説明

RTCP接続メッセージを用いるPoCアドホックグループセッション情報処理方法及びシステム

【課題】グループ招待者情報を受信側PoCクライアントに伝達するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】PoCシステムにおいて、受信側PoCユーザー端末機とPoCサーバとの間で事前設定セッション及び自動応答モードが設定された場合には、受信側PoCユーザーがアドホックグループセッション招待者情報の取得を可能にし、選好度に従ってPoCセッションを選択的に確立する方法を開示する。特に、受信側SIPセッション設定を効率的に活用するために、ユーザープレーンシグナリングを介してグループ通話に参加するものと予想される他のユーザーに関連した情報を伝達する方案、及びこれをサポートするためのアクセス規則、サービスセッティング、タイマー、及びクライアントとサーバとの間で設定された応答を変更する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュツートークオーバーセルラー(Push to Talk Over Cellular:以下、“PoC”と称する。)システムにおけるアドホックPoCグループセッションを確立する際に、グループ招待者情報を受信側PoCクライアントに伝達するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信技術の画期的な発展及び通信網の拡大に伴って、携帯電話を用いたより拡張された様々なサービス及びアプリケーションが提供されている。また、ユーザーの要求も多様化されており、基本的な通話サービスを越えて、位置サービス、マルチメディアサービス、PTT(Push To Talk)サービスなどに拡大されている。特に、PTTサービスは、従来の無線電信又は基盤無線システム(Trunked Radio System:TRS)により提供されたグループ通話及び音声通話だけではなく、インスタントメッセンジャー及び状態表示のような様々な付加機能をサポートする。
【0003】
現在では、このようなPTT概念を、移動通信網を用いてサービスするPoCサービスを標準化することが活発に論議されている。従来の移動通信サービスと区別されるPoCサービスの特徴の1つは、ユーザーが、必要に応じて複数のセッション間を移動しながら通話することができることにある。ユーザーが複数のセッションを移動しながら通話可能でなければならないという要求事項は、関連移動通信サービスを定義している団体であるオープンモバイルアライアンス(Open Mobile Alliance:OMA)のPoC規格1.0の要求事項に明示されている。
【0004】
PoC1.0規格に従うと、PoCセッションは、実時間でPoCセッションに参加したPoCクライアントにだけメディアデータを送信する方式で確立される。このような特性に従うと、バッテリー放電又は不在などによってPoCセッションに参加できないユーザーは、1対1PoCセッション又はグループPoCセッションで送信される音声のようなメディアストリームを受信することができない。すなわち、PoC1.0技術は、従来の通信システムでサポートされたボイスメールボックス機能をサポートしない。
【0005】
一方、PoC1.0規格は、任意のユーザーリストを対象グループとして指定するアドホックグループセッションモードをサポートする。この際、各受信側PoCクライアントは、アドホックグループセッションに招待されるユーザーに関する情報を受信することができないので、この招待されるユーザーに関する情報を取得する前に、このアドホックグループセッションに参加しなければならないという問題点がある。したがって、受信側ユーザーをセッションに招待する際に、受信側ユーザーがセッションに参加するか否かを決定するために必要とされる上述したようなアドホックグループセッションに招待された全てのユーザーに関する情報を受信側ユーザーに伝達するための方案がPoC2.0で要求事項として明示されている。
【0006】
一方、PoC1.0規格は、事前設定セッション及び自動応答モードなどをサポートすることにより、セッション確立の手続きを簡素化させる。上述したように、事前設定セッション及び自動応答モードをすべてサポートするPoCクライアント及びPoCサーバがこのアドホックグループセッションに対するセッション招待メッセージを受信した場合には、PoCクライアント及びPoCサーバは、セッション参加成功メッセージを送信側PoCネットワークに送信することにより、各対応するユーザーの確認なしに即座に応答する。これは、PoCサーバがSIP成功メッセージを応答として直接送信する場合に、SIPメッセージが受信側PoCサーバとPoCクライアントとの間のSIPメッセージ交換手続きを簡素化し、したがって、セッション設定時間を短縮させる長所があるためである。しかしながら、従来の技術で提供された事前設定セッション及び自動応答モードは、このアドホックグループセッションの確立の際に、グループ招待者情報を伝達するメッセージを提供することができず、受信側PoCユーザーが招待者情報の確認を要請することができないという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、自動応答モード及び受信側PoCクライアントとの事前設定セッションを確立したPoCサーバがアドホックグループセッションに関する招待者情報を含むセッション招待メッセージを受信した場合には、事前設定セッションを用いてアドホックグループセッションに関する招待者情報を伝達するための方法及びシステムを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、受信側PoCサーバが対応する招待者情報を送信する際に、受信側PoCクライアントの応答モードに関係なく、ユーザーがセッションに参加するか否かを識別するための方法及びシステムを提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の目的は、PoCクライアントがアドホックグループセッションに参加するか又は拒絶する場合に、送信側へのSIP及び実時間転送プロトコル(RTP)メディア送信を効率的に処理するためのシグナリングのための方法及びシステムを提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる目的は、アドホックグループセッションに関する招待者情報を伝達する方法においてPoCクライアント及びPoCサーバのアルゴリズム及び機能を実現するための方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するために、本発明の実施形態の一態様によれば、受信側プッシュツートーク(PTT)オーバーセルラー(PoC)クライアントと受信側PoCサーバとの間で事前設定セッション及び自動応答モードが設定され、PoCアドホックグループセッションの確立の際に、アドホックグループセッション招待者情報を上記受信側PoCクライアントに提供し、上記提供された招待者情報に従うセッション設定を行うPoCシステムにおけるPoCアドホックグループセッション情報を処理するシステムであって、上記アドホックグループ招待者情報を含むセッション招待メッセージが送信側ネットワークから受信された場合には、上記招待者情報及び自動応答無視(AAO)要請パラメータを含む接続メッセージを生成し、上記生成された接続メッセージを上記受信側PoCクライアントに伝達した後に、上記PoCクライアントから受信された応答に従ってPoCセッション手続きを実行する上記PoCサーバと、上記接続メッセージを受信した場合には、上記接続