説明

アリールアミン化合物及びその製造法、並びにその用途

【課題】燐光発光材料を用いた有機EL素子において有効な材料を提供する。
【解決手段】一般式(1)


(式中、環A、B及びCは、芳香環、又はヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、水素原子、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、又はヘテロアリール基を表す。Ar及びArは、置換基を有してもよいアリール基、又はヘテロアリール基を表す)で表されるアミン化合物を、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層、正孔輸送層及び正孔注入層のいずれか一層以上に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアリールアミン化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関するものである。本発明におけるアリールアミン化合物は、感光材料、有機光導電材料として使用でき、具体的には、平面光源や表示に使用される有機EL素子若しくは電子写真感光体等の正孔輸送材料、正孔注入材料及び発光材料として有用である。特に、本発明のアリールアミン化合物は、燐光材料を用いた有機EL素子に対して非常に有用である。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、次世代の薄型平面ディスプレイとして現在盛んに研究されており、既に携帯電話のディスプレイやテレビ等への実用化も始まっている。しかし、有機EL素子をさらに広く普及させるために、素子の低駆動電圧化や外部量子効率改善等の要求に応える材料(キャリア輸送材、発光材料等)の開発が行われている。
【0003】
有機EL素子の一般的な発光メカニズムは、両電極から電子及び正孔が注入されると、それらが対電極に向かい、発光層で再結合して励起子を生成し、その励起子の励起状態が基底状態に戻るときに発光が生じるものである。この励起状態には、電子スピンの向きが反平行である一重項励起状態と、電子スピンの向きが平行となる三重項励起状態とがあるが、現在普及している有機EL素子は、一重項励起状態のみが関与する蛍光発光が主流となっている。しかし、単純な量子力学的推論から、電子と正孔の再結合により生成する一重項励起状態と三重項励起状態の生成比率は1:3であるため、蛍光を利用した有機EL素子の場合には内部量子効率の最大値は25%となる。つまり、励起状態の75%は発光に使用されないことになる。また、有機EL素子外部への光取り出し効率は、高々20%程度であるため、蛍光を利用した有機EL素子においては、その外部量子効率は25%×20%となり、最大5%程度と見積もられる。
【0004】
このため、外部量子効率をさらに向上させるためには、励起状態のうちの75%を占める三重項励起状態からの発光、すなわち燐光も利用する必要がある。この利用が可能となれば、内部量子効率が最大100%となり、外部量子効率を最大20%程度まで向上させることができる。このような背景から、近年では燐光材料を用いた有機EL素子の開発が活発化している。
【0005】
燐光発光材料を用いた有機EL素子では、蛍光発光材料を用いた有機EL素子に比べて、三重項準位(T1)が高いキャリア輸送材料を組み合わせることが好ましい。例えば、正孔輸送材料として良く知られている4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)の三重項準位は2.3eV程度であるが、α−NPDと燐光発光材料を組み合わせた有機EL素子の場合、発光層に三重項励起エネルギーを十分に閉じ込められず、燐光発光有機EL素子で期待される高い外部量子効率が得られないことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このため、より高い三重項準位を有するキャリア輸送材が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J.Appl.Phys.,2004年,第95巻,7798頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来材料以上に高い三重項準位を有するキャリア輸送材料、さらに詳しくは、従来材料以上に高い三重項準位を有する正孔注入材料、正孔輸送材料及び発光材料に適した新規な材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物が、従来公知の正孔輸送材料に比べて高い三重項準位を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜40のアリール基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。なお、nは1〜3の整数を表し、m及びpは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。)
即ち本発明は、以下に示すとおりのアリールアミン化合物、その製造方法、及びその用途に関するものである。
【0011】
[1]
一般式(1)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜40のアリール基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。なお、nは1〜3の整数を表し、m及びpは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。)
で表されるアリールアミン化合物。
【0014】
[2]
[1]に記載の一般式(1)で表されるアリールアミン化合物であって、環A、環B及び環Cが、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよいベンゼン環であることを特徴とする、アリールアミン化合物。
【0015】
[3]
一般式(3)で表されるトリキナセン化合物と下記一般式(5)若しくは(6)で表されるアミン化合物又はアンモニアを、パラジウム化合物、トリアルキルホスフィン類及び塩基の存在下、反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜40のアリール基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。なお、nは1〜3の整数を表し、m及びpは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
で表されるアリールアミン化合物の製造方法。
【0018】
[4]
[3]に記載のアリールアミン化合物の製造方法であって、一般式(3)で示されるトリキナセン化合物が、一般式(4)
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
で表されるジオール化合物を酸触媒存在下、環化させて得られるトリキナセン化合物であることを特徴とする、アリールアミン化合物の製造方法。
【0021】
[5]
一般式(3)
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
で表されるトリキナセン化合物。
【0024】
[6]
[1]又は[2]に記載のアリールアミン化合物を、発光層、正孔輸送層及び正孔注入層のいずれか一層以上に用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来公知の正孔輸送材料を用いた場合に比べて、外部量子効率の高い燐光発光性有機EL素子を提供することが可能となる。また、測定の結果、本発明のアリールアミン化合物を用いた有機EL素子は、従来公知の材料を用いた有機EL素子に比べて外部量子効率が高いことが確認された。更に、従来公知の材料に比べて駆動電圧が低いという顕著な効果を示した。このため素子の低消費電力化が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
一般式(1)
【0028】
【化6】

