説明

はんだバンプ平坦化装置、及び配線基板の製造方法

【課題】 配線基板に設けられた複数のピンを支持治具上のピン逃がし穴内に確実に案内し、はんだバンプを精度よく平坦化する。
【解決手段】 配線基板12の表面20側に複数のはんだバンプ22が設けられ、裏面23側に複数のピン25が設けられている。はんだバンプ平坦化装置11は、配線基板12を支持するための下治具14と、複数のはんだバンプ22を押圧して平坦化するための上治具13とを備える。下治具14の支持部31には、複数のピン逃がし穴34が形成されている。下治具14に設けられたピンガイド36が配線基板12の最外周のピン25に接触することで、複数のピン25をピン逃がし穴34内に案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に形成されたはんだバンプを平坦化するはんだバンプ平坦化装置、及び配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を搭載するための接続端子であるパッド上にはんだバンプが形成された配線基板(半導体パッケージ)が知られている。この種の配線基板としては、ボールグリッドアレイ(BGA)、ピングリッドアレイ(PGA)などの各種のタイプがある。そして、これらの配線基板の有するはんだバンプに対しては、フリップチップ方式にて電子部品が高密度に実装可能となっている。
【0003】
この種の配線基板は例えば次のようにして製造される。まず、配線基板上面のパッド上にはんだペーストを印刷してリフローし、半球状に盛り上がった形状のはんだバンプを形成する。次に、配線基板をはんだバンプ平坦化装置の支持治具上にセットし、押圧治具の平坦な押圧面ではんだバンプを押圧することで、はんだバンプの頂部を押し潰して平坦化する。
【0004】
具体的にいうと、例えばBGAパッケージタイプの配線基板の場合、はんだバンプが形成されていない裏面側を下にした状態で、配線基板の外形を基準に位置合せをして、支持治具上の所定位置にその配線基板をセットする。そして、押圧治具ではんだバンプを押圧して平坦化する。
【0005】
一方、PGAパッケージタイプの配線基板の場合、はんだバンプが形成される面の裏面側には、ソケット実装用の複数のピンが設けられている。そのため、ピンを曲げたり傷つけたりすることなく、はんだバンプを確実に平坦化できる装置が必要となる。
【0006】
特許文献1には、裏面側に複数の電子部品やピンが形成された配線基板のはんだバンプを平坦化する従来装置が開示されている。この特許文献1の装置において、支持治具(下治具)には、複数の電子部品を逃がすための部品逃がし凹部が設けられている。このため、はんだバンプを押圧する際に支持治具の基板接触面に電子部品が直接接触しないようになっている。
【0007】
ところで、配線基板の裏面のほぼ全体にピンが形成される場合、それらを逃がすための凹部を支持治具に形成すると、支持治具と配線基板との接触面を十分に確保することができない。また、はんだバンプは配線基板の表面の中央部に集中して形成されるため、その凹部を有する支持治具で配線基板を支持するとその配線基板の中央部が撓み、はんだバンプを均一に平坦化することが困難となる。
【0008】
この問題を解消しうるものとしては、例えば図9に示すように、支持治具51において配線基板52との接触面53に、配線基板52の各ピン54を逃がすための複数のピン逃がし穴55を形成した装置が考えられる。この装置では、配線基板52のはんだバンプ56を押圧する際に、配線基板52の各ピン54が複数のピン逃がし穴55に挿入された状態で支持治具51上に配線基板52が支持されるため、支持治具51と配線基板52との接触面が十分に確保される。
【特許文献1】特開2001−203445号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記の配線基板52は、各ピン54を接合する際の製造誤差によって、基板外形に対してピン54の形成位置にばらつきが生じてしまうことがある。その場合、図10に示すように、配線基板52を搬送する移動治具58を用いて配線基板52の外形基準で位置合せをすると、支持治具51のピン逃がし穴55に対して配線基板52のピン54の位置がずれてしまい、各ピン54がピン逃がし穴55にうまく入らないといった問題が生じる。この場合、ピン54が曲がったり傷ついたりする。さらに、ピン逃がし穴55にピン54がうまく入らないと、配線基板12を支持治具51で確実に支持することができず、はんだバンプ56を押圧する際に配線基板52が曲がり、はんだバンプ56を精度よく平坦化することができない。
