N−置換カルバミン酸エステルの製造方法、該N−置換カルバミン酸エステルを用いるイソシアネートの製造方法
【課題】N−置換カルバミン酸エステルを製造する方法、該N−置換カルバミン酸エステルを含む移送用および貯蔵用組成物、さらに該化合物の熱分解によるイソシアネートの製造方法の提供。
【解決手段】有機アミンと、炭酸誘導体と、1種または複数種のヒドロキシ化合物を含むヒドロキシ組成物と、からN−置換カルバミン酸エステル、炭酸誘導体、および1種または複数種のヒドロキシ化合物を含む組成物を調整し、続いて該組成物を熱分解して対応するイソシアネートを製造する。
【解決手段】有機アミンと、炭酸誘導体と、1種または複数種のヒドロキシ化合物を含むヒドロキシ組成物と、からN−置換カルバミン酸エステル、炭酸誘導体、および1種または複数種のヒドロキシ化合物を含む組成物を調整し、続いて該組成物を熱分解して対応するイソシアネートを製造する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機アミンと、炭酸誘導体と、1種または複数種のヒドロキシ化合物を含むヒドロキシ組成物とから、有機アミンに由来するN−置換カルバミン酸エステルを製造する方法であって、
該有機アミンと、該炭酸誘導体と、該ヒドロキシ組成物とを、凝縮器を具備したウレタン製造反応器を用いて反応させて、
該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物と、該反応で副生するアンモニアとを含有する気体を、該ウレタン製造反応器に具備した凝縮器に導入し、該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物とを凝縮する、N−置換カルバミン酸エステルの製造方法であって、
該凝縮されるヒドロキシ組成物に含有されるヒドロキシ化合物が、該凝縮される炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物に対して、化学量論比で1以上であって、
該凝縮器より、気体として回収されるアンモニアに含有される、炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物に含まれるカルボニル基(−C(=O)−)の数と、アンモニア分子の数の比が、1以下である製造方法。
【請求項2】
該ヒドロキシ化合物が、アルコールまたは芳香族ヒドロキシ化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
該凝縮器によって凝縮された、ヒドロキシ組成物および/または炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物を、該反応に再利用する、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
該凝縮器によって凝縮された、ヒドロキシ組成物と、炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物とを、該ウレタン製造反応器の内部に循環させる、請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
該炭酸誘導体が、尿素および/またはカルバミン酸エステルである、請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
下記工程(a)および工程(b)を含む工程によってN−置換カルバミン酸エステルを製造する、請求項1記載の製造方法:
工程(a):該有機アミンと該炭酸誘導体とを反応させて、ウレイド基を有する化合物を含む反応混合物を得る工程、
工程(b):該工程(a)で得た該ウレイド基を有する化合物と、該ヒドロキシ組成物とを、該凝縮器を具備したウレタン製造反応器を用いて反応させて、N−置換カルバミン酸エステルを製造する工程であって、
該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物と、該反応で副生するアンモニアとを含有する気体を、該ウレタン製造反応器に具備した凝縮器に導入し、該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物とを凝縮する工程。
【請求項7】
該ヒドロキシ化合物が、アルコールまたは芳香族ヒドロキシ化合物である請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
該工程(a)の該炭酸誘導体が、尿素および/またはカルバミン酸エステルである請求項6記載の製造方法。
【請求項9】
該工程(a)の反応を、水、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の共存下でおこなう請求項6記載の製造方法。
【請求項10】
該工程(b)において、該凝縮器によって凝縮された、該ヒドロキシ組成物および/または該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物を、工程(a)の反応に再利用する、請求項6記載の製造方法。
【請求項11】
該カルバミン酸エステルが、工程(c)によって製造されるカルバミン酸エステルである、請求項5または8に記載の製造方法:
工程(c):ヒドロキシ組成物c(該ヒドロキシ組成物cは、1種または複数種のヒドロキシ化合物からなる組成物である)と尿素とを反応させて、カルバミン酸エステルを製造する工程。
【請求項12】
該ヒドロキシ組成物cを構成するヒドロキシ化合物が、アルコールおよび/または芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
該凝縮された、該ヒドロキシ組成物および/または該カルバミン酸エステルに由来するカルボニル基を有する化合物を、工程(c)に再利用する、請求項1または6に記載の製造方法。
【請求項14】
有機アミンと、炭酸誘導体と、1種または複数種のヒドロキシ化合物を含むヒドロキシ組成物と、からN−置換カルバミン酸エステルを製造する方法であって、工程(a)および工程(b)を含むN−置換カルバミン酸エステルを製造する方法:
工程(a):該有機アミンと該炭酸誘導体とを反応させて、ウレイド基を有する化合物を含む反応混合物を得る工程、
工程(b):該工程(a)で得た該ウレイド基を有する化合物と、該ヒドロキシ組成物とを、凝縮器を具備したウレタン製造反応器を用いて反応させて、N−置換カルバミン酸エステルを製造する工程であって、
該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物と、反応で副生するアンモニアとを含有する気体を、該ウレタン製造反応器に具備した凝縮器に導入し、ヒドロキシ組成物と、炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物とを凝縮する工程。
【請求項15】
該ヒドロキシ化合物が、アルコールおよび/または芳香族ヒドロキシ化合物である請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
該工程(a)の該炭酸誘導体が、尿素および/またはカルバミン酸エステルである請求項14記載の製造方法。
【請求項17】
該工程(a)の反応を、水、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の共存下でおこなう請求項14記載の製造方法。
【請求項18】
該工程(b)で、該凝縮器によって凝縮された、該ヒドロキシ組成物および/または該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物を、工程(a)の反応に再利用する、請求項14記載の製造方法。
