説明

X線コンピュータ断層撮影装置

【課題】待機状態の消費電力を稼動状態の消費電力より低減させること。
【解決手段】本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、X線コンピュータ断層撮影のために架台部7と寝台部3とを制御し、前記X線コンピュータ断層撮影で収集された投影データに基づいて画像を再構成するコンソール11を有するX線コンピュータ断層撮影装置において、前記X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータを記憶する記憶部10と、架台部7と寝台部3とコンソール11とに電力を供給する稼動モードと架台部7と寝台部3とへの電力の供給を停止しコンソール11に電力を供給する待機モードとで選択的に動作可能な電源部13と、検査スケジュールデータに基づいて稼動モードから前記待機モードへの切り替えを制御する電源制御部15と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線コンピュータ断層撮影装置は、いつ急病の患者が来てもよいように、X線コンピュータ断層撮影を行っていない待機時においても、X線コンピュータ断層撮影を行う時のように稼動状態を維持している(図7参照)。このため、X線コンピュータ断層撮影を行っていない待機時における消費電力が大きい問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目的は、X線コンピュータ断層撮影を行っていない待機時にX線コンピュータ断層撮影装置の消費電力を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有する架台部と、前記被検体が載置される寝台部と、X線コンピュータ断層撮影のために前記架台部と前記寝台部とを制御するとともに、前記X線コンピュータ断層撮影で収集された投影データに基づいて画像を再構成するコンソールとを有するX線コンピュータ断層撮影装置であって、前記X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータを記憶する記憶部と、前記架台部と前記寝台部と前記コンソールとに電力を供給する稼動モードと前記寝台部と前記架台部とへの電力の供給を停止し、前記稼動モードで供給される電力に比べて少ない電力を前記コンソールに供給する待機モードとで選択的に動作可能な電源部と、前記検査スケジュールデータに基づいて、前記稼動モードから前記待機モードへの切り替えを制御する電源制御部と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】第1の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係り、X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータに基づいて、稼動モードから待機モードへの切り替えと待機モードから稼動モードへの切り替えとの処理の流れを示す流れ図である。
【図3】第1の実施形態に係り、稼動モードから待機モードへの切り替えと待機モードから稼動モードへの切り替えとを、X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールとともに示す図である。
【図4】第2の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係り、X線コンピュータ断層撮影装置の状態に基づいて稼動モードから待機モードへの切り替えと、X線コンピュータ断層撮影装置の状態と検査スケジュールデータとに基づいて待機モードから稼動モードへの切り替えとの処理の流れを示す流れ図である。
【図6】第2の実施形態に係り、稼動モードから待機モードへの切り替えと待機モードから稼動モードへの切り替えとを、X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールとともに示す図である。
【図7】図7は、従来の一般的な検査手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、X線コンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography)の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate−Type、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate−Type等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。また、画像を再構成するには被検体の周囲一周、360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ファン角度分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式に対しても本実施形態へ適用可能である。また、入射X線を電荷に変化するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線によるセレン等の半導体内での電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよい。さらに、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線コンピュータ断層撮影装置であっても、多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置であってもいずれも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0007】
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。第1の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、寝台部3、高電圧発生部5、架台部7、インターフェース9、記憶部10、コンソール11、電源部13、電源制御部15を有する。
【0009】
寝台部3は、被検体Pが載置される略長方形の形状を有する天板31と、天板31を長手方向、横手方向、上下方向に個々に移動可能に支持する図示していない天板支持機構と、天板支持機構を制御する図示していない天板制御部とを有する。天板制御部は、後述する稼動モードにおいて、操作者の指示に従って天板支持機構を制御する。稼動モードにおける寝台部3は、操作者の指示がない場合においても、操作者の指示に対応するために、所定の電力を消費する。後述する待機モードにおいて、後述する電源部13から寝台部3へ電力の供給が停止されるため、寝台部3は電力を消費しない。これにより寝台部3は、稼動モードに比べて省電力化される。
