説明

IMSネットワークにおけるオフライン課金のためのユーザ機器タイムスタンプ

IMSネットワーク(104)においてオフライン課金を提供する通信ネットワーク(100)および関連する方法を開示する。こうした方法の1つは、呼に関するコール・シグナリングを、その呼に関するユーザ機器(120)にサービス提供するアクセス・ネットワーク(102)から受信することを含む。コール・シグナリングは、アクセス・ネットワーク(102)用のアクセス・ネットワーク識別子を含む。この方法は、アクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を識別することをさらに含む。この方法は、位置情報に基づいてユーザ機器(120)のローカル時間を判定することをさらに含む。この方法は、呼に関する課金メッセージを生成すること、およびユーザ機器(120)のローカル時間に基づいて、課金メッセージにタイムスタンプを挿入することをさらに含む。課金メッセージ中のタイムスタンプは、変動料金制を可能にするための、ユーザ機器(120)のローカル時間を料金請求システム(114)に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信の分野に関し、詳細には、IMSネットワークにおける改良型オフライン課金を提供するための、課金メッセージへのユーザ機器のタイムスタンプの挿入に関する。
【背景技術】
【0002】
好評を博している通信ネットワークの1タイプとして、IPマルチメディア・サブシステムIMSネットワークがある。第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)または3GPP2で記載されているように、IMSは、集中型ネットワーク用のアクセス非依存ネットワーク・アーキテクチャを有する共通コア・ネットワークを提供する。サービス・プロバイダは、このアーキテクチャを、次世代ネットワークの発展のために受け入れている。IMSアーキテクチャは、インターネット・プロトコルIPネットワークを介して携帯電話加入者にマルチメディア・サービスを提供するために、3GPPによって最初に定義された。というのは、IPネットワークが、映像、音声、およびデータを伝送するための、コストを最も節約するベアラ・ネットワークとなったからである。IMSネットワークにおいて使われるシグナリング法は通常、セッション開始プロトコルSIPである。IMSは、アプリケーション・サーバ、IMSコア・ネットワーク(CSCF)、IMS加入者、IMSデータベース(HSS)、およびIMS料金請求要素の間の標準SIPインタフェースを定義する。こうした標準により、ネットワーク統合のコストを削減し、加入者により安定したサービスを享受させることができる。
【0003】
IMSネットワークにおける典型的な呼(またはセッション)に関して、発呼者のユーザ機器は、たとえばCDMAネットワーク、GSMネットワーク、IPネットワーク、WiFiネットワーク、WiMAXネットワークなどのアクセス・ネットワークを介して呼を開始する。アクセス・ネットワークは次いで、IMSネットワークに呼を経路指定する。アクセス・ネットワークがIMSネットワークと同じプロトコル(たとえば、SIPおよびIP)を使わない場合、アクセス・ネットワークは、適切なゲートウェイを介してIMSネットワークに呼を経路指定すればよい。IMSネットワークにおけるサーバ側呼セッション制御機能S−CSCFが、適切なやり方で呼を受信し供給する。S−CSCFは、IMSネットワーク内の1つまたは複数のアプリケーション・サーバASと交信して、たとえばボイスメール、呼転送など、呼に関するサービスを提供してもよい。呼に対して課金するために、呼を扱うIMSノード(たとえば、S−CSCFおよびAS)はそれぞれ、通常はDiameterプロトコル(Rf)で課金メッセージを生成する。他の呼関連データに加えて、IMSノードは、タイムスタンプを課金メッセージに挿入する。タイムスタンプは、IMSノードのローカル時間に基づく。
【0004】
IMSネットワークにおける現在のオフライン課金に伴う1つの問題は、サービス・プロバイダが、本標準による、夜間および週末の自由通話などの変動料金制を提供することができないことである。課金メッセージに挿入されるタイムスタンプは、課金メッセージを生成するIMSノードのローカル時間に基づくので、料金請求システムは、ある特定の加入者に関して時間または日付閾値にいつ達するのかわからない。たとえば、加入者が太平洋時間帯にいて、課金メッセージを生成するIMSノードが東部時間帯にある場合、料金請求システムはこの時点では、夜間および週末の自由通話を許可するために、加入者が時間閾値にいつ達したか判定することができない。料金請求システムは、加入者のローカル時間とは相関しない、IMSノードのローカル時間しか知らない。サービス・プロバイダはしたがって、変動料金制を許可するのではなく、定額料金制を利用することを強制される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS 32.240
