説明

アルカリ可溶感光性樹脂の製造方法、アルカリ可溶感光性樹脂及び表面実装型LED

【課題】反射率が高く、しかも経時的に安定な反射率を有する白色反射膜を提供すると共に、そのような白色反射膜を有するLED光源を提供すること。
【解決手段】配線パターンが形成された基板上に、アルカリ可溶感光性樹脂及び白色顔料を含有する白色反射膜形成材料から成る白色反射膜とLEDチップ又はLEDパッケージとを有するLED光源に用いられるアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法であって、カルボキシル基(a1)及び水酸基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)とを、四級ホスホニウム塩(C)の存在下にエステル化反応させることを特徴とする側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体(D)からなるアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色反射膜とLED(発光ダイオード)チップ又はLEDパッケージとを有する表面実装型LEDの白色反射膜に有用なアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法に関し、更に詳しくは、反射効率が高く、反射率の経時安定性に優れたアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板上にLEDチップをマウントし、白色反射膜を設けた面実装型LEDランプ(特許文献1参照)からなる表面実装型LEDや、回路基板上にLEDパッケージを実装し、白色反射膜を設けた表面実装型LED(特許文献2参照)が知られている。
【0003】
この白色反射膜は、配線パターンが形成された基板表面上であって、LEDチップ又はLEDパッケージの実装位置及びその接続パッドを除く部分に形成されるのが一般的である。そのように白色反射膜を設ける方法としては、一般的に、塗料化した白色膜形成材料を基板上に樹脂組成物を塗布し、続いて加熱乾燥を行って塗膜を形成させた後、この塗膜にパターン形成用フィルムを装着し、露光して、現像するフォトリソグラフ法が知られている。この現像液には有機物を揮発しない弱アルカリ水溶液を使用するアルカリ現像型が主流になっている。
【0004】
前記フォトリソグラフ法に用いられる白色膜形成材料には、光反応性が必要とされ、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合体からなるアルカリ可溶感光性樹脂が一般に用いられている。側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合体の調製方法としては、種々の方法が提案されている。例えば、ノボラック型エポキシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させ、さらに多塩基酸無水物を付加させた反応生成物が広く用いられている(特許文献3参照)。また、カルボキシル基を有する重合体と、グリシジル基及び(メタ)アクリル基を有する化合物とを、エステル化触媒の存在下に反応させて製造する方法も知られている。当該反応に用いられるエステル化触媒としては、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリ−n−オクチルアミンの如き3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイドの如き4級アンモニウム塩、テトラメチル尿素の如きアルキル尿素、テトラメチルグアニジンの如きアルキルグアニジン、ナフテン酸コバルトの如き金属化合物、有機金属錯体、トリフェニルホスフィンの如きホスフィン系等が用いられている。(特許文献4及び5参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−23183
【特許文献2】特開2009−194222
【特許文献3】特開昭61−243869号公報
【特許文献4】特開平11−249300号公報
【特許文献5】特開2003−119228
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献3に記載の方法で得られた側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合体はベンゼン環骨格を有しているために耐光性に課題があった。また、前記特許文献4及び5に記載の方法で得られた側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合体を表面実装型LEDの白色反射膜形成材料のアルカリ可溶感光性樹脂として用いた場合、白色反射膜の反射率が低く、しかも、経時的に反射率が低下する、という問題点があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、反射率が高く、しかも経時的に安定な反射率を有する白色反射膜を提供すると共に、そのような白色反射膜を有する表面実装型LEDを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、検討した結果、カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)とを、特定のエステル化触媒の存在下に反応させて得られるアルカリ可溶感光性樹脂を含有する白色反射膜形成材料からなる白色反射膜を有するLED光源が、白色反射膜の反射率が高く、その結果、LEDの輝度向上に貢献すること、また、経時的にも、白色反射膜の変色が少なく、これらの性能が劣化しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、(1)配線パターンが形成された基板上に、アルカリ可溶感光性樹脂及び白色顔料を含有する白色反射膜形成材料から成る白色反射膜とLEDチップ又はLEDパッケージとを有する表面実装型LEDに用いられるアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法であって、カルボキシル基(a1)及び水酸基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)とを、四級ホスホニウム塩(C)の存在下にエステル化反応させることを特徴とする側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体(D)からなるアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は上記課題を解決するために、(2)配線パターンが形成された基板上に、アルカリ可溶感光性樹脂及び白色顔料を含有する白色反射膜形成材料から成る白色反射膜と又はLEDパッケージとを有する表面実装型LEDに用いられるアルカリ可溶感光性樹脂であって、前記(1)に記載の製造方法で得られるアルカリ可溶感光性樹脂を提供する。