【請求項19】
該カルバミン酸エステルが、工程(c)によって製造されるカルバミン酸エステルである、請求項16記載の製造方法:
工程(c):該ヒドロキシ組成物cと尿素とを反応させて、カルバミン酸エステルを製造する工程。
【請求項20】
該ヒドロキシ組成物cを構成するヒドロキシ化合物が、アルコールおよび/または芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
該凝縮された、ヒドロキシ組成物および/または炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物を、工程(c)に再利用する、請求項19記載の製造方法。
【請求項22】
該ウレタン製造反応器が、凝縮器を具備した、槽型および/または塔型の反応器である、請求項1または14記載の製造方法。
【請求項23】
該ヒドロキシ組成物、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物、および該反応で副生するアンモニアを含有する気体相と、該反応をおこなう液相を有し、該ウレタン製造反応器中の液相容量含量が50%以下である、請求項1または14記載の製造方法。
【請求項24】
該ヒドロキシ化合物が芳香族ヒドロキシ化合物であり、該有機アミンが下記式(1)で表される化合物であり、製造される該N−置換カルバミン酸エステルが下記式(2)で表されるN−置換カルバミン酸−O−Arエステルである、請求項2、7、15のいずれか一項に記載の製造方法。
【化1】
(式中;
R1は、炭素数1から85の有機基であって、a個のアミノ基に置換された有機基を表し、
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基であって、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、
aは、1から10の整数を表し、
bは、1からaの整数を表す。)
【請求項25】
該ヒドロキシ化合物がアルコールであり、該有機アミンが下記式(3)で表される化合物であり、製造される該N−置換カルバミン酸エステルが下記式(4)で表されるN−置換カルバミン酸−O−R2エステルである、請求項2、7、15のうちいずれか一項に記載の製造方法。
【化2】
(式中;
R1は、炭素数1から85の有機基であって、a個のアミノ基で置換された有機基を表し、
R2は、アルコールに由来する基であって、アルコールから、該アルコールの飽和炭素原子に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、
aは、1から10の整数を表し、
cは、1からaの整数を表す。)
【請求項26】
上記式(4)で表される該N−置換カルバミン酸−O−R2エステルと、芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて、下記式(5)で表される、該芳香族ヒドロキシ化合物に由来するエステル基を有するN−置換カルバミン酸−O−Arエステルを製造する、請求項25記載の製造方法。
【化3】
(式中;
R1は、炭素数1から85の有機基であって、a個のアミノ基で置換された有機基を表し、
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基であって、芳香族ヒドロキシ化合物から、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、
bは、1からaの整数を表す(該aは、上記式(3)において定義されたaであって、1から10の整数を表す)。)
【請求項27】
下記式(6)で表される該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルと、1種または複数種の芳香族ヒドロキシ化合物を含む芳香族ヒドロキシ組成物とを含む、N−置換カルバミン酸−O−Arエステルの移送用および貯蔵用組成物であって、該組成物中の
該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルを構成するエステル基の数;A
該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物の分子数;B
のAに対するBの比率が、1〜100の範囲である、N−置換カルバミン酸エステルの移送用および貯蔵用組成物。
【化4】
(式中;
R1は、炭素数1から85の有機基であって、a個のアミノ基に置換された有機基を表し、
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物(該芳香族ヒドロキシ化合物は、該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物と同じであっても異なっていてもよい)から、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、
dは、1から10の整数を表す。)
【請求項28】
該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルが、該有機アミンと炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ組成物とから製造されるN−置換カルバミン酸−O−Arエステルであって、該移送用および貯蔵用組成物が、尿素および/またはカルバミン酸エステルおよび/またはビウレットおよび/または該有機アミンと該炭酸誘導体と該芳香族ヒドロキシ組成物との反応において生成する、有機アミンに由来する、末端ビウレット基(−NH−(C=O)−NH−(C=O)−NH2)を有する化合物の少なくとも1種を含有する組成物である、請求項27記載の移送用および貯蔵用組成物。
【請求項29】
該移送用および貯蔵用組成物が、該芳香族ヒドロキシ組成物に由来する炭酸エステルを含有する、請求項27記載の移送用および貯蔵用組成物。
【請求項30】
該芳香族ヒドロキシ化合物が、1〜3価(即ち、芳香族環に結合したヒドロキシ基が1個から3個の整数個)の芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項24または26記載の製造方法。
【請求項31】
該芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(7)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項30記載の製造方法:
【化5】
(式中;
環Aは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R3およびR4は、各々独立に、水素原子、有機基を表し、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR3およびR4は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
【請求項32】
該ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物のうち、少なくとも1つの芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(8)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項31に記載の製造方法:
【化6】
(式中;
環Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R5およびR6は、各々独立に、下記(i)〜(v)で定義されるいずれか1つの基であり、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR5およびR6は、Aと結合して環構造を形成してもよい。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)α位の原子が窒素原子である、炭素数1〜44の基であって、該窒素原子が、2級の窒素原子(すなわち、−NH−結合を形成する窒素原子を表す)であって、活性水素(ただし、該α位の窒素原子に結合している水素は除く)を含まない基、
(iv)α位の原子が炭素原子である、炭素数1〜44の基であって、該炭素原子は、1級または2級の炭素原子(すなわち、メチル基の炭素、−CH2−結合を形成する炭素を表す)であって、活性水素を含まない基。ただし、該R5および/またはR6が芳香族環Aと、飽和および/または不飽和の縮合環構造を形成していて、該縮合環が6員環以下である場合は、該α位の炭素原子は3級または4級であってもよい。また、α位の炭素がβ位(該R5およびR6を形成している原子のうち、環Aの芳香族環に結合している原子の隣の原子)と二重結合または三重結合を形成している場合も、該α位の炭素原子は3級または4級であってもよい。
(v)α位の原子が酸素原子である、炭素数1〜44の基であって、活性水素を含まない基。)。
【請求項33】
該ヒドロキシ組成物が、上記式(8)で表される芳香族ヒドロキシ化合物と共に、下記式(9)で表される芳香族ヒドロキシ化合物を含む請求項32記載の製造方法:
【化7】
(式中;
環Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R7およびR8は、各々独立に、下記(i)〜(v)で定義されるいずれか1つの基であり、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR7およびR8は、Aと結合して環構造を形成してもよい。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)α位の原子が窒素原子である、炭素数1〜44の基であって、該窒素原子が、3級の窒素原子(すなわち、水素原子を有しない窒素原子を表す)であって、活性水素を含まない基、
(iv)α位の原子が炭素原子である、炭素数1〜44の基であって、活性水素を含まない基。該α位の炭素原子は3級または4級の炭素原子(すなわち、−CH−結合を形成する炭素原子、水素が結合しない炭素原子を表す)である。該R7および/またはR8が、環Aと、飽和および/または不飽和の縮合環構造を形成する場合は、該縮合環が7員環以上の場合は、該α位の炭素原子が1級または2級の炭素原子(すなわち、メチル基、−CH2−結合を形成する炭素原子を表す)であってもよい。また、α位の炭素がβ位の原子と二重結合を形成する場合は、該α位の炭素は4級の炭素であればよい。該α位の炭素がβ位の原子と三重結合を形成するものは除かれる。
(v)α位の原子が酸素である、炭素数1〜24の基であって、活性水素を含まない基。)。
【請求項34】
該式(7)、該式(8)、該式(9)で表される芳香族ヒドロキシ化合物の標準沸点が、該有機アミンのアミノ基が全てイソシアネート基(−NCO基)に置き換わったイソシアネートの標準沸点と10℃以上異なる、請求項31、32、33のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項35】
該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物が、1〜3価(即ち、芳香族環に結合したヒドロキシ基が1個から3個の整数個)の芳香族ヒドロキシ化合物である請求項27記載の組成物。
【請求項36】
該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(7)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項35記載の組成物。
【化8】
(式中;
環Aは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R3およびR4は、各々それぞれ独立に、水素原子、有機基を表し、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR3およびR4は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
【請求項37】
該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物のうち、少なくとも1つの芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(8)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項36記載の組成物:
【化9】
(式中;
環Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R5およびR6は、それぞれ各々独立に、下記(i)〜(v)で定義されるいずれか1つの基であり、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR5およびR6は、Aと結合して環構造を形成してもよい。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)α位の原子が窒素原子である、炭素数1〜44の基であって、該窒素原子が、2級の窒素原子(すなわち、−NH−結合を形成する窒素原子を表す)であって、活性水素(ただし、該α位の窒素原子に結合している水素は除く)を含まない基、
(iv)α位の原子が炭素原子である、炭素数1〜44の基であって、該炭素原子は、1級または2級の炭素原子(すなわち、メチル基の炭素、−CH2−結合を形成する炭素を表す)であって、活性水素を含まない基。ただし、該R5および/またはR6が芳香族環Aと、飽和および/または不飽和の縮合環構造を形成していて、該縮合環が6員環以下である場合は、該α位の炭素原子は3級または4級であってもよい。また、α位の炭素がβ位(該R5およびR6を形成している原子のうち、環Aの芳香族環に結合している原子の隣の原子)と二重結合または三重結合を形成している場合も、該α位の炭素原子は3級または4級であってもよい。
(v)α位の原子が酸素原子である、炭素数1〜44の基であって、活性水素を含まない基。)。
【請求項38】
該芳香族ヒドロキシ組成物が、上記式(8)で表される芳香族ヒドロキシ化合物と共に、下記式(9)で表される芳香族ヒドロキシ化合物を含む請求項37記載の組成物:。
【化10】
(式中;
環Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R7およびR8は、各々それぞれ独立に、下記(i)〜(v)で定義されるいずれか1つの基であり、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR7およびR8は、Aと結合して環構造を形成してもよい。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)α位の原子が窒素原子である、炭素数1〜44の基であって、該窒素原子が、3級の窒素原子(すなわち、水素原子を有しない窒素原子を表す)であって、活性水素を含まない基、
