説明

X線検査方法及びX線検査装置

【課題】良品における半田形状を安定化させて、良品の場合と不良品の場合とで半田形状の差異を顕著にすることによって、検査精度を向上させる。
【解決手段】ランド22の縁部分がレジスト24に覆われた基板20と、ランド22に半田付けされた電極32を有する電子部品30との半田付け状態を検査するX線検査方法であって、基板20にX線を照射するX線照射ステップと、X線照射ステップにおいて照射し基板20を透過したX線を検出するX線検出ステップと、X線検出ステップにおいて検出したX線に基づいて、半田40の水平断面画像を生成する断面画像生成ステップと、断面画像生成ステップにおいて生成した水平断面画像の半田形状に基づいて、半田付け状態を判定する判定ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、プリント基板と電子部品との半田付け状態を検査するX線検査方法及びX線検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板には、プリント基板上に配線されたパターン配線と電子部品の電極を半田付けにより接続するランドと、ランド部分に開口を有する保護膜であるレジストが形成されている。
ここで、プリント基板のパッド構造は、ランドの径よりも開口径が大きなレジストを用いたノン・ソルダー・マスク・ディファイン(NSMD)構造を採用している。
【0003】
このNSMD構造のプリント基板と、ランドに半田付けされた部品電極を有する電子部品との半田付け状態をX線検査する3次元X線CT検査装置では、半田の複数位置での水平断面画像を生成して、その水平断面画像の半田形状から半田付け状態の良否判定を行っている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−276001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のプリント基板ではパッド構造としてNSMD構造を採用しているため、電子部品の半田付けを行った際に、正常に半田付けが行われた場合にもパターン配線に半田が引っ張られてしまうために、半田形状がばらついてしまう。そのため、良品の半田形状と不良品の半田形状との差異がわかりにくくなり、検査精度が低下するといった課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、良品における半田形状を安定化させて、良品の場合と不良品の場合とで半田形状の差異を顕著にすることによって、検査精度を向上させることができるX線検査方法及びX線検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るX線検査方法は、ランドの縁部分がレジストに覆われた基板と、ランドに半田付けされた電極を有する電子部品との半田付け状態を検査するX線検査方法であって、基板にX線を照射するX線照射ステップと、X線照射ステップにおいて照射し基板を透過したX線を検出するX線検出ステップと、X線検出ステップにおいて検出したX線に基づいて、半田の水平断面画像を生成する断面画像生成ステップと、断面画像生成ステップにおいて生成した水平断面画像の半田形状に基づいて、半田付け状態を判定する判定ステップとを有するものである。
【0008】
また、この発明に係るX線検査装置は、ランドの縁部分がレジストに覆われた基板と、ランドに半田付けされた電極を有する電子部品との半田付け状態を検査するX線検査装置であって、基板にX線を照射するX線発生器と、X線発生器により照射され基板を透過したX線を検出するX線検出部と、X線検出部により検出されたX線に基づいて、半田の水平断面画像を生成する断面画像生成部と、断面画像生成部により生成された水平断面画像の半田形状に基づいて、半田付け状態を判定する判定部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、上記のように構成したので、良品における半田形状を安定化させて、良品の場合と不良品の場合とで半田形状の差異を顕著にすることによって、検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1におけるプリント基板及び電子部品の構成を示す(a)半田付け前の断面図であり、(b)半田付け後の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るX線検査装置の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るX線検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1における電子部品が実装されたプリント基板の断面図及び検査位置における水平断面図であり、(a)プリント基板にSMD構造を用いた良品を示す図であり、(b)プリント基板にNSMD構造を用いた良品を示す図であり、(c)プリント基板にSMD構造を用いた不良品を示す図であり、(d)プリント基板にNSMD構造を用いた不良品を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1における電子部品が実装されたプリント基板の断面図及び検査断面における水平断面図であり、(a)電子部品にSMD構造を用いた良品を示す図であり、(b)電子部品にNSMD構造を用いた良品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
