X線検査装置およびX線検査方法
【課題】迅速に3次元的な位置情報を得ることで効率的に精度の高い検査を行うことができるX線検査装置およびX線検査方法を提供する。
【解決手段】被検査体SにX線を照射するX線源110と、被検査体SのX線透過像を、それぞれ異なる照射角度範囲で検出する複数の検出領域を有するX線検出器140と、被検査体を移動可能に支持する移動用ステージ120と、を備え、移動用ステージ120は、一つの被検査体Sに対し複数の照射角度範囲のX線透過像を検出できるように被検査体Sを移動させて、検査を行う。これにより、一つの被検査体Sについて、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、複数のX線透過像から3次元的な位置情報を得ることができる。また、一回の検出で複数の検出領域についてX線透過像のデータを得て、効率的に精度の高い検査を行うことができる。
【解決手段】被検査体SにX線を照射するX線源110と、被検査体SのX線透過像を、それぞれ異なる照射角度範囲で検出する複数の検出領域を有するX線検出器140と、被検査体を移動可能に支持する移動用ステージ120と、を備え、移動用ステージ120は、一つの被検査体Sに対し複数の照射角度範囲のX線透過像を検出できるように被検査体Sを移動させて、検査を行う。これにより、一つの被検査体Sについて、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、複数のX線透過像から3次元的な位置情報を得ることができる。また、一回の検出で複数の検出領域についてX線透過像のデータを得て、効率的に精度の高い検査を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インラインに適用可能なX線検査装置およびX線検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板の部品実装密度が高まり、従来の光学的外観検査だけでは検査が十分でない場合が増加している。そのため、X線透視技術を用いた基板検査装置が普及している。たとえば、基板上のハンダ付け不良を非破壊検査するため、基板正面のX線透過像を得て不良の有無を検査する方法が知られている。このような検査方法(単純透視法)を用いるX線検査装置は、X線透過像上のX線透過量で不良の有無を検査するため、撮影時間は15秒程度であり、演算時間はほとんどゼロである。したがって、この検査スピードを活かして、単純透視法によるX線検査装置はすでにインラインに導入されている。
【0003】
一方、3次元的な位置情報まで得られるX線検査装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1記載のX線検査装置は、X線源の向きを制御して、被写体の被写面に対して垂直方向にX線を照射して撮影した画像と被写体の被写面に対して垂直方向から一定角度ずらした斜め方向にX線を照射して撮影した画像とを比較している。このようにして、基板の上面と下面の面上の同じ位置に被写体が実装されている場合でも、上面の画像と下面の画像を分離して検査を行うことを可能としている。
【特許文献1】特開2001−083104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単純透視法によるX線検査装置では、ボイドやクラック等の異常の存在を知ることはできても、その3次元的な位置までは分からなかった。一方、特許文献1記載のX線検査装置では、異常の3次元的な位置情報まで得られるが、検査に時間がかかりすぎ、インラインに適用できないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、迅速に3次元的な位置情報を得ることで効率的に精度の高い検査を行うことができるX線検査装置およびX線検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係るX線検査装置は、被検査体にX線を照射するX線源と、前記被検査体のX線透過像を、それぞれ異なる照射角度範囲で検出する複数の検出領域を有するX線検出器と、前記被検査体を移動可能に支持する移動用ステージと、を備え、前記移動用ステージは、一つの前記被検査体に対し複数の照射角度範囲のX線透過像を検出できるように前記被検査体を移動させて、検査を行うことを特徴としている。
【0007】
このように、本発明のX線検査装置は、被検査体を移動させて異なる照射角度範囲の透過X線像を検出する。これにより、一つの被検査体について、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、複数のX線透過像から3次元的な位置情報を得ることができる。被検査体には、たとえばハンダボール付きの基板が挙げられる。基板上に生じたハンダ付け不良等の異常について検査する場合には、本発明のX線検査装置により基板の厚み方向について異常の位置を判別することができる。なお、照射角度範囲とは、X線源を中心とする角度範囲である。
【0008】
また、被検査体を検査する場合には、検出領域に応じた距離だけ被検査体を移動させることで、一回の検出で被検査体について複数の照射角度範囲のX線透過像データを得ることができる。その結果、3次元的な位置情報を得るとともに、インラインに適用可能な速さで検査することができる。
【0009】
(2)また、本発明に係るX線検査装置は、前記移動用ステージが、X線透過像の検出の度に前記検出領域に対応する距離だけ前記被検査体を移動させることを特徴としている。これにより、被検査体について、効率よくX線透過像を得ることができる。そして、このようなX線検出を連続して行うことで、たとえば、プリント基板について、単純透過法を行う場合と同等の速さで検査を行うことが可能となる。また、任意に設定できる検出領域に対応する距離だけ被検査体を移動させるため、基板Sにおける1回分の撮影範囲を調整して検査を行うことができる。これにより、たとえばプリント基板の設計に応じて検査用の単一の撮影範囲を決めることができる。
【0010】
(3)また、本発明に係るX線検査装置は、前記複数の検出領域のうち、互いに隣り合う検出領域が接することを特徴としている。これにより、短い移動距離で被検査体の全体を検査することができる。一方、検出領域が離間している場合には、被検査体の全体について各検出領域でX線透過像を検出しようとすると無駄な被検査体の移動が必要となる。
【0011】
(4)また、本発明に係るX線検査装置は、前記X線検出器が、前記被検査体の正照射像を検出する正照射検出領域を有することを特徴としている。これにより、被検査体の正照射像を検出でき、正照射像を用いて簡易に被検査体の2次元的な情報を得ることができる。たとえば、正照射像により異常が基板の主面方向のどの位置にあるかを容易に判断することができる。なお、正照射像とは、被検査体の正面から照射されたX線により得られるX線透過像である。主面とは部材のもっとも広い面を指す。
【0012】
(5)また、本発明に係るX線検査装置は、前記各被検査体の検査用単位領域に対応付けて前記各検出領域で得られたX線透過像のデータを記憶する記憶部と、前記被検査体の検査用単位領域について、前記各検出領域で得られたX線透過像のデータを出力する出力部と、を更に備えることを特徴としている。これにより、ユーザは各検査用単位領域について異なる照射角度範囲のX線透過像を参照し、3次元的な位置情報を確認することができる。
【0013】
(6)また、本発明に係るX線検査方法は、被検査体について、それぞれ異なる照射角度範囲のX線透過像を同時に検出する検出段階と、前記X線照射の各照射角度範囲に対応する分だけ前記被検査体を移動させる移動段階と、を有し、前記検出段階および移動段階を交互に繰り返すことで、一つの前記被検査体に対して異なる照射角度範囲のX線透過像を得ることを特徴としている。
