説明

LXRモジュレーターとしての化合物および組成物

本発明は、化合物、そのような化合物を含む医薬組成物および肝臓X受容体(LXR)の活性と関連する疾患または障害の処置または予防のためにそのような化合物を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年11月14日出願の米国仮特許出願60/737,340に対する優先権の利益を主張する。この出願の全部の記載は、引用により、その全体として、かつすべての目的に関して、本明細書に包含される。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、化合物、このような化合物を含む医薬組成物および肝臓X受容体(LXR)の活性が関与する疾患または障害の処置または予防のためのこのような化合物の使用法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
肝臓X受容体(LXR)であるLXRαおよびLXRβは、コレステロールおよび胆汁酸を含むいくつかの重要な脂質の代謝を制御する核受容体である。LXRβは体内で偏在性に発現されるが、LXRαは肝臓におよび少ない程度で腎臓、小腸、脂肪組織、脾臓および副腎に発現される。
【0004】
LXRは、ATP結合カセット輸送体−1(ABCA1)プロモーターに結合し、該遺伝子の発現を増加させてABCA1タンパク質を産生する。ABCA1は、肝臓外細胞から発生期高密度リポタンパク質(HDL)粒子へのコレステロール流出の制御に関与する膜結合輸送タンパク質である。ABCA1遺伝子の変異は低レベルのHDLならびに付随するアテローム性動脈硬化症、心筋梗塞および虚血性卒中のような心血管疾患の増加した危険をもたらす。LXRαおよびβアゴニストは、ABCA1遺伝子発現を増加させ、それによりHDLコレステロールを増加させ、その結果、コレステロールの正味の吸収および心血管疾患の危険性の両方を低下させることが示されている。LXRアゴニストはまた、アポリポタンパク質E(apoE)およびABCG1のマクロファージ発現を上方制御し、この両方とも細胞性コレステロールの流出に関与する。ABCA1、ABCG1および/またはapoE発現の上方制御を介してマクロファージコレステロール流出を刺激することにより、ならびにコレステロールエステル転送タンパク質およびリポタンパク質リパーゼを含む他の標的遺伝子の発現を増加させることにより、LXRアゴニストは血漿リポタンパク質に作用する。
【0005】
本発明の新規化合物はLXR活性を調節し、故に、心血管疾患、炎症ならびにインスリン抵抗性および肥満のようなグルコース代謝の障害のようなLXR関連疾患の処置に有用であることが期待される。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
一つの局面において、本発明は式I:
【化1】

〔式中:
およびRは、独立して、水素、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロ(hetyero)シクロアルキル;ただし、RおよびRは両方とも水素ではなくから選択され;ここで、RまたはRの各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ−アルキル、ハロ−アルコキシ、−C(O)R6a、C(O)OR6a、C(O)NR6a6b、NR6a6bC(O)R6aおよびNR6a6bから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、6aおよび6bは、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;
およびRは、独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;
はC6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロ(hetyero)シクロアルキルから選択され;ここで、Rの各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりシアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、シアノ−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、−C(O)R7a、−C(O)OR7a、−C(O)NR7a7b、−NR7a7bC(O)R7a、−NR7a7b、−NR7aC(O)NR7a7b、S(O)0−27a、−S(O)0−2NR7a7bおよび−NR7aS(O)0−27bから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されており;ここで、7aは独立してC1−6アルキル、シアノ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−置換−C1−6アルキル、−XOR10、−XNR10C(O)OR11、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;R10水素およびC1−6アルキルから選択され;そしてR7bは水素、C1−6アルキル、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択されるか;
またはR7aおよびR7bは、R7aおよびR7bが結合している窒素原子と一緒になって、C3−8ヘテロシクロアルキルまたはC5−10ヘテロアリールを形成し;
ここで、R7a、R7bまたはR7aとR7bの組合せの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりC1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、−XC(O)NR1011、−XC(O)OR11、−XOR10、−XR11、−XNR10C(O)OR11、−XC(O)R12および−XR12から独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されており;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;R10水素およびC1−6アルキルから選択され;R11は水素、C1−6アルキル、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;そしてR12はC6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;
ここで、R12の任意のアリールもしくはヘテロアリールまたはR7aとR7bの組合せの任意のヘテロアリールもしくはアリール置換基は、所望によりかつ独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−置換−C1−6アルキル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキルおよびハロ−置換−C1−6アルコキシから選択される1〜3個のラジカルで置換されており;
そしてR7aまたはR7aとR7bの組合せの任意のアルキレンは、所望により、ヒドロキシ、ハロおよびC1−6アルキルから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されている。〕
の化合物およびそれらのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物;ならびにそのような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)に関する。
【0007】
第二の局面において、本発明は、1種以上の適当な賦形剤と混合して、式Iの化合物またはそれらのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物;またはそれらの薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物に関する。
【0008】
第三の局面において、本発明は、動物におけるLXR活性の調節が疾患の病状および/または症状を予防、阻止または軽減できる疾患の処置方法であって、該動物に、治療的有効量の式Iの化合物またはそれらのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
第四の局面において、本発明は、動物におけるLXR活性が疾患の病状および/または症状に関与する疾患の処置のための医薬の製造における、式Iの化合物の使用を提供する。
【0010】
第五の局面において、本発明は、式Iの化合物およびそれらのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、コンジュゲート、被保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物、およびそれらの薬学的に許容される塩の製造法を提供する。
【0011】
発明の詳細な記載
定義
基としておよび他の基、例えばハロ−置換−アルキルおよびアルコキシの構造要素としての“アルキル”は、直鎖でも分枝鎖でもよい。C1−6アルコキシは、メトキシ、エトキシなどを含む。ハロ−置換アルキルは、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどを含む。
【0012】
“アリール”は、6〜10個の環炭素原子を含む、単環式または縮合二環式芳香環状体を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルであり得る。“アリーレン”は、アリール基由来の2価基を意味する。“ヘテロアリール”は、アリールについて定義の通りであり、ここで、環員の1個以上がヘテロ原子である。例えばヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソle、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含む。“C6−10アリールC0−4アルキル”は、アルキレン基を介して結合している、上記の通りのアリールを意味する。例えば、C6−10アリールC0−4アルキルはフェネチル、ベンジルなどを含む。
【0013】
“シクロアルキル”は、指定された数の環原子を含む、飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環状体を意味する。例えば、C3−10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。“ヘテロシクロアルキル”は、本明細書で定義の通りのシクロアルキルを意味するが、但し、1個以上の示す環炭素が、−O−、−N=、−NR−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)−(ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは窒素保護基)から選択される部分で置換されている。例えば、本発明の化合物を述べるために本明細書で使用するC3−8ヘテロシクロアルキルは、モルホリノ、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イルなどを含む。
【0014】
“ハロゲン”(またはハロ)は、好ましくはクロロまたはフルオロを示すが、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0015】
LXR受容体と関連した用語“調節”は、LXR受容体およびLXR経路と関連するその生物学的活性の制御(例えば、標的遺伝子の転写制御)を意味する。LXR受容体の調節は上方制御(すなわち、アゴナイズ、活性化または刺激)または下方制御(すなわちアンタゴナイズ、阻害または抑制)であり得る。LXRモジュレーターの作用機序は、直接的に、例えば、リガンドとしてLXR受容体への結合を介するものであり得る。本調節は、また間接的に、例えば、他の方法でLXR受容体に結合し、活性化する他の分子に結合し、/または該分子を修飾するか、または内在性LXRリガンドの産生の刺激によるものであり得る。故に、LXRの調節は、LXRアゴニストリガンドの生理活性の変化(すなわち、LXR受容体に結合し、/または活性化するその活性)またはリガンドの細胞性レベルの変化を含む。
【0016】
“処置する”、“処置し”および“処置”は、疾患および/またはその付随する症状を軽減または減ずる方法を意味する。
【0017】
好ましい態様の記載
本発明は、化合物、組成物およびLXR活性の調節が疾患の病状および/または症状を予防、阻止または軽減できる疾患の処置方法であって、動物に治療的有効量の式Iの化合物を投与する方法を提供する。
【0018】
一つの態様において、式Iの化合物に関連して、式Ia:
【化2】

