説明

HCV複製の阻害剤としての医薬併用剤

本願発明は、フラビウイルス科のウイルス感染、例えばC型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するために、併用してまたは連続して対象に投与される、医薬品に関するものであり、ここで該処置はHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な化合物、および抗HCV活性を有する付加的な化合物または化合物の組み合わせを投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2010年3月4日付け提出の米国仮特許出願番号61/310579号の利益を主張する。上記した出願のすべての内容は出典明示により本願明細書の一部とされる。
【0002】
(技術分野)
本願発明は、フラビウイルス科のウイルス感染、例えばC型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療するために、併用してまたは連続して対象に投与される、医薬品に関するものであり、ここで該治療はHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な化合物、および抗HCV活性を有する付加的な化合物または化合物の組み合わせを投与することを含む。HCVによりコードされるNS5A蛋白の機能を阻害しうる化合物が記載される。抗HCV活性を有する付加的な薬剤が、例えば、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4B蛋白、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVエグレス、HCV NS5A蛋白およびIMPDH、および/またはシクロスポリンアナログおよび/またはHCVまたはフラビウイルス感染を治療するためのヌクレオシドアナログから選択される、標的の機能を阻害するのに効果的である薬剤である。
【背景技術】
【0003】
本願発明は、一般に、抗ウイルス化合物の組み合わせを対象とし、より具体的にはC型肝炎ウイルス(HCV)によりコードされるNS5A蛋白およびHCVによりコードされるNS3プロテアーゼの機能を阻害しうる併用医薬品を対象とする。
【0004】
HCVは、世界中で、おおまかにはヒト免疫不全ウイルス1型に感染している数の5倍である、推定170百万人が感染している、主たるヒト病原菌である。これらのHCVに感染した個体のかなりの部分は、肝硬変および肝細胞癌を含め、重度の進行性肝疾患を発症する(Lauer, G. M.;Walker, B. D. N. Eng. J. Med. (2001)、345、41-52)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、最も効果的なHCV療法は、ペグ化アルファ−インターフェロンおよびリバビリンを組み合わせて使用し、患者の50%にて持続的効能をもたらし、単独治療薬としての非修飾アルファ−インターフェロンに対して優れた薬効をもたらす(Zeuzem, S.ら、N. Engl. J. Med. (2000)、343、1666-1672)。しかしながら、ペグ化アルファ−インターフェロンおよびリバビリンを併用して用いる経験的な治療計画であっても、患者はかなりの割合でウイルス負荷を持続的に減少させない。かくして、HCV感染を処置するための効果的な治療法に対する明確かつ満たされていない要求がある。
【0006】
HCVはプラスセンスの一本鎖RNAウイルスである。推定アミノ酸配列の比較および5’の非翻訳領域における広範囲に及ぶ類似性に基づき、HCVはフラビウイルス科における別の属として分類される。フラビウイルス科のメンバーはすべて、一つの連続したオープンリーディングフレームの翻訳を介して、既知のすべてのウイルス特異的蛋白をコードするプラスセンスの一本鎖RNAゲノムを含有するエンベロープを持ったウイルス粒子を有する。
【0007】
HCVゲノム全体を通して、ヌクレオチドおよびコードされているアミノ酸配列の中に多数の異質が見出されている。少なくとも6種の主たる遺伝子型が特徴付けられており、50種以上の亜型が報告されている。HCVの主たる遺伝子型は世界中でその分布が異なり、HCVの遺伝的異質性の臨床的有意性が遺伝子型の可能性のある効果の発症機序および療法についての幾多の研究にもかかわらず分かりにくいままである。
【0008】
プラスセンスの一本鎖HCV RNAゲノムは長さが約9500個のヌクレオチドであり、約3000個のアミノ酸の単一の大型のポリ蛋白をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリ蛋白は細胞およびウイルスプロテアーゼにより複数の部位で切断され、構造および非構造(NS)蛋白を生成する。HCVの場合には、成熟した非構造蛋白(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5B)の生成は、2種のウイルスプロテアーゼによりなされる。最初のプロテアーゼはメタロプロテアーゼであると考えられており、NS2−NS3の接合部を切断する;第二のプロテアーゼはNS3のN−末端領域に含まれるセリンプロテアーゼ(本願明細書にてNS3プロテアーゼとも称される)であり、NS3の下流にあるその後のすべての切断を、シスではNS3−NS4A切断部位の、トランスでは残りのNS4A−NS4B、NS4B−NS5A、NS5A−NS5B部位の切断を媒介する。NS4A蛋白は、NS3プロテアーゼの共同因子として作用し、NS3および他のウイルス複製成分の膜への局在をアシストする、複数の機能に供するようである。
【0009】
NS3蛋白とNS4Aとの複合体形成は、すべての部位で蛋白分解効率を高める、プロセッシング事象に不可欠であると思われる。NS3蛋白はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を示す。NS5Bは、HCVの複製に関与する、RNA依存性RNAポリメラーゼである。
【0010】
HCV複製の阻害にて効能を示す化合物のうち、選択的HCVセリンプロテアーゼ阻害剤としてのペプチド化合物が、特許文献のWO/1999/007733、WO/2005/007681、WO/2005/028502、WO/2005/035525、WO/2005/037860、WO/2005/077969、WO/2006/039488、WO/2007/022459、WO/2008/106058、WO/2008/106139、WO/2000/009558、WO/2000/009543、WO/1999/064442、WO/1999/007733、WO/1999/07734、WO/1999/050230およびWO/1998/017679に開示されている。NS5Bポリメラーゼ阻害剤も活性を示す。これらの薬剤は、限定されないが、例えばWO01/90121(A2)または米国特許第6348587号またはWO01/60315またはWO01/32153に記載される、ヌクレオシド型ポリメラーゼ阻害剤などのHCV RNA依存性RNAポリメラーゼの他の阻害剤、あるいはEP162196A1またはWO02/04425に記載されるベンズイミダゾールポリメラーゼ阻害剤などの非ヌクレオシド阻害剤を包含する。しかしながら、これらの化合物はいずれも、現在のところ、臨床試験を超えて進展していない(De Clercq、E. J. Clin. Virol. 2001 22 73-89)。
【0011】
ペグ化アルファ−インターフェロンおよびリバビリンの併用に加えて、HCV感染患者を治療するのに有用な、HCVウイルス複製を選択的に阻害する、別の化合物の併用が望まれる。特に、NS5Aの機能を阻害するのに効果的である医薬品と、他のウイルス標的を阻害するのに効果的である医薬品とを併用するのが望ましい。HCV NS5A蛋白は、例えばTan、S. -L.; Katzel, M. G. Virology (2001) 284,1-12、およびPark、K. -J.; Choi, S. -H、J. Biological Chemistry (2003)に記載されている。HCV NS5A阻害剤の合成を記載する関連する特許文献の開示は:米国2009/0202478;米国2009/0202483;WO2009/020828;WO2009/020825;WO2009/102318;WO2009/102325;WO2009/102694;WO2008/144380;WO2008/021927;WO2008/021928;WO2008/021936;WO2006/133326;WO2004/014852;WO2008/070447;WO2009/034390;WO2006/079833;WO2007/031791;WO2007/070556;WO2007/070600;WO2008/064218;WO2008/154601;WO2007/082554;WO2008/048589;WO2010/017401;WO2010/065668;WO2010/065674;WO2010/065681であり、その各々の内容は出典明示により本願明細書の一部とされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する第一の化合物および抗ウイルス活性を有する第二の薬剤または薬剤の組み合わせの併用、および医薬上許容される賦形剤または担体を含む、医薬組成物を特徴とする。本願発明はまた、HCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な化合物と、抗HCV活性を有する付加的な薬剤または薬剤の組み合わせを、治療的に効果的な量で共同して投与することを含む、ウイルス疾患の治療方法を包含する。ある態様において、抗ウイルス活性を有する薬剤は抗HCV活性を有する薬剤である。ある実施態様において、ウイルス疾患は1または複数の以下の群のメンバーであるウイルス:一本鎖RNAウイルス、フラビウイルス科ウイルス(例、ヘパシウイルス、例えばHCV、フラビウイルスまたはペプチウイルス)およびヘパチウイルスによって惹起される。例えば、HCVはプラスセンスの一本鎖RNAウイルス、フラビウイルス科ウイルス、およびヘパチウイルスである。ある実施態様において、ウイルス疾患はC型肝炎ウイルスにより惹起される。付加的な例示としてのウイルスが本願明細書にて記載されている。
【0013】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な好ましい化合物は、式(I):
【化1】

[式中:
AおよびBは、各々独立して、存在しないか、またはアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式、C−CシクロアルキルおよびC−Cシクロアルケニルからなる群より独立して選択される単環または多環式基であり、各々が所望により置換されていてもよく;好ましくは、所望により置換されていてもよいアリールまたは所望により置換されていてもよいヘテロアリールであり;
Lは存在しないか、または線状の脂肪族基であり;ここで、好ましい線状の基は所望により置換されていてもよいC−Cアルキル、所望により置換されていてもよいC−Cアルケニルおよび所望により置換されていてもよいC−Cアルキニルからなる群より選択され;
ここで、A、BおよびLのうち少なくとも一つは存在し;
Gは1または複数の窒素原子を含有する所望により置換されていてもよい5−員のヘテロアリール、または所望により置換されていてもよい5/6−員の縮合したヘテロアリールであり、ここで該5/6−員の縮合したヘテロアリールのうち5−員環は1または複数の窒素原子を含有し、含窒素ヘテロ環に結合し、および該5/6−員の縮合したヘテロアリールのうち6−員環は基B、LおよびAの一つに結合し、アリールまたはヘテロアリールであり;好ましくは、所望により置換されていてもよいイミダゾリル、所望により置換されていてもよいベンゾイミダゾリルまたは所望により置換されていてもよいイミダゾピリジルであり;
存在する各々のRは、独立して、O(C−Cアルキル)、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、ヘテロ環式、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、各々、所望により置換されていてもよく;好ましくは、所望により置換されていてもよいC−Cアルキル;より好ましくはアミノ、ヒドロキシ、保護アミノまたはO(C−Cアルキル)で所望により置換されていてもよいC−Cアルキルであり;
存在する各々のXは、独立して、NまたはC(R);好ましくはNであり;
存在する各々のX、XおよびXは、独立して、NおよびC(R)から選択され;好ましくはCHであり;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、所望により置換されていてもよいC−CアルキルまたはO(C−Cアルキル)であり;好ましくは、水素であり;
Uは、存在しないか、または独立して、O、S、S(O)、SO、NC(O)−(C−Cアルキル)、C(O)、保護カルボニル、OCH、OCHCH2、SCH、SCHCH、C(R、C(RC(RまたはC=C(Rから選択され;好ましくは、CH、C=N−OMeまたはC=CHであり;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC−C アルキル、所望により置換されていてもよいアリールまたは所望により置換されていてもよいヘテロアリールであり;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、O(C−Cアルキル)、S(C−Cアルキル)、1または2個のC−Cアルキルで所望により置換されていてもよいアミノ、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいC−Cアルキルからなる群より選択され;好ましくは水素、ハロゲンまたはヒドロキシであり;
また別に、2個の同種のR基は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、スピロ、所望により置換されていてもよい3−ないし7−員のシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロ環式環;好ましくは、スピロシクロプロピルを形成してもよく;
存在する各々のR7aおよびR7bは、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアリールおよび所望により置換されていてもよいC−Cアルキルからなる群より選択され;好ましくは、水素またはメチルであり;
また別に、CHR7a−UまたはCHR7b−Uは、一緒になって、CH=CH、縮合して所望により置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、縮合して所望により置換されていてもよいアリールまたは縮合して所望により置換されていてもよいヘテロ環;好ましくは、縮合して所望により置換されていてもよいシクロプロピルから選択される基を形成し;および
さらにまた別に、U、R7aおよびR7bは、それらの結合する炭素原子と一緒になって、架橋した所望により置換されていてもよいシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロ環を含む4−ないし7−員環を形成し;好ましくは架橋したシクロペンチルである]
に対応する構造を有する小型分子の化合物、またはその医薬上許容される塩である。
【0014】
上記した好ましい基は、各々、一の、いずれかの、またはすべての他の好ましい基と組み合わせて適用され得る。
【0015】
もう一つ別の態様において、本願発明は、治療的に有効量の本願発明の化合物または該化合物の組み合わせ、あるいはその医薬上許容される塩を、医薬上許容される担体または賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。
【0016】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物は、好ましくは、100倍に近い、または100倍を超える、治療指数(TI、CC50/EC50)で、細胞培養系(レプリコン)にてウイルスRNA複製を阻害することができる。かかる化合物は、HCV複製の特異的阻害剤であることが判明し、関連するウイルス(デング熱ウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱ウイルス、BVDV)およびBVDVレプリコンを阻害する可能性がある。耐性を付与するHCVレプリコン変異体が選択され、耐性細胞系はNS5Aが本願発明の化合物の主たる標的であることを示した。
【0017】
抗ウイルスまたは抗HCV活性を有する付加的な薬剤または薬剤の組み合わせは、例えばインターフェロン、インターロイキン、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミクイモド(imiquimod)、リバビリン(ribavirin)またはもう一つ別のHCVの小型分子阻害剤などの薬剤であってもよい。望ましくは、抗HCV活性を有する薬剤は、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4B蛋白、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVエグレス、HCV NS5A蛋白、イノシン一リン酸塩脱水素酵素(「IMPDH」)、シクロフィリンおよびHCV感染の治療用のヌクレオシドアナログからなる群より選択される標的の機能を阻害するのに効果的である。
【0018】
本願発明は、HCVに感染した患者の治療法であって、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する治療上有効量の化合物を、抗−ウイルス活性を有する第二薬剤と共同して投与することを含む、方法を提供する。ある態様において、抗−ウイルス活性を有する薬剤は抗HCV活性を有する薬剤を含む。「共同して投与する」なる語は、同時に(例えば、同じ医薬組成物にて)投与すること、および異なる時間で(例えば、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する薬剤を抗−ウイルスまたは抗HCV活性を有する薬剤の前後で投与され得る)投与することを包含する。加えて、本願発明は、HCV NS5A蛋白を本願明細書に記載の組み合わせと接触させることによりHCV NS5A蛋白の機能を阻害する方法を提供する。本願発明に基づいて、この度、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物と、抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤または複数の薬剤の組み合わせを含む、改善された医薬組成物および治療法を提供することが可能である。具体的には、本願発明は、NS5A蛋白の機能を阻害する医薬剤と、抗ウイルス活性を有する第二の薬剤または複数の薬剤との組み合わせを提供する。
【0019】
さらにもう一つ別の実施態様において、本願発明は、RNA含有ウイルスの複製を阻害する方法であって、該ウイルスを、治療的に効果的な量の上記した薬剤の組み合わせ、あるいは医薬上許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、立体異性体、互変異性体、溶媒和物またはそれらのいずれかの組み合わせと接触させることを含む方法を提供する。特に、本願発明は、C型肝炎ウイルスの複製を阻害する方法を対象とする。
【0020】
さらにもう一つ別の実施態様において、本願発明は、RNA含有ウイルスにより惹起される感染を治療または阻害する方法であって、その処置を必要とする患者に、治療的に効果的な量の明細書中に記載の薬剤の組み合わせ、または医薬上許容される塩の形態、プロドラッグ、プロドラッグの塩、立体異性体、または互変異性体、溶媒和物あるいはそれらのいずれかの組み合わせを投与することを含む方法を提供する。特に、本願発明は、C型肝炎ウイルスにより惹起される感染を処置または阻害する方法を対象とする。
【0021】
本願発明のさらにもう一つ別の実施態様は、RNA含有ウイルス、具体的にはC型肝炎ウイルス(HCV)により惹起される感染の処置または予防のための医薬の製造における、後記されるような、本願発明の化合物の組み合わせ、または医薬上許容される塩の形態、プロドラッグ、プロドラッグの塩、立体異性体または互変異性体、溶媒和物あるいはそれらのいずれかの組み合わせの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本願発明の上記したおよび他の目的、特徴および利点は、同じ参照文字が種々の図全体を通して同じ部材に言及している、添付した図面にて説明されるように、本願発明の好ましい実施態様における以下のさらに具体的な記載から明らかであろう。図面は発明の原理を説明するのに使用されるものであり、発明を拡張、強調するものではない。
【0023】
【図1】コンパウンド93と指示された抗ウイルス性化合物との組み合わせについて、全体の相乗的スコアに寄与する各々の組み合わせ濃度での相加的過剰性を示すグラフである。
【図2】図2Aは、ビヒクル対照(DMSO)、コンパウンド93、VX−950およびコンパウンド93とVX−950の組み合わせを用いるアッセイを通してHCV RNAコピー数を示す線グラフである。 図2Bは、ビヒクル対照(DMSO)、コンパウンド95、VX−950およびコンパウンド95とVX−950の組み合わせを用いるアッセイを通してHCV RNAコピー数を示す線グラフである。
【図3】図3A−3Cは、指示された濃度の化合物または化合物の組み合わせと一緒にインキュベートされた細胞(固定および染色された細胞)についての巨視的なコロニーおよび病巣の数の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
「一の」なる語は、特記しない限り、1または複数を包含することを意味する。例えば、「抗HCV活性を阻害する一の薬剤」なる語は、抗HCV活性を阻害する1または複数の薬剤を包含することを意図とする。
【0025】
一の実施態様において、本願発明の医薬組成物は、HCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量の式(I)の一の化合物、および抗HCV活性を有する付加的な一の薬剤を含みうる。もう一つ別の実施態様において、本願発明は、ウイルス感染の治療法であって、その必要とする患者に、HCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な式(I)の化合物および抗HCV活性を有する第二薬剤を投与することを含む方法を包含する。本願発明の組み合わせは、C型肝炎ウイルス(HCV)複製を阻害し、HCV感染に対して安全かつ効果的な処置を提供しうる、医薬組成物および/または処置を提供する。
【0026】
細胞培養システム(レプリコン)にてRNA複製を阻害し、100倍より大きな治療指数(TICC50/EC50)を有する式(I)の化合物が記載されている。化合物をレプリコンシステムにて評価した場合に、低ピコモルの効能をもたらす、構造と活性の関係が観察された。式(I)の代表的な化合物は<5ナノモル(「nM」)のEC50値を示す。
【0027】
式(I)の化合物は、例えばHCVを含む、RNA含有ウイルスの複製を阻害することに有用性を有する。式(I)の代表的な化合物ならびにRNA含有ウイルスの複製を阻害する他の化合物の製造および使用方法が、2010年2月9日付け出願の同時係属している米国特許出願番号12/702,673、発明の名称:ジベンズイミダゾール抗ウイルスの結合」;2010年2月9日付け出願の米国特許出願番号12/702,692、発明の名称「ジベンズイミダゾール誘導体の結合」;2010年2月9日付け出願の米国特許出願番号12/702,802、発明の名称「ジベンゾイミダゾール誘導体の結合」;2010年2月17日付け出願の米国特許出願番号12/707,190、発明の名称「ジイミダゾール誘導体の結合」;2010年2月17日付け出願の米国特許出願番号12/707,200、発明の名称「ジイミダゾール誘導体の結合」;2010年2月17日付け出願の米国特許出願番号12/707,210、発明の名称「C型肝炎ウイルス阻害剤」;2010年3月1日付け出願の米国特許出願番号12/714,583、発明の名称「新規なベンゾイミダゾール誘導体」;および2010年3月1日付け出願の米国特許出願番号12/714,576 発明の名称「C型肝炎ウイルス阻害剤」に記載されている。
【0028】
一の実施態様において、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物は式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩であって、ここでGは次のヘテロアリール基の一つによって説明され:
【化2】

