説明

アッシング装置

【課題】処理効率の低下を抑制することができるアッシング装置を提供すること。
【解決手段】チャンバ11内に供給された酸素ラジカルを拡散するシャワー板31と基板Wを載置する基板ステージ20との間に、多孔板としての金属防止板34を配設した。この金属防止板34は、酸素ラジカルの導入側に金属酸化物層からなる第1層と、基板Wと対向する側に、チャンバ11内で処理される基板Wにおいて露出した金属よりなる第2層とを備え、酸素ラジカルが通過する貫通孔が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の有機材料をアッシング(灰化)することにより除去するアッシング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板上に集積回路を形成するために、半導体基板の表面に回路パターンを形成したレジスト膜を設け、該レジスト膜を介してその下層の絶縁膜、半導体膜或いは金属膜をエッチングすることが行われている。このレジスト膜は、エッチング処理が終了したのち基板表面から除去される。その除去方法の一つに、酸素プラズマを主とする反応性ガスのプラズマを用いてレジスト膜をアッシング(灰化)する乾式処理方法がある。
【0003】
この乾式処理方法は、基板に塗布されたレジスト膜に、反応性ガスのプラズマ中に生じた活性種(ラジカル)、主として酸素ラジカルを反応させ、該レジスト膜をCO及びHOへ分解・気化することによって除去するものである。この乾式処理方法によりレジスト膜を除去する処理装置として例えば特許文献1に開示されたプラズマアッシング装置がある。このアッシング装置を図7に従って説明する。
【0004】
図7に示すように、アッシング装置のチャンバ(処理室)1の上部には輸送管2が連結され、該輸送管2はプラズマを発生させるプラズマ室(図示略)に接続されている。上記輸送管2の下端には多くの貫通孔を有するシャワー板3が基板ステージ4と対向して配置されている。処理室1の上部内面には円筒状に形成された拡散防止壁5が取着され、該拡散防止壁5によりシャワー板3が囲まれている。基板ステージ4には高周波電源6が接続されている。また、チャンバ1の底部には排気口7が形成されている。
【0005】
次に、このように構成されたアッシング装置におけるアッシング処理について説明する。まず、基板ステージ4の上面にチャンバ1内に搬入された基板(ウェハ)Wを載置する。チャンバ1内部を減圧し、基板ステージ4に高周波電圧を印加する。そして、輸送管2を介して酸素ラジカルを含むガスをチャンバ1内に供給する。この酸素ラジカルを含むガスは、シャワー板3に形成された貫通孔を通過して基板Wに到達する。また、シャワー板3により周辺に向かって流れるガスは、拡散防止壁5により基板W上に導かれる。基板Wの上面に形成された図示しないレジスト膜は、ガスに含まれる酸素ラジカルにより分解・気化し、排気口7から排出される。
【特許文献1】特開平9−45495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、半導体基板上の集積回路は、トランジスタ等の回路素子を、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属配線を用いて接続して形成されている。また、半導体基板には、接続パッドの表面が金(Au)等により覆われているものや、接続のための端子が半田(Solder)により形成されたものがある。これらの半導体基板の製造工程において、上記レジスト膜をアッシングする際に、金属配線が露出していたり、表面に金や半田が形成されていたりする場合がある。このような場合には、露出した金属材料がケミカル反応又はフィジカル反応によりスパッタされて金属原子が飛散し、チャンバ1の内壁、つまり、シャワー板3の下面や拡散防止壁5の内周面に付着する。この状態でアッシング処理を続けると、上記チャンバ1の内壁に付着した金属と基板Wに導かれるはずの酸素ラジカルとが結合されて上記金属表面が酸化され、酸素ラジカルの失活が多くなる。すなわち、上記チャンバ1の内壁に付着した金属によって、酸素ラジカルの失活量が増大してしまう。その結果、基板Wに到達する酸素ラジカルの量が低下し、単位時間あたりに処理できるレジスト膜の深さ(アッシングレート)が低下するという問題がある。また、基板W上から飛散する金属原子は、チャンバ1の内壁に対して不均一に付着するため、アッシングレートの基板Wの面内均一性が悪化するという問題があった。なお、これらアッシングレートの低下や面内均一性の悪化の原因が基板Wから飛散した金属であることは、本発明者らによって以下の実験結果で確認されている。
【0007】
図9及び図10は、基板Wにおけるアッシング深さの測定結果を示す。尚、測定値は、図8に示すように、基板Wの中心から周方向及び径方向に順番に設定した49箇所の測定点において、レジスト膜の表面からの深さを測定した値である。図中、黒丸で示した点はチャンバ1、シャワー板3及び拡散防止壁5を全て洗浄したアッシング装置を用いて処理した基板Wの測定結果であり、黒四角で示した点は下記の条件にて処理した基板Wの測定結果であり、黒三角で示した点は各測定点における差を示している。
【0008】
図9(a)は、銅が露出した基板を処理したアッシング装置のシャワー板3及び拡散防止壁5を洗浄後のチャンバ1にセットし、所定の条件(処理条件Aとする)にて処理した基板Wの測定結果であり、図9(b)は、同装置において所定の条件(処理条件Bとする)にて処理した基板Wの測定結果である。図10(a)は、金が露出した基板を処理したアッシング装置の拡散防止壁5を新しいチャンバ1にセットし、上記処理条件Aにて処理した基板Wの測定結果であり、図10(b)は、同装置において上記処理条件Bにて処理した基板Wの測定結果である。尚、それぞれの処理時間は同じ(30秒)である。