【0010】
高電圧発生部5は、X線管71の陽極ターゲットと陰極フィラメントとの間に高電圧を印加するための図示していない高電圧電源と、X線管71の陰極フィラメントにフィラメント電流を供給するための図示していないフィラメント電流発生器とを有する。なお、高電圧発生部5は、稼動モードに対して電源部13から電力が供給され、待機モードに対して電源部13からの電力の供給が停止されてもよい。これにより高電圧発生部5は、稼動モードに比べて省電力化される。
【0011】
架台部7には、回転支持機構が収容される。回転支持機構は、回転リング73と、回転軸Zを中心として回転自在に回転リング73を支持するリング支持機構とリングの回転を駆動する図示していない駆動部(電動機)からなる。回転リング73には、X線管71と、2次元アレイ型または多列型とも称されるエリア検出器(以下X線検出器と呼ぶ)75が搭載されている。X線検出器75の出力側には、DAS(Data Acquisition System)と呼ばれるデータ収集回路77が接続されている。X線コンピュータ断層撮影が実施される前に予熱を与える第1のヒータ711と、X線の発生に伴って発生した熱による熱負荷を抑えるための冷却装置713とは、X線管71に接続されている。また、X線コンピュータ断層撮影が実施される前に予熱を与える第2のヒータ751は、X線検出器75に接続されている。
【0012】
X線管71は、高電圧発生部5から図示していないスリップリングを経由して電圧の印加およびフィラメント電流の供給を受けて、X線の焦点715からX線を放射する。X線の焦点715から放射されたX線は、X線管71のX線放射窓に取り付けられた図示していないコリメーターユニットにより、例えばコーンビーム形(角錐形)に整形される。X線の放射範囲101は、点線で示されている。X軸は、回転軸Zと直交し、放射されるX線の焦点715を通る直線である。Y軸は、X軸および回転軸Zと直交する直線である。本実施形態におけるX線管71は、回転陽極型のX線管であるとして説明する。なお、固定陽極型X線管などの他の型のX線管でも本実施形態に適用可能である。
【0013】
X線管71は、陰極フィラメントと回転式の陽極ターゲットとを有する。X線管71は、円盤状の陽極ターゲットを、相互間に軸受部を有する回転体および固定体で機械的に支える。X線管71は、真空容器外の回転体の位置に対応した位置に配置されたステータの電磁コイルに回転駆動力を供給することで、円盤状の陽極ターゲットを回転させる。高電圧発生装置5のフィラメント電流発生器から供給されるフィラメント電流は、陰極フィラメントに供給される。陰極フィラメントは、所定の温度(以下第1の閾値と呼ぶ)となるまでフィラメント電流により加熱される。加熱された陰極フィラメントは、電子を放出する。放出された電子は、陰極フィラメントと陽極ターゲットとの間における高電圧電源により印加された電圧に従って、陽極ターゲットに衝突する。陽極ターゲットに衝突した電子により、X線が発生される。陽極ターゲットに電子が衝突すると、陽極ターゲットの温度は上昇する。X線管71には、X線の発生により蓄積された熱の過負荷によるX線管71の故障を防ぐために、管球保護機能(オーバーロードプロテクション:OverLoad−Protectection:以下OLPと呼ぶ)が備え付けられている。OLPは、X線の発生条件(管電圧、管電流、X線の発生時間)およびX線の発生を休止している時間とからX線管71による発熱量と以下で説明する冷却装置713による冷却効率とに基づいて、X線管71に蓄積される熱が所定の範囲を越えないようにするものである。
【0014】
冷却装置713は、図示していないラジエター(放熱器)とポンプとで構成される。冷却装置713は、X線管71を冷却する。具体的には、X線管71の容器本体に満たされた絶縁油を冷却する。絶縁油は、固定体を介して、陽極ターゲットで発生した熱を吸収する。冷却装置713は、X線管71の温度が所定の温度(以下所定の閾値と呼ぶ)に達するまでX線管71の絶縁油を冷却する。以下、X線管71の温度が所定の閾値に達した状態を冷却状態と呼ぶ。
【0015】
第1のヒータ711は、X線管71の軸受部に接続される。第1のヒータ711は、X線管71の陽極ターゲットの回転前に、軸受部における液体金属潤滑剤の融点以上の温度(以下第2の閾値と呼ぶ)まで、軸受部を加熱する。軸受部は、ボールベアリングのようなころがり軸受、またはらせん溝を形成させた軸受面にガリウム(Ga)、ガリウム−インジウム−錫(Ga−In−Sn)合金などのような回転動作中に液状となる液体金属潤滑剤を用いた動圧式すべり軸受などで構成される。以下軸受部は、動圧式すべり軸受で構成されるものとして説明する。動圧式すべり軸受の軸受面間に充填される液体金属潤滑剤の融点は、例えばGa−In−Sn合金における低融点のものでも10.7℃であり、ビスマス(Bi)を含むBi−In−Pb−Sn合金では、57℃である。X線管71が液体金属潤滑剤の融点以下の温度環境で使用される場合、液体金属潤滑剤は凍った状態となっている。このため、第1のヒータ711は、X線管71の陽極ターゲットの回転開始前に、軸受部の温度を第2の閾値に達するまで加熱して、液体金属潤滑剤を融解させる。なお、X線管71の軸受部などにおいて、液体金属潤滑剤が使用されない場合、第1のヒータ711は省かれてもよい。
【0016】
X線検出器75は、回転軸Zを挟んでX線管71に対峙する位置およびアングルで取り付けられる。X線検出器75は、複数のX線検出素子を有している。ここでは、単一のX線検出素子が単一のチャンネルを構成しているものとして説明する。複数のチャンネルは、回転軸Zに直交し、かつ放射されるX線の焦点715を中心として、この中心から1チャンネル分のX線検出素子の受光部中心までの距離を半径とする円弧方向(チャンネル方向)とZ方向との2方向に関して2次元状に配列される。また、X線検出器75は、複数のX線検出素子を1列に配列した複数のモジュールで構成されてもよい。モジュール各々は、上記チャンネル方向に沿って略円弧方向に1次元状に配列される。また複数のX線検出素子は、チャンネル方向とスライス方向との2方向に関して2次元状に配列させてもよい。すなわち、2次元状の配列は、上記チャンネル方向に沿って一次元状に配列された複数のチャンネルを、スライス方向に関して複数列並べて構成される。このような2次元状のX線検出素子配列を有するX線検出器75は、略円弧方向に1次元状に配列される複数の上記モジュールをスライス方向に関して複数列並べて構成してもよい。
【0017】