【0029】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜40のアリール基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。なお、nは1〜3の整数を表し、m及びpは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。)
で表されるアリールアミン化合物において、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。
【0030】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、プロピニル基、プロパギル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基等を例示することができる。
【0031】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等を例示することができる。
【0032】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数6〜40のアリール基としては、特に限定するものではないが、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、2−シアノフェニル基、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル基、3,4−(エチレンジオキシ)フェニル基、1−ビフェニル基、1−ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基、9,9−ジメチル−フルオレニル基、9,9−ジエチル−フルオレニル基、9,9−ジメチル−フルオレン−2−イル基、9,9−ジエチル−フルオレン−2−イル基、9,9−ジトリフルオロメチルフルオレン−2−イル基、ビフェニレニル基、ナフチル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数6〜40のアリールオキシ基としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、フェノキシ基、o−トリロキシ基、m−トリロキシ基、p−トリロキシ基、4−ビフェニルオキシ基、3−ビフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基等を例示することができる。
【0034】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数3〜40のヘテロアリール基としては、特に限定するものではないが、キノリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、カルバゾリル基、N−カルバゾリル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
環A、環B及び環Cにおいて、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0036】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数6〜24の芳香環としては、特に限定されるものではないが、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリフェニレン環等を例示することができる。
【0037】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数3〜24のヘテロ芳香環としては、特に限定されるものではないが、具体的には、フルオレン環、ピリジン環、ピラジン環、キノリン環、ピロール環、インドール環、カルバゾール環、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環等を例示することができる。
【0038】
環Cにおける置換基の数としては、特に限定するものではないが、置換基を導入できる最大数以下である。具体的には、環Cがベンゼン環の場合、置換基の最大数は3となる。
【0039】
環A及び環Bにおける置換基の数としては、特に限定するものではないが、環Cと同様に、それぞれ、置換基を導入できる最大数以下である。具体的には、A環及びB環がそれぞれベンゼン環の場合、置換基の最大数はそれぞれ4となる。
【0040】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物において、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。
【0041】
、R、R、及びRにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基と同じ置換基を例示することができる。
【0042】
、R、R、及びRにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0043】
、R、R、及びRにおける炭素数6〜40のアリール基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数6〜40のアリール基と同じ置換基を例示することができる。
【0044】
、R、R、及びRにおける炭素数6〜40のアリールオキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数6〜40のアリールオキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0045】
、R、R、及びRにおける炭素数3〜40のヘテロアリール基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜40のヘテロアリール基と同じ置換基を例示することができる。
【0046】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物において、Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜40のアリール基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。
【0047】
Ar及びArにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基と同じ置換基を例示することができる。
【0048】
Ar及びArにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0049】
Ar及びArにおける炭素数6〜40のアリール基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数6〜40のアリール基と同じ置換基を例示することができる。
【0050】
Ar及びArにおける炭素数6〜40のアリールオキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数6〜40のアリールオキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0051】
Ar及びArにおける炭素数3〜40のヘテロアリール基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜40のヘテロアリール基と同じ置換基を例示することができる。
【0052】
Ar及びArの置換基としてのジアリールアミノ基としては、特に限定するものではないが、ジフェニルアミノ基、ジ−p−トリルアミノ基、N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミノ基、N−(4−ビフェニリル)フェニルアミノ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
Ar及びArの置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
【0054】
なお、Ar及びArにおける、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜40のアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、2−ネオペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、4−tert−オクチルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、4−トリチルフェニル基、3−トリチルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(3’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ブトキシフェニル)フェニル基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニル基、3−メチル−4−フェニルフェニル基、3−メトキシ−4−フェニルフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、4−トリフェニルシリルフェニル基、3−トリフェニルシリルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、3−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、2−sec−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、2−(2−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、3−エチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、3,5−ジ−n−ブトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−6−エトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−(9−カルバゾリル)フェニル基、3−(9−カルバゾリル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、4−(1−ナフチル)フェニル基、4−(2−ナフチル)フェニル基、3−(1−ナフチル)フェニル基、3−(2−ナフチル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、6−フェニル−2−ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブトキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、4−n−ブトキシ−1−ナフチル基、7−n−ブトキシ−2−ナフチル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基、2−フルオレニル基、9−メチル−2−フルオレニル基、9−エチル−2−フルオレニル基、9−n−ヘキシル−2−フルオレニル基、9−フェニル−2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジエチル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−オクチル−2−フルオレニル基、9,9−ジフェニル−2−フルオレニル基、9,9’−スピロビフルオレニル基、9−フェナントリル基、2−フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、p−ターフェニル基、m−ターフェニル基、o−ターフェニル基等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
Ar及びArにおける、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基としては、4−キノリル基、4−ピリジル基、4−(2−メチル)ピリジル基、4−(2−エチル)ピリジル基、4−(2−フェニル)ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、3−フリル基、2−フリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物において、nは1〜3の整数を表し、mは0〜2の整数を表し、pは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。
【0057】
以下に、一般式(1)で表されるトリキナセン化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0058】
【化7】

【0059】
【化8】

【0060】
【化9】

【0061】
【化10】

【0062】
【化11】

【0063】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物のうち、環A、環B、及び環Cが、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよいベンゼン環のものが、合成が比較的容易の為、好ましい。
【0064】
このとき、環Cにおける置換基の個数としては、0〜3個のいずれかであり、環A及び環Bにおける置換基の個数としては、各々独立して、0〜4個のいずれかである。
【0065】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、一般公知の方法で製造することもできるし、本発明に示した方法によって製造することもできる。
【0066】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物の製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(3)で表されるトリキナセン化合物と下記一般式(5)若しくは(6)で表されるアミン化合物又はアンモニアを、パラジウム化合物、トリアルキルホスフィン類及び塩基の存在下(例えば、非特許文献2参照)反応(以下、「アリールアミノ化反応」とする)させることで製造する方法を挙げることができる。
【0067】
【非特許文献2】Tetrahedron Letters,1998年,第39巻,2367頁
【0068】
【化12】

【0069】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、一般式(1)で表した芳香環又はヘテロ芳香環と同じものを表す。R、R、R、R、Ar及びArは、各々独立して、一般式(1)で表した置換基と同じ置換基を表す。なお、nは1〜3の整数を表し、m及びpは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
アリールアミノ化反応は、通常、パラジウム化合物、トリアルキルホスフィン類及び塩基の存在下、有機溶媒中で実施される。
【0070】
パラジウム化合物としては、特に限定されないが、具体例として、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)トリフルオロアセテート等の2価パラジウム化合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム−カーボン等の0価パラジウム化合物を挙げることができる。これらのうち特に好ましくは、酢酸パラジウム(II)又はトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)である。パラジウム化合物の使用量は、特に限定するものではないが、上記一般式(5)若しくは(6)で表されるアミン化合物又はアンモニアに対し、パラジウム換算で0.001〜10モル%であり、より好ましくは、パラジウム換算で0.005〜5モル%である。ここで、0.001〜10モル%の範囲であれば十分な触媒活性が得られ、0.005〜5モル%の範囲であればさらに経済的にも好ましい。
【0071】
トリアルキルホスフィン類としては、特に限定されないが、具体例として、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、n−ブチル−ジ(1−アダマンチル)ホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。このうち、触媒活性の良さから、特にトリ−tert−ブチルホスフィンが好適に用いられる。トリアルキルホスフィン類の使用量は、特に限定されないが、パラジウム金属1モルに対し、0.5〜5倍モル、好ましくは1〜4倍モルの範囲が選ばれる。ここで、0.5〜5倍モルの範囲であれば十分な触媒活性が得られ、1〜4倍モルの範囲であればさらに経済的にも好ましい。
【0072】
塩基としては、特に限定されないが、有機塩基及び無機塩基からなる群より選択することが出来る。具体例として、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムアミド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウム金属、カリウム金属、リチウム金属、メトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシナトリウム、エトキシカリウム、エトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのうち、tert−ブトキシナトリウムが好適に用いられる。これらの塩基の使用量は、特に限定されないが、一般式(3)で表されるトリキナセン化合物1モルに対し、1〜5倍モルである。ここで、1〜5倍モルの範囲であれば十分な触媒活性が得られるうえ経済的にも好ましい。
【0073】
アリールアミノ化反応の反応溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、具体例として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等が挙げられる。これらのうち、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒が好適に用いられる。反応溶媒は、単一または混合溶媒として用いることも出来る。反応溶媒の使用量は、溶質が完全に溶解する範囲であれば特に限定されないが、一般式(3)で表される化合物に対し、通常2〜40重量比である。
【0074】
アリールアミノ化反応は、通常、常圧下、窒素又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施されるが、加圧条件下で実施することも出来る。
【0075】
アリールアミノ化反応は、20〜300℃の温度範囲で実施されるが、製造設備の点から50〜200℃の温度範囲がより好ましい。
【0076】
アリールアミノ化反応の反応時間は、一般式(3)で表されるトリキナセン化合物、一般式(5)若しくは(6)で表されるアミン化合物又はアンモニアの使用量、パラジウム化合物の使用量、及び反応温度等により異なるため、特に限定されないが、例えば、数分〜72時間である。
【0077】
アリールアミノ化反応において、一般式(5)で示されるアミン化合物の使用量は一般式(3)で示されるトリキナセン化合物1モルに対し1.0〜1.2倍モルが、反応収率及び生産効率の点で好ましい。
【0078】
アリールアミノ化反応において、一般式(6)で示されるアミン化合物の使用量は一般式(3)で示されるトリキナセン化合物1モルに対し0.3〜0.5倍モルが、反応収率及び生産効率の点で好ましい。
【0079】
アリールアミノ化反応において、アンモニアの使用量は一般式(3)で示されるトリキナセン化合物1モルに対し0.10〜0.35倍モルが、反応収率及び生産効率の点で好ましい。
【0080】
以上の操作により、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を合成することができるが、当該化合物は、一般公知の方法によって、分離、乾燥、精製等を行うことができる。
【0081】
一般式(3)で表されるトリキナセン化合物は、下記一般式(4)で表されるジオール化合物から合成することが出来る。なお、一般式(4)で表されるジオール化合物は、公知の方法によって合成することができる(例えば、非特許文献3参照)。
【0082】
【非特許文献3】Chem.Ber.,1992年,第125巻,1449項
【0083】
【化13】