【0010】
因みに、特許文献1の支持治具には、複数の電子部品を収納する凹部が設けられているが、各ピンに対応するピン逃がし穴は設けられていない。さらに、特許文献1には、支持治具上に支持させる際に配線基板を位置合せするための構成は開示されていない。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配線基板に設けられた複数のピンを支持治具上のピン逃がし穴内に確実に案内し、はんだバンプを精度よく平坦化することができるはんだバンプ平坦化装置、及び配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして上記課題を解決するための手段としては、表面側に複数のはんだバンプが設けられ、裏面側に複数のピンが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する装置において、前記支持治具は、前記裏面に接触可能な接触面を有し、その接触面にて開口するように形成された複数のピン逃がし穴を有する支持部と、前記配線基板を前記支持治具上に支持させる際に、位置合せ基準となる特定のピンに接触することで、それ以外の複数のピンを前記複数のピン逃がし穴内に案内するピンガイドとを備えたことを特徴とするはんだバンプ平坦化装置がある。
【0013】
従って、この装置によると、配線基板を支持治具上に支持させる際にピンガイドが特定のピンに接触することで、支持部に対する各ピンの位置合せが行われる。ゆえに、配線基板の外形基準に対して各ピンの位置が若干ずれていたとしても、上記の位置合わせがなされる結果、それ以外の複数のピンが複数のピン逃がし穴内に確実に案内される。よって、配線基板のピンの曲がりや傷つきを防止することができる。また、配線基板を支持治具上に精度よくセットすることができ、配線基板が支持治具の接触面に密着した状態で支持される。そのため、配線基板の撓みを防止することができ、押圧治具により複数のはんだバンプを確実に押圧して平坦化することができる。
【0014】
また、上記課題を解決するための別の手段としては、表面側の中央部に設定されたバンプ形成領域内に複数のはんだバンプが設けられ、裏面側のほぼ全域に複数のピンが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する装置において、前記支持治具は、前記裏面において前記バンプ形成領域に対応した位置にある被支持領域に接触可能な接触面を有し、その接触面にて開口するように形成された複数のピン逃がし穴を有する支持部と、前記配線基板を前記支持治具上に支持させる際に、前記被支持領域外にあって位置合せ基準となる特定のピンに接触することで、前記被支持領域内にある複数のピンを前記複数のピン逃がし穴内に案内するピンガイドとを備えたことを特徴とするはんだバンプ平坦化装置がある。
【0015】
従って、この装置によると、配線基板を支持治具上に支持させる際に被支持領域外にある特定のピンにピンガイドが接触することで、支持部に対する各ピンの位置合せが行われる。ゆえに、配線基板の外形基準に対して各ピンの位置が若干ずれていたとしても、上記の位置合わせがなされる結果、被支持領域内にある複数のピンが複数のピン逃がし穴内に確実に案内される。よって、配線基板のピンの曲がりや傷つきを防止することができる。また、配線基板を支持治具上に精度よくセットすることができ、配線基板が支持治具の接触面に密着した状態で支持される。なお、はんだバンプ押圧時には前記被支持領域に押圧力が集中しやすいが、全体的にその領域を支持治具によって支持することから、配線基板の撓みを防止することができる。ゆえに、押圧治具によってバンプ形成領域内にある複数のはんだバンプを確実に押圧して平坦化することができる。
【0016】
本発明における配線基板を構成する基板としては、樹脂材料またはセラミック材料などを主体として構成された基板などを挙げることができる。樹脂材料を主体として構成された基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。また、セラミック材料を主体として構成された基板の具体例としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などのセラミック材料からなる基板などがある。
【0017】