ここで、上記したヘテロアリール基は、各々、所望により置換されていてもよい。
【0029】
もう一つ別の実施態様においてHCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物は、式(IIa)および(IIb):
【化3】

[ここで、U、R、R7aおよびR7bは上記したとおりであり;X、XおよびXの一はNまたはCHであり、X、XおよびXのうちの他の2つはCHであり;AおよびBは、各々独立して、フェニル、単環式ヘテロアリール、二環式アリールまたは二環式ヘテロアリールであり、その各々は所望により置換されていてもよい;Lは所望により置換されていてもよいC−Cアルケニルまたは所望により置換されていてもよいC−Cアルキニルである。]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
【0030】
さらにもう一つ別の実施態様において、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物は式(IIc、IId、IIeまたは IIf);
【化4】

[式中、Rはアミノ、ヒドロキシ、保護アミノまたはO(C−Cアルキル)で所望により置換されていてもよいC−C アルキルであり;存在する各々のUは、独立して、CH、CHF、CHMe、CF、C=CH、C=CFまたはC(Rであり、ここで2個の同じR基がその結合する炭素と一緒になってスピロシクロプロピルを形成し;R7aは水素であり;およびR7bは水素またはメチルであるか;または別に、R7aおよびUまたはUおよびR7bはその結合する炭素と一緒になって、縮合したシクロプロピルを形成し、およびR7bまたはR7aの他方は水素であるか;あるいはまたU、R7aおよびR7bはその結合する炭素と一緒になって架橋C−Cシクロアルキルを形成する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
【0031】
さらにもう一つ別の実施態様において、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物は式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩であり;ここで、存在する各々の
【化5】

は、独立して、以下の基:
【化6】

の一によって説明される。
【0032】
式(I)の代表的化合物は、表1に含まれる化合物1−131より選択される化合物である:
表1
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】


