説明

X線診断装置

【課題】短い時間で最適なX線透視方向を決定できるX線診断装置を提供することを目的とする。
【解決手段】X線診断装置1において、術者は操作部21を操作して三次元モニタ15に表示される三次元画像を回転する。表示制御部12は三次元モニタ15に表示される三次元画像の角度情報を駆動制御部9に出力し、駆動制御部9はこの角度情報に対応するX線照射角度に保持アーム6Aを駆動する。したがって、術者はモニタ15に表示される三次元画像を回転操作するだけで、血管どうしの重なりが少ない最適な方向に保持アーム6Aを合わせることができる。その結果、短い時間で最適なX線透視方向を決定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検体の三次元画像を用いて診断を行うX線診断装置に係り、特に、表示される三次元画像を用いて撮影位置を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば頭部のように複雑に入り組んだ血管中の病変部をカテーテル治療する際、術者は、あらかじめ得られた被検体の血管像の三次元画像を用いて血管の立体的な構成を把握しながら、被検体をX線透視して得られる被検体の血管像の透視画像を見ながらカテーテルを病変部まで進める。このような血管像の三次元画像や血管像の透視画像を得る際には、X線管とX線検出器とを対向配置するCアーム搭載型のX線診断装置が用いられる。
【0003】
従来、この種の装置として、被検体の三次元画像上で発見される病変部とX線診断装置のアイソセンタとを合わせることを目的として、Cアームと被検体を載せる天板とをx、y、z方向に駆動させる駆動制御部を備えるX線診断装置がある(例えば、特許文献1参照)。このような従来装置によれば、X線診断装置のアイソセンタを三次元画像上の病変部に合わせることができるので、病変部周辺の血管像の透視画像を容易に得ることができる。
【特許文献1】特開2002−136507号公報(第3頁−第4頁、図2−図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、脳部のように複雑に入り組んだ血管を透視する場合、目的外の血管が重なって表示されることが多いので、血管どうしの重なりが少ない方向から透視し直す必要がある。この場合、従来の装置を使用するとき、術者は三次元画像を回転しながら血管どうしの重なりが少ない方向を探し、最適な方向を発見した後、Cアームをその方向に回転する。このように、従来の装置は、三次元画像で最適な方向を探す時間とCアームをその方向に回転する時間とを必要とするので、施術時間もその分長くなる。その結果、X線照射時間も長くなり、造影剤の使用量も増えるので、被検体の負担が大きくなる。また、同様に術者の負担も大きくなる。
【0005】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、短い時間で最適なX線透視方向を決定できるX線診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、被検体にX線を照射する第1X線照射手段と、前記被検体を透過したX線を検出してX線検出信号を出力する第1X線検出手段と、前記X線照射手段と前記X線検出手段とを対向配置させた状態で保持する第1保持手段と、前記被検体を中心に前記保持手段を回転駆動する第1回転駆動手段と、前記第1回転駆動手段の回転駆動を制御する駆動制御手段と、前記第1X線検出手段から検出されるX線検出信号により取得される二次元X線画像を表示する二次元画像表示手段とを備えるX線診断装置であって、異なる複数の角度から被検体にX線照射して取得される三次元画像と前記複数の角度に対応する角度情報とを記憶する三次元画像記憶手段と、前記三次元画像を前記角度情報と対応付けて三次元画像表示画面に表示させる表示制御手段と、前記三次元画像を前記三次元画像表示画面上で回転する回転操作手段とを備え、前記表示制御手段は前記回転操作後の三次元画像に対応する前記角度情報を前記駆動制御手段に出力し、前記駆動制御手段は前記出力される前記角度情報に基づき前記第1回転駆動手段を回転駆動することを特徴とするものである。
【0007】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、異なる複数の角度から被検体にX線照射して取得される三次元画像はX線照射される複数の角度に対応する角度情報とともに三次元画像記憶手段に記憶されて、表示制御手段により角度情報と対応付けて三次元画像表示画面に表示される。三次元画像は回転操作手段を操作して三次元画像表示画面上で回転することが可能である。回転操作手段を操作すると、回転操作後の三次元画像に対応する角度情報が表示制御手段に与えられて、表示制御手段はこの角度情報に対応する三次元画像を三次元画像表示画面に表示する。このとき、表示制御手段はこの角度情報を駆動制御手段に出力し、駆動制御手段は入力した角度情報に基づいて第1駆動手段を駆動制御して第1保持手段を回転駆動する。第1保持手段が回転した角度から第1X線照射手段は被検体にX線照射し、第1X線検出手段で検出されたX線検出信号から得られた二次元X線画像が二次元X線画像表示手段に表示される。