【0084】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、一般式(1)で表した芳香環又はヘテロ芳香環と同じものを表す。R、R、R、R、Ar及びArは、各々独立して、一般式(1)で表した置換基と同じ置換基を表す。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
一般式(3)で表されるトリキナセン化合物は、酸触媒存在下、有機溶媒中において一般式(4)で表されるジオール化合物を環化(以下、「環化反応」とする)させることによって合成することが出来る。
【0085】
酸触媒としては、特に限定されるものではないが、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)等の鉄化合物、塩化亜鉛、臭化亜鉛等の亜鉛化合物、塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物、塩化チタン、臭化チタン、チタニウムエトキシド等のチタン化合物、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のアルミニウム化合物、三フッ化ボロン、三フッ化ボロン・エーテル錯体、三フッ化ボロン・酢酸錯体、三臭化ボロン等のボロン化合物、塩化スカンジウム、塩化ランタン等のランタノイド金属塩等のルイス酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のブレンステッド酸、ニオブ酸、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、チタニアジルコニア、リン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム、リン酸鉄、硫酸アルミニウム、硫酸イオン担持ジルコニア、硫酸イオン担持チタニア、五フッ化アンチモン担持シリカアルミナ、酸性白土、カオリン、モンモリロナイト、フッ化スルホン樹脂、ゼオライト、強酸性陽イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸塩等の固体酸が挙げられる。このうちブレンステッド酸が好ましく、特に好ましくは硫酸が高い触媒活性を示すため好ましい。
【0086】
ルイス酸またはブレンステッド酸の使用量は、特に限定されないが、上記一般式(4)で表されるジオール化合物1モルに対して、通常、0.5〜20倍モルであり、2〜10倍モルの範囲がより好ましい。ここで、0.5〜20倍モルの範囲であれば十分な触媒活性が得られ、2〜10倍モルの範囲であればさらに経済的にも好ましい。
【0087】
固体酸の使用量は、特に限定するものではないが、原料である上記一般式(4)で表されるジオール化合物の使用量に対し、通常0.01〜20重量%の範囲であり、0.1〜10重量%の範囲がより好ましい。ここで、0.01〜20重量%の範囲であれば十分な触媒活性が得られ、0.1〜10重量%の範囲であればさらに経済的にも好ましい。
【0088】
環化反応は液相で行うことも出来るし、気相で行うことも出来るが、操作の容易性の点から液相反応が好ましい。また、反応は回分式、連続式または固定床流通式でも実施することが出来る。
【0089】
環化反応の有機溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、通常、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のプロトン酸溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒を好ましく用いることが出来る。反応溶媒の使用量は、溶質が完全に溶解する範囲であれば特に限定されないが、一般式(4)で表されるジオール化合物に対し、通常2〜100重量比である。
【0090】
環化反応は、常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができ、加圧下で行うこともできる。尚、反応は、−10〜300℃の温度範囲で行われるが、製造設備の点から0〜200℃の温度範囲が好ましい。
【0091】
環化反応に要する反応時間は、一般式(4)で表されるジオール化合物の濃度、酸触媒の量、及び反応温度等によって変動するため、必ずしも限定されないが、例えば、1〜40時間である。
【0092】
以上の操作により、一般式(3)で表されるトリキナセン化合物を合成することができるが、当該化合物は、一般公知の方法によって、分離、乾燥、精製等を行うことができる。
【0093】
一般式(3)で表されるトリキナセン化合物は本発明の有機EL用材料の中間体としてだけでなく、太陽電池等の電子材料中間体、超分子構築用の中間体、医農薬中間体としての利用が期待出来る。
【0094】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、有機EL素子の発光層、正孔輸送層及び/又は正孔注入層として使用することができる。一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は正孔輸送能に優れることから、正孔輸送層及び/又は正孔注入層として使用した際に、有機EL素子の低駆動電圧化、高い外部量子効率及び耐久性の向上を実現することができる。
【0095】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を有機EL素子の発光層、正孔注入層及び/又は正孔輸送層として使用する際の発光層には、従来から使用されている公知の発光材料を使用することができる。発光層は1種類の発光材料のみで形成されていても、ホスト材料中に1種類以上の発光材料がドープされていてもよい。また、近年、高い外部量子効率を実現できる理由から、発光材料として燐光材料を使用した有機EL素子が注目されているが、前記一般式(1)で表されるアミン化合物は燐光材料とも組み合わせて使用することができる。
【0096】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物からなる正孔注入層及び/又は正孔輸送層を形成する際には、必要に応じて2種類以上の材料を含有又は積層させてもよく、例えば、酸化モリブデン等の酸化物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン等の公知の電子受容性材料を含有又は積層させてもよい。
【0097】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を有機EL素子の発光層として使用する場合には、アリールアミン化合物を単独で使用、公知の発光ホスト材料にドープして使用、又は公知の蛍光若しくは燐光材料をドープして使用することができる。
【0098】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を含有する正孔注入層、正孔輸送層又は発光層を形成する方法としては、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の公知の方法を適用することができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0100】
なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
【0101】
[材料純度測定(HPLC分析)]
測定装置:東ソー製 マルチステーションLC−8020
測定条件:カラム Inertsil ODS−3V(4.6mmΦ×250mm)
検出器 UV検出(波長 254nm)
溶離液 メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
[燐光スペクトル測定]
測定装置:日本分光株式会社製 分光蛍光光度計FP−6500
[NMR測定]
測定装置:バリアン社製 Gemini200
[質量分析]
質量分析装置:日立製作所製 M−80B
測定方法:FD−MS分析
[有機EL素子の電流−電圧特性及び発光特性]
測定装置:ケースレーインスツルメンツ社製 ソースメータ(2400)
TOPCON社製 輝度計LUMINANCE METER(BM−9)
[ガラス転移温度測定]
測定装置:マックサイエンス社製 DSC−3100
測定条件:窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定
【0102】
【化14】