【0011】
さらに、本発明は上記課題を解決するために、(3)配線パターンが形成された基板上に、アルカリ可溶感光性樹脂及び白色顔料を含有する白色反射膜形成材料から成る白色反射膜とLEDチップ又はLEDパッケージとを有する表面実装型LEDにおいて、アルカリ可溶感光性樹脂が前記(1)に記載の製造方法で得られるアルカリ可溶感光性樹脂であることを特徴とする表面実装型LEDを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法及び本発明のアルカリ可溶感光性樹脂によれば、反射率が高く、変色が小さく、しかも経時的に安定な反射率を有する白色反射膜を提供することができるので、輝度特性に優れ、経時的にも、これらの性能が劣化しない表面実装型LEDを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明で使用するカルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基(a1)を有する単量体と、ヒドロキシル基(a2)を有する単量体とを含む単量体成分とを含有する単量体組成物を重合することによって製造することができる。
【0014】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。
【0015】
これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、メチルメタクリレート、及び、メチルメタクリレートを主成分とする(メタ)アクリル酸エステルが特に好ましい。メチルメタクリレートを主成分とする単量体組成物を重合して得られる硬化物は、耐候性、透明性、表面の光沢等の各種物性や、外観、安全性等をより一層向上させることができる。
【0016】
カルボキシル基(a1)を有する単量体は、重合可能な二重結合と、カルボキシル基とを分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該カルボキシル基(a1)を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸の如き不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸;これらの不飽和ジカルボン酸のモノエステル、などが挙げられる。これらのカルボキシル基を有する単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。
【0017】
カルボキシル基を有する単量体の使用量は、特に限定されるものではないが、単量体組成物を100質量%として、10〜80質量%が好ましく、15〜70質量%が特に好ましく、20〜65質量%がさらに好ましい。カルボキシル基を有する単量体の使用量が0.5質量%未満である場合には、アルカリ水溶液への溶解性が著しく劣り、現像性が低下する傾向にあり、またカルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体にグリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)を反応させることによって導入できる重合性二重結合の数が制限され、光による架橋が不十分となり感度、解像度の低下、得られる硬化物の熱時強度等の諸物性が低下する傾向にあるので、好ましくない。カルボキシル基を有する単量体の使用量が80質量%を越える場合には、得られる硬化物の電気特性、耐候性及び耐水性が低下する傾向にあるので、好ましくない。
【0018】
ヒドロキシル基(a2)を有する単量体は、重合可能な二重結合と、ヒドロキシル基とを分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該ヒドロキシル基(a2)を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートの如きヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテルの如きアリル化合物のほか、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのヒドロキシル基(a2)を有する単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。
【0019】
ヒドロキシル基(a2)を有する単量体の使用量は、特に限定されるものではないが、単量体組成物を100質量%として、**〜##質量%が好ましく、***〜###質量%が特に好ましく、****〜####質量%がさらに好ましい。ヒドロキシル基(a2)を有する単量体の使用量が**質量%未満である場合には、・・・・性が著しく劣り、・・・・性が低下する傾向にあり、またカルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体にグリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)を反応させることによって導入できる重合性二重結合の数が制限され、光による架橋が不十分となり感度、解像度の低下、得られる硬化物の熱時強度等の諸物性が低下する傾向にあるので、好ましくない。ヒドロキシル基(a2)を有する単量体の使用量が##質量%を越える場合には、得られる硬化物の・・・性、・・性及び・・性が低下する傾向にあるので、好ましくない。
【0020】