【非特許文献2】TS 32.299 Release 6
【非特許文献3】TS 32.225 Release 5
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、IMSノードのローカル時間に基づくタイムスタンプではなく、呼のユーザ機器のローカル時間に基づくタイムスタンプを課金メッセージに挿入することによって、上記および他の問題を解決する。ユーザ機器のローカル時間を知ることによって、料金請求システムは、課金メッセージ中のタイムスタンプに基づく変動料金制を提供することができる。サービス・プロバイダは有利には、夜間および週末の自由通話など、様々な料金プランを加入者に提供することができる。
【0007】
本発明の一実施形態は、IMSネットワークにおいてオフライン課金を提供する方法を含む。この方法は、呼に関するコール・シグナリングを、その呼向けのユーザ機器にサービス提供するアクセス・ネットワークから受信することを含む。コール・シグナリングは、アクセス・ネットワーク用のアクセス・ネットワーク識別子を含む。この方法は、たとえばロケーション・サーバを照会することによって、アクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を識別することをさらに含む。この方法は、位置情報に基づいてユーザ機器のローカル時間を判定することをさらに含む。この方法は、呼に関する課金メッセージを生成すること、およびユーザ機器のローカル時間に基づいて、課金メッセージにタイムスタンプを挿入することをさらに含む。課金メッセージ中のタイムスタンプは、変動料金制を可能にするための、ユーザ機器のローカル時間を料金請求システムに提供する。
【0008】
本発明の別の実施形態は、IMSネットワークにおいてオフライン課金を提供する別の方法を含む。この方法は、呼に関するコール・シグナリングを、その呼向けのユーザ機器にサービス提供するアクセス・ネットワークから受信することを含む。コール・シグナリングは、アクセス・ネットワーク用のアクセス・ネットワーク識別子を含む。この方法は、アクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を識別することをさらに含む。この方法は、位置情報に基づいて、ユーザ機器が位置するタイム・ゾーンを判定することをさらに含む。この方法は、呼を供給するIMSノードのローカル時間を識別すること、およびユーザ機器のタイム・ゾーンに基づいてIMSノードのローカル時間を調整して、タイムスタンプを生成することをさらに含む。この方法は、呼に関する課金メッセージを生成すること、および課金メッセージにタイムスタンプを挿入することをさらに含む。課金メッセージ中のタイムスタンプは、変動料金制を可能にするための、ユーザ機器のローカル時間を料金請求システムに提供する。
【0009】
本発明は、以下で説明する他の例示的な実施形態を含み得る。
【0010】
同じ参照番号は、すべての図面において同じ要素または同じタイプの要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の例示的な実施形態における通信ネットワークを示す図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態における、オフライン課金を提供するように通信ネットワークを操作する方法を示すフロー・チャートである。
【図3】本発明の例示的な実施形態における、オフライン課金を提供するように通信ネットワークを操作する代替方法を示すフロー・チャートである。
【図4】本発明の例示的な実施形態における別の通信ネットワークを示す図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態における別の通信ネットワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜5および以下の説明は、どのようにして本発明を行い、利用するかを当業者に教示するために、本発明の具体的な例示的実施形態を示す。発明原理を教示する目的で、本発明のいくつかの従来の態様は、簡略化し、または省略してある。本発明の範囲内である、こうした実施形態からの変形形態が、当業者には理解されよう。以下で説明する特徴は、本発明の多様な変形形態をなすように、様々なやり方で組み合わせることができることが、当業者には理解されよう。その結果、本発明は、以下で説明する具体的な実施形態に限定されるのではなく、特許請求の範囲およびその等価物によってのみ限定される。
