RFIDリーダライタ装置及び工程管理システム
【課題】 アンテナのビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグは識別しないRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを提供する。
【解決手段】 アンテナ制御部がアンテナ部に第1の放射パターンを形成させたときにRFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとアンテナ制御部がアンテナ部に第2の放射パターンを形成させたときにRFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとから、隣接タグ誤認識防止部により所望の検出エリアにあるRFIDタグのIDを検出する。
【解決手段】 アンテナ制御部がアンテナ部に第1の放射パターンを形成させたときにRFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとアンテナ制御部がアンテナ部に第2の放射パターンを形成させたときにRFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとから、隣接タグ誤認識防止部により所望の検出エリアにあるRFIDタグのIDを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、Radio Frequency Identification(以下、RFIDと称す)システムにて、RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して(RFIDタグとRFIDリーダライタ装置との通信)、返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取り・更新や書き換えを行うRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムは、ICチップを備えたRFIDタグとRFIDリーダライタとの間で無線通信を行うシステムである。RFIDタグには、バッテリーを搭載し、その電力で駆動するアクティブ型タグと、RFIDリーダライタからの電力を受けて、これを電源とし駆動するパッシブ型タグがある。アクティブ型はパッシブ型に比べ、バッテリーを搭載しているため、通信距離、通信の安定度などのメリットがある反面、構造の複雑化、サイズの大型化、高コストなどのデメリットもある。また、パッシブ型タグ用ICチップの小型化、高性能化が進み、パッシブ型タグの幅広い分野での使用されつつある。
【0003】
パッシブ型タグにおいて、周波数帯が長波帯、短波帯のRFIDタグで適用されている電磁誘導方式では、RFIDリーダライタの送信アンテナコイルとRFIDタグのアンテナコイルとの間の電磁誘導作用でRFIDタグに電圧が誘起され、この電圧によりICチップを起動して通信を可能としている。したがって、RFIDリーダライタによる誘導電磁界内でしかRFIDタグが動作せず、通信距離は数十cm程度となってしまう。一方、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグでは、電波通信方式が適用されており、電波によりRFIDタグのICチップに電力を供給しているため、通信距離は1〜7m程度と大幅に向上している。したがって、通信距離の短い長波帯、短波帯のRFIDシステムでは実現が困難であった複数枚のRFIDタグの同時読み取りや移動しているRFIDタグの読み取りなどが可能となる。そこで、現在、電波通信方式を採用したUHF帯などのRFIDタグをトレーサビリティ対象の対象製品や物品に貼り付けて、製造工程(加工工程や試験・概観チェックなども含む)の全てのライン又は、それに近い数のラインにおける生産工程の履歴管理が行なわれ、RFIDシステムによる製品トレーサビリティ(追跡可能性)が提供されている。
【0004】
従来、上記のようなRFIDシステムによる製品トレーサビリティを目的とするRFIDリーダライタ装置には、それぞれ、アレイアンテナが接続された複数のRFIDリーダライタ装置(タグ通信装置)を設置した場合において、お互いが出す電波によって生じ得る電波干渉を防止するために、対向する2台のRFIDリーダライタ装置のアンテナによる放射パターンのヌル同士を対向させるとともに、主ビーム(メインローブ)を相互干渉が生じない方向に向けるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、複数の異なる読み取り領域(RFIDリーダライタ装置のアンテナが形成する放射パターン)毎に、読み取り領域内に存在するRFIDタグの識別情報(ID)とRFIDタグの識別情報から受信する受信信号の信号レベルとを対応付けて取得し、識別情報毎に読み取り領域の異なる複数の受信信号の信号レベルを差分演算または除算して合成信号レベルを取得し、予め設定された閾値範囲内に前記合成信号レベルが入っている識別情報を抽出するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−306484号公報
【特許文献2】特開2009−157892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のものは、対向する2台のRFIDリーダライタ装置のアンテナによる放射パターンのヌル同士を対向させるとともに、主ビーム(メインローブ)を相互干渉が生じない方向に向ける制御が必要なので、RFIDリーダライタ装置(アンテナ)を設置する間隔に制約がある、RFIDリーダライタ装置のアンテナ同士を対向させる必要がある、などの設置に関する課題や、RFIDタグの読み取り領域(RFIDリーダライタ装置のアンテナが形成する放射パターン)が主ビームの幅に依存し、主ビームの幅よりも狭い領域内のRFIDタグのみを読み取りたい場合でも、主ビーム内に存在するRFIDタグを全て読み取ってしまうという課題がある。そのため、製造工程の全てのライン又は、それに近い数のラインにおける生産工程の履歴管理をRFIDシステムによって確実に行うために、ライン工程間隔が狭い工程において、どのRFIDタグがあるかを確実に検出する必要となるが、特許文献1に記載のものは、ライン工程間隔が狭い工程においてRFIDタグを検出することが困難となる場合がある。なお、ビーム幅の狭いアンテナを用いて、この課題を解決することが考えられるが、アンテナのビーム幅を狭くしようとすると、アンテナの大型化が必要してしまい、さらに、前述の設置に関する課題が拡大してしまうおそれがある。
【0007】
特許文献2に記載のものは、複数の異なる読み取り領域(RFIDリーダライタ装置のアンテナが形成する放射パターン)毎に、読み取り領域内に存在するRFIDタグの識別情報(ID)とRFIDタグの識別情報から受信する受信信号の信号レベルとを対応付けて取得し、受信信号の信号レベルを差分演算または除算して合成信号レベルを用いて、RFIDタグを検出するので、主ビームよりも細い領域をRFIDタグの検出エリア(読み取り領域)とすることが可能である。したがって、特許文献1に記載のものよりも、ライン工程間隔が狭い工程においてRFIDタグを検出することが困難となる可能性を大幅に減じることができる。
【0008】
しかし、特許文献2に記載のものは、RFIDタグの信号の信号レベルを取得し、信号レベルの演算、抽出を実施しているので、RFIDタグの応答信号レベルに検出精度が大きく依存している。その一方で、RFIDタグの応答信号レベルは非常に微弱(特に、パッシブ型タグ)であり、周囲電波環境やRFIDタグを構成するICチップの種類・RFIDタグを構成するアンテナの違いにより大きく、その値が変動してしまうという特徴がある。したがって、特許文献2に記載のものは、RFIDタグの応答信号レベルの正確な数値を得ることが困難である場合に、検出精度が高いとはいえないという課題がある。そのため、実際には、主ビームよりも細い領域をRFIDタグの検出エリア(読み取り領域)外にあるRFIDタグであっても、RFIDタグの周囲電波環境や個体差により、RFIDタグの応答信号レベルが他のRFIDタグよりも高ければ、検出エリア(読み取り領域)内にあると誤認識してしまうおそれがある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、アンテナのビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグは識別しないRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときと前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときとの両方で前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのIDを検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDから、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外、又は、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDから、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外、を検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときと前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときとの両方で前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID以外のIDを検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDから、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときに前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID、又は、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDから前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときに前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID、を検出する請求項3に記載のものである。
【0014】
請求項5の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記隣接タグ誤認識防止部によって検出されたIDを有するRFIDタグへ前記RFIDリーダライタ部が前記アンテナ部を介して情報を書き込むものである請求項1〜4のいずれに記載のものである。
【0015】
請求項6の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記アンテナ部が、位相制御によりビームを走査、又は、駆動して、前記第1の放射パターン及び前記第2の放射パターンを形成する請求項1〜5のいずれかに記載のものである。
【0016】
請求項7の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記アンテナ部が、第1の素子アンテナ及び第2の素子アンテナから構成される請求項1〜5のいずれかに記載のものである。
【0017】
請求項8の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記第1の放射パターンが、前記第1の素子アンテナ又は前記第2の素子アンテナのいずれか一方のみで形成される請求項7に記載のものである。
【0018】
請求項9の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記第2の放射パターンが、前記第1の素子アンテナ及び前記第2の素子アンテナの合成パターンによって形成される請求項7又は8に記載のものである。
【0019】
請求項10の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記第2の放射パターンが、前記第1の素子アンテナ及び前記第2の素子アンテナの同位相合成パターン又は逆位相合成パターンによって形成される請求項7又は8に記載のものである。
【0020】
請求項11の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記アンテナ制御部が、前記アンテナ部を制御して、前記隣接タグ誤認識防止部がRFIDタグのIDを検出する領域を変更する請求項1〜10のいずれかに記載のものである。
【0021】
請求項12の発明に係る工程管理システムは、請求項1〜11のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムであって、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したIDを有するRFIDタグが工程管理する対象のRFIDタグであると判断して、そのIDを記録するデータベース部を有するものである。
【0022】
請求項13の発明に係る工程管理システムは、RFIDタグを搬送する搬送手段を有し、前記搬送手段に沿って前記アンテナ部が複数配置された請求項12に記載のものである。
【0023】
請求項14の発明に係る工程管理システムは、前記データベース部が、複数配置された前記アンテナ部ごとに前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDを、それぞれ異なる工程にあるRFIDタグのIDとして記録する請求項13に記載のものである。
【0024】
請求項15の発明に係る工程管理システムは、前記アンテナ制御部が複数配置された前記アンテナ部のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置された前記アンテナ部において、前記隣接タグ誤認識防止部がRFIDタグのIDを検出するそれぞれの領域をずらす請求項13又は14に記載のものである。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、この発明によれば、アンテナのビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しないRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの構成概略図である。
【図2】この発明の実施の形態に係るRFIDリーダライタ装置及びデータベース部の機能ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る工程管理システムの機能ブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態に係るアンテナ制御部の機能ブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図8】この発明の実施の形態形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部が形成する放射パターンと搬送手段とを重ね合わせた模式図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図である。
【図15】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図18】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図19】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図20】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図21】この発明の実施の形態3に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。
【図22】この発明の実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図24】この発明の実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。
【図25】この発明の実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。
【図26】この発明の実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。
【図27】この発明の実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。
【図28】この発明の実施の形態5に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。
【図29】この発明の実施の形態6に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜13を用いて説明する。なお、図1〜4は他の実施の形態でも共通的に説明において使用する。図1は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの構成概略図、図2は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びデータベース部の機能ブロック図(搬送手段省略)、図3は実施の形態1に係る工程管理システムの機能ブロック図(搬送手段省略)、図4は実施の形態1に係るアンテナ制御部の機能ブロック図、図5及び6は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図、図7、図9〜12は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図、図7(a)はRFIDリーダライタ装置のアンテナ部(同位相合成)の放射パターン図、図7(b)はRFIDリーダライタ装置のアンテナ部(逆位相)の放射パターン図である。なお、図7、図9〜12において、縦軸のX[m]は、アンテナ面に沿った放射パターンの大きさを示し、横軸のZ[m]は、アンテナ面の前方に向かった放射パターンの大きさを示す。また、後述するアンテナ部1は、縦軸の原点(原点は、縦軸と横軸の交差点)に近い側から、順に、後述する第2のアンテナ素子3、後述する第1の素子アンテナ2と素子アンテナが並んでいるとする。図8は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャート、図8(a)は第1の放射パターンから第2の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図8(b)は第2の放射パターンから第1の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図13は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部が形成する放射パターン(ビーム)と搬送手段とを重ね合わせた模式図(物品を省略し、RFIDタグのみ図示)である。
【0028】
図1〜12において、1はアンテナ部、2はアンテナ部1を構成する第1の素子アンテナ、3はアンテナ部1を構成する第2の素子アンテナ、4はアンテナ部1に対してビーム制御を行うアンテナ制御部であり、アンテナ制御部4がアンテナ部1を制御し、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3を同位相で合成して形成される第1の放射パターン5はアンテナ制御部4がアンテナ部1を制御し、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3を逆位相で合成して形成される第2の放射パターンであり、少なくとも第1の放射パターン5と第2の放射パターン6との一部が重複するように、第1の素子アンテナ素子2及び第2の素子アンテナ3の設置間隔やアンテナ制御部4によるアンテナ部1の制御を行う必要がある。7はアンテナ部1が形成した放射パターン(ビーム)内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部である。なお、RFIDリーダライタ部7や後述するRFIDリーダライタ12やRFIDリーダライタ装置12t(実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置)は、後述するRFIDタグ8のIDや情報を読み取り・更新や書き換えを行うが、更新や書き換えの機能を使用せずに、RFIDリーダ部やRFIDリーダやRFIDリーダ装置として運用してもよいことはいうまでもない。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0029】
8はRFIDタグ、9はRFIDタグ8が貼り付けられた物品であり、RFIDタグ8の内部に設けられたメモリには、RFIDタグ8のID(タグ個体の識別情報や識別可能なシステムコード)が保存されている。このIDと、このIDを有するRFIDタグ8が貼り付けられた物品9とを紐付けることにより、RFIDタグ8のIDから物品9を識別してもよいし、RFIDタグ8のID自体に、そのRFIDタグ8が貼り付けられた物品9の情報をIDとして保存してもよい。また、IDとが別にRFIDタグ8のメモリに物品9の情報が記憶されている場合は、その情報も本願では、RFIDタグ8のIDと称す。なお、図8などのフローチャート中では(他の実施の形態におけるフローチャートも同様)、RFIDリーダライタ部7が、第1の放射パターンや第2の放射パターンにより、RFIDタグ8のIDを取得することを「タグ識別結果」と称する。
【0030】
10は物品9が搬送されるベルトコンベアや搬送ローラなどから構成される搬送手段であり、搬送手段10は、常に一定の搬送速度を維持するものであってもよいし、搬送速度が可変するものであってもよい。また、一時停止してもよい。11は隣接タグ誤認識防止部である。なお、図8などのフローチャート中では(他の実施の形態におけるフローチャートも同様)、隣接タグ誤認識防止部11が、所望のRFIDタグのIDを取得することを「有効な識別情報を判定」と称する。
【0031】
12はRFIDリーダライタ部7及び隣接タグ誤認識防止部11からなり、アンテナ制御部4を制御するRFIDリーダライタである。また、図示は省略するが、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ8から読み取ったRFIDタグ8のIDや情報を保存するメモリ部12mも有している。なお、本願では、このRFIDリーダライタ12、アンテナ制御部4、アンテナ部1からRFIDリーダライタ装置12tが構成されていると定義して説明を進めていくが、RFIDリーダライタ12をRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよいし、RFIDリーダライタ12及びアンテナ制御部4をRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0032】
13はRFIDリーダライタ12からRFID8のIDなど情報を保存するデータベース部であり、PCなどの計算機で構成されている。また、そのPCなどの計算機上で動作するアプリケーションを用いて、RFIDリーダライタ12をホストコンピュータとして運用してもよく、搬送手段10と連動させて、搬送手段10により搬送されるRFIDタグ8のIDを読み取ってもよい。なお、このデータベース部13とRFIDリーダライタ装置12tとから、工程管理システム13tが構成されている。工程管理システム13tは、隣接タグ誤認識防止部11が検出したIDを有するRFIDタグ8が工程管理する対象のRFIDタグであると判断して、そのIDを記録するデータベース部を有する。