第2のヒータ751は、X線検出器75に接続される。第2のヒータ751は、X線検出素子の温度に依存するX線感度を一定の範囲に保つために、X線検出器75を加熱する。具体的には、X線検出器75の温度が一定の範囲のX線感度に対応する温度範囲の下限よりも低下したとき、第2のヒータ751は、X線検出器75を上記温度範囲の上限(以下第3の閾値と呼ぶ)を越えないように加熱する。これにより、X線検出器75のX線感度は一定の範囲を有する。
【0018】
以下、X線管71の軸受部の温度が第2の閾値に達し、かつX線検出器75の温度が第3の閾値に達した状態を加熱状態と呼ぶ。なお、陰極フィラメントの温度が第1の閾値に達した状態を上記加熱状態に含めてもよい。架台部7の温度状態は、冷却状態と加熱状態との2種類である。
【0019】
撮影又はスキャンに際しては、X線管71とX線検出器75との間の円筒形の撮影領域103内に、被検体Pが天板31に載置され挿入される。X線検出器75の出力側には、DASと呼ばれるデータ収集回路77が接続されている。
【0020】
データ収集回路77には、X線検出器75の各チャンネルの電流信号を電圧に変換するI−V変換器と、この電圧信号をX線の曝射周期に同期して周期的に積分する積分器と、この積分器の出力信号を増幅するアンプと、このアンプの出力信号をディジタル信号変換するアナログ・ディジタル・コンバータとが、チャンネルごとに取り付けられている。データ収集回路77から出力されるデータ(以下純生データ(Pure raw Data)と呼ぶ)は、磁気送受信又は光送受信を用いた図示していない非接触データ伝送部を経由して、図示していない前処理部に伝送される。前処理部は、データ収集回路77から出力される純生データに対して前処理を施す。
【0021】
前処理には、例えばチャンネル間の感度不均一補正処理、X線強吸収体、主に金属部による極端な信号強度の低下または、信号脱落を補正する処理等が含まれる。前処理部から出力される再構成処理直前のデータ(生データ(Raw data)または、投影データと称される、ここでは投影データと呼ぶ)は、データ収集したときにビューアングルを表すデータと関連付けられて、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリを備えた記憶部10に記憶される。なお、投影データとは、被検体を透過したX線の強度に応じたデータ値の集合である。ここでは説明の便宜上、ワンショットで略同時に収集したビューアングルが同一である全チャンネルにわたる一揃いの投影データを、投影データセットと称する。また、ビューアングルは、X線管71が回転軸Zを中心として周回する円軌道の各位置を、回転軸Zから鉛直上向きにおける円軌道の最上部を0°として360°の範囲の角度で表したものである。なお、投影データセットの各チャンネルに対する投影データは、ビューアングル、コーン角、チャンネル番号によって識別される。
【0022】
インターフェース9は、コンソール11と電子的通信回線(以下ネットワークと呼ぶ)とを接続する。ネットワークには、放射線部門情報管理システム(Radiology Information System:以下RISと呼ぶ)200と病院情報システム(Hospital Information System:以下HISと呼ぶ)201とが接続される。
【0023】
RIS200は、放射線部門の業務を効率的に進めるコンピュータシステムである。具体的には、RIS200は、放射線部門に対する検査オーダの参照、検査実施情報の記録、会計情報の記録および伝送、フィルムなどの消耗品の在庫管理、各種統計処理を行うコンピュータシステムである。放射線技師などによりX線コンピュータ断層撮影の検査予約数が、X線コンピュータ断層撮影装置を使用する検査の予約表に基づいて、RIS200に入力される。HIS201は、病院内の業務を効率的に行うためのコンピュータシステム全体を指し、医事会計システム、検査オーダシステム、薬剤システム、給食システム、病棟管理システムなどから構成される。HIS200は、医師の患者に対する診察に基づいて、X線コンピュータ断層撮影の指示箋を発行する。発行されたX線コンピュータ断層撮影の指示箋に基づいて、X線コンピュータ断層撮影が実施される。RIS200およびHIS201は、X線コンピュータ断層撮影の開始時刻データおよび終了時刻データと、検査予約数などとを含むX線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータを記憶する。また、検査スケジュールデータは、医師と患者との問診によりHIS201に入力されたデータ、X線コンピュータ断層撮影の検査の予約表に基づいて放射線技師などによりRIS200に入力された検査予約数のデータなどを有する。以下の説明のため、検査スケジュールデータに含まれるX線コンピュータ断層撮影の数は、複数あるものとする。すなわち、検査予約数は複数あるものとする。なお、本実施形態は、検査スケジュールデータに含まれるX線コンピュータ断層撮影の数が一つの場合であっても、適用可能である。
【0024】
記憶部10は、以下で説明するコンソール11の再構成部110で再構成された画像と、前処理部から出力された投影データと、X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータと、X線コンピュータ断層撮影の終了時刻からX線管71の温度が冷却状態に達するまでの時間(以下第1の時間と呼ぶ)と、X線コンピュータ断層撮影の開始時刻前に冷却状態から加熱状態に達するまでの時間(以下第2の時間と呼ぶ)と、X線コンピュータ断層撮影のために寝台部3、高電圧発生部5、および架台部7などを制御する制御プログラムなどを記憶する。なお、記憶部10は、以下で説明するコンソール11に含まれてもよい。なお、X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータは、図示していない記憶媒体からインターフェース等を介して読み込まれ、記憶部10に記憶されてもよい。また、X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータは、ネットワークおよびインターフェース9を介してRIS200またはHIS201から受信し、記憶部10に記憶されてもよい。
【0025】
なお、第1の時間と第2の時間との少なくとも一方は、コンソール11を介して操作者により設定されてもよい。また、第1の時間と第2の時間の少なくとも一方は、コンソール11を介して、操作者により変更可能である。なお、第2の時間は、X線コンピュータ断層撮影の開始時刻前に冷却状態から陰極フィラメントが第1の閾値に達するまでの時間(以下第3の時間と呼ぶ)を含んでもよい。また、第1の時間は、X線コンピュータ断層撮影の終了時刻から、X線管71の温度がOLPに対する所定の割合に達するまでの時間でもよい。