【0009】
図9及び図10から明らかなように、金属(銅、金)が露出した基板を処理したアッシング装置のシャワー板3や拡散防止壁5を洗浄後のチャンバ1にセットして処理した場合(黒四角参照)には、チャンバ1、シャワー板3及び拡散防止壁5を全て洗浄したアッシング装置にて処理した場合(黒丸参照)と比べて、全体的にアッシング深さが低下する。とくに、図9(a)では、黒四角で示した条件における測定点1〜9及び測定点26〜49のアッシング深さが極端に低下するとともに、図10では、黒四角で示した条件における測定点26〜49のアッシング深さが極端に低下する。ここで、黒四角で示した条件の場合には、上記測定点1〜9,26〜49に到達するはずの酸素ラジカルはその多くが、金属の付着しているシャワー板3あるいは拡散防止壁5を介して当該測定点に供給される。このことから、シャワー板3や拡散防止壁5に付着した金属によって酸素ラジカルが多く失活されることにより、上記測定点1〜9,26〜49に到達する酸素ラジカルの量が極端に低下し、これによって上記測定点におけるアッシング深さが極端に低下したものと推測できる。
【0010】
このことは、酸素ラジカルの通過する経路(シャワー板3や拡散防止壁5等)に付着した金属の量によって、各測定点に到達する酸素ラジカルの量が変動され、各測定点におけるアッシング深さが変動されるということも示している。実際に、図9及び図10における黒四角の結果から明らかなように、チャンバ1に金属付着がなく、シャワー板3や拡散防止壁5のみに金属付着があるというように基板Wと対向する面において金属の分布状態が不均一の場合には、基板Wの面内においてアッシング深さにばらつきが生じている。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、処理効率の経時的な低下を抑制することができるアッシング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、処理室内に配置され金属が露出した基板上の有機材料をアッシングするアッシング装置であって、前記基板を載置するステージと対向して配置され、前記処理室の上部に設けられた輸送管を介して前記処理室内に供給された活性種が通過する貫通孔が形成されるとともに、前記処理室の上部内面との間に空隙を形成してその空隙により前記活性種を前記輸送管から周辺に向かって拡散する拡散板と、前記ステージと前記拡散板との間に配設され、前記基板上の金属と同じ金属が前記基板に向かって露出するとともに、前記基板に向かう前記活性種が通過する貫通孔が形成された多孔板と、を備えたものである。
【0013】
この構成によれば、活性種により基板から飛散した金属が、ステージと拡散板との間に配設された多孔板に効率的に付着される。そのため、基板から飛散した金属が多孔板から活性種の供給側に入り込むことが抑制される。これにより、基板に到達するまでに活性種が失活することが抑えられる。また、多孔板は、基板と対向する面に、基板上に露出した金属と同一の金属が露出しているため、基板から飛散した金属が多孔板に付着しても、その多孔板において活性種が失活する量の変動は少ない。従って、基板に到達する活性種の量の経時的な変動が抑えられる、即ち活性種により有機材料を処理する際の処理効率の経時的な低下を抑制することができる。また、多孔板における金属の付着する面がその金属と同一の金属で形成され、さらにその金属が元々露出されているため、基板から飛散する金属がその多孔板に対して不均一に付着したとしても、多孔板における金属原子分布の不均一性が生じにくくなる。これにより、アッシングレートの基板の面内均一性が悪化を抑制することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアッシング装置において、円筒状に形成され、前記処理室内に載置された基板に対し、該拡散板を囲む状態で前記活性種の不要な拡散を阻止する拡散防止壁を備え、前記多孔板は、前記拡散防止壁の下端開口部を覆うように着脱可能に取着されたものである。この構成によれば、拡散板により周辺に向かって拡散される活性種の不要な拡散が拡散防止壁により阻止され、活性種を効率よく基板に供給することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のアッシング装置において、前記多孔板は、前記処理室の上部内面と前記ステージの上面との間の中央よりも下方に配設されたものである。この構成によれば、基板から飛散する金属が多孔板の基板と対向する面に付着し易くなる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載のアッシング装置において、前記多孔板に形成された貫通孔の穴径は、アスペクト比が0.5以上2以下に形成されたものである。この構成によれば、貫通孔を通過して活性種の供給側にまで金属が飛散することを効果的に抑制することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうちの何れか一項に記載のアッシング装置において、前記ステージは高周波電源に接続されて高周波バイアスが印加され、前記多孔板は、前記ステージに対して前記高周波バイアスの対向電極となるように接続されたものである。この構成によれば、基板より飛散した金属は高周波バイアスの対向電極に向かうため、より確実に多孔板に飛散した金属を付着させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちの何れか一項に記載のアッシング装置において、前記多孔板は、前記活性種の供給側の面に不動態化膜が形成されたものである。