ICカード及びICカードの製造方法
【課題】 ICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止するICカードを提供する。
【解決手段】 アンテナコイルを含む回路パターンが形成されたインレットシート(10)の上下面からラミネート基材(20,21,30)にて挟持してなるICカードであり、ICカードの表面に露出したICモジュール(2)を有し、ICモジュール(2)と重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴(50)がインレットシート(10)に形成され、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるラミネート基材(20,21,30)が結合されて構成される。
【解決手段】 アンテナコイルを含む回路パターンが形成されたインレットシート(10)の上下面からラミネート基材(20,21,30)にて挟持してなるICカードであり、ICカードの表面に露出したICモジュール(2)を有し、ICモジュール(2)と重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴(50)がインレットシート(10)に形成され、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるラミネート基材(20,21,30)が結合されて構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器との通信処理が可能なICカード及びICカードの製造方法に関し、特に、接触状態や非接触状態での通信処理が可能なICカード及びICカードの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年におけるカード技術の発達により、各種の通信システムに用いられる情報記録媒体として、広範囲な用途に適用可能なICカードがある。このICカードには、専用の装置に接触させることで情報の書き込み処理、及び、読み出し処理が可能な接触型のICカードと、専用の装置に近接させるだけで情報の書き込み処理、及び、読み出し処理が可能な非接触型のICカードがある。
【0003】
特に、非接触型のICカードは、専用の装置に挿入する必要がないため、カード自体の取り扱いが便利なこともあり、産業上に急速に普及しつつある。なお、非接触型のICカードは、通信処理を制御する制御部やメモリ等の機能を有するICチップと、電磁波の送受信のためのアンテナコイルと、が実装されたインレットシートがカード本体となるカード基板に埋設して構成されており、電磁波等を用いて外部装置とのデータ通信処理を行うことになる。
【0004】
また、接触型のICカードと非接触型のICカードとが組み合わされたICカードも普及しており、接触状態にて情報の書き込み処理、及び、読み出し処理を行う接触型のICチップと、非接触状態にて情報の書き込み処理、及び、読み出し処理を行う非接触型のICチップと、がそれぞれ搭載されたハイブリッド型のICカードや、接触状態、及び、非接触状態の何れの状態においても情報の書き込み処理、及び、読み出し処理を行う接触型及び非接触型兼用の1つのICチップが搭載されたコンビネーション型のICカードがある。
【0005】
まず、図1、図2を参照しながら、接触型のICチップと非接触型のICチップとの2つのICチップを搭載したハイブリッド型のICカードの製造方法について説明する。
【0006】
まず、図1(a)に示すように、アンテナ基材(11)に対し、非接触型のICチップ(13)と、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)と、を実装し、インレットシート(10)を形成する。次に、図1(b)に示すように、そのインレットシート(10)の上下面からラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にてインレットシート(10)を挟持し、熱圧着処理を行い、各シート(30、21、10、20、21、30)をラミネートし、図1(c)に示すように、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成する。なお、図1(b)、(c)では、インレットシート(10)の上面側に対し、穴が施された第1のコアシート(20)と、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、インレットシート(10)の下面側に対し、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0007】
次に、図2(a)に示すように、カード基材(1)に対し、所定の位置にミーリング加工を施し、接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成する。そして、図2(b)に示すように、カード基材(1)に形成した開口領域(3)に対し、接着剤(40)を用いてICモジュール(2)を装着し、そのICモジュール(2)を装着したカード基材(1)に対し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(2)をカード基材(1)に密着させ、接触型のICチップ(201)と非接触型のICチップ(13)との2つのICチップ(201、13)を搭載したICカードを形成することになる。
【0008】
しかしながら、上述した図1、図2に示す製造方法にて形成したICカードに対し、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足することができず、また、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足することができないことが試験結果から判明した。
【0009】
これは、図2(a)に示すように、カード基材(1)に対し、ミーリング加工を施し、接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成した場合には、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出することになるためである。このため、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面から露出した状態のカード基材(1)に対し、ICモジュール(2)を密着させ、図2(b)に示すように、接触型のICチップ(201)と非接触型のICチップ(13)との2つのICチップ(201、13)を搭載したICカードを形成し、その形成したICカードに対し、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を行った場合には、インレットシート(10)と、そのインレットシート(10)の上下面に積層されるコアシート(20,21)と、の材質の物性の差により、図3に示すように、インレットシート(10)と、そのインレットシート(10)の上下面に積層されるコアシート(20,21)と、の間で層間剥離が発生し『層間剥離発生』、ICモジュール(2)とカード基材(1)との密着力が低減し、ICモジュール(2)がカード基材(1)から浮かび上がってしまうことになる。
【0010】
従って、ICカードの表面に露出するICモジュール(2)を搭載するために開口領域(3)を形成したICカードにおいて、そのICカードのカード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、そのインレットシート(10)を挟持するラミネート基材(20,21,30)と、の間での層間剥離の発生を防止し、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足するように設計することが望まれる。
【0011】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、あらかじめIC基板装填部形成孔が形成された後に積層された所定枚数の基材形成シートと、前記基材形成シートの間に挟み込まれて配置され、外部装置と非接触でデータ授受を行う通信アンテナを有し、その通信アンテナの両端の接続端子が前記IC基板装填部形成孔から露出されているアンテナシートと、前記IC基板装填部形成孔によって形成されたIC基板装填部に装填されるIC実装基板とを備え、カード材料にかかわらず、IO基板装填部を容易に形成することができるとともに、コイル端子の露出不具合(未露出、削りすぎ等)を防止することができるアンテナ内蔵型ICカードが開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
また、接触型ICカードと非接触型ICカードの両機能を併せ持ったハイブリッド型ICカードにおいて、原反サイズのインレットシートに形成されたアンテナにICチップモジュールを接合した後に、原反サイズの基材積層を実施し、然る後に周辺部を除去し、単体に分離し、低コストであり、かつ信頼性の高いハイブリッド型ICカードが開示された文献がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−101372号公報
【特許文献2】特開2003−37240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
なお、上記特許文献1は、あらかじめIC基板装填部形成孔を形成し、カード材料にかかわらず、IO基板装填部を容易に形成することができるとともに、コイル端子の露出不具合(未露出、削りすぎ等)を防止することとしているが、本願発明のように、ICカードの表面に露出するICモジュールを搭載するために開口領域を形成するICカードにおいて、そのICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止することについては何ら考慮されたものではない。
【0014】
また、上記特許文献2は、原反サイズのインレットシートに形成されたアンテナにICチップモジュールを接合した後に、原反サイズの基材積層を実施し、然る後に周辺部を除去し、単体に分離しており、本願発明のように、ICカードの表面に露出するICモジュールを搭載するために開口領域を形成するICカードにおいて、そのICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止することについては何ら考慮されたものではない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ICカードの表面に露出するICモジュールを搭載するために開口領域を形成するICカードにおいて、そのICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止するICカード及びそのICカードの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有することとする。
【0017】
本発明にかかるICカードは、アンテナコイルを含む回路パターンが形成されたインレットシートの上下面からラミネート基材にて挟持してなるICカードであって、ICカードの表面に露出したICモジュールを有し、ICモジュールと重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴がインレットシートに形成され、貫通穴を介して、インレットシートの上下面に挟持されるラミネート基材が結合されてなることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明にかかるICカードにおいて、貫通穴は、ICモジュールをICカードに装着するための開口領域に形成されてなることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明にかかるICカードは、インレットシートの上下面を反転させてラミネート基材にて挟持した場合にも、ICモジュールと重なる部分において、貫通穴がインレットシートに形成されてなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明にかかるICカードにおいて、貫通穴は、インレットシートの中心軸を経由してインレットシートの長手方向に平行な平行線と線対称となるように形成されてなることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明にかかるICカードにおいて、貫通穴は、インレットシートの長手方向に長い横長な形状の貫通穴、または、インレットシートの短手方向に長い縦長な形状の貫通穴であることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明にかかるICカードにおいて、インレットシートには、ICモジュールと電気的に接続するための接触端子を含む回路パターンが形成されており、接触端子以外の領域に、貫通穴が形成されてなることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明にかかるICカードにおいて、ICモジュールは、接触型と非接触型とでの通信処理が可能なICモジュールであり、ICモジュールは、回路パターンと接続されてなることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明にかかるICカードにおいて、ICモジュールは、接触型での通信処理が可能なICモジュールであり、ICモジュールは、回路パターンと接続しない状態で、ICカードに装着されてなり、インレットシートには、ICカードの表面に露出しない状態で、回路パターンと接続するように、非接触型での通信処理が可能なICチップが実装されてなることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明にかかるICカードの製造方法は、アンテナコイルを含む回路パターンを形成したインレットシートに対し、少なくとも1つの貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、貫通穴形成工程により貫通穴が形成されたインレットシートを上下面からラミネート基材にて挟持し、熱圧着処理を施し、貫通穴にラミネート基材を埋込み、貫通穴を介して、インレットシートの上下面に挟持されるラミネート基材を結合し、ICカードのカード基材を形成するカード基材形成工程と、カード基材形成工程により形成したカード基材に対し、ICモジュールを装着するための開口領域を形成する開口領域形成工程と、開口領域形成工程によりカード基材に形成した開口領域に対し、ICモジュールを装着するICモジュール装着工程と、を行い、貫通穴形成工程は、ICモジュール装着工程によりICモジュールを装着する領域内に、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明にかかるICカードの製造方法は、アンテナシートに対し、少なくとも1つの貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、貫通穴形成工程により貫通穴が形成されたアンテナシートに対し、アンテナコイルを含む回路パターンを形成し、インレットシートを形成するインレットシート形成工程と、インレットシート形成工程により回路パターンを形成したインレットシートを上下面からラミネート基材にて挟持し、熱圧着処理を施し、貫通穴にラミネート基材を埋込み、貫通穴を介して、インレットシートの上下面に挟持されるラミネート基材を結合し、ICカードのカード基材を形成するカード基材形成工程と、カード基材形成工程により形成したカード基材に対し、ICモジュールを装着するための開口領域を形成する開口領域形成工程と、開口領域形成工程によりカード基材に形成した開口領域に対し、ICモジュールを装着するICモジュール装着工程と、を行い、貫通穴形成工程は、ICモジュール装着工程によりICモジュールを装着する領域内に、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、貫通穴形成工程は、開口領域形成工程により開口領域が形成される領域に、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、貫通穴形成工程は、カード基材形成工程において、インレットシートの上下面を反転させてラミネート基材にて挟持し、カード基材を形成し、該形成したカード基材に対し、開口領域形成工程において開口領域を形成した場合にも、開口領域と一致するように、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、回路パターンは、ICモジュールと電気的に接続するための接触端子を含む回路パターンを形成し、貫通穴形成工程は、接触端子以外の領域に、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、ICモジュール装着工程は、接触型と非接触型とでの通信処理が可能なICモジュールを回路パターンと接続するように装着することを特徴とするものである。
【0031】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、ICモジュール装着工程は、接触型での通信処理が可能なICモジュールを、回路パターンと接続しないように装着し、インレットシートには、ICカードの表面に露出しない状態で、回路パターンと接続するように、非接触型での通信処理が可能なICチップが実装されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ICモジュールと重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴がインレットシートに形成され、その貫通穴を介して、インレットシートの上下面に挟持されるラミネート基材が結合されているため、ICカードの表面に露出するICモジュールを搭載するために開口領域を形成するICカードにおいて、そのICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
まず、図4を参照しながら、本実施形態におけるICカードの特徴について説明する。
【0034】
本実施形態におけるICカードは、図4(a)に示すように、アンテナコイルを含む回路パターンが形成されたインレットシート(10)の上下面からラミネート基材(20,21,30)にて挟持してなるICカードであって、ICカードの表面に露出したICモジュール(2)を有し、ICモジュール(2)と重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴(50)がインレットシート(10)に形成され、図4(b)に示すように、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるラミネート基材(20,21,30)が結合されてなることを特徴とするものである。これにより、ICカードのカード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、そのインレットシート(10)を挟持するラミネート基材(20,21,30)と、の間での層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態におけるICカードについて詳細に説明する。
【0035】
(第1の実施形態)
まず、図4を参照しながら、本実施形態におけるICカードの構成について説明する。なお、図4に示すICカードは、非接触状態にて通信処理が可能な非接触型のICチップ(13)と、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)と、を有して構成されるICカードの構成であり、(a)は、各シートを一体化する前の状態を示し、(b)は、各シートを一体化した後の状態を示すものである。
【0036】
本実施形態におけるICカード(1)は、非接触状態にて通信処理を行うための非接触型のICチップ(13)を有するインレットシート(10)と、そのインレットシート(10)を上下面から挟持するためのラミネート基材となる第1のコアシート(20),第2のコアシート(21),オーバーシート(30)と、接触状態にて通信処理を行うための接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)と、を有して構成される。
【0037】
<インレットシート10>
インレットシート(10)は、非接触状態にて通信処理を行うための非接触型のICチップ(13)を有して構成されるシートであり、カード基板(1)の中に埋設することになる。なお、本実施形態におけるインレットシート(10)には、ICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)が形成されている。なお、インレットシート(10)の詳細な構成については、後述する。
【0038】
<第1のコアシート20>
