説明

c−METタンパク質の阻害剤

本発明は、c−Metプロテインキナーゼの阻害において有用な式Iの化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む薬学的に受容可能な組成物、および増殖性の障害の処置における該組成物の使用方法を提供する。本発明の化合物によって治療される疾患としては、神経膠芽種;胃癌;あるいは結腸癌、乳癌、前立腺癌、脳癌、肝臓癌、膵臓癌または肺癌から選択される癌が挙げられ、一実施形態においては、その疾患は、アテローム性動脈硬化症または肺線維症である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、c−METの阻害剤として有用な化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む薬学的に受容可能な組成物、および種々の障害の処置における該組成物の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
散乱因子としても公知の肝細胞増殖因子(HGF)は、有糸分裂誘発および細胞運動を引き起こすことによって形質転換および腫瘍形成を増進する多機能増殖因子である。さらにまた、HGFは、様々なシグナル経路により細胞運動と細胞浸潤とを刺激することによって転移を促進する。細胞効果を生じるために、HGFは、その受容体のc−MET、すなわち受容体型チロシンキナーゼに結合しなければならない。c−METは、50キロダルトン(kDa)のα−サブユニットおよび145kDaのアルファ−サブユニットを含む幅広く発現したヘテロ二量体のタンパク質であり(非特許文献1)、大きな割合のヒトの癌において過剰発現し、原発腫瘍と転移癌との間で移行する間に増幅される。c−MET過剰発現が関わる様々な癌としては、以下に限定はされないが、胃腺癌、腎臓癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、脳癌、肝臓癌、膵臓癌、および乳癌が挙げられる。c−METはまた、アテローム性動脈硬化症および肺線維症にも関わる。したがって、c−METプロテインキナーゼ受容体の阻害剤として有用な化合物を開発する大きな必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Maggioraら、J. Cell Physiol.(1997年)173巻、183〜186頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の化合物、および薬学的に受容可能なその組成物は、c−METの阻害剤として有効であることが見出された。特に本発明の化合物は、例えば、c−Metを過剰発現させることが公知の細胞中のこの受容体の活性の阻害等の生物検定において、c−Metの活性を阻害する能力が証明されたとしてこれまでに記載されている化合物よりも優れている。したがって、本発明は、式:
【0005】
【化1】

【0006】
を有し、式中、R、R、R、R、R、およびRが以下で定義するものである化合物または薬学的に受容可能なその塩を特徴とする。
【0007】
本発明は、また、式Iの化合物および薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。加えて、本発明は、式Iの化合物またはその医薬組成物の治療効果のある用量を患者に投与するステップを含む患者の増殖性疾患、状態、または障害を治療するかまたはその重症度を軽減する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義および一般的な専門用語
本明細書において用いられる場合、以下の定義が、そうではないと示されていない限り、適用される。本発明の目的に対して、化学元素は、元素の周期律表、CASバージョン、およびthe Handbook of Chemistry and Physics、第75版、1994年に従って特定する。さらに、有機化学の一般的原理は、その全体の内容を参照により本明細書に組み込む、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年、および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith,M.B. and March,J.編、John Wiley & Sons、New York:2001年、に記載されている。
【0009】
本明細書に記載されている本発明の化合物は、上記で一般的に示されているか、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種によって例示されているような1つまたは複数の置換基により場合によって置換されていてもよい。当然のことながら、「場合によって置換された」という語句は、「置換されたまたは置換されていない」の語句と互換的に用いられる。一般に、用語「置換された」は、用語「場合によって」が前にあってもなくても、所定構造における1つまたは複数の水素基の、特定置換基の基による置換を指す。他に示されていない限り、場合によって置換された基は、その基の各置換可能な位置に置換基を有することができる。所定の構造中の2つ以上の位置が特定の基から選択される2つ以上の置換基により置換することができる場合、その置換基は、それぞれの位置で同じであるかまたは異なってもよい。
【0010】
本明細書に記載される用語「場合によって置換された」が列挙の前にあるとき、前記用語は、その列挙中のすべてのその後の置換可能な基を表す。例えば、Xがハロゲンである場合、場合によって置換されたC1〜3アルキルまたはフェニルは、Xにより場合によって置換されたアルキルまたは場合によって置換されたフェニルであり得る。同様に、用語「場合によって置換された」が列挙の後にある場合も、前記用語は、同様に、他に示されていない限り、その前の列挙中のすべての置換可能な基を表す。例えば、Xがハロゲンである場合、XがJにより場合によって置換されているC1〜3アルキルまたはフェニルは、C1〜3アルキルおよびフェニルの両方が、Jにより場合によって置換されていることになり得る。当技術の通常の技量を有する者には明らかなように、H、ハロゲン、NO、CN、NH、OH、またはOCF等の基は、それらが置換可能な基ではないために含まれない。置換基または構造が、「場合によって置換された」ものとして特定または定義されていない場合、その置換基または構造は置換されていない。
【0011】
本発明によって構想される置換基の組合せは、好ましくは、安定なまたは化学的に適した化合物の形成を結果として生じるものである。本明細書で使用される用語「安定な」とは、化合物が、それらの製造、検出、ならびに、好ましくは、本明細書に開示の1つまたは複数の目的のためのそれらの回収、精製、および使用を可能にするための条件に合わせたとき実質的に変化しないことを指す。いくつかの実施形態において、安定な化合物または化学的に適した化合物は、湿気またはその他の化学的に反応する条件がない中の40℃以下の温度で少なくとも1週間保たれたとき実質的に変化しないものである。
【0012】
本明細書で使用される用語「脂肪族」または「脂肪族基」とは、完全に飽和しているか、1つまたは複数の不飽和の単位を含有する直鎖(すなわち、非分岐型の)または分岐型の、置換または非置換炭化水素鎖を意味する。他に特定されていない限り、脂肪族基は、1〜20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜10個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の炭素原子を含有し、なお別の実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の炭素原子を含有する。適当な脂肪族基としては、以下に限定はされないが、線状または分岐状、置換または非置換のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基が挙げられる。脂肪族基のさらなる例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、ビニル、およびsec−ブチルが挙げられる。本明細書で使用される用語「アルキル」および接頭辞の「アルク−」は、直鎖のおよび分岐した飽和炭素鎖の両方を含む。本明細書で使用される用語「アルキレン」は、飽和した二価の直鎖または分岐鎖炭化水素基を表し、メチレン、エチレン、イソプロピレン等によって例示される。本明細書で使用される用語「アルキリデン」は、二価の直鎖アルキル結合基を表す。本明細書で使用される用語「アルケニル」は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を含有する一価の直鎖または分岐鎖炭化水素基を表す。本明細書で使用される用語「アルキニル」は、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を含有する一価の直鎖または分岐鎖炭化水素基を表す。
【0013】
用語「脂環式の」(または「炭素環」)は、完全に飽和しているか1つまたは複数の不飽和であるが芳香族ではない単位を含有しており、その分子の残りと結合する単一の点を有する単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素(前記二環の環系の個々の環はどれも3〜7員を有する)を表す。適切な脂環式基としては、以下に限定はされないが、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニルが挙げられる。脂肪族基のさらなる例としては、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロヘプテニルが挙げられる。
【0014】
本明細書で使用される用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式脂肪族の」、または「複素環式の」は、単環式、二環式、または三環式環系であって、その系における少なくとも1つの環が1つまたは複数の同じかもしくは異なるヘテロ原子を含有している環系を指し、それは完全に飽和しているか、1つまたは複数の不飽和であるが芳香族ではない単位を含有しており、その分子の残りと結合する単一の点を有する。いくつかの実施形態において、その「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式脂肪族の」、または「複素環式の」基は、3〜14の環員を有しており、その中の1つまたは複数の環員が、酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立して選択されたヘテロ原子であり、その系における各環は、3〜8の環員を含有する。
【0015】
複素環の例としては、以下に限定はされないが、次の単環式:テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチオフェン−2−イル、テトラヒドロチオフェン−3−イル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、テトラヒドロピペラジン−1−イル、テトラヒドロピペラジン−2−イル、テトラヒドロピペラジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、ピラゾリン−1−イル、ピラゾリン−3−イル、ピラゾリン−4−イル、ピラゾリン−5−イル、チアゾリジン−2−イル、チアゾリジン−3−イル、チアゾリジン−4−イル、チアゾリジン−5−イル、イミダゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−4−イル、イミダゾリジン−5−イル、ならびに次の二環式:3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンズイミダゾール−2−オン、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが挙げられる。
【0016】
用語「ヘテロ原子」とは、1つまたは複数の、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素を意味し、窒素、硫黄、またはリンの任意の酸化された形、任意の塩基性窒素の四級化された形、または複素環の置換可能な窒素、例えばN(3,4−ジヒドロ−2H−プロリル中のもの)、NH(ピロリジニル中のもの)またはNR(N−置換ピロリジニル中のもの)を含む。
【0017】
本明細書で用いられる用語「不飽和の」とは、ある部分が1つまたは複数の不飽和の単位を有することを意味する。
【0018】
本明細書で用いられる用語「アルコキシ」または「チオアルキル」は、炭素の主鎖に、酸素を介する(「アルコキシ」)か、または硫黄原子を介して(「チオアルキル」)結合している、前に定義したアルキル基を指す。
【0019】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、および「ハロアルコキシ」とは、アルキル、アルケニル、またはアルコキシが1つまたは複数のハロゲン原子により置換されている場合があることを意味する。用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0020】
単独でまたは「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」におけるようなより大きい部分の一部として用いられる用語「アリール」は、合計6〜14の環員を有する単環式、二環式、および三環式炭素環系であって、その系における少なくとも1つの環は芳香族であり、その系の各環は、3〜7の環員を含有する環系を指し、それはその分子の残りと結合する単一の点を有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用することができる。アリール環の例としては、フェニル、ナフチル、およびアントラセンが挙げられよう。
【0021】
単独でまたは「ヘテロアラルキル」、または「ヘテロアリールアルコキシ」におけるようなより大きい部分の一部として用いられる用語「ヘテロアリール」は、合計5〜14の環員を有する単環式、二環式、および三環式環系であって、その系における少なくとも1つの環は芳香族であり、その系における少なくとも1つの環は1つまたは複数のヘテロ原子を含有し、その系の各環は、3〜7の環員を含有する環系を指し、それは、その分子の残りと結合する単一の点を有する。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族」と互換的に使用することができる。ヘテロアリール環のさらなる例としては、次の単環式:フラニル(例えば、フラン−2−イルまたはフラン−3−イル)、イミダゾリル(例えば、N−イミダゾリル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、またはイミダゾール−5−イル)、イソオキサゾリル(例えば、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、イソオキサゾール−5−イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、またはオキサゾール−5−イル)、ピロリル(例えば、N−ピロリル、ピロール−2−イル、またはピロール−3−イル)、ピリジニル(例えば、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、またはピリド−4−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、またはピリミジン−5−イル)、ピリダジニル(例えば、ピリダジン−3−イル、ピリダジン−4−イル、ピリダジン−5−イル、またはピリダジン−6−イル)、チアゾリル(例えば、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、またはチアゾール−5−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−1−イル、またはテトラゾール−5−イル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルまたは5−トリアゾリル)、チエニル(例えば、チオフェン−2−イルまたはチオフェン−3−イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−2−イル、ピラゾール−3−イル、またはピラゾール−4−イル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、および次の二環式:ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、または4−キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、または4−イソキノリニル)が挙げられる。
【0022】
いくつかの実施形態において、アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキル等を含む)基またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシ等を含む)基は、1つまたは複数の置換基を含有することができる。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は、以下のR、R、R、R、J、J、またはJの定義の中で列挙されているものから選択される。その他の適当な置換基としては、ハロゲン、−R°、−OR°、−SR°、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、場合によりR°により置換されているフェニル(Ph)、場合によりR°により置換されている−O(Ph)、場合によりR°により置換されている−(CH1〜2(Ph)、場合によりR°により置換されている−CH=CH(Ph)、−NO、−CN、−N(R°)、−NR°C(O)R°、−NR°C(S)R°、−NR°C(O)N(R°)、−NR°C(S)N(R°)、−NR°COR°、−NR°NR°C(O)R°、−NR°NR°C(O)N(R°)、−NR°NR°COR°、−C(O)C(O)R°、−C(O)CHC(O)R°、−COR°、−C(O)R°、−C(S)R°、−C(O)N(R°)、−C(S)N(R°)、−OC(O)N(R°)、−OC(O)R°、−C(O)N(OR°)R°、−C(NOR°)R°、−S(O)R°、−S(O)OR°、−S(O)N(R°)、−S(O)R°、−NR°S(O)N(R°)、−NR°S(O)R°、−N(OR°)R°、−C(=NH)−N(R°)、−(CH0〜2NHC(O)R°、−L−R°、−L−N(R°)、−L−SR°、−L−OR°、−L−(C3〜10脂環式)、−L−(C6〜10アリール)、−L−(5〜10員ヘテロアリール)、−L−(5〜10員ヘテロシクリル)、オキソ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、−L−NO、−L−CN、−L−OH、−L−CFが挙げられ;または2つの置換基が、それらが結合している介在する原子と一緒になって、5〜7員の飽和、不飽和、または部分的に飽和した環を形成しており、ここで、Lは、C1〜6アルキレン基であり、その中の3つまでのメチレン単位が、−NH−、−NR°−、−O−、−S−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR°−、−C(=N−CN)、−NHCO−、−NR°CO−、−NHC(O)O−、−NR°C(O)O−、−S(O)NH−、−S(O)NR°−、−NHS(O)−、−NR°S(O)−、−NHC(O)NH−、−NR°C(O)NH−、−NHC(O)NR°−、−NR°C(O)NR°、−OC(O)NH−、−OC(O)NR°−、−NHS(O)NH−、−NR°S(O)NH−、−NHS(O)NR°−、−NR°S(O)NR°−、−S(O)−、または−S(O)−によって置換されており、ここで、R°のそれぞれ独立した存在は、水素、場合によって置換されているC1〜6脂肪族、非置換の5〜8員のヘテロアリールまたは複素環、フェニル、−O(Ph)、または−CH(Ph)から選択され、あるいはR°の2つの独立した存在が、同じ置換基または異なる置換基上に、それぞれのR°基が結合している原子(複数可)と一まとめになって、5〜8員のヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール環、あるいは3〜8員のシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する。脂肪族基のR°上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロC1〜4脂肪族から選択され、先の各C1〜4脂肪族基のR°のそれぞれは、置換されていない。
【0023】
いくつかの実施形態において、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族基、または非芳香族複素環は、1つまたは複数の置換基を含有することができる。いくつかの例において、同じ原子上または異なる原子上の2つの置換基は、それらが結合している介在する原子と一緒になって、N、O、またはSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和、不飽和、または部分的に飽和した環を形成する。脂肪族またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環のその飽和炭素上の適当な置換基は、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素に対して上で列挙したものから選択され、さらに以下のもの:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHS(O)(アルキル)、または=NRが挙げられ、ここで、各Rは、水素または場合によって置換されているC1〜6脂肪族から独立して選択され、あるいはまた同じ窒素上の2つのRがその窒素と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員のヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成する。脂肪族基のR上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、先の各C1〜4脂肪族基のRは、置換されていない。
【0024】
いくつかの実施形態において、非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基としては、−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)N(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、または−NRS(O)が挙げられ、ここで、Rは、水素、場合によって置換されているC1〜6脂肪族、場合によって置換されているフェニル、場合によって置換されている−O(Ph)、場合によって置換されている−CH(Ph)、場合によって置換されている−(CH1〜2(Ph)、場合によって置換されている−CH=CH(Ph)、または、酸素、窒素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員のヘテロアリールもしくは複素環であるか、あるいはRの2つの独立した存在が、同じ置換基または異なる置換基上に、それぞれのR基が結合している原子(複数可)と一まとめになって、フェニル、5〜8員のヘテロシクリル、5〜8員のヘテロアリール、または3〜8員のシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する。脂肪族基またはフェニル環のR上の任意の置換基は、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−C(O)OH、−C(O)O(C1〜4脂肪族)、−O(ハロ(C1〜4脂肪族))、またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、先の各C1〜4脂肪族基のRのそれぞれは、置換されていない。
【0025】
上で詳述したように、いくつかの実施形態において、R°(またはR、あるいは本明細書で同様に定義されている任意のその他の可変部分)の2つの独立した存在は、それぞれの可変部分が結合している原子(複数可)と一緒になって、フェニル、5〜8員のヘテロシクリル、5〜8員のヘテロアリール、または3〜8員のシクロアルキル環を形成することができる。R°(またはR、あるいは本明細書で同様に定義されている任意のその他の可変部分)の2つの独立した存在が、それぞれの可変部分が結合している原子(複数可)と一緒になった場合に形成される典型的な環としては、以下に限定はされないが、a)同じ原子に結合し、その原子と一緒になって環を形成しているR°(またはR、あるいは本明細書で同様に定義されている任意のその他の可変部分)の2つの独立した存在、例えばR°の両方の存在が、窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、またはモルホリン−4−イル基を形成しているN(R°)、および、b)異なる原子に結合し、それらの原子の両方と一緒になって環を形成しているR°(またはR、あるいは本明細書で同様に定義されている任意のその他の可変部分)の2つの独立した存在、例えば、フェニル基が2つのOR°の存在により置換され、
【0026】
【化2】

【0027】
、これらの2つのR°の存在が、それらが結合している酸素原子と一緒になって縮合した6員の酸素含有環:
【0028】
【化3】

【0029】
を形成しているものが挙げられる。様々なその他の環が、R°(またはR、あるいは本明細書で同様に定義されている任意のその他の可変部分)の2つの独立した存在がそれぞれの可変部分が結合している原子(複数可)と一緒になった場合に形成され得ること、および上に詳述した例は限定しているつもりでないことは当然である。
【0030】
いくつかの実施形態において、アルキルまたは脂肪族鎖のメチレン単位は、別の原子または基により場合によって置換される。かかる原子または基の例としては、以下に限定はされないが、−NR°−、−O−、−S−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NR°−、−C(=N−CN)、−NR°CO−、−NR°C(O)O−、−S(O)NR°−、−NR°S(O)−、−NR°C(O)NR°−、−OC(O)NR°−、−NR°S(O)NR°−、−S(O)−、または−S(O)−が挙げられ、ここで、R°は本明細書で定義されているものである。他に特に規定がなければ、その任意の置換は、化学的に安定な化合物を形成する。任意の原子または基の置換は、鎖内および鎖のいずれか一方の末端の両方、すなわち結合の点および/または同じく末端側終端の両方で起こり得る。2つの任意的置換も、それが化学的に安定な化合物をもたらす限りは互いに鎖内で隣接していることができる。他に特に規定がない限り、置換が末端側終端で起こる場合、その置換原子は末端側終端のHに結合される。例えば、−CHCHCHの1つのメチレン単位が任意的に−O−により置換される場合、得られる化合物は、−OCHCH、−CHOCH、または−CHCHOHであり得る。
【0031】
本明細書で記載されているように、置換基から複数の環系内の1つの環の中心に引かれている結合(下に示すように)は、その複数の環系の中の任意の環における置換可能な位置のどこかにその置換基が置換されていることを示す。例えば、図aは、図b内に示されている任意の位置において置換が可能であることを示している。
【0032】
【化4】

