適応細胞:
幾つかの実施形態において、安定したレプリコンを有する細胞は、細胞中でルシフェラーゼ(又はその他のレポーター)検定を実施し、最も高いルシフェラーゼシグナルを発現する細胞を広げることにより単離される場合がある。
【0083】
増殖速度についての適応が最初に実施される実施形態において、増殖速度について適応される細胞がレプリコンを含まない(例えば、細胞が継代接種の間にレプリコンを回復する場合もあれば、適応細胞がレプリコンを有しない細胞に由来する場合もある)。これらの場合、細胞はレプリコンでトランスフェクトされ、ルシフェラーゼ検定を実施する前にクローニングされる(G418選択により細胞クローンを有するレプリコンを選択する)場合がある。
【0084】
幾つかの実施形態において、安定したレプリコンの単離は更に、腫瘍を増殖させるための宿主において、前述した検定において最も高いルシフェラーゼシグナルを発現する腫瘍細胞を移植(例えば、皮下又は肝臓内)することを含む。例えば、40日間増殖した細胞を集め、次いでG418の存在下でクローニングする。最も高いルシフェラーゼ発現を有する細胞株を同定するために、細胞クローンのルシフェラーゼ活性が測定される。
【0085】
増殖及び/又はレプリコン安定性についての適応は、ある研究及び細胞株について望ましいが、本発明は又、細胞株、例えば、レプリコンを含む5−2 Huh7細胞等の細胞株に直接由来して(非適応)実施される場合があることに留意する必要がある。
【0086】
幾つかの実施形態において、高速増殖適応細胞は必要でないか望ましくなく、例えば、幾つかの実施形態において、遅く増殖する適応細胞が、例えば7日間の長い期間、HCVレプリコンを監視するのに有用である。例えば、ある研究、特に短期間の研究が、有意に明白な腫瘍増殖の前に実施される。腫瘍細胞が使用される幾つかの実施形態において、細胞は適応され、腫瘍の増殖を最大にする方法で移植される。別の実施形態において、細胞にとって、有意な腫瘍増殖を有することは望ましくなく、明白な腫瘍が存在するようになる前に動物モデルが使用される(例えば試験化合物との接触)。
【0087】
宿主
本発明は、細胞を投与又は移植し、周知である処置又は応答を測定するための化合物を投与する方法について、動物、好ましくは小動物、特に哺乳動物を使用して実施される。好ましい一実施形態において、げっ歯類が使用され、一実施形態においてマウスが使用される。マウスに言及される実施例が本明細書において詳細に与えられるが、当業者は、その他の種類のげっ歯類及びその他の小動物を使用して本発明をどのように実施するかを理解するであろう。例えば、適切な宿主には、マウス、ラット、マーモット及びツバイ等のトガリネズミが含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
動物は、遺伝突然変異(例えば、無胸腺ヌードマウス、SCIDマウス又はラット、Rag1マウス、Rag2マウス)、化学的免疫抑制剤の投与、放射線照射(例えば、γ線照射)又はそれらの組み合わせによって免疫無防備状態にされる。化学的免疫抑制剤の1つのクラスは、コルチゾン等のグルココルチコイドである。Jeanette I. Webster, Leonardo Tonelli, Esther M. Sternberg, ”Neuroendocrine Regulation of Immunity, ”Annu. Rev. Immunol. 2002, 20:125−63を参照されたい。他の具体例には、アザチオプリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル及びシクロスポリンが含まれ、一般的に静脈注射又は経口経路により与えられる。更なる化学的免疫抑制剤には、シクロホスファミド、アサチオプリン及びシクロスポリンが含まれる。骨髄に影響を及ぼす他の化合物(抗癌剤)を使用してもよい。通常、先天性及び適応免疫システムの両方が損傷される。
【0089】
広範なSCIDマウス、例えば、Jackson Laboratory(www.jax.org)製のJAXTMマウス等が利用可能である。これらには、本発明の使用について安定したSCID beige(又はSCID−bg)マウスが含まれる。
【0090】
既述の通り、幾つかの実施形態において、ヒト由来細胞株が好ましい。動物モデルにおけるヒト由来細胞株(又はその他の異種)を使用することにおける1つの困難は、動物が細胞を拒絶することである。動物を免疫抑制する又は免疫無防備にすることで、細胞の拒絶から動物を予防できる場合がある。しかし、免疫抑制のレベルが非常に高い場合、ラットの死亡率は高くなる。更に、異なる細胞株は、異なるタイプの免疫無防備状態の宿主を必要とする。
【0091】
出願者等は、γ線照射したSCIDマウスが、Huh7由来細胞に使用すると特によいことを発見した。動物はγ線に曝露することによりγ線照射される。一実施形態において、細胞移植の当日及び腫瘍細胞の移植の前の日に実施する。
【0092】
γ線照射したSCIDマウスが、SCID/bgマウスよりもシグナルを長く維持することを見出した。図5A〜Cは、代表的な、S6.1−6細胞を皮下移植した、γ線照射したSCIDマウス(図5A)、及びS6.1−6細胞(図5B)又は5−2 Huh7を皮下移植したγ線照射していないSCID/bgマウスの全身の画像を示す。以下で説明する通り、S6.1−6細胞株は、マウスに連続して継代接種した5−2 Huh7に由来する細胞株である。図5A〜Cに示す通り、γ線照射したマウスは、実験の全ての7日間、シグナルを維持したが、SCID/bgマウスは維持しなかった。図6Aは、S6.1−6細胞を有するレプリコンを皮下移植した、SCID/bgマウスとγ線照射したSCIDマウスとの時間による平均生物発光を比較する。図6Bは、5−2 Huh7細胞を有するレプリコンを皮下移植したSCID/bgマウスの時間による平均生物発光を示す。X軸に平行する水平の破線はバックグラウンドシグナルを示す。SCID/bgマウスは、シグナルの早い低下を示し、約4日で生物発光のバックグラウンドレベルに達する。S6.1−6細胞は、SCID/bgマウス中の5−2 Huh7細胞よりも向上したシグナルを示す(3日目に僅かに高いシグナルを示す)が、シグナルは、SCID/bgマウスの両方の群で約4日でバックグラウンドに達する。γ線照射したマウスは、実験の全ての7日間でバックグラウンドを超える容易に検出可能なシグナルを維持した。
【0093】
標的
幾つかの実施形態において標的器官は動物の肝臓である。これは、かなり大多数のHCV感染が肝臓にある人間の状況に最も類似している。肝臓中の腫瘍細胞を得るために使用することのできる外科的技術は、1)脾臓内注射;2)肝実質内への直接注射;及び3)門静脈への注射である。脾臓へ注射する場合、細胞は脾臓内注射から門脈循環に入って、肝臓内に停止し、肝実質に血管外遊出する。
【0094】
レプリコンを有する細胞は、また注射により動物の皮下スペースに移植又は導入される。皮下投与は簡単な技術であるので、これは例えば急速スクリーニングが望ましい実施形態において、も好ましい。
【0095】
一般的に、レプリコンは、感染した血清からヒトの接種材料を使用して導入されない。
【0096】
化合物
本発明者等は、本明細書に開示される動物が、in vivoにおけるHCVの複製又は形成又は産生における相乗効果又は相加効果を有する化合物を同定するために使用することができることを見出した。化合物は、免疫調節化合物及び他の抗ウイルス剤との組み合わせである化合物が同定された。一実施形態において、免疫調節化合物はインターフェロンαであり、他の抗ウイルス剤はHCV NS3/4Aプロテアーゼである。従って、本発明には、免疫調節化合物と他の抗ウイルス剤との組み合わせが含まれる。
【0097】
本明細書で使用される「抗ウイルス剤」は、哺乳動物においてウイルスの形成及び/又は複製を減少又は阻害するのに効果的な薬剤を意味する。本明細書で使用される抗ウイルス剤は、一般的に免疫系に作用し、ウイルスの複製を阻害する又は減少させる薬剤が含まれることを意味し、ウイルス生物学に特異的に作用し、ウイルスの複製を減少又は阻害する薬剤をも含む。抗ウイルス剤には、SMIPS等の免疫調節因子、インターフェロン等が含まれ、1つ以上のウイルスの機能の妨害を標的とする薬剤が含まれる。
【0098】
抗HCV抗原の場合においては、HCV感染性ウイルスの複製又は粒子形成を阻害する何れかの抗ウイルス剤が抗ウイルス剤及び抗HCVウイルス剤であると考えられる。これには、哺乳動物においてウイルスの形成及び/又は複製に必要な宿主又はウイルスの何れかの機序を妨害する薬剤が含まれる。例えば、抗HCVウイルス剤には、リバビリン、アマンタジン、VX−497(メリメポジブ、Vertex Pharmaceuticals)、VX−498(Vertex Pharmaceuticals)、レボビリン、ビラミジン、セプレン(マキサミン)、XTL−001及びXTL−002(XTL Biopharmaceuticals)、MN283−Valopictitabine(Idenix)が含まれる。抗ウイルス剤には又、プロテアーゼ、ヘリカーゼ及びポリメラーゼ機能等のウイルスの複製及びパッケージに必要な1つ以上の酵素活性を妨害することのできる、核酸(siRNA及びアンチセンスRNA等)又は小分子が含まれる。抗HCVウイルス剤には又、プロテアーゼ、ヘリカーゼ及びポリメラーゼ機能等のHCVの複製及びパッケージに必要な1つ以上の酵素活性を妨害することのできる、核酸(siRNA及びアンチセンスRNA等)又は小分子が含まれる。このような核酸は、アンチセンス分子、二重鎖DNA、及びsiRNA等の形態で提供され得る。従って、抗ウイルス剤には、免疫系の非特異的又は特異的調節剤の何れかとしての、更に後述するような免疫調節化合物が含まれる。抗HCV剤には又、HCVに対する治療的又は予防的ワクチン、及びHCV受容体結合を妨害する抗体又は小分子が含まれる。
【0099】
候補化合物
本発明のスクリーニング方法において全て使用される、通常の候補化合物には、ペプチド、ペプトイド、タンパク質、脂質、金属、小さい有機分子、RNAアプタマー、抗体及びその他の公知の薬剤、ポリアミン、抗体又は抗体の誘導体(例えば、抗原結合フラグメント、scFvsを含む一本鎖抗体等)、及びそれらの誘導体の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。小さい有機小分子は、約50を超え、約2,500ダルトン未満、最も好ましくは約300〜約800ダルトンの分子量を有する。候補化合物は、合成又は天然化合物の大きなライブラリーに由来するもであってもよい。例えば、合成化合物ライブラリーは、MayBridge Chemical Co.(Revillet[英国コーンウォール])又はAldrich(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)から市販されている。或いは、細菌、真菌、植物及び動物の抽出物の形態における天然化合物のライブラリーを使用してもよい。更に、候補化合物は、個々の化合物又は混合物の何れかとして組み合わせの化学を使用して合成的に製造されたものでもよい。化合物には、抗体、又は抗原結合能力を保持している抗体のフラグメントが含まれる。
【0100】
免疫調節化合物
本発明において使用される免疫調節化合物又は薬剤(又は免疫調節因子)には、哺乳動物における免疫系応答を向上又は増強し、又はHCV複製及び/又は粒子形成を減少又は阻害するのに効果的な薬剤(化合物又は生物材料)が含まれる。
【0101】
免疫調節因子には、例えば、クラスIのインターフェロン(α−、β−、δ−及びω−インターフェロン、τ−インターフェロン、コンセンサスインターフェロン及びアシアロインターフェロン等)、クラスIIのインターフェロン(γ−インターフェロン等)及びペグ化インターフェロンが含まれる。本発明において使用される他の免疫調節化合物には、B7−1又はB7−2等のリンパ球に対する免疫源提示を向上する刺激性化合物、又はサイトカイン、リンフォカイン、及びケモカインが含まれ、IL−2、修飾IL−2(cys125をser125に修飾)、GM−CSF、IL−12、γ−インターフェロン、IP−10、MIPIβ、FLP−3、リバビリン及びRANTESが含まれるが、これらに限定されず、組成物中に含有することができる。
【0102】
本発明において使用される免疫調節因子には又、更に後述するような、小分子免疫増強剤(SMIPS)、ヌクレオシド類似体及び他のトール様受容体作動薬が含まれる。
【0103】
好ましいTLRモジュレータは、TLR7(例えば、イミダゾキノリン)、TLR8及び/又はTLR9(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)の作動薬である。
【0104】
TLR7モジュレータには、ロキソリビン、N7及びC8位におけるグアノシン類似体、イサトリビン、ANA−971、ANA−975、又はイミダゾキノリン化合物、又はそれらの誘導体が含まれる。一実施形態において、TLR作動薬はイミキモド又はレシキモドである。更なるTLR7作動薬はW002085905に開示されている。
【0105】
TLR8モジュレータは、レシキモド(R848)等のイミダゾキノリン分子であり、レシキモドは、またTLR−7によって認識され得る。使用される場合があるその他のTLR−8作動薬には、国際特許出願第WO02004071459号に記載のものが含まれる。
【0106】
TLR9モジュレータ:一実施形態において、TLR−9を通じてシグナル応答を置き起こすことができるTLR作動薬は、HSP90、又はメチル化されていないCpGヌクレオチドを含むDNA、特に、CpGモチーフを含む後述する配列の内容である。
【0107】
免疫賦活オリゴヌクレオチド
本発明において免疫調節因子として使用するのに好適な免疫賦活オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフ(メチル化されていないシトシン、次いでグアノシンを含み、リン酸結合により結合している配列)を含むヌクレオチド配列が含まれる。パリンドローム又はポリ(dG)配列を含む細菌の二重鎖RNA又はオリゴヌクレオチドは又、免疫賦活剤として示された。
【0108】
CpG’sには、ホスホロチオエート修飾等のヌクレオチド修飾/類似体が含まれ、二重鎖又は一本鎖であってもよい。場合により、グアノシンは2’−デオキシ−7−デアザグアノシン等の類似体で置換されてもよい。可能な類似体置換基の具体例としては、Kandimalla, et al., ”Divergent synthetic nucleotide motif recognition pattern: design and development of potent immunomodulatory oligodeoxyribonucleotide agents with distinct cytokine induction profiles”, Nucleic Acids Research (2003) 31(9): 2393−2400;国際特許第WO02/26757号及び第WO99/62923号を参照されたい。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果については、Krieg, ”CpG motifs: the active ingredient in bacterial extracts?”, Nature Medicine (2003) 9(7): 831−835;McCluskie, et al., ”Parenteral and mucosal prime−boost immunization strategies in mice with hepatitis B surface antigen and CpG DNA”, FEMS Immunology and Medical Microbiology (2002) 32:179−185;国際特許第WO98/40100号;米国特許第6,207,646号;米国特許第6,239,116号及び米国特許第6,429,199号で詳細に考察されている。
