説明

MEMS用感光性樹脂組成物及びその硬化物

【課題】良好な画像解像度、熱安定性、耐薬品及び溶媒溶解性を有し、高感度でかつプレッシャークッカー試験(PCT)後の基板への密着性が低下しない感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】テトラキスペンタフルオロフェニルボレート錯体からなる光カチオン重合開始剤(A)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有する特定構造のエポキシ樹脂(B)を含有してなるMEMS用感光性樹脂組成物。該エポキシ樹脂(B)の軟化点が40℃以上120℃以下かつエポキシ当量が150〜500/eq.であるMEMS用感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光画像形成性エポキシ樹脂組成物及びその永久硬化生成物であって、紫外(UV)リソグラフィにより加工したり、又は熱エンボスを使用してインプリントすることの出来る、MEMS(微小電子機械システム)部品、マイクロマシン部品、マイクロ流体部品、μ−TAS(微小全分析システム)部品、インクジェットプリンター部品、マイクロ反応器部品、導電性層、LIGA部品、微小射出成形及び熱エンボス向け型及びスタンプ、微細印刷用途向けスクリーン又はステンシル、MEMS及び半導体パッケージ部品、BioMEMS及びバイオフォトニックデバイス、並びにプリント配線板の製作において有用である組成物及びその積層体並びにそれらの硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー加工可能なレジストは、最近半導体やMEMS・マイクロマシンアプリケーションに広範に用いられている。このようなアプリケーションでは、フォトリソグラフィー加工は基板上でパターニング露光し、ついで、現像液で現像することで露光領域もしくは非露光領域を選択的に除去することで達成される。フォトリソグラフィー加工可能なレジスト(フォトレジスト)にはポジ又はネガタイプがあり、露光によって現像液に溶解するようになるものがポジタイプであり、同じく不溶となるものがネガタイプである。先端のエレクトロパッケージアプリケーションやMEMSアプリケーションでは均一なスピンコーティング膜の形成能だけではなく、高アスペクト比、厚膜におけるストレートな側壁形状、基板への高密着性等が要求される。ここで、アスペクト比とは、レジスト膜厚/パターン線幅により算出され、フォトリソグラフィーの性能を示す重要な特性である。
【0003】
このようなフォトレジストとしては、多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製 EPON SU−8レジン)及びダウケミカル製 CYRACURE UVI−6974のような光カチオン重合開始剤(この光カチオン重合開始剤は芳香族スルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートのプロピレンカーボネート溶液からなる)からなるネガタイプの化学増幅型フォトレジスト組成物が知られている。該フォトレジスト組成物は350〜450nmの波長域に非常に低い光吸収を持つことから、厚膜フォトリソグラフィー加工可能なフォトレジスト組成物として知られている。このフォトレジスト組成物は、種々の基板上にスピンコートもしくはカーテンコートし、ついでベーキングにより溶剤を揮発させ、100μmもしくはそれ以上の厚みの固体フォトレジスト層を形成し、さらにコンタクト露光、プロキシミティ露光又はプロジェクション露光などの各種露光方法を用いて、フォトマスクを通して近紫外光を照射することでフォトリソグラフィー加工される。続いて、現像液中に浸漬し、非露光領域を溶解させることで、基板上に高解像なフォトマスクのネガイメージを形成することができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、特定のエポキシ樹脂を配合することにより、EPON SU−8レジン系配合物の良好な画像解像度、熱安定性、耐薬品性及び溶媒性等の特性を維持し、同時に接着性、層間剥離、亀裂、クレイジング、応力及び柔軟性等の特性を向上させる手法が開示されている。しかしながら、該発明の組成物に含有される光カチオン重合開始剤に関しての記載はなく、光カチオン重合開始剤の違いによるプレッシャークッカー試験(PCT)後の密着性に関しても何ら言及されていない。
【0005】
一方、MEMS部品やMEMS及び半導体パッケージ等の分野では、パッケージ材料の物性が大きくデバイスの信頼性に影響を与えることが知られている。MEMS及び半導体素子は、周囲の温度や湿度の変化あるいは微細なごみや埃に大きく影響され、その特性を劣化させてしまい、また機械的振動や衝撃を受けることにより破損しやすい。これら外的要因からMEMS及び半導体素子を保護するために、セラミックス製の箱や樹脂で封止し、パッケージとして使用に供されていることは良く知られている。
【0006】
この中空タイプのパッケージを製造するにあたり、金属やセラミックスを用いる気密封止方式の場合、本質的に非透湿であるが、製造コストが高い、寸法精度が悪いなどの欠点も有する。これに対して樹脂封止の場合、製造コストは比較的低く、寸法精度も高いが、樹脂は基本的に水分拡散係数を有しており、時間が経つと徐々に水分を通過させ、半導体素子の特性を劣化させたり、気密性を保持したパッケージ内部に浸透した水分がガラス面を結露させたりし、信頼性に欠けるといった問題点があった(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】公表特許公報2007−522531