【0103】
合成例1 化合物(B−1)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、トルエン 500mL、水素化ナトリウム(60% in Oil) 20.0g(500mmol)を加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、室温でフタル酸ジメチル 100g(515mmol)と3−ペンタノン 41.0g(476mmol)の混合液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに90℃で17時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、析出した紅色粉末をろ取して乾燥した。得られた紅色粉末を純水 700mLに溶解させ、この溶液に濃塩酸を滴下して酸性溶液とした。析出した黄色粉末をろ取し、純水 500mLで洗浄した。更に真空乾燥を行い、黄色粉末 45.1gを得た(収率 59%、純度 95.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた黄色粉末は目的の化合物(B−1)であることを確認した。
【0104】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.40〜1.44(d 3H), 3.01〜3.12(q 1H), 7.83〜8.01(m 4H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=10.59, 48.82, 123.22, 135.62, 141.88, 200.96
合成例2 化合物(B−2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置及びディーンシュターク管を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(B−1) 15.3g(95.6mmol)、4−クロロベンズヒドロール 20.9g(95.6mmol)、トルエン 350mL、p−トルエンスルホン酸1水和物 0.920g(4.84mmol)を加え、150℃で3時間加熱した。尚、反応途中で生成する水は系外に除去した。反応終了後、トルエンを留去し、反応器を室温まで冷却した。残渣にジクロロメタン 350mLを添加し、純水 500mLで洗浄した後、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、得られた濃縮残渣にメタノール 20mLを添加した。析出した白色粉末をろ取し、メタノール 10mLで洗浄した後、ヘキサン 10mLで洗浄した。更に真空乾燥を行い、白色粉末 27.0gを得た(収率 78%、純度 99.8%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(B−2)であることを確認した。
【0105】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.29(s 3H), 4.57(s 1H), 7.07〜7.18(m 5H), 7.37〜7.47(m 4H), 7.70〜7.83(m 4H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.24, 57.05, 58.13, 123.17, 126.94, 128.37, 128.42, 129.47, 131.13, 132.71, 135.69, 138.28, 139.23, 141.19, 141.26, 203.78, 203.89
合成例3 化合物(B−3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(B−2) 37.0g(103mmol)、テトラヒドロフラン 300mL及びメタノール 300mLを加え、室温で10分間攪拌した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム 11.6g(307mmol)を1時間かけてゆっくりと加え、さらに室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、5%塩酸水溶液 200mLをゆっくりと滴下した。その後、ジクロロメタン 650mL、純水 500mLを加えて洗浄分液した。次いで飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、白色粉末 37.5gを得た(収率 99%、純度 99.1%)。13C−NMR分析から、化合物(B−2)のカルボニル基ピークが消失していることを確認した。得られた白色粉末は、これ以上の精製をせずに次工程に用いた。
【0106】
実施例1 化合物(B−4)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、硫酸 55g(561mmol)、酢酸 500mLを加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、化合物(B−3) 51.5g(141mmol)を酢酸 20mLに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で20時間攪拌した。反応終了後、氷水 1500mLへ反応液(80℃)を注ぎ、室温で1時間攪拌した。析出した灰色粉末をろ取し、純水 1000mLで洗浄した。得られた灰色粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、更にトルエンで再結晶することにより、白色結晶 6.2gを得た(収率 13%、純度 99.8%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色結晶は目的の化合物(B−4)であることを確認した。
【0107】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.67(s 3H), 4.42(s 2H), 4.46(s 1H), 7.12〜7.46(m 11H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.62, 61.28, 63.00, 63.38, 63.62, 124.27, 124.36, 124.49, 124.52, 125.46, 127.60, 127.66, 127.75, 133.09, 143.92, 144.59, 144.90, 145.27, 145.40, 147.27
実施例2 化合物(A−2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた100mL4つ口フラスコ中に、化合物(B−4) 1.00g(3.04mmol)、アニリン 0.134g(1.45mmol)、tert−ブトキシナトリウム 0.340g(3.54mmol)、酢酸パラジウム 7mg(0.03mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン 20mg(0.10mmol)、o−キシレン 15mLを加え、140℃で6時間攪拌した。反応終了後、純水 30mL及びトルエン 15mLを添加して洗浄分液した。さらに、得られた有機層を純水 30mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 0.69gを得た(収率 70%、純度 98.9%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−2)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−2)のガラス転移温度は171℃であった。
【0108】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.67〜1.69(d 6H), 4.34(s 2H), 4.41(s 2H), 4.46(s 2H), 6.80〜7.48(m 27H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.73, 61.29, 63.18, 63.42, 63.45, 63.56, 119.85, 120.11, 121.87, 122.13, 123.30, 123.65, 123.88, 124.27, 124.43, 124.52, 124.71, 127.44, 128.92, 128.96, 139.59, 139.76, 145.38, 145.47, 145.58, 146.48, 146.53, 147.38, 147.41, 147.94, 148.18
実施例3 化合物(A−3)の合成
実施例2において、アニリンの代わりにp−トルイジンを0.156g(1.45mmol)用いた以外は、実施例2と同様の実験操作を行って、白色粉末を0.69g得た(収率 69%、純度 99.7%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色固体は目的の化合物(A−3)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−3)のガラス転移温度は172℃であった。
【0109】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.67〜1.68(d 6H), 2.30(s 3H), 4.33(s 2H), 4.40(s 2H), 4.45(s 2H), 6.76〜7.48(m 26H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.95, 27.73, 61.29, 63.16, 63.20, 63.44, 63.47, 63.56, 119.25, 119.54, 123.37, 123.72, 124.08, 124.25, 124.41, 124.60, 127.40, 129.61, 129.67, 131.83, 132.12, 139.12, 139.28, 145.38, 145.47, 145.64, 146.37, 146.42, 147.63
実施例4 化合物(A−35)の合成
実施例2において、アニリンの代わりにN−(4−ビフェニリル)アニリンを0.75g(3.07mmol)用いた以外は、実施例2と同様の実験操作を行って、白色粉末を1.16g得た(収率 71%、純度 98.8%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色固体は目的の化合物(A−35)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−35)のガラス転移温度は115℃であった。
【0110】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.69(s 3H), 4.37(s 1H), 4.43(s 1H), 4.47(s 1H), 6.90〜7.59(m 25H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.67, 61.29, 63.18, 63.42, 63.56, 120.53, 122.62, 123.54, 124.14, 124.30, 124.41, 124.89, 126.59, 126.70, 127.45, 127.60, 128.70, 129.12, 134.72, 140.25, 140.66, 145.38, 145.47, 146.70, 147.10, 147.25, 147.72
実施例5 化合物(A−36)の合成
実施例2において、アニリンの代わりにN−(4−ビフェニリル)−N−(p−トリル)アミンを0.80g(3.08mmol)用いた以外は、実施例2と同様の実験操作を行って、白色粉末を1.20g得た(収率 71%、純度 99.1%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色固体は目的の化合物(A−36)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−36)のガラス転移温度は118℃であった。
【0111】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.67(s 3H), 2.32(s 3H), 4.36(s 1H), 4.41(s 1H), 4.46(s 1H), 6.88〜7.58(m 24H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.99, 27.69, 61.29, 63.20, 63.44, 63.58, 120.07, 122.93, 124.08, 124.30, 124.43, 124.87, 126.56, 126.63, 127.45, 127.53, 128.70, 129.87, 132.67, 134.23, 139.89, 140.73, 145.12, 145.40, 145.45, 145.53, 146.61, 147.29, 147.49
実施例6 化合物(A−61)の合成
実施例2において、アニリンの代わりにN,N−ビス(4−ビフェニリル)アミンを0.98g(3.05mmol)用いた以外は、実施例2と同様の実験操作を行って、白色粉末を1.32g得た(収率 72%、純度 99.7%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色固体は目的の化合物(A−61)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−61)のガラス転移温度は133℃であった。
【0112】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.69(s 3H), 4.39(s 1H), 4.44(s 1H), 4.47(s 1H), 6.95〜7.60(m 29H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.71, 61.31, 63.22, 63.44, 63.58, 120.75, 123.85, 124.30, 124.43, 124.69, 124.98, 126.61, 126.78, 127.47, 127.67, 128.72, 135.02, 140.51, 140.62, 145.36, 145.44, 146.79, 146.93, 147.05
実施例7 化合物(A−18)の合成
実施例2において、アニリンの代わりに4−n−ブチルアニリンを0.226g(1.51mmol)用いた以外は、実施例2と同様の実験操作を行って、白色粉末を0.80g得た(収率 73%、純度 99.3%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色固体は目的の化合物(A−18)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−18)のガラス転移温度は146℃であった。
【0113】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=0.90〜0.97(t 3H), 1.28〜1.68(m 10H), 2.51〜2.59(t 2H), 4.33(s 2H), 4.40(s 2H), 4.45(s 2H), 6.78〜7.47(m 26H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=14.18, 22.53, 27.73, 33.84, 35.14, 61.29, 63.22, 63.49, 63.68, 119.31, 119.62, 123.39, 123.68, 123.97, 124.25, 124.34, 124.41, 124.58, 127.40, 128.92, 128.97, 136.94, 137.23, 139.10, 139.26, 145.40, 145.49, 145.66, 145.77, 146.37, 146.44, 147.67
実施例8 化合物(A−37)の合成
実施例2において、アニリンの代わりにN−(4−ビフェニリル)−N−(p−メトキシフェニル)アミンを0.848g(3.08mmol)用いた以外は、実施例2と同様の実験操作を行って、白色粉末を1.33g得た(収率 77%、純度 99.8%)。質量分析の結果から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−37)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−37)のガラス転移温度は117℃であった。
【0114】
質量分析(FDMS):567(M+)
実施例9 化合物(A−4)の合成
実施例2において、アニリンの代わりに3,4−メチレンジオキシアニリンを0.191g(1.39mmol)用いた以外は、実施例2と同様の実験操作を行って、白色粉末を0.50g得た(収率 50%、純度 99.9%)。質量分析の結果から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−4)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−4)のガラス転移温度は175℃であった。
【0115】
質量分析(FDMS):721(M+)
【0116】
【化15】