第1のコアシート(20)は、カード基材(1)の中心部分となるラミネート基材であり、ICカード本体に強度を付与させることになる。なお、第1のコアシート(20)は、インレットシート(10)の上面側に積層されることになる。また、第1のコアシート(20)には、非接触型のICチップ(13)と積層される領域に、穴(22)が形成されている。このように、第1のコアシート(20)に対して、穴(22)を形成することで、非接触型のICチップ(13)を有するインレットシート(10)と積層しても、その非接触型のICチップ(13)と接触する領域が突出しない状態を構築することが可能となり、カード基材(1)の表面の平滑性を保持することが可能となる。
【0039】
なお、第1のコアシート(20)に適用可能な材質としては、一般用ポリスチレン樹脂、耐衝撃用ポリスチレン樹脂、アクリルニトリルスチレン樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、PC(ポリカーボネイト)樹脂、塩化ビニル樹脂、変性PPO樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファルド樹脂等の熱可塑性樹脂、アロイ系樹脂、ガラス繊維の添加による強化樹脂等の従来からICカード本体の中心部分となるカード基材(1)に適用可能な公知の樹脂が挙げられる。なお、塩化ビニル、PET−G等は、自己融着を行う特性を有することから、ラミネートの際に、接着剤や接着剤シートが不要となるため、塩化ビニル、PET−G等を第1のコアシート(20)に適用することが好ましい。
【0040】
<第2のコアシート21>
第2のコアシート(21)は、カード基材(1)の中心部分となるラミネート基材であり、カード本体に強度を付与させることになる。なお、第2のコアシート(21)は、インレットシート(10)の上下面に積層されることになる。また、第2のコアシート(21)には、印刷が施されて構成されることになる。なお、第2のコアシート(21)に適用可能な材質としては、上述した第1のコアシート(20)と同様な材質が適用可能である。
【0041】
<オーバーシート30>
オーバーシート(30)は、カード基材(1)の外側部分を構成するラミネート基材である。なお、オーバーシート(30)に適用可能な材質としては、上述した第1、第2のコアシート(20,21)と同様な材質が適用可能である。
【0042】
<ICモジュール2>
ICモジュール(2)は、接触状態にて通信処理を行うための接触型のICチップ(201)を有して構成されるモジュールであり、外部装置と通信処理を行うためのデータを記憶する接触型のICチップ(201)と、その接触型のICチップ(201)を保持するモジュール基板となるCOT(Chip On Tape)基板(202)と、COT基板(202)の上面側に設けられる接触端子(203)と、接触型のICチップ(201)を封止するための封止樹脂(204)と、を有して構成される。
【0043】
なお、COT基板(202)は、ガラスエポキシ等により構成される。また、接触端子(203)は、COT基板(202)の上面に対し、銅、アルミなどの金属箔をラミネートし、エッチング処理により表面にパターンニングすることで形成される。
【0044】
また、封止樹脂(204)は、接触型のICチップ(201)を封止するための樹脂であり、例えば、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂が適用可能である。また、封止樹脂(204)としては、紫外線硬化型の樹脂も適用可能である。なお、熱硬化性の樹脂を用いる場合には、熱硬化反応により体積収縮が生じて接触型のICチップ(201)に応力が加わるのを抑えるために、フィラー、中空粒子、箔片を単体あるいは複合させたものを分散するようにすることが好ましい。
【0045】
<インレットシート10>
次に、図5を参照しながら、非接触型のICチップ(13)が実装されたインレットシート(10)の構成について詳細に説明する。なお、図5(a)は、インレットシート(10)の断面構成を示し、図5(b)は、インレットシート(10)の上面構成を示す。
【0046】
インレットシート(10)は、アンテナ基板(11)に対し、非接触型のICチップ(13)と、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)と、を実装して構成される。なお、本実施形態におけるインレットシート(10)は、ICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)が形成されている。この貫通穴(50)を形成することで、図4(a)に示すように、インレットシート(10)の上面側に積層される第1のコアシート(20)と、インレットシート(10)の下面側に積層される第2のコアシート(21)と、がインレットシート(10)に形成された貫通穴(50)を介して結合することになり、インレットシート(10)と、コアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となる。なお、貫通穴(50)は、図5に示すように、ICモジュール(2)を構成するICチップ(201)と封止樹脂(204)とが装着される領域よりも大きく構成することで、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成しても、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出しないようにすることが可能となる。以下、インレットシート(10)を構成する各部について詳細に説明する。
【0047】
<アンテナ基板11>
アンテナ基板(11)は、アンテナパターン(12)を形成する絶縁性を有する基材である。アンテナ基板(11)に適用可能な材質としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、PET、PEN、PET−G等の樹脂が挙げられる。なお、アンテナ基板(11)としては、耐熱性のある樹脂を適用することが好ましい。
【0048】
<アンテナパターン12の材質>
アンテナパターン(12)を形成する材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、錫、ニッケル、亜鉛、チタン、タングステン、ハンダ、合金等が適用可能である。なお、アンテナ基板(11)上にアンテナパターン(12)を形成する手法としては、エッチング法や、印刷法(スクリーン印刷法、オフセット印刷法)が適用可能である。また、転写法や巻き線法でアンテナ基板(11)上にアンテナパターン(12)を形成することも可能であり、アンテナパターン(12)の形成方法は特に限定するものではなく、アンテナ基板(11)上にアンテナパターン(12)が形成できればあらゆる手法を適用することは可能である。
【0049】
<接着剤14>
接着剤(14)は、アンテナ基板(11)に形成されたアンテナパターン(12)と、非接触型のICチップ(13)等の電子部品と、をバンプ(15)を介して接続するためのものであり、紫外線硬化樹脂、湿気硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが適用可能である。なお、アンテナパターン(12)と非接触型のICチップ(13)等の電子部品とをバンプ(15)を介して接続するためには、熱硬化性のエポキシ樹脂やエポキシ樹脂に対し、数μm程度の微小な導電性粒子を分散させた異方性導電性接着剤(ACP)、ACPをフィルム状にした異方性導電性フィルム(ACF)等の接着剤を介してフリップチップ方法で行うことが好ましい。なお、ACFは、ニッケル、金属コートされたプラスチック等の導電粒子、あるいは、金属粒子そのものをエポキシ樹脂等の接着剤中に分散した接着剤である。
【0050】
次に、図6、図7を参照しながら、非接触状態にて通信処理が可能な非接触型のICチップ(13)と、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)と、の2つのICチップ(13、201)を搭載して構成される図4に示すICカードの製造方法について説明する。
【0051】
まず、図6(a)に示すように、アンテナ基材(11)に対し、非接触型のICチップ(13)と、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)と、を実装し、インレットシート(10)を形成することになる。この時、本実施形態におけるインレットシート(10)には、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)を施すことになる。
【0052】
次に、図6(b)に示すように、そのインレットシート(10)の上下面からラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にてインレットシート(10)を挟持し、熱圧着処理を行い、各シート(30、21、10、20、21、30)をラミネートし、図6(c)に示すように、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0053】
なお、本実施形態におけるカード基材(1)は、図6(b)、(c)に示すように、インレットシート(10)の上面側に対し、穴(22)が施された第1のコアシート(20)と、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、インレットシート(10)の下面側に対し、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0054】
なお、本実施形態におけるカード基材(1)は、図6(a)に示すように、インレットシート(10)に対し、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)が施されているため、そのインレットシート(10)の上下面に積層される第2のコアシート(21)と、第1のコアシート(20)と、が貫通穴(50)を介して結合することになる。これにより、カード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となる。
【0055】
次に、図7(a)に示すように、カード基材(1)に対し、所定の位置にミーリング加工を施し、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成する。なお、本実施形態におけるカード基材(1)を構成するインレットシート(10)には、ICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)が施されているため、開口領域(3)を形成しても、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出しないように構成することが可能となる。このため、開口領域(3)を形成した断面は、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、により構成されることになるため、インレットシート(10)と、コアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となる。このため、ICモジュール(2)がカード基材(1)から浮き上がることを回避することが可能となる。
【0056】
次に、図7(b)に示すように、カード基材(1)に形成した開口領域(3)に対し、接着剤(40)を用いてICモジュール(2)を装着し、そのICモジュール(2)を装着したカード基材(1)に対し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(2)をカード基材(1)に密着させ、図4に示すように、接触型のICチップ(201)と、非接触型のICチップ(13)との2つのICチップ(201、13)を搭載したICカードを形成することになる。
【0057】
<『JIS X 6305−1 5.8』動的曲げ力(曲げ特性)>
次に、上述した図6、図7に示す製造方法により形成した図4に示すICカードが、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足するか否かについて試験する。
【0058】
なお、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定は、カードの動的曲げによる機能障害、及び、ひび割れの発生を評価するものである。
【0059】
なお、試験時に動的曲げ力をICカードにかけるために使用する試験装置を図8(a)に示す。図8(a)に示すように、試験装置の可動部は、クランク機構で、曲げ力が0.5Hzの周波数で正弦波状に変化するように稼働させる。なお、試験装置は、可動部のストロークを調節することによって、最大たわみ:hwを0mm,−1.00mmの許容差内に設定することが可能となる。また、最小たわみ:hvは、開始位置によって設定する。
【0060】
なお、hv及びhwは、両方ともICカードの下面で測定する。また、ICカードの耐久性試験において、プラスチックカード材の曲げ試験に互換性を持たせるために、試験装置の角度:αは、30°が望ましい。
【0061】
(試験手順)
まず、試験前にICカードを事前に調整し、4.1で規定する試験環境下で試験を実施する。なお、4.1で規定する試験環境下とは、温度:23℃±3℃、相対湿度:40〜60%の環境下を示す。
【0062】
まず、ICカードを、図8(a)に示す試験装置のかみ合いの間に挟む。かみ合いは、B軸方向(図8(b)参照)に沿ってICカードの長辺が湾曲して曲げが行われるように位置決めする。ICカードが接触したら、上限として初期設定する。そして、最小たわみ:hvが、2.00mm±0.50mmとなるように、試験装置のストロークを設定する。
【0063】
基本規格で規定する総曲げ回数の1/4、又は、総曲げ回数が規定されていない場合には250回の曲げとする。
【0064】
次に、ICカードの反対の面が上側となり、B軸に沿ってカードの長辺が湾曲して曲げが行われるように、ICカードの位置決めを変更する。そして、上記と同じ回数の曲げを行う。
【0065】
次に、ICカードの元の面が上側になり、A軸方向(図8(b)参照)に沿ってICカードの短辺が湾曲して曲げが行われるようにICカードの位置決めを行い、試験装置をリセットする。ICカードが接触したら、上限として初期設定する。そして、最小たわみ:hvが、1.00mm±0.50mmとなるように、試験装置のストロークを設定する。そして、上記と同じ回数の曲げを行う。
【0066】
次に、カードの反対の面が上側となり、A軸に沿ってICカードの短辺が湾曲して曲げが行われるように、ICカードの位置決めを変更する。そして、上記と同じ回数の曲げを行う。
【0067】
そして、試験の開始及び終了時にICカードが試験後の『機能性』をもっていることを確認する。また、これは、適宜試験の途中でも確認することが望ましい。なお、『機能性』とは、機能残存(lestably functional)破壊を招く危険性がある幾つかの試験に対して試験後に残存すべき機能をいう。
【0068】
この上述した、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を、図6、図7に示す、本実施形態の製造方法により形成した図4に示すICカードに対して行った場合には、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足することが試験結果から判明した。
【0069】
<『JIS X 6305−1 5.9』動的ねじり力(ねじり特性)>
次に、図6、図7に示す製造方法により形成した図4に示すICカードが、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足するか否かについて試験する。
【0070】
なお、試験時に動的ねじり力をICカードにかけるために使用する試験装置を図9(a)に示す。なお、図9(a)に示す試験装置は、図9(b)に示すように、あらかじめ決められた限界角度まで正弦波状にねじり力を変化させることになる。
【0071】
(試験手順)
まず、試験前にICカードを事前に調整し、4.1で規定する試験環境下で試験を実施する。なお、4.1で規定する試験環境下とは、温度:23℃±3℃、相対湿度:40〜60%の環境下である。
【0072】
次に、ICカードを、間隔d=86mmの2つのガイドレールの溝に、穏やかに保持し、ICカードの短辺が中心位置に対して±αまでの角度で相対的にねじれるように、図9(a)に示すねじり試験装置に位置決めする。
【0073】
なお、試験周波数を0.5Hz,ねじり角度を15°±1°に設定し、基本規格で規定するねじりサイクル数、又は、ねじりサイクル数が規定されていない場合には、1000サイクルのねじりとする。
【0074】
そして、試験の開始及び終了時にICカードが試験後の『機能性』をもっていることを確認する。また、これは、基本規格で規定するねじりサイクルの1/4を終了した後に確認することが望ましい。なお、『機能性』とは、機能残存(lestably functional)破壊を招く危険性がある幾つかの試験に対して試験後に残存すべき機能をいう。
【0075】
この上述した、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を、図6、図7に示す、本実施形態の製造方法により形成した図4に示すICカードに対して行った場合には、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足することが試験結果から判明した。
【0076】
このように、本実施形態におけるICカードは、アンテナコイルを含むアンテナパターン(12)と、非接触状態にて通信処理が可能な非接触型のICチップ(13)と、が実装されたインレットシート(10)に対し、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)を施し、その貫通穴(50)が施されたインレットシート(10)を、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にて挟持し、熱圧着処理を行い、貫通穴(50)にコアシート(20,21)を構成するラミネート基材を埋込み、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるコアシート(20,21)を結合し、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成する。そして、その一体化したカード基材(1)に対し、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成し、該形成した開口領域(3)に対し、ICモジュール(2)を装着し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(2)をカード基材(1)に密着させ、接触型のICチップ(201)と非接触型のICチップ(13)との2つのICチップ(201、13)を搭載したICカードを形成する。
【0077】
これにより、インレットシート(10)に施した貫通穴(50)を介し、そのインレットシート(10)の上下面に積層される第2のコアシート(21)と、第1のコアシート(20)と、が結合して一体化することが可能となるため、カード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となる。
【0078】
また、カード基材(1)に対し、接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成しても、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出しないため、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。
【0079】
