説明

アディポネクチン産生抑制剤、皮膚外用剤、浴用剤、飲食物および飼料

【課題】 アディポネクチンに起因する各種疾患、疾病、症状などの予防、緩和、改善に有用なアディポネクチン産生抑制剤を提供する。
【解決手段】 ルイボス葉、オウバク、チクジョの生薬には脂肪細胞からのアディポネクチンの産生を抑制する作用があることを見出し、これらの生薬を含有するアディポネクチン産生抑制剤を提供し、さらにこれを配合することにより、アディポネクチンに起因する各種疾患、疾病、症状などの予防、緩和、改善に有用な化粧品を含む各種の皮膚外用剤や浴用剤さらには飲食物や飼料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内においてアディポサイトカインとして機能している白色脂肪細胞由来のアディポネクチンの産生を抑制するアディポネクチン産生抑制剤に関する。さらに、本発明は、該アディポネクチン産生抑制剤を含有する痩身用皮膚外用剤、痩身用浴用剤、痩身用飲食物および痩身用飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の分子遺伝学の進歩により、アディポサイトカインをメディエーターとした新しいエネルギー代謝調節系の分子機構が解明されてきた。
アディポネクチンは、1995年に発見されたアディポサイトカインで、マウスやヒトなどの哺乳動物に見いだされた蛋白質で、正常ヒト血中に5〜10μg/mlという高濃度で存在している。脂肪組織から特異的に分泌されているにも関わらず、血中のアディポネクチン濃度は、BMIやCTスキャンで測定した内臓脂肪面積と逆相関関係を有し、体重減少によって上昇することが明らかになっている。アディポネクチンは、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、マクロファージに対して抗動脈硬化作用を有している。また、マウスへのアディポネクチン脳室内投与により、異種のアディポサイトカインであるレプチンとは異なるメカニズムを介する体重減少が確認され、脳内においてもアディポネクチンが体重調節等の機能を担っていることが明らかにされていることから、アディポネクチンは抗肥満作用および抗糖尿病作用も有することが考えられる。肥満とインスリン抵抗性およびレプチン抵抗性の関係とは対照的に、肥満と2型糖尿病のモデルにおいてアディポネクチン抵抗性は見られないので、アディポネクチンの補充療法などが期待できる。
【0003】
特許文献1には、米糠、羅漢果、シメジ、キク、ライ麦、シラカバ及び月桃のうちの少なくとも1種から抽出された抽出物、または前記植物材料の少なくとも1種若しくはこれらの抽出物の微生物変換体を含有するアディポネクチン分泌促進剤が示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の薬剤は、アディポネクチン分泌を促進する薬剤であり、アディポネクチンの分泌を抑制するものではない。さらに特許文献1に記載の薬剤は、本発明のルイボス葉、オウバク、チクジョを含有するものでもない。
【特許文献1】特開2005−68132公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年明らかになりつつあるアディポネクチンの生理機能は、生体の生命維持機構において重要な役割を担っている。血清アディポネクチンレベルを適正な範囲に制御することで、さまざまな生活習慣病や疾病を予防、改善できることが期待されている。
しかし、アディポネクチンの産生そのものを制御する手法は未だ見出されていない。
本発明は、アディポネクチンに起因する各種疾患、疾病、症状などの予防、緩和、改善を目的とするアディポネクチン産生抑制剤に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するためには、アディポネクチンの生体内レベルを適正な範囲に維持することが重要であると考え、アディポネクチンの産生そのものに対して作用を及ぼすアディポネクチン産生抑制剤に着目した。
本発明者らは、アディポネクチン産生抑制剤の開発を目指し、白色脂肪細胞におけるアディポネクチンの産生に関して鋭意研究を重ねた。その結果、特定の生薬がアディポネクチン産生抑制作用を有することを初めて見出し、この知見により本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0006】
ルイボス葉、オウバク、チクジョの生薬は脂肪細胞からのアディポネクチンの産生を抑制する作用があり、アディポネクチン産生抑制剤として様々な用途で有用であることが見出された。
これらは化粧品をはじめとする各種の皮膚外用剤や浴用剤、さらには飲食物に配合することができ、アディポネクチンに起因する各種疾患、疾病、症状などの予防、緩和、改善を目的とするものへの応用を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のアディポネクチン産生抑制剤は、ルイボス葉、オウバク、チクジョから選ばれる1種または2種以上の生薬を含有するものである。
本発明に用いられるルイボス葉とは、マメ科植物のルイボスの葉を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
本発明に用いられるオウバクとは、ミカン科植物のキハダの樹皮を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
本発明に用いられるチクジョとは、イネ科植物のハチクまたはマダケの稈内部を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
