説明

IL−2の副作用の緩和方法

新規多型(±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2-カルボン酸を開示する。本化合物は、80〜82℃の高融点を有し、ロイコトリエンB4アンタゴニスト(「LBA」)である。本化合物は、IL-2治療の逆事象(例えば血管漏出症候群)を軽減するために有用である。IL-2と組み合わせた本化合物の投与は、IL-2の逆事象を軽減し、かつ対象に対するLBA投与の有利な効果を維持し又は亢進すると同時に、LBAを用いる副作用を同時に緩和する。本方法は、IL-2治療を受ける対象にLBA、好ましくは新規多型のある量を投与であって、当該投与量はLBAが治療計画に渡って特定範囲に維持される、投与を含む。また、添付の治療指示書と共に新規多型の組成物を含む製品を開示する。また、新規多型の医薬組成物の製造方法及び多型そのものの製造方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善した治療指数を示す、ロイコトリエンB4受容体の毒性減弱多型に関する。本発明はまた、ロイコトリエン介在副作用を誘導するその他の薬物(例えばインターロイキン-2)の治療指数の改善に関連する。
【背景技術】
【0002】
背景
組換えインターロイキン-2(プロロイキン(商標)又は「IN-2」)は、ヒト野生型インターロイキン-2の類縁体である。ヒト野生型インターロイキン-2は、特定の条件、例えば特定の症状を治療するためのIL-2の投与下で、ヒト内に少量存在するが、IL-2の過剰レベル(例えば標準レベルよりも高い)は、対象系に存在するだろう。IL-2は、特定のヒト悪性腫瘍、例えば黒色腫及び腎細胞癌の治療用に承認され、特定のウイルス症状の治療にも有用である。IL-2の投与は、「血管漏出症候群」(VLS)と関連している。これは、血漿タンパク質の管外遊出、及び脈管構造から管外間隙への流動を招く。他の逆兆候又は症候の中で、VLSは全身性水腫、全身性低血圧、器官潅流の低下、及び1以上の組織又は器官の後発的不全を引き起こす。かなり重度である場合には、VLSは、重大な不能又は死さえも招くことがある。IL-2の副作用は、投薬の持続又は低用量のIL-2の使用を余儀なくさせ、その結果、IL-2の治療的利益の効力を減少させる。IL-2の副作用の効果的な緩和手段は有益であろう。
【0003】
しかしながら、IL-2等の任意の薬物の副作用を緩和する薬理的インターベンションは、有用な効果も減少させてしまう。米国特許第6,423,744 B1に記載の発見が2002年7月23日に交付されるまで、VLSを抑制又は緩和するためのインターベンションについて、先行技術が不足しており、インターロイキン-2の抗腫瘍活性を阻害しないもの、好ましくは当該活性を亢進するものは知られていなかった。当該特許において、IL-2がロイコトリエン、例えばロイコトリエンB4の血漿レベルを増加させ、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体アンタゴニストを用いて、IL-2療法の間、IL-2の有益な抗腫瘍効果を阻害することなく、IL-2の副作用を低減する、ことが証明された。
【0004】
具体的LTB4受容体アンタゴニスト(「LBA」)、(±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンソピラン-2-カルボン酸がこの役割に有用であることが見出された。
【0005】
ロイコトリエンB4受容体の具体的遮断薬は、VLSを緩和しIL-2副作用を低減するだけでなく、抗腫瘍活性を維持し又は亢進することができる、そのため、IL-2の治療指数を改善する。
【0006】
サイトカイン経路の治療的有益な調節は、調節レベルの制御を必要とする。IL-2投与及びLTB4生成の場面においては、計画されたLTB4受容体遮断の3つの可能な転帰がある:
1. IL-2からの副作用の持続又は再現を招く不十分遮断;
2. 予期しないかつ期待しない副作用を招く過剰遮断;
3. IL-2の治療指数に所望の改善を生じる好適で十分に調節された遮断。
【0007】
薬物の用量が血液又は組織レベルと必ずしも相関しないことは、当該分野では周知である。所与の用量の薬物レベルが多くの異なったパラメーター機能、例えば年齢、性別、体重、ダイエット、薬物投与前/中/後の食事の存在又は存在、薬物を受け入れる動物種、併用する医薬又は外科的治療、多数の医薬又は外科的異常等によって幅広く変化することができる。従って、多くの薬物の安全かつ効果的使用を達成するために、かかる血液又は組織レベルの正確な知識が必要とされる。先行技術の欠点であるが、IL-2の治療指数の改善を達成するための、任意の薬物、例えばLBA又は他のIL-2調節剤の好適な血液又は組織レベルに関しては、これまで何の指針も提供されてこなかった。従って、IL-2の治療指数に影響を与える薬剤の必要な血液又は組織的レベルに関する具体的知識は、特に有用であり、及び好適なアッセイ又はキットが使用できることは特に有用であろう。かかる情報がない場合に、更に先行技術の欠点は、IL-2の治療指数の改善を達成するための、任意の薬物、例えばLBA又は他のIL-2調節剤の好適な血液又は組織レベルに関する指針が存在しないことである。
【0008】
しかしながら、別の治療法の深刻な副作用を減ずるために設計された治療は、通常、異種でかつより温和な形態であるが、副作用中の毒性及び副作用それ自体の毒性を明らかにすることができる。治療法全体を最適化するために、次いで、緩和剤(すなわちLBA)の同時投与による一次治療法(例えばインターロイキン-2)の毒性を軽減し又は除くのみならず、緩和剤そのものと関連する任意の毒性を軽減し又は除くことが望ましい。
【0009】
ある例では、単一化合物が2以上の構造的に区別できる形態、すなわち多型に結晶化することができる、ことは当該分野で公知である。結晶構造の相違は、様々な多型の多様な物理化学的性質に関連する。かかる多様性は、具体的分子構造の製造における困難性又は非効率の原因でもある。これらの困難性又は非効率は、例えば、製造工程の収率の変更、又は改変分析法の開発及び採用の必要性を含んでもよい。適正製造基準(連邦規制のアメリカ合衆国法典及び関連法及びガイドラインに記載されているように)下での製造場面では、製造仕様書の変更は、製造中の異種の多型の生成を直接招く。仕様書におけるかかる相違は、時間を浪費し、製造コストを増加させる。しかしながら、多型が生じることが予測できない場合に、多型が生じ得ることは当該分野では公知である。かかる生成が、効果の点で、有益、有害か又は当たり障りがないかについても、予測できない。
【0010】
一般的には、溶液(かつ、任意の結晶構造が存在しない)中の分子の性質が特定の多型、例えあるにしても分子がそこに由来する多型、とは無関係であると、考えられている。しかしながら、熱力学的多型の種類のため、溶解を少しでも達成するための不可欠な条件が存在する。例えば、溶解を達成するために、pH、温度、時間の相違又は共溶媒の必要性である。溶解を効果的にするためにはこのような変数間には重要な相関関係も存在する。例を挙げれば、1多型は、所与の時間内の所与のpHで最もよく溶解する(pH−時間相関)が一方、第二の多型は、異なったpH又は異なった時間でより溶解する(第二pH−時間相関)。一部のpHは身体内で広く変化し、組織内の分子の滞留時間も異種薬物又は異種構造により広く変化することができるので、係る相関関係は特定の多型によるヒトの治療に重要な生物的結果を有することができる。
【発明の開示】
【0011】
よく考えてみると、多くの薬物は経口で投与され、溶解及び吸収の工程で胃腸管の様々な部分を通過する、ことに留意されたい。胃腸管のpHは、解剖学的部位によっては、強酸性から強塩基性まで変化する。ほとんどの種の異(複数)は、酸性pHを有する傾向にあるが、腸のごく末端部分(十二指腸又は空腸)はかなり又は率直に言ってアルカリpHである。分子が胃腸系の特定の部分、例えば胃又は小腸を通過するために必要な時間は、pH作用、食物の存在、他の疾患等によって変化することもできる。加えて、おそらく、代謝又は薬物動力学(及びこれに関連する薬力学)における重要な相違が、胃腸管において分子が最初に溶解されかつ吸収される作用として生じる。かかる相違は、治療に使用するための多型の選択に重要な意味を有する、ことを我々は発見した。
【0012】
特定のヒト悪性腫瘍及びヒトウイルス症状に治療用のIK-2投与中にLBAが使用される場合、LBAの血漿レベルは慎重に定義された範囲内に維持されなければならない、ことを我々は発見した。かかる維持は、IL-2の治療指数を改善することができる。更に、所望の範囲でLBAを維持することにより、IL-2の用量レベルを増やすことができ、治療期間を延長することができる。このことは、従来見られる治療指数よりも高い治療指数をもたらす。すなわち、IL-2治療の副作用が抗腫瘍剤又は抗ウイルス剤での減少よりも減少する。
【0013】
我々は、上記の特定のLBAの新規な多型も発見した。これは驚くべき低毒性であり、及び先行技術の一般的教示を超える顕著な利益を提供するものである。IL-2の併用療法剤として先に特定した化合物の当該特定の多型の使用は、IL-2誘導逆事象の減少をもたらすと同時に、LBAそのものと関連する任意の重要な逆事象を緩和し又は除く。かかる二重緩和法及び対象で使用されるLBAの血漿レベルの慎重な維持により、上掲の患者に対する有益な効果及び医療診療は、尚更に増え、その結果、より優れた許容治療、更には治療コストの削減及びより良好な応答をもたらすだろう。
【0014】
発明の概要
