説明

RF受信機の誤接続検出システム及びRF受信機の誤接続検出装置

【課題】VHF、UHF、CATV受信機ならびに衛星放送受信機(以下RF受信機と略称)のアンテナ入出力端子が同一形状であり、ディジタル放送の放送開始に伴い、複数のRF受信機が同一機器内に存在しアンテナ入出力端子の誤接続情報を提供することを目的とする。
【解決手段】フィルターの出力端と復調器の出力端から所望の放送信号が出力されているか検出し、もし所望の放送信号が検出されなければLEDや記録再生装置の表示管を表示させたり、ブザー等を用い音でお客様にお知らせをする。また、RF受信機の入力端子と出力端子の間にスイッチを設け、RF受信機の出力端子からアンテナからの放送信号を入力したときにはそのスイッチをOFFさせることによって入力端子−スイッチ間に信号が伝播されないのでこれを検出させ、LEDや記録再生装置の表示管を表示させる。あるいはブザー等を用い音でお客様にお知らせをする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF受信機のアンテナ入力ケーブル誤接続をなくすための誤接続検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
DVDレコーダ、VTR等の記録再生装置は、放送信号、ビデオ信号、オーディオ信号等の外部からの信号入力端子とその信号をテレビ等へ接続するためのそれぞれ信号出力端子を必ず有している。しかもそれぞれの端子は記録再生装置の後面に配置されているので確実にケーブルを接続するためには記録装置を設置場所から取り出さなくてはならない。しかし、一般的には記録再生装置をテレビ台に収納したまま後面端子を手探りの状態でケーブルを接続することが多く、お客様から誤接続により「記録再生装置の映像が出ない」等のクレームがあるのが現状である。映像と音声端子は同一のピンジャックであるため映像のケーブルを音声端子(音声のケーブルを映像端子)に接続できてしまう。その誤接続を防ぐ方法として記録再生装置とテレビ等間の接続ケーブルにおいて映像は黄色、音声は左音声を白色、右音声を赤色の端子に仕分けし誤接続防止を行っている(実開昭59−148007号、実開平1−55563号参照)。後面に端子があり、設置場所が部屋の隅に設置することが多い記録再生装置は接続端子のある後面を正面に向けて接続作業をしない限り手探りで作業することになる。映像/音声ケーブルのコネクタ形状が全く同じであるため別の端子に接続しても誤りに気が付かなく電源を入れて初めてわかる。
【0003】
同様にRF受信機も同じく同一機器内に複数個存在する場合には高周波信号の入出力端子が同一形状であるため入力端子に出力ケーブルを接続したり、出力端子に入力ケーブルを接続したりする。または、ある放送帯のRFケーブルを別の異なった放送帯のRF受信機に接続し記録再生装置の映像や音声が出ないといったクレームも発生している。さらに、テレビ放送の地上波ディジタル化に伴いテレビ放送が地上波アナログ波と地上波ディジタル波の2つの放送波が混在するいわゆるサイマル放送期間が生じるためRF受信機もそれに対応したRF受信機を搭載しなければならない。このようにRF受信機が同一機器内に複数台搭載されるのは必至であり、それに伴い記録再生装置内のRF受信機のRFケーブル誤接続トラブルが今後ますます多く発生すると見込まれる。
【特許文献1】実開昭59−148007号公報
【特許文献2】実開平1−55563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、VHF、UHF、CATV受信機ならびに衛星放送受信機(以下RF受信機と略称)のアンテナ入出力端子が同一であり、複数のRF受信機が同一機器内に存在する場合にアンテナ入出力端子の誤接続が発生する点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、RF受信機の入力の前後いずれかに地上波アナログ放送、地上波ディジタル放送、衛星放送の各周波数帯に応じたフィルターと復調器を備え、RF受信機内部の入力端子−出力端子間の信号を入力端子から出力端子のみの一方向とする構成をとる。これらの検出装置によって例えばRF受信機が衛星放送を受信する受信機とし、その入力端子に地上波アナログ波を入力する。当然、入力端子には衛星放送の信号が入力されるものが地上波アナログ波になっているためフィルター部でブロックされ、さらに復調器部で放送波の映像信号を復調させるため本来と異なる放送波が入力された場合は復調されていないので映像信号として検出できなくなる。このようにフィルター、復調器のそれぞれの出力端から所望の信号かどうか判定することができ、判定できないときに表示管やLEDで表示やブザー等の音で知らせる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のRF受信機の誤接続検出装置は、例えばRF受信機が衛星放送を受信する受信機とし、その入力端子に地上波アナログ波を入力した場合、記録再生装置の表示部やLEDまたはブザー等の音などで誤接続情報を表示させ、お客様にお知らせすることができる。また、接続ケーブル等の緩み等で映像や音声が出ないトラブルを防ぐために各入出力端子と接続ケーブルには一定の接触条件が必要になるのでこれを利用して接続ケーブル等の緩みによる接続ミスも検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
