説明

めっき析出物

【課題】厚みの均一な無電解パラジウムめっき皮膜が形成された被めっき体を提供する。
【解決手段】被めっき体と、無電解ニッケルめっき皮膜と、無電解ニッケル-パラジウムめっき皮膜と、無電解パラジウムめっき皮膜と、置換金めっき皮膜と、を有し、前記無電解ニッケルめっき皮膜、前記無電解ニッケル-パラジウムめっき皮膜、前記無電解パラジウムめっき皮膜及び前記置換金めっき皮膜の順序に積層され、前記置換金めっき皮膜が最表層に位置してなる、めっき析出物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき析出物、半導体パッケージおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化社会の発展は目覚しく、民生機器ではパソコン、携帯電話などの小型化、軽量化、高性能化、高機能化が進められ、産業用機器としては無線基地局、光通信装置、サーバ、ルータなどのネットワーク関連機器など、大型、小型を問わず、同じように機能の向上が求められている。また、情報伝達量の増加に伴い、年々扱う信号の高周波化が進む傾向にあり、高速処理および高速伝送技術の開発が進められている。実装関係についてみると、CPU、DSPや各種のメモリなどのLSIの高速化、高機能化と共に、新たな高密度実装技術としてシステムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)などの開発が盛んに行われている。
【0003】
このために、半導体チップ搭載基板やマザーボードも、高周波化、高密度配線化、高機能化に対応するために、ビルドアップ方式の多層配線基板が使用されるようになってきた。電子機器メーカ各社は、製品の小型・薄型・軽量化を実現するために競って高密度実装に取り組み、パッケージの多ピン狭ピッチ化の急速な技術進歩がなされ、プリント配線板への実装は従来のQFP(Quad Flat Package)からエリア表面実装のBGA(Ball Grid Array)/CSP(Chip Size Package)実装へと進化した。
【0004】
半導体チップは、例えば、金線ボンディングによって半導体チップ搭載基板と接続され、半導体パッケージは、はんだボールによって配線板(マザーボード)と接続される。半導体チップ接続端子やはんだボールの接続端子は良好な金属結合を確保するため、多くの場合、金めっきが施されている。半導体パッケージは、小型化、配線の高密度化が急速に進行し、電解金めっきプロセスではパッド表面の金めっきに特別な配線の引き回しが必要であり、その適用が困難になりつつある。この問題を解決する方法として金めっき用配線が不要な無電解金めっきプロセスが注目され始めている。
【0005】
無電解めっき技術を用いた場合、半導体チップ接続端子やはんだボールの接続端子の銅の表面に、無電解ニッケルめっき皮膜、置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっきの順に形成(無電解ニッケル/金とする)するのが一般的な方法である。
【0006】
しかしながら、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した後に置換金めっき皮膜を形成すると、無電解ニッケルめっき皮膜が置換金めっき液により腐食され、接続強度が低下することから、無電解ニッケルめっき皮膜、置換金めっき皮膜との間に無電解パラジウムめっき皮膜を形成させることにより無電解ニッケルめっき皮膜の腐食を抑制し、接続強度を向上させる方法がある。近年、無電解パラジウムめっき皮膜として、次亜リン酸や亜リン酸を還元剤にした無電解パラジウムめっき液を用い、リンを含んだ無電解パラジウム−リン合金皮膜を形成し、無電解ニッケル/無電解パラジウム−リン/金めっき皮膜の構成とする技術が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特許第3596335号公報
【非特許文献1】表面技術;58,35(2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無電解ニッケルめっき皮膜を形成した後に、次亜リン酸や亜リン酸を還元剤とした無電解パラジウムめっき液を用い、リンを含んだ無電解パラジウム−リンめっき合金皮膜を形成する場合、次亜リン酸や亜リン酸を還元剤にした無電解パラジウムめっき液では活性が低く、析出が起こりづらいために、無電解パラジウムめっき反応の開始が遅れる導体の端子があるため、導体の端子それぞれ全てに均一な厚みで析出が起こらず、無電解パラジウム−リンめっき合金皮膜が形成されない導体の端子や、無電解パラジウム−リンめっき合金皮膜の厚みが薄い導体の端子が形成される場合があり、無電解パラジウム−リンめっき合金皮膜が無電解ニッケルめっき合金皮膜の保護層として機能せず、接続強度が低い接続端子が形成される場合がある。
【0009】
また、活性が高く無電解ニッケルめっき皮膜への析出が起こりやすい、ギ酸などを還元剤とした無電解パラジウムめっき液を用いたとしても、めっき面積の縮小化に伴い、次亜リン酸や亜リン酸を還元剤にした無電解パラジウムめっき液と同様に、無電解パラジウムめっき反応の開始が遅れ、無電解パラジウムめっき皮膜が形成されない端子や厚みが薄い導体の端子が形成され、無電解パラジウムめっき皮膜が無電解ニッケルめっき合金皮膜の保護層として機能せず、接続強度が低い接続端子が形成される場合がある。
無電解ニッケルめっき皮膜上に、無電解パラジウムめっきの析出が起こりづらい理由として、ニッケルとパラジウムの電位差が考えられ、電位差の違いによって無電解パラジウムの反応が起こりづらいと考える。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を改善するためになされたものであり、厚みの均一な無電解パラジウムめっき皮膜が形成された被めっき体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
被めっき体に、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した後に、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成することで皮膜にパラジウムを含有させ、あらかじめパラジウムの電位に近づけ、被めっき体における無電解パラジウムめっき反応開始時間を極力短くすることで、被めっき体の全箇所での無電解パラジウムめっき皮膜の厚みを均一化し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成することで、接続信頼性の高い被めっき体を作製することができる。
【0012】
すなわち、本発明は以下に関する。
1.被めっき体と、無電解ニッケルめっき皮膜と、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜と、無電解パラジウムめっき皮膜と、置換金めっき皮膜と、を有し、前記無電解ニッケルめっき皮膜、前記無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜、前記無電解パラジウムめっき皮膜及び前記置換金めっき皮膜の順序に積層され、前記置換金めっき皮膜が最表層に位置してなることを特徴とするめっき析出物。
2.前記置換金めっき皮膜の膜厚が0.005μm以上である前記のめっき析出物。
3.前記置換金めっき皮膜上に積層された無電解金めっき皮膜を更に有し、該無電解金めっき皮膜が被めっき体とは反対側の最表層に位置している、前記のめっき析出物。
4.前記置換金めっき皮膜及び前記無電解金めっき皮膜の膜厚の和が0.005μm以上である前記のめっき析出物。
5.前記被めっき体が電気絶縁体あるいは導体であることを特徴とする前記のめっき析出物。
6.前記電気絶縁体が有機材料、セラミック、シリコン、ガラスの内いずれかであることを特徴とする前記のめっき析出物。
7.前記導体が銅、タングステン、モリブデン、アルミニウムの内いずれかの金属からなることを特徴とする前記のめっき析出物。
8.被めっき体が、ワイヤボンディング用接続端子である、前記のめっき析出物。
9.被めっき体が、はんだ接続用接続端子である、前記のめっき析出物。
10.前記被めっき体の表面積が1mm以下であることを特徴とする前記のめっき析出物。
11.前記無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜の純度が80質量%以上である、前記のめっき析出物。
12.前記無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜における、パラジウムに対するニッケルの質量比が、0.25〜9の範囲内であることを特徴とする、前記のめっき析出物。
13.前記無電解パラジウムめっき皮膜の純度が90質量%以上である、前記のめっき析出物。
14.前記無電解ニッケルめっき皮膜の純度が80質量%以上である、前記のめっき析出物。
15.前記無電解ニッケルめっき皮膜の膜厚が0.1〜20μmである、前記のめっき析出物。
16.被めっき体である導体の端子に、無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっき皮膜を形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する無電解めっき方法で形成された接続端子と、該導体を支持する基板と、半導体チップと、該半導体チップと該導体を接続する接続導体とからなる半導体パッケージ。
17.基板の表面に被めっき体である導体の端子を形成する工程、該導体の端子の表面に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成する工程、無電解パラジウムめっき皮膜を形成する工程、置換金めっき皮膜を形成する工程、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する工程により、導体上にめっき皮膜を形成し、その上にはんだを溶着し接続端子を形成する工程と、該接続端子のはんだの上に半導体チップを搭載する工程と、半導体チップと導体を接続する接続導体を形成する工程とを有する半導体パッケージの製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
被めっき体に、無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法によりめっきしためっき析出物、さらには前記一連の方法を特徴とする。
【0014】
本発明で用いる被めっき体としての電気絶縁体は、有機材料、セラミック、シリコン、ガラス等で電気絶縁性があればよく、特に限定はしない。有機材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できるが、熱硬化性の有機絶縁材料が好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。また、ガラスのうち非感光性ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス(成分例:SiO 65〜75質量%、Al 0.5〜4質量%、CaO 5〜15質量%、MgO 0.5〜4質量%、NaO 10〜20質量%)、ホウ珪酸ガラス(成分例:SiO 65〜80質量%、B 5〜25質量%、Al 1〜5質量%、CaO 5〜8質量%、MgO 0.5〜2質量%、NaO 6〜14質量%、KO 1〜6質量%)等が挙げられる。また、感光性ガラスとしてはLiO−SiO系結晶化ガラスに感光剤として金イオン及び銀イオンを含むものが挙げられる。
【0015】
本発明で用いる被めっき体としての導体は銅、タングステン、モリブデン、アルミニウム等の金属もしくはそれらの合金からなるものでよく、無電解ニッケルめっき合金皮膜を形成できるものであれば良い。
【0016】
本発明で用いる被めっき体の形状は、球状、扁平状、繊維状、平面でもよく、形状は特に限定しない。
【0017】
被めっき体の表面積は特に限定しないが、1mm以下であることが好ましい。表面積が1mm以下と、小さくなればなるほど無電解ニッケルめっき上への無電解パラジウムめっき皮膜の析出は起こりづらくなるため、面積が小さいほど、無電解ニッケルめっき皮膜と無電解パラジウムめっき皮膜の間に無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を析出させる効果が顕著に現れる。