【0033】
そこで、工程管理システム13tは搬送手段10を含めて、搬送手段10上を工程管理する領域に物品9に貼り付けられたRFIDタグ8(ID)を検出エリアとして設定し、搬送手段10の搬送速度と、後述するアンテナ部1の放射パターンの切り替え(第1の放射パターン5から第2の放射パターンへの切り替え、又は、第2の放射パターン5から第1の放射パターンへの切り替え)速度とを対応させること、つまり、アンテナ部1が時分割で第1の放射パターン5と第2の放射パターン6から形成する検出エリア(後述する検出エリア23)内にRFIDタグが存在できない(時分割で見た場合)程度の速度よりも遅い速度(加減速や一時停止を含む)に搬送速度を設定することで、搬送手段10上であって工程管理する領域にあるRFIDタグ8のIDを読み取ることができ、工程管理システム13tは、隣接タグ誤認識防止部11が検出したIDを有するRFIDタグ8が工程管理する対象のRFIDタグであると判断できる。
【0034】
14はデータベース部13とRFIDリーダライタ7と接続するLANケーブル、15はRFIDリーダライタ12からアンテナ制御部4へ制御信号を送る制御信号ケーブル、16はRFIDリーダライタ12とアンテナ制御部4との間を接続する同軸ケーブルである。なお、第1の素子アンテナ2とアンテナ制御部4とを接続する同軸ケーブルと、第2の素子アンテナとアンテナ制御部4とを接続する同軸ケーブルとは、図示を省略する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0035】
次に、アンテナ制御部4内の構成を簡単に説明する。主に、図2〜4を参照のこと。同軸ケーブル16は、一端がRFIDリーダライタ12に接続され、他端がアンテナ制御部4内のスイッチ回路であるS1スイッチ17に接続されている。S1スイッチ17は、スイッチ回路であるS2スイッチ18に接続されている(P1−PC)。S2スイッチ18は、スイッチ回路であるS3スイッチ19(P1−P2)とハイブリッド結合器(180°)20(P2−PC)とも接続されている。S3スイッチ19は、S2スイッチ18との接続(P1−P2)に加えて、ハイブリッド結合器(180°)20とも接続されている(P1−PC)。S1スイッチ17は、スイッチ回路であるS4スイッチ21とも接続されている(P2−PC)。S4スイッチ21は、スイッチ回路であるS5スイッチ22(P1−P2)とハイブリッド結合器(180°)20(P1−PC)とも接続されている。S5スイッチ22は、S4スイッチ18との接続(P1−P2)に加えて、ハイブリッド結合器(180°)20とも接続されている(P2−PC)。なお、P1,P2,PCは各スイッチ回路やハイブリッド結合器(180°)20のポート(端子)名であり、ハイブリッド結合器(180°)20のポートに関しては、説明の簡略化のために4端子を全て「PC」としているが、実際の接続関係は図2〜4に示したとおりで、異なるポートであることはいうまでもない。また、図5以降で、図4に記載のアンテナ制御部4の結線状態を示す図が複数あるが、それらにおいて、結線されていない部分は模式的に配線を省いて記している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0036】
このような構成をアンテナ制御部4が採っているので、スイッチ回路であるS1スイッチ17,S2スイッチ18,S3スイッチ19,S4スイッチ21,S5スイッチ22の接続を変更することにより、アンテナ制御部4は、アンテナ部1に対して、第1の放射パターン5又は第2の放射パターン6を形成するビーム制御を行うことができる。また、各スイッチ回路の接続の制御は、制御信号ケーブル15を介して、RFIDリーダライタ12から供給される。つまり、RFIDリーダライタ12が、アンテナ制御部4を介して、アンテナ部1に対して、ビーム制御を行っているともいえる。
【0037】
ここで、隣接タグ誤認識防止部11の動作を簡単に説明する。隣接タグ誤認識防止部11の動作としては主に下記の四つが挙がられる。なお、隣接タグ誤認識防止部11によってIDが検出されるエリア(第1の放射パターン5及び第2の放射パターン6から成る領域内のいずれかの領域に形成される)を検出エリア23とする。また、検出エリア(RFIDタグ8のIDを検出する領域)は、下記のように、隣接タグ誤認識防止部11の動作によって変更することや、アンテナ部1を制御して変更することが可能である。そこで、各検出エリアを互いに識別するために、検出エリア23a〜23e,検出エリア23xと符号を付して互いを識別することとする。検出エリア23xは、RFIDタグ8のIDを検出するには、面積が狭すぎるので、無効なエリアとして取り扱う。また、検出エリア23から隣接タグ誤認識防止部によって検出されたIDを有するRFIDタグへRFIDリーダライタ部7がアンテナ部1を介して情報を書き込んでもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0038】
・隣接タグ誤認識防止部11の動作1
「アンテナ制御部4がアンテナ部1に第1の放射パターン5を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグ8のID(タグ個体の識別情報や識別可能なシステムコード)とアンテナ制御部4がアンテナ部1に第2の放射パターン6を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグ8のIDとのうち、アンテナ部1が第1の放射パターン5を形成したときとアンテナ部1が第2の放射パターン6を形成したときとの両方でRFIDリーダライタ部7に読み取られたRFIDタグ8のIDを検出する。」
【0039】
・隣接タグ誤認識防止部11の動作2
「アンテナ制御部4がアンテナ部1に第1の放射パターン5を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグ8のIDとアンテナ制御部4がアンテナ部1に第2の放射パターン6を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、アンテナ部1が第1の放射パターン5を形成したときとアンテナ部1が第2の放射パターン6を形成したときとの両方でRFIDリーダライタ部7に読み取られたRFIDタグ8のID以外のIDを検出する。」
【0040】
・隣接タグ誤認識防止部11の動作3
「隣接タグ誤認識防止部11の動作2で検出されたRFIDタグのIDから、アンテナ部1が第1の放射パターン5を形成したときにRFIDリーダライタ部7に読み取られたRFIDタグのIDを検出する。」
【0041】
・隣接タグ誤認識防止部11の動作4
「隣接タグ誤認識防止部11の動作2で検出されたRFIDタグのIDから、アンテナ部1が第2の放射パターン6を形成したときにRFIDリーダライタ部7に読み取られたRFIDタグのIDを検出する。」
【0042】
すなわち、隣接タグ誤認識防止部11の動作とは、検出エリア23として設定したエリア(搬送手段10の領域)の外部にRFIDタグ8が存在していても、そのRFIDタグ8が検出エリア23として設定したエリア(搬送手段10の領域)に存在すると誤認識しないものであるといえる。
【0043】
次に、アンテナ部1によるビーム制御に関して、図5〜7を用いて説明する。実施の形態1では、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3の合成パターン(合成ビーム)に関するものである。まず、第1の放射パターン5は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図5に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2,S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続されるので、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3は同位相で合成される。この合成された第1の放射パターン5は、図7(a)に記載したものである。また、第2の放射パターン6は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図6に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S4スイッチ21−ハイブリッド結合器20−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2,S1スイッチ17−S4スイッチ21−ハイブリッド結合器20−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続されるので、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3は逆位相で合成される。この合成された第2の放射パターン6は、図7(b)に記載したものである。
【0044】
実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置(工程管理システム)の動作に関し、図8〜12を用いて説明する。図8(a)では、アンテナ制御部4により同位相で合成された第1の放射パターン5でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS1)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS2)。次に、アンテナ制御部4により逆位相で合成された第2の放射パターン6でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS3)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mIDを記憶する(ステップS4)。ステップS12とステップS4の両方で読み取れた場合、同位相で合成された第1の放射パターン5と逆位相で合成された第2の放射パターン6の共通読取範囲、すなわち、図9に記載の検出エリア23a及び検出エリア23bにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップ5)、処理を終了する。
【0045】
図8(b)では、アンテナ制御部4により逆位相で合成された第2の放射パターン6でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS6)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS7)。次にアンテナ制御部4により同位相で合成された第1の放射パターン5でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS8)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS9)。ステップS7とステップS9の両方で読み取れた場合、逆位相で合成された第2の放射パターン6と同位相で合成された第1の放射パターン5の共通読取範囲、すなわち、図9に記載の検出エリア23a及び検出エリア23bにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS10)、処理を終了する。図8のフローチャートを用いて説明した検出エリア23(検出エリア23a,検出エリア23b)は、アンテナ部1の近傍側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0046】
図8のフローチャートを用いた説明では、同位相で合成された第1の放射パターン5と逆位相で合成された第2の放射パターン6の共通読取範囲にあるRFIDタグ8のIDを隣接タグ誤認識防止部11が検出していたが、共通読取範囲を同位相で合成された第1の放射パターン5と逆位相で合成された第2の放射パターン6から引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン5か逆位相で合成された第2の放射パターン6かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図10に示す検出エリア23c,23d,23eとなる。なお、図10に示す検出エリア23xは、前述の通り、RFIDタグ8のIDを検出するには、面積が狭すぎるので、無効なエリアとして取り扱う。検出エリア23c,23d,23eは、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0047】
また、図10に示す検出エリア23c,23d,23eから第2の放射パターン6を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン5か逆位相で合成された第2の放射パターン6かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第2の放射パターン6で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図11に示す検出エリア23eとなるので、より狭い範囲を工程管理の対象とすることが可能となる。なお、図11に示す検出エリア23eによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第1の放射パターン5を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第2の放射パターン6を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0048】
また、図10に示す検出エリア23c,23d,23eから第1の放射パターン5を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン5か逆位相で合成された第2の放射パターン6かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第1の放射パターン5で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図12に示す検出エリア23cと検出エリア23dとなるので、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。なお、図12に示す検出エリア23cと検出エリア23dによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第2の放射パターン6を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第1の放射パターン5を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0049】
以上説明したように、実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは、アンテナ部1の大型化を図らずとも、検出エリア23を狭めることができる。つまり、アンテナ部1のビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しない。図13を用いて、誤認識しないための条件である狭い範囲にあるRFIDタグ8だけを読み取ることが可能であること説明する。図13は、検出エリア23が検出エリア23eのみ場合である図11に模式的に搬送手段10を重ね合わせたものである。図13の搬送搬送手段10上を流れる四角状のものは、RFIDタグ8である。参考までに、図13の点線で囲われた楕円の領域に、搬送手段10上を流れる四角状のものと同じものがRFIDタグ8であることを図示している。
【0050】
図13に記載された搬送手段10にはRFIDタグ8(物品9の図示は省略)が八つ流れている。仮に、第1の放射パターン5のみで、RFIDタグ8を読むと、散らばった三つのRFIDタグ8のIDを読み込んでしまう。また、第2の放射パターン6のみで、RFIDタグ8を読むと、さらに散らばった四つのRFIDタグ8のIDを読み込んでしまう。しかし、第1の放射パターン5と第2の放射パターン6と時分割で切り替えて、実施の形態1に係る処理を実行することにより、より狭い検出エリア23eにある二つのRFIDタグ8のIDだけを検出・取得することができる。
【0051】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図14〜20を用いて説明する。実施の形態1では、第1の放射パターンと第2の放射パターンとの両方を第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3の合成により形成していたが、この実施の形態2では、第1の素子アンテナ2又は第2の素子アンテナ3のいずれか一方のみで第1の放射パターン又は第2の放射パターンを形成する場合について説明する。実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムと実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムとは、アンテナ部1の制御が異なること以外は基本的に共通であるので、実施の形態2では異なる点を説明する。図14及び15は実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図、図16は実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャート、図16(a)は第1の放射パターンから第2の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図16(b)は第2の放射パターンから第1の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図17〜20は実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。なお、図17〜20において、縦軸のX[m]は、アンテナ面に沿った放射パターンの大きさを示し、横軸のZ[m]は、アンテナ面の前方に向かった放射パターンの大きさを示す。また、アンテナ部1は、縦軸の原点(原点は、縦軸と横軸の交差点)に近い側から、順に、第2のアンテナ素子3、第1の素子アンテナ2と素子アンテナが並んでいるとする。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0052】
図14〜20において、24は第1のアンテナ素子2が形成する第1の放射パターン、25は第1の放射パターン5と同等で、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3との同位相の合成パターンである第2の放射パターン、26は第1の放射パターン5及び第2の放射パターン25と同等で、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3との同位相の合成パターンである第1の放射パターン、27は第2のアンテナ素子3が形成する第2の放射パターンである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0053】
アンテナ部1によるビーム制御に関して、図14及び5を用いて説明する。実施の形態2では、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3の合成パターン(合成ビーム)と第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3とが独立して放射する放射パターン(ビーム)に関するものである。ここでは、第1の放射パターンが第1の素子アンテナ2により形成され、第2の放射パターンが第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3が同位相で合成される場合を説明する。まず、第1の放射パターン24は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図14に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S2スイッチ18−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2と接続され、S1スイッチ17−S4スイッチ21は接続されないので、第1の素子アンテナ2のみで形成される。この形成された第1の放射パターン24は、図17及び18に記載したものである。また、第2の放射パターン25は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図5に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2,S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続されるので、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3は同位相で合成される。この合成された第2の放射パターン25は、図17及び18に記載したものである。
【0054】
次に、アンテナ部1によるビーム制御に関して、図15及び5を用いて説明する。実施の形態2では、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3の合成パターン(合成ビーム)と第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3とが独立して放射する放射パターン(ビーム)に関するものである。ここでは、第1の放射パターンが第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3が同位相で合成され、第2の放射パターンが第2の素子アンテナ3により形成される場合を説明する。まず、第1の放射パターン26は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図5に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2,S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続されるので、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3は同位相で合成される。この合成された第1の放射パターン26は、図19及び20に記載したものである。また、第2の放射パターン27は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図15に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S4スイッチ21−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続され、S1スイッチ17−S2スイッチ18は接続されないので、第2の素子アンテナ3のみで形成される。この形成された第2の放射パターン27は、図17及び18に記載したものである。
【0055】