【0008】
このように、三次元画像表示手段に表示される三次元画像を表示画面上で回転するだけで第1保持手段を回転駆動することができるので、短い時間で最適なX線透視方向を決定できる。その結果、X線照射時間や造影剤の使用量が少なくなるので、被検体や術者が被る負担を減らすことができる。
【0009】
この発明において、被検体にX線を照射する第2X線照射手段と、前記被検体を透過したX線を検出してX線検出信号を出力する第2X線検出手段と、前記第2X線照射手段と前記第2X線検出手段とを対向配置させた状態で保持する第2保持手段と、前記被検体を中心に前記第2保持手段を回転駆動する第2回転駆動手段とを備えるとともに、前記駆動制御手段は第1保持手段の回転駆動に連動して第2保持手段を回転駆動することが好ましい(請求項2記載の発明)。これにより、画像表示手段に表示される三次元画像を回転するだけで第1保持手段と第2保持手段とを回転駆動することができるので、X線照射手段とX線検出手段を2組備えるX線診断装置においても短い時間で最適なX線透視方向を決定できる。その結果、X線照射時間や造影剤の使用量が少なくなるので、被検体や術者が被る負担を減らすことができる。
【0010】
この発明において、前記三次元画像再構成手段は、互いに異なる角度の少なくとも2つの三次元画像を前記画像表示手段に表示させることが好ましい(請求項3記載の発明)。これにより、画像表示手段にはことなる角度の三次元画像が表示されるので、より短い時間で最適なX線透視方向を決定できる。その結果、X線照射時間や造影剤の使用量が少なくなるので、被検体や術者が被る負担を減らすことができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るX線診断装置によれば、短い時間で最適なX線透視方向を決定できるので、施術時間全体を短くすることができる。その結果、X線照射時間や造影剤の使用量が少なくなるので、被検体や術者が被る負担を減らすことができる。
【実施例1】
【0012】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係るX線診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、実施例1に係るX線診断装置の表示画面を示す模式図である。
【0013】
図1に示すように、実施例1に係るX線診断装置1は、天板2に載置された被検体MにX線を照射するX線管3Aと、被検体Mを透過するX線を検出するフラットパネル型X線検出器5A(以下、FPD5Aという。)と、X線管3AとFPD5Aとを被検体Mを挟んで対向させたまま回転駆動する回転駆動部7Aと、回転駆動部7Aの回転駆動を制御する駆動制御部9と、FPD5Aから出力されるX線検出信号から投影データを取得するデータ取得部11と、データ取得部11から出力される投影データから三次元画像を再構成する三次元画像再構成部13と、三次元画像再構成部13で作成された三次元画像を記憶する三次元画像メモリ14と、三次元画像再構成部13で作成された三次元画像を表示する三次元モニタ15とを備える。また、データ取得部11から出力される投影データをX線透視画像として表示する透視モニタ16を備える。
【0014】
X線管3Aは、パルス状のX線照射信号に従って断続的にX線を照射するX線撮影機能と、X線透視機能とを備える。なお、X線管3Aはこの発明の第1X線照射手段に相当する。
【0015】
FPD5Aは、入射X線強度に対応する電気信号を直接発生させる多数の小さな半導体検出エレメント(画素に対応)がフラットパネル上に二次元マトリクス配列されている。これらマトリクス上の各エレメントを順次スキャンして信号を読み出すことにより画像信号を得る。FPD5Aは、X線入射量に応じて蓄積した電荷を、TFTスイッチを介して読み出すようにしており、素子ごとのTFTスイッチを順次オンにして蓄積電荷を読み出すスキャンを行う。蓄積電荷は読み出しが終わったときクリアされる。なお、FPD5Aはこの発明の第1X線検出手段に相当する。
【0016】
X線管3AとFPD5Aは保持アーム6Aの両端付近に配置され、X線管3AのX線照射口とFPD5AのX線入射面は互いに向かい合う。保持アーム6Aは天板2の長手方向の延長線上に配置される支柱4に回転自在に備えられる。保持アーム6Aは電動モータなどの回転駆動部7Aによる駆動力で矢印RA方向に回転する。回転駆動部7Aは、駆動制御部9からの駆動制御信号に従って保持アーム6Aを駆動する。駆動制御信号はX線照射信号に同期して発生する。なお、保持アーム6Aはこの発明の第1保持手段に相当し、回転駆動部7Aはこの発明の第1回転駆動手段に相当し、駆動制御部9はこの発明の駆動制御手段に相当する。