この不動態化膜によって、多孔板に活性種が結合しにくくなる。従って、追加した多孔板による活性種の失活量の増大を好適に抑制することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のアッシング装置において、前記多孔板は、前記金属よりなる金属板における前記活性種の供給側の面に、前記不動態化膜としてフッ化物層を形成したものである。この構成によれば、容易に多孔板を形成することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のアッシング装置において、前記多孔板は、前記金属よりなる金属板における前記活性種の供給側の面に金属酸化物層を形成し、さらに該金属酸化物層に前記不動態化膜としてフッ化物層を形成したものである。この構成によれば、容易に多孔板を形成することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載のアッシング装置において、前記多孔板は、所定の金属板における前記基板と対向する面に対して前記金属が成膜されるとともに、前記所定の金属板における前記活性種の供給側の面に、前記不動態化膜としてフッ化物層が形成をしたものである。この構成によれば、容易に多孔板を形成することができる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項6に記載のアッシング装置において、前記多孔板は、所定の金属板における前記基板と対向する面に対して前記金属が成膜されるとともに、前記所定の金属板における前記活性種の供給側の面に、金属酸化物層を形成し、さらに該金属酸化物層に前記不動態化膜としてフッ化物層を形成したものである。この構成によれば、容易に多孔板を形成することができる。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項6に記載のアッシング装置において、前記多孔板は、前記金属よりなる金属板における前記活性種の供給側の面に、前記不動態化膜として金属酸化物層を形成したものである。この構成によれば、容易に多孔板を形成することができる。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項6に記載のアッシング装置において、前記多孔板は、所定の金属板における前記基板と対向する面に対して前記金属が成膜されるとともに、前記所定の金属板における前記活性種の供給側の面に、前記不動態化膜として金属酸化物層が形成したものである。この構成によれば、容易に多孔板を形成することができる。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項8,10〜12のうちの何れか一項に記載のアッシング装置において、前記金属酸化物層は、アルミニウムの酸化物又はイットリアであるものである。この構成によれば、容易に金属酸化物層を形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上記述したように、本発明によれば、処理効率の経時的な低下を抑制することが可能なアッシング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、アッシング装置のチャンバ(処理室)11の上部は輸送管12を介してプラズマ室13に接続されている。このプラズマ室13はマイクロ波導波管14を介してマグネトロン15に接続されている。尚、プラズマ室13とマイクロ波導波管14とは、石英等よりなるマイクロ波透過窓13aにより区画されている。マグネトロン15にはマイクロ波電源16が接続されている。マグネトロン15にて発生したマイクロ波(μ波)はマイクロ波導波管14を介してプラズマ室13内に導かれる。
【0028】
プラズマ室13は、ガス導入管17を介して複数(図において3つ)のマスフローコントローラ18a〜18cに接続され、各マスフローコントローラ18a〜18cはそれぞれガス供給源19a〜19cに接続されている。本実施形態において、ガス供給源19aは酸素(O)を蓄積し、ガス供給源19bは窒素(N)を蓄積し、ガス供給源19cは四フッ化炭素(CF)を蓄積する。各ガス供給源19a〜19cに蓄積されたガスの流量はマスフローコントローラ18a〜18cにより調整され、所定流量の酸素、窒素及び四フッ化炭素を混合した反応ガスはガス導入管17を介してプラズマ室13内に導入される。
【0029】
上記のマイクロ波及び反応ガスによりプラズマ室13内に酸素を含むプラズマが発生し、そのプラズマ中の活性種としての酸素ラジカルが輸送管12を介してチャンバ11内に導かれる。そのチャンバ11内には、基板Wを載置するための基板ステージ20が配設されている。チャンバ11には、ゲート21を介して真空予備室22が接続されている。真空予備室22はチャンバ11内を大気中に開放しないで基板Wの搬入搬出を行うために設けられている。
【0030】
チャンバ11の底部には排気口23が形成されている。その排気口23は排気管24を介して図示しない排気用ポンプに接続され、この排気用ポンプによってチャンバ11内が減圧される。排気管24にはプレッシャコントローラ25が配設され、そのプレッシャコントローラ25によりチャンバ11内の圧力が調整される。
【0031】
上記のマイクロ波電源16、各マスフローコントローラ18a〜18c、プレッシャコントローラ25は制御装置26に接続されている。制御装置26は、図示しない記憶装置を有し、その記憶装置には各種の基板を処理するための条件の情報(レシピ)が記憶されている。チャンバ11内に搬入する基板Wに応じたレシピが指定されると、制御装置26は、そのレシピの値に基づいてマイクロ波電源16、各マスフローコントローラ18a〜18c、プレッシャコントローラ25を制御する。