前記単量体組成物には、(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基(a1)を有する単量体及びヒドロキシル基(a2)を有する単量体の他に、カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を含有しないビニル化合物(モノマー)を必要に応じて含めることができる。そのようなビニル化合物は、重合可能な二重結合を有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。そのようなビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンの如きスチレン系単量体;酢酸ビニルの如きビニルエステル;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミドの如きN−アルコキシ置換(メタ)アクリルアミド;不飽和塩基性単量体;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミドの如きマレイミド系単量体、などが挙げられる。これらビニル化合物は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。前記単量体組成物にビニル化合物を混合する場合のビニル化合物の含有量は、ビニル化合物の種類や(メタ)アクリル酸エステルとの組み合わせ等にもよるが、50質量%以下が好ましい。
【0021】
前記単量体組成物を重合させる際には、重合開始剤を使用することが望ましい。重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートの如き有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリルの如きアゾ化合物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。単量体組成物に対する重合開始剤の添加量は、特に限定されるものではないが、単量体組成物に対して1〜10質量%の範囲が好ましく、2〜8質量%の範囲が特に好ましい。
【0022】
また、前記単量体組成物を重合させる際には、得られる重合体の平均分子量等を調節するために、連鎖移動剤を添加しても良い。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、重合反応を極めて容易に制御できる点から、チオール化合物が特に好ましい。連鎖移動剤として用いるチオール化合物としては、例えば、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオフェノール、チオナフトールの如き芳香族メルカプタン;チオグリコール酸;チオグリコール酸オクチル、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(チオグリコレート)の如きチオグリコール酸アルキルエステル;β−メルカプトプロピオン酸;β−メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4−ブタンジオールジ(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(β−チオプロピオネート)の如きβ−メルカプトプロピオン酸アルキルエステル、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。
【0023】
連鎖移動剤の使用量は、該連鎖移動剤の種類や、重合性組成物中の単量体との組み合わせ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、単量体組成物に対して0.1〜15質量%の範囲が好ましい。
【0024】
上記重合性組成物の重合方法としては、例えば、塊状重合(バルク重合)、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法が挙げられるが、溶液重合が特に好ましい。なお、懸濁重合を採用する場合には、ポリビニルアルコール等の分散安定剤を用いて、単量体成分を水等の分散媒中に懸濁させる方法を採用することができる。重合反応温度や重合反応時間等の重合反応条件は、特に限定されるものではなく、例えば、公知の重合反応条件を採用することができる。なお、上記の重合反応は、窒素ガスの如き不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0025】
以上の方法によって得られるカルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)の質量平均分子量(Mw)は、5,000〜180,000の範囲が好ましく、5,000〜150,000の範囲が特に好ましい。カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が5,000よりも小さい場合、樹脂配合組成物を塗布、乾燥した後の指触乾燥性に劣る傾向にあり、また、カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が180,000よりも大きい場合、現像性及び貯蔵安定性に劣る傾向にあるので,好ましくない。
【0026】
本発明で使用するグリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)は、カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)が有するカルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)と反応可能なグリシジル基(b1)と、(メタ)アクリル基(b2)とを有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。そのようなグリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)としては、大きく分けて、脂肪族炭化水素基にグリシジル基(b1)が結合した構造を有する化合物(B−1)と脂環構造上にエポキシ基が形成された構造を有する化合物(B−2)とが挙げられる。
【0027】
前者の脂肪族炭化水素基にグリシジル基(b1)が結合した構造を有する化合物(B−1)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、などが挙げられる。
【0028】
後者の脂環構造上にエポキシ基が形成された構造を有する化合物(B−2)としては、例えば、下記一般式(3−1)〜(3−15)で表わされる化合物の如き脂環式エポキシ基及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物などが挙げられる。
【0029】
一般式(3−1)
【0030】
【化1】