実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置(工程管理システム)の動作に関し、まず、アンテナ部1が図17及び18に示す第1の放射パターン24と第2の放射パターン25を形成する場合について、図16〜18を用いて説明する。図16(a)では、アンテナ制御部4により形成された第1の放射パターン24でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS11)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS12)。次に、アンテナ制御部4により同位相で合成された第2の放射パターン25でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS13)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mIDを記憶する(ステップS14)。ステップS12とステップS14の両方で読み取れた場合、第1の放射パターン24と同位相で合成された第2の放射パターン25の共通読取範囲、すなわち、図17に記載の検出エリア23fにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS15)、処理を終了する。
【0056】
図16(b)では、アンテナ制御部4により同位相で合成された第2の放射パターン25でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS16)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS17)。次に、アンテナ制御部4により形成された第1の放射パターン24でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS18)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS19)。ステップS17とステップS19の両方で読み取れた場合、同位相で合成された第2の放射パターン25と第1の放射パターン24の共通読取範囲、すなわち、図17に記載の検出エリア23fにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS20)、処理を終了する。図16のフローチャートを用いて説明した検出エリア23fは、アンテナ部1の近傍側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0057】
図16のフローチャートを用いた説明では、第1の放射パターン24と同位相で合成された第2の放射パターン25の共通読取範囲にあるRFIDタグ8のIDを隣接タグ誤認識防止部11が検出していたが、共通読取範囲を第1の放射パターン24と同位相で合成された第2の放射パターン25から引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、第1の放射パターン24か同位相で合成された第2の放射パターン25かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図18に示す検出エリア23g,23h,23iとなる。検出エリア23g,23h,23iは、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している。
【0058】
また、図18に示す検出エリア23g,23h,23iから第2の放射パターン25を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、第1の放射パターン24か同位相で合成された第2の放射パターン25かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第2の放射パターン25で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図18に示す検出エリア23gとなるので、より狭い範囲を工程管理の対象とすることが可能となる。検出エリア23gのみを記した図面は省略する。なお、検出エリア23gによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第1の放射パターン24を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第2の放射パターン25を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0059】
また、図18に示す検出エリア23c,23d,23eから第1の放射パターン24を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、第1の放射パターン24か同位相で合成された第2の放射パターン25かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第1の放射パターン24で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図18に示す検出エリア23hと検出エリア23iとなるので、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している。検出エリア23h及び検出エリア23iのみを記した図面は省略する。なお、検出エリア23h及び検出エリア23iによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第2の放射パターン25を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第1の放射パターン24を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0060】
次に、アンテナ部1が図19及び20に示す第1の放射パターン26と第2の放射パターン27を形成する場合について、図16、図19及び20を用いて説明する。図16(a)では、まず、アンテナ制御部4により同位相で合成された第1の放射パターン26でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS11)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mIDを記憶する(ステップS12)。次に、アンテナ制御部4により形成された第2の放射パターン27でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS13)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS14)。ステップS12とステップS14の両方で読み取れた場合、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27の共通読取範囲、すなわち、図19に記載の検出エリア23jにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS15)、処理を終了する。
【0061】
図16(b)では、アンテナ制御部4により形成された第2の放射パターン27でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS16)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS17)。次に、アンテナ制御部4により同位相で合成された第1の放射パターン26でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS18)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS19)。ステップS17とステップS19の両方で読み取れた場合、第2の放射パターン27と同位相で合成された第1の放射パターン26との共通読取範囲、すなわち、図19に記載の検出エリア23jにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS20)、処理を終了する。図16のフローチャートを用いて説明した検出エリア23jは、アンテナ部1の近傍側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0062】
図16のフローチャートを用いた説明では、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27の共通読取範囲にあるRFIDタグ8のIDを隣接タグ誤認識防止部11が検出していたが、共通読取範囲を同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27から引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図20に示す検出エリア23k,23l,23mとなる。検出エリア23k,23l,23mは、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している。
【0063】
また、図20に示す検出エリア23k,23l,23mから第1の放射パターン26を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第1の放射パターン26で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図20に示す検出エリア23lとなるので、より狭い範囲を工程管理の対象とすることが可能となる。検出エリア23lのみを記した図面は省略する。なお、検出エリア23lによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第2の放射パターン27を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第1の放射パターン26を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0064】
また、図20に示す検出エリア23k,23l,23mから第2の放射パターン27を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第2の放射パターン27で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図20に示す検出エリア23kと検出エリア23mとなるので、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している。検出エリア23k及び検出エリア23mのみを記した図面は省略する。なお、検出エリア23k及び検出エリア23mによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第1の放射パターン26を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第2の放射パターン27を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0065】
以上説明したように、実施の形態1と同様に、実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは、アンテナ部1の大型化を図らずとも、検出エリア23を狭めることができる。つまり、アンテナ部1のビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しない。なお、図17及び18に記載の第1の放射パターン24は、第1の素子アンテナ2が形成しているので、パターンの中心が、合成パターンである第2の放射パターン25の中心よりも原点(詳しくは、原点を通る横軸)から離れている。同じく、図20及び20に記載の第2の放射パターン27は、第2の素子アンテナ3が形成しているので、パターンの中心が、合成パターンである第1の放射パターン26の中心よりも原点(詳しくは、原点を通る横軸)に近い。
【0066】
実施の形態2では、第2の放射パターン25及び第1の放射パターン26を第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナとを同位相で合成した合成パターンを例に説明を進めたが、この第2の放射パターン25及び第1の放射パターン26を、実施の形態1で説明した第2の放射パターン6のように、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナとを逆位相で合成した合成パターンを適用してもよい。また、この場合の第2の放射パターン25及び第1の放射パターン26の合成方法は、実施の形態1において、第2の放射パターン6の合成方法として説明したものと同じである。
【0067】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図21〜23を用いて説明する。実施の形態1及び2では、第1の放射パターンと第2の放射パターンは、第1の素子アンテナ2を第2の素子アンテナ3を合成して形成する場合や、第1の素子アンテナ2を第2の素子アンテナ3をそれぞれ動作させて形成する場合を説明したが、この実施の形態3では、アンテナ部1が
第1の素子アンテナから第nの素子アンテナ(nは整数)を有するフェイズドアレイアンテナ部であり、位相制御によりビームを走査して、第1の放射パターン及び第2の放射パターンを形成する場合について説明する。実施の形態1及び2に係る、RFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムと実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムとは、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部)の制御が異なること以外は基本的に共通であるので、実施の形態3では異なる点を説明する。図21は実施の形態3に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図(搬送手段省略)、図22は実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャート、図22(a)は第1の放射パターンから第2の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図22(b)は第2の放射パターンから第1の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図23は実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。なお、図23において、縦軸のX[m]は、アンテナ面に沿った放射パターンの大きさを示し、横軸のZ[m]は、アンテナ面の前方に向かった放射パターンの大きさを示す。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0068】
図21〜23において、30は第1の素子アンテナから第nの素子アンテナ(nは整数)を有するフェイズドアレイアンテナ部、4fはフェイズドアレイアンテナ部30に対してビーム制御を行うアンテナ制御部であり、アンテナ制御部4fがフェイズドアレイアンテナ部30を制御し、第1の素子アンテナ2から第nの素子アンテナ3を合成して第1の放射パターン28と第2の放射パターン29を形成する。また、少なくとも第1の放射パターン28と第2の放射パターン29との一部が重複するように、アンテナ制御部4fによるフェイズドアレイアンテナ部30の制御を行う必要がある。12fはRFIDリーダライタ部7及び隣接タグ誤認識防止部11からなり、アンテナ制御部4fを制御するRFIDリーダライタである。また、図示は省略するが、RFIDリーダライタ12fは、RFIDタグ8から読み取ったRFIDタグ8のIDや情報を保存するメモリ部12mも有している。なお、本願では、このRFIDリーダライタ12、アンテナ制御部4f、フェイズドアレイアンテナ部30からRFIDリーダライタ装置12tが構成されていると定義して説明を進めていくが、RFIDリーダライタ12fをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよいし、RFIDリーダライタ12f及びアンテナ制御部4fをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0069】
実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置(工程管理システム)の動作に関し、まず、図22及び23を用いて説明する。図22(a)では、アンテナ制御部4fにより合成された第1の放射パターン28(図22中では、パターン28)でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS21)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS22)。次に、アンテナ制御部4fにより合成された第2の放射パターン29(図22中では、パターン29)でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS23)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mIDを記憶する(ステップS24)。ステップS22とステップS24の両方で読み取れた場合、第1の放射パターン28と第2の放射パターン29の共通読取範囲、すなわち、図23に記載の検出エリア23mにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS25)、処理を終了する。
【0070】
図22(b)では、アンテナ制御部4fにより合成された第2の放射パターン29でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS26)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS27)。次に、アンテナ制御部4fにより合成された第1の放射パターン28でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS28)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS29)。ステップS27とステップS29の両方で読み取れた場合、第2の放射パターン29と第1の放射パターン28の共通読取範囲、すなわち、図23に記載の検出エリア23mにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS30)、処理を終了する。図22のフローチャートを用いて説明した検出エリア23mは、フェイズドアレイアンテナ部30の近傍側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0071】
図21のフローチャートを用いた説明では、第1の放射パターン28と第2の放射パターン29の共通読取範囲にあるRFIDタグ8のIDを隣接タグ誤認識防止部11が検出していたが、共通読取範囲を第1の放射パターン28と第2の放射パターン29から引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、第1の放射パターン28か第2の放射パターン29かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合の検出エリア23は、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している(図示は省略)。
【0072】
以上説明したように、実施の形態1及び2と同様に、実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは、フェイズドアレイアンテナ部30の大型化を図らずとも、検出エリア23を狭めることができる。つまり、フェイズドアレイアンテナ部30のビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しない。なお、実施の形態3では、第1の放射パターン28及び第2の放射パターン29は、それぞれ、サイドローブが実効的に無視できる程度のもの、つまり、主ビームのみのもの(図23)を例示的に説明したが、サイドローブがある場合でも、実施の形態3は実施可能であることはいうまでもない。また、サイドローブの存在により検出エリア23が、実施の形態1及び2のように、複数生じる場合でも、実施の形態1及び2で説明した隣接タグ誤認識防止部11の動作を実施の形態3に適用することにより、検出エリア23を狭めることは可能である。
【0073】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図24〜27を用いて説明する。実施の形態1〜3では、搬送手段10にアンテナ部1又はフェイズドアレイアンテナ部30を一台設置したRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを説明したが、この実施の形態4では、搬送手段10に沿ってフェイズドアレイアンテナ部30が複数配置されたものに関して説明する。この説明は、搬送手段10に沿ってアンテナ部1が複数配置されたものも、基本的には、アンテナ制御4とアンテナ制御4fとの制御方法違い以外は同様であるが、アンテナの放射パターンの形状が単純さから、フェイズドアレイアンテナ部30の場合を例にする。もちろん、実施の形態4にRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを実施の形態1及び2(実施の形態3)に適用してよい。図24〜27は、実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。図24〜27は、搬送手段10と、第1の放射パターン28及び第1の放射パターン29を形成するフェイズドアレイアンテナ部30とを記載し、フェイズドアレイアンテナ部30以降のRFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fなどの構成は省略する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0074】
図24は、搬送手段10に沿って同じ側にフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)が二台配置された状態を示している。フェイズドアレイアンテナ部30間の距離やアンテナ制御部4fによるフェイズドアレイアンテナ部30のビーム制御を行うことにより、図示されているように、二台のフェイズドアレイアンテナ部30において、互いの放射パターン(第1の放射パターン28及び第2の放射パターン29)の一部が被っていたとしても、互いの検出エリア23mが被らないようにすることが可能となる。換言すると、アンテナ制御部4f(アンテナ制御部4)が複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30において、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出するそれぞれの領域をずらすといえる。このような、二箇所の検出エリア23mにおいて、隣接タグ誤認識防止部11が検出したRFIDタグ8のIDを、それぞれ異なる工程にあるRFIDタグ8のIDとしてデータベース部13に記録することにより、各工程の間隔が短く、さらに、各工程の領域が狭い場合でも、RFIDタグ8の工程管理を行うことが可能となる。
【0075】
図25は、搬送手段10に沿って同じ側にフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)が二台配置された状態を示している。図24に記載のフェイズドアレイアンテナ部30は、個別にRFID8のIDを取得する動作でも運用可能であるが、図25に示すように、隣り合うフェイズドアレイアンテナ部30の放射パターンの重複領域を検出エリア23(検出エリア23n)としてもよい。この場合は、隣り合うフェイズドアレイアンテナ部30以降の、それぞれのRFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fは、一体的かつ連携的に運用する必要がある。もちろん、図示は省略するが、RFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fなどを共通のものとしてもよい。
