説明

RHO−キナーゼ阻害剤としてのシクロヘキシルアミンイソキノロン誘導体

本発明は、Rho−キナーゼ及び/又はRho−キナーゼが介在するミオシン軽鎖ホスファターゼのリン酸化と関連する疾患の治療及び/又は予防に有用な式(I)
【化1】


の6−シクロヘキシルアミン置換されたイソキノロン誘導体、又は式(I')
【化2】


のイソキノリン誘導体、並びにこのような化合物を含んでなる組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲に記載された新規なイソキノロン及びイソキノリン誘導体、それらの製造並びにRho−キナーゼ及び/又はRho−キナーゼが介在するミオシン軽鎖ホスファターゼのリン酸化の阻害に関連する疾患の治療及び/又は予防におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アゴニスト刺激により低分子量GTPアーゼRhoAが活性化されると、RhoAが不活性GDP−結合形態から活性GTP−結合形態へ変換され、続いてRho−キナーゼに結合して活性化される。2つのアイソフォーム、Rho−キナーゼ1及びRho−キナーゼ2が知られている。Rho−キナーゼ2は、血管平滑筋細胞及び内皮細胞中で発現する。活性GTPに結合したRhoAによりRho−キナーゼ2が活性化されると、リン酸化が介在するミオシン軽鎖ホスファターゼ活性の阻害を通して平滑筋細胞のカルシウム感作に至り、それによりミオシン調節軽鎖活性がアップレギュレーションされる(Uehata et al., Nature 1997, 389, 990−994)。
【0003】
Rho−キナーゼは、筋原性緊張及び平滑筋過収縮(smooth muscle hypercontractility)の発現を含む血管収縮(Gokina et al. J. Appl. Physiol. 2005, 98, 1940−8)、気管支平滑筋収縮(Yoshii et al. Am. J. Resp. Cell Mol. Biol. 20, 1190−1200)、喘息(Setoguchi et al. Br J Pharmacol. 2001, 132,111−8; Nakahara, et al. Eur J 2000,389,103)及び慢性閉塞性肺疾患(COPD, Maruoka, Nippon Rinsho, 1999 , 57, 1982−7)、高血圧、肺高血圧症(Fukumoto et al. Heart, 91, 391−2, 2005, Mukai et al. Nature 1997,389, 990−4 )並びに高眼圧症及び眼内圧力の調節(Honjo et al. Invest. Ophthalmol. Visual Sci. 2001, 42, 137−144)、内皮機能不全(Steioff et al. Eur. J. Pharmacol. 2005, 512, 247−249)、アンギナ(Masumoto et al. Circ 2002, 105, 1545−47, Shimokawa et al. JCP, 2002, 40, 751−761)、高血圧誘発性、非高血圧誘発性、及び糖尿病性腎症を含む腎症、腎不全及び末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)(Wakino et al. Drug News Perspect. 2005, 18, 639−43)、心筋梗塞(Demiryurek et al. Eur J Pharmacol. 2005, 527, 129−40, Hattori et al. Circulation, 2004, 109,2234−9)、心肥大及び心不全(Yamakawa, et al. Hypertension 2000, 35, 313−318, Liao et al. Am J Physiol Cell Physiol. 2006, 290, C661−8, Kishi et al. Circ 2005, 111, 2741−2747)、冠状動脈性心疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄(Pacaud et al. Arch. Mal. Coeur 2005, 98, 249−254, Retzer, et al. FEBS Lett 2000,466,70, Negoro, et al. Biochem Biophys Res Commun 1999,262, 211)、糖尿病、糖尿病合併症、グルコース利用及び代謝症候群(Sandu, et al.Diabetes 2000,49,2178, Maeda et al. Cell Metab. 2005, 2, 119−29)、性機能障害、例えば陰茎勃起障害(Chitaley et al. Nature Medicine 2001, 7, 119−122)、網膜症、炎症、免疫病、AIDS、骨粗鬆症、内分泌腺機能障害、例えば高アルドステロン症、中枢神経系障害、例えば神経変性及び脊髄損傷(Hara, et al. JNeurosurg 2000, 93, 94)、脳虚血(Uehata, et al. Nature 1997,389,990; Satoh et al. Life Sci. 2001, 69, 1441−53; Hitomi, et al. Life Sci 2000,67,1929; Yamamoto, et al. J Cardiovasc Pharmacol. 2000, 35, 203−11)、脳血管攣縮(Sato, et al. Circ Res 2000,87,195; Kim, et al. Neurosurgery 2000,46,440)、疼痛、例えば神経因性疼痛(Tatsumi, et al. Neuroscience 2005, 131,491, Inoue, et al. Nature medicine 2004, 10, 712)、細菌による消化管の感染症(WO 98/06433)、癌の発現及び進行、腫瘍細胞の成長及び転移を阻害するためにRhoキナーゼの阻害が示される新形成(Itoh, et al. Nature Medicine 1999,5,221; Somlyo, et al. Res Commun 2000,269,652)、血管新生(Uchida, et al. Biochem Biophys Res 2000, 269,633−40; Gingras, et al. Biochem J 2000, 348,273)、血管平滑筋細胞増殖及び運動(Tammy et al. Circ. Res. 1999, 84, 1186−1193; Tangkijvanich et al. Atherosclerosis 2001, 155, 321−327)、内皮細胞増殖、内皮細胞退縮及び運動(Oikawa et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2000, 269, 633−640)、ストレスファイバー形成(Kimura et al. Science 1997, 275, 1308−1311; Yamashiro et al. J. Cell Biol. 2000, 150, 797−806)、血栓障害(Kikkawa, et al. FEBS Lett. 2000, 466, 70−74; Bauer et al. Blood 1999, 94, 1665−1672, Klages, et al. J Cell Biol 1999,144, 745; Retzer, et al. Cell Signal 2000,12,645)及び白血球凝集(Kawaguchi, et al. Eur J Pharmacol. 2000, 403:203−8; Sanchez−Madrid, et al. J Immunol. 2003, 171:1023−34, Sanchez−Madrid, et al. J Immunol. 2002, 168:400−10)、及び骨吸収(Chellaiah, et al. J Biol Chem. 2003, 278:29086−97)、Na/H交換輸送系活性化(Kawaguchi, et al. Eur J Pharmacol. 2000, 403:203−8)、アルツハイマー病(Zhou et al. Science 2003, 302, 1215−1217)、アデューシン活性化(Fukata et al. J. Biol. Chem., 1998, 273, 5542−5548)、並びにSREB(ステロール応答性結合エレメント)シグナル伝達及び脂質代謝におけるその効果(Lin et al. Circ. Res., 92, 1296−304, 2003)に含まれることが知られている。
【0004】
従って、Rho−キナーゼ及び/又はRho−キナーゼが介在するミオシン軽鎖ホスファターゼのリン酸化における阻害作用を有する化合物は、原発性又は続発性疾患の原因としてRho−キナーゼを含む心臓血管及び非心臓血管疾患、例えば高血圧、肺高血圧症、高眼圧症、網膜症、及び緑内障、末梢循環障害、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、冠状動脈性心疾患、狭心症、心臓肥大、心不全、虚血性疾患、虚血性臓器不全(終末器官損傷)、肺線維症、類線維肝臓、肝不全、高血圧誘発性、非高血圧誘発性及び糖尿病性腎症を含む腎症、腎不全、腎線維症、腎臓の糸球体硬化症、臓器肥大、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸促進症候群、血栓障害、脳卒中、脳血管攣縮、脳虚血、疼痛、例えば神経因性疼痛、神経変性、脊髄損傷、アルツハイマー病、早産、勃起障害、内分泌腺機能障害、動脈硬化症、前立腺肥大、糖尿病及び糖尿病の合併症、代謝症候群、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化症、炎症、自己免疫疾患、AIDS、骨障害、例えば骨粗鬆症、細菌による消化管の感染症、敗血症、癌の発現及び進行、例えば乳房、結腸、前立腺、卵巣、脳及び肺の癌及びその転移の治療及び/又は予防に有用である。
【0005】
WO 01/64238は、神経保護剤として有用な−(CH2)1-6−O−(CH2)0-6−、−(CH2)0-6−S−(CH2)0-6−又は−(CH2)0-6−結合した複素環式基によって場合により置換されたイソキノリン−5−スルホンアミド誘導体を記載している。
【0006】
WO 2004/106325(Schering AG)は、イソキノリン環の1−位にエーテル又はエステル基を有するRho−キナーゼ阻害剤ファスジルのプロドラッグを記載している。
【0007】
WO 2001/039726は、微生物感染症の治療に有用な−O−(C0−C10)アルキルヘテロアリール置換されたシクロヘキシル誘導体を一般的に記載している。
【0008】
JP 10087629 Aは、例えば胃炎、癌又は潰瘍のようなヘリコバクター・ピロリ(Heliobacter pylori)によって生じる疾患の治療に有用なイソキノリン誘導体を記載しており、イソキノリン誘導体は、1−位でOHによって置換されていてもよく、そして好ましくはX−[(C1−C6)アルキレン)]0-1−Yによって5−置換されており、ここにおいてXは酸素であってもよく、そしてYはアリール又は複素環式基であってもよい。
【0009】
Yoshida等(Bioorg. Med. Chem. 1999, 7, 2647−2666)は、ヘリコバクター・ピロリによって生じる感染症を治療するための6−ベンジルオキシ−イソキノリンを開示している。
【0010】
US 5,480,883は、細胞増殖の阻害に有用なEGF及び/又はPDGF受容体阻害剤として式「Ar I − X − Ar II」の化合物を一般的に開示しており、式中、Xは(CHR1)m−Z−(CHR1)n、例えばZ−CH2であってもよく、ここにおいてZはOであってもよく、R1は水素又はアルキルであり、Ar Iはとりわけ場合により置換されたイソキノロンであってもよく、そしてAr IIはとりわけ場合により置換されたシクロヘキシルであってもよい。
【0011】
WO 2005/030791 (Merck & Co.)は、心不整脈、脳卒中、鬱血性心不全などの治療用のカリウムチャネル阻害剤としてイソキノロン誘導体を一般的に記載しており、これは6−位で基(CReRf)pOR43によって場合により置換され、ここにおいてpは0であってもよく、そしてR43は、例えばNR51R52によって場合により置換された(C3−C10)シクロアルキル残基であり、ここにおいてR51及びR52は、水素、(C1−C6)アルキルなどであってもよく;又はR43は1、2、3又は4個のヘテロ原子を有する4〜6員不飽和又は飽和単環式複素環式環として定義された基R81であり;そして4−位において直接結合した場合により置換されたアリール又はヘテロアリール環によって置換されている。
【0012】
WO 2005/030130 (Merck & Co.)は、心不整脈、脳卒中、鬱血性心不全などの治療用のカリウムチャネル阻害剤としてイソキノリン誘導体を一般的に記載しており、これは1−位でヒドロキシルによって置換されていてもよく、そして6−位で基(CReRf)pOR43によって場合により置換され、ここにおいてpは0であってもよく、そしてR43は、例えばNR51R52によって場合により置換された(C3−C10)シクロアルキル残基であり、ここにおいてR51及びR52は水素、(C1−C6)アルキルなどであり;又はR43は1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有する4〜6員不飽和若しくは飽和単環式複素環式環として定義された基R81であり;そして4−位で直接結合した場合により置換されたアリール又はヘテロアリール環によって置換されている。
【0013】
WO 03/053330(Ube)は、Rho−キナーゼ阻害剤として式
【化1】

のイソキノロン誘導体を記載している。
【発明の開示】
【0014】
本発明の実施態様は、式(I)の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体である。
【化2】

式中、
R2はH、(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−R'、[(C1−C6)アルキレン]0-1−O−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−O−R'、[(C1−C6)アルキレン]0-1
NH2、[(C1−C6)アルキレン]0-1−NH(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−N[(C1−C6)アルキル]2、[(C1−C6)アルキレン]0-1−CH[R']2、[(C1−C6)アルキレン]0-1−C(O)−R'、[(C1−C6)アルキレン]0-1−C(O)NH2、[(C1−C6)アルキレン]0-1−C(O)NH−R'、又は[(C1−C6)アルキレン]0-1−C(O)N[R']2であり;
R3はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、OH、O−R''、NH2、NHR''、NR''R''又はNH−C(O)−R''であり、
R4はH、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキレン−R'であり;
R5はH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
R6及びR6'は相互に独立してH、R'、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1
−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、(C1−C6)アルキレン−CH[R']2、(C1−C6)アルキレン−C(O)−R'、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R'、又は(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R']2であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル、O−[(C1−C6)アルキレン]0-1−R'、(C2−C6)アルケニル、R'、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−R'、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、SO2−NH2、SO2−NHR'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
R9はハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
nは0、1、2、3又は4であり;そして
LはO又はO−(C1−C6)アルキレンであり;
ここにおいてR'は(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C6−C10)アリールであり;そして
R''は(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、又は(C1−C6)アルキレン−NRxRyであり;そして
ここにおいてRx及びRyは相互に独立して(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C4)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C1−C4)アルキレン−N[(C6−C10)アリール]2、又は(C1−C4)アルキレン−N[(C5−C10)ヘテロシクリル]2であり;そして
ここにおいて残基R4、R5、R7及びR8中、1つのアルキル若しくはアルキレン水素原子はOH、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH3)2、CONH2、CONHCH3若しくはCON(CH3)2によって場合により置換されうるか、又はアルキル若しくはアルキレンは1回若しくはそれ以上ハロゲン化されていてもよい。
【0015】
式(I)の化合物の別の実施態様において、残基R4、R5、R7及びR8中、1つのアルキル又はアルキレン水素原子はOH、F、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH3)2、CONH2、CONHCH3又はCON(CH3)2によって場合により置換されうる。
【0016】
式(I)のイソキノロン誘導体の立体異性体形態としては、式(I')の対応する互変異性1−ヒドロキシ−置換されたイソキノリン誘導体が含まれる。
【化3】