本発明の1局面は、悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患の症状を有する対象のかかる腫瘍又は疾患の治療方法である。かかる方法は、
(a) ロイコトリエンB4アンタゴニスト(LBA)を当該対象に投与して、対象の血漿中のLBAレベルを対象範囲内に維持するステップ;
(b) LBA非存在下に投与するIL-2について対象が受容することができる用量と同一又は当該用量より高いレベルでIL-2を同時投与するステップ;
(c) LBA及びIL-2を投与し続けて、LBAを個々の標的範囲内に維持するステップ;及び
(d) 当該患者の生命兆候及び/又は研究パラメーターを監視した後に、LBA又はIL-2のいずれか、又はそれらの両方の用量の増加が是認されるならば、場合により増加するステップ
を含む。
【0015】
本発明の別の局面は、約80℃〜82℃の融点を示す、化合物 (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸である。この化合物は、本明細書に記載の治療法に特に有用である。
【0016】
本発明の別の局面は、悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患のIL-2治療を受ける対象へのIL-2投与の副作用を緩和する方法であって、IL-2治療率を改善するために十分な量及び時間で上記の化合物をヒトに投与することを含む、前記方法である。
【0017】
本発明の別の局面は、上記の化合物を薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物である。
【0018】
本発明の更に別の局面は、悪性腫瘍又は感染を治療するために、IL-2で治療可能な悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患を有するヒト対象に、IL-2と組み合わせて上記医薬組成物を投与するための印刷指示書が付いた容器内に上記の医薬組成物を含む製品である。これは、IL-2の治療指数を改善する。
【0019】
本発明の更に別の局面は、薬学的に許容される賦形剤と上記化合物とを混合することを含む、医薬組成物の製造方法である。
【0020】
本発明の更なる局面は、上記の化合物を製造する方法であって、出発原料 (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸を酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を10℃未満で冷却し、沈殿が形成するまで攪拌しながら当該溶液にヘキサンを加え、当該溶液から当該沈殿を分離し、及び当該沈殿原料を乾燥する、ことを含む、前記方法である。
【0021】
本発明の別の局面は、ロイコトリエンB4アンタゴニスト(「LBA」)と組み合わせる、悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患を有する患者の効果的治療法のアッセイ法であって、LBAに関する患者の血漿レベルを監視してLBA濃度を決定するステップ、及び当該患者へのLBA投与量を調整してLBA濃度が一定範囲内に確実に維持されるステップ、を含む、前記方法である。
【0022】
本発明の別の局面は、悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患のためにIL-2治療を受けるヒトに対するIL-2投与の副作用を緩和する方法であると考えられる。当該方法は、IL-2の治療率を向上させるために十分な量及び時間でヒトに本発明の化合物を投与することを含む。
【0023】
本発明の別の局面は、IL-2をインターロイキンB4受容体アゴニスト(LBA)と組み合わせる、悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患を有する対象の治療方法の改善である。当該改善は、IL-2治療中にLBAの対象血漿レベルを標的範囲内に維持することを含む。
【0024】
別の局面は、LBAの特定の多型の使用によるLBA-関連逆事象の緩和である。IL-2を(±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸と組み合わせて使用する、悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患の治療方法において、LBAの特定の多型、例えば80℃〜82℃の融点を有する上記の化合物を用いることにより、LBA-関連逆事象の緩和を含む。
【0025】
本発明の別の局面は、患者の具体的基準に基づくLBAの標的範囲の決定である。
【0026】
本発明の他の局面は、次の本発明の詳細な説明を読めば当業者には明らかであろう。
【0027】
詳細な説明及び現在の好ましい実施態様
本願の目的のために以下の定義を適用する。
【0028】
LBAは、ロイコトリエンB4アンタゴニスト、すなわち、ロイコトリエンB4(LTB4)活性を阻害する化合物である。LBA類の例は、2002年7月23日に発行された米国特許第6,423,744B1号明細書に見出される。これは、全体が本明細書に援用されている。アンタゴニスト活性は、ロイコトリエンB4の合成を阻害又はロイコトリエンB4受容体による阻害を介する。従って、LBAはLTB4合成阻害剤でも又はLTB4受容体アンタゴニストでもよく、好ましくは後者である。
【0029】
HMPは「高融点」を意味し、より低融点を有する異種の多型よりも高い沸点を有する、本発明の多型のための便利な表示として用いられる。
【0030】
LMPは「低沸点」を意味し、本発明のHMP多型よりも低い沸点を有する、公知の多型のための便利な表示として用いられる。
【0031】
立体異性体は、分子が、互いに結合する同一原子を有するが、これらの原子が間隙を介して整列する点で異なる、1組の異性体の内の1つである。これには、エナンチオマー、すなわち互いに鏡像であるが、互いに重ね合わせられない化合物を含む。
【0032】
1連続において、項目と共に選択的な「又は」の使用は、選択肢及び包括を含む意である、ことを理解されたい。従って、「抗腫瘍、抗ウイルス又は免疫刺激作用の維持」は、単独又は任意の組み合わせの維持を含む。
【0033】
本発明の化合物
本発明のLBAは、ロイコトリエンB4受容体によって介在される効果を阻害するものである。LBAは、受容体に直接作用することにより又はLTB4の合成を阻害することにより、好ましくは前者により、LTB4受容体によって介在される効果を阻害することができる。本発明のLBAは、下記式(I):
【0034】
【化1】

【0035】
[式中、
R1はプロピルを示し;
R2はメチルを示し;
R3はメチルを示し;
Wは(CH2)X(但し、xは3)を示し;
R4はベンゾピラン環の8位のプロピルを示し;
R5は水素原子を示し;
R6は水素原子を示し; 及び
AはCOOHを示す。]
で表される化合物である。
【0036】
化合物の名称は、(±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸であり、ベンゾピラン環の2位の不斉炭素に起因して存在する2つの立体異性体のラセミ混合物である。当該化合物は、約80℃〜82℃の融点を有し、従来特定されていない当該化合物の多型である。当該化合物は、本明細書において後で考察する特有の性質を示し、次の説明中、様々な点で、HMP LBAと称する。HMP LBAの赤外吸収スペクトルは、図6から分かるように、LMP LBAの赤外吸収スペクトルとは異なる。本発明の化合物の融点は、固体が標準大気圧において液体に変化する温度であり、粒子の高次規則的配列が液体を特徴付けるよりランダムな配列に変化する温度である。融点は、マニュアル観察から自動機器例えばBuchi(商標)融点/Range Apparatus、例えばB-540型又はB-545型までの様々な入手可能な技術を用いて、当業者によって測定することができる。融点測定における固有性は、個体間、その技術レベル及び使用する技術に見受けられる変更にすぎない。従って、本発明の化合物は約80℃〜82℃の融点によって容易に特定されるが、用語「約」は、当業者が、医薬分野における融点の測定に使用される異種の標準的方法及び機器を用いて、異なった個々の結果として認識する測定上の若干の変化を反映するために使用される。
【0037】
本発明における有用な化合物の製造
公知の化合物は、Djuric他により1989年12月26日に発行された米国特許第4,889,871号明細書、及びCohen他により1988年11月29日に発行された米国特許第4,788,214号明細書に記載の方法によって製造される。これらの特許は、参考として本明細書に全体が援用されている。1987年5月12日に発行された米国特許第4,665,203号明細書は、本発明の化合物の製造に用いられるいくつかの中間体の製造方法を開示する。当該特許も、参考として本明細書に援用されている。
【0038】
前記特許に記載の方法は、約65〜73℃(米国特許第4,889,871号明細書では、65〜68℃) (低融点多型又は「LMPP」)の範囲で融解する式(I)の生成物の多型を製造し、同時に、続く酢酸エチル及びヘキサンによる再結晶化、及び減圧乾燥は、80〜82℃(HMP LBA)で融解し特有のIRスペクトルを示す形態を確実に製造する。
【0039】