メッセージに含まれている招待者情報をPoCユーザーに伝達するように、現在設定されている応答モードに関係なく手動応答モードに進入し、上記PoCユーザーから入力される上記セッション参加の受諾又は拒絶に関する情報を含む応答メッセージを上記PoCサーバに伝達する上記PoCクライアントと、を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の実施形態の他の態様によれば、受信側プッシュツートーク(PTT)オーバーセルラー(PoC)クライアントと受信側PoCサーバとの間で事前設定セッション及び自動応答モードが設定されたPoCシステムにおいて、PoCアドホックグループセッションの確立の際に、アドホックグループセッション招待者情報を上記受信側PoCクライアントに提供し、上記提供された招待者情報に従うセッション設定を行うPoCアドホックグループセッション情報を処理する方法であって、上記PoCサーバが上記アドホックグループ招待者情報を含むセッション招待メッセージを送信側ネットワークから受信した場合には、上記招待者情報及び自動応答無視(AAO)要請パラメータを含む接続メッセージを生成し、上記生成された接続メッセージを上記受信側PoCクライアントに伝達するステップと、上記PoCクライアントが上記接続メッセージを受信した場合には、上記接続メッセージに含まれている招待者情報をPoCユーザーに伝達するように、現在設定されている応答モードに関係なく手動応答モードに進入するステップと、上記PoCクライアントが上記PoCユーザーから入力される上記セッション参加の受諾又は拒絶に関する情報を含む応答メッセージを上記PoCサーバに伝達するステップと、上記PoCサーバが上記PoCクライアントから受信された応答に従ってPoCセッション手続きを実行するステップと、を具備することを特徴とする。
【0013】
本発明の実施形態のさらに他の態様によれば、上記接続メッセージ内のAAO要請パラメータを選択的に含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態のさらなる他の態様によれば、PoC UEがユーザー確認メッセージを送信する時点に従って上記事前設定セッション及び自動応答の際のアドホックPoCグループセッション確立手続きを改善させる手続きを含む。
【0015】
本発明の実施形態のさらに他の1つの態様によれば、受信側プッシュツートーク(PTT)オーバーセルラー(PoC)クライアントと受信側PoCサーバとの間で事前設定セッション及び自動応答モードが設定されたPoCシステムにおいて、PoCアドホックグループセッションの確立の際に、アドホックグループセッション招待者情報を上記受信側PoCクライアントに提供し、上記提供された招待者情報に従うセッション設定を行うために、上記PoCサーバが上記アドホックグループ招待者情報を含むセッション招待メッセージを送信側ネットワークから受信した場合には、受信側PoCクライアントと受信側PoCサーバとの間で事前設定されたサービスセッティングに従ってセッション招待メッセージに含まれているアドホックグループ招待者情報を処理する方法を提供する。すなわち、上記アドホックグループ招待者情報処理方法は、上記受信側PoCクライアントが上記アドホックグループ招待者情報の受信をサポートする事前設定サービスの受信に設定されている場合には、上記招待者情報を含む接続メッセージを生成し、上記受信側PoCクライアントに伝達するステップと、上記受信側PoCクライアントが上記接続メッセージを受信した場合には、上記接続メッセージに含まれている招待者情報をPoCユーザーに伝達するステップと、上記受信側PoCクライアントが上記PoCユーザーから入力されるセッション参加の受諾又は拒絶に関する情報を含む応答メッセージを上記PoCサーバに伝達するステップと、上記PoCサーバが上記受信側PoCクライアントから受信された応答に従ってPoCセッション手続きを実行するステップと、を具備することを特徴とする。
【0016】
本発明の実施形態のさらにまた他の態様によれば、受信側PoCクライアントとPoCサーバとの間で事前設定セッション及び自動応答モードが設定されている場合には、事前設定セッションを用いてアドホックグループセッションに関する招待者情報を伝達する方法を提供する。また、本発明は、上記事前設定セッションを介したユーザープレーンシグナリングを活用し、受信側PoCユーザーの意思を反映するセッション確立を進行するために、PoCクライアントが設定した応答モードを管理するアドホックグループセッション確立手続きを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、事前設定セッション及び自動応答モードを使用するように設定されたPoC UEとPoCサーバとの間で、事前設定セッションを介して伝達されるRTCPメッセージを用いてアドホックグループセッションに関する招待者情報を伝達するための方法と、受信側PoCユーザーの選択に基づいてセッション参加の受諾又は拒絶に対する手続きを実行する方法を提供する。また、本発明によれば、上述したシナリオでアドホックグループのセッション招待者情報又は匿名ユーザーの数を識別することができ、これにより、PoCユーザーがセッションに参加するか否かを決定することができる。さらに、本発明によれば、PoCシステムは、応答モードの不一致によるRTPメディアストリームの伝達を管理することができ、同時に、PoCセッションの迅速な確立を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のPoCサービスシステムの構成を示す図である。
【図2】従来のPoCサーバの機能を示す図である。
【図3】PoCサーバのCF部及びPF部を含むグループセッションの構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるPoCサーバでアドホックグループ招待者情報を送受信する場合におけるPoCユーザーによるセッション確立応答に従って処理される信号のフローを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるPoCサーバでアドホックグループ招待者情報を送受信する場合におけるPoCユーザーによるセッション拒絶応答に従って処理される信号のフローを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるPoCサーバでアドホックグループ招待者情報を送受信する場合におけるPoCユーザーによるセッション拒絶応答に従って処理される改善した信号のフローを示す図である。
【図7】図4に示したPoCサーバとユーザー端末機(UE)との間で送信されるRTCP接続メッセージのフォーマットを示す図である。