(iv)α位の原子が炭素原子である、炭素数1〜44の基であって、活性水素を含まない基。該α位の炭素原子は3級または4級の炭素原子(すなわち、−CH−結合を形成する炭素原子、水素が結合しない炭素原子を表す)である。該R7および/またはR8が、環Aと、飽和および/または不飽和の縮合環構造を形成する場合は、該縮合環が7員環以上の場合は、該α位の炭素原子が1級または2級の炭素原子(すなわち、メチル基、−CH2−結合を形成する炭素原子を表す)であってもよい。また、α位の炭素がβ位の原子と二重結合を形成する場合は、該α位の炭素は4級の炭素であればよい。該α位の炭素がβ位の原子と三重結合を形成するものは除かれる。
(v)α位の原子が酸素である、炭素数1〜24の基であって、活性水素を含まない基。)。
【請求項39】
該式(7)、該式(8)、該式(9)で表される芳香族ヒドロキシ化合物の標準沸点が、該有機アミンのアミノ基が全てイソシアネート基(−NCO基)に置き換わったイソシアネートの標準沸点と10℃以上異なる、請求項36、37、38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
該有機アミンが、下記式(10)で表される有機モノアミンであり、下記式(11)で表されるN−置換カルバミン酸モノ(−O−Arエステル)を得、該N−置換カルバミン酸モノ(−O−Arエステル)を使用して下記工程(X)をおこなって、下記式(12)で表されるN−置換カルバミン酸ポリ(−O−Arエステル)を得る請求項24または26記載の製造方法。
工程(X):該N−置換カルバミン酸モノ(−O−Arエステル)と、メチレン化剤とを反応させて、該N−置換カルバミン酸モノ(−O−Arエステル)に含まれる有機モノアミンに由来する芳香族基をメチレン基(−CH2−)で架橋し、下記式(12)で表されるN−置換カルバミン酸ポリ(−O−Arエステル)を得る工程。
【化11】
(式中;
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基であって、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香族環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基を表し、
R9からR12基は、各々独立に、芳香環を置換してもよいし、R9からR12基同士が結合して芳香環とともに環を形成してもよく、水素原子、またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびこれらの基からなる群から選ばれる基が飽和炭化水素結合および/またはエーテル結合で結合された基で構成される基から選ばれる基を表わし、
eは、0または正の整数を表し、
式(10)で表される有機モノアミンを構成する合計炭素数は6から50の整数で構成される。)。
【請求項41】
該有機アミンが、下記式(13)で表される有機モノアミンであり、下記式(14)で表されるN−置換カルバミン酸モノ(−O−R2エステル)を得、該N−置換カルバミン酸モノ(−O−R2エステル)を使用して下記工程(X)および工程(Y)をおこなって、下記式(16)で表されるN−置換カルバミン酸ポリ(−O−Arエステル)を得る請求項25記載の製造方法。
工程(X):該N−置換カルバミン酸−O−R2エステルと、メチレン化剤とを反応させて、該N−置換カルバミン酸−O−R2エステルに含まれる有機モノアミンに由来する芳香族基をメチレン基(−CH2−)で架橋し、下記式(15)で表されるN−置換カルバミン酸ポリ(−O−R2エステル)を得る工程。
工程(Y):工程(X)で製造したN−置換カルバミン酸ポリ(−O−R2エステル)と、芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて、下記式(16)で表される、該芳香族ヒドロキシ化合物に由来するエステル基を有するN−置換カルバミン酸ポリ(−O−Arエステル)を製造する工程。
【化12】
(式中;
R9からR12基は、各々独立に、芳香環を置換してもよいし、R9からR12基同士が結合して芳香環とともに環を形成してもよく、水素原子、またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびこれらの基からなる群から選ばれる基が飽和炭化水素結合および/またはエーテル結合で結合された基で構成される基から選ばれる基を表わし、
R2は、アルコールに由来する基であって、アルコールから、該アルコールの飽和炭素原子に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基を表し、
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基であって、芳香族ヒドロキシ化合物から、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香族環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基を表し、
eは、0または正の整数を表し、
式(13)で表される有機モノアミンを構成する合計炭素数は6から50の整数で構成される。)。
【請求項42】
請求項24、26、40および41のいずれか一項に記載の該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルを熱分解反応に付して生成する、イソシアネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを回収する、イソシアネートの製造方法。
【請求項43】
請求項27ないし29のいずれか一項に記載の該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルの移送用および貯蔵用組成物を、熱分解反応器に移送し、該N−置換カルバミン酸エステルを熱分解反応に付して生成する、イソシアネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを回収する、イソシアネートの製造方法。
【請求項44】
請求項42または43記載の回収した芳香族ヒドロキシ化合物を、請求項2記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項7記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項9記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項12記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項15記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項17記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項20記載の芳香族ヒドロキシ化合物として再利用する、請求項42または43記載の製造方法。
【請求項45】
該熱分解反応器の底部より回収される未反応のN−置換カルバミン酸−O−Arエステルを含む残留液を、再度、熱分解反応器に移送し、N−置換カルバミン酸−O−Arエステルを熱分解反応に付す、請求項42または43記載の製造方法。
【請求項46】
請求項42または43記載の製造方法で製造されるイソシアネートが、該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物を、イソシアネートに対して、1ppm〜1000ppm含有する、請求項42または43記載の製造方法。