【0014】
このように、本発明のX線検査方法では、被検査体に対し、同時に複数の照射角度範囲でX線透過像を検出する。これにより、一つの被検査体について、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、被検査体の3次元的な位置情報を得ることができる。また、本発明のX線検査方法では、X線照射の各照射角度範囲に対応する分だけ被検査体を移動させる。これにより、一度に各照射角度範囲のX線透過像を得られる。このようにして、効率的に精度の高い検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一つの被検査体について、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、複数のX線透過像から3次元的な位置情報を得ることができる。また、一回の検出で複数の検出領域についてX線透過像のデータを得て、効率的に精度の高い検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[実施形態1]
(X線検査装置の構成)
図1は、X線検査装置100を示す概略図である。図1に示すように、X線検査装置100は、X線源110、XYステージ120(移動用ステージ)、X線検出器140、PC150を備えている。X線検査装置100は、被検査体についてX線透過像を検出し、検出および移動を連続して行うことで、被検査体の3次元的な構造を検査する。以下では、被検査体の例にハンダボール付きの基板Sを挙げて説明する。
【0018】
X線源110は、所定の位置に固定されており、広角照射野で基板SにX線を照射する。X線源110は、X線の焦点サイズがミクロン単位のマイクロフォーカスX線源である。XYステージ120(移動用ステージ)は、X線源110とX線検出器140との間に位置する基板Sを移動可能に支持する。XYステージ120は、PC150により制御され、あらかじめ決められた所定の経路に沿って所定のタイミングで所定の距離を移動する。すなわち、XYステージ120は、X線検出器140の各検出段階の間に基板Sを所定の向きに所定の距離だけ移動させる。その結果、XYステージ120は、X線の検出ごとに異なる検出領域で基板Sの透過X線像を検出できるように検出領域に対応する距離だけ基板Sを移動させる。検出領域は任意に設定できるため、基板Sにおける1回分の撮影範囲を調整して検査を行うことができる。この移動の動作の詳細については後述する。また、XYステージ120は、基板Sの搬送機構を兼ねており、基板Sの部品実装工程に利用することができる。
【0019】
X線検出器140は、所定の位置に固定されており、それぞれ一定の照射角度範囲でX線源から照射されるX線を検出する検出領域を2以上有する。各検出領域のうち互いに隣り合う検出領域は接するのが好ましい。これにより、短い移動距離での全体を検査することができる。これにより、短い移動距離で基板Sの全体を検査することができる。一方、検出領域が離間している場合には、基板Sの全体について各検出領域でX線透過像を検出しようとすると無駄な基板Sの移動が必要となる。なお、互いに隣り合う検出領域が接する場合には、これらに対応する照射角度範囲も互いに接することになる。
【0020】
検査前にあらかじめX線検出器140の位置を調整することは可能となっている。X線検出器140は、260×200mm程度の大型サイズが好ましい。また、X線検出器140は、高位置分解能、高S/N比を有することが好ましく、画像の認識度が高いことが好ましい。
【0021】
X線検出器140は、基板S上に規則的に配列された領域Sの透過X線像を各検出領域141〜144で検出可能な位置に設置されている。検出領域の詳細については後述する。なお、X線源110との距離を伸縮自在に調整できる拡大変更機構を備えていてもよい。X線検出器140の検出時間は15〜20秒程度であれば十分である。検出時間は基板Sの製造工程のスループットを考慮してあらかじめ決定される。
【0022】
PC150は、X線源110、XYステージ120、およびX線検出器140に制御バスNにより接続され、これらの機器を制御する。PC150は、記憶部152、入力部154、出力部156および制御部158を備える。記憶部152は、各領域Snに対して各検出領域141〜144で得られた検出データを記憶する。入力部154は、ユーザからの入力を受け付ける。たとえば、入力部154は、領域Snを選択する操作を受け付ける。補正部153は、斜入照射像の歪みを補正する。
【0023】
出力部156は、ユーザにより選択された領域Snについて、各検出領域141〜144の検出データを出力する。これにより、ユーザは領域Snについて異なる照射角度範囲のX線透過像を参照し、3次元的な位置情報を確認することができる。たとえば、ハンダ付け不良について基板Sの主面方向の位置だけでなく、基板Sの厚み方向の位置を判別することができる。制御部158は、各部の制御を行う。
【0024】
図2(a)は、X線源110から見たX線検出器140を示す平面図である。X線検出器140は、フラットパネル型の検出器であり、X線源110に対向する検出面147を有している。検出面147には、それぞれ一定の照射角度範囲でX線源110から照射されるX線を検出する第1から第4の検出領域141〜144が設定されている。第1から第4の検出領域141〜144は、時計と逆まわりの順に正照射検出領域141および各斜入射領域142〜144が設けられている。
【0025】
ここで、照射角度範囲とは、X線源110を中心とする角度範囲である。なお、図2(a)に示す例において、検出領域141〜144は4つであるが、2つや3つであってもよい。正照射検出領域141は、図2(a)で円に×が描かれた記号により示されている領域であり、検出面147に対して垂直に入射するX線を検出する。このように正照射検出領域141が、領域Snの正照射像を検出でき、ユーザは、正照射像を用いて簡易に領域Snの2次元的な情報を得ることができる。たとえば、正照射像を見ることによりハンダ付け不良が基板の主面方向のどの位置にあるかを容易に判断することができる。
【0026】
また、各斜入照射検出領域142〜144は、それぞれ正照射の方向からその斜入照射検出領域142〜144向きに照射角度範囲が傾斜しているX線を検出する領域である。斜入照射検出領域142〜144は、図2(a)の矢印により示されている領域であり、矢印の向きは照射角度範囲の向きを示している。
【0027】
図2(b)は、図2(a)のBの矢印の方向から見たX線源110、XYステージ120およびX線検出器140を示す正面図である。図2(c)は、図2(a)のCの矢印の方向から見たX線源110、XYステージ120およびX線検出器140を示す側面図である。たとえば、斜入照射検出領域143は、図2(b)に示すX線照射の照射角度範囲θ1〜θ2に対応している。また、斜入照射検出領域142は、図2(b)に示すX線照射の照射角度範囲φ1〜φ2に対応している。このように照射角度範囲は、ある軸を基準とした角度の範囲を示している。このような構成をとることにより、基板Sに対し垂直方向の透視と傾斜方向の透視を同時に実行することができる。
【0028】
図3(a)は、X線源110から見た基板Sを示す平面図である。基板Sには、ハンダボールSs1が形成されている。そして、基板SにはハンダボールSs1により形成される同じパターンが繰り返し設けられている。このように基板に配列性がある場合には、たとえば、図3(a)に示す破線により基板Sを各領域Snに分割して取り扱うことができる。これらによって決まった破線間の距離をX、Yと表すとき、それらの距離に従ってXYステージを移動させる。なお、一例として移動距離をX、Yとして説明するが、移動距離はユーザが求める解像度や、基板Sの実装デバイスの種類に応じて任意に決定することができる。
【0029】