【0117】
合成例4 化合物(C−1)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、ジエチルエーテル 400mL、o−クロロベンズアルデヒド 40.1g(0.286mol)を加え、反応容器を0℃に冷却した。この溶液に、フェニルマグネシウムブロミド溶液(アルドリッチ社製 3.0Mジエチルエーテル溶液)100mL(0.300mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温で3時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、3.5%塩化水素水溶液を250mL滴下した。その後、飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、更に真空乾燥を行い、淡黄色オイル 63gを得た(収率 99%、純度 99.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた淡黄色オイルは目的の化合物(C−1)であることを確認した。
【0118】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=2.55(s 1H), 6.18(s 1H), 7.14〜7.60(m 9H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=72.70, 126.90, 127.07, 127.73, 128.02, 128.44, 128.72, 129.52, 132.47, 140.97, 142.21
合成例5 化合物(C−2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置及びディーンシュターク管を備えた500mL3つ口フラスコに、化合物(C−1) 38.4g(0.175mol)、化合物(B−1) 28.1g(0.175mol)、トルエン 210mL、p−トルエンスルホン酸1水和物 1.67g(8.80mmol)を加え、150℃で3時間加熱した。尚、反応途中で生成する水は系外に除去した。反応終了後、トルエンを留去し、反応器を室温まで冷却した。残渣にジクロロメタン 300mLを添加し、10%炭酸カリウム水溶液 200mLで洗浄した後、更に飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、更に真空乾燥を行い、黄色オイル 59.0gを得た(収率 94%、純度 96.7%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた黄色オイルは目的の化合物(C−2)であることを確認した。
【0119】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.34(s 3H), 5.33(s 1H), 6.95〜7.32(m 8H), 7.65〜7.87(m 4H), 8.31〜8.46(dd 1H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=19.91, 48.13, 52.54, 123.10, 123.21, 126.65, 126.87, 128.00, 128.11, 129.58, 129.93, 131.45, 135.00, 135.53, 135.58, 137.31, 138.31, 141.02, 141.50
合成例6 化合物(C−3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(C−2) 59.0g(0.164mol)、テトラヒドロフラン 250mL、メタノール 250mLを加え、反応容器を0℃に冷却した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム 16.1g(0.426mol)を1時間かけてゆっくりと加え、さらに室温で3時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、5%塩化水素水溶液 250mLをゆっくりと滴下した。その後、ジクロロメタン 350mL、純水 400mLを加えて洗浄分液した。次いで飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、淡黄色粉末 59.9gを得た(収率 99%)。13C−NMR(CDCl)から、化合物(C−2)のカルボニル基ピークが消失しているのを確認した。得られた淡黄色粉末は、これ以上の精製をせずに次工程に用いた。
【0120】
実施例10 化合物(C−4)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた2Lセパラブルフラスコ中に、硫酸 68.0g、酢酸 650mLを加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、化合物(C−3) 59.9g(173mmol)を酢酸 350mLに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに90℃で8時間攪拌した。反応終了後、反応液を50℃まで冷却した。氷水 2000mLへ反応液(50℃)を注ぎ、室温で1時間攪拌した。析出した灰色粉末をろ取し、これを5%炭酸カリウム水溶液 1000mLで洗浄し、次いで純水 2000mLで洗浄した。得られた灰色粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、更にトルエン/メタノール混合溶媒で再結晶することにより、白色結晶 6.8gを得た(収率 12%、純度 99.8%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色結晶は目的の化合物(C−4)であることを確認した。
【0121】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.65(s 3H), 4.41(s 1H), 4.44(s 1H), 4.74(s 1H), 7.07〜7.48(m 10H), 8.03〜8.07(m 1H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.71, 60.69, 63.20, 63.36, 64.19, 113.00, 124.19, 124.43, 126.76, 127.31, 127.51, 127.75, 128.11, 128.97, 130.70, 143.07, 144.04, 144.61, 145.91, 147.93
実施例11 化合物(A−62)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた50mL3つ口フラスコ中に、化合物(C−4) 0.500g(1.52mmol)、 N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミン 0.490g(1.53mmol)、tert−ブトキシナトリウム 0.180g(1.87mmol)、酢酸パラジウム 4mg(0.02mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン 14mg(0.07mmol)、o−キシレン 10mLを加え、130℃で10時間攪拌した。反応終了後、純水 30mL及びトルエン 15mLを添加して洗浄分液した。さらに、得られた有機層を純水 30mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 0.73gを得た(収率 78%、純度 99.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−62)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−62)のガラス転移温度は151℃であった。
【0122】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.43(s 3H), 4.01(s 1H), 4.35(s 1H), 4.38(s 1H), 6.96〜7.71(m 29H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.77, 60.69, 62.50, 63.13, 63.67, 121.21, 122.33, 123.88, 124.19, 124.43, 126.26, 126.67, 126.87, 127.47, 127.69, 127.88, 128.79, 128.83, 129.29, 135.03, 135.22, 140.58, 140.64, 141.50, 143.88, 144.80, 144.89, 145.36, 145.91, 146.08, 147.58, 148.20
実施例12 化合物(A−52)の合成
実施例11において、N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミンの代わりにN−(4−ビフェニリル)−N−(p−メトキシフェニル)アミンを0.420g(1.53mmol)用いた以外は、実施例11と同様の実験操作を行って、白色粉末を0.59g得た(収率 69%、純度 99.6%)。質量分析の結果から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−52)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−52)のガラス転移温度は132℃であった。
【0123】
質量分析(FDMS):567(M+)
実施例13 化合物(A−51)の合成
実施例11において、N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミンの代わりにN−(4−ビフェニリル)−N−(p−トリル)アミンを0.400g(1.54mmol)用いた以外は、実施例11と同様の実験操作を行って、白色粉末を0.53g得た(収率 63%、純度 99.4%)。質量分析の結果から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−51)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−51)のガラス転移温度は133℃であった。
【0124】
質量分析(FDMS):551(M+)
【0125】
【化16】