【0013】
図1は、本発明の例示的な実施形態における通信ネットワーク100を示す。通信ネットワーク100は、アクセス・ネットワーク102およびIMSネットワーク104を含む。アクセス・ネットワーク102は、IPネットワークなどの有線ネットワーク、またはCDMAネットワーク、GSMネットワーク、WiFiネットワーク、もしくはWiMAXネットワークなどの無線ネットワークを含み得る。アクセス・ネットワーク102は、呼(またはセッション)を起こし、または受信するためのユーザ機器UE120にサービスを提供するように適合される。IMSネットワーク104は、1つまたは複数のIMSノード112および料金請求システム114を含む。IMSネットワーク104は、ロケーション・サーバ116を任意選択で含んでよい。IMSノード112は、IMSネットワーク104において呼を供給するように適合されたどのシステム、サーバ、アプリケーション、または機能も備える。IMSノード112は、サーバ側呼セッション制御機能S−CSCF、アプリケーション・サーバAS、メディア・ゲートウェイMGW、課金データ機能CDF/課金ゲートウェイ機能CGF、課金収集機能CCF、または別のタイプのネットワーク・ノードを備え得る。料金請求システム114は、課金メッセージを受信するとともに、料金請求、料率制定、および/または会計機能を提供するように適合されたどのシステム、サーバ、アプリケーション、または機能も備える。
【0014】
本実施形態に関して、UE120がアクセス・ネットワーク102を介して呼を開始し、または受信すると想定する。呼を扱うために、アクセス・ネットワーク102は、IMSネットワーク104とコール・シグナリングを交換する。アクセス・ネットワーク102(もしくはアクセス・ネットワーク102内の適切なノード)またはIMSネットワーク104は、コール・シグナリングにアクセス・ネットワーク識別子を挿入する。アクセス・ネットワーク識別子は、アクセス・ネットワーク102またはアクセス・ネットワーク102内のノード用のどのコード、数字、文字列、または他の識別子も含む。たとえば、アクセス・ネットワーク102がWiFiネットワークを含む場合、アクセス・ネットワーク識別子は、UE120にサービスを提供するアクセス・ポイント(図1には示さず)のMACアドレスを含み得る。アクセス・ネットワーク識別子を挿入するノードは、アクセス・ポイント、プロキシコール・セッション制御機能P−CSCF、ゲートウェイ、または別のノードを含み得る。
【0015】
図2は、本発明の例示的な実施形態における、オフライン課金を提供するように通信ネットワーク100を操作する方法200を示すフロー・チャートである。図1の通信ネットワーク100を参照して、方法200のステップについて説明する。図2のフロー・チャートのステップはすべてを含むわけではなく、図示していない他のステップを含み得る。
【0016】
方法200のステップ202は、呼に関するコール・シグナリングの受信を含み、コール・シグナリングはアクセス・ネットワーク識別子を含む。IMSノード112がコール・シグナリングを受信し処理してもよく、コール・シグナリングは、IMSノード112に先立ってIMSネットワーク104内で処理してもよい。したがって、IMSノード112は、呼に関する呼関連メッセージと呼ばれるものを受信する。呼関連メッセージは、呼を扱うのに使われるどのタイプのコール・シグナリングまたは課金メッセージも含み得る。一例では、呼関連メッセージは、呼をセットアップするのに使われるSIP INVITEメッセージを含み得る。別の例では、呼関連メッセージは、IMSネットワーク104にUE120を登録するのに使われるSIP REGISTERメッセージを含み得る。別の例では、呼関連メッセージは、Diameterアカウンティング要求ACRメッセージを含み得る。呼関連メッセージは、アクセス・ネットワーク102用のアクセス・ネットワーク識別子を含む。
【0017】
ステップ204で、IMSノード112は、呼関連メッセージ中で与えられるアクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を識別する。位置情報は、市街番地、緯度/経度、都市名/州、または別の場所タイプを含み得る。位置情報は、特定の場所または特定の場所のローカル時間に対するタイム・ゾーンも示し得る。