【表12】

【0033】
本願明細書の記載は化学結合の規定および原理に適合して解釈されるべきことが理解されよう。ある場合には、置換基を所定の配置に適応させるために水素原子を除去することを必要とするであろう。
【0034】
一の分子の個々の配置にある置換基および可変基(例、R、R、u、m等)の定義はその分子のいずれの配置の定義とも独立していることを意図とする。例えば、uが2である場合、その2個のR基の各々は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0035】
さらに、式(I)の化合物が1または複数の不斉炭素原子を含有してもよく、ラセミ、ジアステレオマーおよび光学活性な形態にて存在してもよいことが理解されよう。さらに、特定の式(I)の化合物は互変異性体の形態にて存在しうることが理解されるであろう。すべての互変異性体は本願発明の範囲内にあると考えられる。
【0036】
本願発明に含まれる化合物は医薬として使用するのに適する薬剤であることが理解されるべきである。
【0037】
さらには、本願明細書にて治療および/または処置に対する言及は、限定されるものではないが、疾患の防止、遅延、予防、治療および/または治癒を包含することが理解されるであろう。さらには、本願明細書のHCV感染の処置または予防に対する言及は、HCV−関連疾患、例えば肝線維症、肝硬変および肝細胞癌の処置または予防を包含する。
【0038】
本願発明のさらなる実施態様は、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、および抗HCV活動を有する付加的な薬剤、またはそれらのいずれかの医薬上許容される塩の組み合わせと、医薬上許容される担体または賦形剤とを含む、医薬組成物を包含する。
【0039】
付加的な抗HCV薬剤の化合物は、C型肝炎感染またはHCV乾癬に付随する徴候を処置または防止する1または複数の薬剤でありうることもさらに理解されるであろう。付加的な薬剤は、例えば、直接または間接的作用機序によりHCVウイルス複製を抑制しうる。かかる薬剤は、限定されるものではないが、宿主免疫調節剤(例えば、インターフェロン−アルファ、ペグ化インターフェロン−アルファ、コンセンサスインターフェロン、インターフェロン−ベータ、インターフェロン−ガンマ、CpGオリゴヌクレオチドなど);イノシンモノホスフェート脱水素酵素などの宿主細胞機能を阻害する抗ウイルス化合物(例えば、リバビリンなど);免疫機能を制御するサイトカイン(例えば、インターロイキン2、インターロイキン6およびインターロイキン12);1型ヘルパーT細胞の応答の発達を強化する化合物;干渉RNA;アンチセンスRNA;HCV抗原またはHCVに対して定方向性の抗原アジュバントの組み合わせを含むワクチン;宿主細胞の成分と相互作用し、HCVウイルス複製の内部リボソーム侵入部位(IRES)開始の翻訳工程を阻害することでウイルス蛋白の合成を遮断するか、またはウイルス粒子の成熟を遮断し、例えばHCV P7などの膜蛋白のビロポリンファミリーに対して標的とされる物質を放出する薬剤;およびウイルス複製に関与するウイルスのゲノムの他の蛋白を標的とすることによりHCVの複製を阻害し、および/または他のウイルス標的の機能を干渉する薬剤または薬剤の組み合わせ、例えばNS3/NS4Aプロテアーゼ、NS3ヘリカーゼ、NS5Bポリメラーゼ、NS4A蛋白およびNS5A蛋白の阻害剤を包含する。
【0040】
さらにもう一つ別の実施態様によれば、抗HCV活性を有する付加的な薬剤は、限定されるものではないが、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼ、NS4A蛋白、NS5A蛋白および内部リボソーム侵入部位(IRES)を含め、HCVライフサイクルの標的の他の阻害剤を含み得る。
【0041】
したがって、本願発明の一の実施態様は、RNA含有のウイルスにより惹起される感染を処置または予防する方法であって、かかる処置を必要とする患者に、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する治療上有効量の化合物、例えば、式(I)の化合物、および抗HCV活性を有する付加的な薬剤を一緒に投与することを含む、方法を対象とする。ある態様において、抗HCV活性を有する薬剤は、宿主免疫調整剤、宿主細胞機能を阻害する抗ウイルス化合物、免疫機能を調整するサイトカイン、1型ヘルパーT細胞応答の発達を強化する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、宿主細胞成分と相互に作用し、ウイルスの蛋白合成を遮断またはウイルス粒子の成熟を遮断し、膜蛋白のビロポリンファミリーに対して標的とされる薬剤を放出するワクチンまたは薬剤、およびHCVライフサイクルにおける標的の阻害剤からなる群より選択される。RNA含有ウイルスの例として、限定されるものではないが、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。
【0042】
本願発明のさらなる実施態様は、RNA含有のウイルスにより惹起される感染を処置または予防する方法であって、かかる処置を必要とする患者に、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する治療上有効量の第1の化合物、例えば、式(I)の化合物、および肝硬変および肝炎症を含む、HCV感染の徴候を処置または緩和する付加的な薬剤を一緒に投与することを含む、方法を対象とする。本願発明のある態様において、HCV NS5Aの機能を阻害する化合物は式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩である。RNA含有ウイルスの例として、限定されるものではないが、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。
【0043】
本願発明のさらにもう一つ別の実施態様は、RNA含有のウイルスにより惹起される感染を処置または予防する方法であって、かかる処置を必要とする患者に、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、およびB型肝炎ウイルス(HBV)感染により惹起される疾患について患者を処置する薬剤を一緒に投与することを含む、方法を提供する。該発明の方法はまた、かかる処置を必要とする患者に、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、B型肝炎ウイルス(HBV)感染により惹起される疾患について患者を処置する薬剤、および抗HCV剤を一緒に投与することを含む。本願発明はまた、医薬上許容される賦形剤または担体、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、付加的な抗HCV剤、およびB型肝炎ウイルス(HBV)感染により惹起される疾患について患者を処置する薬剤を含む医薬組成物を対象とする。ある態様において、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩である。B型肝炎(HBV)感染により惹起される疾患について患者を処置する薬剤は、例えば、それに限定されるものではないが、L−デオキシチミジン、アデホビル(adefovir)、ラミブジンまたはテンホビル(tenfovir)またはその組み合わせである。RNA含有ウイルスの例として、限定されるものではないが、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。
【0044】
本願発明のさらなる実施態様は、RNA含有のウイルスにより惹起される感染を処置または予防する方法であって、かかる処置を必要とする患者に、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染により惹起される疾患について患者を処置する薬剤を一緒に投与することを含む、方法を提供する。該発明の方法はまた、かかる処置を必要とする患者に、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染により惹起される疾患について患者を処置する薬剤、および付加的な抗HCV剤を一緒に投与することを含む。本願発明はまた、医薬上許容される賦形剤または担体、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、付加的な抗HCV剤、およびHIV感染により惹起される疾患について患者を処置する薬剤を含む医薬組成物を対象とする。ある態様において、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)により惹起される疾患について患者を処置する薬剤は、それに限定されるものではないが、リトナビル(ritonavir)、ロピナビル(lopinavir)、インジナビル(indinavir)、ネルフマビル(nelfmavir)、サクイナビル(saquinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、TMC−114、ホサンプレナビル(fosamprenavir)、ジゾブジン(zidovudine)、ラミブジン(lamivudine)、ジダノシン(didanosine)、スタブジン(stavudine)、テノホビル(tenofovir)、ザルチタビン(zalcitabine)、アバカビル(abacavir)、エファビレンツ(efavirenz)、ネビラピン(nevirapine)、デラビルジン(delavirdine)、TMC−125、L−870812、S−1360、エンフビルチド(enfuvirtide)(T−20)またはT−1249またはその組み合わせである。RNA含有ウイルスの例として、限定されるものではないが、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。
【0045】
患者がC型肝炎ウイルスと1または複数の他のウイルス、限定されるものではないが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型肝炎ウイルス(HAV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)を含むウイルスと一緒に感染することも起こり得る。このように、本願明細書においては、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、および少なくともHIV阻害剤、HAV阻害剤およびHBV阻害剤、またはHIV阻害剤、HAB阻害剤およびHBV阻害剤の組み合わせから選択される付加的な薬剤を一緒に投与し、所望により付加的な抗HCV剤を投与することにより、かかる重感染を処置するための併用療法も考慮される。加えて、本願発明は、医薬上許容される賦形剤または担体、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、付加的な抗HCV剤、および少なくともHIV阻害剤、HAV阻害剤およびHBV阻害剤、またはHIV阻害剤、HAB阻害剤およびHBV阻害剤の組み合わせから選択される付加的な薬剤を含む、医薬組成物を包含する。
【0046】
加えて、本願発明は、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物(例えば、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩)およびヒト免疫調整剤および1または複数の付加的な抗ウイルス剤またはその組み合わせからなる群より選択される付加的な薬剤の使用であって、患者にてRNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルスにより惹起される感染を処置するための医薬の調製における使用を提供する。宿主免疫調整剤の例として、限定されるものではないが、インターフェロン−アルファ、ペグ化−インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータ、インターフェロン−ガンマ、サイトカイン、ワクチンおよび抗原とアジュバントとからなるワクチンが挙げられる。好ましくは、付加的な該抗ウイルス剤は、ウイルス複製に伴う宿主細胞機能を阻害するか、ウイルスゲノムの蛋白を標的とすることにより、HCVの複製を阻害する。
【0047】
上記した、または他の処置にて用いられる場合、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物および抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤は、純粋な形態にて、あるいは存在する場合には、その医薬上許容される塩として使用され得る。あるいはまた、かかる治療剤の組み合わせは、治療上有効量の目的とする化合物または化合物の組み合わせ、あるいはその医薬上許容される塩を、上記した1または複数の薬剤と組み合わせ、医薬上許容される担体を含有する、医薬組成物として投与され得る。かかる医薬組成物は、RNA含有のウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)を該医薬組成物と接触させることにより、該ウイルスの複製を阻害するのに使用され得る。加えて、かかる組成物はRNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)により惹起される感染の処置または防止に有用である。
【0048】
かくして、本願発明のさらなる実施態様は、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)により惹起される感染の処置または防止する方法であって、かかる処置を必要とする患者に、本願発明の化合物または該化合物の組み合わせあるいはその医薬上許容される塩と、1または複数の上記した薬剤と、医薬上許容される担体とを含む、医薬組成物を投与することを含む方法を対象とする。
【0049】
上記されるように、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物(例えば、式(I)の化合物)および抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤は、同時に、所定の時間内に投与される、別々の組成物として処方され得る。あるいは該治療薬は単一の単位剤形として投与され得る。
【0050】
上記されるように、かかる併用療法での使用が考えられる抗ウイルス剤は、哺乳動物にてウイルスの形成および/または複製を阻害するのに効果的である薬剤を含め、限定されるものではないが、宿主にまたはウイルスの哺乳動物での形成および/または複製に不可欠であるウイルス機構のいずれかに干渉する薬剤を含む、薬剤(化合物または生物学的製剤)を包含する。かかる薬剤は、もう一つ別の抗HCV剤;HIV阻害剤;HAV阻害剤;およびHBV阻害剤より選択され得る。
【0051】
式(I)の化合物および抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤と組み合わせて投与され得る他の薬剤は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤(本願明細書にてCYP阻害剤とも称される)であり、式(I)の化合物の代謝作用を阻害すると考えられる。したがって、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤は、本願発明の式(I)の化合物の代謝作用を阻害するのに効果的である量にて配合されるであろう。従って、CYP阻害剤は、式(I)の化合物の生物学的利用能が該CYP阻害剤を含まない時の生物学的利用能と比べて増大する場合に、該化合物の生物学的利用能を増大させるのに十分な量にて投与される。
【0052】
一の実施態様にて、本願発明は、式(I)の化合物が抗ウイルス剤または抗ウイルス剤の組み合わせと合わせて投与された場合に、その薬物動態を改善する方法を提供する。医薬の薬物動態を改善することの利点は当該分野にて認識されている(例えば、米国公開番号2004/0091527;US2004/0152625;およびUS2004/0091527)。したがって、本願発明の一の実施態様は、CYP3A4の阻害剤および式(I)の化合物および付加的な抗ウイルス剤または抗ウイルス剤の組み合わせを投与することを含む、方法を提供する。本願発明のもう一つ別の実施態様は、式(I)の化合物およびイソ酵素3A4(「CYP3A4」)、イソ酵素2C19(「CYP2C19」)、イソ酵素2D6(「CYP2D6」)、イソ酵素1A2(「CYP1A2」)、イソ酵素2C9(「CYP2C9」)またはイソ酵素2E1(「CYP2E1」)の阻害剤を投与することを含む方法を提供する。好ましい実施態様において、CYP阻害剤は、好ましくは、CYP3A4を阻害する。関連する式(I)の化合物の薬物動態を改善するCYP阻害剤は、本願発明の方法にて使用されてもよい。これらのCYP阻害剤は、限定されるものではないが、リトナビル(例えば、WO94/14436参照)、ケトコナゾール(ketoconazole)、トロレアンドマイシン(troleandomycin)、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール(itraconazole)、フルコナゾール(fluconazole)、ミコナゾール(miconazole)、フルボキサミン(fluvoxamine)、フルオキセチン(fluoxetine)、ネファゾドン(nefazodone)、セルトラリン(sertraline)、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、フォサンプレナビル(fosamprenavir)、サクイナビル(saquinavir)、ロピナビル(lopinavir)、デラビルジン(delavirdine)、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497を包含する。好ましいCYP阻害剤は、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドロマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールを包含する。
【0053】
本願発明の組み合わせがその中に患者に本願発明の正しい使用を指示する添付文書を含む、単一の患者用パック、各処方の患者用パックによって投与され得ることが本願発明の望ましい付加的な特徴であることが理解されよう。
【0054】
したがって、本願発明のさらなる態様は、少なくとも式(I)の化合物、抗ウイルス剤およびCYP阻害剤および本願発明の組み合わせの使用に関する指示を含む添付文書からなるパックである。抗ウイルス剤(複数も可)は同じパックで、あるいは別々のパックで提供されてもよい。
【0055】
本願発明のもう一つ別の態様は、HCV感染の処置に、またはHCV感染の防止に使用される患者用のパッケージされたキットであって、単一または複数の各医薬成分の医薬製剤;貯蔵の間で、投与されるまで該医薬製剤を収容する容器;およびHCV感染を処置または防止するのに効果的な方法にて薬物の投与を行うための説明書からなる、キットを含む。
【0056】
従って、本願発明は、式(I)の化合物、付加的な抗ウイルス剤およびCYP阻害剤(または通常の方法により調製されるその誘導体)の同時または連続的投与のためのキットを提供する。典型的には、かかるキットは、例えば、医薬上許容される担体における(および1の、または複数の医薬製剤における)式(I)の化合物、所望により付加的な薬剤(複数でも可)の組成物および同時または連続的投与のための書面指示書からなるであろう。
【0057】
もう一つ別の実施態様、自己投与用の1または複数の剤形;貯蔵の間、使用までに剤形を収容するための、好ましくは密封された容器;および患者が薬物の投与を実施するための説明書を含む、パッケージされたキットが提供される。該説明書は、典型的には、キットの添付文書、ラベルおよび/または他の成分の書面であり、剤形(複数でも可)は本願明細書に記載のとおりであろう。各剤形は、金属ホイルとプラスチックの積層のシートにて、各剤形が個々のセルまたはバブルにて相互に分離されるように、あるいは複数の剤形がプラスチックボトルのような一の容器に収められていてもよい。本願発明のキットはまた、典型的には、個々のキットの成分、すなわち、剤形、容器および書面による使用説明書をパッケージするための手段を含む。かかるパッケージ手段は段ボールまたは紙箱、プラスチックまたはホイールポーチ等の形態を取りうる。
【0058】
定義
本願発明を記載するのに使用される種々の用語の定義を以下に記載する。これらの定義は、特に限定しない限り、個々に、またはより大きな基の一部として、この明細書および特許請求の範囲と介して使用される用語に適用される。
【0059】
本願明細書にて使用される「芳香族基」なる語は、少なくとも1つの芳香環を含む、基をいう。
【0060】
本願明細書にて使用される「アリール」なる語は、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルを含む、少なくとも1つの芳香環を含む、単環式または多環式炭素環系をいう。多環式アリールは少なくとも1つの芳香環を含む多環式環系である。多環式アリールは、縮合環、共有結合環またはその組み合わせを含み得る。
【0061】
本願明細書にて使用される「ヘテロアリール」なる語は、S、OおよびNから選択される1個または複数の環原子を有し、残りの環原子が炭素であって、該環に含まれるNまたはSが所望により酸化されていてもよい、少なくとも1つの芳香環を含む、単環または多環式環系をいう。ヘテロアリールは、限定されないが、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニルを包含する。多環式アリールは、縮合環、共有結合環またはその組み合わせを含み得る。
【0062】
本願発明によれば、芳香族性基は置換または非置換とされ得る。
【0063】
「二環式アリール」または「二環式ヘテロアリール」なる語は、少なくとも1つの環が芳香族である、2つの環からなる環系をいう。
【0064】
「三環式アリール」または「三環式ヘテロアリール」なる語は、少なくとも1つの環が芳香族である、3つの環からなる環系をいう。
【0065】
本願明細書にて使用される「C−Cアルキル」、「C−Cアルキル」、「C−Cアルキル」、「C−Cアルキル」または「C−Cアルキル」なる語は、各々、1ないし4個の、1ないし6個の、1ないし8個等の炭素原子を含有する、飽和した、直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。C−Cアルキル基は、例えば、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、ヘプチルおよびオクチル基を包含する。
【0066】
本願明細書にて使用される「C−Cアルケニル」、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルケニル」または「C−Cアルケニル」なる語は、各々、2ないし8個の、または2ないし4個等の炭素原子を含有し、一個の水素原子を除去することにより、少なくとも一個の炭素−炭素の二重結合を有する、直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。アルケニル基は、限定されるものではないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、ヘプテニル、オクテニル等を包含する。
【0067】
本願明細書にて使用される「C−Cアルキニル」、「C−Cアルキニル」、「C−Cアルキニル」または「C−Cアルキニル」なる語は、2ないし8個の、または2ないし4個等の炭素原子を含有し、一個の水素原子を除去することにより、少なくとも一個の炭素−炭素の三重結合を有する、直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。代表的なアルキニル基は、限定されるものではないが、例えば、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、ヘプチニル、オクチニル等を包含する。
【0068】
本願明細書にて使用される「C−C−シクロアルキル」または「C−C−シクロアルキル」なる語は、単環または多環の飽和炭素環式環の化合物をいい、その炭素原子は所望により酸素置換されていてもよい。C−C−シクロアルキルの例は、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロオクチルを包含し;C−C−シクロアルキルの例は、限定されるものではないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル等を包含する。
【0069】
本願明細書にて使用される「C−Cシクロアルケニル」または「C−Cシクロアルケニル」なる語は、少なくとも一個の炭素−炭素二重結合を有する、単環または多環の飽和炭素環式環の化合物をいい、その炭素原子は所望により酸素置換されていてもよい。C−Cシクロアルケニルの例は、限定されるものではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル等を包含し;C−Cシクロアルケニルは、限定されるものではないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等を包含する。
【0070】