【0033】
これは、また、任意の環系(点線によって示されている)に縮合している複数の環系にも当てはまる。例えば、図cにおいて、Xは、環Aおよび環Bの両方に対する任意の置換基である。
【0034】
【化5】

【0035】
しかしながら、複数の環系における2つの環がそれぞれ各環の中心から引かれた異なる置換基を有する場合、他に特に規定がない限り、各置換基はそれが結合している環上だけに置換されていることを示す。例えば、図dにおいて、Yは、環Aだけに対する任意的な置換基であり、Xは、環Bだけに対する任意的な置換基である。
【0036】
【化6】

【0037】
本明細書で使用される用語「保護基」とは、例えば、アルコール、アミン、カルボキシル、カルボニル等の官能基を、合成手順の途中の望ましくない反応に備えて保護することを意図したそのような基を表す。通常使用される保護基は、参照により本明細書に組み込まれているGreeneおよびWutsのProtective Groups in Organic Synthesis、第3版(John Wiley & Sons、New York、1999年)に開示されている。窒素を保護する基の例としては、アシル、アロイル、またはカルバミル基、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイルおよびキラル補助基、例えば、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン等の保護または非保護D、LまたはD,L−アミノ酸等;スルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル等;カルバメート基、例えば、ベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニル等、アリールアルキル基、例えば、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチル等、ならびにシリル基、例えば、トリメチルシリル等が挙げられる。好ましいN保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0038】
本明細書で使用される用語「プロドラッグ」とは、インビボで式Iの化合物、または表1に記載されている化合物に変換される化合物を表す。かかる変換は、例えば血液中の加水分解によるかあるいは血液または組織中でのプロドラッグの形態の原型への酵素変換反応によって影響され得る。本発明の化合物のプロドラッグは、例えば、エステルであり得る。本発明におけるプロドラッグとして利用することができるエステルは、フェニルエステル、脂肪族(C〜C24)エステル、アシルオキシメチルエステル、カーボネート、カルバメート、およびアミノ酸エステルである。例えば、OH基を含有する本発明の化合物は、この位置でアシル化してそのプロドラッグの形態にすることができる。その他のプロドラッグの形態としては、ホスフェート、例えば、その親化合物のOH基のリン酸化反応に由来するそのようなホスフェート等が挙げられる。プロドラッグについての徹底的な議論が、T. HiguchiおよびV. Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems、the A.C.S. Symposium Seriesの14巻、Edward B. Roche編、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年、およびJudkinsら、Synthetic Communications 26巻(23号):4351〜4367頁、に提供されており、そのそれぞれが、参照により本明細書に組み込まれている。
【0039】
特に明記されていない限り、本明細書に描かれている構造は、すべての異性体(例えば、鏡像異性、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体配座的))形の構造、例えば、各不斉中心に対する(R)および(S)配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むことを意味している。したがって、本化合物の単一の立体化学的異性体ならびに鏡像異性体、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体配座的)混合物が本発明の範囲内である。
【0040】
特に明記されていない限り、本発明の化合物のすべての互変異性型は、本発明の範囲内である。加えて、特に明記されていない限り、本明細書に描かれている構造は、同様に、1つまたは複数の同位体が濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素が重水素または三重水素に置き換わっているか、あるいは炭素が13Cまたは14Cが濃縮された炭素に置き換わっていることを除けば現構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。かかる化合物は、例えば、生物学的検定における分析ツールまたはプローブとして、あるいは改善された治療特性を有するc−MET阻害剤として有用である。
【0041】
本発明の化合物の説明
第1の態様において、本発明は、式:
【0042】
【化7】

【0043】
を有する化合物、または薬学的に受容可能なその塩を特徴とし、式中、
は、
【0044】
【化8】

【0045】
であり、ここで、R、R、R、およびRのそれぞれは、個々に、水素、Cl、またはFであり、ここで、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、ClまたはFであり;
は、C1〜4脂肪族、CH(R5a、O−C1〜4脂肪族、CH−O−C1〜3脂肪族、O−(CH−O−C1〜3脂肪族、またはO−CHC(R5aであり、ここで、各R5aは、独立して、水素、またはC1〜3脂肪族、あるいは2つのR5aが介在する炭素原子と一緒になって、3〜6員の炭素環または1〜2個の酸素原子を有する5〜6員の複素環を形成しており;
は、
【0046】
【化9】

【0047】
であり、ここで、mおよびnのそれぞれは、個々に、1または2であり、
6aおよびR6bのそれぞれは、個々に、水素またはC1〜4脂肪族であるか、あるいは2つのR6aまたは2つのR6b基が、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成しており、ここで、1つのR6aは、1つのR6bと一緒になって、結合またはC1〜2アルキリデン結合によって5員環または6員環を形成していてもよく;
は、C1〜4脂肪族、O−C1〜4脂肪族、C1〜4脂肪族−O−C1〜4脂肪族であるか、またはRおよびRは、それらが結合しているチオフェン環と一緒になって、次の構造:
【0048】
【化10】

【0049】
を形成しており、式中、R7a、R7b、R7c、およびR7dのそれぞれは、個々に、水素またはC1〜4脂肪族であるか、あるいは2つのR7a、R7b、R7c、またはR7d基が、介在する原子と一緒になって、シクロプロピル環を形成しており;
pおよびqのそれぞれは、個々に、0、1、または2であり;
は、水素、CHまたはCFである。
【0050】
式Iの化合物の一実施形態において、Rは、
【0051】
【化11】

【0052】
である。
【0053】
別の実施形態において、Rは、
【0054】
【化12】

【0055】
である。
【0056】
さらに別の実施形態において、Rは、
【0057】
【化13】

【0058】
である。
【0059】
別の実施形態において、Rは水素である。
【0060】
別の実施形態において、Rは、
【0061】
【化14】

【0062】
である。
【0063】
式Iの化合物の一実施形態において、R、R、R、およびRの1つまたは2つは、フッ素であり、R、R、R、およびRの残りは水素である。さらなる実施形態において、RおよびRのそれぞれはフッ素であり、RおよびRのそれぞれは水素である。
【0064】
別の実施形態において、Rは、C1〜4脂肪族、シクロプロピル、O−C1〜4脂肪族、または−OCH−シクロプロピルである。
【0065】
式Iの化合物の別の実施形態において、Rは、
【0066】
【化15】