【0018】
ステップ206で、IMSノード112は、位置情報に基づいて、UE120のローカル時間を判定する。たとえば、IMSノード112は、IMSノード112のローカル時間を識別し、IMSノード112のタイム・ゾーンとUE120のタイム・ゾーンとの間のオフセットを判定し、次いでこれらのタイム・ゾーンの間のオフセットに基づいてIMSノード112のローカル時間を調整することによって、UE120のローカル時間を判定すればよい。
【0019】
ステップ208で、IMSノード112は、呼に関する課金メッセージを生成する。課金メッセージは、呼に対する課金目的で呼情報を報告するのに使われるどのメッセージまたはシグナリングも含む。課金メッセージは、Diameterアカウンティング要求ACRメッセージ、課金データ記録CDR、または別のタイプのメッセージを含み得る。ステップ210で、IMSノード112は、UE120のローカル時間に基づいて、課金メッセージにタイムスタンプを挿入して、UE120のローカル時間を料金請求システム114に提供する。IMSノード112は、課金メッセージの特定のヘッダーまたはパラメータにタイムスタンプを挿入してよい。タイムスタンプは、開始または停止タイムスタンプでよい。
【0020】
ステップ212で、料金請求システム114は、課金メッセージを受信し、課金メッセージ中のタイムスタンプを処理して、UE120のローカル時間に基づいて呼に対して課金する。料金請求システム114はUE120のローカル時間を知っているので、料金請求システム114は有利には、UE120のローカル時間に基づいて呼に対して変動料金制を提供することができる。現在のIMSネットワークでは、料金請求システム114は、UE120のローカル時間ではなくIMSノード112のローカル時間を含む課金メッセージを受信することになるはずである。したがって、料金請求システム114が現行のIMSネットワークにおいて変動料金制を提供することができなかった場合、料金請求システム114は、上述した方法200による変動料金制を提供すればよい。
【0021】
図3は、本発明の例示的な実施形態における、オフライン課金を提供するように通信ネットワーク100を操作する代替方法300を示すフロー・チャートである。図1の通信ネットワーク100を参照して、方法300のステップについて説明する。図3のフロー・チャートのステップはすべてを含むわけではなく、図示していない他のステップを含み得る。
【0022】
方法300のステップ302は、アクセス・ネットワーク識別子を含むコール・シグナリングの受信を含む。やはり、IMSノード112がコール・シグナリングを受信し処理してもよく、コール・シグナリングは、IMSノード112に先立ってIMSネットワーク104内で処理してもよい。したがって、IMSノード112は、呼に関する呼関連メッセージと呼ばれるものを受信する。
【0023】
ステップ304で、IMSノード112は、呼関連メッセージ中で与えられるアクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を識別する。ステップ306で、IMSノード112は、位置情報に基づいて、UE120が位置する場所のタイム・ゾーンを判定する。たとえば、位置情報は、タイム・ゾーン情報を含んでよく、またはIMSノード112が、特定のタイム・ゾーンと相関し得る位置情報中の住所を識別することができるようにしてもよい。ステップ308で、IMSノード112は、IMSノード112のローカル時間を識別する。IMSノード112は、内部クロックを含んでもよく、ローカル時間を取得するために、別のネットワーク・ノードを照会することもできる。ステップ310で、IMSノード112は、UE120のタイム・ゾーンに基づいて、IMSノード112のローカル時間を調整して、タイムスタンプを生成する。このタイムスタンプは、UE120のローカル時間を示す。ステップ312で、IMSノード112は、呼に関する課金メッセージを生成する。ステップ314で、IMSノード112は、課金メッセージにタイムスタンプを挿入して、UE120のローカル時間を料金請求システム114に提供する。
【0024】
ステップ316で、料金請求システム114は、課金メッセージを受信し、課金メッセージ中のタイムスタンプを処理して、UE120のローカル時間に基づいて呼に対して課金する。料金請求システム114はUE120のローカル時間を知っているので、料金請求システム114は有利には、UE120のローカル時間に基づいて呼に対して変動料金制を提供することができる。