なお、本実施形態におけるICカードにおいて、インレットシート(10)に形成する貫通穴(50)は、図5に示すように、ICモジュール(2)を構成するICチップ(201)と封止樹脂(204)とが装着される領域よりも大きく形成することで、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成しても、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出しないようにすることとしたが、貫通穴(50)は、図10(a)に示すように、COT基板(202)の領域よりも大きく形成することも可能である。この図10(a)に示すように貫通穴(50)を形成することで、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を更に向上させることが可能となる。また、貫通穴(50)は、図10(b)に示すように、COT基板(202)の領域の一部分と重なるように形成することも可能である。この場合は、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(2)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(2)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。また、貫通穴(50)は、図10(c)に示すように、COT基板(202)の領域の一部分と、ICチップ(201)と封止樹脂(204)とが装着される領域の一部分と、に重なるように形成することも可能である。この場合は、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)の一部分が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(2)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(2)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。なお、図10(b)、(c)に示す貫通穴(50)は、インレットシート(10)の長手方向に長い横長形状の貫通穴(50)をインレットシート(10)に形成することにしたが、図10(d)に示すように、インレットシート(10)の短手方向に長い縦長形状の貫通穴(50)をインレットシート(10)に形成することも可能である。このため、貫通穴(50)は、ICモジュール(2)を構成するモジュール基板となるCOT基板(202)の領域と少なくとも1部分が重なるように形成することが好ましい。
【0080】
また、図4に示すICカードを構成するインレットシート(10)に施す貫通穴(50)は、図5に示すように、ICモジュール(2)を構成するモジュール基板となるCOT基板(202)の領域と重なる部分において1つの貫通穴(50)を形成することにしたが、図11に示すように、ICモジュール(2)を構成するモジュール基板となるCOT基板(202)の領域と重なる部分において、複数の貫通穴(50)を形成するように構築することも可能である。この図11に示すように、複数の貫通穴(50)が形成されたインレットシート(10)を用いて、上述した図6、図7に示すような製造方法を用いてICカードを形成しても、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。また、図11に示すように、複数の貫通穴(50)を形成し、インレットシート(10)に施す貫通穴(50)の領域を低減させることで、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、を結合しつつ、カード基材(1)の表面の平滑性を向上させることが可能となる。また、貫通穴(50)の領域を低減させることで、カード基材(1)を形成する際のラミネート時に、貫通穴(50)に対して空洞が形成されるのを低減することが可能となるため、カード基材(1)の表面に対するアバタの発生を軽減することが可能となる。また、貫通穴(50)の領域が多い場合には、貫通穴(50)を形成した付近のカード基材(1)の層厚が薄くなり、カード基材(1)に対し、開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対し、ICモジュール(2)を装着した場合には、カード基材(1)の裏面側からICモジュール(2)が透けて見えてしまったり、また、カード基材(1)自体の耐久性が悪化し、カード基材(1)の曲げの繰り返し等により、カード基材(1)の表裏面に対してひび割れが発生してしまったりする虞があるが、貫通穴(50)の領域を低減させることで、上述した問題点を解消することが可能となる。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0082】
第1の実施形態におけるICカードは、非接触状態にて通信処理が可能な非接触型のICチップ(13)と、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)と、の2つのICチップ(13、201)を搭載したハイブリッド型のICカードについて説明したが、第2の実施形態は、図12に示すように、非接触状態及び接触状態にて通信処理が可能な非接触型及び接触型兼用の1つのICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載したコンビネーション型のICカードについて説明する。この第2の実施形態におけるコンビネーション型のICカードについても、第1の実施形態と同様に、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域と重なる部分において貫通穴(50)を形成することで、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することになる。以下、図12〜図15を参照しながら、第2の実施形態のICカードについて詳細に説明する。
【0083】
まず、図12を参照しながら、第2の実施形態におけるICカードの構成について説明する。なお、図12に示すICカードは、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載して構成されるICカードの構成であり、(a)は、各シートを一体化する前の状態を示し、(b)は、各シートを一体化した後の状態を示すものである。
【0084】
本実施形態におけるICカードは、接触状態及び非接触状態にて通信処理を行うためのICチップ(601)を有するICモジュール(60)と、ICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子(61)を含むアンテナパターン(12)が形成されたインレットシート(10)と、そのインレットシート(10)を上下面から挟持するためのラミネート基材となる第1のコアシート(20),第2のコアシート(21),オーバーシート(30)と、を有して構成される。なお、ラミネート基材となる第1のコアシート(20),第2のコアシート(21),オーバーシート(30)については、第1の実施形態と同様な構成となる。
【0085】
<インレットシート10>
次に、図13を参照しながら、接触状態及び非接触状態にて通信処理を行うためのICチップ(601)を有するICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子を含むアンテナパターン(12)が形成されたインレットシート(10)の構成について詳細に説明する。なお、図13(a)は、インレットシート(10)の断面構成を示し、図13(b)は、インレットシート(10)の上面構成を示す。
【0086】
インレットシート(10)は、アンテナ基板(11)に対し、アンテナコイル,コンデンサ,ICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子(61)等を構成するアンテナパターン(12)を有して構成される。なお、本実施形態におけるインレットシート(10)は、ICモジュール(60)を装着するための貫通穴(50)が形成されている。この貫通穴(50)を形成することで、図12(a)に示すように、インレットシート(10)の上面側に積層される第1のコアシート(20)とインレットシート(10)の下面側に積層される第2のコアシート(21)とが、図12(b)に示すように、インレットシート(10)に形成された貫通穴(50)を介して結合することになり、インレットシート(10)と、コアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となる。なお、貫通穴(50)は、図13に示すように、ICモジュール(60)のICチップ(601)と封止樹脂(604)とが装着される領域よりも大きく、且つ、インレットシート(10)に形成される接触端子(61)を残すように形成することになる。なお、貫通穴(50)は、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域内に形成することが好ましい。
【0087】
<ICモジュール60>
次に、図12を参照しながら、ICモジュール(60)の構成について説明する。
【0088】
ICモジュール(60)は、接触状態及び非接触状態にて通信処理を行うためのものであり、外部装置と通信処理を行うためのデータを記憶するICチップ(601)と、そのICチップ(601)を保持するモジュール基板となるCOT(Chip On Tape)基板(602)と、そのCOT基板(602)の上面側に設けられる第1の接触端子(603)と、ICチップ(601)を封止するための封止樹脂(604)と、COT基板(602)の下面側に設けられる第2の接触端子(605)と、を有して構成される。この第2の接触端子(605)と、インレットシート(10)に形成された接触端子(61)と、が導電性接着剤(62)を介して接続するように構築することで、ICモジュール(60)を電気的に接続させることが可能となる。
【0089】
次に、図14、図15を参照しながら、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載して構成される図12に示すICカードの製造方法について説明する。
【0090】
まず、図14(a)に示すように、アンテナ基材(11)に対し、アンテナコイル,コンデンサ,ICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子(61)等を構成するアンテナパターン(12)を形成し、インレットシート(10)を形成する。この時、本実施形態におけるインレットシート(10)には、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を装着するための貫通穴(50)を施すことになる。
【0091】
次に、図14(b)に示すように、そのインレットシート(10)の上下面からラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にて挟持し、熱圧着処理を行い、各シート(30、21、10、20、21、30)をラミネートし、図14(c)に示すように、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0092】
なお、図14(b)、(c)では、インレットシート(10)の上面側に対し、第1のコアシート(20)と、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、インレットシート(10)の下面側に対し、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0093】
なお、本実施形態におけるカード基材(1)は、図14(a)に示すように、インレットシート(10)に対し、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を装着するための貫通穴(50)が施されているため、そのインレットシート(10)の上下面に積層される第2のコアシート(21)と、第1のコアシート(20)と、が貫通穴(50)を介して結合することになる。これにより、カード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となり、インレットシート(10)と、コアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となる。このため、ICモジュール(60)とカード基材(1)との密着力の低減を解消し、ICモジュール(60)がカード基材(1)から浮き上がることを回避することが可能となる。
【0094】
次に、図15(a)に示すように、カード基材(1)に対し、所定の位置にミーリング加工を施し、接触型及び非接触型兼用のICチップ(601)を有するICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を形成する。この時、インレットシート(10)に形成した接触端子(61)が露出するように、開口領域(3)を形成することになる。これにより、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と、インレットシート(10)に形成した接触端子(61)と、を電気的に接続することが可能となる。
【0095】
次に、図15(b)に示すように、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と、開口領域(3)から露出している接触端子(61)と、を導電性接着剤(62)を介して接続させるように、カード基材(1)に形成した開口領域(3)に対し、ICモジュール(60)を装着し、そのICモジュール(60)を装着したカード基材(1)に対し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(60)をカード基材(1)に密着させ、図12に示す、接触型及び非接触型のICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載したICカードを形成することになる。なお、上述した第2の実施形態におけるICカードは、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と、開口領域(3)から露出している接触端子(61)と、を導電性接着剤(62)を介して接続させるようにしたが、接触端子(61)に対し、導電性ペーストを塗布し、その塗布した導電性ペーストを介して、第2の接触端子(605)と、接触端子(61)と、が電気的に接続するようにしたり、接触端子(61)に対し、導電粒子を含む導電性フィルムを設け、その導電性フィルムを介して、第2の接触端子(605)と、接触端子(61)と、が電気的に接続するようにしたりすることも可能である。なお、導電性ペーストとしては、導電性を示すための金属粒子の他に、フィルムとの密着性を保つためにフェノール系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系等の各種樹脂と希釈溶剤が配合されているものが適用可能である。また、導電性フィルムとしては、ニッケル、金属コートされたプラスチック等の導電粒子をエポキシ樹脂等の接着溶剤中に分散したものが適用可能である。
【0096】
<『JIS X 6305−1 5.8』動的曲げ力(曲げ特性)>
次に、上述した図14、図15に示す製造方法により形成した図12に示すICカードが、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足するか否かについて試験した。この結果、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足することが試験結果から判明した。
【0097】
<『JIS X 6305−1 5.9』動的ねじり力(ねじり特性)>
次に、上述した図14、図15に示す製造方法により形成した図12に示すICカードが、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足するか否かについて試験した。この結果、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足することが試験結果から判明した。
【0098】
このように、第2の実施形態におけるICカードは、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子(61)を含むアンテナパターン(12)が形成されたインレットシート(10)に対し、そのICモジュール(60)を装着するための貫通穴(50)を施し、その貫通穴(50)が施されたインレットシート(10)を、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にて挟持し、熱圧着処理を行い、貫通穴(50)にコアシート(20,21)を構成するラミネート基材を埋込み、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるコアシート(20,21)を結合し、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成する。そして、その一体化したカード基材(1)に対し、ICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を、インレットシート(10)に形成した接触端子(61)が露出するように形成する。そして、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と、インレットシート(10)に形成した接触端子(61)と、が導電性接着剤(62)を介して電気的に接続するように、ICモジュール(60)を開口領域(3)に装着し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(60)をカード基材(1)に密着させ、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載したICカードを形成する。
【0099】
これにより、インレットシート(10)に施した貫通穴(50)を介し、そのインレットシート(10)の上下面に積層される第2のコアシート(21)と、第1のコアシート(20)と、が結合して一体化することが可能となるため、カード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を向上させ、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。
【0100】
なお、図12に示すICカードを構成するインレットシート(10)に施す貫通穴(50)は、図13に示すように、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域と重なる部分において、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と接続するための接触端子(61)が形成される領域以外で貫通穴(50)を形成することにしたが、インレットシート(10)に施す貫通穴(50)の位置や形状は、図13に示す位置や形状に限定するものではなく、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域内の一部分において貫通穴(50)を形成し、該形成した貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるコアシート(20,21)を結合することが可能であれば、貫通穴(50)を形成する位置や、その貫通穴(50)の形状については特に限定するものではなく、例えば、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域と重なる部分において、図16(a)〜(c)に示す形状の貫通穴(50)を形成することも可能である。
【0101】
なお、図16(a)は、インレットシート(10)の長手方向に長い横長形状の貫通穴(50)を、COT基板(602)の領域の一部分と重なるように形成した状態を示す図であり、この場合は、ICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(60)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(60)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。
【0102】
また、図16(b)は、インレットシート(10)の長手方向に長い横長形状の貫通穴(50)を、COT基板(602)の領域の一部分と、ICチップ(601)と封止樹脂(604)とが装着される領域の一部分と、に重なるように形成した状態を示す図であり、この場合は、ICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)の一部分が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(60)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(60)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。
【0103】
また、図16(c)は、インレットシート(10)の短手方向に長い縦長形状の貫通穴(50)を、COT基板(602)の領域の一部分と重なるように形成した状態を示す図であり、この場合は、ICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(60)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(60)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。
【0104】
