説明

IPマルチキャスト受信端末

【課題】映像や音声の切り替えが迅速に行え、かつ、映像や音声の乱れを抑えることのできるIPマルチキャスト受信端末を得る。
【解決手段】受信チャネル選択手段303は、IGMPで参加しているマルチキャストグループとは別に、上位アプリケーションがパケットデータ処理手段301でデータ処理を行うためのマルチキャストグループをマルチキャスト管理テーブル103の受信マルチキャストテーブル103bに登録する。IPパケット受信手段101は、受信したIPパケットの宛先IPアドレスが、受信マルチキャストテーブル103bに登録されている場合にのみ、IPヘッダの解析とIPフラグメント再構築処理とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマルチキャストグループの切り替えを行って、配信されるコンテンツ等の情報を受信するIPマルチキャスト受信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の受信端末に同時に同一のコンテンツ等の情報を提供する時に有効な通信技術として、マルチキャスト通信方式がある。マルチキャスト通信方式は、各受信端末と1対1通信で情報を配信するユニキャスト通信方式に比べて、配信サーバ負荷やトラフィック量を削減できるという利点がある。インターネットプロトコル(IP)を用いたマルチキャスト通信方式において、IPv4ではIGMP(Internet Group Membership Protocol)がプロトコルとして使用され、IETF(Internet Engineering Task Force)がインターネット標準として定義・公開している。
【0003】
受信端末が、あるマルチキャストグループのIPパケットを受信するためには、受信端末がIGMPを用いて所望のマルチキャストグループへ参加または離脱の要求を上位のネットワーク装置へ送信することで実現する。つまり、上位のネットワーク装置は、参加要求を受けた受信端末に対し、要求されたマルチキャストグループのIPパケットを送信する。また、受信端末のネットワーク層(IPレイヤ)では、マルチキャスト管理テーブルを持っており、このマルチキャスト管理テーブルを用いて、参加中のマルチキャストグループを管理している。
【0004】
このマルチキャスト通信方式を用いて、多数の送信端末から配信されるマルチキャストパケットを1台の受信端末で切り替えながら受信するようなアプリケーションやシステムがある。例えば、放送局から多くの番組をマルチキャスト通信方式で放送し、家庭や施設の受信端末(セットトップボックス)で視聴したい番組に受信を切り替えるようなIP放送サービスシステムや、多数のカメラ映像をマルチキャスト通信方式で配信し、受信端末(カメラビューワ)で受信を切り替えて見たいカメラ映像を選択するようなデジタル映像監視システムなどがある。このようなシステムでは、受信端末で複数のマルチキャストグループの切り替え処理が必要である。このようなマルチキャストグループを切り替えるには、次の二つ((1)/(2))の方法が一般的であった。
【0005】
(1)受信端末のネットワーク層(IPレイヤ)において、上位アプリケーションで利用したいマルチキャストグループが変わったときに、現在参加(受信)しているマルチキャストグループを一度離脱し、新たに利用したいマルチキャストグループに参加(受信)する。上位アプリケーションは、ネットワーク層(IPレイヤ)/トランスポート層(UDPレイヤ)から上がってくるマルチキャストグループのUDP/IPパケットのデータ処理を行う。
【0006】
(2)受信端末のネットワーク層(IPレイヤ)において、上位アプリケーションで利用する可能性のある複数のマルチキャストグループに予め参加(受信)しておく。上位アプリケーションは、ネットワーク層(IPレイヤ)/トランスポート層(UDPレイヤ)から上がってくる複数のマルチキャストグループのUDP/IPパケットデータの中から、逐次利用したいマルチキャストグループ(ターゲットマルチキャストグループ)のUDP/IPパケットを選択し、データ処理を行う。
【0007】
また、通信装置内にマルチキャストグループの参加状況を管理するテーブルを設け、このテーブルの登録状況に応じてマルチキャストグループの参加/脱退の判別・制御を行うようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−251635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した(1)の方法では、IGMPによるマルチキャストグループの参加処理や離脱処理に時間を要するため(正確には、ルータやスイッチ等の上位ネットワーク装置のマルチキャストグループ参加/離脱更新に時間がかかるため)、新しく参加したマルチキャストグループのIPパケットが受信端末に届くまで時間がかかる。そのため、IP放送サービスシステムやデジタル映像監視システムでは、映像や音声の切り替えが遅くなったり、切り替え時に映像や音声が乱れたりするといった課題があった。
【0010】