【0067】
である。
【0068】
別の態様において、本発明は、表1の中の化合物を特徴とする。
【0069】
【表1−1】

【0070】
【表1−2】

【0071】
【表1−3】

【0072】
【表1−4】

【0073】
【表1−5】

【0074】
【表1−6】

【0075】
【表1−7】

【0076】
【表1−8】

【0077】
【表1−9】

【0078】
【表1−10】

【0079】
本発明の化合物の組成物、製剤、および投与
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の任意の式または種類の化合物を含む医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、表1の化合物を含む医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、該組成物は、さらなる治療剤をさらに含む。
【0080】
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物または薬学的に受容可能なその誘導体および薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含む組成物を提供する。一実施形態において、本発明の組成物中の化合物の量は、生体試料または患者におけるc−METをある程度まで阻害するのに有効であるような量である。好ましくは、本発明の組成物は、かかる組成物を必要とする患者に投与するように調合する。最も好ましくは、本発明の該組成物は、患者に経口投与するように調合する。
【0081】
本明細書で使用される用語「患者」とは、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0082】
同様に当然のことであるが、本発明の一定の化合物は、治療に対して遊離した形で、または適切な場合は薬学的に受容可能なそれの誘導体として存在することもできる。本発明によれば、薬学的に受容可能な誘導体としては、以下に限定はされないが、薬学的に受容可能なプロドラッグ、塩、エステル、かかるエステルの塩、あるいは必要としている患者に投与すると、直接または間接的に、本明細書において別なふうに記載されている化合物、またはそれの代謝産物もしくは残渣を提供することができる任意のその他の付加物または誘導体が挙げられる。
【0083】
本明細書で使用される用語「薬学的に受容可能な塩」とは、正しい医学的判断の範囲内で、ヒトおよび下等動物の組織と接触して過度の毒性、刺激、アレルギー反応等がなく使用するのに適するそのような塩を指す。
【0084】
薬学的に受容可能な塩は当技術分野では周知である。例えば、S. M. Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれているJ. Pharmaceutical Sciences、66巻:1〜19頁、1977年、に薬学的に受容可能な塩について詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、適当な無機および有機の酸および塩基から誘導されるものが挙げられる。薬学的に受容可能な毒性のない酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸等の無機酸と混合するか、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸等の有機酸と混合することにより形成されるか、あるいはイオン交換等の当技術分野で使用されるその他の方法を使用することによるアミノ基の塩である。その他の薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、へキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル流酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1〜4アルキル)の塩が挙げられる。本発明は、また、本明細書に開示されている化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も構想している。そのような四級化によって、水または油に溶解または分散することができる製品を得ることができる。典型的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。さらなる薬学的に受容可能な塩としては、適切な場合は、対イオンを用いて形成される毒性のないアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンのカチオン、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、C1〜8スルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩等が挙げられる。
【0085】
上記のように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、薬学的に受容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルをさらに含み、それは、本明細書で使用される場合、望ましい特定の剤形に向いている、任意のおよびすべての溶媒、希釈剤、またはその他の液体ビヒクル、分散助剤もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、保存料、固体バインダー、滑剤等を含む。それぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれている、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005年、編者D.B. Troy、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、編者J. SwarbrickおよびJ. C. Boylan、1988〜1999頁、Marcel Dekker、New Yorkには、薬学的に受容可能な組成物を調合するのに使用される様々な担体およびそれらの調製のための公知の技術が開示されている。何らかの通常の担体媒体が、何らかの望ましくない生物学的作用を生じるか、さもなければ薬学的に受容可能な組成物が何らかの他の成分(1つまたは複数)と有害な様式で相互作用するため等で本発明の化合物と混合できない場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0086】
薬学的に受容可能な担体として寄与できる材料のいくつかの例としては、以下に限定はされないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンなど、緩衝基質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウムなど、植物飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウムなど、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖類、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースなど、デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど、セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロールなど、トラガント末、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐薬用ワックスなど、油類、例えば、ラッカセイ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油など、グリコール類、例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど、エステル類、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど、寒天、緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにその他の毒性のない相溶性の滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどが挙げられるのはもちろんのこと、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、調味料および着香料、保存料と酸化防止剤も配合者の判断によって該組成物中に存在させることができる。
【0087】
本発明の組成物は、経口投与、吸入スプレーによる非経口投与、局所投与、直腸内投与、鼻腔内投与、頬側投与、膣内投与によるか、またはインプラントの貯蔵所を介して投与され得る。本明細書において使用される用語「非経口」とは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、眼内、肝臓内、病変内、および頭蓋内の、注射技術または注入技術を包含する。好ましくは、該組成物は、経口投与、腹腔内投与または静脈投与される。本発明の無菌の注射可能な組成物の形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、この分野において公知の技術に従い、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて処方することができる。この無菌の注射可能な製剤もまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液としての毒性のない非経口で許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、従来から、溶媒または懸濁媒体として用いられている。
【0088】
この目的のために、用いることができる任意の無刺激性の不揮発性油としては、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。オレイン酸等の脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能な油、例えば、オリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化した変種のように、注射液の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁液は、また、長鎖アルコール希釈剤あるいはエマルジョンおよび懸濁液を含めた薬学的に受容可能な剤形の調合において通常使用されるカルボキシメチルセルロースまたは、類似の分散助剤等の分散剤を含み得る。Tween、Spanおよび他の乳化剤等の一般に用いられるその他の界面活性剤、または、薬学的に受容可能な固体、液体またはその他の剤形の製造に通常使用される、バイオアベイラビリティエンハンサーもまた調合のために用いることができる。
【0089】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、以下に限定はされないが、カプセル、錠剤、水性懸濁剤または水性液剤を含めた任意の経口で許容される剤形で経口投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、通常使用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウム等の滑剤も一般的には添加される。カプセル形の経口投与に対しては、有用な希釈剤としてラクトースおよび乾燥したコーンスターチが挙げられる。経口で使用するために水性懸濁液が必要な場合、活性成分は乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。必要に応じて、一定の甘味、調味または着色剤も添加することができる。
【0090】
あるいは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、直腸投与のための坐剤の形で投与することができる。これらは、この薬剤を、室温では固体であるが直腸内温度で液体であり、それ故直腸内で融解してその薬物を放出する適当な非刺激性の賦形剤と混合することによって調製することができる。そのような材料としては、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0091】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、また、処置の標的が、特に目の疾患、皮膚の疾患、または下部腸管の疾患を含めた局所適用によって容易に接近できる領域または臓器を含む場合は、局所投与することができる。適切な局所製剤が、それらの領域または臓器の各々に対して容易に調製される。
【0092】
この下部腸管に対する局所適用は、肛門坐薬製剤(上記参照)または適切な浣腸製剤で達成することができる。局所の経皮貼付もまた使用することができる。
【0093】
局所適用のため、薬学的に受容可能な該組成物は、1つまたは複数の担体中に、懸濁または溶解された該活性成分を含有する適切な軟膏として処方することができる。本発明の化合物の局所投与のための担体としては、以下に限定はされないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール化合物、ポリオキシエチレン化合物、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられる。別法では、該薬学的に受容可能な組成物は、1つまたは複数の薬学的に受容可能な担体中に懸濁または溶解したこの活性成分を含有する適切なローションまたはクリーム中に処方することができる。適切な担体としては、以下に限定はされないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
【0094】
眼に使用するためには、該薬学的に受容可能な組成物は、例えば、pHの調整された等張の無菌の生理食塩水またはその他の水溶液中の微細化された懸濁剤として、あるいは、好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムのような防腐剤を含むかもしくは含まない、pHの調整された等張の無菌の生理食塩水またはその他の水溶液中の溶液として処方することができる。あるいは、眼に使用するためには、薬学的に受容可能なこの組成物は、ワセリンのような軟膏中に処方することができる。本発明の薬学的に受容可能な組成物は、また、鼻エアロゾルまたは鼻吸入によって投与することもできる。かかる組成物は、製剤処方の技術分野においては周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤または分散剤を用いる生理食塩水中の溶液として調製することができる。
【0095】
最も好ましくは、薬学的に受容可能な本発明の組成物は、経口投与のために処方される。
【0096】
経口投与のための液体の剤形としては、以下に限定はされないが、薬学的に受容可能な乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、該液体の剤形は、当技術分野で通常使用される不活性希釈剤、例えば、水またはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物等を含有することができる。不活性希釈剤の他に、該経口の組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、調味剤および着香剤等も含めることができる。
【0097】
注射用製剤、例えば、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁剤は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いる公知技術によって処方することができる。その無菌の注射用製剤は、また、毒性のない非経口で許容される希釈剤または溶媒中の、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような、無菌の注射可能な溶液、懸濁液または乳液であり得る。許容されるビヒクルおよび溶媒の中で用いることができるのは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張の塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌の不揮発性油類が、溶媒または懸濁媒体として従来通り使用される。この目的のためには、合成モノまたはジグリセリドを含めた任意の無刺激性の不揮発性油を使用することができる。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が注射物質の製剤には使用される。
【0098】
該注射製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によるか、または無菌の水またはその他の無菌の注射可能な媒体中に溶解または分散させることができる無菌の固体組成物の形の滅菌剤を使用前に組み込むことによって滅菌することができる。
【0099】
本発明の化合物の効果を長引かせるためには、皮下または筋肉注射からの化合物吸収の低速化が望ましい場合がある。これは、水溶性の劣る結晶またはアモルファス材料の液体懸濁液を用いることにより、達成することができる。このようにすると、化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、これはさらに結晶サイズおよび結晶形に依存することになる。あるいは、油ビヒクル中に化合物を溶解または懸濁することにより、非経口的に投与される化合物形態の吸収の遅延が得られる。注射可能デポー形態は、ポリ乳酸−ポリグリコリド等の生分解性ポリマー中に化合物のミクロ封入マトリックスを形成して作製する。ポリマーに対する化合物の比率および使用する特定ポリマーの性質により、化合物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能な製剤は、体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を封入することによっても調製される。
【0100】
経直腸または経膣投与のための組成物は、好適には、室温で固体であるが体温では液体であり、それ故、直腸または膣腔で融解して活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックス等の適切な刺激性のない賦形剤または担体と本発明の化合物を混合して調製することができる坐薬である。
【0101】
経口投与のための固形の剤形としては、カプセル、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。このような固体の剤形において、その活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの不活性で薬学的に受容可能な賦形剤または担体、および/または、a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸等の充填剤または増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアラビアゴム等の結合剤、c)グリセロール等の湿潤剤、d)寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケートおよび炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶解遅延剤、f)4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、ならびに、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、およびこれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤およびピルの場合、その剤形は、緩衝剤を含むこともできる。
【0102】
同じような型の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖等の賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等を用いる、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒剤の固体の剤形は、薬物調合技術で周知の腸溶コーティングおよび他のコーティング等のコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらは、場合によって乳白剤を含んでもよく、活性成分(1つまたは複数)のみを、あるいは選択的に直腸系のある部分で、場合によっては遅延的に放出する組成物であることもできる。使用可能な包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同じような型の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖等の賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等を用いる軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することもできる。
【0103】
該活性化合物は、上記のような1つまたは複数の賦形剤を有するマイクロカプセル化した形態であることもできる。固体剤形の錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒剤は、薬物調合技術で周知の腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび他のコーティング等のコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。かかる固体剤形においては、該活性化合物をスクロース、ラクトースまたはデンプンの等の少なくとも1つの不活性な希釈剤と混合することができる。かかる剤形は、また、通常行われているように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース等の錠剤化滑剤およびその他の錠剤化助剤を含むこともできる。カプセル、錠剤および丸剤の場合において、その剤形は緩衝剤を含むこともできる。それらは、適宜乳白剤を含んでもよく、活性成分(1つまたは複数)を、あるいは選択的に、直腸管のある部分においてのみ、場合によっては遅延的に、放出する組成物であることもできる。使用可能な包埋組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスが挙げられる。
【0104】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチ剤が挙げられる。該活性化合物は、薬学的に受容可能な担体および任意の必要な保存料または必要であり得るような緩衝剤と、無菌条件下で混合される。眼科製剤、点耳薬および点眼液も、本発明の範囲内であると考えられる。加えて、本発明は、化合物の身体への制御された送達をするさらなる利点を有する経皮パッチの使用を考えている。かかる剤形は、適切な媒体中に化合物を溶解または分配することにより作製することができる。皮膚を横切る当該化合物の流れを増すために、吸収促進剤を使用することもできる。その速度は、速度制御膜を用意するかまたはポリマーマトリックスもしくはゲル中に該化合物を分散させるかのいずれかにより制御することができる。
【0105】
本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の一様性のために単位剤形で処方される。本明細書で使用される用語「単位剤形」とは、治療すべき患者に対する適切な薬剤の物理的に分離した単位を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日の全使用量は、正しい医学判断の範囲内で主治医が決定するものであると理解される。任意の特定の患者または生物体にとっての明確な有効服用レベルは、治療される疾患および疾患の重症度;使用する特定化合物の活性;使用する特定組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別および食べ物;投与時間、投与経路および使用する特定化合物の排出率;治療期間;使用する特定化合物と組み合わせるかまたは同時使用する薬剤、ならびに医療技術において周知の類似した要因を含む様々な要因に依存する。
【0106】
担体材料と組み合わせて単一の剤形の組成物を製造することができる本発明の化合物の量は、治療されるホスト、投与の特定の様式に依存して変化する。好ましくは、該組成物は、これらの組成物を受容する患者に、0.01〜100mg/kg体重/日の間の用量の阻害剤が投与されることができるように処方すべきである。
【0107】
治療または予防すべき特定の状態または疾病によって、通常は当該状態を治療または予防するために投与する追加的治療剤も、本発明の組成物中に存在させることができる。本明細書で使用される、特定の疾病または状態を治療または予防するために正常に投与される追加的治療剤は、「当該疾病または症状を治療するのに適切」であることが公知のものである。追加的治療剤の例は以下で提供される。
【0108】
本発明の組成物中に存在する追加的治療剤の量は、その治療剤を唯一の有効薬剤として含む組成物中で通常投与される量を超えない。好ましくは、本開示の組成物中のその追加的治療剤の量は、唯一の治療に有効な薬剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の、約50%から100%までの範囲である。
【0109】
本発明の化合物および組成物の使用
一実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプル中のc−METプロテインキナーゼ活性を阻害する方法に関し、その方法は、前記生物学的サンプルを本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む。本明細書で使用する用語「生物学的サンプル」とは、生命体から取り出したサンプルを意味し、制限なく、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得た生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、もしくはその他の体液またはその抽出物が挙げられる。生物学的サンプル中のキナーゼ活性の阻害は、当業者には公知の様々な目的に対して役立つ。かかる目的の例としては、以下に限定はされないが、生物学的試料保存および生物学的検定が挙げられる。一実施形態において、生物学的サンプル中のキナーゼ活性を阻害する方法は、非治療的方法に限定される。
【0110】
用語「c−MET」は、「c−Met」、「cMet」、「MET」、「Met」または当業者には公知のその他の記号表示と同義である。
【0111】
別の実施形態によれば、本発明は、患者におけるc−METキナーゼ活性阻害の方法に関し、その方法は、前記患者に本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物を投与するステップを含む。
【0112】
本明細書において使用される用語「c−METによって媒介される疾患」または「c−METによって媒介される状態」とは、c−METが役割を果たしていることが公知の任意の病状またはその他の有害な状態を意味する。用語「c−METによって媒介される疾患」または「c−METによって媒介される状態」は、また、c−MET阻害剤により治療することによって軽減されるそのような疾患または状態をも意味する。かかる状態としては、制限なく、腎臓癌、胃癌、大腸癌、脳癌、乳癌、前立腺癌、および肺癌、神経膠芽腫、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、臓器移植と関連する状態、アレルギー性疾患、および自己免疫疾患が挙げられる。
【0113】
一態様において、本発明は、患者における増殖性疾患を治療する方法を特徴とし、その方法は、該患者に本発明の化合物または組成物の任意の治療効果のある用量を投与するステップを含む。
【0114】
一実施形態によれば、その増殖性疾患は、例えば、腎臓癌、胃癌、大腸癌、脳癌、乳癌、肝臓癌、前立腺癌、および肺癌、または神経膠芽腫等の癌である。
【0115】
別の実施形態において、本発明は、脳癌の重症度の処置または軽減をそれを必要とする患者にする方法に関し、その方法は、前記患者に本発明の化合物またはその組成物を投与することを含む。
【0116】
別の実施形態において、その増殖性疾患は、真性多血症、本態性血小板減少症、慢性的特発骨髄線維症、骨髄線維症による骨髄様化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、慢性的な好酸球性白血病、好酸球増多症候群、全身性の肥満細胞の疾病、非定型的CMLまたは若年型骨髄単球性白血病である。
【0117】
別の実施形態において、その増殖性疾患は、アテローム性動脈硬化症または肺線維症である。
【0118】
本発明の別の態様は、腫瘍転移の阻止をそれが必要な患者にする方法に関し、その方法は、前記患者に本発明の化合物またはその組成物を投与することを含む。
【0119】
治療すべき特定の状態、または疾患によって、その状態を治療するために通常投与される追加の治療剤も本発明の組成物中にあってもよい。本明細書で使用される特定の疾患または状態を治療するために通常投与される追加の治療剤は、「治療される疾患または状態に適合している」ことが公知である。
【0120】
一実施形態において、化学療法剤またはその他の抗増殖剤を、増殖性疾患および癌を治療するために、本発明の化合物と組み合わせることができる。公知の化学療法剤の例としては、以下に限定はされないが、アルキル化剤、例えば、シクロホスファミド、ロムスチン、ブスルファンプロカルバジン、イホスファミド、アルトレタミン、メルファラン、エストラムスチンホスフェート、ヘキサメチルメラミン、メクロレタミン、チオテパ、ストレプトゾシン、クロラムブシル、テモゾロミド、ダカルバジン、セムスチンまたはカルムスチンなど;白金剤、例えば、シスプラチン、カルボプラチナ、オキサリプラチン、ZD−0473(AnorMED)、スピロプラチナ、ロバプラチン(Aeterna)、カルボキシフタラトプラチナ、サトラプラチン(Johnson Matthey)、テトラプラチンBBR−3464(Hoffmann−La Roche)、オルミプラチン、SM−11355(Sumitomo)、イプロプラチン、またはAP−5280(Access)など;代謝拮抗剤、例えば、アザシチジン、トムデクス、ゲムシタビン、トリメトレキサート、カペシタビン、デオキシコホルマイシン、5−フルオロウラシル、フルダラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、2−クロロデオキシアデノシン、ラルチトレキセド、6−メルカプトプリン、ヒドロキシ尿素、6−チオグアニン、デシタビン(SuperGen)、シタラビン、クロファラビン(Bioenvision)、2−フルオロデオキシシチジン、イロフルベン(MGI Pharma)、メトトレキサート、DMDC(Hoffmann−La Roche)、イダトレキサート、またはエチニルシチジン(Taiho)など;トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、アムサクリン、ルビテカン(SuperGen)、エピルビシン、エキサテカンメシレート(Daiichi)、エトポシド、キナメド(ChemGenex)、テニポシド、ミトキサントロン、ギマテカン(Sigma−Tau)、イリノテカン(CPT−11)、ジフロモテカン(Beaufour−Ipsen)、7−エチル−10−ヒドロキシ−カンプトテシン、TAS−103(Taiho)、トポテカン、エルサミトルシン(Spectrum)、デキスラゾキサネット(TopoTarget)、J−107088(Merck&Co)、ピキサントロン(Novuspharma)、BNP−1350(BioNumerik)、レベッカマイシン類似体(Exelixis)、CKD−602(Chong Kun Dang)、BBR−3576(Novuspharma)、またはKW−2170(Kyowa Hakko);抗腫瘍抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、アモナフィド、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アゾナフィド、デオキシルビシン、アントラピラゾール、バルルビシン、オキサントラゾール、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ロソキサントロン、エピルビシン、ブレオマイシン、スルフェート(ブレノキサン)、テラルビシン、ブレオマイシン酸(bleomycinic acid)、イダルビシン、ブレオマイシンA、ルビダゾン、ブレオマイシンB、プリカマイシン、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、MEN−10755(Menarini)、シアノモルホリノドキソルビシン、GPX−100(Gem Pharmaceuticals)、またはミトキサントロン(ノバントロン)など;抗有糸分裂剤、例えば、パクリタキセル、SB 408075(GlaxoSmithKline)、ドセタキセル、E7010(Abbott)、コルヒチン、PG−TXL(Cell Therapeutics)、ビンブラスチン、IDN 5109(Bayer)、ビンクリスチンA、105972(Abbott)、ビノレルビン、A 204197(Abbott)、ビンデシン、LU 223651(BASF)、ドラスタチン 10(NCI)、D 24851(ASTAMedica)、リゾキシン(Fujisawa)、ER−86526(Eisai)、ミボブリン(Warner−Lambert)、コンブレタスタチン A4(BMS)、セマドチン(BASF)、イソホモハリコンドリン−B(PharmaMar)、RPR 109881A(Aventis)、ZD 6126(AstraZeneca)、TXD 258(Aventis)、PEG−パクリタキセル(Enzon)、エポチロン B(Novartis)、AZ10992(Asahi)、T 900607(Tularik)、IDN−5109(Indena)、T 138067(Tularik)、AVLB(Prescient NeuroPharma)、クリプトフィシン 52(Eli Lilly)、アザエポチロン B(BMS)、ビンフルニン(Fabre)、BNP−7787(BioNumerik)、アウリスタチン PE(Teikoku Hormone)、CA−4プロドラッグ(OXiGENE)、BMS 247550(BMS)、ドラスタチン−10(NIH)、BMS 184476(BMS)、CA−4(OXiGENE)、BMS 188797(BMS)、またはタキソプレキシン(Protarga)など;アロマターゼ阻害剤、例えば、アミノグルテチミド、エキセメスタン、レトロゾール、アタメスタン(BioMedicines)、アナストラゾール、YM−511(Yamanouchi)、またはホルメスタンなど;チミジル酸シンターゼ阻害剤、例えば、ペメトレキセド(Eli Lilly)、ノラトレキセド(Eximias)、ZD−9331(BTG)、またはCoFactor(商標)(Biokeys)など;DNA拮抗薬、例えば、トラベクテジン(PharmaMar)、マホスファミド(Baxter International)、グルホスファミド(Baxter International)、アパジクオン(Spectrum Pharmaceuticals)、アルブミン+32P(Isotope Solutions)、O6 ベンジルグアニン(Paligent)、チメクタシン(NewBiotics)、またはエドトレオチド(Novartis)など;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アルグラビン(NuOncology Labs)、チピファルニブ(Johnson&Johnson)、ロナファルニブ(Schering−Plough)、ペリリルアルコール(DOR BioPharma)、またはBAY−43−9006(Bayer)など;ポンプ阻害剤、例えば、CBT−1(CBA Pharma)、ゾスキダルトリヒドロクロリド(Eli Lilly)、タリキダル(Xenova)、ビリコダルジシトレート(Vertex)、またはMS−209(Schering AG)など;ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、タセジナリン(Pfizer)、ピバロイルオキシメチルブチレート(Titan)、SAHA(Aton Pharma)、デプシペプチド(Fujisawa)、またはMS−275(Schering AG)など;メタロプロテナーゼ阻害剤、例えば、ネオバスタット(Aeterna Laboratories)、CMT−3(CollaGenex)、マリマスタット(British Biotech)、またはBMS−275291(Celltech)など;リボヌクレオシドレダクターゼ阻害剤、例えば、ガリウムマルトレート(Titan)、テザシタビン(Aventis)、トリアピン(Vion)、またはジドックス(Molecules for Health)など;TNFα作用薬/拮抗薬、例えば、ビルリジン(Lorus Therapeutics)、レビミド(Celgene)、CDC−394(Celgene)、エンタネルセプト(Immunex Corp.)、インフリキシマブ(Centocor,Inc.)、またはアダリムマブ(Abbott Laboratories)など;エンドセリンA受容体拮抗薬、例えば、アトラセンタン(Abbott)、YM−598(Yamanouchi)、またはZD−4054(AstraZeneca)など;レチノイン酸受容体作用薬、例えば、フェンレチニド(Johnson&Johnson)、アリトレチノイン(Ligand)、またはLGD−1550(Ligand)など;免疫調節剤、例えば、インターフェロンデキソソーム療法(Anosys)、オンコファージ(Antigenics)、ペントリクス(Australian Cancer Technology)、GMK(Progenics)、ISF−154(Tragen)、腺癌ワクチン(Biomira)、癌ワクチン(Intercell)、CTP−37(AVI BioPharma)、ノレリン(Biostar)、IRX−2(Immuno−Rx)、BLP−25(Biomira)、PEP−005(Peplin Biotech)、MGV(Progenics)、シンクロバクスワクチン(CTL Immuno)、β−アレチン(Dovetail)、メラノーマワクチン(CTL Immuno)、CLL療法(Vasogen)、またはp21 RASワクチン(Gem Vax)など;ホルモンおよび抗ホルモン剤、例えば、エストロゲン、プレドニソン、抱合卵胞ホルモン、メチルプレドニソロン、エチニルエストラジオール、プレドニソロン、クロルトリアニセン、アミノグルテチミド、イデネストロール、ロイプロリド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ゴセレリン、メドロキシプロゲステロン、ロイポレリン、テストステロン、ビカルタミド、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、メチルテストステロン、オクトレオチド、ジエチルスチルベストロール、ニルタミド、メゲストロール、ミトタン、タモキシフェン、P−04(Novogen)、トレモフィン、2−メトキシエストラジオール(EntreMed)、デキサメタゾン、またはアルゾキシフェン(Eli Lilly)など;光線力学的薬剤、例えば、タラポルフィン(Light Sciences)、Pd−バクテリオフェオフォルバイド(Yeda)、セララックス(Theratechnologies)、ルテチウムテキサフィリン(Pharmacyclics)、モテキサフィンガドリニウム(Pharmacyclics)、またはヒペリシンなど;および、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、イマチニブ(Novartis)、カハライドF(PharmaMar)、レフルノミド(Sugen/Pharmacia)、CEP−701(Cephalon)、ZD1839(AstraZeneca)、CEP−751(Cephalon)、エルロチニブ(Oncogene Science)、MLN518(Millenium)、カネルチニブ(Pfizer)、PKC412(Novartis)、スクアラミン(Genaera)、フェノキソジオール、SU5416(Pharmacia)、トラスツズマブ(Genentech)、SU6668(Pharmacia)、C225(ImClone)、ZD4190(AstraZeneca)、ル−Mab(Genentech)、ZD6474(AstraZeneca)、MDX−H210(Medarex)、バタラニブ(Novartis)、2C4(Genentech)、PKI166(Novartis)、MDX−447(Medarex)、GW2016(GlaxoSmithKline)、ABX−EGF(Abgenix)、EKB−509(Wyeth)、IMC−1C11(ImClone)、またはEKB−569(Wyeth)などが挙げられる。
【0121】
それらの追加的薬剤は、マルチプル投与レジメンの一部として、化合物含有組成物と別に投与することができる。あるいは、それらの薬剤は、単一組成物において本発明の化合物と混合された単一剤形の一部であってもよい。マルチプル投与レジメンの一部として投与する場合、その2つの活性薬剤は、同時に、連続して、または互いに一定時間内、通常は互いに5時間以内に供することができる。
【0122】
担体材料と組み合わせて単一の剤形を生じることができる、化合物および追加的治療剤の両方の量(上記のような追加的治療剤を含むそのような組成物中の)は、治療されるホストおよび特定の投与様式によって変化する。好ましくは、本発明の組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の式Iの化合物の用量を投与することができるように配合すべきである。
【0123】
追加的治療剤を含むそのような組成物においては、その追加的治療剤および本発明の化合物は、相乗的に作用することができる。それ故、かかる組成物における追加的治療剤の量は、その治療剤だけを使用する単独療法において必要な量よりも少ない。かかる組成物においては、0.01〜100mg/kg体重/日の追加的治療剤の用量を投与すればよい。
【0124】
本発明の組成物中に存在する追加的治療剤の量は、その治療剤を単一の活性薬剤として含む組成物において普通に投与される量より少ない。好ましくは、目下開示される組成物中の追加的治療剤の量は、その薬剤を単一の治療活性薬剤として含む組成物中に普通に存在する量の約50%から100%までの範囲である。
【0125】
本発明の化合物またはその薬剤組成物は、埋め込み可能な医療装置、例えば、プロテーゼ、人工弁、血管グラフト、ステントおよびカテーテルを被覆するための組成物に組み込むこともできる。例えば、血管ステントは、再狭窄(損傷後の血管壁の再狭窄)を克服するために使用されている。しかしながら、ステントまたは他の埋め込み可能な装置を使用している患者には、凝血塊形成または血小板活性化の危険がある。これらの好ましくない作用は、キナーゼ阻害剤を含む薬学的に受容可能な組成物によって装置を前もって被覆することによって、予防または軽減することができる。好適な被覆剤および被覆された埋め込み可能装置の一般的調製は、米国特許第6,099,562号、第5,886,026号および第5,304,121号に記載されている。被覆剤は、一般的には、生体適合性ポリマー材料、例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびそれらの混合物である。被覆剤は、場合によっては、組成物に制御放出特性を与えるために、フルオロシリコーン、ポリサッカリド、ポリエチレングリコール、ホスホリピドまたはそれらの組合せの好適なトップコートによってさらに被覆することができる。本発明の化合物によって被覆された埋め込み可能な装置は、本発明のもう1つの実施形態である。
【0126】
本明細書に記載の本発明をより充分に理解することができるように、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示目的に過ぎず、いかなる方法においても本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0127】
発明の化合物の調製
以下の定義は、本明細書において使用される用語および略語を説明している。
Boc: t−ブトキシルカルボニル
brine: 飽和NaCl(水性)
BSA: ウシ血清アルブミン
DCM: ジクロロメタン
DIEA: ジイソプロピルエチルアミン
DMA: ジメチルアセトアミド
DME: 1,2−ジメトキシエタン
DMF: ジメチルホルムアミド
DMSO: メチルスルホキシド
ESMS: エレクトロスプレー質量分析
Et: エチル
EtO: エチルエーテル
EtOAc: 酢酸エチル
EtOH: エチルアルコール
HOAc: 酢酸
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
J: いくつか構造において、「J」は、ヨウ素原子を表すために使用される
LAH: 水素化アルミニウムリチウム
ローソン試薬: 2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド
LCMS: 液体クロマトグラフィー−質量分析
Me: メチル
MeOH: メタノール
Ms: メタンスルホニル
NBS: N−ブロモスクシンイミド
NMP: N−メチルピロリジン
PdCl(dppf):1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Ph: フェニル
RTまたはrt: 室温
tBu: 第三級ブチル
TCA: トリクロロ酢酸
THF: テトラヒドロフラン
TEA: トリエチルアミン
Tf: トリフルオロメタンスルホニル
TFA: トリフルオ酢酸
TsOH: p−トルエンスルホン酸
本明細書において使用される他の略号、記号および慣例は、現代の科学文献において使用されるものと一致する。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるJanet S. Doddら、The ACS Style Guide:A Manual for Authors and Editors、第2版、Washington,D.C.、American Chemical Society、1997年を参照。
【0128】
概略の合成手順
概して、本発明の化合物は、本明細書に記載されているかまたは類似の化合物の調製について当業者には公知の方法によって調製することができる。以下の非限定のスキームおよび例を、本発明をさらに例示するために提供する。厳選された本発明の化合物の生理化学的特性を表2に提供する。
【0129】
本発明の化合物は、概して、スキーム1に示されているようにして調製することができる。したがって、2−フルオロニコチン酸は、式I−aのアニリンに結合されて式I−bの化合物を生成する。ここで、R、R、R、R、およびRは、式Iの化合物に対して本明細書の他の場所で定義されているものと同じである。その結合は、最初に塩化アシルまたは混合無水物を形成し、続いてアニリンと反応させることによって引き起こすことができる。塩化アシルの形成のための適切な試薬としては、塩化オキサリルが挙げられる。混合無水物の形成のための適切な試薬としては、クロロギ酸イソブチルが挙げられる。別法では、該結合反応は、当業者には公知の通常のアミド結合形成性試薬、例えば、1−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−ビス(ピロリジノ)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(BBC)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HAPyU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(AOP)、1−ベンゾトリアゾリオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、7−アゾベンゾトリアゾリオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyABOP)、または1−ベンゾトリアゾリオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)などを使用して行うことができる。
【0130】
式I−bの化合物のフルオロ基は、次にアミンにより置換して式I−cの化合物を形成する。そのアミンは、そのアミンの窒素の置換が起こるための十分な求核性を保つ基(PG)により保護することができる。例としては、t−ブチルまたはベンジル型のアミン保護基が挙げられる。
【0131】
式I−cの化合物のアミド部分は、次にテトラゾール環に変換されて式I−dの化合物を生成する。この変換は、該アミドのトリフェニルホスフィンおよびトリメチルシリルアジドとの逐次反応と、続いて加熱することによって引き起こすことができる。別法では、式I−cの該化合物は、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(ローソン試薬)、ヒドラジン、およびNaNOにより連続して反応させることができる。
【0132】
式I−dの化合物のアミノピリジン環は、次にハロゲン化されて式I−eの化合物を生成する。一例において、ハロゲン化は、ブロミドを生成するN−ブロモスクシンイミドにより引き起こされる。式I−eの化合物は、次に触媒が介在するクロスカップリング反応における中間体R−金属および除去された何らかの保護基と反応させて、Rが本明細書の他の場所で定義されているものと同じである式Iの化合物を形成することができる。Rの非限定の例としては、場合によって置換されているピラゾール、チオフェン、チエノアゼピン、またはチアゾールが挙げられる。該金属基は、例えば、−B(Oアルキル)または−B(OH)(Suzuki反応)、−Mg−ハロゲン(Kumada反応)、−Zn−ハロゲン(Negishi反応)、−Sn(アルキル)(Stille反応)、−Si(アルキル)(Hiyama反応)、−Cu−ハロゲン、−ZrCpCl、または−AlMeであり得る。該クロスカップリング反応のための触媒は、例えば、パラジウム触媒/配位子系(例えば、Pd(PPh、Pd(PtBu、Pd[P(Me)(tBu)]、PdCl(PPh、PdCl(dppf)、Pd(dba)BINAP、またはPd(dba)P(o−トル)など)であり得る(参照FuおよびLittke、Angew. Chem. Int. Ed. 41巻:4176〜4211頁、2002年;Nicolaouら、Angew. Chem. Int. Ed. 44巻:4442〜4489頁、2005年、またはHassenら、Chemical Reviews 102巻(5号:1359〜1469頁、2002年)。その反応は、通常は塩基の存在下で実施する。別法では、式I−eの化合物は、式I−fのボロン酸エステルまたはボロン酸に変換することができる。上記のような触媒が介在するクロスカップリング反応におけるRハロゲン化物とのその後の反応によっても式Iの化合物は生成する。
【0133】
スキーム1.
【0134】
【化16】

