説明

めっき装置

【課題】気泡の抜けが比較的よいディップ式を採用し、バンプ等の突起状電極に適しためっき膜を、装置全体のコンパクト化を図りつつ、自動的に形成できるようにする。
【解決手段】複数のめっき槽414a,414b,414cを備え、基板の表面に異なるめっき槽で順次めっきを行うめっき装置において、基板と該基板が入れられためっき槽のアノードとの間で単一のめっき電源416から通電してめっきを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の被めっき面にめっきを施すめっき装置に関し、特にレジストをマスクとして、半導体ウェーハの表面に半導体チップと基板とを電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成するのに使用されるめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、TAB(Tape Automated Bonding)やフリップチップにおいては、配線が形成された半導体チップの表面の所定箇所(電極)に金、銅、はんだ、或いはニッケル、更にはこれらを多層に積層した突起状接続電極(バンプ)を形成し、このバンプを介して基板電極やTAB電極と電気的に接続することが広く行われている。このバンプの形成方法としては、電解めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法といった種々の手法があるが、半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電解めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
配線が形成された基板の所定位置に、電解めっき法によってバンプを形成する際には、レジストをマスクとして使用することが広く行われている。つまり、図1に示すように、基板Wの表面に給電層としてのシード層500を成膜し、このシード層500の表面に、例えば、高さHが20〜120μmのレジスト502を全面に塗布した後、このレジスト502の所定の位置に、例えば、直径Dが20〜200μm程度の開口部502aを設け、この状態で基板Wの表面にめっきを施すことで、開口部502a内にめっき膜504を成長させてバンプ506を形成するようにしている。
【0004】
ここで、電解めっき法は、半導体ウェーハ等の基板の被めっき面を下向き(フェースダウン)にして水平に置き、めっき液を下から噴き上げてめっきを施す噴流式またはカップ式と、めっき槽の中に基板を垂直に立て、めっき液をめっき槽の下から注入しオーバーフローさせつつ基板をめっき液中に浸漬させてめっきを施すディップ式に大別される。ディップ式を採用した電解めっき法は、めっきの品質に悪影響を与える泡の抜けが良く、めっきユニットのフットプリントが小さいばかりでなく、ウェーハサイズの変更に容易に対応できるといった利点を有している。このため、埋込み穴の寸法が比較的大きく、めっきにかなりの時間を要するバンプめっきに適していると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体ウェーハ等の基板に設けられたレジストの開口部の中にバンプ等のめっき膜を形成する場合、レジストは一般に濡れ性の悪い疎水性材料からなるため、めっき液がレジストの開口部内に浸入せず、図1(a)に仮想線で示すように、めっき液中に気泡508ができて、この気泡508がレジスト502の開口部502a内に残りやすくなってしまうという問題があり、めっき欠けやめっき抜け等のめっき欠陥の原因となっていた。
【0006】
このめっき欠けやめっき抜けを防止するため、めっき液に界面活性剤を加えてめっき液の表面張力を下げることによって、レジスト開口部へのめっき液の浸入を図ることも行われている。しかしながら、めっき液の表面張力が下がることによって、循環中にめっき液中に気泡が発生し易いという問題がある。また、めっき液に新たな界面活性剤を加えることによって、めっき析出に異常が起き、めっき膜への有機物の取込み量が増えて、めっき膜の特性に悪影響を与える恐れがあるなどの問題があった。
【0007】
一方、従来のディップ式を採用した電解めっき装置にあっては、気泡が抜けやすくできる反面、半導体ウェーハ等の基板をその端面と裏面をシールし表面(被めっき面)を露出させて保持する基板ホルダを備え、この基板ホルダを基板ごとめっき液中に浸漬させて基板の表面にめっきを施すようにしている。このため、基板のロードからめっき処理、更にはめっき後のアンロードまでを完全に自動化することが一般に困難であるといった問題があった。
【0008】
本発明は上記に鑑みて為されたもので、気泡の抜けが比較的よいディップ式を採用し、バンプ等の突起状電極に適しためっき膜を、装置全体のコンパクト化を図りつつ、自動的に形成できるようにしためっき装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、複数のめっき槽を備え、基板の表面に異なるめっき槽で順次めっきを行うめっき装置において、基板と該基板が入れられためっき槽のアノードとの間で単一のめっき電源から通電してめっきを行うことを特徴とするめっき装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記異なるめっき槽で異なる金属をめっきすることを特徴とする請求項1記載のめっき装置である。
請求項3に記載の発明は、基板がめっき槽に入れられたことを自動的に判別し、めっき電源を自動的に切換えて通電できるようにすることを特徴とする請求項1または2記載のめっき装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、めっき電源を節約でき、めっき電源の数が少なくてよいので、装置全体をコンパクトに構成できる。しかも、めっき電源に故障があった場合に、めっき前或いはめっき処置の状態でめっき作業を中断でき、これによって、基板をスクラップにすることなく、故障を修理した後のめっき電源を使用して再度めっきを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】基板上にバンプ(突起状電極)を形成する過程を工程順に示す断面図である。
【図2】めっき装置のめっき装置本体の全体配置図である。
【図3】基板ホルダの平面図である。
【図4】めっきユニットの拡大断面図である。
【図5】図2に示すめっき装置本体に各種装置を付属させためっき装置の全体構成を示す図である。
【図6】図5に示すめっき装置で一連のバンプめっき処理を行う時の基板保持部で基板ホルダから基板を取出すまでのブロック図である。