図3(b)は、基板Sの領域SnとX線検出器140の検出領域141〜144との関係を示す斜視図である。図3(b)に示すように、サイズX×Yの領域S1を透過したX線がX線検出器140上のサイズU×Wの検出領域141で検出されている。どのように区切るか、また各領域の正照射像や斜入照射像を得るかということに対応してX線検出器140の検出面147をどのような検出領域に区切るかが決まる。
【0030】
基板Sを検査用単位領域として領域Sn(n=1、2、・・・)ごとにX線検出が行われる一例を以下に説明する。なお、説明する例は一例であって、検査用単位領域が基板S上の繰り返し単位と一致する必要はない。図4(a)、(b)は、基板Sを拡大した平面図、および断面図である。図4(a)、(b)に示すように、基板Sの両主面にはそれぞれ同じパターンのハンダボールSs1、Ss2が設けられている。図4(a)、(b)に示す例では、ハンダボールSs1、Ss2が、正方形状のパターンに配列している。基板Sでは、このようなパターンが何十個と繰り返されて設けられている。なお、領域Snのサイズは、200〜250mm程度である。なお、基本的には基板Sのすべての領域をカバーするように検査を行うが、時間がない等の事情がある場合には、選択した領域のみの検査を行うこととしてもよい。
【0031】
図5(a)、(b)は、領域S1の正照射像および斜入照射像を示す図である。図5(a)に示すように、ハンダボールSs1、Ss2の正照射像Tsは、上下のハンダボールSs1、Ss2の像が重なって円く写る。この場合には、1つのピークを有するX線強度分布が得られる。また、図5(b)に示すように、ハンダボールSs1、Ss2の斜入照射像Rsは、X線照射の傾斜により上下のハンダボールSs1、Ss2の像が重なった位置からずれた像となっている。
【0032】
このような正照射像T1および斜入照射像R1を用いて、効率よくハンダボールの基板へのハンダ付け不良の存在および位置を判定する方法を以下に説明する。図6(a)〜(c)は、正常に基板Sの両主面に設けられたハンダボールSs1、Ss2を示す断面図、その正照射像Tsおよび斜入照射像Rsを示す図である。図6(a)に示す矢印b、cは、それぞれ正照射のX線入射方向、斜入射のX線入射方向を示している。図6(d)〜(f)は、ハンダ付けが不良であるハンダボールSs1、Ss2を示す断面図、その正照射像Tsおよび斜入照射像Rsを示す図である。図6(d)に示す矢印e、fは、それぞれ正照射のX線入射方向、斜入射のX線入射方向を示している。図6(b)および(e)に示される正照射像Tsを比較すると、濃淡の違いにより図6(e)に示す正照射像Tsに異常があることが分かる。しかし、正照射像Tsはいずれも同じ円形であり、ハンダ付け不良が基板Sの上面にあるのか下面にあるのかは判断できない。
【0033】
一方、図6(c)および(f)に示される斜入照射像Rsを比較すると、正常にハンダ付けされたハンダボールは重なって見えるのに対し、ハンダ付け不良により浮いているハンダボールSs2(図6(d))は、正常なものに比べて上下のハンダボールの影が離れている。この像により、ハンダ付け不良が基板Sの下側にある等の情報が得られる。
【0034】
このように、異常の有無の判定方法としては、正照射像Tsで基板Sの主面上のどの位置に不良があるかを見つけておき、斜入照射像Rsでいずれ側の主面に異常があるかを見つける方法が効率的である。正照射像Tsに不良があるか否かを判断する際には、X線の輝度値のラインプロファイルを用いてもよい。なお、CADによるハンダ付けの設計データから得られるシミュレーションデータを基準に異常を判定してもよい。また、上記の例では、基板の異常としてハンダ付け不良を検査するが、ハンダボールの欠落、部品の欠落、部品の実装不良、ボイド、クラック、ハンダブリッジ、接合不良その他の異常を検査してもよい。
【0035】
(X線検査装置の動作)
次に、上記のような構成や原理を有するX線検査装置100の動作を説明する。図7(a)〜(c)および図8(d)〜(f)は、基板SおよびX線検出器140の各動作を示す平面図である。X線検出器140は所定位置に固定されており、基板Sを移動させて、各位置において検出を行う。
【0036】
図7(a)に示すように、基板Sは横方向にp回移動分、縦方向にq回移動分に検査対象となる領域Snを区分されている。X線検出器140は、正照射検出領域141を含む4つの検出領域141〜144を有している。
【0037】
検査の各動作のステップは、複数の領域Snの透過X線像を同時に検出する検出段階とXYステージ120により基板の領域の縦横のサイズ分だけ基板Sを移動させる移動段階とを繰り返すことで行う。
【0038】
まず、XYステージ120により領域S1を検出領域143で検出できる位置に、基板Sを移動させる。そして、図7(a)に示すように、その位置でX線照射し領域S1の斜入照射像を検出し、基板を次の検出の位置に移動させる(ステップ1)。次に、図7(b)に示すように、X線照射し領域S1およびS2の斜入照射像をそれぞれ検出領域143および検出領域144で検出し、次の移動を行う(ステップ2)。
【0039】
検出領域141〜144に応じた距離だけ基板Sを移動させることで、効率よく一回の検出で複数の領域SnについてX線透過像のデータを得ることができる。このようにして、検査速度を向上させてインラインに適用することができる。また、このようなX線検出を連続して行うことで、一つの基板Sについての複数の照射角度範囲によるX線透過像を得られるため、効率よく3次元的な検査を行うことができる。このようにして、効率的に精度の高い検査を行うことができる。
【0040】
上記のようにして検出および移動を繰り返すと、図7(c)に示すようにp+1回目のステップでは、領域Spを検出領域144で検出することになる。次に、基板Sを、これまでとは直角に検出領域144から検出領域141に向かう方向へ移動させる(ステップp+1)。ステップpまでの基板Sの移動は、すべて検出領域143から検出領域144に向かう方向への移動である。
【0041】
そして、図8(d)に示すように、領域Spの正照射像を検出領域141で、領域Sp+1の領域斜入照射像を検出領域144で検出し、次の移動を行う(ステップp+2)。移動は、当初の移動とは逆方向、すなわち検出領域144から検出領域143に向かう方向へ行う。次に、図8(e)に示すように、領域Sp−1、Sp、Sp+1、Sp+2のX線透過像を検出する。この検出を終えた段階で領域Spについては、正照射像およびその他の3つの斜入照射像がすべて検出されたことになる。そして、次の移動を行う(ステップp+3)。このような移動および検出を繰り返し、基板Sの全領域について、各照射像のデータを得る。最後は、図8(f)に示すように、領域Sp×qの像を検出領域142で検出して、基板Sについての検出手順を終了する(ステップ(p+1)×(q+1))。
【0042】
このように、X線検査装置100は、領域Snを移動させて、領域Snについての異なる照射角度範囲の透過X線像を検出する。これにより、一つの領域Snについて、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、複数のX線透過像から基板の厚み方向について異常等の位置を判別することができる。
【0043】
このようにして、基板Sのすべての領域Snについて、各照射像のデータがPC150に送信され、PC150は、記憶部に各領域Snに対応付けて各照射像のデータを記憶する。そして、必要に応じ各照射像について補正を行う。PC150は、ユーザの操作に応じて、これらの各照射像を画面に表示させることができる。ユーザは、各正照射像を見て、ハンダ付け不良の有無を判定し、さらに不良があったときには、斜入照射像により基板厚み方向の位置を特定することができる。なお、このような判定はユーザにより行ってもよいし、プログラムにより自動的に判定することとしてもよい。