【0135】
合成例
【実施例】
【0136】
(実施例1)
t−ブチル4−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0137】
【化17】

【0138】
N−Boc−4−ヒドロキシピペリジン(30g、149.1mmol、1当量)、トリエチルアミン(22.87mL、164mmol、1.1当量)およびN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(DMAP)(1.83g、14.98mmol、0.1当量)を、無水の塩化メチレン(500mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。塩化メタンスルホニル(12.12mL、156.6mmol、1.05当量)を滴下して加えた。その添加が完了した時点でその反応物をそのまま室温まで温め、一晩撹拌した。その反応物を水(3×100mL)、次いで飽和重炭酸ナトリウム(3×100mL)で洗浄し、追加の塩化メチレンにより抽出し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、40.83g(146.2mmol)の1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメタンスルホネート(化合物1001、収率98%)のオフホワイトの固体を生じさせ、それをさらなる精製なしで使用した。
【0139】
4−ブロモピラゾール(4.68g、31.83mmol)のDMF(300mL)中の0℃の溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%、1.27g、31.83mmol)を加えた。その溶液をそのまま0℃で1時間撹拌し、その時点で化合物1001(9.78g、31.83mmol)のDMF(50mL)中の溶液を滴下して加えた。その反応混合物を、そのまま室温で1時間撹拌した後、一晩還流させた。両方の出発材料の消失をTLC(1:1ヘキサン/酢酸エチル)によって追跡した。その反応物を室温まで冷却し、NaCl水溶液(300mL)の添加によってクエンチし、酢酸エチルにより抽出し(3×200mL)、1%LiCl水溶液により洗浄し(3×200mL)、真空中で乾燥して濃縮した。得られた粗製臭化物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜25%の酢酸エチル)によって精製し、化合物1002を生じた。
【0140】
(実施例2)
4−(4−ブロモ−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン
【0141】
【化18】

【0142】
4−ヨードピリジン(15g、73.17mmol、1当量)、ヨウ化銅(I)(696.7mg、3.66mmol、0.05当量)、およびKCO(21.24g、153.7mmol、2.1当量)を混合し、真空にしてNで3回パージした。無水のトルエン(75mL)を加え、続いてtrans−1,2−ジアミノシクロヘキサン(1.76mL、14.63mmol、0.2当量)および3−メチル−1H−ピラゾール(6.6g、80.49mmol、1.1当量)を加えた。その反応物を密閉し、110℃で一晩撹拌し、次に冷却してフロリジルを通して濾過し、酢酸エチルにより溶出する。その合わせた部分を濃縮し、その生成物をエーテルおよびヘキサンから再結晶させて10.5g(65.96mmol)の4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン(化合物1003、収率90%)を生じた。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 8.1 (m,2H),7.94 (d,J = 2.5 Hz,1H),7.65 (m,2H),6.35 (d,J = 2.5 Hz,1H),2.38 (s,3H).
化合物1003(1.0g、6.3mmol、1当量)に乾燥PtO(286mg、1.26mmol、0.2当量)の酢酸中の溶液を加えた。その反応物を、50psiで一晩水素化した。酢酸を別の容器に移し、触媒を追加の酢酸により洗浄した。生成物を含有する部分の合わせたものを濃縮して、1.0g(6.05mmol)の4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン(化合物1004、収率96%)を生じた。H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 7.6 (d,J = 1.9 Hz,1H),6.0 (d,J = 1.9 Hz,1H),4.13 (m,1H),3.1 (m,2H),2.9 (m,1H),2.65 (m,2H),2.14 (s,3H),2.0−1.5 (m,4H).
氷酢酸(5mL)中の化合物1004(HCl塩として、1.0g、4.958mmol、1当量)に、酢酸(5mL)中のBr(0.281mL、5.45mmol、1.1当量)を滴下して加えた。その反応物を2時間還流させ、次いで室温まで冷却した。得られた固体を濾過し、真空中で乾燥して1.2g(3.69mmol)の4−(4−ブロモ−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン(化合物1005、収率74%)をHBr塩として生じた。H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 8.69 (bs,1H),8.56 (bs,1H),7.94 (s,1H),4.45−4.35 (m,1H),3.36 (m,2H),3.03 (m,2H),2.13 (s,3H),2.04 (m,4H).
(実施例3)
tert−ブチル4−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0143】
【化19】

【0144】
4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール(0.96g、4.47mmol、1当量)を無水のDMF(10mL)中で希釈し、氷浴中で0℃に冷却した。NaH(鉱油中60%、230mg、5.75mmol、1.29当量)をゆっくり加え、その懸濁液を0℃で1時間撹拌した。tert−ブチル4−(メチルスルホニルオキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1001、1.38g、4.94mmol、1.1当量)をDMF(3mL)中で希釈し、前記冷却した混合物に加えた。その反応物を90℃で一晩撹拌した。冷却後、その反応物を水(20mL)中に注ぎ、酢酸エチルにより抽出した(3×50mL)。合わせたその有機層をブラインで洗浄し(3×30mL)、乾燥(NaSO)して濃縮した。得られた油状物を、ヘキサン:酢酸エチルにより溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して1.23g(3.09mmol)のtert−ブチル4−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1006、収率69%)を生じた。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 7.52 (s,1H),4.45−4.2 (m,3H),2.85 (m,2H),2.15 (m,2H),1.9 (m,1H),1.45 (m,9H).
(実施例4)
(R)−tert−ブチル3−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0145】
【化20】

【0146】
4−ブロモピラゾール(4.68g、31.83mmol)のDMF(300mL)中の0℃の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、1.27g、31.83mmol)を加えた。その溶液を0℃で1時間そのまま撹拌し、その時点で、(S)−3−メタンスルホニルオキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル((S)−tert−ブチル3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートから調製された化合物1007、9.78g、31.83mmol)のDMF(50mL)中の溶液を滴下して加えた。その反応混合物を室温で1時間そのまま撹拌した後、一晩還流させた。両方の出発材料の消失をTLC(1:1ヘキサン/酢酸エチル)によって追跡した。その反応物を室温まで冷却し、NaCl水溶液(300mL)の添加によってクエンチし、酢酸エチルにより抽出し(3×200mL)、1%LiCl水溶液により洗浄し(200mL×3)、真空中で乾燥して濃縮した。得られた粗製臭化物(化合物1008)をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜25%の酢酸エチル)によって精製し、無色のワックス状固体としての(R)−tert−ブチル3−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを生じた(4.54g、収率43%)。H NMR (300.0 MHz,CDCl): δ 7.42 (s,1H),7.40 (s,1H),4.13 − 4.05 (m,2H),3.82 (d,J = 13.2 Hz,1H),3.20 (dd,J = 10.3,14.0 Hz,1H),2.94 − 2.85 (m,1H),2.08 − 1.97 (m,2H),1.74 − 1.45 (m,2H)および1.39 (s,9H) ppm.
(実施例5)
tert−ブチル3−(4−ヨード−ピラゾール−1−イル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシレート(エンドおよびエキソ異性体、それぞれ化合物1012および化合物1013)
【0147】
【化21】

【0148】
3−オキソ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物1009、8g、35.5mmol)を100mLのエタノールに溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(2g、53.5mmol)をその溶液に室温で分割して加えた。3時間撹拌後、その反応物を真空にして蒸発させ、透明な粘稠油状物を生じさせた。その油状物をジクロロメタンに溶解し、水とブラインとで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濾過して蒸発させ、7.55gの白色結晶性固体としての3−ヒドロキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物1010)を得た。H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 4.23 (dd,J = 2.7,4.6 Hz,1H),4.18 − 4.06 (m,2H),2.17 − 2.06 (m,1H),1.99 − 1.91 (m,3H),1.72 − 1.50 (m,5H),1.47 (s,9H).
化合物1010(7.55g、33.2mmol)、トリエチルアミン(5.1mL、37mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン(36mg、0.3mmol)を100mLのジクロロメタン中に取り、氷浴中で5℃に冷却した。塩化メタンスルホニル(2.6mL、33.2mmol)をその溶液に滴下して加え、その反応物を室温まで温め、室温で18時間撹拌した。その反応物を水とブラインとで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、減圧下で溶媒を除去し、透明な黄色油状物としての10.2gの3−メタンスルホニルオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステルを異性体の混合物(化合物1011)として得た。H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 5.09 − 5.01 (m,1H),4.28 (s,1H),4.22 (s,1H),3.01 (s,3H),2.20 − 1.97 (m,6H),1.71 − 1.66 (m,2H),1.46 (s,9H).この化合物をさらに精製することなく使用した。
【0149】
水素化ナトリウム(鉱油中60%)(1.52g、38mmol)を、4−ヨードピラゾール(6.6g、34mmol)の無水DMF(75mL)中の冷却した溶液(0℃)にゆっくり加えた。1時間撹拌後、(3−メタンスルホニルオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物1011、10.2g、34mmol)の25mLの無水DMF中の溶液をその反応物に加えた。その反応物を100℃に18時間加熱した。冷却後、その反応物を50mLの水中に注ぎ、酢酸エチルにより抽出した。混合した酢酸エチル抽出物を水(2×50mL)およびブライン(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去し、12.82gの表題化合物1012および1013をエンドおよびエキソ異性体の混合物として生じた。粗製材料の4g部分を30分間にわたるヘキサン中0%〜10%の酢酸エチルの勾配により溶離させる中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、最初の溶離化合物としての1.5gのエンド異性体および2番目の溶離化合物としての1.3gのエキソ異性体を得た。H NMR (300 MHz,DMSO−d) endo 異性体: δ 7.58 (s,1H),7.52 (s,1H),7.26 (s,1H),4.34 (q,J = 5.3 Hz,1H),4.27 (s,2H),2.44 (s,4H),1.89 − 1.85 (m,2H),1.60 − 1.53 (m,2H),1.49 (s,9H), exo 異性体: δ 7.48 (d,J = 0.4 Hz,1H),7.41 (s,1H),7.26 (s,1H),4.68 (m,1H),4.37 (br s,2H),2.08−2.05 (m,6H),1.79 − 1.75 (m,2H),1.49 (s,9H).
(実施例6)
tert−ブチル4−(4−ブロモ−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)アゼパン−1−カルボキシレート
【0150】
【化22】

【0151】
4−ブロモ−3−メチル−1H−ピラゾール(1.0g、6.25mmol、1当量)をDMF(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。NaH(鉱油中60%、275mg、6.87mmol、1.1当量)をゆっくり加え、0℃で1時間撹拌した。tert−ブチル4−(メチルスルホニルオキシ)アゼパン−1−カルボキシレート(化合物1014、1.85g、6.3mmol、1.01当量)をDMF(2.5mL)に溶解してその混合物に加え、その反応物を一晩90℃に加熱した。冷却後、その反応物を水(20mL)中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した(3×50mL)。混合した有機層をブラインで洗浄し(3×30mL)、乾燥(NaSO)し、濃縮した。その油状物をヘキサン:酢酸エチルで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、0.59gのtert−ブチル4−(4−ブロモ−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)アゼパン−1−カルボキシレート(化合物1016、1.65mmol、収率26%)を生じた。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 7.33 (s,1H),4.12 (m,1H),3.8−3.2 (m,4H),2.22 (s,3H),2.18−1.8 (m,4H),1.75−1.55 (m,2H),1.49 (m,9H).
(実施例7)
(3aR,6aS)−tert−ブチル5−(4−ヨード−1H−ピラゾール−1−イル)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
【0152】
【化23】

【0153】
1MのLAHのTHF(800mL、0.8mole、2.3当量)中の室温の溶液に、テトラヒドロフタルイミド(52.6g、0.348mole、1当量)を分割して加えた。その反応混合物を60℃で16時間撹拌し、次いでRTまで冷却し、30mLの水、30mLのTHF、15%のKOH水溶液(30mL)、および水(100mL)の連続添加により注意深くクエンチした。その混合物を135mLのエーテルにより希釈し、RTで1時間撹拌し、600mLのフリットガラス濾過漏斗上の珪藻土のパッドを通して濾過し、そのパッドを400mLのDCMにより洗浄した。その濾液を真空中で濃縮し、油状物としての(3aR,7aS)−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−イソインドールを生じさせ、それを直接次の反応でそのまま使用した。
【0154】
したがって、0℃の400mLの乾燥DCM中のその粗製のイソインドール(38.9g、0.313モル、1当量)を、Boc無水物(103g、0.470モル、1.5当量)で処理した。その反応混合物を、0℃で30分、次いでRTで16時間撹拌した。その反応物を真空中で濃縮して油状物とし、それを800mLのエーテルに溶解し、1Mのクエン酸(2×170mL)、水、飽和NaHCO、およびブラインにより洗浄した。その有機物を硫酸ナトリウムにより乾燥し、真空中で濃縮して油状物とし、それをシリカゲルの短いプラグを通過させ、15%EtOAc/ヘキサンにより溶離することによって精製し、(3aR,7aS)−tert−ブチル3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−カルボキシレート(化合物1017、69g、2段階で収率80%)を生じた。H NMR (CDCl): δ 5.7 (s,2H),3.45 (m,2H),3.15 (m,2H),2.3 (m,4H),1.9 (m,2H),1.5 (s,9H).
四塩化炭素(320mL)、アセトニトリル(320mL)、および水(500mL)中の化合物1017(32.6g、0.146モル、1当量)をメタ過ヨウ素酸ナトリウム(124.9g、0.588モル、4当量)で処理し、続いて触媒の酸化ルテニウム水和物(778mg、5.8ミリモル、0.04当量)で処理した。その混合物をRTで24時間激しく撹拌し、DCM(450mL)および水(80mL)により希釈し、珪藻土のパッドを通して濾過した。その濾液を、溶離液としてDCMを用いてシリカの小さいプラグを通過させ、真空中で濃縮して、2,2’−((3S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−3,4−ジイル)二酢酸(化合物1018、33.18g、収率80%)を生じた。H NMR (CDCl): δ 3.55 (m,2H),3.15 (m,2H),2.8 (m,2H),2.45 (m,4H),1.5 (s,9H).
202mLの無水酢酸中の化合物1018(33.18g、0.115モル)を酢酸ナトリウム(0.093モル)により処理した。その反応混合物は、120℃で3時間撹拌し、RTまで冷却し、濾過した。その濾過した材料をエーテルで洗浄し(2×200mL)、その濾液を真空中で蒸発させた。その残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(30%EtOAc/ヘキサン)により精製し、(3aR,6aS)−tert−ブチル5−オキソヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(化合物1019、13.8g、収率55%)を提供した。H NMR (CDCl): δ 3.7 (m,2H),3.25 (m,2H),2.9 (m,2H),2.5 (dd,2H),2.2 (dd,2H),1.5 (s,9H).
化合物1019(4g、0.018モル)を50mLのエタノールに溶解した。水素化ホウ素ナトリウムをRTで分割して加えた。3時間撹拌後、その反応物を真空中で濃縮した。得られた油状物をDCM(200mL)に溶解し、水、ブライン、(NaSO)により洗浄し、真空中で濃縮して、黄色油状物(化合物1020、3.79g、収率93%)としての(3aR,6aS)−tert−ブチル5−ヒドロキシヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートを生じた。H NMR (CDCl): δ 4.2 (m,1H),3.55 (dd,2H),3.4 (dd,2H),2.7 (m,2H),2.2 (m,2H),1.6 (m,2H),1.5 (s,9H).
化合物1020(3.79g、0.0168モル、1当量)、TEA(0.0187モル、1.11当量)、およびDMAP(20mg、0.168ミリモル、0.01当量)を、50mLの乾燥DCM中に溶解し、氷浴により0℃に冷却した。塩化メシル(1.31mL、0.0168モル、1当量)をその溶液に滴下しながらゆっくり加え、その反応混合物をRTで16時間撹拌した。その反応混合物を水およびブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、真空中で濃縮して油状物としての(3aR,6aS)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−5−イルメタンスルホネート(化合物1021)を生じ、それを直接次の反応でそのまま使用した。
【0155】
水素化ナトリウム(鉱油中60%、740mg、0.184モル、1.1当量)を、4−ヨードピラゾール(3.26g、0.0168モル、1当量)の0℃に冷却した38mLの乾燥DMF中の溶液にゆっくり加えた。その混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで化合物1021(5.13g、0.0168モル、1当量)の12mLのDMF中の溶液を加えた。その反応物を100℃で6時間加熱した。その反応混合物を酢酸エチル(200mL)により希釈し、水、次いでブラインにより洗浄した。その有機相を乾燥(NaSO)し、真空中で濃縮し、中圧シリカゲルクロマトグラフィー(25%〜40%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(3aR,6aS)−tert−ブチル5−(4−ヨード−1H−ピラゾール−1−イル)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(化合物1022、5.51g、収率60%)を提供した。H NMR (CDCl): δ 7.5 (s,1H),7.4 (s,1H),4.9 (m,1H),3.7 (m,2H),3.2 (m,2H),2.9 (m,2H),2.4 (m,2H),2.2 (m,2H),1.5 (s,9H).
(実施例8)
エチル2−ブロモ−4,5,7,8−テトラヒドロチエノ[3,2−d]アゼピン−6−カルボキシレート
【0156】
【化24】