【特許文献2】公開特許公報2005−217212
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂を用いた従来の感光性樹脂組成物では、含有する光カチオン重合開始剤の感度が低いため、大量の開始剤を含有することが必要であったり、短時間でマスクパターンを樹脂パターンに忠実に再現できないという問題点があった。また、六フッ化アンチモン酸イオン(SbF6-)を含有する光カチオン重合開始剤は比較的高感度ではあるが、毒性の問題から使用用途が限定されるといった問題もあった。一方で、MEMS部品やMEMS及び半導体パッケージ等の分野では樹脂組成物の耐湿性等の理由により、経時的に密着力の低下が生じデバイスの信頼性を大きく低下させるという問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような従来の事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、良好な画像解像度、熱安定性、耐薬品性及び溶媒溶解性を有し、高感度でかつプレッシャークッカー試験(PCT)後の基板への密着性が低下しない感光性樹脂組成物を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、検討を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂と特定の光カチオン重合開始剤とを組み合わせて感光性樹脂組成物を調製し、この感光性樹脂組成物を使用して樹脂パターンを形成すれば、高感度でプレッシャークッカー試験後の基板への密着性が低下しないパターンを形成できることを見出した。
【0011】
即ち、本発明は、
(1)下記式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
で表される光カチオン重合開始剤(A)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有してなるMEMS用感光性樹脂組成物、
(2)MEMS用感光性樹脂組成物がパッケージ用である前項(1)に記載のMEMS用感光性樹脂組成物、
(3)エポキシ樹脂(B)の軟化点が40℃以上120℃以下かつエポキシ当量が150〜500/eq.である前項(1)又は(2)に記載のMEMS用感光性樹脂組成物、
(4)エポキシ樹脂(B)が下記式(3)
【0014】
【化2】

【0015】
(式(3)において、Rはそれぞれ独立にグリシジル基又は水素を示す。kは平均値を示し、0〜30の範囲にある実数である。)
で表されるエポキシ樹脂(B−1)、下記式(4)
【0016】
【化3】

【0017】
(式(4)において、各R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基を示す。pは平均値を示し1〜30の範囲にある実数である。)
で表されるエポキシ樹脂(B−2)、下記式(5)
【0018】
【化4】

【0019】
(式(5)において、n及びmは平均値を示し、独立に1〜30の範囲にある実数であり、R4及びR5は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子1〜4個を有するアルキル基又はトリフルオロメチルを示す。)
で表されるエポキシ樹脂(B−3)、下記式(6)
【0020】
【化5】

【0021】
(式(6)において、nは平均値を示し、1〜30の範囲にある実数である。)
で表されるエポキシ樹脂(B−4)及び下記式(7)
【0022】
【化6】

【0023】
で表されるエポキシ樹脂(B−5)からなる群から選択されるエポキシ樹脂を1種類又は2種類以上含有してなる前項(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のMEMS用感光性樹脂組成物、
(5)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のMEMS用感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物、
(6)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のMEMS用感光性樹脂組成物を基材で挟み込んだ積層体、
(7)前項(6)に記載の積層体を硬化して得られる硬化物
に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明による感光性樹脂組成物は、良好な画像解像度、熱安定性、耐薬品及び溶媒溶解性を有し、高感度でかつプレッシャークッカー試験(PCT)後の基板への密着性が低下しない特徴を有しているので、MEMS用感光性樹脂組成物として好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、前記式(1)で表される光カチオン重合開始剤(A)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有してなることを特徴とし、高感度でプレッシャークッカー試験後の基板への密着性が低下しないパターンを形成できる。さらに上記組成物は、毒性の高いアンチモン化合物を含まないため人体及び環境に対しても負荷を小さくすることができる。