本願明細書にて使用される「アリールアルキル」なる語は、アリール置換のアルキル基をいう。より好ましいアリールアルキル基はアリール−C−C−アルキル基である。
【0071】
本願明細書にて使用される「ヘテロアリールアルキル」なる語は、ヘテロアリール置換のアルキル基をいう。より好ましくはヘテロアリールアルキル基はヘテロアリール−C−C−アルキル基である。本願明細書に記載されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は脂肪族基であり得ることも理解される。本願明細書に記載のシクロアルキルまたはシクロアルケニル基もまた脂環基であり得る。
【0072】
「脂肪族」基は、炭素原子、水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素または他の原子の組み合わせからなる非芳香族基であり、所望により1または複数の不飽和の単位、例えば二重および/または三重結合を含有してもよい。脂肪族基の例は、O、OH、NH、NH、C(O)、S(O)、C(O)O、C(O)NH、OC(O)O、OC(O)NH、OC(O)NH、S(O)NH、S(O)NH、NHC(O)NH、NHC(O)C(O)NH、NHS(O)NH、NHS(O)NH、C(O)NHS(O)2、C(O)NHS(O)NHまたはC(O)NHS(O)NH等などの官能基、1または複数の官能基を含む基、非芳香族性炭化水素(所望により置換されていてもよい)、および非芳香族性炭化水素(所望により置換されていてもよい)の1または複数の炭素が官能基により置換されている基である。脂肪族基の炭素原子は、所望により酸素置換され得る。脂肪族基は、直鎖、分岐鎖または環式であってもよく、好ましくは約1ないし約24個の炭素原子、より典型的には約1ないし約12個の炭素原子を含有する。本願明細書にて使用される脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基は、明らかに、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンなどの、アルコキシアルキル、ポリアルコキシアルキルを包含する。脂肪族基は所望により置換されていてもよい。線状脂肪族基は非環式脂肪族基である。脂肪族基または線状脂肪族基が1または複数の特定される官能基を「含有する」または「包含する」または「含む」とされている場合、線状脂肪族基は1または複数の特定される官能基またはその組み合わせ、あるいは非芳香族炭化水素の1または複数の炭素(所望により置換されていてもよい)が特定の官能基で置換されている基より選択され得ると理解されるべきである。いくつかの例において、線状の脂肪族基は式:M−Y−M‘で表され、ここでMおよびM’は、各々独立して、存在しないか、またはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、各々、所望により置換されていてもよく、Yは官能基である。ある場合には、YはC(O)、S(O)、C(O)O、C(O)N(R11)、OC(O)O、OC(O)N(R11)、S(O)N(R11)、N(R11)C(O)N(R11)、N(R11)C(O)C(O)N(R11)、N(R11)S(O)N(R11)、C(O)N(R11)S(O)またはC(O)N(R11)S(O)N(R11)からなる群より選択され;ここでR11は上記したとおりである。本願発明のもう一つ別の態様において、一例となる線状の脂肪族基はアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、各々、所望により上記した官能基により割って入られていてもよく、または末端が該官能基で置換されていてもよい。
【0073】
本願明細書にて使用される「脂環式」なる語は、単一の水素原子を除去することで、単環式または二環式の飽和炭素環式環化合物より誘導される、その炭素原子が所望により酸素置換されていてもよい、一価の基を示す。例として、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ [2.2.1] ヘプチル, およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。かかる脂環式基はさらに置換されていてもよい。
【0074】
「ヘテロ環式」または「ヘテロシクロアルキル」なる語は、互換的に用いることができ、非芳香環または二環または三環式基の縮合した系をいい、ここで(i)各環系は酸素、硫黄および窒素より選択される、少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、(ii)各環系は飽和でも、不飽和でもあり得、(iii)窒素および硫黄のヘテロ原子は所望により酸化されてもよく、(iv)窒素のヘテロ原子は所望により四級化されてもよく、(v)上記した環はいずれも芳香環に縮合してもよく、および(vi)残りの環原子は所望により酸素置換されていてもよい炭素原子である。代表的なヘテロシクロアルキル基は、限定されないが、1,3−ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニルおよびテトラヒドロフリルを包含する。かかるヘテロ環式基はさらに置換されていてもよい。
【0075】
本願明細書に記載のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式および脂肪族基等はまた、同じまたは異なる原子であり得る2つの基または置換基と結合するための連結基として使用される場合、二価の基でもあり得る。
【0076】
「置換されている」なる語は、1、2または3個あるいはそれ以上の水素原子が、限定されるものではないが、以下に示される基を包含する置換基により独立して置換されることをいう:−F、−Cl、−Br、−I、−OH、保護ヒドロキシ、−NO、−N、−CN、−NH、保護アミノ、オキソ、チオキソ、−NH−C−C12−アルキル、−NH−C−C−アルケニル、−NH−C−C−アルキニル、−NH−C−C12−シクロアルキル、−NH−アリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクロアルキル、−ジアルキルアミノ、−ジアリールアミノ、−ジヘテロアリールアミノ、−O−C−C12−アルキル、−O−C−C−アルケニル、−O−C−C−アルキニル、−O−C−C12−シクロアルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクロアルキル、−C(O)−C−C12−アルキル、−C(O)−C−C−アルケニル、−C(O)−C−C−アルキニル、−C(O)−C−C12−シクロアルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロアリール、−C(O)−ヘテロシクロアルキル、−CONH、−CONH−C−C12−アルキル、−CONH−C−C−アルケニル、−CONH−C−C−アルキニル、−CONH−C−C12−シクロアルキル、−CONH−アリール、−CONH−ヘテロアリール、−CONH−ヘテロシクロアルキル、−OCO−C−C12−アルキル、−OCO−C−C−アルケニル、−OCO−C−C−アルキニル、−OCO−C−C12−シクロアルキル、−OCO−アリール、−OCO−ヘテロアリール、−OCO−ヘテロシクロアルキル、−CO−C−C12アルキル、−CO−C−Cアルケニル、−CO−C−Cアルキニル、CO−C−C12−シクロアルキル、−CO−アリール、CO−ヘテロアリール、CO−ヘテロcyloアルキル、−OCONH、−OCONH−C−C12−アルキル、−OCONH−C−C−アルケニル、−OCONH−C−C−アルキニル、−OCONH−C−C12−シクロアルキル、−OCONH−アリール、−OCONH−ヘテロアリール、−OCONH− ヘテロシクロ−アルキル、−NHC(O)H、−NHC(O)−C−C12−アルキル、−NHC(O)−C−C−アルケニル、−NHC(O)−C−C−アルキニル、−NHC(O)−C−C12−シクロアルキル、−NHC(O)−アリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロシクロ−アルキル、−NHCO−C−C12−アルキル、−NHCO−C−C−アルケニル、−NHCO− C−C−アルキニル、−NHCO−C−C12−シクロアルキル、−NHCO−アリール、−NHCO−ヘテロアリール、−NHCO− ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH−C−C12−アルキル、−NHC(O)NH−C−C−アルケニル、−NHC(O)NH−C−C−アルキニル、−NHC(O)NH−C−C12−シクロアルキル、−NHC(O)NH−アリール、−NHC(O)NH−ヘテロアリール、−NHC(O)NH−ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH、−NHC(S)NH−C−C12−アルキル、−NHC(S)NH−C−C−アルケニル、−NHC(S)NH−C−C−アルキニル、−NHC(S)NH−C−C12−シクロアルキル、−NHC(S)NH−アリール、−NHC(S)NH−ヘテロアリール、−NHC(S)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(NH)NH、−NHC(NH)NH−C−C12−アルキル、−NHC(NH)NH−C−C−アルケニル、−NHC(NH)NH−C−C−アルキニル、−NHC(NH)NH−C−C12−シクロアルキル、−NHC(NH)NH−アリール、−NHC(NH)NH−ヘテロアリール、−NHC(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(NH)−C−C12−アルキル、−NHC(NH)−C−C−アルケニル、−NHC(NH)−C−C−アルキニル、−NHC(NH)−C−C12−シクロアルキル、−NHC(NH)−アリール、−NHC(NH)−ヘテロアリール、−NHC(NH)−ヘテロシクロアルキル、 −C(NH)NH−C−C12−アルキル、−C(NH)NH−C−C−アルケニル、−C(NH)NH−C−C−アルキニル、−C(NH)NH−C−C12−シクロアルキル、−C(NH)NH−アリール、−C(NH)NH−ヘテロアリール、−C(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、−S(O)−C−C12−アルキル、−S(O)−C−C−アルケニル、− S(O)−C−C−アルキニル、−S(O)−C−C12−シクロアルキル、−S(O)−アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロシクロアルキル、−SONH、−SONH−C−C12−アルキル、−SONH−C−C−アルケニル、−SONH− C−C−アルキニル、−SONH−C−C12−シクロアルキル、−SONH−アリール、−SONH−ヘテロアリール、−SONH− ヘテロシクロアルキル、−NHSO−C−C12−アルキル、−NHSO−C−C−アルケニル、− NHSO−C−C−アルキニル、−NHSO−C−C12−シクロアルキル、−NHSO−アリール、−NHSO−ヘテロアリール、−NHSO−ヘテロシクロアルキル、−CHNH、−CHSOCH、−アリール、−アリールアルキル、−ヘテロアリール、−ヘテロアリールアルキル、−ヘテロシクロアルキル、 −C−C12−シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、−メトキシメトキシ、−メトキシエトキシ、−SH、−S−C−C12−アルキル、−S−C−C−アルケニル、−S−C−C−アルキニル、−S−C−C12−シクロアルキル、−S−アリール、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクロアルキルまたはメチルチオメチル。アリール、ヘテロアリール、アルキル等はさらに置換され得ることが理解される。
【0077】
本願明細書にて使用される「ハロゲン」なる語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子をいう。
【0078】
「水素」なる語は、水素および重水素を包含する。加えて、原子に関する記述は、得られる化合物が医薬上許容される限り、他の同位元素も包含する。
【0079】
本願明細書にて使用される「ヒドロキシ活性化基」なる語は、合成操作の間の置換反応または脱離反応などにおいてヒドロキシル基が外れるように該基を活性化するのが当該分野にて知られている不安定な化学基をいう。ヒドロキシル活性化基の例は、限定するものではないが、メシレート、トシレート、トリフレート、p−ニトロベンゾエート、ホスホネートなどを包含する。
【0080】
本願明細書にて使用される「活性化されるヒドロキシ」なる語は、例えば、メシレート、トシレート、トリフレート、p−ニトロベンゾエート、ホスホネートを含め、上記したヒドロキシル活性化剤で活性化されるヒドロキシ基をいう。
【0081】
本願明細書にて使用される「ヒドロキシ保護基」なる語は、合成操作の間の望ましくない反応に対してヒドロキシル基を保護することが当該分野にて知られている不安定な化学基をいう。該合成操作の後に、本願明細書に記載のヒドロキシ保護基は選択的に除去され得る。当該分野にて公知のヒドロキシ保護基が、一般に、T.H. GreeneおよびP.G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999)に記載される。ヒドロキシル保護基の例として、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、メチル、t−ブチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリル エチル、アリル、ベンジル、トリフェニルメチル(トリチル)、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、メタンスルホニル、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル等が挙げられる。
【0082】
本願明細書にて使用される「保護されるヒドロキシ」なる語は、例えば、ベンゾイル、アセチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メトキシメチル基を含め、上記したヒドロキシ保護基で保護されるヒドロキシ基をいう。
【0083】
本願明細書にて使用される「ヒドロキシ保護基」なる語は、ヒドロキシ基をカバーまたはマスキングすることで一過的に親薬物の物理化学特性を、かくして生物学的特性を変えることが当該分野にて公知のプロモエティ基をいう。該合成操作の後に、本願明細書に記載のヒドロキシプロドラッグ基はインビボにてヒドロキシ基に戻る能力を有する必要がある。当該分野にて公知のヒドロキシプロドラッグ基は、一般に、Kenneth B. Sloan、Prodrugs, Topical and Ocular Drug Delivery、(Drugs and the Pharmaceutical Sciences;第53巻)、Marcel Dekker, Inc.、New York(1992)。
【0084】
本願明細書にて使用される「アミノ保護基」なる語は、合成操作の間の望ましくない反応に対してアミノ基を保護する、当該分野にて公知の不安定な化学基をいう。該合成操作の後に、本願明細書に記載のアミノ保護基は選択的に除去され得る。当該分野にて公知のアミノ保護基が、一般に、T.H. GreeneおよびP.G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999)に記載される。アミノ保護基の例として、限定されないが、メトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、9−フルオレニル−メトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0085】
本願明細書にて使用される「保護されるアミノ」なる語は、上記したように、アミノ保護基で保護されるアミノ基をいう。
【0086】
「脱離基」なる語は、求核置換反応などの置換反応にて、もう一つ別の官能基または原子により置き換えられうる、官能基または原子を意味する。一例として、代表的脱離基は、クロロ、ブロモおよびヨード基;メシレート、トシレート、ブロシレート、ノシレート等などのスルホン酸エステル基;およびアセトキシ、トリフルオロアセトキシ等などのアシルオキシ基を包含する。
【0087】
本願明細書にて使用される「非プロトン性溶媒」なる語は、プロトン活性に対して相対的に不活性である、すなわち、プロトンドナーとして作用しない、溶媒をいう。例として、限定されないが、ヘキサンおよびトルエンなどの炭化水素、例えば、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム等などのハロゲン化炭化水素、例えば、テトラヒドロフランおよびN−メチルピロリジノンなどのヘテロ環式化合物およびジエチルエーテル、ビス−メトキシメチルエーテルなどのエーテルが挙げられる。かかる化合物は当業者に周知であり、個々の溶媒またはその混合物が、例えば、試薬の溶解度、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの因子に応じて特定の化合物および反応条件について好ましいことは当業者に明らかであろう。非プロトン性溶媒について、有機化学のテキストブックまたは特定のモノグラフにて、例えば、Organic solvents Physical Properties and Methods of Purification、第4版、edited by John A. Riddickら、Vol. II、in the Techniques of Chemistry Series、John Wiley & Sons、NY、1986にさらに記載されている。
【0088】
本願明細書にて使用される「プロトン性溶媒」なる語は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール等などのプロトンを提供しやすい溶媒をいう。かかる溶媒は当業者に周知であり、個々の溶媒またはその混合物が、例えば、試薬の溶解度、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの因子に応じて特定の化合物および反応条件について好ましいことは当業者に明らかであろう。プロトン性溶媒について、有機化学のテキストブックまたは特定のモノグラフにて、例えば、Organic solvents Physical Properties and Methods of Purification、第4版、edited by John A. Riddickら、Vol. II、in the Techniques of Chemistry Series、John Wiley & Sons、NY、1986にさらに記載されている。
【0089】
本願発明により想定される置換基および可変基の組み合わせは、安定した化合物の形成をもたらす、組み合わせにすぎない。本願明細書にて使用される「適当な」なる語は、製造を可能とするのに十分な安定性を有し、本願明細書にて詳説されている目的(例えば、対照への治療または予防的投与)のために有用であるように十分な時間、化合物の完全性を維持する化合物をいう。
【0090】
合成された化合物は反応混合物より分離され、さらにはカラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィーまたは再結晶などの方法により精製され得る。当業者であれば理解できるように、本願明細書に記載の式で示される化合物を合成するさらなる方法は当業者に明らかであろう。加えて、種々の合成工程を代替順序または順位で実施し、所望の化合物を得てもよい。本願明細書に記載の化合物を合成するのに有用な合成の化学変換および保護基の操作(保護および脱保護)は当該分野にて知られており、例えば、R. Larock、Comprehensive Organic Transformations、第2版、Wiley-VCH(1999);T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley and Sons(1999);L. FieserおよびM. Fieser、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1994);およびL. Paquette編、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1995)およびその後の版に記載の化学変換および操作を包含する。
【0091】
本願明細書にて使用される「対象」なる語は動物をいう。好ましくは、該動物は哺乳動物である。より好ましくは、該哺乳動物はヒトである。対象はまた、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、魚類、鳥類等をいう。
【0092】
式(I)の化合物は、生物学的特性を選択して強化するのに、適当な官能基を付加することで修飾されてもよい。かかる修飾は当該分野にて公知であり、生物製剤の所定の生体系(例、血液、リンパ系、中枢神経系)への浸透を強化し、経口生体利用能を増大させ、溶解度を上げて注射による投与を可能とし、代謝作用を改変し、および排出速度を改変する、修飾を包含しうる。
【0093】
式(I)の化合物は1または複数の不斉中心を有し、かくして(R)−または(S)−として、あるいはアミノ酸について(D)−または(L)−として、絶対立体化学の観点から定義されてもよい、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体の形態を生じさせる。本願発明はかかる可能性のあるすべての異性体、ならびにそのラセミ体および光学的に純粋な形態を包含することを意図とする。光学異性体は、上記した方法により、またはラセミ混合物を分割することにより、個々の光学活性な先駆体より調製されてもよい。分割は分割剤の存在下でクロマトグラフィーまたは結晶化の繰り返しにより、あるいは当業者に公知のこれらの技法の組み合わせにより、実施され得る。分割に関するさらなる詳細は、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(John Wiley & Sons、1981)に記載され得る。本願明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合、他の不飽和または他の幾何学的非対称の中心を含有する場合、特記しない限り、該化合物はEおよびZの幾何異性体またはシス−およびトランス−異性体の両方を含むことが意図される。同様に、すべての互変異性体の形態もまた、含まれることを意図とする。互変異性体は環状であっても非環状であってもよい。本願明細書に記載の炭素−炭素二重結合の配置は便宜上選択されているに過ぎず、該明細書にて特に指定されない限り、特定の配置を指定することを意図とするものではなく;かくして、本願明細書にてトランスとして自由裁量にて図示されている炭素−炭素の二重結合または炭素−ヘテロ原子の二重結合は、シスであっても、トランスであっても、あるいはその2つがいずれの割合でも存在しうる混合物であってもよい。
【0094】
特定の式(I)の化合物はまた、分離可能である、種々の安定した立体配座の形態にて存在しうる。例えば、立体障害または環の歪みによる、非対称の単結合の周りの回転を制限することによるねじれの非対称は、異なる配座異性体の分離を可能とする。本願発明はこれら化合物の立体配座の各異性体およびその混合物を包含する。
【0095】
本願明細書にて使用される「医薬上許容される塩」なる語は、正当な医学的判断の範囲内で、過度の傷害性、刺激、アレルギー応答等がなく、ヒトおよび下級動物の組織との接触の使用に適し、合理的な利益/危険の割合に比例した、それらの塩をいう。医薬上許容される塩は当該分野にて周知である。例えば、S. M. Bergeらは、医薬上許容される塩を、J. Pharmaceutical Sciences、66:1-19(1977)にて詳細に記載する。塩は本願発明の化合物を最終的に単離かつ精製する間に系内にて、または遊離塩基の官能基と適当な有機酸との反応により別々に調製され得る。医薬上許容される塩の例は、限定されるものではないが、非毒性の酸付加塩、およびアミノ基と、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸で、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはリンゴ酸などの有機酸で形成される、あるいはイオン交換などの当該分野にて使用される他の方法を用いることにより形成される塩を包含する。他の医薬上許容される塩は、限定されないが、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビサルフェート、ボレート、ブチレート、カンホレート、カンフルスルホネート、シトレート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルサルフェート、エタンスルホネート、ホルメート、フマレート、グルコヘプトネート、グリセロホスフェート、グルコネート、ヘミサルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロヨーダイド、2−ヒドロキシ−エタンスルホネート、ラクトビオネート、ラクテート、ラウレート、ラウリルスルフェート、マレート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オレエート、オキサレート、パルミテート、パモエート、ペクチネート、ペルサルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、ステアレート、スクシネート、サルフェート、タートレート、チオシアネート、p−トルエンスルホネート、ウンデカノエート、バレレート塩等を包含する。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の塩を包含する。さらなる医薬上許容される塩は、適切な場合、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、サルフェート、ホスフェート、ニトレート、1ないし6個の炭素原子を有するアルキル、スルホネートおよびアリールスルホネートなどのカウンターイオンを用いて形成されるアミンカチオンを包含する。