【0018】
本発明の無電解ニッケルめっきは、めっき液中のニッケルイオンをニッケルイオンの還元剤の動きによって、銅、タングステン、モリブデン、アルミニウム等の導体の端子を活性化した表面にニッケルを析出させたものであり、無電解ニッケルめっき皮膜の組成は、還元剤に起因する元素(燐、ホウ素、窒素等)を含有してニッケルとの合金になるのが通常で、無電解ニッケル/燐合金めっき皮膜、無電解ニッケル/ホウ素合金めっき皮膜等である。この無電解ニッケルめっき皮膜は、80質量%以上の純度のニッケルであることが好ましく、80質量%未満であれば、接続の信頼性が低下する場合もある。また、90質量%以上の純度であればより好ましい。無電解ニッケルめっき皮膜の膜厚は、0.1〜20μmであることが好ましく、0.1μm未満では、めっきの効果がなく接続の信頼性が向上せず、20μmを越えると、効果がそれ以上に向上せず、経済的でないので好ましくない。さらには、この無電解ニッケルの厚さは、0.5〜10μmの範囲であることがより好ましい。
【0019】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき液の錯化剤としては、アンモニアまたはアミン類、またはカルボン酸またはその誘導体からなる化合物を用いることができる。アミン類としては、飽和アルキルアミン化合物あるいは不飽和アルキルアミン化合物を使用することができる。飽和アルキルアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、メチルエチルアミン、イソプロピルアミン等のモノアミン類、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン等のジアミン類、ジメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン類が挙げられ、さらにはエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロトリ酢酸等とこれらのアルカリ金属塩、グリシン、N−メチルグリシン等の各種アミン酸類も含まれる。不飽和アルキルアミン化合物としては、モノエチニルアミン、ジエチニルアミン、モノビニルアミン、ジビニルアミン、モノアリルアミン、ジアリルアミン、プロペニルアミン、イソプロペニルアミン、アニリン等のモノアミン類、N−モノエチニルエチレンジアミン、N−モノビニルエチレンジアミン、N−モノアリルエチレンジアミン、N,N´−ジアリルエチレンジアミン、N−イソプロペニルエチレンジアミン、N−フェニルエチレンジアミン等のジアミン類、N−アリルジエチレントリアミン、N,N´−ジアリルジエチレントリアミン、N−ビニルトリエチレンテトラミン等のポリアミン類の各種不飽和アルキルアミン等が挙げられる。
【0020】
カルボン酸またはその誘導体からなる化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸等の脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イロクロトン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸、マレイン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸、桂皮酸等の芳香族カルボン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のオキシカルボン酸、スルファミン酸、β−クロロプロピオン酸、ニコチン酸、アスコルビン酸、ヒドロキシピバリン酸、レブリン酸等の置換基を有するカルボン酸、グリシン、アスパラギン酸等のカルボキシル基を有するアミノカルボン酸、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。
【0021】
こられのアンモニアまたはアミン類、またはカルボン酸またはその誘導体からなる化合物は、単独または2種類以上を混合して使用することも可能である。特に、アンモニアまたはアミン類と、カルボン酸またはその誘導体からなる化合物を2種類以上混合して使用することが好ましい。アンモニアまたはアミン類、またはカルボン酸またはその誘導体からなる化合物の濃度は、0.005〜5モル/Lであることが好ましく、0.01〜3モル/Lの範囲がより好ましく、0.05〜1モル/Lの範囲であることが特に好ましい。0.005モル/L未満では、無電解パラジウムめっき反応の開始を促進する効果が得られない。5モル/Lを超えると、効果がそれ以上に向上せず、経済的でないので好ましくない。
【0022】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき液の還元剤としては、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸塩、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン等のアミンボラン類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、酢酸、しゅう酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸およびこれらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等の脂肪族カルボン酸は、単独または2種類以上を混合して使用することも可能である。その濃度は、0.001〜5モル/Lであることが好ましく、0.01〜3モル/Lの範囲がより好ましく、0.05〜1モル/Lの範囲であることが特に好ましい。0.001モル/L未満では、無電解ニッケル−パラジウムめっき反応が開始しない。5モル/Lを超えると、効果がそれ以上に向上せず、経済的でないので好ましくない。
【0023】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき液のpH調整剤としては、酸またはアルカリであればよく特に限定しない。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などが使用でき、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物溶液が使用でき特に限定はしない。
【0024】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき液には、錯化剤、還元剤、pH調整剤のほかにホウ酸、ホウ酸カリウムなどのホウ酸塩等の緩衝剤を加えることも可能である。また、1価、2価、3価アルコールおよび多価アルコールを1種以上添加することも可能である。
【0025】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき液のニッケルの供給源としては、特に限定されず、硫酸ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、塩化ニッケル、塩化ニッケルアンモニウム、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、安息香酸ニッケル、クエン酸ニッケル、蟻酸ニッケル、酒石酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、酢酸ニッケル、などが挙げられ、ニッケルを含むものであればよく特に限定はしない。
【0026】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき液のパラジウムの供給源としては、特に限定されず、塩化パラジウム、塩化パラジウムナトリウム、塩化パラジウムアンモニウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、酸化パラジウム等のパラジウム化合物であればよく、具体的には酸性塩化パラジウム「PdCl/HCl」、硫酸テトラアンミンパラジウム「Pd(NHNO」、硝酸パラジウムナトリウム塩「Pd(NO/HSO」、ジニトロジアンミンパラジウム「Pd(NH(NO」、ジシアノジアンミンパラジウム「Pd(CN)(NH」、ジクロロテトラアンミンパラジウム「Pd(NHCl」、スルファミン酸パラジウム「Pd(NHSO」、硫酸ジアンミンパラジウム「Pd(NHSO」、シュウ酸テトラアンミンパラジウム「Pd(NH」、硫酸パラジウム「PdSO」などが上げられるが特に限定はしない。
【0027】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき液のパラジウムの安定剤としては、鉛、クロム、鉄、コバルト、マンガン、ビスマス、及びスズからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属成分を有する錯体もしくはチオール、スルフィド、ジスルフィドなどの有機硫黄化合物を用いることも可能であり、少なくとも一種以上含んでいることが好ましく、その種類については特に限定しない。
【0028】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜における、パラジウムに対するニッケルの質量比は、0.15〜9の範囲内が好ましく、さらに0.4〜4の範囲が好ましく、さらには0.6〜2の範囲が好ましい。パラジウムに対するニッケルの質量比が0.15未満だと、無電解ニッケルめっき皮膜上への無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜の析出が起こりづらく、ほとんど析出が起こらないため、続いて無電解パラジウムめっきを行っても、無電解パラジウムめっき皮膜が形成されない場合や厚みが薄い場合がある。パラジウムに対するニッケルの質量比が9よりも大きいと、無電解ニッケルめっき皮膜上への無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜の析出は起こるが、皮膜中のパラジウムの含有率が低いために、電位はほぼニッケルのままであり、続いて無電解パラジウムめっきを行っても、無電解パラジウムの析出反応がおこりづらく、無電解パラジウムめっき皮膜が形成されない場合や厚みが薄い場合がある。
【0029】
本発明で用いる、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜の純度は80質量%以上であることが好ましく、さらに88質量%以上がより好ましく、さらには92質量%以上であることが特に好ましい。ここでいう無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜の純度とは、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜全体にしめるニッケルとパラジウムの合計の質量%を示している。無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜の純度が80質量%未満になると、無電解パラジウムの析出反応がおこりづらく、無電解パラジウムめっき皮膜が形成されない場合や厚みが薄い場合がある。また、ニッケルとパラジウム以外に含まれる物質として、燐、ホウ素、窒素などが挙げられるが特に限定はしない。
【0030】
被めっき体に、無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムを形成した後に形成する、無電解パラジウムめっき皮膜としては、純度90質量%以上の一層の無電解パラジウムめっき皮膜、あるいは純度99質量%以上の無電解パラジウムめっき皮膜の上部に純度90質量%以上99質量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜が二層で形成されていればよい。
【0031】
