説明

自動化された生物反応システム

【課題】自動化された生物反応装置に使用するディスペンサーおけるメモリー管理システムとメモリー管理方法を構築する。
【解決手段】生物反応システムの処理において、スライド上に流体を一貫した量で置く必要があり、分配チャンバーはリザーバーチャンバーと直列であり、リザーバーチャンバーのピストンが取り出され、ディスペンサーを通る流体流は単純化される。さらに生物反応システムを柔軟に操作するため、システムはホストデバイスにより行われる高度な機能およびリモートデバイスにより行われる染色操作の実行を有するモジュラー部品で設計される。また、生物反応システムで使用する信頼できるカタログデータには、データがメモリーデバイスにロードされ、次に操作者のデータベースを更新するために操作者により使用される。ロードされたデータに基づき、ランを完成するための能力を決定するためのチェックを含め、ステップの順序の作成が作成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示の一部には、著作権保護を必要とする問題を含む。著作権の所有者は、特許商標庁のファイルおよび記録に見られるような特許明細書の開示をファクシミリで誰でも複製することに対して抗議しないが、それ以外の件については全ての著作権を保有する。
【0002】
A.発明の分野
本発明は生物反応システムに関し、そしてより詳細には自動化された生物反応システムに関する。
【背景技術】
【0003】
B.従来技術の説明
免疫染色法およびin situ DNA分析は組織学的診断および組織形態学の研究に有用な道具である。免疫染色法は、抗体と組織試料中のエピトープとの特異的結合親和性に依存し、そして疾患のある細胞組織の特定の種類のみに存在する独特なエピトープに特異的に結合する抗体の利用性が増加している。免疫染色法は、疾患の特定の形態学的表示を選択的に染色することにより強調するために、ガラススライドに乗せた組織切片に一連の処理工程を行うことが必要である。典型的な工程には、非特異的結合を減らすための組織切片の前処理、抗体の処理およびインキューベーション、酵素標識2次抗体の処理およびインキューベーション、抗体と結合するエピトープを有する組織切片の領域を強調するフルオロホアまたは発色団を生成する酵素と反応する基質、カウンター染色等を含む。このような各工程は、前工程からの未反応の残存試薬を除去するために多回のリンス工程により分けられている。インキューベーションは加温、通常は約40℃で行われ、そして組織は脱水から連続的に保護されなければならない。in situ DNA分析はプローブと、細胞または組織試料中の独特なヌクレオチド配列との特異的結合親和性に依存し、そして同様に多種類の試薬および工程温度の要件がある一連の処理工程が関与する。
【0004】
自動化された生物反応システムは、生物反応装置および生物反応装置で使用する試薬および他の流体のディスペンサーを含む。ベンタナ メディカル システムズ社(Ventana Medical Systems Inc.)に譲渡された、発明者Copelandらにより「自動化された生物反応装置」と題名を付けられた特許文献1(これは引用により本明細書に編入する)に開示されるように、生物反応装置はコンピューター制御され得る。しかしこのコンピューター制御は生物反応装置専用であり、そしてそこに定置する点で限界がある。さらにコンピューター制御と関連して使用されるメモリーは、製造番号、製品コード(試薬の種類)、包装単位(250試験)等を含む試薬に関するデータを含む。
【0005】
生物反応システムの1つの要件は、試験における一貫性である。特に生物反応システムは、生物反応装置で各スライドを一貫して試験するために、予め定めた量の流体をスライドに乗せるべきである。したがって生物反応システムの重要な焦点は、予め定めた量の流体を一貫して、しかも効率的にスライドに乗せることである。
【0006】
さらに発明者Krawxakらにより「液体ディスペンサー」という題名をつけられ、そしてベンタナ メディカル システムズ社に譲渡された特許文献2(これは引用により本明細書に編入する)に開示されるように、試薬は流体ディスペンサーを使用して正確な量でスライド上に分配されなければならない。生物反応装置と関連して使用される流体ディスペンサーは製造し易く、信頼性があり、しかも寸法が小さくなければならない。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,595,707号明細書
【特許文献2】米国特許第5,232,664号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点によれば、自動化された生物反応システム用の流体ディスペンサーが提供される。この流体ディスペンサーは、リザーバーチャンバー、リザーバーチャンバーと実質的に直列に並んだ分配チャンバー、および分配チャンバーとリザーバーチャンバーとの間の差圧に基づき流体を分配チャンバーとリザーバーチャンバーとの間に移す手段を有する。
【0009】
本発明の第2の観点によれば、自動化された生物反応システム用の流体ディスペンサーが提供される。流体ディスペンサーは、リザーバーチャンバーおよび上部を有するバレル、バレルの上部と連結するカップ、リザーバーチャンバーに隣接するバルブ、ならびに分配チャンバーを有するカプッラーを有し、そしてカプッラーはバレルと同軸である。
【0010】
本発明の第3の観点によれば、自動化された生物反応システム用の流体ディスペンサーが提供される。流体ディスペンサーは、リザーバーチャンバーおよび上部を有するバレル、リザーバーチャンバーと連結するカップ、リザーバーチャンバーに隣接するバルブ、分配チャンバーを有するカプッラー、ならびにカップに隣接する通気孔を有する。通気孔はリザーバーチャンバー中の圧を一定に維持するための第1手段、リザーバーチャンバー中の圧を一定に維持するための第2手段、および空隙を含み、この空隙はリザーバーチャンバー中の圧を一定に維持するための第1手段と第2手段の間にある。
【0011】
本発明の第4の観点によれば、自動化された生物反応システム用の流体ディスペンサーが提供される。流体ディスペンサーは、リザーバーチャンバーおよびバレルの下部にピストンを有するバレル、リザーバーチャンバーと連結するカップ、リザーバーチャンバーに隣接するバルブ、ならびにカプッラーを有する。カプッラーは分配チャンバーを有し、これによりピストンが分配チャンバー中を移動する。
【0012】
本発明の第5の観点によれば、自動化された生物反応システムのための流体ディスペンサーの集成法が提供される。この方法はバルブおよびバルブインサートをバレルの下部に挿入する工程を含む。この方法はまた、カップをバレルの上部に溶接する工程を含む。この方法はさらに、ボールをチェックバルブボールシートに配置する工程を含む。さらにこの方法はチェックバルブボールシートをカプッラーにスナップ嵌めする工程を含む。さらにこの方法は、カプッラーとバレルを一緒にスナップ嵌めする工程を含む。
【0013】
本発明の第6の観点によれば、自動化された生物反応システムのための流体ディスペンサーを満たし、そして注入するための方法が提供される。この方法は流体ディスペンサーにカップ、リザーバーチャンバーを有するバレル(バレルはカップに隣接している)、リザーバーチャンバーに隣接する分配チャンバー、および分配チャンバーに隣接するノズルを提供する工程を含む。またこの方法は、シリンジにチップおよびシリンジプランジャーを提供する工程も含む。この方法はさらに、流体ディスペンサー上のカップを開ける工程を含む。またこの方法は、流体ディスペンサー内のリザーバーチャンバーを流体で満たす工程を含む。加えてこの方法は流体ディスペンサー上のカップを閉じる工程を含む。さらにまたこの方法は、流体ディスペンサーを上下することなしにシリンジのチップを流体ディスペンサーのノズルの内側に配置する工程を含む。そしてこの方法はまた、リザーバーチャンバーおよび分配チャンバーから流体をシリンジに引き出すために、シリンジのプランジャーを延ばす工程を含む。
【0014】
本発明の第7の観点によれば、自動化された生物反応システムが提供される。自動化された生物反応システムは、スライドサポートカルセル(carousel)、スライドサポートカルセルを動かすためにスライドサポートカルセルとかみ合う駆動手段、水平と35度未満であるスライド上に流体流を向けるための少なくとも1つのノズルを含んで成る定常パルス適用ステーション、ならびにスライド上に流体を滴下することによりスライド上に予め定めた量の流体を添加するための調整添加ステーションを有する。
【0015】
本発明の第8の観点によれば、自動化された生物反応装置のスライド上に一定量の流体を配置する方法が提供される。自動化された生物反応装置は、少なくとも1つのリンスステーションを有し、このリンスステーションは流体流をスライド上に向けるために配置され、そして少なくとも1つのバルブに連結されたチューブに連結されたリンスステーションノズルを含んで成る。バルブは流体を含有するボトルに連結され、ここでバルブはボトルからノズルへの流体流を制御する。この方法は、流体をノズルに供給し、そして流体流をスライド上に向けるためにバルブを入れる工程を含む。またこの方法は、チューブ内で圧が実質的に等しくなるまで待つ工程を含む。ならびにこの方法は、流体をノズルに供給するためのバルブを止める工程を含む。
【0016】
本発明の第9の観点によれば、自動化された生物反応装置内でスライドを洗浄する方法が提供される。この方法は第1リンスステーションノズルおよび第2リンスステーションノズルを含んで成るリンスステーションを提供する工程を含み、この第1および第2リンスステーションノズルは、流体流をスライドこ向けるように配置されている。またこの方法は、第1の予め定めた時間量で、第1運動量により第1リンスステーションノズルからスライド上に流体流を向ける工程を含む。さらにこの方法は、第2の予め定めた時間量で、第2運動量により第2リンスステーションノズルからスライド上に流体流を向ける工程を含む。ならびにこの方法は、第3の予め定めた量の時間で、第3運動量により第2リンスステーションノズルからスライド上に流体流を向ける工程を含み、第3の運動量は第1または第2運動量よりも大きく、第3の予め定めた時間量は、第1または第2の予め定めた時間量よりも大きい。
【0017】
本発明の第10の観点によれば、自動化された生物反応装置が提供される。自動化された生物反応装置は、スライドサポートカルセル、スライドサポートカルセルを動かすためにスライドサポートカルセルとかみ合う駆動手段、試薬送達ゾーンでのスライドサポートカルセルの移動により、予め定めた量の試薬を1つのスライドに添加するための試薬送達システム、スライドサポートカルセル上の試料を加熱するための加熱ゾーン、およびリンスステーションを含む。リンスステーションは、第1ノズル、チューブを通して第1ノズルと連結する第1バルブを含んで成り、第1バルブは流体を含有するボトルに連結されている。リンスステーションはさらにコントローラーを含んで成り、コントローラーはボトルから第1ノズルへの流体流を第1バルブの操作を介して制御し、コントローラーはチューブ内の圧が実質的に等しくなるまで第1バルブを開く。
【0018】
本発明の第11の観点によれば、自動化された生物反応システムが提供される。自動化された生物反応システムは、ホストテバイスを含み、ホストデバイスはプロセッサー、プロセッサーに連結されたメモリーデバイスを含んで成り、メモリーデバイスはスライドを染色するためのステップを含む自動照合表を含み、プロセッサーが自動照合表のステップの順序を作成する。自動化された生物反応装置はさらに、リモートデバイスも含み、リモートデバイスは物理的にホストデバイスとは別れており、リモートデバイスはホストデバイスと電気的に連絡している。リモートデバイスは、プロセッサー、プロセッサーに連結されたメモリーデバイス、プロセッサーに連結されたスライドサポートカルセル、スライドサポートカルセルを動かすためにスライドサポートカルセルとかみ合う駆動手段(駆動
手段はプロセッサーと連結されている)、試薬送達ゾーンでのスライドサポートカルセルの移動により、予め定めた量の試薬を1つのスライドに添加するための試薬送達システム(試薬送達システムはプロセッサーに連結されている)、スライドサポートカルセル上の試料を加熱するための加熱ゾーン(加熱ゾーンはプロセッサーに連結されている)、ならびにスライドサポートカルセル上でスライドをすすぐためのリンススーション(リンスステーションはプロセッサーに連結されている)を含んで成り、このリモートデバイスはホストデバイスからステップの順序を受信し、プロセッサーを通してプロセッサー中のステップの順序を実行してスライドサポートカルセル、試薬送達システム、加熱ゾーンおよびリンスステーションを制御する。
【0019】
本発明の第12の観点によれば、自動化された生物反応システム内のランプログラムの作成法が提供される。この方法は、ホストテバイスおよびリモートデバイスを提供する工程を含み、リモートデバイスはホストデバイスから物理的に別れており、リモートデバイスはホストデバイスと電気的に連絡している。またこの方法は、リモートデバイス上のカルセル中のスライド上のバーコードをリモートデバイスにより読むステップを含む。さらにこの方法は、リモートデバイス中のディスペンサー上のバーコードをリモートデバイスにより読むステップを含む。加えてこの方法は、スライドのバーコードおよびディスペンサーのバーコードをリモートデバイスからホストデバイスに送るステップを含む。またこの方法はスライドのバーコードおよびディスペンサーのバーコードに基づくランに関するステップの順序の作製工程を含む。さらにこの方法は、リモートデバイスがステップの順序を実行できるかどうかをホストデバイスにより決定するステップを含む。ならびにこの方法は、ホストデバイスによりステップの順序をリモートデバイスに送るステップを含む。
【0020】
本発明の第13の観点によれば、自動化された生物反応装置用のメモリー管理システムが提供される。メモリー管理システムはメモリーデバイスを含み、メモリーデバイスは自動化された生物反応装置内で使用するディスペンサーに関するデータを含む表を含む。またメモリー管理システムは、メモリーデバイス中のデータをホストデバイスに移す手段を含む。ホストデバイスはプロセッサーを含んで成り、ホストメモリーデバイスはプロセッサーに連結されている。ホストメモリーデバイスは、自動照合表を含む。プロセッサーは、メモリーデバイス中のデーターをホストデーターに移すための手段を介してメモリーデーターに連結され、そしてプロセッサーは、メモリーデバイス中の表に対する比較に基づきホストメモリーデバイス中の自動照合表を更新する。
【0021】
本発明の第14の観点によれば、自動化された生物反応システム中のディスペンサー情報の更新法が提供される。この方法は、ホストテバイスおよびリモートデバイスを提供する工程を含み、ホストデバイスはプロセッサー、プロセッサーに連結されにホストメモリーデバイスを含んで成り、ホストメモリーデバイスは自動照合表を含み、メモリーデバイスは生物反応装置で使用するディスペンサーに関するバーコードおよび使用期限データ情報を含む。この方法はまた、メモリーデバイス中にバーコードおよび使用期限データ情報をホストデバイスにより読むステップも含む。加えてこの方法は、メモリーデバイス中のバーコードおよび使用期限データ情報に基づき、ホストデバイス中の自動照合表を更新するステップを含む。ならびにこの方法は、すでにバーコードおよび使用期限データ情報が読まれたメモリーデバイス中の書き込みステップを含む。
【0022】
本発明の第15の観点によれば、自動化された生物反応システムに関するメモリーデバイスのプログラム法が提供される。この方法は自動化された生物反応システム用のキット中のディスペンサーの数および種類に関する情報を含む形態を選択するステップを含む。またこの方法は、1組のディスペンサーに関するバーコードを走査するステップを含む。さらにこの方法は、走査された各ディスペンサーについてディスペンサーの種類を決定す
るステップを含む。さらにこの方法は、走査された各ディスペンサーの数種類がキット形態中のディスペンサーの数および種類に対応するかどうかを比較するステップを含む。ならびにこの方法は走査されたディスペンサーの数種類がキット形態のディスペンサーの数および種類と等しいならば、メモリーデバイスをプログラムするステップを含む。
【0023】
本発明の第16の観点によれば、自動化された生物反応システム用の流体ディスペンサーが提供される。この流体ディスペンサーはバレルを有し、バレルはリザーバーチャンバーおよび上部を有する。流体ディスペンサーはまた、バレルの上部と連結するカップを有する。また流体ディスペンサーはカップチェックバルブも有し、このカップチェックバルブは第1および第2末端を有し、カップチェックバルブは第1末端でリザーバーチャンバーに隣接し、カップチェックバルブは第2末端にカップピースを有する。流体ディスペンサーはさらに、カップチェックバルブの第2末端に隣接する分配チャンバーを有する。
【0024】
本発明の第17の観点によれば、バルブが提供される。バルブは、バルブの1方の側からもう1方の側の間の差圧に基づき、流体を1方の側からもう1方の側に通し、これによりバルブをハウジング内に配置する。このバルブはアタッチメントを含み、アタッチメントピースはハウジングに取り付けられ、連結ピースがアタッチメントピースおよびカップピースを連結する。このカップピースは連結ピースに連結されている。カップピースは、バルブの1方の側の圧がバルブのもう1方の側の圧と等しい時にハウジングと接触する。カップピースは、バルブの1方の側の圧がバルブのもう1方の側の圧と等しくない時には、ハウジングと接触しない。
【0025】
本発明の第18の観点によれば、差圧に基づき液体をハウジングに通する方法が提供される。この方法は、アタッチメントピースを有するバルブ、アタッチメントピースに連結される連結ピースおよびカップピース(カップピースは連結ピースに連結されている)を提供する工程を含む。またこの方法は、バルブの1方の側の圧がバルブのもう1方の側の圧と等しい時に、カップピースをハウジングと接触させる工程を含む。ならびにこの方法では、バルブの1方の側の圧がバルブのもう1方の側の圧と等しくない時にはカップピースがハウジングと接触しないようにカップピースを内側に曲げる工程を含む。
【0026】
本発明の第19の観点によれば、自動化された生物反応システム用の流体ディスペンサーが提供される。この流体ディスペンサーはリザーバーチャンバーおよびピストンを有するバレルを有し、ピストンはリザーバーチャンバーに隣接している。流体ディスペンサーはまた、ピストンに連結される延長ピースも有する。ならびに流体ディスペンサーはカップラーを有し、ここでカップラーは分配チャンバーを有する。分配チャンバーは、リザーバーチャンバーに隣接する。さらに延長ピースはカップラーを内側を移動する。
【0027】
本発明の第20の観点によれば、自動化された生物反応システム用の流体ディスペンサーが提供される。この流体ディスペンサーはバレル、バレルの下部に隣接するピストン、潤滑化ワッシャーを有し、潤滑化ワッシャーはピストンおよび分配チャンバーと同軸であり、分配チャンバーはバレルに隣接している。
【0028】
したがって本発明の主目的は、モジュラー方式のデザインの自動化された生物反応システムを提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、製造番号、試薬の種類、ロット番号、使用期限、ディスペンサーの種類等を含む試薬に関するデータを、効率的かつ信頼性のある様式で自動的にダウンロードする手段を提供する自動化された生物反応システムを提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、スライド上に正確な容量の試薬を乗せることができる、スライド
上へ予め定めた量のバッファーを一貫して、しかも効率的に添加する自動化された生物反応システムを提供することである。
【0031】
本発明のさらなる目的は流体ディスペンサーを提供することであり、これは信頼性のある自動化された生物反応装置と一緒に使用される。
【0032】
さらに本発明の目的は流体ディスペンサーを提供することであり、これは製造が容易な自動化された生物反応装置と一緒に、広範な化学者により使用される。
【0033】
本発明のさらに別の目的は流体ディスペンサーを提供することであり、これはサイズが小さい生物反応装置と一緒に使用される。