【0096】
本願明細書にて使用される「医薬上許容されるエステル」なる語は、インビボにて加水分解するエステルをいい、人体にて容易に分解し、親化合物またはその塩を放出するエステルを包含する。適当なエステル基は、例えば、医薬上許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸および アルカンジオン酸より形成されるエステルを包含し、その中のアルキルまたはアルケニル基は、各々、最大6個の炭素原子を有するのが有利である。特定のエステルの例として、限定されるものではないが、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、アクリレートおよびコハク酸エチルが挙げられる。
【0097】
本願明細書にて使用される「医薬上許容されるプロドラッグ」なる語は、正当な医学的判断の範囲内で、過度の傷害性、刺激、アレルギー応答等がなく、ヒトおよび下級動物の組織との接触の使用に適し、合理的な利益/危険の割合に比例し、その意図する用途に効果的であり、可能であるならば、本願発明の化合物の両性イオン形態である、本願発明の化合物のプロドラッグをいう。本願明細書にて使用される「プロドラッグ」は、代謝的手段により(例、加水分解により)本願発明の化合物にインビボにて変換可能な化合物を意味する。種々の形態のプロドラッグが、例えば、Bundgaard(ed.)、Design of Prodrugs、Elsevier(1985);Widderら(ed.)、Methods in Enzymology、第4巻、Academic Press(1985);Krogsgaard-Larsenら(ed)、「Design and Application of Prodrugs、Textbook of Drug Design and Development、第5章、113-191(1991);Bundgaardら、Journal of Drug Deliver Reviews、8:1-38(1992);Bundgaard、J. of Pharmaceutical Sciences、77: 285 et seq. (1988);HiguchiおよびStella(eds.)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(195);およびBernard Testa & Joachim Mayer 「hydrolysis In Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry, Biochemistry and Enzymology」John Wiley and Sons, Ltd.(2002)に記載されるように、当該分野にて公知である。
【0098】
本願発明はまた式(I)の化合物溶媒和物、例えば水和物に関する。
【0099】
本願発明はまた、式(I)の化合物の医薬上許容されるプロドラッグを含有する医薬組成物、および該プロドラッグの投与を介するウイルス感染の治療法を包含する。例えば、遊離アミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボン酸基を有する式(I)の化合物はプロドラッグに変換され得る。プロドラッグは、アミノ酸残基あるいは2個以上の(例えば、2,3または4個の)アミノ酸残基がアミドまたはエステル結合を介して本願発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基に共有結合している、化合物を包含する。アミノ酸残基は、限定されないが、一般に3文字表記で示される、20種の天然に存在するアミノ酸を包含し、また4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン(demosine)、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンを包含する。付加的な型のプロドラッグも包含される。例えば、遊離カルボキシル基はアミドまたはアルキルエステルとして誘導され得る。遊離ヒドロキシ基は、限定されるものではないが、Advanced Drug Delivery Reviews、1996、19、115に記載されるような、ヘミコハク酸塩、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテートおよびホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む、基を用いて誘導体化され得る。ヒドロキシおよびアミノ基のカルバメートプロドラッグもまた、カルボネートプロドラッグ、ヒドロキシ基のスルホネートエステルおよびサルフェートエステルであるとして包含される。ヒドロキシ基の(アシルオキシ)メチルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルとしての誘導体化もまた包含され、ここでアシル基はアルキルエステルであってもよく、所望により、限定されるものではないが、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含む基で置換されていてもよく、またはアシル基は上記のようにアミノ酸エステルである。この型のプロドラッグはJ. Med. Chem. 1996、39、10に記載されている。遊離アミンもまた、アミド、スルホンアミドまたはホスホンアミドとして誘導体化され得る。これらのプロドラッグ部分はすべて、限定されるものではないが、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含む基を組み込んでもよい。
【0100】
医薬組成物
本願発明の医薬組成物は、治療的に有効な量のHCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物および付加的な抗ウイルス剤または抗HCV剤を含み、1または複数の医薬上許容される担体または賦形剤と共に処方される。
【0101】
本願明細書に使用される場合、「医薬上許容される担体またはふけい剤」なる語は、非毒性で、不活性の固体、半固体または液体の、いずれの型の充填剤、希釈剤、封入材料または処方助剤をも意味する。医薬上許容される担体として供することのできる材料の例が、ラクトース、グルコースおよびシュークロースなどの糖類;トウモロコシ澱粉およびイモ澱粉などの澱粉;セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガカント粉末;モルト;ゼラチン;タルク;カカオ脂および坐剤ワックスなどのふけい剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝化剤;アルギン酸;発熱物質不含水;等張セイライン;リンガー溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性混和性滑沢剤、ならびに着色剤、放出剤、被覆剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および香料であり、保存剤および酸化防止剤もまた製造者の判断に従って組成物に配合することができる。
【0102】
本願発明の医薬組成物は経口的、非経口的、吸入噴霧により、局所的、経直腸的、経鼻的、バッカルで、経膣的に、または移植リザバーを介して、好ましくは経口投与または注射による投与により投与されてもよい。本願発明の医薬組成物は通常の非毒性の医薬上許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含有してもよい。場合によっては、該製剤のpHを医薬上許容される酸、塩基または緩衝剤で調整し、処方される化合物またはそのデリバリー形態の安定性を強化してもよい。本願明細書にて使用される非経口なる語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内注射または注入技法を包含する。
【0103】
経口投与用の液体剤形は、医薬上許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、シロップおよびエリキシルを包含する。活性化合物に加えて、該液体剤形は、例えば水または他の溶媒などの当該分野にて通常使用される不活性な希釈剤、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、ジャーム(germ)、オリーブ、キャスターおよびゴマ油)、グリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物を含有してもよい。不活性希釈剤の他に、経口用組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤および香料を含み得る。
【0104】
注射可能な調製物、例えば滅菌性注射可能な水性または油性懸濁液は、適当な分散剤、湿潤剤および沈殿防止剤を用い、既知の操作に従って処方されてもよい。滅菌注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤中の滅菌性注射溶液、懸濁液またはエマルジョン、例えば、1,3−ブタンジオール中溶液であってもよい。その中で使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー溶液、U.S.P.および塩化ナトリウム等張溶液である。加えて、滅菌性の固定油が溶媒または懸濁化媒体として一般的に使用される。この目的のために、合成のモノ−またはジ−グリセリドを含め、いずれの個性のない固定油を用いることができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が注射可能な製剤の調製に使用される。
【0105】
注射可能な製剤は、例えば、殺菌保持フィルターを通して濾過することにより、あるいは使用前に他の滅菌性の注射可能な媒体に溶解または分散させることのできる滅菌性の固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより、滅菌化され得る。
【0106】
薬物の効果を伸ばすために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましいことも多い。このことは水難溶性の結晶または非晶質材料の液体懸濁液を用いることにより達成されてもよい。その場合、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、次に結晶の大きさおよび結晶形態へと、順次、依存するかもしれない。あるいはまた、非経口投与された薬物の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶かすかまたは懸濁させることにより達成される。注射可能なデポー形態は、薬物のマイクロカプセルのマトリックスを、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に形成することにより製造される。薬物のポリマーに対する割合および使用される個々のポリマーの特性に応じて、薬物の放出速度は制御され得る。他の生分解可能なポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー形態の注射可能な製剤もまた、薬物を体内組織と適合しうるリポソームまたはマイクロエマルジョンにトラップすることにより調製される。
【0107】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、本願発明の化合物を、適当な非刺激性の賦形剤または担体、例えば外界温度で固体であるが、体温で液体であり、したがって直腸または膣腔内で溶け、活性化合物を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤用のワックスと混合することにより調製され得る、坐剤であることが好ましい。
【0108】
経口投与用の固体剤形は、カプセル、錠剤、ピル、散剤および顆粒を包含する。かかる固体剤形にて、活性化合物は少なくとも1種の不活性な、医薬上許容される、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの賦形剤または担体と、および/または:a)充填剤または増量剤、例えば澱粉、ラクトース、シュークロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、シュークロースおよびアカシア、c)保湿剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天−寒天、炭酸カルシウム、イモまたはタピオカ澱粉、アルギン酸、特定のシリケートおよび炭酸ナトリウム、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四球アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレーおよびi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物と混合する。カプセル、錠剤およびピルの場合、該剤形はまた緩衝剤を含んでもよい。
【0109】
同型の固体組成物はまた、その賦形剤をラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等として、ソフトおよびハード充填したゼラチンカプセルに充填剤として利用されてもよい。
【0110】
錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒の固体剤形は、腸溶性コーティングおよび製薬の分野にて周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルで調製され得る。それらは所望により乳白剤を含有してもよく、活性成分を腸管のある部分だけで、または優先的に、所望により遅延方式にて放出する組成物であり得る。使用できる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0111】
本願発明の化合物の局所または経皮投与用剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、液剤、スプレー、吸入またはパッチを包含する。活性成分は、滅菌条件下で、医薬上許容される担体、および必要とされる保存剤または要すれば緩衝剤と一緒に混合される。眼用処方、点眼剤、眼軟膏、散剤および液剤もまた、本願発明の範囲内にあると考えられる。
【0112】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本願発明の活性化合物に加えて、動物および植物脂、油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリコーン酸、タルクおよび酸化亜鉛またはそれらの混合物などの賦形剤を含有してもよい。
【0113】
散剤およびスプレーは、本願発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、シリコーン酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有しうる。スプレーは、付加的に、クロロフルオロ炭化水素などの通常の噴射剤を含有しうる。
【0114】
経皮用パッチは、化合物の体内へのデリバリーを制御して提供するとの付加的な利点を有する。かかる剤形は化合物を適当な媒体に溶かすか、分散させるかで製造され得る。化合物の皮膚を横切る流量を増加させるために、吸収促進剤も使用され得る。速度制御膜を提供するか、化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることによって、速度を制御することができる。
【0115】
肺にデリバリーする場合、本願発明の治療用組成物は固体または液体用の粒子形態に処方され、患者に直接投与により、例えば呼吸器系に吸入されることにより投与される。本願発明を実施するために調製される活性化合物の固体または液体用の粒子形態は、呼吸できる大きさの粒子を、すなわち、吸引して口および咽頭を通り、気管支および肺胞に入るのに十分に小さな大きさの粒子を包含する。エアロゾル治療薬、特にエアロゾル化された抗生物質のデリバリーは当該分野にて知られている(例えば、VanDevanterらの米国特許第5767068号、Smithらの米国特許第5508269号およびMontgomeryによるWO98/43650を参照のこと、そのすべてを出典明示により本願明細書の一部とする)。抗生物質の肺デリバリーの検討はまた、米国特許第6014969でもなされており、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする。
【0116】
抗ウイルス活性
式(I)の化合物の阻害量または用量は約0.01mg/kg〜約500mg/kg、あるいはまた約1〜50mg/kgの範囲であってもよい。阻害量または用量は投与経路に応じて変化するし、他の薬剤の共同投与の可能性によっても変化するであろう。
【0117】
本願発明の治療方法によれば、ウイルス感染、病状は、ヒトまたは他の動物などの患者にて、所望の結果を得るのに必要とされる量にて、および期間で治療的に効果的な量の本願発明の化合物を該患者に投与することにより処置または防止される。
【0118】
本願明細書に記載の化合物または薬剤、および/またはHCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物の組み合わせ、および付加的な抗ウイルス剤または抗ウイルス剤の組み合わせの「治療的に効果的な量」とは、化合物、または抗ウイルス剤、相互の組み合わせのいずれか一方またはその組み合わせの、量を記載するのに使用され、処置された対象にて、薬物療法に適用され得る合理的な利点/不利益の割合にて、治療的作用を付与する量を意味する。その治療的作用は客観的(すなわち、あるテストまたはマーカーにより測定可能)または主観的(すなわち、対象が効果について指示を示し、または効果を認める)であってもよい。式(I)の化合物の効果的な量は約0.1mg/kg〜約500mg/kg、好ましくは約1〜約50mg/kgの範囲にあってもよい。HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、および/または付加的な抗ウイルス剤または抗ウイルス剤の組み合わせの効果的な用量は、投与経路によっても、ならびに他の薬剤との共同投与の可能性によっても変化するであろう。しかしながら、本願発明の組み合わせおよび組成物の一日の総用量は、有効な医学的判断の範囲内で顧問医により決定されることが理解されよう。個々の患者についての治療的に効果的な用量レベルは、処置される障害および障害の重篤度;使用される個々の化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、健康状態、性別および食事;投与期間、投与経路および使用される個々の化合物の排出速度;処置の持続期間;使用される個々の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物を含む、医薬の分野にて周知の因子である、種々の因子に依存するであろう。
【0119】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物のヒトまたは他の動物に単回用量または分割用量での一日の総用量は、例えば、体重1kg当たり0.01〜50mg、またはより一般的には体重1kg当たり0.1〜25mg/kgの量とすることができる。単回用量の組成物がかかる量を含有してもよく、あるいはその約数に分けて一日用量としてもよい。一般に、本願発明の治療方法はその処置を必要とする患者に、約10mg〜約1000mgの本願発明の化合物を一日に1回または複数回投与することを含む。
【0120】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物、および/または本願明細書に記載の付加的な抗ウイルス剤または抗ウイルス剤の組み合わせは、例えば、注射、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内または皮下的に投与され得;あるいは経口、バッカル、経鼻、経粘膜、局所、眼用調製物にて、または吸入により、あるいはそれらの組み合わせにより投与され得る。例示としての用量は、4ないし120時間毎に、または個々の薬物の要件に従って、体重1kg当たり約0.1〜約500mgの範囲にあり、あるいはまた該用量は1mgと1000mg/用量の間にある。本願明細書に記載の方法は、所望の作用または上記した作用を得るのに、有効量の組み合わせを投与することを意図とする。典型的には、本願発明の医薬組成物は一日に約1ないし約6回投与されるか、あるいはまた連続的注入により投与されるであろう。かかる投与は慢性または急性療法として使用され得る。医薬上許容される賦形剤または担体と合わせて単一の剤形を生成してもよい活性成分の量は、治療される宿主および特定の投与経路に応じて変化するであろう。典型的な製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含有するであろう。あるいはまた、かかる製剤は約20%〜約80%の活性化合物を含有してもよい。
【0121】
上記した用量よりも低いまたは高い用量が必要とされるかもしれない。個々の患者の具体的な投与量および治療法は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状態、疾患、病態または徴候の重篤度および経過、患者の疾患、病態または徴候に対する体内動態、および顧問医の判断を含む、種々の因子に依存するであろう。
【0122】
患者の病態が改善されれば、必要に応じて、本願発明の化合物、組成物または組み合わせの用量を維持して投与されてもよい。その後で、用量または投与頻度あるいはその両方を、徴候の関数として、徴候が所望のレベルに緩和されている場合に、病態の改善が保たれているレベルにまで下げてもよい。しかしながら、患者は、徴候の再発に対して長期間の処置を基礎とする間欠的処置を要求してもよい。
【0123】
本願発明の組成物が上記した式の化合物と、1または複数の治療または予防剤との組み合わせを含む場合、該化合物および付加的薬剤の両方は、通常、単剤療法にて投与される、投与量の約1〜100%の、より好ましくは約5〜95%の用量レベルで、配合されるべきである。付加的薬剤は、本願発明の化合物とは、別に、複数回投与における一部として投与されてもよい。別法として、これらの薬剤は、本願発明の化合物と混合されて単一の組成物とされる、単一剤形の一部であってもよい。
【0124】
「付加的な治療または予防剤」は、限定されるものではないが、免疫療法(例、インターフェロン)、治療ワクチン、抗線維化剤、抗炎症剤、例えばコルチコステロイドまたはNSAID、気管支拡張剤、例えばベータ−2−アドレナリン作動性アゴニストおよびキサンチン(例、テオフィリン)、粘液溶解剤、抗ムスカリン、抗ロイコトリエン、細胞粘着阻害剤(例、ICAMアンタゴニスト)、抗酸化剤(例、N−アセチルシステイン)、サイトカインアゴニスト、サイトカインアンタゴニスト、肺表面活性物質および/または抗微生物剤および抗ウイルス剤(例、リバビリンおよびアマンチジン)を包含する。本願発明の組成物はまた、遺伝子組換え療法と組み合わせて使用されてもよい。
【0125】
HCVについての併用療法および交代療法
抗ウイルス剤を用いる長期治療の後には、薬剤耐性のHCVの変種が出現し得ることが認識されている。薬剤耐性は、最も典型的には、ウイルス複製に用いられる酵素などの蛋白をコードする遺伝子が変異することで発生し、最も典型的には、HCV、RNAポリメラーゼ、プロテアーゼまたはヘリカーゼの場合である。
【0126】
最近になって、薬物のHIVなどのウイルス感染に対する効能が、薬物を、主要薬により惹起される変異とは異なる変異を誘発する、第2の抗ウイルス化合物、おそらく第3の抗ウイルス化合物と併用された、あるいは交代された薬物を投与することにより、長期化され、拡張され、または復元されることが明らかにされた。また、薬物の薬物動態、生体分布または他のパラメータは、かかる併用または交代(alternation)療法により変更され得る。一般に、併用療法は、ウイルスに対して複数の刺激ストレスを誘発するため、典型的には交代療法よりも好ましい。
【0127】
上記に詳細に検討されるように、HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物は抗ウイルス剤と合わせて、または交代して投与され得る。例示としての抗ウイルス剤がリババリン、インターフェロン、インターロイキンまたはそれらのうちのいずれかの安定化プロドラッグを包含する。より広く記載されるものとして、該化合物は以下の表2に列挙した抗HCV薬と併用または交代させて投与されうる。
【0128】
表2
【表13】