【0076】
図26は、搬送手段10に沿って反対側にフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)が二台配置された状態を示している(対向)。フェイズドアレイアンテナ部30間の距離やアンテナ制御部4fによるフェイズドアレイアンテナ部30のビーム制御を行うことにより、図示されているように、二台のフェイズドアレイアンテナ部30において、互いの放射パターン(第1の放射パターン28及び第2の放射パターン29)の一部が被っていたとしても、互いの検出エリア23mが被らないようにすることが可能となる。換言すると、アンテナ制御部4f(アンテナ制御部4)が複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30において、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出するそれぞれの領域をずらすといえる。このような、二箇所の検出エリア23mにおいて、隣接タグ誤認識防止部11が検出したRFIDタグ8のIDを、それぞれ異なる工程にあるRFIDタグ8のIDとしてデータベース部13に記録することにより、各工程の間隔が短く、さらに、各工程の領域が狭い場合でも、RFIDタグ8の工程管理を行うことが可能となる。
【0077】
図27は、搬送手段10に沿って反対側にフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)が二台配置された状態を示している(対向)。図26に記載のフェイズドアレイアンテナ部30は、個別にRFID8のIDを取得する動作でも運用可能であるが、図27に示すように、隣り合うフェイズドアレイアンテナ部30の放射パターンの重複領域を検出エリア23(検出エリア23o)としてもよい。この場合は、図25で説明したものと同様に、隣り合うフェイズドアレイアンテナ部30以降の、それぞれのRFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fは、一体的かつ連携的に運用する必要がある。もちろん、図示は省略するが、RFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fなどを共通のものとしてもよい。
【0078】
図24〜27では、二台のフェイズドアレイアンテナ部30を用いて説明を行ったが、二台以上でも、実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは実施可能であることはいうまでもない。また、フェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)を搬送手段10に沿って同じ側に設置する場合と搬送手段10に沿って反対側に設置する場合を混在させてもよい。つまり、アンテナ制御部4f(アンテナ制御部4)が複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30において、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出するそれぞれの領域をずらすことが可能な配置であればよいということである。
【0079】
以上説明したように、実施の形態1〜3と同様に、実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは、アンテナ部1やフェイズドアレイアンテナ部30の大型化を図らずとも、検出エリア23を狭めることができる。つまり、アンテナ部1やフェイズドアレイアンテナ部30のビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しない。加えて、実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムでは、各工程の間隔が短く、さらに、各工程の領域が狭い場合でも、RFIDタグ8の工程管理を行うことが可能となるので、搬送手段10に設定される工程管理すべきRFIDタグ8が配される検出エリア23が狭く、隣り合う検出エリア23が近接していても、隣り合う工程や近接する工程間に位置する、又は、流れているRFIDタグを誤認識しないという効果を奏する。
【0080】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5について図28を用いて説明する。実施の形態1及び2では、第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3(アンテナ部1)の素子アンテナごとや素子アンテナの合成により、第1の放射パターン及び第2の放射パターンを形成し、実施の形態3及び4では、フェイズドアレイアンテナ部30を位相制御によりビームを走査して、第1の放射パターン及び第2の放射パターンを形成していた。この実施の形態5では、物理的にアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)を駆動(回転)させて走査することにより、第1の放射パターン及び第2の放射パターンを形成する場合について説明する。物理的にアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)を駆動(回転)させて走査すること以外は、基本的の実施の形態1〜4と同じであるので、異なる部分を説明する。もちろん、実施の形態5に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを実施の形態1〜4に適用してよい。図28は実施の形態5に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。
【0081】
図28において、4gはアンテナ部1を(フェイズドアレイアンテナ部30フェイズドアレイアンテナ部30に対してビーム制御を行い)物理的に駆動(回転)させて走査することにより、第1の放射パターンと第2の放射パターンを形成するアンテナ制御部(アンテナ駆動部)、なお、少なくとも第1の放射パターンと第2の放射パターンとの一部が重複するように、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gによる制御を行う必要がある。また、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gは、アンテナ制御部4(アンテナ制御部4f)とアンテナ駆動部とを別の構成としてもよいが、実施の形態5では説明の簡略化のために、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gとして説明を進める。なお、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gにより制御・駆動されるアンテナ部1は、第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3から構成されるものでなくてもよく、第1の素子アンテナ2又は第2の素子アンテナ3のいずれか一方だけの構成でもよい。12gはRFIDリーダライタ部7及び隣接タグ誤認識防止部11からなり、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gを制御するRFIDリーダライタである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0082】
また、図示は省略するが、RFIDリーダライタ12gは、RFIDタグ8から読み取ったRFIDタグ8のIDや情報を保存するメモリ部12mも有している。なお、本願では、このRFIDリーダライタ12、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4g、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)からRFIDリーダライタ装置12tが構成されていると定義して説明を進めていくが、RFIDリーダライタ12gをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよいし、RFIDリーダライタ12g及びアンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよい。
【0083】
次に動作の説明を行う。アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)がアンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gにより走査され、それぞれ異なる位置で、第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成する。このとき、第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成する方向にアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)が向いているときだけ電波(送信波・質問波)を放射してもよいし、走査中、電波(送信波・質問波)を放射し続けてもよい。
【0084】
以上説明したとおり、実施の形態5に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムでは、第1の放射パターン及び第2の放射パターンの形成をアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)を物理的に動かして形成するので、実施の形態1及び2に係るアンテナ部1よりも、アンテナ部1が簡便な構成で済みという効果を奏する。また、アンテナ部1を第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3で構成する場合や、実施の形態3及び4に係るフェイズドアレイアンテナ部30によるビーム制御を行う場合でも、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gによる物理駆動と併用することにより、時分割で形成される第1の放射パターン及び第2の放射パターンに対する形状選択の自由度が高くなるという効果を奏する。さらに、実施の形態4のように搬送手段10に複数のアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)を設置する場合でも、第1の放射パターン及び第2の放射パターンの形状選択だけでなく、設置する場所の広狭などの環境によって、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)のビーム制御方法を選択する選択肢の自由度も高くなるという効果を奏する。
【0085】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6について図28を用いて説明する。実施の形態1〜5では、隣接タグ誤認識防止部11は、RFIDリーダライタ12,12f,12g内に設けられていたが、この実施の形態6では、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDリーダライタ12,12f,12gの外部に設ける場合に関して説明する。図29は実施の形態6に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。図29において、11hは隣接タグ誤認識防止部、12はRFIDリーダライタ部7からなり、アンテナ制御部4,4f,4gを制御するRFIDリーダライタである。また、図示は省略するが、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ8から読み取ったRFIDタグ8のIDや情報を保存するメモリ部12mも有している。なお、本願では、このRFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)、アンテナ制御部4(アンテナ制御部4f,4g)、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)、隣接タグ誤認識防止部11hからRFIDリーダライタ装置12tが構成されていると定義して説明を進めていくが、RFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)をRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよいし、RFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)及び隣接タグ誤認識防止部11hをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよし、RFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)及びアンテナ制御部4(アンテナ制御部4f,4g)をRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0086】
13hはRFIDリーダライタ12hからRFID8のIDなど情報を保存するデータベース部であり、PCなどの計算機で構成され、内部に隣接タグ誤認識防止部11hが設けられている。また、そのPCなどの計算機上で動作するアプリケーションを用いて、RFIDリーダライタ12hをホストコンピュータとして運用してもよく、搬送手段10と連動させて、搬送手段10により搬送されるRFIDタグ8のIDを読み取ってもよい。なお、このデータベース部13hとRFIDリーダライタ装置12tとから、工程管理システム13tが構成されている。工程管理システム13tは、隣接タグ誤認識防止部11hが検出したIDを有するRFIDタグ8が工程管理する対象のRFIDタグであると判断して、そのIDを記録するデータベース部を有する。また、データベース部13h側にメモリ部12mを設けてもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0087】
実施の形態6に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作は、実施の形態1〜5に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは基本的に同じであるので、動作の説明は省略する。実施の形態6では、隣接タグ誤認識防止部を隣接タグ誤認識防止部11hとして、データベース部13hに設けたので、所望の検出エリア23(検出エリア23a〜23o)からRFIDタグのIDを検出する作業をデータベース部13h上でソフトウェアやそれに準じる処理に変更が生じた場合でも対応が容易であるという効果を奏する。例えば、物品9の大きさや管理する工程の領域が変更となり、検出エリア23の変更も必要となった場合などが考えられる。また、実施の形態4のように、複数のフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部1)を搬送手段10に配置する場合でも、複数のフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部1)が形成する検出エリア23(検出エリア23a〜23o)やフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部1)自体を一元的に管理・制御することが容易にできるという効果を奏する。
【0088】
以上説明したように、データベース13h内に、隣接タグ誤認識防止部11hを、又は、隣接タグ誤認識防止部11hとメモリ部12mとを、設けたので、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)やアンテナ制御部4(アンテナ制御部4f,4g)を別のものに交換する場合や実施の形態4のように複数並べる場合でも、検知エリア23の設定やRFIDタグ8のID検出の主体が、データベース部13hなので、RFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)の構成を共通化・単純化できるという効果を奏する。なお、隣接タグ誤認識防止部11h、又は、隣接タグ誤認識防止部11h及びメモリ部12mの両方は、データベース部やRFIDリーダライタとは、別に形成してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1・・アンテナ部、2・・第1の素子アンテナ、3・・第2の素子アンテナ、4・・アンテナ制御部、4f・・アンテナ制御部、4g・・アンテナ制御部(アンテナ駆動部)、5・・第1の放射パターン、6・・第2の放射パターン、7・・RFIDリーダライタ部、8・・RFIDタグ、9・・物品、10・・搬送手段、11・・隣接タグ誤認識防止部、11h・・隣接タグ誤認識防止部、12・・RFIDリーダライタ、12f・・RFIDリーダライタ、12g・・RFIDリーダライタ、12h・・RFIDリーダライタ、12t・・RFIDリーダライタ装置、12m・・メモリ部、13・・データベース部(PC)、13h・・データベース部(PC)、13t・・工程管理システム、14・・LANケーブル、15・・制御信号ケーブル、16・・同軸ケーブル、17・・S1スイッチ、18・・S2スイッチ、19・・S3スイッチ、20・・ハイブリッド結合器(180°)、21・・S4スイッチ、22・・S5スイッチ、23・・検出エリア、23a〜23o・・検出エリア、23x・・検出エリア(無効)、24・・第1の放射パターン、25・・第2の放射パターン、26・・第1の放射パターン、27・・第2の放射パターン、28・・第1の放射パターン、29・・第2の放射パターン、30・・フェイズドアレイアンテナ部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、Radio Frequency Identification(以下、RFIDと称す)システムにて、RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して(RFIDタグとRFIDリーダライタ装置との通信)、返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取り・更新や書き換えを行うRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムは、ICチップを備えたRFIDタグとRFIDリーダライタとの間で無線通信を行うシステムである。RFIDタグには、バッテリーを搭載し、その電力で駆動するアクティブ型タグと、RFIDリーダライタからの電力を受けて、これを電源とし駆動するパッシブ型タグがある。アクティブ型はパッシブ型に比べ、バッテリーを搭載しているため、通信距離、通信の安定度などのメリットがある反面、構造の複雑化、サイズの大型化、高コストなどのデメリットもある。また、パッシブ型タグ用ICチップの小型化、高性能化が進み、パッシブ型タグの幅広い分野での使用されつつある。
【0003】
パッシブ型タグにおいて、周波数帯が長波帯、短波帯のRFIDタグで適用されている電磁誘導方式では、RFIDリーダライタの送信アンテナコイルとRFIDタグのアンテナコイルとの間の電磁誘導作用でRFIDタグに電圧が誘起され、この電圧によりICチップを起動して通信を可能としている。したがって、RFIDリーダライタによる誘導電磁界内でしかRFIDタグが動作せず、通信距離は数十cm程度となってしまう。一方、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグでは、電波通信方式が適用されており、電波によりRFIDタグのICチップに電力を供給しているため、通信距離は1〜7m程度と大幅に向上している。したがって、通信距離の短い長波帯、短波帯のRFIDシステムでは実現が困難であった複数枚のRFIDタグの同時読み取りや移動しているRFIDタグの読み取りなどが可能となる。そこで、現在、電波通信方式を採用したUHF帯などのRFIDタグをトレーサビリティ対象の対象製品や物品に貼り付けて、製造工程(加工工程や試験・概観チェックなども含む)の全てのライン又は、それに近い数のラインにおける生産工程の履歴管理が行なわれ、RFIDシステムによる製品トレーサビリティ(追跡可能性)が提供されている。
【0004】
従来、上記のようなRFIDシステムによる製品トレーサビリティを目的とするRFIDリーダライタ装置には、それぞれ、アレイアンテナが接続された複数のRFIDリーダライタ装置(タグ通信装置)を設置した場合において、お互いが出す電波によって生じ得る電波干渉を防止するために、対向する2台のRFIDリーダライタ装置のアンテナによる放射パターンのヌル同士を対向させるとともに、主ビーム(メインローブ)を相互干渉が生じない方向に向けるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、複数の異なる読み取り領域(RFIDリーダライタ装置のアンテナが形成する放射パターン)毎に、読み取り領域内に存在するRFIDタグの識別情報(ID)とRFIDタグの識別情報から受信する受信信号の信号レベルとを対応付けて取得し、識別情報毎に読み取り領域の異なる複数の受信信号の信号レベルを差分演算または除算して合成信号レベルを取得し、予め設定された閾値範囲内に前記合成信号レベルが入っている識別情報を抽出するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−306484号公報
【特許文献2】特開2009−157892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のものは、対向する2台のRFIDリーダライタ装置のアンテナによる放射パターンのヌル同士を対向させるとともに、主ビーム(メインローブ)を相互干渉が生じない方向に向ける制御が必要なので、RFIDリーダライタ装置(アンテナ)を設置する間隔に制約がある、RFIDリーダライタ装置のアンテナ同士を対向させる必要がある、などの設置に関する課題や、RFIDタグの読み取り領域(RFIDリーダライタ装置のアンテナが形成する放射パターン)が主ビームの幅に依存し、主ビームの幅よりも狭い領域内のRFIDタグのみを読み取りたい場合でも、主ビーム内に存在するRFIDタグを全て読み取ってしまうという課題がある。そのため、製造工程の全てのライン又は、それに近い数のラインにおける生産工程の履歴管理をRFIDシステムによって確実に行うために、ライン工程間隔が狭い工程において、どのRFIDタグがあるかを確実に検出する必要となるが、特許文献1に記載のものは、ライン工程間隔が狭い工程においてRFIDタグを検出することが困難となる場合がある。なお、ビーム幅の狭いアンテナを用いて、この課題を解決することが考えられるが、アンテナのビーム幅を狭くしようとすると、アンテナの大型化が必要してしまい、さらに、前述の設置に関する課題が拡大してしまうおそれがある。
【0007】
特許文献2に記載のものは、複数の異なる読み取り領域(RFIDリーダライタ装置のアンテナが形成する放射パターン)毎に、読み取り領域内に存在するRFIDタグの識別情報(ID)とRFIDタグの識別情報から受信する受信信号の信号レベルとを対応付けて取得し、受信信号の信号レベルを差分演算または除算して合成信号レベルを用いて、RFIDタグを検出するので、主ビームよりも細い領域をRFIDタグの検出エリア(読み取り領域)とすることが可能である。したがって、特許文献1に記載のものよりも、ライン工程間隔が狭い工程においてRFIDタグを検出することが困難となる可能性を大幅に減じることができる。
【0008】