【図7】図5に示すめっき装置で一連のバンプめっき処理を行う時の基板保持部で基板ホルダから基板を取出した後のブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるめっき装置の概略を示す全体配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図2は、めっき装置のめっき装置本体の全体配置図を示す。図2に示すように、このめっき装置本体1には、装置フレーム2内に位置して、半導体ウェーハ等の基板Wを収納したカセット10を搭載する2台のカセットテーブル12と、基板のオリフラやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ14と、めっき処理後の基板を洗浄し高速回転させて乾燥させる洗浄乾燥装置16が同一円周方向に沿って備えられている。更に、この円周の接線方向に沿った位置には、基板ホルダ18を載置して基板の該基板ホルダ18との着脱を行う基板着脱部20が設けられ、これらの中心位置には、これらの間で基板を搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置22が配置されている。
【0014】
そして、装置フレーム2内には、基板着脱部20側から順に、基板ホルダ18の保管及び一時仮置きを行うストッカ24、基板を純水に浸漬させて濡らすことで基板表面の親水性を良くする親水処理を施すプリウェット槽(プリウェット部)26、例えば基板の表面に形成したシード層表面等のめっき下地面表面に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク槽(プリソーク部)28、基板の表面を純水で水洗する第1の水洗槽30a、洗浄後の基板の水切りを行うブロー槽32、第2の水洗槽30b及びめっき槽34が順に配置されている。このめっき槽34は、オーバーフロー槽36の内部に複数のめっきユニット38を収納して構成され、各めっきユニット38は、内部に1個の基板を収納して銅めっきを施すようになっている。
【0015】
なお、この例では、銅めっきについて説明するが、ニッケルやはんだ、更には金めっきにおいても同様であることは勿論である。
また、基板を純水中に浸漬させるプリウェット槽26でプリウェット部を構成した例を示しているが、スプレーにより基板表面に純水を噴き付けるプリウェット装置でプリウェット部を構成してもよい。このプリウェット槽26は、ほぼ真空または常圧から減圧された環境にあるか、またはプリウェット槽26内に供給される純水は、脱気装置により脱気されていることが好ましい。
【0016】
更に、この例では、1つのプリウェット槽(プリウェット部)26を備えた例を示しているが、プリウェット部として、例えば前述の脱気水によるディップ式を採用したものや、スプレー式を採用したもの等を複数種類備え、レシピでプリウェット部を任意に選択できるようにしてもよい。これにより、処理プロセスがプリウェット部の種類によって限定されることを防止して、多くの処理プロセスに対応できるようにすることができる。
【0017】
プリソーク槽28内に供給される処理液としては、硫酸や塩酸などの酸性薬液の他に、オゾン水、アルカリ性薬液、酸性脱脂剤、現像液を含む溶液、レジスト剥離液を含む溶液または電解水における還元水等が挙げられ、めっきの目的に合わせて任意に選択される。また、処理液として、オゾン水と酸性薬液を使用し、オゾン水で処理した後に酸性薬液で処理するようにしてもよく、更に、前記処理液として、酸性薬液または脱脂剤を使用し、該酸性薬液または脱脂剤中で基板をカソードとして電解するようにしてもよい。
【0018】
更に、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ18を基板Wとともに搬送する基板ホルダ搬送装置(基板搬送装置)40が備えられている。この基板ホルダ搬送装置40は、基板着脱部20とストッカ24との間で基板を搬送する第1のトランスポータ42と、ストッカ24、プリウェット槽26、プリソーク槽28、水洗槽30a,30b、ブロー槽32及びめっき槽34との間で基板を搬送する第2のトランスポータ44を有している。
【0019】
また、この基板ホルダ搬送装置40のオーバーフロー槽36を挟んだ反対側には、各めっきユニット38の内部に位置してめっき液を攪拌する掻き混ぜ棒としてのパドル202(図4参照)を駆動するパドル駆動装置46が配置されている。
【0020】
前記基板着脱部20は、レール50に沿って横方向にスライド自在な平板状の載置プレート52を備えており、この載置プレート52に2個の基板ホルダ18を水平状態で並列に載置して、この一方の基板ホルダ18と基板搬送装置22との間で基板の受渡しを行った後、載置プレート52を横方向にスライドさせて、他方の基板ホルダ18と基板搬送装置22との間で基板Wの受渡しを行うようになっている。
【0021】
前記基板ホルダ18は、図3に示すように、矩形平板状の固定保持部材54と、この固定保持部材54にヒンジ56を介して開閉自在に取付けたリング状の可動保持部材58とを有している。そして、この可動保持部材58の固定保持部材54と反対側に、締付けリング62が円周方向に沿った長穴62aとボルト64介して回転自在で脱出不能に保持されている。
【0022】
固定保持部材54には、可動保持部材58の周辺部に位置するように、逆L字状の爪66が円周方向に沿って等間隔で立設されている。一方、締付けリング62の外周面には、複数の突起部68が等間隔で一体に成形されているとともに、これを回転させるためのやや長穴とした通孔62bが図示では3カ所に設けられている。ここで、前記突起部68の上面及び爪66の下面は、回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパ面となっている。
【0023】
これにより、可動保持部材58を開いた状態で、固定保持部材54の中央部に基板Wを位置決めして挿入し、ヒンジ56を介して可動保持部材58を閉じた後、締付けリング62を時計回りに回転させ、締付けリング62の突起部68を逆L字状の爪66の内部に滑り込ませることで、固定保持部材54と可動保持部材58とを互いに締め付けてロックし、反時計回りに回転させて逆L字状の爪66から締付けリング62の突起部68を引き抜くことで、このロックを解くようになっている。
【0024】
そして、このようにして可動保持部材58をロックした時、下動保持部材58の固定保持部材54側の表面に設けたシールパッキン(図示せず)が基板の表面に圧接して、ここを確実にシールし、同時に、固定保持部材54に配置された外部電極(図示せず)と基板Wとが、シールパッキンでシールされた位置で電気的に接続するようになっている。
【0025】
可動保持部材58の開閉は、図示しないシリンダと可動保持部材58の自重によって行われる。つまり、固定保持部材54には通孔54aが設けられ、載置プレート52のこの上に基板ホルダ18を載置した時に該通孔54aに対向する位置にシリンダが設けられている。これにより、シリンダロッドを伸展させ通孔54aを通じて可動保持部材58を上方に押上げることで可動保持部材58を開き、シリンダロッドを収縮させることで、可動保持部材58をその自重で閉じる。
【0026】