【0034】
さらに別の本発明の目的は、注入が容易な流体ディスペンサーを提供することである。
【0035】
本発明のこれらのおよび他の目的、特徴および利点を、以下の詳細な記載で検討し、そして明らかにする。
【実施例】
【0036】
本発明の自動免疫着色システムは、免疫組織化学的なすべての段階を複雑さまたはその順序に無関係に、その時間および温度において、また必要とされる環境において遂行する。バーコード識別子および取り付けられた組織片を含む特別につくられたスライドを回転台上の特殊な支持体に載せ、プログラムされた一連の反応を行なわせ、回転台から取り出して検査を行なう。本発明の装置に関する下記の説明においては、本発明を限定するものではないが明確な説明を行なうために、免疫組織化学的な過程によって装置の説明を行なう。
【0037】
図1はホスト装置32およびリモート(遠隔)装置166を有する自動生理反応システムの前方右側から見た等尺図である。リモート装置166は着色モジュール167、大量液(bulk fluid)モジュール230を含み、ホスト装置32はホスト・コンピュータ33、モニター34、キーボード35およびマウス37を含んでいる。図2は着色モジュールの前方右側からみた等尺図であり、このモジュールは該自動生理反応システムの一部である。液および空気を供給する管および個々の構成機素を連結する電線は当業界に公知の通常のものであり、表示を明瞭にするために図面から省いてある。
【0038】
この装置は上部区域2、中間区域4、および下部区域6を有している。上部区域2には、試薬液ディスペンサー12を支えている試薬皿10が試薬の回転台の8の上の中央の軸7の周りに回転し得るように取り付けられている。試薬の回転台8およびスライドの回転台24はこの好適具体化例では円形であるが、システムの他の構成機素と一体化し得る任意の形であることができる。図10〜21に関連して本明細書に記載されている試薬液ディスペンサー12はスライドを処理するサイクルの間に免疫組織化学的反応が行なわれることを必要としているが、これは試薬皿10に支えられ、試薬液ディスペンサーの受器11の中に取り付けられている。この受器11は試薬液ディスペンサーを受けるように配置されている。この受器11は回転台の軸と軸方向に同軸をなした円形のパターンをなして等間隔に配列されていることが好ましい。受器11の数は、一サイクルまたは一連のサイクルに必要とされる異った試薬液ディスペンサー12の数に適合するのに十分な数でなければならない。図には25個の試薬液ディスペンサーの受器11が示されているが、この数はこれよりも少なくても多くても良く、試薬皿10の直径は多数の試薬液ディスペンサー12を収容するように増加させることができる。試薬回転台8はステップ・モーター14の駆動ベルト16によって回転し、選ばれた試薬液ディスペンサー12が、試薬で処理されるスライドの上方において空気シリンダーによる試薬放出アクチュエータの下方の試
薬放出位置に来るようにする。
【0039】
中間区域4は渦動混合板を含み、これに6個の混合ブロックの中の4個が取り付けられ、残りの2個の混合ブロックは下方区域に取り付けられている。下方区域6は支持板22を含み、この上にスライドの回転台24が回転し得るように取り付けられている。スライドの回転台24はスライドの支持部26を支えている。この装置には抵抗加熱要素および吹込み機を用いて加熱された空気が供給される。支持板22はまた自動生理反応装置上にあるリモート装置のマイクロコントローラ36、電源24、および液および空気の弁62を支えている。後で説明するようにリモート装置のマイクロコントローラのプリント回路板36は一般に一つのプロセッサーであり、標準的なコンピュータで置き換えることができる。後で図5A〜5Cに示されているように、リモート装置のプリント回路板36はRS−458のラインを介してホスト装置32とインターフェースがとられている。下方区域6は支持板40を含み、この上に電源42および緩衝液の加熱器44のような付属部品が支持されている。
【0040】
下方区域6においてはステップ・モーター48が回転台24を回転させ、それと係合した駆動ベルト25はスライドの回転台24の駆動スプロケットと係合している。環状の廃液溜めは囲い板を取り囲み、板22の底部に支えられいる。試薬の廃液およびすすぎ液はこの溜めの中に集められ、溜めの底部にある出口管(図示せず)を通って排水口へと通される。
【0041】
すすぎ液とLiquid CoverslipTM(スライド上の水溶液の蒸発を防ぐのに用いられる軽油物質)の噴霧ブロック60には通常のソレノイド状の弁62を介して液が供給される(図6A、248F−J参照)。支持板22に取り付けられた緩衝液加熱器の温度センサー66は、環状の加熱要素44に供給される熱エネルギーを制御する。支持板22に取り付けられたスライド温度監視センサー68は、環状の加熱要素27に供給されるエネルギーを制御することにより装置の中の空気の温度を制御する。電源42はステップ・モーター14、48および制御システムに電力を供給する。図4は自動生理反応システム150に含まれる大量液モジュール・システム230の左側から見た等尺図である。大量液モジュール230は空気圧縮機232、圧力開放弁(prv)238、冷却用の管231、水凝縮器およびフィルター234、空気圧調節器236、洗滌用緩衝液を含む瓶246、およびLiquid CoverslipTMを含む瓶244を含んでいる。空気圧縮機232は圧力開放弁(prv)238により25psiに調節された圧縮空気を生成する。この空気は圧縮機232から冷却管を通り凝縮器およびフィルター234に入る。この凝縮器およびフィルター234から空気は圧力調節器236に至る。圧力調節器236は圧力を13psiに調節する。13psiに保たれた空気は洗滌用緩衝液の瓶246およびLiquid CoverslipTMの瓶244、並びに着色モジュール167(図2参照)に供給される。圧縮空気から凝縮した水は凝縮器およびフィルターから圧力開放弁を経て大量液モジュールを出る。洗滌用緩衝液およびLiquid CoverslipTMは着色モジュールに供給される。
【0042】
図5Aを参照すれば、自動生理反応システム150のブロック図が示されている。この自動生理反応システム150は典型的なパーソナル・コンピュータを含むホスト装置32と、図2および図6に示された自動生理反応装置を含む少なくとも一つのリモート装置166に分割される。好適具体化例においては、ホスト装置32に接続した最高8個のリモート装置166が存在している。ネットワーク上の各リモート装置166は同一であり、個別的にホスト装置32により制御されるように特有のアドレスをもっている。後で図5Bにおいて説明されるように、自動生理反応システム150はリモート装置166のアドレスに使用される3ビット(0から7の値)のために、最高8個のリモート装置166を支援することができる。リモート装置166にはロータリー・スイッチが備えられ、これ
によって各リモート装置166の識別と3ビットのアドレスの変更を行なうことができる。後で図5Bにおいて説明するように、ホスト装置からのすべてのメッセージはその中にこのアドレスうを含んでいる。しかし、リモート装置166の数は、容量上の必要性または実験室の実用上の空間的な制限に依存して、8よりも少なくても多くてもよい。さらにリモート装置166は免疫組織化学的な着色モジュール、他のタイプの着色を行なう他の型の装置、或いは他の型の医学的試験装置であることができる。
【0043】
ホスト装置32とリモート装置166との間の通信は、シリアルRS−485リンクを用いて達成される。これは一つのホストと最高32個のリモートとを一度に支援するネットワークとして動作する。好適具体化例においては、リモート装置166にアドレスを付けることにより最高8個のリモート装置が同時にホストと通信することができる。RS−485リンクは、送信のために一対、受信のために一対の少なくとも二対の通信ラインををもっている。ネットワークに接続されたリモート装置166はホスト装置のメッセージを「聞く」が、他のリモート装置からのメッセージは「聞かない」。好適具体化例においては、すべての通信はホストからのメッセージで始まり、もしそれが存在するならば短い時間後にリモート装置166による応答が続く。ホスト装置32がメッセージを送りリモート装置166がそれに応答しなかった場合には、ホスト装置32は時間切れになる。この方法で通信によりホスト装置32とリモート装置166との間で衝突の起こらない簡単なリンクが与えられる。他の具体化例においては、リモート装置166は、ホスト装置32と通信を行なう他に、お互いの間で通信を行なう。例えばリモート装置166は特有の3ビット・アドレスを使用して互いに通信を行ない、後で説明するような着色操作に関する情報を送る。
【0044】
図5Aに示すように、ホスト装置32は、プロセッサーの中で値を比較するためのコンパレータ154を含むプロセッサー152をもった典型的なパーソナル・コンピュータである。プロセッサー152はまた、ROM158のような不揮発性の記憶装置、RAM160のような揮発性の記憶装置、およびハードディスク162を含む記憶装置156に接続されている。どの記憶装置もデータベースまたはルックアップ・テーブル164を含んでいる。しかし好適具体化例においては、データベースまたはルックアップ・テーブル164はハードディスク162に含まれている。リモート装置166はマイクロコントローラ36のようなプロセッサーを含み、この場合マイクロコントローラ36はマイクロコントローラ36の中で値を比較するコンパレータ70を有している。他の具体化例においては、リモート装置166の中のマイクロコントローラ36はパーソナル・コンピュータによって置き換えられている。マイクロコントローラ36はDallas Semiconductor製の型番DS2251T、128K Soft マイクロコントローラ・モジュールである。このマイクロコントローラ36はホストとリモート装置との間の通信を容易にするための2本のライン(PCに対してシリアル、次の装置に対してシリアル)をもっている。図5Aに示されているように、ホスト装置32はプロセッサー152を介し、リモート装置1(166)のマイクロコントローラ36のPCに対してシリアルなピンに接続されている。リモート装置1(166)のマイクロコントローラ36の次の装置に対してシリアルなラインは、リモート装置2(166)のPCに対してシリアルなピンに接続されている。リモート装置N(166)に対しても同様な接続がなされている。好適具体化例においては、ネットワーク上に最高8個のリモート装置がある。ネットワーク上においてパルスの反射を避けるために正しいインピーダンスを用いてネットワークを終らせるためには、次の装置に対するシリアル・ポートにターミネータ171を連結する。これによってターミネーター171がネットワークのインピーダンスとマッチングをとることができる。ネットワーク上のリモート装置の一つをネットワークから取り除かなければならない場合、ネットワークからリモート装置166を取り除くためには、PCに対してシリアルなラインおよび次の装置に対してシリアルなラインを互いに連結するだけで良い。これによりネットワークはそのリモート装置166を「見る」ことがなくなり、ネット
ワークから効果的に取り除かれる。
【0045】
図5Bを参照すれば、図5Aに記載されたホストおよびリモート装置166に対する通信のフォーマットが示されている。ホスト装置32およびリモート装置166は両方とも同じフォーマットをもち、互いの区別はそのフィールドにおけるメッセージだけによって行なわれる。ホスト装置のコマンドと或る与えられたメッセージに対するリモート装置の応答とは、両方とも同じメッセージを含んでいる。最初の文字はメッセージ文字の開始部である。8番目のビットは常に1に設定され、下位の3ビットはリモートのアドレスを含み、ビット3〜6は使用されない。この方法でホスト装置32はリモート装置166と通信する。この場合通信相手のリモートは自分自身のアドレスで応答する。
【0046】
メッセージの長さの領域は2文字分の長さである。この数は全メッセージの文字の数を示している。これはメッセージ文字の開始部とメッセージのチェックサム文字を含んでいる。これは、ホスト/リモートのシリアル・ポートを通して見られるような送信される文字の実際の数である。メッセージのIDは長さが1文字である。これは他のメッセージから区別するための数(0〜255)でメッセージに標識を付ける。メッセージのIDによりリモートからのメッセージの受取りに対する識別とリモートにおける安全なメッセージの再試行処理が行なわれる。255に達するまで数を増加させ、しかる後に0に戻すことによりメッセージIDの実装を行なう。メッセージの送信が成功するたびにメッセージIDを1だけ増やす。リモートからうまくいかなかったという応答が送られてきたことによってホストから再送信されるメッセージは、元のメッセージと同じメッセージIDで繰り返される。メッセージ・コマンドは長さが1文字である。ホスト・メッセージに対しては、メッセージ・コマンドはそのメッセージ・コマンドのデータが関与するタイプのコマンドをリモートに示す。リモートのメッセージに対しては、このフィールドを使用し、どのようにして要求を受取るかをホスト装置32に知らせる。メッセージ・コマンドのデータは長さが可変である。このコマンドは特定のホスト・コマンドに依存して付加的なメッセージ・データを含んでいる。メッセージ・コマンド・データの大きさは前記のようにメッセージの長さによって記述される。このフィールドの周りから他のフィールドを取り除いた残りはメッセージの情報である。メッセージ・コマンドはメッセージ・コマンド・データを必要としないから、このフィールドは必ずしも使用する必要はない。メッセージのチェックサムは長さが1文字である。これは、メッセージ文字の開始部から始まりこのチェックサムに至る、チェックサム文字以外のすべてのメッセージ文字に対して計算されたチェックサムを含んでいる。メッセージのチェックサムが、受取られたメッセージの実際に計算されたチェックサムと合わない場合には、メッセージの処理は行なわれない。
【0047】
図5Cを参照すれば、図5Aに記載したホスト装置32とリモート装置166との間の通信用送信プロトコルが示されている。メッセージはホスト装置32からリモート装置166へダウンロードされる。ホスト装置はリモート装置(172)へ送信するメッセージを初期化する。ホスト装置はメッセージ176を保持しメッセージを記憶装置178の中に記憶させるために記憶域を割り当てる。次いでホスト装置32は、180、182でメッセージの優先度に依存してメッセージをキューの最上部または最下部に配置する。キューでの操作は先入れ先出しであるから、キューの最下部にあるメッセージが最初に取り出される。従って直ちにメッセージを取り出さなければならない時は、180でこれをキューの最下部に置く。そうでなくて決まりきった状態を表すメッセージの場合には182でキューの最上部に配置する。その後184、186、188、190、192、194、196、198においてメッセージを最高8個のリモート装置の各々のメッセージ・キューに送信する。
【0048】
通常166でメッセージがホスト装置32からリモート装置へ送られる場合、タイマーを使用してメッセージは周期的に送られる。174でホスト装置32がメッセージを迅速
に送る必要があると決定した場合、200においてタイマーが切られ、202でホストによって示される特定のキューからすべてのメッセージが送信される。ホスト装置32がメッセージを迅速に送る必要がないと決定した場合には、206においてタイマーに基づき予め決定された順序でメッセージが送られる。204でホストはタブ位置を使用し、どのリモートにメッセージを送るかを示す。
【0049】
図6Aを参照すれば、リモート装置166の拡大ブロック図が示されている。前に述べたように、リモート装置166はマイクロコントローラ36を含んでいる。マイクロコントローラ36は使用者スイッチおよび状態PCB(プリント回路板)294に連結されたLEDラインを有している。状態PCB294はリモート装置166のための使用者に対するインターフェースであり、出力の決定、エラーの通知およびプログラムの実行の通知のための3個のLED(発光ダイオード)を含んでいる。状態PCB294はまた例えば押しボタン・スイッチのようなスイッチ295を含み、これは種々の機能の試験に使用される。押しボタン・スイッチ295が押されると、マイクロコントローラ36はマイクロコントローラ36の中に入力された最後の組の命令(後でマクロ0として記述されている)を実行する。後で説明するように、マクロ0はリモート装置166の中で着色操作を実行するのに使用される命令のリストである。試験の目的で操作員が最後に行なった着色操作を検査しようとしたとする。操作員がホスト装置32からリモート装置166(両者は異なった場所にあることができる)へプログラムをダウンロードする必要なしにこれを行なうために、操作員は押しボタン・スイッチ295を押すことができる。このようにして操作員はボタンを押すことで繰り返し最後に行なった操作を実行することができる。
【0050】
マイクロコントローラ36はまた送風機のファン4を制御するのに使用されるスライド・ファン出口連結部をもっている。送風機のファン4は空気を循環させ、この空気を加熱器302の上に、次いでスライドの上に吹き付けることによってリモート装置166のスライド回転台24の上のスライドを加熱する。マイクロコントローラ36のスライド温度入口連結部は空気の温度を感知するスライド温度監視センサー68に連結されている。スライド温度監視センサー68は加熱された空気の経路の中にあり、従ってスライド加熱器302のスイッチが入れられた際および切られた際にマイクロコントローラ36に情報を送る。スライド加熱器出口連結部はスライド加熱器302に連結され、これは前述のようにスライドの温度を上げるために空気を加熱する。後で説明するように、ホスト装置32はリモート装置166に対し実行プログラムの一連の処理ステップ、および実行ルールと呼ばれるセンサー監視用並びに制御用のロジックの両方をダウンロードする。環境パラメータの一つはスライドの空気温度(スライドを加熱するのに使用)の上限および下限である。実行途中スライド温度監視センサー68によって環境温度がその下限よりも下がったことが示された場合、スライド加熱器302のスイッチが入る。同様に、スライド温度監視センサー68によって環境温度がその上限よりも上がったことが示された場合、スライド加熱器302のスイッチが切られる。電源24は使用できる直流24Vおよび直流5Vの連結部に直流24Vおよび直流5Vを供給する。24Vの電源24はスライドの回転台24および試薬の回転台8を動かすモーター14、48、および後で説明する弁248A〜Jに電力を供給するのに用いられる。120Vの交流入力は電源スイッチ310、フューズ308およびフィルター306を介して電源24の交流入口連結部に送られる。120Vの交流入力はまたスライド加熱器302、緩衝液加熱器44および後で説明するような大量液モジュールの圧縮機232に電力を送るのに使用される。PCに対してシリアルなラインおよび次のリモート装置に対してシリアルなラインは図5Aを参照して説明されている。ラインで接続された液槽溢流装置は槽254の中の廃液の高さを感知する伝導度センサー255からの入力を受取る。廃液の液面が予め定められた高さよりも高いことを伝導度センサー255が感知した場合、伝導度センサー255はこれをマイクロコントローラ36に通知し、マイクロコントローラは次いで状態メッセージをホスト装置32へ送る。これによって初めて操作員は槽254から廃液を除去する機会が与えられる。槽25
4がなお予め定められた高さよりも高い液面をもっている場合には、操作が停止される。
【0051】
緩衝液加熱器44は洗滌用緩衝液がスライドの上に加えられる前にこれを加熱するのに使用される。何故なら洗滌用緩衝液をスライド上の組織の温度に加熱することによって良好な結果が得られることが判っているからである。緩衝液加熱器44は鋳造したアルミニウムのブロック250から成り、ブロックの内部に螺旋状の管251をもっている。この管251を通してブロック250の中に洗滌用緩衝液を流すと、管251を出る際洗滌用緩衝液の温度はアルミニウム・ブロックの温度になるであろう。ブロックの温度を制御するためには、緩衝液加熱器の温度センサー66をアルミニウム・ブロック250の上に物理的に載せて使用する。マイクロコントローラ36は緩衝液温度ラインを通じて緩衝液温度センサーからの入力を受取り、これによりPCBのマイクロコントローラ36上で緩衝液加熱器のラインを介して緩衝液加熱器44のスイッチを切ったり入れたりすることにより緩衝液加熱器44の温度を制御する。
