説明

SiC単結晶の製造方法

【課題】高品質なSiC単結晶を高速に成長させる単結晶製造方法を提供する。
【解決手段】SiC単結晶の製造方法は、(a)SiC粉末2aとC粉末3、あるいは部分炭化させたSiC粉末を、原料粉末として準備する工程と、(b)工程(a)の後、原料粉末を用いた昇華法により、シリコンドロップレットを抑制しながらSiC単結晶を高速成長させる工程と、を備える。前記工程(a)においては、前記原料粉末のシリコンに対する炭素の割合を1.04〜1.14とし、また、前記工程(b)においては、結晶成長面近傍と原料粉末近傍の温度差を200℃以上とすることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はSiC単結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は熱的・化学的に優れた特性を有し、禁制帯幅が珪素(Si)半導体に比べて大きいため電気的にも優れた特性を有する半導体材料として知られている。特に4H−SiCは、電子移動度や飽和電子速度が大きいことから、パワーデバイス向け半導体材料として一部で既に実用化が始まっている。SiC基板の更なる実用化のためには、結晶欠陥密度を低くすることと、量産性を向上して価格を下げることが求められる。
【0003】
現在、半導体用途のSiC単結晶を製造する方法として改良レイリー法(昇華法)が広く用いられており、現在、直径100mmまでの基板が市販されているが、結晶欠陥密度が大きいことが課題である。昇華法とは、坩堝内にて高温下で昇華した原料を、原料より低温に保持された種結晶側に、温度差に起因する活性種の蒸気圧差によって拡散させ、種結晶上で再結晶化することによって単結晶を成長させる方法である。
【0004】
非特許文献1には、グラファイト製の坩堝中でSiCが昇華するとSi、Si2C、SiC2といった活性種が発生し、Siの分圧がCの分圧より高い状態で昇華することが記されている。また、非特許文献2によると、原料から昇華したガス中のSiの分圧が、結晶成長が行われる成長表面近傍のSiの飽和蒸気圧よりも高くなると、結晶中にシリコンドロップレットが形成される。これがマイクロパイプと言われるc軸に沿った中空状の欠陥を発生させる原因となり、結晶品質を大きく劣化させる。シリコンドロップレットの発生を抑制するため、特許文献1では種結晶周囲に多結晶SiCを配置することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4692394号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S.K. Lilov等, Materials Science and Engineering, B21, 1993, pp.65-69.
【非特許文献2】R.V. Drachev等, Journal of Crystal Growth, 233, 2001, pp.541-547.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
SiCウェハを低価格で製造するためには、結晶成長速度を大きくすることが求められる。昇華法を用いた結晶成長で成長速度を増加させるためには、原料と種結晶の温度差を大きくしなければならない。しかし、温度差を大きくしすぎると、原料近傍でのSiの蒸気圧が種結晶近傍でのSiの飽和蒸気圧より大きくなりやすく、特許文献1の方法を用いたとしても、種結晶表面あるいは成長結晶表面にシリコンドロップレットが発生して、結晶品質が大きく劣化するという問題がある。
【0008】
この発明は上記の様な問題を解決するためになされたものであり、高品質なSiC単結晶を高速に成長させる方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、(a)SiC粉末とC粉末、あるいは部分炭化させたSiC粉末を、原料粉末として準備する工程と、(b)工程(a)の後、原料粉末を用いた昇華法により、シリコンドロップレットを抑制しながらSiC単結晶を高速成長させる工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、(a)SiC粉末とC粉末、あるいは部分炭化させたSiC粉末を、原料粉末として準備する工程と、(b)工程(a)の後、原料粉末を用いた昇華法により、シリコンドロップレットを抑制しながらSiC単結晶を高速成長させる工程と、を備えるので、高品質なSiC単結晶を高速に成長させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係る単結晶製造装置の構造を示す断面図である。