【0044】
また、CADの設計データを用いて仮想的な基準像を作成しハンダ付け不良の位置の特定を行うこととしてもよい。また、複数の異なる照射角度範囲のX線透過像が得られるため、これらを用いていわゆるステレオスコピー処理を行うことができる。その場合には、基板Sの3次元画像が得られる。また、PC150により3次元情報をもとに不良のマッピングを行ったり、2次元プロファイルを作成することとしてもよい。
【0045】
なお、上記の実施形態では、すべての検出領域141〜144についてX線透過像を検出するが、斜入照射検出領域142〜144についてはそのうちの一つだけを用いて検出することとしてもよい。たとえば、基板Sに設けられるデバイスごとに斜入照射検出領域142〜144のいずれかを選択して検出を行うことが可能である。ある照射角度範囲については、デバイスの影になり検出対象について望みの透過像を検出できないことがある。斜入照射検出領域142〜144を切り替えてX線透過像を検出することにより、このような問題を解消することができる。
【0046】
その場合には、基板Sの設計情報に基づいてシミュレーションをし、デバイスに応じてX線透過の方向を決めておく。そして、用いる検出領域に応じてXYステージのステップ移動を行い基板Sの全体についてX線透過像の検出を行う。なお、工程の中でデバイスごとに自動判別を行い、X線透過像の検出領域を決めることとしてもよい。
【0047】
[実施形態2]
上記の実施形態では、X線検出器140は4つの検出領域を有しているが、2つの検出領域を有するものであってもよい。図9(a)〜(c)および図10(d)〜(f)は、検出領域が2つの場合の基板SおよびX線検出器140の各動作を示す平面図である。検出領域241は、正照射検出領域であり、検出領域242は、斜入照射検出領域である。
【0048】
この場合の照射像の検出手順を説明する。まず、図9(a)に示すように、領域S1を検出領域242で検出できる位置に基板Sを移動させる。そして、その位置でX線透過像を検出し、次の検出位置に基板Sを移動させる(ステップ1)。次に、図9(b)に示すように、領域S2のX線透過像を検出領域242で、領域S1のX線透過像を検出領域241で検出し、次の検出位置に基板Sを移動させる(ステップ2)。
【0049】
p+1回目のステップでは、図9(c)に示すように、領域SpのX線透過像を検出領域241で検出し、次の移動を行う(ステップp+1)。このステップで、領域S1〜Spの検出が終わり、ここまでの移動方向とは直角に基板Sを移動させる。そして、図10(d)に示すように、領域Sp+1のX線透過像を検出領域241で検出し、続く移動を行う(ステップp+2)。このステップでは、基板Sを、当初の移動方向とは逆の方向、すなわち検出領域241から検出領域242に向かう方向へ移動させる。
【0050】
ステップ2p+2では、図10(e)に示すように、領域S2pの斜入照射像を検出領域242で検出し、次の移動を行う(ステップp+3)。このような検出および移動を繰り返し、基板Sの全領域について、各照射像のデータを得る。最後は、図10(f)に示すように、領域Sp×qの斜入照射像を検出領域242で検出して基板Sについての検出手順を終了する(ステップ(p+1)×q)。
【0051】
以上の実施形態に説明するように、X線検出器140は2以上の検出領域を有するが、その数や照射方向により制限されることはない。したがって、上記の実施形態では、X線検出器140は、正照射検出領域を含めて検出領域を4つまたは2つ有していたが、これ以外のバリエーションも存在する。図11は、X線検出器の変形例を示す平面図である。
【0052】
X線検出器340は、いずれもが斜入照射検出領域である2つの検出領域を有している。X線検出器440は、正照射検出領域を含む3つの検出領域を有している。また、X線検出器540は、6つの検出領域を有している。また、X線検出器640は、9つの検出領域を有している。このように検出領域の数やその照射方向については様々な形態をとりうる。特に3以上の検出領域を利用する場合には、基板Sに設けられるデバイスの形態に応じて、用いる検出領域を切り替えることが可能である。
【0053】
上記の例では、XYステージ120の一回の移動距離を基板Sの繰り返し単位のサイズとしているが、一回の移動距離は任意に決めることができる。移動距離は一定の照射角度範囲の検出像の解像度に関係するため、上記のような繰り返し単位のようにハンダ付け不良を判定しやすい距離とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るX線検査装置を示す概略図である。
【図2】(a)X線検出器を示す平面図である。(b)X線源、XYステージおよびX線検出器を示す正面図である。(c)は、X線源、XYステージおよびX線検出器を示す側面図である。
【図3】(a)基板を示す平面図である。(b)基板の領域とX線検出器の検出領域との関係を示す斜視図である。
【図4】(a)拡大した基板を示す平面図である。(b)拡大した基板を示す断面図である。
【図5】(a)基板の正照射像を示す平面図である。(b)斜入照射像を示す平面図である。
【図6】(a)〜(c)正常に設けられたハンダボールを示す断面図、その正照射像および斜入照射像を示す図である。(d)〜(f)ハンダ付けが不良であるハンダボールを示す断面図、その正照射像および斜入照射像を示す図である。
【図7】(a)〜(c)基板およびX線検出器の各動作を示す平面図である(実施形態1)。
【図8】(d)〜(e)基板およびX線検出器の各動作を示す平面図である(実施形態1)。
【図9】(a)〜(c)基板およびX線検出器の各動作を示す平面図である(実施形態2)。
【図10】(d)〜(e)基板およびX線検出器の各動作を示す平面図である(実施形態2)。
【図11】X線検出器の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
100 X線検査装置
110 X線源
120 XYステージ(移動用ステージ)
140、240、340、440、540、640 X線検出器
141、241 正照射検出領域
142〜144、242 斜入照射検出領域
147 検出面
152 記憶部
153 補正部
154 入力部
156 出力部
158 制御部
S 基板(被検査体)
Sn 領域(検査用単位領域)
Ss1、Ss2 ハンダボール
T1 基板の領域の正照射像
Ts ハンダボールの正照射像
R1 基板の領域の斜入照射像
Rs ハンダボールの斜入照射像
【技術分野】
【0001】
本発明は、インラインに適用可能なX線検査装置およびX線検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板の部品実装密度が高まり、従来の光学的外観検査だけでは検査が十分でない場合が増加している。そのため、X線透視技術を用いた基板検査装置が普及している。たとえば、基板上のハンダ付け不良を非破壊検査するため、基板正面のX線透過像を得て不良の有無を検査する方法が知られている。このような検査方法(単純透視法)を用いるX線検査装置は、X線透過像上のX線透過量で不良の有無を検査するため、撮影時間は15秒程度であり、演算時間はほとんどゼロである。したがって、この検査スピードを活かして、単純透視法によるX線検査装置はすでにインラインに導入されている。
【0003】
一方、3次元的な位置情報まで得られるX線検査装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1記載のX線検査装置は、X線源の向きを制御して、被写体の被写面に対して垂直方向にX線を照射して撮影した画像と被写体の被写面に対して垂直方向から一定角度ずらした斜め方向にX線を照射して撮影した画像とを比較している。このようにして、基板の上面と下面の面上の同じ位置に被写体が実装されている場合でも、上面の画像と下面の画像を分離して検査を行うことを可能としている。