【0017】
データ取得部11は、三次元画像を取得する場合、FPD5Aで読み出されるX線検出信号を各X線照射角度の投影データとして取得し、投影データを三次元再構成部13に出力する。また、データ取得部11は、各投影データの角度情報を取得し、投影データとともに角度情報を三次元再構成部13に出力する。この角度情報は各投影データが得られたX線照射角度に対応する。三次元画像再構成部13は、この投影データと角度情報とから三次元画像を再構成する。再構成された三次元画像は各X線照射角度に対応する角度情報とともに三次元画像メモリ14に記憶される。収納された三次元画像と角度情報とは、表示制御手段12によって適宜読み出されて三次元モニタ15に表示される。なお、データ取得部11はこの発明のデータ取得手段に相当し、表示制御部12はこの発明の表示制御手段に相当し、三次元画像メモリ14はこの発明の三次元画像記憶手段に相当し、三次元モニタ15はこの発明の三次元画像表示画面に相当する。
【0018】
データ取得部11は、透視画像を取得する場合は、投影データを透視モニタ16に出力する。透視モニタ16はこの発明の二次元画像表示手段に相当する。
【0019】
表示制御部14は、三次元モニタ15に表示される三次元画像に対応する角度情報を駆動制御部9に出力する。駆動制御部9はこの角度情報に対応するX線照射角度に保持アーム6Aを回転する。
【0020】
操作部21は、マウス28やトラックボール27やジョイスティックなどの入力手段である。操作部21で三次元モニタ15に表示される三次元画像を表示画面上で回転させる場合、トラックボール27を例に説明すると、術者がトラックボール27を回転させると、表示制御部12はトラックボール27の回転方向と回転量に応じて適切に回転した三次元画像を三次元モニタ15に表示させる。なお、回転操作部21はこの発明の回転操作手段に相当する。
【0021】
後述するように操作部21でモニタ15に表示された三次元画像の角度に保持アーム6Aを回転させる場合、術者が操作部21を操作することで、表示制御部12は駆動制御部9に角度情報を出力する。保持アーム6Aの回転角度は、回転駆動部7Aに設けられるロータリーエンコーダーなどの角度検出器10によって検出されて、駆動制御部9に出力される。駆動制御部9は、表示制御部12から指示された角度と保持アーム6Aの角度とを比較して、保持アーム6Aの角度が表示制御部12から指示された角度に達するまで回転駆動部7Aを駆動させる。
【0022】
実施例1のX線診断装置1において、三次元モニタ15に表示された三次元画像の角度に保持アーム6Aを回転させる操作について説明する。図2(a)は操作前の三次元モニタ15の表示画面の一部を示す模式図であり、図2(b)は操作後のモニタ15の表示画面の一部を示す模式図である。
【0023】
図2(a)(b)に示すように、三次元モニタ15には、被検体Mの脳血管の三次元画像23が表示されている。ここでは、三次元画像23は、造影剤を投与する前に被検体Mを回転撮影して得られる各X線照射角度の投影データ(マスク像)と、造影剤を投与した後に被検体Mを回転撮影して得られる同じX線照射角度の投影データ(ライブ像)とをサブトラクション処理した後、サブトラクションして得られた脳血管像を三次元に再構成した画像である。
【0024】
図2(a)に示すように、三次元モニタ15に表示される三次元画像23は、被検体Mの脳血管の三次元画像を頭部正面から見たときの画像である。三次元モニタ15の上部には、それぞれの三次元画像23の角度情報が表示される。ここではX線管3Aが被検体Mの頭部正面にX線照射するときの角度を0度とし、X線管3Aが被検体Mの右手方向に回転するときの角度をプラスの角度とし、X線管3Bが被検体Mの左手方向に回転してX線照射するときの角度をマイナスの角度とする。図2(a)では三次元画像23の角度情報は0度である。三次元モニタ15に表示される三次元画像23の角度は保持アーム6AのX線照射角度に対応する。したがって、三次元画像23に基づいて被検体Mの頭部を正面からX線透視した場合には、三次元画像23と同じ画像が表示される。
【0025】
三次元モニタ15には、血管aと血管bと血管cは重なり合って表示されている。この状態では、血管の位置関係を把握しにくい。この場合、術者は図1に示すように操作部21に備えられるトラックボール27を操作して三次元モニタ15に表示される三次元画像23を左右どちらかに回転する。
【0026】
図2(b)に示す三次元モニタ15には、術者が三次元画像23をプラス90度回転したときの画像が表示される。これにより、血管aと血管bと血管cの位置関係を容易に把握できる。三次元画像23がプラス90度の状態をX線透視するとき、術者は三次元モニタ15の下部に表示される角度連動ボタン25を図1に示す操作部21のマウス28を操作して押す。これにより、保持アーム6Aはプラス90度回転する。
【0027】