【0126】
合成例7 化合物(D−1)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた3L3つ口フラスコ中に、ジエチルエーテル 1100mL、p−ブロモベンズアルデヒド 146g(0.790mol)を加え、反応容器を0℃に冷却した。この溶液に、p−クロロフェニルマグネシウムブロミド溶液(アルドリッチ社製 1.0Mジエチルエーテル溶液)800mL(0.800mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温で15時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、3.5%塩化水素水溶液を1000mL滴下した。その後、飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、得られた白色粉末をヘキサン3000mLで洗浄した。更に真空乾燥を行い、白色粉末 174gを得た(収率 74%、純度 99.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(D−1)であることを確認した。
【0127】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=2.43(s 1H), 5.72(s 1H), 7.17〜7.47(m 8H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=75.01, 121.70, 127.82, 128.15, 128.74, 131.67, 133.57, 141.66, 142.25
合成例8 化合物(D−2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置及びディーンシュターク管を備えた2Lセパラブルフラスコ中に、化合物(D−1) 165g(0.555mol)、化合物(B−1) 89.0g(0.555mol)、トルエン 650mL、p−トルエンスルホン酸1水和物 5.27g(27.7mmol)を加え、150℃で3時間加熱した。尚、反応途中で生成する水は系外に除去した。反応終了後、トルエンを留去し、反応器を室温まで冷却した。残渣にジクロロメタン 800mLを添加し、純水 2000mLで洗浄した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を半分程度留去し、得られた濃縮液にメタノール1000mLを添加した。析出した白色粉末をろ取し、メタノール 500mLで洗浄した。更に真空乾燥を行い、白色粉末 219gを得た(収率 90%、純度 99.6%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色色粉末は目的の化合物(D−2)であることを確認した。
【0128】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.28(s 3H), 4.55(s 1H), 7.12〜7.40(m 8H), 7.73〜7.88(m 4H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.42, 56.13, 57.94, 121.12, 123.30, 128.53, 130.93, 131.34, 131.48, 132.91, 135.91, 137.73, 138.33, 141.02
合成例9 化合物(D−3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた5L3つ口フラスコ中に、化合物(D−2) 218g(0.495mol)、テトラヒドロフラン 1150mL、メタノール 1150mLを加え、室温で10分間攪拌した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム 56.1g(1.48mol)を1時間かけてゆっくりと加え、さらに室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、5%塩化水素水溶液 600mLをゆっくりと滴下した。その後、ジクロロメタン 2000mL、純水 2000mLを加えて洗浄分液した。次いで飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、白色粉末 224gを得た(収率 99%、純度 99.5%)。13C−NMR(CDCl)から、化合物(D−2)のカルボニル基ピークが消失しているのを確認した。得られた白色粉末は、これ以上の精製をせずに次工程に用いた。
【0129】
実施例14 化合物(D−4)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた2Lセパラブルフラスコ中に、硫酸 88.4g、酢酸 700mLを加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、化合物(D−3) 100g(225mmol)を酢酸 400mLに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに90℃で15時間攪拌した。反応終了後、反応液を50℃まで冷却した。氷水 2300mLへ反応液(50℃)を注ぎ、室温で1時間攪拌した。析出した灰色粉末をろ取し、純水 2000mLで洗浄した。得られた灰色粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、更にトルエン/エタノール混合溶媒で再結晶することにより、白色結晶 3.3gを得た(収率 3.6%、純度 99.9%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色結晶は目的の化合物(D−4)であることを確認した。
【0130】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.65(s 3H), 4.33(s 1H), 4.41(s 2H), 7.11〜7.54(m 10H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.51, 61.68, 62.37, 63.29, 121.34, 124.41, 124.58, 125.29, 125.75, 127.56, 127.78, 127.91, 128.20, 129.03, 130.62, 133.31, 143.26, 143.88, 144.50, 147.08, 147.47
実施例15 化合物(D−5)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた100mL4つ口フラスコ中に、化合物(D−4) 1.40g(3.43mmol)、4−ピリジンボロン酸 0.63g(5.13mmol)、テトラヒドロフラン 25mL、20%炭酸ナトリウム水溶液 8.20g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム 80mg(0.069mmol)を加え、70℃で20時間攪拌した。反応終了後、加熱を終了し、室温まで放冷した。飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 0.86gを得た(収率 62%、純度 99.2%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(D−5)であることを確認した。
【0131】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.71(s 3H), 4.47(s 2H), 4.54(s 1H), 7.15〜7.66(m 12H), 8.62〜8.65(d 2H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.56, 61.62, 62.65, 63.36, 63.44, 121.70, 123.13, 124.36, 124.45, 124.60, 124.91, 125.37, 126.72, 127.78, 127.84, 127.88, 133.31, 138.04, 143.37, 144.58, 144.87, 146.04, 146.37, 147.16, 148.44, 150.14
合成例7 化合物(D−6)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた500mL3つ口フラスコ中に、2−ブロモトルエン 15.0g(87.7mmol)、4−クロロフェニルボロン酸 15.1g(96.6mmol)、テトラヒドロフラン 200mL、20%炭酸ナトリウム水溶液 140g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム 1.00g(0.87mmol)を加え、70℃で15時間攪拌した。反応終了後、加熱を終了し、室温まで放冷した。飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色透明オイル 12.2gを得た(収率 69%、純度 98.8%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた無色透明オイルは目的の化合物(D−6)であることを確認した。
【0132】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=2.25(s 3H), 7.17〜7.39(m 8H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.53, 125.88, 127.56, 128.26, 129.65, 130.42, 130.49, 132.80, 135.24, 140.31, 140.64
合成例8 化合物(D−7)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた500mL3つ口フラスコ中に、化合物(D−6) 11.8g(58.2mmol)、p−トルイジン 6.26g(58.4mmol)、tert−ブトキシナトリウム 6.73g(70.0mmol)、酢酸パラジウム 130mg(0.579mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン 470mg(2.32mmol)、o−キシレン 200mLを加え、140℃で15時間攪拌した。反応終了後、純水 200mLを添加して洗浄分液した。さらに、純水 200mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体 13.0gを得た(収率 81%、純度 98.5%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色固体は目的の化合物(D−7)であることを確認した。
【0133】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=2.30(6H), 5.63(s 1H), 7.01〜7.27(m 12H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.79, 20.88, 116.25, 119.12, 125.81, 126.85, 129.91, 130.15, 130.35, 131.06, 133.84, 135.46, 140.14, 141.72, 142.76
実施例16 化合物(A−70)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた100mL4つ口フラスコ中に、化合物(D−5) 0.500g(1.23mmol)、化合物(D−7) 0.400g(1.46mmol)、tert−ブトキシナトリウム 0.16g(1.66mmol)、酢酸パラジウム 6mg(0.03mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン 22mg(0.11mmol)、o−キシレン 10mLを加え、130℃で15時間攪拌した。反応終了後、純水 30mL、トルエン10mLを添加して洗浄分液した。さらに、純水 30mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 0.51gを得た(収率 65%、純度 99.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−70)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−70)のガラス転移温度は131℃であった。
【0134】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.71(s 3H), 2.32(6H), 4.40(s 1H), 4.46(s 1H), 4.53(s 1H), 6.92〜7.68(m 23H), 7.68(s 1H), 8.62〜8.65(dd 2H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.75, 20.99, 27.69, 61.66, 62.91, 63.45, 120.02, 121.72, 122.33, 123.10, 124.03, 124.21, 124.52, 124.73, 124.85, 125.07, 125.75, 126.59, 126.90, 127.55, 127.66, 129.78, 129.85, 130.33, 132.65, 135.25, 135.35, 137.78, 139.08, 141.55, 144.94, 145.14, 145.49, 146.52, 146.57, 146.75, 147.63, 148.59, 150.12
【0135】
【化17】