まず、X線検査装置10により検査を行う、電子部品30が実装されたプリント基板20について説明する。なお以下では、電子部品30としてBGA(Ball Grid Array)パッケージ部品を用いた場合について説明する。
プリント基板20は、図1に示すように、基材21上に配線された不図示のパターン配線と電子部品30の部品電極32とを接続する銅箔からなるランド22と、ランド22上に印刷された半田23と、ランド22部分が開口した保護膜である基板レジスト24とから構成される。
【0012】
ここで、プリント基板20は、パッド構造としてSMD構造を採用している。
このSMD構造は、図1に示すように、ランド22径よりも開口径が小さい基板レジスト24を用いて、ランド22の縁部分が基板レジスト24に覆われるように構成したものである。
【0013】
また、電子部品30は、図1に示すように、インターポーザ31の裏面に形成された部品電極32と、部品電極32に付けられた半田ボール33と、部品電極32部分が開口した部品レジスト34とから構成される。
【0014】
上記のように構成されたプリント基板20に電子部品30を実装する際には、半田23上に電子部品30を実装して取り付け、リフロー炉により加熱して一体化させる。この際、ランド22と半田40との間に、数μm〜数十μm厚の金属間化合物が形成されることによって、プリント基板20と電子部品30とを接合することができる。
【0015】
次に、X線検査装置の構成について説明する。
X線検査装置10は、図2に示すように、X線発生器11及びX線検出器12から構成される。また、X線検出器12は、X線検出部13、制御部14、断面画像生成部15及び判定部16から構成される。
【0016】
X線発生器11は、軸aを中心に回動しながら不図示の検査台に載置されたプリント基板20にX線を照射するものである。このX線発生器11は、図1の点線で示すような範囲に対してX線を照射する。
【0017】
X線検出部13は、X線発生器11により照射され、プリント基板20を透過したX線を検出するものであり、プリント基板20を介してX線発生器11に対向して配置される。このX線検出部13により検出されたX線データは断面画像生成部15に送られる。
【0018】
制御部14は、所定のプログラムに従って、X線検査装置10の各部の動作制御を行うものである。
断面画像生成部15は、X線検出部13により検出されたX線データに対して画像処理を行い、半田40の所定位置での水平断面画像を生成するものである。この断面画像生成部15により生成された水平断面画像は判定部16に送られる。
【0019】
判定部16は、断面画像生成部15により生成された所定位置での水平断面画像により得られた半田径もしくは半田形状に基づいて、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態の良否判定を行うものである。
【0020】
次に、X線検査装置10の動作について説明する。
X線検査装置10により電子部品30が実装されたプリント基板20の半田付け状態の良否判定を行う際には、図3に示すように、まず、X線発生器11は、回動しながら検査台に載置されたプリント基板20にX線を照射する(ステップST1、X線照射ステップ)。
【0021】
次いで、X線検出部13は、X線発生器11により照射され、プリント基板20を透過したX線を検出する(ステップST2、X線検出ステップ)。このX線検出部13により検出されたX線データは断面画像生成部15に送られる。
【0022】
次いで、断面画像生成部15は、X線検出部13により検出されたX線データに対して画像処理を行い、半田40の所定位置での水平断面画像を生成する(ステップST3、断面画像生成ステップ)。この断面画像生成部15により生成された水平断面画像は判定部16に送られる。
次いで、判定部16は、断面画像生成部15により生成された水平断面画像の半田形状に基づいて、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態の良否判定を行う(ステップST4、判定ステップ)。
【0023】
ここで、従来のNSMD構造のプリント基板20では、図4(b)に示すように、半田付けが正常に行われた際(良品)にも、半田40がランド22のパターン配線の引き回しによりひっぱられるため、半田形状がいびつになる。
そのため、図4(c)に示すNSMD構造のプリント基板20の不良品での半田形状との識別が困難となり、誤判定が生じやすく検査精度が下がる。
【0024】
一方、SMD構造のプリント基板20では、図4(a)に示すように、半田付けを行った際にパターン配線への半田40の流れ出しを抑制することができるため、パターン配線の引き回しの影響を受けずに半田形状を安定化させることができる。
そのため、図4(c)に示すNSMD構造のプリント基板20の不良品での半田形状や図4(d)に示すSMD構造のプリント基板20の不良品での半田形状との差異が顕著となり、高精度に半田付け状態を良否判定することができる。
【0025】
以上のように、この実施の形態1によれば、プリント基板20のパッド構造としてSMD構造を採用することで、従来のNSMD構造のプリント基板20に対して、半田付けを行った際のパターン配線への半田40の流れ出しが抑制することができるため、半田形状を安定化させることが可能となる。そのため、良品の場合と不良品の場合とで半田形状の差異が顕著となり、高精度に半田付け状態を良否判定することができ、自動検査に適応することができる。
【0026】
なお、実施の形態1に係るX線検査方法は、特にランド22と半田40との間の接合面(ランド22上面0μm〜100μmの位置)付近の半田形状を検査する場合において有用である。
【0027】