【表14】

【表15】

【0129】
ある態様において、医薬組成物は、式(IIc)、(IId)、(IIe)または(IIf)の化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、および上記した表2に列挙される薬剤より選択される抗HCV活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて含む。付加的な態様において、医薬組成物は、式(IIc)、(IId)、(IIe)または(IIf)の化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびシクロスポリンアナログ、ITMN−191、ボセプリビル(boceprivir)、テラプリビル(VX−950)、R7128、GSK625433およびインターフェロンαからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて含む。
【0130】
本願発明はまた、ウイルス感染を患っている患者を処置する方法であって、該患者に式(IIc)、(IId)、(IIe)または(IIf)の化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、および上記した表2に列挙される薬剤より選択される抗HCV活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて投与することを含む、方法を包含する。付加的な態様にて、本願発明は、ウイルス感染を患っている患者を処置する方法であって、該患者に式(IIc)、(IId)、(IIe)または(IIf)の化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびシクロスポリンアナログ、ITMN−191、ボセプリビル、テラプリビル(VX−950)、R7128、GSK625433およびインターフェロンαからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて投与することを含む、方法である。
【0131】
さらに付加的な態様にて、医薬組成物は式(IIc)の化合物および上記した表2に列挙される薬剤より選択される抗HCV活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて含む。さらなる実施態様において、医薬組成物は、式(IIc)の化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびシクロスポリンアナログ、ITMN−191、ボセプリビル、テラプリビル(VX−950)、R7128、GSK625433およびインターフェロンαからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて含む。
【0132】
本願発明はまた、ウイルス感染を患っている患者を処置する方法であって、該患者に式(IIc)の化合物および上記した表2に列挙される薬剤より選択される抗HCV活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて投与することを含む、方法を包含する。さらなる実施態様にて、該方法は、式(IIc)の化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて投与し、シクロスポリンアナログ、ITMN−191、ボセプリビル、テラプリビル(VX−950)、R7128、GSK625433およびインターフェロンαからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて投与することを含む。
【0133】
もう一つ別の実施態様にて、医薬組成物は、コンパウンド90、コンパウンド93、コンパウンド95およびこれらの化合物の医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、および効果的な量の上記した表2に列挙した薬剤より選択される抗HCV活性を有する付加的な薬剤を含む。さらもう一つ別の態様にて、医薬組成物は、コンパウンド90、コンパウンド93、コンパウンド95およびこれらの化合物の医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、および効果的な量のシクロスポリンアナログ、ITMN−191、ボセプリビル、テラプリビル(VX−950)、R7128、GSK625433およびインターフェロンαからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を含む。さらなる態様において、医薬組成物はコンパウンド90、コンパウンド93、コンパウンド95およびこれらの化合物の医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量で、およびボセプリビル、R7128、GSK625433およびインターフェロンαからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて含む。付加的な態様において、医薬組成物はコンパウンド90、コンパウンド93、コンパウンド95およびこれらの化合物の医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量で、およびテラプリビル(VX−950)を効果的な量にて含む。もう一つ別の実施態様において、医薬組成物はコンパウンド90またはその医薬上許容される塩をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびボセプリビルおよびR7128からなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて含む。さらにもう一つ別の実施態様において、医薬組成物はコンパウンド95またはその医薬上許容される塩をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびボセプリビルおよびR7128からなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて含む。もう一つ別の実施態様において、医薬組成物はコンパウンド93またはその医薬上許容される塩をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびボセプリビル、GSK625433およびインターフェロン−αからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて含む。
【0134】
本願発明は、付加的に、ウイルス感染を患っている患者を処置する方法であって、該患者に、コンパウンド90、コンパウンド93、コンパウンド95およびこれらの化合物の医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて投与し、効果的な量の上記した表2に列挙した薬剤より選択される抗HCV活性を有する付加的な薬剤を投与することを含む、方法を対象とする。さらもう一つ別の態様にて、該発明は、コンパウンド90、コンパウンド93、コンパウンド95およびこれらの化合物の医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて投与し、効果的な量のシクロスポリンアナログ、ITMN−191、ボセプリビル、テラプリビル(VX−950)、R7128、GSK625433およびインターフェロンαからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を投与することを含む。さらなる態様において、該方法はコンパウンド90、コンパウンド93、コンパウンド95およびこれらの化合物の医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量で、およびボセプリビル、R7128、GSK625433およびインターフェロンαからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて投与することを含む。付加的な態様において、該方法はコンパウンド90、コンパウンド93、コンパウンド95およびこれらの化合物の医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量で、およびテラプリビル(VX−950)を効果的な量にて投与することを含む。もう一つ別の実施態様において、該方法はコンパウンド90またはその医薬上許容される塩をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびボセプリビルおよびR7128からなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて投与することを含む。さらにもう一つ別の実施態様において、該方法はコンパウンド95またはその医薬上許容される塩をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびボセプリビルおよびR7128からなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて投与することを含む。もう一つ別の実施態様において、該方法はコンパウンド93またはその医薬上許容される塩をHCV NS5A蛋白の機能を阻害するのに効果的な量にて、およびボセプリビル、GSK625433およびインターフェロン−αからなる群より選択される抗ウイルス活性を有する付加的な薬剤を効果的な量にて投与することを含む。
【0135】
R7128はPSI−6130のプロドラッグである。R7128は下記:
【化7】

で示される化学構造を有する。
【0136】
GSK625433である(1−[4−(1,1−ジメチルエチル)−3−メトキシベンゾイル]−4−(メトキシメチル)−2−(1H− ピラゾール−1−イルメチル)−5−(2−チアゾリル)−(4R,5S)−rel−D−プロリン)は、下記:
【化8】