【0026】
本発明における光カチオン重合開始剤(A)は、紫外線、遠紫外線、KrFやArFなどのエキシマレーザー、X線および電子線などの放射線の照射を受けてカチオンを発生し、そのカチオンが重合開始剤となりうる化合物で、通常感エネルギー線酸発生剤ともいわれている。
【0027】
次に前記エポキシ樹脂(B)について説明する。
本発明における前記エポキシ樹脂(B)とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。1分子中に有するエポキシ基が2個未満の場合、硬化物の耐薬品性や耐熱性が著しく低下し、永久膜としての使用に耐えない可能性がある。エポキシ樹脂(B)の具体例としては、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラック類とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンのようなハロヒドリンとを反応させて得られるノボラック型エポキシ樹脂や、オレフィンを有する化合物の酸化反応によって得られるエポキシ化合物等が挙げられる。
【0028】
これらエポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は150〜500g/eq.が好ましく、この範囲よりも小さいと硬化収縮が大きく硬化物の反りやクラックが発生しやすい点で好ましくない。一方、この範囲よりも大きい場合には、架橋密度が小さくなり、硬化膜の強度や耐薬品性、耐熱性、耐クラック性が悪く好ましくない。本発明でいうエポキシ当量とは、JIS K7236に準拠した方法で測定したエポキシ当量のことである。
また、軟化点が低い場合には、パターニングする際にマスクスティッキングが発生しやすく、さらに、ドライフィルムレジストとして使用する際にも常温で軟化するので好ましくない。一方、エポキシ樹脂(B)の軟化点が高い場合には、ドライフィルムレジストを基板へラミネートする際に軟化しにくく、基板への貼合性が悪くなるので好ましくない。上記のような理由により、多官能エポキシ樹脂の好ましい軟化点は40〜120℃であり、より好ましくは50〜100℃である。本発明でいう軟化点とはJIS K7234に準拠した方法で測定した軟化点のことである。
このように、本発明の感光性樹脂組成物においては、軟化点が40℃以上120℃以下かつエポキシ当量が150〜500/eqであるエポキシ樹脂が好ましい。上記範囲を満たすエポキシ樹脂(B)の具体例としては、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−4400H、EPPN−201、BREN−S、NER−7604、NER−7403、NER−1302、NER−7516、NC−3000H(いずれも日本化薬(株)製)、エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン(株)製)、EHPE3150(ダイセル(株)製)等が挙げられる。
【0029】
これらのエポキシ樹脂(B)のうち、前記式(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−5)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。前記式(B−1)で表されるエポキシ樹脂の具体例として、エピコート157(JER社製:エポキシ当量180〜250g/eq.、軟化点80〜90℃)、EPON SU−8(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ社製:エポキシ当量195〜230g/eq.、軟化点80〜90℃)等が挙げられる。前記式(B−2)で表されるエポキシ樹脂の具体例として、NC−3000(日本化薬社製:エポキシ当量270〜300g/eq.、軟化点55〜75℃)が挙げられる。前記式(B−3)で表されるエポキシ樹脂の具体例としてはNER−7604、NER−7403、NER−1302、及びNER−7516(以上、日本化薬社製:エポキシ当量200〜500g/eq.、軟化点55〜75℃)等が挙げられる。前記式(B−4)で表されるエポキシ樹脂の具体例としては、EOCN−1020(日本化薬社製:エポキシ当量190〜210g/eq.、軟化点55〜85℃)が挙げられる。前記式(B−5) で表されるエポキシ樹脂の具体例としては、NC−6300(日本化薬社製:エポキシ当量230〜235g/eq.、軟化点70〜72℃)が挙げられる。
尚、「前記式(B−1)で表されるエポキシ樹脂」とは、式(B−1)で表されるエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂を意味するものであり、該エポキシ樹脂を製造する際に生成する副成分や式(B−1)で表されるエポキシ樹脂の高分子量体等が含有される場合も含まれる。
【0030】
本発明において、光カチオン重合開始剤(A)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)との組み合わせは任意で可能であるが、特に、前記式(2)で表される光カチオン重合開始剤(A−1)と前記式(3)乃至式(7)で表されるエポキシ樹脂(B−1)乃至(B−5)との組み合わせが好ましい。
【0031】