【0026】
コンソール11は、再構成部110、制御部113、表示部115、入力部117を有する。再構成部110は、図示していない前処理部から出力された投影データを用いて、画像を再構成する。コンソール11で消費される電力は、後述する電源部13により供給される。なお、コンソール11で消費される電力は、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:以下LANと呼ぶ)により供給されてもよい。電源部13で説明する待機モードにおいてコンソール11に供給される電力は、電源部13で説明する稼動モードにおいてコンソールに供給される電力よりも少ない。以下、待機モードにおけるコンソール11の状態を省電力状態と呼ぶ。以下、コンソール11の構成要素それぞれについて、具体的に説明する。
【0027】
再構成部110は、ビューアングルが360°又は180°+ファン角度の範囲内の投影データセットに基づいて、フェルドガンプ法またはコーンビーム再構成法により、略円柱形の3次元画像を再構成する機能を有する。ボリュームデータにおけるスライス面に垂直な方向(Z方向)の端の領域には、撮像視野(Field of view)の領域に再構成するための360°分の投影データがそろわない領域が存在する。投影データが不足する領域は、ボリュームデータの信頼性が低い。投影データが不足する領域は、再構成しない又は再構成画像を表示しない。この領域は一般にマスク(MASK)領域と称される。再構成部110は、例えばファンビーム再構成法(ファンビーム・コンボリューション・バックプロジェクション法ともいう)またはフィルタード・バックプロジェクション法により2次元画像(断層画像)を再構成する機能を有する。フェルドガンプ法は、コーンビームのように再構成面に対して投影レイが交差する場合の再構成法であり、コーン角が小さいことを前提として畳み込みの際にはファン投影ビームとみなして処理し、逆投影はスキャンの際のレイに沿って処理する近似的画像再構成法である。コーンビーム再構成法は、フェルドガンプ法よりもコーン角のエラーが抑えられる方法として、再構成面に対するレイの角度に応じて投影データを補正する再構成法である。
【0028】
表示部115は、再構成部110で再構成された画像、記憶部10に記憶された画像、X線コンピュータ断層撮影のために設定される条件などを表示する。
【0029】
入力部117は、操作者が所望するX線コンピュータ断層撮影の撮影条件などを入力する。具体的には、入力部117は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を本X線コンピュータ断層撮影装置1に取り込む。入力部117は、図示しないが、関心領域の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。入力部117は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を制御部113に出力する。なお、入力部117は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部117は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を制御部113に出力する。
【0030】
制御部113は、本X線コンピュータ断層撮影装置1の中枢として機能する。制御部113は、図示しないCPUとメモリとを備える。制御部113は、記憶部10に記憶された検査スケジュールデータと記憶部10に記憶された制御プログラムとに基づいて、X線コンピュータ断層撮影のために寝台部3、高電圧発生部5、および架台部7を制御する。具体的には、制御部113は、入力部117から送られてくる操作者の指示や画像処理の条件などの情報を、一時的に図示していないメモリに記憶する。制御部113は、メモリに一時的に記憶されたこれらの情報に基づいて、寝台部3、高電圧発生部5、および架台部7を制御する。制御部113は、所定の画像発生・表示等を実行するための制御プログラムを、記憶部10から読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・処理等を実行する。
【0031】
電源部13は、後述する電源制御部15による制御に基づいて、寝台部3、高電圧発生部5、架台部7、およびコンソール11に電力を供給する。電源部13は、寝台部3、高電圧発生部5、架台部7、およびコンソール11とに電力を供給する稼動モードと、寝台部3と架台部7とへの電力の供給を停止し、稼動モードで供給される電力に比べて少ない電力をコンソール11に供給する待機モードとを有する。電源部13は、稼動モードと待機モードとを、電源制御部15による制御に従って選択する。なお、電源部13は、待機モードにおいて高電圧発生部5に電力を供給してもよい。稼動モードは、検査スケジュールデータにおけるX線コンピュータ断層撮影の開始時刻から第2の時間を遡った時刻(待機モードを稼動モードに切り替える時刻:以下、稼動モードへの切り替え時刻と呼ぶ)から、このX線コンピュータ断層撮影の終了時刻から第1の時間が経過した時刻(稼動モードを待機モードに切り替える時刻:以下、待機モードへの切り替え時刻と呼ぶ)までの時間間隔に適用される。待機モードは、待機モードへの切り替え時刻から、次のX線コンピュータ断層撮影における稼動モードへの切り替え時刻までの時間間隔に適用される。
【0032】
稼動モードへの切り替え時刻と待機モードへの切り替え時刻とは、以下で説明する電力制御部15で決定される。稼動モードへの切り替え時刻は、例えばX線コンピュータ断層撮影それぞれの開始時刻の30分前である。待機モードから稼動モードへの切り替えは、救急または急診の患者の情報がRIS200とHIS201とコンソール11とのうち少なくとも一つに入力された時刻に基づいて、実行されてもよい。また、救急または急診の患者の情報がRIS200とHIS201とコンソール11とのうち少なくとも一つに入力されると、検査スケジュールデータは更新される。なお、稼動モードへの切り替え時刻は、検査スケジュールデータにおけるX線コンピュータ断層撮影それぞれの開始時刻から、第2の時間と第3の時間とのうちより長い時間を遡った時刻でもよい。
【0033】