〔式中、
7aはC1−6アルキル、シアノ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−置換−C1−6アルキル、−XOR10、−XNR10C(O)OR11、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;R10水素およびC1−6アルキルから選択され;そしてR11は水素、C1−6アルキル、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;
7bは水素、C1−6アルキル、シアノ−置換−C1−6アルキル、C2−6アルケニルおよびヒドロキシ−置換−C1−6アルキルから選択されるか;
またはR7aおよびR7bは、R7aおよびR7bが結合している窒素原子と一緒になって、C3−8ヘテロシクロアルキルまたはC5−10ヘテロアリールを形成し;
ここで、R7aまたはR7aとR7bの組合せの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりC1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、−XC(O)NR1011、−XC(O)OR11、−XOR10、−XR11、−XNR10C(O)OR11、−XC(O)R12および−XR12から独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されており;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;R10水素およびC1−6アルキルから選択され;R11は水素、C1−6アルキル、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;そしてR12はC6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;
ここで、R12の任意のアリールもしくはヘテロアリールまたはR7aとR7bの組合せの任意のヘテロアリールもしくはアリール置換基は、所望によりかつ独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−置換−C1−6アルキル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキルおよびハロ−置換−C1−6アルコキシから選択される1〜3個のラジカルで置換されており;
そしてR7aまたはR7aとR7bの組合せの任意のアルキレンは、所望により、ヒドロキシ、ハロおよびC1−6アルキルから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されている。〕
の化合物である。
【0019】
他の態様において、R7aが水素、メチル、フェネチル、ベンジル、フェニル、フェニル−プロピル、ピリジニル−メチル、ピリジニル−エチル、シアノ−エチル、シアノ−メチル、ピロリジニル、メトキシ−エチル、t−ブトキシ−カルボニル−アミノ−エチルおよびヒドロキシ−エチルから選択され;ここで、R7aの任意のアリールまたはヘテロアリールは、所望によりメチルおよびメトキシから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されており、そして、任意のアルキレンは、所望により、ヒドロキシ、メチルおよびニトロから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されている。
【0020】
他の態様において、R7bが水素、メチル、シアノ−エチル、エチル、プロピル、プロペニルおよびヒドロキシ−エチルから選択される。
【0021】
他の態様において、R7aおよびR7bが、R7aおよびR7bが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、オキソ−ピペリジニル、2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル、3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル、アゼパン−1−イル、2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル、3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル、チアゾリジン−3−イルおよび[1,4]ジアゼパン−1−イルから選択される基を形成し;ここで、R7aとR7bの組合せの任意のヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、所望により、メチル、メトキシ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−メチル、イソプロピル−アミノ−カルボニル−メチル、メトキシ−カルボニル、アミノ−カルボニル、エトキシ−カルボニル、t−ブトキシ−カルボニル−アミノ、メトキシ−メチル、メトキシ−エチル、フェニル、1−フェネチル、ベンジル、ジエチル−アミノ−カルボニル、フラニル−カルボニル、トリフルオロメチル、テトラヒドロ−フラン−2−カルボニルから独立して選択される1〜2個のラジカルで置換されており;そしてR7aとR7bの組合せの任意のフェニルまたはベンジル置換基は、所望により、クロロ、メチル、トリフルオロメチルおよびメトキシから独立して選択される1〜3個のラジカルでさらに置換されている。
【0022】
好ましい式Iの化合物は、以下の実施例および表に詳述する。
【0023】
薬理学および有用性
本発明の化合物は、LXRの活性を調節し、それ自体、LXRが疾患の病状および/または症状に関与する疾患または障害の処置に結友である。本発明は、さらに、LXRが疾患の病状および/または症状に関与する疾患または障害の処置のための医薬の製造に使用するための、本発明の化合物をさらに提供する。LXRは、炎症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症を含む心血管疾患ならびにインスリン抵抗性、II型糖尿病、および肥満を含むグルコースホメオスタシスの障害を含む、疾患または状態を仲介する。
【0024】
リポタンパク質代謝は、超低密度リポタンパク質(VLDL)としての肝臓からのトリグリセライドおよびコレステロールに富む粒子の産生、これらのリポタンパク質粒子の血漿内での(VLDLから中密度(IDL)ないし低密度リポタンパク質(LDL)への)修飾および血漿からの該粒子の、また肝臓によるクリアランスから成る動的過程である。この過程は、トリグリセライドおよび遊離コレステロールの体内の細胞への輸送を提供する。逆コレステロール輸送は、過剰のコレステロールが、肝臓外組織から肝臓に戻る提案されている機構である。
【0025】
本工程は高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールにより行われる。肝臓からのリポタンパク質産生(VLDL、HDL)、血漿内での粒子(全て)の修飾およびその後の肝臓へのクリアランスのための戻りは、血漿中の定常コレステロール濃度を担う。本発明の化合物は、動脈からのコレステロール流出を増加させることにより、逆コレステロール輸送を増加させる。本発明は、逆コレステロール輸送を増加させるための薬剤の製造のための、本発明の化合物の使用を含む。加えて、本発明は、コレステロール吸収阻害のための化合物および正味のコレステロール吸収を阻止するための医薬の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0026】
本発明の化合物は、炎症および神経変性疾患または神経学的障害の予防または処置にも有用であり得る。従って、本発明はまた炎症の予防または処置方法、および神経変性疾患または神経学的障害、特にニューロン変性、ニューロン傷害またはCNSにおける障害された可塑性もしくは炎症により特徴付けられる神経変性疾患または障害の予防または処置方法も提供する。脳におけるニューロン変性、炎症、コレステロールおよび脂質異常により特徴付けられる、故に、ニューロンの増殖および/または修復により利益を受ける特定の疾患または状態は、卒中、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(タウオパチー)、末梢ニューロパシー、パーキンソン病、レビ小体認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および多発性硬化症およびニーマン・ピック病を含む。ニューロン変性および/または障害された可塑性により特注付けられる疾患または状態は、統合失調症および鬱病のような精神障害を含む。ニューロン障害により特徴付けられる特定の疾患または状態は、外傷を含む、脳および/または脊髄傷害と関連する状態を含む。加えて、本発明の化合物は、リウマチ性関節炎、骨関節症、乾癬、喘息などのような炎症性要素を伴う種々の疾患の処置または予防に使用できる。