【0008】
本発明において、ルイボス葉、オウバク、チクジョとしては、上記の各種部位を未乾燥のまま、または乾燥させた後、そのままで、あるいは、破砕または粉砕後に搾取して使用することができる。さらに、これらを溶媒で抽出して得られるエキスや、該エキスから抽出溶媒を蒸発または凍結乾燥して得られる不揮発分を使用することができる。
抽出溶媒としては、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど)、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、トルエンなどの芳香族炭化水素類等の各種の溶剤が挙げられ、単独または2種以上の混合溶媒を任意に組み合わせて使用することができる。
【0009】
本発明で使用される生薬は、医薬または民間薬の成分として一般的に用いられているものであり、その安全性が確認されているものである。本発明のアディポネクチン産生抑制剤は、医薬品、化粧品をはじめとする各種の皮膚外用剤や内用剤、浴用剤、飲食物などに配合することができる。
【0010】
本発明のアディポネクチン産生抑制剤は、前記生薬を、単独または混合物として含有する。生薬の総配合量は剤型によっても異なるが、蒸発残分をそのまま使用しても構わないし、目的の用途によって適宜、配合量を調整すれば良い。本発明のアディポネクチン産生抑制剤の使用量は、特に制限はなく、用途や適用により適宜調整することができる。
また、本発明のアディポネクチン産生抑制剤は、外用、内用、素材への処理など様々な形態に適用できる。さらに、通常の外用、内用、素材への処理などで使用されている薬剤などとも組み合わせて使用することができるし、これにより本発明の効果がより発現しやすくなる。
【0011】
本発明の皮膚外用剤は、前記生薬を、単独または混合物として含有する。生薬の総配合量は剤型により適宜異なる。また、本発明の皮膚外用剤の使用量には特に制限はなく、使用者の好みに合わせて適宜調整することができる。
また、本発明の浴用剤は、前記生薬を、単独または混合物として含有することができ、その総配合量は剤型により適宜異なる。
また、本発明の飲食物および飼料は、前記生薬を、単独または混合物として含有することができ、その総配合量は形態により適宜異なる。
【0012】
本発明の皮膚外用剤および浴用剤には、上記各種生薬の他に、通常の外用剤あるいは浴用剤において使用される公知の機能性成分、例えば、保湿剤、エモリエント剤、血行促進剤、細胞賦活化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤、美白剤、過酸化物抑制剤などを配合することができる。
例えば、グリセリン、ブチレングリコール、尿素、アミノ酸類などの保湿剤;スクワラン、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ホホバ油、シリコン油などのエモリエント剤;ビタミンE類、トウガラシチンキなどの血行促進剤;核酸などの細胞賦活化剤;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ジブチルヒドロキシアニソール(BHA)、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸類などの抗酸化剤;グリチルリチン、アラントインなどの抗炎症剤;ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン塩、パラヒドロキシ安息香酸エステルなどの抗菌剤;アスコルビン酸、アルブチンなどの美白剤;スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)などの過酸化物抑制剤等の種々の公知物質等を配合することができる。
また、オウゴンエキス、イチョウエキス、シャクヤクエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養抽出物などの植物・動物・微生物由来の各種抽出物なども自由に添加して使用することができる。
【0013】
本発明の皮膚外用剤とは、外用可能な剤であって、その剤型は特に制限がなく、例えば、ペースト剤、クリーム、ジェル、軟膏、ローション、乳液、パック、パウダー、ハップ剤などが例示できる。
本発明の浴用剤の剤型としては、適用可能なあらゆる形態を意味し、例えば、粉末、顆粒状などの固形製剤、乳液、ペースト状などの液体製剤などが例示できる。
本発明の飲食物および飼料の剤型としては、適用可能なあらゆる形態を意味し、例えば、ビスケット、クッキー、錠剤、カプセル剤、キャンディー、ガム、粉末などの固形製剤、飲料などの液体製剤、ゼリーなどの半固形製剤などが例示できる。
【0014】
また、本発明の皮膚外用剤、浴用剤、飲食物および飼料には、その剤型化のために界面活性剤、油脂類などの基材成分や、必要に応じて増粘剤、防腐剤、等張化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、香料、着色料などの種々の添加剤を併用できる。
上記の界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、一般的な非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。例えば、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、硬化ひまし油のアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ステロールなどのアルキレンオキサイド付加物等の非イオン界面活性剤;アルキル硫酸ナトリウム、アルキロイルメチルタウリンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;塩化アルキルピリジニウム、塩化ジステアリルジメリルアンモニウム等の陽イオン界面活性剤;アミノプロピオン酸ナトリウム、アルキルポリアミノエチルグリシンなどの両性界面活性剤が挙げられる。そして、これらのうち1種または2種以上の界面活性剤を選択して使用することができる。