次に本発明の感光性樹脂組成物における各成分の配合割合について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物における、光カチオン重合開始剤(A)(以下、単に「A成分」という場合もある)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)(以下、単に「B成分」という場合もある)の合計量を100質量%とした場合、通常(A)成分0.1〜15質量%に対して(B)成分85〜99.9重量%の割合で配合される。本発明の感光性樹脂組成物に用いられる光カチオン重合開始剤(A)は、波長300〜380nmにおけるモル吸光係数が高いので、感光性樹脂組成物を使用する際の膜厚に応じて適切な配合比に調製される必要がある。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物には、さらにパターンの性能を改良するため混和性のある反応性エポキシモノマー(C)(以下、単に「C成分」という場合もある)を添加してもよい。反応性エポキシモノマーとしては、グリシジルエーテル化合物が使用でき、例えばジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(アデカ(株)製、ED506)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(アデカ(株)製、ED505)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(低塩素タイプ、ナガセケムテックス(株)製、EX321L)、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等が挙げられる。さらにこれらエポキシモノマーは塩素含有量が一般的に高いため、低塩素製造法又は精製工程を経た低塩素タイプのものを使用することが好ましい。これらは、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。反応性エポキシモノマー(C)成分はレジストの反応性や硬化膜の物性を改善する目的で使用されるが、反応性エポキシモノマー成分は液状のものが多く、該成分が液状である場合に感光性樹脂組成物の総量に対して20質量%よりも多く配合すると、溶剤除去後の皮膜にベタツキが生じることでマスクスティッキングが起きやすくなるなど不適当である。この点から、モノマー成分を配合する場合には、その配合割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計をレジストの固形分とした場合、該固形分に対して10質量%以下が好ましく、特に7質量%以下が好適である。
【0033】
本発明の感光性樹脂組成物の粘度を下げ、塗膜性を向上させるために溶剤(D)を用いることができる。溶剤としては、インキ、塗料等に通常用いられる有機溶剤であり、各成分の溶解が可能であるものはすべて用いることができる。このような有機溶剤としてはアセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン及びシクロペンタノン等のケトン類、トルエン、キシレン及びテトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジプロピレングリコールジメチルエーテル及びジプロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びγ−ブチロラクトン等のエステル類、メタノール、エタノール、セレソルブ及びメチルセレソルブ等のアルコール類、オクタン及びデカン等の脂肪族炭化水素、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ及びソルベントナフサ等の石油系溶剤等を挙げることができる。
【0034】
これら溶剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。溶剤成分は、基材へ塗布する際の膜厚や塗布性を調整する目的で加えるものであり、主成分の溶解性や成分の揮発性、組成物の液粘度等を適正に保持する為のその使用量としては、感光性樹脂組成物中において95質量%以下が好ましく、特に好ましくは10〜90質量%である。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物には、さらに基板に対する組成物の密着性を向上させる目的で、混和性のある密着性付与剤を使用してもよい。密着性付与剤としてはシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を用いることができ、好ましくはシランカップリング剤が挙げられる。
【0036】
上記シランカップリング剤としては3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これら密着性付与剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