【0027】
LXRアゴニストは糖耐性を改善し、glut4発現を増強する(2002年12月23日出願の米国仮特許出願60/436,112;2003年12月22日出願の米国特許出願10/745,334)。肝臓および脂肪組織におけるグルコース代謝に関与する遺伝子の協調した制御が存在する。肝臓において、LXRアゴニストは、肝糖新生に重要ないくつかの遺伝子の発現、例えば、PGC−1α、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)、およびグルコース−6−ホスファターゼ発現を阻害する。これらの糖新生遺伝子の阻害は、肝グルコース利用を促進するグルコキナーゼ発現の誘導を伴う。glut4 mRNAレベルが、LXRアゴニストにより脂肪組織において上方制御されること、3T3−L1脂肪細胞におけるグルコース取り込みがインビトロで増強されることも判明した。
【0028】
これらの発見に基づいて、本発明は、対象における細胞内のglut4発現を増強する方法であって、本発明の化合物を該対象に投与することを含む、方法を提供する。本発明はまた、真性糖尿病および関連障害、例えば肥満または高血糖の処置方法であって、対象に該疾患の症状を軽減するために有効量の本発明の化合物を投与することによる、方法も提供する。例えば、II型糖尿病は、本発明の方法での処置に感受性である。細胞によるインスリンおよびグルコース取り込みを増強することにより、本発明の化合物の投与はまた、インスリン機能異常(例えば、抵抗性、不活性または欠損)および/または細胞への不十分なグルコース輸送により特徴付けられる他の疾患も処置できる。
【0029】
本発明の化合物はまた、肝臓糖新生において重要な役割を有する多くの遺伝子の発現レベルも制御する。従って、本発明はさらに、このような遺伝子(例えば、PGC−1およびPEPCK)の発現を調節することにより、対象の糖新生を減少させる方法を提供する。
【0030】
膵臓において、LXR活性化は膵臓β細胞におけるグルコースおよび脂質代謝の調節を介してインスリン分泌を刺激し、LXRの抗糖尿病効果の他の機構を示唆する。故に、LXRモジュレーターは、膵臓からのインスリン分泌の促進により、糖耐性も制御できる。
【0031】
前記によって、本発明は、さらに、処置を必要とする対象における上記の疾患または障害の処置方法であって、該対象に式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の治療的有効量(下記“投与および医薬組成物”参照)を投与することを含む、方法を提供する。上記使用の全てについて、必要な投与量は投与形式、処置すべき特定の状態および望む効果に依存して変化する。
【0032】
投与および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は、当分野で既知の通常の許容される方式のいずれかを介して、治療的有効量で、単剤として、または1種以上の他の治療剤と組み合わせて投与する。治療的有効量は、疾患、対象の年齢および相対的健康、使用する化合物の効果および他の因子に依存して、広範に変化し得る。一般に、満足いく結果が、約0.03から2.5mg/kg体重の1日量で全身的に得られることが指示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおける指示される1日量は、約0.5mgから約100mgの範囲であり、簡便には、例えば1日4回までの分割量でまたは遅延形態で投与する。経口投与用の適当な単位投与形態は、約1から50mg活性成分を含む。
【0033】
本発明の化合物は、医薬組成物として任意の慣用の経路で、特に経腸的に、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセルの形で、または非経腸的に、例えば、注射用溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏またはクリームの形で、または経鼻または坐薬形態、または吸入形態で投与できる。遊離形または薬学的に許容される塩の形の本発明の化合物を少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、慣用の手段で、混合、造粒またはコーティング法により製造できる。例えば、経口組成物は、活性成分をa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;望むならばd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射用組成物は、水性等張溶液または懸濁液であり得て、坐薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造できる。本組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらは他の治療的に価値ある物質を含み得る。経皮適用のための適当な製剤は、有効量の本発明の化合物を担体と共に含む。担体は、宿主の皮膚を介した通過を助けるための吸収可能な薬理学的に許容される溶媒を含む。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により化合物を宿主の皮膚に制御されかつ予定された速度で長時間にわたり送達するための速度制御バリア、およびデバイスを皮膚に固定するための手段を含む、バンデージの形である。マトリックス経皮製剤も使用できる。例えば、皮膚および眼への局所投与用の適当な製剤は、好ましくは当分野で既知の水性溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。これは可溶化剤、安定化剤、張性増強剤、緩衝剤および防腐剤を含み得る。
【0034】
本発明の化合物は、1種以上の治療剤と組み合わせて治療的有効量で投与できる(医薬組合せ)。例えば、心血管、炎症性および/または神経変性疾患の処置に使用される他の物質と共に相乗効果が起こり得る。このような化合物の例は、フィブラート、TZD、メトホルミンなどを含む。本発明の化合物を他の治療剤と共に投与するとき、併用投与する化合物の投与量は、もちろん、用いる併用剤のタイプ、用いる具体的薬剤、処置する状態などに依存して変化する。
【0035】
本発明はまた、a)遊離形または薬学的に許容される塩形のここに開示の本発明の化合物である第一剤、およびb)少なくとも1種の併用剤を含む医薬組合せ、例えばキットも提供する。本キットは投与のための指示書を含み得る。
【0036】
ここで使用する用語“併用投与”または“組合せ投与”などは、選択した複数治療剤の単独患者への投与を包含することを意味し、これらの医薬を必ずしも同じ経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0037】
ここで使用する用語“医薬組合せ”は、1種を超える活性成分の混合または組合せによりもたらされる製品を意味し、複数活性成分の固定されたおよび固定されていない組合せの両方を含む。用語“固定された組合せ”は、複数活性成分、例えば式Iの化合物と併用剤を、両方とも、一つの物または投与量の形で患者に同時に投与することを意味する。用語“固定されていない組合せ”は、複数活性成分、例えば式Iの化合物と併用剤を、両方とも患者に別々の物として、一緒に、同時にまたは具体的時間制限なしに連続的に投与することを意味し、ここで、このような投与は、患者体内で2種の化合物の治療的有効レベルを提供する。後者はまたカルテル療法、例えば、3種以上の活性成分の投与にも適用される。
【0038】
本発明の化合物の製造方法
本発明はまた本発明の化合物の製造方法も含む。記載の反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を、これらが最終生成物において望まれるとき、反応への望まない参加を避けるために、保護する必要があり得る。慣用の保護基を、標準実務に従い使用でき、例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991を参照のこと。
【0039】
式Iの化合物を、以下の反応スキームIの通りに進行して製造できる:
反応スキームI
【化3】