【0052】
Liquid CoverslipTMおよび洗滌用緩衝液のための液体用の弁248A〜Jは液体弁連結部によって制御される。図6Aに示されている弁248A〜Jの各々に対して別々に対になった電線(電力供給用および接地用)が存在するが、明瞭な表示を行なうために図には省略されている。各弁248A〜Jはマイクロコントローラ36によって作動されるリレーである。容積調節装置266、二重すすぎ頂部装置263、および二つの二重すすぎ底部装置264は後で図7〜9により説明する。さらにスライド・ドア光学センサー258があり、これはスライド・ドア・スイッチの入口連結部に対する入力になり、リモート装置166の前方のドア256が開いているかどうかを決定する。このセンサー258は、前方のドアが開き、5分間開いたままであった場合、安全のためスライドの回転台24が動かないようにするのに使用される。さらに第2の光学センサー、即ち上部の高さの光学センサー262があり、これはリモート装置166の上方のシャーシーが開いているかどうかを決定するのに用いられる。
【0053】
さらに図6Aに示されているように、放出シリンダー282は、、ディスペンサーのプランジャーが試薬液ディスペンサーを引き出したり引っ込めたりするように放出シリンダー引き出しラインおよび放出シリンダー引き込みラインを使用する。システムの空気ラインを介して空気を放出シリンダー引き出しラインに流すことにより放出シリンダー282が押し出される。マイクロコントローラ36は空気弁248A、248Bを制御し、放出シリンダー引き出しラインに対応するリレーを作動させる。この方法で放出シリンダー282は図12A〜12Cに示されているように試薬液ディスペンサーを押し下げ、試薬を放出させる。放出シリンダー282を引っ込めるためには、システムの空気ラインを使用して放出シリンダーを引っ込める弁248Bを作動させ、試薬液ディスペンサーが押されて引っ込むようにする。また後で説明するように、伸長バネを使用して引っ込み過程の速度を増加させる助けにする。光学センサーを使用してディスペンサーが引き出されているかどうかを決定し、その場合にはこの弁を作動させる。放出シリンダー282が引き出されている場合、光学センサーを作動させて放出操作が起こったことを確認する。モーター14、48はスライドの回転台24および試薬の回転台8を動かすが、これらのモーターはそれぞれスライド・モーター出口連結部および試薬モーター出口連結部に連結されている。モーター14、48は典型的にはステップ・モーターである。
【0054】
それぞれの「ホーム」位置を決定するために、スライド回転台24および試薬回転台8の近傍にセンサー274、286が置かれている。スライド回転台24の場合には、スライド回転台のホーム・センサー274は誘動型であり、「ホーム」位置として指定されるスライドの下方に置かれた金属片を感知する。「ホーム」位置が見出された場合、センサー274はマイクロコントローラ36に連結されたスライドのホームに信号を送る。試薬皿10の場合もセンサー286は誘動型のセンサーである。試薬皿10はホーム位置に対
する場所以外皿の周り全体に大きな平らな金属環を有している。この方法で金属が存在しないことをセンサー286が感知した場合、それがホーム位置であることが決定され、これにより連結された試薬のホームを介してホーム位置が見出されたことをマイクロコントローラ36に知らせる。使用者は試薬皿10を取り外すことができるので、センサー286は試薬の回転台8ではなく試薬皿10を感知する。またセンサー286はホーム位置に対して金属が存在しない部分を探すから、金属が存在しない二つの相連続した位置を探すことによって試薬皿10が存在しないことを検査することができる。
【0055】
システムの圧力はトランスデユーサー290に直接供給が行われるシステムの空気ラインを介して決定される。トランスデユーサー290は圧力に比例するアナログ電圧を発生する。次いでトランスデユーサー290の出力はアナログ/デジタル変換器(ADC)292に送られ、その出力はシステム圧力入口連結部を介してマイクロコントローラ36に送られる。圧力が或る最低値よりも低いかどうかだけを示す従来の圧力スイッチとは反対に、トランスデユーサー290とADC292との組み合わせによってマイクロコントローラ36に正確な圧力が示される。従ってマイクロコントローラ36は圧力が低すぎるかどうか、および高すぎるかどうかの両方を決定することができる。いずれの場合にもマイクロコントローラ36はエラーメッセージを送り、実行を中止する。
【0056】
図6Aに示されているように、大量液モジュール230は最高90psiまで空気を加圧する圧縮器232を含んでいる。圧縮された空気はフィルター234に送られ、水および他の汚染物質が濾過される。圧力は二段階で調節される。先ず圧力はバネ付きの隔膜(prv)238により圧縮器の所で約25psi(±1psi)に調節される。prv238は米国コロラド州LittletonのNorgren社製、部品番号NIP−702のものであり、プラスティックスの覆いをもっている。次に空気圧力調節器236を用いて23psiに細かく調節される。この圧力調節器236は長期間正確な圧力を調節する点に関し極めて正確である。このようにして圧縮器232自身が酷使されることはない。何故ならprv238は、圧力が25psiを越えた場合、開口部を開き過剰の圧力を逃がすことにより圧縮器の出力の所で圧力を25psiに保つからである。フィルター234を介して空気から濾過された水および粒状物は廃棄物容器に送られる。圧縮空気がLiquid CoverslipTMおよび洗滌用緩衝液の瓶244、246を加圧し、Liquid CoverslipTM、容積調節器、二重すすぎ頂部装置、二重すすぎ底部装置に対応して弁248F〜Jが開いた場合、圧力は既にラインにかかっており液は流れることができる。また、圧縮された空気は放出シリンダー引き出しライン、放出シリンダー引き込みライン、ミラー空気シリンダー、渦動混合ラインおよびバーコード吹き付け/空気ナイフ・ラインに使用される。Liquid CoverslipTMの出口および洗滌緩衝液の瓶244、246の所でフィルター240を使用して粒状物を除去し、これを弁248の中に捕捉することができる。
【0057】
ミラー空気シリンダー・ラインは、バーコード読取り器276がスライドの回転台24のスライド上のバーコード、或いは試薬回転台8の上の試薬液ディスペンサー上のバーコードのいずれかを読取るように、ミラー・シリンダー278を回転させるのに使用される。バーコード読取り器276の出力はバーコードのシリアルI/O回線を介してマイクロコントローラ36に対する入力になる。ミラー空気シリンダーに対する弁248Cとミラー・シリンダーとの間には流れ制限器268が置かれている。流れ制限器268はライン上の圧力をなお13psiに保ちながらライン中の空気の流れを遅くする。このようにして空気は制限器268がない場合よりもミラーを遅く動かす。
【0058】
渦動混合器271も同様に13psiのシステム空気ラインから作動し、スライドの内容物を混合する。渦動混合器271は単一の流れまたは二重の流れのモードで使用することができる。特に、単一空気流または二重空気流を使用してスライドの内容物を混合する
ことができる。さらに制限器268を渦動混合器のラインの中で使用して空気流を減少させる。この方法で渦動混合器271を使用してスライドの内容物を混合した場合、液がスライドを吹き飛ばすことはなく、混合機がスライド上の粒状のスポットを乾燥させることもない。
【0059】
バーコードの吹き付け/空気ナイフ267を使用してバーコードを含むスライドの部分に空気を吹き付ける。この方法でバーコードは容易に読取られる。さらにスライドの縁の付近の液が除去されると、表面張力のためにスライドの上に液を良好に保持することができる。
【0060】
図6Bを参照すれば、マイクロコントローラに対する回路板の配線図が示されている。リモート装置166に対するセンサーおよびモーターがこの回路板に差し込まれ、回路板はマイクロコントローラに連結されている。
【0061】
図7Aを参照すれば、図6Aのリモート装置166の二重すすぎ用および容積調節用の機素263、264、266のブロック図が示されている。一般に下記の一連の段階で操作を行なう。即ち試薬をスライドに施し、Liquid CoverslipTMをスライドに被覆し、試薬をスライド上の組織と反応させ、異なった試薬をスライドに施し、Liquid CoverslipTMをスライドに被覆し、異なった試薬をスライドと反応させる等の操作を行なう。試薬がスライドと反応した後、次の試薬をスライドに施す前に、試料と反応しなかった過剰の試薬をスライドから除去しなければならない。そうでないとスライド上に非選択性の着色または背景の着色が起こる可能性が生じる。非選択性の着色は操作の終りにスライドを目で見て分析する際の妨害になる。非選択性の着色を最低限度に抑制するためには、前の段階で残った試薬を洗滌用緩衝液を使って洗滌する。洗滌は、図7Aに示すような二重すすぎ頂部弁248Hおよび二重すす底部弁248Iを使用して二重すすぎ工程を行なう二重すすぎ装置を使用して行なわれる。マイクロコントローラ36は、二重すすぎ頂部弁248Hおよび二重すすぎ底部弁248Iまたは248Jのどちらかを順次用い、洗滌用緩衝液を脈流にしてスライドに衝突させるように弁を制御する。特に二重すすぎ段階においてマイクロコントローラ36は二重すすぎ頂部弁248Hを開き、次いで二重すすぎ底部弁248Iまたは248Jの一つを開く等の操作を行なう。後で説明するように、うまく脈流をつくるために2個の二重すすぎ底部弁248Iまたは248Jが存在している。
【0062】
図7Bを参照すれば、二重すすぎ装置の頂部および二重すすぎ装置の底部、容積調節器/カバーガラス、空気ナイフ/バーコード吹き付け装置および渦動混合機の透視図が示されている。この形はブーメランの形をしており、このブーメランはスライドの回転台24の曲がった部分に対応している。
【0063】
図8Aを参照すれば、図7Aに示した二重すすぎ頂部ノズル263および二重すすぎ底部ノズル264を使用する洗滌ブロック312の一具体化例の側方からの等尺図が示されている。洗滌ブロック312は二重すすぎ底部ノズル264に対応するノズルの出口開口部316の下方の組、および二重すすぎ頂部ノズル263に対応するノズルの出口開口部314の上方の組を含んでいる。好適な具体化例においては、二重すすぎ底部ノズル264および二重すすぎ頂部ノズル263はそれぞれ多数の開口部を含んでいる。別の具体化例においては、二重すすぎ底部ノズル264および二重すすぎ頂部ノズル263はそれぞれ単一の開口部を含んでいる。二重すすぎ工程の間、これらの開口部314、316によってすすぎ液の脈流はスライド318の長手方向の縁322の一つまたは他の方へ向けられる。すすぎ液の脈流は、ノズル出口開口部の下方および上方の組314、316から出て、スライド318上に載せられた組織の試料(図示せず)の上手にあるすすぎ液衝突区域320の所でスライド318に衝突することが好ましい。スライド上に載せた組織の試
料は壊れやすい性質をもっているため、洗滌ブロック312の位置決めは重要である。すすぎ液の脈流をスライドの衝突区域320に向けることにより、すすぎ液が組織試料に達する時までにすすぎ液は層流になる。その結果壊れやすい組織試料の不当な損傷が防がれる。
【0064】
上方の組のノズル出口開口部314は、関連したすすぎ液の流れがスライドの長手方向の中心線から或る角度をもってずらされ、すすぎ液の脈流がスライド318の長手方向の縁の一つの方へ向うようにつくられる。下方の組のノズル出口開口部314は、関連したすすぎ液の流れがスライドの長手方向の中心線から或る角度をもってずらされ、すすぎ液の脈流がスライド318の長手方向の縁の他の一つの方へ向うようにつくられる。この配列の結果、すすぎ液の脈流はスライドの長手方向の一つの縁の方へ、次いで他の縁の方へと交互に且つ繰り返し向うようになる。
【0065】
図7Aに示されているように、二重すすぎ装置の頂部のノズルおよび二重すすぎ装置の底部のノズル263、264のノズル出口開口部314、316の上の組および下の組の各々に対して別々の配管および弁が備えられ、独立に操作できるようになっている。二重すすぎ段階を行なう際、洗滌ブロック312はすすぎ液の脈流を例えばノズルの開口部の下の組316からスライドの一つの長手方向の縁へ向わせ、終了後次にすすぎ液の脈流を例えばノズルの開口部の上の組314からスライドの長手方向の他の縁へ向わせる。この過程はマイクロコントローラ36を使用して弁248H〜Jを介して繰り返され、すすぎ液および化学薬品の以前の層をすすぐ効果が得られる。二重すすぎ頂部ノズルおよび二重すすぎ底部ノズル263、264の洗滌ブロックの軸は、水平に対し15〜35°の角度をなし、好ましくは図8Bおよび8Cに示されているように、二重すすぎ頂部ノズル263に対しては実質的に35°、二重すすぎ底部ノズル263に対しては実質的に25°をなしている。さらに、洗滌用緩衝液がスライドから過剰の試薬を洗滌し流し去るように、スライドの角度は実質的に水平(0.5〜1.5°)である。
【0066】
スライドから過剰の試薬を洗滌し去った後、スライドに正確な量の洗滌用緩衝液を施すようにしなければならない。通常緩衝液の量は270μLが最適であり、次の段階のためにこの量をスライドに加えなければならない。二重すすぎ段階を行なう際スライド上に洗滌用緩衝液が残留するが、スライド上に残った洗滌用緩衝液の量はかなり異なっている。スライド上に常に特定の量を残すためには、調和した脈流(consistency pulse)が生じるようにマイクロコントローラ36を動作させる。
【0067】
調和した脈流を生じさせるとスライド上には常に或る量の液が残り、脈流が短い場合に比べ量の変動は少なく、調和した脈流によってスライドに対し過剰の試薬が洗滌される。調和した脈流とは、二重すすぎ工程の個々の脈流よりも長い間行なわれる洗滌用緩衝液の脈流である。スライドに洗滌用緩衝液を送るためには洗滌緩衝液を含む管を加圧する。この圧力により、また洗滌緩衝液の弁248H〜Jを開閉することにより、洗滌用緩衝液の管の中に圧力波の効果(即ち、特に管の長さおよび幾何学的形状に基づいて管の中を移動する或る周波数の「反射波」)が発生する。従ってそれが波のどこにあるかを矛盾なく決定することはできない。この波の効果のために、脈流の圧力が変化した場合スライド上に残された緩衝液の量も同様に変化する。波の効果を最低限度に抑制するためには、管の中でこの波の効果を最低限度に抑制するのに十分な長さの間および/または十分な強さで弁に調和した脈流をかける。この場合の十分な時間は反射波の周波数の数周期の長さである。反射波は減衰正弦波だから、数周期の後にはこの波は調和した脈流のなかで効果を失う。従って調和した脈流は、二重すすぎ段階よりも長い間二重すすぎ頂部ノズル263または二重すすぎ底部ノズル264のいずれかを長時間に亙り開き放しにしたような効果を与える。例えば図9で詳細に説明するように、二重すすぎ段階中の脈流の長さは60msであるが、調和した脈流の期間は300msである。
【0068】
さらに、調和した脈流によってスライド上に一定量の液を残すためには、調和した脈流の運動量は二重すすぎ工程よりも大きくなければならない。好適具体化例においては、二重すすぎ段階中二重すすぎ用のの弁248Iまたは248Jだけを用いる場合とは異なり、図7に示したような2個の二重すすぎ底部弁248Iおよび248J使用して洗滌用緩衝液流の容積を増加させることにより脈流の運動量を増加させる。この方法で運動量が増加した洗滌用緩衝液の流れをスライドを横切って送り、その結果調和した脈流をかけた後では、スライド上に残った緩衝液の容積は減少し変動量も少なくなる。運動量が小さい脈流を用いると、スライドの表面張力との相互作用のために多くの溶液がスライド上に残る。他の具体化例においては、二重すすぎ工程中に使用される弁248H〜Jよりも大きな開口部をもつ弁を使用して容積を増加させ、その後で調和した脈流の運動量を増加させることができる。従って調和した脈流はノズルから出る強い流れをつくり、スライド上に層流を生じるが撹乱流は生成しない。この際層流がスライドを洗滌し、スライド上に常に或る量の液を残す。さらに調和した脈流は特定の機械における各操作に対してだけではなく、どの機械に対しても一定である。従ってスライド上に残る緩衝液の量を決定するためにシステムを再較正せずに、機械を交換することができる。
【0069】
さらに、スライド上に一定でしかも最低量の緩衝液を残したい場合には、二重すすぎ頂部ノズル263ではなく二重すすぎ底部ノズル264を使用しなければならない。二重すすぎ底部ノズル264の角度は二重すすぎ頂部ノズル263よりも小さく、従って角度が鋭くなくなるほど緩衝液はスライドから流れ易くなり、スライドの表面張力との相互作用が小さくなる。例えば単一の弁をもった二重すすぎ頂部ノズル263を用いると、スライド上に約275±40μLが残るが、二重弁をもった二重すすぎ底部ノズル264を用いるとスライド上に残る量は約180±20μLである。
【0070】
脈流の時間、脈流の角度および運動量を変化させ、調和した脈流をいくつかの方法で使用することができる。第1の方法は、或る与えられた装置に対し各操作ごと、各機械ごとの変動を最低限度に抑制し、調和した脈流によって最低量(180±20μL)の洗滌用緩衝液を残す方法である。特に、すべての機械に対しこの変動は±20μLであり、一つの機械を第2の機械と取り替えた場合、その変動はスライド上に残る液の量が許容パラメータ範囲に入るほど十分に小さい。さらに一つの機械における各操作ごとの変動は約±10μLであり、従って一度機械の較正を行なっておけば(そして後で説明するように容積調節装置から放出される容積の量を全容積が270μLになるように決定しておけば)、特定の機械におけるスライド上の液が操作ごとに著しく変動することはない。
【0071】
調和した脈流は、個別的な二重段階の脈流よりも長い時間、二重すすぎ底部ノズル264、および二つの弁248Iおよび248Jを用いて変形を行なうことができ、調和した脈流段階の後に、後で説明するようにスライド上に必要な量の緩衝液(実験によって決定さる)を高精度で加えることができる。
【0072】
スライド上に最低量の緩衝液を残すために調和した脈流を用いのとは別に、調和した脈流を用いて最低量よりも多い量を残し、同時にスライド上に残る量の変動を小さくすることができる。例えば操作員は脈流の運動量、脈流の時間、スライドに対する出口ノズルの角度および水平に対するスライドの角度を調節することができる。一例として二重すすぎ底部ノズルの角度よりも小さい角度をもつようにノズルの出口を設計することができる。このようにして操作員は、実験に必要な緩衝液の量およびその変動量に依存してスライド上に残る量を決定することができる。
【0073】
調和した脈流の後、実験を行なうためにスライドに付加的な脈流をかける必要がある場合には、図7Aおよび7Bに示すように容積の調節を行なう。マイクロコントローラ36
は弁248Gを開き、容積調節ラインによりスライドの上に緩衝液を載せる。前に説明したように、容積調節ラインはこのラインを通る洗滌用緩衝液の容積流を減少させる制限器268をもっている。容積の調節は、緩衝液がスライド上の組織を撹乱しないように行なわれる。何故ならば容積調節弁の針388がスライドの真上にあり、洗滌用緩衝液はスライドの上に滴下されるからである。緩衝液の正確な量をスライド上に載せることができる。これは洗滌用緩衝液の瓶の中の圧力の量、容積調節ラインに対して弁248Gを開いている時間の量、および制限器268を通る流量に基づいて行なわれる。これらのパラメータの他に、容積調節ラインに対して弁の開いている時間を制御する二重ノズルを変化させることにより、スライド上に載せる容積の量を調節することができる。別法としてポテンシオメータを使用して弁を開く時間の量を調節することができる。
【0074】