【0109】
CpG配列は、モチーフGTCGTT又はTTCGTT等のTLR9に配向していてもよい。Kandimalla, et al., ”Toll−like receptor 9: modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic CpG DNAs”, Biochemical Society Transactions (2003) 31 (part 3): 654−658を参照されたい。CpG−A ODN等のCpG配列はTh1免疫応答の誘導に特異的であり、CpG−B ODN等はB細胞応答に更に特異的である。CpG−A及びCpG−B ODNSは、Blackwell, et al., ”CpG−A−Induced Monocyte IFN−gamma−Inducible Protein−10 Production is Regulated by Plasmacytoid Dendritic Cell Derived IFN−alpha”, J. Immunol. (2003) 170(8): 4061−4068;Krieg, ”From A to Z on CpG”, TRENDS in Immunology (2002) 23(2):64−65;及び国際特許第WO01/95935号を参照されたい。
【0110】
CpGオリゴヌクレオチドの具体例には、ホスホロチオエート修飾分子内結合を含む、以下の配列が含まれる。
【0111】
【化2】

国際特許第WO05/25614号を参照されたい。
【0112】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオトドは、5’末端が受容体認識されやすいように製造される。場合により、2個のCpGオリゴヌクレオチド配列が3’末端に結合し、イムノマー(immunomers)を形成してもよい。例えば、Kandimalla, et al., ”Secondary structures in CpG oligonucleotides affect immunostimulatory activity”, BBRC (2003) 306:948−953;Kandimalla, et al.,”Toll−like receptor 9: modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic GpG DNAs”, Biochemical Society Transactions (2003) 31. (part 3): 664−658;Bhagat, et al., ”CpG penta− and hexadeoxyribonucleotides as potent immunomodulatory agents” BBRC (2003) 300:853−861及び国際特許第WO03/035836号を参照されたい。
【0113】
小分子の免疫増強剤(SMIPs)
1.イミダゾキノリン化合物
本発明においてアジュバントに使用するのに好適なイミダゾキノリン化合物の例には、Stanley, ”Imiquimod and the imidazoquinolines: mechanism of action and therapeutic potential”Clin Exp Dermatol (2002) 27(7): 571−577;Jones, ”Resiquimod 3M”, Curr Opin Investig Drugs (2003) 4(2): 214−218;Wu, et al. (2004) Antiviral Res. 64(2): 79−83 Vasilakos, et al. (2000) Cell Immunol. 204(l): 64−74、米国特許第4689338号、第4929624号、第5238944号、第5266575号、第5268376号、第5346905号、第5352784号、第5389640号、第5395937号、第5482936号、第5494916号、第5525612号、第6083505号、第6440992号、第6627640号、第6656938号、第6660735号、第6660747号、第6664260号、第6664264号、第6664265号、第6667312号、第6670372号、第6677347号、第6677348号、第6677349号、第6683088号、第6703402号、第6743920号、第6800624号、第6809203号、第6888000及び第6924293号に詳細に説明されている、イミキモド及びその類似体が含まれる。
【0114】
好ましいSMPIsには、
N2−メチル−l−(2−メチルプロピル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2,N2−ジメチル−l−(2−メチルプロピル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2−エチル−N2−メチル−l−(2−メチルプロピル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2−メチル−l−(2−メチルプロピル)−N2−プロピル−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
1−(2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2−ブチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2−ブチル−N2−メチル−l−(2−メチルプロピル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2−メチル−l−(2−メチルプロピル)−N2−ペンチル−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2−メチル−l−(2−メチルプロピル)−N2−プロプ−2−エニル−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
1−(2−メチルプロピル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン;
l−(2−メチルプロピル)−2−(プロピルチオ)−lH−イミダゾ [4,5−c]キノリン−4−アミン;
2−[[4−アミノ−l−(2−メチルプロピル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル](メチル)アミノ]エタノール;
酢酸2−[[4−アミノ−l−(2−メチルプロピル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル](メチル)アミノ]エチル;
4−アミノ−l−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン;
N2−ブチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2−ブチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2−メチル−l−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
N2,N2−ジメチル−l−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン;
1−{4−アミノ−2−[メチル(プロピル)アミノ]−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル}−2−メチルプロパン−2−オール;
l−[4−アミノ−2−(プロピルアミノ)−lH−イミダゾ[4,5−c]キノリン−l−イル]−2−メチルプロパン−2−オール;
N4,N4−ジベンジル−1−(2−メトキシ−2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミンが含まれる。
【0115】
ヌクレオシド類似体
ヌクレオシド類似体、例えば、(a)イサトラビン(ANA−245:7−チア−8−オキソグアノシン):
【0116】
【化3】

及びそれらのプロドラッグ;(b)ANA975;(c)ANA−025−1;(d)ANA380;(e)米国特許第6,924,271号、米国特許出願第2005/0070556vi号、米国特許第5,658,731号に開示された化合物;(f)化学式
【0117】
【化4】

(式中、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロ、−NR、−OH、C1−6アルコキシ、置換C1−6アルコキシ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、C6−10アリール、置換C6−1Oアリール、H、C1−6アルキル又は置換C1−6アルキルであり;
は存在しないか、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C6−10アリール、置換C6−10アリール、ヘテロシクリル又は置換ヘテロシクリルであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、−C(O)−R、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、又はR4−5において結合が一緒に5員環を形成し;
【0118】
【化5】

結合は、それぞれ独立してN、C、O又はSである、〜X及びXによって示される結合により達成され;
は、H、ハロ、−OH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−OH、−NR、−(CH−O−R、−0−(C1−6アルキル)、−S(O)又は−C(O)−Rであり;
は、H、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル又はR9aであり、R9a
【0119】
【化6】

であり、結合は〜で示される結合により達成され;
10及びR11は、それぞれ独立して、H、ハロ、C1−6アルコキシ、置換C1−6アルコキシ、−NR、又は−OHであり;
各R及びRは、それぞれ独立して、H、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、−C(O)R、C6−10アリールであり;
各Rは、独立して、H、ホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、C1−6アルキル、又は置換C1−6アルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換C1−6アルコキシ、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−NH(置換C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)、−N(置換C1−6アルキル)、C6−10アリール又はヘテロシクリルであり;
各Rは、それぞれ独立して、H、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C6−10アリール、置換C6−10アリール、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルであり;
各Rは、それぞれ独立して、H、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、−C(O)R、ホスフェート、ジホスフェート、又はトリホスフェートであり;
各nは、独立して0、1、2又は3であり;
各pは、独立して0、1又は2である化合物であるか、
又は(g)(a)〜(f)の何れかの薬学的に許容される塩、(a)〜(f)の何れかの互変異性体、該互変異性体の薬学的に許容される塩;ロキソリビン(7−アリル−8−オキソグアノシン)を有する化合物である(米国特許第5,011,828号)。
【0120】
3.チオセミカルバゾン化合物
本発明においてアジュバントとして使用するのに好適なチオセミカルバゾン化合物の具体例、化合物の製剤化方法、製造方法及びスクリーニング方法は、国際特許第WO04/60308号に開示されているものが含まれる。チオセミカルバゾンは、TNF−等のサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0121】
4.トリプタンスリン化合物
本発明においてアジュバントとして使用するのに好適なトリプタンスリン化合物の具体例、化合物の製剤化方法、製造方法及びスクリーニング方法は、国際特許第WO04/64759号に開示されているものが含まれる。チオセミカルバゾンは、TNF−等のサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0122】
5.更なるSMIPs
(i)アシルピペラジン化合物、インドレジオン化合物、テトラヒドライソキノリン(THIQ)化合物、ベンゾシクロジオン化合物、アミノアザビニル化合物、アミノベンズイミダゾールキノリノン(ABIQ)化合物(米国特許第6,605,617、vii 国際特許第WO02/18383号)、ヒドラプタラミド化合物、ベンゾフェノン化合物、イソキサゾール化合物、ステロール化合物、キナジリノン化合物、ピロール化合物(国際特許出願第WO2004/018455号)、アントラキノン化合物、キノキサリン化合物、トリアジン化合物、ピラザロピリミジン化合物、及びベンザゾール化合物(国際特許第WO03/082272号)が含まれる、国際特許出願第WO2004/87153号に開示される化合物。
【0123】
(ii)メチルイノシン5’−モノホスフェート(”MIMP”)(Signorelli & Hadden(2003)Int Immunopharmacol 3(8):1177−86)。
【0124】
(iii)化学式
【0125】
【化7】

(式中、Rは水素、直鎖又は分岐鎖の、非置換又は置換、飽和又は不飽和アシル、アルキル(例えばシクロアルキル)、アルケニル、アルキニル及びアリール基である)を有するポリヒドロキシル化ピロリジジン化合物(国際特許第WO2004/064715号)又はその薬学的に許容される塩又は誘導体。具体例には、カズアリン(casuarine)、カズアリン−6−α−D−グルコピラノース、3−エピ−カズアリン、7−エピ−カズアリン、3,7−ジエピ−カズアリン等が含まれるが、これらに限定されない。