【0157】
2−(チオフェン−2−イル)エタナミン(20g、157.4mmol)のCHCl中の0℃の溶液に、グリオキシル酸エチルと、続いて酢酸(4mL)を加えた。その反応混合物を15分間撹拌し、続いてNaBH(OAc)(40g、204.7mmol)を分割して加えた。その反応混合物をさらに1時間撹拌し、7mLの酢酸を加えた。その反応物をRTまで温め、2−(チオフェン−2−イル)エタナミンの完全な消費が見られるまで撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮して化合物1023を生じさせ、それをTHF(500mL)中に取り上げ、0℃で固体のNaHCO(40g、472.2mmol)により処理した。続いてこれにクロロギ酸エチル(19.5mL、157mmol)を加え、NaHCO飽和水溶液をガスの発生が最小になるまでゆっくり加えた。その反応混合物を一晩撹拌し、酢酸エチルにより抽出した。混合した有機物をブライン溶液により洗浄し、濃縮して粗生成物を得、それをシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、エチル(エトキシカルボニル)メチル2−(5−ブロモチオフェン−2−イル)エチルカルバメート(化合物1023、15.0g、収率34%)を得た。ES−MS: 286.2 (M+H) 。
【0158】
化合物1024(30.0g、105.26mmol)のエタノール中の0℃の溶液に、200mLの1NのNaOHを滴下して加えた。その反応混合物をRTまで温め、24時間撹拌した。その反応混合物をEtOにより抽出して未反応の出発材料を除去し、その水層を1NのHClにより1のpHが得られるまで酸性にした。その水溶液を酢酸エチルにより抽出し(2×500mL)、混合した有機物をブライン溶液で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去して粗生成物を得、それをペンタンにより洗浄して、無色の固体としての2−(N−(エトキシカルボニル)−N−(2−(チオフェン−2−イル)エチル)アミノ)酢酸(化合物1025、収率74%)を提供した。ES−MS: 258.2 (M+H)。
【0159】
化合物1025(14g、54.41mmol)を乾燥ジクロロメタン(300mL)中で解いた。この懸濁液に0.1mLのDMFを加え、続いて塩化オキサリル(10.4g、81.93mmol)を注意深く添加した。その反応混合物を室温で1時間撹拌し、その時点で0.5mLの追加の塩化オキサリルを加えた。溶媒を真空下で蒸発させて2−(N−(エトキシカルボニル)−N−(2−(チオフェン−2−イル)エチル)アミノ)塩化アセチルを生じさせた。この酸塩化物を乾燥DCM(300mL)中に再溶解し、AlCl(18.1g、135.74mmol)を室温で添加した。その反応物を室温で1時間保ち、次いでエタノール(約10mL)をゆっくり添加してクエンチした。その混合物を次に氷中に注ぎ、1時間撹拌した。その水性混合物をDCMにより抽出した(3×150mL)。混合した有機層をMgSOにより乾燥し、濾過し、揮発分を減圧下で除去して残留物を生じさせ、それをシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、エチル4,5,7,8−テトラヒドロ−4−オキソチエノ[3,2−d]アゼピン−6−カルボキシレート(化合物1026、7.4g、30.92mmol)を生成した。
【0160】
AlCl(6.7g、50.25mmol)の乾燥DCM(60mL)中の懸濁液を0℃に冷却し、BH・tBuNH固体(8.7g、100mmol)を加えた。0℃で5分間撹拌後、化合物1026(4g、16.72mmol)のDCM中の溶液を加えた。その反応物を、進行をTLCにより追跡しながら室温で14時間撹拌した。その混合物を2NのHClの注意深い添加によりクエンチした(ガス発生が見られた)。ガス発生が止んだとき、追加の2NのHClを加え、その混合物をDCMにより抽出した(3×100mL)。混合したDCM層をMgSOにより乾燥し、濾過し、濾液を真空下で蒸発させて、白色固体としてのエチル4,5,7,8−テトラヒドロチエノ[3,2−d]アゼピン−6−カルボキシレート(化合物1027)を提供した。この生成物は、その後の反応において精製することなく直接使用した。
【0161】
化合物1027(16.72mmol)をCHCN(150mL)中に溶解し、NBS(4.74g、26.63mmol)を加えた。その反応物を室温で30分間撹拌し、NaSO(200mL)/6NのNaOH(5mL)の溶液中に注いだ。その水層をEtOAcにより抽出し(3×150mL)、MgSOにより乾燥し、濾過し、揮発分を減圧下で除去した。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、エチル2−(2−ブロモ−4,5,7,8−テトラヒドロチエノ[3,2−d]アゼピン−6−イル)アセテート(化合物1028、3.1g、10.20mmol)を提供した。
【0162】
出発材料としての1−(チオフェン−2−イル)プロパン−2−アミンに対して同じ手順を使用して、エチル2−ブロモ−4,5,7,8−テトラヒドロ−7−メチルチエノ[3,2−d]アゼピン−6−カルボキシレート(化合物1029)を生成した。
【0163】
【化25】

【0164】
(実施例9)
エチル2−ブロモ−4,5,7,8−テトラヒドロ−4−メチルチエノ[3,2−d]アゼピン−6−カルボキシレート
【0165】
【化26】

【0166】
メチル(トリフェニルホスフィニウム)ブロミド(1g、2.8mmol)の無水THF(10mL)中の懸濁液を0℃に冷却した。この懸濁液にカリウムヘキサメチルジサラジド(KHMDS、520mg、2.6mmol)を加えた。その混合物を0℃で30分間撹拌し、化合物1026(480mg、2.0mmol)を加え、その反応物をRTまで温めてさらに1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、その残留物を中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、油状物としてのエチル4−メチレン−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−6(5H)−カルボキシレートを生じた(化合物1030、310mg、収率65%)。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 6.90 (s,2H),5.17 − 5.02 (m,2H),4.12 (d,J = 22.3 Hz,2H),4.02 (q,J = 7.1 Hz,2H),3.65 − 3.58 (m,2H),2.97 − 2.94 (m,2H),1.13 (t,J = 7.1 Hz,3H).
化合物1030(310mg、1.31mmol)をエタノール(50mL)中に溶解した。その溶液を3回脱気した後、10%Pd/C(100mg)を添加した。そのフラスコに大気圧の水素を充填し(Hバルーン)、RTで14時間撹拌した。触媒を珪藻土を通す濾過によって除去し、揮発分を減圧下で除去し、エチル4,5,7,8−テトラヒドロ−4−メチルチエノ[3,2−d]アゼピン−6−カルボキシレート(化合物1031)を得、それをその後の反応でさらに精製することなく使用した。
【0167】
化合物1031のアセトニトリル(30mL)中の溶液に、NBS(233mg、1.31mmol)を加えた。その反応混合物をRTで30分間撹拌し、NaSOの水溶液および飽和NaHCO溶液の添加によってクエンチした。その水層をEtOAcにより抽出した。MgSOにより乾燥した後、その有機物を真空中で濃縮した。その残留物を中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、エチル2−ブロモ−4−メチル−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−6(5H)−カルボキシレート(化合物1032、280mg、0.88mmol、67%)を生じた。H NMR (300.0 MHz,CDCl): δ 6.82 (s,1H),4.18 (q,J = 7.0 Hz,2H),3.71 − 3.47 (m,4H),3.10 − 2.90 (m,3H)および1.28 (t,J = 7.1 Hz,3H).
(実施例10)
エチル2−ブロモ−4,5,7,8−テトラヒドロ−4,4−ジメチルチエノ[3,2−d]アゼピン−6−カルボキシレート
【0168】
【化27】

【0169】
−78℃の無水DCM(100mL)に、TiCl(4.76g、25.1mmol)およびMeZn(PhMe中2.0M、13mL、26.0mmol)を加えた。得られた混合物を−78℃で5分間撹拌し、次にエチル4−オキソ−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボキシレート(1g、4.18mmol)のDCM(10mL)中の溶液をゆっくり加えた。それを加えた後、その反応物をそのままRTまで温め、3時間撹拌した。その溶液を次に氷水中に注意深く注ぎ、DCMにより抽出した。混合した有機物層をMgSOにより乾燥し、揮発分を減圧下で除去した。化合物10033を含有するその粗製残留物をアセトニトリル(100mL)に溶解した。この溶液にNBS(0.82g、4.61mmol)を加えた。その反応混合物をRTで1時間撹拌し、NaSOの水溶液およびNaHCO飽和溶液を加えてクエンチした。その水溶液をEtOAcにより抽出し、その有機物をMgSO4により乾燥し、揮発分を減圧下で除去した。その残留物を中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、エチル2−ブロモ−4,4−ジメチル−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボキシレート(化合物1034、1g、3.0mmol、収率72%)を生じた。LCMS (M+H) = 332.0; H NMR (300.0 MHz,CDCl): δ 6.87 (s,1H),4.19 (q,J = 6.6 Hz,2H),3.67 − 3.58 (m,2H),3.58 (s,1H),3.51 (s,1H),2.93 (m,2H)および1.30 (t,J = 7.1 Hz,3H) ppm.
(実施例11)
エチル2−ブロモ−7−エチル−4,5,7,8−テトラヒドロチエノ[3,2−d]アゼピン−6−カルボキシレート
【0170】
【化28】

【0171】
1−(チオフェン−2−イル)ブタン−2−アミン(2.1g、13.72mmol)の塩化メチレン(40mL)中の溶液に、RTでグリオキシル酸エチル(2.80g、13.72mmol)を加えた。一滴の酢酸を加え、その混合物をRTで75分間撹拌し、トリアセトキシホウ化水素ナトリウム(4.36g、20.58mmol)を加えた。その反応物をRTで15時間撹拌した後、その反応を5mLの酢酸を添加することによってクエンチした。揮発分を減圧下で除去し、その残留物を40mLのTHFに溶解した。飽和重炭酸ナトリウム(40mL)を注意して加え、続いてクロロギ酸エチル(2.978g、2.624mL、27.44mmol)を加えた。固体のNaHCOをその後ガス発生が止むまで分割して加えた。その反応物をRTで一晩撹拌し、EtOAcにより抽出した(2回)。その有機物をNaSOにより乾燥し、揮発分を減圧下で除去し、得られた黄色の油状物を、溶離液として0〜35%EtOAc/ヘキサン勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、無色油状物としてのエチル2−(エトキシカルボニル−(1−(チオフェン−2−イル)ブタン−2−イル)アミノ)アセテート(化合物1035、3.03g)を生成した。
【0172】
化合物1035(3.03g、9.668mmol)のEtOH(50mL)中の溶液を、1MのNaOH(48mL)によりRTで一晩処理した。その反応混合物を、50mLの1MのNaOHおよび100mLの水により希釈し、EtOAcにより洗浄し、その水層を6MのHCl(30mL)により酸性にしてEtOAcにより抽出した(2回)。その有機物をNaSOにより乾燥し、揮発分を真空下で蒸発させて2.23gの(エトキシカルボニル−(1−チオフェン−2−イルメチル−プロピル)−アミノ)−酢酸(化合物1036)を生じた。
【0173】
化合物1036(2.25g、7.885mmol)のDCM(35mL)中の溶液に、0.1mLのDMFを加え、続いて塩化オキサリル(1.502g、1.032mL、11.83mmol)を加えた。その反応混合物をRTで1時間撹拌し、揮発分を真空中で除去した。その残留物をベンゼン中に取り、揮発分を再度真空中で除去し(2回)、続いて真空下で乾燥した。その残留物を乾燥DCM(35mL)中に取り、AlCl(3.679g、27.59mmol)をRTで加えた。その混合物をRTで1.5時間撹拌し、反応をエタノールによりクエンチした。得られた溶液を氷水に注ぎ、DCMで抽出した(2回)。混合した有機層をNaSOにより乾燥し、真空下で濃縮し、その残留物を、溶離液として5%〜20%酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、エチル7−エチル−4−オキソ−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−6(5H)−カルボキシレート(化合物1037、671mg)を生成した。
【0174】
塩化アルミニウム(972.2mg、7.291mmol)をDCM(60mL)に0℃で加え、続いてボラン−tert−ブチルアミン錯体(1.268g、14.58mmol)を加えた。その混合物に、化合物1037(650mg、2.431mmol)のDCM(5mL)中の溶液を加えた。その反応物をRTまでそのまま温め、18時間撹拌し、続いてガス発生が止むまで2NのHClを加えて反応をクエンチした。その混合物をDCMにより抽出し、NaSOにより乾燥し、揮発分を減圧下で除去した。得られた残留物(化合物1038)を、アセトニトリル中に溶解し、N−ブロモスクシンアミド(432.7mg、2.431mmol)を滴下して加えた。その反応混合物をRTで1時間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。その残留物を溶離液として0〜20%EtOAc/ヘキサン勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、エチル2−ブロモ−7−エチル−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−6(5H)−カルボキシレート(化合物1039、300mg)を生じた。
【0175】
(実施例12)
エチル2−ブロモ−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]アゼピン−7(8H)−カルボキシレート
【0176】
【化29】

【0177】
チオフェン−2−イルメタンアミン(20.0g、176.7mmol)のエタノール(1L)中の0℃の溶液にアクリル酸メチル(15.21g、176.7mmol)を加えた。その反応物をそのまま室温に温めて、一晩おき、その時点でHPLC分析により反応が完了したことが示された。溶媒を真空中で除去し、薄い黄褐色の油状物としてのメチル3−(チオフェン−2−イルメチルアミノ)プロパノエート(化合物1040)(35.21g、99%)を生じた。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 7.28 (s,CHCl),7.22 (dd,J = 1.5,4.7 Hz,1H),6.97 − 6.95 (m,2H),4.16 (q,J = 7.1 Hz,2H),4.02 (s,3H),3.69 (d,J = 5.0 Hz,2H),2.95 (t,J = 6.5 Hz,2H)および2.57 − 2.48 (m,2H).
化合物1040(35.2g、176.6mmol)の1:1の水/THF(1L)中の溶液に、固体重炭酸ナトリウム(32.6g、388.6mmol)およびクロロギ酸エチル(20.3mL、212.0mmol)を加えた。その反応物を室温で一晩撹拌し、その時点でLCMSは、出発材料の完全な消失を示した。その反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルにより抽出し、揮発分を減圧下で除去して、淡黄色油状物(化合物1041、19.9g、41%)としてのメチル3−(エトキシカルボニル(チオフェン−2−イルメチル)アミノ)プロパノエートを生じた。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 7.20 − 7.12 (m,1H),6.94 − 6.83 (m,2H),4.56 (s,2H),4.10 (td,J = 14.5,7.3 Hz,2H),3.52 (s,3H),3.46 (t,J = 6.6 Hz,2H),2.47 − 2.39 (m,2H),1.97 (s,H)および1.24 − 1.15 (m,3H) ppm.その水層は、そのメチルエステルの加水分解に起因するいくらかの3−(エトキシカルボニル(チオフェン−2−イルメチル)アミノ)プロパン酸(化合物1042)を含有した。化合物1042は、その水層のpHを6MのHClにより2に調整し、続いてクロロホルム中10%のn−BuOHにより抽出することによって単離することができ、その後の濃縮によって淡黄色油状物としてのカルボン酸(17.33g)を生じた。
【0178】
化合物1041(19.9g、73.3mmol)のKOH(4.94g、88.01mmol)を含有するエタノール(700mL)中の溶液を、室温で3時間撹拌すると、その時点でLCMS分析は出発材料の完全な消失を示した。その粗製反応物を真空中で濃縮し、そのpHを1MのHClの添加によって2に調整し、得られた溶液をクロロホルム中10%のn−BuOHにより抽出した。その有機物を濃縮して淡い黄褐色の油状物としての3−(エトキシカルボニル(チオフェン−2−イルメチル)アミノ)プロパン酸(化合物1042、17.1g、90%)を生じた。H NMR (300 MHz,CDCl) d 7.19 − 7.11 (m,1H),6.87 (dd,J = 3.3,5.0 Hz,2H),4.58 (s,2H),4.14 (q,J = 7.1 Hz,2H),3.47 (t,J = 6.9 Hz,4H)および1.23 (t,J = 7.0 Hz,3H).
化合物1042(5.0g、19.43mmol)のDMF1滴を含有する塩化メチレン(200mL)中の0℃の溶液に、塩化オキサリル(2.03mL、23.32mmol)を加えた。その反応混合物を、LCMS分析(分析すべきアリコートのベンジルアミンによるクエンチ後)が中間体の塩化アシルに完全に転化したことを示すまでRTで撹拌した。その反応物を50%近くまで濃縮し、その時点で固体の塩化アルミニウム(5.18g、38.86mmol)を加えた。その反応物を次に室温で一晩撹拌した。その反応物を0℃に冷却し、メタノール(50mL)を注意深く加えた。ガス発生が止んだ後、100mLの飽和重炭酸ナトリウムを注意深く加えた。ガス発生が止んだ後、その反応物をクロロホルム中10%のn−BuOHにより抽出し、濃縮し、その残留物をシリカクロマトグラフィー(0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、淡い黄褐色油状物としてのエチル4−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]アゼピン−7(8H)−カルボキシレート(化合物1043)を生じた(1.27g、27%)。
【0179】
固体のボラン−t−ブチルアミンペレット(2.77g、31.84mmol)を粉砕し、0℃の塩化メチレン(300mL)中に懸濁させた。固体の三塩化アルミニウム(2.12g、15.92mmol)を加え、その混合物を1時間撹拌した。化合物1043(1.27g、5.31mmol)をゆっくり加え、その反応混合物を室温に温めて一晩おいた。その反応をエタノール(50mL)、次いで飽和塩化アンモニウム(100mL)を加えてクエンチした。その混合物を飽和重炭酸ナトリウムにより中性のpHとし、酢酸エチルにより抽出し(3×100mL)、濃縮して、黄褐色油状物としてのエチル5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]アゼピン−7(8H)−カルボキシレート(化合物1044)を生じた。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 6.95 − 6.85 (m,1H),6.70 (d,J = 4.7 Hz,1H),4.49 (s,2H),4.18 − 4.00 (m,2H),3.66 − 3.58 (m,2H),2.77 (t,J = 5.7 Hz,2H),1.62 (qn,J = 6.0 Hz,2H)および1.24 − 1.08 (m,3H).
化合物1044(1.78g、7.90mmol)のアセトニトリル(80mL)中の0℃の溶液にNBS(1.69g、9.48mmol)をゆっくり加えた。その反応物を室温で30分間撹拌すると、その時点でHPLC分析により、出発材料の消失が示された。その反応物を飽和重炭酸ナトリウム(50mL)を添加してクエンチし、1時間撹拌した。その反応物を次にジエチルエーテルにより抽出し(3×100mL)、有機物を濃縮し、その残留物をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン中5〜30%の酢酸エチル)によって精製し、淡黄色油状物としてのエチル2−ブロモ−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]アゼピン−7(8H)−カルボキシレートを生じた(化合物1045、2.07g、収率86%)。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 6.67 (s,1H),4.38 (s,2H),4.15 − 3.99 (m,4H),3.64 (d,J = 3.8 Hz,2H),2.73 − 2.67 (m,2H)および1.22 − 1.09 (m,3H).
(実施例13)
エチル2−ブロモ−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]アゼピン−5−カルボキシレート
【0180】
【化30】