【0025】
図4は、本発明の例示的な実施形態における別の通信ネットワーク400を示す。通信ネットワーク400は、アクセス・ネットワーク402およびIMSネットワーク404を含む。アクセス・ネットワーク402は、呼(またはセッション)を起こし、または受信するためのユーザ機器UE420にサービスを提供するように適合される。IMSネットワーク404は、P−CSCF411、S−CSCF412、1つまたは複数のアプリケーション・サーバAS413、課金データ機能CDF414、課金ゲートウェイ機能CGF415、ロケーション・サーバ416、および料金請求システム418を含む。www.3gpp.orgで入手可能な3GPP TS 32.240およびTS 32.299 Release 6において、3GPPによって提案されている結合CDF/CGFを図4に示してある。別の実施形態では、TS 32.240およびTS 32.225 Release 5において3GPPによって提案されているように、課金収集機能CCFを、CDF/CGFの代わりに使うことができる。
【0026】
本実施形態では、UE420がアクセス・ネットワーク402を介して呼を開始すると想定する。アクセス・ネットワーク402は、UE420からSIP INVITEメッセージを受信して、呼を開始する。UE420は、アクセス・ネットワーク識別子を識別し、INVITEメッセージにアクセス・ネットワーク識別子を挿入することができる。あるいは、アクセス・ネットワーク402が、アクセス・ネットワーク識別子を識別し、INVITEメッセージにアクセス・ネットワーク識別子を挿入してよい。あるいは、P−CSCF411が、アクセス・ネットワーク識別子を識別し、INVITEメッセージにアクセス・ネットワーク識別子を挿入してよい。こうしたケースのいずれにおいても、アクセス・ネットワーク402は、INVITEメッセージをP−CSCF411に経路指定する。P−CSCF411は次いで、呼を扱う際の必要に応じて、INVITEメッセージをS−CSCF412およびAS413に経路指定する。
【0027】
P−CSCF411、S−CSCF412、およびAS413はそれぞれ、INVITEメッセージ中で与えられたアクセス・ネットワーク識別子を格納する。こうしたIMSノードのいずれかが、課金をトリガする呼出し機能を実施すると、そのノードは、Diameter Rf ACRメッセージなどの課金メッセージを生成する。IMSノードは次いで、ACRメッセージ中の新規AVPにアクセス・ネットワーク識別子を挿入し、ACRメッセージをCDF414に送信する。
【0028】
ACRメッセージの受信およびアクセス・ネットワーク識別子の処理に応答して、CDF414は、アクセス・ネットワーク識別子に基づいて、(たとえば、LDAP)ロケーション・サーバ416を照会して、アクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を取り出す。この位置情報は、タイム・ゾーンUE420がどこに位置するかをCDF414に示す。CDF414は、ローカル時間を識別し、CDF414のタイム・ゾーンとUE420のタイム・ゾーンとの間のオフセットを判定する。CDF414は、そのローカル時間をタイム・ゾーンにおけるオフセットに基づいて調整して、タイムスタンプを生成し、またはUE420のローカル・タイムスタンプ用の新規フィールドを作成する。このタイムスタンプは、UE420のローカル時間を示す。CDF414は次いで、課金データ記録CDRなどの課金メッセージを生成し、CDRにタイムスタンプを挿入する。CDRに適切なデータが投入されると、CDF414は、CDRをCGF415に送信する。CGF415は、このCDRを他のCDRと集約し、これらのCDRを料金請求システム418に送信する。
【0029】
料金請求システム418は、課金メッセージ中のタイムスタンプを処理して、UE420のローカル時間に基づいて、呼に対して課金する。料金請求システム414はUE420のローカル時間を知っているので、料金請求システム414は有利には、UE420のローカル時間に基づいて、呼に関して変動料金制を提供することができる。
【0030】
上記の例は、SIP INVITEメッセージへのアクセス・ネットワーク識別子の挿入を示す。他の実施形態は、他のSIPメッセージへのアクセス・ネットワーク識別子の挿入を含んでよい。たとえば、アクセス・ネットワーク識別子は、UE420によってIMSネットワーク404に登録するのに使われるSIP REGISTERメッセージに挿入することができる。IMSネットワーク404内のノードが次いで、UE420のローカル時間の判定で使用するために、REGISTERメッセージ中で与えられるアクセス・ネットワーク識別子を格納すればよい。