【請求項47】
気体として回収されるアンモニアを、二酸化炭素と反応させて尿素を製造し、該尿素を再利用する、請求項1、11、14、19のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項1】
有機アミンと、炭酸誘導体と、1種または複数種のヒドロキシ化合物を含むヒドロキシ組成物とから、有機アミンに由来するN−置換カルバミン酸エステルを製造する方法であって、
該有機アミンと、該炭酸誘導体と、該ヒドロキシ組成物とを、凝縮器を具備したウレタン製造反応器を用いて反応させて、
該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物と、該反応で副生するアンモニアとを含有する気体を、該ウレタン製造反応器に具備した凝縮器に導入し、該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物とを凝縮する、N−置換カルバミン酸エステルの製造方法であって、
該凝縮されるヒドロキシ組成物に含有されるヒドロキシ化合物が、該凝縮される炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物に対して、化学量論比で1以上であって、
該凝縮器より、気体として回収されるアンモニアに含有される、炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物に含まれるカルボニル基(−C(=O)−)の数と、アンモニア分子の数の比が、1以下である製造方法。
【請求項2】
該ヒドロキシ化合物が、アルコールまたは芳香族ヒドロキシ化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
該凝縮器によって凝縮された、ヒドロキシ組成物および/または炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物を、該反応に再利用する、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
該凝縮器によって凝縮された、ヒドロキシ組成物と、炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物とを、該ウレタン製造反応器の内部に循環させる、請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
該炭酸誘導体が、尿素および/またはカルバミン酸エステルである、請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
下記工程(a)および工程(b)を含む工程によってN−置換カルバミン酸エステルを製造する、請求項1記載の製造方法:
工程(a):該有機アミンと該炭酸誘導体とを反応させて、ウレイド基を有する化合物を含む反応混合物を得る工程、
工程(b):該工程(a)で得た該ウレイド基を有する化合物と、該ヒドロキシ組成物とを、該凝縮器を具備したウレタン製造反応器を用いて反応させて、N−置換カルバミン酸エステルを製造する工程であって、
該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物と、該反応で副生するアンモニアとを含有する気体を、該ウレタン製造反応器に具備した凝縮器に導入し、該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物とを凝縮する工程。
【請求項7】
該ヒドロキシ化合物が、アルコールまたは芳香族ヒドロキシ化合物である請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
該工程(a)の該炭酸誘導体が、尿素および/またはカルバミン酸エステルである請求項6記載の製造方法。
【請求項9】
該工程(a)の反応を、水、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の共存下でおこなう請求項6記載の製造方法。
【請求項10】
該工程(b)において、該凝縮器によって凝縮された、該ヒドロキシ組成物および/または該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物を、工程(a)の反応に再利用する、請求項6記載の製造方法。
【請求項11】
該カルバミン酸エステルが、工程(c)によって製造されるカルバミン酸エステルである、請求項5または8に記載の製造方法:
工程(c):ヒドロキシ組成物c(該ヒドロキシ組成物cは、1種または複数種のヒドロキシ化合物からなる組成物である)と尿素とを反応させて、カルバミン酸エステルを製造する工程。
【請求項12】
該ヒドロキシ組成物cを構成するヒドロキシ化合物が、アルコールおよび/または芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
該凝縮された、該ヒドロキシ組成物および/または該カルバミン酸エステルに由来するカルボニル基を有する化合物を、工程(c)に再利用する、請求項1または6に記載の製造方法。
【請求項14】
有機アミンと、炭酸誘導体と、1種または複数種のヒドロキシ化合物を含むヒドロキシ組成物と、からN−置換カルバミン酸エステルを製造する方法であって、工程(a)および工程(b)を含むN−置換カルバミン酸エステルを製造する方法:
工程(a):該有機アミンと該炭酸誘導体とを反応させて、ウレイド基を有する化合物を含む反応混合物を得る工程、
工程(b):該工程(a)で得た該ウレイド基を有する化合物と、該ヒドロキシ組成物とを、凝縮器を具備したウレタン製造反応器を用いて反応させて、N−置換カルバミン酸エステルを製造する工程であって、
該ヒドロキシ組成物と、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物と、反応で副生するアンモニアとを含有する気体を、該ウレタン製造反応器に具備した凝縮器に導入し、ヒドロキシ組成物と、炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物とを凝縮する工程。
【請求項15】
該ヒドロキシ化合物が、アルコールおよび/または芳香族ヒドロキシ化合物である請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
該工程(a)の該炭酸誘導体が、尿素および/またはカルバミン酸エステルである請求項14記載の製造方法。
【請求項17】
該工程(a)の反応を、水、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の共存下でおこなう請求項14記載の製造方法。
【請求項18】
該工程(b)で、該凝縮器によって凝縮された、該ヒドロキシ組成物および/または該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物を、工程(a)の反応に再利用する、請求項14記載の製造方法。
【請求項19】
該カルバミン酸エステルが、工程(c)によって製造されるカルバミン酸エステルである、請求項16記載の製造方法:
工程(c):該ヒドロキシ組成物cと尿素とを反応させて、カルバミン酸エステルを製造する工程。
【請求項20】
該ヒドロキシ組成物cを構成するヒドロキシ化合物が、アルコールおよび/または芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