接続ケーブルとRF受信機入力端子間またはRF受信機内に誤接続検出回路としてまず各放送波の周波数帯に応じたフィルターと各放送波の映像変調方式に応じた復調器を設ける。
また、RF受信機内部の入出力端子間にスイッチを設けることによって入力端子から出力端子のみの一方向だけスイッチをONさせ逆接続の場合はOFFさせることによって放送信号が遮断されるため誤接続を検出できる。
【0008】
(実施の形態1)
図1は、本発明装置のRF受信機の誤接続検出システム概略図である。1はRF入力部であり、アンテナからの放送信号(地上アナログ波、地上ディジタル波、衛星放送)を入力する。2は本発明の装置における誤接続検出回路、3は1から放送信号を入力し受信するRF受信機(チューナ)である。誤接続検出回路2の4は放送波に応じたフィルター、5は放送波に応じた復調器である。6はRF受信機3の入力端子、7はRF受信機3の出力端子、8はRF受信機3の入力端子6−出力端子7間のRF受信機3内部にあるスイッチである。9はエラー検出部であり、誤接続検出回路2のフィルター4、復調器5の出力側から所望の放送信号がどうか検出し、誤接続情報を表示部へ送る。また、RF受信機3の内部にあるスイッチを用いて出力端子7から放送信号が入力された場合に本来の放送信号ではないのでこれも検出する。10はエラー検出部で得られた情報をもとに表示部で表示させる。
【0009】
本システムの構成回路はRF受信機3の前段の入力に誤接続検出回路2を配置した。この構成を行うにあたって従来の接続ケーブルに対する模式図を図2に示す。図2において11は同軸ケーブル、12は切替スイッチであり、放送波を選択できるようにするためお客様や設計者が適切な放送波を選択できるようにするためのスイッチ、13は図1の入力端子6あるいは出力端子7と接続するための接栓(コネクタ)である。14は同軸ケーブルが誤接続をしている場合に点灯させるLEDである。
【0010】
この構成での放送波切替の回路図を図3に示す。15は地上波ディジタル放送信号を透過させるためのバンドパスフィルタ(以下BPF)、16は地上波ディジタル放送の変調方式がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)であるためそれを復調させるOFDM復調器、17は衛星放送信号を透過させるためのハイパスフィルタ(以下HPF)、18は衛星放送の映像変調方式がFM変調であるためそれを復調させるFM復調器、19は地上波アナログ放送信号を透過させるためのローパスフィルタ(以下LPF)、20は地上波アナログ放送の映像変調方式がAM変調であるためそれを復調させるAM復調器である。21は放送波を選択する切替スイッチであり、地上波ディジタル、地上波アナログ、衛星放送を選択できる。この切替スイッチ21を用いず接続ケーブル1本につき1つの放送信号つまり、地上波アナログ波だけを透過させたいならば図3でいうLPF19とAM復調器20だけの単一誤接続検出回路を搭載させれば1つのRF受信機しか記録再生装置に搭載されない場合に有効である。なお、この切替スイッチは各復調器の出力側へ配置することもできる。
【0011】
以上のように構成された本実施の形態について、以下その動作について説明する。
【0012】
これらの構成で例えば図1のRF受信機3が衛星放送を受信する受信機とし、その入力端子6に衛星放送を入力したとする。この場合、図2の誤接続検出回路付接続ケーブルの切替スイッチ12が衛星放送を選択しているので、図3のHPF17によって衛星放送の信号が透過できる。次にFM復調器18から復調された映像信号が出力され、RF受信機3の入力端子6に入力されるため、エラー検出9ではエラーが検出されない。よって、同軸ケーブル11内のLED14は点灯せず正常な接続ということになる。逆に図1のRF受信機3が衛星放送を受信する受信機とし、その入力端子6に地上波アナログ波を入力したとする。
【0013】