純度90質量%以上の一層の無電解パラジウムめっき皮膜の膜厚は、0.001μm〜0.4μmの範囲が好ましく、0.01μm〜0.2μmの範囲がより好ましく、0.03μm〜0.15μmの範囲であることが特に好ましい。0.4μmを超えると、経済的でないので好ましくない。0.001μmよりも薄いと、パラジウムめっき皮膜が析出していない端子がある場合があり、全ての被めっき体に均一に析出されない場合があり、接続信頼性が低下する場合がある。また、パラジウムの純度が90質量%未満になると接続信頼性が低下する場合があるため好ましくない。
【0032】
純度99質量%以上の無電解パラジウムめっき皮膜の上部に純度90質量%以上99質量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜が二層で形成された無電解パラジウムめっき皮膜では、純度99質量%以上の無電解パラジウムめっき皮膜は0.001μm〜0.4μmの範囲が好ましく、0.01μm〜0.2μmの範囲がより好ましく、0.03μm〜0.1μmの範囲であることが特に好ましい。0.001μmよりも薄いと、パラジウムめっき皮膜が析出していない端子がある場合があり、パラジウムめっき皮膜が析出していない端子がある場合があり、全ての被めっき体に均一に析出されない場合があり、接続信頼性が低下する場合がある。純度90質量%以上99質量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜は、0.03μm〜0.3μmの範囲が好ましく、0.04μm〜0.2μmの範囲がより好ましく、0.06μm〜0.15μmの範囲であることが特に好ましい。0.3μmを超えると、経済的でないので好ましくない。
【0033】
パラジウムの純度が99質量%以上の無電解パラジウムめっき皮膜とパラジウムの純度が90質量%以上99質量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜の膜厚の和は、0.031〜0.5μmの範囲が好ましく、0.04〜0.3μmの範囲がより好ましく、0.06〜0.2μmの範囲であることが特に好ましい。
【0034】
置換金めっきは、下地の、パラジウムの純度が90質量%以上99質量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜と溶液中の金イオンとの置換反応によってパラジウムの純度が90質量%以上99質量%未満の無電解パラジウムめっき皮膜表面に金皮膜を形成するものであり、めっき液には、シアン化合物を含むものと含まないものがあるが、いずれのめっき液でも使用できる。
【0035】
無電解金めっき皮膜は、還元型の無電解金めっき皮膜であり、99質量%以上の純度の金であることが好ましく、99質量%未満であれば、接続の信頼性が低下する場合もある。さらに、この無電解金めっき皮膜の純度は、99.5質量%以上であることがより好ましい。
【0036】
金めっきは、置換還元タイプの金めっき液も使用することが可能である。
【0037】
ワイヤボンディング性を考慮した場合の置換金めっき皮膜と無電解金めっき皮膜の厚さの和は、0.005μm以上であることが好ましく、0.04〜3μmであることがより好ましく、0.06〜1.5μmの範囲が特に好ましく、0.1μm〜0.8μmの範囲であることが最も好ましい。0.005μm未満では、ワイヤボンディングの成功率が低下する。3μmを超えると、効果がそれ以上に向上せず、経済的でないので好ましくない。
【0038】
はんだ接続信頼性を考慮した場合、置換金めっきのみでもよいがさらに無電解金めっきを行ってもよい。置換金めっき皮膜と無電解金めっき皮膜の厚さの和は、0.005μm以上であることが好ましく、0.005〜3μmであることがより好ましく、0.01〜0.5μmの範囲が特に好ましく、0.04μm〜0.2μmの範囲であることが最も好ましい。0.005μm未満では、はんだ接続信頼性が低下する。3μmを超えると、効果がそれ以上に向上せず、経済的でないので好ましくない。
【0039】
はんだには、はんだボール用はんだ、表面実装用電子部品や配線板に用いるはんだ、半導体チップ上のはんだ、はんだバンプ用はんだ、等であればどのようなものでも使用することができ、その形状も、球状、半球状、立方体状、直方体状、突起状等のはんだが使用できる。また、さらに、60%錫と40%鉛の共晶はんだ、鉛を含まない錫、さらに銀、銅、亜鉛、ビスマス、ゲルマニウム、パラジウム、ニッケル、インジウム等の一元素以上を含む錫合金でも使用できる。具体例を上げると、Sn−3.0Ag−0.5Cuを用いることができる。
【0040】
以下、図面を用いて本発明の無電解パラジウムめっき用前処理液および前処理方法および前処理を施した被めっき体に関する。被めっき体を半導体チップ搭載基板にした場合の実施の形態を取り上げて詳細に説明する。
【0041】
(金属コート)
銅配線形成後に、配線表面に表面粗さがRaで0.01〜0.4μmの形状を形成した後、膜厚が5nm以上、0.4μm以下である、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムから選択される金属及び前記金属を含む合金からなる金属を連続的もしくは離散的に前記配線表面にコーティングすることによって、表面粗さがRaで0.01〜0.4μmの配線を形成できる。最も好ましい状態は、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト及び前記の金属の合金が、付与中または付与後、自然に若しくは故意に、酸化物、水酸化物またはこれらの組み合わせに変換させられることにより、回路上に上記多価金属の酸化物、水酸化物またはこれらの組み合わせの層が形成されていることである。前記金属以外に、モリブデン、チタン、タングステン、鉛、鉄、インジウム、タリウム、ビスマス、ルテニウム、ロジウム、ガリウム、ゲルマニウム等の金属を使用することも可能で、これらを少なくとも一種類以上含む合金を用いることもできる。前記金属類を配線表面に付着させる方法としては、無電解めっき、電気めっき、置換反応、スプレー噴霧、塗布、パッタリング法、蒸着法等がある。
【0042】
(配線表面の凹凸形成法)
配線表面の凹凸の形成方法としては、酸性溶液を用いる方法、アルカリ性溶液を用いる方法、酸化剤または還元剤を有する処理液を用いる方法がある。
(酸性溶液)
本発明に用いる酸性溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄などの鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウムなどから選ばれる化合物、またはこれらを組み合わせた水溶液、または、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸などの酸性の6価クロムを含む水溶液で処理してもよい。これらの処理液の濃度および処理時間については、表面粗さがRaで0.01〜0.4μmとなるように適宜条件を選択して用いることが好ましい。
【0043】
(アルカリ性溶液)
本発明に用いるアルカリ性溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物溶液が使用でき、また、これらの溶液は、有機酸、キレート剤等を加えて用いることも可能である。これらの処理液の濃度および処理時間については、表面粗さがRaで0.01〜0.4μmとなるように適宜条件を選択して用いることが好ましい。
【0044】
(酸化剤または還元剤を有する処理液)
酸化剤を含む水溶液に銅配線を浸漬し、銅表面に酸化銅皮膜を形成し、次いで、還元処理により酸化銅皮膜を還元し、銅配線表面に微細な凹凸形状を形成しても良い。その場合、前記酸性もしくはアルカリ性溶液を用いて処理を行った後に、組み合わせて処理を行うことが可能であり、表面粗さがRaで0.01〜0.4μmとなるように処理をすればよい。前記酸化剤を含む水溶液としては、亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤が使用でき、更にOH陰イオン源およびリン酸三ナトリウムなどの緩衝剤を含むものが好ましい。また、還元処理を行う水溶液としては、pH9.0から13.5に調整したアルカリ性溶液中にホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、芳香族アルデヒド化合物を添加した水溶液、または次亜リン酸および次亜リン酸塩などを含んだ水溶液が使用できる。また、これらの処理の前処理として、溶剤、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を用いて配線表面の清浄化を行う脱脂処理を行うことが好ましい。脱脂処理は、アルカリ性および酸性の水溶液を用いればよく、特に限定はしないが、前記の酸性水溶液またはアルカリ性水溶液であることが好ましい。さらに1〜5Nの硫酸水溶液で配線表面を洗浄することが好ましい。脱脂処理及び硫酸洗浄は適宜組み合わせて行っても良い。
【0045】
(Si−O−Siの形成)
Si−O−Si結合を有する化合物としては、シリカガラス、ラダー構造を含む化合物などが好ましい。
(シリカガラス)
本発明で用いるシリカガラス(SiO)は、厚さが、通常0.002μm〜5μm、好ましくは0.005μm〜1μm、さらに0.01μm〜0.2μmであることがより好ましい。シリカガラスの厚みが5.0μm超では、バイアホール形成工程のレーザー等によるビア加工が困難であり、0.002μmより薄くなると、シリカガラス層の形成が困難になる。
【0046】
(ラダー構造を含む化合物)
本発明で用いる、ラダー構造を含む化合物は、水素原子、反応性基、親水性基、疎水性基を有しており、反応性基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、オキサゾリン基、環状エステル基、環状エーテル基、イソシアネ−ト基、酸無水物基、エステル基、アミノ基、ホルミル基、カルボニル基、ビニル基、ヒドロキシ置換シリル基、アルコキシ置換シリル基、ハロゲン置換シリル基等があげられる。親水性基としては、多糖基、ポリエーテル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホニウム塩基、複素環基、アミノ基、これらの塩およびエステル等があげられる。疎水性基としては、炭素数が1〜60の脂肪族炭化水素基、炭素数が6〜60の芳香族炭化水素基、複素環基およびポリシロキサン残渣から選択された化合物等があげられる。これらの中で、反応性基であることが最も好ましい。
【0047】
(カップリング剤)
更に、前記のSi−O−Si結合を有する化合物を配線表面に形成した後、カップリング剤を含む溶液を用いて処理を行うことが可能である。前記カップリング剤の含有量は、溶液全体に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜1.0質量%がさらに好ましい。カップリング剤を用いることによって、配線と層間絶縁層(ビルドアップ層)との密着強度が向上できる。使用するカップリング剤はシラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤が挙げられ、中でもシラン系カップリング剤が好ましく、例えば、シラン系カップリング剤は、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イミダゾール基、ビニル基、またはメタクリル基等の官能基を分子中に有し、これらのシラン系カップリング剤の少なくとも1種もしくは2種以上の混合物を含有する溶液を使用することができる。シラン系カップリング剤溶液の調整に使用される溶媒は、水或いはアルコール、ケトン類等を用いることが可能である。また、カップリング剤の加水分解を促進するために、少量の酢酸や塩酸等の酸を添加することもできる。前記カップリング剤の含有量は、溶液全体に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜1.0質量%がさらに好ましい。カップリング剤による処理は、前記のように調整したカップリング剤溶液に浸漬、スプレー噴霧、塗布等の方法により処理を行うことができる。前記のシラン系カップリング剤で処理した基板は、自然乾燥、加熱乾燥、または真空乾燥により乾燥を行うが、使用するカップリング剤の種類によって、乾燥前に水洗または超音波洗浄を行うことも可能である。
【0048】
(光触媒粒子)