本発明の更なる局面は、上記化合物の製造方法である。広くは、当該方法は、出発物質である(±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2-カルボン酸を酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を約10℃未満に冷却し、攪拌しながら沈殿が生成するまでヘキサンを当該溶液に加え、当該沈殿を当該液体から分離し、及び当該沈殿原料を乾燥すること、を含む。
【0040】
本発明のHMP LBAを製造するために、公知のLMPPのみ(又はHMP LBAとの組み合わせ)は、好ましくは不活性気体中で、2成分を混合しながら酢酸エチル等の溶媒に溶解する。一般的に、混合は、約10℃〜約30℃のほぼ周囲温度で標準的処理方法を用いて、約100〜200回転/分(rpm)で攪拌することにより実行する。不活性気体は、非反応性気体、例えば窒素、アルゴン等であり、窒素が好ましい。LBAを溶解するために、十分量の酢酸エチルを使用する。大過剰の溶媒の使用は沈殿ステップを確実により困難にするため、当業者は過剰の溶媒の使用を避けたがる。例えば、30グラム(g)のLBAについて、約100ミリリットル(ml)の溶媒を使用すると十分に溶解するが、その溶媒量よりもおおよそ(例えば10%)の溶媒を使用することができる。特に有用な割合は、約33.4 gのLBA/100 ml溶媒である。一旦溶液が生ずると、周囲温度未満であるが、凝固する温度を越えない、例えば約10℃未満、好ましくは6℃に冷却する。温度は一旦下がると、その中ではLBAがほとんど溶解しない液体を加え、HMP LBAを沈殿させる。当該液体は好ましくはヘキサンであり、所望のHMP LBAの沈殿を誘導するために低温でゆっくりと加える。ヘキサンは、単一量又は複数量で加えてもよい。沈殿プロセスを促進するために、ヘキサンを酢酸エチルLBA溶液と混合したら直ちに予め調製したHMP LBAの種結晶を添加することができる。ヘキサンは好ましくは、温度及び混合、例えば攪拌が一定速度、例えば100〜200 rpm、好ましくは約140 rpmで維持される間、2段階で加える。第一段階では、酢酸エチルの量の約2倍の量を15〜30分間、例えば24分間に渡る期間に加える。第二段階では、大量のヘキサン、例えば第一段階で使用するヘキサン量の約1.5〜2.5倍、好ましくは第一段階で使用するヘキサン量の約2倍、を加える。沈殿が次第に生じ、例えばろ過によって回収する。沈殿温度をゆっくりと周囲温度、例えば約20℃にまで上げ、得られた沈殿を短時間、例えば約3分未満、好ましくは約10分以下、風乾し、次いで約2時間未満、例えば約1時間、減圧乾燥する(例えば0.7トール)。得られた原料は、次いで、好ましくは細末(0.1〜100 ミクロン(μM)径、好ましくは2〜40 μM、最も好ましくは5〜20 μM)に粉末化し、長時間例えば約72時間、減圧乾燥し(例えば0.7トール)、上記の周囲温度、例えば約40℃で約24時間以下、好ましくは18時間、乾燥する。このようにして、約80℃〜82℃の融点を有し、かつ上で考察した特有の性質を有するHMP LBAが得られる。
【0041】
溶解及び沈殿処理は、必要であれば1回以上反復することができる。一般的に、酢酸エチル対ヘキサンに対する固体量の比率は、ほぼ同じ比率が使用される乾燥処理も同様に繰り返すことができる。好ましくは、少なくとも1回の再結晶が採用される。
【0042】
悪性腫瘍、ウイルス症状及び免疫疾患を治療するための投与
本発明の別の局面は、悪性腫瘍、ウイルス症状又は免疫疾患を有するヒト対象における悪性腫瘍、ウイルス症状又は免疫疾患の治療方法である。当該方法は、IL-2の治療上有効量を本明細書に記載のHMP LBAと組み合わせて当該対象に投与して、IL-2の副作用を軽減することを含む。本方法により、当該対象に投与されるIL-2レベルは、HMP LBAを使用しない場合に投与されるレベルよりも高くなり、又はIL-2が投与される時間が長くなる。従って、本発明のHMP LBAの使用は、当該分野で公知である治療指数を越えて、IL-2の治療指数を改善する、すなわち本発明は利益-危険率を改善する。
【0043】
治療指数はそのほとんどの一般形態において利点である:危険率は、特定の治療又は治療法と同一の治療又は治療法に関連する危険性に対する、特定の治療又は治療法から得られる利益に関連する。幾分数学的には、治療指数は、逆事象を引き起こす用量が許容されないような重度の逆事象を引き起こす、有用な臨床的利益を提供する薬物と同一薬物の用量又は用量レベルに対する、有用な臨床的利益を提供する薬物の用量又は用量レベルとして計算することができる。これらの2用量又は用量レベルの比率は、「治療指数」として記載されてきた。更に、第三の有用な定義は、治療中のある種のインターベンションによって起こる標的危険性における変化に対する、標的利益における変化の比率である。インターベンションは、別の薬物もしくは薬物類の投与でも、又は薬物的もしくは外科的方法の実現、又はこれらの組み合わせでもよい。それでもなお、本明細書に記載の基本的概念を包含する他の定義が存在してもよい、ことを当業者は理解されたい。
【0044】
最も簡単には、利益が変化するが危険性が変化しない、又は危険性が変化するが利益が変化しない場合には、治療指数が変化する。しかしながら、おそらく、同一方向又は反対方向に及び類似の又は異なった強度で、危険性及び利益が同時に変化する。従って、変化の方向及び相対的強度は、治療指数に与える影響に関する決定因子となる。
【0045】
危険性及び利益における変化の可能性、及び治療指数に与える影響を以下の表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
しかしながら、危険性又は利益のいずれかに影響を与える任意のインターベンションの治療指数に対する影響を決定するために、危険性及び利益の方向及び強度における変化を決定することが不可欠である、ことに留意されたい。治療指数に対するインターベンションの影響に関する有用な説明は、危険性及び利益に対する影響を同時に知らせるものを除いて、なされ得ない。
【0048】
特定の治療的、薬物的又は外科的インターベンションの利用性に関する医学判断は全て、治療指数に与える治療的又はインターベンション影響に基づいてなされる。治療指数に関するこの信頼性は、明白又は暗黙であるが、医療判断(medical decision-making)では変わらない。我々は、本発明のLBA HMPの使用が、治療の利益を向上させ、同時に危険性を減少させることによってIL-2治療の治療的比率を改善するだろう、ことを見出した。
【0049】
ヒト組換えIL-2が特定の悪性腫瘍、ウイルス症状又は他の疾患の治療に有用である、ことが知られている。ヒト組換えIL-2は詳細に研究されているが、十分に特徴付けられたかつ有効で、十分に記録された抗新生物薬は、危険な場合があり、及び時には生命を脅かし又は致命的副作用を与える。最も深刻な副作用の1つは、VLSである。これは、全身及び実質的に全ての身体系、器官又は組織に影響を与えることができる。
【0050】
Chiron Therapeuticsによって提供される「パッケージ インサート」によれば、IL-2(PROLEUKIN(商標))は、約15,300ダルトンの分子量を有する高度に精製されたタンパク質である。化学名は、デス-アラニル-1、セリン-125ヒトインターロイキン-2である。IL-2、リンフォカインは、ヒトインターロイキン-2遺伝子の類縁体を含む、遺伝子的に設計されたE. coli株を用いて組換えDNA技術によって製造される。遺伝子工学技術はヒトIL-2遺伝子を改変するために使用されたが、得られた発現クローンは改変ヒトインターロイキン-2をコードする。この組換え体は、以下の点で、野生型インターロイキン-2とは相違する:
a) IL-2は、E. coliから得られるので、グリコシル化されない;
b) 当該分子はN-末端アラニンを有さない;当該アミノ酸のコドンは遺伝子工学法処理中に削除された;
c) 当該分子はアミノ酸位置125においてシステインに置換されるセリンを有する;これは、遺伝子工学法処理中に部位特異的操作によって実現された;及び
d) PROLEUKIN(商標)の凝集状態は、野生型インターロイキン-2のそれとは相違するようである。
【0051】
加えて、Chiron Therapeuticsは、特定のin vitroでの研究PROLEUKIN(商標)の性質を決定するために実行され、これらの性質は以下を含む:a) リンパ球有糸分裂生起の亢進及びインターロイキン-2依存性細胞株の長期培養の刺激;b) リンパ球細胞毒性の亢進;c) キラー細胞の誘導(リンフォカイン-活性化[LAK]及び天然[NK]活性);及び、d) インターフェロン-γ産生の誘導。in vivo研究では、IL-2は、用量依存性で、ネズミモデルにおいて複数の免疫学的効果を生じる。これらは以下を含む:a) 重度のリンパ球増加、好酸球増加及び血小板減少による細胞性免疫の活性化;b) 他のサイトカイン、例えば腫瘍壊死因子、インターロイキン-1及びγ-インターフェロンの産生;及びc) 腫瘍成長の阻害。加えて、先に述べたように、現在、インターロイキン-2は、潜在的に毒性でかつ感染性ロイコトリエンB4の産生を刺激することが示されている。IL-2の効果に関する膨大な知識量に関わらず、IL-2がヒトにおいてその抗腫瘍(及び毒性)効果を介在する正確なメカニズムは知られていない。
【0052】