しかし、特許文献2に記載のものは、RFIDタグの信号の信号レベルを取得し、信号レベルの演算、抽出を実施しているので、RFIDタグの応答信号レベルに検出精度が大きく依存している。その一方で、RFIDタグの応答信号レベルは非常に微弱(特に、パッシブ型タグ)であり、周囲電波環境やRFIDタグを構成するICチップの種類・RFIDタグを構成するアンテナの違いにより大きく、その値が変動してしまうという特徴がある。したがって、特許文献2に記載のものは、RFIDタグの応答信号レベルの正確な数値を得ることが困難である場合に、検出精度が高いとはいえないという課題がある。そのため、実際には、主ビームよりも細い領域をRFIDタグの検出エリア(読み取り領域)外にあるRFIDタグであっても、RFIDタグの周囲電波環境や個体差により、RFIDタグの応答信号レベルが他のRFIDタグよりも高ければ、検出エリア(読み取り領域)内にあると誤認識してしまうおそれがある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、アンテナのビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグは識別しないRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときと前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときとの両方で前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのIDを検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDから、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外、又は、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDから、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外、を検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときと前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときとの両方で前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID以外のIDを検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDから、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときに前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID、又は、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDから前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときに前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID、を検出する請求項3に記載のものである。
【0014】
請求項5の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記隣接タグ誤認識防止部によって検出されたIDを有するRFIDタグへ前記RFIDリーダライタ部が前記アンテナ部を介して情報を書き込むものである請求項1〜4のいずれに記載のものである。
【0015】
請求項6の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記アンテナ部が、位相制御によりビームを走査、又は、駆動して、前記第1の放射パターン及び前記第2の放射パターンを形成する請求項1〜5のいずれかに記載のものである。
【0016】
請求項7の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記アンテナ部が、第1の素子アンテナ及び第2の素子アンテナから構成される請求項1〜5のいずれかに記載のものである。
【0017】
請求項8の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記第1の放射パターンが、前記第1の素子アンテナ又は前記第2の素子アンテナのいずれか一方のみで形成される請求項7に記載のものである。
【0018】
請求項9の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記第2の放射パターンが、前記第1の素子アンテナ及び前記第2の素子アンテナの合成パターンによって形成される請求項7又は8に記載のものである。
【0019】
請求項10の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記第2の放射パターンが、前記第1の素子アンテナ及び前記第2の素子アンテナの同位相合成パターン又は逆位相合成パターンによって形成される請求項7又は8に記載のものである。
【0020】
請求項11の発明に係るRFIDリーダライタ装置は、前記アンテナ制御部が、前記アンテナ部を制御して、前記隣接タグ誤認識防止部がRFIDタグのIDを検出する領域を変更する請求項1〜10のいずれかに記載のものである。
【0021】
請求項12の発明に係る工程管理システムは、請求項1〜11のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムであって、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したIDを有するRFIDタグが工程管理する対象のRFIDタグであると判断して、そのIDを記録するデータベース部を有するものである。
【0022】
請求項13の発明に係る工程管理システムは、RFIDタグを搬送する搬送手段を有し、前記搬送手段に沿って前記アンテナ部が複数配置された請求項12に記載のものである。
【0023】
請求項14の発明に係る工程管理システムは、前記データベース部が、複数配置された前記アンテナ部ごとに前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDを、それぞれ異なる工程にあるRFIDタグのIDとして記録する請求項13に記載のものである。
【0024】
請求項15の発明に係る工程管理システムは、前記アンテナ制御部が複数配置された前記アンテナ部のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置された前記アンテナ部において、前記隣接タグ誤認識防止部がRFIDタグのIDを検出するそれぞれの領域をずらす請求項13又は14に記載のものである。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、この発明によれば、アンテナのビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しないRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの構成概略図である。
【図2】この発明の実施の形態に係るRFIDリーダライタ装置及びデータベース部の機能ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る工程管理システムの機能ブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態に係るアンテナ制御部の機能ブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図8】この発明の実施の形態形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部が形成する放射パターンと搬送手段とを重ね合わせた模式図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図である。
【図15】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図18】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図19】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図20】この発明の実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図21】この発明の実施の形態3に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。
【図22】この発明の実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。
【図24】この発明の実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。
【図25】この発明の実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。
【図26】この発明の実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。
【図27】この発明の実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。
【図28】この発明の実施の形態5に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。
【図29】この発明の実施の形態6に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜13を用いて説明する。なお、図1〜4は他の実施の形態でも共通的に説明において使用する。図1は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの構成概略図、図2は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びデータベース部の機能ブロック図(搬送手段省略)、図3は実施の形態1に係る工程管理システムの機能ブロック図(搬送手段省略)、図4は実施の形態1に係るアンテナ制御部の機能ブロック図、図5及び6は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図、図7、図9〜12は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図、図7(a)はRFIDリーダライタ装置のアンテナ部(同位相合成)の放射パターン図、図7(b)はRFIDリーダライタ装置のアンテナ部(逆位相)の放射パターン図である。なお、図7、図9〜12において、縦軸のX[m]は、アンテナ面に沿った放射パターンの大きさを示し、横軸のZ[m]は、アンテナ面の前方に向かった放射パターンの大きさを示す。また、後述するアンテナ部1は、縦軸の原点(原点は、縦軸と横軸の交差点)に近い側から、順に、後述する第2のアンテナ素子3、後述する第1の素子アンテナ2と素子アンテナが並んでいるとする。図8は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャート、図8(a)は第1の放射パターンから第2の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図8(b)は第2の放射パターンから第1の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図13は実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部が形成する放射パターン(ビーム)と搬送手段とを重ね合わせた模式図(物品を省略し、RFIDタグのみ図示)である。
【0028】
図1〜12において、1はアンテナ部、2はアンテナ部1を構成する第1の素子アンテナ、3はアンテナ部1を構成する第2の素子アンテナ、4はアンテナ部1に対してビーム制御を行うアンテナ制御部であり、アンテナ制御部4がアンテナ部1を制御し、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3を同位相で合成して形成される第1の放射パターン5はアンテナ制御部4がアンテナ部1を制御し、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3を逆位相で合成して形成される第2の放射パターンであり、少なくとも第1の放射パターン5と第2の放射パターン6との一部が重複するように、第1の素子アンテナ素子2及び第2の素子アンテナ3の設置間隔やアンテナ制御部4によるアンテナ部1の制御を行う必要がある。7はアンテナ部1が形成した放射パターン(ビーム)内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部である。なお、RFIDリーダライタ部7や後述するRFIDリーダライタ12やRFIDリーダライタ装置12t(実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置)は、後述するRFIDタグ8のIDや情報を読み取り・更新や書き換えを行うが、更新や書き換えの機能を使用せずに、RFIDリーダ部やRFIDリーダやRFIDリーダ装置として運用してもよいことはいうまでもない。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0029】
8はRFIDタグ、9はRFIDタグ8が貼り付けられた物品であり、RFIDタグ8の内部に設けられたメモリには、RFIDタグ8のID(タグ個体の識別情報や識別可能なシステムコード)が保存されている。このIDと、このIDを有するRFIDタグ8が貼り付けられた物品9とを紐付けることにより、RFIDタグ8のIDから物品9を識別してもよいし、RFIDタグ8のID自体に、そのRFIDタグ8が貼り付けられた物品9の情報をIDとして保存してもよい。また、IDとが別にRFIDタグ8のメモリに物品9の情報が記憶されている場合は、その情報も本願では、RFIDタグ8のIDと称す。なお、図8などのフローチャート中では(他の実施の形態におけるフローチャートも同様)、RFIDリーダライタ部7が、第1の放射パターンや第2の放射パターンにより、RFIDタグ8のIDを取得することを「タグ識別結果」と称する。
【0030】
10は物品9が搬送されるベルトコンベアや搬送ローラなどから構成される搬送手段であり、搬送手段10は、常に一定の搬送速度を維持するものであってもよいし、搬送速度が可変するものであってもよい。また、一時停止してもよい。11は隣接タグ誤認識防止部である。なお、図8などのフローチャート中では(他の実施の形態におけるフローチャートも同様)、隣接タグ誤認識防止部11が、所望のRFIDタグのIDを取得することを「有効な識別情報を判定」と称する。
【0031】
12はRFIDリーダライタ部7及び隣接タグ誤認識防止部11からなり、アンテナ制御部4を制御するRFIDリーダライタである。また、図示は省略するが、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ8から読み取ったRFIDタグ8のIDや情報を保存するメモリ部12mも有している。なお、本願では、このRFIDリーダライタ12、アンテナ制御部4、アンテナ部1からRFIDリーダライタ装置12tが構成されていると定義して説明を進めていくが、RFIDリーダライタ12をRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよいし、RFIDリーダライタ12及びアンテナ制御部4をRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0032】
13はRFIDリーダライタ12からRFID8のIDなど情報を保存するデータベース部であり、PCなどの計算機で構成されている。また、そのPCなどの計算機上で動作するアプリケーションを用いて、RFIDリーダライタ12をホストコンピュータとして運用してもよく、搬送手段10と連動させて、搬送手段10により搬送されるRFIDタグ8のIDを読み取ってもよい。なお、このデータベース部13とRFIDリーダライタ装置12tとから、工程管理システム13tが構成されている。工程管理システム13tは、隣接タグ誤認識防止部11が検出したIDを有するRFIDタグ8が工程管理する対象のRFIDタグであると判断して、そのIDを記録するデータベース部を有する。
【0033】
そこで、工程管理システム13tは搬送手段10を含めて、搬送手段10上を工程管理する領域に物品9に貼り付けられたRFIDタグ8(ID)を検出エリアとして設定し、搬送手段10の搬送速度と、後述するアンテナ部1の放射パターンの切り替え(第1の放射パターン5から第2の放射パターンへの切り替え、又は、第2の放射パターン5から第1の放射パターンへの切り替え)速度とを対応させること、つまり、アンテナ部1が時分割で第1の放射パターン5と第2の放射パターン6から形成する検出エリア(後述する検出エリア23)内にRFIDタグが存在できない(時分割で見た場合)程度の速度よりも遅い速度(加減速や一時停止を含む)に搬送速度を設定することで、搬送手段10上であって工程管理する領域にあるRFIDタグ8のIDを読み取ることができ、工程管理システム13tは、隣接タグ誤認識防止部11が検出したIDを有するRFIDタグ8が工程管理する対象のRFIDタグであると判断できる。
【0034】
14はデータベース部13とRFIDリーダライタ7と接続するLANケーブル、15はRFIDリーダライタ12からアンテナ制御部4へ制御信号を送る制御信号ケーブル、16はRFIDリーダライタ12とアンテナ制御部4との間を接続する同軸ケーブルである。なお、第1の素子アンテナ2とアンテナ制御部4とを接続する同軸ケーブルと、第2の素子アンテナとアンテナ制御部4とを接続する同軸ケーブルとは、図示を省略する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0035】
次に、アンテナ制御部4内の構成を簡単に説明する。主に、図2〜4を参照のこと。同軸ケーブル16は、一端がRFIDリーダライタ12に接続され、他端がアンテナ制御部4内のスイッチ回路であるS1スイッチ17に接続されている。S1スイッチ17は、スイッチ回路であるS2スイッチ18に接続されている(P1−PC)。S2スイッチ18は、スイッチ回路であるS3スイッチ19(P1−P2)とハイブリッド結合器(180°)20(P2−PC)とも接続されている。S3スイッチ19は、S2スイッチ18との接続(P1−P2)に加えて、ハイブリッド結合器(180°)20とも接続されている(P1−PC)。S1スイッチ17は、スイッチ回路であるS4スイッチ21とも接続されている(P2−PC)。S4スイッチ21は、スイッチ回路であるS5スイッチ22(P1−P2)とハイブリッド結合器(180°)20(P1−PC)とも接続されている。S5スイッチ22は、S4スイッチ18との接続(P1−P2)に加えて、ハイブリッド結合器(180°)20とも接続されている(P2−PC)。なお、P1,P2,PCは各スイッチ回路やハイブリッド結合器(180°)20のポート(端子)名であり、ハイブリッド結合器(180°)20のポートに関しては、説明の簡略化のために4端子を全て「PC」としているが、実際の接続関係は図2〜4に示したとおりで、異なるポートであることはいうまでもない。また、図5以降で、図4に記載のアンテナ制御部4の結線状態を示す図が複数あるが、それらにおいて、結線されていない部分は模式的に配線を省いて記している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0036】
このような構成をアンテナ制御部4が採っているので、スイッチ回路であるS1スイッチ17,S2スイッチ18,S3スイッチ19,S4スイッチ21,S5スイッチ22の接続を変更することにより、アンテナ制御部4は、アンテナ部1に対して、第1の放射パターン5又は第2の放射パターン6を形成するビーム制御を行うことができる。また、各スイッチ回路の接続の制御は、制御信号ケーブル15を介して、RFIDリーダライタ12から供給される。つまり、RFIDリーダライタ12が、アンテナ制御部4を介して、アンテナ部1に対して、ビーム制御を行っているともいえる。
【0037】
ここで、隣接タグ誤認識防止部11の動作を簡単に説明する。隣接タグ誤認識防止部11の動作としては主に下記の四つが挙がられる。なお、隣接タグ誤認識防止部11によってIDが検出されるエリア(第1の放射パターン5及び第2の放射パターン6から成る領域内のいずれかの領域に形成される)を検出エリア23とする。また、検出エリア(RFIDタグ8のIDを検出する領域)は、下記のように、隣接タグ誤認識防止部11の動作によって変更することや、アンテナ部1を制御して変更することが可能である。そこで、各検出エリアを互いに識別するために、検出エリア23a〜23e,検出エリア23xと符号を付して互いを識別することとする。検出エリア23xは、RFIDタグ8のIDを検出するには、面積が狭すぎるので、無効なエリアとして取り扱う。また、検出エリア23から隣接タグ誤認識防止部によって検出されたIDを有するRFIDタグへRFIDリーダライタ部7がアンテナ部1を介して情報を書き込んでもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0038】
・隣接タグ誤認識防止部11の動作1
「アンテナ制御部4がアンテナ部1に第1の放射パターン5を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグ8のID(タグ個体の識別情報や識別可能なシステムコード)とアンテナ制御部4がアンテナ部1に第2の放射パターン6を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグ8のIDとのうち、アンテナ部1が第1の放射パターン5を形成したときとアンテナ部1が第2の放射パターン6を形成したときとの両方でRFIDリーダライタ部7に読み取られたRFIDタグ8のIDを検出する。」
【0039】
・隣接タグ誤認識防止部11の動作2
「アンテナ制御部4がアンテナ部1に第1の放射パターン5を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグ8のIDとアンテナ制御部4がアンテナ部1に第2の放射パターン6を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、アンテナ部1が第1の放射パターン5を形成したときとアンテナ部1が第2の放射パターン6を形成したときとの両方でRFIDリーダライタ部7に読み取られたRFIDタグ8のID以外のIDを検出する。」
【0040】
・隣接タグ誤認識防止部11の動作3
「隣接タグ誤認識防止部11の動作2で検出されたRFIDタグのIDから、アンテナ部1が第1の放射パターン5を形成したときにRFIDリーダライタ部7に読み取られたRFIDタグのIDを検出する。」
【0041】
・隣接タグ誤認識防止部11の動作4
「隣接タグ誤認識防止部11の動作2で検出されたRFIDタグのIDから、アンテナ部1が第2の放射パターン6を形成したときにRFIDリーダライタ部7に読み取られたRFIDタグのIDを検出する。」
【0042】
すなわち、隣接タグ誤認識防止部11の動作とは、検出エリア23として設定したエリア(搬送手段10の領域)の外部にRFIDタグ8が存在していても、そのRFIDタグ8が検出エリア23として設定したエリア(搬送手段10の領域)に存在すると誤認識しないものであるといえる。
【0043】