操作する場合、容積調節装置266を60msよりも長く作動させると精度が良くなる。容積調節装置266を60msよりも短い間操作した場合、緩衝液の放出の精度は低くなる。これは、マイクロコントローラによって制御される弁の開閉の駆動が中断されるからである。弁を開閉する場合の精度範囲は約10msである(例えば容積調節装置266を50msの間開いた場合、容積調節装置に対して弁が開いている実際の時間は40ms〜50msである)。従って調和した脈流を容積調節装置と組み合わせたシステムを設計する場合、調和した脈流によってスライド上に残る液の容積は、容積調節装置が60msよりも長い間作動すっるのに十分な少ない容積でなければならない(この値は容積調節の精度が許容される最短の時間の量であると決定される)。これを達成するためには、二重すすぎ底部ノズル264および2個の弁248Iおよび248Jを用いてスライド上に最低量の液が残るように調和した脈流を設計する。実際には、二重すすぎ底部ノズル264および2個の弁248Iおよび248Jを用いた調和した脈流の後に、180±20μLの液が残る。約100msの間容積調節装置を作動させるとことによりスライド上の容積は約270μLに増加する。
【0075】
図8Bおよび8Cを参照すれば、図8Aに示した二重すすぎ頂部ノズル263および二重すすぎ底部ノズル264の角度の側面図が示されている。図8Bおよび8Cの両方は、ノズルの開口部の角度を容易に参照できるように上側を下にして配置されていることに注意されたい。上記のように角度は二重すすぎ頂部ノズル(263)の出口に対しては水平から35°であり、二重すすぎ底部ノズル(264)の出口に対しては水平から25°である。これらの角度を変化させ、調和した脈流をかけた後にスライド上に残る液の量および/またはその変動を変えることができる。
【0076】
図8Dを参照すれば、図7Aに示した容積調節装置の一具体化例の側面図が示されている。容積調節装置の針388は90°の針をもったステンレス鋼からつくられている。従って液は下向きの角度で出て行きスライドの上に落下し、液の位置を良好に制御することができる。針388を容積調節装置のアクリル・ブロック392に連結する連結部材もステンレス鋼からなっている。洗滌用緩衝液と反応しないからステンレス鋼が使用されている。アクリル・ブロック392の背後には図6Aの容積調節ラインに連結する連結部材394がある。アクリル・ブロックの側面には図6AのLiquid CoverslipTMに連結する連結部材396がある。
【0077】
図9を参照すれば、二重すすぎ、調和した脈流および容積調節段階の流れ図が示されている。二重すすぎ段階に対しては、二重すすぎ底部弁(248Iまたは248J)を先ず324で開き、326でマイクロコントローラ36を60ms待機させ、328で二重すすぎ底部弁(248Iまたは248J)を閉じる。次いで330でマイクロコントローラ36を30ms間遅延させる。332で二重すすぎ頂部弁(248H)を開き、334でマイクロコントローラ36を60ms間待機させ、次に336で二重すすぎ頂部弁(248H)を閉める。次に338でマイクロコントローラ36を30ms遅延させる。340
でこの一連の過程を2回繰り返す。次にマイクロコントローラ36を342で1100msの間待機させる。次いで344で二重すすぎ頂部弁(248H)を開き、346でマイクロコントローラ36を60ms間遅延させ、348で二重すすぎ頂部弁(248H)を閉じる。次にマイクロコントローラ36を350で30ms間遅延させる。352では二重すすぎ底部弁(248Iまたは248J)の一つを先ず開き、354でマイクロコントローラ36を60ms待機させ、356で二重すすぎ底部弁(248Iまたは248J)を閉じる。次いでマイクロコントローラ36を358で30ms遅延させる。360でこの一連の過程を4回繰り返す。次に362で二重すすぎ頂部弁(248H)を開き、364でマイクロコントローラ36を60ms間待機させ、366で二重すすぎ装置の頂部弁(248H)を閉じる。次に368でマイクロコントローラ36を1200ms間待機させる。
【0078】
好適具体化例においては、二重すすぎ段階は底部−頂部、底部−頂部のすすぎサイクルで始まり、次いで頂部−底部、頂部−底部、頂部−底部、頂部−底部すすぎサイクルが行なわれる。この二重すすぎ段階の切換えは、一組のノズル(好適具体化例においては二重すすぎ底部弁)で始まり、次の段階では他の組のノズル(好適具体化例においては二重すすぎ頂部弁)で始められ、これによって少量の緩衝液を使用しながらスライドを迅速に洗滌することができる。スライドをすすぐ必要に依存して、脈流(頂部−底部または底部−頂部)の回数および脈流中に送られる緩衝液の量は変化する。すすぎによってスライドおよび組織中の過剰の試薬が除去され、これによってスライド上の背景の着色が減少し、スライドの分析の助けとなる。
【0079】
経験によれば、二重すすぎ段階において6.5〜7.5mLの緩衝液を使用しなければならない。二重すすぎ段階で7.5mLより多く使用するのは過剰な緩衝液を使うことであり(即ち一回の着色操作中に緩衝液を使い果たすこともある)、一つの操作で行なわれる二重すすぎ段階の量を制限すべきであろう。さらに経験によれば二重すすぎ段階は底部の弁と底部のノズルを用いて終了させなければならない。やはり底部弁を使用する調和した脈流をより一層確実に動作させるためである。
【0080】
調和した脈流段階に対しては、二重すすぎ底部弁(248Iおよび248J)の両方を370、372で開き、次いでマイクロコントローラ36を374で30ms遅らせ、二重すすぎ底部弁(248Iおよび248J)の両方を376、378で閉じる。容積調節段階に対しては、380でスライドの回転台24を1位置だけ動かした後、382で容積調節ラインに対する弁248を開く。スライド上に沈着させる液の量に依存して384でマイクロコントローラ36を待機させる。次に386で容積調節ラインに対する弁(248G)を閉じる。上記段階中二重すすぎ段階、調和した脈流段階および容積調節段階の間に遅延を挿入し、システムの中で多すぎる弁を同時に操作する可能性を最低限度に抑制する。このようなことが起こると、それによって圧力が低下し、そのため洗滌用緩衝液およびLiquid CoverslipTMの力が減少する。
【0081】
図10および11は試薬の回転台8と係合した試薬皿の中に試薬液ディスペンサー400を取り付ける様子を示す。最初脚部440を試薬皿10の中につくられた円形のU字型の溝442の中に挿入する。他の具体化例においては、矩形の溝の中に脚部を挿入する。バネ部材448の溝444は試薬皿10の周辺にある唇状部446と係合している。図11は試薬液ディスペンサーを試薬皿10に取り付けた後の試薬液ディスペンサー400の断面図であり、特に脚部440が溝442にはめ込まれ、バネ部材448が撓んで試薬液ディスペンサー400を適切な位置にしっかりと保持している様子を示している。試薬液ディスペンサー400を取り外すためには、単にバネ部材を内側に曲げ、溝444から唇状部446を外し、脚部440を溝442から引き抜けばよい。
【0082】
図12Aを参照すれば、これは引き出された位置における予め充填した試薬液ディスペンサー400を切り取って示した立面図である。図12Bは引き出された位置における充填可能な試薬液ディスペンサー400を切り取って示した立面図である。予め充填したディスペンサーと使用者が充填し得るディスペンサーとの主な差は、摘まみ付きキャップ(flip cap)402の代わりにはめ込みキャップ(snap cap)404が用いられていることである。試薬液ディスペンサー400は液を貯蔵する貯蔵室410、および放出室412を有し、貯蔵室410は放出室412の上方にある。貯蔵室410は実質的に放出室と直線をなして配置され、好適具体化例では放出室412と同軸をなしている。
【0083】
従来の試薬液ディスペンサーは並置された配列をもち、貯蔵室は放出室の側方にある。この配置では貯蔵室は小さく、従って液の保持量は少ない。本発明においては貯蔵室を大きくし、従って保持量を多くすることができる。例えば従来のディスペンサーでは約27.5mLの液が保持されるが、本発明では貯蔵室は約34.0mLの液を保持することができる。通常一つのディスペンサーは250回使用できる(即ち250回液を放出できる)と見積もられている。従来のディスペンサーで250回使用するためには、異なったタイプの試薬に依存して異なったタイプの連結器をつくらねばならなかった。このことは部分的には、貯蔵室の容積に制限があること、および液の粘度(或る種の液は液の粘度に依存して異なった量だけ放出される)に原因がある。本発明の貯蔵室は容積が増加しているために、本発明のディスペンサーは液の粘度に拘わらず250回の放出を行なうことができ、従って異なった連結器を必要としない。
【0084】
さらに放出室412の側方に貯蔵室410を含んでいる従来の試薬液ディスペンサーは、貯蔵室410を放出室412と連結する連結用の或いは水平の部材を必要とした。水平部分が詰まるという潜在的な問題の他に、従来の設計は製造が困難である。特に、並置的な設計には、水平部材、即ち連結部材の成形工程を注意深く制御し、すべての連結部材の側面が貯蔵室410、放出室412およびボール室432並びにノズル430と正しく相互作用することが要求される。後で説明するように、ボール室432はボール426を含み、このボールは試薬液ディスペンサー400の操作の一部の中でボール室432の上方部分に入れられている。従来法の設計では、連結部材はT字型の室、即ち水平方向の室を介して二つの垂直部材と接触するようにつくられている。これらの部材が交叉する所にボールの座席の区域がつくられている。連結材を製作する場合、T字型の部材のかたさが変化し、ボールの座席の区域を適切に製作することが困難になることがある。本発明の試薬液ディスペンサー400では貯蔵室410と放出室412との間に水平の連結部分をつくる必要がない。貯蔵室410は放出室412の頂部にあり、好適具体化例においては貯蔵室410は放出室412と同軸をなしている。流れは実質的に一直線上にある、即ち垂直をなしているから、T字型部材は省かれている。さらにボールの座席の区域は逆止め弁のボール・インサート(insert)424によって置き換えられており、これは分離した小さい成形部材であり、従って製造上の観点からすれば従来の設計よりもうまく制御できる。
【0085】
好適具体化例における貯蔵室410の形が図12Aおよび12Bに示されている。貯蔵室の形はまた濾斗形、或いは貯蔵室410と放出室412との間で連結材を通して液が抜き取られる他の任意の形をしていることができる。好適具体化例において貯蔵室410と放出室412との間の連結部材は弁、例えば圧力差を感知し得るダックビル(duckbill、家鴨の嘴状)逆止め弁416である。ダックビル逆止め弁は米国オハイオ州、Yellow SpringsのVernary Laboratories,Inc.で部品番号X6597−Eとして製造されている。別の具体化例においては、連結部材は液を一方向に(貯蔵室410から放出室412へ)移動させ、圧力差により液を通す任意の装置である。この中には図20〜21に示すような傘状の弁またはコップ型の逆止め弁7
92の使用が含まれる。
【0086】
圧縮バネ418の力に抗してキャップに下向きの力をかけることによって放出室412から液が放出される。これによって胴部408は、図12Cに示されているように、それがさらに下向きの運動をすることを防ぐ止め420に達するまで下方に押される。図10および11に示されているように、試薬液ディスペンサー400が試薬皿10の上に取り付けられると、図6Aに示したように放出シリンダーを引き出すための空気ラインにより、或いは胴部408を下方に押す他の何らかの装置によりキャップ404に下向きの力がかけられる。ピストンとして作用する胴部の下方部分を含む胴部408の下向きの運動によって液は放出室412から押出される。
【0087】
バネ418が伸長すると、胴部408は上方に動き、またボール426も上方に動く。図13Aを参照すれば、ボール室432およびノズル430が示されている。連結部材428は、連結部材の中の孔がボール室432からずらされ、ノズル430の内側の縁がボール室432の出口の中に突き出るようにつくられている。ボール室432はボール426を含み、このボールはボール室432の円筒形の表面に対し緩くはめ込まれ、最上部の位置と最下部の位置との間を自由に動く。最上部の部分においてはボール426はボール逆止め弁のインサート424と合い、これによって液がノズル430から放出室412の方向に流れるのが防がれる。最下部の位置の所ではボール426はノズル430の内縁部によって拘束され、ノズル430から落下するのが防がれる。しかしこれによってボール室432からノズル430へ液が流れるのは妨げらない。
【0088】
上記の構造を基本として使用し、試薬液ディスペンサー400の操作と特有の特性を説明しよう。放出の一行程が開始される際、試薬液ディスペンサー400は図12Aおよび12Bに示す位置にある。液が放出されようとする際、キャップ402に対して下向きの力がかけられる。この力は圧縮バネ418の力に打ち克ち、胴部408はそれが止め402の頂部に達するまで押し下げられ、約100μLに等しい予め定められた容積の液を放出する。この容積は、胴部408が下方に動いた区域の液の容積から「吸い戻された(suck back)」量(これはボール426が流れを遮断する前に胴部408の上昇行程においてボールの側を通過した液の量である)を差し引いた容積に等しい。液は放出室412からボール室432の中へ流れる。ボール室432を通る下向きの流れによってボール426は最低部の位置に押し下げられ、縁434に接触するが、これによってこの方向の流れは妨げられず、測定された量の液がノズル430から放出される。
【0089】
胴部408がその最下端部の位置に達すると、図6Aに示されたような放出シリンダーを引っ込める空気ラインに対する弁248Bを作動させるマイクロコントローラ36によってキャップ402にかかる下向きの力が緩められ、それに伴って圧縮バネ418はもとに戻り、胴部408とキャップ402とを上向きの方向に押す。液は放出室412の中に吸い込まれ始める。このことは上記において「吸い戻し」として説明されたことである。
【0090】
ここでボール逆止め弁のインサート424とボール室432の中のボール426との相互作用を説明する。ボール426はボール室432の内部を自由に動くので、それがボール逆止め弁のインサート424の所にある座席位置に達するまではノズル430からの液の流れに対して実質的に何の抵抗も与えない。ディスペンサーの操作が完了した場合、液の流れによってボール426はその最下部の位置に押し下げられ、縁434に接触する。胴部408の上向きの運動が始まって液を放出室412の中に逆に引き込むと、ボール室432の中の液の上向きの流れによってボール426は上向きに押されてボール逆止め弁インサート424に達し、ここでボールは放出室412の方への液の流れを遮断する。しかしボール426がボール逆止め弁インサート424に達するまではノズル430からの液の流れに対する抵抗は実質的になく、従ってダックビル弁416を横切って貯蔵室41
0から放出室412へ液を流すのに十分な圧力差は生じない。
【0091】
ボール426がその最下部の位置から最上部の位置へと動く際、ノズルから放出室412へと流れる(「吸い戻される」)液の容積は、放出サイクルの終りにおいて先端の所に残る垂れ下がった液の容積に等しい容積になるように予め選ばれる。従ってしたたった液滴は効果的にノズル430の中に引き込まれ、先端の所に内部メニスカス(液面)が生じる。
【0092】
ボール426がボール逆止め弁インサート424に達すると、ボールは液がノズルから放出室412へとさらに流れるのを遮断する。これによって直ちにダックビル弁を横切って圧力差が生じ、貯蔵室410から放出室412の方へ液が流される。放出室412の中で生じる吸引作用のためにボール426はボール逆止め弁インサート424に接触してしっかりと収納され、ノズルからのそれ以上の流れが妨げられる。圧縮バネ418が図12Aおよび12Bに示されているように胴部408を上方へ押すと、試薬液ディスペンサー400は次の放出サイクルに対する準備ができる。圧力差が平衡に達すると、液よりも僅かに密度の高い材料でつくられているボール426は、縁434に達するまでボール室432を通って落下する。
【0093】
図13Bおよび13Cを参照すれば、これはボール逆止め弁インサート424およびボール426が取り外された本発明の他の具体化例における試薬液ディスペンサー400の下端部分を切り取って示した前面図および側面図である。垂れ下がった液滴をノズル430の縁から引っ込めるために、胴部408の端にあるピストン454はそれに連結された延長部材456を有している。このようにして胴部408が上方に持ち上げられると、延長部材456も上方に動き、ノズル430の縁に付いた液滴を引き込む。特に図13Bでは胴部は下がった位置にあるように示されている。さらに、ピストンの直径およびピストンが動くキャビティの直径は試薬液ディスペンサーの要求に応じて寸法を変えることができる。
【0094】
延長部材がピストン454の底部に取り付けられている所に孔806が存在する。他の具体化例においては、ピストン545は単一の孔806を有している。ピストンが下げられると、O−リング810は延長部材にしっかりとはめ込まれ、O−リング810は延長部材と一緒に移動する。O−リング810は面取り部分(chamfer)808(円錐の形をしている)とじかに接触していないから、放出室中の液はO−リング810の後ろ側の周りに流下し、ノズル430から出ることができる。第2のO−リング814は図14A〜14Bに示されているようなクヮド・シール(quad seal)の所にある。
【0095】
上昇行程においては、O−リング810は、それが面取り部分808に突き当たるまで、ピストン454に取り付けられた延長部材454と一緒に移動する。このようにして延長部材454はピストンの延長部分として作用する。面取り部分808はO−リング・インサート812の内部に収納され、ピストンが動く間固定されている。O−リング・インサート812は連結部材428に連結されている。O−リング810が面取り部分808の中に入っている場合(流れは閉じられている)、放出室412の中に真空が生じ、それによって逆止め弁482を通って液を放出室412へ放出する圧力差が生じる。上昇行程と同時に、液は延長部分454と共に移動し、ディスペンサーの先端にある液滴は表面張力のために液と一緒に移動する。従って垂れ下がった液滴はノズル430の中に逆に引き込まれる。さらに、胴部408が上方の位置にある場合、面取り部分808の内部にあるO−リングのために液は孔806を通って移動しない。この具体化例においては、ボールおよびボール逆止め弁インサートは必要ない。
【0096】
図14Aおよび14Bを参照すれば、試薬液ディスペンサー400においてそれぞれ予
め充填されたものおよび使用者が充填可能なものの一部を取り出した分解図が示されている。予め充填された試薬液ディスペンサーと使用者が充填可能な試薬液ディスペンサーとの相違には、(1)図14Aおよび14Bで示されるはめ込みキャップ404、(2)使用者が充填可能なディスペンサーでは胴部408が透明なこと、および(3)使用者が充填可能なディスペンサーでは蒸発リング405がないことが含まれる。充填孔を通じて液を貯蔵器に充填し、次いではめ込みキャップ404を用いて閉じ、システムを閉鎖することができる。予め充填された試薬液ディスペンサーに対しては、充填後はめ込みキャップ404を充填孔の上に永久的に取り付ける。図16に示すように、充填孔とはめ込みキャップ404をルアー・フィッティング・デザイン(luer fitting design)を用いて合わせて緊密な密封材にする。使用者が充填可能な試薬液ディスペンサー400は充填孔と摘まみ付きキャップ402との間にリヴィング・ヒンジ・デザイン(living hinge design)とルアー・フィッティング・デザインを使用している。前述のように、キャップ406は音波熔接で胴部408に接合されている。キャップ406はまた排気口460を有しているが、これについては後で図16に関して説明する。ダックビル弁インサート414はダックビル弁416を適切な位置に保持し、液が放出室412から貯蔵室410へ或いは貯蔵室410から放出室412へと滲み出ることのできないように密封部をつくる。さらにダックビル弁インサート414は突起または乳頭部を有し、これは図17Bにもっと詳細に示されているように、ダックビル部分をそれに対し保持して組み立てを容易にする。逆止め弁として作用するダックビル逆止め弁416はダックビル弁インサート414に対してはめ込まれる。ダックビル弁416は一方向弁であってクラッキング圧力(cracking pressure)は高く0.6〜3.0psiの間である。これは貯蔵室410の中に液を保持する作用をする。何故ならクラッキング圧力が貯蔵室410の中の液の水圧よりも高いからである。また、ダックビル部分は胴部408の上昇行程において貯蔵室410から放出室412へ液を通し、同時に胴部408の下降行程においては液が通過するのを防ぐ。ダックビル逆止め弁416およびダックビル弁インサート414は、図17Aに示されているように、胴部408の下方部分に位置している。