【0136】
合成例9 化合物(F−1)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた2Lセパラブルフラスコ中に、トルエン 750mL、水素化ナトリウム(60% in Oil) 30.2g(754mmol)を加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、室温でフタル酸ジメチル 150g(777mmol)と4−ヘプタノン 82.0g(718mmol)の混合液を40分かけて滴下した。滴下終了後、さらに90℃で19時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、析出した紅色粉末をろ取して乾燥した。得られた紅色粉末を純水 1200mLに溶解させ、この溶液に濃塩酸を滴下して酸性溶液とした。析出した淡黄色粉末をろ取し、純水 1500mLで洗浄した。更に真空乾燥を行い、淡黄色粉末 85.0gを得た(収率 63%、純度 99.9%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた淡黄色粉末は目的の化合物(F−1)であることを確認した。
【0137】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=0.93〜1.01(t 3H), 1.96〜2.10(m 2H), 2.96〜3.02(t 1H), 7.83〜8.01(m 4H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=10.83, 20.53, 54.48, 123.00, 135.51, 142.51, 200.98
合成例10 化合物(F−2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置及びディーンシュターク管を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(F−1) 45.0g(258mmol)、4−クロロベンズヒドロール 56.5g(258mmol)、トルエン 400mL、p−トルエンスルホン酸1水和物 2.45g(12.9mmol)を加え、150℃で3時間加熱した。尚、反応途中で生成する水は系外に除去した。反応終了後、トルエンを留去し、反応器を室温まで冷却した。残渣にジクロロメタン 500mLを添加し、純水 400mLで洗浄した後、飽和食塩水で洗浄分液し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、更に真空乾燥を行い、黄色オイル 90.0gを得た(収率 93%、純度 97.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた黄色オイルは目的の化合物(F−2)であることを確認した。
【0138】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=0.55〜0.62(t 3H), 1.84〜1.95(q 2H), 5.34(s 1H), 7.03〜7.83(m 13H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=9.45, 28.09, 57.27, 63.23, 122.60, 126.90, 128.33, 128.39, 128.55, 129.49, 131.15, 132.67, 135.53, 138.29, 139.23, 142.69, 142.76, 204.22, 204.34
合成例11 化合物(F−3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(F−2) 90.0g(240mmol)、テトラヒドロフラン 250mL及びメタノール 250mLを加え、室温で10分間攪拌した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム 23.6g(624mmol)を1時間かけてゆっくりと加え、さらに室温で5時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、5%塩酸水溶液 250mLをゆっくりと滴下した。その後、ジクロロメタン 550mL、純水 500mLを加えて洗浄分液した。次いで飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、白色粉末 90.8gを得た(収率 99%、純度 97.1%)。13C−NMR分析から、化合物(F−2)のカルボニル基ピークが消失していることを確認した。得られた白色粉末は、これ以上の精製をせずに次工程に用いた。
【0139】
実施例17 化合物(F−4)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた2Lセパラブルフラスコ中に、硫酸 93g(949mmol)、酢酸 800mLを加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、化合物(F−3) 90.0g(238mmol)を酢酸 300mLに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で10時間攪拌した。反応終了後、反応液を50℃まで冷却した。氷水 2000mLへ反応液(50℃)を注ぎ、室温で1時間攪拌した。析出した灰色粉末をろ取し、純水 1000mLで洗浄した。得られた灰色粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、更にトルエン/エタノール混合溶媒で再結晶することにより、白色結晶 5.9gを得た(収率 7.2%、純度 99.9%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色結晶は目的の化合物(F−4)であることを確認した。
【0140】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=0.95〜1.03(t 3H), 1.91〜2.02(q 2H), 4.52(s 2H), 4.56(s 1H), 7.10〜7.45(m 11H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=8.79, 32.43, 60.05, 60.43, 60.80, 66.05, 124.21, 124.29, 124.41, 124.47, 125.40, 127.55, 127.60, 127.69, 133.04, 144.08, 144.70, 145.01, 145.40, 145.51, 147.41
実施例18 化合物(A−63)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた100mL4つ口フラスコ中に、化合物(F−4) 0.500g(1.52mmol)、N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミン 0.490g(1.53mmol)、tert−ブトキシナトリウム 0.180g(1.87mmol)、酢酸パラジウム 4mg(0.02mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン 14mg(0.07mmol)、o−キシレン 10mLを加え、130℃で6時間攪拌した。反応終了後、純水 30mL及びトルエン 15mLを添加して洗浄分液した。さらに、得られた有機層を純水 30mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 0.58gを得た(収率 61%、純度 98.7%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−63)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−63)のガラス転移温度は99℃であった。
【0141】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.02〜1.06(t 3H), 1.95〜2.05(q 2H), 4.48(s 1H), 4.54(s 1H), 4.58(s 1H), 6.93〜7.58(m 29H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=8.90, 32.53, 60.38, 60.62, 60.68, 66.11, 120.73, 123.92, 124.29, 124.40, 124.63, 124.96, 126.67, 126.81, 127.45, 127.73, 128.77, 135.05, 140.67, 145.53, 145.62, 146.90, 146.94, 147.12
【0142】
【化18】