【特許文献1】特開2001−083104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単純透視法によるX線検査装置では、ボイドやクラック等の異常の存在を知ることはできても、その3次元的な位置までは分からなかった。一方、特許文献1記載のX線検査装置では、異常の3次元的な位置情報まで得られるが、検査に時間がかかりすぎ、インラインに適用できないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、迅速に3次元的な位置情報を得ることで効率的に精度の高い検査を行うことができるX線検査装置およびX線検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係るX線検査装置は、被検査体にX線を照射するX線源と、前記被検査体のX線透過像を、それぞれ異なる照射角度範囲で検出する複数の検出領域を有するX線検出器と、前記被検査体を移動可能に支持する移動用ステージと、を備え、前記移動用ステージは、一つの前記被検査体に対し複数の照射角度範囲のX線透過像を検出できるように前記被検査体を移動させて、検査を行うことを特徴としている。
【0007】
このように、本発明のX線検査装置は、被検査体を移動させて異なる照射角度範囲の透過X線像を検出する。これにより、一つの被検査体について、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、複数のX線透過像から3次元的な位置情報を得ることができる。被検査体には、たとえばハンダボール付きの基板が挙げられる。基板上に生じたハンダ付け不良等の異常について検査する場合には、本発明のX線検査装置により基板の厚み方向について異常の位置を判別することができる。なお、照射角度範囲とは、X線源を中心とする角度範囲である。
【0008】
また、被検査体を検査する場合には、検出領域に応じた距離だけ被検査体を移動させることで、一回の検出で被検査体について複数の照射角度範囲のX線透過像データを得ることができる。その結果、3次元的な位置情報を得るとともに、インラインに適用可能な速さで検査することができる。
【0009】
(2)また、本発明に係るX線検査装置は、前記移動用ステージが、X線透過像の検出の度に前記検出領域に対応する距離だけ前記被検査体を移動させることを特徴としている。これにより、被検査体について、効率よくX線透過像を得ることができる。そして、このようなX線検出を連続して行うことで、たとえば、プリント基板について、単純透過法を行う場合と同等の速さで検査を行うことが可能となる。また、任意に設定できる検出領域に対応する距離だけ被検査体を移動させるため、基板Sにおける1回分の撮影範囲を調整して検査を行うことができる。これにより、たとえばプリント基板の設計に応じて検査用の単一の撮影範囲を決めることができる。
【0010】
(3)また、本発明に係るX線検査装置は、前記複数の検出領域のうち、互いに隣り合う検出領域が接することを特徴としている。これにより、短い移動距離で被検査体の全体を検査することができる。一方、検出領域が離間している場合には、被検査体の全体について各検出領域でX線透過像を検出しようとすると無駄な被検査体の移動が必要となる。
【0011】
(4)また、本発明に係るX線検査装置は、前記X線検出器が、前記被検査体の正照射像を検出する正照射検出領域を有することを特徴としている。これにより、被検査体の正照射像を検出でき、正照射像を用いて簡易に被検査体の2次元的な情報を得ることができる。たとえば、正照射像により異常が基板の主面方向のどの位置にあるかを容易に判断することができる。なお、正照射像とは、被検査体の正面から照射されたX線により得られるX線透過像である。主面とは部材のもっとも広い面を指す。
【0012】
(5)また、本発明に係るX線検査装置は、前記各被検査体の検査用単位領域に対応付けて前記各検出領域で得られたX線透過像のデータを記憶する記憶部と、前記被検査体の検査用単位領域について、前記各検出領域で得られたX線透過像のデータを出力する出力部と、を更に備えることを特徴としている。これにより、ユーザは各検査用単位領域について異なる照射角度範囲のX線透過像を参照し、3次元的な位置情報を確認することができる。
【0013】
(6)また、本発明に係るX線検査方法は、被検査体について、それぞれ異なる照射角度範囲のX線透過像を同時に検出する検出段階と、前記X線照射の各照射角度範囲に対応する分だけ前記被検査体を移動させる移動段階と、を有し、前記検出段階および移動段階を交互に繰り返すことで、一つの前記被検査体に対して異なる照射角度範囲のX線透過像を得ることを特徴としている。
【0014】
このように、本発明のX線検査方法では、被検査体に対し、同時に複数の照射角度範囲でX線透過像を検出する。これにより、一つの被検査体について、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、被検査体の3次元的な位置情報を得ることができる。また、本発明のX線検査方法では、X線照射の各照射角度範囲に対応する分だけ被検査体を移動させる。これにより、一度に各照射角度範囲のX線透過像を得られる。このようにして、効率的に精度の高い検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一つの被検査体について、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、複数のX線透過像から3次元的な位置情報を得ることができる。また、一回の検出で複数の検出領域についてX線透過像のデータを得て、効率的に精度の高い検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[実施形態1]
(X線検査装置の構成)
図1は、X線検査装置100を示す概略図である。図1に示すように、X線検査装置100は、X線源110、XYステージ120(移動用ステージ)、X線検出器140、PC150を備えている。X線検査装置100は、被検査体についてX線透過像を検出し、検出および移動を連続して行うことで、被検査体の3次元的な構造を検査する。以下では、被検査体の例にハンダボール付きの基板Sを挙げて説明する。
【0018】
X線源110は、所定の位置に固定されており、広角照射野で基板SにX線を照射する。X線源110は、X線の焦点サイズがミクロン単位のマイクロフォーカスX線源である。XYステージ120(移動用ステージ)は、X線源110とX線検出器140との間に位置する基板Sを移動可能に支持する。XYステージ120は、PC150により制御され、あらかじめ決められた所定の経路に沿って所定のタイミングで所定の距離を移動する。すなわち、XYステージ120は、X線検出器140の各検出段階の間に基板Sを所定の向きに所定の距離だけ移動させる。その結果、XYステージ120は、X線の検出ごとに異なる検出領域で基板Sの透過X線像を検出できるように検出領域に対応する距離だけ基板Sを移動させる。検出領域は任意に設定できるため、基板Sにおける1回分の撮影範囲を調整して検査を行うことができる。この移動の動作の詳細については後述する。また、XYステージ120は、基板Sの搬送機構を兼ねており、基板Sの部品実装工程に利用することができる。
【0019】
X線検出器140は、所定の位置に固定されており、それぞれ一定の照射角度範囲でX線源から照射されるX線を検出する検出領域を2以上有する。各検出領域のうち互いに隣り合う検出領域は接するのが好ましい。これにより、短い移動距離での全体を検査することができる。これにより、短い移動距離で基板Sの全体を検査することができる。一方、検出領域が離間している場合には、基板Sの全体について各検出領域でX線透過像を検出しようとすると無駄な基板Sの移動が必要となる。なお、互いに隣り合う検出領域が接する場合には、これらに対応する照射角度範囲も互いに接することになる。