【0031】
一般式(3−2)
【0032】
【化2】

【0033】
一般式(3−3)
【0034】
【化3】

【0035】
一般式(3−4)
【0036】
【化4】

【0037】
一般式(3−5)
【0038】
【化5】

【0039】
一般式(3−6)
【0040】
【化6】

【0041】
一般式(3−7)
【0042】
【化7】

【0043】
一般式(3−8)
【0044】
【化8】

【0045】
一般式(3−9)
【0046】
【化9】

【0047】
一般式(3−10)
【0048】
【化10】

【0049】
一般式(3−11)
【0050】
【化11】

【0051】
一般式(3−12)
【0052】
【化12】

【0053】
一般式(3−13)
【0054】
【化13】

【0055】
一般式(3−14)
【0056】
【化14】

【0057】
一般式(3−15)
【0058】
【化15】

【0059】
(上記一般式(3−1)〜(3−15)中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、Rは炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表わし、Rは炭素原子数1〜10の2価の炭素水素基を表わし、Iは0〜10の整数を表わす。)
【0060】
これらのグリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)の中でも、グリシジル(メタ)アクリレートが特に好ましい。グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。
【0061】
上記グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)の使用量は、当該化合物の種類や、反応させるカルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)の種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)のカルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)と、グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)のグリシジル基(b1)との割合が、当量比(((a1)+(a2))/(b))で、1.1〜4.6の範囲が好ましく、1.2〜3.0の範囲が特に好ましい。
【0062】
カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)とのエステル化反応には、触媒として、四級ホスホニウム塩(C)を用いる。触媒として用いる四級ホスホニウム塩(C)としては、一般式(1)
【0063】
【化16】

【0064】
(式中、R、R、R及びRは、おのおの独立的に、炭素原子数1〜5のアルキル基又はアルコキシメチル基、フェニル基、ベンジル基、を表わし、XはOH、Br、Cl、OCOCH
【0065】
【化17】

【0066】
を表わす。)
で表わされる化合物が挙げられる。これらの化合物の中でも、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、メチルトリブチルホスホニウムホスフェート、ブチルトリフェニルホスホニウムクロライド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムテトラp−トリルボレート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネートが好ましく、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、メチルトリブチルホスホニウムホスフェート、テトラフェニルホスホニウムテトラp−トリルボレートが特に好ましい。これらの化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。
【0067】
触媒の使用量は、その種類や、カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)との組み合わせ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.005〜5質量部の範囲が好ましく、0.05〜4質量部の範囲が特に好ましく、0.1〜3質量部の範囲が更に好ましい。
【0068】
エステル化反応を行う際には、必要に応じて、重合禁止剤を共存させることが望ましい。そのような重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、などのフェノール類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
さらに、本発明の白色反射膜形成材料には、必要に応じて、酸化防止剤を使用することができる。このような酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの酸化防止剤は、エステル化反応を行う際に共存させても、反応後に添加してもよい。
【0070】
また、上記のエステル化反応を行う際には、必要に応じて、溶媒を用いることができる。エステル化反応に用いる溶媒は、沸点が120〜300℃に範囲にある高沸点アルコール系溶媒(E)が好ましい。そのような高沸点アルコール系溶媒(E)としては、例えば、一般式(2)
【0071】
【化18】