該凝縮された、ヒドロキシ組成物および/または炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物を、工程(c)に再利用する、請求項19記載の製造方法。
【請求項22】
該ウレタン製造反応器が、凝縮器を具備した、槽型および/または塔型の反応器である、請求項1または14記載の製造方法。
【請求項23】
該ヒドロキシ組成物、該炭酸誘導体に由来するカルボニル基を有する化合物、および該反応で副生するアンモニアを含有する気体相と、該反応をおこなう液相を有し、該ウレタン製造反応器中の液相容量含量が50%以下である、請求項1または14記載の製造方法。
【請求項24】
該ヒドロキシ化合物が芳香族ヒドロキシ化合物であり、該有機アミンが下記式(1)で表される化合物であり、製造される該N−置換カルバミン酸エステルが下記式(2)で表されるN−置換カルバミン酸−O−Arエステルである、請求項2、7、15のいずれか一項に記載の製造方法。
【化1】
(式中;
R1は、炭素数1から85の有機基であって、a個のアミノ基に置換された有機基を表し、
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基であって、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、
aは、1から10の整数を表し、
bは、1からaの整数を表す。)
【請求項25】
該ヒドロキシ化合物がアルコールであり、該有機アミンが下記式(3)で表される化合物であり、製造される該N−置換カルバミン酸エステルが下記式(4)で表されるN−置換カルバミン酸−O−R2エステルである、請求項2、7、15のうちいずれか一項に記載の製造方法。
【化2】
(式中;
R1は、炭素数1から85の有機基であって、a個のアミノ基で置換された有機基を表し、
R2は、アルコールに由来する基であって、アルコールから、該アルコールの飽和炭素原子に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、
aは、1から10の整数を表し、
cは、1からaの整数を表す。)
【請求項26】
上記式(4)で表される該N−置換カルバミン酸−O−R2エステルと、芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて、下記式(5)で表される、該芳香族ヒドロキシ化合物に由来するエステル基を有するN−置換カルバミン酸−O−Arエステルを製造する、請求項25記載の製造方法。
【化3】
(式中;
R1は、炭素数1から85の有機基であって、a個のアミノ基で置換された有機基を表し、
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基であって、芳香族ヒドロキシ化合物から、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、
bは、1からaの整数を表す(該aは、上記式(3)において定義されたaであって、1から10の整数を表す)。)
【請求項27】
下記式(6)で表される該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルと、1種または複数種の芳香族ヒドロキシ化合物を含む芳香族ヒドロキシ組成物とを含む、N−置換カルバミン酸−O−Arエステルの移送用および貯蔵用組成物であって、該組成物中の
該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルを構成するエステル基の数;A
該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物の分子数;B
のAに対するBの比率が、1〜100の範囲である、N−置換カルバミン酸エステルの移送用および貯蔵用組成物。
【化4】
(式中;
R1は、炭素数1から85の有機基であって、a個のアミノ基に置換された有機基を表し、
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物(該芳香族ヒドロキシ化合物は、該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物と同じであっても異なっていてもよい)から、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基であり、
dは、1から10の整数を表す。)
【請求項28】
該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルが、該有機アミンと炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ組成物とから製造されるN−置換カルバミン酸−O−Arエステルであって、該移送用および貯蔵用組成物が、尿素および/またはカルバミン酸エステルおよび/またはビウレットおよび/または該有機アミンと該炭酸誘導体と該芳香族ヒドロキシ組成物との反応において生成する、有機アミンに由来する、末端ビウレット基(−NH−(C=O)−NH−(C=O)−NH2)を有する化合物の少なくとも1種を含有する組成物である、請求項27記載の移送用および貯蔵用組成物。
【請求項29】
該移送用および貯蔵用組成物が、該芳香族ヒドロキシ組成物に由来する炭酸エステルを含有する、請求項27記載の移送用および貯蔵用組成物。
【請求項30】
該芳香族ヒドロキシ化合物が、1〜3価(即ち、芳香族環に結合したヒドロキシ基が1個から3個の整数個)の芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項24または26記載の製造方法。
【請求項31】
該芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(7)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項30記載の製造方法:
【化5】
(式中;
環Aは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R3およびR4は、各々独立に、水素原子、有機基を表し、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR3およびR4は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
【請求項32】
該ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物のうち、少なくとも1つの芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(8)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項31に記載の製造方法:
【化6】
(式中;
環Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R5およびR6は、各々独立に、下記(i)〜(v)で定義されるいずれか1つの基であり、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR5およびR6は、Aと結合して環構造を形成してもよい。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)α位の原子が窒素原子である、炭素数1〜44の基であって、該窒素原子が、2級の窒素原子(すなわち、−NH−結合を形成する窒素原子を表す)であって、活性水素(ただし、該α位の窒素原子に結合している水素は除く)を含まない基、