【0020】
検査前にあらかじめX線検出器140の位置を調整することは可能となっている。X線検出器140は、260×200mm程度の大型サイズが好ましい。また、X線検出器140は、高位置分解能、高S/N比を有することが好ましく、画像の認識度が高いことが好ましい。
【0021】
X線検出器140は、基板S上に規則的に配列された領域Sの透過X線像を各検出領域141〜144で検出可能な位置に設置されている。検出領域の詳細については後述する。なお、X線源110との距離を伸縮自在に調整できる拡大変更機構を備えていてもよい。X線検出器140の検出時間は15〜20秒程度であれば十分である。検出時間は基板Sの製造工程のスループットを考慮してあらかじめ決定される。
【0022】
PC150は、X線源110、XYステージ120、およびX線検出器140に制御バスNにより接続され、これらの機器を制御する。PC150は、記憶部152、入力部154、出力部156および制御部158を備える。記憶部152は、各領域Snに対して各検出領域141〜144で得られた検出データを記憶する。入力部154は、ユーザからの入力を受け付ける。たとえば、入力部154は、領域Snを選択する操作を受け付ける。補正部153は、斜入照射像の歪みを補正する。
【0023】
出力部156は、ユーザにより選択された領域Snについて、各検出領域141〜144の検出データを出力する。これにより、ユーザは領域Snについて異なる照射角度範囲のX線透過像を参照し、3次元的な位置情報を確認することができる。たとえば、ハンダ付け不良について基板Sの主面方向の位置だけでなく、基板Sの厚み方向の位置を判別することができる。制御部158は、各部の制御を行う。
【0024】
図2(a)は、X線源110から見たX線検出器140を示す平面図である。X線検出器140は、フラットパネル型の検出器であり、X線源110に対向する検出面147を有している。検出面147には、それぞれ一定の照射角度範囲でX線源110から照射されるX線を検出する第1から第4の検出領域141〜144が設定されている。第1から第4の検出領域141〜144は、時計と逆まわりの順に正照射検出領域141および各斜入射領域142〜144が設けられている。
【0025】
ここで、照射角度範囲とは、X線源110を中心とする角度範囲である。なお、図2(a)に示す例において、検出領域141〜144は4つであるが、2つや3つであってもよい。正照射検出領域141は、図2(a)で円に×が描かれた記号により示されている領域であり、検出面147に対して垂直に入射するX線を検出する。このように正照射検出領域141が、領域Snの正照射像を検出でき、ユーザは、正照射像を用いて簡易に領域Snの2次元的な情報を得ることができる。たとえば、正照射像を見ることによりハンダ付け不良が基板の主面方向のどの位置にあるかを容易に判断することができる。
【0026】
また、各斜入照射検出領域142〜144は、それぞれ正照射の方向からその斜入照射検出領域142〜144向きに照射角度範囲が傾斜しているX線を検出する領域である。斜入照射検出領域142〜144は、図2(a)の矢印により示されている領域であり、矢印の向きは照射角度範囲の向きを示している。
【0027】
図2(b)は、図2(a)のBの矢印の方向から見たX線源110、XYステージ120およびX線検出器140を示す正面図である。図2(c)は、図2(a)のCの矢印の方向から見たX線源110、XYステージ120およびX線検出器140を示す側面図である。たとえば、斜入照射検出領域143は、図2(b)に示すX線照射の照射角度範囲θ1〜θ2に対応している。また、斜入照射検出領域142は、図2(b)に示すX線照射の照射角度範囲φ1〜φ2に対応している。このように照射角度範囲は、ある軸を基準とした角度の範囲を示している。このような構成をとることにより、基板Sに対し垂直方向の透視と傾斜方向の透視を同時に実行することができる。
【0028】
図3(a)は、X線源110から見た基板Sを示す平面図である。基板Sには、ハンダボールSs1が形成されている。そして、基板SにはハンダボールSs1により形成される同じパターンが繰り返し設けられている。このように基板に配列性がある場合には、たとえば、図3(a)に示す破線により基板Sを各領域Snに分割して取り扱うことができる。これらによって決まった破線間の距離をX、Yと表すとき、それらの距離に従ってXYステージを移動させる。なお、一例として移動距離をX、Yとして説明するが、移動距離はユーザが求める解像度や、基板Sの実装デバイスの種類に応じて任意に決定することができる。
【0029】
図3(b)は、基板Sの領域SnとX線検出器140の検出領域141〜144との関係を示す斜視図である。図3(b)に示すように、サイズX×Yの領域S1を透過したX線がX線検出器140上のサイズU×Wの検出領域141で検出されている。どのように区切るか、また各領域の正照射像や斜入照射像を得るかということに対応してX線検出器140の検出面147をどのような検出領域に区切るかが決まる。
【0030】
基板Sを検査用単位領域として領域Sn(n=1、2、・・・)ごとにX線検出が行われる一例を以下に説明する。なお、説明する例は一例であって、検査用単位領域が基板S上の繰り返し単位と一致する必要はない。図4(a)、(b)は、基板Sを拡大した平面図、および断面図である。図4(a)、(b)に示すように、基板Sの両主面にはそれぞれ同じパターンのハンダボールSs1、Ss2が設けられている。図4(a)、(b)に示す例では、ハンダボールSs1、Ss2が、正方形状のパターンに配列している。基板Sでは、このようなパターンが何十個と繰り返されて設けられている。なお、領域Snのサイズは、200〜250mm程度である。なお、基本的には基板Sのすべての領域をカバーするように検査を行うが、時間がない等の事情がある場合には、選択した領域のみの検査を行うこととしてもよい。
【0031】
図5(a)、(b)は、領域S1の正照射像および斜入照射像を示す図である。図5(a)に示すように、ハンダボールSs1、Ss2の正照射像Tsは、上下のハンダボールSs1、Ss2の像が重なって円く写る。この場合には、1つのピークを有するX線強度分布が得られる。また、図5(b)に示すように、ハンダボールSs1、Ss2の斜入照射像Rsは、X線照射の傾斜により上下のハンダボールSs1、Ss2の像が重なった位置からずれた像となっている。
【0032】
このような正照射像T1および斜入照射像R1を用いて、効率よくハンダボールの基板へのハンダ付け不良の存在および位置を判定する方法を以下に説明する。図6(a)〜(c)は、正常に基板Sの両主面に設けられたハンダボールSs1、Ss2を示す断面図、その正照射像Tsおよび斜入照射像Rsを示す図である。図6(a)に示す矢印b、cは、それぞれ正照射のX線入射方向、斜入射のX線入射方向を示している。図6(d)〜(f)は、ハンダ付けが不良であるハンダボールSs1、Ss2を示す断面図、その正照射像Tsおよび斜入照射像Rsを示す図である。図6(d)に示す矢印e、fは、それぞれ正照射のX線入射方向、斜入射のX線入射方向を示している。図6(b)および(e)に示される正照射像Tsを比較すると、濃淡の違いにより図6(e)に示す正照射像Tsに異常があることが分かる。しかし、正照射像Tsはいずれも同じ円形であり、ハンダ付け不良が基板Sの上面にあるのか下面にあるのかは判断できない。
【0033】
一方、図6(c)および(f)に示される斜入照射像Rsを比較すると、正常にハンダ付けされたハンダボールは重なって見えるのに対し、ハンダ付け不良により浮いているハンダボールSs2(図6(d))は、正常なものに比べて上下のハンダボールの影が離れている。この像により、ハンダ付け不良が基板Sの下側にある等の情報が得られる。