【0097】
バネ418は胴部408の運動に基づき伸長または収縮する圧縮バネである。前述のように止め420は胴部408の下降行程を停止させる。またこの止めは試薬液ディスペンサー400が動いている間クヮド・シール422を適切な位置に保つが、この止めはポリプロピレンでつくられている。止め420は圧縮バネ418に基づき適切な位置に保持されるが、その力は胴部408の運動によって変化する。止め420が適切な位置に保持されると、図17Cに示されるような止め420上の横桟420Aを介してクヮド・シール422が適切な位置に保持される。クヮド・シール422は、試薬液ディスペンサー400が常に閉じたシステムであり、従って試薬液ディスペンサー400が満たされた状態に保たれるようにする。クヮド・シール422はフルオロエラストマーであるVitonTMゴムからつくられ、米国イリノイ州、Hanover ParkのLutz Sales社から製品番号QS−008−2799として市販されている。クヮド・シール422はまたエチレン・プロピレン混合単量体(EPDM)からつくることができる。ボール逆止め弁インサート424は連結部材428とは別の部材であって連結部材428の中にあり、連結部材428の部屋の中の溝により、また図17Aに示されるように横桟428A上に載せることにより適切な位置にはめ込まれる。ボール逆止め弁インサート424はその内部にボール収納部424Aを有し、胴部408の上昇行程においてボール426はこれと係合する。従来の試薬液ディスペンサーは連結部材をボールに対するボール逆止め弁インサートと一体化させていた。しかしこのような機能を一体化させた連結部材の製造は、12時、3時および6時の位置にある3個のピンが一緒の所に来てボール逆止め弁インサートを歪ませないようにしなければならないために困難である。従って連結部材428からボール逆止め弁インサート424を分離することによって処理が簡単になる。こうすれば、ボール426と係合しているボール逆止め弁インサート424の内部キャビティ43
2の製造を容易にすることができる。ボール426は硼珪酸塩(1種のガラス)からつくられている。他の具体化例においては、ゴムから成るボールを使用することができる。或る場合にはゴムのボールの方がプラスティックスのボール逆止め弁インサート424の中に良好に入れることができるが、ゴムのボールと試薬との間に化学的な相互作用がないことが条件となる。
【0098】
本発明において試薬液ディスペンサー400の組み立ておよび充填は簡単である。ダックビル逆止め弁416およびダックビル逆止め弁インサート414を胴部408の下方部分に入れる。胴部にキャップを熔接する。ボール426を入れ、ボール逆止め弁インサート412をはめ込み、次いでクヮド・シール422を連結部材428の中に挿入する。連結部材428の中に止め420とバネ418とを挿入し、連結部材428を胴部408の上にはめ込む。胴部408に試薬を充填すれば試薬液ディスペンサー400は満たされた状態になる。ディスペンサーの頂部にキャップ404を付け、連結部材428の上にあるノズル430の出口にキャップ458を被せる。
【0099】
さらに本発明によれば、試薬液ディスペンサー400の製造とその中への試薬の充填が容易になる。従来法のディスペンサーではディスペンサーに充填を行なった後多くの部材を接着し、超音波で熔接することが必要であり、従って或る程度の熟練と訓練が必要であった。これに対し本発明の試薬液ディスペンサーでは、部品をはめ込むことが要求されるが、音波熔接が必要なのはキャップ406に対し排気口460を、また胴部408に対しキャップ406を熔接する場合だけである。さらに本発明においては、試薬液ディスペンサー400の中への試薬の充填が容易である。従来の試薬液ディスペンサーにおいては、ピストン、ピストン案内、キャップおよびノズル以外の部材で試薬液ディスペンサーが組み立てられる。貯蔵室に試薬を充填する。次にピストンおよびピストン案内を貯蔵室の中に入れ、ピストンの頂部に残った液を真空で蒸発させる。最後に、キャップを胴部408の頂部に音波熔接するか、またはその中にねじ込む。本発明においては、貯蔵室410の中にピストンは存在しないから、ピストンの頂部付近の区域に真空をかける必要はない。その代わり、キャップ406を先ず胴部408に音波で熔接した後、貯蔵室410の中に試薬を加える。この方法でディスペンサーの充填工程の数が少なくなる。さらに本発明においては、いくつかの製造上敏感な部材を小さくし、製造を容易にすることができる。好適具体化例において使用される材料はポリプロピレンである。これらの条件下では小さい部材の方が寸度安定性は大きい。従ってボール逆止め弁インサート424(本発明においてこれは連結部材428と分離されている)のような小さい構成部材を一層確実に処理することができる。
【0100】
図15Aおよび15Bを参照すれば、予め充填した試薬液ディスペンサー400および使用者が充填可能な試薬液ディスペンサー400の側面図がそれぞれ示されている。両方のタイプのディスペンサーはバーコード・ラベルを有し、これは前述のようにバーコード読取り機276により読み取られる。使用者が試薬液ディスペンサー400に試薬を充填するためには、はめ込みキャップ404の代わりに摘まみ付きキャップキャップ402を使用する。後者ははめ込みキャップと次の2点で異なっている。(1)摘まみ付きキャップはキャップに対する取付け部分をもっている。(2)摘まみ付きキャップはそれを適切に開くための指当てとして作用する突起402Aを有している。従来の試薬液ディスペンサーでは、注射器の部分に液を満たすためには試薬液ディスペンサーを逆さまにしなければならなかった。使用者は、先ず移送用の注射筒を手で充填し、エピンドルフ(epindorf)注射筒へ押し付け、この注射筒を満たす。次いで使用者はこの注射筒を連結部材の方へ圧し、注射筒から貯蔵室と放出室との間の連結区域を通して液を押込む。次に使用者は、気泡を含まない液がノズルから出て来るまで、連結材の上部を下向きに保ってプランジャーを少なくとも6〜8回出し入れしなければならなかった。本発明においては、使用者は摘まみ付きキャップを開き、貯蔵室410を満たし、摘まみ付きキャップを閉じ
る。使用者は、試薬液ディスペンサーの上部を下向きにすることなく、図19Aに示すような典型的な注射器を使用して試薬液ディスペンサー400を満たすことができる。注射器は米国ニュージャージー州、Franklin LakesのB−D Corp.製の大きさ20cc、部品番号BC301032のものであることができる。注射器459は制限器459AとO−リング459Bをもっている。制限器459Aは内径が約5/1000インチである。注射器459を連結部材428のノズル430の内部に入れ、注射器のプランジャーを引き出して貯蔵室410および放出室412から液を引き込む。試薬液ディスペンサー400にもっと迅速に充填を行なうためには、胴部408を押し下げ、注射器のプランジャーを引き出すと同時に胴部を手放す。この方法で試薬の損失は著しく少なくなる。従来の試薬液ディスペンサーでは、プランジャーを6〜8回出し入れすることで試薬の損失を招いた。本発明の試薬液ディスペンサー400においては、試薬は全く注射器459の中に吸い込まれない。注射器459はきれいだから、その内容物を摘まみ付きキャップ402を通して貯蔵室410に戻すことができ、試薬の損失は生じない。
【0101】
図19Bを参照すれば、連結部材のノズルに使用するための、制限器459AおよびO−リング459Bがついた注射器459(および注射器のラベル788)の分解図が示されている。O−リング459Bは制限器459Aの側方にあり、制限器はその中にv−ノッチをもっていない。O−リング459Bの側を下にして制限器459Aを図19Bに示すように保持用の固定具790の中に入れる。次いで組み立てを行なうために注射器459を制限器459Aの上に載せる。制限器459Aは米国ウィスコンシン州、RacineのAirlogic製の部品番号F−2815−050(色:黄緑色)のものであり、制限器459Aに対して1インチのオリフィスをもっている。O−リング459Bは米国ケンタッキー州、LexingtonのPark Co.製で部品番号2−003のものである。制限器459Aを注射器459のノズルにぴったりと合わせ、注射器459を連結部材に接触させて配置するために、O−リング459Bを必要としない。試薬液ディスペンサー400の連結部材428に対する成形操作には潜在的な差があるため、制限器459Aが連結部材428に対してきっちりと合うようにO−リング459Bを使用する。
【0102】
十分に充填されたかをどうかを検査するために、使用者はディスペンサーの上側を下向きに倒し、ディスペンサーを指で叩き、捕捉された空気を追い出した後、胴部をゆっくりと下方に圧して気泡を動かしてボール収納部を通過させる。次に使用者は連結部材の右側を上に向け、胴部を手放す。ほぼ1滴をむだにするだけで良好な充填が行なわれる。
【0103】
図15Cを参照すれば、キャップの近傍に蒸発リング405を有する予め充填された試薬液ディスペンサーの分解図が示されている。排気口、蒸発リング405およびキャップの相互作用に関しては後で図16A〜Eを参照して説明する。ディスペンサーにバーコード・ラベル784を貼付し、バーコード読取り機276で読み取る。ディスペンサーにはディスペンサー・ラベル786も貼付されている。
【0104】
図16Aを参照すれば、試薬液ディスペンサー400のキャップ406および排気口460を取り出した図が示されている。排気口はキャップの頂部にある構成部材であり、排気区域464、排気口材料466および裏板材468を含んでいる。排気口は空気が貯蔵室410に出入りできる(即ち貯蔵室が「呼吸」を行ない得る)装置として使用される。排気口460は貯蔵室の圧力を一定にし、貯蔵室410の圧力を大気の圧力に等しくすることができる。貯蔵室410中の圧力を一定にしおよび/または貯蔵室410の圧力を等しくするために排気口をつくるには幾つかの方法がある。後で図面を参照してもっと詳細に説明するように、好適具体化例においては、排気区域は約70/1000インチであり、排気口材料466は疎水性の材料から構成されている。経験によれば、開口部の大きさのために貯蔵室内の液が排気区域を通って蒸発することが判っている。蒸発を減少させる(即ち貯蔵室があまり「呼吸」しないようにする)ためには、図15Cおよび16Aに示
すように、蒸発リング405をはめ込みキャップ404とキャップ406との間につくられる空気間隙に挿入する。この蒸発リング405は排気区域を横切る空気流を制限し、貯蔵室からの液の蒸発量を減少させる。
【0105】
他の具体化例においては、排気区域は約10/1000インチであり、これによって貯蔵室からの蒸発量を減少させている。しかし排気区域が減少した試薬液ディスペンサーを用いる処理は、それに対応して排気口材料の区域が減少しているために困難である。さらに他の具体化例においては、排気区域464は任意の区域であることができる。また排気口材料はもっと緻密な材料でつくられ、排気口材料を通る空気流を減少させ、排気区域464を通る蒸発量を減少させることができる。好適具体化例において排気口材料のメッシュの大きさは1μmである。メッシュの大きさが例えば0.25μmまで減少すると、排気区域464を通る蒸発量はさらに減少する。また他の具体化例においては、排気区域は任意の区域であり、排気区域を横切ってテープ片を張り付ける。このテープはピンホールを含み、これによって排気区域が効果的に減少し、従って蒸発量が減少する。
【0106】
図16Aに示すように、キャップ406およびはめ込みキャップ404(または使用者が充填可能な試薬液ディスペンサーに対する摘まみ付きキャップ402)はルアー・フィッティング・デザインであり、互いに係合して充填孔を密封するキャップ406およびはめ込みキャップ404の部分は円錐形である。はめ込みキャップ404の円錐形の区域の下方部分は環状または唇状であり、これははめ込みキャップ404を適切な位置にはめ込むのに使用される。この方法ではめ込みキャップ404はそれがキャップ406の中に固定されるまで押し下げられる。はめ込みキャップ404は該キャップの曲がった部分に接触した曲がった区域472を有し、これによってはめ込みキャップ404はその位置に止まっている。またはめ込みキャップ404はキャップ406と係合し、排気区域に隣接した空気空間474をつくっている。この空気空間474は環をつくり、該キャップに対するはめ込みキャップの向きに拘わらず、中空の区域が排気区域464(これは約70/1000インチ以下である)の近傍に来るようになっている。さらにはめ込みキャップ404の外径はキャップ406の内径よりも僅かに小さく、ディスペンサーの外側に対する空気空間474に隣接して小さい空気間隙476がつくられている。空気空間474は排気口から大気中への経路として作用し、またディスペンサーの外側と排気口460との間の緩衝帯としての役目をする。他の具体化例においては、空気間隙476は図15Cに示されているようなキャップの内部にあるノッチと一緒に使用される。空気流を多量に必要とする時、このノッチはより多くの空気を空気間隙476の中に流入させることができる。さらにこのノッチを空気間隙476の代わりに用い、空気空間474へ空気を流し込む唯一の手段としてこのノッチを通るようにすることができる。
【0107】
排気口460は疎水性の排気口であって、貯蔵室410の内部に液を捕捉したまま排気口を通して空気を流すことができる。この排気口はテフロン材料のようなフィルター材料からつくられ、この排気口をキャップに取り付ける裏板材をもっている。前述のように、排気口の開口部、即ち区域464は約70/1000インチである。空気は貯蔵室410の中に流れ込むから、貯蔵室410内部で試薬の水位が変わっても貯蔵室410内部の圧力は一定である。さらに或る種の試薬はガスの副成物を生じる(ガスの放出と呼ばれる)。試薬がガスを放出した場合には、疎水性の排気口460は排気口460を通してガスを逃がし、貯蔵室410の内部で圧力が上昇するのを避けることができる。この方法により、従来の試薬液ディスペンサーで貯蔵室410中の液に力をかけのに必要であったピストンを省くことができる。従来の設計においてこのピストンは幾つかの欠点をもっていた。第1に、或る種の試薬(例えば蛋白質)は貯蔵室にくっつくので、貯蔵室の中でピストンが液と一緒に移動するのが妨げられる。またピストンと胴部との相互作用は潤滑剤を用いて行なわれる。或る種の試薬は一部洗剤を含み、洗剤はピストンと胴部との間の潤滑作用を妨害する。この両方の効果は試薬液ディスペンサーの性能を損ない、液の放出が不適切
になる。さらにガスの放出はピストンと相互に影響し合い貯蔵室410からの流れを増加させるか、或いはピストンと貯蔵室410の主要区域との間に圧縮可能な空気間隙を生じる。
【0108】
或る種の試薬はクヮド・シール422と相互に影響し合ってクヮド・シール422を破壊する。この相互作用を最低限度に抑制するためには、クヮド・シール422にフッ素被覆を行ない、或る種の試薬の反応を抑制する。
【0109】
また、図15Cおよび16Aに示すように、空気空間747の内部には蒸発リング405がある。蒸発リング405はWhitemark製(製造業者の部品番号105060)の低密度ポリエチレンからつくられ、厚さが1/8インチである。前記のように、このリングは排気口を横切って空気の通過を困難にする障壁として作用する。この方法でリングは(空気の)制限器として作用し、貯蔵室410がなお呼吸するのを許しながら蒸発を少なくする。リングは閉鎖気泡の発泡体であり、本質的に廉価である。このリングは排気区域464を横切る空気を制限する任意の材料または発泡体からつくられていることができる。試薬液ディスペンサーを製造する際キャップ406とはめ込みキャップ404との間にリングを挿入する。リングは、排気区域464に接触して排気区域464を横切る空気を制限しなければならない。さらに、リングは気泡発泡体からつくられているから、圧縮して空気区域474に充填することができる。
【0110】
図16Aを参照すれば、キャップ406の上方部分の内側に突起407があり、これは排気口材料片を整列させて配置するのに使用される。従って排気口460はキャップ406の上方部分の頂部の中心に来る。図16Bを参照すれば、排気口460の底面図が示されている。排気口460の内部には星形の設計をもつ排気口460を平らに保つためのプラットフォーム468が含まれている。排気口460の中を空気が通過する際、特にガスが放出される際、排気口460は曲がって排気口中のテフロンを傷つける傾向がある。排気口460が曲がることを最低限度に抑制するために、プラットフォーム468が排気口ノッチの近傍にある。従って排気口の表面積は依然として大きいが、ガスが放出する際に排気口460を安定化させるための格子状の支持体を有している。プラットフォーム468は成形を容易にするために星形をしているが、プラットフォームの形は排気口を支持または安定化させる任意の設計であることができる。
【0111】
他の具体化例においては、図16に示されているように、排気口の代わりに二方向性の弁478または二方向性のダックビル(または2個の弁または2個のダックビル)を、貯蔵室410に対して空気の出入りを許す代替装置として使用することができる。二方向性の弁478はそれを配置するための二方向性弁インサート480を有している。二方向性の弁478は貯蔵室410の内部に液を捕捉したまま二方向性の弁478を通して空気を流すことができる疎水性の層を有している。一つの方向(貯蔵室410への空気流)においては二方向性のダックビルはクラッキング圧力が低く、液が放出される際に貯蔵室410内の圧力を等しくするようになっている。第2の方向(貯蔵室410から出る空気流)においては二方向性のダックビルは高いクラッキング圧力をもち、ガスの放出による圧力を緩和するようになっている。二方向性のダックビル478は貯蔵室410の中に液を捕捉したまま空気を流すことができる。従って二方向性のダックビルは貯蔵室410に対して空気の出し入れを行ない、圧力を等しくすることができる。実際上は二方向性のダックビル478は、一方向性のダックビルを2個使用する場合よりもコントロールの精度が低い。
【0112】
さらに精密化が必要な場合には、二方向性のダックビル487の代わりに図16Dに示すように一方向性のダックビルを2個使用する。さらに、2個の一方向性のダックビルを胴部の底部にある他の一方向性のダックビルと組み合わせると、システムは3個のダック
ビル・システムになる。この配置においては、大気への放出を行なうダックビルは小さいクラッキング圧力を有し、空気を貯蔵室の中へ流し込むダックビルも小さいクラッキング圧力をもち、胴部の下方にあるダックビル逆止め弁416は中程度のクラッキング圧力をもっている。胴部にあるダックビル逆止め弁416は、空気を大気へと放出するダックビルに比べて高いクラッキング圧力をもち、貯蔵室中で上昇した圧力を小さいクラッキング圧力のダックビルを通して軽減するようにしなければならない。
【0113】
前述のように、貯蔵室410からの液の流出による圧力差は液の放出を困難にする。また或る場合においては、ガスの放出が試薬液ディスペンサー400の動作を妨害しない場合もある。従って排気口460の代わりにダックビル弁インサート484のついた一方向性の弁またはダックビル482(米国オハイオ州、Yellow SpringのVernay社製、部品番号VL−857−101)を使用することができる。その一つの方向(貯蔵室410へ空気が流入する方向)では、一方向性のダックビル482は低いクラッキング圧力をもち、貯蔵室410からの液の溢流による圧力を緩和する。この具体化例においては、空気は貯蔵室へと流れ込むだけだから、排気口材料は必要としない。
【0114】
図16Eに示すようなさらに他の具体化例においては、排気口開口部464は(図16Aで示した70/1000インチから)約10/1000インチまで減少させることができる。予め充填された試薬液ディスペンサーに対するはめ込みキャップ404、または使用者が充填可能な試薬液ディスペンサーに対する摘まみ付きキャップ402を変形し、はめ込みキャップ404または摘まみ付きキャップ402がキャップ406と係合する場所に密封材488を含ませることができる。このようにこの他の具体化例においては、はめ込みキャップ404(または摘まみ付きキャップ402)とキャップ406との間には間隙476が存在せず、その代わり密封材488が含まれる。貯蔵室410に対し空気流を出し入れするためには、キャップ404(または摘まみ付きキャップ402)の頂部にピンホールまたは第2の排気口のような開口部486をつくり、はめ込みキャップ404とキャップ406との間につくられた空気区域474に隣接させる。