【0015】
本発明において使用可能な基材成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、オリーブ油、ツバキ油、アボカド油、マカデミアナッツ油、杏仁油、ホホバ油、スクワラン、スクワレン、馬油など、一般的に知られている油脂類を挙げることができる。
本発明において使用可能な増粘剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアクリルアミド、ポリエチレングリコール、およびこれらの各種誘導体;ヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロース類およびその誘導体;デキストラン、ゼラチン、アラビアガム、トラガントガムなどのガム類;カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子などが挙げられる。
本発明において使用可能な防腐剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、パラヒドロキシ安息香酸エステル、パラオキシ安息香酸塩とその誘導体、フェノキシエタノール、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン塩などが挙げられる。
本発明において使用可能な等張化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの無機塩類が挙げられる。
本発明において使用可能な紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、パラアミノ安息香酸、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明において使用可能なキレート剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸、フィチン酸、クエン酸およびこれらの水溶性塩などが挙げられる。
本発明の飲食物および飼料には、通常食品に使用されている様々な材料を使用することができる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
植物エキスの製造方法
ルイボス葉、オウバクまたはチクジョについて、50%エタノール水溶液の環流下で1時間かけて抽出し、得られた抽出液からエタノール、水の抽出溶媒を減圧留去してそれぞれの植物エキスを得た。これらの植物エキスを以下に示す実施例に使用し、評価試験に供した。
【0017】
〔実施例1〜10および比較例1〕
脂肪細胞を用いたアディポネクチン産生抑制試験
1.細胞の培養方法
3T3−L1脂肪前駆細胞を脂肪前駆細胞培地に浮遊し、48ウエルプレートに、1ウエル当たり104個播種した。37℃、5%−CO2条件下で8日間培養後、分化誘導培地(インスリン5μg/ml、デキサメタゾン1μM、IBMX0.5mM)に交換し、2日間培養した。次に、インスリン5μg/ml含有脂肪細胞培地を加え、2日間培養後、インスリンを含まない脂肪細胞培地でさらに10日間培養した。
その後、新しい培地で細胞を洗浄した後、表1に記載の実施例1〜10の植物エキスまたは比較例1(無添加)を、それぞれ表1の最終濃度となるように各ウエルに添加し、24時間培養した。各ウエルから培地を採取し、3500×gで遠心分離を行い、得られた培養上清をアディポネクチンの定量に供した。
【0018】
2.アディポネクチンの定量方法
培養上清中のアディポネクチン濃度を、市販のELISAキット(Adiponectin ELISA Kit、フナコシ社製)を使用して測定し、細胞1mgタンパク質あたりのアディポネクチン量を算出した。測定手順はキットに付属するマニュアルに従った。具体的な測定手順は以下のとおりである。
(1)検体中に含まれるアディポネクチンの抗体プレートへの結合
キットに付属する抗体プレートを洗浄後、各濃度のアディポネクチン標準液、検体(培養上清)の希釈液を、それぞれのウエルに100μlずつ加え、22〜28℃で60分間静置反応させた。
(2)抗原抗体反応
各ウエルを洗浄後、ビオチン標識抗体液を100μlずつ加え、22〜28℃で60分静置反応させた。さらに洗浄後、酵素標識ストレプトアビジン液を100μlずつ加え、22〜28℃で60分間静置反応させた。
(3)アディポネクチンの検出および定量
各ウエルを洗浄後、基質液を100μlずつ加え、22〜28℃で15分間静置反応させた。その後反応停止液を100μlずつ加え、450nm(測定波長)および655nm(対照波長)に設定したマイクロプレートリーダーを用いて、各ウエルの吸光度を測定した。アディポネクチン標準液の吸光度から検量線を作成し、検体中のアディポネクチン濃度を算出した。さらに得られたアディポネクチン濃度から、細胞1mgタンパク質あたりのアディポネクチン量を算出し、各植物エキスを添加した系のアディポネクチン量を植物エキスが無添加の系のアディポネクチン量で除することによって、各植物エキスのアディポネクチン産生率を算出した。
【0019】
【表1】