このため、図16(a)〜(c)に示す形状の貫通穴(50)が形成されたインレットシート(10)を用いて、上述した図14、図15に示すような製造方法を用いてICカードを形成しても、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となるため、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。
【0105】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0106】
上述した実施形態のICカードは、インレットシート(10)に対し、ICモジュールを装着するための貫通穴(50)を施し、その貫通穴(50)を施したインレットシート(10)を、ラミネート基材(20,21,30)にて挟持し、熱圧着処理を行い、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるラミネート基材(20,21,30)を結合し、各シートが一体化したカード基材(1)を形成し、そのカード基材(1)に対し、ICモジュールを装着するための開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対し、ICモジュールを装着することで、図17(a)に示すように、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、貫通穴(50)を介して、ラミネート基材(20,21,30)が結合し、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、の密着力を維持させることを可能としたが、例えば、図17(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転させ、その反転させたインレットシート(10)をラミネート基材(20,21,30)にて挟持し、カード基材(1)を形成し、該形成したカード基材(1)に対し、開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対してICモジュールを装着した場合には、図17(b)に示すように、貫通穴(50)と、COT基板(202)の領域と、の位置が異なることになり、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、貫通穴(50)を介して、ラミネート基材(20,21,30)が結合することになる結合領域が、図17(a)よりも減少し、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、の密着力が低減し、インレットシート(10)に対して貫通穴(50)を施す効果を低減させてしまうことになる。
【0107】
このため、第3の実施形態におけるICカードは、図18に示すように、インレットシート(10)の上下面を反転させてラミネート基材(20,21,30)で挟持してカード基材(1)を形成した場合にも、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、貫通穴(50)がインレットシート(10)に形成されるように構成したことを特徴とするものである。これにより、図18(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転させ、その反転させたインレットシート(10)を、ラミネート基材(20,21,30)にて挟持し、カード基材(1)を形成し、その形成したカード基材(1)に対し、開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対してICモジュールを装着した場合でも、図18(b)に示すように、貫通穴(50)と、COT基板(202)の領域と、の位置が一致することになり、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、が結合することになる結合領域が減少するのを解消し、ICモジュールとカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。また、インレットシート(10)の上下面を反転させてカード基材(1)を形成しても、その形成したカード基材(1)に対して開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対し、ICモジュールを装着することが可能となるため、カード基材(1)の表面に対するレイアウトの設計自由度を向上させることが可能となる。従って、カード基材(1)の表面に対する、磁気ストライプ、ホログラム、サインパネル、インデント、エンボス、UG(Ultra Graphics)等の設計自由度が向上することになる。以下、図18を参照しながら、第3の実施形態におけるICカードについて説明する。
【0108】
まず、図18を参照しながら、第3の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)について説明する。なお、図18は、第3の実施形態のICカードの構成を説明するための図であり、(a)は、インレットシート(10)の上下面を反転する前の状態での構成を示し、(b)は、(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転した後の状態での構成を示す図である。
【0109】
第3の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)は、図18に示すように、インレットシート(10)の中心軸(101)を経由して、インレットシート(10)の長手方向に平行な平行線(100)と線対称な位置に、貫通穴(50)を形成することになる。これにより、インレットシート(10)の上下面を反転させてラミネート基材(20,21,30)にて挟持した場合にも、COT基板(202)と重なる領域において、貫通穴(50)がインレットシート(10)に形成されていることになるため、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、が結合することになる結合領域が減少するのを解消し、ICモジュールとカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。
【0110】
なお、第3の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)は、貫通穴(50)の領域を最小限にするために、図18に示すように、3つの貫通穴(50)をインレットシート(10)に形成することが好ましい。この場合、インレットシート(10)の両端に形成することになる貫通穴(50)が、平行線(100)と線対称となるように設計することが好ましい。これにより、インレットシート(10)の上下面を反転させた場合でも、インレットシート(10)の両端に形成した貫通穴(50)の位置が変化しないことになるため、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、が結合することになる結合領域が減少するのを解消し、ICモジュールとカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。また、インレットシート(10)に形成する貫通穴(50)の領域を最小限にするように設計することで、カード基材(1)の表面の平滑性を向上させることが可能となる。
【0111】
なお、図18に示すインレットシート(10)は、インレットシート(10)の長手方向に長い横長形状の3つの貫通穴(50)を形成することにしたが、図19に示すように、インレットシート(10)の短手方向に長い縦長形状の2つの貫通穴(50)を形成することも可能である。この図19に示すように、インレットシート(10)の短手方向に長い縦長形状の2つの貫通穴(50)をインレットシート(10)に形成することでも、インレットシート(10)の上下面を反転させた場合でも、インレットシート(10)の両端に形成した貫通穴(50)の位置が変化しないことになるため、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、が結合することになる結合領域が減少するのを解消し、ICモジュールとカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。また、インレットシート(10)に形成する貫通穴(50)の領域を最小限にするように設計することが可能となるため、カード基材(1)の表面の平滑性を向上させることが可能となる。
【0112】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0113】
例えば、上述した実施形態において、インレットシート(10)に対し、貫通穴(50)を施す工程は、特に限定するものではなく、アンテナ基材(11)に対し、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)を実装したインレットシート(10)に対し、貫通穴(50)を形成したり、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)を実装する前のアンテナ基材(11)に対し、貫通穴(50)を形成したりすることも可能である。
【0114】
また、上述した実施形態においては、インレットシート(10)の中心軸(101)を経由してインレットシート(10)の長手方向に平行な平行線(100)と線対称となるように貫通穴(50)を形成することで、インレットシート(10)の上下面を反転させた場合でも、インレットシート(10)に形成した貫通穴(50)の位置が変化しないようにしたが、インレットシート(10)の中心軸(101)を経由してインレットシート(10)の短手方向に平行な平行線と線対称となるように貫通穴(50)を形成し、インレットシート(10)を反転させた場合でも、インレットシート(10)に形成した貫通穴(50)の位置が変化しないようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明にかかるICカード及びICカードの製造方法は、各種交通機関での定期券、回数券、電話カード、特定領域への入退出用のカード、IDカード、免許証、パチンコ,遊園地,映画館などに使用されるカード、クレジットカード等の情報記録媒体に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】従来のICカードの製造方法を示す第1の図である。
【図2】従来のICカードの製造方法を示す第2の図である。
【図3】従来のICカードにおいて、インレットシート(10)と、そのインレットシート(10)の上下面に積層されるコアシート(20,21)と、の間で層間剥離が発生する位置を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態のICカードの構成を示す図であり、(a)は、各シートを一体化する前の状態を示し、(b)は、各シートを一体化した後の状態を示す図である。
【図5】第1の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の構成を示す図であり、(a)は、インレットシート(10)の断面構成を示し、(b)は、インレットシート(10)の上面構成を示す図である。
【図6】第1の実施形態のICカードの製造方法を説明するための第1の図である。
【図7】第1の実施形態のICカードの製造方法を説明するための第2の図である。
【図8】『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を説明するための図である。
【図9】『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を説明するための図である。
【図10】第1の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の他の構成例を示す第1の図である。
【図11】第1の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の他の構成例を示す第2の図である。
【図12】第2の実施形態のICカードの構成を示す図であり、(a)は、各シートを一体化する前の状態を示し、(b)は、各シートを一体化した後の状態を示す図である。
【図13】第2の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の構成を示す図であり、(a)は、インレットシート(10)の断面構成を示し、(b)は、インレットシート(10)の上面構成を示す図である。
【図14】第2の実施形態のICカードの製造方法を説明するための第1の図である。
【図15】第2の実施形態のICカードの製造方法を説明するための第2の図である。
【図16】第2の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の他の構成例を示す図である。
【図17】第3の実施形態のICカードの構成を説明するための第1の図であり、(a)は、インレットシート(10)の上下面を反転する前の状態での構成を示し、(b)は、(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転した後の状態での構成を示す図である。
【図18】第3の実施形態のICカードの構成を説明するための第2の図であり、(a)は、インレットシート(10)の上下面を反転する前の状態での構成を示し、(b)は、(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転した後の状態での構成を示す図である。
【図19】第3の実施形態のICカードの構成を説明するための第3の図であり、(a)は、インレットシート(10)の上下面を反転する前の状態での構成を示し、(b)は、(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転した後の状態での構成を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
1 カード基材
2 ICモジュール(接触型のICモジュール)
3 開口領域
10 インレットシート
11 アンテナ基材
12 アンテナパターン
13 ICチップ(非接触型のICチップ)
14 接着剤
15 バンプ
20 第1のコアシート
201 ICチップ(接触型のICチップ)
202 COT基板
203 接触端子
204 封止樹脂
21 第2のコアシート
22 穴
30 オーバーシート
40 接着剤
50 貫通穴
60 ICモジュール(接触型及び非接触型兼用のICモジュール)
61 接触端子
62 導電性接着剤
601 ICチップ(接触型及び非接触型兼用のICチップ)
602 COT基板
603 第1の接触端子
604 封止樹脂
605 第2の接触端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器との通信処理が可能なICカード及びICカードの製造方法に関し、特に、接触状態や非接触状態での通信処理が可能なICカード及びICカードの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年におけるカード技術の発達により、各種の通信システムに用いられる情報記録媒体として、広範囲な用途に適用可能なICカードがある。このICカードには、専用の装置に接触させることで情報の書き込み処理、及び、読み出し処理が可能な接触型のICカードと、専用の装置に近接させるだけで情報の書き込み処理、及び、読み出し処理が可能な非接触型のICカードがある。
【0003】
特に、非接触型のICカードは、専用の装置に挿入する必要がないため、カード自体の取り扱いが便利なこともあり、産業上に急速に普及しつつある。なお、非接触型のICカードは、通信処理を制御する制御部やメモリ等の機能を有するICチップと、電磁波の送受信のためのアンテナコイルと、が実装されたインレットシートがカード本体となるカード基板に埋設して構成されており、電磁波等を用いて外部装置とのデータ通信処理を行うことになる。
【0004】
また、接触型のICカードと非接触型のICカードとが組み合わされたICカードも普及しており、接触状態にて情報の書き込み処理、及び、読み出し処理を行う接触型のICチップと、非接触状態にて情報の書き込み処理、及び、読み出し処理を行う非接触型のICチップと、がそれぞれ搭載されたハイブリッド型のICカードや、接触状態、及び、非接触状態の何れの状態においても情報の書き込み処理、及び、読み出し処理を行う接触型及び非接触型兼用の1つのICチップが搭載されたコンビネーション型のICカードがある。
【0005】
まず、図1、図2を参照しながら、接触型のICチップと非接触型のICチップとの2つのICチップを搭載したハイブリッド型のICカードの製造方法について説明する。
【0006】
まず、図1(a)に示すように、アンテナ基材(11)に対し、非接触型のICチップ(13)と、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)と、を実装し、インレットシート(10)を形成する。次に、図1(b)に示すように、そのインレットシート(10)の上下面からラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にてインレットシート(10)を挟持し、熱圧着処理を行い、各シート(30、21、10、20、21、30)をラミネートし、図1(c)に示すように、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成する。なお、図1(b)、(c)では、インレットシート(10)の上面側に対し、穴が施された第1のコアシート(20)と、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、インレットシート(10)の下面側に対し、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0007】
次に、図2(a)に示すように、カード基材(1)に対し、所定の位置にミーリング加工を施し、接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成する。そして、図2(b)に示すように、カード基材(1)に形成した開口領域(3)に対し、接着剤(40)を用いてICモジュール(2)を装着し、そのICモジュール(2)を装着したカード基材(1)に対し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(2)をカード基材(1)に密着させ、接触型のICチップ(201)と非接触型のICチップ(13)との2つのICチップ(201、13)を搭載したICカードを形成することになる。
【0008】
しかしながら、上述した図1、図2に示す製造方法にて形成したICカードに対し、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足することができず、また、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足することができないことが試験結果から判明した。
【0009】
これは、図2(a)に示すように、カード基材(1)に対し、ミーリング加工を施し、接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成した場合には、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出することになるためである。このため、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面から露出した状態のカード基材(1)に対し、ICモジュール(2)を密着させ、図2(b)に示すように、接触型のICチップ(201)と非接触型のICチップ(13)との2つのICチップ(201、13)を搭載したICカードを形成し、その形成したICカードに対し、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を行った場合には、インレットシート(10)と、そのインレットシート(10)の上下面に積層されるコアシート(20,21)と、の材質の物性の差により、図3に示すように、インレットシート(10)と、そのインレットシート(10)の上下面に積層されるコアシート(20,21)と、の間で層間剥離が発生し『層間剥離発生』、ICモジュール(2)とカード基材(1)との密着力が低減し、ICモジュール(2)がカード基材(1)から浮かび上がってしまうことになる。
【0010】
従って、ICカードの表面に露出するICモジュール(2)を搭載するために開口領域(3)を形成したICカードにおいて、そのICカードのカード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、そのインレットシート(10)を挟持するラミネート基材(20,21,30)と、の間での層間剥離の発生を防止し、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足するように設計することが望まれる。