前記記載のSi−O−Si結合を有する化合物が形成された後、TiO,ZnO,SrTiO,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO,BaTi,KNbO,Nb,Fe,Ta,KTaSi,WO,SnO,Bi,BiVO,NiO,CuO,SiC,MoS,InPb,RuO,CeO等、さらにはTi,Nb,Ta,Vから選ばれた少なくとも一種類の元素を有する層状酸化物である光触媒粒子を塗布することも可能である。これらの触媒の中で、無害であり、なおかつ化学的安定性にも優れるTiOが最も好ましい。TiOとしては、アナタ−ゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用することが可能である。ラダー構造を含む化合物においては、前記の光触媒粒子を混合して塗布することも可能である。また、前記の光触媒粒子を前記シランカップリング剤による処理の前、後、若しくは前後、さらにはシランカップリング剤中に混合して用いることも可能である。光触媒粒子を塗布し、乾燥した後、必要に応じて熱処理、さらには光照射することが可能である。光照射の種類としては、紫外光、可視光、赤外光が使用できるが、紫外光を用いるのが最も好ましい。
【0049】
(密着性改良剤)
密着性改良剤としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できるが、熱硬化性の有機絶縁材料が主成分であることが好ましい。密着性改良剤としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が使用できる。
【0050】
(腐食抑制剤)
配線表面の少なくとも一部に、腐食抑制剤を塗布することが可能であり、前記腐食抑制剤は、S含有有機化合物またはN含有有機化合物を少なくとも1種以上含んでいるものであればよい。ここでいう腐食抑制剤を具体的にあげると、メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基のようなイオウ原子を含有する化合物もしくは、分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種以上含む化合物であり、前記記載の酸性溶液またはアルカリ性溶液またはカップリング剤溶液に加えて用いることも可能であり、カップリング剤を含む溶液による処理の前または後に、前記腐食抑制剤を含む溶液を用いて処理を行うことが可能である。
【0051】
(メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基のようなイオウ原子を含有する化合物)
メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基のようなイオウ原子を含有する化合物としては、脂肪族チオール(HS−(CH−R(但し、式中、nは1から23までの整数、Rは一価の有機基、水素基またはハロゲン原子を表す)で表される構造を有し、Rはアミノ基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基のいずれかであることが好ましいが、これに限定したものではなく、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素基、チオアルキル基、チオール基、置換されていても良いフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、複素環などが挙げられる。また、R中のアミノ基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基は、1個あればよく、好ましくは1個以上、他に上記のアルキル基等の置換基を有していても良い。式中、nが1から23までの整数で示される化合物を用いることが好ましく、さらに、nが4から15までの整数で示される化合物がより好ましく、またさらに6から12までの整数で示される化合物であることが特に好ましい。)、チアゾール誘導体(チアゾール、2−アミノチアゾール、2−アミノチアゾール−4−カルボン酸、アミノチオフェン、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルベンゾチアゾール、2−ベンゾチアゾロール、2,3−ジヒドロイミダゾ〔2,1−b〕ベンゾチアゾール−6−アミン、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノ酢酸エチル、2−メチルベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルチアゾール等)、チアジアゾール誘導体(1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−エチル−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−メチルメルカプト−5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−(エチルアミノ)−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール等)、メルカプト安息香酸、メルカプトナフトール、メルカプトフェノール、4−メルカプトビフェニル、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオウラシル、3−チオウラゾール、2−チオウラミル、4−チオウラミル、2−メルカプトキノリン、チオギ酸、1−チオクマリン、チオクモチアゾン、チオクレゾール、チオサリチル酸、チオチアヌル酸、チオナフトール、チオトレン、チオナフテン、チオナフテンカルボン酸、チオナフテンキノン、チオバルビツル酸、チオヒドロキノン、チオフェノール、チオフェン、チオフタリド、チオフテン、チオールチオン炭酸、チオルチドン、チオールヒスチジン、3−カルボキシプロピルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、2−アミノプロピオン酸、ジチオジグリコール酸、D−システイン、ジ−t−ブチルジスルフィド、チオシアン、チオシアン酸等があげられる。
【0052】
(分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種以上含む化合物)
分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種以上含む化合物として好ましい化合物は、トリアゾール誘導体(1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−オキシ−1,2,4−トリアゾール、アミノウラゾール等)、テトラゾール誘導体(テトラゾリル、テトラゾリルヒドラジン、1H−1,2,3,4−テトラゾール、2H−1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−エチル−1,4−ジヒドロキシ5H−テトラゾール−5−オン、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、テトラゾールメルカプタン等)、オキサゾール誘導体(オキサゾール、オキサゾリル、オキサゾリン、ベンゾオキサゾール、3−アミノ−5−メチルイソオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−アミノオキサゾリン、2−アミノベンゾオキサゾール等)、オキサジアゾール誘導体(1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾロン−5、1,3,4−オキサジアゾロン−5等)、オキサトリアゾール誘導体(1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール等)、プリン誘導体(プリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−8−メルカプトプリン、2−アミノ−6−メチルメルカプトプリン、2−メルカプトアデニン、メルカプトヒポキサンチン、メルカプトプリン、尿酸、グアニン、アデニン、キサンチン、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン等)、イミダゾール誘導体(イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−5−イミダゾールカルボン酸アミド、ヒスチジン等)、インダゾール誘導体(インダゾール、3−インダゾロン、インダゾロール等)、ピリジン誘導体(2−メルカプトピリジン、アミノピリジン等)、ピリミジン誘導体(2−メルカプトピリミジン、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノー4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、4−アミノ−6−メルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、4−メルカプト−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン等)、チオ尿素誘導体(チオ尿素、エチレンチオ尿素、2−チオバルビツール酸等)、アミノ酸(グリシン、アラニン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン等)、1,3,4−チオオキサジアゾロン−5、チオクマゾン、2−チオクマリン、チオサッカリン、チオヒダントイン、チオピリン、γ−チオピリン、グアナジン、グアナゾール、グアナミン、オキサジン、オキサジアジン、メラミン、2,4,6−トリアミノフェノール、トリアミノベンゼン、アミノインドール、アミノキノリン、アミノチオフェノール、アミノピラゾール等があげられる。
【0053】
(腐食抑制剤の溶液)
本発明で使用する腐食抑制剤を含む溶液の調整には、水および有機溶媒を使用することができる。有機溶媒の種類は、特に限定はしないが、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジアリルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素などを用いることができ、これらの溶媒を1種類ないし2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0054】
(腐食抑制剤溶液の濃度および処理時間)
本発明で用いる腐食抑制剤溶液の濃度は、0.1〜5000ppmの濃度が好ましい。さらに、0.5〜3000ppmがより好ましく、またさらに1〜1000ppmであることが特に好ましい。腐食抑制剤の濃度が0.1ppm未満では、マイグレーション抑制効果が十分でなく、また配線と絶縁樹脂との十分な密着強度を得ることもできない。腐食抑制剤の濃度が5000ppmを超えると、マイグレーション抑制効果は得られるが、配線と絶縁樹脂との十分な密着強度を得ることができない。配線表面を、腐食抑制剤を含んだ溶液により処理を行う時間については特に限定はせず、腐食抑制剤の種類および濃度に応じて適宜変化させることが好ましい。
【0055】
(L/S)
セミアディティブ法により配線を形成する場合において、薄い金属層(シード層)上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成し、さらにめっきレジストを剥離した状態における電気銅めっき層と電気銅めっき層の下層のシード層とを含んだ配線部分の断面積(S)と、シード層をエッチング等により除去し、または、配線表面に表面粗さがRaで0.001〜0.4μmとなる処理を施し、カップリング剤もしくは腐食抑制剤を少なくとも一種以上含む絶縁膜を形成した後の、電気銅めっき層と電気銅めっき層の下層のシード層とを含んだ配線部分の断面積(S´)との面積比(=S´/S)が、0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることがより好ましい。
【0056】
(無電解ニッケルめっき皮膜、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜、無電解パラジウムめっき皮膜、さらに置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法によりめっきしためっき析出物)