〔式中、R、R、R、RおよびRは発明の要約において定義の通りである。〕。式Iの化合物を、式2の化合物と式3の化合物を、適当な溶媒(例えばACNなど)および適当な塩基(例えばCsCOなど)の存在下、反応させることにより、製造する。反応は、約5から約30℃の範囲の温度で行い、完了まで20時間かかる。
【0040】
およびRが両方とも水素である式Iの化合物は、以下の反応スキームIIの通りに進行して製造できる:
反応スキームII
【化4】

〔式中、R、RおよびRは発明の要約において定義の通りである。〕。式Iの化合物は、式2の化合物と式4の化合物を、適当な溶媒(例えばCHClなど)および適当な還元剤(例えばNABH(OAc)など)の存在下、反応させることにより製造する。反応は、約5から約30℃の範囲の温度で行い、完了まで20時間かかる。
【0041】
本発明の化合物の製造のための付加的方法
本発明の化合物は、遊離塩基形の化合物と薬学的に許容される無機または有機酸を反応させることにより、薬学的に許容される酸付加塩として製造できる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離酸形の化合物と薬学的に許容される無機または有機塩基の反応により製造できる。あるいは、塩形の本発明の化合物を、塩の出発物質または中間体を使用して製造できる。
【0042】
遊離酸または遊離塩基形の本発明の化合物を、対応する塩基付加塩または酸付加塩形から各々製造できる。例えば酸付加塩形の本発明の化合物を、対応する遊離塩基に、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより変換できる。塩基付加塩形の本発明の化合物を、対応する遊離酸に適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより変換できる。
【0043】
酸化されていない形の本発明の化合物を、N−オキシドの本発明の化合物から、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、リチウムボロハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、ホスホラストリクロライド、トリブロマイドなど)で、適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0から80℃で処理することにより製造できる。
【0044】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細についてはSaulnier et al., (1994), BioorganicおよびMedicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグを、誘導体化されていない本発明の化合物と適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)を反応させることにより製造できる。
【0045】
本発明の化合物の被保護誘導体は、当業者に既知の手段により製造できる。保護基の創成およびそれらの除去に適用できる技術の詳細な記載はT. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John WileyおよびSons, Inc., 1999に見ることができる。
【0046】
本発明の化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)として簡便に製造でき、または本発明の工程中に形成される。本発明の化合物の水和物は、簡便には水性/有機溶媒混合物からの再結晶により、ジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を使用して製造できる。
【0047】
本発明の化合物は、本化合物のラセミ混合物を光学活性分割剤と反応させてジアステレオ異性化合物のペアを形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、それらの個々の立体異性体として製造できる。エナンチオマーの分割は本発明の化合物の共有結合的ジアステレオマー誘導体で行うことができるが、解離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの差異を利用して容易に分離できる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解度の差異に基づいた分離/分割技術により分離できる。次いで、光学的に純粋なエナンチオマーを分割剤と共に、ラセミ化をもたらさない任意の実際的手段により回収する。ラセミ混合物の分割は、キラルHPLCを使用して行い得る。化合物のラセミ混合物からの立体異性体の分割に適用できる技術のより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【0048】
要約すると、式Iの化合物は以下を含む方法により製造できる:
(a)反応スキームIまたはIIのもの;および
(b)所望により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(c)所望により塩形の本発明の化合物の非塩形への変換;
(d)所望により酸化されていない形の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(e)所望によりN−オキシド形の本発明の化合物のその酸化されていない形への変換;
(f)所望により異性体混合物からの本発明の化合物の個々の異性体の分割;
(g)所望により誘導体化されていない本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(h)所望によりプロドラッグ誘導体の本発明の化合物の、その誘導体化されていない形への変換。
【0049】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、該化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に準じて、または下記実施例の通りに製造できる。
【0050】
上記の変換は本発明の化合物の製造のための単なる代表例であり、他の既知の方法を同様に使用できることを当業者は認識しよう。
【実施例】
【0051】
本発明を、本発明の式Iの化合物の製造を説明する以下の実施例によりさらに例示するが、限定しない。
【0052】
実施例1
{3−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル−メタノン
【化5】