(iv)α位の原子が炭素原子である、炭素数1〜44の基であって、該炭素原子は、1級または2級の炭素原子(すなわち、メチル基の炭素、−CH2−結合を形成する炭素を表す)であって、活性水素を含まない基。ただし、該R5および/またはR6が芳香族環Aと、飽和および/または不飽和の縮合環構造を形成していて、該縮合環が6員環以下である場合は、該α位の炭素原子は3級または4級であってもよい。また、α位の炭素がβ位(該R5およびR6を形成している原子のうち、環Aの芳香族環に結合している原子の隣の原子)と二重結合または三重結合を形成している場合も、該α位の炭素原子は3級または4級であってもよい。
(v)α位の原子が酸素原子である、炭素数1〜44の基であって、活性水素を含まない基。)。
【請求項33】
該ヒドロキシ組成物が、上記式(8)で表される芳香族ヒドロキシ化合物と共に、下記式(9)で表される芳香族ヒドロキシ化合物を含む請求項32記載の製造方法:
【化7】
(式中;
環Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R7およびR8は、各々独立に、下記(i)〜(v)で定義されるいずれか1つの基であり、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR7およびR8は、Aと結合して環構造を形成してもよい。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)α位の原子が窒素原子である、炭素数1〜44の基であって、該窒素原子が、3級の窒素原子(すなわち、水素原子を有しない窒素原子を表す)であって、活性水素を含まない基、
(iv)α位の原子が炭素原子である、炭素数1〜44の基であって、活性水素を含まない基。該α位の炭素原子は3級または4級の炭素原子(すなわち、−CH−結合を形成する炭素原子、水素が結合しない炭素原子を表す)である。該R7および/またはR8が、環Aと、飽和および/または不飽和の縮合環構造を形成する場合は、該縮合環が7員環以上の場合は、該α位の炭素原子が1級または2級の炭素原子(すなわち、メチル基、−CH2−結合を形成する炭素原子を表す)であってもよい。また、α位の炭素がβ位の原子と二重結合を形成する場合は、該α位の炭素は4級の炭素であればよい。該α位の炭素がβ位の原子と三重結合を形成するものは除かれる。
(v)α位の原子が酸素である、炭素数1〜24の基であって、活性水素を含まない基。)。
【請求項34】
該式(7)、該式(8)、該式(9)で表される芳香族ヒドロキシ化合物の標準沸点が、該有機アミンのアミノ基が全てイソシアネート基(−NCO基)に置き換わったイソシアネートの標準沸点と10℃以上異なる、請求項31、32、33のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項35】
該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物が、1〜3価(即ち、芳香族環に結合したヒドロキシ基が1個から3個の整数個)の芳香族ヒドロキシ化合物である請求項27記載の組成物。
【請求項36】
該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(7)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項35記載の組成物。
【化8】
(式中;
環Aは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R3およびR4は、各々それぞれ独立に、水素原子、有機基を表し、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR3およびR4は、Aと結合して環構造を形成してもよい。)
【請求項37】
該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物のうち、少なくとも1つの芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(8)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である、請求項36記載の組成物:
【化9】
(式中;
環Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R5およびR6は、それぞれ各々独立に、下記(i)〜(v)で定義されるいずれか1つの基であり、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR5およびR6は、Aと結合して環構造を形成してもよい。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)α位の原子が窒素原子である、炭素数1〜44の基であって、該窒素原子が、2級の窒素原子(すなわち、−NH−結合を形成する窒素原子を表す)であって、活性水素(ただし、該α位の窒素原子に結合している水素は除く)を含まない基、
(iv)α位の原子が炭素原子である、炭素数1〜44の基であって、該炭素原子は、1級または2級の炭素原子(すなわち、メチル基の炭素、−CH2−結合を形成する炭素を表す)であって、活性水素を含まない基。ただし、該R5および/またはR6が芳香族環Aと、飽和および/または不飽和の縮合環構造を形成していて、該縮合環が6員環以下である場合は、該α位の炭素原子は3級または4級であってもよい。また、α位の炭素がβ位(該R5およびR6を形成している原子のうち、環Aの芳香族環に結合している原子の隣の原子)と二重結合または三重結合を形成している場合も、該α位の炭素原子は3級または4級であってもよい。
(v)α位の原子が酸素原子である、炭素数1〜44の基であって、活性水素を含まない基。)。
【請求項38】
該芳香族ヒドロキシ組成物が、上記式(8)で表される芳香族ヒドロキシ化合物と共に、下記式(9)で表される芳香族ヒドロキシ化合物を含む請求項37記載の組成物:。
【化10】
(式中;
環Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、単環でも複数環でもよく、
R7およびR8は、各々それぞれ独立に、下記(i)〜(v)で定義されるいずれか1つの基であり、
該芳香族ヒドロキシ化合物を構成する炭素原子の数は、6から50の整数であり、
さらにR7およびR8は、Aと結合して環構造を形成してもよい。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)α位の原子が窒素原子である、炭素数1〜44の基であって、該窒素原子が、3級の窒素原子(すなわち、水素原子を有しない窒素原子を表す)であって、活性水素を含まない基、
(iv)α位の原子が炭素原子である、炭素数1〜44の基であって、活性水素を含まない基。該α位の炭素原子は3級または4級の炭素原子(すなわち、−CH−結合を形成する炭素原子、水素が結合しない炭素原子を表す)である。該R7および/またはR8が、環Aと、飽和および/または不飽和の縮合環構造を形成する場合は、該縮合環が7員環以上の場合は、該α位の炭素原子が1級または2級の炭素原子(すなわち、メチル基、−CH2−結合を形成する炭素原子を表す)であってもよい。また、α位の炭素がβ位の原子と二重結合を形成する場合は、該α位の炭素は4級の炭素であればよい。該α位の炭素がβ位の原子と三重結合を形成するものは除かれる。
(v)α位の原子が酸素である、炭素数1〜24の基であって、活性水素を含まない基。)。
【請求項39】