一方、上記(2)の方法は、(1)の方法の課題を解決するもので、予め上位アプリケーションで利用する可能性のある複数のマルチキャストグループに対し、IGMPによる参加処理を実施しておくことで、マルチキャストグループ参加/離脱処理を省いて切り替え時間を短縮することができる。しかしながら、(2)の方法では、ネットワーク層(IPレイヤ)で管理するマルチキャスト管理テーブルに、IGMPで参加した全てのマルチキャストグループを登録するため、上位アプリケーションで実際には利用していないマルチキャストグループのIPパケット受信処理(IPフラグメント再構築など)やUDPパケット受信処理を常時行うことになる。このため、ネットワーク層(IPレイヤ)やトランスポート層(UDPレイヤ)での受信負荷が大きくなり、実際に利用しているマルチキャストグループのIPパケットの取りこぼしが発生しやすくなる。そのため、IP放送サービスシステムやデジタル映像監視システムでは、映像や音声の切り替えは早いが、視聴したい映像や音声が乱れるといった問題があった。また、特許文献1に記載されたシステムであっても、IGMPで参加した全てのマルチキャストグループを登録するため、通信装置で管理する受信側装置では、同様の問題が発生することになる。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、映像や音声の切り替えが迅速に行え、かつ、映像や音声の乱れを抑えることのできるIPマルチキャスト受信端末を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るIPマルチキャスト受信端末は、IPマルチキャストパケットを受信する受信端末において、IPパケットを受信し、IPパケットにおけるIPヘッダの解析とIPフラグメント再構築処理とを行うIPパケット受信手段と、IPパケット受信手段で受信したIPパケットのペイロード部がUDPパケットである場合、UDPヘッダの解析を行うUDPパケット受信手段と、UDPパケット受信手段で受信したUDPパケットのペイロード部を上位アプリケーションの目的に応じてデータ処理するパケットデータ処理手段と、上位アプリケーションが利用する可能性のある全てのマルチキャストグループをIPレイヤに設定する受信チャネル設定手段と、受信チャネル設定手段で設定したマルチキャストグループのIGMPによる参加および離脱処理を行うIGMP実行手段と、IPレイヤでマルチキャスト情報を記録するマルチキャスト管理テーブルと、受信チャネル設定手段で設定した複数のマルチキャストグループの中で、上位アプリケーションがパケットデータ処理手段でデータ処理を行うためのマルチキャストグループをマルチキャスト情報として登録する受信チャネル選択手段とを備え、IPパケット受信手段は、マルチキャスト管理テーブルのマルチキャスト情報に基づいてIPパケットの処理を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明のIPマルチキャスト受信端末は、IGMPで参加しているマルチキャストグループとは別に、上位アプリケーションがパケットデータ処理手段でデータ処理を行うためのマルチキャストグループをマルチキャスト情報としてマルチキャスト管理テーブルに登録し、IPパケット受信手段はこのマルチキャスト情報に基づいてIPパケットの処理を行うようにしたので、映像や音声の切り替えが迅速に行え、かつ、映像や音声の乱れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1によるIPマルチキャスト受信端末を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるIPマルチキャスト受信端末のマルチキャスト管理テーブルを示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるIPマルチキャスト受信端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるIPマルチキャスト受信端末を示す構成図である。
図1に示すIPマルチキャスト受信端末は、IPパケット受信手段101、IGMP実行手段102、マルチキャスト管理テーブル103、UDPパケット受信手段201、パケットデータ処理手段301、受信チャネル設定手段302、受信チャネル選択手段303を備えている。ここで、IPパケット受信手段101〜マルチキャスト管理テーブル103はネットワーク層(IPレイヤ)100に属し、UDPパケット受信手段201はトランスポート層(UDPレイヤ)200に属し、パケットデータ処理手段301〜受信チャネル選択手段303はアプリケーション層300に属している。
【0016】