式中、R1はH、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C3−C8)シクロアルキル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C5−C10)ヘテロシクリル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C6−C10)アリール、C(O)−(C1−C6)アルキル、C(O)(C2−C6)アルケニル、C(O)−(C2−C6)アルキニル、C(O)−[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C3−C8)シクロアルキル、C(O)−[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C5−C10)ヘテロシクリル、又はC(O)−[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C6−C10)アリールであり、そして
ここにおいてR3、R4、R5、R6、R6'、R7、R8、R9、n及びLは上記定義された通りである。
【0017】
好ましい実施態様において、式(I)の化合物中のR2はHであり、従って化合物は、式(II)
【化4】

の化合物を特徴とする。
【0018】
さらなる好ましい実施態様において、式(I')の化合物中のR1はHであり、従って化合物は式(II')
【化5】

の化合物を特徴とする。
【0019】
化合物(II)及び(II')は相互に互変異性形態である。
【0020】
例えば式
【化6】

を有する化合物は、式
【化7】

を有する化合物の互変異性体である。
【0021】
以下の好ましい実施態様は、式(I)、(I')、(II)及び(II')の化合物に関する:
R3は好ましくはH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C4)アルキレン−R'、O−R''又はNHR''である。より好ましくは、R3はH、(C1−C6)アルキル又はNHR''である。最も好ましくは、R3はH、(C1−C4)アルキル、NH−(C5−C6)ヘテロシクリル又はNH−フェニルであり、特に好ましくは、R3はH、(C1−C4)アルキル、1つ若しくはそれ以上のN原子を含むNH−(C5−C6)ヘテロアリール又はNH−フェニルである。特に最も好ましくは、R3はHである。
【0022】
好ましくは、R4はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である。より好ましくは、R4はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である。さらなる好ましい実施態様において、R4はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C2)アルキレン−(C6−C10)アリールである。最も好ましくは、R4はH、ハロゲン、又は(C1−C6)アルキルである。特に好ましくは、R4はH、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルである。特により好ましくは、R4はH又は(C1−C6)アルキルである。特に最も好ましくは、R4はHである。
【0023】
好ましくは、R5はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、R'、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である。より好ましくは、R5はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、R'、NH−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である。さらなる好ましい態様において、R5はH、ハロゲン、(C6−C10)アリール、NH−(C6−C10)アリール、(C1−C2)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキル又は(C5−C10)ヘテロアリールである。最も好ましくは、R5はH、ハロゲン、フェニル、(C1−C6)アルキル又は(C5−C6)ヘテロアリールである。特に好ましくは、R5はH、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルである。特により好ましくは、R5はH又はハロゲンである。特に最も好ましくは、R5はHである。
【0024】
好ましくは、R6及びR6'は相互に独立してH、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである。さらなる好ましい実施態様において、R6及びR6'は相互に独立してH、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである。より好ましい実施態様において、R6はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキルであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである。さらなるより好ましい実施態様において、R6はH、(C1−C6)アルキルであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである。なおさらなるより好ましい実施態様において、R6はH、(C1−C6)アルキルであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリルであり、ここにおいてヘテロシクリルは非置換、若しくは(C1−C4)アルキル若しくはハロゲンによって置換されており、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり、ここにおいてアリールは非置換又はハロゲン、(C1−C4)アルキル、特にCH3、若しくはCF3、O−(C1−C4)アルキル、特にO−CH3、若しくはSO2−(C1−C4)アルキル、特にSO2−CH3若しくはSO2−CF3によって置換されている。最も好ましい実施態様において、R6はH、(C1−C6)アルキルであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキルである。さらなる最も好ましい実施態様において、R6はHであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキルである。特に好ましくは、R6及びR6'はHである。これらの実施態様の例として、R6及びR6'は相互に独立して水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、3−メチル−ブチル、2−メチル−プロピル、ブチル、ペンチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル又は
【0025】
【化8】

【0026】
【化9】

からなる群より選ばれる置換基である。
【0027】
好ましくは、R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'又は(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキルである。より好ましくは、R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、(C2−C4)アルケニル、フェニル、(C3−C6)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキル又は(C5−C6)ヘテロアリールである。なおより好ましくは、R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル又は(C3−C6)シクロアルキルである。最も好ましくは、R7はH、ハロゲン、(C1−C4)アルキル又はO−(C3−C6)シクロアルキルであり、そしてR8はHである。特に好ましくは、R7及びR8はHである。
【0028】
R9は好ましくはハロゲン又は(C1−C4)アルキルである。より好ましくは、R9はCl、F、メチル又はエチルである。
【0029】
好ましくは、nは0、1、2又は3である。より好ましくは、nは0又は1である。最も好ましくは、nは0である。
【0030】
リンカー基Lは、シクロヘキシル環炭素原子を経ていずれかの位置でシクロヘキシル環に結合していてもよく、そしてこれによって本発明の化合物のシス−又はトランス−立体異性体が形成されうる。
【0031】
好ましい実施態様において、すべてのその立体化学形態で、Lはシクロヘキシル環の4−位
【化10】