【0072】
(式中、Rは、水素原子、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はヘキシル基を表わし、Rは、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基又はブタン−1,2−ジイル基、3−メチルブタン−1,3−ジイル基を表わし、nは1〜3を表わす。)
で表わされる溶媒が好ましい。そのような溶媒の中でも、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールが特に好ましい。これらの溶媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。また、高沸点アルコール系溶媒(E)には、アルコール系以外の溶剤を併用することもできる。
【0073】
以上のようにして得られる反応生成物である側鎖に(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の二重結合当量は、250〜1,000の範囲が好ましく、330〜430の範囲が特に好ましい。なお、上記の二重結合当量は、なお、本発明において、二重結合当量とは、(メタ)アクリル基1モルあたりの重合体の質量を表わし、その単位はg/モルである。具体的には、[グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)の二重結合当量]/[重合体1g中のグリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)の仕込み質量](但し、[グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)の二重結合当量]=[グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)の式量]/[グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)1分子中の(メタ)アクリル基(b2)の数])で求めることができる。二重結合当量の数値が小さいほど、重合体中の(メタ)アクリル基濃度が高くなる。本発明において二重結合当量は、原料の仕込み量から計算した理論値である。当該二重結合当量が250未満であると、エステル化反応中にゲル化しやすいので、好ましくない。一方、上記二重結合当量が1,000を超えると、光による架橋が不十分となり感度、解像度が低下するので、好ましくない。
【0074】
以上のようにして得られる反応生成物である側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体の酸価は、50〜200mgKOH/gの範囲が好ましく、70〜150mgKOH/gの範囲が特に好ましい。当該酸価が50mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像液での除去が難しくなる傾向にあるので好ましくない。また、当該酸価が200mgKOH/gを超えると、ソルダーレジストの耐水性、電気特性が劣る傾向にあるので好ましくない。
【0075】
本発明で使用する白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性炭酸塩、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、窒化チタン、フッ化セリウム、酸化セリウム等が挙げられるが、隠ぺい力と無毒性という点から酸化チタンが好ましい。
【0076】
白色反射膜形成材料中の側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体と、白色顔料との混合割合は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して、50〜300質量部の範囲が好ましく、60〜260質量部の範囲が特に好ましい。白色顔料の配合量が300質量部を超えると、光硬化性が低下し、硬化深度が低くなる傾向にあるので好ましくない。一方、白色顔料の配合量が50質量部未満であると、隠ぺい力が小さく、高反射率の白色反射膜を得にくくなる傾向にあるので好ましくない。
【0077】
白色反射膜形成材料には、さらに、光重合開始剤、光増感剤、エポキシ化合物、希釈剤を併用することもできる。
【0078】
白色反射膜形成材料に用いる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンの如きアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノンの如きアミノアルキルフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンの如きアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンの如きチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールの如きケタール類;ベンゾフェノンの如きベンゾフェノン類;キサントン類;(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイトの如きフォスフィンオキサイド類;各種パーオキサイド類、チタノセン系開始剤などが挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
また、これらの光重合開始剤は、光増感剤と併用することができる。そのような光増感剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミンの如き三級アミン類などが挙げられる。
【0080】
光重合開始剤の使用量は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体100質量部に対し、1〜30質量部の範囲が好ましい。また、光増感剤を併用する場合の使用量は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲が好ましい。
【0081】
白色反射膜形成材料に用いるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン・クレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ジフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルジフェニルジグリシジルエーテル、オキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン等の不飽和脂環式化合物とフェノール類との重付加反応物のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ化合物を併用する場合の使用量は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体100質量部に対し、5〜70質量部の範囲が好ましい。
【0082】
白色反射膜形成材料に用いる希釈剤としては、光重合性モノマー及び/又は有機溶剤が挙げられる。光重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレートの如きヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールの如きグリコールのモノ又はジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドの如きアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの如きアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートの如き多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート及び、これらのフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の如きアクリレート類;グルセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの如きグリシジルエーテルのアクリレート類;メラミンアクリレート;及び/又は上記アクリレート類に対応するメタクリレート類等を挙げられる。希釈剤として光重合性モノマーを併用する場合の使用量は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体100質量部に対し、20〜300質量部の範囲が好ましい。
【0083】
白色反射膜形成材料に用いる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素;メタノール、イソプロピルアルコールの如きアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランの如きエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類;セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールや、その他アルキレングリコール、プロピレングルコールの如きアルキレンポリオール、これらアルキレンポリオールのアルキルエステルやアルキルエーテルのエーテル、エステル類の如きグリコール誘導体;シクロヘキサノン、シクロヘキサノールの如き脂環式炭化水素及び石油エーテル、石油ナフサの如き石油系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。希釈剤として有機溶媒を併用する場合の使用量は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体100質量部に対し、4〜500質量部の範囲が好ましい。
【0084】