マグネシウム(325mmol)のTHF(120mL)懸濁液に、25℃で窒素雰囲気下4−ブロモアニソール(296mmol)のTHF(60mL)溶液を10分にわたり添加する。得られた混合物を50℃で4時間撹拌し、25℃に冷却させる。この混合物に、N−ベンジル−3−ピペリドン(159mmol)のTHF(50mL)溶液を添加する。反応を25℃で10時間撹拌する。反応混合物をゆっくり氷水(100mL)に注ぎ、水性層をEtOAc(3×50mL)で洗浄する。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濃縮する。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーでヘキサン/EtOAc(3:1)を使用して精製して、1−ベンジル−3−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−3−オールを得る:1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.41(d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.35-7.21(m, 5H), 6.86(d, J = 8.8 Hz, 2H), 3.93(br s, 1H), 3.79(s, 3H), 3.58(d, J = 2.4 Hz, 2H), 2.91(d, J = 10 Hz, 1H), 2.73(d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.29(d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.09-1.82(m, 2H), 1.81-1.61(m, 3H). LCMS:(ES+)298.2(M+1)。
【0053】
1−ベンジル−3−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−3−オール(6.66mmol)のCHCl(50mL)溶液をアニソール(15.9mmol)で処理し、その後AlCl(15.9mmol)を少しずつ添加する(非常に発熱性)。反応混合物を還流下で2時間加熱する。混合物を室温に冷却し、破砕氷(10mL)と30%水性NHOH(40mL)の混合物にゆっくり注ぐ。混合物を20分激しく撹拌し、次いでセライトを通して濾過する。セライトケーキをCHCl(50mL)で洗浄する。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮する。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーでHex/EtOAc(1:1)を使用して精製して、1−ベンジル−3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジンを得る:1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.41-7.23(m, 5H), 7.16(d, J = 8.8 Hz, 4H), 6.79(d, J = 8.8 Hz, 4H), 3.79(s, 6H), 2.84(br s, 2H), 2.49(br s, 2H), 2.24(m, 2H), 1.56(m, 2H). LCMS:(ES+)388.2(M+1)。
【0054】
Parr加圧ビン中の1−ベンジル−3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン(2.8mmol)の3:1 MeOH/EtOAc(40mL)溶液をPd/Cで処理する。反応混合物を40psiのHと12時間振盪する。反応をセライトを通して濾過し、EtOAcで洗浄する。濾液を濃縮して、3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジンを得る:1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.32(d, J = 8 Hz, 4H), 7.04(d, J = 8 Hz, 4H), 3.96(s, 6H), 3.89(br s, 2H), 3.43(br s, 2H), 2.61(br s, 2H), 2.03(br s, 2H). LCMS:(ES+)298.4(M+1)。
【0055】
3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン(5.38mmol)のCHCl(15mL)溶液を3−ホルミル安息香酸メチル(6.46mmol)およびNaBH(OAc)(8.1mmol)で処理する。反応混合物を25℃で12時間撹拌し、HO(15mL)で希釈する。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮する。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーでHex/EtOAc(2:1)を使用して精製して、3−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−安息香酸メチルエステルを得る:1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.95(br s, 1H), 7.88(d, J = 4 Hz, 1H), 7.49(d, J = 8 Hz, 1H), 7.34(d, J = 8 Hz, 1H), 7.05(d, J = 8 Hz, 4H), 6.7(d, J = 8 Hz, 4H), 3.86(s, 3H), 3.69(s, 6H), 3.47(s, 2H), 2.72(br s, 2H), 2.40(br s, 2H), 2.15(br m, 2H), 1.55-1.42(m, 2H). LCMS:(ES+)446.2(M+1)。
【0056】
20mLの3:2:1 THF/MeOH/HO中の3−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−イルメチル]−安息香酸メチルエステル(5.36mmol)の溶液を3N LiOH(16.1mmol)で処理する。反応混合物を5時間撹拌し、CHClで抽出する。有機抽出物を濃縮して、3−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−安息香酸リチウムを得る。LCMS:(ES+)432.2(M+1)。
【0057】
3−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−安息香酸リチウム(0.174mmol)のDMSO(2mL)溶液をピロリジン(0.174mmol)、DIEA(0.174mmol)、およびHATU(0.174mmol)で連続的に処理する。反応混合物を25℃で12時間撹拌し、濾過し、分取LC/MS(20−100%MeCN/HO)で精製して、{3−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−フェニル}−ピロリジン−1−メタノンを得る:1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.66(s, 1H), 7.62-7.45(m, 3H), 6.98(d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.86(d, J = 8 Hz, 4H), 6.73(d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.54(d, J = 13.2 Hz, 1H), 4.26(d, J = 13.2 Hz, 1H), 4.01(d, J = 12.8, 1H), 3.80(s, 3H), 3.72(s, 3H), 3.65-3.49(m, 3H), 3.42(br m, 2H), 3.32(d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.02(br m, 1H), 2.65(d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.21-1.84(m, 7H). LCMS:(ES+)485.2(M+1)。
【0058】
実施例2
(1−{4−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−ベンゾイル}−ピロリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化6】

3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン(22.9mmol)のCHCl(50mL)溶液を4−ホルミル安息香酸メチル(27.5mmol)およびNaBH(OAc)(34.3mmol)で処理する。反応混合物を25℃で12時間撹拌し、HO(50mL)を希釈する。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮する。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーでHex/EtOAc(2:1)を使用して精製して、4−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−安息香酸メチルエステルを得る:1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.94(d, J = 8 Hz, 2H), 7.34(d, J = 8 Hz, 2H), 7.05(d, J = 8 Hz, 4H), 6.71(d, J = 8 Hz, 4H), 3.85(s, 3H), 3.70(s, 6H), 3.48(s, 2H), 2.74(br s, 2H), 2.39(br s, 2H), 2.19-2.11(m, 2H), 1.55-1.47(m, 2H). LCMS:(ES+)446.2(M+1)。
【0059】
50mLの3:2:1 THF/MeOH/HO中の4−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジニル−メチル]−安息香酸メチルエステル(22.9mmol)の溶液を3N LiOH(229mmol)で処理する。反応混合物5時間撹拌し、CHClで抽出する。有機抽出物を濃縮して、4−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−安息香酸リチウムを得る。LCMS:(ES)432.2(M+1)。
【0060】
4−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−安息香酸リチウム(0.696mmol)のDMSO(7mL)溶液を3−(tert−ブトキシ−カルボニル−アミノ)ピロリジン(0.766mmol)、DIEA(0.835mmol)、およびHATU(0.766mmol)で連続的に処理する。反応混合物を25℃で12時間撹拌し、濾過し、分取LC/MS(MeCN勾配20−100%)で精製して、(1−{4−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−ベンゾイル}−ピロリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得る:(400 Hz, DMSO, 330K) δ 7.54-7.44(m, 2H), 7.38(d, J =7.6Hz, 2H), 7.15(d, J = 8.4 Hz, 4H), 6.81(d, J = 8.4 Hz, 4H), 4.1-3.9(m, 1H), 3.74(s, 6H), 3,63(bs, 1H), 3.58(bs, 2H), 3.53(bs, 1H), 3.32(bs, 1H), 2.88(bs, 2H), 2.42(bs 2H), 2.21(bs, 2H), 2.08(bs, 1H), 2.0(s, 1H), 1.85(bs, 1H), 1.38(bs, 2H), 1.28(bs, 9H). LCMS:(ES+)600.7(M+1)。
【0061】
実施例3
{4−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−フェニル}−[4−(1−フェニル−エチル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【化7】

表題化合物を実施例2に記載のように合成する:1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 7.62(d, J = 8Hz, 2H), 7.58-7.56(m, 3H), 7.53(d, J = 8Hz 2H), 7.5-7.48(m, 2H), 7.14-6.9(br m, 8H), 4.5-4.4(br m, 3H), 4.3-4.1(bs, 2H), 3.8-3.7(br m, 10H), 3.27 - 3.25(bs, 2H), 3.0-2.77(bs, 4H), 2.5-2.0(bs, 3H), 1.9(d, J = 7.2 Hz, 4H). LCMS:(ES+)604.3(M+1)。
【0062】
実施例4
1−{3−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−ベンゾイル}−ピペリジン−3−カルボン酸ジエチルアミド
【化8】

表題化合物を実施例1に記載のように合成する。1H NMR(400 Hz, CDCl3) δ 7.59-7.41(m, 4H), 7.21(d, J = 8.8 Hz, 4H), 6.88(d, J = 8.8 Hz, 4H), 3.86(s, 6H), 3.83-3.65(m, 2H), 3.64-3.35(m, 4H), 3.25-2.94(m, 4H), 2.85-2.51(m, 4H), 2.39-2.22(m, 2H), 2.05-1.91(m, 4H), 1.79-1.62(m, 2H), 1.39-1.29(m, 2H), 1.28-1.15(m, 2H), 1.12-0.99(m, 2H).LCMS:(ES+)598.3(M+1)。
【0063】
実施例5
{4−[3,3−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イルメチル]−フェニル}−[4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【化9】