【図2】実施の形態2に係る単結晶製造装置の構造を示す断面図である。
【図3】種結晶を取り付けた蓋を示す断面図である。
【図4】雰囲気圧力と昇華ガス中のC/Siとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A.実施の形態1)
<A−1.装置構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る単結晶製造装置の構成を示す断面図である。昇華法を用いてSiC単結晶を製造するこの単結晶製造装置は、蓋4を取り付けた坩堝1を断熱材6で覆った構成である。
【0013】
昇華法では高周波誘導加熱を用いて坩堝1を加熱するため、導電性と耐熱性を考慮して坩堝1の材質にはグラファイトを用いる。また、表皮効果で生じる温度の不均一を抑制することと、加工が容易であることから、坩堝1は円筒状にする。坩堝1の外径は180mm、内径は160mmであり、高さは203mmである。蓋4を坩堝1上に取り付けた状態での坩堝1の内部の高さは173mmである。
【0014】
さらに、坩堝1からの熱輻射を抑制して効率良く坩堝1を加熱するために、断熱材6で坩堝1を覆っている。断熱材6には2400℃の高温に耐えることと、グラファイト坩堝よりも抵抗率が高いことが求められるので、ポーラス状のグラファイト断熱材が用いられる。
【0015】
坩堝1にはSiC粉末2aとC粉末3が充填され、これらが結晶成長用の原料粉末となる。原料粉末中の炭素(C)と珪素(Si)の割合は、モル比でC:Si=1.1:1となるように調整されている。具体的には、SiC粉末2aが3000gに対してC粉末3が90gである。炭素は12g/mol、シリコンは28g/molであるため、SiC3000gは75molであり、カーボン90gは7.5molである。SiC粉末2aは平均粒径が90μmで、不純物濃度が概ね1ppm未満である。C粉末3は平均粒径が10μmで、SiCの主要な不純物であるアルミニウム、ホウ素、鉄、またはモリブデンといった金属不純物の不純物密度が0.01ppm未満である。
【0016】
蓋4の内側中央部には凸型の台座4aが形成され、台座4aには直径110mm、4H−SiCの種結晶5が取り付けられている。種結晶5は、原料粉末と対向する成長面をカーボン面とする。結晶成長によって得られるインゴットへの応力を低減するため、台座4aはSiCと熱膨張係数が出来るだけ近い材質であることが好ましい。
【0017】
SiC粉末2aの他にC粉末3を結晶成長の原料とするのは、原料粉末から昇華するガス(原料ガス)中のシリコンに対する炭素の割合、すなわちC/Siを高くするためである。SiCの昇華においてSiの分圧はCの分圧よりも高い。すなわち、Siの方がCよりも積極的に昇華するので、原料にSiC粉末を用いた場合には、結晶成長が進行するにつれて原料からCが過剰になる。すなわち、原料粉末の昇華ガスは成長開始直後に最もSiリッチな状態となる。
【0018】
一方、原料粉末から昇華したSi関連(Si,Si2C、SiC2)の活性種の蒸気圧が種結晶5表面でのSiの飽和蒸気圧よりも高くなると、結晶成長面にシリコンドロップレットが発生する。この状態は原料と種結晶の温度差が大きいときに生じる。
【0019】
しかしながら、結晶成長速度は原料粉末近傍の活性種の蒸気圧と成長表面の活性種の蒸気圧との差で決まるため、結晶成長速度を大きくするためには、原料粉末と種結晶5との温度差を大きくする必要がある。つまり、成長速度が大きい条件ではシリコンドロップレットが発生しやすくなる。
【0020】
そこで、本実施の形態ではSiC粉末2aにC粉末3を加えて原料粉末とすることにより、SiC粉末2aから昇華したSiCガスをC粉末3と反応させている。これにより、原料ガス中のC/Siを、原料粉末にC粉末3を加えない場合に比べて高くし、結晶成長の開始時にSiリッチな状況となることを避けている。これにより、原料粉末と種結晶5の温度差を大きくしてもシリコンドロップレットの発生を抑制しつつ、大きな成長速度で成長させることができる。