【0126】
(iV)γイヌリン(Cooper (1995) Pharm Biotechnol 6:559−80)、又はアルガムリン等の誘導体。
【0127】
PK/PD実験
本発明の動物モデルは、潜在的な抗ウイルス化合物及びプロトコールの薬物動態、薬力学及び毒性実験のために使用することができる。モデルは又、HCV複製の経過を監視するため、及び薬剤の作用機序を決定するためにも使用することができる。
【0128】
前記動物モデルは、レプリコンの複製を阻害する化合物又はプロトコールを特定し、評価するために使用することができる。前記動物モデルは、ウイルスのライフサイクルにおける他の手順を阻害する抗ウイルス化合物(例えば、ウイルスのパッケージング又は細胞から出ることを阻害する化合物)を同定するために使用することもできる。
【0129】
動物は、候補化合物又は候補プロトコールを使用して処理される。或いは、動物は、HCVに対する効果的な免疫調節因子であることが知られているか決定されている化合物、例えば、インターフェロンαを組み合わせて処理される。抗ウイルス活性を定量し、対照又は未処理のモデルと比較し、又は定量し、複数の候補化合物の相対的順位を決定するために使用される。幾つかの実施形態において、予防化合物又はプロトコールを同様に特定し、細胞移植前に、化合物又はプロトコールを投与することにより、評価及び/又は順位付けをする。これらの場合、化合物又はプロトコールは又、細胞の移植後にも投与できると考えられる。
【0130】
試験薬剤(候補化合物)は、腹腔内、皮下、静脈内に、又は経口的に投与される。投与経路及び投与スケジュールは、各候補化合物について個々に決定することができ、各送達方法について作成された薬剤露出量に基づく。薬剤の露出は、薬物動態学実験において測定される。薬剤が体内にどのくらい長く残留するかを知ることにより、この情報は、試験化合物の複数の濃度の投与スケジュールを決定するために使用することができる。スケジュールは、7日間、試験化合物の治療的有効量を維持するように選択することができる。
【0131】
抗ウイルス活性は幾つかの方法で測定することができる。第1の方法は、前述した1つ以上のレポーター遺伝子を使用する(例えば、ルシフェラーゼ検定技術)。レポーター遺伝子活性、又はレポータータンパク質の量はHCVレプリコンの複製量と相関するはずである。レポータータンパク質のレベルの測定に加えて、候補化合物又はプロトコールの効果は、HCV RNAのレベル又はウイルスタンパク質のレベルを測定することにより決定することができる。濃度及び/又は時間依存反応曲線(例えば、EC50、IC50)は、候補化合物及びプロトコールについて決定することができる。
【0132】
幾つかの実施形態において、第2のレポーター遺伝子は、安定に又は一過性に細胞内にトランスフェクトされ、細胞の生存度を評価することを可能にする。試験化合物が標的細胞を死滅させる場合、何れかの抗ウイルス活性よりも細胞死のために第1のレポーターは検出されない。従って、第2のレポーターはHCVレプリコンを含む細胞の生存度のマーカーとして作用する。
【0133】
1つの適切な第2のレポーターはRenilla(ウミホタル)ルシフェラーゼ遺伝子である。これを測定する他の方法は、サブゲノムレプリコン上のHCV遺伝子、及びHuh7細胞中に含まれるヒト遺伝子の遺伝子コピー数を定量することである。細胞当たりのレプリコン含量は、in vitroのHuh7細胞の増殖の間、相対的に安定のままであり、これは、in vivoのケースであると考えられる。従って、腫瘍組織内のヒト遺伝子コピー数に対するHCV遺伝子コピー数の比を比較することにより、HCV阻害剤を使用したマウスの処理がサブゲノムレプリコンの複製を阻害する場合(ヒト遺伝子コピー数に対するHCV遺伝子の比が減少する)に、又はヒト腫瘍細胞の増殖を阻害するか、レプリコンを含む細胞の腫瘍細胞死を誘導する場合(ヒト遺伝子コピー数に対するHCVの比が相対的に一定のままである)に測定することができる。これを実施するために、動物を検死し、分子解析のために腫瘍試料を取得した。腫瘍組織1mg当たりのHCV遺伝子及びヒト遺伝子のコピー数を、ベースラインのために0日目、及び後の時間に再び定量化した。しかし、in vivoで実施される測定が好ましい。
【0134】
上で考察した通りに測定した有効性の情報に加えて、初期薬物動態(時間による濃度)及び/又は毒性データを得るためにモデルを使用することができる。例えば、安全性の限界、最も低い有効濃度及び毒性の徴候を示す最も低い濃度が決定される。薬物動態及び毒性の定量は周知であり、任意の公知の方法により定量することができる。このような方法の具体例は、Y. Kwon Handbook of Essential Pharmacokinetics, Pharmacodynamics and Drug Metabolism for Industrial Scientists, Klewer Academic/Plenum Publishers, New York, 2001;R.D. Schoenwald (editor) Pharmacokinetics in Drug Discovery and Development, CRC Press, 2002;及びS.C. Gad, Drug Safety Evaluation, Wiley−Interscience, 2002に開示されている。
【0135】
レプリコンを含む細胞の移植は薬物動態及び毒性実験に必要でないが、モデルは、これらの実験を、薬理学的実験と同じ動物において同時に実施することを可能にする。
【0136】
種々の実施形態によれば、本発明のモデルは、異なる長さの実験のために使用することができる。
【0137】
一実施形態において、モデルは相対的に短期間の実験のために使用することができる。短期間の実験は(試験化合物処理から)10日以内であってもよく、2〜7日又は数日であってもよい。例えば、実施例7に以下に示す通り、本発明の実施形態によるHCV動物モデルの公知の抗ウイルス化合物(IFN−α)による処理は、未処理のモデルに比較し、2日で平均生物発光の検出可能な低下をもたらした。
【0138】
本明細書で使用される「インターフェロン」又は「インターフェロン−a」又は「インターフェロンアルファ」又は「インターフェロン−α」又は前記の何れかと、「2B」との組み合わせはインターフェロンα2Bを示すことを意味する。
【0139】
別の実施形態において、モデルは長期間の実験のために使用することができる。長期間の実験は、特に、化合物又は治療薬の毒性又は安全性の限界(毒性に対する活性の測定)の評価に有用である。毒性効果は、化合物に対する露出により時間とともに上昇する。又、化合物を効果のない状態にする突然変異が試験化合物の繰り返し投与の後に選択することができるので、薬剤耐性を評価することができ、化合物による長期間の処理は、このような突然変異を誘導する。長期間のモデルは、化合物のPK/PDの評価を可能にするのみならず、毒性評価、及び潜在的な薬剤耐性の発生の評価を改善することを可能にする。
【0140】
別の実施形態において、本発明は更に:
本明細書に開示されたレプリコンを有する腫瘍細胞を、細胞移植前に放射線照射されるSCIDマウスに皮下移植する(その他の免疫無防備状態の毒性機序を使用してもよい);
強い生物発光を照射する腫瘍を切除する;
レプリコンのための選択的マーカーの存在下、腫瘍の生物発光部分をin vitroで培養する;
高いルシフェラーゼ発現を有する細胞コロニーを選択し、レプリコンのための陽性選択剤(例えば、本明細書に開示されるG415)の存在下で増殖する、得られたクローンを増殖する
手順により作製される腫瘍細胞株を提供する。該方法を1回以上繰り返し、IFN−αに対する感受性の低下した細胞株を更に選択する。細胞株は、本明細書に開示された高用量のインターフェロンα中で培養することにより、レプリコンを回復することができる。
【0141】
当該技術分野で公知なように、レポーター及び動物を免疫無防備状態にする更なる方法を使用することができる。
【実施例】
【0142】
以下の実施例は、本発明の詳細な説明の態様を提供する。これらの実施例は、本発明のこれらの態様を例示し更に明瞭に説明するために提供され、決して限定されることを意図するのではない。
【0143】
(実施例1)プラスミドの構築、及びRNA翻訳、及びトランスフェクション効率
プラスミドの構築:
レプリコンp114/ET(図1に示す通り、PILucUbiNeoNS3−3’/ET又はPVIレプリコンとして記載)を、pFKI341PILucNS3−3’/ET(Lohmann, V.,S. Hoffmann, U. Herian, F. Penin, and R. Bartenschlager. 2003: J. Virol. 77:3007−19)から1.6kbのXbaI−NotIフラグメントを除去し、pFKI389LucUbiNeoNS3−3’/5.1由来の2.6kbのXbaI−NotIフラグメント(Krieger, N., V. Lohmann, and R. Bartenschlager. J. Virol. 75:4614−24)と置換することによって、構築した。
【0144】
HCVIレプリコンは2001, Journal of Virology, 75(10):4614−4624に開示されている。
【0145】
RNAトランスフェクション:全てのプラスミドをScaIを使用して直線化し、MEGAscriptキット(Ambion)を使用してRNAを合成した。in vitroで転写したRNAを既述の通り精製した(Guo, J.T., V.V. Bichko, and C. Seeger. 2001. Effect of alpha interferon on the hepatitis C virus replicon. J. Virol. 75:8516−8523)。全RNAを使用した細胞のトランスフェクションに使用される条件は、in vitroで転写したRNAを使用したトランスフェクションに使用される条件と同じであった(前述のGuo, et al.らを参照)。サブ融合性のHuh7細胞をトリプシン処理し、完全DMEMで1回、血清を含まないDMEM−F12培地で1回洗浄した。細胞ペレットを、血清を含まないDMEM−F12培地に、10細胞/mLの密度になるように再懸濁した。エレクトロポレーションキュベット(0.2cmの隙間;BTX[米国カリフォルニア州サンディエゴ])中の200mLの細胞懸濁液に、1〜10mgのin vitroで転写したRNAを加えた。直ちに、200V及び1,000mFに設定したECM630装置(BTX)を使用して、細胞をエレクトロポレーションした。エレクトロポレーション後、細胞懸濁液を室温に5分間維持し、次いで、10%ウシ胎児血清及び必須でないアミノ酸を補充したDMEMに希釈し、直径10cmのシャーレに播種した。24時間後に、G418を、0.5mg/mLの最終濃度になるように加えて、培地を1日おきに交換した。2〜3週間後に、G418耐性コロニーは目に見えるようになる。
【0146】
HCVレプリコンの翻訳及びトランスフェクションの効果:p114/ET(図1におけるPVIレプリコン)又はHCV1レプリコン(図1参照)の何れか由来のin vitro転写物を使用して、Huh−7細胞をトランスフェクトし(前記参照)、レプリコン含有G418耐性細胞を選択するためにG418の存在下で標準的な組織培養法を使用して増殖した。PVIレプリコンのルシフェラーゼ発現は、10,000細胞当たりのRLUの規模をベースとしたHCVIレプリコンの発現よりも高かった(図2A参照)。PVIレプリコンについてのコロニー形成の効果は又、HCVIレプリコンよりも高い。図2Bは、Huh−7細胞をトランスフェクトするのに使用したRNAの量が、両方のトランスフェクションで等しいにもかかわらず、p114/ET(PILucUbiNeoNS3−3’/ET)RNAでトランスフェクトしたHuh−7培養物中のG418耐性コロニーの数が、HCVIレプリコンRNAでトランスフェクションした後に観察されるコロニー数よりも高いことを示す。
【0147】
(実施例2)マウスに適応させたS6.1細胞の生成
5−2 Huh7細胞を、高用量のグルコース、10%ウシ胎児血清、L−グルタミン、必須でないアミノ酸、及び250μg/mLのG418を含むDMEM中に広げた。細胞を3〜7日毎に、1:3〜1:10の範囲に分割した。0.2mLのHBSS中の500万個の細胞を、10匹のメスSCID−beigeマウス(Charles River Laboratories[米国マサチューセッツ州ウィルミントン])の右脇腹に皮下移植した。5〜36日目まで、腫瘍体積(0.5×幅×幅×長さ)を週に2回測定した。腫瘍の幅及び長さはノギスを使用して測定した。1、8及び37日目に、IVISカメラシステム(Xenogen[米国カリフォルニア州アラメダ])を使用してin vivo生物発光イメージングによるルシフェラーゼ活性についてマウスをイメージングした。37日目に、最も大きい腫瘍を有する3匹のマウスのみイメージングした。3匹の最も大きい腫瘍(36日目に測定し、393、468及び532mm)を37日目に集め、2枚の滅菌したスライドグラスのつや消しした先端を使用して粥状にすりつぶした。粥状の細胞の50〜100μLの部分を、10匹の麻酔したSCID−beigeマウスに、それぞれ外套針を使用して皮下に挿入した。この第2の試験における腫瘍体積を、8〜26日目まで週に2回測定した。28日目に、4個の最も大きい腫瘍(26日目に、759、831、1083及び1585mm)を集め、粥状の細胞と組み合わせ、既述の通り、他の10匹のSCID−beigeマウスに移植した。腫瘍の体積を、7〜21日目まで週に2回測定した。22日目に、3個の最も大きい腫瘍(21日目に、584、638及び707mm)を集め、同じ方法で5匹のSCID−beigeマウスに移植した。腫瘍の体積を、6〜23日まで週に2回測定した。24日目に、3個の最も大きい腫瘍(23日目に、978、1249及び1519mm)を集め、細胞培養物に広げ、細胞株Huh7(5−2)−S6.1を生成した。図3に示す通り、同じ数の細胞をマウスに皮下移植した場合、S6.1細胞5−2細胞より速い細胞を形成した。
【0148】
(実施例3)レプリコンを有する細胞株S6.1−6の生成
Huh7−114ET−7細胞(p114/ETを有するHuh7細胞、或いは、図1において、PILucUbiNeoNS3−3’/ET又はPVIと呼ばれる)から抽出した、10μgの全RNAを、前述したプロトコールに従い、S6.1細胞にトランスフェクトした。0.5mg/mLの濃度でのG418の存在下で選択することによって、レプリコンを有する細胞クローンを得た。各細胞クローンについてルシフェラーゼ検定を実施した。図4は、各クローンについてのルシフェラーゼの相対的活性を示す。S6.1−6細胞は、高レベルのルシフェラーゼシグナルを発現し、更に広げ、in vivoの動物実験に使用した。
【0149】
(実施例4)保存マウスに適応させた細胞株S6.1−PIの生成
S6.1細胞に適応させたマウスを、上述のようなエレクトロポレーションにより直線化されたPVIレプリコン由来のin vitroで転写されたRNAでトランスフェクトした。0.5mg/mL濃度のG418を使用してコロニーを選択した。ルシフェラーゼ活性は、製造業者の記載の通りに、Promega Glo−steday Luc検定キットにより測定した。図4は、異なる細胞クローンに対してプロットした、1,000個の細胞当たりのルシフェラーゼ活性の相対光量(RLU)を示す。細胞クローン#1、2、4、6、F及びJは、細胞株S6.1−PIを生成するために保存した。