に結合しているか、又はLはシクロヘキシル環の3−位
【化11】

に結合している。
【0032】
特に好ましい実施態様において、Lはシクロヘキシル環の4−位に結合している。
【0033】
好ましくは、LはO−メチレン、O−エチレン又はOである。より好ましくは、LはO−メチレン、O−エチレン又は最も好ましくはシクロヘキシル環の4−位に結合したOである。
【0034】
最も好ましくは、LはOである。
【0035】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)又は(I')の化合物中に含まれる1つ又はそ
れ以上又はすべての基は、相互に独立して上に明記された基の好ましい、より好ましい若しくは最も好ましい定義いずれか、又は基の定義によって含まれ、そして上に明記された意味のいずれか1つ若しくはいくつかを有することができ、好ましい定義、より好ましい又は最も好ましい及び/又は特定の意味の全ての組み合わせは本発明の主題である。また、すべての好ましい実施態様に関して、本発明はすべての立体異性体形態の式(I)又は(I')の化合物及びすべての比率における立体異性体形態の混合物、及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩を含む。
【0036】
本発明の好ましい実施態様は、式中、
R3はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、OH、O−R''、NH2、又はNHR''であり;
R4はH、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキレン−R'であり;
R5はH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
R6及びR6'は相互に独立してH、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、(C1−C6)アルキレン−CH[R']2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R'、又は(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R']2であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−R'、NH2、NH−R'、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、SO2−NH2、SO2−NHR'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
R9はハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
nは0、1、2であり;そして
LはO又はO−(C1−C3)アルキレンであり;
ここにおいてR1、R2、R'、R''、Rx及びRyは上記定義された通りである;
式(I)、(I')、(II)若しくは(II')の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体である。
【0037】
本発明のさらなる好ましい実施態様は、式中、
R3はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C1−C2)アルキレン−R'又はNHR''であり;
R4はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C2)アルキレン−R'であり;
R5はH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH2、NH−R'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、又はC(O)N[(C1−C6)アルキル]2であり;
R6及びR6'は相互に独立してH、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、又は(C1−C3)アルキレン−R'であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C2−C3)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C3)アルキレン−R'、NH−R'、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、又はSO2−NH2であり;
R9はハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
nは0又は1であり;そして
LはO又はO−メチレンであり;
ここにおいてR1、R2、R'、R''、Rx及びRyは上記定義された通りである;
式(I)、(I')、(II)若しくは(II')の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体である。
【0038】
本発明の最も好ましい態様は、式中、
R3はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C1−C2)アルキレン−R'又はNHR''であり;
R4はH、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C1−C2)アルキレン−R'であり;
R5はH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH−R'であり;
R6はH、(C3−C6)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキルであり;
R6'はH、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル又は(C1−C3)アルキレン−R'であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C2−C3)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C3)アルキレン−R'、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、又はSO2−NH2であり;
R9はハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
nは0であり、そして
LはOであり;
ここにおいてR1、R2、R'、R''、Rx及びRyは上記定義された通りである;
式(I)、(I')、(II)若しくは(II')の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体である。
【0039】
本発明の別の最も好ましい実施態様は、式中、
R3はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキルであり;
R4はH、ハロゲン、(C1−C4)アルキルであり;
R5はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキルであり;
R6はH、(C3−C8)シクロアルキル又は(C1−C8)アルキルであり;
R6'はH、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、又は(C1−C3)アルキレン−R'であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル又はSO2−NH2であり;
R9はハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
nは0であり;そして
LはOであり;
ここにおいてR1、R2、及びR'は上記定義された通りである;
式(I)、(I')、(II)若しくは(II')の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体である。
【0040】
本発明のあらゆる実施態様として、本発明による化合物の好ましい、より好ましい、最も好ましい又は典型的な定義を含む前記実施態様において、1つ又はそれ以上の又は全ての基は、上で明記されたその好ましい、より好ましい、最も好ましい定義のいずれか、又はその定義に含まれており、上で明記されたいずれか1つ又はいくつかの特定の意味を有することができる。
【0041】
式(I)及び(I')の化合物の生理学上許容しうる塩は、Remington's Pharmaceutical Sciences(第17版,第1418頁(1985))に記載されたようなそれらの有機及び無機塩の両方を意味する。物理的及び化学的安定性並びに溶解度のため、酸性基にとっては、とりわけナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウム塩が好ましく;塩基性基とっては、とりわけマレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、メチルスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸又はカルボン酸又はスルホン酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、及びアミノ酸、天然塩基若しくはカルボン酸の塩が好ましい。それらの立体異性体の形態を含む塩形成が可能な式(I)及び(I')の化合物からの生理学上許容しうる塩の製造は、それ自体で知られているやり方で実施される。式(I)の化合物は、塩基性試薬、例えば水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコラート及びアンモニア又は有機塩基、例えばトリメチル−若しくはトリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン若しくはトリエタノールアミン、トロメタモール又は他に塩基性アミノ酸、例えばリシン、オルニチン若しくはアルギニンと共に安定なアルカリ金属、アルカリ土類金属又は場合により置換されたアンモニウム塩を形成する。式(I)又は(I')の化合物が塩基性基を有する場合、安定な酸付加塩は強酸を用いて製造することもできる。本発明の化合物の適切な医薬上許容しうる酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸、並びに有機酸、例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸及び酒石酸の塩である。
【0042】
例えばトリフルオロ酢酸塩のような生理学上許容しえないアニオンとの塩は、医薬上許容しうる塩の製造もしくは精製のための及び/又は非治療の、例えば試験管内用途において使用するための有用な中間体として同様に本発明の構成に属する。
【0043】
本明細書に使用される「生理学上機能性の誘導体」なる用語は、哺乳動物、例えばヒトに投与すると式(I)若しくは(I')の化合物又はその活性代謝物を(直接又は間接的に)形成することができる本発明の式(I)又は(I')の化合物のすべての生理学上許容しうる誘導体、例えばN−オキシドのことである。
【0044】
生理学上機能性の誘導体には、例えばH. Okada et al., Chem. Pharm. Bull. 1994, 42, 57−61に記載されたような本発明の化合物のプロドラッグが含まれる。このようなプロドラッグは生体内で代謝されて本発明の化合物になることができる。これらのプロドラッグは、それ自体活性であってもよいし、又はそうでなくてもよい。
【0045】
本発明は、そのラセミ体、ラセミ混合物及び純粋な鏡像異性体形態の式(I)又は(I')の化合物並びにそれらのジアステレオマー及びそれらの混合物のことである。
【0046】
基又は置換基が式(I)若しくは(I')の化合物中で1回よりも多く生じうる場合、それらは全て相互に独立して記載された意味を有し、そして同一又は異なっていてもよい。
【0047】
また、本発明の化合物は、種々の多形性形態、例えば非晶質及び結晶質多形性形態として存在することができる。本発明の化合物の全ての多形性形態は、本発明の構成に属し、そして本発明のさらなる態様である。
【0048】
以下、「式(I)の化合物」又は「式(I')の化合物」に対する全ての言及は、上に記載された式(I)又は(I')の化合物、並びに本明細書に記載されたそれらの生理学上許容しうる塩、溶媒和物及び生理学上機能性の誘導体に適用される。
【0049】
アルキル及び対応するアルキレン置換基なる用語は、線状、すなわち直鎖又は分枝鎖であり、そして該当する場合、それぞれ1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する炭化水素残基として理解される。または、これは、アルキル基が別の基上で、例えばアルコキシ基(O−アルキル)、S−アルキル若しくは−O(C1−C6)アルキレン−O−、アルコキシカルボニル基又はアリールアルキル基中で置換基として生じる場合にも適用される。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル、これらの全ての基のn−異性体、イソプロピル、イソブチル、1−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、sec−ブチル、tert−ブチル又はtert−ペンチルである。アルキル基は、特に明記されていない場合、1回又はそれ以上ハロゲン化されていてもよく、例えばアルキル基はフッ素化、例えばパーフッ素化されていてもよい。ハロゲン化アルキル基の例は、CF3及びCH2CF3、OCF3、SCF3又は−O−(CF2)2−O−である。
【0050】
アルケニルは、例えばビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(=アリル)、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、5−ヘキセニル又は1,3−ペンタジエニルである。
【0051】
アルキニルは、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル(=プロパルギル)又は2−ブチニルである。
【0052】
ハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
【0053】
(C3−C8)シクロアルキル基は、3、4、5、6、7又は8個の環炭素原子を含む環式アルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロオクチルであり、これらは、置換されることができ及び/又は1若しくは2個の二重結合(不飽和シクロアルキル基)などを含むこともでき、例えばシクロペンテニル又はシクロヘキセニルはいずれかの炭素原子を経て結合することができる。
【0054】
(C6−C10)アリール基は、縮合しているか又は別の形で結合している2つの芳香族環からなる芳香族環若しくは環系、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、α−若しくはβ−テトラロン−、インダニル−若しくはインダン−1−オン−イル基を意味する。好ましい(C6−C10)アリール基は、フェニルである。
【0055】
(C5−C10)ヘテロシクリル基は、炭素の他に、1つ若しくはそれ以上のヘテロ原子、例えば1、2若しくは3個の窒素原子、1若しくは2個の酸素原子、1若しくは2個の硫黄原子若しくは異なるヘテロ原子の組み合わせを含む単−又は二環式環系を意味する。ヘテロシクリル残基は、あらゆる位置で例えば1−位、2−位、3−位、4−位、5−位、6−位、7−位又は8−位で結合されていてもよい。(C5−C10)ヘテロシクリル基は、(1)芳香族[=ヘテロアリール基]又は(2)飽和した又は(3)芳香族/飽和の混合であることができる。
【0056】
適切な(C5−C10)ヘテロシクリル基としては、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾモルホリニル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテロラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、フラニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、クロマニル、クロメニル、クロマン−2−オニル、シノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラン、フリル、フラザニル、ホモモルホリニル、ホモピペラジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プロリニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピロアゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアダジニル、チアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル及びキサンテニルが含まれる。ピリジルは2−、3−及び4−ピリジルのすべてを表す。チエニルは2−及び3−チエニルを表す。フリルは2−及び3−フリルを表す。また、これらの化合物の対応するN−オキシド、例えば1−オキシ−2−、3−又は4−ピリジルが含まれる。
【0057】
(C5−C10)ヘテロシクリル残基中の置換は、遊離炭素原子上で又は窒素原子上で生じることができる。
【0058】
(C5−C10)ヘテロシクリル残基の好ましい例は、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、チエニル、ベンゾフリル、キノリニル、テトラゾリル及びトリアゾリルである。
【0059】
(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロシクリル基は、非置換又は特に明記しない限り、ハロゲン、CF3、NO2、N3、CN、C(O)−(C1−C6)アルキル、C(O)−(C1−C6)アリール、COOH、COO(C1−C6)アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)アルキル、CON[(C1−C6)アルキル]2、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−OH、(C1−C6)アルキレン−NH2、(C1−C6)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、O−(C1−C6)アルキル、O−C(O)−(C1−C6)アルキル、O−C(O)−(C6−C10)アリール、O−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、PO3H2、SO3H、SO2−NH2、SO2NH(C1−C6)アルキル、SO2N[(C1−C6)アルキル]2、S−(C1−C6)アルキル; S−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、S−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、SO−(C1−C6)アルキル、SO−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、SO−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、SO2−(C1−C6)アルキル、SO2−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、SO2−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、SO2−NH(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、SO2−NH(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、SO2−N[(C1−C6)アルキル][(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール]、SO2−N[(C1−C6)アルキル][(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル]、SO2−N[(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール]2、SO2−N[(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル]2、C(NH)(NH2)、NH2、NH−(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)O−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−(C6−C10)アリール、NH−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH−C(O)O−(C6−C10)アリール、NH−C(O)O−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−NH−(C6−C10)アリール、NH−C(O)−NH−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−(C6−C10)アリール、NH−SO2−(C5−C10)ヘテロシクリル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−(C6−C10)アリール、N(C1−C6)アルキル−C(O)−ヘテロシクリル、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C6−C10)アリール、N(C1−C6)アルキル−C(O)O−(C5−C10)ヘテロシクリル、N(C1−C6)アルキル−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル]、N(C1−C6)アルキル−C(O)−NH−(C6−C10)アリール、N(C1−C6)アルキル−C(O)−NH−(C5−C10)ヘテロシクリル、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]2、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]−(C6−C10)アリール、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]−(C5−C10)ヘテロシクリル、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)−N[(C6−C10)アリール]2、N[(C1−C6)アルキル]−C(O)−N[(C5−C10)ヘテロシクリル]2、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−(C1−C6)アルキル、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−(C1−C6)アルキル、N[(C6−C10)アリール]−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)O−(C1−C6)アルキル、N(アリール)−C(O)−(C6−C10)アリール、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−(C6−C10)アリール、N[(C6−C10)アリール]−C(O)O−(C6−C10)アリール、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)O−(C6−C10)アリール、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−NH−(C1−C6)アルキル、N(アリール)−C(O)−NH−(C6−C10)アリール、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−NH−(C6−C10)アリール、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]2、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]2、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]−(C6−C10)アリール、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−N[(C1−C6)アルキル]−(C6−C10)アリール、N[(C6−C10)アリール]−C(O)−N[(C6−C10)アリール]2、N[(C5−C10)ヘテロシクリル]−C(O)−N[(C6−C10)アリール]2、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、O−(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、O−(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリルから独立して選ばれる適切な基によって1回若しくはそれ以上置換されており、
ここにおいて(C6−C10)アリール又は(C5−C10)ヘテロシクリルは、ハロゲン、OH、NO2、CN、O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル、NH2、NH(C1−C6)アルキル、N[(C1−C6)アルキル]2、SO2CH3、COOH、C(O)O−(C1−C6)アルキル、CONH2、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−(C6−C10)アリール、O− (C1−C6)アルキレン(C6−C10)アリールによって1〜3回置換されていてもよく;又はここにおいて(C6−C10)アリールは、O−(C1−C4)アルキレン−O基によって隣接して置換されており、それによって酸素原子が結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環が形成される。(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロシクリル基のアリール又はヘテロシクリル置換基は、アリール又はヘテロシクリルを含む基によってさらに置換されることはできない。
【0060】
置換されている場合、(C6−C10)アリール基についての好ましい置換基は、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、O−フェニル、C(O)O−(C1−C6)アルキル、C(O)OH、C(O)−(C1−C4)アルキル、ハロゲン、NO2、SO2NH2、CN、SO2−(C1−C4)アルキル、NH−SO2−(C1−C4)アルキル、NH2、NH−C(O)−(C1−C4)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキル−OH、C(O)N[(C1−C4)アルキル]2、C(O)NH2、N[(C1−C4)アルキル]2、(C1−C4)アルケニレン(C6−C10)アリールであり、ここにおいて(C6−C10)アリールは、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル−(C6−C10)アリールでさらに置換されていてもよく、又はO−(C1−C4)アルキレン−O基によって隣接して置換されていてもよく、それによって酸素原子が結合した炭素原子と一緒になって5〜8員環が形成される。(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールについてのより好ましい置換基は、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、特にCH3若しくはCF3、O−(C1−C4)アルキル、特にO−CH3、又はSO2−(C1−C4)アルキル、特にSO2−CH3若しくはSO2−CF3である。
【0061】
一置換されたフェニル基では、置換基は2−位、3−位又は4−位に位置することができ、3−位及び4−位が好ましい。フェニル基が2個の置換基を有する場合、それらは2,3−位、2,4−位、2,5−位、2,6−位、3,4−位又は3,5−位に位置することができる。3個の置換基を有するフェニル基では、置換基は2,3,4−位、2,3,5−位、2,3,6−位、2,4,5−位、2,4,6−位又は3,4,5−位に位置することができる。
【0062】
フェニル基に関する上の記載は、フェニル基から誘導された二価基にも対応して適用され、すなわちフェニレンは非置換、又は置換された1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンであることができる。また、上の記載は、アリールアルキレン基中のアリールサブグループにも対応して適用される。また、アリールサブグループ中及びアルキレンサブグループ中で非置換又は置換されうるアリールアルキレン基の例は、ベンジル、1−フェニルエチレン、2−フェニルエチレン、3−フェニルプロピレン、4−フェニルブチレン、1−メチル3−フェニル−プロピレンである。
【0063】
置換されている場合、(C5−C10)ヘテロシクリル基の好ましい置換基は、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、(C1−C4)−アルキレンフェニル、ハロゲン、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C4)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−N[(C1−C4)アルキル]2、又は(C6−C10)アリールであり、ここにおいて(C6−C10)アリールは(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル(C6−C10)アリールによってさらに置換されていてもよく、又はO−(C1−C4)アルキレン−O基によって隣接して置換され、それによって酸素原子が結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環が形成されていてもよい。(C5−C10)ヘテロシクリル基についてのより好ましい置換基は、(C1−C4)アルキル又はハロゲンである。
【0064】
(C6−C10)アリール及び(C5−C10)ヘテロシクリル基の一般的な及び好ましい置換基は、前記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R6'、R7、R8、R9、n及びLの一般的な及び好ましい定義と組み合わせることができる。
【0065】
従って、また、本発明は、医薬(又は薬剤)として使用するための式(I)若しくは(I')の化合物、及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態に関し、Rho−キナーゼ及び/又はRho−キナーゼが介在するミオシン軽鎖ホスファターゼのリン酸化と関連する疾患を治療及び/又は予防するための、すなわち高血圧症、肺高血圧症、高眼圧症、網膜症、緑内障、末梢循環障害、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、冠状動脈性心疾患、狭心症、心肥大、心不全、虚血性疾患、虚血性臓器不全(終末器官損傷)、肺線維症、肝線維症、肝不全、高血圧症−誘発性、非高血圧症−誘発性及び糖尿病性腎症を含む腎症、腎不全、腎線維症、腎臓の糸球体硬化症、臓器肥大、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸促進症候群、血栓障害、脳卒中、脳血管攣縮、脳虚血、疼痛、例えば神経因性疼痛;神経変性、脊髄損傷、アルツハイマー病、早産、勃起障害、内分泌腺機能障害、動脈硬化症、前立腺肥大、糖尿病及び糖尿病の合併症、代謝症候群、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化症、炎症、自己免疫疾患、AIDS、骨障害、例えば骨粗鬆症、細菌による消化管の感染症、敗血症、癌の発現及び進行、例えば乳房、結腸、前立腺、卵巣、脳及び肺の癌及びその転移を治療及び/又は予防する医薬を製造するための式(I)若しくは(I')の化合物、又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態の使用に関する。
【0066】
ヒトにおける疾患の治療及び/又は予防は好ましい実施態様であるが、しかしまたネコ、イヌ、ラット、ウマなどのような温血動物も本発明の化合物で治療することができる。
【0067】
さらに、本発明は、少なくとも1つの式(I)若しくは(I')の化合物、及び/又はその生理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態の有効量並びに医薬上許容しうる担体、すなわち1つ若しくはそれ以上の医薬上許容しうる担体物質(又は媒体)及び/又は添加剤(又は賦形剤)を含んでなる医薬製剤(又は医薬組成物)に関する。
【0068】
式(I)又は(I')の化合物のプロドラッグを含む、生理学上機能性の誘導体は、場合により上記の使用及び医薬製剤に用いることができる。
【0069】
医薬は、例えば丸剤、錠剤、ラッカー塗装錠、コーティング錠、顆粒剤、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、液剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又はエーロゾル混合物の形態で経口的に投与することができる。しかしながら、投与は、直腸に、例えば坐剤の形態で、又は非経口的に、例えば静脈内、筋内若しくは皮下に、注射液若しくは輸液、マイクロカプセル、インプラント若しくはロッドの形態で、又は経皮的に若しくは局所的に、例えば軟膏、液剤若しくはチンキ剤の形態で、又は他のやり方で、例えばエーロゾル剤若しくは点鼻薬の形態で実施することもできる。
【0070】
本発明による医薬製剤は、それ自体で知られており、当業者によく知られているやり方で製造され、式(I)若しくは(I')の化合物(複数可)、及び/又はその(それらの)生理学上許容しうる塩及び/又はその(それら)立体異性体形態並びにそれらのプロドラッグに加えて医薬上許容しうる不活性の無機及び/又は有機担体物質及び/又は添加剤が使用される。丸剤、錠剤、コーティング錠及び硬質ゼラチンカプセルを製造するには、例えばラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩、などの使用が可能である。軟質ゼラチンカプセル及び坐剤用の担体物質は、例えば脂肪、ワックス、半固体及び液体ポリオール、天然又は硬化油、などである。液剤、例えば注射液、又は乳剤若しくはシロップ剤の製造に適した担体物質は、例えば水、生理食塩水、アルコール、グリセロール、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース、植物油、などである。マイクロカプセル、インプラント又はロッド用の適切な担体物質は、例えばグリコール酸及び乳酸のコポリマーである。医薬製剤は、通常、式(I)若しくは(I')の化合物及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又はそれらの立体異性体形態の約0.5〜約90質量%を含んでなる。式(I)若しくは(I')の活性成分及び/又はその生理学上許容しうる塩及び/又はその立体異性体形態の量は、通常、医薬製剤中、約0.5〜約1000mg、好ましくは約1〜約500mgである。
【0071】
式(I)若しくは(I')の活性成分及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態並びに担体物質に加えて、医薬製剤は、1つ又はそれ以上の添加剤、例えば充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味料、着色剤、香味料、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶媒、可溶化剤、貯蔵効果を得るための薬剤、浸透圧を変えるための塩、コーティング剤又は抗酸化剤を含むことができる。また、それらは、2つ若しくはそれ以上の式(I)及び/又は(I')の化合物及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又はそれらの立体異性体形態を含むことができる。医薬製剤が2つ若しくはそれ以上の式(I)及び/又は(I')の化合物を含む場合、個々の化合物の選択は、特定の全体にわたる医薬製剤の薬理学的プロファイルに狙いを定めることができる。例えば、より短い作用持続を有する非常に強力な化合物は、低い効力の長時間作用性の化合物と組み合わせることができる。式(I)又は(I')の化合物中の置換基の選択に関して容認される柔軟性のため、化合物の生物学的及び物理化学的性質における多くの制御が可能となり、従ってこのような所望の化合物の選択が可能となる。さらにまた、少なくとも1つの式(I)若しくは(I')の化合物、及び/又はその生理学上許容しうる塩及び/又はその立体異性体形態に加えて、医薬製剤は1つ若しくはそれ以上の他の治療上又は予防上活性な成分を含むこともできる。
【0072】
式(I)若しくは(I')の化合物を用いる場合、用量は広い範囲で変化することができ、そしてこれは慣用であり、医師に知られており、個々の場合の個体状態に合わせるべきである。用量は、例えば使用する具体的な化合物、治療する疾患の性質及び重篤性、投与のモード及びスケジュール、又は急性若しくは慢性状態を治療するかどうか又は予防を実施するかどうかに左右される。適切な投与量は、医学分野で周知の臨床アプローチを用いて確立することができる。一般に、体重約75kgの成人で所望の結果を達成するための日用量は、約0.01〜約100mg/kg、好ましくは約0.1〜約50mg/kg、特に約0.1〜約10mg/kg(各場合、体重のkg当たりのmg)である。特に比較的多量を投与する場合、日用量を数回、例えば2、3又は4回に分けて投与することができる。通常、個々の挙動に応じて指示された日用量から上方又は下方に逸脱する必要がありうる。
【0073】
さらにまた、式(I)又は(I')の化合物は、他の化合物の、特に他の医薬活性成分の製造用の合成中間体として用いることができ、それは例えば置換基の導入又は官能基の変更によって式Iの化合物から入手可能である。
【0074】
本発明の種々の実施態様の活性に実質的に影響を及ぼさない変更は、本明細書に開示された発明の範囲内に含まれることが理解される。
【0075】
式(I)又は(I')の化合物は、以下の例示された化合物に従って製造することができるが、特許請求の範囲が制限されることはない。
【0076】
一般に、カップリング反応で得られた生成物中になお存在しうる保護基は、次いで標準的な方法によって除去される。例えば、tert−ブチル保護基、特に、アミノ基の保護形態であるtert−ブトキシカルボニル基は、トリフルオロ酢酸で処理することによって脱保護、すなわちアミノ基に転化することができる。すでに説明したように、カップリング反応後、機能性基を適切な前駆体基から生成することもできる。さらに、式(I)若しくは(I')の化合物の生理学上許容しうる塩又はプロドラッグへの変換は、次いで知られている方法によって実施することができる。
【0077】
一般に、式(I)若しくは(I')の最終化合物又は中間体を含む反応混合物は後処理され、次いで、必要に応じて、生成物は当業者に知られている慣用の方法によって精製される。例えば、合成された化合物は、周知の方法、例えば結晶化、クロマトグラフィ若しくは逆相高性能液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)又は例えば化合物のサイズ、電荷若しくは疎水性に基づく他の分離方法を用いて精製することができる。同じように、周知の方法、例えばアミノ酸配列分析、NMR、IR及び質量分析法(MS)は、本発明の化合物を特徴づけるために使用することができる。
【0078】
イソキノリノンは、種々の方法を経て合成することができる。以下の一般的なスキームは、イソキノロンに至るためのいくつかの可能なやり方を説明するが、しかし、本発明を制限するものではない。
【化12】