次に、アンテナ部1によるビーム制御に関して、図5〜7を用いて説明する。実施の形態1では、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3の合成パターン(合成ビーム)に関するものである。まず、第1の放射パターン5は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図5に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2,S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続されるので、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3は同位相で合成される。この合成された第1の放射パターン5は、図7(a)に記載したものである。また、第2の放射パターン6は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図6に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S4スイッチ21−ハイブリッド結合器20−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2,S1スイッチ17−S4スイッチ21−ハイブリッド結合器20−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続されるので、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3は逆位相で合成される。この合成された第2の放射パターン6は、図7(b)に記載したものである。
【0044】
実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置(工程管理システム)の動作に関し、図8〜12を用いて説明する。図8(a)では、アンテナ制御部4により同位相で合成された第1の放射パターン5でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS1)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS2)。次に、アンテナ制御部4により逆位相で合成された第2の放射パターン6でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS3)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mIDを記憶する(ステップS4)。ステップS12とステップS4の両方で読み取れた場合、同位相で合成された第1の放射パターン5と逆位相で合成された第2の放射パターン6の共通読取範囲、すなわち、図9に記載の検出エリア23a及び検出エリア23bにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップ5)、処理を終了する。
【0045】
図8(b)では、アンテナ制御部4により逆位相で合成された第2の放射パターン6でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS6)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS7)。次にアンテナ制御部4により同位相で合成された第1の放射パターン5でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS8)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS9)。ステップS7とステップS9の両方で読み取れた場合、逆位相で合成された第2の放射パターン6と同位相で合成された第1の放射パターン5の共通読取範囲、すなわち、図9に記載の検出エリア23a及び検出エリア23bにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS10)、処理を終了する。図8のフローチャートを用いて説明した検出エリア23(検出エリア23a,検出エリア23b)は、アンテナ部1の近傍側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0046】
図8のフローチャートを用いた説明では、同位相で合成された第1の放射パターン5と逆位相で合成された第2の放射パターン6の共通読取範囲にあるRFIDタグ8のIDを隣接タグ誤認識防止部11が検出していたが、共通読取範囲を同位相で合成された第1の放射パターン5と逆位相で合成された第2の放射パターン6から引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン5か逆位相で合成された第2の放射パターン6かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図10に示す検出エリア23c,23d,23eとなる。なお、図10に示す検出エリア23xは、前述の通り、RFIDタグ8のIDを検出するには、面積が狭すぎるので、無効なエリアとして取り扱う。検出エリア23c,23d,23eは、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0047】
また、図10に示す検出エリア23c,23d,23eから第2の放射パターン6を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン5か逆位相で合成された第2の放射パターン6かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第2の放射パターン6で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図11に示す検出エリア23eとなるので、より狭い範囲を工程管理の対象とすることが可能となる。なお、図11に示す検出エリア23eによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第1の放射パターン5を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第2の放射パターン6を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0048】
また、図10に示す検出エリア23c,23d,23eから第1の放射パターン5を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン5か逆位相で合成された第2の放射パターン6かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第1の放射パターン5で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図12に示す検出エリア23cと検出エリア23dとなるので、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。なお、図12に示す検出エリア23cと検出エリア23dによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第2の放射パターン6を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第1の放射パターン5を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0049】
以上説明したように、実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは、アンテナ部1の大型化を図らずとも、検出エリア23を狭めることができる。つまり、アンテナ部1のビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しない。図13を用いて、誤認識しないための条件である狭い範囲にあるRFIDタグ8だけを読み取ることが可能であること説明する。図13は、検出エリア23が検出エリア23eのみ場合である図11に模式的に搬送手段10を重ね合わせたものである。図13の搬送搬送手段10上を流れる四角状のものは、RFIDタグ8である。参考までに、図13の点線で囲われた楕円の領域に、搬送手段10上を流れる四角状のものと同じものがRFIDタグ8であることを図示している。
【0050】
図13に記載された搬送手段10にはRFIDタグ8(物品9の図示は省略)が八つ流れている。仮に、第1の放射パターン5のみで、RFIDタグ8を読むと、散らばった三つのRFIDタグ8のIDを読み込んでしまう。また、第2の放射パターン6のみで、RFIDタグ8を読むと、さらに散らばった四つのRFIDタグ8のIDを読み込んでしまう。しかし、第1の放射パターン5と第2の放射パターン6と時分割で切り替えて、実施の形態1に係る処理を実行することにより、より狭い検出エリア23eにある二つのRFIDタグ8のIDだけを検出・取得することができる。
【0051】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図14〜20を用いて説明する。実施の形態1では、第1の放射パターンと第2の放射パターンとの両方を第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3の合成により形成していたが、この実施の形態2では、第1の素子アンテナ2又は第2の素子アンテナ3のいずれか一方のみで第1の放射パターン又は第2の放射パターンを形成する場合について説明する。実施の形態1に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムと実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムとは、アンテナ部1の制御が異なること以外は基本的に共通であるので、実施の形態2では異なる点を説明する。図14及び15は実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置の機能ブロック図、図16は実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャート、図16(a)は第1の放射パターンから第2の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図16(b)は第2の放射パターンから第1の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図17〜20は実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。なお、図17〜20において、縦軸のX[m]は、アンテナ面に沿った放射パターンの大きさを示し、横軸のZ[m]は、アンテナ面の前方に向かった放射パターンの大きさを示す。また、アンテナ部1は、縦軸の原点(原点は、縦軸と横軸の交差点)に近い側から、順に、第2のアンテナ素子3、第1の素子アンテナ2と素子アンテナが並んでいるとする。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0052】
図14〜20において、24は第1のアンテナ素子2が形成する第1の放射パターン、25は第1の放射パターン5と同等で、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3との同位相の合成パターンである第2の放射パターン、26は第1の放射パターン5及び第2の放射パターン25と同等で、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3との同位相の合成パターンである第1の放射パターン、27は第2のアンテナ素子3が形成する第2の放射パターンである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0053】
アンテナ部1によるビーム制御に関して、図14及び5を用いて説明する。実施の形態2では、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3の合成パターン(合成ビーム)と第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3とが独立して放射する放射パターン(ビーム)に関するものである。ここでは、第1の放射パターンが第1の素子アンテナ2により形成され、第2の放射パターンが第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3が同位相で合成される場合を説明する。まず、第1の放射パターン24は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図14に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S2スイッチ18−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2と接続され、S1スイッチ17−S4スイッチ21は接続されないので、第1の素子アンテナ2のみで形成される。この形成された第1の放射パターン24は、図17及び18に記載したものである。また、第2の放射パターン25は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図5に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2,S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続されるので、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3は同位相で合成される。この合成された第2の放射パターン25は、図17及び18に記載したものである。
【0054】
次に、アンテナ部1によるビーム制御に関して、図15及び5を用いて説明する。実施の形態2では、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3の合成パターン(合成ビーム)と第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3とが独立して放射する放射パターン(ビーム)に関するものである。ここでは、第1の放射パターンが第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3が同位相で合成され、第2の放射パターンが第2の素子アンテナ3により形成される場合を説明する。まず、第1の放射パターン26は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図5に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S3スイッチ19−第1の素子アンテナ2,S1スイッチ17−S2スイッチ18−ハイブリッド結合器20−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続されるので、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナ3は同位相で合成される。この合成された第1の放射パターン26は、図19及び20に記載したものである。また、第2の放射パターン27は、RFIDリーダライタ12からの制御信号により、図15に示すように、アンテナ制御部4内の各スイッチ回路及びハイブリッド結合器20が切り替えられ、S1スイッチ17−S4スイッチ21−S5スイッチ22−第2の素子アンテナ3と接続され、S1スイッチ17−S2スイッチ18は接続されないので、第2の素子アンテナ3のみで形成される。この形成された第2の放射パターン27は、図17及び18に記載したものである。
【0055】
実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置(工程管理システム)の動作に関し、まず、アンテナ部1が図17及び18に示す第1の放射パターン24と第2の放射パターン25を形成する場合について、図16〜18を用いて説明する。図16(a)では、アンテナ制御部4により形成された第1の放射パターン24でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS11)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS12)。次に、アンテナ制御部4により同位相で合成された第2の放射パターン25でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS13)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mIDを記憶する(ステップS14)。ステップS12とステップS14の両方で読み取れた場合、第1の放射パターン24と同位相で合成された第2の放射パターン25の共通読取範囲、すなわち、図17に記載の検出エリア23fにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS15)、処理を終了する。
【0056】
図16(b)では、アンテナ制御部4により同位相で合成された第2の放射パターン25でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS16)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS17)。次に、アンテナ制御部4により形成された第1の放射パターン24でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS18)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS19)。ステップS17とステップS19の両方で読み取れた場合、同位相で合成された第2の放射パターン25と第1の放射パターン24の共通読取範囲、すなわち、図17に記載の検出エリア23fにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS20)、処理を終了する。図16のフローチャートを用いて説明した検出エリア23fは、アンテナ部1の近傍側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0057】
図16のフローチャートを用いた説明では、第1の放射パターン24と同位相で合成された第2の放射パターン25の共通読取範囲にあるRFIDタグ8のIDを隣接タグ誤認識防止部11が検出していたが、共通読取範囲を第1の放射パターン24と同位相で合成された第2の放射パターン25から引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、第1の放射パターン24か同位相で合成された第2の放射パターン25かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図18に示す検出エリア23g,23h,23iとなる。検出エリア23g,23h,23iは、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している。
【0058】
また、図18に示す検出エリア23g,23h,23iから第2の放射パターン25を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、第1の放射パターン24か同位相で合成された第2の放射パターン25かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第2の放射パターン25で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図18に示す検出エリア23gとなるので、より狭い範囲を工程管理の対象とすることが可能となる。検出エリア23gのみを記した図面は省略する。なお、検出エリア23gによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第1の放射パターン24を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第2の放射パターン25を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0059】
また、図18に示す検出エリア23c,23d,23eから第1の放射パターン24を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、第1の放射パターン24か同位相で合成された第2の放射パターン25かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第1の放射パターン24で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図18に示す検出エリア23hと検出エリア23iとなるので、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している。検出エリア23h及び検出エリア23iのみを記した図面は省略する。なお、検出エリア23h及び検出エリア23iによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第2の放射パターン25を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第1の放射パターン24を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0060】
次に、アンテナ部1が図19及び20に示す第1の放射パターン26と第2の放射パターン27を形成する場合について、図16、図19及び20を用いて説明する。図16(a)では、まず、アンテナ制御部4により同位相で合成された第1の放射パターン26でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS11)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mIDを記憶する(ステップS12)。次に、アンテナ制御部4により形成された第2の放射パターン27でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS13)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS14)。ステップS12とステップS14の両方で読み取れた場合、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27の共通読取範囲、すなわち、図19に記載の検出エリア23jにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS15)、処理を終了する。
【0061】
図16(b)では、アンテナ制御部4により形成された第2の放射パターン27でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS16)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS17)。次に、アンテナ制御部4により同位相で合成された第1の放射パターン26でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS18)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS19)。ステップS17とステップS19の両方で読み取れた場合、第2の放射パターン27と同位相で合成された第1の放射パターン26との共通読取範囲、すなわち、図19に記載の検出エリア23jにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS20)、処理を終了する。図16のフローチャートを用いて説明した検出エリア23jは、アンテナ部1の近傍側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0062】