【0150】
(実施例5)レプリコンを有する細胞株S6.1−T12−2、S6.1−T15、S6.1−T7の単離
レプリコンを有する保存S6.1細胞を移植した、ナンバー12のマウス由来の腫瘍を43日目に集め、完全DMEM培地で1週間培養した。細胞をトリプシン処理し、次いで、G418(250μg/mL)の存在下で、100mmのプレートに連続して希釈した。2週間後、100mmプレート中のG418耐性コロニーを、上述のようなIVISカメラシステムを使用してイメージングした。ルシフェラーゼ陽性コロニーを96ウェルプレートに移し、広げてルシフェラーゼ活性を測定した。ルシフェラーゼ発現細胞クローンの1つを、S6.1−T12−2と命名した。S6.1−T15及びS6.1−T7等の、Lucを安定に発現するが、S6.1−T12−2よりも速く腫瘍を形成する他の細胞株を同じ方法で作製することができる。
【0151】
(実施例6)マウス肝臓に適応させた細胞の生成
5−2 Huh7細胞を、9匹のSCIDマウス(放射線照射なし)の肝臓に脾臓内注射することにより播種した。脾臓を体外に出し、0.05mLのHBSS中の2.5×10〜3.5×10細胞を脾臓に注入した。脾臓を生理食塩水に浸した無菌ガーゼに10分間置き、細胞を肝臓に移動させた。次いで、脾臓に付着した血管を焼灼し、血管結紮により脾臓を剥離した。0、1及び2日目にXenogenカメラシステムを使用してマウスをイメージングし、2日目までにシグナルはバックグラウンドレベルまで低下した。7、10、15及び29日目にマウスを再度イメージングし、バックグラウンド以上のシグナルは観察されなかった。細胞の接種から6週間で、検死を定期的に実施し、肝臓内の腫瘍増殖をチェックした。48日目に、1匹のマウスの肝臓から細胞を集め、in vitroで培養し、細胞株Huh7(5−2)−H2を生成した。
【0152】
次いで、これらのHuh7(5−2)−H2細胞を、10匹の放射線照射していないSCID−beigeマウスの肝臓に直接移植した。手術中、肝臓を体外に出し、2μLの細胞(100μLのHBSS中)を単一の肝葉に直接注入した。細胞を、同じ肝葉の異なる位置における実質に注入した(各位置に50μL)。次いで、外科的切開を閉じ、一晩、マウスを手術から回復させた。細胞接種の30日後、2匹のマウスについて検死を実施し、肝臓中の腫瘍の増殖をチェックした。1匹のマウスの肝臓から1個の腫瘍を集め、in vitroで増殖させ、細胞株Huh7(5−2)−H2L1.1を生成した。34及び40日目に、4匹のマウスから腫瘍を集め、2個の細胞株、Huh7(5−2)−H2L2.2及びHuh7(5−2)−H2L2.3を生成した。
【0153】
次いで、Huh7(5−2)−H2L1.1細胞を、前述したのと同じ方法に従い、他の10匹の放射線照射していないSCID−bgマウスの肝臓に直接移植した。10匹のマウスのうち5匹が、接種の27日後に、全身腫瘍組織量にて腹部が膨張し始めた。この日に、3匹のマウスのそれぞれの肝臓から腫瘍を集めた。これらの腫瘍を粥状の腫瘍と一緒にし、in vitroで培養し、細胞株Huh7(5−2)−H2L2.1を生成した。細胞接種の29日後に、他のセットの3匹のマウスの肝臓から腫瘍を集めた。これらの腫瘍を粥状の腫瘍として一緒にし、in vitroで培養し、細胞株Huh7(5−2)−H2L2.2を生成した。
【0154】
(実施例7)SCID/bgマウス及び放射線照射したマウスに皮下移植した、5−2 Huh7及びS6.1−6細胞の生物発光シグナル安定性
S6.1−6細胞を上述の通り調製した。5×10細胞をγ線照射したSCIDマウスに皮下移植した。5×10個の5−2 Huh7細胞(マトリゲル中)をSCID/bgマウス(放射線照射なし)に皮下移植し、5×10の5−2 Huh7細胞(マトリゲルなし)をγ線照射したSCIDマウスに皮下移植した。移植の前日に、SCIDマウスに、3グレイ(GY)の放射線を照射した(3.2分以下)。細胞を、注入により右脇腹に移植した。SCID/Bgマウス中に急速に低下する生物発光シグナルの維持を向上するために、マトリゲルを5−2Huh−7細胞に加えた。
【0155】
1、3及び4日目のみにイメージングした5−2 Huh7細胞を受けたSCID/bgマウスを除いては、1、2、3、4及び7日目の、in vivo画像を取得し、生物発光を定量した。図5は、1、3、4及び7日の放射線照射したSCIDマウス、及びS6.1−6細胞を有するSCID/bgマウス(それぞれ、図5A及び5B)、及び5−2 Huh7細胞を有するSCID/bgマウス(図5C)の画像を示す。生物発光シグナルは、S6.1細胞を有するγ照射したSCIDマウスについて7日間維持された(レプリコン中のルシフェラーゼが過剰であることを示す)が、5−2 Huh7細胞又はS6.1−6細胞を有するSCID/bgマウスにおいては、3日にのみシグナルが検出可能であった。図6A及びBは、経時的に(全てのマウスの)平均生物発光を示すグラフである。生物発光は、5−2 Huh7(図6B)又はS6.1−6細胞(図6A)の何れかを有するSCID/bgマウスについては4日目に本質的にバックグラウンドであるが、放射線照射したSCIDマウスは、少なくとも7日間、バックグラウンドを超えた認識可能なシグナルを維持する。
【0156】
(実施例8)放射線照射したSCIDマウスに皮下移植したモデルの5−2 Huh7及びS6.1−6の生物発光
S6.1−6細胞を上述の通り調製した。5×10個の細胞をγ線照射したSCIDマウスに皮下移植した。5×106細胞の5−2 Huh7細胞をγ線照射したSCIDマウスに皮下移植した。細胞を注射により、右脇腹に皮下移植した(0.2mLの、HBSS中の100μg/mLのヒト血清アルブミン中の5×10細胞)。前日及び細胞移植前に、SCIDマウスに、3GY(3.2分以下)の放射線を照射した。
【0157】
1、2、3、4、7、10、17及び21日目に、生物発光を定量した。図7は、経時的に(全てのマウス)の平均生物発光を示すグラフである。S6.1−6マウスは、移植後17日目まで5−2マウスよりも強いシグナルを有していた。S6.1−6細胞由来のルシフェラーゼシグナルは移植後の最初の5日にわたり上昇したが、5−2細胞由来のシグナルは同じ期間にわたり減少した。データは、S6.1細胞が移植後の最初の5日間に強いことを示す。データは又、バックグラウンド(1.0×10光子/秒)を超えて認識可能なシグナルが、S6.1及び5−2 Huh7細胞の両方で少なくとも21日間維持されることを示す。
【0158】
2群の腫瘍体積の測定を、11、14、17及び21日目に実施した。11日目の平均腫瘍体積は5−2 Huh7モデルの場合100mmであり、S6.1−6モデルの場合100mmであった。21日目までには、5−2 Huh7モデルの場合170mmであり、S6.1−6モデルの場合570mmであった。
【0159】
(実施例9)インターフェロンαを使用した、皮下モデルの処理
レプリコンを有するS6.1−6細胞を上述の通り調製した。当日、及び細胞移植前に、メス担体SCIDマウスに3GYのγ線を約3.2分間照射した。0.2mLの担体中の5×10細胞を42匹のマウスの右脇腹に皮下移植し、3群(対照群、低IFN−α投与群、高IFN−α投与群)に分けた。各群には14匹のマウスが含まれる。各群に対して以下のように投与される。
対照群:担体(HBSS中、100μg/mLのヒト血清アルブミン0.1mL)、1日当たり、皮下投与
低IFN−α投与群:18gのマウスに対し、2,400IUのIFN−α、皮下投与
高IFN−α投与群:18gのマウスに対し、200,000IUのIFN−α、皮下投与
インターフェロン−α注射液INTRON(Schering)を使用した。1800万国際単位(IU)/バイアル;300万IU/0.5mL(NDC0085−1168−01)、100μg/mLのヒト血清アルブミン(カタログ番号A5843、Sigma,低エンドトキシン)を、IFN溶液を希釈するための担体として使用した。週末を除き、投与溶液を毎日新しく調製した。各投与前に、1、2、3、4及び7目にin vivo画像を取得した。1日目の画像をベースライン画像として使用した。
【0160】
図8は、各群の代表的なマウス:マウス#1−3(対照群)、マウス#2−3(低IFN−α投与群)及びマウス#3−5(高IFN−α投与群)の1、2、3、4及び7日目の画像を示す。1日当たりの平均生物発光を図9に示す。
【0161】
平均生物発光の有意な低下は、高用量及び低用量レベルの両方におけるインターフェロン−αの最初の投与の1日後(2日目)に検出された。担体と比べ、低用量群においては3.6倍のシグナルの低下が観察され、高用量群においては14倍の低下が観察された。処理群は、3及び4日目にもシグナルを低下し続け、7日目にバックグラウンドのレベルに達し、これは、担体対照群より10倍低い。担体群は、27日目まで、5×10〜1×10のシグナルを維持した。
【0162】
IFN−αの時間及び濃度依存的抗ウイルス効果はヒトの臨床転帰、及びMercer, et al. Nature Medicine 2001 7:927−933に報告されたキメラマウスの異種移植片モデルと一致していることがわかった。
【0163】
担体群の腫瘍体積の想定は、17〜27日目まで(及び6匹のマウスについては43日目まで)実施された。17日目の平均腫瘍体積は100mmであり、27日目では520mmであった。
【0164】
(実施例10)インターフェロン−αによる皮下腫瘍モデルの処理
レプリコンを含む5−2 Huh7細胞を実施例1に記載の通り調製し、SCIDマウスに皮下移植した。移植の当日及び前日に、マウスに、3GYのγ線を約3.2分間照射した。42及び43日目に、以下のようにして、2匹のマウスを担体で、2匹のマウスをIFN−α群で処理した。
対照群:担体(HBSS中、100μg/mLのヒト血清アルブミンを0.1mL)、1日当たり、皮下投与
IFN群:18gのマウスに対し、200,000IUのIFN−α、皮下投与
インターフェロン−α注射液INTRON(Schering)を使用した。1800万国際単位(IU)/バイアル;300万IU/0.5mL(NDC0085−1168−01)、100μg/mLのヒト血清アルブミン(カタログ番号A5843、Sigma,低エンドトキシン)を使用した。42及び43日目に、in vivo画像を取得し、生物発光を定量した。
【0165】
図10は、処理及び未処理(担体)マウスについての生物発光を示す。バックグラウンドシグナルは1×10光子/秒である。生物発光は、IFN−α処理マウスについて約7〜8倍減少し、未処理マウスについては約1.5倍未満の減少である。平均生物発光シグナルは、投与前には2つの群についてほぼ等しかった(処理群の場合1.07×10光子/秒、及び未処理群の場合1.10×10光子/秒)が、生物発光は処理群について劇的に減少し、未処理群については僅かに増加した(処理群について1.35×10光子/秒、未処理群について1.37×10光子/秒)。
【0166】
(実施例11)インターフェロン−αによる肝臓モデルの処理
レプリコンを含むS6.1−6細胞を実施例3に記載の通り調製した。細胞を集め、1×10細胞/0.05mL/注射液になるように、HBSSに再懸濁した。メスのSCIDマウスを剪毛し、3GYのγ線を約3.2分間照射した。手術前に、マウスに約4時間放射線照射した。
【0167】
皮膚及び腹腔を通じて切開を実施し、次いで、徐々に肝葉を露出させた。0.05mLのHBSS中の腫瘍細胞を、肝葉の2箇所に注入した(1×10細胞/0.05mL/注射液)。マウスにおける外科的切開を閉じ、マウスを、一晩手術から回復させた。
【0168】
次いで、マウスを任意抽出し、インターフェロン−α又はプラセボを、1日目の開始及び7日目の終了時に1回皮下投与した。各群は9匹のマウスを含み、該処置は以下を含む。
第1群:担体(HBSS中、100μg/mLのヒト血清アルブミンを0.1mL)、1日1回、皮下投与
第2群:18gのマウスに対し、1日当たり200,000IUのIFN−α2b、皮下投与
インターフェロン−α注射液INTRON(Schering)を使用した。1800万国際単位(IU)/バイアル;300万IU/0.5mL(NDC0085−1168−01)。投与溶液は、週末を除き、毎日新しく調製した。
【0169】
1(手術の1日前)、2、4及び7日目に、腹部の視野からのin vivo画像を取得した。化合物の投与開始前に取得した、1日目の画像を、ベースライン画像として使用した。マウスの腹腔内に、ルシフェラーゼの基質、ルシフェリンを150mg/kg注射し、密閉された光チャンバー内にマウスを置き、冷却したCCDカメラ(IVISシステム、Xenogen[米国カリフォルニア州アラメダ])を使用してシグナルを捕獲することにより、各マウス由来の生物発光シグナルを腹部の視野から測定した。興味のある領域がマウスの肝臓領域の周辺に形成され、シグナルを光子/秒で定量した。
【0170】
1日当たりの平均生物発光を図11に示す。生物発光における有意な低下が、インターフェロンαの最初の投与後1日(2日目)に検出された。シグナルの対数減少が、担体に比較して処理群で見られた。4日目に、処理群の平均ルシフェラーゼシグナルは、バックグラウンドの近くであり、担体群よりも対数として約1.5倍低い。
【0171】
IFN−αの時間依存性抗ウイルス効果は、ヒトの臨床転帰と一致している。
【0172】
(実施例12)インターフェロン−αによる、皮下二重レポーターモデルの処理
IFN−αによる処理後の生物発光の減少が蛍ルシフェラーゼを発現するS6.1−6細胞を死滅するためではないことを証明するため、CMVプロモーターに由来するウミホタルルシフェラーゼを発現する対照プラスミドをトランスフェクションによりレプリコン細胞に導入した。1日目に、同時にトランスフェクトした、レプリコン含有S6.1−6細胞を、前もって放射線処理したSCIDマウスに、皮下移植した。ルシフェリン基質を投与した後に、蛍ルシフェラーゼ生物発光について、全てのマウスをイメージングした。マウスを任意抽出し、処理、及び担体群に分けた。処理及び担体群のマウスは、相互に10%以内の初期の平均的蛍ルシフェラーゼ生物発光を有していた。イメージング後、マウスをIFN又は担体で処理した。2及び3日目に、全てのルシフェリン生物発光が消失するのを確実にするため、いかなる基質も存在させないでマウスをイメージングした。次いで、セレンテラジン基質の投与後に、ウミホタルルシフェラーゼ生物発光についてマウスをイメージングした。4〜5時間後、全てのウミホタルルシフェラーゼ発光が消失するのを確実にするため、いかなる基質も存在させないでマウスをイメージングした。次いで、ルシフェリン基質の投与後に、ルシフェラーゼ生物発光についてマウスをイメージングした。移植した細胞を有しない、3匹の未感作のマウスをセレンテラジンを使用してイメージングし、バックグラウンド生物発光を決定した。平均バックグラウンドシグナルを、各マウスのウミホタル生物発光から引き、最終的なウミホタル生物発光を得た。
【0173】
結果を以下に示す。
【0174】
【化8】