【0021】
なお、図1ではC粉末3を原料粉末の底部に充填している様子を示している。昇華法では原料粉末を効率よく昇華させるために、坩堝1の底部を最も高温とする温度分布が採用される。最も高温となる原料粉末の底部からSiCの昇華が生じるので、C粉末3を原料底部に充填することにより、C粉末3とSiC粉末2aからの昇華ガスを効率よく反応させることが出来る。
【0022】
<A−2.製造工程>
図1に示した単結晶製造装置を用いた結晶成長工程を以下に説明する。
【0023】
まず、坩堝1にC粉末3とSiC粉末2aを投入し、蓋4を取り付けた後、周囲を断熱材6で覆って炉の中に設置する。
【0024】
次に、炉内を10-4Pa台まで真空引き(排気)し、残留窒素および酸素を除去した後、炉内に不活性ガスであるアルゴンを充填して圧力を800hPaに保つ。その状態で、誘導加熱により坩堝1を底部温度がSiCの成長温度である2400℃になるまで加熱する。加熱手段の発振器の周波数は10kHzとする。
【0025】
続いて、坩堝1の温度を維持したまま、炉内の圧力をSiCの成長圧力である3.3hPaまで90分かけて減圧する。炉内の圧力が成長圧力に達すると、種結晶5からSiC単結晶の成長が開始する。この時、坩堝1の上部温度、すなわち結晶成長面近傍の温度は2100℃である。この状態を50時間維持し、結晶成長を行う。
【0026】
その後、炉内にアルゴンを充填して圧力を900hPaまで上昇させ、結晶成長を終了させる。28時間かけて坩堝1の温度を室温まで下げた後、坩堝1を炉内から取り出し、坩堝1からインゴットを取り出す。
【0027】
こうして作成したインゴットの直径は112mm、成長高さは52.4mmであり、1.048mm/hという非常に大きな成長速度であった。この大きな成長速度は、坩堝の温度を底部で2400℃、上部で2100℃とし、300℃以上の温度差を実現したことにより得られたものである。上記温度差が200℃以上で、0.7mm/h以上の成長速度を得ることが出来る。インゴットを直径100mmに外周研削したのち、ワイヤーソーによりウェーハ状にスライスし、シリコン面をダイヤ砥粒により研磨した後、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)を行った。そして、500℃に加熱した溶融KOHによりエッチングし、エッチピットを出現させ、マイクロパイプに起因するエッチピットの個数を数えた。マイクロパイプの個数は8個であり、マイクロパイプ密度は0.10/cm2と非常に低い結晶が得られた。また、X線ロッキングカーブ測定のマッピングをウェハ全面について行うと、半値幅の平均値は18秒以下であり、結晶配向性が優れていることが確認できた。
【0028】
本実施の形態では原料のC/Siを1.1となるようにしたが、C/Siを1.04〜1.14の範囲とすることが好ましい。C/Siが1.04より小さいと、結晶成長初期に原料から昇華したガス中のSiの蒸気圧が成長表面のSiの飽和蒸気圧よりも高くなりやすい。そのため、結晶成長面にシリコンドロップレットが形成され、マイクロパイプ等の欠陥が多く発生して結晶品質が悪化する。また、C/Siが1.14より大きいと、結晶成長が進行した時にC/Siが大きくなりすぎるので、カーボンインクルージョンが容易に形成される。そのため、マイクロパイプ等の欠陥が形成され、結晶品質が悪化する。
【0029】
<効果>
本実施の形態に係るSiC単結晶の製造方法では、原料粉末のシリコンに対する炭素の割合を1.04〜1.14とする工程であるので、原料粉末の昇華ガスがシリコンリッチにならないようにして、シリコンドロップレットを抑制することが出来る。
【0030】
また、本実施の形態に係るSiC単結晶の製造方法は、結晶成長面近傍と原料粉末近傍の温度差を200℃以上としたうえで、昇華法によりシリコンドロップを抑制しながらSiC単結晶を形成するので、高品質なSiC単結晶を高速に形成することが出来る。
【0031】