この例にあっては、締付けリング62を回転させることにより、可動保持部材58のロック・アンロックを行うようになっているが、このロック・アンロック機構は、天井側に設けられている。つまり、このロック・アンロック機構は、載置プレート52の上に基板ホルダ18を載置した時、この中央側に位置する基板ホルダ18の締付けリング62の各通孔62bに対応する位置に位置させたピンを有し、載置プレート52を上昇させ、通孔62b内にピンを挿入した状態でピンを締付けリング62の軸芯周りに回転させることで、締付けリング62を回転させるように構成されている。このロック・アンロック機構は、1個備えられ、載置プレート52の上に載置した2個の基板ホルダ18の一方をロック(またはアンロック)した後、載置プレート52を横方向にスライドさせて、他方の基板ホルダ18をロック(またはアンロック)する。
【0027】
また、基板ホルダ18には、基板Wを装着した時の該基板Wと接点との接触状態を確認するセンサが備えられ、このセンサからの信号がコントローラ(図示せず)に入力されるようになっている。
【0028】
基板ホルダ18の固定保持部材54の端部には、基板ホルダ18を搬送したり、吊下げ支持したりする際の支持部となる一対の略T字状のハンド76が連接されている。そして、ストッカ24内においては、この周壁上面にハンド76の突出端部を引っかけることで、これを垂直に吊下げ保持し、この吊下げ保持した基板ホルダ18のハンド76を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で把持して基板ホルダ18を搬送するようになっている。なお、プリウェット槽26、プリソーク槽28、水洗槽30a,30b、ブロー槽32及びめっき槽34内においても、基板ホルダ18は、ハンド76を介してそれらの周壁に吊下げ保持される。
【0029】
図4は、めっきユニット38の断面を示す。同4に示すように、めっきユニット38の内部には、所定の位置に基板Wを装着した基板ホルダ18を配置した時、この基板Wの表面と対面する位置にアノード200が配置され、このアノード200と基板Wとの間にパドル(掻き混ぜ棒)202がほぼ垂直に配置されている。このパドル202は、パドル駆動装置46によって、基板Wと平行に往復移動できるようになっている。
【0030】
このように、基板Wとアノード200との間にパドル202を配置し、これを基板Wと平行に往復移動させることで、基板Wの表面に沿っためっき液の流れを該表面の全面でより均等にして、基板Wの全面に亘ってより均一な膜厚のめっき膜を形成することができる。
また、この例では、パドル202とアノード200との間に、基板Wの大きさに見合った中央孔204aを設けたレギュレーションプレート(マスク)204を配置している。これにより、基板Wの周辺部の電位をレギュレーションプレート204で下げて、めっき膜の膜厚をより均等化することができる。
【0031】
アノード200は、アノードホルダ206に保持され、アノードホルダ206は、その上端において、めっきユニット38の周壁上面に吊下げ支持されている。そして、めっきユニット38の周壁上面のアノードホルダ206の仮想線で示された吊下げ部212には、アノード重量測定部としてのロードセル208が取付けられ、このロードセル208によって、アノード200の重量がアノードホルダ206と共に測定されるようになっている。
このように、ロードセル208を介してアノード200の重量を直接的に測定することにより、例えば従来一般に行われている通電量などからアノードの重量を間接的に推定する方式に比べ、アノード200の消耗量を正確に把握して、アノード200の交換時期を正確に判定することができる。しかも、めっき中でもアノード200の重量を測定して、連続運転中にあってもアノード200の交換時期を正確に予測して、計画的にめっき装置を運転することができる。
【0032】
また、アノード200を陽極に、基板ホルダ18を介して該基板ホルダ18で保持した基板Wのシード層500(図1参照)を陰極にそれぞれ接続して給電する電源210が備えられている。この電源210は、めっき槽34内に備えられた図示しない空電解用のアノードとカソードとの間に通電して、例えばめっき液の交換時に空電解を行う空電解用電源を兼用するようになっている。つまり、この電源210は、前述のように、アノード200と基板Wのシード層500との間に通電してめっきを行い、空電解用のアノードとカソードとの間に切換えて通電することで、空電解を行うようになっている。
【0033】
めっき液の交換時などに空電解用として使用する電源(空電解用電源)は、めっき処理中には働かず、使われない時間が長くて不経済である。このため、空電解を行う時とめっきを行う時で、単一の電源210を切換えて使用することで、空電解専用の電源を不要となして、めっき電源を節約することができる。
この電源210は、空電解を終了した後、自動的にめっきを行うように切換わるようになっていることが、電源の切換えを行う手間を省く上で好ましい。
【0034】
図5は、図2に示すめっき装置本体1に、各種装置を付属させためっき装置の全体構成を示す。なお、図5には、以下の各種装置が、めっき装置本体1の装置フレーム2の外部に設置されているように図示されているが、実際には、これらの各種装置は、めっき装置本体1の装置フレーム2の内部に設置されている。これらの各種装置の一部または全部をめっき装置本体1の装置フレーム2の外部に設置してもよいことは勿論である。
【0035】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、基板表面に塗布したレジスト502(図1参照、以下同じ)にアッシング処理を施すアッシング装置300が設置されている。このアッシング装置300は、プラズマ、紫外線や遠紫外線などの高エネルギ光または電磁波をレジスト502に向けて照射し、高エネルギのイオン、光子または電子をレジスト502に衝突させること、および、前記高エネルギのイオン、光子または電子によって発生した活性ガスにより、レジスト502を構成する有機物から、水素の引抜きや主鎖、側鎖の切断等を行うことで、レジスト502の表面のアッシング処理を行うようになっている。
【0036】
レジストをマスクとして基板表面にめっきを施すと、レジストによってめっき処理表面が疎水性を有し、めっき液と良好に接触せずにめっき欠けなどのめっき欠陥を生じることが多い。この例のように、めっき前に基板表面に塗布したレジスト502にアッシング処理を施してレジスト502の表面を疎水性から親水性に改質することで、めっき処理表面をめっき処理液に良好に接触しやすいものとすることができる。また、アッシング後の基板表面に、前述のように、プリウェット槽26で親水処理を施すことで、レジスト502に形成された開口部502a(図1参照、以下同じ)内のガスを水に置換し、めっき処理液が水と置換するようすることができる。これらによって、めっき欠けなどのめっき欠陥の発生を防止することができる。
【0037】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、めっき槽34に供給するめっき液の成分を管理するめっき液管理装置302が設置されている。このめっき液管理装置302は、は、めっき槽34からめっき液をサンプル抽出して分析し、その分析結果によるフィードバック制御、またはめっき処理時間やめっきした基板数等の外乱を予測してのフィードフォワード制御、または両者の併用により、めっき液において所定量から不足する成分を追加補給することで、めっき液の各成分を所定の範囲に維持するようになっている。