【0079】
例えば適切な位置で結合した相互に独立して水素、アルキル、アルコキシ又はハライドであるX又はYによって置換された適切に置換されたアルデヒドを、例えばTHF、クロロホルム又はトルエンのような溶媒中、トルエンスルホン酸又は別の適切な酸による酸触媒下で、例えばアミノアセトアルデヒドのアセタールのような適切な化合物と反応させてイミン(ii)を得ることができ、ここにおいてQ'は、例えばメチル又はエチルであることができ、それを次に異なる方法によって環化してイソキノリン(iii)にすることができる。例えば、これは、周囲温度から100℃までの範囲の温度で、ルイス酸触媒、例えば四塩化チタン、第一鉄のハライド、アルミニウムハライドなどのような適切なルイス酸によって、又は水素化ホウ素ナトリウムのような適切な還元剤の作用によってイミンを対応するアミンに還元し、適切な酸塩化物との反応によってアミンをアミド又はスルホンアミドに転化し、そしてその後、適切なルイス酸の作用によって環化してイソキノリンにすることによって行うことができる。次いで、イソキノリン(iii)それ自体を、室温又は高められた温度で過酸化水素、m−クロロ過安息香酸又はその他の適切な酸化剤の作用によって対応するN−オキシド(iv)に転化する。次いで、N−オキシド(iv)は、それを五塩化リンの存在下で又は非存在下でリンオキシクロリドのような試薬と反応させることによって1−クロロ−イソキノリン誘導体(v)に転化することができる。次いで、誘導体(v)は、それを、水素化ナトリウムのような適切な塩基の存在下、及びジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はその他のような適切な溶媒中でメタノール、エタノール又はベンジルアルコールのような種々のアルコールQ−OHと反応させることによって適切な1−アルコキシ−誘導体に転化させることができる。別法として(v)は、酢酸アンモニウムのような試薬と反応させることによってイソキノリノン誘導体(vii)に直接転化させることができる。
【0080】
【化13】

【0081】
別法として、イソキノリンは、適切な3−ホルミル化された又はアシル化されたフルオロベンゼン(viii)(式中、zはH又はアルキル、例えばメチル又はエチルである)を水素化ナトリウムのような適切な塩基の存在下でトリエチルホスホノアセテートのような試薬と反応させて対応するケイ皮酸エステルを得、その後、これを適切な溶媒中で水酸化カリウム、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムのような適切な塩基の作用によって切断して酸(ix)を導出することによって得ることができる。次いで、(ix)を周知の方法によって対応する酸塩化物に転化させ、これを、エーテル、クロロホルム又はアセトンのような適切な溶媒中、水の存在下又は非存在下でアジ化ナトリウムとの反応によって酸アジドにすることができる。次いで、対応するアジドは、それをジフェニルメタン又はジフェニルエーテルのような適切な溶媒中、適切な温度で反応させることによってイソキノリノン(x)に転化することができる。
【0082】
【化14】

【0083】
上で得た6−フルオロイソキノロン、例えば(vi)は、塩基、例えばDBU、炭酸セシウム又は水素化ナトリウムの存在下で適切なP1/P2置換されたアミノアルコール(ここで、P1/P2は相互に独立して水素、アルキル又は例えばBoc若しくはフタロイルのような保護基である)と反応させて対応するアルコキシ置換された誘導体(xi)を得ることができる。最終的には、この転化は、合成のより初期の段階で(例えば適切な中間体を反応させることによって)予め実施することができる。保護されていないイソキノロンの場合、塩基の存在下で適切に置換されたアルキル又はベンジルハライドとの反応のような適切な方法によってイソキノロン部分の窒素又は酸素上の保護が必要でありうることは理解される。
【0084】
この方法を経て得た(xi)のような生成物は、次いで、遊離するか、又は適切なアミノ官能基が存在する場合、適切な溶媒中でナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、水素化ホウ素ナトリウム又はナトリウムシアノボロヒドリドのような還元剤の存在下、及びモレキュラーシーブ又は適切なオルトエステルのような吸水剤の存在下で適切なアルデヒド又はケトンと反応させることができる。このアミノ基は、例えばBoc−基の酸性除去のように最初の段階で遊離しなければならないことがありうる。
【0085】
保護されたイソキノロンを使用する場合、所望のイソキノロン(xii)を遊離するためには、使用した保護基の切断が必要である。しかしながら、この遊離は、使用するアルデヒド/ケトンの性質及び使用する保護基に応じて還元的アミノ化段階の前又は後に実施することができる。
【0086】
(xii)のようなイソキノロン誘導体は、遊離塩基として又は例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩又はフマル酸塩のような種々の塩として得ることができる。得られた塩は、イオン交換クロマトグラフィにかけるか、又は例えばアルカリ水性処理し、その後、例えばメチルtert−ブチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル又はイソプロパノール/ジクロロメタン混合物のような適切な有機溶媒で抽出し、続いて蒸発乾固することによって対応する遊離塩基に転化することができる。 前記の置換されたイソキノロン誘導体を製造する一般的な方法は、式(I)又は式(I')の化合物の製造に容易に適応させることができる。以下の実施例では、本発明の化合物の製造を、さらに詳細に説明する。従って、以下実施例は、本発明の部分であり、説明することを意図しているが、本発明を制限するものではない。
【0087】
(2,2−ジメトキシ−エチル)−(4−フルオロ−ベンジル)−アミン(1)
【化15】

4−フルオロベンズアルデヒド12.4gをトルエン100mL中に溶解し、そしてディーンスターク装置で2時間、2−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール10.5g及びp−トルエンスルホン酸一水和物1.90g(10mmol)と反応させた。溶液をさまして、飽和炭酸水素ナトリウム、水及びブラインで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして蒸発乾固した。粗生成物をエタノール100mLに溶解した。水素化ホウ素ナトリウム1.89gを少しずつ加えた。撹拌を一夜継続した。処理のため、気体発生が観察されなくなるまで、酢酸を加えた。次いで、溶液を蒸発乾固し、ジクロロメタン中にとり、そして水で2回洗浄した。有機層をブラインで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発乾固した。得られた粗生成物(20g)を精製することなくさらなる反応に用いた。Rt = 0.86分(方法B) 検出された質量:182.1 (M−OMe-), 214.2 (M+H+)
【0088】
N−(2,2−ジメトキシ−エチル)−N−(4−フルオロベンジル)−4−メチル−ベンゼン−スルホンアミド(2)
【化16】

(2,2−ジメトキシ−エチル)−(4−フルオロ−ベンジル)−アミン(1)20gをジクロロメタン120mLに溶解した。ピリジン20mLを加えた。0℃でジクロロメタン中のp−トルエンスルホン酸クロリド23.8gの溶液を滴加した。反応を室温に加温させ、そして転化が完了するまで撹拌を継続した。後処理のため、反応混合物を2M塩酸で2回、炭酸水素ナトリウムで2回、そしてブラインで1回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固し、そして得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィによって精製して橙色の油として化合物2を22.95g得た。Rt = 1.71分(方法C) 検出された質量:336.1(M−OMe-)
【0089】
6−フルオロ−イソキノリン(3)
【化17】

AlCl3 41.6gをジクロロメタン400mLに懸濁した。室温でジクロロメタン150mL中のN−(2,2−ジメトキシ−エチル)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド(2)22.95gの溶液を加えた。撹拌を室温で一夜継続し、溶液を氷上に注ぎ、有機層を分離し、水相をジクロロメタンで2回抽出し、次いで合わせた有機層を炭酸水素ナトリウムで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固し、そして得られた粗生成物(8.75g)をシリカゲルクロマトグラフィによって精製して化合物(23)2.74gを得た。Rt = 0.30分(方法C)検出された質量:148.1(M+H+)
【0090】
7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(4)
【化18】

3−クロロ−4−フルオロ−ベンズアルデヒドから出発し、6−フルオロ−イソキノリン(3)の合成に用いたのと同じ反応順序で標題化合物を製造した。Rt = 0.77分(方法A) 検出された質量:182.1/184.1(M+H+)
【0091】
7−ブロモ−6−フルオロ−イソキノリン(92)
【化19】

3−ブロモ−4−フルオロ−ベンズアルデヒドから出発し、6−フルオロ−イソキノリン(3)の合成に用いたのと同じ反応順序で標題化合物を製造した。Rt = 0.91分(方法B) 検出された質量:226.0/228.0(M+H+)
【0092】
7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン2−オキシド(5)
【化20】

7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(4)25g(137.7mmol)をジクロロメタン500mLに溶解した。室温でm−クロロ過安息香酸(70%)50.9g(206.5mmol)を加え、そして転化が完了するまで混合物を室温で撹拌した。後処理のため沈殿を濾去し、そしてジクロロメタンで洗浄した。濾液を炭酸水素ナトリウム溶液で2回洗浄した。層を分離し、そして水相をジクロロメタンで2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させた。このようにして得た固体物質(18.4g)をさらに精製することなく用いた。Rt = 0.87分(方法C) 検出された質量:198.1/200.1(M+H+)
【0093】
1,7−ジ−クロロ−6フルオロ−イソキノリン(6)
【化21】

7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン−2−オキシド(5)2.6 g(12.0mmol)をPOCl3 40mL中、還流下で4時間加熱した。混合物を室温にさました後、それを氷上に注いだ。水溶液をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させて標題化合物2.91gを得、これをさらに精製することなく用いた:Rt = 2.34分(方法A) 検出された質量:216.0/218.0(M+H+)
【0094】
5−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(7)
【化22】

6−フルオロイソキノリン(3)7.0g(38.1mmol)を濃硫酸60mLに溶解した。0℃でN−クロロスクシンイミド10.18gを加えた。1時間後、さらにN−クロロスクシンイミド5.2gを加え、そして溶液を50℃に加熱した。さらにN−クロロスクシンイミド5.2gを2回順次加え、そして反応が完了するまで50℃で撹拌を続けた。反応混合物を室温にさまし、氷上に注ぎ、水酸化ナトリウムを添加してpH 10に調整した。沈殿を濾去し、ジクロロメタンに溶解し、そして水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて粗生成物を分取HPLCによって精製し、トリフルオロ酢酸塩として5−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(7)4.04gを得た。Rt = 0.97分(方法A) 検出された質量:182.0/184.0(M+H+)
【0095】
5−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン2−オキシド(8)
【化23】

5−クロロ−6−フルオロ−イソキノリントリフルオロ酢酸塩(7)から出発して7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン2−オキシド(5)に記載された方法に従って標題化合物を得た。Rt = 0.90分(方法C) 検出された質量:198.1/200.1(M+H+)
【0096】
1,5−ジクロロ−6フルオロ−イソキノリン(9)
【化24】

1,7−ジクロロ−6−フルオロ−イソキノリン(6)の合成に記載されたプロトコールに従って5−クロロ−6フルオロ−イソキノリン2−オキシド(8)を標題化合物に転化した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘプタン/酢酸エチル4:1)で精製した。Rt = 1.70分(方法C) 検出された質量:216.0/218.0(M+H+)
【0097】
6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(10)
【化25】

シス(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル2.19g(10.2mmol)をジメチルアセトアミド20mlに溶解した。アルゴン雰囲気下で水素化ナトリウム(60%)814mg(20.4mmol)を加え、そして混合物を室温で撹拌した。30分後、ジメチルアセトアミド5ml中の1,7−ジクロロ−6−フルオロ−イソキノリン(6)2.0g(9.26mmol)の溶液を加え、そして室温で撹拌を続けた。1時間後、ベンジルアルコール2.0g(18.5mmol)及び水素化ナトリウム(60%)740mg(18.5mmol)を加えた。反応を室温で2時間、そして80℃で30分間撹拌して転化を完了した。溶媒を真空下で除去して残留物をジクロロメタン中に溶解させ、そして水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、有機層を蒸発させて粗中間体シス[4−(1−ベンジルオキシ−7−クロロ−イソキノリン−6イルオキシ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル4.44gを得た。中間体をメタノールに溶解し、そして室温で2N HClにより処理した。2日間撹拌した後、反応混合物に水酸化ナトリウムを添加してアルカリ性のpHに調整した。溶媒を真空下で除去し、そして残留物をエタノール中で撹拌した。濾液を濾過して蒸発させ、固形物質を得、それを分取HPLCによって精製した。得られたトリフルオロ酢酸塩を2N HClに溶解した。最終的に凍結乾燥して塩酸塩として標題化合物433mgを得た。Rt = 0.89分(方法B) 検出された質量:293.2/295.2(M+H+)
【0098】
6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−5−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン(11)
【化26】