【0032】
次に、チャンバ11の構成を図2に従って説明する。
図2に示すように、チャンバ11の上部に連結された輸送管12の下端には円盤状に形成されるとともに多くの貫通孔を有するシャワー板(拡散板)31が基板ステージ20と対向して配置されている。シャワー板31は、取付部材32によりチャンバ11の上部に固定されるととともに、その取付部材32により上部内面11aから所定距離だけ離間して配置されている。チャンバ11の上部内面11aとシャワー板31との距離は、上記の輸送管12を介してチャンバ11内に導入される酸素ラジカルが、シャワー板31に形成された貫通孔を通過するとともに、シャワー板31とチャンバ11の上部との間を通過して周辺に向かって導かれるように設定されている。
【0033】
また、チャンバ11の上部内面11aには、円筒状に形成された拡散防止壁33の上端が取着され、該拡散防止壁33によりシャワー板31が囲まれている。拡散防止壁33の内径は、基板ステージ20上に載置される基板Wの外径よりもやや大きく設定されている。拡散防止壁33の下端には、円盤状に形成されるとともに多くの貫通孔を有する多孔板としての金属防止板34がネジ等の固定部材(図示略)により着脱可能に取着されている。金属防止板34の外径は、拡散防止壁33の外径とほぼ同一に形成されている。従って、拡散防止壁33の下端開口部は金属防止板34により覆われている。このため、チャンバ11内に導入された酸素ラジカルは、金属防止板34の貫通孔を通過して基板ステージ20上に載置された基板W上に導かれる。
【0034】
金属防止板34は、基板ステージ20とチャンバ11の上部と拡散防止壁33とにより囲まれたバッファ空間35内に配置されている。更に金属防止板34は、バッファ空間35の下方1/2の領域内に配置されるとともに、基板Wの搬入搬出を妨げないように基板ステージ20の上面から離間して配置されている。
【0035】
基板ステージ20の周辺上部は基板ガイド36により覆われている。基板ステージ20内には上下方向に移動可能に支持されたリフトピン37の先端が配設されており、そのリフトピン37を上下動させることにより、リフトピン37と図示しない搬送装置との間の基板Wの受け渡し、及び基板Wを基板ステージ20上に載置するようにしている。
【0036】
基板ステージ20とチャンバ11下部との間には絶縁板38が介在されている。また、基板ステージ20にはコンデンサCを介して高周波電源39が接続されており、その高周波電源39から基板ステージ20に高周波バイアス(RFバイアス)が供給されている。更にまた、基板ステージ20には配管40が接続され、その配管40を介して基板ステージ20内部に形成された図示しない水路に冷却水が供給され、基板ステージ20の温度調節を行っている。
【0037】
図3(a)に示すように、金属防止板34は、複数(図3(a)において2つ)の層34a,34bからなる。酸素ラジカルの導入側となる上側の第1層34aは金属酸化物層であり、例えばアルミニウム酸化物、イットリア(Y)、等からなる。基板Wと対向する側(図3において下側)の第2層34bはチャンバ11内で処理される基板Wにおいて露出した金属よりなる。例えば、基板Wにて銅が露出している場合、そのチャンバ11内に配置される金属防止板34の第2層34bは銅にて形成されている。つまり、チャンバ11内にて処理される基板Wにおいて主として露出している金属が第2層34bとして用いられている金属防止板34が、そのチャンバ11内に配置される。従って、第2層34bには、銅(Cu)の他に、金(Au),半田(Solder),プラチナ(Pt),イリジウム(Ir)が用いられる。例えば、この金属防止板34は、第2層34bとなる金属板に、第1層34aとなる金属酸化物層を生成することにより形成されている。
【0038】
この第2層34bは、上記した固定部材によりアルミニウムなどよりなる拡散防止壁33と電気的に接続されている。その拡散防止壁33は同じくアルミニウムなどよりなるチャンバ11と電気的に接続され、そのチャンバ11は接地されている。従って、金属防止板34(詳しくは金属よりなる第2層34b)は、高周波電源39から基板ステージ20に対して供給される高周波バイアスに対して電気的な対向電極となる。なお、第2層34b上の外周に形成された第1層34aを取り除いた上で、当該第2層34bを拡散防止壁33の下端に接続することにより、第2層34bと拡散防止壁33とを電気的に接続するようにしてもよい。
【0039】
図3(b)に示すように、金属防止板34には貫通孔41が形成されている。貫通孔41の穴径は、基板Wにて露出した金属から飛散した金属原子がバッファ空間35内に入り込まないように形成されている。該貫通孔41の穴径Dは、金属防止板34の板厚Hに対して、アスペクト比(Aspect Retio)(=H/D)が0.5以上2以下に設定されている。このようなアスペクト比に設定することで、貫通孔41の垂直方向真下以外の基板W上から飛散する金属原子が貫通孔41を通過することを抑制することができる。すなわち、基板Wから飛散した金属原子が貫通孔41内に進入しても、その金属原子を貫通孔41の内面に効率的に付着させることができる。
【0040】
尚、図3(a)では、金属板を用いて金属防止板34を形成したが、基板Wと対向する面に金属が露出していればよく、その金属はスパッタ、メッキ、溶射、又は蒸着により成膜してもよい。この場合、ベースとなる板材には、例えばアルミニウム板が用いられる。即ち、図3(c)に示すように、金属防止板34は3つの層42a〜42cからなる。第1層42aは上記と同様に形成された層であり、第2層42bはアルミニウム板であり、第3層42cは第2層42bの1つの面に形成された金属膜である。この金属膜には、上記と同様に、銅(Cu),金(Au),半田(Solder),プラチナ(Pt),イリジウム(Ir)が用いられる。