該式(7)、該式(8)、該式(9)で表される芳香族ヒドロキシ化合物の標準沸点が、該有機アミンのアミノ基が全てイソシアネート基(−NCO基)に置き換わったイソシアネートの標準沸点と10℃以上異なる、請求項36、37、38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
該有機アミンが、下記式(10)で表される有機モノアミンであり、下記式(11)で表されるN−置換カルバミン酸モノ(−O−Arエステル)を得、該N−置換カルバミン酸モノ(−O−Arエステル)を使用して下記工程(X)をおこなって、下記式(12)で表されるN−置換カルバミン酸ポリ(−O−Arエステル)を得る請求項24または26記載の製造方法。
工程(X):該N−置換カルバミン酸モノ(−O−Arエステル)と、メチレン化剤とを反応させて、該N−置換カルバミン酸モノ(−O−Arエステル)に含まれる有機モノアミンに由来する芳香族基をメチレン基(−CH2−)で架橋し、下記式(12)で表されるN−置換カルバミン酸ポリ(−O−Arエステル)を得る工程。
【化11】
(式中;
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基であって、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香族環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基を表し、
R9からR12基は、各々独立に、芳香環を置換してもよいし、R9からR12基同士が結合して芳香環とともに環を形成してもよく、水素原子、またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびこれらの基からなる群から選ばれる基が飽和炭化水素結合および/またはエーテル結合で結合された基で構成される基から選ばれる基を表わし、
eは、0または正の整数を表し、
式(10)で表される有機モノアミンを構成する合計炭素数は6から50の整数で構成される。)。
【請求項41】
該有機アミンが、下記式(13)で表される有機モノアミンであり、下記式(14)で表されるN−置換カルバミン酸モノ(−O−R2エステル)を得、該N−置換カルバミン酸モノ(−O−R2エステル)を使用して下記工程(X)および工程(Y)をおこなって、下記式(16)で表されるN−置換カルバミン酸ポリ(−O−Arエステル)を得る請求項25記載の製造方法。
工程(X):該N−置換カルバミン酸−O−R2エステルと、メチレン化剤とを反応させて、該N−置換カルバミン酸−O−R2エステルに含まれる有機モノアミンに由来する芳香族基をメチレン基(−CH2−)で架橋し、下記式(15)で表されるN−置換カルバミン酸ポリ(−O−R2エステル)を得る工程。
工程(Y):工程(X)で製造したN−置換カルバミン酸ポリ(−O−R2エステル)と、芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて、下記式(16)で表される、該芳香族ヒドロキシ化合物に由来するエステル基を有するN−置換カルバミン酸ポリ(−O−Arエステル)を製造する工程。
【化12】
(式中;
R9からR12基は、各々独立に、芳香環を置換してもよいし、R9からR12基同士が結合して芳香環とともに環を形成してもよく、水素原子、またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびこれらの基からなる群から選ばれる基が飽和炭化水素結合および/またはエーテル結合で結合された基で構成される基から選ばれる基を表わし、
R2は、アルコールに由来する基であって、アルコールから、該アルコールの飽和炭素原子に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基を表し、
Arは、芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基であって、芳香族ヒドロキシ化合物から、該芳香族ヒドロキシ化合物の芳香族環に結合している1つのヒドロキシ基を除いた残基を表し、
eは、0または正の整数を表し、
式(13)で表される有機モノアミンを構成する合計炭素数は6から50の整数で構成される。)。
【請求項42】
請求項24、26、40および41のいずれか一項に記載の該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルを熱分解反応に付して生成する、イソシアネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを回収する、イソシアネートの製造方法。
【請求項43】
請求項27ないし29のいずれか一項に記載の該N−置換カルバミン酸−O−Arエステルの移送用および貯蔵用組成物を、熱分解反応器に移送し、該N−置換カルバミン酸エステルを熱分解反応に付して生成する、イソシアネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを回収する、イソシアネートの製造方法。
【請求項44】
請求項42または43記載の回収した芳香族ヒドロキシ化合物を、請求項2記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項7記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項9記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項12記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項15記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項17記載の芳香族ヒドロキシ化合物、および/または、請求項20記載の芳香族ヒドロキシ化合物として再利用する、請求項42または43記載の製造方法。
【請求項45】
該熱分解反応器の底部より回収される未反応のN−置換カルバミン酸−O−Arエステルを含む残留液を、再度、熱分解反応器に移送し、N−置換カルバミン酸−O−Arエステルを熱分解反応に付す、請求項42または43記載の製造方法。
【請求項46】
請求項42または43記載の製造方法で製造されるイソシアネートが、該芳香族ヒドロキシ組成物を構成する芳香族ヒドロキシ化合物を、イソシアネートに対して、1ppm〜1000ppm含有する、請求項42または43記載の製造方法。
【請求項47】
気体として回収されるアンモニアを、二酸化炭素と反応させて尿素を製造し、該尿素を再利用する、請求項1、11、14、19のいずれか一項に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2012−153708(P2012−153708A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88122(P2012−88122)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2010−524277(P2010−524277)の分割
【原出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2010−524277(P2010−524277)の分割
【原出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】
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