実施例1に係る発明によれば、術者は操作部21を操作して三次元モニタ15に表示される三次元画像23を回転するので、血管どうしの重なりが少ない最適な方向を見つけることができる。術者が操作部21を三次元モニタ15に表示される角度連動ボタン25を操作部21のマウス28で押すことで、表示制御手段12は三次元モニタ15に表示される三次元画像23の角度を駆動制御部9に出力し、駆動制御部9はモニタ15に表示される三次元画像23の角度に保持アーム6Aを回転駆動するので、術者は血管どうしの重なりが少ない最適な方向に保持アーム6Aを合わせることができる。したがって、短い時間で最適なX線透視方向を決定できるので、施術時間全体を短くすることができる。その結果、X線照射時間や造影剤の使用量が少なくなるので、被検体や術者が被る負担を減らすことができる。
【実施例2】
【0028】
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。図3は、実施例2に係るX線診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図4は、実施例2に係るX線診断装置の表示画面を示す模式図である。図5は、実施例2に係るX線診断装置の角度連動動作を説明する模式図である。
【0029】
実施例2に係るX線診断装置は、2組のX線管3A、3BとX線検出器5A、5Bとを備えるいわゆるバイプレーンX線診断装置である。したがって、実施例1と共通するX線管3AやPD5A等に関する説明は省略し、実施例2の特徴部分を説明する。図3または図4に示す構成要素のうち実施例1に係る図1または図2と共通する構成要素は同じ符号で説明する。被検体Mは図示の都合上により点線で表示する。
【0030】
X線管3BとFPD5Bは、図3に示すように、天井に設けられたスライド支持部19で支えられている保持アーム6Bの一端と他端に取り付けられている。保持アーム6Bは、スライド支持部19に備えられる回転駆動部7Bの動力により矢印RB方向にスライド回転する。X線管3AとFPD5Aとを結ぶ中心線31と、X線管3BとFPD5Bとを結ぶ中心線32とは中心点Oで交わる。中心点Oはアイソセンタと呼ばれる撮影中心であり、保持アーム6Aと保持アーム6Bをどのように回転させても同じ位置を保つ。以下では適宜、保持アーム6Aの位置を正面側(F側)といい、保持アーム6Bの位置を側面側(L側)という。実施例2のX線診断装置1では、中心線31と中心線32とは直交するので、L側の保持アーム6BはF側の保持アーム6Aに対して90度ずれた位置に位置するといえる。なお、X線管3BとFPD5Bと保持アーム6Bと回転駆動部7Bはこの発明の第2X線照射手段と第2X線検出手段と第2保持手段と第2回転駆動手段に相当する。
【0031】
実施例2の全体構成で特徴的な点は、図3および後述する図5に示すように、駆動制御部9が保持アーム6Aの駆動に連動させて保持アーム6Bを駆動する点にある。
【0032】
また、図4に示すように、三次元モニタ15には、F側から見た三次元画像23AとL側から見た三次元画像23Bとが表示される。三次元画像23Aは、三次元画像23Aを被検体Mの頭部正面から見たときの三次元画像であり、三次元画像23Bは、三次元画像23Bを被検体Mの頭部正面からプラス90度ずらして見たときの三次元画像である。三次元画像23Aと三次元画像23Bとは、実施例1に示す三次元画像23をF側とL側とから見たときの平面画像に相当する。三次元画像23Bは実施例1の図2(b)に示す三次元画像23と同じ角度である。
【0033】
このとき、術者は三次元モニタ15上で三次元の脳血管像を2つの角度から一度に観察することができるので、血管aは1本の血管であり、血管bと血管cは1本の血管であることが一度に分かる。したがって、術者は三次元モニタ15の下部に表示される角度連動ボタン25をマウス28で押すことにより、保持アーム6Aは右方向に90度回転する。保持アーム6Bは、保持アーム6Aから90度ずれた角度に連動する。
【0034】
この角度連動について図5を参照して説明する。図5(a)に示すように、通常、F側の保持アーム6Aに備えられるX線管3AとL側の保持アーム6Bに備えられるX線管3Bとは、0度とプラス90度に位置から被検体Mに対してX線透視する。術者がモニタ15に表示される三次元画像23Bの角度に度角度連動ボタン25を押すことにより図5(a)に示すX線管3AとFPD5Aとは中心点Oを中心に時計回りに回転する。このとき、図5(b)に示すようにX線管3BとFPD5BはX線管3AとFPD5Bに対して90度のずれを保ちながら連動する。したがって、図5(c)に示すように、X線管3Bがプラス90度の位置に到達すると、X線管3BはX線管3Aから90度ずれた角度、すなわち180度の位置に到達する。
【0035】