で示される化学構造を有する。
【0137】
特記しない限り、本願明細書で使用される技術的かつ科学的用語はすべて、当業者が一般に知っている意義と一致する。本願明細書にて言及されるすべての出版物、特許、公開された特許出願および他の刊行物は、出典明示によりその内容をすべて本願明細書の一部とする。
【0138】
合成方法
RNAを含有するウイルスの複製を阻害する式(I)の代表的な化合物ならびに他の化合物は、同時係属出願の米国特許出願12/702673(2010年2月9日付出願、発明の名称「Linked Dibenzimidiazole Antivirals」;米国特許出願12/702692(2010年2月9日付出願、発明の名称「Linked Dibenzimidiazole Derivatives」;米国特許出願12/702802(2010年2月9日付出願、発明の名称「Linked Dibenzimidiazole Derivatives」;米国特許出願12/707190(2010年2月17日付出願、発明の名称「Linked Diimidazole Derivatives」;米国特許出願12/707200(2010年2月17日付出願、発明の名称「Linked Diimidazole Derivatives」;米国特許出願12/707210(2010年2月17日付出願、発明の名称「Hepatitis C Virus Inhibitors」;米国特許出願12/714583(2010年3月1日付出願、発明の名称「Novel benzimidazole Derivatives」;および米国特許出願12/714576(2010年3月1日付出願、発明の名称「Hepatitis C Virus Inhibitors」に記載されており;その各々の内容を本願明細書に出典明示にすることで本願明細書の一部とする。
【0139】
本願明細書にて引用される刊行物はすべて、要約、報文、ジャーナル、刊行物、テキスト、論文、インターネットウエブサイト、データベース、特許および特許刊行物を含め、これに限定されるものではないが、書面、電子、コンピューター可読の記憶媒体または他の形態であっても、その内容をすべて出典明示により本願明細書の一部とする。
実施例
【0140】
本願発明の化合物および方法は、単なる例示として考えられ、本願発明の範囲を限定するものではない、以下の実施例に関連して、より詳細に理解されるであろう。実施態様の開示に対する種々の変形および修飾は当業者に明らかであり、限定されるものではないが、本願発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関連する変更および修飾を含め、かかる変形および修飾は、発明の精神および添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、なされてもよい。
【0141】
本願発明は、種々の好ましい実施態様に関連して記載されているが、それに限定されることを意図とするものではなく、当業者であればむしろ、変形および修飾が発明の精神および添付した特許請求の範囲の範囲内でなされていることを理解するであろう。
【0142】
生物学的活性
次の実施例は、本願発明を限定するというよりも、むしろ本願発明を説明することを意図とする。
【0143】
1.HCVレプリコン細胞株
(R. Bartenschlagerの好意により提供された)HCVレプリコン細胞株をLohmanら(Lohmanら(1999) Science 285: 110-113、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする)に記載のコロニーより単離し、すべての実験にて使用した。該HCVレプリコンはEMBL受入番号:AJ242651にて示される核酸配列を有し、そのコード化配列はヌクレオチド1801〜8406の配列である。
【0144】
公開されているHCVレプリコンのコード化配列は、標準的な分子生物学技法を用いて合成され、その後で修飾プラスミドpBR322(Promega、Madison、WI)にてアセンブルされた。一のレプリコン細胞株(「SGR11−7」)は、(i)カプシド蛋白の最初の12のアミノ酸に融合したHCV 5’UTR、(ii)ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo)、(iii)脳心筋炎ウイルス(EMCV)からのIRESおよび(iv)HCV NS2ないしNS5B遺伝子およびHCV 3’UTRからなるHCVレプリコンRNAを安定して発現する。もう一つ別のVrolijkらに記載のレプリコン細胞株(「Huh−luc/neo−ET」)(Vrolijkら(2003) Journal of Virological Methods 110: 201-209、その内容をすべて出典明示により本願明細書の一部とする)は、(i)カプシド蛋白の最初の12のアミノ酸に融合したHCV 5'UTR、(ii)ホタルルシフェラーゼ受容体遺伝子、(iii)ユビキチン遺伝子、(iv)ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo)、(v)脳心筋炎ウイルス(EMCV)からのIRES,および(vi)細胞培養の適応変異(E1202G、T1280I、K1846T)を匿うHCV NS3ないしNS5BおよびHCV 3’UTRからなるHCVレプリコンRNAを安定して発現する。
【0145】
これらの細胞株は、37℃、5%CO、100%相対湿度で、10%ウシ胎仔血清(「FCS」、Invitrogen)、1%非必須アミノ酸(Invitrogen)、1%のGlutamax(Invitrogen)、1%の100Xペニシリン/ストレプトマイシン(カタログ番号15140−122、Invitrogen)およびゲネチシン(カタログ番号10131−027、Invitrogen)を含む、DEME(カタログ番号11965−084、Invitrogen)にて、0.75mg/mlまたは0.5mg/mlでSGR11−7およびHuh−luc/neo−ET細胞の各々について維持された。
【0146】
2.HCVレプリコンの薬物スクリーニングアッセイ
単一の薬剤の化合物および組み合わせのEC50値は、製造業者の仕様説明書に従って、ABI Model 7500サーモサイクラー上にTAQMAN(登録商標)One-Step RT-PCR Master Mix Reagents Kit(カタログ番号AB4309169、Applied Biosystems)を備えた定量的RT−PCRを用いるHCV RNA検出によって測定された。HCV RNAを検出し、定量するのに用いたTaqManプライマーは5’−GCTGCGGCCTGTCGAGCT−3’(配列番号:1)、5’-CAAGGTCGTCTCCGCATAC-3'(配列番号:2)およびプローブ5'−FAM−CGAAGCTCCAGGACTGCACGATGCT−BHQ−3'(配列番号:3)であり、Integrated DNA Technologiesより得た。HCV RNAは薬物処置された細胞におけるGAPDH RNAレベルに正規化され、それをHuman GAPDH Endogenous Control Mix(Applied Biosystems、AB 4310884E)を用いて検出して定量する。全細胞RNAをRNAqueous 96キット(Ambion、カタログ番号AM1812)を用いて96−ウェルプレートより精製する。化学物質の細胞傷害性を、MTSアッセイを用い、製造業者の仕様説明書(Promega)に従って評価した。
【0147】
本願明細書に記載の化合物はHCV 1b遺伝子型に対して効果的であり得る。該化合物はHCVの複数の遺伝子型を阻害しうると理解されるべきである。一の実施態様において、式(I)の化合物は1a、1b、2a、2b、3a、4aおよび5aの遺伝子型に対して活性である。以下の表は、上記した定性的RT−PCRまたはルシフェラーゼアッセイによる、本願発明の代表的化合物のHCV 1b遺伝子型に対するEC50値を示す。EC50の範囲は以下の群:A>10nM;B1−10nM;C<1nMに分類された。各薬剤の細胞傷害性の可能性を並行してMTSアッセイにて分析し、すべての薬剤について3μMよりも大きかった。
【0148】
表3:遺伝型−1bレプリコンEC50
【表16】

【0149】
3.インビトロにおける相乗アッセイ
単剤療法後にウイルス感染において臨床薬耐性の発生することが多いため、併用療法の相加作用、拮抗作用、または相乗作用を評価する必要がある。本願発明者らは、NS5A阻害剤の、インターフェロンアルファ、シクロスポリンアナログおよび他のHCV蛋白を標的とする阻害剤との併用療法の使用の可能性を評価するためにHCVレプリコンシステムを使用した。薬物の組み合わせの急性作用を、各化学剤を含む「Huh−luc/neo−ET」レプリコンで、各薬物のEC50の付近を中心に6点の2倍希釈曲線にて、XまたはY方向にタイトレートして実験した。
簡単には、レプリコン細胞を7000細胞/ウェルで90μlの、ウェル当たり、10%FCS、1%非必須アミノ酸、1%のグルタマックス(Glutamax)および1%の100xペニシリン/ストレプトマイシンを含む、DMEM(フェノールレッド不含、Invitrogen、カタログ番号31053−036)に播種し、37℃、5%CO、100%相対湿度で一夜インキュベートした。細胞を播種してから16−20時間経過した後、XプレートおよびYプレートの各々からの予めジメチルスルホキシド(「DMSO」)に溶かしてタイトレートした試験化合物を、10%FCS、1%非必須アミノ酸、1%のグルタマックスおよび1%の100xペニシリン/ストレプトマイシンを含む、DMEM(フェノールレッド不含、Invitrogen、カタログ番号31053−036)に1:100にて希釈し、細胞および成長ホルモンを1:10の希釈割合で、化合物およびDMSOが1:1000の最終希釈割合(0.2%DMSO最終濃度)で含有する96−ウェルプレートに直接加えた。薬物で処理した細胞を37℃、5%CO、100%相対湿度で72時間インキュベートし、ウェル当たり100μlのブライトライトプラス(BriteLite Plus)(Perkin Elmer)を用い、製造業者の指示書に従って、ルシフェラーゼアッセイを行った。データ分析はPrichardおよびShipmanにより公開されている方法(Antivirus Research、1990. 14:181-205)を利用した。この方法を用い、併用療法のデータを、化合物を組み合わせて希釈することで、クリエートされる組み合わせサーフェス全体にわたる拮抗作用、相加作用または相乗作用の併用について分析した。
【0150】
本願発明者らは、NS5A阻害剤の、インターフェロンアルファ、シクロスポリンアナログまたは他のHCV蛋白を標的とする阻害剤との併用療法の使用の可能性を評価するためにHCVレプリコンシステムを使用した。プロテアーゼ阻害剤(ITMN−191、SCH503034、VX−950)、ヌクレオシドアナログ(WO01/90121(A2)、US6348587B1、WO01/60315またはWO01/32153に記載される阻害剤等)、非ヌクレオシドNS5Bポリメラーゼ阻害剤(GSK625433)、シクロスポリンアナログ、ならびにインターフェロンアルファを、本願明細書のコンパウンド90、93または95、HCV NS5Aの阻害剤と組み合わせて試験する。抗ウイルス剤を、各々、5種の濃度で試験し、DMSOにて2倍希釈で希釈した。抗ウイルス剤を単剤療法として、およびコンパウンド90、93または95(本願明細書に記載)と種々の濃度割合にて組み合わせて試験した。細胞を化合物に72時間暴露し、ついでHCV阻害の量を上記したルシフェラーゼアッセイを用いて測定する。これらの併用剤の細胞傷害剤の可能性をまた、アラマー(Alamar)ブルー染色により並列して分析した。アンタゴニスト活性度または相乗作用を一連の薬物濃度にわたって測定し、その組み合わせの応答曲線を適合させ、薬物処理の組み合わせの抗ウイルス作用を評価した。組み合わせサーフェスをプリチャード(Prichard)のブリス(Bliss)相加性方法を用いて分析した。各薬物の組み合わせについて95%信頼区間の相乗評点を以下の表に報告する。相乗評点はブリス相加性モデルにより推定される値以上であるか、以下であるすべての作用レベルの合計として定義される。一般に、0近くの相乗評点は相加的作用を示し、一方で0よりずっと小さな値、または0よりずっと大きな値は、各々、拮抗作用または相乗作用を示唆する。
【0151】
表4:2種の薬剤の併用
【表17】

【0152】
図1はコンパウンド93を抗ウイルス化合物と組み合わせた相乗評点全体に関与する各併用濃度での相加的過剰率を示す例示的グラフを提供する。
【0153】
4. 長期RNA減少およびウイルスリバウンドアッセイ
「SGR11−7」レプリコン細胞を、G418セレクションの不在の下、および化学剤の存在下で各化合剤またはその組み合わせを1xEC50ないし30xEC50の間の濃度で4−6継代にわたって培養した。HCVレプリコンのRNAを各継代で測定した。第4または第6継代の後、G418を細胞培地に加え、抗ウイルス化合物を除去し、細胞培地におけるウイルスのリバウンドおよび得られた細胞増生を同定した。すべてのウイルスRNAを上記の定量性RT−PCRを用いて定量し、全細胞RNAに対して正規化した。
【0154】
本願発明者らはHCVレプリコンシステムを用い、NS5A阻害剤と、インターフェロンアルファ、シクロスポリンアナログまたは他のHCV蛋白を標的とする阻害剤との組み合わせの長期インパクトを評価した。一例として、コンパウンド93および95、HCV NS5A蛋白の阻害剤を単独で、およびVX−950、HCVプロテアーゼ阻害剤と、以下の表5に列挙される濃度で組み合わせて評価した。各アッセイのコースにわたるHCV遺伝子型1bまたは1a(図示される)RNAコピー数もまた図2Aおよび2Bに示される。
【0155】
表5
【表18】

【0156】
5.HCV耐性アッセイの抑制
「Huh1a7」遺伝子型1aまたは「11−7」遺伝子型1bレプリコン細胞をG418セレクションおよびHCV阻害剤の存在下で、各化学剤または組み合わせを1xEC50ないし27xEC50の濃度で培養した。コンパウンド95およびGSK625433またはVX−950のいずれかを単剤として、および組み合わせてgt1aレプリコン細胞に3−4日毎に適用し、コンパウンド95のVX−950またはGSK625433に対する耐性の出現を抑制する能力を評価した。VX−950、GSK625433およびコンパウンド95を、各々、1.5μM、7.6μMおよび1.4nMの上限濃度で加え、3倍希釈で漸増させた。コンパウンド90およびボセプリビルを単剤として、および組み合わせて3−4日毎にgt1bレプリコン細胞に適用した。コンパウンド90およびボセプリビルを、各々、30pMおよび3.0μMの上限濃度で加え、3倍希釈で漸増させた。実験毎に独立したレプリケートを6−ウェルのプレートで行った。対照サンプル(0.2%DMSO)が全面成長に達するまで、細胞を化合物と一緒にインキュベートした。その後で、細胞を新たな6−ウェルのプレートに1:12で継代し、巨視的コロニーが肉眼で見え、G418感受的細胞が死ぬまで連続して培養させた。細胞をその後で固定し、クリスタルバイオレット/エタノールで染色させた。巨視的コロニーを計数し、病巣の数を図3A−3Cに示す。
【0157】
これらの結果は、レプリコン細胞のHCV NS5A阻害剤およびHCV プロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、シクロフィリン(シクロスポリンアナログ)またはインターフェロンを標的とする阻害剤での併用療法は、相加的ないし相乗的な抗ウイルス作用を生成する。これらのNS5A阻害剤を併用療法にて用いる能力は、HCVの治療のための単回薬物療法よりも大きな利点を提供しうる。特に、本願明細書に記載のNS5A阻害剤と、他の直接抗ウイルス化合物との組み合わせは、レプリコン細胞でのウイルスRNA複製を除き、HCV耐性の発生を抑制するにおいて、単剤単独でよりもより効果的である。
【0158】
上記した方法および本願発明のシステムの種々の修飾および変形は、発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者に明らかであろう。本願発明は具体的な望ましい実施態様と関連して記載されているが、特許請求の範囲に記載の発明はかかる具体的な実施態様に過度に限定されるべきではない。実際、分子生物学、医学、免疫学、薬理学、ウイルス学または関連する分野の当業者に明らかである、本願発明を実施するためのモードの種々の修飾は発明の範囲内にあると考えられる。
【0159】
本願発明はその好ましい実施態様に言及して特に記載されているが、形態の種々の変形および詳細は、特許請求の範囲に含まれる発明の範囲を逸脱することなく、なされることが理解されるであろう。
【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬上許容される担体または賦形剤と、医薬的に有効な量のHCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物および抗HCV活性を有する付加的な薬剤とを含む、医薬組成物。
【請求項2】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤が、インターフェロンである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
インターフェロンが、インターフェロンアルファ2B、ペグ化インターフェロンアルファ、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンアルファ2A、リンパ芽球様インターフェロンタウからなる群より選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
抗HCV活性を有する薬剤が、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発達を強化する化合物、干渉RNA;アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5’−モノホスフェート脱水素酵素阻害剤、アマンタジンおよびリマンタジンからなる群より選択される薬剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
抗HCV活性を有する薬剤が小分子である薬剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤が、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4B蛋白、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVエグレス、HCV NS5A蛋白、IMPDH、シクロスポリンアナログおよびHCV感染を治療するためのヌクレオシドアナログからなる群より選択される、標的の機能を阻害するのに効果的である薬剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤が、HCV NS5A蛋白以外の、HCVライフサイクルにおける標的の機能を阻害する薬剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物および抗HCV活性を有する付加的な薬剤をウイルス感染を患っている患者に投与することを含む、該患者の治療法。
【請求項9】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物および抗HCV活性を有する付加的な薬剤を含む医薬組成物を該患者に投与する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物および抗HCV活性を有する付加的な薬剤が別個の組成物として処方される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物および抗HCV活性を有する付加的な薬剤が同時に投与される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物および抗HCV活性を有する付加的な薬剤が別の時に投与される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物が小分子である、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
HCV NS5A蛋白の機能を阻害する化合物が小分子である、請求項8記載の方法。
【請求項15】
小分子の化合物が、式(I):
【化1】