一般的に、対象におけるIL-2の逆薬理学的効果は、IL-2応答疾患症状の対象の治療中又は治療後に起こるだろう。本方法は、本発明の他の局面と共に、その系にロイコトリエンB4受容体を有する対象の治療に有用である。これは、一般的に動物、例えば家畜及びペット、及び特にヒトを含む。従って、本発明は、全ての年齢のヒトの治療及び動物の治療での使用、例えば家畜使用を見出すだろう。本発明は、家畜、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ等の治療又は家庭のペット類、例えばイヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット等の治療に使用することができる。主な使用は、ヒトの治療である。
【0053】
IL-2は、悪性腫瘍すなわち癌、又はウイルス疾患例えばAIDS、又は患者の免疫系が不釣合いである又はそうでなければ異常である免疫疾患の治療の一部分として、ヒトに投与される。治療可能な症状の種類の例は、メルクマニュアルの最新版に見出すことができる。かかる治療において頻繁に見られる逆薬理学的効果は、血管透過性の亢進、例えば血管漏出症候群(VLS)である。逆薬理学的効果の兆候及び症候は、例えば、心血管系(昇圧要求性低血圧; 不整脈、心外膜液);肺系(鬱血、呼吸困難、肺水腫); 肝臓系(ビリルビン上昇、黄疸、腹水症);血液系(貧血、血小板減少、白血球減少);胃腸系(悪心、嘔吐、下痢、消化管出血);腎臓系(乏尿/尿閉、排尿機能の減退);皮膚系(掻痒、紅斑、発疹);筋骨格系(関節痛、筋肉痛);神経系(中枢又は末梢神経系不全、癲癇性発作);全身(発熱、疼痛、疲労、衰弱、局所又は全身性水腫、感染、体重増加、頭痛)である。本方法は、単位剤形と組み合わせてIL-2及びLBAを投与することにより、又はIL-2及びLBAは個別に、すなわちIL-2の投与前、投与中又は投与後にLBAを投与することにより、実行することができる。本発明のHMP LBAは、医学的に許容される投与経路、例えば経口、非経口(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔内)、経皮的、直腸的、吸入等、好ましくは非経口又は経口により、IL-2の投与中又は投与後に投与される。
【0054】
あるいは、本発明の別の局面は、悪性腫瘍、ウイルス症状又は免疫疾患を治療するためにIL-2を投与することに因る、IL-2の逆薬理学的効果を軽減する方法である。本方法は、IL-2のかかる逆薬理学的効果を軽減するために十分なレベル、IL-2と組み合わせて本発明のHMP LBAを投与することを含む。HMP LBA投与の効果的な量及び時間は、本明細書で後に考察され、IL-2治療の治療率の改善をもたらすだろう。
【0055】
本発明の別の局面は、同時にLBA治療の副作用を軽減しながら、IL-2治療を受ける又は受けるための準備をする対象のLBA治療の利益を亢進する方法である。本方法は、従来公知のLBA物質の代わりにIL-2と組み合わせて、本発明のHMP LBAの有効量を対象に投与することを含む。これは、LBA治療投与計画の治療指数の改善として見ることができる。
【0056】
HMP LBAの有効量は、対処によっていくらか変動するが、一般的に約0.1 mg〜約50 mg/kg体重/日の範囲である。好ましい範囲は、1〜40 mg/kg/日であり、最も好ましい範囲は、3〜25 mg/kg/日である。従って、70 kgの人では、本発明のHMP LBの約7〜3500 mg/日、好ましくは70〜2800 mg/日、最も好ましくは210〜1750 mg/日が投与される。これらの用量範囲はIL-2治療の治療率を改善するためにLBA投与について当業者に広範な指針を与えるものであるが、個々の患者に固有の範囲は、LBA、特に本発明のHMP LBAによる治療の利益を最大化するために最初に確立されることが好ましい。
【0057】
従って、本発明の別の局面は、悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患のためのIL-2治療に特定された特定のヒト患者への送達のために最適化されたLBA標的用量範囲を決定する方法であって、LBAの投与量がIL-2の治療率を改善する、方法である。本方法は、IL-1治療単独、次にLBAとの組み合わせに対する患者の反応の慎重な評価を含む。最初に、IL-2治療に対する患者の反応を決定する。これは、患者の受容レベルを決定するために、貼付指示書及び患者の生命兆候(例えば脈拍数、全身性血圧、呼吸数、中心体温及び本明細書で先に考察した他の要素)の評価に従うIL-2投与を必然的に伴う。次に、LBAは、少なくとも1 μg/mlの患者血漿レベルを達成するように投与される。LBA投与量が増やされる同時に、IL-2投与量が増加され、生命兆候が改善するまで当該IL-2が維持される。患者の生命兆候はIL-2及びLBAの副作用について更に監視される。このプロセスは、最大の利益が併用療法に見られるまで継続される。各患者は、LBAを投与することができる若干異なった標的用量範囲を有し、標的範囲は担当医師の評価によって変動してもよい。一旦、最適標的範囲が達成されると、IL-2及びLBAとの併用療法は、担当医師が投与を中止する好適な時期を決定するまで継続される。
【0058】
本発明の更に別の局面は、従来公知の治療方法の改良である。IL-2をLBAと組み合わせる、悪性腫瘍、ウイルス症状又は免疫疾患を有する対象の治療におけるIL-2の副作用を軽減する方法では、当該改良は、従来使用のLBAの代わりにHMP LBAの投与を含む。
【0059】
本発明の別の局面は、本発明のHMP LBAは好ましいが、本発明のHMP LBAの使用に依拠せず、代わりに、任意のLBAを使用することができる。本局面は、悪性腫瘍、ウイルス症状又は免疫疾患を有する対象における、悪性腫瘍、ウイルス症状又は免疫疾患の治療方法である。本方法は以下のステップを含む:
(1) 対象血漿中のLBAレベルを標的範囲内に維持するように対象にLBAを投与するステップ;
(2) それによって、(LBAと共に与えられるより高レベルIL-2の利益が、LBAなしのより低レベルIL-2で達成することができるよりも大きいように)IL-2が単独で与えられる場合に投与することができるレベルよりも高いレベルでIL-2の共投与を可能にするステップ;
(3) 標的範囲内にLBAを維持するようにLBA及びIL-2を投与し続けるステップ;及び
(4) 対象の生命兆候及び研究パラメーターを監視した後にLBA又はIL-2のいずれか、又は両方の用量の増加が是認されるならば、場合により、かかる用量を増やすステップ。当該局面に関しては、2002年7月23日に発行された米国特許第6,423,744 B1号明細書に記載された任意のLBA類が使用でき、当該特許は本明細書に参考として援用されている。本発明のHMP LBAは、本方法の使用、特にLBAの血漿レベルが約1 μg/ml〜約20 μg/ml、好ましく約2 μg/ml〜約16 μg/mlに維持される場合、には好ましい。対象のための通常の提案IL-2治療投与計画は、5日間連続で、少なくとも日に1回(典型的にはに日に3回)、IL-2の指示量を投与し、次いで約9日間はIL-2投与を中止し、更に次の連続5日間、少なくとも日に1回(典型的には日に3回)、IL-2投与を再開することである。LBAは、対象血漿中のLBAレベルを所望の範囲内に達成するように、IL-2の前に対象に投与される。LBAレベルは、最終IL-2用量が投与された後、24時間まで、最も好ましくは6〜12時間、維持される。IL-2の副作用(例えばVLS)が軽減されるか否かを決定するために、対象の生命兆候(例えば、心拍数、全身血圧、呼吸数及び中心体温)及び/又は研究試験(例えば、血中酸素レベル、腎臓機能、心臓機能等)が監視される。もしそうであるならば、IL-2由来の副作用の発生又は重度を全体的に増加することなく、IL-2治療由来の利益をより多く引き出す試みにおいて、対象に投与されるIL-2レベルは増加することができる。また、LBA投与の任意の副作用、例えば肝臓中のALTレベルが監視され、もしかかるレベルが低ければLBA量は場合により増加する。IL-2及びLBAでの治療の次の段階では、適切な場合、当該レベルは、一次症状、例えば免疫学的、腫瘍性又はウイルス疾患の成功した治療を助けるために増やされる。
【0060】
これは、あるいは、IL-2をLBAと組み合わせる、悪性腫瘍、ウイルス症状又は免疫疾患を有する対象の治療方法における改善として見ることができる。この改善は、LBAの対象血漿レベルを標的範囲内に維持することを含む。既に述べたように、LBA、例えば、化合物 (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2-カルボン酸、好ましくは80℃〜82℃の融点を有する化合物の多型、は有用である。
【0061】
本発明の医薬組成物
本発明の別の局面は、本発明のHMP LBAを薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物である。活性化合物量は、組成物の所望のサイズによって、約5重量%〜約95重量%で変動してもよい。残余は、組成物の所望の剤形の全体性を維持するために好適な量の賦形剤又は賦形剤類であろう。好ましくは、本発明のHMP LBAは、賦形剤と混合する前に、細末(約0.1〜約100 μM、好ましくは約2〜40 μM、最も好ましくは約5〜20 μM)にまず粉体化される。
【0062】
単位用量又は複数用量形態が考えられるが、それぞれ、特定の臨床場面で利点がある。単位用量は、所望効果(複数)を生じるように計算された規定の活性化合物量、例えばIL-2共投与の場合には、例えば単一錠剤又はカプセル剤、を含む。単一用量又は分割用量の複数回が所望の結果を達成するために必要とされる場合に、複数用量形態は、特に有用である。
【0063】