図1及び図8に、本発明の、無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法によりめっきしためっき析出物である、半導体チップ搭載基板の一実施例(片面ビルドアップ層2層)の断面模式図を示した。ここでは、ビルドアップ層を片面にのみ形成した実施形態で説明するが、必要に応じて図8に示すようにビルドアップ層は両面に形成しても良い。
【0057】
本発明の無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法によりめっきしためっき析出物である、半導体チップ搭載基板は、図1に示すように、半導体チップが搭載される側の絶縁層であるコア基板100上に、半導体チップ接続端子及び第1の層間接続端子101を含む第1の配線106aが形成される。コア基板の他方の側には、第2の層間接続端子103を含む第2の配線106bが形成され、第1の層間接続端子と第2の層間接続端子は、コア基板の第1の層間接続用IVH(インタースティシャルバイアホール)102を介して電気的に接続される。コア基板の第2の配線側には、ビルドアップ層104が形成され、ビルドアップ層上には第3の層間接続端子を含む第3の配線106cが形成され、第2の層間接続端子と第3の層間接続端子は、第2の層間接続用IVH108を介して電気的に接続される。
【0058】
ビルドアップ層が複数形成される場合は、同様の構造を積層し、最外層のビルドアップ層上には、マザーボードと接続される外部接続端子107が形成される。配線の形状や各々の接続端子の配置等は特に制限されず、搭載する半導体チップや目的とする半導体パッケージを製造するために、適宜設計可能である。また、半導体チップ接続端子と第1の層間接続端子等を共用することも可能である。更に、最外層のビルドアップ層上には、必要に応じてソルダレジスト等の絶縁被覆109を設けることもできる。
【0059】
(コア基板)
コア基板の材質は特に問わないが、有機基材、セラミック基材、シリコン基材、ガラス基材などが使用できる。熱膨張係数や絶縁性を考慮すると、セラミックや、ガラスを用いることが好ましい。ガラスのうち非感光性ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス(成分例:SiO 65〜75質量%、Al 0.5〜4質量%、CaO 5〜15質量%、MgO 0.5〜4質量%、NaO 10〜20質量%)、ホウ珪酸ガラス(成分例:SiO 65〜80質量%、B 5〜25質量%、Al 1〜5質量%、CaO 5〜8質量%、MgO 0.5〜2質量%、NaO 6〜14質量%、KO 1〜6質量%)等が挙げられる。また、感光性ガラスとしてはLiO−SiO系結晶化ガラスに感光剤として金イオン及び銀イオンを含むものが挙げられる。
【0060】
有機基板としては、ガラス布に樹脂を含浸させた材料を積層した基板や樹脂フィルムが使用できる。使用する樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できるが、熱硬化性の有機絶縁材料が好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。
【0061】
これらの樹脂には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
【0062】
コア基板の厚さは100〜800μmであるのが、IVH形成性の点で好ましく、更に150〜500μmであるのがより好ましい。
【0063】
(ビルドアップ層)
層間絶縁層(ビルドアップ層)104は、絶縁材料からなり、絶縁材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できる。またビルドアップ層は熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。
【0064】
絶縁材料には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
【0065】
(熱膨張係数)
半導体チップの熱膨張係数とコア基板の熱膨張係数とが近似していて、かつコア基板の熱膨張係数とビルドアップ層の熱膨張係数とが近似していることが好ましいが、これに限定したものではない。さらに、半導体チップ、コア基板、ビルドアップ層の各々の熱膨張係数をα1、α2、α3(ppm/℃)としたとき、α1≦α2≦α3であることがより好ましい。
【0066】
具体的には、コア基板の熱膨張係数α2は、7〜13ppm/℃が好ましく、更に好ましくは9〜11ppm/℃である。ビルドアップ層の熱膨張係数α3は10〜40ppm/℃であるのが好ましく、更に好ましくは10〜20ppm/℃であり、11〜17ppm/℃が特に好ましい。
【0067】
(ヤング率)
ビルドアップ層のヤング率は、1〜5GPaであるのが熱ストレスに対する応力緩和の点で好ましい。ビルドアップ層中の充填材は、ビルドアップ層の熱膨張係数が10〜40ppm/℃、ヤング率が1〜5GPaになるように添加量を適宜調整して添加するのが好ましい。
【0068】
(本発明の、無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法によりめっきしためっき析出物である、半導体チップ搭載基板の製造方法)
本発明の無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法によりめっきしためっき析出物である、半導体チップ搭載基板は、以下の製造方法の組み合わせで製造することができる。製造工程の順番は、本発明の目的を逸脱しない範囲では、特に限定しない。
【0069】
(配線形成方法)
配線の形成方法としては、コア基板表面またはビルドアップ層上に金属箔を形成し、金属箔の不要な箇所をエッチングで除去する方法(サブトラクト法)、コア基板表面またはビルドアップ層上の必要な箇所にのみめっきにより配線を形成する方法(アディティブ法)、コア基板表面またはビルドアップ層上に薄い金属層(シード層)を形成し、その後、電解めっきで必要な配線を形成した後、薄い金属層をエッチングで除去する方法(セミアディティブ法)がある。
【0070】
(エッチングによる配線形成)
金属箔の配線となる箇所にエッチングレジストを形成し、エッチングレジストから露出した箇所に、化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属箔をエッチング除去し、配線を形成することができる。例えば、金属箔として銅箔を用いる場合、エッチングレジストは、通常の配線板に用いることのできるエッチングレジスト材料を使用できる。例えばレジストインクをシルクスクリーン印刷してエッチングレジストを形成したり、またエッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートして、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光し、露光しなかった箇所を現像液で除去してエッチングレジストを形成する。化学エッチング液には、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液など、通常の配線板に用いる化学エッチング液を用いることができる。
【0071】
(めっきによる配線形成)
また、配線は、コア基板またはビルドアップ層上の必要な箇所にのみ、めっきを行うことで形成することも可能であり、通常のめっきによる配線形成技術を用いることができる。例えば、コア基板に無電解めっき用触媒を付着させた後、めっきが行われない表面部分にめっきレジストを形成して、無電解めっき液に浸漬し、めっきレジストに覆われていない箇所にのみ、無電解めっきを行い配線を形成する。
【0072】
(セミアディティブ法による配線形成)
コア基板表面またはビルドアップ層上に、セミアディティブ法のシード層を形成する方法は、蒸着またはめっきによる方法と、金属箔を貼り合わせる方法がある。また同様の方法で、サブトラクト法の金属箔を形成することもできる。
【0073】
(蒸着またはめっきによるシード層の形成)
コア基板表面またはビルドアップ層上に蒸着またはめっきによってシード層を形成することができる。例えば、シード層として、スパッタリングにより下地金属と薄膜銅層を形成する場合、薄膜銅層を形成するために使用されるスパッタリング装置は、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等を用いることができる。スパッタに用いるターゲットは、密着を確保するために、例えばCr、Ni、Co、Pd、Zr、Ni/Cr、Ni/Cu等の金属を下地金属として用い、5〜50nmスパッタリングする。その後、銅をターゲットにして200〜500nmスパッタリングしてシード層を形成できる。
【0074】
また、コア基板表面またはビルドアップ層上にめっき銅を、0.5〜3μm無電解銅めっきし、形成することもできる。
【0075】
(金属箔を貼り合わせる方法)
コア基板またはビルドアップ層に接着機能がある場合は、金属箔をプレスやラミネートによって貼り合わせることによりシード層を形成することもできる。しかし、薄い金属層を直接貼り合わせるのは非常に困難であるため、厚い金属箔を張り合わせた後にエッチング等により薄くする方法や、キャリア付金属箔を貼り合わせた後にキャリア層を剥離する方法などがある。例えば前者としてはキャリア銅/ニッケル/薄膜銅の三層銅箔があり、キャリア銅をアルカリエッチング液で、ニッケルをニッケルエッチング液で除去し、後者としてはアルミ、銅、絶縁樹脂などをキャリアとしたピーラブル銅箔などが使用でき、5μm以下のシード層を形成できる。また、厚み9〜18μmの銅箔を貼り付け、5μm以下になるように、エッチングにより均一に薄くし、シード層を形成してもかまわない。
【0076】
(セミアディティブによる配線形成)
前述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成する。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去し、配線が形成できる。
【0077】
(配線の形状)
配線の形状は特に問わないが、少なくとも半導体チップが搭載される側には半導体チップ接続端子16(ワイヤボンド端子等)、その反対面にはマザーボードと電気的に接続される外部接続続端子(はんだボール等が搭載される箇所)及びそれらを繋ぐ展開配線、層間接続端子等から構成される。また、配線の配置も特に問わないが、図3に示したように(内層配線、層間接続端子等は省略)、半導体チップ接続端子より内側に外部接続端子を形成したファン−インタイプや、図4に示したような半導体チップ接続端子の外側に外部接続端子を形成したファン−アウトタイプ、またはこれらを組み合わせたタイプでもよい。図5に、ファン−インタイプ半導体チップ搭載基板の平面図を、図6にファン−アウトタイプ半導体チップ搭載基板の平面図を示した。なお、半導体チップ接続端子16の形状は、ワイヤボンド接続やフリップチップ接続などが、可能であれば、特に問わない。また、ファン−アウト、ファン−インどちらのタイプでも、ワイヤボンド接続やフリップチップ接続などは、可能である。さらに必要に応じて、半導体チップと電気的に接続されないダミーパターン21(図6参照)を形成してもかまわない。ダミーパターンの形状や配置も特には問わないが、半導体搭載領域に均一に配置するのが好ましい。これによって、ダイボンド接着剤で半導体チップを搭載する際に、ボイドが発生しにくくなり、信頼性を向上できる。
【0078】
(バイアホール)
本発明の半導体チップ搭載基板は、複数の配線層を有するため、各層の配線を電気的に接続するためのバイアホールを設けることができる。バイアホールは、コア基板またはビルドアップ層に接続用の穴を設け、この穴を導電性ペーストやめっき等で充填し形成できる。穴の加工方法としては、パンチやドリルなどの機械加工、レーザ加工、薬液による化学エッチング加工、プラズマを用いたドライエッチング法などがある。
【0079】
また、ビルドアップ層のバイアホール形成方法としては、予めビルドアップ層に導電性ペーストやめっきなどで導電層を形成し、これをコア基板にプレス等で積層する方法などもある。