密着性付与剤は主成分とは未反応性のものであるため、基材界面で作用する成分以外は硬化後に残存成分として存在することになり、多量に使用すると物性低下などの悪影響を及ぼす。基材によっては、少量でも効果を発揮する点から、悪影響を及ぼさない範囲内での使用が適当であり、その使用割合は、感光性樹脂組成物に対して15質量%以下が好ましく、特に好ましくは5質量%以下である。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物には、さらに紫外線を吸収し、吸収した光エネルギーを光カチオン重合開始剤に供与するために増感剤を使用してもよい。増感剤としては、例えばチオキサントン類、9位と10位にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体)が好ましい。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC1〜C4のアルコキシ基が挙げられる。9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体は、さらに置換基を有していても良い。置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のC1〜C4のアルキル基やスルホン酸アルキルエステル基、カルボン酸アルキルエステル基等が挙げられる。スルホン酸アルキルエステル基やカルボン酸アルキルエステルにおけるアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル等のC1〜C4のアルキルが挙げられる。これらの置換基の置換位置は2位が好ましい。
【0038】
チオキサントン類の具体例としては、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられ、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、カヤキュアーDETX)、2−イソプロピルチオキサントンが好ましい。
【0039】
9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体としては、例えば9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジエトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジプロポキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジメトキシ−2−クロロアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル、9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル、9,10−ジメトキシアントラセン−2−カルボン酸メチルエステル等を挙げることができる。
【0040】
これらは、単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、2,4−ジエチルチオキサントン及び、9,10−ジメトキシ−2−エチルアントラセンの使用が最も好ましい。増感剤成分は、少量で効果を発揮する為、その使用割合は、光カチオン重合開始剤(A)成分に対し30重量%以下が好ましく、特に好ましくは20重量%以下である。
【0041】
本発明において、光カチオン重合開始剤(A)由来のイオンによる悪影響を低減する必要がある場合には、トリスメトキシアルミニウム、トリスエトキシアルミニウム、トリスイソプロポキシアルミニウム、イソプロポキシジエトキシアルミニウム及びトリスブトキシアルミニウム等のアルコキシアルミニウム、トリスフェノキシアルミニウム及びトリスパラメチルフェノキシアルミニウム等のフェノキシアルミニウム、トリスアセトキシアルミニウム、トリスステアラトアルミニウム、トリスブチラトアルミニウム、トリスプロピオナトアルミニウム、トリスアセチルアセトナトアルミニウム、トリストリフルオロアセチルアセナトアルミニウム、トリスエチルアセトアセタトアルミニウム、ジアセチルアセトナトジピバロイルメタナトアルミニウム及びジイソプロポキシ(エチルアセトアセタト)アルミニウム等の有機アルミニウム化合物などのイオンキャッチャーを添加してもよく、これら成分は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、その配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計をレジストの固形分とした場合、該固形分に対して10質量%以下である。
【0042】
更に本発明においては、必要に応じて、熱可塑性樹脂、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤等の各種添加剤を用いることが出来る。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリカーボネート等があげられ、着色剤としては、例えばフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジン・グリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等があげられ、増粘剤としては、例えオルベン、ベントン、モンモリロナイト等があげられ、消泡剤としては、例えばシリコーン系、フッ素系および高分子系等の消泡剤があげられ、これらの添加剤等を使用する場合、その使用量は本発明の感光性樹脂組成物中、例えば、それぞれ0.1〜30質量%程度が一応の目安であるが、使用目的に応じ適宜増減し得る。
【0043】