また、本実施の形態に係るSiC単結晶の製造方法では、原料粉末にSiC粉末2aとC粉末3を用いる場合、原料粉末中の底部にC粉末3を充填した状態で昇華法を実行する。昇華法では原料粉末を効率よく昇華させるために、坩堝1の底部を最も高温とする温度分布が採用される。最も高温となる原料粉末の底部からSiCの昇華が生じるので、C粉末3を原料底部に充填することにより、C粉末3とSiC粉末2aからの昇華ガスを効率よく反応させることが出来る。
【0032】
また、本実施の形態に係るSiC単結晶の製造方法では、SiC単結晶を0.7mm/h以上の速度で成長させるので、シリコンドロップレットを抑制しつつ、SiC単結晶の量産性を高めることが出来る。
【0033】
(実施の形態2)
実施の形態1では、SiC粉末2aにC粉末3を加えることによって、原料粉末の昇華ガス中のC/Siを大きくした。実施の形態2では、SiC粉末2aのみを原料粉末として用い、予備加熱を行うことによってSiC粉末2aの一部を昇華させることにより原料粉末の昇華ガス中のC/Siを大きくする。
【0034】
以下、図2,3を用いて実施の形態2に係るSiC単結晶の製造方法を説明する。図2において、図1と同様の構成要素には同一の参照符号を付している。
【0035】
まず、坩堝1にSiC粉末2aを投入し、種結晶を貼り付けていない予備加熱用蓋7を取り付けたら、坩堝1の周囲に断熱材6を設置する。予備加熱用蓋7は坩堝1に対して接着剤等で固定せず、取り外し可能に取り付ける。
【0036】
これらを誘導加熱炉内に設置し、炉内の圧力を10-4Pa台まで真空引きして残留窒素および酸素を除去する。その後、炉内に不活性ガスであるアルゴンを充填した後、再び炉内圧力を1.0Paまで真空引きする。そして、坩堝1の温度が1500℃になるまで1時間かけて加熱し、1500℃の状態で1時間保持する。その後、炉内にアルゴンを充填して800hPaに保持し、坩堝1の温度を室温まで下げて坩堝1を取り出す。
【0037】
次に、予備加熱用蓋7を坩堝1から取り外し、代わりに台座4aと種結晶5が予め据え付けられた図3に示す蓋4を坩堝1に取り付ける。そして、これらの周囲に再び断熱材6を設置して、炉内に設置する。
【0038】
その後は実施の形態1で説明したのと同じ工程で、種結晶5から結晶成長させる。
【0039】
50時間結晶成長を行うことにより、直径112mm、成長高さ51.5mmの結晶が得られ、成長速度は1.03mm/hと非常に大きな値であった。実施の形態1と同様の方法で測定したマイクロパイプ密度は0.11/cm2、X線ロッキングカーブの半値幅の平均値は18秒以下であり、非常に高品質な結晶を得ることができた。
【0040】
実施の形態2では、結晶成長の前に予備加熱処理を行うことにより、SiC粉末2aが僅かに昇華するので、昇華ガスのC/Siを1より大きくすることが可能となる。よって、成長初期にSiリッチな状況になることを防止することができ、成長速度が大きくなる条件で結晶成長を行っても、シリコンドロップレットを発生させることなく結晶成長を進行させることが可能となる。
【0041】
図3に、炉内の雰囲気圧力を変化させたときの活性種蒸気圧におけるC/Siのシミュレーション結果を示す。この結果は、雰囲気圧力を低くするとC/Siが小さくなる、すなわち、SiCからSiの脱離が促進することを示している。
【0042】
そこで、予備加熱の効果を促進させる観点から、予備加熱時の雰囲気圧力を低くすることが望ましく、20Pa未満であればよい。例えば油回転真空ポンプで真空排気を行いながら予備加熱を行えば良い。予備加熱中の炉内圧力はポンプの排気能力に依存する。
【0043】
また、予備加熱の温度は1300℃以上1800℃未満が良い。1300℃以下の温度では原料SiCが昇華せず、予備加熱の効果が得られない。また、1800℃以上の高温で予備加熱を行うと、原料が昇華しすぎてしまい、成長初期のC/Siが大きくなりすぎてしまう。この場合、結晶内にカーボンインクルージョンが形成されやすくなり、結晶品質劣化の原因となる。
【0044】
予備加熱時の温度や圧力は結晶品質に影響を及ぼすので、結晶成長条件と共にそれぞれの結晶成長炉に合わせて最適化することが求められる。
【0045】
さらに、予備加熱を行うことにより、原料及び坩堝に付着した不純物を除去することが可能となるので、高純度で低欠陥密度の単結晶を短時間で得ることが可能となる。
【0046】
<効果>