表1に示すように、実施例1〜10の植物エキスはアディポネクチンの産生に対し、有意に抑制作用を示していることが判った。なお、表1において、比較例1の値は、植物エキスが無添加の時の値(標準値)である。
【0020】
次に、前記植物エキスを配合した本発明の痩身用皮膚外用剤の処方例を示すが、これらの例は本発明を何ら限定するものではない。
【0021】
痩身用皮膚外用剤の処方例
表2〜5に示す組成で痩身用皮膚外用剤を調製した。調製法は下記の通りである。なお、表中の水の「残量」とは、全量を100gとするための量を意味する。
【0022】
〔実施例11〜15および比較例2(化粧水)〕
【表2】

A成分、B成分ともに80℃で加温溶解し、B成分をA成分に撹拌しながら徐々に加え乳化した。撹拌しながら冷却し、40℃でC成分を添加し、35℃で調製を終了した。
【0023】
〔実施例16〜19および比較例3(乳液)〕
【表3】

D成分、E成分のそれぞれを80℃に加温溶解した。E成分を撹拌しながらD成分を加え均一とした後、ホモミキサーで乳化した。ハンドルミキサーで撹拌しながら冷却し、40℃以下でF成分を添加し、調製した。
【0024】
〔実施例20〜23および比較例4(クリーム)〕
【表4】

G成分、H成分をそれぞれ75℃に加温した。パドルミキサーでG成分を撹拌しながら、H成分を少量ずつ加えた。撹拌しながら冷却し、40℃でI成分を添加した後、約35℃で調製した。
【0025】
〔実施例24〜30および比較例5(ボディクリーム)〕
【表5】

J成分、K成分をそれぞれ75℃に加温した。パドルミキサーでJ成分を撹拌しながら、K成分を少量ずつ加えた。その後、パドルミキサーで撹拌しながら冷却し、45℃以下でL成分を添加して調製した。
【0026】
痩身用皮膚外用剤の評価
前記実施例11〜30、比較例2〜5の痩身用皮膚外用剤について、ウエストおよびヒップの脂肪層に悩む男性48名、女性48名に対してモニターを行い、脂肪層の増加減少を調べた。すなわち、男女2名ずつの24群に分け、それぞれ表6に示した痩身用皮膚外用剤を使用した。なお、該皮膚外用剤の試験方法は、毎日の入浴後に各皮膚外用剤を手のひらに500円玉程度の大きさで取り、マッサージしながら塗擦する以外は通常の生活をして、これを1ヶ月間続けた。試験前後のウエストおよびヒップの寸法を測定し、痩身効果を評価した。測定結果を表6に示す。
【0027】
【表6】

アディポネクチン産生抑制作用を有する植物エキス、つまり本発明のアディポネクチン産生抑制剤を添加していない比較例2〜5の皮膚外用剤では、ウエストおよびヒップの寸法はほぼ変化しなかったが、本発明のアディポネクチン産生抑制剤を添加した痩身用皮膚外用剤はいずれも寸法が減少し、痩身効果が認められた。
【0028】
次に、前記植物エキスを配合した本発明の痩身用浴用剤の処方例を示すが、これらの例は本発明を何ら限定するものではない。
【0029】
〔実施例31〜39および比較例6〕
【表7】

M成分、N成分をそれぞれ均一になるまで混合した後、M成分とN成分とを混合し、さらに均一になるまで充分混合した。
【0030】
痩身用浴用剤の評価
前記処方例の痩身用浴用剤について、男性20名、女性20名に対してモニターを行い、使用感を調べた。すなわち、男女2名ずつの10群に分け、それぞれ表8に示した痩身用浴用剤を入浴時に使用した。該浴用剤の試験方法は、毎日の入浴時にお湯180Lに対し、該浴用剤30mlを溶かし、充分に混ぜ合わせて入浴した以外は通常の生活をして、これを1ヶ月続けた。1ヶ月後、二の腕、ウエスト、ヒップ、太ももの各部位について、下記の4段階にて使用感を評価した。その評価を表8に示す。
○:引き締まったと感じる
△:やや引き締まったと感じる
×:変わらない
××:たるんだと感じる
【0031】
【表8】