【図8】図4に示したPoCサーバとUEとの間で送信されるRTCP応答(ACK)メッセージのフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な一実施形態を、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。下記の説明において、本発明は、プッシュツートーク(Push to Talk:以下、“PTT”と称する。)システム、特に、セルラー移動通信網を介してPTTサービスを提供するプッシュツートークオーバーセルラー(PTT Over Cellular:以下、“PoC”と称する。)システムに適用される場合を例に挙げて説明する。一般的に、PoCシステムは、グループ通話に関するセッション参加情報を伝達するために、セッション開始プロトコル(Session Initiation Protocol:以下、“SIP”と称する。)及びSIP拡張プロトコルを使用し、グループ情報を取得するために、拡張可能なマークアップ言語(eXtensible markup language:XML)設定アクセスプロトコル(XML Configuration Access Protocol:以下、“XCAP”と称する。)を使用する。また、RTP/RTCPプロトコルは、確立されたセッション内で実時間メディア送信及び管理のために使用され、トークバーストコントロールプロトコル(Talk Burst Control Protocol:以下、“TBCP”と称する。)と呼ばれる実時間RTCP基盤専用プロトコルは、PTTサービスの特徴である発言権管理のために定義され使用される。特に、本発明は、PoCサーバとユーザー端末機(User Equipment:以下、“UE”と称する。)との間の事前設定セッションを用いて招待者情報を伝達するために、RTCP APPの形態を有するTBCPメッセージ又は新たに設定されたMBCPメッセージを使用する。
【0020】
本発明の下記の実施形態は、上述したプロトコルにより実現されることができ、本発明の基本的な構成は、PoC Rel.1システムに基づいており、PoC Box又は拡張された概念のXML文書管理(XML Document Management:以下、“XDM”と称する。)サーバで記述されることができる。
【0021】
まず、下記では、本発明が適用される一般的なPoCシステムについて説明する。
【0022】
図1は、従来のPoCサービスシステム及び関連ネットワークの構成を示す図である。PoCシステムは、PoC UE100と、XML文書管理サーバ(XML Document Management Server:XDMS)130及び140と、PoCサーバ150とを含む。また、PoCシステムは、アグリゲーションプロキシサーバ160をさらに含んでもよい。上述した構成要素は、アクセスネットワーク110と、SIP/インターネットプロトコル(Internet Protocol:IP)コアネットワーク120又は遠隔PoCネットワーク170とを介して相互に接続される。
【0023】
PoC UE100は、PoCクライアント102とXDMクライアント104とを含む。
【0024】
PoC UE100に含まれているサービス要請者を示すPoCクライアント102は、PoC UE100に滞在し、PoCサービスをPoC UE100を介してPoCサービス加入者に提供するためのネットワーク接続を遂行する。PoCサービス加入者は、PoCクライアントが内蔵されているPoC UEを介してPoCサービスの提供を受けることができる。下記の説明において、“PoCクライアント”という用語は、PoCクライアントが内蔵されているUE及びPoCサービス加入者を総称する。また、PoCクライアントの参照符号は、特に区別されるべき場合のない限り省略する。
【0025】
PoCクライアントは、PoCサービス加入者(すなわち、PoCユーザー)がPoCセッションの確立、すでに確立されているセッションの参加、又は確立されているセッションの終了を可能にするために主に使用される。また、PoCクライアントは、トークバーストを生成し送信する機能、インスタントパーソナルアラート(Instant Personal alert)をサポートする機能、及びPoCサービスへのアクセスを認証する機能を有する。PoCクライアントは、アクセスネットワーク110を介してSIP/IPマルチメディアをサポートするSIP/IPコアネットワーク120に接続されることもある。
【0026】
PoCクライアントは、アクセスネットワーク110を介してSIP/IPマルチメディアサービスをサポートするのに重要な役割を果たすSIP/IPコアネットワーク120に接続される。SIP/IPコアネットワーク120は、PoCサーバ150とXDMS130及び140とに接続されることにより、PoCサービスをサポートする。この際、PoCサーバ150は、PoCセッションの維持及び管理を行うための制御PoC機能(Controlling PoC Function)を行うことができ、1対1通話や多者間通話のために確立されるPoCセッションに参加するための参加PoC機能(Participating PoC Function)を行うことができる。
【0027】
一方、PoCサービスは、コンファレンス通話のようなグループセッションを確立するサービスを伴うことができる。このために、OMA標準は、グループリストサービスのためのXDMクライアント104とXDMS130及び140とを定義する。図1は、PoCサービスのために使用されるPoC XDMS140及び他のサービスイネーブラ(service enabler)にも共通に使用されることができる共用XDMS(Shared XDMS)130を示す。グループ及びグループメンバーに関する情報は、PoCクライアントを介してXDMS130及び140に格納されることができる。PoCクライアント102は、XDMS130及び140から受信された個人又はグループのリストから、自身が呼び出すことができる他のPoCクライアントに関する情報を取得する。一方、XDMS130及び140に格納されているグループ及びグループメンバー情報の生成、修正、及び管理は、インターネット又はイントラネットのようなPoCサービスプロバイダーが信頼できる通信網を介してなされることもできる。XML文書を管理するためのプロトコル(例えば、グループリストの生成、修正、及び削除)は、本発明とは直接関連しないので、明瞭性のために省略する。
【0028】
グループサービスのために、XDMクライアント104からグループリストに関連した要請を受信すると、アグリゲーションプロキシサーバ160は、適切な規則に従って、上記要請を各XDMS130及び140にルーティングする。
【0029】
次いで、PoCサーバ150について説明する。
【0030】
図2は、従来のPoCサーバの構成を示す図である。PoCサーバの機能は、PoCセッションの全般的な維持及び管理を担当する制御PoC機能(Controlling PoC Function:以下、“CF”と称する。)と各PoCセッションのための維持及び管理を担当する参加PoC機能(Participating PoC Function:以下、“PF”と称する。)とに区分されることができる。下記の<表1>及び<表2>を参照して、PoCサーバの各機能に従う特性について説明する。
【0031】
【表1】

【0032】
上述した<表1>に示すように、CFは、PoCサーバの機能の中で、PoCセッションの総体的な管理を意味する。特に、CFは、PoCクライアントの発言権(floor)要請を受け入れ、その順序を定めて発言権をこのクライアントに付与する。また、CFは、特定のPoCクライアントからのトークバースト(talk burst)をグループPoC呼出しに参加した他のPoCクライアントに分配し、グループPoC呼出しに参加したPoCクライアントに関する情報を提供する。
【0033】
下記の<表2>に示すように、PFは、PoCセッションの間に、CFと各PoCクライアントとの間に接続されたセッションの管理に関する。特に、PFは、CFでPoCクライアントへの発言権の付与だけではなく、PoCクライアントの発言権の要請を中継する。また、PFは、CFとPoCクライアントとの間のメディア中継機能、及び両者が異なるコーデック(codecs)を使用する場合にこれらをトランスコーディングする機能を担当する。さらに、他のトークバーストが同時多重セッションで発生している間に、トークバーストが1つのセッションで発生される場合には、PFは、ユーザーの選択に従ってこれらの中の1つをフィルタリングするフィルタリング機能を担当する。