【0041】
次に、このように構成されたアッシング装置におけるアッシング処理について説明する。
まず、チャンバ11内の基板ステージ20上に、除去すべきレジスト膜の存在する面(処理面)を上にして基板Wを載置する。そして、プラズマ室13にて発生させたプラズマに含まれる酸素ラジカルを、チャンバ11内に導入する。すると、この酸素ラジカルは、シャワー板31に形成された貫通孔又はシャワー板31とチャンバ11の上部との空隙を通ってバッファ空間35内に拡散する。また、シャワー板31とチャンバ11の上部との空隙を通る酸素ラジカルは、シャワー板31と拡散防止壁33との間から下降する。拡散防止壁33は、酸素ラジカルの径方向の移動を阻止する、つまり酸素ラジカルの不要な拡散を阻止する。そして、バッファ空間35内の酸素ラジカルは、金属防止板34の貫通孔41を通過して基板Wに到達し、その面上のレジスト膜と反応して、これを除去する。
【0042】
上述したように、金属防止板34は、図2において上面側、即ち酸素ラジカルの供給側に、不動態化膜としての金属酸化物層よりなる第1層34aが形成されている。従って、酸素ラジカルが通過する経路である第1層34aが予め酸化されているため、その第1層34aに酸素ラジカルが結合しにくくなる。これにより、追加された金属防止板34(第1層34a)において酸素ラジカルが失活されることを抑制することができる。
【0043】
また、上述したように、金属材料の露出した基板Wに対してアッシング処理を行うと、基板表面からケミカル反応又はフィジカル反応により金属原子が基板Wから飛散する。このとき、本実施形態のアッシング装置では基板Wの上方を覆うように金属防止板34が配置されており、さらにその金属防止板34が高周波バイアスの対向電極として機能するため、飛散した金属原子は、金属防止板34(第2層34b)の下面に付着堆積する。この金属原子が付着する下面は、基板Wに到達する酸素ラジカルの供給方向(進行方向)とは逆方向に面しているため、金属防止板34の下面に付着した金属原子によって失活される酸素ラジカルの量は少ない。また、上記飛散した金属原子は、金属防止板34に形成された貫通孔41にも進入する。しかし、貫通孔41は、所定のアスペクト比に形成されているため、金属原子は貫通孔41の内面に付着し、貫通孔41を通過する金属原子はほとんどない。そして、貫通孔41は、金属防止板34を構成する第2層34b、つまり金属板にも形成されているため、その貫通孔41内では付着する金属と同一の金属が元々露出している。従って、第2層34bにおける貫通孔41の内面に基板Wから飛散した金属原子が付着しても、その金属が露出している面積に変化はほとんどない。従って、貫通孔41内では、金属原子が付着した場合であっても、金属原子が付着していない時と同じだけ酸素ラジカルが失活する。このため、酸素ラジカルの失活量は、金属原子の付着、即ち基板Wのアッシング処理に係わらず、変化が極めて少ない。つまり、多数枚の基板Wのアッシング処理を行っても、基板Wに到達する酸素ラジカルの量が変化し難いため、アッシングレートが経時的に変化しにくい、即ち、処理効率の経時的な低下が抑制される。
【0044】
また、上記基板Wから飛散する金属原子は、その多くが金属防止板34の下面に付着されるため、酸素ラジカルの通過する経路(例えば、チャンバ1の上部内面11a、シャワー板3の下面、拡散防止壁5)に付着されることが抑制され、上記経路において露出する金属原子の分布の均一性が維持される。さらに、上記基板Wから飛散する金属原子が金属防止板34の第2層34bの下面に対して不均一に付着しても、第2層34bが基板Wから飛散される金属原子と同一の金属で形成されその金属が元々露出されているため、その金属が露出する面積は、金属原子付着前後においてほとんど変化しない。すなわち、金属原子の付着に係わらず、第2層34bの下面全面において金属が露出しているため、第2層34bの下面の面方向において露出する金属分布の均一性が維持される。これにより、多数枚の基板Wのアッシング処理を行っても、基板Wに到達する酸素ラジカルの量が面方向に均一化されるため、アッシングレートの基板Wの面内均一性が悪化することを抑制することができる。
【0045】
図4は、銅が露出した基板Wの処理枚数に対するアッシングレートの変化を測定した実験結果である。図4において、黒四角は本実施形態のアッシング装置にてアッシング処理した場合の測定結果を示し、黒丸は図7に示した従来のアッシング装置にてアッシング処理した場合の測定結果である。なお、基板Wに対する処理条件は、酸素、窒素、四フッ化炭素の流量をそれぞれ1750/250/500sccm、チャンバ11内を100Pa、マイクロ波の電力を2500W、RFバイアスを300W、処理時間を60秒とした。また、ここでのアッシングレートは、1つの基板の各測定点(図8参照)におけるアッシングレートの平均値である。
【0046】
図4から明らかなように、チャンバ等洗浄後に最初にアッシング処理される1枚目の基板Wに対するアッシングレートは、本実施形態のアッシング装置と従来のアッシング装置とにおいて略等しくなる。従来のアッシング装置(黒丸参照)では、処理枚数が増加するに連れてチャンバ1の内壁に付着堆積する金属が増加することによって、アッシングレートが極端に低下していく。この実験結果では20枚目の基板Wに対するアッシングレートまでしか測定していないものの、この実験結果からだけでも、従来のアッシング装置では経時的にアッシングレートが極端に低下することが十分読みとれる。なお、従来のアッシング装置では、20枚目の基板に対するアッシングレートが1枚目の基板に対するアッシングレートに比べて約30%近く低下している。