白色反射膜は、前記のようにして調製された白色反射膜形成材料を配線パターンが形成された基板表面上に塗布し、必要に応じて有機溶剤を乾燥させた後、加熱・硬化させること、あるいは光硬化させることにより形成される。スクリーンコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の方法により塗布し、例えば、70〜90℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥させることにより、タックフリーの均一な塗膜を形成できる。その後、フォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液により現像してレジストパターンを形成することにより、本発明の白色反射膜を得ることができる。ここで用いられる希アルカリ水溶液としては、0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が一般的であるが、他のアルカリ使用液を使用することも可能である。他の希アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を挙げることができる。
【0085】
また、露光するための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプなどを用いることができる。その他、レーザー光線なども活性光線として利用できる。このようにして得られた白色反射膜の耐熱性を向上させるために、100〜200℃の熱、紫外線又は遠赤外線により、白色反射膜を二次硬化させることが望ましい。
【0086】
本発明の表面実装型LEDは、例えば、以下の方法によって製造することができる。即ち、基板の表面側に、LEDチップ又はLEDパッケージがマウントされる部分、及び、前記LEDチップ又はLEDパッケージに配線を行うためのワイヤが取付けられる部分を除いて上記方法に従って白色反射膜を設けた後、前記基板の背面側に、回路基板に面実装が行えるように端子を設け、前記回路パターンと前記端子は、基板のスルーホールを通して電気的に接続した後、前記マウント部分に前記LEDチップ又はLEDパッケージをマウントし、さらに必要に応じて、基板の表面側に透明樹脂から成るカバーケースを設ける方法である。本発明の白色反射膜は、このような方法で製造される表面実装型LEDに限定して適用されるものではなく、本発明の白色反射膜の効果が期待できる表面実装型LEDであれば、特に制限なく、適用することができる。
【実施例】
【0087】
次に、実施例、比較例を用いて本発明を具体的に説明する。例中「部」とあるのは、特
に断りがない限り質量部を表すものとする。また、得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量、分子量分布は下記GPCによる分析により決定した。
【0088】
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8120GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN HXL−H
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G2000HXL
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0089】
[合成例1]
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコに、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ダウケミカル製の「ダワノールDPM」)900部を導入し、110℃に昇温させた後、メタクリル酸278部、メチルメタクリレート161部、2−ヒドロキシエチルアクリレート47部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製の「パーブチルO」)17部を共に3時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間熟成させてカルボキル基およびアルコール性水酸基を有する重合体を得た。このようにして得た重合体のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は7,600であった。
【0090】
次いで、上記重合体に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.4部、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン2.2部を添加し、さらにグリシジルメタクリレート288部、触媒としてテトラブチルホスホニウムヒドロキシド2.0部を添加した後、110℃ で4時間かけてエステル化反応を行い、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するメタクリル系重合体(D−1)を得た。
【0091】
このようにして得たメタクリル系重合体(D−1)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は80,500であり、分子量分布(Mw/Mn)が46であり、二重結合当量が359g/モルであり、固形分が46質量%であり、酸価が52mgKOH/gであった。
【0092】
[合成例2]
実施例1において、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドに代えて、メチルトリブチルホスホニウムクロライド2.0部を用いた以外は、実施例1と同様にして、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するメタクリル系重合体(D−2)を得た。
【0093】
このようにして得たメタクリル系重合体(D−2)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は71,400であり、分子量分布(Mw/Mn)が44であり、二重結合当量が359g/モルであり、固形分が46質量%であり、酸価が54mgKOH/gであった。
【0094】
[合成例3]
実施例1において、ジエチレングリコールジメチルエーテルに代えて、メトキシプロピルアセテート900部を用いた以外は、実施例1と同様にして、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するメタクリル系重合体(D−3)を得た。
【0095】
このようにして得たメタクリル系重合体(D−3)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は79,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が49であり、二重結合当量が359g/モルであり、固形分が46質量%であり、酸価が51mgKOH/gであった。
【0096】
[合成例4]
実施例1において、2−ヒドロキシエチルアクリレートに代えて、ラクトン変性2 − ヒドロキシエチルメタクリレート(ダイセル化学工業(株)製プラクセルFM1)99部を用いた以外は、実施例1と同様にして、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するメタクリル系重合体(D−4)を得た。
【0097】
このようにして得たメタクリル系重合体(D−4)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は68,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が45であり、二重結合当量が408g/モルであり、固形分が48質量%であり、酸価が48mgKOH/gであった。
【0098】
[比較合成例1]
実施例1において、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドに代えて、トリフェニルホスフィン4.0部を用い、110℃で8時間エステル化反応を行なった以外は、実施例1と同様にして、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するメタクリル系重合体(D’−1)を得た。
【0099】
このようにして得たメタクリル系重合体(D’−1)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は25,900であり、分子量分布(Mw/Mn)が16であり、二重結合当量が359g/モルであり、固形分が46質量%であり、酸価が56mgKOH/gであった。
【0100】
[比較合成例2]
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2リットルフラスコに、ジエチレングリコールジメチルエーテル900部を導入し、110 ℃ に昇温後、メタクリル酸204部、メチルメタクリレート281部およびt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製の「パーブチルO」)17部を滴下した。滴下後熟成してカルボキル基を有する重合体を得た。このようにして得た重合体のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量は8,500であった。
【0101】
次いで、上記重合体に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.4部、酸価防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン2.2部を添加した後、グリシジルメタクリレートを292部、触媒としてテトラブチルホスホニウムヒドロキシド2.0部添加し、1 1 0 ℃ で4時間かけてエステル化反応を行い、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するメタクリル系重合体(D’−2)を得た。
【0102】
このようにして得たメタクリル系重合体(D’−2)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は56,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が37であり、二重結合当量が378g/モルであり、固形分が46質量%であり、酸価が47mgKOH/gであった。
【0103】
[実施例1〜4、比較例1〜2]
表1に示した各成分を自転・公転ミキサーにて混合し、ソルダーレジスト組成物とした。表中の数字は、質量部を示す。
【0104】
【表1】