【0038】
このように、めっき液管理装置302を備えることで、従来、人手に頼っていためっき液成分の分析及びめっき液の各成分の不足分投入を、めっき液管理装置302により自動的に行って、めっき槽34に供給されるめっき液の各成分を所定の範囲に納めることができる。このように、管理されためっき液によるめっき処理を行うことで、基板上に形成されるめっき膜の性能(成分)、外観及び膜厚均一性を良好に保つことができる。
【0039】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、コンピュータの通信ネットワークにより情報を伝達する通信装置304が設置されている。この通信装置304は、めっき装置本体1の各機器(装置)、前述のアッシング装置300及びめっき液管理装置302、更には下記の各装置を繋ぐ通信ネットワークを通じて、例えばめっき結果等の情報を必要な機械等に伝達するようになっている。このように、通信装置304を通じて必要な情報を交互に伝達し、この情報を基に機械等を制御することで、一連のめっき処理の全自動化を図ることができる。
【0040】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、前記基板上に積層したマスク用のレジスト502を、例えば温度が50〜60℃のアセトン等の溶剤に浸漬させてめっき後に剥離して除去するレジスト剥離装置306、基板の表面に形成され、めっき後に不要となったシード層500(図1参照、以下同じ)を除去するシード層除去装置308、基板の表面に形成されためっき膜504(図1参照、以下同じ)をアニールするアニール装置310及び基板の表面に形成されためっき膜504をリフローするリフロー装置312が設置されている。
【0041】
この例では、アニール装置310とリフロー装置312を備え、リフロー装置312でめっき膜504をリフローさせることで、表面張力で丸くなったバンプ506(図1参照、以下同じ)を形成するか、またはアニール装置310で、例えば、100℃以上の温度でめっき膜504をアニールして、バンプ506内の残留応力を除去するようにしている。熱処理装置により、リフローとアニールを同時、または個別に行うようにしてもよい。
【0042】
なお、レジスト剥離装置306やシード層除去装置308として、基板を基板ホルダで保持したまま、レジストの剥離やシード層の除去を行えるようにしたものを使用することが連続的に作業を行う上で好ましい。また、またレジスト剥離後またはシード層除去後の基板を基板カセットに戻すようにしてもよい。
【0043】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、めっき直後の基板表面に中和処理を施す中和処理槽からなる中和処理装置314が設置されている。この中和処理装置(中和処理槽)314は、めっき処理され水洗により洗浄された基板を、めっき基本液と逆特性の弱酸または弱アルカリからなる中和処理液中に浸漬させることで、基板に中和処理を施すようになっている。
【0044】
基板にめっき処理を施した後では、洗浄後にもめっき基本液に含まれる酸またはアルカリ成分が残存する恐れがあるが、この例によれば、めっき直後の基板に中和処理を施すことで、めっき後のレジスト剥離やシード層除去などの工程に酸またはアルカリによる悪影響を及ぼす恐れをなくすことができる。中和処理液としては、例えば、弱アルカリ液としてリン酸3ナトリウム(第3リン酸ソーダ)が挙げられる。
【0045】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、基板の表面に形成されためっき膜504の外観を、例えば接触または非接触で検査する外観検査装置316が設置されている。この外観検査装置316でめっき膜504の外観検査を行い、この検査結果により、前述の通信装置304を通して、操作者に外観不良が発生したことを知らせ、めっき装置を一時停止させるとともに、外観不良が発生した基板を基板処理データに記録する。これにより、外観不良基板の増加を抑え、かつ外観不良が発生した基板を記録により除外することができる。
【0046】
めっき液や基板などの異常や装置異常などの諸要因により、めっき処理により基板上に形成されためっき膜504に外観不良が生じる恐れがあり、外観不良が生じた場合に、めっき装置を停止させることなく、被めっき基板にめっき処理を行い続けることと、不良基板を増加させることにつながる。この例によれば、このような弊害を防止することができる。
【0047】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、基板の表面に形成されためっき膜504の膜厚を、例えば接触または非接触で測定する膜厚測定装置318が設置されている。この膜厚測定装置318により、基板上に形成されためっき膜504の膜厚の面内分布を測定し、この測定結果を基に、基板の良、不良を判断し、不良基板を記録するとともに、前述の通信装置304を通して、記録される不良発生率により装置を一時停止させて操作者に異常を知らしめる。
【0048】
基板上に施すめっきのパターンや装置、めっき液、基板の状態等の影響により、基板上に形成されるめっき膜の膜厚にばらつきが生じ、場合によっては、めっき膜の膜厚の面内均一性が仕様外となる恐れもある。続けて装置を稼動し次から次へと基板にめっき処理を続ければ、不良基板の増大を招く恐れもある。また、例え仕様内であっても、めっき形状により、その後の工程において研磨を必要とし、必要研磨量を設定する必要が生じる。この例によれば、めっき膜504の膜厚を膜厚測定装置318で測定することで、めっき膜厚の面内均一性の不良な基板を除外し、良好のものについては、そのめっき膜厚分布を基にして、下記の研磨装置322によるめっき膜の研磨量を設定することができる。
【0049】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、めっき膜504が形成される領域の実面積を、例えば基板に通電することで、めっき前に測定するめっき面積測定装置320が設置されている。めっきの電解条件を設定するには、めっき面積が必要不可欠な情報であるが、めっき面積が不明であったり、大まかでしか判らない場合がある。このような場合に、めっき膜504が形成される実面積(めっき面積)をめっき前に測定することで、めっき電解条件によって定まる電流値を正確に設定でき、設定されためっき時間で正確に所定の膜厚のめっき膜を得ることができる。特に、基板に枚葉式でめっきを施す場合、電流密度と時間を設定するのみで、めっき面積が各々異なるを基板に所定の膜厚のめっきを施すことが可能となり、レシピ設定を大幅に容易なものとすることができる。
【0050】
めっき面積測定装置として、めっき前に基板の表面を光学的に走査してめっき面積を測定するようにしたものを使用してもよい。例えば、周縁部をシールして基板ホルダで着脱自在に保持されて、被めっき面が外部に露出している基板にあっては、基板の表面を光学的に走査(スキャン)することで、めっき面積を容易かつ敏速に測定することができる。