2日目に、IFN−αで処理した群は、担体群に比べ、蛍ルシフェラーゼにおいて25.2倍減少したが、IFN−α処理及び対照群の間で観察されたウミホタルルシフェラーゼにおいては僅か1.7倍の減少であった。蛍のシグナルにおける有意な減少は、レプリコンによるIFN−αの特異的な効果による。データは、生物発光における減少の原因である担体群と比較し、IFN−α処理群において有意な細胞殺滅又は毒性はないことを示す。
【0175】
(実施例13)試験化合物、例えばIFN−αによる、又は試験化合物なしでの皮下モデルの処理:血液中のウイルス又はウイルス様粒子の測定
レポーター遺伝子を有するゲノムレプリコンの一例は、Wakita, et al., NATURE Medicine (2005) Vol. 11: pgs 791−796に開示されている。該ゲノムレプリコンは、5’〜3’の順序で以下の要素、即ち、5’HCV UTR(HCV IRESを含む);ルシフェラーゼ遺伝子;EMCV IRES;HCVゲノムの残り(3’UTRを介したコアタンパク質)を含む。
【0176】
ゲノムレプリコン由来のRNAを合成し、S6.1細胞をトランスフェクトするために使用する。
【0177】
メスのSCIDマウスに、3GYのγ線を約3.2分間照射した。0.2mLの担体中の、5×10細胞を42匹のマウスの右脇腹に皮下移植し、3群(対照群、低IFN−α投与群、高IFN−α投与群)に分けた。各群には14匹のマウスが含まれる。濃度は、各群に対して以下のように与えられる。
対照群:担体(HBSS中、100μg/mLのヒト血清アルブミンを0.1mL)、1日当たり、皮下投与
低IFN−α投与群:18gのマウスに対し、2,400IUのIFN−α、皮下投与
高IFN−α投与群:18gのマウスに対し、200,000IUのIFN−α、皮下投与
インターフェロン−α注射液INTRON(Schering)を使用した。1800万国際単位(IU)/バイアル;300万IU/0.5mL(NDC0085−1168−01)、100μg/mLのヒト血清アルブミン(カタログ番号A5843、Sigma、低エンドトキシン)を、IFN溶液を希釈するための担体として使用した。週末を除き、投与溶液を毎日新しく調製した。
【0178】
投与の直前、及びIFN−α投与の24時間後に、動物から採血して血清を調製した。標準のルシフェラーゼ検定キットを使用して、血清を、直接ルシフェラーゼの基質とインキュベートした。或いは、ウイルス又はウイルス様粒子を遠心して沈殿させた。沈殿を溶解緩衝剤とインキュベートし、標準のルシフェラーゼ検定キットを使用してルシフェラーゼを検定した。キットには、溶解緩衝剤及びルシフェラーゼの基質が含まれる。相対光量(RLU)を決定し、IFN−αで処理した動物から得られるシグナルを、担体のみを与えた動物と比較する。これらの測定から、ウイルス又はウイルス様粒子の阻害の程度を決定する。実施例11に開示されたように、レプリコンを含む細胞をマウスの肝臓に導入した後に、同様に、同じ実験を実施した。
【0179】
(実施例14)インターフェロン−αによる肝臓モデルの処理
実施例13に既述の通り、S6.1細胞をゲノムレプリコンでトランスフェクトした。細胞を集め、1×10細胞/0.05mL/注射液になるように、HBSSに再懸濁した。メスのC.B17 SCIDマウスを剪毛し、3GYで約3.2分間γ線照射した。手術前に、約4時間、マウスを放射線照射した。
【0180】
皮膚及び腹腔を通して切開し、次いで1個の肝葉を徐々に露出させた。0.05mLのHBSS中の腫瘍細胞を、肝葉の2箇所に注入した(1×10細胞/0.05mL/注射液)。マウスにおける外科的切開を閉じ、マウスを、一晩手術から回復させた。
【0181】
次いで、マウスを任意抽出し、インターフェロン−α又はプラセボを、1日目の開始及び7日目の終了時に、1回、皮下投与した。各群は9匹のマウスを含み、該処置は以下を含む。
第1群:担体(HBSS中、100μg/mLのヒト血清アルブミンを0.1mL)、1日1回、皮下投与
第2群:18gのマウスに対し、1日当たり200,000IUのIFN−α2b、皮下投与
インターフェロン−α注射液INTRON(Schering)を使用した。1800万国際単位(IU)/バイアル;300万IU/0.5mL(NDC0085−1168−01)。
【0182】
投与溶液は、週末を除き、毎日新しく調製した。
【0183】
投与の直前、及びIFN−α投与の24時間後に、動物から採血して血清を調製した。標準のルシフェラーゼ検定キットを使用して、血清を、直接ルシフェラーゼの基質とインキュベートした。或いは、ウイルス又はウイルス様粒子を遠心して沈殿させた。沈殿を溶解緩衝剤とインキュベートし、標準のルシフェラーゼ検定キットを使用してルシフェラーゼを検定した。キットには、溶解緩衝剤及びルシフェラーゼの基質が含まれる。相対光量(RLU)を決定し、IFN−αで処理した動物から得られるシグナルを、担体のみを与えた動物と比較する。これらの測定から、ウイルス又はウイルス様粒子の阻害の程度を決定する。
【0184】
(実施例15)長期間安定した、適応されるレプリコンを含む細胞クローンのin vivoでの選択
T7−11細胞。0.2mLのハンクス液(HBSS)中の500万個のS6.1−6細胞を、細胞移植前に放射線照射(3Gy)されたC.B17 SCIDマウスに皮下移植した。強い生物発光を発する腫瘍を27日目に切除し、腫瘍の生物発光する部分を0.5mg/mLのG418の存在下にin vitroで培養した。G418耐性コロニーのルシフェラーゼ発現を、Xenogen IVISTMイメージング装置(Xenogen Corporation[米国カリフォルニア州アラメダ])を使用して評価し、高い発現を有する1個のコロニーを広げ、細胞株T7−11を生成した。選択されたコロニーを広げ、γ線照射したSCIDマウスに皮下移植し、in vivoでのレポーターの寿命を評価した。選択されたコロニーの殆どは、S6.1−6細胞において見られるのと同等の時間によるin vivoのシグナルの減少を示した。対照的に、1個のクローン、T7−11におけるシグナルは、図12a及び図15に示す通り、移植の2週間後に、バックグラウンドを2倍対数(two logs)を超えて上昇し続けた。この2倍対数のダイナミックレンジは、2週間以上の間、T7−11細胞において安定であった。
【0185】
HCV感染の最初の標的器官である肝臓内のT7−11細胞の安定性を評価するため、細胞を1個の肝葉に直接注入し、時間による生物発光シグナルを解析した。T7−11細胞は、1週間以上の間、バックグラウンドが1〜2倍対数を超える生物発光シグナルを示し、それ故、皮下投与及び肝臓モデルの両方についてこの細胞株の有用性が証明された。このデータは、対照動物として図13dに示される。
【0186】
細胞移植。メスのSCIDマウスを細胞移植の部位で剪毛し、細胞移植の1日前又は同日に3Gyでγ線照射した。皮下移植のため、0.2mLのHBSS中の500万個の細胞を右脇腹に移植した。肝臓内直接投与のため、マウスを麻酔し、1個の肝葉を、小さい切開を通して露出させた。20〜50μLのHBSS中の1〜2百万個の細胞を、肝実質に直接注入した。
【0187】
L10−16細胞。T7−11細胞株を生成するために使用された方法を、S6.1細胞に代えて、出発細胞としてT−11細胞を使用して繰り返した。200万個のT7−11細胞を、直接肝臓注入を使用してγ線照射したメスのC.B17 SCIDマウスの肝臓に移植した。37日後、4.6×10光子/秒の生物発光を示す腫瘍を有する1匹のマウスを安楽死させ、肝臓及びin vitroの培養から腫瘍を集めた。0.5mg/mLのゲンタマイシンを含む培地中で、G418を発現するコロニーが選択され、これらのコロニーから、ルシフェラーゼ陽性のクローンを集めた。これらのG418及びルシフェラーゼ陽性クローンは広がり、細胞株L10−16を生成した。
【0188】
L10−16細胞を、T17−11について実施したように、γ線照射したSCIDマウスに移植した。マウスは、1ヶ月以上の間、安定したルシフェラーゼ発現を示した。結果を図15に示す。
【0189】
ルシフェラーゼシグナルは、T7−11腫瘍におけるRNA複製に反映する
ルシフェラーゼシグナルがHCV RNA複製に関連しない可能性を除外するため、腫瘍細胞内のウイルスRNA及びタンパク質レベルを、in vitroで転写されるウイルスRNAにおいて、32Pで標識された負鎖を使用して調べるノーザンブロット、及びNS5Bに対する抗体を使用する免疫蛍光検定(IFA)により調べた。結果は、移植の26日後に集めたT7−11腫瘍組織においてプラス鎖のHCV RNAが検出されることを示した(図12b、レーン4)。結果と一致し、20%以上の細胞がウイルスタンパク質NS5Bを発現している。図13cに関して、NS5B蛍光抗体を使用した免疫検定データは細胞内でのNS5Bの発現を示した。データは、T7−11細胞が、in vivoにおける構造的HCV RNA複製及びタンパク質の発現を補助することを示した。
【0190】
(実施例16)T7−11細胞を皮下移植したSCIDマウスにおけるIFN−α2Bの有効性
生物発光シグナルが安定しており、前記バックグラウンドの約2倍対数を超える場合に、T7−11を移植したマウスを使用した有効性の実験を開始した。移植の19日後に、7500IU/マウス/日又は15000IU/マウス/日のIFN−α2Bでマウスの処理を開始した。対照動物は、ヒトアルブミンの投与を受けた。図13aに示す通り、低用量群における生物発光シグナル(7,500IU/マウス/日)は、対照群に比べ、処理の3及び7日後に、それぞれ5及び10倍減少した(P<0.001)。高用量群について、3及び7日後には、それぞれ10及び25倍のシグナルの減少を示した(P<0.01)。データは、IFN−α2B処理がHCV RNAレベルにおける濃度依存的な有効性を有することを明らかに証明した。更に、in vivoでT及びナチュラルキラー(NK)細胞の増殖及び機能を活性化することが知られているインターロイキン2(IL−2)は、IFN−α、抗腫瘍において役割を演じる化合物及び免疫調節応答の非特異的活性を評価するための対照として使用される。腎細胞癌(RCC)モデルにおける抗腫瘍活性に使用される濃度をベースとし、2mg/kgのインターロイキン2(IL−2)でマウスを処理した(Fan,K., et al., J. Immunol (2005) 175:7003−8)。結果は、IL−2が処理の5日間にわたり、生物発光シグナルに影響を及ぼさないことを示した。
【0191】
生物発光シグナルにおける減少が、化合物の露出に直接関連することを証明するため、処理の3日後に投薬を停止した。IFN−α2B(15,000IU/マウス)処理を中止した4日後に、処理群においてウイルスRNAにおける回復が明らかに観察され、平均生物発光シグナルが、未処理群と同じレベルまで回復した(P>0.05)(図13b)。対照的に、毎日の投与を継続している処理群においては、平均生物発光シグナルはバックグラウンドまで減少し続けた(P<0.01)(図13b)。実験の終わりに、腫瘍組織を生化学及び免疫組織化学の分析のために切除し、HCV RNAレベルが生物発光レベルと一致していることを証明した。対照及びIFAによる回復群においては、平均20%以上の細胞が検出可能なウイルスNS5Bタンパク質を示したが、IFN−α2B処理群においては、1%未満の細胞がウイルス複製について陽性に染色された(図13c)。RT−PCRにより測定されるHCV RNAのレベルはIFAのデータと一致し、未処理マウス由来の腫瘍組織中のRNA及びアンチセンスRNAレベルは処理マウスより10倍高かった(データなし)。これらの結果はin vivoの画像データと一致し、生物発光レベルが、in vivoにおけるHCV RNA複製におけるIFN−α2Bの効果を正確に反映することを示す。
【0192】
Huh7細胞のIFN−αによるin vivoにおける処理がアポトーシスを誘導することは報告されていないが、本発明者等は、IFN−αが、in vivoでウイルスを含む腫瘍細胞の除去を誘導するアポトーシスプログラムを誘導する可能性を除外することはできない。細胞死が、処理したマウスにおける生物発光シグナルの減少に寄与するかどうかを調べるため、腫瘍組織内のアポトーシス細胞の断片を、活性化キャスパーゼ3及び開裂したポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(cPARP)の免疫組織学的解析により測定した。結果は、活性化キャスパーゼ3(データは示さず)及びcPARPの染色が、全ての3つの群において、1〜5%の腫瘍細胞において同様に存在することを示した。Ki67に対する抗体、細胞増殖のマーカー(データは示さず)を使用した染色は、IFN−α2B処理群及び対照群のあいだで違いがないことを示し、これは、処理後のこのモデルにおける生物発光シグナルの減少はウイルス複製の直接阻害に起因することを示す。
【0193】
ひとまとめにして考えると、マウスのモデルにおけるIFN−α2Bの有効性の実験は、生物発光シグナル処理群において濃度依存的な様式で減少し、これは腫瘍組織におけるウイルスRNA及びタンパク質レベルの減少と関連することを示した。生物発光シグナルの減少は、特に複製におけるIFN−αの阻害効果のためであり、細胞死のためではない。
【0194】
(実施例17)T7−11細胞を有する肝臓モデルにおけるIFN−α2Bの有効性
肝臓におけるIFN−α2Bの有効性を評価するため、T7−11細胞を、γ線照射したSCIDマウスの1個の肝葉に直接注入した。シグナルが安定である場合、15,000IU/マウス/日でのIFN−α処理を接種27日後に開始した。生物発光シグナルは、IFN−α2B処理群において、担体群に比べ、2日目に10倍以上減少した(図13d)(P<0.0001)。この結果は、皮下モデルで観察された結果と非常に類似していた(図13a参照)。処理後にシグナルがベースラインに到達するので、処理の除去5日後に、ほんの僅かな回復が観察された(図13d)。ルシフェラーゼが肝臓と関連することを確認するため、本発明の終わりに健康診断によって腫瘍の位置を、決定した。
【0195】
(実施例18)マウスモデルにおける、HCVへの小分子、ウイルス特異的プロテアーゼ阻害剤(BILN 2061)の有効性
臨床的試験の有効性を評価するためのモデルの使用の可能性、HCV NS3/4Aプロテアーゼ(BILN 2061)の阻害剤を試験した。BILN 2061が24時間以上の間の持続する血漿への露出を示すことを示す薬物動態学(PK)データをベースとする皮下経路によりBILN 2061が送達された。T7−11細胞の皮下移植の21後に、BILN 2061を1日1回、30mg/kgの投与を開始した。図14aに示す結果は、生物発光シグナルは、対照群に比べ、3日以内に、約2倍の対数で減少することを示す(P=0.0006)。予想されるように、処理終了の数日後に、シグナルは未処理群と同じレベルに回復した(P=0.5338)。データは、化合物がin vivoでHCV RNAを効果的に減少するが、レプリコンを含む細胞において逆効果はないことを証明した。
【0196】
(実施例19)マウスモデルにおけるプロテアーゼ阻害剤(BILN 2061)及びIFN−αの併用療法の有効性