はんだバンプの形成材料となるはんだ合金としては、搭載される電子部品の接続端子等の材質等に応じて適宜選択すればよいが、90Pb−10Sn、95Pb−5Sn、40Pb−60SnなどのPb−Sn系はんだ、Sn−Sb系はんだ、Sn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Au−Ge系はんだ、Au−Sn系はんだなどが挙げられる。
【0018】
配線基板の裏面側に設けられるピンとしては、銅合金や鉄・ニッケル・コバルト合金等を材料としたものが用いられる。このようなピンは、配線基板に形成されたパッド上またはスルーホールの端面上に、ろう付けやはんだ付けなどの手法によって固定される。なお、ピンはスルーホールに嵌着されていてもよい。
【0019】
前記押圧治具は鋼材などの金属材やセラミック材などによって構成されるとともに、その押圧面は平坦状に形成されることが好ましい。このように構成すると、はんだバンプに十分な押圧力が均等に加わり、その頂部を精度よく平坦化することができる。
【0020】
前記支持治具の支持部は、はんだバンプを押圧する際に大きな力が加わることを考慮して、機械的強度の高い金属材料によって形成されることが好ましい。この支持部の形成材料としては、タングステン・カーバイド(WC)とコバルト(Co)などからなる超硬合金や、焼入れ鋼などが挙げられる。
【0021】
前記ピンガイドに対しては位置合わせの際にピンが接触することから、ピンガイドはある程度強度のある金属材料を用いて形成されることがよい。
【0022】
前記ピンガイドは、前記裏面の外周部分に配置されたピンに接触することが好ましい。例えば、前記複数のピンが四角形状の領域内にて格子状に配列されている場合、その領域の4辺に対応する位置にピンガイドを配置することがよい。このようにすれば、各ピンガイドが最外周にあるピンに接触することで、配線基板の位置決めを容易に行うことができる。なお、内周に位置するピンにピンガイドを接触させようとすると、ピンガイドの形成や設置が困難になるおそれがあるが、上記構成であるとその心配もない。
【0023】
さらに、前記ピンガイドは、前記支持部を挟んで対向するように少なくとも一対設けられ、前記一対のピンガイドは、自身の基端側に向かうに従って互いに接近するテーパ面を有していることが好ましい。この場合、ピンガイドのテーパ面に沿ってピンの先端が接触し、複数のピンをピン逃がし穴に確実に案内することができる。
【0024】
前記複数のピン逃がし穴の開口部は、自身の開口端に向かうに従って徐々に断面積が大きくなるように形成されていることが好ましい。このように、ピン逃がし穴の開口部をテーパ状に形成すると、ピン逃がし穴にピンを容易に挿入することができ、ピンの曲がり等を確実に防止することができる。
【0025】
また、前記ピンガイドは、自身の固定位置が前記配線基板の接触面の面方向に沿って変更可能であることが好ましく、例えば、支持治具側に対してねじ等の締結手段で固定されることが好ましい。このような構成であると、必要に応じて締結手段を緩めて、ピンガイドの位置を接触面の面方向に沿って調整することができる。よって、位置合せを行うのに最も好ましい位置にピンガイドを正確に合わせることができる。
【0026】
さらに、上記課題を解決するための別の手段としては、表面側に複数のはんだバンプが設けられ、裏面側に複数のピンが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する工程を含む配線基板の製造方法において、前記裏面に接触可能な接触面を有し、その接触面にて開口するように形成された複数のピン逃がし穴を有する支持部と、位置合せ基準となる特定のピンに接触しうるピンガイドとを備えた支持治具を用いるとともに、その支持治具上に前記配線基板を支持させる際に、前記ピンガイドを前記特定のピンに接触させることで、それ以外の複数のピンを前記複数のピン逃がし穴内に案内することを特徴とする配線基板の製造方法がある。
【0027】