表題化合物を実施例2に記載のように合成した:1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 7.56(d, J = 7.6Hz, 2H), 7.46(d, J = 7.6Hz, 2H), 7.42-7.36(m, 4H), 7.15-6.85(br m, 8H), 4.4(bs, 1H), 4.39(s, 2H), 3.76(br m, 8H), 3.4- 2.9(br m, 4H), 2.9-2.5(br m, 2H), 2.3-1.7(br m, 3H). LCMS:(ES+)624.2(M+1)。
【0064】
上記実施例に記載の方法を、適当な出発物質を使用して繰り返し、表1に同定する以下の式Iの化合物を得る。
【0065】
表1
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
【表7】

【0072】
【表8】

【0073】
【表9】

【0074】
【表10】

【0075】
【表11】

【0076】
【表12】

【0077】
【表13】

【0078】
【表14】

【0079】
【表15】

【0080】
【表16】

【0081】
【表17】

【0082】
【表18】

【0083】
【表19】

【0084】
【表20】

【0085】
アッセイ1 − 転写アッセイ
トランスフェクションアッセイを使用して、本発明の化合物がLXRの転写活性を調節する能力を評価する。簡単に言うと、LXRαまたはLXRβのいずれかのリガンド結合ドメイン(LBD)に融合した酵母GAL4のDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質のための発現ベクターを、ルシフェラーゼ遺伝子がGAL4結合部位の制御下にあるレポータープラスミドと共に、一過性トランスフェクションを介して哺乳動物細胞に挿入する。LXRモジュレーターに暴露されると、LXR転写活性が変わり、これがルシフェラーゼレベルの変化によりモニターできる。トランスフェクトした細胞がLXRアゴニストに暴露されると、LXR依存性転写活性が増加し、ルシフェラーゼレベルが上昇する。
【0086】
293Tヒト胚腎臓細胞(8x10)を、実験開始2日前に175cmフラスコの、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/ファンギゾン(Fungizome)、DMEM培地中に播種する。キメラタンパク質のためのトランスフェクション混合物を、GAL4−LXR LBD発現プラスミド(4μg)、UAS−ルシフェラーゼレポータープラスミド(5μg)、Fugene(3:1比;27μL)および無血清培地(210μL)を使用して調製する。トランスフェクション混合物を20分、室温でインキュベートする。細胞をPBS(30mL)での洗浄により回収し、次いでトリプシン(0.05%;3mL)を使用して解離させる。トリプシンをアッセイ培地(DMEM、リポタンパク質欠損胎児ウシ血清(5%)、スタチン(例えばロバスタチン7.5μM)、およびメバロン酸(100μM))(10mL)の添加により不活化する。細胞を1:10希釈を使用して計測し、細胞濃度を160,000細胞/mLに調節する。細胞をトランスフェクション混合物(10mLの細胞/250μlのトランスフェクション混合物)と混合し、さらに30分、室温で定期的に倒置により撹拌しながらインキュベートする。次いで細胞(50μl/ウェル)を384白色、固体底、TC処理プレートに播種する。細胞をさらに37℃、5.0%COで24時間インキュベートする。12点シリーズの希釈(ハーフログ連続希釈)を、1μMの化合物の出発濃度で、各試験化合物についてDMSO中に調製する。試験化合物(500nl)をアッセイプレートの各ウェルの細胞に添加し、細胞を37℃、5.0%COで24時間インキュベートする。細胞溶解/ルシフェラーゼアッセイ緩衝液Bright-GloTM(25%;25μl;Promega)を各ウェルに添加する。さらに5分、室温でインキュベーション後、ルシフェラーゼ活性を測定する。
【0087】
生蛍光値を、それらを各プレートに存在するDMSOコントロールの値で割ることにより標準化する。標準化データをXLfit3を使用して可視化し、4パラメータロジスティックモデルまたはシグモイド位置部位用量応答等式(XLfit3.05の等式205)を使用して、用量応答曲線を適合させる。EC50を、化合物が最大および最低の間の半分の応答を誘発する濃度として定義する。相対的効果(またはパーセント効果)を既知LXRモジュレーター、(3−{3−[(2−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2,2−ジフェニル−エチル)−アミノ]−プロポキシ}−フェニル)−酢酸について得られた最大値と化合物により誘発された応答を比較することにより計算する。
【0088】
アッセイ2 − LXRモジュレーターにより誘発される内在性遺伝子発現の評価法
ABCA1遺伝子発現
ヒトTHP1細胞を増殖培地(RPMI 1640中10%定義したFBS、2mM L−グルタミン、10mM HEPES、1.0mM ピルビン酸ナトリウム、4.5g/L グルコース、1.5g/L ビカーボネート、0.05mM 2−メルカプトエタノール)で増殖させる。1日目、増殖培地+40ng/mL PMA中250,000細胞/mLの濃度の細胞0.5mLを、48ウェル皿に播種する。プレートを24時間、37℃でインキュベートする。2日目、培地を0.5mL新鮮アッセイ培地(増殖培地と同一であるが、血清サプリメントとして2%リポタンパク質欠損FBSを含む)に変え、化合物を6時間後に添加する(DMSO中1または10μM)。次いでプレートを37℃で24時間インキュベートする。3日目、細胞を回収し、RNAをRNeasyキット(Qiagen)をDNaseIオプションと共に使用して単離する。RNAを100ulの水に溶出し、定量し(260nmでのUV吸収)、−80℃で使用するまで貯蔵する。
【0089】
ABCA1遺伝子発現を、TaqMan定量的PCRを使用して、ヒトABCA1についてフォワード5'TGTCCAGTCCAGTAATGGTTCTGT3'、リバース5'AAGCGAGATATGGTCCGGATT3'、プローブ5'FAM ACACCTGGAGAGAAGCTTTCAACGAGACTAACCTAMRA3'、およびヒト36B4について、フォワード5'CCACGCTGCTGAACATGC3'、リバース5'TCGAACACCTGCTGGATGAC3'、プローブ5'VIC AACATCTCCCCCTTCTCCTTTGGGCT TAMRA3'のプライマー/プローブセットを使用して測定する。逆転写およびPCR反応を、連続的に同じサンプル混合物でSuperscript Platinum III Q-PCR試薬(Invitrogen)を使用して行う。反応混合物(Superscript RT/Platinum Taq − 0.4μl、2x反応混合物 − 10μl、36B4プライマー − 0.4μlの10μMストック、ABCA1プライマー − 1.8μlの10μMストック、ABCA1プローブ−FAM − 0.04μlの100μMストック、36B4プローブ−VIC − 0.04μlの50μMストック、RNA(50ng/μl)− 2μl、50×ROX色素 − 0.4μl、MgSO − 0.4μlの50mMストック、水 − 4.52μl)を384ウェルプレートに入れ、ABI HT7900機器を、標準条件を使用して流す。ABCA1遺伝子発現を希釈RNAの曲線を参照にして評価し、サンプルに存在する36B4 RNAのレベルに対して標準化する。化合物により誘導される誘導倍率をDMSOを参照にして計算する。相対的効果(またはパーセント効果)を、既知LXRモジュレーター、(3−{3−[(2−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2,2−ジフェニル−エチル)−アミノ]−プロポキシ}−フェニル)−酢酸でえられ得る最大値と化合物により誘発される応答の比較により計算する。
【0090】
Fas遺伝子発現
ヒトHepG2細胞を増殖培地(DMEM中10%FBS、2mM L−グルタミン、1.5g/L ビカーボネート、0.1mM 非必須アミノ酸、1.0mM ピルビン酸ナトリウム)で増殖させる。1日目、48ウェルプレートのプレートあたり、増殖培地中150,000細胞/mLの濃度の0.5mLの細胞を播種する。次いで、プレートを37℃で24時間インキュベートする。2日目、培地を0.5mLのアッセイ培地(増殖培地と同一であるが、血清サプリメントとして2%リポタンパク質欠損FBSを含む)に変え、化合物を6時間後に添加する(DMSO中1または10μM)。次いで、プレートを37℃で36−48時間インキュベートする。細胞を回収し、RNAをRNeasyキット(Qiagen)をDNaseIオプションと共に使用して単離する。RNAを100ulの水に溶出し、定量し(260nmでのUV吸収)、−80℃で使用するまで貯蔵する。Fas遺伝子発現、TaqMan定量的PCRを使用して、ヒトFasについて、フォワード5'GCAAATTCGACCTTTCTCAGAAC3'、リバース5'GGACCCCGTGGAATGTCA3'、プローブ5'FAM ACCCGCTCGGCATGGCTATCTTC TAMRA3'およびヒト36B4について、フォワード5'CCACGCTGCTGAACATGC3'、リバース5'TCGAACACCTGCTGGATGAC3'、プローブ5'VIC AACATCTCCCCCTTCTCCTTTGGGCTTAMRA3'のプライマー/プローブセットを使用して測定する。逆転写およびPCR反応を、連続的に同じサンプル混合物でSuperscript Platinum III Q-PCR試薬(Invitrogen)を使用して行う。混合物(Superscript RT/Platinum Taq − 0.4μl、2×反応混合物 − 10μl、36B4プライマー − 1.2μlの10μMストック、Fasプライマー − 1.2μlの10μMストック、Fasプローブ−FAM − 0.045μlの100μMストック、36B4プローブ−VIC − 0.08μlの50μMストック、RNA(50ng/μl)− 2μl、50×ROX色素 − 0.4μl、MgSO4 − 1μlの50mMストック、水 − 3.68μl)を384ウェルプレートに入れ、ABI HT7900機器を、標準条件を使用して流す。Fas遺伝子発現を希釈RNAの曲線を参照にして評価し、サンプルに存在する36B4 RNAのレベルに対して標準化する。化合物により誘導される誘導倍率をDMSOを参照にして計算する。