【0115】
図17Aを参照すれば、試薬液ディスペンサー400の胴部408の下部、ダックビル逆止め弁416、ダックビル逆止め弁インサート414、ワッシャー421、クヮド・シール422、ボール426、ボール逆止め弁インサート424および連結部材428が切り取って示されている。胴部408は突起408Aを有し、これは連結部材と合い、上昇行程の際に胴部408の位置を保持する。そうでないと、バネが胴部408を高く上方に押し過ぎた場合、クヮド・シール422によって与えられるような密封が破れ、空気の経路が生じて試薬液ディスペンサー400は充填状態を失うであろう。止め420とクヮド・シール422の間にはワッシャー421が置かれている。ワッシャー421は通常のワッシャーの形をしており、内径は0.180インチ、外径は0.300インチ、厚さは0.020インチである。このようにワッシャー421は止め420とクヮド・シール422との間に挟まれている。ワッシャー421はフェルト材料からつくられ、潤滑剤、例えば医薬品級のシリコーン潤滑剤で処理されている。ワッシャーが存在しないと、胴部を何回も上下に動かした後に胴部のピストンがくっつく傾向がある。これを是正するために潤滑剤で処理したワッシャーによりピストンを潤滑状態に保持して運動を滑らかにする。特に、ピストンを取り囲んでいるワッシャーは、ピストンが上下に動く際、ピストンを潤滑状態に保持する。胴部408はまたポケット408Cを有し、ここにダックビル逆止め弁インサート414を挿入する。このポケットは濾斗の役目をし、ダックビル逆止め弁416またはダックビル逆止め弁インサート414との相互作用点の所で胴部408の底に全く液が溜まらないようにし、これによって液の無駄が最低限度に抑制される。胴部408はまた液を試薬液ディスペンサー400の中に押込むピストン454をその下方部分に有している。図17Aの下部には連結剤428のノズル430と係合したノズル・キャップ458がある。ノズル・キャップ458およびノズル430は液漏れのない密封を行なう
ためにルアー・フィッティング・デザインを用いて合わせられている。図17Bを参照すれば、試薬液ディスペンサーの胴部、ダックビル逆止め弁、およびダックビル逆止め弁インサートを切り取った図が示されている。図17Bに示されているように、ダックビル逆止め弁インサート414を適切な位置に保持するために、ダックビル逆止め弁インサート414上に突起414aがある。図17Cを参照すれば、試薬液ディスペンサーのクヮド・シールの切り取った図が示されている。図17Dを参照すれば、試薬液ディスペンサーのダックビル逆止め弁インサートの他の具体化例の切り取った図が示されている。図17Dのダックビル逆止め弁インサート414の突起414aはダックビル逆止め弁インサート414の上方部分にある。
【0116】
図17Aにはまた連結部材428の切り取り図が示されている。連結部材428はボール逆止め弁インサート424がはめ込まれる溝428Bをもっている。溝428Bはボール逆止め弁インサート424の壁および連結部材の壁を通して液が下方へ、また空気が上方へ漏れるのを防ぐ作用をする。連結部材428はまた突起428Cを有し、これによってディスペンサーは試薬皿10の上に配置されるのが保証される。。例えばディスペンサーがうまく配置されていないと、放出シリンダーはディスペンサーと適切に係合することができない。連結材428はまた安定用の出っ張り428Dを有し、これによって試薬液ディスペンサー400の前後の揺れが減少する。
【0117】
さらに図18Aに示された具体化例においては、図12A〜12Cと同様に、下端におけるピストン454として作用する下方部分をもった胴部408が示されている。ピストン区域において胴部の下方部分の所でピストン454の底部にある貫通孔の代わりに、ピストン454の側方に孔450があり、これはO−リングの密封材452と接触している。このようにして、胴部408を押し下げた場合孔450が露出して貯蔵室410から液が放出される。胴部が上の位置に戻るとダックビル逆止め弁482が開き、放出室410が液で満たされるような圧力差になる。胴部の上昇行程においては高い圧力差は生じないから、図18Aのダックビル逆止め弁482は低いクラッキング圧力をもったダックビル逆止め弁である。さらに胴部が上方の位置にある場合、ピストンの端454AはO−リングによる密封材により閉じられ、孔405以外の場所では胴部408の底部が密封される。
【0118】
図18Bに示されたさらに他の具体化例を参照すれば、図18Aと同様に下端部の所でピストン454として作用する下方部分をもった胴部408が示されている。O−リング密封材452を配置してピストン454Aの下端で孔450を覆う代わりに、図14Aおよび14Bに使用されたクヮド・シールと同様なクヮド・シール422を使用す。
【0119】
図20を参照すれば、カップ逆止め弁792を有する試薬液ディスペンサーの下方部分を切り取った他の具体化例の図が示されている。カップ逆止め弁792の下方部分(即ちカップ部材794)は胴部408のピストン454に接触し、液が胴部408の下方部分を通ることを許さない。カップ逆止め弁792の上部は上部の脚部800と側壁802から構成されているが、ダックビル逆止め弁インサート414およびピストン454の側方に接触している。カップ逆止め弁792は、圧力差に基づいて動作するという点において、図17Aに示したダックビル逆止め弁416と同様な動作をする。胴部408の下降行程において、カップ逆止め弁792のカップ部材794は堅い状態のままに保たれ、ピストン並びにカップ部材は液を放出室412から押出す。胴部408の上昇行程においては、ボール室432中のボール434は図13Aに示されているようにボール逆止め弁インサート424に接触し、放出室の中に真空をつくる。真空によって放出室中および隣接した胴部408のピストン区域に圧力が生じ、カップ逆止め弁792のカップ部材794を内側に曲げ、カップ部材794はピストン454に接触しなくなる。これが起こると、貯蔵室中の液はカップ逆止め弁792の周りおよび放出室の中へと流れる。放出室と貯蔵室
との間で圧力が等しくなるまでカップ部材794は曲げられる。このようにして胴部408の上昇行程において液は放出室に受取られる。放出室中に生じた真空による曲げの効果をさらに良好にするために、カップ逆止め弁792のカップ部材794は胴部408のピストン454の中で低い所に配置されていなければならない。このようにしてカップの下方の区域が小さくなるほど真空による吸引効果は大きくなる。
【0120】
図21Aを参照すれば、カップ逆止め弁792の側面図が示されている。カップ部材794は水平から79°の角度で外側に広がっている。しかしカップ部材794はカップ部材794を曲げる必要に応じて外側または内側に曲げることができる。さらに、ダックビル逆止め弁インサート414およびピストン454の側方に接触するように上脚部800および側壁802がつくられている。この上部部材は適切な位置に固定されるような形をしていることができる。
【0121】
図21Bを参照すれば、カップ逆止め弁792の底面図が示されている。この底796は丸く、ピストン454の丸まった側壁に接触するようになっている。カップ逆止め弁792の底部は表面がそれに、この場合にはピストン454に接触するような任意の形であることができる。
【0122】
図21Cを参照すれば、カップ逆止め弁792の上面図が示されている。ダックビル逆止め弁インサート414の丸まった側壁に接触するように頂部798が丸くなっている。カップ逆止め弁792の頂部は、表面がそれに、この場合にはダックビル逆止め弁インサート414に接触するような任意の形であることができる。
【0123】
図21Dおよび21Eを参照すれば、それぞれ図21Cの断面A−AおよびB−Bにおけるカップ逆止め弁792が示されている。カップ逆止め弁792のカップ部材794は曲げ易いように分岐している。カップ部材794の厚さと形はカップ部材を曲げる際の必要に応じて変えることができる。さらに連結片804はカップ逆止め弁792の上片部をカップ部材794に連結する任意の形をしていることができる。好適具体化例においては、連結片804は円筒形であり、ピストン454を通る液の流れを妨げないようになっている。
【0124】
本発明の他の態様に従えば、製造業者から顧客へデータを送る装置が提供される。製造業者はキットおよびディスペンサーに対する試薬、マスター・ロットおよび一連番号を保存するために製造用データベースを使用している。製造用データベースは単一のファイルを含むInterbase(クライアント/サーバー)データベースである。製造用データベースの定義はドメイン、テーブル、ビューおよびトリガーから成っている。ドメインはテーブルに使用される種々のタイプおよび要求を定義する。テーブルは各レコードに対して保存されるデータを定義する。ビュー(メタテーブル)はテーブルとしてアクセスされるが、データを含んでいない。ビューはテーブルからデータを集める。トリガーは定義された事象に応答してInterbaseサーバーで実行されるプログラムである。
【0125】
キット(幾つかのディスペンサーを含む)または単一のディスペンサーを定義するためにデータベースに情報が保存されている。各パッケージは、キット或いは単一のディスペンサーのいずれかを問わず、内容を識別するバーコードを含んでいる。キットに対してはバーコードは部分番号、マスター・ロット番号、および一連番号を含んでいる。単一のディスペンサーに対しては、バーコードは部分番号、マスター・ロット番号、および一連番号を含んでいる。一連番号は1で始まる各マスター・ロットに対し(即ち各マスター・ロットからつくられた第1のキットに#1の連番が付けられ)順次キットに対して割り当てられる。パッケージのバーコードはパッケージ内部の個々のディスペンサーに付けられるバーコードとは別物である。特に、単一ディスペンサーのパッケージに対しては、パッケ
ージのバーコード・ラベル上の一連番号はパッケージに含まれる単一のディスペンサーの一連番号と一致する必要はない。
【0126】
バーコードはCode 128 Symbologyを用いて符号化される。バーコードの単純なテキストとしての解釈はバーコードの下に標準的なアスキー・テキストとして表記されている。これにより操作員は走査によって得られるデータを検証することができる。パッケージ・ラベルの三つのフィールドの長さは固定されており、組み合わせて繋ぎ合わせると単一のバーコードになる。ディスペンサーに対しては、フィールドの一つはディスペンサーの内容を決定する4桁の製品コードであり、フィールドの他の一つは一連番号である。一連番号はディスペンサーのタイプに対して特有である(即ち或るタイプの各ディスペンサーの一連番号は1ずつ増加している)。これらの二つのフィールドを走査することにより、後で説明するようなタッチ・メモリー装置をプログラムする装置がディスペンサーのタイプを認識する。さらに後で説明するようにホスト装置は、リモート装置上でバーコード読み取り機から走査されたコードを取得し、やはりバーコードに基づいたディスペンサーのタイプを決定する。キット上のバーコードに対しては、特定のキットの形に対応するフィールドがあり、キットのバーコードが走査されると、後で説明するようにコンピュータはルックアップ・テーブルを通じてキットのバーコードに関連した特定のキットの形を決定する。
【0127】
図22を参照すれば、外部記憶装置をプログラムする製造業者のシステムのブロック図が示されている。製造用のコンピュータ500は典型的なパーソナル・コンピュータであり、コンパレータ504を含むプロセッサー、およびRAM508およびROM510を含む記憶装置506を有している。後で説明するように、プロセッサー502はバーコード・スキャナーおよびEPROM(消去可能なプログラムし得る読み取り専用メモリー)のような記憶装置516と連結されている。後で説明するように好適具体化例においては、プロセッサー502は記憶装置のワンド514を介して記憶装置516と連結されている。
【0128】
付録Aに記載されているように、レジストレーション・テーブルからのデータの取得を実現し、外部記憶装置にデータを保存するソフトウエアが存在している。図23を参照すれば、製造業者のデータベース上のフォームを更新する流れ図が示されている。このフォームはキット、ディスペンサー、ディスペンサーのモデルなどに対する製造業者のデータベースの鋳型形式として使用し、これを後でタッチ・メモリー装置のプログラムを行なうために入力する。例えば試薬のフォームにおいては、特定の試薬に関するデータ、例えば試薬の名前、グループの名前等を入力する。ディスペンサーのモデルには使用者が充填可能なディスペンサーおよび予め充填されたディスペンサーが含まれる。図23を参照すれば、操作員に対し522で試薬のフォームを更新したいかどうかが質問される。もしそうなら、製造業者のデータベースは524で試薬のフォームが新しいか古いかを決定する。もし新しいなら、526で操作員がデータを入力するためにブランクの鋳型形式が表示される。試薬のフォームを更新する場合には、528、530で試薬の鋳型形式が表示される。532、534でこの内容を入力するか更新してデータをデータベースに保存する。同様にディスペンサーのフォームに対してもフォームを更新することができるが、この中には部分番号、試薬、コード、ディスペンサーが予め充填されたものであるかどうか、ディスペンサーのモデル、試薬が活性であるかどうか等に関するデータが含まれる。操作員は540でフォームが新しいかどうかについて入力を促され、また新しい場合には542でブランクの鋳型形式が表示される。古い場合には、544で以前のディスペンサーのフォームが表示され、546で使用者は一つのフォームを選ぶ。548でデータを入力し、550で保存される。キットの形態に関しても同様にフォームを更新することができる。キットの形態には最終使用者に送られるキットの中に含まれたディスペンサーに関するデータが含まれる。この情報は部分番号、キットに関する記述、キット中のディスペンサー
がアクティブであるかどうか、キット中の試薬の番号、およびキット中のディスペンサーに関するデータを含んでいる。操作員は556でフォームが新しいかどうかの入力を促され、もし新しければ、558でブランクの鋳型形式が表示される。古い場合には、560で以前のディスペンサーのフォームが表示され、562で使用者は一つのフォームを選ぶ。564でデータが入力され、566で保存される。更新を容易にするためにフォームを互いに相互作用させる。例えばディスペンサーのモデルが更新された場合、ディスペンサーのモデルに依存するディスペンサーのフォームも更新される。さらにディスペンサーが更新された場合、次いでディスペンサーに依存するキットの形態も更新される。
【0129】
図24にはマスター・ロットを更新しデータを記憶装置に入力する手続きが流れ図で示されている。マスター・ロットのフォームは予め充填されたキットに対するマスター・ロット番号の割り当て、並びにキットの中の各ディスペンサーに対するロット番号および失効データを支持している。キットの失効データは該キット中のディスペンサーの失効日の中の最も早期のデータである。570で操作員がマスター・ロットを更新したい思った場合、製造業者のデータベースは572でマスター・ロットが新しいか古いかを決定する。新しい場合には、574でキットのリストが表示され、576で使用者が選んだキットに対するブランクの鋳型形式が表示される。古い場合には、578で以前のマスター・ロットがリストとして表示され、580で使用者が選んだマスター・ロットが表示される。582でマスター・ロットに対するデータが入力され、次いで584で保存される。
【0130】
フォームが設定されると、操作員は588でタッチ・メモリー装置のプログラムを開始することができる。好適具体化例においては、記憶装置576はEPROM、例えばDallas Semiconductor DS1985 F516キロバイトのアド専用(add−only)タッチ・メモリー装置である。他の記憶装置を使用して情報を保存し、最終使用者が情報を検索し得るようにすることができる。例えば記憶装置としてディスケット(フロッピー・ディスク)を使用することができる。
【0131】
先ず590でパッケージのバーコード・ラベルを走査する。Welsh Allyn Scanteam 5400/5700型の手持ちスキャナーを使用する。このスキャナーはハードウエアのプラットフォームおよびバーコードの記号を一度だけ識別するように設計されていることだけが必要である。スキャナーは前置文字として‘!’を、後置文字としても‘!’を送るようにプログラムされている。前置文字はスキャナーからの入力をキーボードからの入力と区別するのに使用される。後置文字はデータ取得の終了を識別するのに使用される。
【0132】
パッケージから走査された情報に基づき、592でキットのフォームの中の情報によってキットのタイプが決定される。他の具体化例においては、使用者はキットのタイプの入力を促される。この情報に基づきコンピュータがキットのタイプを決定する。
【0133】
次に594でパッケージ中の各ディスペンサーに対するバーコードが走査される。596でキットのフォームの中の情報が走査された情報と比較される。例えばパッケージ中のディスペンサーの数がチェックされる。この数が大きいか小さすぎると、それが使用者に通知され、記憶装置のプログラムは行なわれない。またパッケージ中のディスペンサーのタイプがキットのフォーム中のタイプと合わない場合にも、使用者に通知され記憶装置のプログラムは行なわれない。これは品質管理を向上させる一つの方法である。パッケージの包装にエラーがあった場合(例えばパッケージ中に正しくないディスペンサーがあった場合)、使用者に通知され、598で問題の是正が行なわれる。
【0134】
ディスペンサーの数およびタイプが正しいと、602でデータベースは現在のキットおよびディスペンサーに必要なすべてのデータを集める。タッチ・メモリーのデータはオブ
ジェクト・オリエンテッド・プログラミングの手法を用いてタッチ・メモリー装置の中にプログラムされる。これを行なうには、604で記憶装置に保存するフォームを含むタッチ・メモリーのオブジェクトをつくる。現在のキットおよびディスペンサーに対するデータがタッチ・メモリーのオブジェクトのバッファーに対して書き込まれる。最後に、608でタッチ・メモリーのオブジェクトのバッファーをタッチ・メモリー装置に移送する。
【0135】
タッチ・メモリー装置をプログラムし或いは読み取る場合、手持ちのワンド514に取り付けたプローブ(Dallas Semiconductor DS9092GT)を使用する。このワンド514はタッチ・メモリー装置516をプログラムする製造用コンピュータ500のシリアル・ポートにDallas Semiconductor社のDS9097またはDS9097Eシリアル・ポート・アダプター(DB25)を介して取り付ける。記憶装置としてディスケットを使用する他の具体化例においては、ディスク・ドライブを用いて記憶装置上のデータをコンピュータ500へ転送する。
【0136】
最終使用者の所では、記憶装置がキットまたは単一のディスペンサーを伴っている。図25を参照すれば、記憶装置からホスト・システムへデータをダウンロードする流れ図が示されている。先ず612でプローブをタッチ・メモリー装置に連結する。タッチ・メモリー装置の内容を614でホスト・コンピュータへダウンロードし、616で使用者に表示する。次いで618でタッチ・メモリー装置が以前にダウンロードされたかどうかを決定する。これはタッチ・メモリー装置の内容に基づいて行なわれる。メモリーの内容が以前にダウンロードされていれば、メモリーの内容の中にフラッグを立てる。従ってこのキットは既に「使用済み」なので再処理してはいけない。使用者は624でこのキット/ディスペンサーのデータを用いて使用者のデータベースを更新するかどうかの入力を促される。更新する場合には、626でプローブを再びタッチ・メモリー装置に連結し、630で現在ダウンロードしようとするものを以前にダウンロードされたデータと比較することによりそれが同じタッチ・メモリー装置であることを検証する。628でタッチ・メモリー装置が「使用済み」であることを示すフラッグをこの記憶装置の内部に立てる。このようにして安全の目的で記憶装置は一回だけしかダウンロードできないようにする。使用者のデータベースの内容はタッチ・メモリー装置の中に含まれる情報、例えばディスペンサーの名前、タイプ、グループ、ロット、一連番号、特性、量、試薬の失効日および使用可能年月、最大容積、使用されていない容積、および登録日を用いて更新される。