更に、本発明においては、例えば硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤を用いることができ、その配合比率は、組成物中0〜60質量%である。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物は、好ましくは下記表1の割合で配合し、必要に応じ前記密着性付与剤、増感剤、イオンキャッチャー、熱可塑性樹脂、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤および無機充填剤を添加しても良い。通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、必要に応じディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
【0045】
表1
成分名 質量
光カチオン重合開始剤(A) 0.1〜15
エポキシ樹脂(B) 85〜99.9
反応性エポキシモノマー(C) 1〜10
溶剤(D) 5.8〜2090
増感剤 0〜4.5
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物は、好ましくは液状で使用される。本発明の感光性樹脂組成物を使用するには、例えばシリコン、アルミニウム、銅等の金属基板、リチウムタンタレート、ガラス、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド等のセラミック基板、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート等の基板上に0.1〜1000μmの厚みでスピンコーター等を用いて塗布し、60〜130℃で5〜60分間程度、熱処理し溶剤を除去し感光性樹脂組成物層を形成した後、所定のパターンを有するマスクを載置して紫外線を照射し、50〜130℃で1〜50分間程度、加熱処理を行った後、未露光部分を、現像液を用い室温〜50℃で1〜180分間程度現像してパターンを形成し、次いで130〜200℃で加熱処理をすることで、諸特性を満足する永久保護膜が得られる。現像液としては、例えばγ−ブチロラクトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤、あるいは、前記有機溶剤と水の混合液等を用いることができる。現像にはパドル型、スプレー型、シャワー型等の現像装置を用いてもよく、必要に応じて超音波照射を行ってもよい。尚、本発明の感光性樹脂組成物を使用するにあたり好ましい金属基板としては、アルミニウムが挙げられる。
【0047】
本発明の樹脂組成物は、ベースフィルム上にロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター等を用いて該組成物を塗布した後、45〜100℃に設定した乾燥炉で乾燥し、所定量の溶剤を除去することにより、又必要に応じてカバーフィルム等を積層することによりドライフィルムレジストとすることができる。この際、ベースフィルム上のレジストの厚さは、2〜100μmに調整される。ベースフィルム及びカバーフィルムとしては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、TAC、ポリイミド等のフィルムが使用される。これらフィルムは必要に応じてシリコーン系離型処理剤や非シリコーン系離型処理剤等により離型処理されたフィルムを用いてもよい。このドライフィルムレジストを使用するには、例えばカバーフィルムをはがして、ハンドロール、ラミネーター等により、温度40〜100℃で圧力0.05〜2MPaで基板に転写し、前記記載の感光性樹脂組成物と同様に露光、露光後ベーク、現像、加熱処理をすればよい。
【0048】
前述のように感光性樹脂組成物をフィルムとして、供給すれば、支持体上への塗布、および乾燥の工程を省略することが可能であり、より簡便に本発明の感光性樹脂組成物を用いたパターン形成が可能となる。
【0049】
MEMS及び半導体パッケージとして用いる場合は、本発明の感光性樹脂組成物で被覆、又は中空構造を作製することにより使用できる。MEMS及び半導体パッケージの基板としては種種形状のシリコンウエハ上に、スパッタリング又は蒸着によりアルミニウム、金、銅、クロム、チタン等の金属薄膜を10〜5000Åの膜厚で成膜し、エッチング法等によりその金属を微細加工した基板等が用いられる。場合によっては、さらに無機の保護膜としてシリコンオキサイドやシリコンナイトライドが10〜10000Åの膜厚で成膜されることもある。次いで基板上に、MEMS又は半導体デバイスを作製又は設置し、このデバイスを外気から遮断するために、被覆又は中空構造を作製する必要がある。本発明の感光性樹脂組成物で被覆する場合は、前記記載の方法で行なうことができる。また、中空構造を作製する場合は、基板上へ前記記載の方法で隔壁を形成させ、その上にさらに、前記記載の方法でドライフィルムをラミネート及び隔壁上の蓋となるようにパターニングを行なうことで、中空パッケージ構造を作製することができる。また、作製後、必要に応じて130〜200℃で10〜120分間、加熱処理をすることで諸特性を満足するMEMS及び半導体パッケージ部品が得られる。