【0181】
チオフェン−3−イルメタンアミン(4.0g、35.34mmol)およびアクリル酸エチル(0.921mL、35.34mmol)のエタノール中の溶液を室温で一晩撹拌すると、その時点でHPLC分析は、出発材料の消失を示した。その反応物を濃縮すると、淡黄色油状物としてのエチル3−(チオフェン−3−イルメチルアミノ)プロパノエートを生じた(化合物1046、3.36g、収率45%)。
【0182】
化合物1046(3.36g、15.75mmol)のエタノール(100mL)中の溶液に、飽和重炭酸ナトリウム(25mL)およびクロロギ酸エチル(1.801mL、18.9mmol)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌し、その時点で1.0Mの水酸化カリウム水溶液(63.0mL、63.0mmol)を加えた。その混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮し、6NのHClにより酸性とし、クロロホルム中10%のn−BuOHにより抽出した。その有機物を濃縮して黄褐色油状物としての3−(エトキシカルボニル(チオフェン−3−イルメチル)アミノ)プロパン酸を生じた(化合物1048、2.04g、50%)。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 7.56 − 7.48 (m,1H),7.44 − 7.38 (m,2H),4.75 (s,2H),4.49 − 4.39 (m,4H),3.92 − 3.77 (m,2H),2.62 − 2.58 (m,2H)および1.68 − 1.48 (m,3H).
化合物1048(2.05g、7.97mmol)のDMF1滴を含有する塩化メチレン(80mL)中の0℃の溶液に、塩化オキサリル(4.78mL、9.56mmol)を加えた。その混合物を0℃で1時間撹拌し、揮発分を真空中で除去した。得られた中間体の塩化アシルを塩化メチレンに溶解し、0℃に冷却し、続いて三塩化アルミニウム(2.66g、19.92mmol)を添加した。その反応物をそのまま室温に温めて一晩おいた。その混合物を注意深くエタノール(25mL)によりクエンチし、30分間そのまま撹拌した後、100mLの1NのHCl、飽和重炭酸ナトリウムにより洗浄し、再び1NのHClにより洗浄した。その有機層を乾燥し、塩化メチレン/エタノールの助けを借りてシリカを通して濾過し、次いで減圧下で濃縮し淡黄色油状物としてのエチル8−オキソ−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]アゼピン−5−カルボキシレートを生じた(化合物1049、1.645g、86%)。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 7.51 (d,J = 5.1 Hz,1H),6.89 (dd,J = 5.1,9.0 Hz,1H),4.82 (s,2H),4.10 (qn,J = 7.0 Hz,2H),3.66 (t,J = 10.9 Hz,2H),2.97 − 2.90 (m,2H)および1.21 (t,J = 6.8 Hz,3H).
固体のボラン−t−ブチルアミンペレット(3.59g、41.24mmol)を粉砕して0℃の塩化メチレン(70mL)中に懸濁させた。固体の三塩化アルミニウム(2.75g、20.62mmol)を加え、この混合物を1時間撹拌した。化合物1049(1.27g、5.31mmol)をゆっくり加え、その反応混合物をそのまま室温まで温めて一晩おいた。その反応を、エタノール(50mL)、次いで飽和塩化アンモニウム(100mL)を加えてクエンチした。その混合物を飽和重炭酸ナトリウムにより中性のpHとし、酢酸エチルにより抽出し(3×100mL)、減圧下で濃縮して黄褐色油状物としてのエチル7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]アゼピン−5−カルボキシレート(化合物1050)を生じた。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 6.91 (d,J = 4.9 Hz,1H),4.45 (d,J = 16.5 Hz,2H),4.08 (t,J = 6.9 Hz,2H),3.72 (s,2H),2.94 (t,J = 5.8 Hz,2H),1.86 (d,J = 2.0 Hz,2H),1.21 (d,J = 6.3 Hz,3H)および0.07 (s,H).
化合物1050(1.53g、6.79mmol)のアセトニトリル(70mL)中の0℃の溶液に、NBS(1.69g、9.48mmol)をゆっくり加えた。その反応物を室温で30分間撹拌すると、その時点でHPLC分析は出発材料の消失を示した。その反応を飽和重炭酸ナトリウム(50mL)を添加し、1時間撹拌してクエンチした。その混合物をジエチルエーテルにより抽出し(3×100mL)、揮発分を減圧下で除去し、その残留物をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜30%酢酸エチル)によって精製し、淡黄色油状物としてのエチル2−ブロモ−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]アゼピン−5−カルボキシレートを生じた(化合物1051、2.07g、収率86%)。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 6.84 − 6.70 (m,1H),4.30 (d,J = 15.4 Hz,2H),4.02 (q,J = 6.7 Hz,2H),3.63 (s,2H),2.78 (dd,J = 4.6,5.7 Hz,2H),1.80 (s,2H)および1.16 (t,J = 6.8 Hz,3H).
(実施例14)
tert−ブチル4−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0183】
【化31】

【0184】
EtMgBr(1.0Mの300mL、300mmol)のTHF(400mL)中のRTの溶液に、2−ブロモ−3−メチルチオフェン(48.28g、272.2mmol)を滴下して加えた。その混合物をRTで72時間撹拌した。その反応混合物に、tert−ブチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(54.33g、272.7mmol)のTHF中の溶液をRTで加えた。その反応物を3時間撹拌し、2NのHClを添加してその反応をクエンチした。その混合物を、EtOAcにより抽出し、その混合した有機物を水、飽和NaHCO溶液により洗浄し、MgSOにより乾燥した。真空中での揮発分の除去によりガム状の生成物が生じ、それにEtOAcを加えた。生じた白色沈殿物を10分間振とうした後、それを濾過して集め、EtOAcにより洗浄した。その濾液を再び蒸発させ、沈殿させるステップを繰り返して追加の生成物を得、それを先に集めた固体と混合し、tert−ブチル4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た(化合物1052、58g、収率71.5%)。H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 7.17 (d,J = 5.0 Hz,1H),6.79 (d,J = 5.1 Hz,1H),5.47 (s,1H),3.82 (brd,2H),3.09 (brs,2H),2.26 (s,3H),1.84 − 1.79 (m,4H)および1.41 (s,9H).
化合物1052(41.5g、139.5mmol)の乾燥DCM(400mL)中の溶液に、トリエチルシラン(81.10g、111.4mL、697.5mmol)を加えた。その混合物を−78℃に冷却し、TFA(79.53g、53.74mL、697.5mmol)をゆっくり加えた。その反応混合物を3時間の間撹拌して−10℃まで加温した。追加のTFAを加え、その反応物をRTまで加温し、3時間撹拌した。揮発分を真空中で除去し、その残留物を2NのHClの溶液中に注いだ。その水溶液をヘキサンで洗浄し、続いて窒素雰囲気下で固体のNaOHによりpHを12に調整した。この塩基性溶液に同じ容積のDCMを加え、続いて、ジ−t−ブチルジカーボネート(36.53g、167.4mmol)を加えた。その混合物をRTで30分間撹拌し、DCMで抽出し、その有機物をMgSOにより乾燥し、濾過して真空下で蒸発させ、tert−ブチル4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1053)を提供し、それをその後の反応におけるものとして使用した。
【0185】
tert−ブチル4−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(39g、138.6mmol)のCHCN(328.0mL)中の溶液に、NBS(24.67g、138.6mmol)を10℃で加えた。その反応混合物をRTで30分間撹拌した。NaSO水溶液を加えて反応をクエンチし、その混合物をEtOAcにより希釈し、2NのNaOHにより洗浄し、揮発分を減圧下で除去した。その残留物を、2%〜10%EtOAc/ヘキサンにより20分間にわたって溶離する中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、白色固体としての47gのtert−ブチル4−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1054)を生じた。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 6.74 (s,1H),4.25 (br,2H),3.00 − 2.90 (m,1H),2.78 (t,2H),2.15 (s,3H),1.85 (brd,2H),1.56 − 1.52 (m,2H)および1.49 (s,9H).
tert−ブチル3−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1055)およびtert−ブチル4−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)アゼパン−1−カルボキシレート(化合物1056)を、化合物1054の調製について上で提供したものと類似の手順によって調製した。
【0186】
【化32】

【0187】
(実施例15)
tert−ブチル4−(5−ブロモ−2−メチルチオフェン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0188】
【化33】

【0189】
500mLのフラスコに12.6mLのジイソプロピルアミン(89.9mmol)、150mLの無水THFを仕込み、その系を窒素下で0℃に保った。この溶液に、58.9mL(94mmol)のnBuLli(ヘキサン中1.6M)を20分間にわたってゆっくり加えた。その添加が完了したとき、その反応混合物をさらに15分間撹拌し、−78℃に冷却した。100mLのTHF中の3−ブロモチオフェン(8.11mL、85.6mmol)をその混合物に30分間かけて滴下して加えた。その反応物をそのまま0℃まで加温し、15分間撹拌し、−78℃に冷却した。50mLのTHF中のヨウ化メチル(5.33mL、85.5mmol)を加えた。その溶液をそのままRTまで加温し、2時間撹拌した。その溶液を0℃に冷却し、反応を100mLのHCl(1M)水溶液を加えてクエンチした。その水層を分離し、100mLのエーテルにより洗浄した。混合した有機物をMgSOにより乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して油状物としての2−メチル−3−ブロモチオフェンを提供した(化合物1057、14.32g)。H NMR (CDCl): δ 7.12 (d,1H),6.9 (d,1H),2.4 (s,3H).
化合物1057(490mg、2.77mmol)の乾燥DMF(2mL)中の脱気した混合物に、tert−ブチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート(779mg、2.52mmol)、飽和NaHCO(3.15mL、3.78mmol)、および184mgのPdCl(dppf)を加えた。その反応混合物をマイクロ波照射下の120℃で10分間加熱し、EtOAcで希釈し、濾過した。その濾液を水とブラインとで洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、真空中で濃縮した。その残留物を、0〜30%EtOAc/ヘキサンにより30分間にわたって溶離する中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、淡黄色の油状物としてのtert−ブチル5,6−ジヒドロ−4−(2−メチルチオフェン−3−イル)ピリジン−1(2H)−カルボキシレートを生じた(化合物1058、557mg、収率79%)。H NMR (CDCl): δ 7.12 (d,1H),6.85 (d,1H),5.7 (bs,1H),4.1 (bs,2H),3.6 (t,2H),2.4 (s,3H),2.3 (m,2H).
化合物1058(835mg、3mmol)を50mLのMeOH/EtOAc(1:1)中に溶解し、45psiの水素雰囲気下で3時間撹拌した。その混合物を珪藻土に通して濾過し、真空中で濃縮して油状物としてのtert−ブチル4−(2−メチルチオフェン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを生じた(化合物1059、0.816g、収率97%)。
【0190】
化合物1059(810mg、2.89mmol)の15mLのアセトニトリル中の溶液に、NBS(505mg、2.83mmol)を分割して加えた。その反応混合物を室温で10分間撹拌し、飽和NaSO溶液によりクエンチし、EtOAcにより抽出した(3回)。混合した有機物を乾燥(NaSO)し、濾過し、真空中で濃縮し、粗製の淡黄色の半固体を生じた。その残留物を0〜20%EtOAc/ヘキサンにより25分間にわたって溶離する中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、tert−ブチル4−(5−ブロモ−2−メチルチオフェン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを生じた(化合物1060、590mg、57%)。H NMR (CDCl): δ 6.7 (s,1H),4.2 (m,2H),2.6 (m,3H),2.2 (s,3H),1.6 (m,2H),1.5 (m,2H),1.45 (s,9H).
(実施例16)
tert−ブチル4−(5−ブロモ−4−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0191】
【化34】

【0192】
1−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート(化合物1061、2.65g、8mmol、Organic Letters、3巻(15号)、2317〜2320頁、2001年、に記載されている手順に従って調製)、4−メチルチオフェン−2−ボロン酸(1.14g、8mmol)、および重炭酸ナトリウム(10mL水中の1.01g、12mmol)のDMF(30mL)中の溶液を、窒素気流により20分間脱気した。その混合物に、トリス(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(584mg、0.8mmol)を加え、その反応物をマイクロ波照射下、120℃で10分間撹拌した。その粗製混合物を酢酸エチルにより希釈し、水(2×15mL)およびブライン(1×15mL)により連続して洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄色の油状物としての1.67gのtert−ブチル4−(4−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを提供した(化合物1062)。ESMS (M+H) = 224。
【0193】
メタノールと酢酸エチルの溶液(40mL、1:1)中の化合物1062(1.67g、5.98mmol)に炭素上パラジウム(1g、10%、Degussaタイプ)を加えた。その反応物をParr装置上45psiの水素雰囲気下で1時間振とうし、珪藻土を通して濾過し、減圧下で濃縮した。得られた材料をアセトニトリル(30mL)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(1.14g、6.4mmol)により処理した。その反応混合物を室温で30分間撹拌し、亜硫酸ナトリウムの飽和溶液によりクエンチした。その粗生成物をEtOAcにより抽出し(2×30mL)、その混合した有機物を硫酸マグネシウムにより乾燥し、減圧下で濃縮した。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色固体としての1.26gのtert−ブチル4−(5−ブロモ−4−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1063)を提供した。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 6.42 (s,H),4.20 − 4.01 (m,2H),2.77 − 2.68 (m,3H),2.05 (s,3H),1.84 (d,J = 12.3 Hz,2H)および1.50 − 1.39 (m,11H).
(実施例17)
tert−ブチル4−(5−ブロモチアゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0194】
【化35】

【0195】
tert−ブチル4−チオカルバモイルピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1064、1g、4.09mmol)のアセトン(5mL)中の溶液に、2−クロロアセトアルデヒド(0.32g、4.08mmol)を加えた。その混合物を還流下で4時間加熱した。追加の−クロロアセトアルデヒド(0.32g、4.08mmol)を加え、加熱をさらに14時間続けた。その溶媒を蒸発させて除去し、その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、油状物としてのtert−ブチル4−(チアゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1065)(530mg、1.97mmol)を生じた。LCMS (M+H) = 213.1; H NMR (300 MHz,CDCl): δ 7.74 (d,J = 3.3 Hz,1H),7.26 (d,J = 3.3 Hz,1H),4.23 (brd,2H),3.22 (m,1H),2.91 (t,2H),2.14 (m,2H),1.77 (m,2H),1.48 (s,9H).
化合物1065(530mg、1.97mmol)のアセトニトリル(10mL)中の溶液に、NBS(1.40g、7.86mmol)を加えた。その混合物をRTで14時間撹拌し、50℃で4時間加熱した。再生したいくらかの出発材料を含むその反応混合物を、NaSO(30mL)および6NのNaOH(2mL)の溶液中に注いだ。その水層をEtOAcにより抽出し、MgSO4により乾燥し、混合した有機物を真空中で濃縮した。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色油状物としてのtert−ブチル4−(5−ブロモチアゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1066)(210mg、0.61mmol)を提供した。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 7.59 (s,1H),4.20 (brd,J = 12.9 Hz,2H),3.13 (tt,J = 3.8,11.5 Hz,1H), 2.89 (t,J = 11.6 Hz,2H),2.08 (d,J = 11.7 Hz,2H),1.72 (dq,J = 4.3,11.9 Hz,2H),1.49 (s,9H).
(実施例18)
4−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピリジンおよび3−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピリジン
【0196】
【化36】

【0197】
2−ブロモ−3−メチルチオフェン(5g、28.24mmol)、ピリジン−4−イルボロン酸(4.2g、33.89mmol)、および飽和重炭酸ナトリウム(1.2Mの70.60mL、84.72mmol)のDMF(100mL)中の混合物を、窒素により脱気した。PdCl(dppf)(1.239g、1.694mmol)を加え、その反応混合物を窒素雰囲気下、90℃で14時間加熱した。冷却後、その混合物を飽和NaHCO溶液中に注ぎ、それをEtOAcにより抽出した。その有機物を飽和NaHCOにより洗浄し、MgSOにより乾燥し、揮発分を蒸発によって除去した。その残留物を、1%〜50%EtOAc/ヘキサンにより溶離する中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、わずかに黄色の油状物としての4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピリジンを提供した(3g、収率61%)。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 8.54 (dd,J = 1.6,4.5 Hz,2H),7.30 (dd,J = 1.7,4.5 Hz,2H),7.23 (d,J = 5.1 Hz,1H),6.88 (d,J = 5.1 Hz,1H)および2.32 (s,3H). この化合物(3g、17.12mmol)を、アセトニトリル(100mL)中に溶解し、NBS(3.047g、17.12mmol)をRTで加えた。その反応混合物をRTで24時間撹拌し、その反応を、NaSOの水溶液および飽和NaHCO溶液を添加することによってクエンチした。得られた沈殿物を集め、水で洗浄した。高真空下で乾燥した後、黄色固体としての4−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピリジン(化合物1067、4g、92%)を得た。ESMS (M+H) = 254.05; H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 8.74 (dd,J = 1.5,5.0 Hz,2H),7.78 (dd,J = 1.5,5.0 Hz,2H),7.46 (s,1H)および2.46 (s,3H).
3−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピリジン(化合物1068)を化合物1067の調製に対して上で提供したものと類似の手順によって調製した。ESMS (M+H) = 254.05; H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 8.69 (d,J = 2.1 Hz,1H),8.59 (dd,J = 1.5,4.8 Hz,1H),7.71 (dt,J = 7.9,2.4 Hz,1H),7.36 (dd,J = 4.8,7.9 Hz,1H),6.95 (s,1H)および2.29 (s,3H).
(実施例19)
5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミンおよび5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン
【0198】
【化37】