シス(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル及び1,5−ジクロロ−6フルオロ−イソキノリン(9)から出発して、6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−イソキノリン−1−オール塩酸塩(10)に記載された経路に従って塩酸塩として標題化合物を製造した。Rt = 1.04分(方法B) 検出された質量:293.1/295.1(M+H+)
【0099】
7−クロロ−6−(シス−4−シクロプロピルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(12)
【化27】

及び
7−クロロ−6−(シス−4−ジシクロプロピルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(13)
【化28】

6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩(10)100mg(0.3mmol)をメタノール10mlに溶解した。トリエチルアミン54.5mg(0.54mmol)を加え、そして混合物を室温で10分間撹拌した。新たに乾燥モレキュラーシーブ、酢酸159.3mg(2.66mmol)、(1−エトキシ−シクロプロポキシ)トリメチルシラン104.6mg(0.6mmol)及びナトリウムシアノボロヒドリド56.5mg(0.9mmol)を加え、そして反応混合物を3時間還流した。(1−エトキシ−シクロプロポキシ)−トリメチルシラン5当量、続いてナトリウムシアノボロヒドリド2当量加えた。混合物を室温で一夜放置した。混合物を濾過し、そして濾液を蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解し、2N NaOHで2回及び水で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて分取HPLCにより精製した後、トリフルオロ酢酸塩として7−クロロ−6−(シス−4−シクロプロピルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−イソキノリン−1−オール(12)4.5mg及びトリフルオロ酢酸塩として7−クロロ−6−(シス−4−ジシクロプロピルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−イソキノリン−1−オール(13)16mgを得た。Rt(12) = 1.05分(方法A) 検出された質量:333.2/335.2(M+H+) Rt(13) = 1.15分(方法B) 検出された質量:373.1/375.1(M+H+)
【0100】
6−(トランス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−イソキノリン−1−オール(14)
【化29】

トランス(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル及び1,7−ジクロロ−6フルオロ−イソキノリン(6)から出発して6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−イソキノリン−1−オール塩酸塩(10)に記載された経路に従って塩酸塩として標題化合物を製造した。Rt = 1.08分(方法B) 検出された質量:293.2/295.2(M+H+)
【0101】
トランス−4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(15)
【化30】

4−アミノ−シクロヘキサノール6.1g(53mmol)をジメチルアセトアミド50mlに溶解し、そして室温で水素化ナトリウム(60%)4.24g(106mmol)を加えた。反応混合物をアルゴン下で30分間撹拌した後、6−フルオロ−イソキノリン塩酸塩6.49g(35.3mmol)の溶液を加え、そして混合物は室温で一夜撹拌した。後処理のため、溶媒を真空下で除去し、そして残留物をジクロロメタンに溶解し、そして水で2回洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させて粗生成物8.64gを得、これをさらに精製することなく用いた:Rt = 0.77分(方法B) 検出された質量:243.1(M+H+)
【0102】
トランス−N−[4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(16)
【化31】

4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(15)8.4 g(34.7mmol)をジクロロメタン/ピリジン(4:1)100mlに溶解した。0℃でジクロロメタン10ml中の塩化アセチル3.27g(41.6mmol)の溶液を加え、そして反応混合物を室温で撹拌した。2時間後、溶液をジクロロメタンで希釈し、そして飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回洗浄した。2N HClで2回洗浄した後、生成物を水相へ移した。固体NaOHを添加してHCl−層をアルカリ性のpHに調整し、そしてジクロロメタンで3回抽出した。硫酸マグネシウムで有機層を乾燥し、そして溶媒を蒸発させて粗生成物7.69gを得た。シリカゲルクロマトグラフィの後、標題化合物4.48gを単離した。Rt = 0.87分(方法A) 検出された質量:285.2(M+H+)
【0103】
トランス−N−[4−(2−オキシイソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(17)
【化32】

N−[4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(16)から出発して7−クロロ−6−フルオロイソキノリン−2−オキシド(5)に記載された方法に従って標題化合物を得た。Rt = 1.01分(方法A) 検出された質量:301.2(M+H+)
【0104】
トランス−N−[4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(18)
【化33】

1,7−ジクロロ−6−フルオロ−イソキノリン(6)に記載されたプロトコールに従ってN−[4−(2−オキシイソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(17)を標題化合物に転化した。粗生成物を分取HPLCで精製した。Rt = 1.49分(方法B) 検出された質量:319.1/321.1(M+H+)
【0105】
トランス−N−[4−(1−ベンジルオキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(19)
【化34】

N−[4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(18)975mg(3.06mmol)をジメチルアセトアミド20mlに溶解し、そしてベンジルアルコール992mg(9.17mmol)を加えた。水素化ナトリウム(60%)367mg(9.17mmol)を添加した後、反応混合物を室温で3時間、そして80℃で1時間撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去し、残留物をジクロロメタンに溶解し、そして水で3回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させた。分取HPLCにより最終的に精製して標題化合物680mgを得た。Rt = 1.75分(方法B) 検出された質量:391.2(M+H+)
【0106】
トランス−6−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(20)
【化35】

N−[4−(1−ベンジルオキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(19)680 mg(1.74mmol)を2N HCl中で、転化が完了するまでオートクレーブ中120℃で加熱した。溶媒を真空下で除去し、そして残留物を分取HPLCによって精製した。生成物画分を蒸発させて2N HClに溶解した。凍結乾燥した後、塩酸塩として標題化合物182mgを得た。Rt = 0.97分(方法B) 検出された質量:259.2(M+H+)
【0107】
シス−4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(21)
【化36】

6−フルオロ−イソキノリン塩酸塩及びシス−4−アミノ−シクロヘキサノールから出発して化合物(15)に記載されたプロトコールに従って標題化合物を製造した。Rt = 0.64分(方法B) 検出された質量:243.2(M+H+)
【0108】
シス−N−[4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(22)
【化37】

シス−4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(21)から出発して化合物(16)に記載されたプロトコールに従って標題化合物を製造した。Rt = 0.90分(方法B)
検出された質量:285.1(M+H+)
【0109】
シス−N−[4−(2−オキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(23)
【化38】

シス−N−[4−(イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(22)から出発して7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン2−オキシド(5)に記載された方法に従って標題化合物を得た。Rt = 0.80分(方法C) 検出された質量:301.2(M+H+)
【0110】
シス−4−(2−オキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(24)
【化39】

シス−N−[4−(2−オキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(23)2.43g(8.1mmol)を2N HCl 50ml中で16時間還流した。溶媒を蒸発させてHCl−塩として標題化合物(粗生成物)2.46gを得た。Rt = 0.59分(方法C) 検出された質量:517.3;
259.2; 130.2 [(2M+H+), (M+H+), 1/2(M+H+)]
【0111】
シス−4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(25)
【化40】

POCl3 20ml中のシス−4−(2−オキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(24,粗生成物)2.46gを100℃に加熱した。1時間後、混合物を室温にまして氷上に注いだ。水酸化ナトリウムを添加して水溶液をアルカリ性pHにし、そしてジクロロメタンで3回を抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去し、粗生成物として標題化合物1.14gを得、これをさらに精製することなく用いた:Rt = 0.90分(方法C) 検出された質量:277.1/279.2(M+H+)
【0112】
シス−[4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(26)
【化41】

シス−4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(25,粗生成物)1.14gをジクロロメタン20mlに溶解した。0℃でジクロロメタン5ml中のジ−tert−ブチルジカルボネート1.17g(5.35mmol)の溶液を加えて溶液を室温で撹拌した。1時間後、溶液を水で洗浄して乾燥し、そして蒸発させて標題化合物1.65gを得、これをさらに精製することなく用いた:Rt = 1.77分(方法C) 検出された質量:377.1/379.1(M+H+)
【0113】
シス−[4−(1−ベンジルオキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−カ
ルバミン酸tert−ブチルエステル(27)
【化42】

シス−[4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(26,粗生成物)から出発してトランス−N−[4−(1−ベンジルオキシ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド(19)に記載されたプロトコールに従って標題化合物を製造した。最終的に分取HPLCでクロマトグラフィ処理して所望の生成物及び遊離アミノ基を有する部分的に脱保護された誘導体の混合物を得た。Rt = 2.01分(方法C) 検出された質量:449.2(M+H+)
【0114】
シス−6−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(28)
【化43】

メタノール/2N HCl(1:1)中、室温でシス−[4−(1−クロロ−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(27)を撹拌することによって標題化合物を製造した。転化が完了した後、溶媒を減圧下で除去し、そして残留物を分取HPLCによって精製した。得られたトリフルオロ酢酸塩は、化合物を2N HClに溶解して溶媒を蒸発させることによって対応する塩酸塩に転化した。残留物を水に溶解して凍結乾燥した後、所望の生成物(HCl−塩)を無色の固形物として単離した。Rt = 0.75分(方法B) 検出された質量:259,2(M+H+)
【0115】
還元的アミノ化反応の一般的な手法A:
アミン構成ブロック(塩酸塩)0.243mmol、アルデヒド0.243mmol及びトリエチルアミン0.365mmolをHC(OMe)3 3mL中、室温で1時間撹拌した。混合物を−10℃に冷却し、NaHB(OAc)3 1.215mmol及びHOAc 1.215mmolを含む新たに調製したDMF溶液1.75mLを加えた。−10℃で30分間撹拌を継続し、次いで、混合物を室温に放置して加温して室温で一夜放置した。水0.5mLを加え、そして混合物を蒸発させ、DMFに溶解し、そしてモノ−及びビス−アルキル化生成物が得られたら、分取HPLCによって精製した。精製した生成物をイソプロパノール中のHCl(5〜6M) 1mLに溶解し、そして室温で一夜放置した(いくつかの生成物のBOC/tBuエステル基を切断する)。水2mLを加え、そして溶液を凍結乾燥させて生成物の塩酸塩を得た。
【0116】
この手法に従って、記載されたアミン及びカルボニル成分(表1)から塩酸塩として以下の生成物を得た。
【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
【表6】

【0123】
【表7】

【0124】
【表8】

【0125】
【表9】

【0126】
還元的アミノ化反応の一般的な手法B:
6−シス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩(10)150mg(0.46mmol)をメタノール10mlに溶解した。モレキュラーシーブ4A、ト
リエチルアミン92.3mg(0.57mmol)、酢酸273.8mg(4.56mmol)及び対応するアルデヒド0.57mmolを添加した後、ナトリウムシアノボロヒドリド86.0mg(1.37mmol)の溶液を滴加し、そして転化が完了するまで室温で混合物を撹拌した。場合により、転化を完了させるために混合物を70℃に加熱する必要があった。生成物を単離するため、溶液を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタンに溶解し、1N NaOH及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させた。モノ−又はビスアルキル化生成物が得られた場合、分取HPLCによって精製するか又はメタノール性HClから沈殿させた。
【0127】
得られたトリフルオロ酢酸塩を2N HCl/メタノール中で撹拌し、蒸発させて水に溶解し、そして凍結乾燥させて塩酸塩として所望の生成物を得た。0.1%TFAを含むHPLC−生成物画分の蒸発中に、又はその後、2N HCl/メタノール中で撹拌する間に、Boc保護された生成物を脱保護した。
【0128】
この手法に従って、アミン(10)及び記載されたアルデヒド(表2)から塩酸塩として以下の生成物を得た。
【0129】
【表10】

【0130】
【表11】

【0131】
【表12】

【0132】
【表13】

【0133】
【表14】

【0134】
【表15】

【0135】
7−ブロモ−6−フルオロ−イソキノリン−2−オキシド(93)
【化44】

(92)から出発して7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン2−オキシド(5)に記載された方法に従って標題化合物を製造した。Rt = 0.93分(方法C) 検出された質量:242.2/244.2(M+H+)
【0136】
7−ブロモ−1−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(94)
【化45】

7−ブロモ−6−フルオロ−イソキノリン−2−オキシド(93)から出発して1,7−ジクロロ−6−フルオロ−イソキノリン(6)に記載されたプロトコールに従って所望の生成物を合成した。Rt = 1.70分(方法C) 検出された質量:260.0/262.0(M+H+)
【0137】
7−ブロモ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(95)
【化46】

7−ブロモ−1−クロロ−6フルオロイソキノリン(94)12.9g(49.5mmol)を酢酸250mlに溶解した。酢酸アンモニウム38.7g(0.5mol)を添加した後、溶液を100℃で撹拌した。3時間後、溶媒を減圧下で除去し、そして残留物を水中へ注いだ。沈殿を濾過して乾燥して標題化合物9.91g(83%)得た。Rt = 1.15分(方法C) 検出された質量:242.2/244.1(M+H+)
【0138】
7−ブロモ−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(96)
【化47】

7−ブロモ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(95)9.66g(39.9mmol)をジメチルアセトアミド180mlに溶解し、そして水素化ナトリウム(60%)1.92g(48.0mmol)を加えた。室温で1時間後、ジメチルアセトアミド25ml中の4−メトキシベンジルクロリド7.50g(48.0mmol)の溶液を加えた。転化が完了するまで室温で混合物を撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に溶解させ、そしてジクロロメタンで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて粗生成物として黒ずんだ油16.8gを得、それをメタノール中で撹拌した。沈殿を濾過して黄色固体として標題化合物6.56gを得た。母液を蒸発させ、そして残留物を分取HPLCによって精製してさらに所望の生成物2.62gを得た。Rt = 1.71分(方法C) 検出された質量:362.3/364.3(M+H+)
【0139】
6−シス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−ブロモ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(97)
【化48】

シス−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル135mg(0.625mmol)をジメチルアセトアミド2.5mlに溶解し、そして水素化ナトリウム(60%)30mg(0.75mmol)を加えた。室温で15分間撹拌した後、7−ブロモ−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(96)181mg(0.5mmol)を加えて撹拌を続けた。転化を完了させるため、3時間後、さらに水素化ナトリウム(60%)30mgを加えた。一夜撹拌した後、酢酸2ml、続いて2N HCl 2mlを加え、そしてBoc−基の脱保護が完了するまで混合物を50℃で撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液に溶解し、そしてジクロロメタンで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させた。分取HPLCにより最終的に精製してトリフルオロ酢酸塩として生成物83mgを得た。Rt = 1.31分(方法B) 検出された質量:457.2/459.2(M+H+)
【0140】
6−シス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−ブロモ−2H−イソキノリン−1−オン(98)
【化49】