【0031】
IMSネットワーク404内の他のIMSノードが、追加的または代替的に、UE420のローカル時間を判定し、UE420の適切なタイムスタンプを課金メッセージに挿入するように適合されてもよい。通信ネットワーク400の別の実施形態を、図5に示す。本実施形態では、S−CSCF412およびAS413は、UE420のローカル時間を判定し、適切なタイムスタンプを課金メッセージに挿入するように適合される。
【0032】
やはり、アクセス・ネットワーク402は、UE420からSIP INVITEメッセージを受信して、呼を開始する。UE420が、アクセス・ネットワーク識別子を識別し、INVITEメッセージにアクセス・ネットワーク識別子を挿入してもよく、アクセス・ネットワーク402が、アクセス・ネットワーク識別子を識別し、INVITEメッセージにアクセス・ネットワーク識別子を挿入してもよく、あるいはP−CSCF411が、アクセス・ネットワーク識別子を識別し、INVITEメッセージにアクセス・ネットワーク識別子を挿入してもよい。こうしたケースのいずれにおいても、アクセス・ネットワーク402は、INVITEメッセージをP−CSCF411に経路指定する。P−CSCF411は次いで、呼を扱う際の必要に応じて、INVITEメッセージをS−CSCF412およびAS413に経路指定する。
【0033】
P−CSCF411、S−CSCF412、およびAS413はそれぞれ、アクセス・ネットワーク識別子を格納する。こうしたIMSノードのいずれか(たとえば、S−CSCF412)が、課金をトリガする呼出し機能を実施すると、S−CSCF412は、アクセス・ネットワーク識別子に基づいて、ロケーション・サーバ416を照会して、アクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を取り出す。この位置情報は、S−CSCF412に対して、どのタイム・ゾーンにUE420が位置するかを示す。S−CSCF412は、ローカル時間を識別し、S−CSCF412のタイム・ゾーンとUE420のタイム・ゾーンとの間のオフセットを判定する。S−CSCF412は、そのローカル時間を、タイム・ゾーンにおけるオフセットに基づいて調整して、タイムスタンプを生成する。あるいは、S−CSCF412は、UE420のローカル・タイムスタンプ用の新規AVPを作成する。このタイムスタンプは、UE420のローカル時間を示す。S−CSCF412は次いで、Diameter Rf ACRメッセージなどの課金メッセージを生成し、UE420のローカル・タイムスタンプAVPをACRに挿入する。ACRに適切なデータが投入されると、S−CSCF412は、ACRをCDF414に送信する。
【0034】
CDF414は、ACRを処理し、CDRを生成する。CDF414は次いで、ACRにあるパラメータを、UE420のローカル時間を示すタイムスタンプを含むCDRにマップする。CDF414は次いで、CDRをCGF415に送信する。CGF415は、このCDRを他のCDRと集約し、これらのCDRを料金請求システム418に送信する。
【0035】
料金請求システム418は、課金メッセージ中のタイムスタンプを処理して、UE420のローカル時間に基づいて、呼に対する課金を行う。料金請求システム414はUE420のローカル時間を知っているので、料金請求システム414は有利には、UE420のローカル時間に基づいて、呼に対して変動料金制を提供することができる。
【0036】
本明細書において具体的な実施形態を説明したが、本発明の範囲は、こうした具体的な実施形態に限定されない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそのいかなる等価物によっても定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク(100)であって、
料金請求システム(114)と、
前記通信ネットワーク(100)内の呼に関する呼関連メッセージを受信するように適合された、IMSネットワーク(104)用IMSノード(112)とを備え、前記呼関連メッセージが、前記呼に関するユーザ機器(120)にサービス提供するアクセス・ネットワーク(102)用アクセス・ネットワーク識別子を含む通信ネットワークにおいて、