【0047】
これに対して、本願実施形態のアッシング装置(黒四角参照)では、処理枚数が増加しても、アッシングレートの変動が小さく、高いアッシングレートを維持している。具体的には、本実施形態のアッシング装置における1000枚目の基板に対するアッシングレートは、従来のアッシング装置における10枚目の基板に対するそれよりも高く維持されている。このように金属防止板34を設けることによって、経時的なアッシングレートの低下、すなわち処理効率の経時的な変化を抑制することができる。
【0048】
図5は、銅が露出した基板Wの各測定点(図8参照)におけるアッシング処理時のアッシングレートの測定結果を示す。図5において、黒丸は洗浄後の従来のアッシング装置において最初にアッシング処理される1枚目の基板Wに対する測定結果を示し、黒四角は本実施形態のアッシング装置における複数枚目(例えば、10枚目)の基板Wに対する測定結果を示している。なお、図5(a)は、酸素、窒素、四フッ化炭素の流量をそれぞれ2400/320/480sccm、チャンバ11内を125Pa、マイクロ波の電力を2000W、RFバイアスを500W、処理時間を30秒とする処理条件Aにて基板Wをアッシング処理した場合の測定結果である。また、図5(b)は、酸素、四フッ化炭素の流量をそれぞれ1700/300sccm、チャンバ11内を85Pa、マイクロ波の電力を1750W、RFバイアスを0W、処理時間を30秒とする処理条件Bにて基板Wをアッシング処理した場合の測定結果である。
【0049】
図5(a)、(b)から明らかなように、処理条件A,Bの双方において、本実施形態のアッシング装置における複数枚目の基板Wに対する測定結果と、従来のアッシング装置における1枚目の基板に対する測定結果とで、各測定点におけるアッシングレートに変化があまり見られなかった。すなわち、本実施形態のアッシング装置では、複数枚の基板Wを処理したとしても、1枚目の基板のアッシング処理のときと同様のアッシングレートを各測定点において維持することができる。このことは、金属防止板34(第2層34b)を設けることによって、基板Wから飛散する金属原子が原因で生じるアッシングレートの基板Wの面内均一性の悪化を抑制することができるということを示している。
【0050】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)チャンバ11内に供給された酸素ラジカルを拡散するシャワー板31と基板Wを載置する基板ステージ20との間に、多孔板としての金属防止板34を配設した。この金属防止板34は、酸素ラジカルの導入側に金属酸化物層からなる第1層34aと、基板Wと対向する側に、チャンバ11内で処理される基板Wにおいて露出した金属よりなる第2層34bとを備え、貫通孔41が形成されている。従って、表面反応により基板Wから飛散した金属は、金属防止板34に付着するとともに、金属防止板34から酸素ラジカルの供給側には入り込まない。このため、金属防止板34に到達するまでに酸素ラジカルが失活することが抑えられる。また、金属防止板34は、基板Wと対向する面に金属が露出しているため、基板Wから飛散した金属が金属防止板34に付着しても、その金属防止板34において酸素ラジカルが失活する量の変動は少ない。従って、基板Wに到達する酸素ラジカルの量の経時的な変動が抑えられる、即ち酸素ラジカルによりレジスト膜を処理する際の処理効率の経時的な低下を抑制することができる。
【0051】
また、基板Wから飛散する金属原子が金属防止板34に対して不均一に付着したとしても、金属防止板34の下面がその金属原子と同一の金属で形成され、さらにその金属が元々露出されているため、金属防止板34の下面における金属分布の不均一性が生じにくくなる。これにより、アッシングレートの基板Wの面内均一性が悪化を抑制することができる。
【0052】
(2)チャンバ11内には、円筒状に形成され、チャンバ11内に載置された基板Wに対し、該シャワー板31を囲む状態で酸素ラジカルの不要な拡散を阻止する拡散防止壁33を備え、金属防止板34は、拡散防止壁33の下端開口部を覆うように着脱可能に取着されたものである。従って、シャワー板31により周辺に向かって拡散される酸素ラジカルの不要な拡散が拡散防止壁33により阻止され、酸素ラジカルを効率よく基板Wに供給することができる。
【0053】
(3)金属防止板34は、チャンバ11の上部内面11aと基板ステージ20の上面との間の中央よりも下方に配設されたものである。従って、基板Wから飛散する金属が金属防止板34の基板Wと対向する面に付着し易くなる。
【0054】
(4)金属防止板34における酸素ラジカルの導入側(図3において上側)の面に金属酸化物層(第1層34a)を形成するようにした。これにより、酸素ラジカルが通過する経路である第1層34aが予め酸化されているため、その第1層34aに酸素ラジカルが結合しにくくなる。従って、この第1層34aを形成したことにより、本実施形態で追加された金属防止板34による酸素ラジカルの失活量の増大を好適に抑制することができる。
【0055】
(5)金属酸化物層は、アルミニウムの酸化物又はイットリアであるものである。このため、容易に金属酸化物層を形成することができる。
(6)金属防止板34に形成された貫通孔41の穴径は、アスペクト比が0.5以上2以下に形成されたものである。従って、貫通孔41を通過して酸素ラジカルの供給側にまで金属が飛散することを防止することができる。
【0056】