【0105】
R−820:石原産業社製の酸化チタン
エピクロン850S:DIC社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂
イルガキュア907:チバスペシャルティケミカルズ社製の光重合開始剤「イルガキュア907」
ルシリンTPO:BASF社製の光重合開始剤「ルシリンTPO」
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
2E4MZ:四国化成社製のイミダゾール硬化促進剤
【0106】
[評価]
・指触乾燥性
各実施例及び各比較例で得た組成物を、アプリケータを用いてガラス板上に膜厚50μmとなるように全面塗布した後、熱風循環式乾燥炉にて80℃で30分間乾燥させた直後の塗膜について指触時の乾燥性(タック)性を下記の基準で評価し、その結果を表2に示した。
【0107】
○ : タックなし
△ : タック若干あり
× : タック性あり
【0108】
・乾燥管理幅
各実施例及び各比較例で得た組成物を、アプリケータを用いてガラス板上に膜厚50μmとなるように全面塗布し、80℃で30分間、40分間、50分間、60分間熱風循環式乾燥炉で乾燥させた後、1%の炭酸ナトリウム水溶液を現像液として、30℃で180秒間振とう機にて現像し、基板上に残存する度合いを下記の基準で評価し、その結果を表2に示した。
【0109】
○ : 基板上の塗膜が全く残っていない。(塗膜残存率:0%)
△ : 基板上の塗膜が一部残存する。(塗膜残存率:1〜10%)
× : 基板上の塗膜が溶解せず、ほとんど残存する。(塗膜残存率:11〜100%)
【0110】
・感度
各実施例及び各比較例で得た組成物を、アプリケータを用いてガラス板上に膜厚50μmとなるように全面塗布した。その後、80℃で30分間、熱風循環式乾燥炉で乾燥させた塗膜上にステップタブレットNo.2(コダック株式会社製)を乗せ、露光機(アイグラフィックス株式会社製のUS02−03001)を用いて800mJ/cmの積算光量で紫外線露光した後、1%の炭酸ナトリウム水溶液を現像液として、30℃で180秒間振とう機にて現像し、ステップタブレット法で評価を行ない、その結果を表2に示した。表中の数字はステップタブレットの段数を示し、数字が大きい程、硬化性(感度) が優れていることを示す。
【0111】
【表2】