【0137】
法令により使用者は着色に使用した液のデータベースを維持することが要求されている。本発明以前は、使用者はデータを手でデータベースに入力する必要があった。この方法は時間がかかるばかりでなく、間違いを起こし易い。これとは対照的に本発明では、必要なデータベースの更新にタッチ・メモリー装置の中の情報を使用する。
【0138】
法令によって要求される使用者のデータベースは、操作員によって使用される登録、受取りおよび品質管理のテーブルを含む種々のテーブルを含んでいる。各登録、受取りおよび品質管理のテーブルの中には5個の異なったタイプの範疇がある。即ち(1)抗体、(2)試薬、(3)キット、(4)消耗品、および(5)コントロール・スライドである。抗体はその内部に患者の組織に結合した生きた細胞を有する化学薬品である。試薬は典型的には生きている物質を含まない非抗体的な化学薬品である。キットは上記のようにディスペンサーの種々の組み合わせを含んでいる。消耗品はLiquid VoverslipTM、洗滌用緩衝液等のような材料である。これらの材料はそれぞれ異なった方法で規制されており、登録、受取りおよび品質管理のテーブルの内部に含まれた異なった情報を必要とする。例えば抗体は生きた物質であるから、規制が大きく、従ってテーブルの中で余分な情報が必要である。
【0139】
登録テーブルは特定の材料の背後情報を含んでいる。例えば登録テーブルは材料(抗体
、試薬、消耗品またはコントロール・スライド)の名前、製造業者、クローンの番号(抗体に対し)および材料を記述する他の情報を含んでいる。前述のように、ディスペンサーのバーコードの一つのフィールドはディスペンサーのタイプである。この情報はプログラムによってタッチ・メモリー装置の中に入れられ、後で登録テーブルにダウンロードされる。従って後で説明するように、一つの操作の準備のためにディスペンサーのバーコードが走査される場合、登録テーブルを使用してどのタイプの液がディスペンサーの中に含まれているかを決定する。このテーブルは最初に材料を受取った時にだけ更新される。
【0140】
受取りテーブルは或る材料が受取られた各日付け、材料の失効日、並びに一連番号を含むこのロットに特有な他の情報を記録したテーブルである。従って登録テーブルが或る種の抗体の性質を記述しているのに対し、受取りテーブルにはその抗体のディスペンサーが何時受取られたか、その抗体の失効日、一連番号およびロット番号が記述されている。この情報は法令に必要とされる報告書の作成ばかりでなく、後で説明するように操作中の該化学薬品の失効日のチェックにも使用される。
【0141】
品質管理テーブルは特定の化学薬品がどのような時に妥当であるかを記録している。法令によれば、新しい化学薬品または以前に受取った化学薬品の新しいロットが受取られた場合、実験室で先ずその材料が期待されたように挙動するか(即ちその材料が正しく処理され、輸送中傷んでいないか)を確認しなければならない。患者の組織試料に対する試験にその材料が使用「できる」かどうかを決定するために、最終使用者は傷んでいない試薬を用いて試験を行ない陽性であることが分かっている組織試料をつくる。品質管理テーブルはその化学薬品の有効試験が行なわれたかどうか、どの組織試料を用いてその化学薬品の試験を行なったかを追跡する。このようにして大部分がタッチ・メモリーからの情報によってつくられたテーブルにより、最終使用者は時間のかかるデータ入力を行なわずに法令に対応することができる。
【0142】
一つの操作中、試験においてさらに良好に品質の確認を行なうための他のテーブルが使用される。例えば、操作中に品質の確認を行なうための適切なデータを各ディスペンサーに対して含んでいるディスペンサー・テーブルがある。このテーブルはまた例えば対応するバーコード(これはディスペンサーに対する一連番号を含んでいる)をもった各ディスペンサーに対し、失効日およびディスペンサー中の液滴の数を含んでいる。
【0143】
図26では、操作者が使用するためのホストコンピューターに登録、受付および品質管理を更新するための流れ図を示す。タッチメモリーデバイス中のデータに基づき、コンピューターはタッチメモリーがキット情報、前充填した抗体情報または前充填した試薬情報を保持するかどうかを決定する。特に、コンピューターはタッチメモリーデバイス中のデーターフォーマットを調査し、そしてタッチメモリーオブジェクトが保持するデーターの種類を決定する。あるいは、タッチメモリーデバイスは、データーがキット情報、前充填した抗体情報または前充填した試薬充填に関するかどうかを特別に示すことができる。特に、タッチメモリーデバイスの1領域は、どの情報の種類であるかを表す。
【0144】
ディスペンサー/キット情報は、タッチメモリーデバイスから読み取られる。コンピューターはタッチメモリーデバイスがキット情報を保持するかどうかを決定する638。もしするならば、タッチメモリーデバイスは登録表を調査して、キットが以前に受付られたかどうかを決定する640。もしキットがこれまでに受付けられていなければ、登録表は製造元およびカタログ番号のようなキット登録情報(すなわち、バックグラウンド情報)が更新されなければならない642。このキット登録情報は、タッチメモリーデバイスから得られる。またタッチメモリーデバイスから得られるキット中の個々のディスペンサー情報は、製造番号、製品コード、マスターロット番号、総分配量(液滴数による)および使用期限を含むディスペンサー表を更新する644。
【0145】
受付表も更新されて、受付日、ロット番号、製造番号および受付人を含む646。受付日はホストデバイスプロセッサー中の日に基づき作成され、そして製造番号はタッチメモリーデバイスから得られる。受付表中の受付人の領域は、タッチメモリーデバイスからデーターを入力した人である。好適な態様では、ホストデバイス32は、現在誰がホストデバイスに接続したかを決定し、そして使用者の名前を受付人として書き込む。
【0146】
品質管理表は、このキットのロット番号について表中に記入があるかどうかを決定するために調査される(すなわち、これが新しいキットであるか、または新しいキットロット番号である場合)648。キットのロット番号(タッチメモリーデバイスから得られるたうな)がすでに品質管理試験されていれば、使用者はこれがすでになされたことを知らされる650。そうでなければ、使用者は品質管理試験が行われなければならないことを知らされる676。別の態様では、別の自動照合表を使用して、受付けた受け取った化学品の効力を試験するために既知の組織試料を選択する。受け取った化学品に基づいて、品質管理表を更新するために、既知の組織試料が使用者に提案され、化学品の効力を試験する。
【0147】
コンピューターは、タッチメモリーデバイスが前充填された抗体情報を保持するかどうかを決定する652。もし保持するならば、タッチメモリーデバイスは登録表を調査して、抗体情報が以前に受付けられているかを決定する654。抗体情報がこれまでに受付けられていなければ、登録表は名前、製造元、カタログ番号、クローン、Imgサブクラス、提示および種のような抗体登録情報(タッチメモリーデバイス中に位置する)を用いて更新する656。個々のディスペンサー情報も、製造番号、製品コード、マスターロット番号、全分配量(液滴数による)および使用期限を含むディスペンサー表中を更新する658。受付表も受付日(ホストデバイスから決定されるように)、ロット番号、製造番号および受付人を含むように更新する660。品質管理表を調査して、この抗体ロット番号について記入があるかどうかを決定する(すなわち、これは新しい抗体か、または新しい抗体ロット番号かどうか)662。この抗体のロット番号がすでに品質管理試験されていれば、使用者はこれがすでになされたことを知らされる650。そうでなければ、使用者は品質管理試験が行われなければならないことを知らされる676。
【0148】
コンピューターはタッチメモリーデバイスが前充填した試薬情報を保持するかどうかを決定する664。もし保持すれば、タッチメモリーデバイスは登録表を調査して試薬情報がこれまでに受付けられたかどうかを決定する666。試薬情報がこれまでに受付けられていなかったら、登録表は名前、製造元およびカタログ番号をような試薬登録情報(タッチメモリーデバイスに位置する)を用いて更新される668。個々のディスペンサー情報(タッチメモリーデバイスに位置する)は、製造番号、製品コード、マスターロット番号、全分配量(液滴数による)および使用期限を含むディスペンサー表中を更新する670。受付表は受付日、ロット番号、製造番号および受付人を含むようにタッチメモリーデバイスからの情報で更新する672。品質管理表を調査して、この試薬ロット番号について記入があるかどうかを決定する(すなわち、これば新しい試薬か、または新しい試薬ロット番号かどうか)674。この試薬のロット番号がすでに品質管理されていれば、使用者はこれがすでになされたことを知らされる650。そうでなければ、使用者は品質管理試験が行われなければならないことを知らされる676。
【0149】
コンピューターはタッチメモリーデバイスが、顧客が満たすことができるディスペンサー情報を保持するかどうかを決定する678。もし保持すれば、製造番号、製品コード、マスターロット番号、全分配量、使用期限、ディスペンサーの液滴寿命、最大容量、デッド容量および注入の無駄(priming waste) 含む個々のディスペンサー情報(タッチメモリーデバイスに位置する)が入力される680。別の態様では、使用者は
ミリリットルでディスペンサー中に入れる液体量を入力するように促される。このミリリットルの量は、液滴数として表に保存される。使用者は後で、使用者が充填可能なディスペンサーを満たし、そしてその後にディスペンサーに入れた液体の量でディスペンサー表を更新する。
【0150】
本発明の別の態様では、ホストデバイスはタッチメモリーからの情報を使用して一連のチェックを行う。図27では、操作者が使用するキット/ディスペンサーが正しい数および正しい全量であるかどうかを、図24に記載するタッチメモリーデバイスをプログラミングする間に行う検査と同様に決定するためにの流れ図を示す。タッチメモリーデバイスからのこのキットのバーコード情報が読まれて、キットの種類および包装に含まれるディスペンサーを決定する682、684。このバーコード情報に基づき、キット中の試薬数およびキット中の試薬の種類および全量を記載する自動照合表が存在する。自動照合表中のこの歴史情報を、実際に包装中に送られた情報と比較する。キット中のディスペンサーの数およびキット中の試薬の種類686、688に不一致があれば使用者が気が付き、そして使用者のデーターベースがキットバーコード情報690で更新されない。このように、正しいディスペンサーがキットに含まれていたかどうかの検査により品質管理は向上し得る。
【0151】
タッチメモリーデバイスからデーターをダウンロードした後、ホストデバイス32およびリモートデバイス166はランを実行することができる。これまでに記載したように、ホストデバイス32およびリモートデバイス166は、モジュラー方式に設計されている。ホストはより高レベルのシステムファンクションを取り扱い、一方リモートデバイス166は染色のためのステップの実行を行う。パーソナルコンピューターをホストデバイス32として使用するこのモジュール設計は、幾つかの観点で有益である。第1にホストコンピューターを使用して、他のリモートデバイス166のランを始めることができる。第2にホストデバイス32は操作システム中のアップグレードに基づいてリモートデバイス166についてソフトウェアをより効率的に周期的に更新することができる。例えばリモートデバイス166について基本的な入力および出力およびプログラムの実行を取り扱うリモートデバイス166中の最低レベルのコードは、エラー通報、出力デバイス設計の変化(異なる種類のバルブのような)、およびホストとリモートとの間のメッセージプロトコール中の変化に基づき更新され得る。第3に、モジュラリティにより1つの機械によりランされ得る染色モジュールの数が増える。第4にホストデバイス32は好ましい態様ではパーソナルコンピューターから成るので、ホスト機械は以前の独立型の染色モジュールとは反対に容易に上級へ適用することができる。さらにパーソナルコンピューターはネットワーク環境に取り込まれて、他のコンピューターを組み込むことができる。例えば病院では使用するコンピューターハードウェアを標準化し、そしてコンピューターハードウェアを相互に連結させる傾向がある。ホストデバイス32は病院のネットワークに連結されて、ネットワーク上の他のコンピューターからの指令を受けて染色をランし、続いて記載するか、またはランの結果をネットワーク上の別のコンピューターに送ることができる。第5にホストデバイス32は、それを通して種々の染色モジュールを組み込むことができる場として役立つことができる。例えば様々な種類の染色モジュールがあり、その幾つかはディスペンサーに対してバイアルを使用し、その幾つかは水平型のスライドトレイに対して垂直型のスライドトレイ等を使用する。ホストデバイス32は異なる種々の染色モジュールを組み込み、モジュールの特定構造に依存して、これまでに記載した種々のモジュールにプログラムをダウンロードすることができる。第6に自動化された生物反応システム中のモジュラーピースとしてのリモートデバイス166は、より容易に使うことができる。染色専用の大きな機械を持つかわりに、リモートデバイス166はより小さく、しかも郵便で容易に配達することができる。このように、最終使用者がリモートデバイス166に問題点を生じた時、使用者は郵便で第2のリモートデバイスを受け取り、そして不完全なリモートデバイスを送り返して修理することができる。したがって使用者はリモート
デバイスに関して現場でのメンテナンスに頼る必要はなく、現場でのメンテナンスに付随する出張経費の必要もない。
【0152】
ホストデバイスは3つの異なる種類のランを実行することができる。第1ランは試験ランであり、これは引き続き記載する。第2ランはシステムランであり、これによりリモートデバイス166がスライドまたはディスペンサーのバーコードを、あるいは染色ランを準備するために必要な他の非染色ファンクションを読む。第3ランは染色ランであり、これによりリモートデバイス166がスライドを染色する。第2および第3ランは図28に記載する。ランを実行する時、ホストはランプログラムのステップの順序をリモートデバイス166にダウンロードする。ランプログラムは、2つの別れた部分から成る:(1)主プログラム(マクロ0と定める);および(2)サブルーチン(マクロ1〜255と定める)。主プログラムは限定する必要はないが、サブルーチンに対するコールから成る。したがってコールを通ってサブルーチンへのランプログラムの全長は、全プログラムのライン毎の実行よりも少ない。たとえばサブルーチンが50回コールされれば、主プログラムは50回のサブルーチンのコードを含むプログラムをダウンロードするというよりむしろサブルーチンを50回コールする。さらにサブルーチンはタイマーのチェック、バルブまたはヒーターのような出力を入れ、またはカルセルを動かすようなリモートに関する基本的ファンクションを行う31の低レベルのコマンドのプログラム言語により規定されている。ランプログラムをダウンロードする時、マクロは1回のランを実行するために必要な時にダウンロードされる。
【0153】
ランプログラムのダウンロードに加えて、ホストデバイス32はセンサーのモニタリングおよびランルール(run rule)と呼ばれる制御論理もダウンロードする。このプログラムは、ランプログラムの実施中に行われなければならない一連の連続したチェックから作られている。これまでに検討したように、チェックの1つはスライド温度の上限および下限である。ラン中に、スライド温度モニタリングセンサー68により示されるような環境温度が下限未満であれば、スライドヒーター302が入る。同様に、スライド温度モニタリングセンサー68により示されるような環境温度が上限を上回れば、スライドヒーター302は切れる。別のランルールは、システムドアが開くことに関する。さらなるランルールはリモートデバイス166がランを実行する環境に関連する。任意のセンサーがランルールにより送られた境界の外にあるならば、リモートデバイス166はホストデバイス32により回復されるメーセージを送る。一般的に図5Cでキュー中にメッセージを入れることに関して検討したように、第1に優先されるのは、ランプログラム中のステップの実行である。これに加えて、スペアプロセッシングが利用できる場合、ホストデバイス32はステータスについてリモートデバイス166をポーリングする。ホストデバイス32はこれを約1 1/2秒毎に行って、リモートデバイス166の現在の温度、ランプログラム中で行われている現在のステップ番号、ランの経過時間およびラン中の任意のエラーを含むリモートデバイス166のステータスを受取る。ホストデバイス32は、リモートデバイスのラン中に任意の異常の記録を作り、そしてランの最後で最終レポートを印字する。
【0154】
染色ランの例を、図28の流れ図に示す。ランの準備において、操作者は特定のスライドについて染色の種類を決定する。各スライドはそれに付いたバーコードを有する。このバーコードに基づき、操作者は染色の種類をプログラムすることができる。操作者を補助するために、ホストデバイスは1組のレシピーを提供する。例えば1つの試験はDABパラフィン試験である。この試験は一般的に使用されるので、使用者はそのレシピーに対して特定のスライドに関するバーコードを確認し、それにより試験を行うための特定のステップを選択することができる。さらに幾つかのレシピーでは、操作者がプロトコールと呼ぶ特定のパラメーターを入力する必要がある。例えばプロトコールは試験のための特別な温度または加熱の期間かもしれない。プロトコールとは対照的に、レシピーは使用者が制
御しないステップを規定する。例えばバルブのスイッチを入れる、スライドを加熱する等は、使用者が変更することができない操作である。別の態様では、手順を簡略化するために、スライド上の各バーコードを標準化することができる。例えばスライドの染色が前立腺癌の試験用であれば、バーコード内の特定の領域を、前立腺癌について試験する各スライドについて使用するスライド上に配置する。この様式で、使用者は特定のスライドについてレシピーを入力する必要はなく、バーコードの読みが試験の種類を決定する。
【0155】
操作者が染色ランに関する各スライドのバーコードに対応するレシピーおよびプロトコールを入力した後、図28のステップ695、ホストデバイス32は染色ランの準備をすることができる。
【0156】
レシピーおよびプロトコールを入力した後、そしてランを実行する前に、操作者はホストデバイス32(696)により入力促進される。ホストデバイスは最初に、十分なバッファー溶液が洗浄バッファーボトル246にあるかどうか、十分なLiquid Coverslip(商標)がLiquid Coverslip(商標)ボトル244にあるかどうか、廃液チューブ254中の廃液レベルは許容できるか、および試薬および試薬トレイ10が搭載されているかどうかを尋ねる。次に操作者はスライドトレイに乗せるスライドの数について入力促進される。
【0157】
第1ランはスライド上のバーコードを読むためのシステムランである。次に操作者はスライド上のバーコードを読むためのステップのファイルをダウンロードすることによりランを始め、そしてホストデバイス32がバーコードを検索するのを待つ697。リモートデバイスはスライド上のバーコードを読み698、バーコードを同時に使用されるファイルに保存し699、次にホストデバイス32がバーコードを検索し、そしてリモートデバイス166がスライド上の別のバーコードを読むようにレトリガーするのを待つ。リモートデバイス166はこれを最後のスライドが読まれるまで行う702。
【0158】
第2ランは別のシステムランであり、ここでホストデバイス32は、ディスペンサー704上のバーコードを読むために、ランプログラムおよびランルールをダウンロードする。第1システムランと同様に、リモートデバイス166はディスペンサー706上のバーコードを読み、バーコードを同時に使用されるファイル707に保存し、次にホストデバイスがバーコードを検索し、そしてリモートデバイス166がディスペンサー上の別のバーコードを読むようにレトリガーするのを待つ708。リモートデバイス166はこれを最後のディスペンサーが読まれるまで行う710。