IPパケット受信手段101は、図示しないIPネットワーク機器(ルータ等)から伝送されるIPパケットを受信し、IPヘッダの解析やIPフラグメント再構築処理を行う手段である。UDPパケット受信手段201は、IPパケット受信手段101で受信したIPパケットのペイロード部がUDPパケットである場合、UDPヘッダの解析を行う手段である。パケットデータ処理手段301は、UDPパケット受信手段201で受信したUDPパケットのペイロード部を上位アプリケーションの目的に応じてデータ処理する手段である。受信チャネル設定手段302は、上位アプリケーションが利用する可能性のある全てのマルチキャストグループをIPレイヤに設定する手段である。IGMP実行手段102は、受信チャネル設定手段302で設定したマルチキャストグループのIGMPによる参加および離脱処理を行う手段である。マルチキャスト管理テーブル103は、IPレイヤでマルチキャスト情報を記録する管理テーブルであり、参加マルチキャストテーブル103aと受信マルチキャストテーブル103bの二つのテーブルを備えている。
【0017】
図2は、マルチキャスト管理テーブル103の一例を示す説明図である。
図示のように、参加マルチキャストテーブル103aには、上位アプリケーションが利用する可能性のある全てのマルチキャストグループが登録され、受信マルチキャストテーブル103bには、参加マルチキャストテーブル103aに登録されているマルチキャストグループの中で、上位アプリケーションが実際に受信したいマルチキャストグループのみが記録されている。ここで、マルチキャストグループとは、マルチキャストアドレスと受信するポート番号の組み合わせを意味する。
【0018】
図1に戻り、受信チャネル選択手段303は、受信チャネル設定手段302で設定した複数のマルチキャストグループの中で、上位アプリケーションがパケットデータ処理手段301でデータ処理を行うために受信したい一つあるいは複数のマルチキャストグループを選択し、そのマルチキャストグループをマルチキャスト管理テーブル103に登録する手段である。即ち、受信チャネル選択手段303は、受信チャネル設定手段302で設定した複数のマルチキャストグループの中で、上位アプリケーションがパケットデータ処理手段301でデータ処理を行うためのマルチキャストグループを受信マルチキャストテーブル103bに登録するよう構成されている。また、参加マルチキャストテーブル103aは、IGMP実行手段102が、マルチキャストグループのIGMPによる参加または離脱処理を行った場合にそのマルチキャストグループの登録または削除を行うよう構成されている。
【0019】
次に、このように構成されたIPマルチキャスト受信端末の動作について説明する。
図3は、IPマルチキャスト受信端末の動作を示すフローチャートである。
尚、本実施の形態1では、IPマルチキャスト受信端末に管理ビューワを想定したデジタル映像監視システムで監視ビューワにてカメラA(マルチキャストグループA)から、カメラB(マルチキャストグループB)に表示する映像を切り替える例を説明する。
【0020】
先ず、IPマルチキャスト受信端末である監視ビューワは、デジタル映像監視システムに接続されている全てのカメラを視聴する可能性があるので、ここでは、カメラAとカメラBを利用したいカメラとして設定する(ステップST1)。具体的には、受信端末のアプリケーション(ユーザ)が、受信チャネル設定手段302によって、利用したいマルチキャストグループAとマルチキャストグループBを、ネットワーク層(IPレイヤ)のIGMP実行手段102に通知する。尚、ここで、マルチキャストグループとは、上述したように、マルチキャストアドレスと受信するポート番号の組み合わせである。また、図3において、MCGとはマルチキャストグループを意味している。
【0021】
IGMP実行手段102では、受信チャネル設定手段302から通知されたマルチキャストグループAおよびBを、マルチキャスト管理テーブル103の参加マルチキャストテーブル103aに登録し(ステップST2)、IGMPを使用して上位のネットワーク装置へマルチキャストグループAおよびBの参加要求を行う(ステップST3)。これにより、受信端末までマルチキャストグループAおよびBのIPパケットが届くようになり、受信端末でこれらのIPパケットを受信可能となる。
【0022】
次に、アプリケーション(ユーザ)が、受信チャネル選択手段303によって、先ほど受信チャネル設定手段302で設定したマルチキャストグループAおよびBの中から、実際に受信したいマルチキャストグループ(即ち、監視ビューワで表示したいカメラ)を選択する(ステップST4)。具体的には、ここでは実際に受信したいマルチキャストグループAとすると、受信チャネル選択手段303によって、マルチキャストグループAのみをマルチキャスト管理テーブル103の受信マルチキャストテーブル103bの方へ登録する。
【0023】