BILN 2061及びIFN−α2Bの組み合わせによるHCV複製におけるプロテアーゼ阻害剤BILN 2061の効果を調べた。以前に開示されている(Lamarre,D., et al., An NS3 protease inhibitor with antiviral effects in humans infected with hepatitis C virus. Nature 426, 186−9 (2003))ように、BILN 2061はNS3プロテアーゼである。処理は、γ線処理されたSCIDマウスにおいて、T7−11細胞の皮下移植18日後に開始された。3群のマウスに、1日に30mg/kgのBILN 2061単独、15,000IU/mLのIFN−α単独、又は2つの薬剤の組み合わせを、それぞれ投与した。処理の2日後、平均的発光シグナルは、BILN 2061又はIFN−α2Bで処理したマウスにおいて、対照群と比較して16倍又は7倍減少した(P<0.01)(図14b)。対照的に、BILN 2061/IFN−α2Bの併用療法で処理したマウスにおいては、生物発光において約100倍の減少が観察された(P<0.001)(図14b)。明らかに、併用療法は、何れかの試薬単独での処理よりも更に効果的にHCV RNA複製を阻害し、HCV処置のための新しい処置戦略を評価するためのモデルの有用性を証明した。
【0197】
(実施例20)ヒトIFN−α2Bに対する感受性が低下した細胞の選択
予備的なデータは、T7−11細胞におけるRNA複製が、親S6.1−6細胞におけるよりも、in vitroにおいてヒトIFN−α2Bに対して5〜8倍耐性であることを示し、T7−11細胞における抗ウイルス応答が減衰するように見え、in vivoにおけるレプリコンRNAの観測された安定性の向上を説明する状態を示唆する。本発明者等は又、このIFN−αに非感受性な表現型が細胞レベルで獲得した適応突然変異と関連し、ウイルスRNAレベルでないことを見出した。
【0198】
T7−11細胞又はL10−16細胞は、in vitroでのIFN−αのEC50によって決定されるIFNの非感受性表現型が維持する。これらの細胞はレプリコンが回復し、次いで高用量のIFN−α中で連続して培養される。これらの細胞を密集するまで増殖させ、培地に200IU/mLのIFN−αを補充する。細胞を、この条件下に2週間維持する。2週間後、細胞を分け、G418を含むか又は含まない完全培地で増殖させる。G418を含む培地内で増殖しないことは、レプリコンが細胞内にもはや存在しないことを示す。得られた細胞株を、「T7−11C」及び「L10−6C」(回復した)と呼ぶ。同一のレプリコンRNA(rep114/ET)のS6.1、回復したT7−11細胞(図17において「T7−11C」)及び回復したL10−16細胞(図17において「L10−16C」)中への一時的なトランスフェクションにより、これらの全てin vitroでのIFN−α処理によりレプリコンRNAを除去し、回復したT7−11細胞のみが、in vitroでのIFN−αのEC50によって決定されるようなIFNの非感受性表現型を維持する。
【0199】
前述した方法は、インターフェロンαに加えて、他の免疫調節化合物に対して感受性の低下した腫瘍細胞株を単離するために使用することができる。
【0200】
(実施例21)T7−11細胞のin vitro複製におけるプロテアーゼ阻害剤の有効性
BILN 2061の抗ウイルス作用についても調べた。腫瘍細胞の移植25日目からBILN 2061を1日1回、皮下への30mg/kgの投与を開始した。処理群において、未処理の対照群と比較し、3日以内に10倍の減少が観察された(P>0.0001)(図16)。ひとまとめにして考えると、肝臓モデルにおけるIFN−α及びBILN 2061の作用は、皮下モデルにおいて観察されたものと非常に類似しており(図13b及び13dを参照)、抗HCV化合物の評価のための両方のモデルの有用性が証明された。
【0201】
特定の実施例に加えて、以下の一般的方法が使用される。
【0202】
方法:
細胞培養
ヒト肝癌細胞株Huh−7(Cancer Res 42:3858−63)を、高用量のグルコース、10%ウシ胎児血清、L−グルタミン、及び必須でないアミノ酸を含むダルベッコ変法イーグル培地(EMEM)(Invitrogen[米国カリフォルニア州カールズバッド])中で、5%CO中で37℃に維持した。レプリコン含有細胞クローンのために、G418(ゲネチシン)(Invitrogen[米国カリフォルニア州カールズバッド])を最終濃度が0.5mg/mLになるように加えた。
【0203】
プラスミドの構築
pFKI341PILucNS3−3’/ET由来の1.6kbのXbal−NotIフラグメントを、pFKI389LucUbiNeoNS3−3’/5.1由来の2.6kbのXbal−NotIフラグメントと置換することにより、レプリコンrep114/ETを構築した。
【0204】
RNAの調製及びエレクトロポレーション
ScaIを使用してプラスミドを直線化し、MEGAscriptキット(Ambion[米国テキサス州オースティン])を使用してRNAを合成した。RNAを抽出し、製造業者の説明書に従い、TRIzolを使用して精製した。RNAのトランスフェクションは、既述の通り実施した。
【0205】
S6.1、S6.1−6及びT7−11細胞株のサブクローニング
S6.1細胞:500個のHuh 5−2細胞を10匹のメスSCID/bgマウスの右脇腹に皮下移植した。3個の最も大きい腫瘍を細胞の移植37日後に集め、2枚の滅菌したスライドグラスのつや消しした先端を使用して粥状にすりつぶした。粥状の細胞の50〜100μLを、10匹の麻酔したSCID−bigeマウスに、それぞれ外套針を使用して皮下に挿入した。このin vivo継代接種手順を、それぞれ22及び28日目に腫瘍由来の粥状細胞を使用して2回以上繰り返した。最終の移植の24日後に、最も大きい3つの腫瘍を集め、腫瘍細胞を広げ、細胞株S6.1を生成した。
【0206】
S6.1−6:in vitroで転写した、5μgのrep114/ETを、S6.1細胞内にエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションの後、0.5mg/mLのG418を含む培地中で安定した細胞クローンを選択した。G418耐性コロニーのルシフェラーゼ発現を評価し、最も高い発現を有するコロニーを広げ、細胞株S6.1−6を生成した。
【0207】
T7−11細胞:0.2mLのハンクス液(HBSS)中の500万個のD6.1−6細胞を、細胞移植前に放射線照射(3Gy)されたメスのC.B17 SCIDマウスに皮下移植した。強い生物発光を照射する腫瘍を27日後に切除し、腫瘍の生物発光部分を、0.5mg/mLのG418の存在下、in vitroで培養した。Xenogen IVISTMイメージング装置(Xenogen Corporation[米国カリフォルニア州アラメダ])を使用して、G418耐性コロニーのルシフェラーゼ発現を評価し、高い発現を有する1個のコロニーを広げ、細胞株T7−11を生成した。
【0208】
ノーザンハイブリダイゼーションによるHCV RNAの解析
TRIzol試薬(Invitrogen[米国カリフォルニア州カールズバッド])を使用して、腫瘍組織試料から全RNAを抽出した。2.2Mのホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲルにより、10μgの全RNAを分画し、NS5Aの3’末端及びNS5Bの5’末端に相補的な、32P−標識されたネガティブセンスリボプローブ(Promega[米国ウィスコンシン州マディソン])とハイブリダイズするナイロン膜(Ambion[米国テキサス州オースティン])に転写した。
【0209】
免疫組織化学的解析
ホルマリン固定、又は4%パラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋した腫瘍の何れかから、4μm厚みの切片を調製した。開裂したPARP及び活性化キャスパーゼ3の検出のため、ポリクローナウウサギ抗−開裂PARP抗体(BioSource[米国カリフォルニア州カマリロ])及びポリクローナルウサギ抗−開裂したキャスパーゼ3抗体(CalBiochem[米国カリフォルニア州サンディエゴ])を、ビオチニル化抗−ウサギ二次抗体(Jackson Labs[米国ペンシルバニア州ウェストグローブ])と一緒に使用した。Ki−67について、マウスモノクローナル抗−ヒトKi−67抗体(Ventana Medical Systems[米国アリゾナ州トゥーソン])及びビオチニル化抗−マウスIgG1二次抗体(Research Diagnostics Inc.[米国ニュージャージー州フランダース])を使用した。ウイルスタンパク質NS5Bの発現の検出のために、ポリクローナルウサギ抗−NS5B抗体(Chiron Corporation[米国カリフォルニア州エメリービル])、及びフルオレセインイソチオシアネート(FITC)−結合ヤギ抗−ウサギ免疫グログリン抗体(Invitrogen[米国カリフォルニア州カールズバッド])を使用した。
【0210】
in vivo実験
メスのC.B17 SCID(SCID)、SCID/bg、Nu/Nu及びBalb/cマウス(5〜13週齢)をCharles River Laboratories米国マサチューセッツ州ウィルミントン)から得た。全ての実験は、実験動物の福祉を監督している動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)の指示の下、AALASに保証された施設中で実施された。
【0211】
細胞の移植。メスのSCIDマウスを、細胞移植をする部位で剪毛し、細胞移植の1日前又は当日の何れかに3Gyのγ線を照射した。皮下移植については、0.2mLのHBSS中の500万個の細胞を右脇腹に移植した。肝臓内の直接移植については、マウスを麻酔し、小さい切開から1個の肝葉を露出させた。20〜50μLのHBSS中の1〜200万個の脂肪を肝実質に直接注入した。
【0212】
in vivoの全身画像撮影。麻酔したマウスに、150mg/kgのルシフェリン(Xenogen Corporation[米国カリフォルニア州アラメダ])を腹腔内注射した。10〜20分後、Xenogen IVISTMシステム中のCCDカメラを使用してマウスをイメージングした。生物発光シグナル強度を、Living Image Software(Xenogen Corporation[米国カリフォルニア州アラメダ])を使用して定量した。
【0213】
薬剤処理。IFN−α2b(Intron(登録商標) A;Schering−Pough[米国ニュージャージー州])、BILN 2061及びrIL−2(Aldesleukin/Proleukin(登録商標))(Chiron Corporation[米国カリフォルニア州エメリービル])を、上部の肩甲骨の領域に皮下投与した。
【0214】
統計解析。マウスの対照及び処理群の生物発光シグナルの相違は、両側マンホイットニー検定により比較した。マウスの対照、処理及び回復群の間のシグナルの相違は、ノンパラメトリッククラスカル・ワリス検定により比較した。AP−値<0.05が有意であると考えられた。
【0215】
以上において、理解を明確にするために、前記発明を多少詳細に説明してきたが、特定の変更及び改変が本発明の適用範囲内で実施されることは明らかになるであろう。本発明の方法及び組成物の両方を実施する多くの代替方法があることに留意する必要がある。従って、本発明の実施形態は、本発明の実施形態は例示するものであり、限定するものではなく、本発明は本明細書に開示された詳細に限定されることはない。
【0216】
引用された全ての文献は、全体が参考として及び全ての目的のために本明細書で援用される。
【0217】
【化9】

【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】図1は、NS3領域における2個のHuh7細胞適応突然変異E1202G及びT1280Iと、NS4B領域における1個の適応突然変異K1846Tを含む、サブゲノムHCVレプリコン構築物PILucUbiNeoNS3−3’/ET(ポリオウイルスIRESレプリコン)を示す。これらの適応突然変異の位置を図1中の星により示す。示されるレプリコンは、本発明の一実施形態による動物モデルにおいて使用される。図2Aは、Huh7細胞中でHCV 5’UTR/IRESによって促進されるルシフェラーゼ発現を有する、Huh7細胞中のPILucUbiNeoNS3−3’/ETレプリコン(図1においてPVIレプリコンを標識)、及びLucUbiNeoNS3−3’/5.1レプリコン(図1においてHCVIレプリコンを標識)を使用したトランスフェクションから24、48及び72時間後に1×10細胞当たりの相対光量(RLUs)で発現するルシフェラーゼシグナルを示すグラフである。図2Bは、HCVIレプリコン(適応突然変異E1202G,T1280I,L1757I,N2109D,S2197P,P2327S及びK2350Eを有する)を含むHuh7細胞、HCVIレプリコン(適応突然変異E1202G,T1280I及びK1846Tを有する)を含むHuh7細胞、及びPVIレプリコン(図1において星で示される適応突然変異E1202G,T1280I及びK1846Tを有する)を含む細胞のコロニー形成を示す。レプリコンを有する細胞はG418を使用して選択される。
【図3】図3は、5−2Hu7細胞及びS6.1−6細胞による腫瘍形成の速度の2つの試験(061及び159試験)結果を示すグラフである。061実験は、5−2 Huh7細胞の腫瘍形成の速度を決定し、159実験は、S6.1細胞及び5−2 Huh7細胞の腫瘍形成の速度を決定した。
【図4】図4は、Huh7 PILucUbiNeoNS3−3’/ET由来のトランスフェクトされたRNAを含むS6.1(高速増殖腫瘍)細胞クローンのルシフェラーゼ検定の結果を示す。
【図5】図5A〜Cは、レプリコン含有細胞を移植したマウスの画像である。図5Aは、S6.1−6細胞を皮下移植し、γ線照射したSCIDマウスの画像を示す。図5Bは、S6.1−6細胞を皮下移植したSCID−bgマウスの画像を示す。図5Cは、マトリゲルの存在下で5−2 Huh7細胞を皮下移植したSCID−bgマウスの画像を示す。画像は、接種から1、3、4及び7日後に取得し、生物発光を示した。
【図6】図6A及びGは、S6.1−6又は5−2 Huh7細胞を接種されたマウスの接種後の時間関数として平均生物発光を示すグラフである。図6Aは、SCID/bgマウスに皮下投与したS6.1−6細胞と比較した、SCIDマウスに皮下移植し、γ線照射したS6.1−6細胞(代表的なマウスを図5Aに示す)の平均生物発光を示す。図6Bは、5−2 Huh7細胞をマトリゲルの存在下で皮下移植したSCID/bgマウスの平均生物発光を示す(代表的なマウスを図5Cに示す)。
【図7】図7は、S6.1−6細胞を皮下移植した、γ線照射したSCIDマウスの1、2、3、4、7、10、17及び21日目における平均生物発光を、5−2 Huh7細胞を皮下移植し、γ線照射したSCIDマウスのそれと比較するグラフである。
【図8】図8は、S6.1−6細胞を皮下移植した3つの実験群:対照群、低用量IFN−α群及び高用量IFN−α群それぞれに由来する代表的なマウスの1、2、3、4及び7日における画像である。マウスにγ線を照射し、以下の投与量を投与した。対照群:担体(ハンクス液(HBSS)中、100μg/mLのヒト血清アルブミンを0.1mL)の1日1回(QD)皮下投与(SC);低用量IFN−α群;18gのマウスに対し、1日当たり2,400IUのIFN−αを皮下投与:高用量IFN−α群:18gのマウスに対し、1日当たり200,000IUのIFN−αを皮下投与。各日の投与前に画像を取得した。