【0034】
このように、異常の有無の判定方法としては、正照射像Tsで基板Sの主面上のどの位置に不良があるかを見つけておき、斜入照射像Rsでいずれ側の主面に異常があるかを見つける方法が効率的である。正照射像Tsに不良があるか否かを判断する際には、X線の輝度値のラインプロファイルを用いてもよい。なお、CADによるハンダ付けの設計データから得られるシミュレーションデータを基準に異常を判定してもよい。また、上記の例では、基板の異常としてハンダ付け不良を検査するが、ハンダボールの欠落、部品の欠落、部品の実装不良、ボイド、クラック、ハンダブリッジ、接合不良その他の異常を検査してもよい。
【0035】
(X線検査装置の動作)
次に、上記のような構成や原理を有するX線検査装置100の動作を説明する。図7(a)〜(c)および図8(d)〜(f)は、基板SおよびX線検出器140の各動作を示す平面図である。X線検出器140は所定位置に固定されており、基板Sを移動させて、各位置において検出を行う。
【0036】
図7(a)に示すように、基板Sは横方向にp回移動分、縦方向にq回移動分に検査対象となる領域Snを区分されている。X線検出器140は、正照射検出領域141を含む4つの検出領域141〜144を有している。
【0037】
検査の各動作のステップは、複数の領域Snの透過X線像を同時に検出する検出段階とXYステージ120により基板の領域の縦横のサイズ分だけ基板Sを移動させる移動段階とを繰り返すことで行う。
【0038】
まず、XYステージ120により領域S1を検出領域143で検出できる位置に、基板Sを移動させる。そして、図7(a)に示すように、その位置でX線照射し領域S1の斜入照射像を検出し、基板を次の検出の位置に移動させる(ステップ1)。次に、図7(b)に示すように、X線照射し領域S1およびS2の斜入照射像をそれぞれ検出領域143および検出領域144で検出し、次の移動を行う(ステップ2)。
【0039】
検出領域141〜144に応じた距離だけ基板Sを移動させることで、効率よく一回の検出で複数の領域SnについてX線透過像のデータを得ることができる。このようにして、検査速度を向上させてインラインに適用することができる。また、このようなX線検出を連続して行うことで、一つの基板Sについての複数の照射角度範囲によるX線透過像を得られるため、効率よく3次元的な検査を行うことができる。このようにして、効率的に精度の高い検査を行うことができる。
【0040】
上記のようにして検出および移動を繰り返すと、図7(c)に示すようにp+1回目のステップでは、領域Spを検出領域144で検出することになる。次に、基板Sを、これまでとは直角に検出領域144から検出領域141に向かう方向へ移動させる(ステップp+1)。ステップpまでの基板Sの移動は、すべて検出領域143から検出領域144に向かう方向への移動である。
【0041】
そして、図8(d)に示すように、領域Spの正照射像を検出領域141で、領域Sp+1の領域斜入照射像を検出領域144で検出し、次の移動を行う(ステップp+2)。移動は、当初の移動とは逆方向、すなわち検出領域144から検出領域143に向かう方向へ行う。次に、図8(e)に示すように、領域Sp−1、Sp、Sp+1、Sp+2のX線透過像を検出する。この検出を終えた段階で領域Spについては、正照射像およびその他の3つの斜入照射像がすべて検出されたことになる。そして、次の移動を行う(ステップp+3)。このような移動および検出を繰り返し、基板Sの全領域について、各照射像のデータを得る。最後は、図8(f)に示すように、領域Sp×qの像を検出領域142で検出して、基板Sについての検出手順を終了する(ステップ(p+1)×(q+1))。
【0042】
このように、X線検査装置100は、領域Snを移動させて、領域Snについての異なる照射角度範囲の透過X線像を検出する。これにより、一つの領域Snについて、異なる照射角度範囲のX線透過像が得られ、複数のX線透過像から基板の厚み方向について異常等の位置を判別することができる。
【0043】
このようにして、基板Sのすべての領域Snについて、各照射像のデータがPC150に送信され、PC150は、記憶部に各領域Snに対応付けて各照射像のデータを記憶する。そして、必要に応じ各照射像について補正を行う。PC150は、ユーザの操作に応じて、これらの各照射像を画面に表示させることができる。ユーザは、各正照射像を見て、ハンダ付け不良の有無を判定し、さらに不良があったときには、斜入照射像により基板厚み方向の位置を特定することができる。なお、このような判定はユーザにより行ってもよいし、プログラムにより自動的に判定することとしてもよい。
【0044】
また、CADの設計データを用いて仮想的な基準像を作成しハンダ付け不良の位置の特定を行うこととしてもよい。また、複数の異なる照射角度範囲のX線透過像が得られるため、これらを用いていわゆるステレオスコピー処理を行うことができる。その場合には、基板Sの3次元画像が得られる。また、PC150により3次元情報をもとに不良のマッピングを行ったり、2次元プロファイルを作成することとしてもよい。
【0045】
なお、上記の実施形態では、すべての検出領域141〜144についてX線透過像を検出するが、斜入照射検出領域142〜144についてはそのうちの一つだけを用いて検出することとしてもよい。たとえば、基板Sに設けられるデバイスごとに斜入照射検出領域142〜144のいずれかを選択して検出を行うことが可能である。ある照射角度範囲については、デバイスの影になり検出対象について望みの透過像を検出できないことがある。斜入照射検出領域142〜144を切り替えてX線透過像を検出することにより、このような問題を解消することができる。
【0046】
その場合には、基板Sの設計情報に基づいてシミュレーションをし、デバイスに応じてX線透過の方向を決めておく。そして、用いる検出領域に応じてXYステージのステップ移動を行い基板Sの全体についてX線透過像の検出を行う。なお、工程の中でデバイスごとに自動判別を行い、X線透過像の検出領域を決めることとしてもよい。
【0047】
[実施形態2]
上記の実施形態では、X線検出器140は4つの検出領域を有しているが、2つの検出領域を有するものであってもよい。図9(a)〜(c)および図10(d)〜(f)は、検出領域が2つの場合の基板SおよびX線検出器140の各動作を示す平面図である。検出領域241は、正照射検出領域であり、検出領域242は、斜入照射検出領域である。
【0048】
この場合の照射像の検出手順を説明する。まず、図9(a)に示すように、領域S1を検出領域242で検出できる位置に基板Sを移動させる。そして、その位置でX線透過像を検出し、次の検出位置に基板Sを移動させる(ステップ1)。次に、図9(b)に示すように、領域S2のX線透過像を検出領域242で、領域S1のX線透過像を検出領域241で検出し、次の検出位置に基板Sを移動させる(ステップ2)。
【0049】
p+1回目のステップでは、図9(c)に示すように、領域SpのX線透過像を検出領域241で検出し、次の移動を行う(ステップp+1)。このステップで、領域S1〜Spの検出が終わり、ここまでの移動方向とは直角に基板Sを移動させる。そして、図10(d)に示すように、領域Sp+1のX線透過像を検出領域241で検出し、続く移動を行う(ステップp+2)。このステップでは、基板Sを、当初の移動方向とは逆の方向、すなわち検出領域241から検出領域242に向かう方向へ移動させる。
【0050】
ステップ2p+2では、図10(e)に示すように、領域S2pの斜入照射像を検出領域242で検出し、次の移動を行う(ステップp+3)。このような検出および移動を繰り返し、基板Sの全領域について、各照射像のデータを得る。最後は、図10(f)に示すように、領域Sp×qの斜入照射像を検出領域242で検出して基板Sについての検出手順を終了する(ステップ(p+1)×q)。