電源制御部15は、記憶部10に記憶された検査スケジュールデータと第1の時間と第2の時間とに基づいて電源部13を制御する。具体的には、電源制御部15は、X線コンピュータ断層撮影の検査当日の検査スケジュールデータを記憶部10から読み出す。電源制御部15は、読み出された検査スケジュールデータにおけるX線コンピュータ断層撮影それぞれの終了時刻から第1の時間が経過した待機モードへの切り替え時刻を決定する。電源制御部15は、読み出された検査スケジュールデータにおけるX線コンピュータ断層撮影それぞれの開始時刻から第2の時間を遡った稼動モードへの切り替え時刻を決定する。電源制御部15は、待機モードへの切り替え時刻に従って、稼動モードから待機モードへ切り替えるように電源部13を制御する。電源制御部15は、稼動モードへの切り替え時刻に従って、待機モードから稼動モードへ切り替えるように電源部13を制御する。なお、電源制御部15は、検査スケジュールデータにおけるX線コンピュータ断層撮影それぞれの開始時刻から、第2の時間と第3の時間とのうちより長い時間を遡った時刻を、稼動モードへの切り替え時刻して決定してもよい。
【0034】
(モード切り替え機能)
モード切り替え機能とは、待機モードから稼動モードへ切り替える機能と稼動モードから待機モードへ切り替える機能である。以下、モード切り替え機能に従う処理(以下モード切り替え処理と呼ぶ)を説明する。
【0035】
図2は、X線コンピュータ断層撮影の検査当日におけるモード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。
X線コンピュータ断層撮影の検査当日、RIS200またはHIS201から受信した検査スケジュールデータが記憶部10に記憶される(ステップSa1)。なお、記憶部10に記憶される検査スケジュールデータは、図示していない記憶媒体などから読み込まれてもよい。記憶された検査スケジュールデータにおける複数のX線コンピュータ断層撮影それぞれの開始時刻から、第2の時間を遡った稼動モードへの切り替え時刻が決定される(ステップSa2)。なお、複数のX線コンピュータ断層撮影それぞれの開始時刻から、第2の時間と第3の時間とのうちより長い時間を遡った時刻を、稼動モードへの切り替え時刻としてもよい。決定された稼動モードへの切り替え時刻に従って、待機モードから稼動モードへ電源部13のモードが切り替えられる。
【0036】
稼動モードに従って、寝台部3、高電圧発生部5、架台部7、およびコンソール11とに電力が供給される(ステップSa3)。このとき、コンソール11の省電力状態は解除される。架台部7に電力が供給されると、X線管71は、第1のヒータ711により、第2の閾値に達するまで加熱される。架台部7に電力が供給されると、X線検出器75は、第2のヒータ751により第3の閾値に達するまで加熱される。高電圧発生部5に電力が供給されると、陰極フィラメントは、高電圧発生部5のフィラメント電流発生器により、第1の閾値に達するまで加熱される。
【0037】
X線コンピュータ断層撮影の開始時刻に達すると、X線コンピュータ断層撮影が開始される(ステップSa4)。X線コンピュータ断層撮影が終了される(ステップSa5)と、X線コンピュータ断層撮影の終了時刻から第1の時間と第2の時間とを加算した時間が経過するまでに、次のX線コンピュータ断層撮影の有無が、記憶された検査スケジュールデータに基づいて判定される(ステップSa6)。次のX線コンピュータ断層撮影があれば、電源部13の稼動モードは維持され、ステップSa4からステップSa6までの処理が繰り返される。次のX線コンピュータ断層撮影がなければ、X線管71は、ステップSa5におけるX線コンピュータ断層撮影の終了時刻から第1の時間が経過するまで、冷却装置713により冷却される。
【0038】
X線コンピュータ断層撮影の終了時刻から第1の時間が経過する(ステップSa7)と、寝台部3と架台部7とへの電力の供給が停止される(ステップSa8)。このとき、コンソール11は、省電力状態となる。なお、このとき、高電圧発生部5への電力の供給が停止されてもよい。X線コンピュータ断層撮影が実行された回数と検査スケジュールデータに含まれる検査予約数とが等しくなる(ステップSa9)までステップSa3からステップSa8までの処理が繰り返される。
【0039】
図3は、一例として、X線コンピュータ断層撮影の検査当日におけるモードの切り替えを、X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールとともに示す図である。図3の検査スケジュールにおいて、検査予約数は「4」である。t1は第2の時間、t2は第1の時間を示している。t1において架台部7のX線管71とX線検出器75とは加熱され、t2において架台部7のX線管は冷却される。t111、t112、t113それぞれは、1回目、2回目、4回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻を示している。t221、t222、t223それぞれは、1回目、3回目、4回目のX線コンピュータ断層撮影の終了時刻を示している。t11、t12、t13それぞれは稼動モードへの切り替え時刻であり、それぞれt111からt1を遡った時刻、t112からt1を遡った時刻、t113からt1を遡った時刻である。t21、t22、t23それぞれは待機モードへの切り替え時刻であり、それぞれt221からt2が経過した時刻、t222からt2が経過した時刻、t223からt2が経過した時刻である。tiは、2回目のX線コンピュータ断層撮影の終了時刻と3回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻との時間間隔である。
【0040】
t221から(t1+t2)が経過するまでにt112とならないので、t21からt12まで待機モードが実施される。また、2回目のX線コンピュータ断層撮影の終了時刻から(t1+t2)が経過するまでに3回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻となる(ti<t1+t2)ので、2回目のX線コンピュータ断層撮影の終了時刻と3回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻との間の時間間隔において、待機モードは実施されない。すなわちtiにおいて、稼動モードが維持される。4回目のX線コンピュータ断層撮影は、当日最後のX線コンピュータ断層撮影である。すなわち、実行されたX線コンピュータ断層撮影の回数(4回)が検査予約数(4回)に等しくなる。従って、t223からt2を経過させたt23に、電源部13のモードが稼動モードから待機モードに切り替えられる。
【0041】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態におけるX線コンピュータ断層撮影装置1によれば、RIS200とHIS201との少なくと一方から受信された検査スケジュールデータに基づいて、稼動モードから待機モードと待機モードから稼動モードとに切り替えることができる。これにより、本X線コンピュータ断層撮影装置1が検査に使われるときに稼動モードとなり、効率よく電力を使用することができる。また、X線コンピュータ断層撮影装置の省電力が可能となる。また、モードの切り替えは、検査スケジュールデータに基づいているため、操作者に対する負担は皆無である。