従って、この製造方法によると、配線基板を支持治具上に支持させる際にピンガイドが特定のピンに接触することで、支持部に対する各ピンの位置合せが行われる。ゆえに、配線基板の外形基準に対して各ピンの位置が若干ずれていたとしても、それ以外の複数のピンが複数のピン逃がし穴内に確実に案内される。よって、配線基板のピンの曲がりや傷つきを防止することができる。また、配線基板を支持治具上に精度よくセットすることができ、配線基板が支持治具の接触面に密着した状態で支持される。そのため、配線基板の撓みを防止することができ、押圧治具により複数のはんだバンプを確実に押圧して平坦化することができる。それゆえ、コプラナリティに優れていて他部品との面接続に適したはんだバンプ群を備えた配線基板を、確実にかつ容易に得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明をはんだバンプ平坦化装置に具体化した一実施形態を図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0029】
図1は、はんだバンプ平坦化装置11の概略図である。図2はそのはんだバンプ平坦化装置11にセットされる配線基板12を概略平面図、図3は同じく概略断面図である。
【0030】
図1に示すように、バンプ平坦化装置11は、押圧治具である上治具13、支持治具である下治具14、配線基板12を下治具14にセットするための移動治具15などを備える。
【0031】
図2に示すように、本実施形態の配線基板12は、MPUなどの多端子の高密度フリップチップ接続に対応可能なピングリッドアレイ(PGA)タイプの半導体パッケージである。具体的にいうと、この配線基板12は、ガラス繊維を含むビスマレイミド・トリアジンなどの樹脂からなるコア基板の上下面に、公知の手法により複数の樹脂絶縁層を積層した多層配線基板である。この多層配線基板は、厚さ約1mm、約40mm角の平板状部品であり、各樹脂絶縁層間に図示しない銅配線を備えている。
【0032】
配線基板12の表面(図3では上面)20において略中央の正方形領域は、バンプ形成領域AR1とされている。その領域AR1内にはIC接合用の複数のパッド21がほぼ格子状に整列して形成されるとともに、各パッド21上にははんだバンプ22が形成されている。はんだバンプ22は、配線基板12の表面20のパッド21にはんだペーストを印刷してリフローすることで形成されるものであり、半球状に盛り上がった形状を有している。
【0033】
また、配線基板12の裏面(図3では下面)23の全域には、複数のパッド24がほぼ格子状に整列して形成されるとともに、各パッド24上にはソケット実装用の複数のピン25がはんだ付けによって接合されている。なお、配線基板12の裏面23側に配置される各ピン25は、表面20側のはんだバンプ22より高融点のはんだではんだ付けされている。
【0034】
図3等に示されるように、各ピン25は、断面円形状の軸部とその軸部よりも径が大きい頭部26とを有している。そして、頭部26がパッド24に対してはんだ付けされている。なお、各ピン25は、図示しない専用の位置決め治具のピン挿入孔に一度にセットされ、一回のはんだ付け工程で配線基板12に接合される。そのため、配線基板12における各ピン25同士の位置精度は比較的高くなっている。
【0035】
図1に示す移動治具15は、配線基板12の四隅を支持した状態で、図示しない搬送装置により搬送レールに沿って水平方向に移動するとともに、垂直方向に移動する。この移動治具15の水平・垂直移動によって配線基板12が下治具14にセットされる。
【0036】
上治具13の下面は平坦な押圧面30である。上治具13は、図示しない加圧装置(エアプレスや油圧プレスなど)により下方に向けて駆動され、その押圧面30によってはんだバンプ22を押圧する。本実施形態では、鋼材によって上治具13を構成している。
【0037】
図1及び図4に示すように、下治具14は、その中央部に四角柱状に突出した支持部31を備えている。支持部31の先端面(上端面)は、配線基板12との接触面32となる。支持部31の接触面32には、上方に向けて開口する複数のピン逃がし穴34が、ピン25と等しいピッチで格子状に配列されている。
【0038】
図5に示すように、本実施形態のピン逃がし穴34は、開口部よりも深い部分が等断面形状に形成されている一方、開口部が開口端(上端)に向かうに従って徐々に断面積が大きくなるよう形成されている。また、これらのピン逃がし穴34の開口部は、ピン25の頭部26を収容可能な大きさの穴径を有し、ピン先端側の径に対しては多少の余裕がある。なお、下治具14の支持部31は、機械的強度の高い金属材料によって形成されることが好ましく、例えば、タングステン・カーバイド(WC)とコバルト(Co)などからなる超硬合金を用いて形成される。
【0039】