単位用量は、対象において過剰ロイコトリエンB4によって誘導されるがLBAの別の多型と比較して改善治療指数とは関連しない副作用を緩和するために十分な本発明のHMP LBA量を含み、及び当該治療を受ける対象に所望の用量を提供する量を含むだろう。本化合物は、経口(経腸)又非経口(筋肉内、静脈内、経皮的、腹腔内、皮下)投与に好適であるが、好ましくは経口的に投与される。好適な経口剤は、摂取可能剤、舌下錠剤、カプセル剤、キャプレット剤、エリキシル剤、シロップ剤、トローチ剤(trouche)、ウエハー剤、トローチ剤(lozenge)等を含む。一般的に、最も簡単な製剤は錠剤又はカプセル剤(個々に又は総合的に「経口剤形」と称される)である。好適な製剤を調合するために利用できる賦形剤に本化合物の性質を適合させる好適な製剤は、標準的製剤技術に従って調製される。錠剤又はカプセル剤は、約25〜約1200 mgのHMP LBA、好ましくは約50〜500 mg、最も好ましくは約200〜400 mgを含む。
【0064】
当該剤形はHMP LBAを迅速に送達することができ、又は徐放調製物でもある。HMP LBAは、硬カプセル剤又は軟カプセル剤中に包含することができ、錠剤に圧縮することができ;又は飲料、食品又は治療食に組み込むことができる。最終組成物及び調製物のパーセンテージは、当然のことながら、変動してもよく、一般的には、最終剤形、例えば錠剤の5〜95重量%の範囲でよい。かかる治療上有用な組成物中のLBA量は、好適な用量が得られる量である。本発明に従う好ましい組成物は、経口用量単位剤形が、50〜1000 mgの重さの用量単位中に、HMP LBAの約5〜約50重量%(% w)を含むように調製される。
【0065】
経口用量単位の好適製剤は以下を含む:結合剤、例えばトラガカント・ガム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン;甘味剤、例えばラクトース又はショ糖;崩壊剤、例えばコーンスターチ、アルギン酸等;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;又は、香料、例えばペパーミント、冬緑油等。様々な他の材料は、コーティングとして又は経口用量単位の物理的形状を修飾するために存在してもよい。経口用量単位は、セラック、糖類又はその両方で被覆することができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、LBA、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチル及びプロピルパラベン、色素及び香料を含んでもよい。使用される任意の材料は、薬学的に許容されかつ実質的に毒性がないことが必要である。有用な賦形剤の種類の詳細は、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」,Mack Printing Company, Easton, PA.の第19版に見出される。特に十分な考察については第91〜93章を参照されたい。
【0066】
上で指摘したように、本化合物は、非経口的、例えば静脈内、筋肉内、皮下又腹腔内に投与することができる。担体又は賦形剤もしくは賦形剤混合物は、溶剤又は分散媒体、例えば様々な極性又は非極性溶媒、その好適な混合物又は油剤でよい。本明細書で用いる「担体」又は「賦形剤」は、薬学的に許容される担体又は賦形剤を意味し、任意の及び全ての溶剤、分散剤又は媒体、コーティング剤(複数)、抗菌剤、等張剤/低張剤/高張剤、吸収-改変剤等を含む。医薬活性物質用のこのような物質及び薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の一般的媒体又は薬剤が当該活性成分と不適合であることを除いて、治療的組成物での使用が考慮される。更に、他の又は補助的活性成分も、最終組成物に組み込むことができる。非経口用量単位の投与量は、経口用量単位の0.1〜100%、好ましくは10〜100%、より好ましくは30〜100%、最も好ましくは50〜100%であろう。
【0067】
LBAの液剤又は懸濁剤は、好適な水性又は非水希釈剤、例えば水、グリコール、エタノール、グリセロール、ポリエチレングリコール、様々な油剤、及び/又はこれらの混合物、及び当業者に公知の他のもの、中で調製することができる。
【0068】
注射使用に好適な医薬形態は、殺菌液剤又は懸濁剤、分散剤、乳化剤及び殺菌粉剤を含む。最終形態は、製造及び保存条件下で安定でなければならない。更に、最終医薬形態は、汚染に対して保護されている必要があり、それ故、細菌又は菌類等の微生物の増殖を阻害することができなければならない。単一静脈内又は腹腔内用量を投与することができる。
【0069】
あるいは、ゆっくりと長期間の注入、又は複数回の短期間日常注入、典型的には、1〜8日間連続する注入が利用できる。交互の日又数日毎に1回用量も使用できる。
【0070】
殺菌注射液剤又は懸濁剤は、本化合物を必要な量で取り込むことによって調製され、必要であれば1以上の好適な溶剤へ取りこまれる所用粒度の化合物は、上記又は当業者に公知の他の成分に対し、必要なだけ加えることができる。殺菌注射液剤又は懸濁剤は、好適な溶剤中に、他の必要成分と共に、化合物を所用量で取り込むことにより調製される。次いで、殺菌方法、例えば濾過又は照射を行う。典型的には、分散剤は、分散媒体及び上記の所要の他の成分も含む殺菌ビヒクルへの化合物の取り込みによって製造される。任意の所要の成分が加えられる殺菌粉剤の場合には、好ましい方法は減圧乾燥又は凍結を含む。
【0071】
注射製剤を含む全ての場合に、最終形態は、上記のように、殺菌されていなければならず、また注射器具例えば中空針によって容易に通過できる必要がある。好適な粘度は、溶剤又は賦形剤の好適な選択によって達成及び維持することができる。更に、分子又は粒子コーティング剤例えばレシチンの使用、分散剤での粒子径の好適な選択、又は界面活性性を有する材料の使用を利用することができる。微生物の増殖の抑制又は阻害は、1以上の抗菌剤、例えばクロロブタノール、アスコルビン酸、パラベン、サーメロサール(thermerosal)等の添加によって達成することができる。等張性を変える薬剤、例えば糖類又は塩類を変更する薬剤を含むことも好ましい。
【0072】
以下の組成物は、約100 mg総重量のカプセル剤の代表例である:
HMP LBA 50 mg
ラクトース・一水和物, NF 45〜55 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース, USP 1.8〜2.2 mg
ラウリル硫酸ナトリウム, NF 0.45〜0.55 mg。
【0073】
製品
本発明の別の局面は、悪性腫瘍、ウイルス症状又は疾患を治療するためにIL-2と組み合わせる、IL-2治療可能な悪性腫瘍、ウイルス症状又は免疫疾患を有するヒト対象への本組成物の投与のための印刷指示書を付けた容器中に、本発明のHMP BAを含む医薬組成物を含む製品である。好ましくは、当該容器は、本明細書で前に考察した多数の単位投与量、及び投与組成物量は、前記の治療対象におけるIL-誘導逆薬理学的効果を軽減するために充分である。
【0074】
これまで本発明の種々の局面について述べてきたが、お分かりのように、本発明にはいくつかの利点がある。本発明のHMP LBAの使用は、ロイコトリエン阻害、期間短縮、効力及び/又はLBA治療のコストの効果を改善する。治療投与計画は簡略化することができる、研究用試験及び臨床試験の頻度又は強度も低くすることができる。副作用の監視は、患者への危険性がなく低い頻度で実行することができる。コストは削減できる。
【0075】
IL-2の治療指数の改善による本発明の多数の具体的利点もある。それは、IL-2からの副作用、特にVLSの危険性を増加させることなく、IL-2の高用量及びより効果的用量の投与を可能にする。従って、併用投薬計画(LBA+IL-2)の抗腫瘍効力はIL-2単独に比べて優れている。これは、集中治療に患者を供し、及び重度の肺水腫の場合に患者にレスピレータを付け、又は重度の不整脈又は鬱血性心疾患の場合に心臓又は冠状疾患集中治療室に患者を入れ、又は腎臓破壊の場合に透析プロトコールに患者を供する必要性を減少させ又は防ぐ。それは、集中看護治療、又は支持療法又はICU又はCCUの必要性を減少させる。IL-2への患者の応答を監視するため及びIL-2関連逆事象を緩和するために必要な治療的インターベンションの成功を決定するために必要な診断試験を減少させる。それは、特定の事象が別の薬剤よりもIL-2によって引き起こされる、ことを証明するために必要とされる診断試験を減少させる。それは、IL-2誘導逆事象、特にVLSと関連する事象を診断又は治療することに関連するコストを減少させる。それは、IL-2の活性を維持又は亢進する(又は、IL-2活性の任意の減少よりもIL-2の逆事象を最小に減少させる)。
【0076】
本明細書に記載の全ての特許、刊行物及び特許出願は、各々の特許、刊行物又は特許出願が参考として援用されるように具体的にかつ個別に示されるのと同程度に、参考として本明細書に援用される。
【実施例】
【0077】
実施例1
本実施例は、米国特許第4,889,871号明細書の実施例1の再製造(式を含まない)であり、低融点化合物(±)-の製造方法を記載する。