【0042】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。第2の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、寝台部3、高電圧発生部5、架台部7、インターフェース9、記憶部10、コンソール11、電源部13、電源制御部15、計測部17を有する。
【0043】
計測部17は、X線管71の温度とX線検出器75の温度とを計測する。X線管71の温度は、例えば図示していない軸受部の温度と陰極フィラメントの温度などである。
【0044】
記憶部10は、一つのX線コンピュータ断層撮影の検査における全ての画像が再構成部110により再構成された時刻(以下再構成時刻と呼ぶ)と、一つのX線コンピュータ断層撮影の検査における全ての画像が記憶部10とRIS200とHIS201とのうち少なくとも一つに記憶または転送された時刻(以下記憶時刻と呼ぶ)と、X線管71の温度に関する所定の閾値と、X線管71の温度が第2の閾値より低い温度から第2の閾値に達するまでの時間(以下第1の到達時間と呼ぶ)とX線管71の温度との対応表(以下第1の対応表と呼ぶ)と、X線検出器75の温度が第3の閾値より低い温度から第3の閾値に達するまでの時間(以下第2の到達時間と呼ぶ)とX線検出器75の温度との対応表(以下第2の対応表と呼ぶ)とを記憶する。なお、記憶部10は、陰極フィラメントの温度が第1の閾値より低い温度から第1の閾値に達するまでの時間(以下第3の到達時間と呼ぶ)と陰極フィラメントの温度との対応表(以下第3の対応表と呼ぶ)を記憶してもよい。
【0045】
電源制御部15は、計測されたX線管71の温度が所定の閾値より高い温度から所定の閾値に達した時刻(以下到達時刻と呼ぶ)を決定する。電源制御部15は、到達時刻と再構成時刻と記憶時刻とのうち最も遅い時刻を、待機モードへの切り替え時刻として決定する。電源制御部15は、計測されたX線管71の温度と第1の対応表とに基づいて、第1の到達時間を決定する。電源制御部15は、計測されたX線検出器75の温度と第2の対応表とに基づいて、第2の到達時間を決定する。電源制御部15は、第1の到達時間と第2の到達時間とのうちより長い時間を選択する。電源制御部15は、検査スケジュールデータにおける複数のX線コンピュータ断層撮影それぞれの開始時刻から選択された時間を遡らせた時刻を、稼動モードへの切り替え時刻として決定する。なお、電源制御部15は、第3の到達時間を含めて、稼動モードへの切り替え時刻として決定してもよい。具体的には、電源制御部15は、計測されたX線管71の陰極フィラメントの温度と第3の対応表とに基づいて、第3の到達時間を決定する。電源制御部15は、決定された第3の到達時間と第1の到達時間と第2の到達時間とのうち最も長い時間を選択する。電源制御部15は、検査スケジュールデータにおける複数のX線コンピュータ断層撮影それぞれの開始時刻から選択された時間を遡らせた時刻を、稼動モードへの切り替え時刻として決定する。
【0046】
電源制御部15は、待機モードへの切り替え時刻に従って、稼動モードから待機モードへ切り替えるように電源部13を制御する。電源制御部15は、稼動モードへの切り替え時刻に従って、待機モードから稼動モードへ切り替えるように電源部13を制御する。
【0047】
(モード切り替え機能)
図5は、X線コンピュータ断層撮影の検査当日におけるモード切り替え処理の手順を示すフローチャートである。
X線コンピュータ断層撮影の検査当日、RIS200またはHIS201から受信した検査スケジュールデータが記憶部10に記憶される(ステップSa1)。なお、記憶部10に記憶される検査スケジュールデータは、図示していない記憶媒体などから読み込まれてもよい。
【0048】
X線管71の温度とX線検出器75の温度とが計測される(ステップSb2)。計測されたX線管71の温度と第1の対応表とに基づいて、第1の到達時間が決定される。計測されたX線検出器75の温度と第2の対応表に基づいて、第2の到達時間が決定される。第1の到達時間と第2の到達時間とのうちより長い時間が選択される。X線コンピュータ断層撮影の開始時刻から選択された時間を遡らせた時刻(稼動モードへの切り替え時刻)が決定される(ステップSb3)。なお、ステップSb3において、陰極フィラメントを加熱する時間を含めてもよい。このとき、計測されたX線管の温度と第3の対応表に基づいて、第3の到達時間が決定される。次に第1の到達時間と第2の到達時間と第3の到達時間とのうちより最も長い時間が選択される。稼動モードへの切り替え時刻が、X線コンピュータ断層撮影の開始時刻から選択された時間を遡らせた時刻として決定される。ステップSb3に続いてステップSa3からステップSa5の処理が実行される。ステップSa5の後、X線管71は冷却される。このとき、X線管71の温度が計測される。
【0049】
計測されたX線管71の温度と第1の対応表とに基づいて第1の到達時間が決定される。(ステップSb6)。X線管71の温度が計測された時刻(以下計測時刻と呼ぶ)から第1の到達時間を経過させた時刻が、次のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻に等しくなれば、X線管71の冷却は中止される。冷却中止後、X線管71の温度が第2の閾値に達するまで(第1の到達時間)、X線管71は加熱される。X線管71の加熱終了時刻が、次のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻となり、電源部13の稼動モードは維持されたままステップSa4からステップSb7の処理が繰り返される(ステップSb7)。なお、ステップSb6、ステップSb7において、陰極フィラメントが加熱される時間を含めてもよい。このとき、計測されたX線管の温度と第3の対応表に基づいて、第3の到達時間が決定される。次に第1の到達時間と第3の到達時間とのうちより長い時間が選択される。計測時刻に選択された時間を経過させた時刻を用いて、ステップSb7の処理が実行される。
【0050】