【0143】
合成例12 化合物(G−1)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた300mL4つ口フラスコ中に、p−クロロトリフェニルアミン 8.00g(27.0mmol)、アニリン 3.27g(35.1mmol)、tert−ブトキシナトリウム 3.12g(32.5mmol)、酢酸パラジウム 61mg(0.27mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン 218mg(1.08mmol)、o−キシレン 100mLを加え、130℃で15時間攪拌した。反応終了後、純水 100mL及びトルエン 100mLを添加して洗浄分液した。さらに、得られた有機層を純水 100mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 4.30gを得た(収率 47%、純度 96.9%)。質量分析の結果から、得られた白色粉末は目的の化合物(G−1)であることを確認した。
【0144】
質量分析(FDMS):336(M+)
実施例19 化合物(A−67)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた100mL4つ口フラスコ中に、化合物(G−1) 0.720g(2.13mmol)、化合物(C−4) 0.700g(2.13mmol)、tert−ブトキシナトリウム 0.250g(2.60mmol)、酢酸パラジウム 5mg(0.02mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン 18mg(0.09mmol)、o−キシレン 10mLを加え、130℃で10時間攪拌した。反応終了後、純水 30mL及びトルエン 15mLを添加して洗浄分液した。さらに、得られた有機層を純水 30mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 0.55gを得た(収率 41%、純度 99.7%)。質量分析の結果から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−67)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−67)のガラス転移温度は130℃であった。
【0145】
質量分析(FDMS):628(M+)
実施例20 化合物(A−2)の三重項準位の測定
サンプルチューブ内で、化合物(A−2) 1mgと2−メチルテトラヒドロフラン 1mLをよく混合し、均一な溶液を調製した。この溶液をアルゴンガスで10分間バブリングすることによって脱気した後、このサンプルチューブを密栓することにより燐光スペクトル測定用サンプルとした。温度77K(液体窒素冷却下)で燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−2)の三重項準位は、2.99eVであった。
【0146】
実施例21 化合物(A−3)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−3)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−3)の三重項準位は、2.96eVであった。
【0147】
実施例22 化合物(A−35)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−35)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−35)の三重項準位は、2.59eVであった。
【0148】
実施例23 化合物(A−63)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−63)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−63)の三重項準位は、2.54eVであった。
【0149】
実施例24 化合物(A−36)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−36)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−36)の三重項準位は、2.57eVであった。
【0150】
実施例25 化合物(A−52)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−52)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−52)の三重項準位は、2.57eVであった。
【0151】
実施例26 化合物(A−51)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−51)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−51)の三重項準位は、2.57eVであった。
【0152】
実施例27 化合物(A−62)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−62)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−62)の三重項準位は、2.56eVであった。
【0153】
実施例28 化合物(A−70)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−70)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−70)の三重項準位は、2.71eVであった。
【0154】
実施例29 化合物(A−37)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−37)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−37)の三重項準位は、2.57eVであった。
【0155】
実施例30 化合物(A−4)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−4)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−4)の三重項準位は、2.89eVであった。
【0156】
実施例31 化合物(A−67)の三重項準位の測定
実施例20において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−67)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−67)の三重項準位は、2.71eVであった。
【0157】
実施例32 化合物(A−2)の素子評価
厚さ200nmのITO透明電極を積層したガラス基板を、アセトン及び純水による超音波洗浄、イソプロピルアルコールによる煮沸洗浄した後、乾燥した。さらに、UV/オゾン処理を行い、真空蒸着装置へ設置後、1×10−4Paになるまで真空ポンプにて排気した。まず、ITO透明電極上にα−NPDを蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、20nmの正孔注入層とした。次に、化合物(A−2)を蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、30nmの正孔輸送層とした。次に、燐光ドーパント材料であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))とホスト材料である4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)を重量比が1:11.5となるように蒸着速度0.25nm/秒で共蒸着し、20nmの発光層とした。次に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、10nmのエキシトシンブロック層とした。次に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体を蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、30nmの電子輸送層とした。さらに、電子注入層としてフッ化リチウムを蒸着速度0.01nm/秒で0.5nm蒸着し、最後にアルミニウムを蒸着速度0.25nm/秒で100nm蒸着して陰極を形成した。窒素雰囲気下、封止用のガラス板をUV硬化樹脂で接着し、評価用の有機EL素子とした。このようにして得られた素子に、20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0158】
実施例33 化合物(A−3)の素子評価
実施例32において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−3)を用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0159】
実施例34 化合物(A−35)の素子評価
実施例32において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−35)を用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0160】
実施例35 化合物(A−36)の素子評価
実施例32において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−36)を用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
実施例36 化合物(A−52)の素子評価
実施例32において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−52)を用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0161】
実施例37 化合物(A−61)の素子評価
実施例32において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−61)を用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0162】
実施例38 化合物(A−67)の素子評価
実施例32において、化合物(A−2)の代わりに化合物(A−67)を用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0163】
比較例1 α−NPDの素子評価
実施例32において、化合物(A−2)の代わりにα−NPDを用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0164】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明のアリールアミン化合物は、有機EL素子の正孔注入材料、正孔輸送材料又は発光層のホスト材料として利用可能であり、従来の材料以上に高い三重項準位を有するため、特に燐光材料を用いた有機EL素子において極めて有用な材料となることが期待される。さらには、有機EL素子又は電子写真感光体の正孔注入材料、正孔輸送材料又は発光材料としてのみでなく、光電変換素子、太陽電池、又はイメージセンサー等の有機光導電材料への分野にも応用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜40のアリール基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。なお、nは1〜3の整数を表し、m及びpは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。)
で表されるアリールアミン化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の一般式(1)で表されるアリールアミン化合物であって、環A、環B及び環Cが、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよいベンゼン環であることを特徴とする、アリールアミン化合物。
【請求項3】
一般式(3)で表されるトリキナセン化合物と下記一般式(5)若しくは(6)で表されるアミン化合物又はアンモニアを、パラジウム化合物、トリアルキルホスフィン類及び塩基の存在下、反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化2】

(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜40のアリール基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、ジアリールアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。なお、nは1〜3の整数を表し、m及びpは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
で表されるアリールアミン化合物の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のアリールアミン化合物の製造方法であって、一般式(3)で示されるトリキナセン化合物が、一般式(4)
【化3】

(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
で表されるジオール化合物を酸触媒存在下、環化させて得られるトリキナセン化合物であることを特徴とする、アリールアミン化合物の製造方法。
【請求項5】
一般式(3)
【化4】

(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数6〜24の芳香環、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有してもよい炭素数3〜24のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、又は炭素数3〜40のヘテロアリール基を表す。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
で表されるトリキナセン化合物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物を、発光層、正孔輸送層及び正孔注入層のいずれか一層以上に用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

【公開番号】特開2012−180335(P2012−180335A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226658(P2011−226658)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】