図1及び図4に示すように、下治具14には、ピンガイド36が支持部31を挟んで対向するように2対設けられている。すなわち、4つのピンガイド36が支持部31の四辺に対向するよう設けられている。ピンガイド36は、支持部31の壁面と平行に設けられた板状の壁部と、ねじ37によって下治具14に固定される底部とを有する断面略L字状の部材である。ピンガイド36は、その壁部の高さが支持部31よりも若干低く、支持部31にセットされる配線基板12の裏面23に当接しないようになっている。なお、本実施形態のピンガイド36は、ピン25との接触による傷や変形を未然に防ぐために、機械的強度に優れたステンレス(SUS)を用いて形成されている。また、本実施形態では、各ピンガイド36の位置は、支持部31の接触面32の面方向に沿って変更可能であり、ピンガイド36の位置を調整した後にその底部がねじ止めされる。
【0040】
図4に示すように、対となるピンガイド36は、自身の基端側に向かうに従って互いに接近するテーパ面38を有する。そして、配線基板12を下治具14の支持部31に支持させる際には、ピンガイド36のテーパ面38が、位置合せ基準となる最外周に配置されたピン25に接触する。ここで、配線基板12における各ピン25は相互のズレがなく精度よく配列されている。そのため、最外周のピン25がピンガイド36と接触することで、全てのピン25の位置合せが行われることとなる。その結果、配線基板12の裏面23において前記バンプ形成領域AR1に対応する位置にある被支持領域AR2内の複数のピン25が支持部31に形成されたピン逃がし穴34に確実に案内される。
【0041】
また、本実施の形態のはんだバンプ平坦化装置11には、上治具13及び下治具14を所定温度に加熱するための電熱ヒータ41,42が設けられている。この電熱ヒータ41,42によって各治具13,14を加熱した状態で、はんだバンプ22の平坦化が行われる。
【0042】
次に、本実施形態における配線基板12の製造方法において、はんだバンプ22を平坦化する工程を説明する。
【0043】
まず、表面20側にはんだバンプ22が形成された配線基板12(図3参照)を、表面20側を上に向けた状態で移動治具15にセットする。また、電熱ヒータ41,42によって上治具13及び下治具14を所定温度に加熱する。そして、移動治具15の搬送及びリフト動作によって、配線基板12を下治具14の支持部31に支持させる。このとき、図6に示すように、配線基板12の下降に伴い、最外周に配置されたピン25の先端がピンガイド36のテーパ面38に接触することで、下治具14の支持部31に対する各ピン25の位置合わせが行われる。その結果、図7に示すように、配線基板12の裏面23において被支持領域AR2内にある複数のピン25が支持部31に形成されたピン逃がし穴34に確実に案内され、配線基板12が支持部31の接触面32にぴったり密着した状態で支持される。
【0044】
そして、図8に示すように、上治具13が下降して配線基板12上のはんだバンプ22をその押圧面30で押圧する。すると、各はんだバンプ22の頂部に確実にかつ均等に圧力が加わり、頂部が押し潰される結果、はんだバンプ22が平坦化される。その後、平坦化工程を終えた配線基板12は、移動治具15の搬送及びリフト動作によって装置外部に搬送される。
【0045】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施形態のはんだバンプ平坦化装置11では、配線基板12を下治具14上に支持させる際に、被支持領域AR2外にある特定のピン(即ち最外周に位置する位置合わせ基準用のピン25)にピンガイド36が接触する。その結果、支持部31に対する各ピン25の位置合せが行われる。ゆえに、配線基板12の外形基準に対して各ピン25の位置が若干ずれていたとしても、上記の位置合わせがなされる結果、被支持領域AR2内にある複数のピン25が複数のピン逃がし穴34内に確実に案内される。よって、ピン25がピン逃がし穴34の開口縁などに引っ掛かることによるピン25の曲がりや傷つきを未然に防止することができる。また、配線基板12を下治具14の支持部31に精度よくセットすることができ、配線基板12が支持部31の接触面32に密着した状態で支持される。なお、はんだバンプ22押圧時には被支持領域AR2に押圧力が集中しやすいが、本実施形態のはんだバンプ平坦化装置11では、全体的にその領域を下治具14の支持部31によって支持することができる。このため、配線基板12の撓みを防止することができる。ゆえに、上治具13によってバンプ形成領域AR1内にある複数のはんだバンプ22を確実に押圧して平坦化することができる。