【0091】
アッセイ3 − FRETコアクティベーター動員アッセイ
FRETアッセイを使用して、本発明の化合物が直接LXRリガンド結合ドメイン(LBD)に結合し、LXRの転写活性を増強するタンパク質(例えばコアクティベーター)の動員を増強する能力を評価する。この無細胞アッセイは、LXR LBDおよびその精製を簡単にするタグ(例えばGST、His、FLAG)、ステロイド受容体コアクティベーター1(SRC−1)のような転写コアクティベータータンパク質の核受容体相互作用ドメイン由来の合成ビオチニル化ペプチドから成る組み換え融合タンパク質を使用する。一つの方法では、タグ付きLBD融合タンパク質をユーロピウムに結合したLBDタグに対する抗体(例えばEU標識抗GST抗体)、およびストレプトアビジンに結合したアロフィコシアニン(APC)で標識できるコアクティベーターペプチドを使用して標識できる。LXRのアゴニスト存在下で、コアクティベーターペプチドをLXR LBDに集め、EUおよびAPC部分を近接させる。340nMの光で該複合体を励起させると、EUはエネルギーを吸収し、APC部分に伝達し、665nmの発光をもたらす。エネルギー伝達がなければ(EU−APC近接の不存在を示す)、EUは615nmで発光する。故に、発光される665対615nm光の比率が、コアクティベーターペプチド動員の、および故にLXR LBDに結合するアゴニストの強度の指標となる。
【0092】
融合タンパク質、LXRα(NR1H3)についてのアミノ酸205−447(Genbank NM_005693)およびLXRβ(NR1H3)についてのアミノ酸203−461(NM_007121for β)を、pGEX4T−3(27-4583-03 Amersham Pharmacia Biotech)のSal1およびNot1部位にフレーム内でクローン化した。ビオチニル化ペプチド配列は、SRC−1に由来した(アミノ酸676から700):ビオチン−CPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSPSC-OH。
【0093】
FRET緩衝液(50mM Tris pH7.5、50mM KCl 1mM DTT、0.1%BSA)中にマスター混合物(5nM GST−LXR−LBD、5nM ビオチニル化SRC−1 ペプチド、10nM APC−ストレプトアビジン(Prozyme Phycolink ストレプトアビジンAPC、PJ25S)、および5nM EU抗GST抗体)を調製する。384ウェルプレートの各ウェルに、20μLのこのマスター混合物を添加する。最終FRET反応:5nM融合タンパク質、5nM SRC−1 ペプチド、10nM APC−ストレプトアビジン、5nm EU抗GST抗体(PerkinElmer AD0064)。試験化合物をDMSO、ハーフログで、12点連続希釈で希釈し、1mMで開始し、100nLの化合物を、アッセイウェル中5μM−28pMの最終濃度となるようにマスター混合物に移す。プレートを室温で3時間インキュベートし、蛍光共鳴エネルギー移動を読む。結果を、APC蛍光対EU蛍光×1000で示す。
【0094】
665nm対615nmの比率を1000倍してデータ分析を簡単にする。バックグラウンドのためのDMSO値を比率から引く。データをXLfit3を使用して可視化し、4パラメータロジスティックモデルまたはシグモイド位置部位用量応答等式(XLfit3.05の等式205)を使用して、用量応答曲線を適合させる。EC50、化合物が最大および最低の間の半分の応答を誘発する濃度として定義する。相対的効果(またはパーセント効果)を参照LXRモジュレーターについて得られた最大値と化合物により誘発された応答を比較することにより計算する。
【0095】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、例えば、ここに記載のインビトロ試験により示される通り、価値ある薬理学的特性を示す。本発明の化合物は、10%から130%の範囲の内在性ABCA1の発現についての%効果を有する。ここに記載の実施例および態様は説明の目的のみであり、それに照らした種々の改変または変化が当業者には示唆され、本明細書の精神および範囲内および添付の特許請求の範囲に含まれることは理解すべきである。ここに引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的のために引用により本明細書に包含させる。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中:
およびRは、独立して水素、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロ(hetyero)シクロアルキルから選択され;ただし、RおよびRは両方とも水素ではなく;ここで、RまたはRの各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ−アルキル、ハロ−アルコキシ、−C(O)R6a、C(O)OR6a、C(O)NR6a6b、NR6a6bC(O)R6aおよびNR6a6bから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、R6aおよびR6bは、独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;
およびRは、独立して、水素およびC1−4アルキルから選択され;
は、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロ(hetyero)シクロアルキルから選択され;ここで、Rの各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりシアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、シアノ−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、−C(O)R7a、−C(O)OR7a、−C(O)NR7a7b、−NR7a7bC(O)R7a、−NR7a7b、−NR7aC(O)NR7a7b、S(O)0−27a、−S(O)0−2NR7a7bおよび−NR7aS(O)0−27bから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されており;ここで、7aはC1−6アルキル、シアノ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−置換−C1−6アルキル、−XOR10、−XNR10C(O)OR11、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから独立して選択され;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;R10は水素およびC1−6アルキルから選択され;そしてR7bは水素、C1−6アルキル、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択されるか;
またはR7aおよびR7bは、R7aおよびR7bが結合している窒素原子と一緒になって、C3−8ヘテロシクロアルキルまたはC5−10ヘテロアリールを形成し;
7a、R7bまたはR7aとR7bの組合せの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりC1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、−XC(O)NR1011、−XC(O)OR11、−XOR10、−XR11、−XNR10C(O)OR11、−XC(O)R12および−XR12から独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されており;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;R10は、水素およびC1−6アルキルから選択され;R11は水素、C1−6アルキル、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;そしてR12はC6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;
ここで、R12の任意のアリールもしくはヘテロアリールまたはR7aとR7bの組合せの任意のヘテロアリールもしくはアリール置換基は、所望によりかつ独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−置換−C1−6アルキル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキルおよびハロ−置換−C1−6アルコキシから選択される1〜3個のラジカルで置換されており;
そしてR7aまたはR7aとR7bの組合せの任意のアルキレンは、所望により、ヒドロキシ、ハロおよびC1−6アルキルから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されている。〕の化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、N−オキシド、水和物、溶媒和物および異性体。
【請求項2】
式Ia:
【化2】