6−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−ブロモ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オントリフルオロ酢酸塩(97)62mg(0.11mmol)をTFA2mlに溶解し、そしてマイクロ波オーブン中140℃で2時間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を2N HClに溶解し、そしてジクロロメタンで2回洗浄した。合わせた有機層を2N HClで抽出し、そして合わせた水溶液を蒸発させた。残留物を水に溶解し、そして凍結乾燥した。分取HPLCにより最終的に精製してトリフルオロ酢酸塩として所望の生成物8mgを得た。Rt = 0.86分(方法B) 検出された質量:337.1/339.1(M+H+)
【0141】
6−トランス(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−ブロモ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソ−キノリン−1−オン(99)
【化50】

トランス(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル及び7−ブロモ−6フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(96)を用いて出発し、6−シス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−ブロモ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(97)に記載されたプロトコールに従って標題化合物を合成した。Rt = 1.34分(方法B) 検出された質量:457.2/459.2(M+H+)
【0142】
6−トランス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−ブロモ−2H−イソキノリン−1−オン(100)
【化51】

6−トランス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−ブロモ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソ−キノリン−1−オン(99)から出発して6−シス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−ブロモ−2H−イソキノリン−1−オン(98)に記載された方法に従って所望の生成物を製造した。トリフルオロ酢酸塩として化合物を単離した。Rt = 0.88分(方法B) 検出された質量:337.1/339.1(M+H+)
【0143】
7−クロロ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(101)
【化52】

1,7−ジクロロ−6フルオロ−イソキノリン(6)から出発して7−ブロモ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(95)に記載されたプロトコールに従って標題化合物を製造した。Rt = 1.11分(方法C) 検出された質量:198.2(M+H+)
【0144】
7−クロロ−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(102)
【化53】

7−クロロ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(101)から出発して7−ブロモ−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(96)に記載されたプロトコールに従って標題化合物を製造した。Rt = 1.66分(方法C) 検出された質量:318.3(M+H+)
【0145】
1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(103)
【化54】

7−クロロ−6−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(101)14.74g(74.6mmol)をトルエン150mlに溶解した。炭酸銀30.86g(111.9mmol)及び臭化ベンジル15.31g(89.5mmol)を添加した後、混合物を80℃で3時間撹拌した。室温にさました後、反応混合物を濾過し、そして濾液を蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解して水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させた。分取HPLCにより最終的に精製して標題化合物11.63gを得た。Rt = 2.51分(方法B) 検出された質量:288.1/290.1(M+H+)
【0146】
Fe(acac)3触媒下でアリールクロリド7−クロロ−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(102)及び1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロ−イソキノリン(103)とグリニャール試薬とを反応させる一般的な手法
それぞれのアリールクロリド2mmol及び鉄(III)アセチルアセトナート35.3mg(0.1mmol)をTHF24mlに溶解してNMP 2mlを加えた。アルゴン下、0℃でグリニャール試薬2.4mmolをシリンジから加え、そして反応物を0℃で10分間撹拌した。転化を完了するため、場合によりさらにグリニャール試薬0.6mmolを加えて撹拌を10分間続けた。
【0147】
N−PMB保護された化合物の場合、1M HCl中に注いで反応をクエンチした。O−ベンジル保護された類似体は、飽和NH4Cl−溶液中に注ぐことによってクエンチした。
【0148】
混合物を蒸発させ、そして残留物をジクロロメタンに溶解して水で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。分取HPLCにより最終的に精製して所望の7−アルキル化された誘導体を得た。
【0149】
この手法に従って、記載されたアリールクロリド及びグリニャール試薬(表3)から以下の生成物を得た。
【0150】
【表16】

【0151】
【表17】

【0152】
6−シス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−プロピル−2H−イソキノリン−1−オン(109)
【化55】

シス−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩58mg(0.38mmol)をジメチルアセトアミド10mlに溶解した。アルゴン下で水素化ナトリウム(60%)38mg(0.96mmol)を加え、そして反応を室温で30分間撹拌した。6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−プロピル−2H−イソキノリン−1−オン(105)100mg(0.31mmol)の溶液を添加した後、溶液を80℃で撹拌した。転化を完了するため、同量の4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩及び水素化ナトリウムを2回加え、そして温度を110℃に高めた。転化を完了した後、溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタンに溶解して水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させた。分取HPLCにより精製した後、トリフルオロ酢酸塩として所望の生成物を単離した。Rt = 1.14分(方法C) 検出された質量:421.6(M+H+)
【0153】
以下の化合物は、6−シス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−プロピル−2H−イソキノリン−1−オン(109)に記載されたプロトコールによってトリフルオロ酢酸塩として製造した(表4):
【表18】

【0154】
N−PMBを保護されたイソキノリノン109、110及び111の脱保護
転化の完了が観察されるまで、保護された出発化合物をTFA中で、マイクロ波オーブン中140℃で加熱した。溶媒を蒸発させて分取HPLCにより精製し、トリフルオロ酢酸塩として所望の脱保護された生成物を得、それを2N HClに溶解し、そして蒸発させた。残留物を水に溶解して凍結乾燥した後、化合物をHCl−塩として単離した。
【0155】
O−ベンジル保護されたイソキノリノン112の脱保護
4−(1−ベンジルオキシ−7−シクロプロピル−イソキノリン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン(112)を、転化が完了するまで、2N HCl中、室温で撹拌した。減圧下で溶媒を蒸発させた後、粗生成物を分取HPLCによって精製し、それによりトリフルオロ酢酸塩として所望の生成物を得た。生成物を2N HClに溶解し、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物を水に溶解して凍結乾燥した後、生成物をHCl−塩として単離した。
【0156】
化合物109〜112を脱保護した後、以下の化合物をHCl塩として単離した(表5):
【表19】

【0157】
還元的アミノ化反応の一般的な手法C:
6−トランス−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−クロロ−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩(14)82mg(0.25mmol)をトリメトキシメタン3ml中に溶解した。対応するアルデヒド又はケトン0.25mmol(THF0.2mlに溶解するか又は固形物として)、続いてトリエチルアミン48mg(0.375mmol)を加えた。室温で1時間後、溶液を−10℃に冷却し、そしてDMF1.5ml中のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド265mg(1.25mmol)の溶液、続いて酢酸73.5mg(1.225mmol)を加えた。0℃で30分後、溶液を室温で一夜放置した。後処理のため、水0.5mlを加え、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物を分取HPLCで精製した。得られたトリフルオロ酢酸塩を、イソプロパノール中の5−6M HCl溶液1.0mlに溶解し、そして室温で一夜放置した。水2.0mlを添加した後、溶液を凍結乾燥し、HCl−塩として所望の生成物を得た。
【0158】
下の表6に記載された化合物は、この方法に従って合成し、そしてHCl塩として得た:
【0159】
【表20】

【0160】
【表21】

【0161】
6−[シス−4−(シクロプロピルメチル−アミノ)−シクロヘキシルオキシ]−2H−イソキノリン−1−オン(125)
【化56】

出発物質としてシクロプロパンカルボアルデヒド及びシス−6−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(28)を使用し、前記の一般的な方法を用いて塩酸塩として125を得た。Rt = 1.04分(方法B) 検出された質量:313.2(M+H+)
【0162】
7−ベンジルスルファニル−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(126)
【化57】

7−ブロモ−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(96)500mg(1.38mmol)、トリブチルスズベンジルチオレート627.3mg(1.52mmol)、新たに乾燥したフッ化カリウム96.2mg(1.66mmol)及びキサントホス24.0mg(0.041mmol)をNMP5mlに溶解し、そして室温で15分間撹拌した。Pd2dba3 19.0mg(0.021mmol)を添加した後、反応混合物を100℃で撹拌した。転化を完了させるため、さらにPd2dba3 0.01mmolを加えて100℃で撹拌を続けた。5時間後、溶液を室温にさまし、酢酸エチル(10ml)で希釈し、そして5%KF−溶液で処理した。混合物を15分間激しく撹拌し、そして濾過した。濾液を分離し、そして有機相を水で2回、そして飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、有機層を蒸発させて粗生成物を分取HPLCによって精製した。Rt = 1.83分(方法C) 検出された質量:406.5(M+H+)
【0163】
6−(4−アミノ−シス−シクロヘキシルオキシ)−7−ベンジルスルファニル−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソ−キノリン−1−オン(127)
【化58】

シス−4−アミノ−シクロヘキサノール塩酸塩90mg(0.59mmol)をジメチルアセトアミド10mlに溶解し、そして水素化ナトリウム(60%)59.3mg(1.48mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、ジメチルアセトアミド20ml中の7−ベンジルスルファニル−6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(126)200mg(0.49mmol)の溶液を加え、そして混合物を80℃で1時間、次いで130℃で3時間撹拌した。さらにシス4−アミノ−シクロヘキサノール塩酸塩1.2当量及び水素化ナトリウム2.5当量を加えて温度を160℃に高めた。8時間後、溶液を室温にさまし、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発して分取HPLCにより精製した後、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。Rt = 1.18分(方法C) 検出された質量:501.6(M+H+)
【0164】
N−{4−[7−ベンジルスルファニル−2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ]−シス−シクロヘキシル}−アセトアミド(128)
【化59】

6−(4−アミノ−シス−シクロヘキシルオキシ)−7−ベンジルスルファニル−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソ−キノリン−1−オン(127)45mg(0.073mmol)をジクロロメタン5mlに溶解し、そしてトリエチルアミン14.8mg(0.146mmol)を加えた。0℃でアセチルクロリド6.9mg(0.088mmol)を加えて溶液を室温で撹拌した。2時間後、ジクロロメタンを加え、そして溶液を2N HCl及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、そして溶媒を蒸発させた後、標題化合物を粗生成物として単離し、これをさらに精製することなく用いた:Rt = 1.53分(方法C) 検出された質量:543.6(M+H+)
【0165】
6−(4−アセチルアミノ−シス−シクロヘキシルオキシ)−4−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−7−スルホニルクロリド(129)
【化60】

N−{4−[7−ベンジルスルファニル−2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ]−シクロヘキシル}−アセトアミド(128,粗生成物)37mgをジクロロメタン5mlに溶解した。0℃で、酢酸16.4mg(0.273mmol)、水4.9mg(0.273mmol)及び塩化スルフリル(ジクロロメタン中1M)273μl(0.273mmol)を加えた。30分後、酢酸エチルを加え、そして溶液を炭酸水素ナトリウム溶液(2%)、水及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、そして蒸発させた。このようにして得た粗生成物をさらに精製することなく用いた。Rt = 1.55分(方法C) 検出された質量:553.5(M+H+)
【0166】
N−{4−[4−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−7−スルファモイル−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ]−シス−シクロヘキシル}−アセトアミド(130)
【化61】

THF 2ml中の6−(4−アセチルアミノ−シス−シクロヘキシルオキシ)−4−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−7−スルホニルクロリド(129,粗生成物)29mgの溶液に33%アンモニア水溶液2mlを加えた。室温で1時間後、溶媒を減圧下で除去し、そして粗生成物をさらに精製することなく用いた。Rt = 1.22分(方法C) 検出された質量:534.5(M+H+)
【0167】
6−(4−アミノ−シス−シクロヘキシルオキシ)−4−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−7−スルホン酸アミド(131)
【化62】

N−{4−[4−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−7−スルファモイル−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イルオキシ]−シス−シクロヘキシル}−アセトアミド(130,粗生成物)32mgをエタノール5ml及び2N HCl 15mlに溶解し、そして90℃で2時間加熱した。溶媒を減圧下で除去して残留物を6N HClに溶解し、90℃で加熱を20時間続けた。室温にさました後、水溶液を蒸発させ、そして標題化合物をHCl−塩(粗生成物)として単離した。Rt = 1.00分(方法C) 検出された質量:492.5(M+H+)
【0168】
6−(4−アミノ−シス−シクロヘキシルオキシ)−4−クロロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−7−スルホン酸アミド(132)
【化63】

粗製131をトリフルオロ酢酸15mlに溶解し、そしてマイクロ波条件下、140℃で3時間加熱した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を分取HPLCによって精製し、それによりトリフルオロ酢酸塩として標題化合物を得た。Rt = 0.90分(方法B) 検出された質量:372.3(M+H+)
【0169】
1-ベンジルオキシ−7−クロロ−6−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8− イルオキシ)−イソキノリン(133)
【化64】

ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール1.26g(8.34mmol)をジメチルアセトアミド50mlに溶解し、そして水素化ナトリウム(60%)695.2mg(17.4mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、ジメチルアセトアミド50ml中の1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−フルオロイソキノリン(103)2.0g(6.95mmol)の溶液を加え、そして室温で撹拌を続けた。1時間後、溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタンに溶解して水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させ、それにより粗生成物3.30gを得、これをさらに精製することなく用いた:Rt = 2.05分(方法C) 検出された質量:426.5(M+H+)
【0170】
7−クロロ−6−(4−オキソ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(134)
【化65】

1−ベンジルオキシ−7−クロロ−6−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルオキシ)−イソキノリン(133,粗生成物)3.30gを6N HCl/アセトン(1:2)30ml中室温で撹拌した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液上に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させた。粗生成物を分取HPLCで精製した。Rt = 1.34分(方法B) 検出された質量:292.0(M+H+)
【0171】
以下の化合物は、7−クロロ−6−(4−オキソ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(134)から出発して、還元的アミノ化反応(表7)の一般的な手法Bと同様にして塩酸塩として合成した:
【表22】