【0080】
(絶縁被覆の形成)
半導体チップ搭載基板の外部接続端子側には絶縁被覆を形成することができる。パターン形成は、ワニス状の材料であれば印刷で行うことも可能であるが、より精度を確保するためには、感光性のソルダレジスト、カバーレイフィルム、フィルム状レジストを用いるのが好ましい。材質としては、エポキシ系、ポリイミド系、エポキシアクリレート系、フルオレン系の材料を用いることができる。
【0081】
このような絶縁被覆は硬化時の収縮があるため、片面だけに形成すると基板に大きな反りを生じやすい。そこで、必要に応じて半導体チップ搭載基板の両面に絶縁被覆を形成することもできる。さらに、反りは絶縁被覆の厚みによって変化するため、両面の絶縁被覆の厚みは、反りが発生しないように調整することがより好ましい。その場合、予備検討を行い、両面の絶縁被覆の厚みを決定することが好ましい。また、薄型の半導体パッケージとするには、絶縁被覆の厚みが50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましい。
【0082】
(端子のめっき)
半導体チップ接続端子16(ワイヤボンド端子等)および外部接続続端子(はんだボール等が搭載される箇所)として形成された銅の表面に、鉛の濃度が0.01質量%以下の無電解ニッケルめっき皮膜、置換パラジウムめっき皮膜または無電解パラジウムめっき皮膜、置換金めっき皮膜、無電解金めっき皮膜の順序で形成する。
【0083】
(無電解ニッケルめっき皮膜、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜、無電解パラジウムめっき皮膜、さらに置換金めっき皮膜、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法を適用しためっき析出物の製造方法)
無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法によりめっきしためっき析出物である、半導体チップ搭載基板は、以下のような工程で製造することができる。図2の(a)〜(g)に、本発明の、無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する方法によりめっきしためっき析出物である、半導体チップ搭載基板の製造方法の実施形態の一例を断面模式図で示した。ただし、製造工程の順番は、本発明の目的を逸脱しない範囲では、特に限定しない。
【0084】
(工程a)
(工程a)は、図2(a)に示したようにコア基板100上に第1の配線106aを作製する工程である。
【0085】
例えば片面に銅層が形成されたコア基板に第1の配線形状にエッチングレジストを形成し、塩化銅や塩化鉄などのエッチング液を用いて配線を作製することができる。基板上に銅層を作製するには、スパッタリング、蒸着、めっき等により薄膜を形成した後、電気銅めっきで膜厚を所望の厚みまでめっきすることにより、銅層を得ることができる。
【0086】
なお、第1の配線106aは、第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子(半導体チップと電気的に接続される部分)を含んでおり、微細配線の形成方法としてはセミアディティブ法を用いても良い。
【0087】
(工程b)
(工程b)は、図2(b)に示したように、前記第1の層間接続端子101と、後述する第2の配線とを接続するための第1の層間接続用IVH102(バイアホール)を形成する工程である。
【0088】
バイアホールの形成は、コア基板が非感光性基材の場合、レーザ光を用いることができる。非感光性基材としては、前述した非感光性ガラスなどが挙げられるが、これに限定したものではない。この場合、使用するレーザ光は限定されるものではなく、COレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いることができる。また、コア基板が感光性基材の場合、バイアホール以外の領域をマスクし、バイアホール部に紫外光を照射する。なお感光性基材としては、前述した感光性ガラスなどが挙げられるが、これに限定したものではない。この場合、紫外光を照射後、熱処理とエッチングによりバイアホールを形成する。また、コア基板が、有機溶剤等の薬液による化学エッチング加工が可能な基材の場合は、化学エッチングによってバイアホールを形成することもできる。形成されたバイアホールは層間を電気的に接続するために、導電性のペーストやめっきなどで充填して層間接続のための導電層を形成することができる。
【0089】
(工程c)
(工程c)は、図2(c)に示したように、コア基板の第1の配線106aと反対側の面に第2の配線106bを形成する工程である。コア基板の第1の配線と反対の面に(工程a)と同様に銅層を形成し、その銅層を必要な配線形状にエッチングレジストを形成し、塩化銅や塩化鉄等のエッチング液を用いて第2の配線を形成する。銅層の形成方法としては、(工程a)と同様にスパッタリング、蒸着、無電解めっきなどで銅薄膜を形成した後、電気銅めっきを用いて所望の厚みまで銅めっきすることにより銅層が得られる。
【0090】
なお、第2の配線は第2の層間接続端子103を含んでおり、微細配線の形成方法としてはセミアディティブ法を用いても良い。
【0091】
(工程d)
(工程d)は、図2(d)に示すように前記第2の配線を形成した面にビルドアップ層(層間絶縁層)104を形成する工程である。まず、第2の配線表面を、前記脱脂処理または硫酸洗浄を行う。酸性あるいはアルカリ性あるいは酸化剤を含む水溶液に浸漬し、銅配線表面のRa(平均粗さ)が0.01〜0.4μmとなるように処理を行う。酸化剤を含む水溶液に浸漬した場合は、さらに、還元剤を含む水溶液に浸漬し、前記酸化銅皮膜を還元処理することによって、銅配線表面のRaが0.01〜0.4μmとなるように処理を行う。さらに、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムから選択される金属または前記金属を含む合金を無電解めっき、電気めっき、置換反応、スプレー噴霧、塗布する等の方法によって、配線表面のRaが0.01〜0.4μmとなるように処理を行う。その表面上にSi−O−Si結合を有する化合物を形成し、続いてカップリング剤もしくは密着性改良剤を少なくとも一種以上含む溶液による処理を行い第2の配線表面に極薄の絶縁膜を形成する。
【0092】
次に、コア基板100表面及び第2の配線106b表面に、ビルドアップ層104を形成する。ビルドアップ層104の絶縁材料としては、前記したように熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できるが、熱硬化性材料を主成分とするのが好ましい。ワニス状の材料の場合、印刷やスピンコートで、またはフィルム状の絶縁材料の場合、ラミネートやプレスなどの手法を用いてビルドアップ層を得ることができる。絶縁材料が熱硬化性材料を含む場合は、さらに加熱硬化させることが望ましい。
【0093】
(工程e)
(工程e)は、図2(e)に示したように、前記ビルドアップ層に第2の層間接続用のIVH(バイアホール)108を形成する工程であり、バイアホールの形成手段としては、一般的なレーザ穴あけ装置を使用することができる。レーザ穴あけ機で用いられるレーザの種類はCOレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いることができるが、COレーザが生産性及び穴品質の点で好ましい。また、IVH径が30μm未満の場合は、レーザ光を絞ることが可能なYAGレーザが適している。また、ビルドアップ層が有機溶剤等の薬液による化学エッチング加工が可能な材料の場合は、化学エッチングによってバイアホールを形成することもできる。
【0094】
(工程f)
(工程f)は、図2(f)に示したように、前記第2のバイアホールが形成されたビルドアップ層上に、第3の配線106cを形成する工程である。またL/S=35μm/35μm以下の微細な配線を形成するプロセスとしては、前記したセミアディティブ法が好ましい。ビルドアップ層上に、蒸着またはめっきによる方法や金属箔を貼り合わせる方法などにより、シード層を形成する。前述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成する。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去し、微細な配線が形成できる。
【0095】
(工程d)から(工程f)までを繰り返して、図2(g)に示すようにビルドアップ層104を2層以上作製してもよい。この場合、最外のビルドアップ層に形成された層間接続端子が、外部接続端子107となる。
【0096】
(工程g)
(工程g)は、図2(g)に示したように、外部接続端子以外の配線等を保護するための絶縁被覆109を形成する工程および半導体チップ接続端子16(ワイヤボンド端子等)および外部接続続端子(はんだボール等が搭載される箇所)として形成された銅の表面に、鉛の濃度が0.01質量%以下の無電解ニッケルめっき皮膜、置換パラジウムめっき皮膜または無電解パラジウムめっき皮膜、置換金めっき皮膜、無電解金めっき皮膜の順序で形成する工程である。絶縁被覆材としては、ソルダレジストが一般的に用いられ、熱硬化型や紫外線硬化型のものが使用できるが、レジスト形状を精度良く仕上げることができる紫外線硬化型のものが好ましい。
【0097】
(半導体チップ搭載基板の形状)
半導体チップ搭載基板22の形状は、特に問わないが、図7に示したようなフレーム形状にすることが好ましい。半導体チップ搭載基板の形状をこのようにすることで、半導体パッケージの組立てを効率よく行うことができる。以下、好ましいフレーム形状について詳細に説明する。
【0098】
図7に示したように、半導体パッケージ領域13(1個の半導体パッケージとなる部分)を行及び列に各々複数個等間隔で格子状に配置したブロック23を形成する。さらに、このようなブロックを複数個行及び列に形成する。図7では、2個のブロックしか記載していないが、必要に応じて、ブロックも格子状に配置してもよい。ここで、半導体パッケージ領域間のスペース部の幅は、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。さらに、後に半導体パッケージを切断するときに使用するダイサーのブレード幅と同じにするのが最も好ましい。
【0099】
このように半導体パッケージ領域を配置することで、半導体チップ搭載基板の有効利用が可能になる。また、半導体チップ搭載基板の端部には、位置決めのマーク等11を形成することが好ましく、貫通穴によるピン穴であることがより好ましい。ピン穴の形状や配置は、形成方法や半導体パッケージの組立て装置に合うように選択すればよい。
【0100】
さらに、前記半導体パッケージ領域間のスペース部や前記ブロックの外側には補強パターン24を形成することが好ましい。補強パターンは、別途作製し半導体チップ搭載基板と貼り合わせてもよいが、半導体パッケージ領域に形成される配線と同時に形成された金属パターンであることが好ましく、さらに、その表面には、配線と同様のニッケル、金などのめっきが施すか、絶縁被覆をすることがより好ましい。補強パターンが、このような金属の場合は、電解めっきの際のめっきリードとして利用することも可能である。また、ブロックの外側には、ダイサーで切断する際の切断位置合わせマーク25を形成することが好ましい。このようにして、フレーム形状の半導体チップ搭載基板を作製することができる。
【0101】
(半導体パッケージ)
図3に、本発明のフリップチップタイプ半導体パッケージの実施形態の一例を断面模式図で示す。図3に示したように本発明の半導体パッケージは、上記本発明の半導体チップ搭載基板に、さらに半導体チップ111が搭載されているもので、半導体チップと半導体チップ接続端子とを接続バンプ112を用いてフリップチップ接続することによって電気的に接続して得ることができる。
【0102】