次に、IPパケット受信手段101で、IPパケットを受信する(ステップST5)。このとき、受信したIPパケットの宛先IPアドレスが、マルチキャスト管理テーブル103の受信マルチキャストテーブル103bに登録されているかどうかをチェックし(ステップST6)、登録されていれば(ステップST6“YES”)以降の通常のIPパケット受信処理を実施する。通常のIPパケット受信処理とは、IPパケットはパケットサイズが(下位のデータリンク層のMTU(Maximum Transmission Unit)より)大きいとフラグメントされて送信されてくるため、受信側でフラグメントされたIPパケットを再構築(IPフラグメント再構築処理)することである。受信したIPパケットが最後のフラグメントパケットでなければ(ステップST7“NO”)、まだ、フラグメントされたIPパケットが送信されてくるので、一旦受信したIPパケットを(図示しない)IPパケットバッファに格納しておく(ステップST8)。受信したIPパケットが最後のフラグメントパケットならば、IPパケットバッファに格納したIPパケットのペイロード部(=UDPパケット)をUDPパケット受信手段201へ転送し、トランスポート層(UDPレイヤ)でUDPパケットのヘッダ解析を行う(ステップST9)。更に、パケットデータ処理手段301によって、UDPパケットのペイロード部を上位アプリケーションで目的に応じたデータ処理を行う(ステップST10)。実施の形態1の監視ビューワの場合、UDPパケットのペイロード部がJPEGやMPEGの映像データであるため、上位アプリケーションでその映像データのデコード処理を行ったり、デコード後のデータを表示デバイスに映像出力したりする。
【0024】
一方、上記ステップST6において、受信したIPパケットの宛先IPアドレスが、マルチキャスト管理テーブル103の受信マルチキャストテーブル103bに登録されていなかった場合は(ステップST6“NO”)、そのIPパケットを破棄する。具体的には、上記のIPフラグメント再構築処理(ステップST7,ST8)を実施せず、次のIPパケット受信を行う(ステップST5)。
【0025】
つまり、本発明のIPマルチキャスト受信端末では、従来の(2)の方法と比較して、実際に利用していないIPパケットのIPフラグメント再構築処理(具体的には、IPフラグメントの数だけのフラグメントチェック(ステップST7)およびIPパケット格納処理(ステップST8)の繰り返し)と、UDPパケットのヘッダ解析処理(ステップST9)を省くことができるため、大幅な受信処理負荷削減が実現できる。実施の形態1では、カメラA(マルチキャストグループA)とカメラB(マルチキャストグループB)の2台のカメラ(2つのマルチキャストグループ)を例としたが、10台のカメラ(マルチキャストグループ)のうち1台のカメラ映像を切り替えて視聴するような監視ビューワならば、上記の受信処理負荷削減はより大きな効果を発揮できる。
【0026】
次に、上位アプリケーションが監視ビューワで表示したいカメラをカメラAからカメラBに切り替えたい場合、受信チャネル選択手段303によって、受信したいマルチキャストグループ、即ちマルチキャストBを選択する(ステップST12)。具体的には、マルチキャスト管理テーブル103の受信マルチキャストテーブル103bに対し、現在登録されているマルチキャストグループAを削除し、新たにマルチキャストBを登録する(ステップST13)。
【0027】
また、上位アプリケーションを終了する場合(ステップST11“YES”)は、受信チャネル設定手段302でマルチキャスト管理テーブル103の受信マルチキャストテーブル103bをクリアし(ステップST14)、マルチキャスト管理テーブル103の参加マルチキャストテーブル103aに登録されている全てのマルチキャストグループのIGMPによる離脱処理を行い(ステップST15)、参加マルチキャストテーブル103aをクリアする(ステップST16)。
【0028】
以上のように、実施の形態1のIPマルチキャスト受信端末によれば、IPマルチキャストパケットを受信する受信端末において、IPパケットを受信し、IPパケットにおけるIPヘッダの解析とIPフラグメント再構築処理とを行うIPパケット受信手段101と、IPパケット受信手段101で受信したIPパケットのペイロード部がUDPパケットである場合、UDPヘッダの解析を行うUDPパケット受信手段201と、UDPパケット受信手段201で受信したUDPパケットのペイロード部を上位アプリケーションの目的に応じてデータ処理するパケットデータ処理手段301と、上位アプリケーションが利用する可能性のある全てのマルチキャストグループをIPレイヤに設定する受信チャネル設定手段302と、受信チャネル設定手段302で設定したマルチキャストグループのIGMPによる参加および離脱処理を行うIGMP実行手段102と、IPレイヤでマルチキャスト情報を記録するマルチキャスト管理テーブル103と、受信チャネル設定手段302で設定した複数のマルチキャストグループの中で、上位アプリケーションがパケットデータ処理手段301でデータ処理を行うためのマルチキャストグループをマルチキャスト情報として登録する受信チャネル選択手段303とを備え、IPパケット受信手段101は、マルチキャスト管理テーブル103のマルチキャスト情報に基づいてIPパケットの処理を行うようにしたので、映像や音声の切り替えが迅速に行え、かつ、映像や音声の乱れを抑えることができる。
【0029】