[式中:
AおよびBは、各々独立して、存在しないか、またはアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式、C−CシクロアルキルおよびC−Cシクロアルケニルからなる群より独立して選択される単環または多環式基であり、各々が置換されていてもよく;
Lは存在しないか、または線状の脂肪族基であり;
ここで、A、BおよびLのうち少なくとも一つは存在し;
Gは1または複数の窒素原子を含有する置換されていてもよい5−員のヘテロアリール、または置換されていてもよい5/6−員の縮合したヘテロアリールであり、ここで該5/6−員の縮合したヘテロアリールのうち5−員環は1または複数の窒素原子を含有し、含窒素ヘテロ環に結合し、および該5/6−員の縮合したヘテロアリールのうち6−員環は基B、LおよびAの一つに結合し、アリールまたはヘテロアリールであり;
存在する各々のRは、独立して、O(C−Cアルキル)、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、ヘテロ環式、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、各々、置換されていてもよく;
存在する各々のXは、独立して、NまたはC(R)であり;
存在する各々のX、XおよびXは、各々独立して、NおよびC(R)から選択され;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよいC−CアルキルまたはO(C−Cアルキル)であり;
Uは、存在しないか、または独立して、O、S、S(O)、SO、NC(O)−(C−Cアルキル)、C(O)、保護カルボニル、OCH、OCHCH、SCH、SCHCH、C(R、C(RC(RまたはC=C(Rから選択され;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC−C アルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、O(C−Cアルキル)、S(C−Cアルキル)、1または2個のC−Cアルキルで置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいC−Cアルキルからなる群より選択され;
また別に、2個の同種のR基は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、スピロ、置換されていてもよい3−ないし7−員のシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロ環式環を形成することができ;
存在する各々のR7aおよびR7bは、各々独立して、水素、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいC−Cアルキルからなる群より選択され;
また別に、CHR7a−UまたはCHR7b−Uは、一緒になって、CH=CH、縮合して置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、縮合して置換されていてもよいアリールまたは縮合して置換されていてもよいヘテロ環を形成することができ;および
さらにまた別に、U、R7aおよびR7bは、それらの結合する炭素原子と一緒になって、架橋して置換されていてもよいシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロ環を含む4−ないし7−員環を形成することができる]
で示される化合物、あるいはその医薬上許容されるエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、プロドラッグまたは塩。
【請求項16】
Gが次の:
【化2】

のうちの一から選択され、ここで上記したヘテロアリール基は、各々、置換されていてもよい、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
Gが置換されていてもよいイミダゾリルまたは置換されていてもよいベンゾイミダゾリルより選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
式(I)の化合物が、式(II−a)または(II−b):
【化3】

[式中、AおよびBは、各々独立して、フェニル、単環式ヘテロアリール、二環式アリールまたは二環式ヘテロアリールであり、その各々は置換されていてもよく;Lは置換されていてもよいC−Cアルケニルまたは置換されていてもよいC−Cアルキニルである]
で示される化合物であるか、またはその医薬上許容される塩である、請求項15記載の組成物。
【請求項19】
式(I)の化合物が、式(IIc)、(IId)、(IIe)または(IIf):
【化4】

[式中、Rは、アミノ、ヒドロキシ、保護アミノまたはO(C−Cアルキル)で置換されていてもよいC−Cアルキルであり;存在する各々のUは、独立して、CH、CHF、CHMe、CF、C=CH、C=CFまたはC(Rであり、その2つの同種のR基はその結合する炭素と一緒になってスピロシクロプロピルを形成し;R7aは水素であり;およびR7bは水素またはメチルである、請求項15記載の組成物。
【請求項20】
存在する各々の
【化5】

が、独立して、以下:
【化6】

のいずれか一の基より選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項21】
7aおよびU、またはUおよびR7bが、それらの結合する炭素と一緒になって、縮合したシクロプロピルを形成し、R7bまたはR7aの他方が水素である、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
U、R7aおよびR7bが、それらの結合する炭素と一緒になって、架橋C−Cシクロアルキルを形成する、請求項20記載の組成物。
【請求項23】
式(I)の化合物が、次表:
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【表10】

に列挙されるコンパウンド1−131より選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項24】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCV NS5A阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項25】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVメタロプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項26】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVセリンプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項27】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項28】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVヘリカーゼ阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項29】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCV NS4B阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項30】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVエントリー阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項31】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVアセンブリー阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項32】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVエグレス阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項33】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がIMPDH阻害剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項34】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がシクロスポリンアナログを含む、請求項15記載の組成物。
【請求項35】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がヌクレオシドアナログを含む、請求項15記載の組成物。
【請求項36】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がヌクレオシドアナログを含む、請求項20記載の組成物。
【請求項37】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がインターフェロンを含む、請求項15記載の組成物。
【請求項38】
インターフェロンが、インターフェロンアルファ2B、ペグ化インターフェロンアルファ、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンアルファ2Aおよびリンパ芽球様インターフェロンタウからなる群より選択される、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がインターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発達を強化する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5’−モノホスフェート脱水素酵素阻害剤、アマンタジンおよびリマンタジンからなる群より選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項40】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤が小分子である薬剤を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項41】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤が、HCV メタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4B蛋白、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVエグレス、HCV NS5A蛋白、IMPDH、シクロスポリンアナログおよびHCV感染の処置用のヌクレオシドアナログからなる群より選択される標的の機能を阻害するのに効果的である、請求項40記載の組成物。
【請求項42】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤が、HCVライフサイクルの標的であって、HCV NS5A蛋白以外の標的の機能を阻害する、請求項33記載の組成物。
【請求項43】
式(I)の化合物がコンパウンド90、コンパウンド93およびコンパウンド95、またはそのいずれかの医薬上許容される塩からなる群より選択され、付加的な薬剤がシクロスポリンアナログ、ITMN−191、ボセプリビル、テラプリビル、R7128、GSK625433およびインターフェロンαまたはそのいずれかの医薬上許容される塩からなる群より選択される、請求項23記載の組成物。
【請求項44】
付加的な薬剤がテラプリビルまたはその医薬上許容される塩である、請求項43記載の組成物。
【請求項45】
式(I)の化合物がコンパウンド90またはコンパウンド95あるいはそのいずれかの医薬上許容される塩であり、付加的な薬剤がボセプリビルまたはR7128あるいはそのいずれかの医薬上許容される塩である、請求項43記載の組成物。
【請求項46】
式(I)の化合物がコンパウンド93またはその医薬上許容される塩であり、付加的な薬剤がボセプリビル、GSK625433およびインターフェロン−αまたはその医薬上許容される塩からなる群より選択される、請求項43記載の組成物。
【請求項47】
小分子の化合物が、式(I):
【化7】

[式中:
AおよびBは、各々独立して、存在しないか、またはアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式、C−CシクロアルキルおよびC−Cシクロアルケニルからなる群より独立して選択される単環または多環式基であり、各々が置換されていてもよく;
Lは存在しないか、または線状の脂肪族基であり;
ここで、A、BおよびLのうち少なくとも一つは存在し;
Gは1または複数の窒素原子を含有する置換されていてもよい5−員のヘテロアリール、または置換されていてもよい5/6−員の縮合したヘテロアリールであり、ここで該5/6−員の縮合したヘテロアリールのうち5−員環は1または複数の窒素原子を含有し、含窒素ヘテロ環に結合し、および該5/6−員の縮合したヘテロアリールのうち6−員環は基B、LおよびAの一つに結合し、アリールまたはヘテロアリールであり;
存在する各々のRは、独立して、O(C−Cアルキル)、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、ヘテロ環式、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、各々、置換されていてもよく;
存在する各々のXは、独立して、NまたはC(R)であり;
存在する各々のX、XおよびXは、各々独立して、NおよびC(R)から選択され;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよいC−CアルキルまたはO(C−Cアルキル)であり;
Uは、存在しないか、または独立して、O、S、S(O)、SO、NC(O)−(C−Cアルキル)、C(O)、保護カルボニル、OCH、OCHCH、SCH、SCHCH、C(R、C(RC(RまたはC=C(Rから選択され;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC−C アルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
存在する各々のRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、O(C−Cアルキル)、S(C−Cアルキル)、1または2個のC−Cアルキルで置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいC−Cアルキルからなる群より選択され;
また別に、2個の同種のR基は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、スピロ、置換されていてもよい3−ないし7−員のシクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロ環式環を形成することができ;
存在する各々のR7aおよびR7bは、各々独立して、水素、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいC−Cアルキルからなる群より選択され;
また別に、CHR7a−UまたはCHR7b−Uは、一緒になって、CH=CH、縮合して置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、縮合して置換されていてもよいアリールまたは縮合して置換されていてもよいヘテロ環を形成することができ;および
さらにまた別に、U、R7aおよびR7bは、それらの結合する炭素原子と一緒になって、架橋して置換されていてもよいシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロ環を含む4−ないし7−員環を形成することができる]
で示される化合物、あるいはその医薬上許容されるエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、プロドラッグまたは塩である、請求項14記載の方法。
【請求項48】
Gが次の:
【化8】

のうちの一から選択され、ここで上記したヘテロアリール基は、各々、置換されていてもよい、請求項47記載の方法。
【請求項49】
Gが置換されていてもよいイミダゾリルまたは置換されていてもよいベンゾイミダゾリルより選択される、請求項47記載の方法。
【請求項50】
式(I)の化合物が、式(II−a)または(II−b):
【化9】

[式中、AおよびBは、各々独立して、フェニル、単環式ヘテロアリール、二環式アリールまたは二環式ヘテロアリールであり、その各々は置換されていてもよく;Lは置換されていてもよいC−Cアルケニルまたは置換されていてもよいC−Cアルキニルである]
で示される化合物であるか、またはその医薬上許容される塩である、請求項47記載の方法。
【請求項51】
式(I)の化合物が、式(IIc)、(IId)、(IIe)または(IIf):
【化10】

[式中、Rは、アミノ、ヒドロキシ、保護アミノまたはO(C−Cアルキル)で置換されていてもよいC−Cアルキルであり;存在する各々のUは、独立して、CH、CHF、CHMe、CF、C=CH、C=CFまたはC(Rであり、その2つの同種のR基はその結合する炭素と一緒になってスピロシクロプロピルを形成し;R7aは水素であり;およびR7bは水素またはメチルである、請求項47記載の方法。
【請求項52】
存在する各々の
【化11】

が、独立して、以下:
【化12】

のいずれか一の基より選択される、請求項47記載の方法。
【請求項53】
7aおよびU、またはUおよびR7bが、それらの結合する炭素と一緒になって、縮合したシクロプロピルを形成し、R7bまたはR7aの他方が水素である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
U、R7aおよびR7bが、それらの結合する炭素と一緒になって、架橋C−Cシクロアルキルを形成する、請求項52記載の方法。
【請求項55】
式(I)の化合物が、次表:
【表11】


【表12】


【表13】


【表14】


【表15】


【表16】


【表17】


【表18】


【表19】


【表20】


【表21】


に列挙されるコンパウンド1−131より選択される、請求項47記載の方法。
【請求項56】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCV NS5A阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項57】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVメタロプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項58】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVセリンプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項59】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項60】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVヘリカーゼ阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項61】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCV NS4B阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項62】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVエントリー阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項63】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVアセンブリー阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項64】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がHCVエグレス阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項65】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がIMPDH阻害剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項66】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がシクロスポリンアナログを含む、請求項47記載の方法。
【請求項67】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がヌクレオシドアナログを含む、請求項47記載の方法。
【請求項68】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がインターフェロンを含む、請求項47記載の方法。
【請求項69】
インターフェロンが、インターフェロンアルファ2B、ペグ化インターフェロンアルファ、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンアルファ2Aおよびリンパ芽球様インターフェロンタウからなる群より選択される、請求項68記載の方法。
【請求項70】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤がインターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発達を強化する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5’−モノホスフェート脱水素酵素阻害剤、アマンタジンおよびリマンタジンからなる群より選択される、請求項47記載の方法。
【請求項71】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤が小分子である薬剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項72】
付加的な薬剤が、HCV メタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4B蛋白、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVエグレス、HCV NS5A蛋白、IMPDH、シクロスポリンアナログおよびHCV感染の処置用のヌクレオシドアナログからなる群より選択される標的の機能を阻害するのに効果的である、請求項71記載の方法。
【請求項73】
抗HCV活性を有する付加的な薬剤が、HCVライフサイクルにおけるHCV NS5A蛋白以外の標的の機能を阻害する薬剤を含む、請求項47記載の方法。
【請求項74】
HCV NS5A蛋白を阻害する薬剤および抗HCV活性を有する付加的な薬剤が同時に投与される、請求項8記載の方法。
【請求項75】
HCV NS5A蛋白を阻害する薬剤および抗HCV活性を有する付加的な薬剤が別の時に投与される、請求項8記載の方法。

【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2013−521279(P2013−521279A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556049(P2012−556049)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/044591
【国際公開番号】WO2011/109037
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(503323970)エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】