【0011】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、あらかじめIC基板装填部形成孔が形成された後に積層された所定枚数の基材形成シートと、前記基材形成シートの間に挟み込まれて配置され、外部装置と非接触でデータ授受を行う通信アンテナを有し、その通信アンテナの両端の接続端子が前記IC基板装填部形成孔から露出されているアンテナシートと、前記IC基板装填部形成孔によって形成されたIC基板装填部に装填されるIC実装基板とを備え、カード材料にかかわらず、IO基板装填部を容易に形成することができるとともに、コイル端子の露出不具合(未露出、削りすぎ等)を防止することができるアンテナ内蔵型ICカードが開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
また、接触型ICカードと非接触型ICカードの両機能を併せ持ったハイブリッド型ICカードにおいて、原反サイズのインレットシートに形成されたアンテナにICチップモジュールを接合した後に、原反サイズの基材積層を実施し、然る後に周辺部を除去し、単体に分離し、低コストであり、かつ信頼性の高いハイブリッド型ICカードが開示された文献がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−101372号公報
【特許文献2】特開2003−37240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
なお、上記特許文献1は、あらかじめIC基板装填部形成孔を形成し、カード材料にかかわらず、IO基板装填部を容易に形成することができるとともに、コイル端子の露出不具合(未露出、削りすぎ等)を防止することとしているが、本願発明のように、ICカードの表面に露出するICモジュールを搭載するために開口領域を形成するICカードにおいて、そのICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止することについては何ら考慮されたものではない。
【0014】
また、上記特許文献2は、原反サイズのインレットシートに形成されたアンテナにICチップモジュールを接合した後に、原反サイズの基材積層を実施し、然る後に周辺部を除去し、単体に分離しており、本願発明のように、ICカードの表面に露出するICモジュールを搭載するために開口領域を形成するICカードにおいて、そのICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止することについては何ら考慮されたものではない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ICカードの表面に露出するICモジュールを搭載するために開口領域を形成するICカードにおいて、そのICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止するICカード及びそのICカードの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有することとする。
【0017】
本発明にかかるICカードは、アンテナコイルを含む回路パターンが形成されたインレットシートの上下面からラミネート基材にて挟持してなるICカードであって、ICカードの表面に露出したICモジュールを有し、ICモジュールと重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴がインレットシートに形成され、貫通穴を介して、インレットシートの上下面に挟持されるラミネート基材が結合されてなることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明にかかるICカードにおいて、貫通穴は、ICモジュールをICカードに装着するための開口領域に形成されてなることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明にかかるICカードは、インレットシートの上下面を反転させてラミネート基材にて挟持した場合にも、ICモジュールと重なる部分において、貫通穴がインレットシートに形成されてなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明にかかるICカードにおいて、貫通穴は、インレットシートの中心軸を経由してインレットシートの長手方向に平行な平行線と線対称となるように形成されてなることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明にかかるICカードにおいて、貫通穴は、インレットシートの長手方向に長い横長な形状の貫通穴、または、インレットシートの短手方向に長い縦長な形状の貫通穴であることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明にかかるICカードにおいて、インレットシートには、ICモジュールと電気的に接続するための接触端子を含む回路パターンが形成されており、接触端子以外の領域に、貫通穴が形成されてなることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明にかかるICカードにおいて、ICモジュールは、接触型と非接触型とでの通信処理が可能なICモジュールであり、ICモジュールは、回路パターンと接続されてなることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明にかかるICカードにおいて、ICモジュールは、接触型での通信処理が可能なICモジュールであり、ICモジュールは、回路パターンと接続しない状態で、ICカードに装着されてなり、インレットシートには、ICカードの表面に露出しない状態で、回路パターンと接続するように、非接触型での通信処理が可能なICチップが実装されてなることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明にかかるICカードの製造方法は、アンテナコイルを含む回路パターンを形成したインレットシートに対し、少なくとも1つの貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、貫通穴形成工程により貫通穴が形成されたインレットシートを上下面からラミネート基材にて挟持し、熱圧着処理を施し、貫通穴にラミネート基材を埋込み、貫通穴を介して、インレットシートの上下面に挟持されるラミネート基材を結合し、ICカードのカード基材を形成するカード基材形成工程と、カード基材形成工程により形成したカード基材に対し、ICモジュールを装着するための開口領域を形成する開口領域形成工程と、開口領域形成工程によりカード基材に形成した開口領域に対し、ICモジュールを装着するICモジュール装着工程と、を行い、貫通穴形成工程は、ICモジュール装着工程によりICモジュールを装着する領域内に、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明にかかるICカードの製造方法は、アンテナシートに対し、少なくとも1つの貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、貫通穴形成工程により貫通穴が形成されたアンテナシートに対し、アンテナコイルを含む回路パターンを形成し、インレットシートを形成するインレットシート形成工程と、インレットシート形成工程により回路パターンを形成したインレットシートを上下面からラミネート基材にて挟持し、熱圧着処理を施し、貫通穴にラミネート基材を埋込み、貫通穴を介して、インレットシートの上下面に挟持されるラミネート基材を結合し、ICカードのカード基材を形成するカード基材形成工程と、カード基材形成工程により形成したカード基材に対し、ICモジュールを装着するための開口領域を形成する開口領域形成工程と、開口領域形成工程によりカード基材に形成した開口領域に対し、ICモジュールを装着するICモジュール装着工程と、を行い、貫通穴形成工程は、ICモジュール装着工程によりICモジュールを装着する領域内に、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、貫通穴形成工程は、開口領域形成工程により開口領域が形成される領域に、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、貫通穴形成工程は、カード基材形成工程において、インレットシートの上下面を反転させてラミネート基材にて挟持し、カード基材を形成し、該形成したカード基材に対し、開口領域形成工程において開口領域を形成した場合にも、開口領域と一致するように、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、回路パターンは、ICモジュールと電気的に接続するための接触端子を含む回路パターンを形成し、貫通穴形成工程は、接触端子以外の領域に、貫通穴を形成することを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、ICモジュール装着工程は、接触型と非接触型とでの通信処理が可能なICモジュールを回路パターンと接続するように装着することを特徴とするものである。
【0031】
また、本発明にかかるICカードの製造方法において、ICモジュール装着工程は、接触型での通信処理が可能なICモジュールを、回路パターンと接続しないように装着し、インレットシートには、ICカードの表面に露出しない状態で、回路パターンと接続するように、非接触型での通信処理が可能なICチップが実装されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ICモジュールと重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴がインレットシートに形成され、その貫通穴を介して、インレットシートの上下面に挟持されるラミネート基材が結合されているため、ICカードの表面に露出するICモジュールを搭載するために開口領域を形成するICカードにおいて、そのICカードのカード基材を構成するインレットシートと、そのインレットシートを挟持するラミネート基材と、の間での層間剥離の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
まず、図4を参照しながら、本実施形態におけるICカードの特徴について説明する。
【0034】
本実施形態におけるICカードは、図4(a)に示すように、アンテナコイルを含む回路パターンが形成されたインレットシート(10)の上下面からラミネート基材(20,21,30)にて挟持してなるICカードであって、ICカードの表面に露出したICモジュール(2)を有し、ICモジュール(2)と重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴(50)がインレットシート(10)に形成され、図4(b)に示すように、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるラミネート基材(20,21,30)が結合されてなることを特徴とするものである。これにより、ICカードのカード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、そのインレットシート(10)を挟持するラミネート基材(20,21,30)と、の間での層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態におけるICカードについて詳細に説明する。
【0035】
(第1の実施形態)
まず、図4を参照しながら、本実施形態におけるICカードの構成について説明する。なお、図4に示すICカードは、非接触状態にて通信処理が可能な非接触型のICチップ(13)と、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)と、を有して構成されるICカードの構成であり、(a)は、各シートを一体化する前の状態を示し、(b)は、各シートを一体化した後の状態を示すものである。
【0036】
本実施形態におけるICカード(1)は、非接触状態にて通信処理を行うための非接触型のICチップ(13)を有するインレットシート(10)と、そのインレットシート(10)を上下面から挟持するためのラミネート基材となる第1のコアシート(20),第2のコアシート(21),オーバーシート(30)と、接触状態にて通信処理を行うための接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)と、を有して構成される。
【0037】
<インレットシート10>
インレットシート(10)は、非接触状態にて通信処理を行うための非接触型のICチップ(13)を有して構成されるシートであり、カード基板(1)の中に埋設することになる。なお、本実施形態におけるインレットシート(10)には、ICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)が形成されている。なお、インレットシート(10)の詳細な構成については、後述する。
【0038】
<第1のコアシート20>
第1のコアシート(20)は、カード基材(1)の中心部分となるラミネート基材であり、ICカード本体に強度を付与させることになる。なお、第1のコアシート(20)は、インレットシート(10)の上面側に積層されることになる。また、第1のコアシート(20)には、非接触型のICチップ(13)と積層される領域に、穴(22)が形成されている。このように、第1のコアシート(20)に対して、穴(22)を形成することで、非接触型のICチップ(13)を有するインレットシート(10)と積層しても、その非接触型のICチップ(13)と接触する領域が突出しない状態を構築することが可能となり、カード基材(1)の表面の平滑性を保持することが可能となる。
【0039】
なお、第1のコアシート(20)に適用可能な材質としては、一般用ポリスチレン樹脂、耐衝撃用ポリスチレン樹脂、アクリルニトリルスチレン樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、PC(ポリカーボネイト)樹脂、塩化ビニル樹脂、変性PPO樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファルド樹脂等の熱可塑性樹脂、アロイ系樹脂、ガラス繊維の添加による強化樹脂等の従来からICカード本体の中心部分となるカード基材(1)に適用可能な公知の樹脂が挙げられる。なお、塩化ビニル、PET−G等は、自己融着を行う特性を有することから、ラミネートの際に、接着剤や接着剤シートが不要となるため、塩化ビニル、PET−G等を第1のコアシート(20)に適用することが好ましい。
【0040】
<第2のコアシート21>
第2のコアシート(21)は、カード基材(1)の中心部分となるラミネート基材であり、カード本体に強度を付与させることになる。なお、第2のコアシート(21)は、インレットシート(10)の上下面に積層されることになる。また、第2のコアシート(21)には、印刷が施されて構成されることになる。なお、第2のコアシート(21)に適用可能な材質としては、上述した第1のコアシート(20)と同様な材質が適用可能である。
【0041】
<オーバーシート30>
オーバーシート(30)は、カード基材(1)の外側部分を構成するラミネート基材である。なお、オーバーシート(30)に適用可能な材質としては、上述した第1、第2のコアシート(20,21)と同様な材質が適用可能である。
【0042】
<ICモジュール2>
ICモジュール(2)は、接触状態にて通信処理を行うための接触型のICチップ(201)を有して構成されるモジュールであり、外部装置と通信処理を行うためのデータを記憶する接触型のICチップ(201)と、その接触型のICチップ(201)を保持するモジュール基板となるCOT(Chip On Tape)基板(202)と、COT基板(202)の上面側に設けられる接触端子(203)と、接触型のICチップ(201)を封止するための封止樹脂(204)と、を有して構成される。
【0043】
なお、COT基板(202)は、ガラスエポキシ等により構成される。また、接触端子(203)は、COT基板(202)の上面に対し、銅、アルミなどの金属箔をラミネートし、エッチング処理により表面にパターンニングすることで形成される。
【0044】
また、封止樹脂(204)は、接触型のICチップ(201)を封止するための樹脂であり、例えば、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂が適用可能である。また、封止樹脂(204)としては、紫外線硬化型の樹脂も適用可能である。なお、熱硬化性の樹脂を用いる場合には、熱硬化反応により体積収縮が生じて接触型のICチップ(201)に応力が加わるのを抑えるために、フィラー、中空粒子、箔片を単体あるいは複合させたものを分散するようにすることが好ましい。
【0045】
<インレットシート10>
次に、図5を参照しながら、非接触型のICチップ(13)が実装されたインレットシート(10)の構成について詳細に説明する。なお、図5(a)は、インレットシート(10)の断面構成を示し、図5(b)は、インレットシート(10)の上面構成を示す。
【0046】
インレットシート(10)は、アンテナ基板(11)に対し、非接触型のICチップ(13)と、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)と、を実装して構成される。なお、本実施形態におけるインレットシート(10)は、ICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)が形成されている。この貫通穴(50)を形成することで、図4(a)に示すように、インレットシート(10)の上面側に積層される第1のコアシート(20)と、インレットシート(10)の下面側に積層される第2のコアシート(21)と、がインレットシート(10)に形成された貫通穴(50)を介して結合することになり、インレットシート(10)と、コアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となる。なお、貫通穴(50)は、図5に示すように、ICモジュール(2)を構成するICチップ(201)と封止樹脂(204)とが装着される領域よりも大きく構成することで、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成しても、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出しないようにすることが可能となる。以下、インレットシート(10)を構成する各部について詳細に説明する。
【0047】
<アンテナ基板11>
アンテナ基板(11)は、アンテナパターン(12)を形成する絶縁性を有する基材である。アンテナ基板(11)に適用可能な材質としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、PET、PEN、PET−G等の樹脂が挙げられる。なお、アンテナ基板(11)としては、耐熱性のある樹脂を適用することが好ましい。
【0048】
<アンテナパターン12の材質>
アンテナパターン(12)を形成する材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、錫、ニッケル、亜鉛、チタン、タングステン、ハンダ、合金等が適用可能である。なお、アンテナ基板(11)上にアンテナパターン(12)を形成する手法としては、エッチング法や、印刷法(スクリーン印刷法、オフセット印刷法)が適用可能である。また、転写法や巻き線法でアンテナ基板(11)上にアンテナパターン(12)を形成することも可能であり、アンテナパターン(12)の形成方法は特に限定するものではなく、アンテナ基板(11)上にアンテナパターン(12)が形成できればあらゆる手法を適用することは可能である。
【0049】
<接着剤14>
接着剤(14)は、アンテナ基板(11)に形成されたアンテナパターン(12)と、非接触型のICチップ(13)等の電子部品と、をバンプ(15)を介して接続するためのものであり、紫外線硬化樹脂、湿気硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが適用可能である。なお、アンテナパターン(12)と非接触型のICチップ(13)等の電子部品とをバンプ(15)を介して接続するためには、熱硬化性のエポキシ樹脂やエポキシ樹脂に対し、数μm程度の微小な導電性粒子を分散させた異方性導電性接着剤(ACP)、ACPをフィルム状にした異方性導電性フィルム(ACF)等の接着剤を介してフリップチップ方法で行うことが好ましい。なお、ACFは、ニッケル、金属コートされたプラスチック等の導電粒子、あるいは、金属粒子そのものをエポキシ樹脂等の接着剤中に分散した接着剤である。