【0199】
2−フルオロニコチン酸(18.8g)を、500mlの無水ジクロロメタンおよび1.3mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド中に懸濁させた。その溶液を氷浴により5℃に冷却した。塩化オキサリル(11.3mL)を、その冷却した混合物に滴下して加えた。添加後、その混合物を室温まで温め、すべての固体が溶液になるまで撹拌した。2,3−ジフルオロ−4−メチルアニリン(化合物1069、20g)をその透明な0℃の溶液に滴下して加えた。その添加が完了した後、DIEA(70mL)をその冷却した溶液に滴下して加えた。その混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。その混合物を、200mLの飽和重炭酸ナトリウムで2回、300mLの水で1回、および300mLのブラインで1回洗浄した。その有機物を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濾過し、揮発分を減圧下で除去し、オレンジ色の固体を生じた。この固体を350mLのヘキサン中でスラリー化し、30分間撹拌し、真空濾過によって集め、ヘキサンでよく洗浄し、真空下で乾燥して、2−フルオロ−N−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)ピリジン−3−カルボキシレートを生じた(化合物1070、30.6g、収率86%)。ESMS (M+1) = 267.1; H NMR (300 MHz,CDCl): δ 8.78 − 8.62 (m,2H),8.42 − 8.39 (m,1H),8.06 − 8.00 (m,1H),7.43 (dt,J = 10.0,3.1 Hz,1H),6.98 (dd,J = 1.7,16.0 Hz,1H)および2.31 (d,J = 1.9 Hz,3H).
化合物1070(30.6g)を、300mLのN−メチルピロリドンおよび100mLのtert−ブチルアミンに溶解し、100℃に24時間加熱した。その反応物を室温まで冷却し、1Lの飽和重炭酸ナトリウム中に注いだ。沈殿が形成され、それを真空濾過によって収集し、水でよく洗浄し、真空オーブン中で一晩乾燥して2−(tert−ブチルアミノ)−N−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)ピリジン−3−カルボキシアミドを生じた(化合物1071、35.16g、収率95.8%)。H NMR (300 MHz,CDCl) 8.26 (dd,J = 1.8,4.7 Hz,1H),8.03 (s,1H),7.84 − 7.69 (m,3H),6.95 (dd,J = 1.5,16.1 Hz,1H),6.51 (dd,J = 4.8,7.7 Hz,1H),2.29 (d,J = 1.9 Hz,3H)および1.48 (s,9H).
化合物1071(88.2g、276.2mmol)を、1200mLの無水アセトニトリル中に取り込んだ。トリフェニルホスフィン(94.2g、359mmol)をその混合物に加え、室温で5分間撹拌し、続いて四塩化炭素(32mL、331.4mmol)を加えた。その混合物を3時間還流させた。その反応物を室温まで冷却し、TMS−アジド(55ml、414.3mmol)をその混合物に加えた。その反応物を加熱して18時間還流させた。その反応物を室温まで冷却し、1200mLのメチルtert−ブチルエーテルにより希釈し、飽和重炭酸ナトリウムにより洗浄した。その水層をメチルtert−ブチルエーテルにより洗浄した。その有機物を混合し、水で1回とブラインで2回洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濾過し、揮発分を減圧下で除去し、ハチミツ色のシロップを生じ、それをメチルtert−ブチルエーテルに溶解し、トリフェニルホスフィンオキシドの沈殿を真空濾過によって除去した。その濾液を真空中で蒸発させ、その残留物をメチルtert−ブチルエーテルに溶解し、得られた溶液を1500gのシリカゲル上に注いだ。1:2メチルtert−ブチルエーテル/ヘキサンによる溶離により、濃い黄色の沈殿を、純粋な生成物を含有する画分から溶媒を蒸発させた後に生じた。この湿潤した固体をヘキサンにより希釈し、濾過によって収集し、ヘキサンでよく洗浄し、淡黄色の固体を生みだし、それを60℃で16時間乾燥して、N−tert−ブチル−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミンを得た(化合物1072、79.9g、収率84%)。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 8.20 (dd,J = 1.9,4.7 Hz,1 H),7.56 (s,1 H),7.18 − 7.12 (m,2 H),7.05 (dd,J = 1.5,7.8 Hz,1 H),6.30 (dd,J = 4.8,7.8 Hz,1 H),2.44 (s,3 H),1.54 (s,9H).
化合物1072(69g)を、210mLのメタノールおよび420mLの6MのHCl中に取り込み、18時間還流させた。その反応物を室温まで冷却し、そのpHを6Mの水酸化ナトリウムにより8に調整した。得られた白色沈殿を、真空濾過によって収集し、水でよく洗浄し、真空下の55℃で一晩乾燥させて、3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(62.32g)を生じた。
【0200】
3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(60g)を、1Lの無水アセトニトリル中に懸濁させ0℃に冷却した。NBS(40.7g)をその混合物に滴下しながら加え、1時間撹拌した。硫酸ナトリウムの濃厚溶液をその混合物に加え、続いて濃厚な重炭酸ナトリウムを加えた。室温で1時間撹拌後、その反応物を濾過し、水で十分に洗浄し、真空下の55℃で一晩乾燥させ、5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミンを生じた(化合物1073、64.66g、収率84.6%)。H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 8.22 − 8.14 (m,1H),7.59 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.54 − 7.48 (m,1H),7.40 (dd,J = 1.1,15.6 Hz,1H),6.71 (s,2H)および2.38 (d,J = 2.0 Hz,3H).
化合物1069を化合物1073に転化するために用いたものと同じ一連の反応を、化合物1074を化合物1078に転化するために用いた。特性データは、次の通りである。化合物1075: H NMR (300 MHz,CDCl): δ 8.68 − 8.62 (m,2H),8.40 (dt,J = 4.7,1.6 Hz,1H),8.06 − 7.99 (m,1H),7.44 (td,J = 5.0,2.5 Hz,1H),6.82 − 6.75 (m,1H)および3.91 (d,J = 5.4 Hz,3H); 化合物1076: H NMR (300 MHz,CDCl): δ 8.26 (dd,J = 1.8,4.7 Hz,1H),8.01 (s,1H),7.83 − 7.77 (m,1H),7.68 − 7.64 (m,2H),6.80 − 6.73 (m,1H),6.51 (dd,J = 4.7,7.7 Hz,1H),3.91 (s,3H)および1.49 (s,9H),化合物1077: ESMS (M+1) = 361.37;および化合物1078: H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 8.20 (d,J = 2.5 Hz,1H),7.64 − 7.56 (m,2H),7.36 − 7.28 (m,1H),6.73 (s,2H)および3.97 (s,3H).
次のアニリン類を、本発明の化合物の調製において使用されるその他の中間体5−ブロモ−3−(置換−フェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン類の合成のための出発材料として同様に使用した。
【0201】
【化38】

【0202】
(実施例20)
N−tert−ブチル−3−(1−(4−ブロモ−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン
【0203】
【化39】

【0204】
2,3−ジフルオロアニリン(20g、154.9mmol)のHOAc(230mL)中の撹拌されている溶液に、臭素(24.75g、7.978mL、154.9mmol)のHOAc(70mL)中の溶液をRTで1時間にわたって加えた。その反応混合物をRTでさらに1時間撹拌すると白色沈殿が現れた。その溶媒を減圧下で除去し、その残留物を0℃で6MのNaOHにより塩基性とし、その塩基性の溶液をDCMにより抽出した。その有機物をMgSOにより乾燥した後、揮発分を真空中で除去し、4−ブロモ−2,3−ジフルオロアニリン(化合物1079);LC/MS (M+H) = 207.96を提供した。この化合物を2−フルオロニコチン酸の塩化アシルと反応させ、例19で記載した一連の反応を遂行し、N−tert−ブチル−3−(1−(4−ブロモ−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1080)を生成した。H NMR (300 MHz,DMSO−d): δ 8.21 (dd,J = 1.9,4.8 Hz,1H),7.90 − 7.84 (m,1H),7.54 − 7.48 (m,1H),7.44 (dd,J = 1.9,7.7 Hz,1H),6.71 (s,1H),6.58 (dd,J = 4.8,7.7 Hz,1H)および1.31 (s,9H).
(実施例21)
N−tert−ブチル−3−(1−(4−エチル−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン
【0205】
【化40】

【0206】
N−tert−ブチル−3−(1−(4−ブロモ−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1080、240mg、0.586mmol)、ビニルトリフルオロホウ酸カリウム(94mg、0.704mmol)、およびKPO(410mg、1.935mmol)を、1.5mLのトルエンおよび0.5mLの水に取り込んだ。その反応物を、その混合物に窒素を20分間吹き込んで脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(34mg、0.0293mmol)をその混合物に加え、反応物をマイクロ波照射下で10分間180℃で加熱した。その反応物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濾過し、その揮発分を減圧下で除去して、暗褐色の固体を生じさせ、それを0〜20%EtOAc/ヘキサンにより溶離するカラムクロマトグラフィー(SiO)によって精製し、260mgの化合物1081;MS (M+1) = 357.4を生じた。
【0207】
N−tert−ブチル−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−ビニルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1081、260mg)を、30mlの酢酸エチルに溶解した。10%炭素上パラジウム炭素をその混合物に加え、その反応フラスコに水素(1気圧)を充填した。RTで12時間撹拌した後、その反応物を、珪藻土を通して濾過し、真空中で濃縮し、その残留物を0〜20%EtOAc/ヘキサンにより溶離するカラムクロマトグラフィー(SiO)によって精製し、130mgのN−tert−ブチル−3−(1−(4−エチル−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1082);MS (M+1) = 359.4を生じた。
【0208】
化合物1082は、本明細書に提供されているものに類似している手順に従ってNBSとさらに反応させて、N−tert−ブチル−5−ブロモ−3−(1−(4−エチル−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1083)を提供することができる。
【0209】
(実施例22)
N−tert−ブチル−5−ブロモ−3−(1−(4−シクロプロピル−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン
【0210】
【化41】

【0211】
N−tert−ブチル−3−(1−(4−ブロモ−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1080の150mg、0.366mmol)、シクロプロピルトリフルオロホウ酸カリウム(70.5mg、0.476mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(10mg、0.0366mmol)およびKPO(272mg、1.283mmol)をトルエン(1.5ml)、および水(750μL)中に取り込んだ。その反応物を窒素により1時間脱気し、Pd(OAc)(4.1mg、0.0183mmol)を加えた。その反応混合物をマイクロ波照射下で10分間180℃で加熱した。その反応は、HPLC分析により完了していないことが見出され、そのためテトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(42mg、0.0366mmol)をその混合物に加えてマイクロ波照射を10分間180℃で続けた。その反応混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルにより抽出した。その有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濾過し、揮発分を減圧下で除去し、粗製の褐色油状物を生じ、それを0〜20%EtOAc/ヘキサンにより溶離するカラムクロマトグラフィー(SiO)によって精製し、無色の油状物としての120mgのN−tert−ブチル−3−(1−(4−シクロプロピル−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1084);ESMS (M+1) = 371を生じた。
【0212】
化合物1084(200mg、0.54mmol)を10mLのアセトニトリルに溶解した。N−ブロモスクシンイミド(96mg、0.54mmol)をその溶液に加え、その反応混合物を室温で30分間撹拌した。その反応を1MのNaによりクエンチし、その混合物を酢酸エチルにより抽出した。その有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、白色固体を生じさせ、それをシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、37mgのN−tert−ブチル−5−ブロモ−3−(1−(4−シクロプロピル−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1085);MS (M+1) = 449を生じた。
【0213】
(実施例23)
5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−アルコキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン類
【0214】
【化42】

【0215】
5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1078、5.0g、13.1mmol)のDCM(100mL)中の溶液に、BBr(10mL、130mmol)を窒素下で加えた。その反応混合物を45℃で3時間還流させた。0℃に冷却した後、その反応をHO(20mL)および飽和NaHCO溶液(50mL)により注意深くクエンチした。得られた沈殿を真空濾過によって収集し、真空下で乾燥した。その有機層をNaSOにより乾燥し、真空下で濃縮してさらなる固体生成物を得た。その混合した固体をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/DCM)によって精製し、オフホワイトの固体としての4−(5−(2−アミノ−5−ブロモピリジン−3−イル)−1H−テトラゾール−1−イル)−2,3−ジフルオロフェノール(化合物1086、3g、収率62%)を生じた。
【0216】
化合物1086(0.5g、1.36mmol)のアセトン(10mL)中の溶液に、2−ヨードプロパン(340mg、2mmol)およびKCO(276mmg、2mmol)を加えた。その反応混合物を室温で24時間撹拌した。無機固体を真空濾過によって除去し、その濾液をEtOAcにより希釈し、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥し、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(10〜50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、無色固体としての5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−イソプロポキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1087、335mg、収率60%)を生じた。
【0217】
化合物1086(100mg、0.271mmol)、炭酸カリウム(130mg、0.941mmol)、および(ブロモメチル)シクロプロパン(43.9mg、0.325mmol)を、周囲温度でのジメチルホルムアミド(2mL)中で、12時間にわたって撹拌した。その反応物をブラインに注ぎ、酢酸エチルにより2回抽出した。その有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥し、濾過し、溶媒を真空下で除去した。その残留物を50%EtOAc/ヘキサンにより溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。5−ブロモ−3−(1−(4−(シクロプロピルメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1088、44mg、収率38%)を淡黄色ガラスとして単離した;ESMS (M+H) = 425.23。
【0218】
化合物1086(300mg、0.8127mmol)、炭酸カリウム(224.6mg、1.625mmol)、および2−ブロモエチルメチルエーテル(169.4mg、114.5μL、1.219mmol)の撹拌されている懸濁液に、ヨウ化ナトリウム(182.7mg、1.219mmol)を加えた。その反応混合物を50℃に加熱し、そのまま一晩撹拌した。冷却後、その混合物をEtOAcと水の間で分配した。その有機物を、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、揮発分を真空中で除去した。シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサンの0〜50%勾配)により精製して、3−(1−(4−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−ブロモピリジン−2−アミン(化合物1089、120mg)を生じた。
【0219】
化合物1086(90mg、0.2438mmol)、トリフェニルホスフィン(76.74mg、0.2926mmol)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(59.17mg、56.68μL、0.2926mmol)、および(S)−テトラヒドロフラン−3−オール(25.78mg、0.2926mmol)のTHF(90μL)中の溶液を、マイクロ波照射下の70℃で10分間加熱した。その反応を、塩化アンモニウム(飽和)によりクエンチし、EtOAcにより抽出した。その有機物を、1MのNaOH(2回)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲルによるクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサンの0〜50%勾配)にかけて、3−(1−(4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−ブロモピリジン−2−アミン(化合物1090、99mg)を生じた。
【0220】
この手順は、また、アルキル化フェノール中間体の化合物1086がそれぞれヨウ化エチルおよびヨウ化プロピルを有するときは、5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−エトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1091)および5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−プロポキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1092)を製造するためにも使用した。
【0221】
(実施例24)
ビス−tert−ブチル5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−(アルコキシメチル)フェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−イルカルバメート
【0222】
【化43】

【0223】
5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(1.5g、4.086mmol、1当量)(化合物1073)を、DMF(20mL)中で希釈した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(3.121g、14.3mmol、3.5当量)およびN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(DMAP)(0.175g、1.143mmol、0.35当量)をその溶液に加え、その混合物を窒素雰囲気下の室温で一晩撹拌した。その反応混合物をジエチルエーテル(50mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム(50mL)で洗浄し、さらなるジエチルエーテル(2×50mL)により抽出した。混合したその有機物を水で洗浄し(3×50mL)、乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。得られた油状物を塩化メチレン中で希釈し、シリカのプラグを通過させて濾過し、ビス−tert−ブチル5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−イルカルバメートを生じた(化合物1093、2.3g、4.054mmol、収率99.2%)。H NMR (300 MHz,CDCl) δ 8.7 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.92 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.2 (m,1H),7.1 (m,1H),2.4 (d,J = 2.1 Hz,3H),1.35 (m,18H).
化合物1093(2.3g、4.054mmol、1当量)を、CCl(65mL)中で希釈した。NBS(200mg、1.124mmol、0.28当量)および過酸化ベンゾイル(196.4mg、0.811mmol、0.2当量)を加え、その反応物を窒素雰囲気下の80℃で撹拌した。NBS(594mg、3.34mmol、0.82当量)を次の4時間にわたって4等分にして加え(794mgの合計、4.46mmol、1.1当量を加えた)、その反応物を80℃で一晩撹拌した。その混合物を減圧下で濃縮し、EtOAc/ヘキサンにより溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、純度70%(30%の化合物1093の不純物)を含むビス−tert−ブチル5−ブロモ−3−(1−(4−(ブロモメチル)−2,3−ジフルオロフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−イルカルバメートを生じた(化合物1094、1.67g、2.58mmol、収率45%)。H NMR (300 MHz,CDCl): δ 8.7 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.9 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.3 (m,2H),4.5 (d,J = 1.3 Hz,2H),1.35 (m,18H).この材料をさらなる精製はしないで使用した。
【0224】
乾燥ナトリウムメトキシド(76.9mg、1.423mmol、3当量)を、無水MeOH(6mL)中で希釈した。その懸濁液を化合物1094(511mg、0.474mmol、1当量)のMeOH(6mL)中の溶液に加えた。その懸濁液を室温のN下で一晩撹拌し、減圧下で濃縮し、塩化メチレン中で希釈し、EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーを用いて精製し、ビス−tert−ブチル5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−イルカルバメートを生じた(化合物1095、137mg、0.229mmol、収率48%)。H NMR (300 MHz,CDCl) δ 8.7 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.9 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.35 (m,2H), 4.6 (d,J = 1.0 Hz,2H),3.45 (s,3H),1.35 (m,18H).
化合物1094のナトリウムメトキシドとの反応と類似した手順で、化合物1094をエタノール中でナトリウムエトキシドと反応させて化合物1096を製造し、[H NMR (300 MHz,CDCl) δ 8.7 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.94 (d,J = 2.4 Hz,1H),7.4 (m,1H),7.33 (m,1H),4.62 (m,2H),3.6 (q,J = 7.0 Hz,2H),1.35 (m,18H),1.25 (m,3H)]、イソプロパノール中でナトリウムイソプロポキシドと反応させて化合物1097を製造した。[H NMR (300 MHz,CDCl): δ 8.6 (m,1H),7.6 (m,1H),7.45 (m,1H),7.35 (m,1H),4.67 (m,2H),3.75 (m,1H),1.4 (m,18H),1.25 (m,6H)].
(実施例25)
tert−ブチル4−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0225】
【化44】

【0226】
tert−ブチル4−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1002、10.52g、31.86mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(9.71g、38.23mmol)、および酢酸カリウム(9.38g、95.58mmol)を、105mlの1,4−ジオキサン中に取り込んだ。その混合物を、20分間窒素を吹き込むことによって脱気し、続いてPdCl(dppf)CHCl(1.3g、1.59mmol)を加えた。その反応物を90℃で11時間加熱した。その反応物を室温まで冷却し、フロリジル(Florisil)のプラグを通して濾過し、酢酸エチルですすいだ。その濾液を真空中で濃縮し、暗褐色の油状物を生じさせ、それをヘキサンに溶解し、2:1のヘキサン/酢酸エチルによりフロリジルの2番目のプラグを通して溶離した。その濾液を真空中で濃縮して黄褐色の油状物を生じさせ、それをヘキサンにより解きほぐし、0℃で白色沈殿が形成されるまで撹拌した。その沈殿を真空濾過によって収集し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して、6.79gのtert−ブチル4−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1098)を生じた。
【0227】
(実施例26)
3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(1−((R)−ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−アミン(化合物8)
【0228】
【化45】