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、(a)SiC粉末2aとC粉末3、あるいは部分炭化させたSiC粉末2bを、原料粉末として準備する工程と、(b)工程(a)の後、原料粉末を用いた昇華法により、シリコンドロップレットを抑制しながらSiC単結晶を高速成長させる工程と、を備えるので、高品質のSiC単結晶を高速に形成することが可能である。
【0047】
また、実施の形態2に係るSiC単結晶の製造方法において、工程(a)で、部分炭化させたSiC粉末2bを原料粉末として準備する工程は、(a1)SiC粉末2bを充填した坩堝1に種結晶を配置せずに熱処理する工程を備え、工程(b)は、(b1)工程(a1)の後、坩堝1内のガスを排気してから坩堝1内に種結晶5を配置し、種結晶5から結晶成長させる工程を備える。工程(a1)でSiC粉末2bからSiを一定量脱離させ、原料のC/Siを高めた後に、昇華法で結晶成長を行うので、シリコンドロップレットを抑制することが出来る。
【0048】
また、工程(a1)において、原料粉末を1300℃以上1800℃未満で熱処理することにより、工程(b)でカーボンインクルージョンが形成されない程度に原料のC/Siを高めることが出来る。
【0049】
また、工程(a1)において、原料粉末を20Pa以下の雰囲気圧力で熱処理することにより、効率よく原料粉末からSiの脱離を行うことが出来る。
【0050】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 坩堝、2a,2b SiC粉末、3 C粉末、4 蓋、4a 台座、5 種結晶、6 断熱材、7 予備加熱用蓋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)SiC粉末とC粉末、あるいは部分炭化させたSiC粉末を、原料粉末として準備する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記原料粉末を用いた昇華法により、シリコンドロップレットを抑制しながらSiC単結晶を高速成長させる工程と、を備える、
SiC単結晶の製造方法。
【請求項2】
前記工程(a)は、前記原料粉末のシリコンに対する炭素の割合を1.04〜1.14とする工程である、
請求項1に記載のSiC単結晶の製造方法。
【請求項3】
前記工程(b)は、結晶成長面近傍と原料粉末近傍の温度差を200℃以上とする、
請求項1又は2に記載のSiC単結晶の製造方法。
【請求項4】
前記工程(a)で前記SiC粉末とC粉末を前記原料粉末として準備する場合、
前記工程(b)は、前記原料粉末中の底部に前記C粉末を充填した状態で前記昇華法を実行する工程である、
請求項1〜3のいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
【請求項5】
前記工程(a)で、前記部分炭化させたSiC粉末を前記原料粉末として準備する工程は、
(a1)SiC粉末を充填した坩堝に種結晶を配置せずに熱処理する工程を備え、
前記工程(b)は、
(b1)工程(a1)の後、前記坩堝内のガスを排気してから前記坩堝内に種結晶を配置し、前記種結晶から結晶成長させる工程を備える、
請求項1〜3のいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。
【請求項6】
前記工程(a1)は、前記原料粉末を1300℃以上1800℃未満で熱処理する工程である、
請求項5に記載のSiC単結晶の製造方法。
【請求項7】
前記工程(a1)は、前記原料粉末を20Pa以下の雰囲気圧力で熱処理する工程である、
請求項5又は6に記載のSiC単結晶の製造方法。
【請求項8】
前記工程(b)は、前記SiC単結晶を0.7mm/h以上の速度で成長させる工程である、
請求項1〜7のいずれかに記載のSiC単結晶の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−103848(P2013−103848A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247041(P2011−247041)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】