(a) 493 mgのメチル (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2-カルボン酸を、276 mgの無水炭酸カリウム及び282 mgのヨウ化メチルを含む25 mlのアセトンに加えた。混合物を約24時間リフラックスし、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出物を乾燥し、溶媒を減圧下で除き、残渣のオイルをシリカゲル上で40/60の酢酸エチル/へキサンの混合物によりクロマトグラフィーに付し、純粋なメチルエーテル、メチル 7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2-カルボン酸を得た。
(b) メチルエーテル(340 mg)を水酸化リチウム(0.7 mlの2N LiOH水溶液)を含むメタノール(5 ml)に溶解した。混合物を室温で終夜攪拌し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル及び2N HClに懸濁し、有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄した。溶媒を減圧留去し、粗酸を得た。この原料を、溶出液として酢酸エチル/へキサン/酢酸(40: 60: 0.5)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。純粋生成物を酢酸エチル/へキサンから再結晶し、200 mgの7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2-カルボン酸、融点65〜68℃を得た。
元素分析:分析値: C 69. 22, H 7.53;理論値: C 69.40, H 7.49。
NMR(CDCl3)は83.75に-OCH3を示した。
【0078】
実施例2
本方法は、本発明のHMP LBAの製造方法を示す。
【0079】
20.7 gの例えば実施例1の原料を製造し、酢酸エチル(62 mL)に室温、窒素下で140 rpmで攪拌しながら溶解した。得られた溶液を氷冷浴で約6℃に冷却した。約125mLのヘキサンを24分間で当該溶液に加えた。この時点で、沈殿化を助けるために、予め製造しておいた純粋HMPの数個の種結晶を加えるのが有益である。一定温度で約250 mlのヘキサンを1時間で加え、140 rpmで攪拌し続けた。沈殿が徐々に生成した。白色固体を濾過によって集め、20℃までゆっくりと昇温し、10分間風乾し、次いで1時間減圧乾燥した(0.7トール)。当該固体の融点は約80〜82℃であった。
【0080】
溶解処理を酢酸エチル(53 mL)、ヘキサン(105 mL)、及び同一の温度及び攪拌下での種結晶を用いて繰り返した。次いで、得られた固体を室温まで暖め、10分間風乾し、減圧乾燥し、第二再結晶固体を得た。
【0081】
処理を酢酸エチル(40 mL)及びヘキサン(160 mL)及び前の1段階昇温及び2段階乾燥を用いて繰り返した。
【0082】
3回再結晶固体を細末に粉体化し、72時間減圧乾燥し(0.7トール)、次いで18時間40℃で乾燥した。
【0083】
直ぐ前に記載の最後野72-時間及び18-時間乾燥時間を本発明のHMPLBAを得るための各再結晶サイクルの最後に用いた。
【0084】
実施例3
pH作用による式Iの化合物のLMP体及びHMP体の溶解
式(I)のLBAのLMP体及びHMP体を各々実施例1、2に記載の方法に従った製造した。複数の100 mLの蒸留水アリコートの各々のpHを1.2〜7.5の範囲内に調整した。10 mgのLMP体又はHMP体は、乳棒及びすり鉢で細かく粉体化し、別個のアリコート中に加え、37℃で15分間攪拌した。LMP体及びHMP体の溶解性を各pHで測定し、全パーセンテージで表わした。曲線下の面積(AUC)を、試験したpH値の範囲で計算した。縦軸値は%溶解を示し、横軸値はpH単位を示し、AUC単位は生成物の%溶解時間pH単位、又は「% log[H3+]」を示す。結果を以下の表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
pH範囲でのLMPのAUCは284% pH単位であり、HMPのAUCは163% pH単位であった。これらのデータは、多型の溶解における任意の相違がpHによるものであることをそれ自体示すものではない。データは、HMP LBA体が、腸管を通過する間、LMP化合物よりも幾分容易に固体を維持することができる、という見解と一致する。これらのデータは、pHが胃及び中央の十二指腸よりも実質的にアルカリ性である小腸において吸収が起こる、という見解とも一致する。しかしながら、かなりのHMPは、LMP体の場合よりも腸管末端でおそらく吸収される。
【0087】
実施例4
ラットにおける懸濁液及び溶液の薬物動力学
大人の雄性Munich-Wistarラット(250 g, Charles River Laboratories)に、HMP又はLMP LBAのいずれかのポリエチレングリコール400懸濁液を100 mg/kg又は100 mg/kg HMP体及びLMP体の相当量のpH 7.5の溶液で、チューブ栄養によって与えた。非コンパートメント薬物動力学を測定し、結果を表3に示す。
【0088】
【表3】

【0089】
(固体)LMP又はHMPが、既に完全に溶解された比較薬物量よりも著しくよく吸収されることを、これらのデータは示唆する。また、データは、HMP体がLMP体よりも幾分完全にかつ幾分ゆっくりと吸収されることを示す。
【0090】
実施例5
ヒトの肝細胞毒性に与えるLMP LBA及びHMP LBAの効果
18歳〜70歳のヒト対象に、LMP LBA又はHMP LBA体のいずれかを含む単一カプセル剤を毎8時間、与えた。薬物は細末として製造し、20/80重量%/重量%の薬物/賦形剤として混合した。賦形剤は、同重量のラクトース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから成る。投薬の意図は、安全性及び受容性に対する各LBAの高用量の影響を試験することであった。完全血球算定、化学パネル20、尿分析及び心電図(ECG)等の標準的研究パラメーターを測定した。研究試験の測定は、基準線、1週後及び投薬中止から1週後に測定したECGを除いて毎日行った。肝機能試験を除いて安全性プロファイルに相違は認められなかった。
【0091】
肝臓は薬物代謝に中心的役割を果たすので、肝機能に対する薬物の影響は考虜すべき重要な影響である。肝臓に対して薬物が有する副作用の指標は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の基準線からのピーク変化である。一般的に、薬物が対象に投与され、ALTが顕著に増加するならば、その薬物は肝臓毒性であると言うことができる。ALTの顕著な増加は一般的に2より大きい増加である。ALT結果を表4に示す。
【0092】
【表4】

【0093】
LMP LBAの場合には、アラニンアミノトランスフェラーゼレベルの逆変化のため、6対象中6対象が60及び150 mg/日の投薬を取り止めた。対照的に、驚くべきことに、HMP LBAでは、過剰な肝細胞毒性を示すことなく、著しく高用量、すなわち、5日間で最高900 mg/日又は4500 mg用量を投与することができた。150 mgで最高連続14日間(総標的用量は2100 mg)、毎日投与したLMP体が肝細胞毒性により対象に十分に受容されなかった、ことを我々は観察した。対照的に、HMP体及び連続投薬の使用の場合には(5日間、HMP LBA、9日間は曝露なし、次いで5日間、再度HMPLBA)、総曝露量は9000 mg LBAという事実にもかかわらず、受容性は改善された。本発明のLMP LBA及びHMP LBA間の予想外かつ重要な相違のため、HMP LBAは、IL-2応答疾患の治療率を改善するために、高レベルでかつ異なった投与計画で使用することができる。
【0094】
我々は、HMP LBAを「毒性減弱」と言う。
【0095】
実施例6
本発明のHMP LBAを表5に記載の成分と共に調合した。
【0096】
【表5】

【0097】
実施例7
50 mgカプセル剤に関しては、以下の表に示すように約53 mgの賦形剤を含む高濃度製剤を使用した。約50 mgカプセル剤の凡その総重量は、カプセルシェルの重量を含まないと103 mgである。
【0098】
【表6】

【0099】
本発明の組成物の上記50 mgカプセル剤は、25℃及び60%相対湿度(RH)、及び40℃及び75% RHの試験では安定であった。これらの安定性試験の結果を表7A及び7B(25℃/60% RH)、及び8A及び8B(40℃/75% RH)に示す。いくつかのデータの図解には、図7及び8を参照されたい。
【0100】
【表7】

【0101】
【表8】

【0102】
【表9】

【0103】
【表10】

【0104】
実施例8
一連の試験は、本発明のHMP LBAのin vitro及びin vivoでの薬理学的特性を決定するために行った。これらの試験結果の概要を以下に示す。
【0105】
In Vitro薬理学
ヒト好中球へのLTB4結合阻害
IC50 = 0.3 μM
LTB4走化性阻害
範囲 = 0.3〜3.0 μM
LTB4-刺激臍状血管内皮細胞へのヒト好中球接着阻害
範囲 = 0.3〜1.0 μM
LTB4-誘導好中球顆粒化阻害
範囲= 1〜3 μM
LTB4合成阻害
IC50= 2.1 μM
LTA4のLTB4への変換阻害
IC50 = 20 μM
【0106】
In Vivo薬理学
ギニーピッグにおけるLTB4走化性阻害
ED50 = 0.6 mg/kg i. g.
ギニーピッグにおける12(R)-HETE阻害
ED50 = 20 mg/kg i. g.
ラット及びギニーピッグにおける酢酸結腸炎症阻害
ED50 = 20 mg/kg i. g.