【0229】
実施例25における化合物1098の調製のためのものと類似の手順で、化合物1008を(S)−tert−ブチル3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1099)に転化した。
【0230】
(S)−tert−ブチル3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1099、642mg、1.70mmol)、5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1100、543mg、1.418mmol)、およびCsF(1.5M、2.84mL、4.26mmol)の7mLのDMF中の溶液を、窒素により30分間脱気し、その時点で1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウム(174mg、0.212mmol)を加え、その混合物をさらに15分間脱気した後、窒素雰囲気下で120℃に加熱した。1時間後、LCMS分析は、反応が完了したことを示した。塩化メチレン(10mL)および重炭酸ナトリウム飽和水溶液(10mL)を加え、その反応混合物を塩化メチレンで抽出し(2×10mL)、その混合した有機物を減圧下で濃縮し、その残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中50〜100%の酢酸エチル)により精製し、黄色固体としての(S)−tert−ブチル3−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを生じた(化合物1101)。H NMR (300 MHz,CDCl) δ 8.25 (d,J = 2.0 Hz,1H),7.34 (d,J = 8.8 Hz,1H),7.25 − 7.16 (m,2H),6.94 − 6.88 (m,2H),6.31 (s,2H),4.15 − 4.01 (m,1H),3.96 (s,3H),3.28 (d,J = 11.5 Hz,1H),2.98 − 2.81 (m,2H),2.62 (dd,J = 2.7,22.8 Hz,1H),2.62 (s,1H),2.14 − 2.10 (m,1H),1.97 − 1.73 (m,1H),1.62 (s,9H)および1.57 − 1.47 (m,1H) ppm.
化合物1101(61mg、0.110mmol)をメタノール(1mL)に溶解し、ジオキサン中のHCl(275μL、4.0M、1.10mmol)を加えた。その反応物を室温で2時間撹拌し、エチルエーテルを加えた。得られた沈殿を集め、水酸化アンモニウムおよび塩化メチレンで処理することによって遊離の塩基の形に転化した。その反応物を塩化メチレンの助けを借りて珪藻土を通して濾過し、濃縮し、2当量のジオキサン中4.0MのHClを加えて、黄色固体としての(S)−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ポラゾール−4−イル)ピリジン−2−アミンのHCl塩を生じた(化合物8、50.5mg、収率93%)。
【0231】
(実施例27)
3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−アミン(化合物11)
【0232】
【化46】

【0233】
丸底フラスコに、5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1073、3.672g、10mmol)、tert−ブチル4−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1098、4.150g、11.00mmol)およびDME(100mL)を仕込み、窒素ガスを20分間吹き込んだ。重炭酸ナトリウムの1.2Mの水溶液(25.00mL、30.00mmol)を加え、窒素流をさらに40分間続けた後、PdCl(dppf)(731.7mg、1.000mmol)を加えた。その懸濁液を70℃で15時間加熱し、珪藻土の層を通して濾過し、その濾液をブラインで洗浄した。その揮発分を真空蒸発によって除去し、残留物を生じさせ、それを、20〜100%EtOAc/ヘキサンにより溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色固体としてのtert−ブチル4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを生成した(化合物1102、4.0g、74%)。
【0234】
tert−ブチル4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1102、3.5g、6.511mmol)を4.0MのHCl/ジオキサン(50mL、200.0mmol)によりRTで1時間処理した。その沈殿を濾過して集め、真空下で乾燥し、淡黄色固体としての3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−アミン二塩酸塩を生じた(化合物11、3.3g、99%)。
【0235】
(実施例28)
3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−アミン二塩酸塩(化合物12)
【0236】
【化47】

【0237】
丸底フラスコに、5−ブロモ−3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1078、3.832g、10mmol)、tert−ブチル4−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1098、4.150g、11.00mmol)およびDME(100mL)を仕込み、Nにより20分間フラッシュした。重炭酸ナトリウムの水溶液(1.2Mの25mL、30.00mmol)を加えた。窒素流をさらに40分間続けた後、PdCldppf(731.7mg、1.00mmol)を加えた。その得られた懸濁液を70℃で15時間加熱し、珪藻土の層を通して濾過し、ブラインで洗浄した。その揮発分を真空中で除去し、残留物を生じさせ、それを、20〜100%EtOAc/ヘキサンにより溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色固体としてのtert−ブチル4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを生成した(化合物1103、2.8g、50.6%);ESMS (M+H) = 554。
【0238】
化合物1103(3.0g、5.419mmol)を4MのHCl/ジオキサン(50mL、200.0mmol)によりRTで1時間処理した。その溶媒を真空蒸発によって除去し、淡黄色固体としての3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−アミン二塩酸塩を生じた(化合物12、2.8g、98%)。
【0239】
(実施例29)
3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)ピリジン−2−アミン(化合物13)
【0240】
【化48】

【0241】
実施例25における化合物1098の調製のためのものと類似の手順で、化合物1073を3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1104)に転化した。
【0242】
3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1104、3g、7.243mmol)のDMF(50mL)中の溶液に、エチル2−ブロモ−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−6(5H)−カルボキシレート(化合物1028、2.644g、8.692mmol)および飽和重炭酸ナトリウム(39.10g、1.2Mの18.11mL、21.73mmol)を加えた。その混合物の懸濁液を、窒素雰囲気下で20分間撹拌し、PdCl(dppf)(530.0mg、0.724mmol)を加え、その懸濁液を窒素雰囲気下の90℃で14時間加熱した。冷却後、その反応混合物をNaHCO水溶液中に注ぎ、得られた固体を濾過によって集め、水で洗浄した。得られた粗製の浅黒い固体をEtOAcに溶解し、シリカゲルと一緒にして同時蒸発させ、5%〜55%EtOAc/ヘキサンにより溶離する中圧シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色固体としてのエチル2−(6−アミノ−5−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−6(5H)−カルボキシレートを生じた(化合物1105、1.9g、収率51%)。ESMS (M+H) = 512.5。
【0243】
化合物1105(1.9g、3.714mmol)の乾燥クロロホルム(30mL)中の溶液に、ヨウ化トリメチルシリル(TMSI、5.285mL、37.14mmol)を加えた。その溶液を70℃で14時間加熱し、RTまで冷却し、その反応をMeOHを注意深く添加することによってクエンチした。2MのNaOHを次に加え、その混合物を飽和NaHCO溶液中に注ぎ、DCMにより抽出した。混合したDCM溶液を2MのHClにより抽出し、その酸性の水溶液を6MのNaOHにより塩基性にした。その沈殿を濾過し、水で洗浄し、少量のMeOHに溶解した。6MのHClをそのメタノール溶液に加え、溶媒を蒸発させ、その残留物をメタノールに溶解させ、次いでエーテル中に注いだ。その黄色の沈殿を集め、黄色固体として乾燥し、3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)ピリジン−2−アミンを生成した(化合物13、1.67g、収率94%)。
【0244】
(実施例30)
3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(4−メチル−5−(ピペリジン−4−イル)チオフェン−2−イル)ピリジン−2−アミン(化合物22)
【0245】
【化49】

【0246】
実施例25における化合物1098の調製のためのものと類似の手順で、化合物1078を3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1106)に転化した。
【0247】
3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン(化合物1106、200mg、0.4649mmol)およびtert−ブチル4−(5−ブロモ−3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物1054、167.5mg、0.4650mmol)のDMF(8mL)中の溶液にNaHCOの溶液(2.509g、1.2Mの1.162mL、1.395mmol)を加えた。その混合物を窒素流下で20分間脱気した。PdCl(dppf)(34.02mg、0.04650mmol)を加え、その反応物をマイクロ波照射下の120℃で10分間撹拌した。その混合物をEtOAcで希釈し、濾過し、その濾液を水で洗浄した。その有機物を硫酸マグネシウムにより乾燥し、濃縮し、得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、黄色固体としてのtert−ブチル4−(5−(6−アミノ−5−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを生じた(化合物1107、230mg、83%)。
【0248】
化合物1107(100mg、0.17mmol)に、4mLのジオキサン中4.0NのHClを加えた。その反応物を室温で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた黄色残留物を最小量のMeOHに溶解し、冷EtOにより沈殿させた。その黄色固体を濾過し、乾燥して、黄色固体としての3−(1−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−イル)−5−(4−メチル−5−(ピペリジン−4−イル)チオフェン−2−イル)ピリジン−2−アミンを提供した(化合物22、80mg、98%)。
【0249】
【表2−1】

【0250】
【表2−2】

【0251】
【表2−3】

【0252】
【表2−4】

【0253】
【表2−5】

【0254】
【表2−6】

【0255】
【表2−7】

【0256】
本発明化合物の生物学的アッセイ
(実施例31)
c−METキナーゼ阻害アッセイ
本発明の化合物を、標準ラジオメトリックアッセイを使用して、c−METキナーゼを阻害する能力についてスクリーニングした。簡単に言えば、このキナーゼアッセイにおいては、33P−ATPにおける末端33P−ホスフェートの、基質polyE4Yへの移動を調べる。アッセイは、96ウェルのプレートにおいて、1ウェル当たり、1.0nMのc−Met、100mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、25mMのNaCl、0.01%のBSA、1mMのDTT、0.5mg/mLのpolyE4Y、および35μMのATPを含有する100μLの最終量まで行われた。したがって、本発明の化合物をDMSOに溶解させて、10mMの初期原液を作成した。次に、DMSO中の系列希釈を行って、アッセイ用の最終溶液を得た。DMSOまたはDMSO中の阻害剤の1.5μLアリコートを、各ウェルに加えた。反応は、33P−ATPおよびpolyE4Y(Sigmaから入手)の添加によって開始した。20分後、4mMのATPを含有する50μLの30%トリクロロ酢酸(TCA)で反応をクエンチした。反応混合物を、0.66mm GFフィルタープレート(Corning)に移し、5% TCAで3回洗浄した。50μLのUltimate Gold(商標)高性能シンチラント(Packard Bioscience)を添加した後に、試料を、Packard TopCount NXT Microplate Scintillation and Luminescence Counter(Packard BioScience)でカウントした。K値をMicrosoft Excel Solverマクロを使用して計算し、そのデータを競合密着結合阻害の動態モデルに適合させた。化合物1〜81のそれぞれは、このアッセイにより測定して260nM以下のKを有した。
【0257】
(実施例32)
Snu5胃癌細胞におけるc−Met活性の阻害
本発明の化合物は、また、改変されたSnu5細胞株中のルシフェラーゼにより引き出された信号を阻害するそれらの能力についてもスクリーニングを行った。Snu5[American Type Culture Collectionから入手(カタログ番号CRL−5973)]は、c−Metを過剰発現することが公知の構造的に活性なヒトの胃癌である。その細胞株は、6×AP1プロモーター応答エレメントおよびC−末端のPEST配列を有するルシフェラーゼ遺伝子からなる遺伝子コンストラクトを含有するレトロウイルスのpCLPCX(ルシフェラーゼの半減期を短縮するマウスのオルニチンデカルボキシラーゼからのタンパク質分解信号)を形質導入した。構成的に活性なcMetは、細胞経路(主にMAPキナーゼ)を活性化し、AP−1が誘発するルシフェラーゼ−PESTの転写および最終生成物への翻訳をもたらし、その活性度は、ルシフェリン(Promega社性Steady−Glo)の添加に基づく化学発光法による読み出しとして定量化できる。残余ルミネセンスは、c−Metの阻害と強く関連する。安定な細胞株を、ピューロマイシンを含む新しい細胞株(Snu5−AP1−Luc−Pest)を選択することによって得た。その細胞は、完全培地[10%ウシ胎仔血清(FBS、Hyclone)およびペニシリン/ゲンタマイシン(Invitrogen)を含有するイスコブ培地(Invitrogen)]中で培養した。本発明の化合物をDMSOに溶解して10mMの最初の原液を作製した。次にDMSO中の連続希釈を行い、完全培地に移して10倍の溶液をつくった。Snu5−AP1−Luc−Pest細胞を計数し、200,000細胞/mL溶液に希釈した。その細胞(90μL)を透明な黒の底板の96ウェル(Costar)の中の各ウェルに加えた。次に、10倍化合物溶液の10μLをその3重の細胞に加えた。そのプレートを37℃/5%COインキュベーター中でインキュベートした。6時間後50μLのSteady Glo試薬(Promega)を各ウェルに加え、細胞が完全に溶解することを確保するためにプレートシェーカー上に5分間置いた。そのプレートを、1450 Microbeta Liquid Scintillation and Luminescence Counter(Perkin−Elmer)により読み取った。IC50は、グラフ作成ソフトウェアPrism(GraphPad)を用いる4−パラメーターフィットを用いて計算した。化合物2〜6、8、10、13〜19、22〜30、32〜34、36、37、44〜46、66、および67は、100nM以下のIC50を有した。化合物1、7、9、11、12、20、21、31、35、38、39、41〜43、47、48、50、51、54、および65は、100nMより大きく1000nM以下のIC50を有した。化合物40は、1000nMより大きいIC50を有した。
【0258】
テトラゾリルフェニルが4位(式IのR)で置換されている代表的な化合物は、Snu5胃癌細胞アッセイにより測定したとき、c−Met阻害に関してこの位置に水素を有する類似物より低いIC50値を有する(すなわち、より活性である)。代表的な例において、Rが−OCHである式Iの化合物4、6、8、9、10、12、14、15、16、17、18、19、21、22、27、29、32、36、および49は、Rが水素である対応する類似物より活性である。メトキシ置換化合物についてのIC50値の範囲は、18nm〜290nMの範囲であり、一方対応する非置換化合物についてのIC50値の範囲は、59nm〜530nMである。したがって、18個のメトキシ置換化合物の17個が、141nMの平均のIC50の差で、それぞれの水素のコンパレータのそれより低いIC50値を有する(<0.0001のウイルコクソンp値)。1つの例外は、非置換化合物が対応するメトキシ置換化合物より低いIC50値を有する化合物9である。
【0259】
別の代表例において、Rが−CHである式Iの化合物1、2、3、5、7、11、13、24、28、30、および31は、Rが水素である対応する類似物より活性である。メチル置換化合物についてのIC50値の範囲は、33nm〜190nMの範囲であり、一方対応する非置換化合物についてのIC50値の範囲は、90nm〜450nMである。したがって、11個のメチル置換化合物の10個が、101nMの平均のIC50の差で、それぞれの水素のコンパレータのそれより低いIC50値を有する(0.002のウイルコクソンp値)。1つの例外は、非置換化合物が対応するメチル置換化合物より低いIC50値を有する化合物31である。
【0260】
本明細書に引用されているすべての刊行物および特許は、各刊行物または特許が参照により組み入れられることが明確にかつ個々に示されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。本発明を、明確に理解するために、例示および実施例によって幾分詳しく記載したが、当業者には、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱せずに、一定の変更および改変をそれらに加えることができることは容易に分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化50】

を有する化合物、または薬学的に受容可能なその塩であって、式中、
は、
【化51】

であり、ここで、
、R、R、およびRのそれぞれは、個々に、水素、Cl、またはFであり、ここで、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、ClまたはFであり;
は、C1〜4脂肪族、CH(R5a、O−C1〜4脂肪族、CH−O−C1〜3脂肪族、O−(CH−O−C1〜3脂肪族、またはO−CHC(R5aであり、ここで、各R5aは、独立して、水素、またはC1〜3脂肪族、あるいは2つのR5aが介在する炭素原子と一緒になって、3〜6員の炭素環または1〜2個の酸素原子を有する5〜6員の複素環を形成しており;
は、
【化52】

であり、ここで、
mおよびnのそれぞれは、個々に、1または2であり、
6aおよびR6bのそれぞれは、個々に、水素またはC1〜4脂肪族であるか、あるいは2つのR6aまたは2つのR6b基が、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成しており、ここで、1つのR6aは、1つのR6bと一緒になって、結合またはC1〜2アルキリデン結合によって5員環または6員環を必要に応じて形成し;
は、C1〜4脂肪族、O−C1〜4脂肪族、C1〜4脂肪族−O−C1〜4脂肪族であるか、またはRおよびRは、それらが結合しているチオフェン環と一緒になって、次の構造:
【化53】

を形成しており、式中、
7a、R7b、R7c、およびR7dのそれぞれは、個々に、水素またはC1〜4脂肪族であるか、あるいは2つのR7a、R7b、R7c、またはR7d基は、介在する原子と一緒になって、シクロプロピル環を形成しており;
pおよびqのそれぞれは、個々に、0、1、または2であり;
は、水素、CHまたはCFである、
化合物、または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項2】
が、
【化54】

である、請求項1に記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項3】
が、
【化55】

である、請求項1または2のいずれかに記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項4】
が、
【化56】

である、請求項1または2のいずれかに記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項5】
が、
【化57】

である、請求項1に記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項6】
、R、R、およびRの1つまたは2つが、フッ素であり、R、R、R、およびRの残りが水素である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項7】
およびRのそれぞれがフッ素であり、RおよびRのそれぞれが水素である、請求項6に記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項8】
が、C1〜4脂肪族、シクロプロピル、O−C1〜4脂肪族、または−OCH−シクロプロピルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項9】
が、
【化58】

である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項10】
が、OCHまたはCHである、請求項9に記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項11】
前記化合物が、
【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

から選択される、請求項1に記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の化合物または薬学的に受容可能なその塩および薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項13】
化学療法剤または抗増殖剤、抗炎症剤、アテローム性動脈硬化症を処置するための薬剤、肺線維症を処置するための薬剤、免疫調節剤または免疫抑制剤、神経栄養因子、心臓血管疾患を処置するための薬剤、臓器移植と関連する状態を処置するための薬剤、アレルギー性疾患を処置するための薬剤、破壊性骨障害(destructive bone disorder)を処置するための薬剤、肝疾患を処置するための薬剤、抗ウイルス剤、血液疾患を処置するための薬剤、糖尿病を処置するための薬剤あるいは免疫不全疾患を処置するための薬剤をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
患者における増殖性疾患を治療するかまたはその重症度を軽減する方法であって、該患者における該増殖性疾患を治療するかまたはその重症度を軽減するために十分な量の請求項1から11のいずれかに記載の化合物、または該化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項15】
前記疾患が、転移性癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記疾患が、神経膠芽種;胃癌;あるいは結腸癌、乳癌、前立腺癌、脳癌、肝臓癌、膵臓癌または肺癌から選択される癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が、アテローム性動脈硬化症または肺線維症である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
インビトロで生物学的サンプル中のc−METプロテインキナーゼ活性を阻害する方法であって、該生物学的サンプルを、請求項1から11のいずれかに記載の化合物、または該化合物を含む医薬組成物と接触させることを含む、方法。

【公表番号】特表2010−540649(P2010−540649A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528066(P2010−528066)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/078239
【国際公開番号】WO2009/045992
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】