尚、「パッケージ」とは、基板、配線、素子等の安定性を保つため、外気の気体、液体の浸入を遮断するために用いられる封止方法である。本発明で記載するパッケージとは、MEMSのような駆動部があるものや、SAWデバイス等の振動子をパッケージするための中空パッケージや、半導体基板、プリント配線版、配線等の劣化を防ぐために行う表面保護や、樹脂封止等を表す。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物は、良好な画像解像度、熱安定性、耐薬品及び溶媒溶解性を有し、高感度でかつプレッシャークッカー試験(PCT)後の基板への密着性が低下しないという特徴があるので、例えば、MEMS(微小電子機械システム)部品、マイクロマシン部品、マイクロ流体部品、μ−TAS(微小全分析システム)部品、インクジェットプリンター部品、マイクロ反応器部品、導電性層、LIGA部品、微小射出成形及び熱エンボス向け型及びスタンプ、微細印刷用途向けスクリーン又はステンシル、MEMS及び半導体パッケージ部品、BioMEMS及びバイオフォトニックデバイス、並びに、プリント配線板の製作等に利用される。中でも特に、MEMS及び半導体パッケージ部品において有用である。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0052】
実施例1〜4及び比較例1
(感光性樹脂組成物の調製)
表2に記載の配合量(単位は質量部)に従って、多官能エポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤、およびその他の成分を攪拌機付きフラスコで60℃、1時間攪拌混合し、本発明及び比較用の感光性樹脂組成物を得た。
【0053】
(感光性樹脂組成物のパターニング)
実施例1〜4及び比較例1の各感光性樹脂組成物をシリコンウエハ上にスピンコーターで塗布後、乾燥し、表2に示す膜厚(表2における「塗工後膜厚」は塗布、乾燥した後の膜厚を意味する。)を有する感光性樹脂組成物層を得た。この感光性樹脂組成物層をホットプレートにより65℃で5分間および95℃で15分間プリベークした。その後、i線露光装置(マスクアライナー:ウシオ電機社製)を用いてパターン露光(ソフトコンタクト、i線)を行い、ホットプレートにより95℃で6分間の露光後ベーク(以下「PEB」と記載する)を行い、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と記載する)を用いて浸漬法により23℃で5分間現像処理を行い、基板(シリコンウエハ)上に硬化した樹脂パターンを得た。
【0054】
(感光性樹脂組成物の感度評価)
前記パターン露光において、マスク転写精度が最良となる露光量を最適露光量とし、それぞれの感光性樹脂組成物の感度の評価を行った。最適露光量の値が小さいほど感度が高いことを表す。結果を下記表2に示す。
【0055】
(感光性樹脂組成物の解像性評価)
解像性:前記パターン露光において、1、5、10及び20μmのラインアンドスペースのフォトマスクを使用し、残渣がなく解像されたレジストパターン中、基板へ密着している最も細かいパターン幅を測定した。結果を下記表2に示す。
【0056】
(感光性樹脂組成物のPCT耐性評価)
シリコンウエハ上に1000Åのアルミニウム薄膜をスッパッタリングにより成膜し、その基板を用いて実施例1〜4及び比較例1で得られた各感光性樹脂組成物について、前記同様なパターニングを行なった。得られた各試験片を温風対流式オーブンにて150℃、30分間のハードベークを施した。その後、各試験片をHASTチャンバー(エスペック社製)中に入れ、121℃、100%RH、2気圧とし、20時間恒温恒湿状態を保持した(PCT)後、上記試験片を取り出し、図1で模式的に示す形状のパターンの密着力を測定し、PCT耐性を評価した。尚、密着力はシェアツールを用いて、パターン側面部から力を加え、基板からパターンが剥離した時点でのシェア強度を密着力とした。
評価基準
○:密着力が30MPa上
△:密着力が5MPa以上30MPa未満
×:5MPa未満(測定限界以下)
【0057】
【表2】

【0058】
尚、表(2)における(A−1)〜(G)はそれぞれ下記を示す。
(A):前記式(1)で示される光カチオン重合開始剤(商品名 ロードシル PHOTOINITIATOR 2074、ローディア ジャパン株式会社製)
(B−1):前記式(3)で表されるエポキシ樹脂(商品名 EPON SU−8、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製)
(B−2):前記式(4)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NC−3000H、日本化薬社製)
(B−3):前記式(5)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NER−7604、日本化薬社製)
(B−4):前記式(6)で表されるエポキシ樹脂(商品名 EOCN−1020、日本化薬社製)
(B−5):前記式(7)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NC−6300、日本化薬社製)
(PAG−1):光カチオン重合開始剤(ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム=ヘキサフルオロアンチモナート、商品名 CPI−101A、サンアプロ社製、50%炭酸プロピレン溶液)
(C−1):反応性エポキシモノマー(商品名 ED−506、アデカ社製)
(C−2):反応性エポキシモノマー(商品名 EX−321L、ナガセケムテックス社製)