【図9】図9は、図8に関連し、前述した各群の平均生物発光を示すグラフである。生物発光は毎日の投与前に測定した。
【図10】図10は、Huh7細胞をマウスに皮下移植し、腫瘍を増殖させてから42日後の未処理マウス(担体)と比較した、IFN−α(IFN)で処理したマウスの生物発光シグナルを示すグラフである。42日目に、マウスに以下の投与量を投与した:対照群:担体(HBSS中の100μg/mLのヒト血清アルブミン0.1mL)皮下投与IFN−α群;18gのマウスに対し200,000IU/日のIFN−α、皮下投与。生物発光は投与前及び投与後43日目に測定した。
【図11】図11は、7日間にわたり測定した、肝臓に移植したS6−1−6細胞を移植したマウスの平均生物発光を示すグラフである。IFN−α(IFN)で処理されたマウスの平均生物発光を、未処理マウスのものと比較する。マウスを以下の投与量で処理した。担体又は対照群(第1群)を、HBSS中の100μg/mLのヒト血清アルブミン0.1mLを使用して、1日1回投与した。IFNα群(第2群)は、18gのマウスに対し、1日当たり200,000IU/日のIFN−αを皮下投与により実施した。1、2、4及び7日目の投与前に生物発光を測定した。
【図12】図12は、T7−11皮下モデルにおける平均生物発光とサブゲノムRNAの複製間の相関関係である。(a)γ線照射したSCIDマウスにおける、マウス適応レプリコン含有T7−11細胞及び親S6.1−6細胞の平均生物発光。T7−11及びS6.1−6細胞を皮下移植し、種々の時点で平均生物発光を得、グラフにプロットした。1、10、15、25及び31日目における2つの群の代表的なマウスの画像を下のパネルに示す。(b)腫瘍組織におけるHCVウイルスRNAの検出。全RNA(10μg)をT7−11細胞の皮下移植後26日目にγ線照射したSCIDマウス内で形成された腫瘍から単離し(レーン4)、ノーザンブロット解析を行った。ブロットを、HCV NS5領域に対応する放射標識したRNAプローブとハイブリダイズさせた。in vitroで転写されたHCV RNA(vRNA)の1×10ゲノムは、ハイブリダイゼーション反応のマーカー及び対照とし(レーン1)、28S rRNAは、解析した各試料中に存在するRNAの量の対照とした。レーン2及び3は、陰性対照として、投薬を受けていないHuh7及びS6.1細胞から抽出された全RNAであった。
【図13A】図13は、T7−11モデルにおけるIFN−α2B(IFN)の抗ウイルス活性である。(a)皮下投与マウスモデルにおける濃度依存的なIFN抗HCV効果。IFN処理は、γ線照射したSCIDマウスにおけるT7−11細胞の移植後19日目に実施された。以下の投与量を1日1回、7日間皮下経路により投与した:対照、HBSS中の100μg/mLのヒトアルブミンを0.1mL;7,500IU群、18gのマウス当たり1日当たり7,500IUのIFN;18gのマウス当たり1日当たり15,000IFU。(b)IFN処理は、2群において15,000IU/マウス/日:14日目にIFN1日1回投与を2週間;3日目にIFN1日1回投与を3日間で、(a)に記載されたのと同様に与えられる。個々のマウスを、投与前19日目に、次いで、21、22、26、29及び33日目にイメージングした。(c)(b)に記載の通り移植後33日目の未処理、IFN処理(14日目にIFNを1日1回投与)及びIFN回復(3日目にIFNを1日1回投与)群の腫瘍組織中のHCV複製及び細胞死の免疫組織化学的解析。NS5Bのタンパク質発現を、フルオレセインイソチオシアネート結合NS5Bに対する抗体に結合したモノクローナル抗体を使用して検出した。細胞死は、方法(d)肝臓マウスモデルにおけるIFN抗HCV効果試験に記載の通り、cPARP抗体を使用して検出された。T7−11細胞を、γ線照射したSCIDマウスの肝臓の1個の肝葉に直接移植した。IFN処理は、移植後27日目に開始し、皮下投与で1日1回2日間実施された(灰色の線)。処理群は15,000IU/マウス/日が、対照群はヒトアルブミンが投与された。データは、各パネルについての2〜4回の実験の代表である。エラーバーは標準誤差(SE)を示す。
【図13B】図13は、T7−11モデルにおけるIFN−α2B(IFN)の抗ウイルス活性である。(a)皮下投与マウスモデルにおける濃度依存的なIFN抗HCV効果。IFN処理は、γ線照射したSCIDマウスにおけるT7−11細胞の移植後19日目に実施された。以下の投与量を1日1回、7日間皮下経路により投与した:対照、HBSS中の100μg/mLのヒトアルブミンを0.1mL;7,500IU群、18gのマウス当たり1日当たり7,500IUのIFN;18gのマウス当たり1日当たり15,000IFU。(b)IFN処理は、2群において15,000IU/マウス/日:14日目にIFN1日1回投与を2週間;3日目にIFN1日1回投与を3日間で、(a)に記載されたのと同様に与えられる。個々のマウスを、投与前19日目に、次いで、21、22、26、29及び33日目にイメージングした。(c)(b)に記載の通り移植後33日目の未処理、IFN処理(14日目にIFNを1日1回投与)及びIFN回復(3日目にIFNを1日1回投与)群の腫瘍組織中のHCV複製及び細胞死の免疫組織化学的解析。NS5Bのタンパク質発現を、フルオレセインイソチオシアネート結合NS5Bに対する抗体に結合したモノクローナル抗体を使用して検出した。細胞死は、方法(d)肝臓マウスモデルにおけるIFN抗HCV効果試験に記載の通り、cPARP抗体を使用して検出された。T7−11細胞を、γ線照射したSCIDマウスの肝臓の1個の肝葉に直接移植した。IFN処理は、移植後27日目に開始し、皮下投与で1日1回2日間実施された(灰色の線)。処理群は15,000IU/マウス/日が、対照群はヒトアルブミンが投与された。データは、各パネルについての2〜4回の実験の代表である。エラーバーは標準誤差(SE)を示す。
【図13C】図13は、T7−11モデルにおけるIFN−α2B(IFN)の抗ウイルス活性である。(a)皮下投与マウスモデルにおける濃度依存的なIFN抗HCV効果。IFN処理は、γ線照射したSCIDマウスにおけるT7−11細胞の移植後19日目に実施された。以下の投与量を1日1回、7日間皮下経路により投与した:対照、HBSS中の100μg/mLのヒトアルブミンを0.1mL;7,500IU群、18gのマウス当たり1日当たり7,500IUのIFN;18gのマウス当たり1日当たり15,000IFU。(b)IFN処理は、2群において15,000IU/マウス/日:14日目にIFN1日1回投与を2週間;3日目にIFN1日1回投与を3日間で、(a)に記載されたのと同様に与えられる。個々のマウスを、投与前19日目に、次いで、21、22、26、29及び33日目にイメージングした。(c)(b)に記載の通り移植後33日目の未処理、IFN処理(14日目にIFNを1日1回投与)及びIFN回復(3日目にIFNを1日1回投与)群の腫瘍組織中のHCV複製及び細胞死の免疫組織化学的解析。NS5Bのタンパク質発現を、フルオレセインイソチオシアネート結合NS5Bに対する抗体に結合したモノクローナル抗体を使用して検出した。細胞死は、方法(d)肝臓マウスモデルにおけるIFN抗HCV効果試験に記載の通り、cPARP抗体を使用して検出された。T7−11細胞を、γ線照射したSCIDマウスの肝臓の1個の肝葉に直接移植した。IFN処理は、移植後27日目に開始し、皮下投与で1日1回2日間実施された(灰色の線)。処理群は15,000IU/マウス/日が、対照群はヒトアルブミンが投与された。データは、各パネルについての2〜4回の実験の代表である。エラーバーは標準誤差(SE)を示す。
【図13D】図13は、T7−11モデルにおけるIFN−α2B(IFN)の抗ウイルス活性である。(a)皮下投与マウスモデルにおける濃度依存的なIFN抗HCV効果。IFN処理は、γ線照射したSCIDマウスにおけるT7−11細胞の移植後19日目に実施された。以下の投与量を1日1回、7日間皮下経路により投与した:対照、HBSS中の100μg/mLのヒトアルブミンを0.1mL;7,500IU群、18gのマウス当たり1日当たり7,500IUのIFN;18gのマウス当たり1日当たり15,000IFU。(b)IFN処理は、2群において15,000IU/マウス/日:14日目にIFN1日1回投与を2週間;3日目にIFN1日1回投与を3日間で、(a)に記載されたのと同様に与えられる。個々のマウスを、投与前19日目に、次いで、21、22、26、29及び33日目にイメージングした。(c)(b)に記載の通り移植後33日目の未処理、IFN処理(14日目にIFNを1日1回投与)及びIFN回復(3日目にIFNを1日1回投与)群の腫瘍組織中のHCV複製及び細胞死の免疫組織化学的解析。NS5Bのタンパク質発現を、フルオレセインイソチオシアネート結合NS5Bに対する抗体に結合したモノクローナル抗体を使用して検出した。細胞死は、方法(d)肝臓マウスモデルにおけるIFN抗HCV効果試験に記載の通り、cPARP抗体を使用して検出された。T7−11細胞を、γ線照射したSCIDマウスの肝臓の1個の肝葉に直接移植した。IFN処理は、移植後27日目に開始し、皮下投与で1日1回2日間実施された(灰色の線)。処理群は15,000IU/マウス/日が、対照群はヒトアルブミンが投与された。データは、各パネルについての2〜4回の実験の代表である。エラーバーは標準誤差(SE)を示す。
【図14A】図14は、T7−11皮下モデルにおけるプロテアーゼ阻害剤BILN 2061(BI)単独の抗ウイルス効果である。(a)T7−11細胞を、γ線照射したSCIDマウスに皮下移植した。BILN 2061(BI)処理を、移植後21日目に開始し、30mg/kgで1日1回、3日間実施した。BI処理は24日目に中止した。個々のマウスを、投与21日前に、次いで22、23、24、30及び32日目にイメージングした。(b)T7−11細胞をγ線照射したSCIDマウスに皮下移植した。マウスに対し、30mg/kgでBI、及び/又は15,000IUでIFNを、細胞移植後18日目に開始して実施した。生物発光は4日間毎日測定した。
【図14B】図14は、T7−11皮下モデルにおけるプロテアーゼ阻害剤BILN 2061(BI)単独の抗ウイルス効果である。(a)T7−11細胞を、γ線照射したSCIDマウスに皮下移植した。BILN 2061(BI)処理を、移植後21日目に開始し、30mg/kgで1日1回、3日間実施した。BI処理は24日目に中止した。個々のマウスを、投与21日前に、次いで22、23、24、30及び32日目にイメージングした。(b)T7−11細胞をγ線照射したSCIDマウスに皮下移植した。マウスに対し、30mg/kgでBI、及び/又は15,000IUでIFNを、細胞移植後18日目に開始して実施した。生物発光は4日間毎日測定した。
【図15】図15は、種々のレプリコンを有する細胞株の皮下投与に続くレプリコン発現のグラフ表示を示す。
【図16】図16は、HCV複製におけるBILN 2061の抗ウイルス効果を示す。腫瘍細胞移植後25日目からBILN 2061を1日1回、30mg/kgの皮下投与を開始した。未処理の対照群に比べて、処理群では、3日以内に10倍の減少が観察された(P>0.0001)(図16)。
【図17】図17は、細胞性適応がレプリコン細胞株におけるα−インターフェロンに対する耐性の上昇に関与することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCVレプリコン由来のHCVウイルス又はウイルス様粒子の複製、発現又は産生を測定するのに有用な動物であって、
レポーター遺伝子を含むHCVレプリコンを含有する細胞を含み;
該動物が免疫無防備状態である、動物。
【請求項2】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞が、初代肝細胞;幹細胞;腎臓細胞;肝臓細胞;骨髄由来細胞;ヘパトーム;肝芽腫からなる群から選択される、請求項1に記載の動物。
【請求項3】
前記レプリコンを含む前記細胞が、ヒト細胞であるか、ヒト細胞に由来する、請求項1又は2に記載の動物。
【請求項4】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞が不死化細胞である、請求項1に記載の動物。
【請求項5】
前記レプリコンを含む前記細胞が腫瘍細胞である、請求項1〜4の何れか1項に記載の動物。
【請求項6】
前記細胞が、Huh 7細胞、HeLa細胞、HEK293、IMY細胞、FLC4細胞、及びHepG2細胞から選択される、請求項5に記載の動物。
【請求項7】
前記細胞がHuh 7細胞に由来する、請求項6に記載の動物。
【請求項8】
前記Huh 7に由来する細胞が、Huh 5−2細胞である、請求項7に記載の動物。
【請求項9】
小動物である、請求項1〜8の何れか1項に記載の動物。
【請求項10】
前記小動物がげっ歯類である、請求項9に記載の動物。
【請求項11】
前記げっ歯類がマウスである、請求項10に記載の動物。
【請求項12】
非トランスジェニック動物である、請求項1〜11の何れか1項に記載の動物。
【請求項13】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞が、前記生物を介した複数の継代により該動物における増殖に適応される、請求項1〜12の何れか1項に記載の動物。
【請求項14】
前記レプリコンを含む前記細胞が、前記動物において向上した増殖速度を有するように適応される、請求項1〜13の何れか1項に記載の動物。
【請求項15】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞が、前記動物において向上したレプリコン安定性を有するように適応される、請求項1〜14の何れか1項に記載の動物。
【請求項16】
前記適応された細胞が、前記動物においてin vivoで連続して皮下に継代接種されている、請求項13〜15の何れか1項に記載の動物。
【請求項17】
前記HCVレプリコンがサブゲノムレプリコンである、請求項1〜16の何れか1項に記載の動物。
【請求項18】
前記HCVレプリコンがゲノムレプリコンである、請求項1〜16の何れか1項に記載の動物。
【請求項19】
前記レポーター遺伝子が、HCVポリタンパク質又はそのフラグメントをコードするモノシストロン性RNAの一部である、請求項1〜18の何れか1項に記載の動物。
【請求項20】
前記レポーター遺伝子が、HCVプロテアーゼにより前記HCVタンパク質から開裂される、請求項19に記載の動物。
【請求項21】
前記レポーター遺伝子産物が、前記HCVレプリコンの複製及び発現並びに前記HCVポリタンパク質の開裂の後にHCVタンパク質に融合したままとなる、請求項19に記載の動物。
【請求項22】
前記レポーター遺伝子産物が、HCV構造タンパク質に融合したままとなる、請求項21に記載の動物。
【請求項23】
前記レポーター遺伝子産物が、HCV非構造タンパク質に融合したままとなる、請求項21に記載の動物。
【請求項24】
前記レポーター遺伝子産物が、NS5Aに融合したままとなる、請求項23に記載の動物。
【請求項25】