図16のフローチャートを用いた説明では、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27の共通読取範囲にあるRFIDタグ8のIDを隣接タグ誤認識防止部11が検出していたが、共通読取範囲を同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27から引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図20に示す検出エリア23k,23l,23mとなる。検出エリア23k,23l,23mは、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している。
【0063】
また、図20に示す検出エリア23k,23l,23mから第1の放射パターン26を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第1の放射パターン26で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図20に示す検出エリア23lとなるので、より狭い範囲を工程管理の対象とすることが可能となる。検出エリア23lのみを記した図面は省略する。なお、検出エリア23lによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第2の放射パターン27を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第1の放射パターン26を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0064】
また、図20に示す検出エリア23k,23l,23mから第2の放射パターン27を引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、同位相で合成された第1の放射パターン26と第2の放射パターン27かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDから、さらに、第2の放射パターン27で検出されたRFIDタグ8のIDを引いたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合は、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出する検出エリア23は、図20に示す検出エリア23kと検出エリア23mとなるので、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している。検出エリア23k及び検出エリア23mのみを記した図面は省略する。なお、検出エリア23k及び検出エリア23mによる検出は、隣接タグ誤認識防止部11によって、第1の放射パターン26を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDから、第2の放射パターン27を形成させたときにRFIDリーダライタ部7によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外を検出することでも可能である。
【0065】
以上説明したように、実施の形態1と同様に、実施の形態2に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは、アンテナ部1の大型化を図らずとも、検出エリア23を狭めることができる。つまり、アンテナ部1のビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しない。なお、図17及び18に記載の第1の放射パターン24は、第1の素子アンテナ2が形成しているので、パターンの中心が、合成パターンである第2の放射パターン25の中心よりも原点(詳しくは、原点を通る横軸)から離れている。同じく、図20及び20に記載の第2の放射パターン27は、第2の素子アンテナ3が形成しているので、パターンの中心が、合成パターンである第1の放射パターン26の中心よりも原点(詳しくは、原点を通る横軸)に近い。
【0066】
実施の形態2では、第2の放射パターン25及び第1の放射パターン26を第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナとを同位相で合成した合成パターンを例に説明を進めたが、この第2の放射パターン25及び第1の放射パターン26を、実施の形態1で説明した第2の放射パターン6のように、第1の素子アンテナ2と第2の素子アンテナとを逆位相で合成した合成パターンを適用してもよい。また、この場合の第2の放射パターン25及び第1の放射パターン26の合成方法は、実施の形態1において、第2の放射パターン6の合成方法として説明したものと同じである。
【0067】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図21〜23を用いて説明する。実施の形態1及び2では、第1の放射パターンと第2の放射パターンは、第1の素子アンテナ2を第2の素子アンテナ3を合成して形成する場合や、第1の素子アンテナ2を第2の素子アンテナ3をそれぞれ動作させて形成する場合を説明したが、この実施の形態3では、アンテナ部1が
第1の素子アンテナから第nの素子アンテナ(nは整数)を有するフェイズドアレイアンテナ部であり、位相制御によりビームを走査して、第1の放射パターン及び第2の放射パターンを形成する場合について説明する。実施の形態1及び2に係る、RFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムと実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムとは、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部)の制御が異なること以外は基本的に共通であるので、実施の形態3では異なる点を説明する。図21は実施の形態3に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図(搬送手段省略)、図22は実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作フローチャート、図22(a)は第1の放射パターンから第2の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図22(b)は第2の放射パターンから第1の放射パターンへ時分割で切り替える動作フローチャート、図23は実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部の放射パターン図である。なお、図23において、縦軸のX[m]は、アンテナ面に沿った放射パターンの大きさを示し、横軸のZ[m]は、アンテナ面の前方に向かった放射パターンの大きさを示す。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0068】
図21〜23において、30は第1の素子アンテナから第nの素子アンテナ(nは整数)を有するフェイズドアレイアンテナ部、4fはフェイズドアレイアンテナ部30に対してビーム制御を行うアンテナ制御部であり、アンテナ制御部4fがフェイズドアレイアンテナ部30を制御し、第1の素子アンテナ2から第nの素子アンテナ3を合成して第1の放射パターン28と第2の放射パターン29を形成する。また、少なくとも第1の放射パターン28と第2の放射パターン29との一部が重複するように、アンテナ制御部4fによるフェイズドアレイアンテナ部30の制御を行う必要がある。12fはRFIDリーダライタ部7及び隣接タグ誤認識防止部11からなり、アンテナ制御部4fを制御するRFIDリーダライタである。また、図示は省略するが、RFIDリーダライタ12fは、RFIDタグ8から読み取ったRFIDタグ8のIDや情報を保存するメモリ部12mも有している。なお、本願では、このRFIDリーダライタ12、アンテナ制御部4f、フェイズドアレイアンテナ部30からRFIDリーダライタ装置12tが構成されていると定義して説明を進めていくが、RFIDリーダライタ12fをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよいし、RFIDリーダライタ12f及びアンテナ制御部4fをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0069】
実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置(工程管理システム)の動作に関し、まず、図22及び23を用いて説明する。図22(a)では、アンテナ制御部4fにより合成された第1の放射パターン28(図22中では、パターン28)でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS21)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS22)。次に、アンテナ制御部4fにより合成された第2の放射パターン29(図22中では、パターン29)でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS23)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mIDを記憶する(ステップS24)。ステップS22とステップS24の両方で読み取れた場合、第1の放射パターン28と第2の放射パターン29の共通読取範囲、すなわち、図23に記載の検出エリア23mにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS25)、処理を終了する。
【0070】
図22(b)では、アンテナ制御部4fにより合成された第2の放射パターン29でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS26)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS27)。次に、アンテナ制御部4fにより合成された第1の放射パターン28でRFIDタグ8と通信するように設定し、RFIDタグ8のIDを応答させる信号を送信する(ステップS28)。RFIDタグ8のIDを受信し、メモリ部12mがIDを記憶する(ステップS29)。ステップS27とステップS29の両方で読み取れた場合、第2の放射パターン29と第1の放射パターン28の共通読取範囲、すなわち、図23に記載の検出エリア23mにRFIDタグ8が存在したと、隣接タグ誤認識防止部11が判定し(ステップS30)、処理を終了する。図22のフローチャートを用いて説明した検出エリア23mは、フェイズドアレイアンテナ部30の近傍側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出に適している。
【0071】
図21のフローチャートを用いた説明では、第1の放射パターン28と第2の放射パターン29の共通読取範囲にあるRFIDタグ8のIDを隣接タグ誤認識防止部11が検出していたが、共通読取範囲を第1の放射パターン28と第2の放射パターン29から引いた範囲を検出エリア23としてもよい。つまり、第1の放射パターン28か第2の放射パターン29かのいずれか一方のみで検出されたRFIDタグ8のIDが対象となる。この場合の検出エリア23は、アンテナ部1から離れた側にある、又は、通過するRFIDタグ8の検出にも適している(図示は省略)。
【0072】
以上説明したように、実施の形態1及び2と同様に、実施の形態3に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは、フェイズドアレイアンテナ部30の大型化を図らずとも、検出エリア23を狭めることができる。つまり、フェイズドアレイアンテナ部30のビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しない。なお、実施の形態3では、第1の放射パターン28及び第2の放射パターン29は、それぞれ、サイドローブが実効的に無視できる程度のもの、つまり、主ビームのみのもの(図23)を例示的に説明したが、サイドローブがある場合でも、実施の形態3は実施可能であることはいうまでもない。また、サイドローブの存在により検出エリア23が、実施の形態1及び2のように、複数生じる場合でも、実施の形態1及び2で説明した隣接タグ誤認識防止部11の動作を実施の形態3に適用することにより、検出エリア23を狭めることは可能である。
【0073】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図24〜27を用いて説明する。実施の形態1〜3では、搬送手段10にアンテナ部1又はフェイズドアレイアンテナ部30を一台設置したRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを説明したが、この実施の形態4では、搬送手段10に沿ってフェイズドアレイアンテナ部30が複数配置されたものに関して説明する。この説明は、搬送手段10に沿ってアンテナ部1が複数配置されたものも、基本的には、アンテナ制御4とアンテナ制御4fとの制御方法違い以外は同様であるが、アンテナの放射パターンの形状が単純さから、フェイズドアレイアンテナ部30の場合を例にする。もちろん、実施の形態4にRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを実施の形態1及び2(実施の形態3)に適用してよい。図24〜27は、実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置のアンテナ部及びその放射パターン図である。図24〜27は、搬送手段10と、第1の放射パターン28及び第1の放射パターン29を形成するフェイズドアレイアンテナ部30とを記載し、フェイズドアレイアンテナ部30以降のRFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fなどの構成は省略する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0074】
図24は、搬送手段10に沿って同じ側にフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)が二台配置された状態を示している。フェイズドアレイアンテナ部30間の距離やアンテナ制御部4fによるフェイズドアレイアンテナ部30のビーム制御を行うことにより、図示されているように、二台のフェイズドアレイアンテナ部30において、互いの放射パターン(第1の放射パターン28及び第2の放射パターン29)の一部が被っていたとしても、互いの検出エリア23mが被らないようにすることが可能となる。換言すると、アンテナ制御部4f(アンテナ制御部4)が複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30において、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出するそれぞれの領域をずらすといえる。このような、二箇所の検出エリア23mにおいて、隣接タグ誤認識防止部11が検出したRFIDタグ8のIDを、それぞれ異なる工程にあるRFIDタグ8のIDとしてデータベース部13に記録することにより、各工程の間隔が短く、さらに、各工程の領域が狭い場合でも、RFIDタグ8の工程管理を行うことが可能となる。
【0075】
図25は、搬送手段10に沿って同じ側にフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)が二台配置された状態を示している。図24に記載のフェイズドアレイアンテナ部30は、個別にRFID8のIDを取得する動作でも運用可能であるが、図25に示すように、隣り合うフェイズドアレイアンテナ部30の放射パターンの重複領域を検出エリア23(検出エリア23n)としてもよい。この場合は、隣り合うフェイズドアレイアンテナ部30以降の、それぞれのRFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fは、一体的かつ連携的に運用する必要がある。もちろん、図示は省略するが、RFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fなどを共通のものとしてもよい。
【0076】
図26は、搬送手段10に沿って反対側にフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)が二台配置された状態を示している(対向)。フェイズドアレイアンテナ部30間の距離やアンテナ制御部4fによるフェイズドアレイアンテナ部30のビーム制御を行うことにより、図示されているように、二台のフェイズドアレイアンテナ部30において、互いの放射パターン(第1の放射パターン28及び第2の放射パターン29)の一部が被っていたとしても、互いの検出エリア23mが被らないようにすることが可能となる。換言すると、アンテナ制御部4f(アンテナ制御部4)が複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30において、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出するそれぞれの領域をずらすといえる。このような、二箇所の検出エリア23mにおいて、隣接タグ誤認識防止部11が検出したRFIDタグ8のIDを、それぞれ異なる工程にあるRFIDタグ8のIDとしてデータベース部13に記録することにより、各工程の間隔が短く、さらに、各工程の領域が狭い場合でも、RFIDタグ8の工程管理を行うことが可能となる。
【0077】
図27は、搬送手段10に沿って反対側にフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)が二台配置された状態を示している(対向)。図26に記載のフェイズドアレイアンテナ部30は、個別にRFID8のIDを取得する動作でも運用可能であるが、図27に示すように、隣り合うフェイズドアレイアンテナ部30の放射パターンの重複領域を検出エリア23(検出エリア23o)としてもよい。この場合は、図25で説明したものと同様に、隣り合うフェイズドアレイアンテナ部30以降の、それぞれのRFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fは、一体的かつ連携的に運用する必要がある。もちろん、図示は省略するが、RFIDリーダライタ部7(RFIDリーダライタ12f)やアンテナ制御部4fなどを共通のものとしてもよい。
【0078】
図24〜27では、二台のフェイズドアレイアンテナ部30を用いて説明を行ったが、二台以上でも、実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは実施可能であることはいうまでもない。また、フェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)を搬送手段10に沿って同じ側に設置する場合と搬送手段10に沿って反対側に設置する場合を混在させてもよい。つまり、アンテナ制御部4f(アンテナ制御部4)が複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部)のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置されたフェイズドアレイアンテナ部30において、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDタグ8のIDを検出するそれぞれの領域をずらすことが可能な配置であればよいということである。
【0079】
以上説明したように、実施の形態1〜3と同様に、実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは、アンテナ部1やフェイズドアレイアンテナ部30の大型化を図らずとも、検出エリア23を狭めることができる。つまり、アンテナ部1やフェイズドアレイアンテナ部30のビーム幅よりも狭い、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグを識別し、特定範囲外に存在するRFIDタグやその他の範囲に存在するRFIDタグを、ある特定の範囲内に存在するRFIDタグと誤認識しない。加えて、実施の形態4に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムでは、各工程の間隔が短く、さらに、各工程の領域が狭い場合でも、RFIDタグ8の工程管理を行うことが可能となるので、搬送手段10に設定される工程管理すべきRFIDタグ8が配される検出エリア23が狭く、隣り合う検出エリア23が近接していても、隣り合う工程や近接する工程間に位置する、又は、流れているRFIDタグを誤認識しないという効果を奏する。
【0080】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5について図28を用いて説明する。実施の形態1及び2では、第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3(アンテナ部1)の素子アンテナごとや素子アンテナの合成により、第1の放射パターン及び第2の放射パターンを形成し、実施の形態3及び4では、フェイズドアレイアンテナ部30を位相制御によりビームを走査して、第1の放射パターン及び第2の放射パターンを形成していた。この実施の形態5では、物理的にアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)を駆動(回転)させて走査することにより、第1の放射パターン及び第2の放射パターンを形成する場合について説明する。物理的にアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)を駆動(回転)させて走査すること以外は、基本的の実施の形態1〜4と同じであるので、異なる部分を説明する。もちろん、実施の形態5に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムを実施の形態1〜4に適用してよい。図28は実施の形態5に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。
【0081】
図28において、4gはアンテナ部1を(フェイズドアレイアンテナ部30フェイズドアレイアンテナ部30に対してビーム制御を行い)物理的に駆動(回転)させて走査することにより、第1の放射パターンと第2の放射パターンを形成するアンテナ制御部(アンテナ駆動部)、なお、少なくとも第1の放射パターンと第2の放射パターンとの一部が重複するように、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gによる制御を行う必要がある。また、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gは、アンテナ制御部4(アンテナ制御部4f)とアンテナ駆動部とを別の構成としてもよいが、実施の形態5では説明の簡略化のために、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gとして説明を進める。なお、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gにより制御・駆動されるアンテナ部1は、第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3から構成されるものでなくてもよく、第1の素子アンテナ2又は第2の素子アンテナ3のいずれか一方だけの構成でもよい。12gはRFIDリーダライタ部7及び隣接タグ誤認識防止部11からなり、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gを制御するRFIDリーダライタである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0082】