そして、上記のはんだバンプ平坦化装置11を用いた平坦化工程を行うことで、コプラナリティに優れたはんだバンプ群を備える配線基板12を確実にかつ容易に得ることができる。また、このような配線基板12に対しては、ICチップ等のような他部品を、高い信頼性をもってフリップチップ接続することが可能となる。
【0047】
(2)本実施形態のはんだバンプ平坦化装置11の場合、ピンガイド36にテーパ面38が設けられ、そのテーパ面38に沿ってピン25の先端が接触する。この場合、配線基板12の外形基準に対してピン25の位置が多少ずれていたとしても、被支持領域AR2にある複数のピン25をピン逃がし穴34に確実に案内することができる。
【0048】
(3)本実施形態のはんだバンプ平坦化装置11の場合、ピン逃がし穴34の開口部がテーパ状に形成されているので、そのピン逃がし穴34にピン25を容易に挿入することができる。
【0049】
(4)本実施形態のはんだバンプ平坦化装置11の場合、ピンガイド36の位置が接触面32の面方向に沿って変更可能であるため、必要に応じてねじ37を緩めてピンガイド36を最も好ましい位置に配置し、固定することができる。
【0050】
(5)本実施形態のはんだバンプ平坦化装置11では、電熱ヒータ41,42により各治具13,14を加熱して、はんだバンプ22をある程度軟化させた状態で、平坦化を行っている。ゆえに、常温で行う場合と比較してはんだバンプ22が変形しやすくなり、上治具13の押圧力をそれほど大きくすることなく、はんだバンプ22を確実に平坦化することができる。またこの場合、はんだバンプ22の頂部の平坦面を滑らかに形成することができる。
【0051】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0052】
・上記配線基板12は、樹脂材料からなるオーガニックタイプの多層配線基板であったが、セラミック材料からなる配線基板に本発明を適用してもよい。
【0053】
・上記配線基板12では、複数のピン25をはんだ付けにて接合していたが、銀ろう付けにて接合してもよい。
【0054】
・上記実施形態において、下治具14には4つのピンガイド36が設けられていたが、これに限定されるものではなく、少なくとも一対のピンガイド36が設けられていればよい。また、ピンガイド36の形状は、ピン25に接触する壁面を有するものであれば、下治具14等の構成に応じて適宜変更することができる。
【0055】
・上記配線基板12では、その裏面23のほぼ全面にピン群が格子状に整列して形成されるものであったが、これ以外に、例えばピン群が枠状に配設された配線基板に本発明を適用してもよい。この場合、ピン群の内周側のピンを位置合せ基準とし、その内周側のピンに接触するようピンガイドを設けてもよい。
【0056】
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0057】
(1)表面側に複数のはんだバンプが設けられ、裏面側に複数のピンが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する装置において、前記支持治具は、前記裏面に接触可能な接触面を有し、その接触面にて開口するように形成された複数のピン逃がし穴を有する支持部と、前記配線基板を前記支持治具上に支持させる際に、位置合せ基準となる最外周のピンに接触することで、それ以外の複数のピンを前記複数のピン逃がし穴内に案内するピンガイドとを備え、前記支持部は前記支持治具の略中央部にて四角柱状に突出してなり、前記ピンガイドは前記支持部の四辺に対向するよう4つ設けられることを特徴とするはんだバンプ平坦化装置。
【0058】
(2)表面側に複数のはんだバンプが設けられ、裏面側に複数のピンが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する装置において、前記支持治具は、前記裏面に接触可能な接触面を有し、その接触面にて開口するように形成された複数のピン逃がし穴を有する支持部と、前記配線基板を前記支持治具上に支持させる際に、位置合せ基準となる特定のピンに接触することで、それ以外の複数のピンを前記複数のピン逃がし穴内に案内するピンガイドと、前記押圧治具と支持治具との両方または一方を加熱するためのヒータとを備えたことを特徴とするはんだバンプ平坦化装置。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のはんだバンプ平坦化装置を示す概略構成図。