(D):溶剤 シクロペンタノン
(E):フッ素系レベリング剤(商品名 メガファックF−470、DIC社製)
(F):シランカップリング剤(商品名 S−510、チッソ社製)
(G):増感剤 ジエチルチオキサントン(2,4−ジエチルチオキサントン、商品名 DETX−S、日本化薬社製)
【0059】
表2に示すとおり、本発明の感光性樹脂組成物(実施例1〜実施例4)は比較例1に比べ、高感度で高PCT耐性(基板への密着性が低下しない)であることが判った。
【0060】
実施例5
(感光性樹脂組成物積層体)
上記実施例1にて得られた感光性樹脂組成物を膜厚15μmのポリプロピレン(PP)フィルム(ベースフィルム、東レ社製)上に均一に塗布し、温風対流乾燥機により65℃で5分および80℃で20分乾燥した後、露出面上に膜厚38μmのPPフィルム(カバーフィルム)をラミネートして、15μmの膜厚の感光性樹脂組成物積層体を形成した。
【0061】
(感光性樹脂組成物積層体のパターニング)
前記で得られた感光性樹脂組成物積層体のカバーフィルムを剥離し、ロール温度70℃、エアー圧力0.2MPa、速度0.5m/minでシリコンウエハ上にラミネートし、これを○回繰り返し80μmの感光性樹脂組成物層を得た。この感光性樹脂組成物層に、i線露光装置(マスクアライナー:ウシオ電機社製)を用いてパターン露光(ソフトコンタクト、i線)を行った。その後、ホットプレートにより95℃で4分間PEBを行い、PGMEAを用いて浸漬法により23℃で4分間現像処理を行い、基板上に硬化した樹脂パターンを得た。最適露光量180mJ/cm2細線密着5μmと良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、良好な画像解像度、熱安定性、耐薬品及び溶媒性特性を保有し、高感度でかつプレッシャークッカー試験(PCT)後の基板への密着性が低下しない樹脂パターンの形成に有用であり、特に、MEMS部品、MEMS及び半導体パッケージ等の分野で寸法安定性が高く、耐久性の高い樹脂成形に適している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】PCT耐性評価に用いた試験片の断面図
【符号の説明】
【0064】
図1において、
1.カバーフィルム及びベースフィルムを取り除いた感光性樹脂組成物の積層体の硬化物、
2.感光性樹脂組成物の硬化物、
3.アルミニウム薄膜(厚さ1000Å)、
4.シリコンウエハ(厚さ500μm)、
をそれぞれ示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

で表される光カチオン重合開始剤(A)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有してなるMEMS用感光性樹脂組成物。
【請求項2】
MEMS用感光性樹脂組成物がパッケージ用である請求項1に記載のMEMS用感光性樹脂組成物。
【請求項3】
エポキシ樹脂(B)の軟化点が40℃以上120℃以下かつエポキシ当量が150〜500/eq.である請求項1又は請求項2に記載のMEMS用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
エポキシ樹脂(B)が下記式(3)
【化2】

(式(3)において、Rはそれぞれ独立にグリシジル基又は水素を示す。kは平均値を示し、0〜30の範囲にある実数である。)
で表されるエポキシ樹脂(B−1)、下記式(4)
【化3】

(式(4)において、各R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基を示す。pは平均値を示し1〜30の範囲にある実数である。)
で表されるエポキシ樹脂(B−2)、下記式(5)
【化4】

(式(5)において、n及びmは平均値を示し、独立に1〜30の範囲にある実数であり、R4及びR5は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子1〜4個を有するアルキル基又はトリフルオロメチルを示す。)
で表されるエポキシ樹脂(B−3)、下記式(6)
【化5】

(式(6)において、nは平均値を示し、1〜30の範囲にある実数である。)
で表されるエポキシ樹脂(B−4)及び下記式(7)
【化6】

で表されるエポキシ樹脂(B−5)からなる群から選択されるエポキシ樹脂を1種類又は2種類以上含有してなる請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のMEMS用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のMEMS用感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のMEMS用感光性樹脂組成物を基材で挟み込んだ積層体。
【請求項7】
請求項6に記載の積層体を硬化して得られる硬化物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−265450(P2009−265450A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116496(P2008−116496)
【出願日】平成20年4月26日(2008.4.26)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】