前記IMSノード(112)が、前記アクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を識別するようにさらに適合され、
前記IMSノード(112)が、前記位置情報に基づいて、前記ユーザ機器(120)のローカル時間を判定するようにさらに適合され、
前記IMSノード(112)が、前記呼に関する課金メッセージを生成するようにさらに適合され、
前記IMSノード(112)が、前記ユーザ機器(120)用前記ローカル時間に基づいて前記課金メッセージにタイムスタンプを挿入して、前記ユーザ機器(120)用前記ローカル時間を前記料金請求システム(114)に提供するようにさらに適合されることを特徴とする通信ネットワーク(100)。
【請求項2】
前記IMSノード(112)が、前記呼に関する前記ユーザ機器(120)にサービス提供するように適合されたサーバ側呼セッション制御機能、すなわちS−CSCFまたは前記呼に関するサービスを提供するように適合されたアプリケーション・サーバ、すなわちASの一方を備え、前記課金メッセージが、Diameterアカウンティング要求、すなわちACRメッセージを含む、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項3】
前記IMSノード(112)が、課金データ機能/課金ゲートウェイ機能または課金収集機能、すなわちCCFの一方を備え、前記課金メッセージが、課金データ記録、すなわちCDRを含む、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項4】
前記IMSノード(112)が、前記ネットワーク・アクセス識別子に基づいてロケーション・サーバ(116)を照会して、前記位置情報を識別するようにさらに適合される、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項5】
前記料金請求システム(114)が、前記課金メッセージを受信し、前記課金メッセージ中の前記タイムスタンプを処理して、前記ユーザ機器(120)用前記ローカル時間に基づいて、前記呼に関して課金するように適合される、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項6】
呼を供給するIMSネットワークを操作する方法であって、
前記呼に関するユーザ機器にサービス提供するアクセス・ネットワークから、前記IMSネットワーク内の前記呼に対するコール・シグナリングを受信するステップを含み、前記コール・シグナリングが、前記アクセス・ネットワーク用のアクセス・ネットワーク識別子を含む方法において、
前記アクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を識別するステップと、
前記位置情報に基づいて前記ユーザ機器のローカル時間を判定するステップと、
前記呼に関する課金メッセージを生成するステップと、
前記ユーザ機器の前記ローカル時間に基づいて、前記課金メッセージにタイムスタンプを挿入して、前記ユーザ機器の前記ローカル時間を料金請求システムに提供するステップとを特徴とする方法。
【請求項7】
前記課金メッセージが、Diameterアカウンティング要求、すなわちACRメッセージを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記課金メッセージが課金データ記録、すなわちCDRを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アクセス・ネットワーク識別子に関する位置情報を識別するステップが、
前記ネットワーク・アクセス識別子に基づいて、ロケーション・サーバを照会して、前記位置情報を識別するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記課金メッセージ中の前記タイムスタンプを処理して、前記ユーザ機器の前記ローカル時間に基づいて、前記呼に対して課金するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−515355(P2010−515355A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544030(P2009−544030)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/025774
【国際公開番号】WO2008/085334
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】