(7)基板ステージ20は高周波電源39に接続されて高周波バイアスが印加され、金属防止板34は、基板ステージ20に対して高周波バイアスの対向電極となるように接続されたものである。従って、基板Wより飛散した金属原子は高周波バイアスの対向電極に向かうため、より確実に金属防止板34に飛散した金属原子を付着させることができる。
【0057】
(8)金属防止板34は、所定の金属板に対して基板Wにて露出する金属が成膜されたものである。従って、容易に金属防止板34を形成することができる。
(9)金属防止板34は、基板Wにて露出する金属よりなる板に、金属酸化物層を形成したものである。従って、容易に金属防止板34を形成することができる。
【0058】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図6に従って説明する。この実施形態は、金属防止板34の構造が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態のアッシング装置は、図1及び図2に示す第1実施形態のアッシング装置と略同様の構成を備えている。
【0059】
図6(a)に示すように、本実施形態の金属防止板34は、3つの層43a,43b,43cからなる。基板Wと対向する側(図6において下側)の第2層43bは、上記第1実施形態の第2層34bと同様に、チャンバ11内で処理される基板Wにおいて露出した金属により形成される金属板である。第1層43aは、上記第1実施形態の第1層34aと同様に、第2層43bにおける酸素ラジカルの導入側の面(上面)に形成された金属酸化物層である。第1層43aの上層であって、酸素ラジカルの導入側となる第3層43cは、フッ化物層(フッ化膜)からなる。この第3層43cは、第1層43aの上面をフッ化処理することによって成膜される。このフッ化処理方法としては、例えば対象部材(第1層34a及び第2層34b)を高温にし、フッ素原子を含有するガスを流す方法やフッ素原子を含有するガスを用いてフッ素プラズマを発生させ、このプラズマ雰囲気中に対象部材を設置する方法などがある。ここで使用されるガスとしては、例えばCF、C、C、NF、SFの少なくとも一種を含むガスなどが挙げられる。
【0060】
また、3つの層43a,43b,43cからなる金属防止板34は、上記第1実施形態と同様に、多数の貫通孔を有している。そして、この金属防止板34は、拡散防止壁33の下端にネジ等の固定部材により着脱可能に取着されている。
【0061】
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(9)の作用効果に加え、以下の効果を奏する。
(10)金属防止板34における酸素ラジカルの導入側となる面にフッ化物層(第3層43c)を形成するようにした。このフッ化物層が不動態化膜として機能し、金属酸化物層のみの場合よりもさらに金属防止板34の上面が酸化されにくくなる。これにより、このフッ化物層(第3層43c)に酸素ラジカルがより結合しにくくなる。従って、このフッ化物層を形成したことにより、従来のアッシング装置に対して追加された金属防止板34による酸素ラジカルの失活量の増大を効果的に抑制することができる。ひいては、アッシングレートを全体的に向上させることができる。
【0062】
尚、上記各実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記第1実施形態における図3(a)、(c)に示した金属酸化物層よりなる第1層34a,42aを省略するようにしてもよい。この構成によっても、基板Wにて露出する金属よりなる金属板(第2層34b)あるいはアルミニウム板に成膜された金属膜(第3層42c)によって、基板Wに到達する酸素ラジカルの量の経時的な変動が抑えられる、即ち酸素ラジカルによりレジスト膜を処理する際の処理効率の経時的な低下を抑制することができる。
【0063】
・上記第2実施形態では、第3層43cの形成(フッ化処理)をアッシング装置とは別の装置で行うようにした。これに限らず、例えばアッシング装置に第1層43a及び第2層43bからなる金属防止板34を取付けた後、このアッシング装置自身の中でフッ素含有プラズマを用いたフッ化処理を上記金属防止板34に対して行うようにしてもよい。
【0064】
・上記第2実施形態における金属防止板34の層構造に特に制限されない。例えば金属防止板34は、図6(b)に示すように、基板Wにて露出する金属よりなる金属板44aにおける酸素ラジカルの導入側の面(上面)に、フッ化物層44bを成膜することによって構成されるようにしてもよい。
【0065】
また、図6(c)に示すように、金属防止板34を4つの層45a〜45dから構成するようにしてもよい。各層について詳述すると、第1層45aは、所定の金属板としてのアルミニウム板である。第1層45aにおける基板Wと対向する面(下面)に形成される第2層45bは、第1層45aの下面に対して、基板Wにて露出する金属がスパッタ等によって成膜された金属膜である。第1層45aにおける酸素ラジカルの導入側の面(上面)に形成される第3層45cは、第1層45aの上面に形成される金属酸化物である。第4層45dは、第3層45cの上面をフッ化処理することによって成膜されるフッ化物層である。
【0066】
・上記各実施形態では、半導体基板W上に形成されたレジスト膜を除去するアッシング装置に具体化したが、プラズマ、ラジカルにより除去可能な膜、有機材料を除去するアッシング装置に具体化してもよい。
【0067】
・上記各実施形態では、酸素プラズマを用いるアッシング装置に具体化したが、これに限らず、別のプラズマ(例えば、水素プラズマ)を用いるアッシング装置に具体化してもよい。
【0068】
・上記各実施形態では、酸素プラズマを用いるプラズマアッシング装置に具体化したが、これに限らず、例えばオゾンガスに紫外線を照射することにより酸素ラジカルを発生させる光励起アッシング装置等に具体化してもよい。