【図2】はんだバンプ平坦化実施前の配線基板の概略平面図。
【図3】はんだバンプ平坦化実施前の配線基板の概略断面図。
【図4】本実施形態の下治具を示す平面図。
【図5】ピン逃がし穴を示す要部断面図。
【図6】はんだバンプを平坦化する工程の説明図。
【図7】はんだバンプを平坦化する工程の説明図。
【図8】はんだバンプを平坦化する工程の説明図。
【図9】従来のはんだバンプ平坦化装置を示す概略構成図。
【図10】配線基板のセット時の位置ズレを示す説明図。
【符号の説明】
【0060】
11…はんだバンプ平坦化装置
12…配線基板
13…押圧治具としての上治具
14…支持治具としての下治具
20…配線基板の表面
22…はんだバンプ
23…配線基板の裏面
25…ピン
31…支持部
32…接触面
34…ピン逃がし穴
36…ピンガイド
38…テーパ面
AR1…バンプ形成領域
AR2…被支持領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に複数のはんだバンプが設けられ、裏面側に複数のピンが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する装置において、
前記支持治具は、
前記裏面に接触可能な接触面を有し、その接触面にて開口するように形成された複数のピン逃がし穴を有する支持部と、
前記配線基板を前記支持治具上に支持させる際に、位置合せ基準となる特定のピンに接触することで、それ以外の複数のピンを前記複数のピン逃がし穴内に案内するピンガイドと
を備えたことを特徴とするはんだバンプ平坦化装置。
【請求項2】
表面側の中央部に設定されたバンプ形成領域内に複数のはんだバンプが設けられ、裏面側のほぼ全域に複数のピンが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する装置において、
前記支持治具は、
前記裏面において前記バンプ形成領域に対応した位置にある被支持領域に接触可能な接触面を有し、その接触面にて開口するように形成された複数のピン逃がし穴を有する支持部と、
前記配線基板を前記支持治具上に支持させる際に、前記被支持領域外にあって位置合せ基準となる特定のピンに接触することで、前記被支持領域内にある複数のピンを前記複数のピン逃がし穴内に案内するピンガイドと
を備えたことを特徴とするはんだバンプ平坦化装置。
【請求項3】
前記ピンガイドは、前記裏面の外周部分に配置されたピンに接触することを特徴とする請求項1または2に記載のはんだバンプ平坦化装置。
【請求項4】
前記ピンガイドは、前記支持部を挟んで対向するように少なくとも一対設けられ、
前記一対のピンガイドは、自身の基端側に向かうに従って互いに接近するテーパ面を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のはんだバンプ平坦化装置。
【請求項5】
前記複数のピン逃がし穴の開口部は、自身の開口端に向かうに従って徐々に断面積が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のはんだバンプ平坦化装置。
【請求項6】
前記ピンガイドは、自身の固定位置が前記配線基板の接触面の面方向に沿って変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のはんだバンプ平坦化装置。
【請求項7】
表面側に複数のはんだバンプが設けられ、裏面側に複数のピンが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する工程を含む配線基板の製造方法において、
前記裏面に接触可能な接触面を有し、その接触面にて開口するように形成された複数のピン逃がし穴を有する支持部と、位置合せ基準となる特定のピンに接触しうるピンガイドとを備えた支持治具を用いるとともに、その支持治具上に前記配線基板を支持させる際に、前記ピンガイドを前記特定のピンに接触させることで、それ以外の複数のピンを前記複数のピン逃がし穴内に案内することを特徴とする配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−147698(P2006−147698A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333170(P2004−333170)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】