さらに、これらの半導体パッケージには、図示するように、半導体チップと半導体チップ搭載基板の間をアンダーフィル材113で封止することが好ましい。アンダーフィル材の熱膨張係数は、半導体チップ及びコア基板100の熱膨張係数と近似していることが好ましいがこれに限定したものではない。さらに好ましくは(半導体チップの熱膨張係数)≦(アンダーフィル材の熱膨張係数)≦(コア基板の熱膨張係数)である。さらに、半導体チップの搭載には異方導電性フィルム(ACF)や導電性粒子を含まない接着フィルム(NCF)を用いて行うこともできる。この場合は、アンダーフィル材で封止する必要がないため、より好ましい。さらに、半導体チップを搭載する際に超音波を併用すれば、電気的な接続が低温でしかも短時間で行えるため特に好ましい。
【0103】
また、図4には、ワイヤボンドタイプ半導体パッケージの実施形態の断面図を示す。半導体チップの搭載には、一般のダイボンドペーストも使用できるが、ダイボンドフィルム117を用いるのがより好ましい。半導体チップと半導体チップ接続端子との電気的な接続は金ワイヤ115を用いたワイヤボンドで行うのが一般的である。半導体チップの封止は、半導体用封止樹脂116をトランスファモールドで行うことができる。その場合、半導体チップの少なくともフェース面を半導体用封止樹脂で封止するが、封止領域は、必要な部分だけを封止しても良いが、図4のように半導体パッケージ領域全体を封止するのが、より好ましい。これは、半導体パッケージ領域を行及び列に複数個配列した半導体チップ搭載基板において、基板と封止樹脂を同時にダイサー等で切断する場合、特に有効な方法である。
【0104】
また、マザーボードとの電気的な接続を行うために、外部接続端子には、例えば、はんだボール114を搭載することができる。はんだボールには、共晶はんだやPbフリーはんだが用いられる。はんだボールを外部接続端子に固着する方法としては、Nリフロー装置を用いるのが一般的であるがこれに限定したものではない。
【0105】
半導体パッケージ領域を行及び列に複数個配列した半導体チップ搭載基板においては、最後に、ダイサー等を用いて個々の半導体パッケージに切断する。
【実施例】
【0106】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
(工程a)
コア基板100として0.4mm厚のソーダガラス基板(熱膨張係数11ppm/℃)を用意し、片面にスパッタリングにより200nmの銅薄膜を形成した後、電気銅めっきで10μmの厚さまでめっきを行った。なおスパッタリングは、日本真空技術株式会社製装置型番MLH−6315を用いて、以下に示した条件1で行った。その後、第1の配線106aとなる部分にエッチングレジストを形成し、塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングして第1の配線106a(第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子を含む)を形成した。
条件1
電流:3.5A
電圧:500V
アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:5nm/秒
【0107】
(工程b)
第1の配線が形成されたガラス基板の第1の配線と反対面から第1の層間接続端子に到達するまで、レーザで穴径50μmのIVH穴を形成した。レーザにはYAGレーザLAVIA−UV2000(住友重機械工業株式会社製、商品名)を使用し、周波数4kHz、ショット数50、マスク径0.4mmの条件でIVH穴の形成を行った。
【0108】
得られたIVHの穴に導電性ペーストMP−200V(日立化成工業株式会社製、商品名)を充填して、160℃30分で硬化し、ガラス基板の第1の層間接続端子と電気的に接続し、第1の層間接続用IVH(バイアホール)を形成した。
【0109】
(工程c)
(工程b)で形成された第1の層間接続用IVH(第1のバイアホール)と電気的に接続するために、ガラス基板の、第1の配線と反対側の面にスパッタリングにより200nmの銅薄膜を形成した後、電気銅めっきで10μmの厚さまでめっきを行った。スパッタリングは、(工程a)と同様に行った。さらに、(工程a)と同様に第2の配線の形状にエッチングレジストを形成し、塩化第二鉄エッチング液を用い、エッチングして第2の配線106b(第2の層間接続端子103を含む)を形成した。
【0110】
(工程d)
(工程c)で形成した第2の配線側の面に、200ml/lに調整した酸性脱脂液Z−200(ワールドメタル社製、商品名)に、液温50℃で2分間浸漬した後、液温50℃の水に2分間浸漬することにより湯洗し、さらに1分間水洗した。次いで、100ml/lの硫酸水溶液に1分間浸漬し、1分間水洗した。以上に示した前処理を行った後、次に、酢酸によりpH5に調整した水溶液に、イミダゾールシランカップリング剤IS−1000(ジャパンエナジー株式会社製、商品名)の濃度が0.5%となるように調整した水溶液に10分間浸漬した。さらに1分間水洗を行った後に、常温(25℃)にて乾燥を行った。次に、ビルドアップ層104を次のように形成した。すなわち、シアネ―トエステル系樹脂組成物の絶縁ワニスをスピンコート法により1500rpmで10μm形成した後、常温(25℃)から6℃・min−1の昇温速度で230℃まで過熱し、230℃で1時間保持することにより熱硬化し、ビルドアップ層を形成した。
【0111】
(工程e)
ビルドアップ層104の表面から第2の層間接続用端子103に到達するまで、レーザで穴径50μmのIVH穴を形成した。レーザにはYAGレーザLAVIA−UV2000(住友重機械工業株式会社製、商品名)を使用し、周波数4kHz、ショット数20、マスク径0.4mmの条件でIVH穴の形成を行った。
【0112】
(工程f)
第3の配線形成及び第2のバイアホール形成のために、スパッタリングにより、シード層となる下地金属Ni層20nmを形成し、さらに薄膜銅層200nmを形成した。スパッタリングは、日本真空技術株式会社製MLH−6315を用いて以下に示した条件2で行った。
条件2
(ニッケル)
電流:5.0A
電流:350V
電圧アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:0.3nm/秒
(銅)
電流:3.5A
電圧:500V
アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:5nm/秒
【0113】
次に、めっきレジストPMER P−LA900PM(東京応化工業株式会社製、商品名)を用いスピンコート法で、シード層上に、膜厚20μmのめっきレジスト層を形成した。1000mJ/cmの条件で露光し、PMER現像液P−7Gを用いて23℃で6分間浸漬揺動し、L/S=10μm/10μmのレジストパターンを形成した。その後、硫酸銅めっき液を用いてパターン銅めっきを約5μm行った。めっきレジストの剥離は、メチルエチルケトンを用いて室温(25℃)で1分間浸漬し除去した。シード層のクイックエッチングには、CPE−700(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)の5倍希釈液を用いて、30℃で30秒間浸漬揺動することにより、これらをエッチング除去し、配線を形成した。
【0114】
(工程g)
この後、(工程d)〜(工程f)までを再度繰り返し、ビルドアップ層及び外部接続端子107を含む最外層の配線をさらに一層形成し、最後にソルダーレジスト109を形成して、図1(1パッケージ分の断面図)、図5(1パッケージ分の平面図)、及び図7(半導体チップ搭載基板全体図)に示すようなファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板を作製した。
また、このとき、ソルダーレジスト109が被覆された後に露光・現像し除去することにより開口した、外部接続端子107上部の開口径の直径が600μmの第1のBGA用半導体チップ搭載基板、直径が300μmの第2のBGA用半導体チップ搭載基板、直径が200μmの第3のBGA用半導体チップ搭載基板、直径が100μmの第4のBGA用半導体チップ搭載基板、直径が75μmの第5のBGA用半導体チップ搭載基板を作製した。
【0115】
(工程h)
上記第1〜5のBGA用半導体チップ搭載基板を、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、めっき活性処理液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗した。
【0116】
(工程i)
続いて、無電解ニッケルめっき液であるNIPS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、85℃で25分間、浸漬処理し、1分間水洗した。
【0117】
(工程j)
続いて、下記組成の無電解ニッケル−パラジウムめっき液に、50℃で1分間浸漬処理した。
塩化パラジウム:0.005mol/l
硫酸ニッケル:0.01mol/l
エチレンジアミン:0.1mol/l
DL−りんご酸:0.1mol/l
次亜リン酸ソーダ:0.05mol/l
硝酸鉛:1ppm
pH:8
(pHはNaOHまたはHClにより調整)
パラジウムに対するニッケルの質量比:0.18
【0118】
(工程k)
続いて、無電解パラジウムめっき液であるTPD−30(上村工業株式会社、商品名)に50℃で12分30秒、浸漬処理し、1分間水洗した。このときのパラジウムの純度はほぼ95.5質量%(パラジウム:95.5質量%,リン:4.5質量%)であり、膜厚は0.15μmであった。
【0119】
(工程l)
続いて、置換金めっき液であるHGS−100(日立化成工業株式会社、商品名)に85℃で10分間浸漬処理し、1分間水洗した。
【0120】
(工程m)
続いて、無電解金めっき液であるHGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)に70℃で30分間浸漬処理し、5分間水洗した。このときの置換金めっきと無電解金めっき皮膜の厚みの合計は0.3μmであった。
【0121】
<はんだ接続信頼性>
上記で得られた半導体チップ搭載基板について、下記の基準により接続端子の接続信頼性を評価した。
開口径の直径が600μmの第1の半導体チップ搭載基板については、φ0.76mmのSn−3.0Ag−0.5Cuはんだボールを、開口径の直径が300μmの第2の半導体チップ搭載基板については、φ0.45mmのSn−3.0Ag−0.5Cuはんだボールを、開口径の直径が200μmの第1の半導体チップ搭載基板については、φ0.30mmのSn−3.0Ag−0.5Cuはんだボールを、開口径の直径が100μmの第2の半導体チップ搭載基板については、φ0.15mmのSn−3.0Ag−0.5Cuはんだボールを、開口径の直径が75μmの第1の半導体チップ搭載基板については、φ0.12mmのSn−3.0Ag−0.5Cuはんだボールを用い、第1〜5のそれそれの基板の1000箇所のはんだ接続端子に、リフリー炉で接続させ(ピーク温度252℃)、耐衝撃性ハイスピードボンドテスター 4000HS(デイジ社製 商品名)を用いて、約200mm/秒の条件ではんだボールのシェア(剪断)試験を施し、下記の基準によりはんだ接続強度について評価した。結果を表1に示した。
A:1000箇所の接続端子のすべてにおいてはんだボール内での剪断による破壊である。
B:はんだボール内での剪断による破壊以外のモードによる破壊が1箇所以上10個所以内ある。
C:はんだボール内での剪断による破壊以外のモードによる破壊が11箇所以上50個所以内ある。
D:はんだボール内での剪断による破壊以外のモードによる破壊が51個所以上ある。
【0122】
<無電解パラジウムめっき膜厚>
作製した第1〜5のそれぞれの半導体チップ搭載基板の外部接続端子107における無電解パラジウムめっき皮膜の厚みを蛍光X線膜厚測定装置により測定した。なお、測定箇所数は1000箇所である。1cm×1cmのハルセル試験用銅板(山本鍍金試験器株式会社製 商品名)を用い、工程h〜mと同様の工程を行い、この銅板における無電解パラジウムめっきの膜厚を100%とした場合の外部接続端子における膜厚を下記評価基準により評価し、外部接続端子における析出性について調べた。結果を表1に示した。
A:1000箇所の接続端子のすべてにおいて膜厚が90%以上である。
B:90%よりも低い端子が1箇所以上10箇所以内ある。
C:90%よりも低い端子が11箇所以上50箇所以内ある。
D:90%よりも低い端子が51箇所以上ある。
【0123】
(実施例2)