前記レポーター遺伝子が、酵素;既知の抗体により検出可能な抗原;及び蛍光を発するタンパク質からなる群から選択される産物をコードする、請求項1〜24の何れか1項に記載の動物。
【請求項26】
前記レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼである酵素をコードする、請求項25に記載の動物。
【請求項27】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞が更に、少なくとも1つの更なる遺伝子を発現する、請求項1〜26の何れか1項に記載の動物。
【請求項28】
前記更なる遺伝子が第2のレポーター遺伝子を含む、請求項27に記載の動物。
【請求項29】
前記第2のレポーター遺伝子が、前記動物に導入された細胞の生存能力のマーカーである、請求項28に記載の動物。
【請求項30】
前記更なる遺伝子がカベオリンを含む、請求項27〜28の何れか1項に記載の動物。
【請求項31】
前記カベオリンが、カベオリン−3又はカベオリン−3の機能的同等物である、請求項30に記載の動物。
【請求項32】
前記カベオリン−3がヒトカベオリン−3である、請求項31に記載の動物。
【請求項33】
1つ以上の前記更なる遺伝子がプラスミド内にコードされる、請求項27〜32の何れか1項に記載の動物。
【請求項34】
1つ以上の前記更なる遺伝子が、前記HCVレプリコン内にコードされる、請求項27〜33の何れか1項に記載の動物。
【請求項35】
1つ以上の前記更なる遺伝子が、前記HCVレプリコンを含む前記細胞のゲノム内に組み込まれる、請求項27〜34の何れか1項に記載の動物。
【請求項36】
1つ以上の前記更なる遺伝子が、HCV、前記HCVレプリコンを含む前記細胞及び前記動物に対して異種である、請求項27〜35の何れか1項に記載の動物。
【請求項37】
前記動物が、遺伝子の突然変異、照射、及び化学的免疫抑制の少なくとも1つにより免疫無防備状態にされる、請求項1〜36の何れか1項に記載の動物。
【請求項38】
前記動物がγ線照射されている、請求項37に記載の動物。
【請求項39】
前記動物がSCID動物である、請求項1〜38の何れか1項に記載の動物。
【請求項40】
レプリコンの発現及び/又は前記HCVレプリコンの複製が、該レプリコンを含む前記細胞が前記動物内に導入された後、少なくとも2日間維持される、請求項1〜39の何れか1項に記載の動物。
【請求項41】
レプリコンの発現及び/又は前記HCVレプリコンの複製が、該レプリコンを含む前記細胞が前記動物内に導入された後、少なくとも5日間維持される、請求項40に記載の動物。
【請求項42】
レプリコンの発現及び/又は前記HCVレプリコンの複製が、該レプリコンを含む前記細胞が前記動物内に導入された後、少なくとも7日間維持される、請求項40に記載の動物。
【請求項43】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞が、前記動物の門脈に該HCVレプリコンを含む該細胞を注射することによって該動物に導入される、請求項1〜42の何れか1項に記載の動物。
【請求項44】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞が、前記動物の肝臓に移植される、請求項1〜42の何れか1項に記載の動物。
【請求項45】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞が、前記動物の皮下に移植される、請求項1〜42の何れか1項に記載の動物。
【請求項46】
HCV複製を減少又は阻害する化合物を同定する方法であって、
a)請求項1〜45の何れか1項に記載の免疫無防備状態である動物を提供する工程;
b)候補化合物を該動物に投与する工程;及び
c)手順a)で提供される、該化合物と接触させていない動物のレプリコン内に含まれるレポーター遺伝子の活性レベルと比較して、該動物の該レプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルを測定する工程、
を包含し;
該化合物と接触させた該動物のレプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルを減少又は阻害する化合物が、HCVの複製を阻害する又は減少させる化合物である、方法。
【請求項47】
複製の経過が、前記HCVレプリコンを含む細胞を前記動物に導入した後、少なくとも2日間観察される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
複製の経過が、前記HCVレプリコンを含む細胞を前記動物に導入した後、少なくとも5日間観察される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
複製の経過が、前記HCVレプリコンを含む細胞を前記動物に導入した後、少なくとも7日間観察される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞を前記動物に導入する前に、該動物が免疫無防備状態にされる、請求項46〜49の何れか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞を前記動物に導入した後に、該動物が免疫無防備状態にされる、請求項46〜49の何れか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞を前記動物に導入するのと同時に、該動物が免疫無防備状態にされる、請求項46〜49の何れか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞が、皮下移植によって前記動物に導入される、請求項46〜52の何れか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞が前記動物の肝臓内に移植される、請求項46〜52の何れか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記細胞が、門脈を介して前記動物に導入された後、該動物の肝臓に移動する、請求項46〜52の何れか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記動物がγ線照射により免疫無防備状態にされる、請求項46〜55の何れか1項に記載の方法。
【請求項57】
HCV粒子の産生を減少又は阻害する化合物を同定する方法であって、
a)請求項1〜43の何れか1項に記載の免疫無防備状態である動物を提供する工程;
b)化合物を該動物に投与する工程であって、該化合物は、レプリコンの複製も発現も減少または阻害しない、工程;及び
c)手順a)で提供される、該化合物と接触させていない動物の該レプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルと比較して、該動物の該レプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルを測定する工程、
を包含し;
該化合物と接触させた該動物の該レプリコン内に含まれる該レポーター遺伝子の活性レベルを減少又は阻害する化合物が、HCV粒子の産生を阻害する又は減少させる化合物である、方法。
【請求項58】
複製の経過が、前記HCVレプリコンを含む細胞を前記動物に導入した後、少なくとも2日間観察される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
複製の経過が、前記HCVレプリコンを含む細胞を前記動物に導入した後、少なくとも5日間観察される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
複製の経過が、前記HCVレプリコンを含む細胞を前記動物に導入した後、少なくとも7日間観察される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞を前記動物に導入する前に、該動物が免疫無防備状態にされる、請求項57〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞を前記動物に導入した後に、該動物が免疫無防備状態にされる、請求項57〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記HCVレプリコンを含む前記細胞を前記動物に導入するのと同時に、該動物が免疫無防備状態にされる、請求項57〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記細胞が、皮下移植によって前記動物に導入される、請求項57〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記細胞が前記動物の肝臓内に移植される、請求項57〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記細胞が、門脈を介して前記動物に導入された後、該動物の肝臓に移動する、請求項57〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記動物がγ線照射により免疫無防備状態にされる、請求項57〜66の何れか1項に記載の方法。
【請求項68】
候補化合物を前記動物に投与する前に、HCVの複製又は粒子の形成を減少又は阻害する化合物が該動物に投与される、請求項46〜67の何れか1項に記載の方法。
【請求項69】
治療有効量の第1の抗ウイルス剤、及び治療有効量の第2の抗ウイルス剤を含む薬学的組成物。
【請求項70】
前記第1の抗ウイルス剤がインターフェロン又はHCVプロテアーゼ阻害剤である、請求項69に記載の薬学的組成物。
【請求項71】
前記第1の抗ウイルス剤がインターフェロンである、請求項70に記載の薬学的組成物。
【請求項72】
前記インターフェロンがα−インターフェロン又はペグ化α−インターフェロンである、請求項71に記載の薬学的組成物。
【請求項73】
前記第2の抗ウイルス剤がNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤である、請求項71に記載の薬学的組成物。
【請求項74】
前記NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤がBILN 2061である、請求項73に記載の薬学的組成物。
【請求項75】
前記第2の抗ウイルス剤が、免疫調節因子、HCVヘリカーゼの阻害剤、HCVポリメラーゼの阻害剤又はHCVプロテアーゼの阻害剤、リバビリン、アマンタジン、VX−497(メリメポジブ、Vertex Pharmaceuticals)、VX−498(Vertex Pharmaceuticals)、レボビリン、ビラミジン、セプレン(マキサミン)、XTL−001及びXTL−002(XTL Biopharmaceuticals)、ANA975(Anadys)、MN283−バロピクチタビン(Idenix)から選択される、請求項69に記載の薬学的組成物。
【請求項76】
前記第2の抗ウイルス剤が抗HCV抗ウイルス剤である、請求項75に記載の薬学的組成物。
【請求項77】
前記抗HCV抗ウイルス剤が、HCVヘリカーゼの阻害剤、HCVポリメラーゼの阻害剤又はHCVプロテアーゼの阻害剤、リバビリン、アマンタジン、VX−497(メリメポジブ、Vertex Pharmaceuticals)、VX−498(Vertex Pharmaceuticals)、レボビリン、ビラミジン、セプレン(マキサミン)、XTL−001及びXTL−002(XTL Biopharmaceuticals)、ANA975(Anadys)、MN283−バロピクチタビン(Idenix)、siRNA及びアンチセンスRNAからなる群から選択される、請求項76に記載の薬学的組成物。
【請求項78】
前記抗ウイルス剤の1つが、イミダゾキノリン、SMIPS及びCpGオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項69又は70に記載の薬学的組成物。
【請求項79】
抗HCVに有効な量の請求項69〜78の何れか1項に記載の薬学的組成物を哺乳動物に投与することにより、該哺乳動物におけるHCV感染を処置又は予防するための方法。
【請求項80】
前記化合物が連続して投与される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記化合物が同時に投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
本明細書に記載の一般的方法及び特定の実施例の何れかに記載される細胞株を樹立する方法。
【請求項83】
本明細書に記載の一般的方法及び特定の実施例の何れかに記載される細胞株。
【請求項84】
本明細書に記載の通り本発明の動物を継代接種した後に、前記細胞株が免疫調節因子に対して感受性が低い、請求項83に記載の細胞株。
【請求項85】
本明細書に記載の通り本発明の動物を継代接種した後に、前記細胞株がインターフェロンαに対して感受性が低い、請求項84に記載の細胞株。
【請求項86】
以下のプロセス:
レポーター遺伝子を含むHCVレプリコンを含む細胞を免疫無防備状態のマウスに移植する工程;
移植後に、強い生物発光を発する腫瘍を該マウスから切除する工程;
該細胞に対して陽性選択剤の存在下で該腫瘍の生物発光部分をin vitroで培養する工程;
ルシフェラーゼの発現が高い細胞コロニーを選択して、該細胞を培養する工程
により得られる、インターフェロンαに対する感受性が低下した細胞株。
【請求項87】
腫瘍細胞株である、請求項86に記載の細胞株。
【請求項88】
前記マウスが、前記レプリコンを含む前記腫瘍細胞を移植する前に照射される、請求項87に記載の腫瘍細胞株。
【請求項89】
前記腫瘍が移植後2〜4週間の間に前記マウスから切除される、請求項86〜88の何れか1項に記載の腫瘍細胞株。
【請求項90】
前記選択剤がG418である、請求項89に記載の腫瘍細胞株。
【請求項91】
前記細胞がもはや前記レプリコンを含有しなくなるまで、該細胞が連続してインターフェロンαに曝露される、請求項86〜90の何れか1項に記載の腫瘍細胞株。
【請求項92】
前記細胞が、約200IU/mLのインターフェロンαの用量で、インターフェロンαに曝露される、請求項91に記載の腫瘍細胞株。
【請求項93】
腫瘍細胞株T7−ll;T7−llC;L10−6;及びL10−6Cからなる群から選択される腫瘍細胞株。
【請求項94】
前記免疫無防備状態のマウスがSCIDマウスである、請求項86〜92の何れか1項に記載の腫瘍細胞株。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−501546(P2009−501546A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522845(P2008−522845)
【出願日】平成18年7月15日(2006.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/027485
【国際公開番号】WO2007/011777
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】