【0159】
次にホストデバイス32は、ファイル712にすでに保存されているスライドバーコードを読む。ファイル中に記入の番号が操作者が以前に記入したと番号と異なる場合(696)、ステップ698のループで行われるように、エラーメッセージが作成される730。これはバーコードリーダーが時折、スライド上のバーコードの1つを読むことができないので行われる。この場合は、ランは停止される。
【0160】
次にホストデバイス32は、データーベースにすでに保存された試薬に関するバーコードを読む716。このバーコードに基づき、ホストデバイスはデーターベースからのスライドに関するプロトコールをロードする。それぞれの具体的なレシピーに、リモートデバイス166により実行される一連のマクロがある。DABパラフィルム試験の場合、自動照合表がマクロの一連のステップを指示する。これまでに検討したように、リモートデバイス166の基本操作を規定する1から255のマクロがある。DABパラフィルム試験の具体的な仕事に関しては、自動照合表はすべての必要なマクロを正しい順序で含み、試験を行う。このようなマクロに基づき、ホストデバイス32はステップを実行するために必要な試薬の種類および液滴の量を決定する714。さらにランプログラムの作成では、
マクロに対するコールはマクロ0に含まれ、そしてコールされるマクロ1〜255がマクロ0の後に含まれる。特定のレシピーについてすべてのプロトコールをロードし、そしてそれらがデーターベース718に存在するかどうかを決定する。このようなプロトコールは、これまでにステップ695で入力された。もし入力されていれば、ホストデバイスは分配表720からデータをロードし、そしてすべてのディスペンサーが存在し、そしてロードされているかを決定する722。ロードされていれば、レシピーをデーターベースからロードする724。次にホストデバイス32は、そのレシピーが一緒にランできるかを確認する726(すなわち、適合性がない、または同調しない手順があるかどうか)。例えばスライドの温度を記録する2つのレシピーがあり(スライドが接近している場所)、しかも温度が異なるならば、2つのレシピーは実行することができず:したがってエラーメッセージが作成される730。次にランのステップがコンピューター処理される728。何枚かのスライドを試験し、そして各スライドはそれに関連する一連のステップを有するので、ホストデバイス32は、すべてのスライドについてすべてのステップを実行することができるランプログラムを作成する。ホストデバイス32は、例えばスライドカルセル上の特定ステーションでボルテックスミキサー271を用いて混合し24、特定ステーションで二重リンスを行い、容量調整で流体を加える等をすることができるということにより拘束されている。このような拘束に基づき、適切なステーションで適切な順序でステップを実行することをリモートに教えるランプログラムが作成される728。
【0161】
ホストデバイス32は、同じ試薬の多数のディスペンサーがあるかどうかを決定する。もしあれば、品質管理の目的で同じキットからのディスペンサーは1回のランで使用できるだけであるので、エラーメッセージが作成される。さらに、ステップで同じステーションに2つの異なる試薬を添加する必要があるならば、ホストデバイス32は試薬が互いに隣となることを必要とする。そうしなければ、カルセルを移動し、そして両試薬を分配するのに長時間かかる。指針として、染色ステップを迅速化するために各ステップは6秒内で行われるべきである。
【0162】
次にホストデバイス32は、これがタイトレーションランであるかどうかを決定する734。使用者が充填するディスペンサーでは、使用者は流体ディスペンサー中の試薬の濃度を変動させて試験することを望むだろう。そのような場合、使用者はタイトレーションランを実行し、これにより使用者はプログラムを介してランを中間で止め、そして種々の濃度を滴定することが可能である。タイトレーションのための時間の量は、スライドが乾燥しないように十分に短くなければならない736。そうでなければ、エラーメッセージが作成される750。マクロファンクションがランのためにデーターベースからロードされ738、そしてすべてのマクロ機能が正しくロードされたかどうかが決定される740。ホストデバイス32はディスペンサー表に基づき、ディスペンサーの使用期限が過ぎているかどうかを決定する742。もし過ぎていれば、操作者に知らせる744。同様にディスペンサー表がチェックされて、ディスペンサーがランを行うために十分な液体を有するかどうかを決定する746。十分でなければ操作者にディスペンサーの再充填または交換が知らされる748。場合によりすべてのディスペンサーが品質管理プロトコールで試験されたかどうかを決定するために品質管理でチェックすることができる752。
【0163】
したがってホストデバイス32は図26に記載したディスペンサー表を照合し716、必要な試薬が(1)それらの使用期限を過ぎているか;(2)ランを行うために存在するか;(3)ランを実行するためにディスペンサー中に十分な液滴を有するか;あるいは場合により(4)品質管理について試験されたかを決定する。最初の3つのいずれかの条件が満たされなければランを実行することはできず、そして操作者に知らされる(すなわち、1つのディスペンサーがその使用期限を過ぎている、1つのディスペンサーが無い、または1つのディスペンサーの液が少ない)。
【0164】
場合により品質管理の目的で、ディスペンサー表はディスペンサーについて品質管理が行われたかどうかを決定するために調査される752。もし行われてなければ、操作者に知らされ754、そして彼または彼女が進行することを望むかどうかを尋ねる756。操作者が進行を望むならば、ランを続行するために彼または彼女は彼または彼女の名前、および日付けおよび時間を入力しなければならない758。最後にランが実行される時、操作者により入力された情報がこれまでに記載したランの歴史に含まれ、少なくとも1つのディスペンサーが規則に従って試験されていないが、そのランはともかく実行されたことを示す760。このように、ランの質は組織試料の試験に使用するディスペンサーのモニタリングにより向上する。次にホストデバイス32は、ランに関する分配データーをデータベース762に与え、そしてランルールと合流させ、これがランの操作環境をそのランと一緒に決定する764。ホストデバイス32は現在の染色手順に関するランプログラムおよびランルールをダウンロードする。ホストデバイス32は、リモートにステップをランし、そしてチェックまたはランルールをランすることを指令する768。次にホストデバイス32はランの実行に基づき表を更新する。例えばホストデバイス32は、ランに使用する各ディスペンサーについてディスペンサー表中の液滴数の減少を示す。すでに検討したようにホストデバイス32は、リモートデバイスのステータスを周期的にチェックする770。リモートデバイス166がランプログラムの実行を終了したとき772、ホストデバイス32はランの歴史を編集し、そしてリモートから送られた情報を保存する774。
【0165】
ホストデバイス32もリモートデバイス166と、リモートデバイス166の操作に関する情報を読み、そして書き込むことにより連絡する。例えば、ホストデバイス32はリモートデバイスに、容量調整ライン用のバルブ248Gを入れるための時間の量(ミリ秒の10’sで)を示すコマンドをダウンロードする。このバルブはリモートデバイス166で非−揮発性RAMに保存される。さらに、ホストデバイス32はリモートデバイス166に、その保存したバルブを容量調整時間、非−揮発性RAM中に保存することを送るようにポーリングすることができる。図6Aに記載したようなスライド温度モニタリングセンサー68、バッファーヒーター温度センサー66およびシステム圧トランスデューサー290のような他の情報はホストデバイス32により読み取られ、そしてホストデバイス32によりキャリブレーションされ得る。リモートデバイス166からセンサー情報を読み取る時、キャリブレーションデーターはホストに送り戻される。キャリブレーションデーターは各温度センサーおよび圧トランスデューサーに固有の一定のエラーを調整するために使用される。エラーを正すために、ホストデバイス32はリモートデバイス166に書き込む。例えば、圧センサーをキャリブレーションする時、ホストデバイス32はリモートデバイス166に、13.0psiでシステム圧トランスデューサー290のスパンキャリブレーションを行うように指令する。リモートデバイス166は、13.0psiアナログとしての現在のなまの圧を、デジタルポイントに登録する。
【0166】
図29では、リモートデバイスのランを試験する流れ図を示す。リモートデバイスにダウンロードされるコマンドまたはステップの1つは、テストコマンド776である。リモートはランプログラム778中のコマンドを、リモートデバイス166がテストコマンド780を受けるまで処理する。次にリモートデバイス166は、図6Aで記載したようにボタン295がリモートデバイスで押されるまで待つ782。ボタン295が押された時、リモートデバイス166はランプログラムを再実行し、そして次にボタン295が再度押されるのを待つ。このように操作者は、ボタン295を押し、そして前の組のコマンドを再実行すことにより個々のステップまたはコマンドを試験することができる。別の態様では、リモートデバイス166は手段として試験モードをプログラムを通る1ステップに翻訳する。毎回、ボタン295が押され、リモートデバイス166がコマンドを実行する。このように操作者はランプログラム中をステップし、そしてステップの順序にエラーがあるかどうかを決定する。
【0167】
前述の詳細な記載から、多数の変更および修飾が本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明の観点に対してなされ得ると考えられる。本発明の真の精神および範囲は前述の請求の範囲により定められ、前述の明細書に照らして解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の第1態様の自動化された生物反応システムの左前面等測図である。
【図2】図1に示すシステムの分解した右前面等測図である。
【図3】図1に示すシステムの一部分解した左前面等測図である。
【図4】図1に示す装置の一部分解した右後面等測図である。
【図5A】自動化された生物反応システムのホストおよびリモートデバイスのモジュール方式のブロック線図である。
【図5B】図5Aに記載するホストデバイスおよびリモートデバイスにアドレスするフォーマットである。
【図5C】図5Aに記載するホストデバイスとリモートデバイスとの間の通信伝達プロトコールである。
【図6A】図5Aのリモートデバイスの拡大ブロック線図である。
【図6B】マイクロコントローラー用の回路基板結線図である。
【図7A】図6Aのリモートデバイスの二重リンスおよび容量調整部品のブロック線図である。
【図7B】二重リンス上部および二重リンス底部、容量調整/オーバースリップ、エアーナイフ/バーコード ブローオフおよびボルテックスミキサーの透視図である。
【図8A】図7Aに示すような二重リンス上部ノズルおよび二重リンス底部ノズルの1態様の側面等測図である。
【図8B】図8Aに示す二重リンス上部ノズルの角度の側面図である。
【図8C】図8Aに示す二重リンス底部ノズルの角度の側面図である。
【図8D】図7Aに示すような容量調整の1態様の側面図である。
【図9A】二重リンス、定常パルスおよび容量調整ステップの流れ図である。
【図9B】二重リンス、定常パルスおよび容量調整ステップの流れ図である。
【図9C】二重リンス、定常パルスおよび容量調整ステップの流れ図である。
【図10】流体ディスペンサーを試薬トレイの上に乗せ、そして試薬トレイが駆動カルセルとかみ合う様式を説明する。
【図11】流体ディスペンサーを試薬トレイの上に乗せ、そして試薬トレイが駆動カルセルとかみ合う様式を説明する。
【図12A】延長位置で前充填された流体ディスペンサーの正面切り取り図である。
【図12B】延長位置で使用者が充填可能な流体ディスペンサーの正面切り取り図である。
【図12C】圧縮位置で前充填された流体ディスペンサーの正面切り取り図である。
【図13A】ボールチャンバーおよびノズルの切り取り図である。
【図13B】延長区分を持つバレルの下部の前面切り取り図である。
【図13C】延長区分を持つバレルの下部の側面切り取り図である。
【図14A】前充填された流体ディスペンサーの正面で切り取った分解図である。
【図14B】使用者が充填可能な流体ディスペンサーの正面で切り取った分解図である。
【図15A】前充填された流体ディスペンサーの側面図である。
【図15B】フリップトップを持つ顧客が充填可能な流体ディスペンサーの側面図である。
【図15C】カップに隣接する蒸発リングを持つ前充填された流体ディスペンサーの分解図である。
【図16A】1態様に従い前充填された流体ディスペンサーのカップおよび通気孔の切り取り図である。
【図16B】図16Aのカップおよび通気孔の下側図である。
【図16C】二方向性のダックビルバルブを持つ前充填された流体ディスペンサーのカップおよび通気孔の切り取り図である。
【図16D】一方向性のダックビルバルブを持つ前充填された流体ディスペンサーのカップおよび通気孔の切り取り図である。
【図16E】別の態様に従い前充填された流体ディスペンサーのカップおよび通気孔の切り取り図である。
【図17A】流体ディスペンサーのバレルの下部、ダックビルチェックバルブ、ダックビルチェックバルブインサート、クワドシール、ボール、ボールチェックバルブインサート、ワッシャーおよびカップラーの切り取り図である。
【図17B】流体ディスペンサーのバレルの下部、ダックビルチェックバルブ、ダックビルチェックバルブインサートの切り取り図である。
【図17C】流体ディスペンサーのクワドシールの切り取り図である。
【図17D】流体ディスペンサーのダックビルチェックバルブインサートの別の態様の切り取り図である。
【図18A】流体ディスペンサーの下部の切り取り図の別の態様である。
【図18B】流体ディスペンサーの下部の切り取り図の別の態様である。
【図19A】カップラーのノズルに使用するためのレストリクターを持つシリンジの切り取り図である。
【図19B】カップラーのノズルに使用するためのレストリクターおよびO−リングを持つシリンジの分解図である。
【図20】カップチェックバルブを持つ流体ディスペンサーの下部の切り取り図の別の態様である。
【図21A】カップチェックバルブの側面図である。
【図21B】カップチェックバルブの底面図である。
【図21C】カップチェックバルブの上面図である。
【図21D】図21CのA−Aでのカップチェックバルブの断面図である。
【図21E】図21CのB−Bでのカップチェックバルブの断面図である。
【図22】外部メモリーデバイスをプログラムするための製造元のシステムのブロック線図である。
【図23A】製造元の試薬データーベースについて形式を更新するための流れ図である。
【図23B】製造元の試薬データーベースについて形式を更新するための流れ図である。
【図24A】製造元の試薬データベースに関するマスターロットを更新し、そしてデータをメモリーデバイスに入力するための流れ図である。
【図24B】製造元の試薬データベースに関するマスターロットを更新し、そしてデータをメモリーデバイスに入力するための流れ図である。
【図25】メモリーデバイスからホストシステムへデータをダウンロードするための流れ図である。
【図26A】外部メモリーデバイスからダウンロードした情報を通して、使用者のメモリーデバイスを更新するための流れ図である。
【図26B】外部メモリーデバイスからダウンロードした情報を通して、使用者のメモリーデバイスを更新するための流れ図である。
【図27】操作者による使用のキット/ディスペンサーが正しい番号および正しい全量であるかを決定するための流れ図である。
【図28A】分配表を使用するランのための準備の流れ図である。
【図28B】分配表を使用するランのための準備の流れ図である。
【図28C】分配表を使用するランのための準備の流れ図である。
【図28D】分配表を使用するランのための準備の流れ図である。
【図28E】分配表を使用するランのための準備の流れ図である。
【図28F】分配表を使用するランのための準備の流れ図である。
【図28G】分配表を使用するランのための準備の流れ図である。
【図29】リモートデバイスのランを試験する流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化された生物反応装置に使用するディスペンサーに関するデーターを含むタッチ・メモリー装置;
プロセッサーを含み且つ少なくとも一つの照合表を有するホスト・コンピュータ;
タッチ・メモリー装置中のデーターをホスト・コンピュータに移し、ここで、プロセッサーがタッチ・メモリー装置中のディスペンサーに関するデーターに対する比較に基づき照合表を更新する、ためのプローブ;
及び
ディスペンサーに関するデーターがホスト・コンピュータに移されたことをタッチ・メモリー装置に書き込む手段
を具備する自動化された生物反応装置用のメモリー管理システム。
【請求項2】
ディスペンサーに関するデーターがディスペンサーに関するバーコードおよび使用期限を含む、請求項1に記載のメモリー管理システム。
【請求項3】
照合表がバーコードおよび使用期限のデーターを含み、そしてプロセッサーがディスペンサーに関するバーコードおよび使用期限を読み、そして照合表中のバーコードのデーターおよび使用期限を更新する、請求項2に記載のメモリー管理システム。
【請求項4】
自動化された生物反応システムのディスペンサーの情報を更新する方法であって、
ホスト・コンピュータとタッチ・メモリー装置を提供するステップ、ここで、ホスト・コンピュータはプロセッサーと照合表を含み、タッチ・メモリー装置は自動化された生物反応システムのディスペンサーに関するバーコードおよび使用期限の情報を含む;
タッチ・メモリー装置中のバーコードおよび使用期限の情報をホスト・コンピュータにより読むステップ;
タッチ・メモリー装置中のバーコードおよび使用期限の情報に基づき、ホストコンピュータ中の照合表を更新するステップ
及び
すでにバーコードおよび使用期限の情報が読まれたことをタッチ・メモリー装置に書き込むステップ
を含む方法。
【請求項5】
すでにバーコードおよび使用期限の情報が読まれたことをタッチ・メモリー装置に書き込むステップが、タッチ・メモリー装置中のフラッグの設置を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
タッチ・メモリー装置中のバーコードおよび使用期限の情報をホスト・コンピュータにより読むステップの前に、すでにタッチ・メモリー装置が読まれたかをチェックするステップを更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
タッチ・メモリー装置中のバーコードおよび使用期限の情報をホスト・コンピュータにより読むステップの前に、タッチ・メモリー装置とプロセッサーを連結するステップを更に含む請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図28E】
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【図28F】
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【図28G】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−2952(P2009−2952A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164174(P2008−164174)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【分割の表示】特願2000−506511(P2000−506511)の分割
【原出願日】平成10年8月11日(1998.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.フロッピー
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】