【0050】
次に、図6、図7を参照しながら、非接触状態にて通信処理が可能な非接触型のICチップ(13)と、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)と、の2つのICチップ(13、201)を搭載して構成される図4に示すICカードの製造方法について説明する。
【0051】
まず、図6(a)に示すように、アンテナ基材(11)に対し、非接触型のICチップ(13)と、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)と、を実装し、インレットシート(10)を形成することになる。この時、本実施形態におけるインレットシート(10)には、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)を施すことになる。
【0052】
次に、図6(b)に示すように、そのインレットシート(10)の上下面からラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にてインレットシート(10)を挟持し、熱圧着処理を行い、各シート(30、21、10、20、21、30)をラミネートし、図6(c)に示すように、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0053】
なお、本実施形態におけるカード基材(1)は、図6(b)、(c)に示すように、インレットシート(10)の上面側に対し、穴(22)が施された第1のコアシート(20)と、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、インレットシート(10)の下面側に対し、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0054】
なお、本実施形態におけるカード基材(1)は、図6(a)に示すように、インレットシート(10)に対し、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)が施されているため、そのインレットシート(10)の上下面に積層される第2のコアシート(21)と、第1のコアシート(20)と、が貫通穴(50)を介して結合することになる。これにより、カード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となる。
【0055】
次に、図7(a)に示すように、カード基材(1)に対し、所定の位置にミーリング加工を施し、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成する。なお、本実施形態におけるカード基材(1)を構成するインレットシート(10)には、ICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)が施されているため、開口領域(3)を形成しても、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出しないように構成することが可能となる。このため、開口領域(3)を形成した断面は、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、により構成されることになるため、インレットシート(10)と、コアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となる。このため、ICモジュール(2)がカード基材(1)から浮き上がることを回避することが可能となる。
【0056】
次に、図7(b)に示すように、カード基材(1)に形成した開口領域(3)に対し、接着剤(40)を用いてICモジュール(2)を装着し、そのICモジュール(2)を装着したカード基材(1)に対し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(2)をカード基材(1)に密着させ、図4に示すように、接触型のICチップ(201)と、非接触型のICチップ(13)との2つのICチップ(201、13)を搭載したICカードを形成することになる。
【0057】
<『JIS X 6305−1 5.8』動的曲げ力(曲げ特性)>
次に、上述した図6、図7に示す製造方法により形成した図4に示すICカードが、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足するか否かについて試験する。
【0058】
なお、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定は、カードの動的曲げによる機能障害、及び、ひび割れの発生を評価するものである。
【0059】
なお、試験時に動的曲げ力をICカードにかけるために使用する試験装置を図8(a)に示す。図8(a)に示すように、試験装置の可動部は、クランク機構で、曲げ力が0.5Hzの周波数で正弦波状に変化するように稼働させる。なお、試験装置は、可動部のストロークを調節することによって、最大たわみ:hwを0mm,−1.00mmの許容差内に設定することが可能となる。また、最小たわみ:hvは、開始位置によって設定する。
【0060】
なお、hv及びhwは、両方ともICカードの下面で測定する。また、ICカードの耐久性試験において、プラスチックカード材の曲げ試験に互換性を持たせるために、試験装置の角度:αは、30°が望ましい。
【0061】
(試験手順)
まず、試験前にICカードを事前に調整し、4.1で規定する試験環境下で試験を実施する。なお、4.1で規定する試験環境下とは、温度:23℃±3℃、相対湿度:40〜60%の環境下を示す。
【0062】
まず、ICカードを、図8(a)に示す試験装置のかみ合いの間に挟む。かみ合いは、B軸方向(図8(b)参照)に沿ってICカードの長辺が湾曲して曲げが行われるように位置決めする。ICカードが接触したら、上限として初期設定する。そして、最小たわみ:hvが、2.00mm±0.50mmとなるように、試験装置のストロークを設定する。
【0063】
基本規格で規定する総曲げ回数の1/4、又は、総曲げ回数が規定されていない場合には250回の曲げとする。
【0064】
次に、ICカードの反対の面が上側となり、B軸に沿ってカードの長辺が湾曲して曲げが行われるように、ICカードの位置決めを変更する。そして、上記と同じ回数の曲げを行う。
【0065】
次に、ICカードの元の面が上側になり、A軸方向(図8(b)参照)に沿ってICカードの短辺が湾曲して曲げが行われるようにICカードの位置決めを行い、試験装置をリセットする。ICカードが接触したら、上限として初期設定する。そして、最小たわみ:hvが、1.00mm±0.50mmとなるように、試験装置のストロークを設定する。そして、上記と同じ回数の曲げを行う。
【0066】
次に、カードの反対の面が上側となり、A軸に沿ってICカードの短辺が湾曲して曲げが行われるように、ICカードの位置決めを変更する。そして、上記と同じ回数の曲げを行う。
【0067】
そして、試験の開始及び終了時にICカードが試験後の『機能性』をもっていることを確認する。また、これは、適宜試験の途中でも確認することが望ましい。なお、『機能性』とは、機能残存(lestably functional)破壊を招く危険性がある幾つかの試験に対して試験後に残存すべき機能をいう。
【0068】
この上述した、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を、図6、図7に示す、本実施形態の製造方法により形成した図4に示すICカードに対して行った場合には、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足することが試験結果から判明した。
【0069】
<『JIS X 6305−1 5.9』動的ねじり力(ねじり特性)>
次に、図6、図7に示す製造方法により形成した図4に示すICカードが、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足するか否かについて試験する。
【0070】
なお、試験時に動的ねじり力をICカードにかけるために使用する試験装置を図9(a)に示す。なお、図9(a)に示す試験装置は、図9(b)に示すように、あらかじめ決められた限界角度まで正弦波状にねじり力を変化させることになる。
【0071】
(試験手順)
まず、試験前にICカードを事前に調整し、4.1で規定する試験環境下で試験を実施する。なお、4.1で規定する試験環境下とは、温度:23℃±3℃、相対湿度:40〜60%の環境下である。
【0072】
次に、ICカードを、間隔d=86mmの2つのガイドレールの溝に、穏やかに保持し、ICカードの短辺が中心位置に対して±αまでの角度で相対的にねじれるように、図9(a)に示すねじり試験装置に位置決めする。
【0073】
なお、試験周波数を0.5Hz,ねじり角度を15°±1°に設定し、基本規格で規定するねじりサイクル数、又は、ねじりサイクル数が規定されていない場合には、1000サイクルのねじりとする。
【0074】
そして、試験の開始及び終了時にICカードが試験後の『機能性』をもっていることを確認する。また、これは、基本規格で規定するねじりサイクルの1/4を終了した後に確認することが望ましい。なお、『機能性』とは、機能残存(lestably functional)破壊を招く危険性がある幾つかの試験に対して試験後に残存すべき機能をいう。
【0075】
この上述した、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を、図6、図7に示す、本実施形態の製造方法により形成した図4に示すICカードに対して行った場合には、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足することが試験結果から判明した。
【0076】
このように、本実施形態におけるICカードは、アンテナコイルを含むアンテナパターン(12)と、非接触状態にて通信処理が可能な非接触型のICチップ(13)と、が実装されたインレットシート(10)に対し、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための貫通穴(50)を施し、その貫通穴(50)が施されたインレットシート(10)を、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にて挟持し、熱圧着処理を行い、貫通穴(50)にコアシート(20,21)を構成するラミネート基材を埋込み、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるコアシート(20,21)を結合し、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成する。そして、その一体化したカード基材(1)に対し、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成し、該形成した開口領域(3)に対し、ICモジュール(2)を装着し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(2)をカード基材(1)に密着させ、接触型のICチップ(201)と非接触型のICチップ(13)との2つのICチップ(201、13)を搭載したICカードを形成する。
【0077】
これにより、インレットシート(10)に施した貫通穴(50)を介し、そのインレットシート(10)の上下面に積層される第2のコアシート(21)と、第1のコアシート(20)と、が結合して一体化することが可能となるため、カード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となる。
【0078】
また、カード基材(1)に対し、接触型のICチップ(201)を有するICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成しても、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出しないため、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。
【0079】
なお、本実施形態におけるICカードにおいて、インレットシート(10)に形成する貫通穴(50)は、図5に示すように、ICモジュール(2)を構成するICチップ(201)と封止樹脂(204)とが装着される領域よりも大きく形成することで、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成しても、インレットシート(10)が開口領域(3)の断面に露出しないようにすることとしたが、貫通穴(50)は、図10(a)に示すように、COT基板(202)の領域よりも大きく形成することも可能である。この図10(a)に示すように貫通穴(50)を形成することで、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を更に向上させることが可能となる。また、貫通穴(50)は、図10(b)に示すように、COT基板(202)の領域の一部分と重なるように形成することも可能である。この場合は、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(2)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(2)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。また、貫通穴(50)は、図10(c)に示すように、COT基板(202)の領域の一部分と、ICチップ(201)と封止樹脂(204)とが装着される領域の一部分と、に重なるように形成することも可能である。この場合は、ICモジュール(2)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)の一部分が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(2)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(2)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。なお、図10(b)、(c)に示す貫通穴(50)は、インレットシート(10)の長手方向に長い横長形状の貫通穴(50)をインレットシート(10)に形成することにしたが、図10(d)に示すように、インレットシート(10)の短手方向に長い縦長形状の貫通穴(50)をインレットシート(10)に形成することも可能である。このため、貫通穴(50)は、ICモジュール(2)を構成するモジュール基板となるCOT基板(202)の領域と少なくとも1部分が重なるように形成することが好ましい。
【0080】
また、図4に示すICカードを構成するインレットシート(10)に施す貫通穴(50)は、図5に示すように、ICモジュール(2)を構成するモジュール基板となるCOT基板(202)の領域と重なる部分において1つの貫通穴(50)を形成することにしたが、図11に示すように、ICモジュール(2)を構成するモジュール基板となるCOT基板(202)の領域と重なる部分において、複数の貫通穴(50)を形成するように構築することも可能である。この図11に示すように、複数の貫通穴(50)が形成されたインレットシート(10)を用いて、上述した図6、図7に示すような製造方法を用いてICカードを形成しても、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。また、図11に示すように、複数の貫通穴(50)を形成し、インレットシート(10)に施す貫通穴(50)の領域を低減させることで、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、を結合しつつ、カード基材(1)の表面の平滑性を向上させることが可能となる。また、貫通穴(50)の領域を低減させることで、カード基材(1)を形成する際のラミネート時に、貫通穴(50)に対して空洞が形成されるのを低減することが可能となるため、カード基材(1)の表面に対するアバタの発生を軽減することが可能となる。また、貫通穴(50)の領域が多い場合には、貫通穴(50)を形成した付近のカード基材(1)の層厚が薄くなり、カード基材(1)に対し、開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対し、ICモジュール(2)を装着した場合には、カード基材(1)の裏面側からICモジュール(2)が透けて見えてしまったり、また、カード基材(1)自体の耐久性が悪化し、カード基材(1)の曲げの繰り返し等により、カード基材(1)の表裏面に対してひび割れが発生してしまったりする虞があるが、貫通穴(50)の領域を低減させることで、上述した問題点を解消することが可能となる。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0082】
第1の実施形態におけるICカードは、非接触状態にて通信処理が可能な非接触型のICチップ(13)と、接触状態にて通信処理が可能な接触型のICチップ(201)と、の2つのICチップ(13、201)を搭載したハイブリッド型のICカードについて説明したが、第2の実施形態は、図12に示すように、非接触状態及び接触状態にて通信処理が可能な非接触型及び接触型兼用の1つのICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載したコンビネーション型のICカードについて説明する。この第2の実施形態におけるコンビネーション型のICカードについても、第1の実施形態と同様に、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域と重なる部分において貫通穴(50)を形成することで、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することになる。以下、図12〜図15を参照しながら、第2の実施形態のICカードについて詳細に説明する。
【0083】
まず、図12を参照しながら、第2の実施形態におけるICカードの構成について説明する。なお、図12に示すICカードは、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載して構成されるICカードの構成であり、(a)は、各シートを一体化する前の状態を示し、(b)は、各シートを一体化した後の状態を示すものである。
【0084】
本実施形態におけるICカードは、接触状態及び非接触状態にて通信処理を行うためのICチップ(601)を有するICモジュール(60)と、ICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子(61)を含むアンテナパターン(12)が形成されたインレットシート(10)と、そのインレットシート(10)を上下面から挟持するためのラミネート基材となる第1のコアシート(20),第2のコアシート(21),オーバーシート(30)と、を有して構成される。なお、ラミネート基材となる第1のコアシート(20),第2のコアシート(21),オーバーシート(30)については、第1の実施形態と同様な構成となる。
【0085】
<インレットシート10>
次に、図13を参照しながら、接触状態及び非接触状態にて通信処理を行うためのICチップ(601)を有するICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子を含むアンテナパターン(12)が形成されたインレットシート(10)の構成について詳細に説明する。なお、図13(a)は、インレットシート(10)の断面構成を示し、図13(b)は、インレットシート(10)の上面構成を示す。
【0086】
インレットシート(10)は、アンテナ基板(11)に対し、アンテナコイル,コンデンサ,ICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子(61)等を構成するアンテナパターン(12)を有して構成される。なお、本実施形態におけるインレットシート(10)は、ICモジュール(60)を装着するための貫通穴(50)が形成されている。この貫通穴(50)を形成することで、図12(a)に示すように、インレットシート(10)の上面側に積層される第1のコアシート(20)とインレットシート(10)の下面側に積層される第2のコアシート(21)とが、図12(b)に示すように、インレットシート(10)に形成された貫通穴(50)を介して結合することになり、インレットシート(10)と、コアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となる。なお、貫通穴(50)は、図13に示すように、ICモジュール(60)のICチップ(601)と封止樹脂(604)とが装着される領域よりも大きく、且つ、インレットシート(10)に形成される接触端子(61)を残すように形成することになる。なお、貫通穴(50)は、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域内に形成することが好ましい。