【0034】
【表2】

【0035】
図3は、グループセッションでPoC UEとPoCサーバとの接続を示し、特に、PoCサーバの機能に従ってCF部とPF部とを区分して説明する。
【0036】
図3を参照すると、各PoCクライアント100-A乃至100-Dは、PF310-A乃至310-Dを介してCF300に接続される。この後、CF300から発言権を与えられたPoCクライアントの対応するトークバーストに対応するメディアが他のPoCクライアントに送信される。この際、この発言権を有するPoCクライアントは、グループセッションに参加しているPoCクライアントに関する情報を確認するまで、適切なトークバーストをすることができない。
【0037】
一方、PoCシステムにおいて、通話接続のための呼処理技術は、送信側及び受信側の要請及び状況に基づいて様々な手続きが可能である。OMAに基づいて、このような送信側及び受信側の設定に従って必要とされるPoCシステムの特徴は、次の通りである。
【0038】
第1に、受信側は、PoCクライアントの要請に応じて、自身の応答モードを設定することができ、自動応答モード及び手動応答モードに分類することができる。自動応答モードにおいては、送信側が受信側で予め定めたPoCクライアントリストに含まれている場合には、受信側の手動応答の代わりに、対応するネットワークから送信側に応答を即座に送る。UEを動作させず、ネットワークにより送られるこのような自動応答は、PoCサーバが、UEの応答モード設定要請に従って、応答モード及び対応するユーザーリストに関する情報を格納することができるという事実に基づいている。他方、手動応答モードは、送信側が自動応答ユーザーリストに含まれていない場合、送信側が自動応答ユーザーリストに含まれているか否かが不明確な場合、又は受信側が全てのユーザーに手動応答モードを設定する場合に対応する。手動応答モードにおいて、PoC通話要請は、受信ネットワークを介してUEに送信され、呼は、PoCクライアントの許可の後に接続される。
【0039】
第2に、PoCシステムは、PoCユーザーのホームネットワーク内のPoCサーバとの接続設定に基づいて、オンデマンド(on-demand)セッションモードと事前設定(pre-established)セッションモードとを有することができる。事前設定セッションモードにおいて、PoCクライアントが、自身の要請に応じて、PoCクライアントとユーザーのホームネットワークに属しているPoCサーバとの間で事前にセッションを設定しておく。このような事前設定セッションは、将来使われるPoCサーバとクライアントとの間のメディアパラメータを反復して交渉する必要がなく、迅速なセッション確立を行うことができるように、PoCクライアントが使用するメディアパラメータをPoCサーバと事前に交渉する必要がある。
【0040】
事前設定セッションを確立するために、PoCクライアントは、SIP INVITE方法を使用することにより、セッション記述プロトコル多目的インターネットメール拡張(Session Description Protocol Multipurpose Internet Mail Extension:SDP MIME)のボディーを介してサーバが提供し、PoCクライアントがサポートしたメディアパラメータ、及びこのサーバが提供したメディアパラメータに対する応答を提供する。このサーバから応答メッセージを受信すると、この応答メッセージは、新たに事前設定されるセッションの識別情報、例えば、コンファレンス識別子(conference URI)とともにPoCクライアントに返信される。
【0041】
上述した事前設定セッションを使用する場合には、IPアドレス、ポート番号、使用されるコーデック、及びトークバースト制御プロトコルなどの事前交渉が可能である。オンデマンドセッションモードは、任意のPoCクライアントが事前設定セッションを確立しない場合に対応する。したがって、PoCクライアントは、招待メッセージを他のPoCクライアントから受信した後に、PoC呼を接続するための手続きを実行する。
【0042】
PoCシステムにおいて、通話要請に関する応答モードの設定は、ネットワーク上のエレメントであるPoCサーバ及びUEであるPoCクライアントですべて格納されることができる。
【0043】
応答モードがPoCクライアントを管理するホームネットワークに設定される場合には、PoCクライアントが属しているホームネットワーク内でPFを有するPoCサーバで実現される。
【0044】
応答モードがネットワークに設定された場合には、PFは、セッションプログレスメッセージを、通話を要請したネットワークに送信することにより、PoC通話のための他のPoCサーバの要請に自動で応答する。したがって、自動応答モードが設定された場合には、セッション設定メッセージがPoCクライアントに伝達された後に応答が送信される場合に比べて、呼要請手続きが簡素化され、これにより、発言権を付与するのに必要とされる初期時間を短縮させる。
【0045】
しかしながら、ネットワークで自動応答を遂行する場合には、状況に応じて、ユーザーの応答とは異なる結果をもたらすことがあり得る。したがって、PoCクライアントにも応答モードが設定されることができる。この際、PoCクライアントの応答モードがネットワーク上に設定された応答モードに優先するという特徴がある。これは、PoCクライアントが自身の応答モードを変更し、応答モードを更新することをPoCサーバに要請したが、信号遅延又はネットワーク上のエラーにより実時間で応答モードが更新されない際に発生するプライバシー問題を解決するためである。
【0046】
要約すると、PoCサービスに対するユーザーの応答モードがPoCサーバ及びPoCクライアントにすべて設定されることができるが、応答モードは、ユーザーの最も最近の意思を反映したPoCクライアントにより決定され、このような決定に基づいて、実際のユーザーの音声又は映像などのようなメディアのストリームが伝達される。
【0047】
上述したような特徴を有するPoCシステムでのPoCマルチメディアセッションを確立する手続きについて説明する。
【0048】
送信側PoCクライアントは、SIPプロトコルを使用してマルチメディア招待メッセージを送信することにより、呼処理を要請する。この際、このマルチメディアは、メディアタイプの指定に従って、様々なフォーマットを有するオーディオ、ビデオ、及びテキストなどを含んでもよい。このような呼処理要請に応じて、受信側クライアントは、対応するPoCサーバでの応答モードの設定及び事前設定セッションが確立されたか否かに基づいて、様々な応答手続きを実行する。PoC通話のための呼処理手続きについては、送信側及び受信側の1つのネットワークを用いて説明する。
【0049】
送信側PoCクライアントは、自身が通信を希望する受信側PoCクライアントのSIPアドレス情報を含むSIP INVITE要請を対応するSIP/IPコアネットワークに送信する。この際、SIP INVITEメッセージは、送信側PoCクライアントのPoCアドレス情報、要求されるメディアパラメータ、及びPoCサービスを識別する特性値情報などのようなエレメントをさらに含むことができる。ここで、“要求されるメディアパラメータ”は、要求されるセッションがマルチメディアセッションに関連する場合には、オーディオ及びビデオに関するエンコーディング方法、レート、及びペイロードタイプなどを示す複数の特性値を含むことができる。
【0050】