計測時刻から第1の到達時間を経過させた時刻が、次のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻に等しくなければ、X線管71が所定の閾値まで冷却され、かつ当該X線コンピュータ断層撮影の画像が再構成され、かつ再構成された画像が記憶部10に保存および転送されたか否かが判定される(ステップSb8)。所定の閾値までのX線管71の冷却と、当該X線コンピュータ断層撮影における画像の再構成と、再構成された画像の記憶部10への保存および転送とのうちいずれか一つが満たされない場合、ステップSb6からステップSb7の処理が繰り返される。所定の閾値までのX線管71の冷却と、当該X線コンピュータ断層撮影における画像の再構成と、再構成された画像の記憶部10への保存および転送とが全て満たされた場合、ステップSa8とステップSa9との処理が実行される。X線コンピュータ断層撮影が実行された回数と検査スケジュールデータに含まれる検査予約数とが等しくなる(ステップSa9)までステップSb2からステップSa9までの処理が繰り返される。なお、再構成された画像は、図示していない画像観察装置もしくは図示していない画像保存装置へ保存および転送されてもよい。
【0051】
図6は、一例として、X線コンピュータ断層撮影の検査当日におけるモードの切り替えを、X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールとともに示す図である。図6の検査スケジュールにおいて、検査予約数は「4」である。t3、t5、t7は第1の到達時間と第2の到達時間とのうちより長い時間を示している。具体的には、t3、t5、t7は、X線管71を加熱する時間とX線検出器75を加熱する時間とを含む時間を示している。なお、t3、t5、t7には、陰極フィラメントが加熱される時間を含めてもよい。t3、t5、t7それぞれにおいて、架台部7は加熱されている状態となる。t4、t6、t8それぞれは、1回目、3回目、4回目のX線コンピュータ断層撮影後、X線管71を所定の閾値まで冷却させた時間と画像を再構成させた時間と再構成された画像を記憶部10に保存および転送させた時間とを含む時間を示している。t4、t6、t8それぞれにおいて、架台部7は冷却されている状態となる。
【0052】
t111、t112、t113それぞれは、1回目、2回目、4回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻を示している。t221、t222、t223それぞれは、1回目、3回目、4回目のX線コンピュータ断層撮影の終了時刻を示している。t11、t12、t13それぞれは、稼動モードへの切り替え時刻であり、それぞれt111からt3を遡った時刻、t112からt5を遡った時刻、t113からt7を遡った時刻である。t21、t22、t23それぞれは、待機モードへの切り替え時刻であり、それぞれt221からt4が経過した時刻、t222からt6が経過した時刻、t223からt8が経過した時刻である。tiは、2回目のX線コンピュータ断層撮影の終了時刻と3回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻との時間間隔である。
【0053】
t221以降、X線管71の温度が経時的に計測される。計測されたX線管71の温度と第1の対応表とに基づいて、第1の到達時間が計測時刻ごとに決定される。計測時刻から第1の到達時間を経過させた時刻が、t221からt21までのいずれの計測時刻においても2回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻に等しくならないので、t221からt4を経過させた時刻に、電源部13のモードが稼動モードから待機モードに切り替えられる。
【0054】
tiにおいて、X線管71の温度が経時的に計測される。計測されたX線管71の温度と第1の対応表とに基づいて、第1の到達時間が計測時刻ごとに決定される。計測時刻から第1の到達時間を経過させた時刻が、2回目のX線コンピュータ断層撮影の終了時刻からtiが経過するまでの間のいずれかの計測時刻において、3回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻に等しくなるので、電源部13のモードは稼動モードから待機モードに切り替えられない。すなわち電源部13は稼動モードを維持した状態で、3回目のX線コンピュータ断層撮影が実施される。
【0055】
t222以降、X線管71の温度が経時的に計測される。計測されたX線管71の温度と第1の対応表とに基づいて、第1の到達時間が計測時刻ごとに決定される。計測時刻から第1の到達時間を経過させた時刻が、t222からt22までのいずれの計測時刻においても4回目のX線コンピュータ断層撮影の開始時刻に等しくならないので、t222からt6を経過させた時刻に、電源部13のモードが稼動モードから待機モードに切り替えられる。
【0056】
4回目のX線コンピュータ断層撮影は、当日最後のX線コンピュータ断層撮影である。すなわち、実行されたX線コンピュータ断層撮影の回数(4回)が検査予約数(4回)に等しくなる。従って、t223からt2を経過させたt23に、電源部13のモードが稼動モードから待機モードに切り替えられる。
【0057】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態におけるX線コンピュータ断層撮影装置1によれば、RIS200とHIS201との少なくとも一方から受信された検査スケジュールデータと装置の状態(X線管71の温度、X線検出器75の温度、画像の再構成が完了した時刻、画像が記憶および転送された時刻)に基づいて、稼動モードから待機モードと待機モードから稼動モードとに切り替えることができる。これにより、本X線コンピュータ断層撮影装置1が検査に使われるときに稼動モードとなり、効率よく電力を使用することができる。また、X線コンピュータ断層撮影装置1の省電力が可能となる。また、モードの切り替えは、検査スケジュールデータに基づいているため、操作者に対する負担は皆無である。X線コンピュータ断層撮影装置1の状態をリアルタイムで監視することにより、細かなモードの切り替えが可能となり、さらなる省電力が可能となる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…X線コンピュータ断層撮影装置、3…寝台部、5…高電圧発生部、7…架台部、9…インターフェース、10…記憶部、11…コンソール、13…電源部、15…電源制御部、17…計測部、31…天板、71…X線管、73…回転リング、75…X線検出器、77…データ収集回路(DAS)、101…X線の放射範囲、103…撮影領域、110…再構成部、113…制御部、115…表示部、117…入力部、200…放射線部門情報管理システム(RIS)、201…病院情報システム(HIS)、711…第1のヒータ、713…冷却装置、715…X線の焦点、751…第2のヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有する架台部と、前記被検体が載置される寝台部と、X線コンピュータ断層撮影のために前記架台部と前記寝台部とを制御するとともに、前記X線コンピュータ断層撮影で収集された投影データに基づいて画像を再構成するコンソールとを有するX線コンピュータ断層撮影装置において、