まず、図2の誤接続検出回路付接続ケーブルの切替スイッチ12が衛星放送を選択しているので、図3のHPF17によって地上波アナログ放送の信号が透過できない。HPF17の後段にFM復調器18を配置することによって二重に誤接続をチェックすることができる。この構成によってフィルターの後段に復調器を配置することで放送周波数帯がUHF帯を用いている地上波アナログと地上波ディジタルがこの復調器を用いることで区別できる。
【0014】
この例の場合はHPF17の出力端から信号が出力されないのでFM復調器18には入力されない。当然FM復調器18に入力されていないので出力端には出力もされない。何も出力がされていないということがわかると誤接続検出回路2の内部にエラー検出9(マイコン等)で無入力状態を検知し、無入力状態が判断できればHPF17またはFM復調器の前段の信号でLEDを点灯させるように信号を整流させ、接続ケーブル内のLEDを点灯させたり、またはブザーを鳴らしたりする。
【0015】
一方、誤接続の別の例としてアンテナからの入力信号が地上波アナログで図1のRF受信機3が地上波アナログ波を受信する受信機とした場合、そのRF受信機3の出力端子7に接続することがある。従来のRF受信機の場合、出力端子にアンテナからの信号を入力しても、テレビ側のRF受信機に入力される映像・音声レベルが数dB減衰するにもかかわらずテレビでは映像・音声が出力されてしまう。ところが記録再生装置を動作させると全く記録再生装置のRF受信機からの映像・音声がテレビに出力されなくそこで初めて誤接続に気づくことになる。
【0016】
同じように、アンテナからの信号が地上波アナログで図1のRF受信機3が衛星放送を受信する受信機とした場合にRF受信機3の出力端子7にアンテナからの信号を入力する誤接続も容易に考えられる。
【0017】
上述したような2つの例のようにRF受信機3の出力端子7にアンテナからの信号を入力することもあるのでこれを検出する機能として図1のスイッチ8をON/OFFさせて誤接続検出させる。RF受信機3の入力端子6にアンテナからの信号を入力した場合は入力される放送信号を用いて、ラッチに順方向の電圧を与えてスイッチ8をONさせ、RF受信機3の入力端子6−出力端子7間を導通させアンテナからの信号を出力端子7に出力させる。
【0018】
逆にRF受信機3の出力端子7にアンテナからの信号を入力した場合は入力される放送信号を用いてラッチに逆方向の電圧を与えることでスイッチ8をOFFさせ、RF受信機3の入力端子6−出力端子7間が開放されアンテナからの信号を入力端子6に出力させないようにする。この動作によって入力端子6側にはアンテナからの信号が伝播されていない状態になるのでRF受信機3内部にマイコン等で無入力状態を検知し、無入力状態が判断できる。無入力状態と判断されればRF受信機3内部のチューナ動作の電源を用いて入力端子6からLEDを点灯させたり、ブザーを鳴らしたりするための電源を供給する。
【0019】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態1の誤接続検出回路をRF受信機内部に持つ構成図であって、24は放送信号を入力し受信するRF受信機(チューナ)、25はRF受信機24の入力端子、26はRF受信機24の出力端子、27は放送波に応じたフィルター、28は放送波に応じた復調器である。29は入力端子25−出力端子26間のRF受信機24内部にあるスイッチ、30はフィルター27、復調器28の出力側から所望の放送信号がどうか検出し、誤接続情報を表示する。
【0020】
図4の構成において実施の形態1と異なるのは誤接続検出回路がRF受信機24に内蔵されている点であり、従来の接続ケーブルがそのまま使えるという点がある。フィルター27、復調器28は受信したい放送波に応じたものつまりRF受信機が地上波アナログ波を受信するものならばフィルター27は図3におけるLPF19にし、復調器28はAM復調器20を選択すれば1つのRF受信機セットでこれらのことが実現できることになる。このような場合、アンテナからの放送信号が地上波アナログであるのでLPF19を透過し、AM復調器20の出力から復調された映像信号が出力されRF受信機24の入力端子25に入力される。そのためエラー検出部30にはエラーが検出されない。よって、切替スイッチ29がONし、出力端子26から信号が出力され通常の動作となる。
【0021】
また、RF受信機が複数の放送波を受信できる複合型RF受信機の場合においても図3のスイッチ21に相当するところを機械的なスイッチでは応答時間が遅いので半導体素子を用いたスイッチを用いて応答時間を早くし、例えば地上波ディジタル放送と衛星放送の2つを受信できるRF受信機とすれば、あるラッチ操作によってスイッチを地上波ディジタル波側に切り替え、別のラッチ操作によってスイッチを衛星放送側に切り替える。このようにすればわざわざお客様が機械的なスイッチによって切り替えるのでないのでスイッチの切替ミスによるクレームも防げる。
【0022】