実施例2に係る発明によれば、術者は三次元モニタ15に表示されるF側から見た三次元画像23AとL側から見た三次元画像23Bを一度に観察することができるので、血管どうしの重なりが少ない最適な方向を見つけることができる。術者が三次元モニタ15に表示される角度連動ボタン25を操作部21のマウス28で押すことで、表示制御部12は三次元モニタ15に表示される三次元画像23A、23Bの角度を駆動制御部9に出力し、駆動制御部9は三次元モニタ15に表示される三次元画像23A、23Bの角度に保持アーム6Aを回転駆動するので、術者は血管どうしの重なりが少ない最適な方向に保持アーム6Aを合わせることができる。したがって、バイプレーンX線診断装置においても、短い時間で最適なX線透視方向を決定できるので、施術時間全体を短くすることができる。その結果、X線照射時間や造影剤の使用量が少なくなるので、被検体や術者が被る負担を減らすことができる。
【0036】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0037】
(1)上述した各実施例では、X線検出器としてFPD5を例に挙げて説明したが、X線検出器はFPDでなくイメージインテンシファイヤーでも構わない。
【0038】
(2)上述した各実施例では、モニタ15には三次元画像23を表示するが、三次元画像23とともに、X線透視で得られる透視像を表示しても構わない。
【0039】
(3)上述した各実施例では、モニタ15には1つ又は2つの三次元画像23が表示される例を挙げて説明したが、異なる複数の角度から見た3つ以上の三次元画像23を表示しても構わない。
【0040】
(4)上述した各実施例では、X線診断装置1で取得された三次元画像を三次元モニタ15に表示するが、他のX線診断装置やX線CT装置などで取得される三次元画像を三次元モニタ15に表示しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例1に係るX線診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】(a)(b)は実施例1に係るX線診断装置の表示画面を示す模式図である。
【図3】実施例2に係るX線診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】実施例2に係るX線診断装置の表示画面を示す模式図である。
【図5】実施例2に係るX線診断装置の角度連動動作を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1 …X線診断装置
6 …保持アーム
9 …駆動制御部
12 …表示制御部
15 …三次元モニタ
21 …操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射する第1X線照射手段と、前記被検体を透過したX線を検出してX線検出信号を出力する第1X線検出手段と、前記X線照射手段と前記X線検出手段とを対向配置させた状態で保持する第1保持手段と、前記被検体を中心に前記保持手段を回転駆動する第1回転駆動手段と、前記第1回転駆動手段の回転駆動を制御する駆動制御手段と、前記第1X線検出手段から検出されるX線検出信号により取得される二次元X線画像を表示する二次元画像表示手段とを備えるX線診断装置であって、異なる複数の角度から被検体にX線照射して取得される三次元画像と前記複数の角度に対応する角度情報とを記憶する三次元画像記憶手段と、前記三次元画像を前記角度情報と対応付けて三次元画像表示画面に表示させる表示制御手段と、前記三次元画像を前記三次元画像表示画面上で回転する回転操作手段とを備え、前記表示制御手段は前記回転操作後の三次元画像に対応する前記角度情報を前記駆動制御手段に出力し、前記駆動制御手段は前記出力される前記角度情報に基づき前記第1回転駆動手段を回転駆動することを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
請求項1記載のX線診断装置において、被検体にX線を照射する第2X線照射手段と、前記被検体を透過したX線を検出してX線検出信号を出力する第2X線検出手段と、前記第2X線照射手段と前記第2X線検出手段とを対向配置させた状態で保持する第2保持手段と、前記被検体を中心に前記第2保持手段を回転駆動する第2回転駆動手段とを備えるとともに、前記駆動制御手段は第1保持手段の回転駆動に連動して第2保持手段を回転駆動することを特徴とするX線診断装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のX線診断装置において、前記三次元画像再構成手段は、互いに異なる角度の少なくとも2つの三次元画像を前記画像表示手段に表示させることを特徴とするX線診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−60953(P2009−60953A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228954(P2007−228954)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】