【0051】
以上の実施形態に説明するように、X線検出器140は2以上の検出領域を有するが、その数や照射方向により制限されることはない。したがって、上記の実施形態では、X線検出器140は、正照射検出領域を含めて検出領域を4つまたは2つ有していたが、これ以外のバリエーションも存在する。図11は、X線検出器の変形例を示す平面図である。
【0052】
X線検出器340は、いずれもが斜入照射検出領域である2つの検出領域を有している。X線検出器440は、正照射検出領域を含む3つの検出領域を有している。また、X線検出器540は、6つの検出領域を有している。また、X線検出器640は、9つの検出領域を有している。このように検出領域の数やその照射方向については様々な形態をとりうる。特に3以上の検出領域を利用する場合には、基板Sに設けられるデバイスの形態に応じて、用いる検出領域を切り替えることが可能である。
【0053】
上記の例では、XYステージ120の一回の移動距離を基板Sの繰り返し単位のサイズとしているが、一回の移動距離は任意に決めることができる。移動距離は一定の照射角度範囲の検出像の解像度に関係するため、上記のような繰り返し単位のようにハンダ付け不良を判定しやすい距離とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るX線検査装置を示す概略図である。
【図2】(a)X線検出器を示す平面図である。(b)X線源、XYステージおよびX線検出器を示す正面図である。(c)は、X線源、XYステージおよびX線検出器を示す側面図である。
【図3】(a)基板を示す平面図である。(b)基板の領域とX線検出器の検出領域との関係を示す斜視図である。
【図4】(a)拡大した基板を示す平面図である。(b)拡大した基板を示す断面図である。
【図5】(a)基板の正照射像を示す平面図である。(b)斜入照射像を示す平面図である。
【図6】(a)〜(c)正常に設けられたハンダボールを示す断面図、その正照射像および斜入照射像を示す図である。(d)〜(f)ハンダ付けが不良であるハンダボールを示す断面図、その正照射像および斜入照射像を示す図である。
【図7】(a)〜(c)基板およびX線検出器の各動作を示す平面図である(実施形態1)。
【図8】(d)〜(e)基板およびX線検出器の各動作を示す平面図である(実施形態1)。
【図9】(a)〜(c)基板およびX線検出器の各動作を示す平面図である(実施形態2)。
【図10】(d)〜(e)基板およびX線検出器の各動作を示す平面図である(実施形態2)。
【図11】X線検出器の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
100 X線検査装置
110 X線源
120 XYステージ(移動用ステージ)
140、240、340、440、540、640 X線検出器
141、241 正照射検出領域
142〜144、242 斜入照射検出領域
147 検出面
152 記憶部
153 補正部
154 入力部
156 出力部
158 制御部
S 基板(被検査体)
Sn 領域(検査用単位領域)
Ss1、Ss2 ハンダボール
T1 基板の領域の正照射像
Ts ハンダボールの正照射像
R1 基板の領域の斜入照射像
Rs ハンダボールの斜入照射像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体にX線を照射するX線源と、
前記被検査体のX線透過像を、それぞれ異なる照射角度範囲で検出する複数の検出領域を有するX線検出器と、
前記被検査体を移動可能に支持する移動用ステージと、を備え、
前記移動用ステージは、一つの前記被検査体に対し複数の照射角度範囲のX線透過像を検出できるように前記被検査体を移動させて、検査を行うことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記移動用ステージは、X線透過像の検出の度に前記検出領域に対応する距離だけ前記被検査体を移動させることを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記複数の検出領域のうち、互いに隣り合う検出領域は接することを特徴とする請求項1または請求項2記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線検出器は、前記被検査体の正照射像を検出する正照射検出領域を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記各被検査体の検査用単位領域に対応付けて前記各検出領域で得られたX線透過像のデータを記憶する記憶部と、
前記被検査体の検査用単位領域について、前記各検出領域で得られたX線透過像のデータを出力する出力部と、を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のX線検査装置。
【請求項6】
被検査体について、それぞれ異なる照射角度範囲のX線透過像を同時に検出する検出段階と、
前記X線照射の各照射角度範囲に対応する分だけ前記被検査体を移動させる移動段階と、を有し、
前記検出段階および移動段階を交互に繰り返すことで、一つの前記被検査体に対して異なる照射角度範囲のX線透過像を得ることを特徴とするX線検査方法。
【請求項1】
被検査体にX線を照射するX線源と、
前記被検査体のX線透過像を、それぞれ異なる照射角度範囲で検出する複数の検出領域を有するX線検出器と、
前記被検査体を移動可能に支持する移動用ステージと、を備え、
前記移動用ステージは、一つの前記被検査体に対し複数の照射角度範囲のX線透過像を検出できるように前記被検査体を移動させて、検査を行うことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記移動用ステージは、X線透過像の検出の度に前記検出領域に対応する距離だけ前記被検査体を移動させることを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記複数の検出領域のうち、互いに隣り合う検出領域は接することを特徴とする請求項1または請求項2記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線検出器は、前記被検査体の正照射像を検出する正照射検出領域を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記各被検査体の検査用単位領域に対応付けて前記各検出領域で得られたX線透過像のデータを記憶する記憶部と、
前記被検査体の検査用単位領域について、前記各検出領域で得られたX線透過像のデータを出力する出力部と、を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のX線検査装置。
【請求項6】
被検査体について、それぞれ異なる照射角度範囲のX線透過像を同時に検出する検出段階と、
前記X線照射の各照射角度範囲に対応する分だけ前記被検査体を移動させる移動段階と、を有し、
前記検出段階および移動段階を交互に繰り返すことで、一つの前記被検査体に対して異なる照射角度範囲のX線透過像を得ることを特徴とするX線検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−109447(P2009−109447A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284715(P2007−284715)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】
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