【0032】
アディポネクチン産生抑制作用を有する植物エキス、つまり本発明のアディポネクチン産生抑制剤を添加した実施例31〜39の浴用剤では、二の腕、ウエスト、ヒップおよび太ももに関して引き締まった感じならびにやや引き締まった感じの評価が多く、本発明のアディポネクチン産生抑制剤を添加していない比較例6の浴用剤では変わらないとの評価が大部分を占めたことから、本発明のアディポネクチン産生抑制剤を添加した痩身用浴用剤はいずれも有意であることがうかがえた。
【0033】
次に、前記植物エキスを配合した本発明の痩身用飲食物および飼料の処方例を示すが、これらの例は本発明を何ら限定するものではない。
【0034】
痩身用飲食物および飼料の処方例
〔実施例40〜42および比較例7(パン)〕
【表9】

P成分を全部混ぜ合わせ、40℃に加温したQ成分とR成分を混ぜ合わせ、均一になった時点でよくこねた。35℃で40分一次発酵させ、空気を抜くように再度こねた。40℃で40分二次発酵後、180℃で25分間焼いた。
【0035】
〔実施例43〜45および比較例8(ゼリー)〕
【表10】

S成分を、予めT成分をU成分に溶解した80℃のお湯に溶かし、よく混ぜ合わせた。型に10gずつ流し入れた後冷蔵庫で固めた。
【0036】
〔実施例46〜48および比較例9(ソーセージ)〕
【表11】

V成分とW成分を良く混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やした。塩抜きした羊の腸に、混ぜ合わせたものを詰めて、それを60〜70℃で1時間燻製にし、さらに1時間かけて乾燥させた。乾燥させたものを70℃程度のお湯で30分程度ゆで、殺菌処理した。再度、乾燥させたものを完成品とした。
【0037】
〔実施例49〜51および比較例10(サプリメント(錠剤))〕
【表12】

X成分とY成分を良く混ぜ合わせる。混ぜ合わせたものを打錠機を用いてタブレット状に押し固め、錠剤を形成した。
【0038】
痩身用飲食物および飼料の評価
前記処方例の痩身用飲食物および飼料について、ウエストおよびヒップの脂肪層に悩む男性32名、女性32名に対してモニターを行い、脂肪層の増加減少を調べた。すなわち、男女2名ずつの16群に分け、それぞれ表13に示した飲食物を使用した。なお、該飲食物の試験方法は、毎日の夕食後に各飲食物を摂取する以外は通常の生活をして、これを1ヶ月間続けた。試験前後のウエストおよびヒップの寸法を測定し、痩身効果を評価した。測定結果を表13に示す。
【0039】
【表13】

アディポネクチン産生抑制作用を有する植物エキス、つまり本発明のアディポネクチン産生抑制剤を添加していない比較例7〜10の飲食物では、ウエストおよびヒップの寸法はほぼ変化しなかったが、本発明のアディポネクチン産生抑制剤を添加した痩身用飲食物ではいずれも寸法が減少し、痩身効果が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の生薬はアディポネクチンの産生を抑制させる作用があり、アディポネクチン産生抑制剤として有用である。本発明のアディポネクチン産生抑制剤は、化粧品をはじめ、医薬部外品や浴用剤に配合することができる。特に、痩身用皮膚外用剤、痩身用浴用剤、痩身用飲食物および痩身用飼料として、全身あるいは局所でアディポネクチンの産生を抑制し、肥満を改善および抑制あるいは防止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルイボス葉、オウバク、チクジョから選ばれる1種または2種以上の生薬を含有するアディポネクチン産生抑制剤。
【請求項2】
請求項1記載のアディポネクチン産生抑制剤を含有する痩身用皮膚外用剤。
【請求項3】
請求項1記載のアディポネクチン産生抑制剤を含有する痩身用浴用剤。
【請求項4】
請求項1記載のアディポネクチン産生抑制剤を含有する痩身用飲食物および痩身用飼料。

【公開番号】特開2008−24620(P2008−24620A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197516(P2006−197516)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000226161)日華化学株式会社 (208)
【Fターム(参考)】