また、実施の形態1に係るX線検査方法のように、プリント基板20側の半田付け状態を検査する場合には、プリント基板20をSMD構造としていればよく、図5に示すように、電子部品30のパッド構造はNSMD構造またはSMD構造のどちらであっても高精度に検査することが可能となる。
【0028】
さらに、実施の形態1では、プリント基板20側の半田付け状態の検査を行う場合について示したが、電子部品30側の半田付け状態を検査する場合には、電子部品30のパッド構造としてSMD構造を採用することで、部品電極22と半田40間の半田付け状態を高精度に検査することも可能となる。なお、この場合には、特に部品電極32と半田40との接合面(電極下面0μm〜100μmの位置)付近の半田形状を検査する場合において有用である。
【0029】
さらに、プリント基板20のパッド構造としてSMD構造を採用した場合には、パターン配線への半田40の流れ出しが抑制できるため、半田付け後に形成される半田40の体積量のばらつきが小さくなる。この半田40の体積量のばらつきの減少に伴い、半田中心位置での半田径のばらつきも小さくなるため、X線検査装置10において、この半田最大径もしくは半田最小径から半田付けの良否判定を行うように構成してもよく、高精度な検査を実現することが可能となる。
【0030】
また、実施の形態1では、電子部品30としてBGAパッケージ部品を用いた場合について示したが、これに限るものではなく、例えば、LGA(Land Grid Array)パッケージ部品等の裏面電極を有するIC部品を用いた場合についても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 X線検査装置、11 X線発生器、12 X線検出器、13 X線検出部、14 制御部、15 断面画像生成部、16 判定部、20 プリント基板、21 基材、22 ランド、23 半田、24 基板レジスト、30 電子部品、31 インターポーザ、32 部品電極、33 半田ボール、34 部品レジスト、40 半田。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランドの縁部分がレジストに覆われた基板と、前記ランドに半田付けされた電極を有する電子部品との半田付け状態を検査するX線検査方法であって、
前記基板にX線を照射するX線照射ステップと、
前記X線照射ステップにおいて照射し前記基板を透過したX線を検出するX線検出ステップと、
前記X線検出ステップにおいて検出したX線に基づいて、前記半田の水平断面画像を生成する断面画像生成ステップと、
前記断面画像生成ステップにおいて生成した水平断面画像の半田形状に基づいて、半田付け状態を判定する判定ステップとを有する
ことを特徴とするX線検査方法。
【請求項2】
前記電子部品は、前記電極の縁部分がレジストに覆われている
ことを特徴とする請求項1記載のX線検査方法。
【請求項3】
前記断面画像生成ステップは、前記ランドと前記半田間の水平断面画像を生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のX線検査方法。
【請求項4】
前記断面画像生成ステップは、前記電極と前記半田間の水平断面画像を生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のX線検査方法。
【請求項5】
前記断面画像生成ステップは、前記半田の中心部分の水平断面画像を生成し、
前記判定ステップは、前記断面画像生成ステップにおいて生成した前記水平断面画像の半田径もしくは半田形状に基づいて、半田付け状態を判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のX線検査方法。
【請求項6】
ランドの縁部分がレジストに覆われた基板と、前記ランドに半田付けされた電極を有する電子部品との半田付け状態を検査するX線検査装置であって、
前記基板にX線を照射するX線発生器と、
前記X線発生器により照射され前記基板を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部により検出されたX線に基づいて、前記半田の水平断面画像を生成する断面画像生成部と、
前記断面画像生成部により生成された水平断面画像の半田形状に基づいて、半田付け状態を判定する判定部とを備えた
ことを特徴とするX線検査装置。
【請求項7】
前記電子部品は、前記電極の縁部分がレジストに覆われている
ことを特徴とする請求項6記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記断面画像生成部は、前記ランドと前記半田間の水平断面画像を生成する
ことを特徴とする請求項6または請求項7記載のX線検査装置。
【請求項9】
前記断面画像生成部は、前記電極と前記半田間の水平断面画像を生成する
ことを特徴とする請求項6または請求項7記載のX線検査装置。
【請求項10】
前記断面画像生成部は、前記半田の中心部分の水平断面画像を生成し、
前記判定部は、前記断面画像生成部により生成された前記水平断面画像の半田径もしくは半田形状に基づいて、半田付け状態を判定する
ことを特徴とする請求項6または請求項7記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−169790(P2011−169790A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34637(P2010−34637)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】