【0051】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、基板に形成されためっき膜504(図1参照)の表面を、例えば化学的機械的研磨(CMP)または機械的研磨(MP)により研磨して膜厚を調整する研磨装置322が設置されている。
【0052】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、めっき槽34に薬液を供給し回収する薬液供給回収装置324が設置されている。このように、薬液供給回収装置324により、薬液をめっき装置本体1内のめっき槽34に供給し該めっき槽34から回収することにより、取扱いによっては、強腐食性や有毒性などの装置のみならず人体にも悪影響を及ぼす薬液を、人手を極力介することなく安全に労少なく取り扱うことができる。
【0053】
薬液供給回収装置324は、交換可能に取付けた薬液容器からめっき槽34に薬液を供給し、該薬液容器内に薬液を回収するよう構成されている。つまり、薬液容器として、市販の薬液タンクまたはボトルを使用し、市販の薬液タンクまたはボトルを交換可能に取付けることで、市販の薬液タンクまたはボトルからめっき槽34に薬液を直接供給し、まためっき槽34から市販の薬液タンクまたはボトルに薬液を直接回収するようになっている。そして、薬液供給時には、薬液タンクまたはボトルが空になった時に、前述の通信装置304を通して、操作者に薬液タンクまたはボトルに薬液の補充もしくは充填された薬液タンクまたはボトルへの交換のシグナルを発して薬液の供給を一時停止し、薬液タンクまたはボトルの状態が補充や交換により満液になり次第薬液の供給を再開する。薬液回収時には、薬液タンクまたはボトルが満液になった時に、前述の通信装置304を通して、操作者に空の薬液タンクまたはボトルへの交換もしくは薬液タンクまたはボトルからの薬液の排出を促すシグナルを発して薬液の回収を一時停止し、薬液タンクまたはボトルの状態が交換もしくが排出により空になり次第、薬液の回収を再開する。
【0054】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、例えば活性炭フィルタによりめっき液成分中に含まれる有機物成分を除去してめっき液を再生するめっき液再生装置326が設置されている。そして、交換可能な活性炭フィルタを有するめっき液再生装置326とめっき槽34をめっき液が通過するめっき液循環系(図示せず)を形成し、めっき液再生装置326内の活性炭フィルタにめっき液をめっき液循環系により通すことで、めっき液成分中のめっき液添加剤である有機物を除去し、めっき槽34内に添加剤成分(有機物成分)を除いためっき液を戻すようになっている。
【0055】
このように、めっき処理の課程で、例えばめっき液成分内の有機物である添加剤や界面活性剤等の成分比率が過剰になって所定のめっき液成分構成から外れためっき液や、添加剤や界面活性剤が消費分解され、めっき液中に老廃物として滞留しているめっき液を、全交換することなく、めっき液再生装置326で再生することで、新液に交換する費用および作業を大幅に省くことができる。特に、前述のめっき液管理装置302と併用することで、めっき液を新液同様に再生することができる。
【0056】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、例えば吸収液による湿式処理、吸収剤による乾式処理または冷却による凝縮液化処理によって、めっき装置内から発生したガスやミストから有害物を除去し、無害化したガスをダクトにより装置外に排出する排気処理装置328が設置されている。
【0057】
めっき装置内で発生するガスやミストは、一般に他の機器や設備に有害である。また、めっき装置からの排気ダクトは、一般に設備の集合排気ダクトに接続されて合流され、そのため未処理の排気が他装置からの排気と反応し設備側や他装置に悪影響を及ぼす恐れがある。この例によれば、排気処理装置328で有害ガスおよびミストを除去した排気を設備集合ダクトに導くことで、設備および他装置に悪影響を及ぼす恐れをなくし、設備側の除害負荷を低減することができる。
【0058】
なお、図示しないが、例えば、酸系めっき液を使用しためっきと、シアン系めっき液を使用しためっきを行う場合にあっては、酸系めっき液とシアン系めっき液とを仕切りで仕切った各部屋に設けためっき槽にそれぞれ保持し、この仕切りで仕切った各部屋に酸系排気口とシアン系排気口を別々に設けて、酸系めっき液に使用しためっきによって発生する酸とシアン系めっき液を使用しためっきによって発生するシアンと別々に排気するようにすることが好ましい。
【0059】
酸系めっき液を使用しためっきと、シアン系めっき液を使用しためっきを同じめっき装置で行うと、液やガスが混合してシアンガスが発生する危険性があり、これを避けるため、従来、これらのめっきは、一般に別々のめっき装置で行われていた。この例によれば、酸系めっき液に使用しためっきによって発生する酸とシアン系めっき液を使用しためっきによって発生するシアンと別々に排気して、液やガスが混合してシアンガスが発生することを防止することで、酸系めっき液を使用しためっきと、シアン系めっき液を使用しためっきを同じめっき装置で連続して行うことができる。
前記シアン系めっき液としては、例えば金めっき液または銀めっき液が挙げられる。
【0060】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、めっき処理工程において使用されて排出される排水を再生処理し、再生後の一部もしくは全てを再びめっき処理工程に再利用し、その他の残りを設備外に排水する排水再生処理装置330が設置されている。
【0061】
めっき処理工程における洗浄工程では、多量の洗浄水を必要とし、多量の高度に清浄な洗浄水と使用した排水の処理を設備に求めることは、既設設備に多大な負荷をかけることになる。この例によれば、めっき装置で使用した処理水の再生処理による完全または部分的なクローズドシステムを構築し、これによって、設備に要求する高度に清浄な洗浄水量を減少させ、排水処理能力を低減させることができる。
【0062】
めっき装置本体1の装置フレーム2の内部には、電解処理部、イオン交換処理部、活性炭処理部及び凝集沈殿処理部のうちの少なくとも1つを有し、めっき液中に混入した金属不純物や有機不純物、または生成した分解生成物を除去する薬液調整装置332が設置されている。
めっき処理工程において使用するめっき液にあっては、析出膜の評価特性を一定に保つため、めっき液中に混入した不純物や分解生成物の蓄積の程度により、定期的にめっき液を更新する必要があり、老化しためっき液は、金めっきなどの特定金属の場合を除き廃棄処分され、コスト及び環境面から負荷がかかる。この例によれば、老化しためっき液中に含まれる不純物や分解生成物を、薬液調整装置332でめっき液から除去することで、めっき液の更新周期を延ばし、コスト及び環境面の負荷を軽減することができる。
【0063】