【0087】
<ICモジュール60>
次に、図12を参照しながら、ICモジュール(60)の構成について説明する。
【0088】
ICモジュール(60)は、接触状態及び非接触状態にて通信処理を行うためのものであり、外部装置と通信処理を行うためのデータを記憶するICチップ(601)と、そのICチップ(601)を保持するモジュール基板となるCOT(Chip On Tape)基板(602)と、そのCOT基板(602)の上面側に設けられる第1の接触端子(603)と、ICチップ(601)を封止するための封止樹脂(604)と、COT基板(602)の下面側に設けられる第2の接触端子(605)と、を有して構成される。この第2の接触端子(605)と、インレットシート(10)に形成された接触端子(61)と、が導電性接着剤(62)を介して接続するように構築することで、ICモジュール(60)を電気的に接続させることが可能となる。
【0089】
次に、図14、図15を参照しながら、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載して構成される図12に示すICカードの製造方法について説明する。
【0090】
まず、図14(a)に示すように、アンテナ基材(11)に対し、アンテナコイル,コンデンサ,ICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子(61)等を構成するアンテナパターン(12)を形成し、インレットシート(10)を形成する。この時、本実施形態におけるインレットシート(10)には、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を装着するための貫通穴(50)を施すことになる。
【0091】
次に、図14(b)に示すように、そのインレットシート(10)の上下面からラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にて挟持し、熱圧着処理を行い、各シート(30、21、10、20、21、30)をラミネートし、図14(c)に示すように、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0092】
なお、図14(b)、(c)では、インレットシート(10)の上面側に対し、第1のコアシート(20)と、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、インレットシート(10)の下面側に対し、印刷が施された第2のコアシート(21)と、オーバーシート(30)と、を設け、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成することになる。
【0093】
なお、本実施形態におけるカード基材(1)は、図14(a)に示すように、インレットシート(10)に対し、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を装着するための貫通穴(50)が施されているため、そのインレットシート(10)の上下面に積層される第2のコアシート(21)と、第1のコアシート(20)と、が貫通穴(50)を介して結合することになる。これにより、カード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を向上させることが可能となり、インレットシート(10)と、コアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となる。このため、ICモジュール(60)とカード基材(1)との密着力の低減を解消し、ICモジュール(60)がカード基材(1)から浮き上がることを回避することが可能となる。
【0094】
次に、図15(a)に示すように、カード基材(1)に対し、所定の位置にミーリング加工を施し、接触型及び非接触型兼用のICチップ(601)を有するICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を形成する。この時、インレットシート(10)に形成した接触端子(61)が露出するように、開口領域(3)を形成することになる。これにより、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と、インレットシート(10)に形成した接触端子(61)と、を電気的に接続することが可能となる。
【0095】
次に、図15(b)に示すように、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と、開口領域(3)から露出している接触端子(61)と、を導電性接着剤(62)を介して接続させるように、カード基材(1)に形成した開口領域(3)に対し、ICモジュール(60)を装着し、そのICモジュール(60)を装着したカード基材(1)に対し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(60)をカード基材(1)に密着させ、図12に示す、接触型及び非接触型のICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載したICカードを形成することになる。なお、上述した第2の実施形態におけるICカードは、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と、開口領域(3)から露出している接触端子(61)と、を導電性接着剤(62)を介して接続させるようにしたが、接触端子(61)に対し、導電性ペーストを塗布し、その塗布した導電性ペーストを介して、第2の接触端子(605)と、接触端子(61)と、が電気的に接続するようにしたり、接触端子(61)に対し、導電粒子を含む導電性フィルムを設け、その導電性フィルムを介して、第2の接触端子(605)と、接触端子(61)と、が電気的に接続するようにしたりすることも可能である。なお、導電性ペーストとしては、導電性を示すための金属粒子の他に、フィルムとの密着性を保つためにフェノール系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系等の各種樹脂と希釈溶剤が配合されているものが適用可能である。また、導電性フィルムとしては、ニッケル、金属コートされたプラスチック等の導電粒子をエポキシ樹脂等の接着溶剤中に分散したものが適用可能である。
【0096】
<『JIS X 6305−1 5.8』動的曲げ力(曲げ特性)>
次に、上述した図14、図15に示す製造方法により形成した図12に示すICカードが、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足するか否かについて試験した。この結果、『JIS X 6303 4.2.9』の動的曲げ強さの規定を満足することが試験結果から判明した。
【0097】
<『JIS X 6305−1 5.9』動的ねじり力(ねじり特性)>
次に、上述した図14、図15に示す製造方法により形成した図12に示すICカードが、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を行った場合に、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足するか否かについて試験した。この結果、『JIS X 6303 4.2.10』の動的ねじれ強さの規定を満足することが試験結果から判明した。
【0098】
このように、第2の実施形態におけるICカードは、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)と電気的に接続するための接触端子(61)を含むアンテナパターン(12)が形成されたインレットシート(10)に対し、そのICモジュール(60)を装着するための貫通穴(50)を施し、その貫通穴(50)が施されたインレットシート(10)を、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、オーバーシート(30)と、にて挟持し、熱圧着処理を行い、貫通穴(50)にコアシート(20,21)を構成するラミネート基材を埋込み、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるコアシート(20,21)を結合し、各シート(30、21、10、20、21、30)が一体化したカード基材(1)を形成する。そして、その一体化したカード基材(1)に対し、ICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を、インレットシート(10)に形成した接触端子(61)が露出するように形成する。そして、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と、インレットシート(10)に形成した接触端子(61)と、が導電性接着剤(62)を介して電気的に接続するように、ICモジュール(60)を開口領域(3)に装着し、加熱・加圧処理を施し、ICモジュール(60)をカード基材(1)に密着させ、接触状態及び非接触状態にて通信処理が可能なICチップ(601)を有するICモジュール(60)を搭載したICカードを形成する。
【0099】
これにより、インレットシート(10)に施した貫通穴(50)を介し、そのインレットシート(10)の上下面に積層される第2のコアシート(21)と、第1のコアシート(20)と、が結合して一体化することが可能となるため、カード基材(1)を構成するインレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の密着性を向上させ、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となり、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。
【0100】
なお、図12に示すICカードを構成するインレットシート(10)に施す貫通穴(50)は、図13に示すように、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域と重なる部分において、ICモジュール(60)の第2の接触端子(605)と接続するための接触端子(61)が形成される領域以外で貫通穴(50)を形成することにしたが、インレットシート(10)に施す貫通穴(50)の位置や形状は、図13に示す位置や形状に限定するものではなく、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域内の一部分において貫通穴(50)を形成し、該形成した貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるコアシート(20,21)を結合することが可能であれば、貫通穴(50)を形成する位置や、その貫通穴(50)の形状については特に限定するものではなく、例えば、ICモジュール(60)を構成するモジュール基板となるCOT基板(602)の領域と重なる部分において、図16(a)〜(c)に示す形状の貫通穴(50)を形成することも可能である。
【0101】
なお、図16(a)は、インレットシート(10)の長手方向に長い横長形状の貫通穴(50)を、COT基板(602)の領域の一部分と重なるように形成した状態を示す図であり、この場合は、ICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(60)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(60)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。
【0102】
また、図16(b)は、インレットシート(10)の長手方向に長い横長形状の貫通穴(50)を、COT基板(602)の領域の一部分と、ICチップ(601)と封止樹脂(604)とが装着される領域の一部分と、に重なるように形成した状態を示す図であり、この場合は、ICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)の一部分が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(60)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(60)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。
【0103】
また、図16(c)は、インレットシート(10)の短手方向に長い縦長形状の貫通穴(50)を、COT基板(602)の領域の一部分と重なるように形成した状態を示す図であり、この場合は、ICモジュール(60)を装着するための開口領域(3)を形成した際に、インレットシート(10)が開口領域(3)の表面に露出することになるが、ICモジュール(60)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、が結合することになるため、ICモジュール(60)とカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。
【0104】
このため、図16(a)〜(c)に示す形状の貫通穴(50)が形成されたインレットシート(10)を用いて、上述した図14、図15に示すような製造方法を用いてICカードを形成しても、インレットシート(10)と、ラミネート基材となるコアシート(20,21)と、の間の層間剥離の発生を防止することが可能となるため、『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験や、『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を満足することが可能となる。
【0105】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0106】
上述した実施形態のICカードは、インレットシート(10)に対し、ICモジュールを装着するための貫通穴(50)を施し、その貫通穴(50)を施したインレットシート(10)を、ラミネート基材(20,21,30)にて挟持し、熱圧着処理を行い、貫通穴(50)を介して、インレットシート(10)の上下面に挟持されるラミネート基材(20,21,30)を結合し、各シートが一体化したカード基材(1)を形成し、そのカード基材(1)に対し、ICモジュールを装着するための開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対し、ICモジュールを装着することで、図17(a)に示すように、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、貫通穴(50)を介して、ラミネート基材(20,21,30)が結合し、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、の密着力を維持させることを可能としたが、例えば、図17(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転させ、その反転させたインレットシート(10)をラミネート基材(20,21,30)にて挟持し、カード基材(1)を形成し、該形成したカード基材(1)に対し、開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対してICモジュールを装着した場合には、図17(b)に示すように、貫通穴(50)と、COT基板(202)の領域と、の位置が異なることになり、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、貫通穴(50)を介して、ラミネート基材(20,21,30)が結合することになる結合領域が、図17(a)よりも減少し、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、の密着力が低減し、インレットシート(10)に対して貫通穴(50)を施す効果を低減させてしまうことになる。
【0107】
このため、第3の実施形態におけるICカードは、図18に示すように、インレットシート(10)の上下面を反転させてラミネート基材(20,21,30)で挟持してカード基材(1)を形成した場合にも、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、貫通穴(50)がインレットシート(10)に形成されるように構成したことを特徴とするものである。これにより、図18(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転させ、その反転させたインレットシート(10)を、ラミネート基材(20,21,30)にて挟持し、カード基材(1)を形成し、その形成したカード基材(1)に対し、開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対してICモジュールを装着した場合でも、図18(b)に示すように、貫通穴(50)と、COT基板(202)の領域と、の位置が一致することになり、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、が結合することになる結合領域が減少するのを解消し、ICモジュールとカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。また、インレットシート(10)の上下面を反転させてカード基材(1)を形成しても、その形成したカード基材(1)に対して開口領域(3)を形成し、その形成した開口領域(3)に対し、ICモジュールを装着することが可能となるため、カード基材(1)の表面に対するレイアウトの設計自由度を向上させることが可能となる。従って、カード基材(1)の表面に対する、磁気ストライプ、ホログラム、サインパネル、インデント、エンボス、UG(Ultra Graphics)等の設計自由度が向上することになる。以下、図18を参照しながら、第3の実施形態におけるICカードについて説明する。
【0108】
まず、図18を参照しながら、第3の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)について説明する。なお、図18は、第3の実施形態のICカードの構成を説明するための図であり、(a)は、インレットシート(10)の上下面を反転する前の状態での構成を示し、(b)は、(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転した後の状態での構成を示す図である。
【0109】
第3の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)は、図18に示すように、インレットシート(10)の中心軸(101)を経由して、インレットシート(10)の長手方向に平行な平行線(100)と線対称な位置に、貫通穴(50)を形成することになる。これにより、インレットシート(10)の上下面を反転させてラミネート基材(20,21,30)にて挟持した場合にも、COT基板(202)と重なる領域において、貫通穴(50)がインレットシート(10)に形成されていることになるため、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、が結合することになる結合領域が減少するのを解消し、ICモジュールとカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。
【0110】
なお、第3の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)は、貫通穴(50)の領域を最小限にするために、図18に示すように、3つの貫通穴(50)をインレットシート(10)に形成することが好ましい。この場合、インレットシート(10)の両端に形成することになる貫通穴(50)が、平行線(100)と線対称となるように設計することが好ましい。これにより、インレットシート(10)の上下面を反転させた場合でも、インレットシート(10)の両端に形成した貫通穴(50)の位置が変化しないことになるため、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、が結合することになる結合領域が減少するのを解消し、ICモジュールとカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。また、インレットシート(10)に形成する貫通穴(50)の領域を最小限にするように設計することで、カード基材(1)の表面の平滑性を向上させることが可能となる。