【0172】
6−(トランス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−
オン(137)
【化66】

a) 6−フルオロ−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン
アセトン80ml中の3−フルオロ−4−メチルケイ皮酸の10.0g(55.5mmol)の溶液に、0℃でアセトン10ml中のトリエチルアミン6.74g(66.6mmol)、その後、クロロギ酸エチル7.83g(72.2mmol)を続けて加えた。0〜5℃で2時間撹拌した後、水9.5ml中のアジ化ナトリウム4.0g(61.1mmol)の溶液を加えた。さらに1時間撹拌した後、反応混合物を氷水200ml上へ注ぎ、そしてクロロホルムで2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ジフェニルエーテル40mlを加え、そしてクロロホルムを真空下で慎重に除去した。次いで、残留物を、245℃に予熱したジフェニルエーテル50mlに滴加した。添加が完了した後、それをさらに230〜250℃で1時間撹拌した。150℃にさました後、反応混合物をヘプタン270mlへ注ぎ、そして氷浴中でさらに冷却した後、沈殿した生成物を吸引濾過し、そして6−フルオロ−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン4.1gを得た。
b) 6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン
DMF80ml中の6−フルオロ−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン9.17g(51.8mmol)の溶液に炭酸セシウム20.2g(62.1mmol)、次いで4−メトキシベンジルクロリド8.92g(56.9mmol)を加えた。室温で90分間撹拌した後、反応混合物を水600ml中へ注いで1時間撹拌し、次いで、沈殿した生成物を吸引により単離した。母液からのさらなる生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(80:20)を用いたクロマトグラフィによって単離した。合わせた生成物を酢酸エチルから再結晶して6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン8.39gを得た。
c) 6−(トランス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル2H−イソキノリン−1−オン
ジメチルアセトアミド20ml中のトランス−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩1.48g(9.75mmol)の溶液に水素化ナトリウム(60%)1.95g(48.77mmol)を加え、そして混合物を15分間撹拌した。続いて、ジメチルアセトアミド30ml中の6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン2.90g(9.75mmol)を加え、そして反応混合物を80℃に2日間加熱した。さました後、混合物を氷水300ml中へ注ぎ、そして沈殿した粗生成物をクロマトグラフィによって精製した。最初に酢酸エチル/ヘプタン(2:1)で残りの出発物質を溶出し、そして最終的に純粋なメタノールで所望の生成物を溶出し、6−(トランス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン1.98gを得た。
d) 6−(トランス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩
6−(トランス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン2.64g(6.7mmol)及びトリフルオロ酢酸15.3g(134.5mmol)をマイクロ波オーブン中150℃で2時間加熱した。次いで、過剰のトリフルオロ酢酸を真空下で留去し、そして残留物を1M塩酸130mlで希釈した。水相を塩化メチレンで3回洗浄し、次いで、凍結乾燥して塩酸塩を得、それをイソプロパノールから再結晶した。これにより塩酸塩として6−(トランス−4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(137)1.1gを得た。Rt = 0.92分(方法B) 検出された質量:273.22(M+H+)
【0173】
6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(138)
【化67】

a) シス−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩
塩化メチレン300ml及びエタノール38ml中のシクロヘキサノンオキシム30.0g(0.265mol)の溶液に0℃でtert−ブチル−次亜塩素酸塩34.5g(0.318mol)をゆっくりと加えられた。生成した濃青色の溶液を−20℃に冷却し、次いで1,3−シクロヘキサジエン31.9g(0.398mol)を加え、そして青色が消失するまで混合物を冷凍庫中5℃で2日間保存した。反応混合物をその容積の50%まで濃縮し、次いでジエチルエーテル600mlをゆっくりと加えた。一夜撹拌した後、生成した沈殿を吸引により単離して2−オキサ−3−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン塩酸塩29.0 gを得た。この物質5.0g(0.045mol)を水素圧2barで酸化白金3.0g(0.013のmol)を用いて水素化した。7時間後、触媒を濾去し、そしてジオキサン中4M塩酸20ml の溶液を加えた。蒸発させた後、残留物をイソプロパノール30mlから再結晶してシス−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩3.1gを得た。
b) 6−(シス−4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩
シス−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩2.55g(16.8mmol)及び6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(137,段階b)5.0g(16.8mmol)から実施例137の段階c及びdに記載したようにして6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩0.98gを得た。Rt = 0.99分(方法B) 検出された質量:273.18(M+H+)
【0174】
6−(シス−4−エチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(139)
【化68】

6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩(138)0.2g(0.65mmol)、トリエチルアミン69mg(0.68mmol)及びアセトアルデヒド35mg(0.78mmol)を乾燥メタノール13ml中5℃で4時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム37mg(0.97mol)を添加した後、混合物を室温で一夜撹拌した。出発アミンの転化が不完全であることが観察されたので、同量のアセトアルデヒド及び水素化ホウ素ナトリウムを2時間以内に順次再び加えた。さらに2時間撹拌した後、反応混合物を濃塩酸で酸性化し、そしてメタノールを蒸発させた。水性残留物を酢酸エチル、次いで飽和炭酸カリウムで洗浄し、そして塩化メチレンで抽出して6−(シス−4−エチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(139)145mgを得た。Rt = 0.89分(方法A) 検出された質量:301.20(M+H+)
【0175】
6−(シス−4−イソブチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(140)
【化69】

実施例139と同様にして6−(シス−4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩(138)0.2(0.65mmol)及びイソブチルアルデヒドから6−(4−イソブチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン151mgを得た。Rt = 1.10分(方法A) 検出された質量:329.20(M+H+)
【0176】
以下の化合物は、実施例139及び140と同様にしてそれぞれのアミン及びアルデヒド(表8)から製造した。
【0177】
【表23】

【0178】
【表24】

【0179】
6−(シス−4−ジエチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(146)
【化70】

塩化メチレン5ml中の6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩(実施例138)150mg(0.49mmol)、酢酸38mg(0.63mmol)、アセトアルデヒド43mg(0.97mmol)、モレキュラーシーブ及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド515mg(2.4mmol)からなる反応混合物を一夜撹拌した。反応混合物を1M水酸化ナトリウム溶液10mlに加え、そして塩化メチレン及びイソプロパノールの混合物で2回抽出した。乾燥して蒸発させた後、6−(シス−4−ジエチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(146)122mgを得た。Rt = 0.99分(方法B) 検出された質量:329.17(M+H+)
【0180】
6−(シス−4−イソプロピルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(147)
【化71】

実施例146と同様にして6−(シス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩(138)150mg(0.49mmol)とアセトンとの反応によって6−(シス−4−イソプロピルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(147)121mgを得た。Rt = 1.07分(方法B) 検出された質量:315.13(M+H+)
【0181】
2,2,2−トリフルオロ−N−(トランス−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−アセトアミド(148)
【化72】

トランス−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩25gを乾燥ジオキサン250mL中に懸濁し、そしてナトリウムメチラート溶液(メタノール中30%,1当量)30mLを加えた。トリフルオロ酢酸エチル39.3mLを加え、そして反応が完了するまで反応混合物を撹拌した。反応混合物を蒸発させ、0.1N HCl 50mL中に溶解させ、そしてジクロロメタン:イソプロパノール3:1で数回抽出した。合わせた有機層を0.1N HCl及びブラインで1回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発乾固して148を29.0g得た。Rt = 0.69分(方法C) 検出された質量:212.2(M+H+)
【0182】
2,2,2−トリフルオロ−N−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−N−メチル−アセトアミド(149)
【化73】

2,2,2−トリフルオロ−N−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アセトアミド(148)5gをジメチルアセトアミド25mLに溶解し、95%水素化ナトリウム625mgを加え、そして反応混合物を0℃に冷却した。ヨードメタン1.64mLをゆっくりと加え、そして反応混合物を室温に放置して加温した。完了したら、反応混合物を水中へ注ぎ、メチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、そして合わせた有機層をブラインで1回抽出して硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発乾固した。残留物を水中に溶解させ、そして凍結乾燥してジメチルアセトアミドの残りを除去し、生成物4.0gを得た。Rt = 0.95分(方法C) 検出された質量:226.2(M+H+)
【0183】
トランス−4−メチルアミノ−シクロヘキサノール(150)
【化74】

2,2,2−トリフルオロ−N−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−N−メチル−アセトアミド(149)2gを1N HCl 10mLに懸濁し、そして転化が完了するまでマイクロ波中150℃で加熱した。生成した溶液を凍結乾燥し、そして残留物を水中に溶解させ、そして再び2回凍結乾燥して4−メチルアミノ−シクロヘキサノール(150)1.45gを得た。Rt = 0.13分(方法C) 検出された質量:130.3(M+H+)
【0184】
2−(トランス−4−メトキシ−ベンジル)−6−(4−メチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(151)
【化75】

水素化ナトリウム(95%)630mgをジメチルアセトアミド40mL中に懸濁した。ジメチルアセトアミド40mLに溶解した4−メチルアミノ−シクロヘキサノール(150)1.45gを滴加し、そして15分後、別のジメチルアセトアミド40mLに溶解した6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(177)2.48gを加えた。反応が完了するまで反応混合物を80℃で撹拌した。混合物を氷水混合物中へ注ぎ、メチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、そして合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。水を加え、そして粗生成物を凍結乾燥にかけてジメチルアセトアミドの残りを除去した。得られた生成物はさらなる転化にとって十分に純粋であった。Rt = 1.24分(方法B),検出された質量:393.2(M+H+)
【0185】
6−(トランス−4−メチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(152)
【化76】

2−(4−メトキシ−ベンジル)−6−(4−メチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(151)2.46gをTFA15mLに溶解し、そしてマイクロ波オーブン中150℃で2時間加熱した。メタノールを加え、そして反応混合物を蒸発させた。溶液を1N HCl中に溶解させ、そしてジクロロメタンで3回抽出した。合わせたジクロロメタン層を1N HClで2回抽出し、そして合わせたHCl層を凍結乾燥し、残留物を水中に溶解させ、そして再び凍結乾燥して塩酸塩として6−(4−メチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(152)1.31gを得た。Rt = 0.81分(方法B) 検出された質量:273.2(M+H+)
【0186】
以下の2つの生成物は、152の合成に記載したのと同じ反応順序によって148のアルキル化に適切なアルキルハライドを用いて塩酸塩として得た。
【0187】
6−(トランス−4−エチルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(153)
【化77】

Rt = 0.85分(方法B) 検出された質量:287.1(M+H+)
【0188】
6−(トランス−4−イソプロピルアミノ−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(154)
【化78】

Rt = 1.16分(方法B) 検出された質量:315.2(M+H+)
【0189】
還元的アミノ化反応の一般的な手法D:
153(又は別の一置換されたイソキノロノン−アミン)250mgをジクロロメタン8mLに溶解し、そしてDMF6mL、アルデヒド3当量、酢酸1.3当量、モレキュラーシーブ300mg及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド3当量を加えた。反応混合物を55℃で16時間撹拌した。混合物を1N NaOH 5mL中へ注ぎ、そしてジクロロメタン25mL及びイソプロパノール10mLを加えた。有機層を分離し、そして水層をイソプロパノール:ジクロロメタン1:3で3回抽出した。合わせた有機層を蒸発乾固し、そして残留物をHPLCによって精製し、最終的に2N HClを加えてその後凍結乾燥して対応するHCl塩に転化した。
【0190】
以下の化合物は、この手法に従って製造して遊離塩基又は塩酸塩として得た(表9)。
【0191】
【表25】

【0192】
【表26】

【0193】
【表27】

【0194】
【表28】

【0195】
【表29】

【0196】
6−フルオロ−イソキノリノン(176)
【化79】

塩化チオニル4.8mL(90.3mmol,1.5当量)をクロロホルム44ml及びDMF1ml中の3−フルオロケイ皮酸10g(60.2mmol)の溶液に少しずつ加えた。反応液を2.5時間還流下に加熱した。次いで溶媒を蒸留し、粗製酸塩化物11.4gを得、それをさらに精製することなく用いた。酸塩化物をアセトン45mLに溶解した。0℃で、アジ化ナトリウム(123.5mmol,2当量)8.03gを少しずつ加えた。次いで、温度を5℃より下に保持しながら、水41mLを加えた。反応液をさらに1.5時間撹拌した。次いで、クロロホルム55mlを加えた。混合物を水80mL、続いてブライン40mLで抽出した。Na2SO4で乾燥して濾過した後、ジフェニルエーテル14mLを加え、そしてほとんどのクロロホルムを真空下で(加熱することなく)除去した。クロロホルムをすべて除去するのは回避しなければならない。アジド、ジフェニルエーテル及び残りのクロロホルムを含む溶液を15分以内に260℃でジフェニルエーテル97ml中のトリブチルアミン10mLの溶液に滴加した。添加中に激しい反応を観察することができた。反応液を260℃でさらに20分間撹拌した。室温にさました後、n−ヘプタン270mLを加えた。沈殿した生成物を濾去してエーテルで洗浄し、標題化合物5.65gを得た。MS(DCI) 検出された質量:164.0(M+H+)
【0197】
6−フルオロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2H−イソキノリン−1−オン(177)
【化80】

p−メトキシベンジルクロリド169μL(1.24mmol,1.1当量)をDMF3mL中の6−フルオロ−イソキノリノン(176)(1.13mmol)200mg及びCs2CO3 368mg(1.36mmol,1.2当量)の懸濁液に加えた。混合物を2時間撹拌し、次いで氷上へ注いだ。沈殿を濾過して水で洗浄し、そして乾燥し、標題化合物300mgを得た。LCMS方法B,保持時間1.76分,検出された質量284.14[M+H]+
【0198】
4−エチル−6,7−ジフルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(178)
【化81】

176の合成に記載されたのと同じ方法によって出発物質として(3,4−ジフルオロ−フェニル)−ペンタ−2−エン酸を用いて4−エチル−6,7−ジフルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(178)を得た。Rt = 1.46分(方法B) 検出された質量:210.1(M+H+)
使用したアクリル酸は、文献に記載されたのと同様のやり方で対応するアルデヒドから合成した(例えば:J. Med. Chem. 2005, 48, 71−90参照)。
【0199】
6−(トランス−4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−4−エチル−7−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(179)
【化82】

転化137(段階b、c及びd)に記載されたのと同様の反応順序で、出発物質として178を用いて塩酸塩として6−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−4−エチル−7−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(179)を合成した。Rt = 0.97分(方法B) 検出された質量:305.2(M+H+)
【0200】
LC/MC−方法
方法A:
固定相: Col YMC Jsphere 33 x 2
勾配: ACN+0.05% TFA:H2O+ 0.05%TFA
5:95(0分)〜95:5(3.4分)〜95:5(4.4分)
流速 1mL/分

方法B:
固定相: Col YMC Jsphere 33 x 2
勾配: ACN+0.05% TFA:H2O+ 0.05%TFA
5:95(0分)〜95:5(2.5分)〜95:5(3.0分)
流速 1mL/分