また、図示は省略するが、RFIDリーダライタ12gは、RFIDタグ8から読み取ったRFIDタグ8のIDや情報を保存するメモリ部12mも有している。なお、本願では、このRFIDリーダライタ12、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4g、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)からRFIDリーダライタ装置12tが構成されていると定義して説明を進めていくが、RFIDリーダライタ12gをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよいし、RFIDリーダライタ12g及びアンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよい。
【0083】
次に動作の説明を行う。アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)がアンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gにより走査され、それぞれ異なる位置で、第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成する。このとき、第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成する方向にアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)が向いているときだけ電波(送信波・質問波)を放射してもよいし、走査中、電波(送信波・質問波)を放射し続けてもよい。
【0084】
以上説明したとおり、実施の形態5に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムでは、第1の放射パターン及び第2の放射パターンの形成をアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)を物理的に動かして形成するので、実施の形態1及び2に係るアンテナ部1よりも、アンテナ部1が簡便な構成で済みという効果を奏する。また、アンテナ部1を第1の素子アンテナ2及び第2の素子アンテナ3で構成する場合や、実施の形態3及び4に係るフェイズドアレイアンテナ部30によるビーム制御を行う場合でも、アンテナ制御部(アンテナ駆動部)4gによる物理駆動と併用することにより、時分割で形成される第1の放射パターン及び第2の放射パターンに対する形状選択の自由度が高くなるという効果を奏する。さらに、実施の形態4のように搬送手段10に複数のアンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)を設置する場合でも、第1の放射パターン及び第2の放射パターンの形状選択だけでなく、設置する場所の広狭などの環境によって、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)のビーム制御方法を選択する選択肢の自由度も高くなるという効果を奏する。
【0085】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6について図28を用いて説明する。実施の形態1〜5では、隣接タグ誤認識防止部11は、RFIDリーダライタ12,12f,12g内に設けられていたが、この実施の形態6では、隣接タグ誤認識防止部11がRFIDリーダライタ12,12f,12gの外部に設ける場合に関して説明する。図29は実施の形態6に係る工程管理システム(RFIDリーダライタ装置)の機能ブロック図である。図29において、11hは隣接タグ誤認識防止部、12はRFIDリーダライタ部7からなり、アンテナ制御部4,4f,4gを制御するRFIDリーダライタである。また、図示は省略するが、RFIDリーダライタ12は、RFIDタグ8から読み取ったRFIDタグ8のIDや情報を保存するメモリ部12mも有している。なお、本願では、このRFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)、アンテナ制御部4(アンテナ制御部4f,4g)、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)、隣接タグ誤認識防止部11hからRFIDリーダライタ装置12tが構成されていると定義して説明を進めていくが、RFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)をRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよいし、RFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)及び隣接タグ誤認識防止部11hをRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよし、RFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)及びアンテナ制御部4(アンテナ制御部4f,4g)をRFIDリーダライタ装置12tと定義してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0086】
13hはRFIDリーダライタ12hからRFID8のIDなど情報を保存するデータベース部であり、PCなどの計算機で構成され、内部に隣接タグ誤認識防止部11hが設けられている。また、そのPCなどの計算機上で動作するアプリケーションを用いて、RFIDリーダライタ12hをホストコンピュータとして運用してもよく、搬送手段10と連動させて、搬送手段10により搬送されるRFIDタグ8のIDを読み取ってもよい。なお、このデータベース部13hとRFIDリーダライタ装置12tとから、工程管理システム13tが構成されている。工程管理システム13tは、隣接タグ誤認識防止部11hが検出したIDを有するRFIDタグ8が工程管理する対象のRFIDタグであると判断して、そのIDを記録するデータベース部を有する。また、データベース部13h側にメモリ部12mを設けてもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0087】
実施の形態6に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムの動作は、実施の形態1〜5に係るRFIDリーダライタ装置及びこのRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムは基本的に同じであるので、動作の説明は省略する。実施の形態6では、隣接タグ誤認識防止部を隣接タグ誤認識防止部11hとして、データベース部13hに設けたので、所望の検出エリア23(検出エリア23a〜23o)からRFIDタグのIDを検出する作業をデータベース部13h上でソフトウェアやそれに準じる処理に変更が生じた場合でも対応が容易であるという効果を奏する。例えば、物品9の大きさや管理する工程の領域が変更となり、検出エリア23の変更も必要となった場合などが考えられる。また、実施の形態4のように、複数のフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部1)を搬送手段10に配置する場合でも、複数のフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部1)が形成する検出エリア23(検出エリア23a〜23o)やフェイズドアレイアンテナ部30(アンテナ部1)自体を一元的に管理・制御することが容易にできるという効果を奏する。
【0088】
以上説明したように、データベース13h内に、隣接タグ誤認識防止部11hを、又は、隣接タグ誤認識防止部11hとメモリ部12mとを、設けたので、アンテナ部1(フェイズドアレイアンテナ部30)やアンテナ制御部4(アンテナ制御部4f,4g)を別のものに交換する場合や実施の形態4のように複数並べる場合でも、検知エリア23の設定やRFIDタグ8のID検出の主体が、データベース部13hなので、RFIDリーダライタ12(RFIDリーダライタ12f,12g,12h)の構成を共通化・単純化できるという効果を奏する。なお、隣接タグ誤認識防止部11h、又は、隣接タグ誤認識防止部11h及びメモリ部12mの両方は、データベース部やRFIDリーダライタとは、別に形成してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1・・アンテナ部、2・・第1の素子アンテナ、3・・第2の素子アンテナ、4・・アンテナ制御部、4f・・アンテナ制御部、4g・・アンテナ制御部(アンテナ駆動部)、5・・第1の放射パターン、6・・第2の放射パターン、7・・RFIDリーダライタ部、8・・RFIDタグ、9・・物品、10・・搬送手段、11・・隣接タグ誤認識防止部、11h・・隣接タグ誤認識防止部、12・・RFIDリーダライタ、12f・・RFIDリーダライタ、12g・・RFIDリーダライタ、12h・・RFIDリーダライタ、12t・・RFIDリーダライタ装置、12m・・メモリ部、13・・データベース部(PC)、13h・・データベース部(PC)、13t・・工程管理システム、14・・LANケーブル、15・・制御信号ケーブル、16・・同軸ケーブル、17・・S1スイッチ、18・・S2スイッチ、19・・S3スイッチ、20・・ハイブリッド結合器(180°)、21・・S4スイッチ、22・・S5スイッチ、23・・検出エリア、23a〜23o・・検出エリア、23x・・検出エリア(無効)、24・・第1の放射パターン、25・・第2の放射パターン、26・・第1の放射パターン、27・・第2の放射パターン、28・・第1の放射パターン、29・・第2の放射パターン、30・・フェイズドアレイアンテナ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときと前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときとの両方で前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのIDを検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたRFIDリーダライタ装置。
【請求項2】
RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDから、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外、又は、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDから、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外、を検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたRFIDリーダライタ装置。
【請求項3】
RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときと前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときとの両方で前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID以外のIDを検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたRFIDリーダライタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のRFIDリーダライタ装置は、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDから、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときに前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID、又は、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDから前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときに前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID、を検出するRFIDリーダライタ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれに記載のRFIDリーダライタ装置は、前記隣接タグ誤認識防止部によって検出されたIDを有するRFIDタグへ前記RFIDリーダライタ部が前記アンテナ部を介して情報を書き込むものであるRFIDリーダライタ装置。
【請求項6】
前記アンテナ部は、位相制御によりビームを走査、又は、駆動して、前記第1の放射パターン及び前記第2の放射パターンを形成する請求項1〜5のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項7】
前記アンテナ部は、第1の素子アンテナ及び第2の素子アンテナから構成される請求項1〜5のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項8】
前記第1の放射パターンは、前記第1の素子アンテナ又は前記第2の素子アンテナのいずれか一方のみで形成される請求項7に記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項9】
前記第2の放射パターンは、前記第1の素子アンテナ及び前記第2の素子アンテナの合成パターンによって形成される請求項7又は8に記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項10】
前記第2の放射パターンは、前記第1の素子アンテナ及び前記第2の素子アンテナの同位相合成パターン又は逆位相合成パターンによって形成される請求項7又は8に記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項11】
前記アンテナ制御部は、前記アンテナ部を制御して、前記隣接タグ誤認識防止部がRFIDタグのIDを検出する領域を変更する請求項1〜10のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムであって、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したIDを有するRFIDタグが工程管理する対象のRFIDタグであると判断して、そのIDを記録するデータベース部を有する工程管理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の工程管理システムは、RFIDタグを搬送する搬送手段を有し、前記搬送手段に沿って前記アンテナ部が複数配置された工程管理システム。
【請求項14】
前記データベース部は、複数配置された前記アンテナ部ごとに前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDを、それぞれ異なる工程にあるRFIDタグのIDとして記録する請求項13に記載の工程管理システム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の工程管理システムは、前記アンテナ制御部が複数配置された前記アンテナ部のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置された前記アンテナ部において、前記隣接タグ誤認識防止部がRFIDタグのIDを検出するそれぞれの領域をずらす工程管理システム。
【請求項1】
RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときと前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときとの両方で前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのIDを検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたRFIDリーダライタ装置。
【請求項2】
RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDから、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外、又は、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDから、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと重複するID以外、を検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたRFIDリーダライタ装置。
【請求項3】
RFIDタグに質問波を送信し、その質問波に対する返信波をRFIDタグから受信して、前記返信波からRFIDタグ個々のメモリに保存されているRFIDタグのIDや情報を読み取るRFIDリーダライタ装置において、少なくとも一部が重複する放射パターンである第1の放射パターンと第2の放射パターンとを形成するアンテナ部と、このアンテナ部に対して、前記第1の放射パターン又は前記第2の放射パターンを形成するビーム制御を行うアンテナ制御部と、前記アンテナ部が形成した放射パターン内に存在するRFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダライタ部と、前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第1の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDと前記アンテナ制御部が前記アンテナ部に前記第2の放射パターンを形成させたときに前記RFIDリーダライタ部によって読み出されたRFIDタグのIDとのうち、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときと前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときとの両方で前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID以外のIDを検出する隣接タグ誤認識防止部とを備えたRFIDリーダライタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のRFIDリーダライタ装置は、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDから、前記アンテナ部が前記第1の放射パターンを形成したときに前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID、又は、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDから前記アンテナ部が前記第2の放射パターンを形成したときに前記RFIDリーダライタ部に読み取られたRFIDタグのID、を検出するRFIDリーダライタ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれに記載のRFIDリーダライタ装置は、前記隣接タグ誤認識防止部によって検出されたIDを有するRFIDタグへ前記RFIDリーダライタ部が前記アンテナ部を介して情報を書き込むものであるRFIDリーダライタ装置。
【請求項6】
前記アンテナ部は、位相制御によりビームを走査、又は、駆動して、前記第1の放射パターン及び前記第2の放射パターンを形成する請求項1〜5のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項7】
前記アンテナ部は、第1の素子アンテナ及び第2の素子アンテナから構成される請求項1〜5のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項8】
前記第1の放射パターンは、前記第1の素子アンテナ又は前記第2の素子アンテナのいずれか一方のみで形成される請求項7に記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項9】
前記第2の放射パターンは、前記第1の素子アンテナ及び前記第2の素子アンテナの合成パターンによって形成される請求項7又は8に記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項10】
前記第2の放射パターンは、前記第1の素子アンテナ及び前記第2の素子アンテナの同位相合成パターン又は逆位相合成パターンによって形成される請求項7又は8に記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項11】
前記アンテナ制御部は、前記アンテナ部を制御して、前記隣接タグ誤認識防止部がRFIDタグのIDを検出する領域を変更する請求項1〜10のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のRFIDリーダライタ装置を用いた工程管理システムであって、前記隣接タグ誤認識防止部が検出したIDを有するRFIDタグが工程管理する対象のRFIDタグであると判断して、そのIDを記録するデータベース部を有する工程管理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の工程管理システムは、RFIDタグを搬送する搬送手段を有し、前記搬送手段に沿って前記アンテナ部が複数配置された工程管理システム。
【請求項14】
前記データベース部は、複数配置された前記アンテナ部ごとに前記隣接タグ誤認識防止部が検出したRFIDタグのIDを、それぞれ異なる工程にあるRFIDタグのIDとして記録する請求項13に記載の工程管理システム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の工程管理システムは、前記アンテナ制御部が複数配置された前記アンテナ部のそれぞれの放射パターンを制御して、複数配置された前記アンテナ部において、前記隣接タグ誤認識防止部がRFIDタグのIDを検出するそれぞれの領域をずらす工程管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2011−65205(P2011−65205A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212699(P2009−212699)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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