【0111】
なお、図18に示すインレットシート(10)は、インレットシート(10)の長手方向に長い横長形状の3つの貫通穴(50)を形成することにしたが、図19に示すように、インレットシート(10)の短手方向に長い縦長形状の2つの貫通穴(50)を形成することも可能である。この図19に示すように、インレットシート(10)の短手方向に長い縦長形状の2つの貫通穴(50)をインレットシート(10)に形成することでも、インレットシート(10)の上下面を反転させた場合でも、インレットシート(10)の両端に形成した貫通穴(50)の位置が変化しないことになるため、COT基板(202)が装着される領域と重なる部分において、インレットシート(10)と、ラミネート基材(20,21,30)と、が結合することになる結合領域が減少するのを解消し、ICモジュールとカード基材(1)との密着力を維持することが可能となる。また、インレットシート(10)に形成する貫通穴(50)の領域を最小限にするように設計することが可能となるため、カード基材(1)の表面の平滑性を向上させることが可能となる。
【0112】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0113】
例えば、上述した実施形態において、インレットシート(10)に対し、貫通穴(50)を施す工程は、特に限定するものではなく、アンテナ基材(11)に対し、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)を実装したインレットシート(10)に対し、貫通穴(50)を形成したり、アンテナコイル,コンデンサ等を構成するアンテナパターン(12)を実装する前のアンテナ基材(11)に対し、貫通穴(50)を形成したりすることも可能である。
【0114】
また、上述した実施形態においては、インレットシート(10)の中心軸(101)を経由してインレットシート(10)の長手方向に平行な平行線(100)と線対称となるように貫通穴(50)を形成することで、インレットシート(10)の上下面を反転させた場合でも、インレットシート(10)に形成した貫通穴(50)の位置が変化しないようにしたが、インレットシート(10)の中心軸(101)を経由してインレットシート(10)の短手方向に平行な平行線と線対称となるように貫通穴(50)を形成し、インレットシート(10)を反転させた場合でも、インレットシート(10)に形成した貫通穴(50)の位置が変化しないようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明にかかるICカード及びICカードの製造方法は、各種交通機関での定期券、回数券、電話カード、特定領域への入退出用のカード、IDカード、免許証、パチンコ,遊園地,映画館などに使用されるカード、クレジットカード等の情報記録媒体に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】従来のICカードの製造方法を示す第1の図である。
【図2】従来のICカードの製造方法を示す第2の図である。
【図3】従来のICカードにおいて、インレットシート(10)と、そのインレットシート(10)の上下面に積層されるコアシート(20,21)と、の間で層間剥離が発生する位置を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態のICカードの構成を示す図であり、(a)は、各シートを一体化する前の状態を示し、(b)は、各シートを一体化した後の状態を示す図である。
【図5】第1の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の構成を示す図であり、(a)は、インレットシート(10)の断面構成を示し、(b)は、インレットシート(10)の上面構成を示す図である。
【図6】第1の実施形態のICカードの製造方法を説明するための第1の図である。
【図7】第1の実施形態のICカードの製造方法を説明するための第2の図である。
【図8】『JIS X 6305−1 5.8』で規定されている動的曲げ力(曲げ特性)の試験を説明するための図である。
【図9】『JIS X 6305−1 5.9』で規定されている動的ねじり力(ねじり特性)の試験を説明するための図である。
【図10】第1の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の他の構成例を示す第1の図である。
【図11】第1の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の他の構成例を示す第2の図である。
【図12】第2の実施形態のICカードの構成を示す図であり、(a)は、各シートを一体化する前の状態を示し、(b)は、各シートを一体化した後の状態を示す図である。
【図13】第2の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の構成を示す図であり、(a)は、インレットシート(10)の断面構成を示し、(b)は、インレットシート(10)の上面構成を示す図である。
【図14】第2の実施形態のICカードの製造方法を説明するための第1の図である。
【図15】第2の実施形態のICカードの製造方法を説明するための第2の図である。
【図16】第2の実施形態のICカードを構成するインレットシート(10)の他の構成例を示す図である。
【図17】第3の実施形態のICカードの構成を説明するための第1の図であり、(a)は、インレットシート(10)の上下面を反転する前の状態での構成を示し、(b)は、(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転した後の状態での構成を示す図である。
【図18】第3の実施形態のICカードの構成を説明するための第2の図であり、(a)は、インレットシート(10)の上下面を反転する前の状態での構成を示し、(b)は、(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転した後の状態での構成を示す図である。
【図19】第3の実施形態のICカードの構成を説明するための第3の図であり、(a)は、インレットシート(10)の上下面を反転する前の状態での構成を示し、(b)は、(a)に示すインレットシート(10)の上下面を反転した後の状態での構成を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
1 カード基材
2 ICモジュール(接触型のICモジュール)
3 開口領域
10 インレットシート
11 アンテナ基材
12 アンテナパターン
13 ICチップ(非接触型のICチップ)
14 接着剤
15 バンプ
20 第1のコアシート
201 ICチップ(接触型のICチップ)
202 COT基板
203 接触端子
204 封止樹脂
21 第2のコアシート
22 穴
30 オーバーシート
40 接着剤
50 貫通穴
60 ICモジュール(接触型及び非接触型兼用のICモジュール)
61 接触端子
62 導電性接着剤
601 ICチップ(接触型及び非接触型兼用のICチップ)
602 COT基板
603 第1の接触端子
604 封止樹脂
605 第2の接触端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナコイルを含む回路パターンが形成されたインレットシートの上下面からラミネート基材にて挟持してなるICカードであって、
前記ICカードの表面に露出したICモジュールを有し、
前記ICモジュールと重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴が前記インレットシートに形成され、前記貫通穴を介して、前記インレットシートの上下面に挟持される前記ラミネート基材が結合されてなることを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記貫通穴は、前記ICモジュールを前記ICカードに装着するための開口領域に形成されてなることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項3】
前記インレットシートの上下面を反転させて前記ラミネート基材にて挟持した場合にも、前記ICモジュールと重なる部分において、前記貫通穴が前記インレットシートに形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載のICカード。
【請求項4】
前記貫通穴は、前記インレットシートの中心軸を経由して前記インレットシートの長手方向に平行な平行線と線対称となるように形成されてなることを特徴とする請求項3記載のICカード。
【請求項5】
前記貫通穴は、前記インレットシートの長手方向に長い横長な形状の貫通穴、または、前記インレットシートの短手方向に長い縦長な形状の貫通穴であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のICカード。
【請求項6】
前記インレットシートには、前記ICモジュールと電気的に接続するための接触端子を含む回路パターンが形成されており、前記接触端子以外の領域に、前記貫通穴が形成されてなることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項7】
前記ICモジュールは、接触型と非接触型とでの通信処理が可能なICモジュールであり、前記ICモジュールは、前記回路パターンと接続されてなることを特徴とする請求項1または6記載のICカード。
【請求項8】
前記ICモジュールは、接触型での通信処理が可能なICモジュールであり、前記ICモジュールは、前記回路パターンと接続しない状態で、前記ICカードに装着されてなり、
前記インレットシートには、前記ICカードの表面に露出しない状態で、前記回路パターンと接続するように、非接触型での通信処理が可能なICチップが実装されてなることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項9】
アンテナコイルを含む回路パターンを形成したインレットシートに対し、少なくとも1つの貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、
前記貫通穴形成工程により貫通穴が形成されたインレットシートを上下面からラミネート基材にて挟持し、熱圧着処理を施し、前記貫通穴にラミネート基材を埋込み、前記貫通穴を介して、前記インレットシートの上下面に挟持される前記ラミネート基材を結合し、ICカードのカード基材を形成するカード基材形成工程と、
前記カード基材形成工程により形成したカード基材に対し、ICモジュールを装着するための開口領域を形成する開口領域形成工程と、
前記開口領域形成工程によりカード基材に形成した開口領域に対し、ICモジュールを装着するICモジュール装着工程と、
を行い、
前記貫通穴形成工程は、
前記ICモジュール装着工程によりICモジュールを装着する領域内に、前記貫通穴を形成することを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項10】
アンテナシートに対し、少なくとも1つの貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、
前記貫通穴形成工程により貫通穴が形成されたアンテナシートに対し、アンテナコイルを含む回路パターンを形成し、インレットシートを形成するインレットシート形成工程と、
前記インレットシート形成工程により回路パターンを形成したインレットシートを上下面からラミネート基材にて挟持し、熱圧着処理を施し、前記貫通穴にラミネート基材を埋込み、前記貫通穴を介して、前記インレットシートの上下面に挟持される前記ラミネート基材を結合し、ICカードのカード基材を形成するカード基材形成工程と、
前記カード基材形成工程により形成したカード基材に対し、ICモジュールを装着するための開口領域を形成する開口領域形成工程と、
前記開口領域形成工程によりカード基材に形成した開口領域に対し、ICモジュールを装着するICモジュール装着工程と、
を行い、
前記貫通穴形成工程は、
前記ICモジュール装着工程によりICモジュールを装着する領域内に、前記貫通穴を形成することを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項11】
前記貫通穴形成工程は、
前記開口領域形成工程により前記開口領域が形成される領域に、前記貫通穴を形成することを特徴とする請求項9または10記載のICカードの製造方法。
【請求項12】
前記貫通穴形成工程は、
前記カード基材形成工程において、前記インレットシートの上下面を反転させて前記ラミネート基材にて挟持し、前記カード基材を形成し、該形成したカード基材に対し、前記開口領域形成工程において前記開口領域を形成した場合にも、前記開口領域と一致するように、前記貫通穴を形成することを特徴とする請求項9から11の何れか1項に記載のICカードの製造方法。
【請求項13】
前記回路パターンは、前記ICモジュールと電気的に接続するための接触端子を含む回路パターンを形成し、
前記貫通穴形成工程は、
前記接触端子以外の領域に、前記貫通穴を形成することを特徴とする請求項9または10載のICカードの製造方法。
【請求項14】
前記ICモジュール装着工程は、接触型と非接触型とでの通信処理が可能なICモジュールを前記回路パターンと接続するように装着することを特徴とする請求項9、10、13の何れか1項に記載のICカードの製造方法。
【請求項15】
前記ICモジュール装着工程は、接触型での通信処理が可能なICモジュールを、前記回路パターンと接続しないように装着し、
前記インレットシートには、前記ICカードの表面に露出しない状態で、前記回路パターンと接続するように、非接触型での通信処理が可能なICチップが実装されてなることを特徴とする請求項9または10記載のICカードの製造方法。
【請求項1】
アンテナコイルを含む回路パターンが形成されたインレットシートの上下面からラミネート基材にて挟持してなるICカードであって、
前記ICカードの表面に露出したICモジュールを有し、
前記ICモジュールと重なる部分において、少なくとも1つの貫通穴が前記インレットシートに形成され、前記貫通穴を介して、前記インレットシートの上下面に挟持される前記ラミネート基材が結合されてなることを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記貫通穴は、前記ICモジュールを前記ICカードに装着するための開口領域に形成されてなることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項3】
前記インレットシートの上下面を反転させて前記ラミネート基材にて挟持した場合にも、前記ICモジュールと重なる部分において、前記貫通穴が前記インレットシートに形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載のICカード。
【請求項4】
前記貫通穴は、前記インレットシートの中心軸を経由して前記インレットシートの長手方向に平行な平行線と線対称となるように形成されてなることを特徴とする請求項3記載のICカード。
【請求項5】
前記貫通穴は、前記インレットシートの長手方向に長い横長な形状の貫通穴、または、前記インレットシートの短手方向に長い縦長な形状の貫通穴であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のICカード。
【請求項6】
前記インレットシートには、前記ICモジュールと電気的に接続するための接触端子を含む回路パターンが形成されており、前記接触端子以外の領域に、前記貫通穴が形成されてなることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項7】
前記ICモジュールは、接触型と非接触型とでの通信処理が可能なICモジュールであり、前記ICモジュールは、前記回路パターンと接続されてなることを特徴とする請求項1または6記載のICカード。
【請求項8】
前記ICモジュールは、接触型での通信処理が可能なICモジュールであり、前記ICモジュールは、前記回路パターンと接続しない状態で、前記ICカードに装着されてなり、
前記インレットシートには、前記ICカードの表面に露出しない状態で、前記回路パターンと接続するように、非接触型での通信処理が可能なICチップが実装されてなることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項9】
アンテナコイルを含む回路パターンを形成したインレットシートに対し、少なくとも1つの貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、
前記貫通穴形成工程により貫通穴が形成されたインレットシートを上下面からラミネート基材にて挟持し、熱圧着処理を施し、前記貫通穴にラミネート基材を埋込み、前記貫通穴を介して、前記インレットシートの上下面に挟持される前記ラミネート基材を結合し、ICカードのカード基材を形成するカード基材形成工程と、
前記カード基材形成工程により形成したカード基材に対し、ICモジュールを装着するための開口領域を形成する開口領域形成工程と、
前記開口領域形成工程によりカード基材に形成した開口領域に対し、ICモジュールを装着するICモジュール装着工程と、
を行い、
前記貫通穴形成工程は、
前記ICモジュール装着工程によりICモジュールを装着する領域内に、前記貫通穴を形成することを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項10】
アンテナシートに対し、少なくとも1つの貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、
前記貫通穴形成工程により貫通穴が形成されたアンテナシートに対し、アンテナコイルを含む回路パターンを形成し、インレットシートを形成するインレットシート形成工程と、
前記インレットシート形成工程により回路パターンを形成したインレットシートを上下面からラミネート基材にて挟持し、熱圧着処理を施し、前記貫通穴にラミネート基材を埋込み、前記貫通穴を介して、前記インレットシートの上下面に挟持される前記ラミネート基材を結合し、ICカードのカード基材を形成するカード基材形成工程と、
前記カード基材形成工程により形成したカード基材に対し、ICモジュールを装着するための開口領域を形成する開口領域形成工程と、
前記開口領域形成工程によりカード基材に形成した開口領域に対し、ICモジュールを装着するICモジュール装着工程と、
を行い、
前記貫通穴形成工程は、
前記ICモジュール装着工程によりICモジュールを装着する領域内に、前記貫通穴を形成することを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項11】
前記貫通穴形成工程は、
前記開口領域形成工程により前記開口領域が形成される領域に、前記貫通穴を形成することを特徴とする請求項9または10記載のICカードの製造方法。
【請求項12】
前記貫通穴形成工程は、
前記カード基材形成工程において、前記インレットシートの上下面を反転させて前記ラミネート基材にて挟持し、前記カード基材を形成し、該形成したカード基材に対し、前記開口領域形成工程において前記開口領域を形成した場合にも、前記開口領域と一致するように、前記貫通穴を形成することを特徴とする請求項9から11の何れか1項に記載のICカードの製造方法。
【請求項13】
前記回路パターンは、前記ICモジュールと電気的に接続するための接触端子を含む回路パターンを形成し、
前記貫通穴形成工程は、
前記接触端子以外の領域に、前記貫通穴を形成することを特徴とする請求項9または10載のICカードの製造方法。
【請求項14】
前記ICモジュール装着工程は、接触型と非接触型とでの通信処理が可能なICモジュールを前記回路パターンと接続するように装着することを特徴とする請求項9、10、13の何れか1項に記載のICカードの製造方法。
【請求項15】
前記ICモジュール装着工程は、接触型での通信処理が可能なICモジュールを、前記回路パターンと接続しないように装着し、
前記インレットシートには、前記ICカードの表面に露出しない状態で、前記回路パターンと接続するように、非接触型での通信処理が可能なICチップが実装されてなることを特徴とする請求項9または10記載のICカードの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−199873(P2007−199873A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15704(P2006−15704)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】
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