SIP INVITEメッセージは、ダイナミックホストコンフィギュレーションプロトコル(Dynamic Host Configuration Protocol:DHCP)サーバ又はドメインネームサーバ(Domain Name Server:DNS)における経路クエリー(query)に基づいて、インターネットプロトコルマルチメディアサブシステム(IP Multimedia Subsystem:IMS)ネットワーク内の対応するIMSサーバ、すなわち、プロキシ呼セッション制御機能(Proxy Call Session Control Function:P-CSCF)及びサービング呼サーバ制御機能(Serving-Call Server Control Function:S-CSCF)を介して参加PoCサーバに伝達される。一般的な通話が要請される際には、PoCクライアントが接続された参加PoCサーバは、確立されたセッションのトークバーストを管理する制御PoCサーバと個別に実現されることができ、これにより、PFサーバに送信されたSIP INVITE要請は、対応するネットワークのSIP/IPコアネットワークを介してCFサーバに伝達される。
【0051】
一方、CFを含むPoCセッション制御ネットワークは、SIP INVITE要請メッセージを受信側ネットワークに伝達した後に、受信側ネットワークから応答メッセージを受信する。受信側ネットワークから応答するSIPメッセージは、受信側PoCクライアント及びPFの設定に基づいて、1xxの臨時応答メッセージ、2xxの成功応答メッセージ、又は4XX〜6XXのエラー応答メッセージの中の1つであり得る。自動応答モードの場合には、SIP 183“セッションプログレス”信号が応答メッセージとして受信されることができ、このメッセージを介して通話要請者のIMSネットワークでPoCサーバとクライアントとの間の接続を行うことができる。受信側PoCクライアントの通話許可信号として、SIP 183セッションプログレス又はSIP 200 OK応答は、CF及びPFのPoCサーバを介してPoCクライアントに送信される。受信側PoCサーバから183セッションプログレス信号又は200 OK応答を受信すると、CFは、PoC呼が接続されたことを確認し、発言権許可信号(floor granted signal)を送信側PoCクライアントに送信することにより、トークバーストの発言権を付与する。上記応答、すなわち、SIP 200 OK又は183セッションプログレス信号に従ってトークバーストの発言権を付与することは、“confirmed”又は“unconfirmed”を使用して識別されることができる。CFが“unconfirmed”応答を受信する場合には、バッファリング機能を必要とする。
【0052】
一方、SIP INVITE要請信号に対する応答信号を受信した後に、送信側PoCクライアントは、トークバースト送信許可信号、例えば、リングバックトーンを伝達するための発言権許可信号を、RTCPを介して受信する。発言権許可信号は、トークバースト仲裁権限を有するCFにより生成され、対応するPoCクライアントを管理するPFを介してPoCクライアントに送信される。この際、発言権許可信号は、SIPプロトコルを使用せず、ベアラー経路を使用するため、IMSのようなSIP/IPコアネットワークを迂回して送信されることができる。リングバックトーンを確認したPoCクライアントは、メディア、例えば音声のストリームを、RTPを用いて伝達する。
【0053】
本発明の実施形態は、上述したPoCシステムの構成を参照して説明する。PoCクライアントAは、クライアントB、C、及びDを含むアドホックグループセッションの確立を希望する。一方、PoCクライアントBがPoCサーバBと事前設定セッションを確立しており、PoCサーバB(すなわち、PF B)において、上述した自動応答モードを応答モードとして確立していると仮定する。このような仮定の下で、本発明は、PoCクライアントBとPoCサーバBとの間で確立された応答モード及び事前設定セッションを使用し、PoCサーバがアドホックグループ内の招待されたクライアントであるPoCクライアントC及びDのPoC識別子情報をPoCクライアントBに提供することを可能にする。また、本発明は、PoCクライアントBのユーザーが対応するアドホックグループセッション内の招待者情報を識別した後に、次のセッション確立手続きを進行するようにする方法を提供する。
【0054】
PoCサーバがアドホックグループ招待者情報を対応するPoCクライアントに提供し、このアドホックグループ招待者情報を受信したPoCクライアントがセッションの確立を受諾するか又は拒絶する応答に従って、PoCサーバとPoCクライアントとの間で送受信される信号のフローについては、図4及び図5を参照して具体的に説明する。
【0055】
また、本発明は、従来の事前設定セッション及び自動応答モードで発生し得るPoCサーバとUEとの間での応答モード不一致環境でメディアの無条件的な送信を防止するための技術であるレースコンディション(race condition)を招待者情報確認メッセージとして使用する手続きを提供する。図4は、本発明の実施形態に従って、送信側PoCネットワークでアドホックグループ招待者情報を含んでセッションを要請し、受信側PoCサーバ及びPoCクライアントの機能及び信号のフローを示す。ここで、PoCクライアントAがPoCユーザーA、B、C、及びDを含むアドホックグループセッションの確立を希望し、PoCサーバBとPoCクライアントBとの間で事前設定セッションが確立されており、PoCサーバBの応答モードが自動応答モードに確立されていると仮定する。
【0056】
PoCクライアントAは、ステップ400で、このアドホックグループセッションに招待されるPoCユーザーA、B、C、及びDに関する情報を含むSIP INVITEメッセージをPoCクライアントAのホームネットワークでのPoCサーバAに送信する。この際に、PoCサーバAは、アドホックグループの特性に従って、制御PoCサーバXとしても機能するので、物理的な構成の観点で1つのサーバとして実現されることができる。本発明は、個別の制御PoCサーバXを含む場合について説明する。下記では、ステップ402で、PoCサーバAからINVITEメッセージを受信した制御PoCサーバXがINVITEメッセージをこのアドホックグループセッションの招待者の中でPoCクライアントBに送信する場合について説明する。
【0057】
ステップ404で、受信側PoCサーバBが対応するグループの招待者情報を含むINVITEメッセージを受信する場合には、受信側PoCサーバBは、受信側PoCクライアントBと確立された応答モード及び事前設定セッション、そして、招待されたPoCユーザーの識別子情報を確認する。
【0058】
事前設定セッションが提案されたメディアパラメータを用いて活用されることができ、応答モードが自動応答モードに設定された場合には、PoCサーバBは、ステップ406乃至ステップ410を介して200 OKメッセージをPoCクライアントAに送信する。次いで、受信側PoCサーバBは、ステップ412で、対応する招待者に関する情報を含むRTCP接続メッセージを生成した後に、ステップ416で、この事前設定セッションのダイアローグ内に送信する。この際、ステップ412で、受信側PoCサーバBは、受信側ユーザーの確認をRTCP接続メッセージに要請するように、PoCクライアントBの設定された応答モードを無視し、強制的に受動応答を指示する自動応答無視(Auto-Answer Override:以下、“AAO”と称する。)要請パラメータを挿入してもよい。
【0059】