一方、RF受信機24が衛星放送を受信する受信機とし、その入力端子25に地上波アナログを入力したとする。この場合も実施の形態1と同様にフィルター27(HPF)によって地上波アナログ波の信号が透過できない。フィルター27の後段に復調器28を配置することによって二重に誤接続をチェックすることができる。
【0023】
この場合の例はフィルター27の出力端から何も出力されないことを、RF受信機内部のマイコン等で検出させ、それをRF受信機24の外部のエラー検出部30へ送る。エラー検出に基づいて、記録再生装置の表示制御31を行い、表示32で表示管に図5のような誤接続情報(BS Connection NG)を表示させ、お客様にお知らせすることができる。逆に出力端子26から放送信号を入力するとスイッチ29によってOFF状態となる。復調器28の出力端には何も信号がない状態となるため、上述のように無入力状態をRF受信機内部のマイコン等で検出させ、RF受信機24の外部のエラー検出部30へ送る。エラー検出に基づいて、記録再生装置の表示制御31を行い、表示32で表示管に図5のような誤接続情報(BS Connection NG)を表示させる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のRF受信機誤接続検出装置は、接続ケーブルや記録再生装置の表示管を用いて容易に接続ケーブルの接続状況がわかり、誤接続検出回路内部にフィルターと復調器を備えることで放送信号を区別することができ、またRF受信機の入出力端子間にスイッチを設け出力端子側からの放送信号の入力に対しても誤接続を検出できるので部屋の隅に設置するような記録再生装置等において有用である。例えば、VHSやDVDレコーダー、HDDレコーダー等のRF受信機の誤接続防止に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1におけるRF受信機の誤接続検出装置の実施方法を示したブロック図
【図2】本発 明の実施の形態1におけるRF受信機の誤接続検出装置の実施方法を示した模式図
【図3】図2の模式図内の切り替えスイッチを用いた誤接続検出回路のブロック図
【図4】本発明の実施の形態2におけるRF受信機の誤接続検出装置の実施方法を示したブロック図
【図5】本発明の実施の形態2におけるRF受信機の誤接続検出表示例を示す模式図
【符号の説明】
【0026】
1 RF入力部
2 誤接続検出回路
3 RF受信機(チューナ)
4 フィルター
5 復調器
6 RF受信機の入力端子
7 RF受信機の出力端子
8 スイッチ
9 エラー検出部
10 接続ケーブル内の表示部
11 同軸ケーブル
12 切替スイッチ
13 接栓(コネクタ)
14 LED
15 バンドパスフィルタ(BPF)
16 OFDM復調器
17 ハイパスフィルタ(HPF)
18 FM復調器
19 ローパスフィルタ(LPF)
20 AM復調器
21 放送波を選択する切替スイッチ
22 エラー検出部
23 接続ケーブル内の表示部
24 RF受信機(チューナ)
25 RF受信機の入力端子
26 RF受信機の出力端子
27 フィルター
28 復調器
29 スイッチ
30 エラー検出部
31 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ放送信号を入力する入力部と、入力部からの放送信号が所望の放送信号かどうか判定し所望の放送信号でない時にエラー検出を行い、エラー情報を表示部に表示させる誤接続検出部と、その誤接続検出部から透過された放送信号が入出力端子を有しかつ入出力端子の誤接続を判定するために入出力端子間にスイッチを設けたRF受信機の入力端子に入力し、出力端子から放送信号が出力されるRF受信機誤接続検出システム。
【請求項2】
前記、請求項1のRF受信機誤接続検出システムの誤接続検出部において誤接続検出部を接続ケーブルと組み合わせたことを特徴とする請求項1記載のRF受信機誤接続検出システム。
【請求項3】
RF受信機内部の入力端子−出力端子間に入力部からの放送信号が所望の放送信号かどうか判別する誤接続検出部と、入出力端子の誤接続を判定するための入出力端子間スイッチと、RF受信機の入力端子から放送信号が所望の放送信号でないときにエラー検出を行いそのエラー情報をRF受信機から外部の記録再生装置の表示管に誤接続情報を提供するRF受信機誤接続検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−287408(P2006−287408A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102167(P2005−102167)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】