また、実施の形態1のIPマルチキャスト受信端末によれば、マルチキャスト管理テーブル103は、参加中のマルチキャストグループを記録する参加マルチキャストテーブル103aと、上位アプリケーションが実際に受信したいマルチキャストグループのみを記録する受信マルチキャストテーブル103bを有し、IGMP実行手段102は、マルチキャストグループのIGMPによる参加または離脱処理を行う場合、参加マルチキャストテーブル103aに設定されたマルチキャストグループの登録または削除を行い、かつ、受信チャネル選択手段303は、受信チャネル設定手段302で設定した複数のマルチキャストグループの中で、上位アプリケーションがパケットデータ処理手段301でデータ処理を行うためのマルチキャストグループを受信マルチキャストテーブル103bに登録するようにしたので、マルチキャスト管理テーブル103のマルチキャスト情報を容易かつ確実に設定することができる。
【0030】
また、実施の形態1のIPマルチキャスト受信端末によれば、IPパケット受信手段101は、受信したIPパケットの宛先IPアドレスが、マルチキャスト管理テーブル103の受信マルチキャストテーブル103bに登録されている場合にのみ、IPヘッダの解析とIPフラグメント再構築処理とを行うようにしたので、IPパケット受信手段101で、上位のネットワーク装置から受信したIPパケットの宛先IPアドレスが、マルチキャスト管理テーブル103の受信マルチキャストテーブル103bに登録されていなければ、そのIPパケットを破棄して、IPパケットの受信処理(IPフラグメント再構築など)やUDPパケットの受信処理を省くことができ、ネットワーク層(IPレイヤ)やトランスポート層(UDPレイヤ)での受信負荷を軽減でき、実際に利用しているマルチキャストグループのIPパケットの取りこぼしをなくすことができる。
【符号の説明】
【0031】
100 ネットワーク層(IPレイヤ)、101 IPパケット受信手段、102 IGMP実行手段、103 マルチキャスト管理テーブル、103a 参加マルチキャストテーブル、103b 受信マルチキャストテーブル、200 トランスポート層(UDPレイヤ)、201 UDPパケット受信手段、300 アプリケーション層、301 パケットデータ処理手段、302 受信チャネル設定手段、303 受信チャネル選択手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPマルチキャストパケットを受信する受信端末において、
IPパケットを受信し、当該IPパケットにおけるIPヘッダの解析とIPフラグメント再構築処理とを行うIPパケット受信手段と、
前記IPパケット受信手段で受信したIPパケットのペイロード部がUDPパケットである場合、UDPヘッダの解析を行うUDPパケット受信手段と、
前記UDPパケット受信手段で受信したUDPパケットのペイロード部を上位アプリケーションの目的に応じてデータ処理するパケットデータ処理手段と、
前記上位アプリケーションが利用する可能性のある全てのマルチキャストグループをIPレイヤに設定する受信チャネル設定手段と、
前記受信チャネル設定手段で設定したマルチキャストグループのIGMPによる参加および離脱処理を行うIGMP実行手段と、
IPレイヤでマルチキャスト情報を記録するマルチキャスト管理テーブルと、
前記受信チャネル設定手段で設定した複数のマルチキャストグループの中で、前記上位アプリケーションが前記パケットデータ処理手段でデータ処理を行うためのマルチキャストグループを前記マルチキャスト情報として登録する受信チャネル選択手段とを備え、
前記IPパケット受信手段は、前記マルチキャスト管理テーブルの前記マルチキャスト情報に基づいてIPパケットの処理を行うことを特徴とするIPマルチキャスト受信端末。
【請求項2】
マルチキャスト管理テーブルは、参加中のマルチキャストグループを記録する参加マルチキャストテーブルと、上位アプリケーションが実際に受信したいマルチキャストグループのみを記録する受信マルチキャストテーブルを有し、
IGMP実行手段は、マルチキャストグループのIGMPによる参加または離脱処理を行う場合、前記参加マルチキャストテーブルに設定されたマルチキャストグループの登録または削除を行い、かつ、
受信チャネル選択手段は、前記受信チャネル設定手段で設定した複数のマルチキャストグループの中で、上位アプリケーションがパケットデータ処理手段でデータ処理を行うためのマルチキャストグループを前記受信マルチキャストテーブルに登録することを特徴とする請求項1記載のIPマルチキャスト受信端末。
【請求項3】
IPパケット受信手段は、受信したIPパケットの宛先IPアドレスが、マルチキャスト管理テーブルの受信マルチキャストテーブルに登録されている場合にのみ、IPヘッダの解析とIPフラグメント再構築処理とを行うことを特徴とする請求項2記載のIPマルチキャスト受信端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−101288(P2011−101288A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255966(P2009−255966)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】