前記X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータを記憶する記憶部と、
前記架台部と前記寝台部と前記コンソールとに電力を供給する稼動モードと前記寝台部と前記架台部とへの電力の供給を停止し、前記稼動モードで供給される電力に比べて少ない電力を前記コンソールに供給する待機モードとで選択的に動作可能な電源部と、
前記検査スケジュールデータに基づいて、前記稼動モードから前記待機モードへの切り替えを制御する電源制御部と、
を具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
放射線部門情報管理システムと病院情報システムとの少なくとも一方に電子的通信回線を介して接続するためのインターフェースをさらに具備し、
前記記憶部は、前記インターフェースを介して前記放射線部門情報管理システムまたは前記病院情報システムから受信したX線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータをさらに記憶すること、
を特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記記憶部は、X線コンピュータ断層撮影の終了時刻から前記X線管の温度状態が冷却状態に達するまでの第1の時間をさらに記憶し、
前記電源制御部は、前記検査スケジュールデータと前記第1の時間とに基づいて、前記稼動モードから前記待機モードへの切り替えを制御すること、
を特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記電源制御部は、前記検査スケジュールデータに基づいて、前記待機モードから前記稼動モードへの切り替えをさらに制御すること、
を特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記X線管の温度状態が冷却状態から加熱状態に達するまでの第2の時間をさらに記憶し、
前記電源制御部は、前記検査スケジュールデータと前記第2の時間とに基づいて、前記待機モードから前記稼動モードへの切り替えをさらに制御すること、
を特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有する架台部と、前記被検体が載置される寝台部と、X線コンピュータ断層撮影のために前記架台部と前記寝台部とを制御するとともに、前記X線コンピュータ断層撮影で収集された投影データに基づいて画像を再構成するコンソールとを有するX線コンピュータ断層撮影装置において、
前記架台部と前記寝台部と前記コンソールとに電力を供給する稼動モードと前記寝台部と前記架台部とへの電力の供給を停止し、前記稼動モードで供給される電力に比べて少ない電力を前記コンソールに供給する待機モードとで選択的に動作可能な電源部と、
前記架台部の温度状態と前記コンソールにおける前記投影データの処理状態とに基づいて、前記稼動モードから前記待機モードへの切り替えを制御する電源制御部と、
を具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記X線管の温度と前記X線検出器の温度とを計測する計測部と、
前記コンソールで再構成された画像と所定の閾値とを記憶する記憶部とをさらに具備し、
前記架台部の温度状態は、計測された前記X線管の温度が前記所定の閾値より高い温度から前記所定の閾値へ達した冷却状態であり、
前記コンソールにおける前記投影データの処理状態は、前記画像が再構成され前記記憶部に前記画像が記憶された状態であること、
を特徴とする請求項6記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
放射線部門情報管理システムと病院情報システムとの少なくとも一方に電子的通信回線を介して接続するためのインターフェースと、
前記インターフェースを介して前記放射線部門情報管理システムまたは前記病院情報システムから受信したX線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータを記憶する記憶部と、
前記X線管の温度と前記X線検出器の温度とを計測する計測部とをさらに具備し、
前記電源制御部は、計測された前記X線管の温度と計測された前記X線検出器の温度との少なくとも一方と前記検査スケジュールデータとに基づいて、前記待機モードから前記稼動モードへの切り替えをさらに制御すること、
を特徴とする請求項6記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有する架台部と、前記被検体が載置される寝台部と、X線コンピュータ断層撮影のために前記架台部と前記寝台部とを制御するとともに、前記X線コンピュータ断層撮影で収集された投影データに基づいて画像を再構成するコンソールとを有するX線コンピュータ断層撮影装置において、
前記X線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータを記憶する記憶部と、
前記架台部と前記寝台部と前記コンソールとに電力を供給する稼動モードと前記寝台部と前記架台部とへの電力の供給を停止し、前記稼動モードで供給される電力に比べて少ない電力を前記コンソールに供給する待機モードとで選択的に動作可能な電源部と、
前記架台部の温度状態と前記コンソールにおける前記投影データの処理状態とに基づいて前記稼動モードから前記待機モードへの切り替えと、前記架台部の温度状態と前記検査スケジュールデータとに基づいて前記待機モードから前記稼動モードへの切り替えとを制御する電源制御部と、
を具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
放射線部門情報管理システムと病院情報システムとの少なくとも一方に電子的通信回線を介して接続するためのインターフェースをさらに具備し、
前記記憶部は、前記インターフェースを介して前記放射線部門情報管理システムまたは前記病院情報システムから受信したX線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータをさらに記憶すること、
を特徴とする請求項9記載のX線コンピュータ断層撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−34791(P2012−34791A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176734(P2010−176734)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】