方法C:
固定相: Col YMC Jsphere ODS H80 20 x 2
勾配: ACN:H2O+ 0.05%TFA
4:96(0分)〜95:5(2.0分)〜95:5(2.4分)
流速 1mL/分

方法D:
固定相: Col YMC Jsphere 33 x 2.1
勾配: Grad ACN+0.08%FA:H2O+0.1%FA(ギ酸)
5:95(0分)〜95:5(2.5分)〜95:5(3分)
流速 1.3mL/分
【0201】
Rhoキナーゼ阻害の測定
Rho−キナーゼ阻害を測定するため、IC50値を以下のプロトコールに従って測定した:
緩衝液:25mMトリスpH7.5;0.02%BSA;5%グリセロール;0.008%トリトンX100;2%DMSO(1mM DTT);1mM MgCl2;0,5μCi/ウェルγ33P ATP
酵素:ROCKII又はROKα)(Upstate(Catalog # 14−451))0.1ng/μl
反応混合物中のATPの最終濃度 40μM
ビオチン化された基質、上記の緩衝液(ATPなし)で0.25μMに希釈
1. 10μlトリス緩衝液(±阻害剤)
2. 酵素溶液30μLを添加する
3. 混合基質/ATP/ATP33 30μLで反応を開始する
4. 室温で20分間インキュベートする
5. 50mM EDTA 30μLで反応を停止する
6. 停止された溶液50μLをStreptavidin Flash Plate plus, Perkin Elmer, SMP 103A に移す
7. 室温で30分間インキュベートする
8. PBS/0.1%Tween 20 300μlで4回洗浄する
9. ウェル中の放射活性を測定する
【0202】
以下の生成物/化合物を上記の実施例で得られたそれぞれの形態(塩又は遊離塩基)を用いて前記アッセイで試験し、そして以下の活性を測定した。
【表30】

【0203】
得られた活性は、以下の通りIC50の負の10進対数(pIC50)として表した:
+: pIC50≦3.0
++: 3.0≦pIC50 <4.0
+++ 4.0≦pIC50 <5.0
++++: 5.0≦pIC50 <6.0
+++++: 6.0≦pIC50

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

又は式(I')
【化2】

の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体。
式中、R1はH、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C3−C8)シクロアルキル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C5−C10)ヘテロシクリル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C6−C10)アリール、C(O)−(C1−C6)アルキル、C(O)(C2−C6)アルケニル、C(O)−(C2−C6)アルキニル、C(O)−[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C3−C8)シクロアルキル、C(O)−[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C5−C10)ヘテロシクリル、又はC(O)−[(C1−C6)アルキレン]0-1−(C6−C10)アリールであり、
R2はH、(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−R'、[(C1−C6)アルキレン]0-1−O−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−O−R'、[(C1−C6)アルキレン]0-1−NH2、[(C1−C6)アルキレン]0-1−NH(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキレン]0-1−N[(C1−C6)アルキル]2、[(C1−C6)アルキレン]0-1−CH[R']2、[(C1−C6)アルキレン]0-1−C(O)−R'、[(C1−C6)アルキレン]0-1−C(O)NH2、[(C1−C6)アルキレン]0-1−C(O)NH−R'、又は[(C1−C6)アルキレン]0-1−C(O)N[R']2であり;
R3はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、OH、O−R''、NH2、NHR''、NR''R''又はNH−C(O)−R''であり、
R4はH、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキレン−R'であり;
R5はH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
R6及びR6'は相互に独立してH、R'、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、(C1−C6)アルキレン−CH[R']2、(C1−C6)アルキレン−C(O)−R'、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R'、又は(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R']2であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル、O−[(C1−C6)アルキレン]0-1−R'、(C2−C6)アルケニル、R'、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−R'、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、SO2−NH2、SO2−NHR'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
R9はハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
nは0、1、2、3又は4であり;そして
LはO又はO−(C1−C6)アルキレンであり;
ここにおいてR'は(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C6−C10)アリールであり;そして
R''は(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、又は(C1−C6)アルキレン−NRxRyであり;そして
ここにおいてRx及びRyは相互に独立して(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C1−C4)アルキレン−NH(C1−C6)アルキル、(C1−C4)アルキ
レン−N[(C1−C6)アルキル]2、(C1−C4)アルキレン−N[(C6−C10)アリール]2、又は(C1−C4)アルキレン−N[(C5−C10)ヘテロシクリル]2であり;そして
ここにおいて残基R4、R5、R7及びR8中、1つのアルキル若しくはアルキレン水素原子はOH、OCH3、COOH、COOCH3、NH2、NHCH3、N(CH3)2、CONH2、CONHCH3若しくはCON(CH3)2によって場合により置換されうるか、又はアルキル若しくはアルキレンは1回若しくはそれ以上ハロゲン化されていてもよい。
【請求項2】
式(II)
【化3】

の化合物を特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
式(II')
【化4】

の化合物を特徴とする、請求項1記載の(I')の化合物。
【請求項4】
式中、R6及びR6'は相互に独立してH、(C1−C6)アルキル、R'、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−C(O)−(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
式中、R6及びR6'は相互に独立してH、(C1−C6)アルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
式中、R6はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキルであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
式中、R6はH、(C1−C6)アルキルであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C5−C10)ヘテロシクリル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールである、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
式中、R6はH、(C1−C6)アルキルであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C4)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリルであり、ここにおいてヘテロシクリルは非置換、若しくは(C1−C4)アルキル若しくはハロゲンによって置換されており、又は(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリールであり、ここにおいてアリールは非置換若しくは、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル若しくはSO2−(C1−C4)アルキルによって置換されている、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
式中、R6はH、(C1−C6)アルキルであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキルである、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
式中、R6はHであり、そしてR6'はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキルである、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
式中、R6及びR6'はHである、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
式中、R5はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、R'、NH(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
式中、R5はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、R'、NH(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
式中、R5はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール、(C5−C10)ヘテロアリール、NH(C6−C10)アリール又は(C1−C2)アルキレン(C6−C10)アリールである、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
式中、R5はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、フェニル又は(C5−C6)ヘテロアリールである、請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
式中、R5はH、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルである、請求項1〜15のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
式中、R5はH又はハロゲンである、請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
式中、R5はHである、請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
式中、R4はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、NH(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
式中、R4はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、NH(C6−C10)アリール又は(C1−C6)アルキレン−R'である、請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
式中、R4はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、NH(C6−C10)アリール又は(C1−C2)アルキレン(C6−C10)アリールである、請求項1〜20のいずれか1項記載の化合物。
【請求項22】
式中、R4はH、ハロゲン又は(C1−C6)アルキルである、請求項1〜21のいずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
式中、R4はH又は(C1−C6)アルキルである、請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物。
【請求項24】
式中、R4はHである、請求項1〜20のいずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
式中、R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、O−(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'又は(C1−C6)アルキレン−(C3−C8)シクロアルキルである、請求項1〜24のいずれか1項記載の化合物。
【請求項26】
式中、R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル、(C2−C4)アルケニル、フェニル、(C5−C6)ヘテロアリール、(C3−C6)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキルである、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物。
【請求項27】
式中、R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、O−(C1−C4)アルキル又は(C3−C6)シクロアルキルである、請求項1〜26のいずれか1項記載の化合物。
【請求項28】
式中、R7はH、ハロゲン、(C1−C4)アルキル又は(C3−C6)シクロアルキルであり、そしてR8はHである、請求項1〜27のいずれか1項記載の化合物。
【請求項29】
式中、R7及びR8はHである、請求項1〜28のいずれか1項記載の化合物。
【請求項30】
式中、R9はハロゲン又は(C1−C4)アルキルである、請求項1〜29のいずれか1項記載の化合物。
【請求項31】
式中、R9はCl、F、メチル又はエチルである、請求項1〜30のいずれか1項記載の化合物。
【請求項32】
式中、nは0、1、2又は3である、請求項1〜31のいずれか1項記載の化合物。
【請求項33】
式中、nは0又は1である、請求項1〜32のいずれか1項記載の化合物。
【請求項34】
式中、nは0である、請求項1〜29のいずれか1項記載の化合物。
【請求項35】
式中、R3はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C4)アルキレン−R'、O−R''又はNHR''である、請求項1〜34のいずれか1項記載の化合物。
【請求項36】
式中、R3はH、(C1−C6)アルキル又はNHR''である、請求項1〜35のいずれか1項記載の化合物。
【請求項37】
式中、R3はH、(C1−C4)アルキル、NH−(C5−C6)ヘテロシクリル又はNH−フェニルである、請求項1〜36のいずれか1項記載の化合物。
【請求項38】
式中、R3はH、(C1−C4)アルキル、1つ若しくはそれ以上のN原子を含むNH−(C5−C6)ヘテロアリール又はNH−フェニルである、請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物。
【請求項39】
式中、R3はHである、請求項1〜38のいずれか1項記載の化合物。
【請求項40】
式中、Lはシクロヘキシル環の4−位
【化5】

に結合しているか又はLはシクロヘキシル環の3−位
【化6】

に結合している、請求項1〜39のいずれか1項記載の化合物。
【請求項41】
式中、Lはシクロヘキシル環の4−位に結合している、請求項1〜40のいずれか1項記載の化合物。
【請求項42】
式中、LはO−メチレン、O−エチレン又はOである、請求項1〜41のいずれか1項記載の化合物。
【請求項43】
式中、Lはシクロヘキシル環の4−位に結合したO−メチレン、O−エチレン又はOである、請求項1〜42のいずれか1項記載の化合物。
【請求項44】
式中、LはOである、請求項1〜43のいずれか1項記載の化合物。
【請求項45】
式中、R3はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、OH、O−R''、NH2、又はNHR''であり;
R4はH、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C6)アルキレン−R'であり;
R5はH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH2、NH−R'、NH−SO2H、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
R6及びR6'は相互に独立してH、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、(C1−C6)アルキレン−R'、(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキレン−O−R'、(C1−C6)アルキレン−CH[R']2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH2、(C1−C6)アルキレン−C(O)NH−R'、又は(C1−C6)アルキレン−C(O)N[R']2であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−R'、NH2、NH−R'、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、NH−SO2−R'、SO2−NH2、SO2−NHR'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、NH−C(O)−R'、C(O)N[(C1−C6)アルキル]2、C(O)OH又はC(O)O−(C1−C6)アルキルであり;
R9はハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
nは0、1、2であり;そして
LはO又はO−(C1−C3)アルキレンである;
請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体。
【請求項46】
式中、R3はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C1−C2)アルキレン−R'又はNHR''であり;
R4はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C2)アルキレン−R'であり;
R5はH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH2、NH−R'、NH−C(O)−(C1−C6)アルキル、又はC(O)N[(C1−C6)アルキル]2であり;
R6及びR6'は相互に独立してH、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、又は(C1−C3)アルキレン−R'であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C2−C3)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C3)アルキレン−R'、NH−R'、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、又はSO2−NH2であり;
R9はハロゲン又は(C1−C6)アルキルであり;
nは0又は1であり;そして
LはO又はO−メチレンである;
請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体。
【請求項47】
式中、R3はH、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、(C1−C2)アルキレン−R'又はNHR''であり;
R4はH、ハロゲン、CN、(C1−C4)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C1−C2)アルキレン−R'であり;
R5はH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C1−C6)アルキレン−(C6−C10)アリール、(C2−C6)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C6)アルキレン−(C5−C10)ヘテロシクリル、NH−R'であり;
R6はH、(C3−C6)シクロアルキル又は(C1−C4)アルキルであり;
R6'はH、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、又は(C1−C3)アルキレン−R'であり;
R7及びR8は相互に独立してH、ハロゲン、CN、NO2、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、R'、(C2−C3)アルケニレン−(C6−C10)アリール、(C1−C3)アルキレン−R'、NH−SO2−(C1−C6)アルキル、又はSO2−NH2であり;
R9はハロゲン又は(C1−C4)アルキルであり;
nは0であり、そして
LはOである;
請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物、又はそれらの医薬上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態及び/又は生理学上機能性の誘導体。
【請求項48】
薬剤として使用するための請求項1〜47のいずれか1項記載の式(I)若しくは(I')の化合物、及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態。
【請求項49】
薬剤を製造するための請求項1〜47のいずれか1項記載の少なくとも1つの式(I)若しくは(I')の化合物の使用、及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態の使用。
【請求項50】
Rho−キナーゼ及び/又はRho−キナーゼが介在するミオシン軽鎖ホスファターゼのリン酸化と関連する疾患を治療及び/又は予防する医薬を製造するための請求項1〜47のいずれか1項記載の式(I)若しくは(I')の化合物の使用、及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態の使用。
【請求項51】
高血圧症、肺高血圧症、高眼圧症、網膜症、緑内障、末梢循環障害、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、冠状動脈性心疾患、狭心症、心肥大、心不全、虚血性疾患、虚血性臓器不全(終末器官損傷)、肺線維症、肝線維症、肝不全、腎症、腎不全、腎線維症、腎臓の糸球体硬化症、臓器肥大、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸促進症候群、血栓障害、脳卒中、脳血管攣縮、脳虚血、疼痛、神経変性、脊髄損傷、アルツハイマー病、早産、勃起障害、内分泌腺機能障害、動脈硬化症、前立腺肥大、糖尿病及び合併症糖尿病、代謝症候群、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化症、炎症、自己免疫疾患、AIDS、骨障害、細菌による消化管の感染症、敗血症又は癌の発現及び進行を治療及び/又は予防する薬剤を製造するための請求項1〜47のいずれか1項記載の式(I)若しくは(I')の少なくとも1つの化合物の使用、及び/又はそれらの生理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態の使用。
【請求項52】
請求項1〜47のいずれか1項記載の式(I)若しくは(I')の少なくとも1つの化合物、及び/又はそれらの薬理学上許容しうる塩及び/又は立体異性体形態の有効量、並びに生理学上許容しうる賦形剤及び担体、並びに必要に応じて、さらなる添加剤及び/又は他の活性成分を含む薬剤。

【公表番号】特表2009−502830(P2009−502830A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523189(P2008−523189)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007140
【国際公開番号】WO2007/012422
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】