また、PoCサーバBは、RTCP接続メッセージを送信した後に、ステップ414で、RTCP接続メッセージの満了のためのタイマーAを動作させ、成功的な応答メッセージがPoCクライアントBから受信されるまで発言権許可(floor grant)及び/またはメディアストリーム送信を保留してもよい。RTCP応答メッセージが受信されない場合には、PoCサーバBは、タイマーAが満了しない範囲内で接続メッセージを再要請するためのタイマーであるタイマーBを動作させることにより、RTCP接続メッセージを再送信することができる。この際、PoCサーバBがタイマーA及びタイマーBが駆動されている間にRTCP応答メッセージを受信するか、又は事前設定セッションが解除される場合には、PoCサーバBは、タイマーの駆動を終了させる。また、PoCサーバBは、タイマーBが満了するまでセッション内のメディア送信を保留する。
【0060】
一方、ステップ416で、PoCサーバBから送信されたRTCP接続メッセージを受信しているPoCクライアントBは、ステップ418で、PoCユーザーがRTCP接続メッセージに含まれているアドホックグループ招待者情報を確認することができるようにした後に、ステップ418で、ユーザーが入力した応答の受諾又は拒絶を確認し、ユーザーの応答に従うRTCP接続メッセージに応じるRTCP応答メッセージを返信する。
【0061】
一方、図4の手続きは、ステップ418で、PoCユーザーがセッション確立の受諾を選択する場合を示す。したがって、PoCクライアントBは、ステップ420で、セッション成功メッセージをPoCサーバBに送信し、これにより、ピアツーピア(peer-to-peer)PoCセッションが確立される。ステップ422で、発言権を与えられたPoCクライアントAは、ステップ425及びステップ426で、実際のRTPメディアをPoCクライアントBに送信する。受信側PoCクライアントBは、PoCクライアントAから送信されたメディアストリームを受信し、受信されたメディアストリームを実時間で自動再生するか、又はディスプレーする。
【0062】
図5は、図4のステップ416で受信されたRTCP接続メッセージを通じてアドホックグループ招待者情報を確認したPoCユーザーが対応するセッションへの参加を拒絶する場合のセッション進行手続きを示す。この際、図5のステップ500、ステップ502、ステップ504、ステップ506、ステップ508、ステップ510、ステップ512、ステップ514、ステップ516、及びステップ518は、図4のステップ400、ステップ402、ステップ404、ステップ406、ステップ408、ステップ410、ステップ412、ステップ414、ステップ416、及びステップ418とそれぞれ同一の手続きを有する。一方、ステップ516の後に、PoCユーザーがアドホックグループ招待者情報を確認した後に、セッション接続を拒絶する場合には、PoCクライアントBは、セッション拒絶パラメータを含むRTCP応答メッセージをPoCサーバBに送信する。この招待者情報を確認した後に、PoCユーザーは、セッション参加を拒絶したことを通知することができる。このように、セッション参加を拒絶したことを通知するための参加拒絶理由コードを挿入する具体的な方法については、図8を参照して説明する。
【0063】
一方、ステップ520で、PoCクライアントBから送信されたメッセージに含まれているセッション拒絶応答に従って、PoCサーバBは、ステップ526、ステップ530、及びステップ531を介してSIP BYEメッセージをPoCクライアントAに送信することにより、セッション接続が拒絶されたことをPoCクライアントAに通知する。すなわち、ステップ506乃至ステップ510を介して確立されたSIPセッションは、ステップ526乃至ステップ532を介して対応するアドホックグループから解除される。また、この際に送信されたRTPメディアストリームは、セッション解除によりPoCクライアントBに送信されない。この際に、サーバ側タイマーA及びタイマーBは、図4のタイマーA及びタイマーBと同一の機能を実行するように動作する。
【0064】
一方、図4及び図5を参照して説明したRTCP接続メッセージに含まれている招待者情報を表現するための具体的なフォーマット及びAAOパラメータについては、図7及び図8を参照して説明する。この際、AAOパラメータは、受信側PoCクライアントの応答手続きを改善させるためにRTCP接続メッセージに選択的に含まれている。
【0065】
本発明は、RTCP接続メッセージを使用するアドホックグループ招待者情報を伝達し、AAO機能を用いてレースコンディション(すなわち、UEとサーバとの間の応答モードの不一致)を考慮してセッション確立手続きを改善するための方法を提供し、これを図6に示す。
【0066】
PoCクライアントAは、ステップ600乃至ステップ604を介して招待者情報を含むINVITEメッセージをPoCサーバBに伝達する。その後、招待者情報を含むINVITEメッセージを受信したPoCサーバBは、ステップ606で、事前設定セッション及び応答モードが確立されたか否かを確認し、RTCP接続メッセージに含まれる招待者情報及びAAOパラメータを生成する。また、PoCサーバBは、ステップ608で、RTCP接続及び応答メッセージを処理するために、図4及び図5を参照して説明したタイマーA及びタイマーBと同一の機能を実行するサーバ側タイマーA及びタイマーBを駆動させる。タイマーAは、RTCP応答メッセージがセッション進行手続きで受信されなかった場合には、上述したメディアストリームを遮断する機能に加えて、4XXエラー応答を発生するように設計されている。また、タイマーBは、図4と同様に、RTCP応答が受信されなかった場合には、RTCP接続メッセージを再送信するために動作する。
【0067】
その後、PoCサーバBは、ステップ606で生成された招待者情報及びAAOパラメータを含むRTCP接続メッセージをステップ610でPoCクライアントに送信する。RTCP接続メッセージを受信したPoCクライアントBは、PoCユーザーがAAOパラメータに基づいて招待者情報を確認することができるようにした後に、ステップ612で、PoCユーザーが入力したセッション確立に対する応答を確認する。
【0068】
ステップ612で、PoCユーザーがこのアドホックグループセッションの確立を拒絶することを決定する場合には、ステップ614で、PoCクライアントBは、拒絶理由を含むRTCP応答メッセージをPoCサーバBに送信する。一方、タイマーAが満了する前にPoCサーバBがステップ614で送信されたメッセージを受信するか、又はPoCサーバBがステップ614で送信されたメッセージを受信する前にタイマーAが満了する場合には、PoCサーバBは、ステップ616を介してセッションエラー応答を送信側ネットワークに送信する。この後に、PoCクライアントAは、ステップ618におけるように、招待者情報を含む他のセッション確立動作を独立して遂行してもよい。
【0069】
図6は、PoCユーザーが招待者情報を確認した後に、PoCユーザーの決定に従って事前設定セッション及び自動応答モードでのセッションを確立する手続きを示す図である。
【0070】
一方、図4乃至図6において、セッションINVITEメッセージを受信したPoCサーバBは、アドホックグループ招待者情報を含む上述したメッセージの応答モードを決定する個別のアクセス規則又はサービスセッティングに従って自動応答手続き又は受動応答手続きを実行してもよい。XDMサーバに格納されているアクセス規則は、この招待者情報を含むセッションINVITEメッセージが受信される際に、自動応答モードが許可されるか否かに関する規則文書を含むことがある。この際、この招待者情報アクセス規則がこの自動応答モードを許可しない場合には、PoCサーバは、対応するクライアントに対して格納されている応答モードを無視し、受動応答モードを採用する。具体的に、この招待者情報アクセス規則は、“PoCユーザーアクセスポリシー”で<action>エレメントとして含まれる。<action>エレメントがアドホックグループ招待者情報を含むセッションINVITEメッセージに対して自動応答モードを許可しない場合には、PoCサーバは、内部に格納されている自動応答モードサービスセッティングを無視し、受動応答手続きを取り、SIPメッセージを用いて受信された招待者情報を伝達する。