【0112】
各実施例及び各比較例で得た組成物を、アプリケータを用いてガラス板上に膜厚50μmとなるように全面塗布した後、80℃で30分間、熱風循環式乾燥炉で乾燥させ、試験片を得た。この試験片に、露光機(アイグラフィックス株式会社製のUS02−03001)を用いて800mJ/cmの積算光量で全面紫外線露光した後、1%の炭酸ナトリウム水溶液を現像液として、30℃で180秒間振とう機にて現像し、続いて、熱風循環式乾燥炉中、150℃で60分間熱硬化を行ない、硬化試験片を作製した。得られた硬化試験片の色差を日本電色工業株式会社製のZE2000を用いて測定した。その結果を表3に示した。
【0113】
・耐熱性
得られた硬化試験片を、熱風循環式乾燥炉中で200℃に加熱して、加速劣化させ、30分後、60分後及び90分後に硬化試験片を取り出して、同様に色差を測定した。その結果を表4〜6に示した。
【0114】
・耐光性
得られた硬化試験片に、UV露光装置(出力100mW/cm メタルハライドランプ)で60J/cm、90J/cm及び120J/cmのUV光を照射して加速劣化させ、同様に色差を測定した。その結果を表7〜9に示した。
【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
【表5】

【0118】
【表6】

【0119】
【表7】

【0120】
【表8】

【0121】
【表9】

【0122】
表3〜9において、YはXYZ表色系の反射率を表わし、L*は、L*a*b*表色系の明度を表わす。a*は赤方向、−a*は緑方向、b*は黄方向、−b*は青方向を示し、ゼロに近いほど彩度がないことを示す。△Eは、色の変化を示す。この値が小さいほど色の変化が小さいことを示す。
【0123】
表4〜9に示した結果から、本発明の組成物を用いた実施例1〜4においては、加速劣化後も、反射率は低下せず、色の変化である△Eの値が小さいことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンが形成された基板上に、アルカリ可溶感光性樹脂及び白色顔料を含有する白色反射膜形成材料から成る白色反射膜とLEDチップ又はLEDパッケージとを有する表面実装型LEDに用いられるアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法であって、
カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)とを、四級ホスホニウム塩(C)の存在下にエステル化反応させることを特徴とする側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体(D)からなるアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法。
【請求項2】
四級ホスホニウム塩(C)が、一般式(1)
【化1】

(式中、R、R、R及びRは、おのおの独立的に、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシメチル基、フェニル基又はベンジル基を表わし、Xは、OH、Br、Cl、OCOCH
【化2】

を表わす。)
で表わされる化合物である請求項1記載のアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法。
【請求項3】
四級ホスホニウム塩(C)が、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、メチルトリブチルホスホニウムホスフェート及びテトラフェニルホスホニウムテトラp−トリルボレートからなる群から選ばれる請求項1記載のアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記カルボキシル基(a1)及びヒドロキシル基(a2)を有する(メタ)アクリル系重合体(A)が、重量平均分子量が5000〜180000の範囲にある重合体である請求項1記載のアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法。
【請求項5】
二重結合当量が250〜1000の範囲にある請求項1記載のアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法。
【請求項6】
固形酸価が50〜200mgKOH/gの範囲にある請求項1記載のアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記グリシジル基(b1)及び(メタ)アクリル基(b2)を有する化合物(B)がグリシジル(メタ)アクリレートである請求項1記載のアルカリ可溶感光性樹脂の製造方法。
【請求項8】
配線パターンが形成された基板上に、アルカリ可溶感光性樹脂及び白色顔料を含有する白色反射膜形成材料から成る白色反射膜とLEDチップ又はLEDパッケージとを有する表面実装型LEDに用いられるアルカリ可溶感光性樹脂であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られるアルカリ可溶感光性樹脂。
【請求項9】
配線パターンが形成された基板上に、アルカリ可溶感光性樹脂及び白色顔料を含有する白色反射膜形成材料から成る白色反射膜とLEDチップ又はLEDパッケージとを有する表面実装型LEDにおいて、
前記アルカリ可溶感光性樹脂が請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られるアルカリ可溶感光性樹脂であることを特徴とする表面実装型LED。

【公開番号】特開2013−82829(P2013−82829A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224828(P2011−224828)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】