次に、図6及び図7を更に参照して、めっき装置による一連のバンプめっき処理を説明する。先ず、図1(a)に示すように、表面に給電層としてのシード層500を成膜し、このシード層500の表面に、例えば、高さHが20〜120μmのレジスト502を全面に塗布した後、このレジスト502の所定の位置に、例えば、直径Dが20〜200μm程度の開口部502aを設けた基板をその表面(被めっき面)を上した状態でカセット10に収容し、このカセット10をカセットテーブル12に搭載する。
【0064】
このカセットテーブル12に搭載したカセット10から、基板搬送装置22で基板を1枚取出し(ロード)、アライナ14に載せて基板のオリフラやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。このアライナ14で方向を合わせた基板をアッシング装置300に搬送し、基板表面のレジスト502にアッシングによる親水化処理を施す。しかる後、アッシング後の基板を基板搬送装置22で基板着脱部20まで搬送する。
【0065】
基板着脱部20においては、ストッカ24内に収容されていた基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40で2基同時に把持して基板着脱部20まで搬送し、90゜回転させて水平な状態とする。しかる後、基板ホルダ18下降させ、これによって、2基の基板ホルダ18を基板着脱部20の載置プレート52の上に同時に載置し、シリンダを作動させて基板ホルダ18の可動保持部材58を開いた状態にしておく。
【0066】
この状態で、中央側に位置する基板ホルダ18に基板搬送装置22で搬送した基板を挿入し、シリンダを逆作動させて可動保持部材58を閉じ、しかる後、ロック・アンロック機構で可動保持部材58をロックする。そして、一方の基板ホルダ18への基板の装着が完了した後、載置プレート52を横方向にスライドさせて、同様にして、他方の基板ホルダ18に基板を装着し、しかる後、載置プレート52を元の位置に戻す。
【0067】
これにより、基板は、そのめっき処理を行う面を基板ホルダ18の開口部から露出させた状態で、周囲をシールパッキン(図示せず)でめっき液が浸入しないようにシールされ、シールによってめっき液に触れない部分において、複数の接点と電気的に導通するように固定される。ここで、接点からは基板ホルダ18のハンド76まで配線が繋がっており、ハンド76の部分に電源を接続することにより基板のシード層500に給電することができる。
【0068】
次に、基板を装着した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で2基同時に把持し、上昇させた後、ストッカ24まで搬送し、90゜回転させて基板ホルダ18を垂直な状態となし、しかる後、下降させて、2基の基板ホルダ18をストッカ24に吊下げ保持(仮置き)する。これらの基板搬送装置22、基板着脱部20及び基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42においては、前記作業を順次繰り返して、ストッカ24内に収容された基板ホルダ18に順次基板を装着し、ストッカ24の所定の位置に順次吊下げ保持(仮置き)する。
【0069】
なお、基板ホルダ18に備えられていた基板と接点との接触状態を確認するセンサで、この接触状態が不良である判断とした時には、その信号をコントローラ(図示せず)に入力する。
【0070】
一方、基板ホルダ搬送装置40の他方のトランスポータ44にあっては、基板を装着しストッカ24に仮置きした基板ホルダ18を2基同時に把持し、上昇させた後、プリウェット槽26まで搬送して下降させ、これによって、2基の基板ホルダ18をプリウェット槽26内に入れた、例えば純水に浸漬させて基板の表面を濡らして表面の親水性を良くする。なお、基板の表面を濡らし穴の中の空気を液に置換して親水性をよくできるものであれば、純水に限らないことは勿論である。また、前述のように、複数種類のプリウェット部を備え、前記親水処理を、2種類以上のプリウェット部で連続して行うようにしてもよく、これにより、より多くの処理プロセスに対応できるようにすることができる。
【0071】
なお、この時、基板ホルダ18に備えられていた基板と接点との接触状態を確認するセンサで、この接触状態が不良であると判断した基板を収納した基板ホルダ18は、ストッカ24に仮置きしたままにしておく。これにより、基板ホルダ18に基板を装着した時に該基板と接点との間に接触不良が生じても、装置を停止させることなく、めっき作業を継続することができる。この接触不良を生じた基板にはめっき処理が施されないが、この場合には、カセットを戻した後にめっき未処理の基板をカセットから排除することで、これに対処することができる。
【0072】
次に、この基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、プリソーク槽28に搬送し、プリソーク槽28に入れた硫酸や塩酸などの処理液に基板を浸漬させてシード層500の表面に存在する電気抵抗の大きい酸化膜をエッチングし、清浄な金属面を露出させる前処理を行う。そして、この前処理後の基板をめっき面積測定装置320に搬送し、例えばシード層500に通電することによって、めっき膜504が形成される領域の実面積を測定する。そして、この基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、水洗槽30aに搬送し、この水洗槽30aに入れた純水で基板の表面を水洗する。
【0073】
水洗が終了した基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、めっき液を満たしためっき槽34に搬送し、めっきユニット38に吊下げ保持する。基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44は、上記作業を順次繰り返し行って、基板を装着した基板ホルダ18を順次めっき槽34のめっきユニット38に搬送して所定の位置に吊下げ保持する。全ての基板ホルダ18の吊下げ保持が完了した後、オーバーフロー槽36にめっき液をオーバーフローさせながら、アノード200と基板のシード層500との間にめっき電圧を印加し、同時にパドル駆動装置46によりパドル202を基板の表面と平行に往復移動させることで、基板の表面にめっきを施す。この時、基板ホルダ18は、めっきユニット38の上部でハンド76により吊下げられて固定され、めっき電源からハンド固定部、ハンド、接点を通してシード層500に給電される。
【0074】
めっきが終了した後、めっき電源の印加、めっき液の供給及びパドル往復運動を停止し、めっき後の基板を装着した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44で2基同時に把持し、前述と同様にして、水洗槽30bまで搬送し、この水洗槽30bに入れた純水に浸漬させて基板の表面を純水洗浄する。次に、この基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、中和処理装置(中和処理槽)314に搬送し、この内部の中和処理液に基板を浸漬させて中和処理し、この中和処理後の基板及び基板ホルダ18を水洗する。しかる後、基板を装着した基板ホルダ18をブロー槽32に搬送し、ここで、エアの吹き付けによって基板ホルダ18及び基板に付着した水滴を除去し乾燥させる。そして、この乾燥後の基板を装着した基板ホルダ18を、前記と同様にして、ストッカ24の所定の位置に戻して吊下げ保持する。