【0071】
図7は、本発明の実施形態による図4乃至図6を参照して説明したRTCP接続メッセージのフォーマットを示す図である。一般的なRTCP APPメッセージのフォーマットに基づくRTCP接続メッセージは、この招待者情報の伝達を識別するために、ソースディスクリプション(SDES)アイテムコンテンツフィールド内の“SDESアイテムコンテンツ=‘XXXXFYYYYYYYYYY’”のような2進データを含む。“XXXX”フィールドは、従来技術に含まれているセッション開始者の識別子(ID)情報、セッション、又はPoCグループなどが存在することを示すのに使用されてもよい。“F”フィールドは、“F”フィールドが“1”の値を有する場合には、グループセッション又はアドホックグループセッションの招待者情報がRTCP接続メッセージのSDESアイテムフィールドに含まれていることを示す。また、上述したように、“F”フィールドが“1”の値を有するように設定される場合には、対応する招待者のユニフォームリソース識別子(URI)アドレス情報がSDESアイテムフィールドに含まれる。
【0072】
対応する招待者情報がSDESアイテムフィールドに含まれている際に、URIアドレス情報が特定のPoCユーザー又はPoCサービスオペレータの要請により匿名で表記されるように設定される場合には、URIアドレス情報は、受信側PoCクライアントに伝達されない。匿名に要請された招待者のURIアドレス情報の代わりに、匿名アイデンティティに関する情報及び匿名要請者の数は、受信側PoCユーザーに提供されてもよい。
【0073】
次いで、AAO要請パラメータは、追加指示子フィールドに含まれてもよい。すなわち、図7において、“Add.Indic.=‘xayyyyyy’が追加される場合には、“1”の値を有する“a”フィールドは、RTCP接続メッセージが“自動応答無視(AAO)”動作を示すメッセージとして動作するようにする。PoCクライアントがこのようなパラメータを含むRTCP接続メッセージを受信する場合には、PoCクライアントは、PoCユーザーが所定の応答モードに関係なく受動応答をするようにする。
【0074】
一方、本発明の範囲がメッセージ名に限定されず、RTCP接続メッセージは、RTCP APPのフォーマットに基づくように定義された任意のユーザープレーンメッセージに修正されるか又は変更されてもよい。例えば、RTCP接続メッセージは、PoC2.0で定義されたようなトークバースト(TB)接続メッセージに追加のフィールドとして挿入されてもよく、又はあらかじめTB接続又はMB接続メッセージで示されてもよく、“MBCP Inform”メッセージのような新たなメッセージ形態で伝達されてもよい。アドホックグループセッションの招待者情報が含まれていることを知らせるための“F”フィールド及び/又はユーザーが受動で応答することを要請するための“a”フィールドは、ユーザープレーンメッセージ内の他のタイプのオプションフィールドとして表現されてもよいのは、自明な事実である。
【0075】
図8は、本発明の実施形態による図4乃至6を参照して説明したRTCP応答(ACK)メッセージのフォーマットを示す図である。招待者情報及び受動応答要請メッセージがPoCサーバBからPoCクライアントBに伝達された後に、PoCユーザーがセッション招待を拒絶する場合には、PoCクライアントは、このような拒絶理由を含むRTCP応答メッセージを送信することにより、セッション招待に応じる“リンギング(ringing)”応答を送信側ネットワークに返信してもよく、又は拒絶理由を含むSIPエラー応答を返信してもよい。このために、招待者識別の不可能を示すフィールド値は、図8に示すようなRTCP ACK応答メッセージ内の理由コードで定義される。
【0076】
また、本発明は、図4の基本手続きにおいて、PoCサーバとPoCクライアントとの間のアドホックグループ招待者情報に関するサービスセッティングに基づいて、PoCサーバとPoCクライアントとの間の接続メッセージを処理する手続きを提供する。まず、PoCクライアントBは、アドホックグループ招待者情報の受信が可能であるか、又は、招待者情報の使用を希望するサービスセッティング(例えば、Invitee Parties Identity Information Mode active)をPoCサーバBに設定する。この際、招待者情報サービスセッティングは、SIP PUBLISH方式を使用して実現されてもよく、サービスセッティングに対する既存のXMLスキーマを拡張することにより実現されてもよい。一方、格納されているサービスセッティング値の中で招待者情報受信モードの値が“真(true)”である場合には、この招待者情報を含むアドホックグループセッション招待メッセージを受信したPoCサーバBは、RTCP接続メッセージのフォーマットに従ってこの招待者情報の修正及び変更を行い、このアドホックグループセッション招待メッセージを受信側PoCクライアントに送信する。他方、サービスセッティング値の中で、招待者情報受信モードの値が“偽(false)”である場合には、PoCサーバBは、関連する招待者情報を含まないRTCP接続メッセージを受信側PoCクライアントに送信する。
【0077】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当該技術分野における通常の知識を持つ者には明らかであり、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるべきである。
【符号の説明】
【0078】
100 PoC UE
102 PoCクライアント
104 XDMクライアント
110 アクセスネットワーク
120 コアネットワーク
130 XML文書管理サーバ
140 XML文書管理サーバ
150 PoCサーバ
160 アグリゲーションプロキシサーバ
170 遠隔PoCネットワーク
300 CF
310 PF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側PoC(Push-to-Talk(PTT)-over-Cellular)クライアント、送信側PoCサーバ、受信側PoCクライアント、及び受信側PoCサーバを含むPoCシステムにおいて、前記受信側PoCクライアントが前記送信側PoCクライアントによって要求されたグループセッションを開設する方法であって、
前記グループセッションに招待された少なくとも一つのユーザーリストを含む招待者情報を受信するためのサービスセッティングの登録を前記受信側PoCサーバに要求するステップと、
前記受信側PoCサーバから、前記サービスセッティングを考慮して生成されたRTCP(Real-Time Control Protocol)接続メッセージを受信するステップと、
前記RTCP接続メッセージで前記招待者情報を確認し、前記招待者情報をユーザーに提供するステップと、
前記ユーザーから前記グループセッションの開設が許可されるか否かの入力を受信するステップと、
前記グループセッションの開設が許可されたか否かの入力を含むRTCP応答を生成し、前記受信側PoCサーバに前記RTCP応答を伝送するステップと、