実施例1の工程jに示した無電解ニッケル−パラジウムめっき液に代えて、下に示した組成のめっき液に変更したこと以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示した。
塩化パラジウム:0.005mol/l
硫酸ニッケル:0.02mol/l
エチレンジアミン:0.1mol/l
DL−りんご酸:0.1mol/l
次亜リン酸ソーダ:0.05mol/l
硝酸鉛:1ppm
pH:8
(pHはNaOHまたはHClにより調整)
パラジウムに対するニッケルの質量比:0.43
【0124】
(実施例3)
実施例1の工程jに示した無電解ニッケル−パラジウムめっき液に代えて、下に示した組成のめっき液に変更したこと以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示した。
塩化パラジウム:0.005mol/l
硫酸ニッケル:0.03mol/l
エチレンジアミン:0.1mol/l
DL−りんご酸:0.1mol/l
次亜リン酸ソーダ:0.05mol/l
硝酸鉛:1ppm
pH:8
(pHはNaOHまたはHClにより調整)
パラジウムに対するニッケルの質量比:1
【0125】
(実施例4)
実施例1の工程jに示した無電解ニッケル−パラジウムめっき液に代えて、下に示した組成のめっき液に変更したこと以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示した。
塩化パラジウム:0.005mol/l
硫酸ニッケル:0.05mol/l
エチレンジアミン:0.1mol/l
DL−りんご酸:0.1mol/l
次亜リン酸ソーダ:0.05mol/l
硝酸鉛:1ppm
pH:8
(pHはNaOHまたはHClにより調整)
パラジウムに対するニッケルの質量比:4
【0126】
(実施例5)
実施例1の工程jに示した無電解ニッケル−パラジウムめっき液に代えて、下に示した組成のめっき液に変更したこと以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示した。
塩化パラジウム:0.003mol/l
硫酸ニッケル:0.05mol/l
エチレンジアミン:0.1mol/l
DL−りんご酸:0.1mol/l
次亜リン酸ソーダ:0.05mol/l
硝酸鉛:1ppm
pH:8
(pHはNaOHまたはHClにより調整)
パラジウムに対するニッケルの質量比:8.2
【0127】
(比較例1)
実施例1に示した工程jを行わなかったこと以外は全て実施例1と同様の工程を行った結果を表1に示した。
【0128】
(比較例2)
実施例1の工程jに示した無電解ニッケル−パラジウムめっき液に代えて、下に示した組成のめっき液に変更したこと以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示した。
塩化パラジウム:0.005mol/l
硫酸ニッケル:0.01mol/l
トリエチレンテトラミン:0.1mol/l
DL−りんご酸:0.1mol/l
次亜リン酸ソーダ:0.05mol/l
硝酸鉛:1ppm
pH:8
(pHはNaOHまたはHClにより調整)
パラジウムに対するニッケルの質量比:0.01
【0129】
(比較例3)
実施例1の工程jに示した無電解ニッケル−パラジウムめっき液に代えて、下に示した組成のめっき液に変更したこと以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示した。
塩化パラジウム:0.005mol/l
硫酸ニッケル:0.03mol/l
トリエチレンテトラミン:0.1mol/l
DL−りんご酸:0.1mol/l
次亜リン酸ソーダ:0.05mol/l
硝酸鉛:1ppm
pH:8
(pHはNaOHまたはHClにより調整)
パラジウムに対するニッケルの質量比:0.1
【0130】
(比較例4)
実施例1の工程jに示した無電解ニッケル−パラジウムめっき液に代えて、下に示した組成のめっき液に変更したこと以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示した。
塩化パラジウム:0.0015mol/l
硫酸ニッケル:0.05mol/l
エチレンジアミン:0.1mol/l
DL−りんご酸:0.1mol/l
次亜リン酸ソーダ:0.05mol/l
硝酸鉛:1ppm
pH:8
(pHはNaOHまたはHClにより調整)
パラジウムに対するニッケルの質量比:10
【0131】
【表1】

【0132】
無電解パラジウムめっき皮膜の膜厚は、蛍光X線膜厚測定装置SFT9500(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、商品名)を用いて測定した。
【0133】
実施例1から5に示したように、本発明の場合、被めっき体に、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した後に、本発明の無電解ニッケル−パラジウムめっき皮膜を形成した後に無電解パラジウムめっき皮膜を形成することで、被めっき体における無電解パラジウムめっき反応開始時間を極力短くすることで、被めっき体の全箇所での無電解パラジウムめっき皮膜の厚みを均一化し、さらに置換金めっきを形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を、この順序に形成することで、接続信頼性の高いめっき析出物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の一実施形態が適用される半導体チップ搭載基板の断面図である。
【図2】(a)〜(g)は本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施形態が適用されるフリップチップタイプ半導体パッケージの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態が適用されるワイヤボンドタイプ半導体パッケージの断面図である。
【図5】本発明のファン−インタイプ半導体チップ搭載基板の平面図である。
【図6】本発明のファン−アウトタイプ半導体チップ搭載基板の平面図である。
【図7】本発明の半導体チップ搭載基板のフレーム形状を表す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態が適用される半導体チップ搭載基板の断面図である。
【符号の説明】
【0135】
11.位置決めマーク(位置合わせ用ガイド穴)
13.半導体パッケージ領域
14.ダイボンドフィルム接着領域(フリップチップタイプ)
15.半導体チップ搭載領域(フリップチップタイプ)
16.半導体チップ接続端子
17.ダイボンドフィルム接着領域(ワイヤボンドタイプ)
18.半導体チップ搭載領域(ワイヤボンドタイプ)
19.外部接続端子
20.展開配線
21.ダミーパターン
22.半導体チップ搭載基板
23.ブロック
24.補強パターン
25.切断位置合わせマーク
100 コア基板
101 第1の層間接続端子
102 第1の層間接続用IVH(バイアホール)
103 第2の層間接続端子
104 層間絶縁層(ビルドアップ層)
105 第3の層間接続用IVH(バイアホール)
106a 第1の配線
106b 第2の配線
106c 第3の配線
107 外部接続端子
108 第2の層間接続用IVH(バイアホール)
109 絶縁被覆(ソルダレジスト)
111 半導体チップ
112 接続バンプ
113 アンダーフィル材
114 はんだボール
115 金ワイヤ
116 半導体用封止樹脂
117 ダイボンドフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被めっき体と、無電解ニッケルめっき皮膜と、無電解ニッケル-パラジウムめっき皮膜と、無電解パラジウムめっき皮膜と、置換金めっき皮膜と、を有し、前記無電解ニッケルめっき皮膜、前記無電解ニッケル-パラジウムめっき皮膜、前記無電解パラジウムめっき皮膜及び前記置換金めっき皮膜の順序に積層され、前記置換金めっき皮膜が最表層に位置してなることを特徴とするめっき析出物。
【請求項2】
置換金めっき皮膜の膜厚が0.005μm以上である請求項1に記載のめっき析出物。
【請求項3】
置換金めっき皮膜上に積層された無電解金めっき皮膜を更に有し、該無電解金めっき皮膜が被めっき体とは反対側の最表層に位置している、請求項1に記載のめっき析出物。
【請求項4】
置換金めっき皮膜及び無電解金めっき皮膜の膜厚の和が0.005μm以上である請求項3に記載のめっき析出物。
【請求項5】
被めっき体が、電気絶縁体あるいは導体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項6】
電気絶縁体が、有機材料、セラミック、シリコン、ガラスの内いずれかであることを特徴とする請求項5に記載のめっき析出物。
【請求項7】
導体が、銅、タングステン、モリブデン、アルミニウムの内いずれかの金属からなることを特徴とする請求項5に記載のめっき析出物。
【請求項8】
被めっき体が、ワイヤボンディング用接続端子である、請求項1〜4いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項9】
被めっき体が、はんだ接続用接続端子である、請求項1〜4いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項10】
被めっき体の表面積が1mm以下であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項11】
無電解ニッケル-パラジウムめっき皮膜の純度が80質量%以上である、請求項1〜10いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項12】
無電解ニッケル-パラジウムめっき皮膜における、パラジウムに対するニッケルの質量比が、0.15〜9の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜11いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項13】
無電解パラジウムめっき皮膜の純度が90質量%以上である、請求項1〜12いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項14】
無電解ニッケルめっき皮膜の純度が80質量%以上である、請求項1〜13いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項15】
無電解ニッケルめっき皮膜の膜厚が0.1〜20μmである請求項1〜14いずれかに記載のめっき析出物。
【請求項16】
被めっき体である導体の端子に、無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、無電解ニッケル-パラジウムめっき皮膜を形成し、無電解パラジウムめっき皮膜を形成し、さらに置換金めっき皮膜を形成し、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する無電解めっき方法で形成された接続端子と、該導体を支持する基板と、半導体チップと、該半導体チップと該導体を接続する接続導体とからなる半導体パッケージ。
【請求項17】
基板の表面に被めっき体である導体の端子を形成する工程、該導体の端子の表面に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程、無電解ニッケル-パラジウムめっき皮膜を形成する工程、無電解パラジウムめっき皮膜を形成する工程、置換金めっき皮膜を形成する工程、あるいはさらに無電解金めっき皮膜を形成する工程により、導体上にめっき皮膜を形成し、その上にはんだを溶着し接続端子を形成する工程と、該接続端子のはんだの上に半導体チップを搭載する工程と、半導体チップと導体を接続する接続導体を形成する工程とを有する半導体パッケージの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−90402(P2010−90402A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258346(P2008−258346)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】