〔式中:
7aは、C1−6アルキル、シアノ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−置換−C1−6アルキル、−XOR10、−XNR10C(O)OR11、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;R10水素およびC1−6アルキルから選択され;そしてR11は水素、C1−6アルキル、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;
7bは水素、C1−6アルキル、シアノ−置換−C1−6アルキル、C2−6アルケニルおよびヒドロキシ−置換−C1−6アルキルから選択され;
またはR7aおよびR7bは、R7aおよびR7bが結合している窒素原子と一緒になって、C3−8ヘテロシクロアルキルまたはC5−10ヘテロアリールを形成し;
ここで、R7aまたはR7aとR7bの組合せの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりC1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、−XC(O)NR1011、−XC(O)OR11、−XOR10、−XR11、−XNR10C(O)OR11、−XC(O)R12および−XR12から独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されており;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;R10水素およびC1−6アルキルから選択され;R11は水素、C1−6アルキル、C6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;そしてR12はC6−12アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;
ここで、R12の任意のアリールもしくはヘテロアリールまたはR7aとR7bの組合せの任意のヘテロアリールもしくはアリール置換基は、所望によりかつ独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−置換−C1−6アルキル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキルおよびハロ−置換−C1−6アルコキシから選択される1〜3個のラジカルで置換されており;
そして、R7aまたはR7aとR7bの組合せの任意のアルキレンは、所望により、ヒドロキシ、ハロおよびC1−6アルキルから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されている。〕
の化合物。
【請求項3】
7aが水素、メチル、フェネチル、ベンジル、フェニル、フェニル−プロピル、ピリジニル−メチル、ピリジニル−エチル、シアノ−エチル、シアノ−メチル、ピロリジニル、メトキシ−エチル、t−ブトキシ−カルボニル−アミノ−エチルおよびヒドロキシ−エチルから選択され;ここで、R7aの任意のアリールまたはヘテロアリールは、所望によりメチルおよびメトキシから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されており、そして任意のアルキレンは、所望により、ヒドロキシ、メチルおよびニトロから独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
7bが水素、メチル、シアノ−エチル、エチル、プロピル、プロペニルおよびヒドロキシ−エチルから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
7aおよびR7bが、R7aおよびR7bが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、オキソ−ピペリジニル、2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル、3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル、アゼパン−1−イル、2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル、3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル、チアゾリジン−3−イルおよび[1,4]ジアゼパン−1−イルから成る群から選択され;ここで、R7aとR7bの組合せの任意のヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、所望により、メチル、メトキシ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−メチル、イソプロピル−アミノ−カルボニル−メチル、メトキシ−カルボニル、アミノ−カルボニル、エトキシ−カルボニル、t−ブトキシ−カルボニル−アミノ、メトキシ−メチル、メトキシ−エチル、フェニル、1−フェネチル、ベンジル、ジエチル−アミノ−カルボニル、フラニル−カルボニル、トリフルオロメチル、テトラヒドロ−フラン−2−カルボニルから独立して選択される1〜2個のラジカルで置換されており;そしてR7aとR7bの組合せの任意のフェニルまたはベンジル置換基は、所望により、クロロ、メチル、トリフルオロメチルおよびメトキシから独立して選択される1〜3個のラジカルでさらに置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
治療的有効量の請求項1に記載の化合物を薬学的に許容される賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項7】
動物におけるLXR活性の調節が疾患の病状および/または症状を予防、阻止または軽減できる疾患または障害を処置する方法であって、該動物に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項8】
疾患または障害が心血管疾患、糖尿病、神経変性疾患および炎症から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
心血管疾患、糖尿病、神経変性疾患および炎症から選択される、動物におけるLXR活性が疾患の病状および/または症状に関与する疾患または障害の処置用医薬の製造における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項10】
動物におけるLXR活性の調節が疾患の病状および/または症状を予防、阻止または軽減できる疾患または障害を処置する方法であって、該動物に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項11】
さらに治療的有効量の請求項1に記載の化合物と、他の治療上関連する薬剤を組み合わせて投与することを含む、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2009−515904(P2009−515904A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540290(P2008−540290)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/044318
【国際公開番号】WO2007/092065
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】