ギニーピッグ耳におけるカルシウムイオノフォア真皮炎症阻害
ED50 = 0.7 mg/耳
【0107】
これらのin vitro及びin vivoデータは、好ましい化合物の効力及び選択性を認めさせるものであり、特に軽減すなわち、IL-2の望ましくない効果の緩和に関連する。これらのデータは、IL-2の投与又は他の方法によって最初に誘導されるロイコトリエンB4介在応答、例えばVLSが、好ましい化合物によって鈍化される、ことを確立するのに特に関連する。当該データは、公知のLMP LBAに見られるデータと一致する。本発明のHMP LBA及び公知のLMP LBAに関し、本化合物を溶解後に当該化合物の薬理学的特性を測定した。HMP LBAの薬理学的特性はLMP LBAに比較して変化しないが、活性の程度及び時間は生物学的利用能における吸収の相違によって異なる。
【0108】
実施例9
本実施例は、本発明のHMP LBA化合物が、投与することができかつ十分に受容されるIL-2の抗腫瘍用量数を増加させるためにどのようにヒトに投与するかと同時に、IL-2の増加用量に典型的に関連するIL-2-誘導逆事象における増加をどのように抑制するか、を説明する。
【0109】
試験材料
薬物ロット#BA901由来のHMP LBA化合物(実施例2の方法に従って調製)を、BioMedicines, Inc製の25又は50 mgカプセル剤 Batch #99G111から入手した。各硬ゼラチンカプセル剤は、25又は50 mg HMP LBAのいずれかに加えて、賦形剤、例えば含水ラクトースNF; ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910, 6 cps USP; ラウリル硫酸ナトリウムNF; 精製水, USP; 及び塩化ナトリウムを含んだ。
【0110】
患者
次の基準を満たす患者は、LBA及びIL-2による治療に望ましかった:
・18歳以上の男女
・病理学的に確認された腎細胞癌
・米国東部癌治療協同研究グループ(ECOG)一般状態0又は1、及び12週以上の予測推定寿命
・女性に関しては、外科手術、照射又は月経閉鎖によって最終的に終了した出産能力、又は承認避妊方法(IUD、経口避妊薬又はダブルバリア装置)の使用により低下した出産能力
・妊娠能力のある女性に関しては、Biomed 101療法の開始前の7日間内の、陰性血清ベータ-HCG妊娠試験。
【0111】
次の基準を満たす患者はLBAによる治療には不適格である:
・以下の歴史:
・重度の神経不全、例えば発作、無抑制中枢神経全身性転移、又は他の重度の神経疾患の臨床兆候
・活性消化管出血
・脳障害を含む肝不全兆候
・中度又は重度の冠動脈疾患の歴史(NYHAクラス3又は4)
・腎不全(血清クレアチン> 2.0 mg/dL)
・標準限界の2.5倍を越える、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ又は血清ビリルビンレベル
・ヘモグロビン <9 g/dL
・血小板100,000/mm3未満の血小板算定。
【0112】
プロトコール
PROLEUKIN(商標)IL-2を添付指示書に従って患者に投与した(すなわち、受容されるように、毎8時間、600,000 IU/kg)。HMP LBA化合物(実施例2で調製)を、まずIL-2の第一投薬の8時間前にIL-2投薬しながら8時間毎に、及びIL-2の最終投与8時間後に再度1回、患者に経口投与した。典型的には、IL-2が5日間又は治療コースの間、総14回用量を日に3回、投与する計画であった。従って、LA化合物の16用量をこの同一の5日間中、投与した。[IL-2誘導副作用が存在する事象において、治療にあたる医師は、典型的には、次の1以上のIL-2用量を投与しないでおく。しかしながら、このような例において、HMP LBA化合物による投薬は継続する。] 典型的には、IL-2を投与せず、次いで治療の第二コースを投与する9日間の休止期間が存在する。これらの2つのコースは、1サイクルのIL-を構成する。追加のサイクルは、患者による治療への応答及び受容により、毎2又は3ケ月、投与することができる。
【0113】
治療医師は、通常、IL-2の抗腫瘍効果を最大にするための試みにおいて、IL-2の最大許容用量を指示する。従って、投与することができるIL-2の用量数は、IL-2受容の最良の指標を構成する。応答率は、腫瘍収縮又は消失によって測定するが、抗腫瘍活性の指標である。
【0114】
治療期間中、以下の患者及び研究パラメーターを測定した:
1. 脈拍数及び呼吸数、体温、血圧、体重;総合健康診断の結果
2. 完全血球算定(ヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球及び差、血小板)
3. 肝酵素、例えばアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニントランスフェラーゼ(ALT)
4. クレアチニン及び血中尿素窒素、及び
5. 他の試験、例えば血液ガス、カルシウム、マグネシウム、アルブミン、総タンパク質、ビリルビン(総量、直接量、間接量)、5'-ヌクレオチダーゼ、アルカリオホスファターゼ、コレステロール等。
【0115】
加えて、IL-2は、他の試験又はインターベンション、例えばコンピュータ断層撮影、核磁気共鳴映像法、超音波診断、X-線、コントラスト促進法、電気心拍記録法、脳波検査、体腔からの体液の吸引、組織又は器官の生検、及び侵襲的方法、例えば血液の透析、酸素補給又は機械的換気装置、血圧を維持するための昇温剤の投与など、を必要とする多数の重大な副作用を引き起こす。従って、副作用には留意し、インターベンションを監視しかつ記録する。
【0116】
重要なことは、IL-2の用量数、HMP LBA化合物の用量レベルを記録し、HMP LBA化合物の血中レベルを測定し、これらのパラメーターを互いに、及び顕著な事象、例えば治療に対する応答又は副作用に対する応答及びこれらの両方に対する応答に関連付ける、ことである。
【0117】
結果:転移性腎癌の患者における非盲検投与量段階的臨床試験において、IL-2及びHMP LBA化合物を62対象に共投与した。IL-2の予定投与計画は、5日間で総14用量を日に3回、次いでIL-2無しで9日間、そして5日間、最初の14用量を繰り返えした。IL-2の用量は、毎8時間に、静脈的に投与する600,000 IU/kgであった。患者がIL-2を受容しなかった場合には、予定用量を控えた。IL-2用量は減らさなかった。HMP LBA用量をIL-2の各予定用量の1時間前に経口投与し、(各5日間IL-2投薬期間中の総15用量のHMP LBAに関する)最終予定用量8時間に再度、経口投与した。IL-2投薬を投与しても又は控えても、HMP LBA投薬を継続した。様々な年齢の男女を試験した(表5)。
【0118】
【表11】

【0119】
HMP LBA化合物はよく受容されたが、最大受容用量は900 mg/日には届かなかった。血漿中のLA濃度は、用量比例的に直線的に上昇した((p<0.02)。
【0120】
HMP LBAがLMPに比べて毒性減弱であるため、HMP LBAの用量及び血漿レベルは実質的に上昇し、及び最も重要な結果として、受容できるIL-2の用量数も上昇した(各々、図2、p<0.05及び図3、p<0.03)。1 μg/mLの過剰及び最高10 μg/mLのHMP LBA化合物の血漿レベルは、十分受容されるものであり、及びHMP LBAの高血漿レベルにより良好に受容するそのようなIL-2投薬と共に、投与される大多数のIL-2用量を許容する点で効果的であった。
【0121】
典型的には、医師は、抗腫瘍利益を最大にする試みにおいて、最大受容レベルに対してIL-2用量を増加させるだろう。結果として、IL-2誘導重度副作用の発生及び頻度がIL-2用量に従って急に増加する、ことが通常、観察された。しかしながら、IL-2への全体的曝露が増加するにつれて、本発明のHMP LBAの共投与中に、IL-2誘導重度逆臨床的事象の頻度が実際に顕著に減少した(図4)。250 mg/日未満のHMP LBA用量では、重度のIL-2事象頻度が35患者で観察され(38%)、一方、250 mg/日以上の用量では、頻度はわずか5/27に減少した(19%)。
【0122】
我々は、IL-2による治療に対する応答速度が、LBA治療の使用によるIL-2誘導逆事象の抑制によって減少されない、ことも観察した。転移性腎細胞癌の患者において、目的の応答率は、IL-2による単一治療コース後には10〜15%であった。我々は、これらの比率が、本発明によって可能になる安全性の向上によって達成されるIL-2曝露における更なる増加と共に、維持され又は増加することを期待する。
【0123】
HMP LBA血漿レベルの測定及び約1〜20 μg/mL、好ましくは2〜16 μg/mLのHMP LBAレベルの維持は、IL-2を受ける患者の治療を改善するだろう。HMP LBAの用量は、標的血漿レベルを維持するために患者の症状又は治療変更によって変動されるべきである。
【0124】
本発明をこれまで十分に記載してきたが、多くの変更及び修飾が添付クレームの意図又は範囲を逸脱することなくなされることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1は、IL-2投与による動脈血の低酸化の抑制に与える、本発明において有用な化合物の効果を示すin vivoでの比較結果を示す。
【図2】図2は、本発明に有用なLBA化合物の用量に関連する転移性腎細胞癌の患者に安全に投与することができるIL-2の投与数を示す。LBA血漿レベルが増加するにつれて、良好に受容されるILK-2投与量数も増加する((p<0.05)。
【図3】図3は、本発明に有用なLBA化合物の血漿レベルに関連する転移性腎細胞癌の患者に安全に投与することができるIL-2の投与数を示す。LBA血漿レベルが増加するにつれて、良好に受容されるILK-2投与量数も増加する((p<0.03)。
【図4】図4は、本発明に有用なロイコトリエンB4アンタゴニストの用量に関連するIL-2への曝露によって引き起こされる臨床的に重度の逆事象数を示す。LBA用量が上昇するにつれて、良好に受容されるIL-2投与量数が増える。
【図5】図5は、本発明の高融点多型の赤外線スペクトルを示す。
【図6】図6は、本発明の高融点化合物及び公知の低融点化合物の赤外スペクトルの比較を示す。
【図7】図7は、25 mgカプセル剤に調合された本発明の化合物の12月の安定性データを示す。
【図8】図8は、50mgカプセル剤に調合された本発明の化合物の6月及び12月の安定性データを示す。
【図9】図9は、公知の低融点多型(±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2-カルボン酸の顕微鏡写真を示す。これは、BIOMED 101 LMPとして図案化される。
【図10】図10は、本発明の従来未知の高融点LBAの顕微鏡写真を示す。これは、BIOMED 101 HMPとして図案化され、図9の図に示す化学名と同一の化学名を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患の症状を有する対象における悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患の治療方法であって、当該方法が、
(a) ロイコトリエンB4アンタゴニスト(LBA)を当該対象に投与して、当該対象の血漿中のLBAレベルを対象範囲内に維持するステップ;
(b) LBA非存在下に投与されるIL-2について当該対象により受容することができる投与量以上のレベルでIL-2を同時投与するステップ;
(c) LBA及びIL-2を投与し続けて、LBAを個々の標的範囲内に維持するステップ;及び
(d) 当該対象の生命兆候及び/又は研究パラメーターを監視した後に、LBA又はIL-2のいずれか、又はそれらの両方の投与量の増加が是認されるならば、場合により、かかる投与量を増加するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記LBAが、化合物 (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記LBAが、約80℃〜82℃の融点を有する化合物の多型である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記化合物の前記血漿レベルが、約1 μg/mL〜約20 μg/mLに維持される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記化合物の前記血漿レベルが、約2 μg/mL〜約16 μg/mLに維持される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記化合物の前記血漿レベルが、約3 μg/mL〜約9 μg/mLに維持される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
IL-2の前記対象へ投与するための治療サイクルが、5日間に少なくとも1回/日、IL-2を投与し、次の9日間はIL-2投与を中止し、次の5日間はIL-2投与を再開することである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記対象の血漿中のLBAレベルを所望の範囲内に確立するために、IL-2を投与する前に前記対象に前記LBAが投与される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