【0075】
基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ44は、上記作業を順次繰り返し、めっきが終了した基板を装着した基板ホルダ18を順次ストッカ24の所定の位置に戻して吊下げ保持する。
【0076】
一方、基板ホルダ搬送装置40の他方のトランスポータ42にあっては、めっき処理後の基板を装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18を2基同時に把持し、前記と同様にして、基板着脱部20の載置プレート52の上に載置する。この時、基板ホルダ18に備えられていた基板と接点との接触状態を確認するセンサで、この接触状態が不良である判断とした基板を装着しストッカ24に仮置きしたままの基板ホルダ18も同時に搬送して載置プレート52の上に載置する。
【0077】
そして、中央側に位置する基板ホルダ18の可動保持部材58のロックを、ロック・アンロック機構を介して解き、シリンダを作動させて可動保持部材58を開く。この状態で、基板ホルダ18内のめっき処理後の基板を基板搬送装置22で取出して洗浄乾燥装置16に運び、この洗浄乾燥装置16で基板を洗浄し、更に高速回転させてスピンドライ(乾燥)させる。そして、載置プレート52を横方向にスライドさせて、同様にして、他方の基板ホルダ18に装着した基板を洗浄し乾燥させる。
【0078】
載置プレート52を元の状態に戻した後、基板を取出した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40のトランスポータ42で2基同時に把持し、前記と同様にして、これをストッカ24の所定の場所に戻す。しかる後、めっき処理後の基板を装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18を基板ホルダ搬送装置40で2基同時に把持し、前記と同様にして、基板着脱部20の載置プレート52の上に載置して、前記と同様な作業を繰り返す。これにより、めっき処理後の基板を装着しストッカ24に戻した基板ホルダ18から全ての基板を順次取出して洗浄し乾燥させる。これにより、図1(b)に示すように、レジスト502に設けた開口部502a内にめっき膜504を成長させた基板Wが得られる。
【0079】
次に、洗浄し乾燥させた基板を外観検査装置316に搬送し、ここで基板の表面に形成されためっき膜504の外観を検査する。そして、この外観検査後の基板をレジスト剥離装置306に搬送し、ここで、例えば温度が50〜60℃のアセトン等の溶剤に基板を浸漬させて、図1(c)に示すように、基板上のレジスト502を剥離除去する。しかる後、このレジスト502を除去した基板を洗浄し乾燥させる。
【0080】
この洗浄後の基板を、膜厚測定装置318に搬送し、ここでめっき膜504の膜厚分布を測定し、この膜厚測定後の基板をシード層除去装置308に搬送し、ここで、図1(d)に示すように、めっき後の外部に露出する不要となったシード層500を除去する。しかる後、この不要となったシード層500を除去した基板を洗浄し乾燥させる。
【0081】
次に、この基板Wを、例えば拡散炉からなるリフロー装置312に搬送し、めっき膜504をリフローさせることで、図1(e)に示すように、表面張力で丸くなったバンプ506を形成する。または、この基板Wをアニール装置310に搬送し、例えば、100℃以上の温度でアニールして、バンプ506内の残留応力を除去する。しかる後、このリフローまたはアニール後の基板を洗浄し乾燥させる。
【0082】
そして、この洗浄後の基板を研磨装置322に搬送し、ここでバンプ506(めっき膜504)の表面を研磨して、この膜厚を調整し、この研磨後の基板を洗浄し乾燥させる。しかる後、この基板をカセット10に戻して(アンロード)、一連の作業を完了する。
【0083】
なお、この例では、基板搬送装置22として、ドライハンドとウェットハンドを有するロボットを使用し、基板ホルダ18からめっき後の基板を取出す時にのみウェットハンドを使用し、他はドライハンドを使用するようにしている。基板ホルダ18のシールによって基板の裏面はめっき液に接触しないように保たれており、原則的にはウェットハンドとすることは必ずしも必要ではないが、このようにハンドを使い分けることで、リンス水の回り込みやシール不良によるめっき液汚染が生じた場合、この汚染が新しい基板の裏面を汚染することを防止することができる。
【0084】
なお、多層めっきによるバンプとしては、Ni−Cu−はんだ、Cu−Au−はんだ、Cu−Ni−はんだ、Cu−Ni−Au、Cu−Sn、Cu−Pd、Cu−Ni−Pd−Au、Cu−Ni−Pd、Ni−はんだ、Ni−Au等がある。ここで、このはんだは、高融点はんだと共晶はんだのどちらでもよい。また、Sn−Agの多層めっきによるバンプ、またはSn−Ag−Cuの多層めっきによりバンプを形成し、前述のように、リフローを施してこれらの合金化を図ることもできる。これにより、従来のSn−Pbはんだとは異なり、Pbフリーとして、鉛による環境問題を解消することができる。
【0085】
以上説明したように、このめっき装置によれば、基板を収納したカセットをカセットテーブルにセットして装置を始動することで、ディップ式を採用した電解めっきを全自動で行って、基板の表面にバンプ等に適した金属めっき膜を自動的に形成することができる。
【0086】
なお、上記例は、基板ホルダで基板の周縁部及び裏面をシールして保持した状態で、基板を基板ホルダと共に搬送して各種の処理を施すようにした例を示しているが、例えばラック式の基板搬送装置に基板を収納して基板を搬送するようにしてもよい。この場合、例えば基板の裏面に熱酸化膜(Si酸化膜)を付けたり、フィルムを粘着テープによって貼り付けることで、基板の裏面にめっきが付かないようにすることができる。
【0087】
また、上記例は、ディップ方式を採用した電解めっきを全自動で行って、バンプを形成するようにした例を示しているが、めっき液を下から噴き上げてめっきを施す噴流式またはカップ式の電解めっきを全自動で行って、バンプを形成するようにしてもよい。このことは、下記の例においても同様である。
【0088】
図8は、本発明の実施の形態におけるめっき装置の概略を示す全体配置図である。図8に示すように、このめっき装置は、内部に基板を収納したカセット400を搬入及び搬出するロード・アンロード部402、めっき処理する基板のサイズにそれぞれ対応した複数種類の治具(基板ホルダ)をストックする治具ストッカ部404、治具や基板を該基板を保持した治具ごと搬送する搬送部406、及びめっき装置本体408から主に構成されている。
【0089】
ロード・アンロード部402の内部に搬入したカセット400を載置するカセット載置部には、ここに載置されたカセット400の内部に収容されている基板のサイズを判断するセンサ410が備えられている。また、ロード・アンロード部402の内部の治具ストッカ部404側の側部には、カセット400内に収容されて搬送ロボット(図示せず)で搬送された基板を治具に脱着させる基板着脱部412が設けられている。