を具備することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記RTCP接続メッセージは、前記招待者情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RTCP接続メッセージは、前記受信側PoCクライアントの応答モード設定に関係なく強制的に手動応答を指示する自動応答無視(AAO)要求パラメータをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サービスセッティングは、前記招待者情報が受信されたか否かを指示する値を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記RTCP応答メッセージは、前記グループセッション開設の許可を指示する情報を含み、
前記送信側PoCクライアントからメディアストリームを受信して前記ユーザーに提供するステップをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記RTCP応答メッセージは、前記グループセッション開設の拒絶を指示する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記RTCP応答メッセージは、ユーザーによって前記グループセッション開設の拒絶を指示する理由コードをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
送信側PoC(Push-to-Talk(PTT)-over-Cellular)クライアント、送信側PoCサーバ、受信側PoCクライアント、及び受信側PoCサーバを含むPoCシステムにおいて、前記受信側PoCクライアントが前記送信側PoCクライアントによって要求されたグループセッションを開設する方法であって、
招待者情報を含むインバイトメッセージを受信するステップと、
予め登録された前記受信側PoCクライアントのサービスセッティングを確認するステップと、
前記確認したサービスセッティングによって前記招待者情報を選択的に含むことによりRTCP(Real-Time Control Protocol)接続メッセージを生成するステップと、
前記RTCP接続メッセージを前記受信側PoCクライアントに伝送するステップと、
前記RTCP接続メッセージに対するRTCP応答メッセージを受信するステップと、
を具備することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記サービスセッティングは、前記招待者情報が受信されたか否かを指示する値を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記招待者情報は、前記グループセッションに招待された少なくとも一つのユーザーリストを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記RTCP接続メッセージは、前記受信側PoCクライアントの応答モード設定に関係なく強制的に手動応答を指示する自動応答無視(AAO)要求パラメータをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記RTCP応答メッセージが前記グループセッション開設の許可を指示する情報を含む場合に、
前記送信側PoCクライアントとのセッションを開設するステップと、
前記開設されたセッションで、前記送信側PoCクライアントからメディアストリームを受信して前記受信側PoCクライアントに伝送するステップと、
をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記RTCP応答メッセージが前記グループセッション開設の拒絶を指示する情報を含む場合に、
前記送信側PoCクライアントとのセッションを解除するステップをさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記受信側PoCクライアントとの応答モードを確認するステップと、
前記応答モードが自動応答モードに設定される場合に、前記インバイトメッセージに対する応答メッセージを伝送するステップと、
をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記RTCP応答メッセージは、ユーザーによって前記グループセッション開設の拒絶を指示する理由コードをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
送信側PoC(Push-to-Talk(PTT)-over-Cellular)サーバに接続され、送信側ネットワークによって要求されるグループセッションの開設を制御する受信側PoCクライアントであって、
前記グループセッションに招待されたユーザーリストを含む招待者情報を受信するためのサービスセッティングの登録を前記受信側PoCサーバに要求し、
前記受信側PoCサーバから、前記サービスセッティングを考慮して生成されたRTCP(Real-Time Control Protocol)接続メッセージを受信し、
前記RTCP接続メッセージで前記招待者情報を確認し、前記招待者情報をユーザーに提供し、
前記ユーザーから前記グループセッションの開設が許可されるか否かの入力を受信し、前記グループセッションの開設が許可されたか否かの入力を含むRTCP応答を生成し、
前記受信側PoCサーバに前記RTCP応答を伝送する制御部を含むことを特徴とする受信側PoCクライアント。
【請求項17】
前記サービスセッティングは、前記招待者情報が受信されたか否かを指示する値を含むことを特徴とする請求項16に記載の受信側PoCクライアント。
【請求項18】
前記制御部は、
前記グループセッション開設の許可を指示する入力を受信する場合に、前記グループセッション開設の許可を指示する情報を前記RTCP応答メッセージに含め、前記送信側ネットワークから受信されるメディアストリームを提供し、
前記グループセッション開設の拒絶を指示する入力を受信する場合には、前記グループセッション開設の拒絶を指示する情報を前記RTCP応答メッセージに含めることを特徴とする請求項19に記載の受信側PoCクライアント。
【請求項19】
送信側ネットワークから要求される受信側PoC(Push-to-Talk(PTT)-over-Cellular)クライアントとのグループセッションを開設する受信側PoCサーバであって、
招待者情報を含むインバイトメッセージを受信し、
予め登録された前記受信側PoCクライアントのサービスセッティングを確認し、
前記確認したサービスセッティングによって前記招待者情報を選択的に含むことによりRTCP(Real-Time Control Protocol)接続メッセージを生成し、
前記RTCP接続メッセージを前記受信側PoCクライアントに伝送し、
前記RTCP接続メッセージに対するRTCP応答メッセージを受信する制御部を含むことを特徴とする受信側PoCサーバ。
【請求項20】
前記サービスセッティングは、前記招待者情報が受信されたか否かを指示する値を含むことを特徴とする請求項19に記載の受信側PoCサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−205660(P2011−205660A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104229(P2011−104229)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2009−514210(P2009−514210)の分割
【原出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】