患者の血中のLBAレベルが所望の範囲内に維持されるように、IL-2の最終用量が投与された後に前記LBAが投与される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
IL-2の副作用を治療中に監視し、かつ当該副作用が減少する場合に、前記対象へのIL-2の投与量を次の治療サイクルのために増加し、場合により、HMP LBAの血漿レベルを増加する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記副作用が血管漏出である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記LBAを投与する前に、前記化合物を約0.1 μm〜約100 μmの範囲の粒子サイズを有する粉体に縮小する、請求項3記載の方法。
【請求項13】
悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患を有する対象をロイコトリエンB4アゴニスト(「LBA」)と組み合わせてIL-2で治療する方法において、当該悪性腫瘍又はウイルスもしくは免疫疾患のIL-2治療中に、LBAの対象血漿レベルを標的範囲内に維持することを含む、前記方法。
【請求項14】
前記対象に投与される前記LBAが、化合物 (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プイロピル-2H-1-ベンゾフラン-2-カルボン酸である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記LBAが、約80℃〜82℃の融点を有する化合物の多型である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記化合物の前記血漿レベルが、約1 μg/mL〜約20 μg/mLに維持される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記化合物の前記血漿レベルが、約1 μg/mL〜約16 μg/mLに維持される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記化合物の前記血漿レベルが、約2 μg/mL〜約16 μg/mLに維持される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
IL-2の前記対象への投与のための治療スケジュールが、5日間少なくとも1回/日でIL-2を投与し、次の9日間はIL-2の投与を中止し、その後、次の5日間はIL-2投与を再開することである、請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記対象の血漿中のLBAレベルを所望の範囲内に確立するために、IL-2を投与する前に前記対象に前記LBAを投与する、請求項13記載の方法。
【請求項21】
患者の血中のLBAレベルが所望の範囲に維持されるように、IL-2の最終用量を投与した後に前記LBAを投与する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記LBAを断続的に投与する、請求項13記載の方法。
【請求項23】
前記断続的投与が、IL-2投薬が始まる前の72時間からIL-2投薬の開始後8時間までの期間内のLBA開始による投薬、及びIL-2投薬が終了する前の24時間からIL-2投薬の終了後2週間までの期間内の終了による投薬を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記断続的投与が、ほぼ同期間の2サイクル内にLBAを投与し、当該LBA投与期間中、2LBAサイクル内に約1〜2回の無LBA期間を有することを含む、請求項22記載の方法。
【請求項25】
各LBAサイクルの長さが、先のIL-2サイクルプラスマイナス1日の長さと同一である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
断続的投薬によって与えるLBAの総投与量が、連続的又は持続的投与により与える時に安全に投与することができる同量のLBAの投与量よりも多い、請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記LBAサイクルが3〜10日である、請求項24記載の方法。
【請求項28】
IL-2の前記副作用を治療中に監視し、かつ当該副作用が減少する場合に、当該対象へのIL-2の投与量を次の治療サイクルのために増加し、場合により、HMP LBAの血漿レベルを増加する、請求項13記載の方法。
【請求項29】
前記副作用が血管漏出である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
約80℃〜82℃の融点を示す、化合物 (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾフラン-2-カルボン酸。
【請求項31】
約0.1 μm〜約100 μmの粒子サイズを有する粉体である、請求項30記載の化合物。
【請求項32】
悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患のIL-2治療を受けるヒトへのIL-2投与の副作用を緩和する方法であって、IL-2の治療率を改善するために十分な量及び時間、請求項30記載の化合物をヒトに投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
請求項30記載の化合物を、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項34】
請求項30記載の化合物の約50 mg〜約500 mgを含む単位剤形である、請求項31記載の組成物。
【請求項35】
前記剤形が、前記化合物の約200 mg〜約400 mgを含む、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
前記化合物が、約0.1 μm〜約100 μmの粒子サイズの粉体である、請求項35記載の組成物。
【請求項37】
悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患を治療するために、IL-2で治療可能な悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患を有するヒト対象にIL-2と組み合わせて前記医薬組成物を投与するための印刷指示書が付いた容器内に請求項30記載の医薬組成物を含む製品。
【請求項38】
前記指示書が、
(a)前記対象血漿中の前記化合物レベルを一定範囲内に維持するように、前記対象に前記医薬組成物を投与するステップ;
(b) IL-2単独用に提言される投与量よりも高いレベルでIL-2を共投与するステップ;
(c) 前記化合物を前記範囲内に維持するように、前記医薬組成物及びIL-2を投与し続けるステップ;及び
(d) 当該対象の生命兆候を監視した後に、前記医薬組成物及びIL-2の投与量の増加が是認されるならば、場合により、かかる投与量を増加するステップ
を含む方法を記載する、請求項37記載の製品。
【請求項39】
前記指示書が、前記化合物の前記血漿レベルが約 1μg/mL〜約20 μg/mLに維持される、ことを示す、請求項38記載の製品。
【請求項40】
前記指示書が、前記化合物の前記血漿レベルが約 2μg/mL〜約16 μg/mLに維持される、ことを示す、請求項38記載の製品。
【請求項41】
前記指示書が、前記化合物の前記血漿レベルが約 3μg/mL〜約9 μg/mLに維持される、ことを示す、請求項5記載の製品。
【請求項42】
IL-2の前記対象への投与のための前記指示書が、5日間少なくとも1回/日でIL-2を投与し、次の9日間はIL-2の投与を中止し、その後、次の5日間はIL-2投与を再開する、ことを示す、請求項38記載の方法。
【請求項43】
前記指示書が、所望の範囲内で前記対象血漿中の前記化合物レベルを確立するために、前記医薬組成物がIL-2を投与する前に前記対象に投与する、ことを示す、請求項38記載の製品。
【請求項44】
前記指示書が、患者の血中の前記化合物レベルが所望の範囲内に維持されるように、IL-2の最終投与量後に前記組成物を投与する、ことを示す、請求項43記載の製品。
【請求項45】
請求項30記載の化合物を薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項46】
前記化合物が、約0.1 μm〜約100 μmの粒子サイズを有する粉体である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記組成物により単位剤形を製造する方法を含む、請求項45記載の方法。
【請求項48】
出発原料 (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸を酢酸エチルに溶解し、
得られた溶液を10℃未満で冷却し、
沈殿が形成するまで攪拌しながら当該溶液にヘキサンを加え、
当該溶液から当該沈殿を分離し、及び
当該沈殿原料を乾燥する
ことを含む、請求項30記載の化合物の製造方法。
【請求項49】
予め生成した請求項30記載の化合物の種結晶を、前記出発原料、酢酸エチル及びヘキサンの混合物に加える、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記沈殿原料を約20℃〜約40℃で72時間まで乾燥する、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記乾燥原料を酢酸エチルに溶解し、当該溶液を約10℃未満に冷却し、沈殿が形成するまでヘキサンと混合し、得られた沈殿を当該溶液から分離し、及び乾燥する、請求項48記載の方法。
【請求項52】
請求項48の前記ステップを反復する、請求項51記載の方法。
【請求項53】
ロイコトリエンB4アンタゴニスト(「LBA」)と組み合わせてIL-2により悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患を有する患者の治療の有効性の検定方法であって、LBA濃度を決定するために、当該患者のLBAの血漿レベルを監視すること、及び当該LBA濃度が一定範囲内に維持されることを確実にするために、当該患者へのLBA投与量を調整すること、を含む、前記方法。
【請求項54】
前記LBAが、化合物 (±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]-3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記LBAが、約80℃〜82℃の融点を有する化合物の多型である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記化合物の前記血漿レベルが、約1 μg/mL〜約20 μg/mLに維持される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記化合物の前記血漿レベルが、約2 μg/mL〜約16 μg/mLに維持される、請求項46記載の方法。
【請求項58】
前記化合物の前記血漿レベルが、約3 μg/mL〜約9 μg/mLに維持される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
IL-2をLBA(±)-7-[3-(4-アセチル-3-メトキシ-2-プロピルフェノキシ)プロポキシ]3,4-ジヒドロ-8-プロピル-2H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸と組み合わせて用いる、悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患を治療する方法におけるロイコトリエンB4受容体アゴニスト(「LBA」)関連逆事象の緩和方法であって、約80℃〜82℃の融点のLBAの特定の多型を用いることを含む、前記方法。
【請求項60】
悪性腫瘍、ウイルス疾患又は免疫疾患のためにIL-2治療を受けるヒトに対するIL-2投与の副作用の緩和方法であって、IL-2の治療率を改善するために十分な量及び時間、請求項30記載の化合物を当該ヒトに投与することを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−500224(P2007−500224A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533302(P2006−533302)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/016067
【国際公開番号】WO2004/108077
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503130459)インターシア セラピューティクス,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】