【0090】
治具ストッカ部404の内部には、例えば図3に示すのとほぼ同様な構成の基板ホルダからなり、外形形状は同じであるが、例えば直径200mmのウェーハを着脱自在に保持するようにした治具や、直径300mmのウェーハを着脱自在に保持するようにした治具等、めっき処理する基板のサイズにそれぞれ対応した複数種類の治具(基板ホルダ)がストックされている。
【0091】
めっき装置本体408の内部には、異なる種類のめっきを行う複数種類のめっき槽、この例では、銅めっきを行う銅めっき槽414aと、ニッケルめっきを行うニッケルめっき槽414bと、金めっきを行う金めっき槽414cが収容されている。そして、基板は、搬送部406により、これらのめっき槽414a〜414cに順次搬送され、これらのめっきが順次行われて、基板の上に、Cu−Ni−Auの多層めっきからなるバンプが形成されるようになっている。
なお、これは一例であり、めっき槽はこれらに限定されないことは勿論である。
【0092】
更に、この例では、めっき装置本体408に単一のめっき電源416が備えられ、切換え器418を介して電源を切換えて、基板と該基板が入れられためっき槽のアノードとの間で単一のめっき電源408から通電することで、銅めっき槽414a、ニッケルめっき槽414b及び金めっき槽414cにより順次めっきが行われるようになっている。
このように単一のめっき電源408を使用することで、めっき電源を節約でき、めっき電源の数が少なくてよいので、装置全体をコンパクトに構成できる。しかも、めっき電源に故障があった場合に、めっき前或いはめっき処置の状態でめっき作業を中断でき、これによって、基板をスクラップにすることなく、故障を修理した後のめっき電源を使用して再度めっきを行うことができる。
【0093】
次に、このめっき装置によるめっき処理について説明する。先ず、図1(a)に示すように、表面にシード層500を成膜し、このシード層500の表面にレジスト502を全面に塗布した後、このレジスト502の所定の位置に、開口部502aを設けた基板を収容したカセット400をロード・アンロード部402内に搬入し、このロード・アンロード部402のカセット載置部に載置する。この時、カセット載置部に設置されているセンサ410は、このカセット400に収容されている基板のサイズを判断して、この信号を制御部(図示せず)に送る。
【0094】
制御部は、搬送部406に信号を送り、搬送部406は、ロード・アンロード部402に搬入されたカセット400に収容されている基板のサイズに適した治具を選択して治具ストッカ部404から取出して基板脱着部412に搬送する。そして、この基板脱着部412で、搬送ロボット(図示せず)でカセット400から取出して基板脱着部412に搬送した基板を治具で保持する。
【0095】
搬送部406は、基板を該基板を保持した治具ごと把持し、基板の表面に前処理等の必要な処理を施した後、先ず銅めっき槽414aに搬送し、この銅めっき槽414a内のめっき液に浸漬させる。これによって、シード層500の表面に銅めっき膜を形成する。次に、基板を該基板を保持した治具ごとニッケルめっき槽414bに搬送し、このニッケルめっき槽414b内のめっき液に浸漬させて、銅めっき膜の表面にニッケルめっき膜を形成する。更に金めっき槽414cに搬送し、この金めっき槽414C内のめっき液に浸漬させて、ニッケルめっき膜の表面に金めっき膜を形成する。これによって、Cu−Ni−Au合金めっきからなるバンプを形成し、このバンプを形成した基板を基板脱着部412からカセット400に戻す。なお、これらの処理の間に、または処理後に、洗浄等の必要な処理を施すことは前述の例と同様である。
【0096】
めっき装置は、めっきを行う基板のサイズに合わせた専用装置とすると、複数サイズに対応するためには、複数サイズに個々に対応しためっき装置が必要となり、その分、クリーンルーム内の設置場所や電源などのユーティリティが必要となる。この例によれば、1台のめっき装置で複数サイズの基板をめっきすることができ、これによって、高価なクリーンルームの省スペース化、省エネルギー化及び低コストを図りつつ、マルチサイズの基板のめっきを行うことができる。
【符号の説明】
【0097】
1 めっき装置本体
2 装置フレーム
10 カセット
12 カセットテーブル
14 アライナ
16 洗浄乾燥装置
18 基板ホルダ
20 基板着脱部
22 基板搬送装置
24 ストッカ
26 プリウェット槽(プリウェット部)
28 プリソーク槽(プリソーク部)
30a,30b 水洗槽
32 ブロー槽
34 めっき槽
36 オーバーフロー槽
38 めっきユニット
40 基板ホルダ搬送装置
46 パドル駆動装置
54 固定保持部材
56 ヒンジ
58 可動保持部材
62 リング
200 アノード
202 パドル
204 レギュレーションプレート
204a 中央孔
206 アノードホルダ
208 ロードセル(アノード重量測定部)
210 電源
212 アノードホルダ吊下げ部
300 アッシング装置
302 めっき液管理装置
304 通信装置
306 レジスト剥離装置
308 シード層除去装置
310 アニール装置
312 リフロー装置
314 中和処理装置
316 外観検査装置
318 膜厚測定装置
320 面積測定装置
322 研磨装置
324 薬液供給回収装置
326 めっき液再生装置
328 排気処理装置
330 排水再生処理装置
332 薬液調整装置
402 ロード・アンロード部
404 治具ストッカ部
406 搬送部
408 めっき装置本体
410 センサ
412 基板脱着部
414a,414b,414c めっき槽
416 めっき電源
500 シード層
502 レジスト
502a 開口部
504 めっき膜
506 バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のめっき槽を備え、基板の表面に異なるめっき槽で順次めっきを行うめっき装置において、
基板と該基板が入れられためっき槽のアノードとの間で単一のめっき電源から通電してめっきを行うことを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
前記異なるめっき槽で異なる金属をめっきすることを特徴とする請求項1記載のめっき装置。
【請求項3】
基板がめっき槽に入れられたことを自動的に判別し、めっき電源を自動的に切換えて通電できるようにすることを特徴とする請求項1または2記載のめっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−84235(P2010−84235A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8086(P2010−8086)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【分割の表示】特願2004−51849(P2004−51849)の分割
【原出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】