【0069】
・上記各実施形態において、アッシング装置の構成を適宜変更してもよい。例えば、供給するガスの種類を増やした構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態のアッシング装置の概略構成図。
【図2】チャンバの概略断面図。
【図3】(a)〜(c)は、第1実施形態における金属防止板の説明図。
【図4】アッシングレートの経時変化を示す説明図。
【図5】(a)(b)は測定点におけるアッシングレートの測定結果を示す説明図。
【図6】(a)〜(c)は、第2実施形態における金属防止板の断面図。
【図7】従来のアッシング装置の概略構成図。
【図8】測定点を示すウェハの平面図。
【図9】(a)(b)は測定点におけるアッシング深さの測定結果を示す説明図。
【図10】(a)(b)は測定点におけるアッシング深さの測定結果を示す説明図。
【符号の説明】
【0071】
11…チャンバ、11a…上部内面、12…輸送管、20…基板ステージ、31…シャワー板、33…拡散防止壁、34…金属防止板、34a,42a,43a,45c…金属酸化物層、34b,43b,44a…金属板、43c,44b,45d…フッ化物層、39…高周波電源、41…貫通孔、W…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に配置され金属が露出した基板上の有機材料をアッシングするアッシング装置であって、
前記基板を載置するステージと対向して配置され、前記処理室の上部に設けられた輸送管を介して前記処理室内に供給された活性種が通過する貫通孔が形成されるとともに、前記処理室の上部内面との間に空隙を形成してその空隙により前記活性種を前記輸送管から周辺に向かって拡散する拡散板と、
前記ステージと前記拡散板との間に配設され、前記基板上の金属と同じ金属が前記基板に向かって露出するとともに、前記基板に向かう前記活性種が通過する貫通孔が形成された多孔板と、
を備えたことを特徴とするアッシング装置。
【請求項2】
円筒状に形成され、前記処理室内に載置された基板に対し、該拡散板を囲む状態で前記活性種の不要な拡散を阻止する拡散防止壁を備え、
前記多孔板は、前記拡散防止壁の下端開口部を覆うように着脱可能に取着されてなる、ことを特徴とする請求項1に記載のアッシング装置。
【請求項3】
前記多孔板は、前記処理室の上部内面と前記ステージの上面との間の中央よりも下方に配設されてなる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアッシング装置。
【請求項4】
前記多孔板に形成された貫通孔の穴径は、アスペクト比が0.5以上2以下に形成されてなる、ことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載のアッシング装置。
【請求項5】
前記ステージは高周波電源に接続されて高周波バイアスが印加され、
前記多孔板は、前記ステージに対して前記高周波バイアスの対向電極となるように接続された、ことを特徴とする請求項1〜4のうちの何れか一項に記載のアッシング装置。
【請求項6】
前記多孔板は、前記活性種の供給側の面に不動態化膜が形成されてなることを特徴とする請求項1〜5のうちの何れか一項に記載のアッシング装置。
【請求項7】
前記多孔板は、前記金属よりなる金属板における前記活性種の供給側の面に、前記不動態化膜としてフッ化物層を形成してなる、ことを特徴とする請求項6に記載のアッシング装置。
【請求項8】
前記多孔板は、前記金属よりなる金属板における前記活性種の供給側の面に金属酸化物層を形成し、さらに該金属酸化物層に前記不動態化膜としてフッ化物層を形成してなる、ことを特徴とする請求項6に記載のアッシング装置。
【請求項9】
前記多孔板は、所定の金属板における前記基板と対向する面に対して前記金属が成膜されるとともに、前記所定の金属板における前記活性種の供給側の面に、前記不動態化膜としてフッ化物層が形成をしてなる、ことを特徴とする請求項6に記載のアッシング装置。
【請求項10】
前記多孔板は、所定の金属板における前記基板と対向する面に対して前記金属が成膜されるとともに、前記所定の金属板における前記活性種の供給側の面に、金属酸化物層を形成し、さらに該金属酸化物層に前記不動態化膜としてフッ化物層を形成してなる、ことを特徴とする請求項6に記載のアッシング装置。
【請求項11】
前記多孔板は、前記金属よりなる金属板における前記活性種の供給側の面に、前記不動態化膜として金属酸化物層を形成してなる、ことを特徴とする請求項6に記載のアッシング装置。
【請求項12】
前記多孔板は、所定の金属板における前記基板と対向する面に対して前記金属が成膜されるとともに、前記所定の金属板における前記活性種の供給側の面に、前記不動態化膜として金属酸化物層が形成してなる、ことを特徴とする請求項6に記載のアッシング装置。
【請求項13】
前記金属酸化物層は、アルミニウムの酸化物又はイットリアである、ことを特徴とする請求項8,10〜12のうちの何れか一項に記載のアッシング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−65106(P2009−65106A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287340(P2007−287340)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【特許番号】特許第4160104号(P4160104)
【特許公報発行日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】